10
実 践NO.1718 熊本 ・益城町での復興住まいまちづくり導入支援 一 東 日本 大 震 災 復 興 コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 支 援 の 経 験 と教 訓 を 熊 本 へ 一 ⊥査 新井 信 幸*1 委員 小地沢 将 之*2,岩 佐 明 彦*3 「過去の災害復興のコミュニティ形成支援の経験を次に活かすには」 筆 者 ら は 東 日本 大 震 災 の 復 興 過 程 に お い て,被 災 各 地 で 孤 立 を 防 ぐ コ ミ ュ ニ テ ィ づ く り の 支 援 を 実 践 し て き た 。2016年 には 「NPO法 人 つ な が りデ ザ イ ンセ ン ター ・あす と長 町 」を 立 ち 上 げ,い ま も各 地 で取 り組 み を続 け て い る。 これ ま で の 支 援 に は 二 つ の タイ プ が あ り,一つ は仮 設 住 宅 で コ ミュ ニ テ ィ を 育 ん で 災 害公 営住 宅 に継 承 した 「あ す と長 町 」の取 り組 み, も う一 つ は,災 害 公 営 住 宅 の 移 行 期 か ら コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 支 援 を 実 施 す る 「塩竈 」の取 り組 みがある。本稿 では,これ らの 経 験 を2016年4月 に発 生 した熊 本 地 震 の復 興 に お い て活 か そ う と,現地 で の 支 援 体 制 構 築 を 目指 して 取 り組 ん で きた 活 動 の 報 告 を行 う。 キーワー ド:1)熊 本 地 震,2)復 興 支 援,3)東 日本 大 震 災,4)コ ミュ ニ テ ィ,5)居 場 所 づ く り, 6)地 域 運 営,7)災 害公 営 住 宅,8)仮 設 住 宅,9)集 会 所,10)NPO IMPORTATIONSUPPORTOFRECOVERYCOMMUNITYDESIGNINMASHIKICITY -ExperienceandthelessonoftherecoverysupportoftheEastJapangreatearthquakedisastertoKumamo Ch.NobuyukiArai Mem.MsayukiKochizawa,AkihikoIwasa Whatistheconditionnecessarytomakeuseoftheexperienceofapastrecoverysup disasterarea? Theauthorsengagedincommunitybuildingsupporttopreventisolationinsever Earthquake.In2016,theauthorsestablishedanon-profitorganization,"Tsuna practice.Oursupporthastwotypes.Onetypeisanapproachtosucceedtocommunit publichousing.Anothertypeisanapproachtosupportthecommunitydevelopment housing.Thispaperisareportoftheactivitythatweworkedontomakeuseofthese 1.実 践 研 究 の 背 景 と 目的 筆 者 らは,東 日本 大 震 災 後 の 復 興 過 程 に お い て,孤 立 を 防 ぐ コ ミ ュ ニ テ ィ づ く りの 支 援 を,宮 城 県 内(仙 台, 塩釜 な ど)を 中心に仮設住宅から災害公営住宅入居後 に か けて 取 り組 ん で きた 。2016年10月か らは 「NPO 法人つ なが りデザ イ ンセ ン ター ・あす と長 町(つ なセ ン) 注の 」 を 立 ち 上 げ ,現在 も各 地 で 取 り組 み を続 け て い る。 こ う した 取 り組 み で の 経 験 を熊 本 地 震 の 被 災 地 に活 か そ うと,関係 が で き た テ ク ノ仮 設 住 宅(熊 本 県益 城 町 ・516 戸)に お い て,2016年8月か ら情 報 交 換 等 を 実 施 して き た 。 そ し て 当 初 は,あ す と長 町(仙 台 市)で 展 開 して き た仮設住宅で育まれたコミュニティを災害公営住宅に 継 承 す る プ ロ セ ス の 支 援 の 実 践 を 想 定 し,地元 で の 支 援 体 制 構 築 の 準 備 を進 め て き た 。しか し な が ら,仮設 住 宅 で の コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 とそ の 継 承 へ の 支 援 が 求 め ら れ る 状 況 に 至 ら な か っ た た め,他の 方 法 論 で の 支 援 を 再 検討 し,筆者 らが清水 沢 東 災 害公 営住 宅(塩 竈 市)で 取 り組 んで きた,災害公 営 住 宅移 行 期 か らの コ ミュ ニ テ ィ形 成 支 援 へ と 内 容 を 切 り替 え て 支 援 体 制 構 築 を 目 指 して情 報 提供 な どを 実施 し,一定 の成 果 がみ え て き たところである。 判 東 北 工 業 大 学*2宮 城大学 紹法政大学

熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

実 践NO.1718

熊本 ・益城町での復興住 まいまちづ く り導入支援

一 東 日本大震 災復興 コ ミュニテ ィ形成支援の経験 と教訓 を熊本へ一

⊥査 新 井 信 幸*1

委員 小 地 沢 将 之*2,岩 佐 明 彦*3

「過 去 の 災 害 復 興 の コ ミ ュニ テ ィ形 成 支 援 の 経 験 を次 に 活 か す に は 」

筆 者 らは 東 日本 大 震 災 の 復 興 過 程 にお い て,被 災 各地 で 孤 立 を 防 ぐコ ミュ ニ テ ィ づ く りの支 援 を 実 践 して き た。2016年

に は 「NPO法 人 つ な が りデ ザ イ ンセ ン ター ・あす と長 町 」を 立 ち 上 げ,い ま も各 地 で取 り組 み を続 け て い る。 これ ま で の

支 援 に は 二 つ の タイ プ が あ り,一 つ は仮 設 住 宅 で コ ミュ ニ テ ィ を 育 ん で 災 害公 営住 宅 に継 承 した 「あ す と長 町 」の取 り組 み,

も う一 つ は,災 害 公 営 住 宅 の移 行 期 か らコ ミュ ニ テ ィ形 成 支 援 を 実施 す る 「塩 竈 」 の 取 り組 み が あ る。 本 稿 で は,こ れ らの

経 験 を2016年4月 に発 生 した熊 本 地 震 の復 興 に お い て活 か そ う と,現 地 で の 支 援 体 制 構 築 を 目指 して 取 り組 ん で きた 活 動

の 報 告 を行 う。

キ ー ワ ー ド:1)熊 本 地 震,2)復 興 支援,3)東 日本 大 震 災,4)コ ミュ ニ テ ィ,5)居 場 所 づ く り,

6)地 域 運 営,7)災 害公 営 住 宅,8)仮 設 住 宅,9)集 会 所,10)NPO

IMPORTATIONSUPPORTOFRECOVERYCOMMUNITYDESIGNINMASHIKICITY

-ExperienceandthelessonoftherecoverysupportoftheEastJapangreatearthquakedisastertoKumamoto一

Ch.NobuyukiArai

Mem.MsayukiKochizawa,AkihikoIwasa

Whatistheconditionnecessarytomakeuseoftheexperienceofapastrecoverysupporttothenext

disasterarea?

Theauthorsengagedincommunitybuildingsupporttopreventisolationinseveraldisaster-strickenareasaftertheGreatEastJapan

Earthquake.In2016,theauthorsestablishedanon-profitorganization,"Tsunagari-DesignCenterAsuto-Nagamachi,"tocontinuethe

practice.Oursupporthastwotypes.Onetypeisanapproachtosucceedtocommunitybroughtupintemporaryhousinginadisaster

publichousing.Anothertypeisanapproachtosupportthecommunitydevelopmentfromtheshiftperiodofthedisasterpublic

housing.ThispaperisareportoftheactivitythatweworkedontomakeuseoftheseexperienceinKumamotoearthquake.

1.実 践 研 究 の 背 景 と 目的

筆 者 ら は,東 日本 大 震 災 後 の 復 興 過 程 に お い て,孤 立

を 防 ぐ コ ミ ュ ニ テ ィ づ く りの 支 援 を,宮 城 県 内(仙 台,

塩 釜 な ど)を 中 心 に 仮 設 住 宅 か ら災 害 公 営 住 宅 入 居 後

に か け て 取 り組 ん で き た 。2016年10月 か ら は 「NPO

法 人 つ な が りデ ザ イ ンセ ン ター ・あ す と長 町(つ なセ ン)

注の 」 を 立 ち 上 げ,現 在 も各 地 で 取 り組 み を続 け て い る。

こ う した 取 り組 み で の 経 験 を熊 本 地 震 の 被 災 地 に活 か そ

うと,関 係 が で き た テ ク ノ仮 設 住 宅(熊 本 県 益 城 町 ・516

戸)に お い て,2016年8月 か ら情 報 交 換 等 を 実 施 して き

た 。 そ し て 当 初 は,あ す と長 町(仙 台 市)で 展 開 して き

た仮設住宅で育まれた コミュニティを災害公営住宅 に

継承するプ ロセスの支援 の実践を想定 し,地 元での支

援体制構築の準備 を進 めてきた。しか しなが ら,仮 設住

宅でのコ ミュニテ ィ形成 とその継承への支援が求め ら

れ る状況 に至 らなかったため,他 の方法論 での支援 を

再検討 し,筆者 らが清水沢東災害公営住 宅(塩 竈市)で

取 り組 んで きた,災 害公営住宅移行期か らのコ ミュニ

テ ィ形成支援へ と内容を切 り替えて支援体制構築を 目

指 して情報提供 などを実施 し,一定の成果 がみえてき

た ところである。

判 東北工業大学*2宮 城大学 紹 法政大学

Page 2: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

そこで本稿 では,筆 者 らが東 日本大震災 において取

り組 んできたあす と長町,清 水沢東でのコミュニテ ィ

づ くり支援の内容 とそこか ら得 られた知見を整理(2

章)し,そ の上で,益 城町で取 り組んできた支援 内容 と

そこでの成果(3章)を 示す。またそれ らを踏 まえて,

過去 の災害復興 を次に活かす上での課題 と展望(4章)

について示唆 を加える。

2.東 日本大震災での復興支援

2.1あ すと長町(仙 台市)で の取 り組み と知見

2.1.1仮 設住宅か ら災害公営住宅へのコミュニティ支援

仙台市内最大233戸 のあす と長町仮設住宅は,市 内で

最初(2011年4.月 下旬)に 入居が開始 されたが,独 居高齢

者世帯等が多様 な地域か ら個別に寄せ集まったことで孤

立が懸念された。

検 討 し,受 益 者 負 担 と な る 利 用 料 金 制(半 日300円 程 度)

に して,そ こ か ら捻 出 させ る こ とに し た。現 状 で は3ヶ 所

の 災 害 公 営 住 宅 の集 会 所 と も に,外 部 団 体 の 利 用 頻 度 が

高 く,そ こ に居 住 者 の 高 齢 者 等 が 参 加 す る とい う構 図 と

な っ て い る 。

っ な セ ン で も, .月2,3回 の食 堂 活 動 を催 し,毎 回

20-30名 程 の 参 加 が あ り,現 在 ま で90回 ほ ど開 催 して い

る。

そうしたな_ら_開 始当鵬 学生たち(建 鱒 議

韓1藻磁 還 鵜ll」甑ル 解 消 に 向 け た 取 り組 み を積 極 的 に 展 開 し て い っ た 。ま た,あ す と長町第2災 害公営

仮 設 住 宅 の集 会 所 で は,毎 日の よ うに 外 部 か らの 多 様 な イ

ベン トやお茶会などが開催 され,和やかな雰囲気 とともに

活気のある状態が続いた。

入居1年 後ころか ら,新たに育まれたコミュニティを継

承 し,孤立せずに暮 らせる災害公営住宅の計画提案を居住

者 とともに制作 してい く取 り組みを約1年 間展開してい

った。居住者 とともに練って作成 した計画案の実現は適わ

なかったが,仮 設住宅の近隣に3ヶ 所の災害公営住宅(計

326戸)が 建設 されることになった。そこで,コ ミュニテ

ィ入居制度を活用 して,そ れぞれのつなが りを維持 した形

で約80世 帯が入居できることができた。

2015年4月 に3ヶ 所の災害公営住宅の入居が始まった

が,居 住者の約3/4は 主にみな し仮設住宅か ら個別に入居

してきた世帯であった。入居半年後に実施 したアンケー ト

調査注1)の 結果では,家 族以外に 「日常的な会話がない」

と回答 した世帯が45%に 上るな ど孤立が懸念 される状況に

陥っていることが うかがえた。そこで,ま ずは自治会結成

にむけて住民有志同士の会議運営の支援 を開始 し,2016年

4.月までにそれぞれ 自治会を発足することができた。また,

高齢者等 の居場所 となっていた仮設住宅の集会所のよ う

に利用の多い状況を災害公営住宅でも再現 しようと,仮設

住宅で支援を展開 してきたNPO,ボ ランテ ィア,大 学研

究室等10数 団体が連携する形で 「つなセン」を設立 し,

高齢者等 の孤立を防 ぐまちづ くりを継続的に展開してい

くことに した。

一方 ,災害公営住宅では集会所の水光熱費が居住者側

の負担 となるが,そ れを自治会費から捻出す るかたちに

すると使用を抑制す る懸念があるため,自治会役員 らと

写真2-1あ す と長町で の活動 の様子

2.1.2あ す と長 町 で の 取 り組 み か ら の 知 見

あ す と長 町 で の 活 動 を通 し て得 られ た 知 見 と して,大 き

く2つ あ る 。一 つ は 仮 設 住 宅 で 育 ん だ コ ミュ ニ テ ィ を 災 害

Page 3: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

公 営 住 宅 へ 継 承 す る 意 義,二 つ め は集 会 所 を 「み ん な の 居

場 所 」 とす る 条 件 を 見 出せ た こ とで あ る。

① コ ミ ュニ テ ィ継 承 の 意 義

仮 設 住 宅 で 育 ん だ コ ミ ュ ニ テ ィ を 災 害 公 営 住 宅 へ 継 承

す る意 義 に つ い て は,仮 設 住 宅 か らの 入 居 者 らが 災 害 公 営

住 宅 で の 自治 会 形 成 を 主 導 して い っ た こ とで,比 較 的 ス ム

ー ズ に組 織 形 成 が 進 み,住 宅 管 理,コ ミ ュ ニ テ ィづ く りの

担 い 手 に な っ て い っ た こ とが あ げ られ る 。 これ は,3つ の

自治 会 役 員 の 半 数 以 上 が あ す と長 町 仮 設 住 宅 か らの 入 居

者 が 占 め て い た こ と か ら も 明 らか で あ る 。 そ のhで,入

居 に あ た っ て 住 戸 の 位 置 が選 択 で き な か っ た こ とか ら,仮

設 住 宅 で の 知 人 同 士 が 階 数 もば らば ら とな り,孤 立 防 止 と

い う点 で は 効 果 は 限 定 的 で あ っ た 。 そ の た め,隣 同 ± を 選

択 で き るペ ア 入 居 等 の 導 入 の 必 要 性 を感 じ た。

② 集 会 所 を 「み ん な の 居 場 所 」 とす る 条 件

あす と長 町 仮 設 住 宅 で は,ほ ぼ 毎 口,様 々 な外 部 団体 に

よ っ て集 会 所 で お 茶 会 や イ ベ ン トが 開催 され て い た。 そ

の 頃,各 団 体 に活 動 状 況 の 聞 き 取 りを 行 っ た と こ ろ,参 加

者 が 固 定 客 化 して つ な が りは 広 が ら な い と い う声 が続 い

て い た 。 一 方 で,参 加 者 をみ る と,そ れ ぞ れ の活 動 で少 し

ず つ 顔 ぶ れ に 違 い が み られ て い た 。 あ る 参 加 者 は 「この

人 が い るお 茶 会 に は 参 加 した い け ど,あ の人 が い る の に

は … 」 とつ ぶ や い た。 要 す る に,人 に は 相 性 が あ るた

め,活 動(団 体)を 選 ん で参 加 して い る とい う こ と な の で

あ る。そ うす る こ と で,結 果 的 に 固 定 客 化 す る の で あ るが,

あ す と長 町 の 場 合 は,個 々 の活 動 は 固 定 客 化 して い て も,

多 様 な 主 体 が 活 動 して い た た め 多 様 な相 性 が 存 在 し,結

果 的 に 多 様 な つ な が りが 生 ま れ て い た の で あ る 。 そ うだ

とす る と,集 会 所 の 利 用 は で き る だ け 外 部 に 開 い て 「つ な

が りの 多 様 性 」 を確 保 で き る よ う工 夫 して い く こ とが 肝

要 で あ り,こ れ が 集 会 所 を 「み ん な の 居 場 所 」 とす る 条 件

の 一 つ とい え よ う。

2.2清 水 沢 東 住 宅 で の 取 り組 み と知 見

2.2.1災 害 公 営 住 宅 入 居 初 動 期 の コ ミュ ニ テ ィ支 援

清 水 沢 東 住 宅(塩 竃 市)は2016年6.月 に入 居 が 開 始 さ

れ た3棟170戸 の 災 害 公 営 住 宅 で あ る。 最 寄 駅 よ りバ ス

で15分 の と こ ろ に 立 地 す る こ と もあ っ て,空 き 室50戸 が

発 生 した 。2017年10月 か らは 一 般 公 営 世 帯 の入 居 が始

ま り,現 在 は ほ ぼ 満 室 とな っ て い る。入 居 開 始 当 初 か ら整

備 主 体 で あ る都 市再 生 機 構 が コ ミ ュニ テ ィ形 成 支 援 に 取

り組 み,5ヶ 月 後 に は居 住 者 有 志 か らな る世 話 人 会 が 立

ち上 が っ て い た 。 しか し 自治 会 結 成 へ の 積 極 的 な 姿 勢 が

見 られ な い こ と か ら,筆 者 らに 協 力 要 請 が あ り,2017年4

月 か ら同 住 宅 に て支 援 を 実 施 す る こ とに な っ た 。 世 話 人

会 の構 成 は60代 と30代 の 女 性2名 が 中心 とな り,月1度

の 例 会 に は15名 程 の居 住 者(多 く は 女 性)が 集 ま る が,

毎 回 の よ うに 居 住 者 間 の トラ ブル や 世 話 人 会 へ の

ク レー ム が あ げ られ,紛 糾 状 態 が 続 い た。 そ こ で,自 治 会

結 成 に つ い て の意 向 を推 し量 る 全 戸 ア ン ケ ー ト調 査 の 実

施 を 筆 者 よ り提 案 し,ま ず は 調 査 を 実 施 す る こ と に な っ

た 。

2017年10t](入 居1年4か 刀 後)に 実 施 た ア ン ケ ー

ト調 査 注3)の 主 な 結 果 を 示 す と,世 帯 主 の 年 齢 は,「40歳

代 以 下 」 が47.1%で,他 地 域 の 災 害 公 営 住 宅 と比 較 して 若

い 世 代 が 多 い こ とが 分 か っ た 。 暮 ら しの 満 足 度 につ い て

は,「 大 変 満 足 し て い る」 と 「あ る程 度 満 足 して い る 」 を

合 わ せ る と72.8%と 高 い 割 合 を示 し た。

自治 会 が 結 成 され た 際 の 入 会 意 向 に つ い て は,「入 会 し

た い 」39.4%,「 入 会 を希 望 しな い 」42.1%と い う結 果 で,

自治 会 結 成 に 向 け て は 困 難 な状 況 が デ ー タ で 示 され た 。

一 方,高 齢 者 へ の 見 守 り活 動 に つ い て は,「 見 守 られ る側

で 参 加 した い 」11.5%,「 見J'る 側 で 参 加 した い 」15.8%,

「両 方 の 立 場 で 参 加 した い 」26.3%と,テ ー マ を絞 っ た 形

で 地 域 に貢 献 す る こ とへ の 関 心 は,必 ず し も低 い 値 とは

言 え な い結 果 で あ っ た。

調 査 結 果 を 報 告 す る報 告 会 を2017年11月 に 開催 し,

これ が 起 点 とな っ て 自治 会 結 成 へ の 動 き が 活 性 化 され た。

まず,3号 棟 が 独 立 して 結 成 す る方 向 で動 き 出 した 。調 査

結 果 に お い て,3号 棟 居 住 者 の 多 く世 帯 が 単 独 で の 自治

会 結 成 を 望 ん で い た こ とが 明 らか に な っ た こ と を反 映 し

て の こ とで あ る。 そ の後,例 会 に は1,2号 棟 居 住 者 の み

が 出席 す る よ うに な っ た が,や は り 自治 会 結 成 へ の 前 向

き な 反 応 は み られ な か っ た 。そ こ で,例 会 とは 別 に機 会 を

設 け て,世 話 人 会 の コア メ ン バ ー4名(30,40代 女 性3

名,60代 女 性)と 筆 者 らで 話 し合 い を行 っ た。 そ の な か

で 把 握 で き た の は,月1回 の 外 廊 下 等 の 共 用 部 の 掃 除 は,

参 加 人 数 は 限 られ る もの の継 続 的 に実 施 され て い る こ と,

ゴ ミ置 場 の 掃 除,敷 地 内 の 草 刈 り,花 壇 の 手 入 れ,高 齢 者

の 見 回 りな ど を,そ れ ぞ れ 日常 的 に 自発 的 に 実 施 して い

る居 住 者 有 志 が い る こ とで あ っ た 。さ らに,世 話 人 会 メ ン

バ ー が 中 心 と な っ て,夏 祭 り,芋 煮 会,ク リス マ ス 会 を 宮

城 県 の 助 成 を 受 け て 実 行 委 員 会 形 式 で 開 催 し,そ れ ぞ れ

多 くの 居 住 者 が 参 加 して い た 。要 す る に,組 織 的 に で は な

い が,す で に 自治 的 機 能 が概 ね 整 っ て い た の で あ る。そ こ

で,自 治 的 機 能 の 充 実 と コ ミ ュニ テ ィ形 成 を 図 っ て い く

こ と を 目指 して,こ れ ら の 取 り組 み をサ ー クル とい う形

で 公 開 して,そ れ ぞ れ 参 加 者 を 増 強 し て い く方 針 で 動 い

て み る こ とに な っ た 。具 体 的 に は,サ ー クル メ ンバ ー 募 集

の 張 り紙 を 掲 示 し,そ の 結 果,そ れ ぞ れ 数 名 の 申 し込 み が

み られ た 。ま た コ ア メ ンバ ー の 一 人 が,小 学 生 以 下 を 対 象

に した 学 習 サ ー ク ル を新 た に週1回 集 会 所 で 開 催 し始 め

た り も した 。

一 方 で,災 害 公 営 住 宅 は居 住 者 同 士 に よ る共 同 管 理 が

義 務 付 け られ て い る こ とか ら,そ れ ら を 管 理 す る居 住 者

組 織(い わ ば 管 理 組 合)の 結 成 を 図 っ て い く こ と に した 。

Page 4: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

塩竈市の場合,共 用部(EV含 む)の 電気代,管 球類(LED

等)の 取替費用などが居住者負担 となってお り,掃除用具,

草刈 り機,そ の燃料等の費用 とあわせて予算 を算出し,月

額千円の共益費を徴収する案を作成 し,世話人会,広 報配

布にて周知 していった。この動きに対 しては,居 住者 らの

反発もなく,2018年4月 に1,2号 棟からなる清水沢東会

(169世 帯)が 結成 され,共 益費徴収 も100%に 近い割合で

達成できている。また3号 棟(31世 帯)は 同時期に単独

で自治会 とい う名称で居住者組織 を結成 したが,高 齢化

が著 しいため,主 な活動は共益費徴収,共 用部掃除で,親

睦的取 り組み(バ ーベキュー,芋 煮会)は,筆 者 らがサポ

ー トして開催するに留まってお り,結果的に,清 水沢東会

同様,主 に住宅管理を担 う組織 となっている。

2019年4.月 か らは併設する集会所の管理運営を市から

居住者側に移管することとな り,それに向けて筆者 らが

サポー トしなが ら検討を実施 していった。そ こでは他地

域の集会所の利用 と運営の状況などを参照 して,利 用料

を徴収する方式をとることになった。またこれまでに定

期的にお茶会な どの交流活動を続 けてきた外部団体 との

懇談会を設け,利 用料の金額設定や予約受付や鍵管理の

方法などについて意見交換 し,それをもとに利用規約を

作成 した。また,こ の懇談会には3号 棟 自治会も参加 し,

これを契機に連携,協 力 を強化 していく意向が双方か ら

示された。この時点で,集会所の日常的なイベ ン ト開催な

どで利用 している団体は,居住者グループが6団 体,外 部

支援が8団 体であった。

2.2.2清 水沢東での取 り組みか らの知見

①新たな地域運営

清水沢東住宅の居住者組織の形成過程 においては,居

住者に課せ られた義務の取 り組み と,任意の取 り組みを

整理 しながら組織化を図っていった ことで全世帯参加 の

組織 を結成できたことが成果 といえる。今 日,災害公営

住宅に限らず,全 国各地で自治組織が機能 しにくくなっ

ているが,そ の要因 として高齢化による担い手不足に加

え,自治に求められる機能が多岐にわたり,自治会役員の

こちらは清水沢東住宅集会所等で活動するサークル等の紹介です(五 十音順)

2019年3月 時点の情報のため、活動日時に変勇が ある場合がごさ"います。

3.映 画 とお 茶 の会4.お 茶っこ会瓶

8.子 どもカフ ェ

1

:耳r

匿 ∈ 畳、

① 放課後、子 どもが安心 して過ごせる居 場所で す。おやつ ・宿題 ・ゲーム・クラフトなどです.

② 毎週月曜 日

③15:30~18:00(学 校のある日〕

④ な し ⑤ 自由(長 い休み中のランチ付プ ログラムのみ予約制〕

⑥ えぜ るプ ロジェ クト090-9531.7836〔 山田)

14.ペ ッ トサ ー ク ル

葱 轟① 活動準備 中です,ペ ッ トを今飼って

いる人 も、 これか ら飼 う予定のある

人 も参加 できるサークルを目指 し、

準備 して います。 しつ けや飼い方の

マナー、 ペット交流な どを考えてい

ます。

① 健康相膝(血 圧測定)や お茶を飲みなが ら手先 を動かす レク リエーシ ョ

ンや頭 や体 を動かす体操を しています.

② 第2・4木 曜 日 ③13:30~15:00

④ なし

⑤ 会場へお越 しくだ さい。

⑥ ふれ あいサポー トセンター

1与.見 回 り 隊

① インフルエ ンザの予防法や食事療法

の健 康相談、情報交換。

② 纂1木 曜日

013:00-15:00

④ なし

⑤ 会場へお越 しくだ さい。

⑥ みや ぎ東部健康福祉友の会TEL:022-30].9027Fax:022-Bfifi-5418

10.に こc.こ 健 康 教 室

与.学 習サ ー クル

①活動内容 ②閣催日 ③閣催時間

④参加費 ⑤参加方法 ⑥閤合せ先

6.花 壇 サ ーク ル

霊ε鞭① 活動準備中です。現在、自主的に住

宅周辺 の花壇への種植えや水や りな

どの手 入れ を行 っている住民さんがいらっしゃいます。一緒に花植えな

どをしませんか?人 数が集 まった ら

サークル化 を予定 しています.

① 滑水沢東住宅に住む方の見守り ・声がけをサポ ートセ ンター と協力 して

行っています.

② 不定期

③ 不定期

④ な し

⑤ 清水沢東住宅1号 棟 坂口090-1323-8638

図2-3清 水沢 東住宅 の集会所 利用サ ークル ー覧

Page 5: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

負担が大きくなっていることが挙げ られ る。災害公営住

宅の場合は,さ らに住宅管理が義務付け られていること

から,与 えられている役割がさらに多岐にわたる。そのた

め,そ れ らを包括的に担 う組織の役員を担ってもいい と

考える人は少なくなっている。清水沢東住宅でのアンケ

ー ト調査で も,入会を希望 しない世帯が多かったのは,そ

うしたことを反映 したものと思われる。その一方で,住 宅

管理についてはそれを義務であることを受け止める居住

者がほとん どで,階 ごとに共益費徴収が行われ,結 果的に

その機能が顔見知 りを広げている。

また,孤 立を防ぐことにもつながる親睦機能について

は,集 会所 を利用 して多様なサークル活動が盛んに行わ

れている。このことから,義務の部分は全員参加の組織が

担い,任 意の親睦的機能は任意のグループが担 うといっ

た整理によって新たな地域運営の体制 を自然発生的に構

築 してい くことができた。こうした地域運営体制におい

ては,居住者組織が親睦機能を担わなくて済む ことで,そ

の分負担は軽減 されるが,そ の代わ り,集会所の利用促進

とそのための集会所の管理運営を居住者組織が担ってい

けるかが重要なポイン トとなる。

②利用を促す集会所の運営方法

以下では,清 水沢東での取 り組みか ら得 られた集会所

の利用を促す運営方法についてポイン トを整理する。

【外部利用に開放する】

高齢化が顕著である災害公営住宅では,交 流イベン ト

などを運営できる居住者は限られているため,周 辺地域

に集会所の利用を開放す ることが重要である。利用が多

ければ,多 様な交流の機会が生まれ る。

表3-1益 城 町の 仮設住 宅 一 覧

F

曝 マ

£ご1.

r

饗ウ

図3-1益 城 町の仮設 住宅 ・災害公 営住 宅の地 図

写 真3-1テ ク ノ 仮 設 住 宅2017.6.18

圏脚鞠 、

繍 ・ 一.♂ 判恥

く ~4三 ≡ 一一一._一 」1-~ 一.-1〆 噌ρ._、

~一~o噛 儀 欄●鹸

こヤ、6\"、

§、_._r

写 真3-2建 設 中 の 木 山 下 辻 災 害 公 営

2019.11.19

no 団地名 戸数

1 テクノ仮設団地 516戸

z 木山仮設団地 220戸

3 津森仮設団地 73戸

4 木山上辻仮設団地 64戸

5 平田仮設団地 48戸

6 赤井仮設団地 35戸

7 飯野小仮設団地 48戸

8 小池島田仮設団地 82戸

9 東無田仮設団地 13戸

10 櫛島仮設団地 41戸

11 福富仮設団地 6戸

12 広崎仮設団地 53戸

13 馬水西原仮設団地 54戸

14 惣領仮設団地 63戸

15 馬水仮設団地 77戸

16 馬水東道仮設団地 56戸

17 安永仮設団地 70戸

18 安永東仮設団地 43戸

18団 地 小計 1562戸

表3-2益 城 町 の災害 公 営住 宅一 覧

no 地区 ・団地名 着手戸数 完成予定時期

1 砥川第1団 地 10戸 2019年1月

2 田中団地 21戸 2019年1.月

3 古閑地区 10戸 2019年12月

4 宮園第1地 区 24戸 2019年12月

5 広崎第3団 地 43戸 2020年1月

s 砥川第2団 地 7戸 2020年1.月

7 田原第2団 地 16戸 2020年1月

8 福富第2地 区 24戸 2020年2月

9 広崎第4地 区 12戸 2020年2月

10 上辻地区 14戸 2020年2.月

11 畑中団地 10戸 2020年2月

12 上陳地区 7戸 2020年2.月

13 広崎第2地 区 78戸 2020年3.月

14 馬水地区 108戸 2020年3月

15 安永地区 93戸 2020年3月

16 下辻地区 120戸 2020年3.月

17 市ノ後地区 40戸 2020年3.月

18 島田第1地 区 6戸 2020年3月

19 島田第2地 区 6戸 2020年3月

20 島田第3地 区 16戸 2020年3.月

21 宮園第2地 区 6戸 2919年12月

21団 地 小計 671戸

Page 6: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

【受益者負担の利用料制】

集会所の維持管理には費用(水光熱費や掃除用具等備品,トイ

レットペーパー等消耗品等)が かかるが,それらを自治会費でま

かなっていくと,集会所の利用が多いほど自治会運営が逼迫し

ていく。そのため,利用料を適切に設定 して,利 用者(受 益

者)が 維持管理費 を負担する仕組み とすることで,利 用が

多いほど維持管理費に余裕が生まれる。そ うす流 ことで,

外部へ開放す ることにも理解 が得 られやす くなる。

【予約の しやすさ】

集会所の予約申込方法等がわか りにくいと,利用の妨げ

にもなるため,申込方法,利用ルール,利用料,空 き状況等 と

いった情報を分か りやすく公開 しておくことが重要である。

清水沢東では,それらをまとめたパンフレットを制作して

配布している。

【鍵の管理の簡便化】

鍵の管理や受け渡 しは,貸す側にとって も借 りる側に

とっても面倒なものでもあるため,キ ーボ ックスや電子

錠のよ うな形で,暗 証番号で出入 りできるようにす るこ

とも負担軽減策の一つであると考える。

【カレンダー形式でのスケジュール発信】

集会所のイベン ト情報については,カ レンダー形式に

まとめてチラシで配布 した り,掲示板に張 り出 した りす

ることで,高 齢者な どにも伝わ りやす くなり,利用が促進

される。

治会長 として,そ の後,秋 ・夏祭 りの開催,子 どもの遊び

場整備な どを手がけ,ま た外部支援の窓口的な存在 とし

て も大き く貢献 した。また吉村氏 自身は当初か ら自宅跡

地への自力再建 を予定 していた。

仙蝕市でめ糧験壼語石{左か

ら〕斯#盗担曇

貯轡

票臼輩大廣舞で仙台市太

  にほ  れた

ヨあすと婦

一琶

3.熊 本 地 震 ・益 城 町 で の 復 興 支 援 の 取 り組 み

3.1.コ ミ ュ ニ テ ィ リー ダー との 出 会 い

2016年4.月14日 に 発 生 し た 熊 本 地 震 に お い て,数 多

く の 仮 設 住 宅 が 建 設 され た こ と か ら,東 日本 で の 孤 立 を

防 ぐ コ ミ ュ ニ テ ィ づ く りの 経 験 や 教 訓 が 活 か せ る の で

は な い か と考 え,熊 本 の 復 興 に 向 け た 情 報 の 収 集 を 行 っ

て い た 。 そ の な か で,新 聞 記 事 に お い て 避 難 所 で の コ ミ

ュ ニ テ ィ づ く りに 奔 走 し,そ の 後,テ ク ノ仮 設 住 宅 に 入

居 した 吉 村 静 代 氏 の こ とを 知 り,す ぐ に 当 該 記 事 の 新 聞

社 に 問 い 合 わ せ 情 報 提 供 を 受 け た 。 同 年8月22日 に 吉

村 氏 を 当 時 の あす と長 町 第 三 災 害 公 営 住 宅 自治 会 長 と

と も に 訪 問 し,仮 設 住 宅 か らの コ ミュ ニ テ ィ形 成 支 援 の

取 り組 み を紹 介 した 。 そ の 数 日後(8月27日)に は,吉

村 氏 が あ す と長 町 を訪 れ,退 去 が 進 ん だ 仮 設 住 宅 の 現 状

の 視 察,災 害 公 営 住 宅 で の ず ん だ 餅 づ く り の イ ベ ン トに

参 加 し て,住 民 主 導 の 復 興 住 ま い ま ち づ く りに つ い て の

臨 場 感 を 味 わ っ て も ら っ た 。

吉 村 氏 は,熊 本 地 震 後,自 身 が 避 難 した 中 央 小 学 校 に

て4月 か ら8月 に か け て 生 活 し,住 民(被 災 者)主 導 で

避 難 所 運 営 を 展 開 し,毎 日の よ う に暖 か い 手 作 りの 食 事

の 提 供,就 寝 ・食 事 ・子 ど も の プ レイ スペ ー ス 等 の ゾ ー

ン分 け な ど を 実 践 し,マ ス コ ミで も数 多 く取 り上 げ られ

て い る。8Aか ら入 居 した テ ク ノ 仮 設 住 宅 に お い て も 自

居暫と登流」し、慨睡佳宅刀

の自把組描つく堕について

助暫した。

「あすと長町」は201

1年4月に入屈ザ始まり、

最大235世帯が馨らし

記。現在は大半が次の住ま

いに留吟、近く閉蹟する轟

入居者同士でゴミ出しや駐

章に関するルール崔作り、

催しも聞門いてコミュ一圏ティ

ー形成を晒りながら-坦年

当時コミュニティーづくり

を支援した稟北工業大の新

井璽辛准敵授(姐V吾地震報

道を迅りて、益城町の雌難

所でコミ三

rティーづくり

を孟導してき花主婦の吉村

静代さん(弱)の存在を畑

り、

「カになりたい」と連

紹を取ったという。

テクノ優産団地では-吉

村さんらλ居暫4人と交

流。仮虚住宅顛ら災害公営

は、県内最大の

「テクノ振

胆団地」

〔51巳戸)でλ

一丑畏飯塚正広さん(55)と「

長町優設住堵」の元自治会

a月に自治4至冠艘立。仮設

長と支援した大学准教挫雌

住宅巻出た径に提宵公宮住

23両日、照本地震の誼

宅に集団入居酒きスΨよう、

瑳地を雌,た.甚大な彼害

仙台市に璽望なども行って

壱受けた熊本県益堀町型

・龍輩

入hワL涯のは一兀自止旧

仙台の元自治会長ら訪問

図3-2テ ク ノ仮設 住 宅へ の最 初の 訪問 時の 様子

読売 新 聞記事(2016年8月25日 付)

仮設の経験熊本に助言

3.2.仮 設から災害公営住宅へのコミュニティ形成支援

(あすと長町型)体 制構築に向けた取 り組み

2017年2.月 には,益城町内仮設住宅の15団 地から自治

会代表がテクノ仮設住宅に集結 し,筆者 らがファシリテ

ーター役で復興にむけた情報 と意見の交換を行った。同

年5月 には2月 の会合に参加 した仮設住宅 自治会が結成

した「自治連合会」のメンバー5名 が,あす と長町を訪れ,

その視察対応を行った。同年9月 には益城町災害公営住

宅計画検討委員の うちの一人である田中智之氏(熊 本大

学)と 九州各大学の建築系学生たちが連携 して復興支援

に取 り組むKASEI代 表の遠藤氏が宮城 を訪れ,2日 間,あ

す と長町災害公営住宅,戸 倉災害公営住宅(南 三陸)等 の

視察対応を行った。ここでは,主 に集会所が居場所に しや

す くするためのポイン トとして,ふ らっと寄れる場所(配

置計画)に あるか,出 入 り口のシースルー度合い,下 足に

よって入 りやす くなっているか(下 駄箱の省スペース化),

キッチンはみんなで作業 しやすい大きさか等を確認 した。

また,管 理運営面の重要性 とそのためのポイン トについ

て も情報提供を行 った。これ以降,田 中氏 とはたびたび連

絡を取 り合って災害公営住宅建設計画の状況について情

報提供いただいた。その後は,吉 村氏等 と情報交換 しなが

ら,その他 にも熊本に事務所を置 く都市計画コンサルタ

ン ト,仮設住宅やみなし仮設住宅で見守 り訪問支援をす

る団体等 との情報交換を行っていったが,テ クノ仮設住

宅をは じめ,他 の仮設住宅においても,仮設住宅で育まれ

た コミュニティを災害公営住宅に継承するとい う機運は

Page 7: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

生まれていかないことか ら,支援の方向転換 を模索する

ことになった。

あす と長町型がマッチングしなかった要因としては,

テクノ仮設住宅のコミュニティリーダーである吉村氏,

またそれ以外の仮設住宅の リーダーの多くが元の敷地に

自宅の再建を目指 してお り,災害公営住宅への入居 を求

める被災者 と直接意見交換する機会が少なかったこと,

また 自宅の 自力再建を 目指す人のなかには,半 壊 した 自

宅と仮設住宅 との二重生活の方がかなりの割合存在 し,

仮設住宅でのコミュニティづくりへの積極的な動機付 け

が得 られなかったことなどがあげられる。

図3-3復 興 住 まいま ちづ く り学 習会 の様子

(2017.2.5@テ ク ノ仮 設住 宅)

3.3.災 害 公 営 住 宅 移 行 期 か らの コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 支 援

(塩 竈 型)体 制 構 築 の 取 り組 み

2018年8.月23日 に益 城 町 公 営 住 宅 課 を訪 問 し,益 城 町

で の 災 害 公 営 住 宅 整 備 計 画 の 進 捗 情 報 の 提 供 を 受 け つ つ,

あ す と長 町,塩 釜 等 で 支 援 の 取 り組 み を 情 報 提 供 した 。そ

の 後,益 城 町 公 営 住 宅 課 職 員0氏,1氏,H氏 の3名 が,あ

す と長 町(第 二 災 害 公 営 住 宅),塩 竃(市 役 所,清 水 沢 東

住 宅)の 視 察 に 訪 れ(図8),改 め て,仮 設 住 宅 で 育 ま れ

た コ ミ ュ ニ テ ィ を 災 害 公 営 住 宅 に継 承 す る プ ロセ ス の

支 援(あ す と長 町 型),災 害 公 営 住 宅 移 行 期 か らの コ ミ

ュ ニ テ ィ 形 成 支 援(塩 竈 型)の 詳 細 を 紹 介 した 。 そ の

後,益 城 町 は 塩 竃 市 が っ な セ ン に 委 託 した 支 援 事 業 の ス

キ ー ム(表5)を 参 考 に,コ ンサ ル タ ン トへ 支 援 事 業 の 委

託 の方 針 を決 定 し,2019年 度 か ら同 体 制 で,0氏,1氏 が

先 導 して,益 城 町 内 の 全21地 区 の 災 害 公 営 住 宅 を対 象 と

した コ ミ ュ ニ テ ィ形 成 支 援 事 業 を 展 開 し始 め た 。 現 在 小

規 模 の3団 地 が 入 居 済 み で あ る が,18団 地 が2020年1月

~3月 に 完 成 予 定 で,そ の 後,速 や か な 入 居 開 始 が 予 定 さ

れ て い る。この うち,20団 地 で は周 辺 の行 政 区(町 内 会)

に 班 と して 編 入 を予 定 して い て,規 模 の 大 き な 木 山 下 辻

団 地(120戸)の み,単 独 で の 行 政 区 の 結 成 を 予 定 して い

る。

コ ミュ ニ テ ィ形 成 支 援 の 取 り組 み と して は,入 居 前 の

18団 地 に て顔 合 わ せ 会,フ ロア 長(共 益 費 徴 収 な ど)選

出 の た め の ワー ク シ ョ ップ を行 っ て い る 最 中 で,約9割

の 世 帯 が 参 加 して い る。共 益 費 に っ い て は,災 害 公 営 住 宅

整 備 主 体 で あ る都 市 再 生 機 構 に 共 用 部 の 電 気 代 等 を算 定

してらい1500~2000円 で一律に金額決定する予定 とい

う。また集会所の管理運営方法については,各 地に点在す

る自治公民館(行 政区管理)の ルールに合わせながら,

利用が促進 される管理運営方法を模索 していく方針 とし

ている。これについて,筆者 らは,孤 立を防 ぐコミュニテ

ィづ くりにとって重要な集会所の居場所化にむけては,

外部に開かれた管理運営と外部団体の利用促進がポイン

トになってい くことを伝 えているが,益 城町ではその点

についての具体的な取 り組みは想定 されていないのが現

状である。また,今 後は入居後 どの時点まで支援を継続す

るべきか,そ うした点が益城町職員に とっては重要な今

後の検討項 目であるとしている。

表3-3益 城町でのコミュニティ形成支援体制構築の取り組み

Page 8: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

4.益城町での取 り組みの成果と知見

当初,益 城町での復興 コミュニティ支援の体制構築に

ついては,あ す と長町型の仮設住宅から災害公営住宅ヘ

コミュニテ ィを継承する支援を想定したものであったが,

被災の状況等によって住宅再建意向などの状況が異なっ

ていたことから,マ ッチングには至 らなかった。また復興

プロセスにお けるコミュニティリーダーらが軒並み 自力

再建であったことも適さなかった要因の一つであるとい

える。一方,塩 竈型の災害公営住宅移行期か らのコミュニ

ティ形成支援については,被 災地の自治体 と専門家との

パー トナーシップによる支援であ り,内容的にも体系的

な取 り組みであったことから,益城町役場職員に受け入

れられやすかったもの と思われる。また同職員 らは,仮 設

住宅における自治の担い手不足を痛感 していたことから,

新たな地域運営体制の必要性 に対 してイメージを共有す

ることができ,そ うしたことが塩竈型の支援への理解を

深めていったと考えられる。

このように,本 実践的研究では,当 初の想定 とは異なる

ところも多かったが,東 日本大震災での支援の経験を,熊

本地震 の被災地である益城町で活用 してもらうかたちと

なった。改めて,本 実践的研究を通 して得 られた知見や課

題を以下にま とめる。

①過去の復興支援 の経験を次の被災地で活かす場合には,

支援のパターンを事前に複数用意 しておくことが重要で,

現地(次 の被災地)の 実情に応 じた柔軟な支援体制の構

築が重要である。

②住民主導の復興住まいまちづ くりを支援す る体制構築

には,現 地での実践のための資金確保 が大きな課題 とい

える。支援の方法論が伝わった としても,あ る程度の資金

確保ができない と,動 き出しは困難である。熊本県内の支

援情報を蓄積するKVORDに 相談訪問 した際には,そ の点

が危惧 された。

③現地との復興に関する情報交換は,1ヶ 月に1度 程度

は必要であった と感 じている。今回は仙台 と熊本の間の

や り取 りのため,旅費がか さむことか らその点が十分対

応できなかった。

④現時点で,益城町役場は主に居住者組織づ くり(居 住者

による住宅管理体制構築)の 支援を展開しているが,集 会

所の居場所化に向けては未対応の状態である。今後,集 会

所の管理運営については,外 部に開かれた利用促進がポ

イン トになっていくと思われるが,そ うしたかたちの仕

組みが現地の実情にマ ッチングするかどうかを見極める

ため,仮設住宅で支援 を実践 してきた団体の情報 を収集

する調査の実施などが必要になると思われる。

〈 注>

1)特 定 非 営 利 活 動 法 人 つ な が りデ ザ イ ンセ ン ター ・あ す と長 町

組 織 体 制 や 活 動 内 容 の 詳 細 は ホ ー ム ペ ー ジ を 参 照 され た い 。

な お 同NPOは 取 り組 み が 評 価 され,2018年 度 に グ ッ ドデ ザ イ

ン賞(災 害 復 興 支 援),「 新 しい 東 北 」復 興 ・創 生 顕 彰(復 興 庁)

を受 賞 して い る。http://www。tsuna-cen.com

2)あ す と長 町災 害公営住 宅居住 実態調 査

あす と長 町第1・2・3災 害公 営住宅(あ す と公営)を 対象 とし,

居住 世帯 の基礎 的情報,居 住評価,入 居 プ ロセ ス等 の把握,コ ミ

ュニテ ィ入居 の有 用性検 証 のため アンケー ト調査(配 布 ポス ト

投 函,回 収訪 問手 渡 し/2015年10.月10日 ~24日)を 実施 した。

〈回収状況 〉

戸数 配布数 回収数 回収率第一復興公営住宅 163 156 119 76.3%

第二復興公営住宅 96 94 77 81.9%

第三復興公営住宅 68 62 45 72.6%

合計132713121241177.2%

3)清 水沢東 災害公 営住 宅居住 実態調 査

清 水沢東 住宅入 居120世 帯 を対象 に,居 住者 の基本 情報,自 治

会や 支援活 動等 の必要性 等 を把 握す るた めア ンケ ー ト調査 を実

施 した。(配 布 ポス ト投 函2017年9.月29日,訪 問 手渡 し回収/

10月7~15日)。 調査 主体 は東 北工 大新井研 究室等 。

Page 9: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と

〈回収 状況〉

実施年月日

2017.9/29-10/15

戸 数

(空 室)

170(50)

配布数

113

回収数

88

回収率

77.8%

<参 考 文 献>

1)新 井 信 幸,復 興 の そ の 先 に 向 け た コ ミ ュニ テ ィ ・デ ザ イ ンー

あす と長 町 仮 設 住 宅(仙 台 市)で の 取 組 み,建 築 雑 誌,

Vol.128No.1641,pp.4-5,2013.2

2)新 井 信 幸,続 ・復 興 の そ の 先 に 向 け た コ ミ ュ ニ テ ィ ・デ ザ イ ン

ー あ す と長 町 仮 設 住 宅(仙 台 市)で の 取 組 み,建 築 雑 誌,

Vol.129No.1661,pp.28-29,2014.8

3)新 井 信 幸,復 興 か ら は じま っ た 「つ な が りデ ザ イ ン 」,建 築 雑

誌,vo1.131No.1691,pp。44-45,2016。12

4)新 井 信 幸,災 害 公 営 住 宅 へ の 移 行 プ ロセ ス と居 住 実 態,東 日

本 大 震 災 合 同 調 査 報 告 建 築 編10建 築 計 画,pp.280-283,

2016.8.1

5)新 井 信 幸 ・星 歩 美 ・山 本 俊 哉,災 害 公 営 住 宅 へ の移 行 プ ロセ ス

と居 住 実 態,東 日本 大 震 災 合 同 調 査 報 告 建 築 編10建 築 計 画,

pp.280-283,2016.8.1

6)須 沢 栞 ・大 月 敏 雄 ・新 井 信 幸 ・他2名,仙 台 市 に お け る 市 外 被

災 世 帯 の 居 住 地 ・住 ま い の 変 遷 と世 帯 属 性 の 把 握,日 本 建 築 学

会 計 画 系論 文 集(750),pp.1391-1401,2018.8

7)新 井 信 幸 ・星 歩 美 ・山 本 俊 哉,災 害 公 営 住 宅 に お け る新 た な 地

域 運 営 シ ス テ ム の 構 築 に 関す る研 究 一東 日本 大 震 災 の 復 興 ま ち

づ く りの 検 証(7)一,日 本 建 築 学 会 学 術 講 演 梗 概 集(北 陸)・

都 市 計 画,pp.889-8902019.9

Page 10: 熊本・益城町での復興住まいまちづくり導入支援づくり支援の内容とそこから得られた知見を整理(2 章)し,そ の上で,益城町で取り組んできた支援内容と