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経営分析論⑪ 貸借対照表と損益計算書による資本運用効率の分析 ケーススタディ 旅客航空業 国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴 VTR「カンブリア宮殿」Peach Aviation井上社長の回を見て,以下の 内容についてまとめなさい。 メリット 内容 関西国際空港に拠点を置くメリット 4時間 世界遺産 24時間 アジアとの距離の近さ。香港まで4時間。 シートピッチの狭さに耐えられる時間。 京都・奈良などの観光地が多い。 24時間Openダイヤ設定,機材繰りに有利な条件。 国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴 国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴 関西国際空港から観光地の距離は,福岡で言うとどういう距離感?

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経営分析論⑪貸借対照表と損益計算書による資本運用効率の分析

ケーススタディ 旅客航空業

国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴• VTR「カンブリア宮殿」Peach Aviation井上社長の回を見て,以下の

内容についてまとめなさい。

メリット 内容

関西国際空港に拠点を置くメリット

4時間

世界遺産

24時間

アジアとの距離の近さ。香港まで4時間。

シートピッチの狭さに耐えられる時間。

京都・奈良などの観光地が多い。

24時間Open。

ダイヤ設定,機材繰りに有利な条件。

国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴 国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴• 関西国際空港から観光地の距離は,福岡で言うとどういう距離感?

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国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴• VTR「カンブリア宮殿」Peach Aviation井上社長の回を見て,以下の

内容についてまとめなさい。

レガシーキャリアとの違いをどこで出そうとしているか?

「電車戦略」でどのような顧客を新規開拓できたか?

① ANAと真逆のことをやる。肩が抜けたサービスを図る。② やりくりもコスト削減 → 他の業界なみのコスト削減③ 短距離路線に特化。サービスはシンプルでフェアに行う。④ アジアの流動を取り込む。

① アジア人の気軽な旅行(台湾線,香港線は日本人よりも多い)② レガシーキャリアは男性7割,Peachは女性5割。③ 飛行機に乗ったことがない人=高齢者・若い女性を開拓。

国内LCC Peach Aviationに見る旅客航空業の特徴• VTR「カンブリア宮殿」Peach Aviation井上社長の回を見て,以下の

内容についてまとめなさい。

人材育成で意識している点はどのような点であろうか?

ライアンエアーから学んだことはどのようなことか?

① 異業種からの中途採用。② 1人が複数の仕事を担当。③ アイデアミーティングで社員の声を聞く。④ 安全は失敗してはダメ。チャレンジは失敗して良い。⑤ 社員全員が契約社員 ⑥ 意識が高い。モチベーションが高い。

① “君たちがやるんだ!”

② 聖域を設けずコストを下げる。運行品質が高い。③ コントロール可能なのはコスト。原価= 収益 − 利益④ 安売りではない。イノベイティブな新たなビジネスを興す。

旅客航空業4社の財務諸表ピーチ スカイマーク

2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

流動資産 26,552 24,408 20,632 20,773 12,907 23,668 20,606 23,588

固定資産 9,895 16,950 25,284 27,234 29,697 33,707 44,245 53,519

有形固定資産 3,339 6,796 12,707 12,269 4,284 3,788 14,387 16,453

資産合計 36,844 41,359 45,916 48,007 42,604 57,376 64,851 77,107

流動負債 15,527 13,690 16,622 21,835 12,327 16,767 17,121 25,533

固定負債 5,313 7,234 8,712 8,763 26,657 30,019 30,618 24,319

うち航空機材整備引当金 5,084 6,960 7,938 8,033 23,231 26,850 27,867 22,532

負債合計 20,840 20,924 25,334 30,598 38,984 46,786 47,739 49,853

JAL ANA

2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

流動資産 629,242 626,332 680,492 761,539 631,188 666,725 723,493 700,230

固定資産 949,686 1,102,444 1,173,504 1,268,788 1,597,069 1,647,161 1,838,479 1,986,392

有形固定資産 728,673 824,928 880,765 929,216 1,327,954 1,360,263 1,433,101 1,547,070

資産合計 1,578,928 1,728,777 1,853,997 2,030,328 2,228,808 2,314,410 2,562,462 2,687,122

流動負債 368,552 364,601 396,846 454,399 585,490 572,647 648,080 685,933

固定負債 339,818 360,783 363,023 375,793 848,418 817,588 913,830 891,876

負債合計 708,371 725,384 759,869 830,192 1,433,908 1,390,235 1,561,910 1,577,809

資産合計に占める固定資産の割合ピーチ:56.73% スカイマーク:69.41%

JAL:62.49% ANA:73.92%

固定資産に占める有形固定資産の割合ピーチ:45.05% スカイマーク:21.34%

JAL:73.24% ANA:77.88%

ピーチ スカイマーク2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

株主資本 17,040 20,034 20,538 17,374 3,620 10,394 17,398 26,521

資本金 7,515 7,515 7,515 7,515 9,000 9,000 9,000 9,000

資本剰余金 7,485 7,485 7,485 7,485 36,415 --- --- ---

利益剰余金 2,040 5,034 5,538 2,374 -41,795 1,394 8,398 17,521

負債・純資産合計 36,844 41,359 45,916 48,007 42,604 57,376 64,851 77,107

事業収入(売上高) 47,939 51,709 54,740 60,409 78,066 75,595 82,834 88,207

事業費 38,646 41,845 44,462 51,274 67,068 64,167 70,020 74,200

販売費及び一般管理費 3,110 3,561 4,483 4,999 3,469 4,709 5,664 6,801

営業利益 6,181 6,302 5,793 4,136 1,528 6,718 7,148 7,205

JAL ANA

2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

株主資本 921,761 1,011,569 1,084,972 1,186,421 850,278 933,162 985,728 1,066,644

資本金 181,352 181,352 181,352 181,352 318,789 318,789 318,789 318,789

資本剰余金 183,042 183,047 183,049 183,050 282,774 283,249 268,208 258,448

利益剰余金 557,905 647,701 731,106 822,554 253,545 334,880 457,746 548,439

負債・純資産合計 1,578,928 1,728,777 1,853,997 2,030,328 2,228,808 2,314,410 2,562,462 2,687,122

事業収入(売上高) 1,336,661 1,288,967 1,383,257 1,487,261 1,791,187 1,765,259 1,971,799 2,058,312

事業費 931,902 926,936 993,635 1,075,233 1,337,540 1,324,846 1,481,881 1,559,876

販売費及び一般管理費 195,567 191,698 215,055 235,867 317,184 294,874 325,402 333,417

営業利益 209,192 170,332 174,565 176,160 136,463 145,539 164,516 165,019

旅客航空業4社の財務諸表

自己資本比率ピーチ:36.19% スカイマーク:34.40%

JAL:58.43% ANA:39.69%

売上高営業利益率ピーチ:6.85% スカイマーク:8.17%

JAL:11.84% ANA:8.02%

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旅客航空業3社の財務諸表ピーチ スカイマーク

2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

有形固定資産回転率 14.357 7.609 4.308 4.924 18.223 19.956 5.758 5.361

総資産回転率 1.301 1.250 1.192 1.258 1.832 1.318 1.277 1.144

流動比率 171.01% 178.29% 124.12% 95.14% 104.71% 141.16% 120.36% 92.38%

固定比率 58.07% 84.61% 123.11% 156.75% 820.36% 324.29% 254.31% 201.80%

固定長期適合率 44.27% 62.16% 86.44% 104.20% 98.08% 83.41% 92.15% 105.27%

株主資本比率 46.25% 48.44% 44.73% 36.19% 8.50% 18.12% 26.83% 34.40%

売上高営業利益率 12.89% 12.19% 10.58% 6.85% 1.96% 8.89% 8.63% 8.17%

売上高当期利益率 5.72% 9.56% 6.81% -0.32% -50.28% 8.96% 8.45% 10.34%

JAL ANA

2016 2017 2018 2019 2016 2017 2018 2019

有形固定資産回転率 1.834 1.563 1.571 1.601 1.349 1.298 1.376 1.330

総資産回転率 0.847 0.746 0.746 0.733 0.804 0.763 0.769 0.766

流動比率 170.73% 171.79% 171.48% 167.59% 107.81% 116.43% 111.64% 102.08%

固定比率 103.03% 108.98% 108.16% 106.94% 187.83% 176.51% 186.51% 186.23%

固定長期適合率 75.28% 80.33% 81.04% 81.22% 94.02% 94.08% 96.78% 101.42%

株主資本比率 58.38% 58.51% 58.52% 58.43% 38.15% 40.32% 38.47% 39.69%

売上高営業利益率 15.65% 13.21% 12.62% 11.84% 7.62% 8.24% 8.34% 8.02%

売上高当期利益率 13.54% 13.26% 10.19% 10.43% 4.39% 5.63% 7.39% 5.43%

財務諸表分析から言えること資産の運用効率 安全性・流動性 収益性

ピーチ

スカイマーク

JAL

ANA

SKYに比べると低いが,ANAやJALよりは良好

4つの航空会社で最も高い値を示している

有形固定資産の運用効率は良好だが,総資産回転率は最も低め

有形固定資産の運用効率は最も低いが,総資産

回転率はJALより良い

流動比率は低下傾向固定比率は上昇傾向

→ 新造機や統合の影響?

固定比率が最も高い→ 自己資本比率が低い

流動比率は最も高い

固定比率・適合率も良好

流動比率は低い傾向

固定比率・適合率は4社で最も高め

営業利益率10%台で推移

2019年3月期は赤字

民事再生後急回復営業利益率,当期利益率ともに高めに推移

4社の中で最も収益性が高い

ANAに比べると収益力で見劣りする

• コスト比較:格安運賃で戦う競争力の源泉

コスト削減への貢献度が大きいのは機材・整備費の圧縮

→ 低コストの機材を大量発注し,購入費やリース料を2割程度安く

  抑えられる。

燃料費の低減

→ 上記の機種は軽量化が進められているので燃料費が低く抑えられる。

着陸料

→ 以上から,重量で決められる着陸料も安くなる。

レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

VTRの内容との整合性燃油費=短距離運行

機材費・整備費=同一機種人件費=1人が複数業務

• 運行効率の高さ

LCCは2地点の往復運行が多い

           ⇔ レガシーキャリアはネットワーク運行が多い

→ LCCはレガシーキャリアの半分程度でターンし,1日あたりの飛行

 時間を延ばす。機内清掃を清掃員ではなく,CAが行う。

レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

• 基本サービスは輸送のみ。付帯サービスは全て有料。

レガシー LCC

166席 座席数 180席60% 搭乗率 80%

100人 搭乗者数 144人8回 ターン数 10回

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レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

① いかにマークアップする利益を大きくするか1. 高値をつけても売れるような営業力,高い付加価値の創出2. 同水準の販売価格を維持しながらコストを削減する

② 営業循環の回数を増やす利益の獲得回数が増える=回転数が高ければマークアップが

低くても利益を上げることができる。☞ 薄利多売型の経営スタイルを選択する。

• 繰り返しもう一度復習。

☞ Peach Aviationのビジネスモデルはどのようなものだと言える

  だろうか?

• 利益創出に向けた基本的な発想は?

費用(原価) = 収益(売上) − 利益

レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

LCCの価格=低価格 確保すべき利益は決まっている

費用をいかにしてやりくりするか?運行の安全とコスト削減を

どうバランスさせるか?

この考え方のどこがメーカー的発想なのか?

• 原価管理・原価企画という考え方

新製品開発に際し,製品企画から開発終了までの段階において,目標利益を確保するために設定された目標原価を作り込む活動

のこと。

レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

原価企画の仕組み目標利益の設定

許容原価の算定

成行原価の算定目標原価の設定

VE活動の設定

目標原価達成?

標準原価の設定

No

Yes

原価維持・原価改善活動へ

利益計画

製品企画

製品開発

量産移行

• 企業の損益計算収益 費用 利益− =

→経営者は利益の最大化を経営目標の1つとして掲げている。

最大化 最小化

レガシーキャリアとLCCの違いはどこにあるのか?

• Peach Aviationはどのようなビジネスモデルか?

言うまでもなく,安全最優先

運行コストを下げるための工夫+収益の最大化を図る工夫

→ コスト削減 + 回転率の向上

サービス業としてではなく,あくまでも運輸業に徹する。