10
【実施概要】 【1】単元のテーマ・目標(評価の観点を意識して設定): ・自分とは異なる文化や考えに興味をもち、他者を尊重しようとする態度を育む。 ・世界の一員であるという自覚をもち、世界のために自分にできることを考えることができる。 【2】 単元の 評価基準例 (ア) 関心・意欲・態度 タンザニアの文化や生活についての基本的情報を知ることで、 タンザニアや世界に対して興味をもつことができる。 (イ) 思考・判断・表現 タンザニアと日本の相違点、共通点に気づき、自分の思いや、自 分にできることを考え、表現することができる。 (ウ) 技能 タンザニアについての基本的な情報を習得した上で、簡単なスワ ヒリ語を用いてタンザニアの友だちと交流することができる。 (エ) 知識・理解 タンザニアの文化や生活、言語などを理解することができる。 【3】 単元設定 の理由 (児童/生徒 観、教材観、指 導観) (児童観) 本学年の児童は、全体的に明るく活発で、学習に対する意欲が高い。授業中は、新し い知識を得ること対し喜びを感じている様子である。本校には外国籍の児童も数人在 籍しているが、日本以外の国の友だちに対して抵抗なく、一緒に楽しそうに遊ぶ様子 が見られる。また、ALTやEAAとも積極的に関わろうとする様子から、児童の海外への興 味関心も高いと思われる。1学期には、総合の時間で「世界と日本のつながり」をテー マに調べ学習をした。その際、多くの児童がアメリカやイギリス、オーストラリア等を 選択しており、児童の中で外国=先進国となっているように感じた。 (教材観) この単元では、児童にとってあまり馴染みのない、発展途上国のタンザニアを取り 上げる。事前に子どもたちにアフリカに対するイメージについてのアンケートを取っ たところ、「ご飯があまり食べられなくてかわいそう。」「こわそう。」「ライオンと 暮らしていそう。」といった、どこか否定的で偏った回答が多くみられた。タンザニア という国は、子どもたちにとって「場所もよくわからない、日本から遠く離れた知らな い国」といった感じであった。 (指導観) そこで本単元では、児童にとって身近な存在である教師が、実際にタンザニアへ行 った経験を交え、写真や動画などの現地で得た教材を活かして授業を行っていくこと で、タンザニアを身近な国と捉えられるようにしていきたい。さらに、日本とタンザニ アの子どもたちが直接交流をもてるような場の設定することで、遠い国のことではな く自分の知っている友だちのいる国のことと捉えられるようにしたい。本単元を通し て、自分のイメージや思い込みにとらわれず本当のことを知ることの大切さや、異文 化を理解し、自分とは違った他者を受け入れることの大切さを子どもたちに伝え、一 緒に考えていきたい。そして、世界にも目を向けられるような、視野の広い子どもたち を育んでいきたい。 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ 氏名:尾花 美紀 学校名:足利市立毛野小学校 担当教科:全教科 実践教科:学級活動、図工、総合、道徳、家庭科 時間数:10 時間 対象学年:第 6 学年 人数:100 名

世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

【実施概要】

【1】単元のテーマ・目標(評価の観点を意識して設定):

・自分とは異なる文化や考えに興味をもち、他者を尊重しようとする態度を育む。

・世界の一員であるという自覚をもち、世界のために自分にできることを考えることができる。

【2】 単元の

評価基準例

(ア) 関心・意欲・態度タンザニアの文化や生活についての基本的情報を知ることで、

タンザニアや世界に対して興味をもつことができる。

(イ) 思考・判断・表現タンザニアと日本の相違点、共通点に気づき、自分の思いや、自分にできることを考え、表現することができる。

(ウ) 技能タンザニアについての基本的な情報を習得した上で、簡単なスワヒリ語を用いてタンザニアの友だちと交流することができる。

(エ) 知識・理解 タンザニアの文化や生活、言語などを理解することができる。

【3】 単元設定の理由

( 児 童 /生 徒観、教材観、指導観)

(児童観)

本学年の児童は、全体的に明るく活発で、学習に対する意欲が高い。授業中は、新しい知識を得ること対し喜びを感じている様子である。本校には外国籍の児童も数人在籍しているが、日本以外の国の友だちに対して抵抗なく、一緒に楽しそうに遊ぶ様子が見られる。また、ALTやEAAとも積極的に関わろうとする様子から、児童の海外への興味関心も高いと思われる。1学期には、総合の時間で「世界と日本のつながり」をテーマに調べ学習をした。その際、多くの児童がアメリカやイギリス、オーストラリア等を選択しており、児童の中で外国=先進国となっているように感じた。

(教材観)

この単元では、児童にとってあまり馴染みのない、発展途上国のタンザニアを取り上げる。事前に子どもたちにアフリカに対するイメージについてのアンケートを取ったところ、「ご飯があまり食べられなくてかわいそう。」「こわそう。」「ライオンと暮らしていそう。」といった、どこか否定的で偏った回答が多くみられた。タンザニアという国は、子どもたちにとって「場所もよくわからない、日本から遠く離れた知らない国」といった感じであった。

(指導観)

そこで本単元では、児童にとって身近な存在である教師が、実際にタンザニアへ行った経験を交え、写真や動画などの現地で得た教材を活かして授業を行っていくことで、タンザニアを身近な国と捉えられるようにしていきたい。さらに、日本とタンザニアの子どもたちが直接交流をもてるような場の設定することで、遠い国のことではなく自分の知っている友だちのいる国のことと捉えられるようにしたい。本単元を通して、自分のイメージや思い込みにとらわれず本当のことを知ることの大切さや、異文化を理解し、自分とは違った他者を受け入れることの大切さを子どもたちに伝え、一緒に考えていきたい。そして、世界にも目を向けられるような、視野の広い子どもたちを育んでいきたい。

世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~

氏名:尾花 美紀 学校名:足利市立毛野小学校

担当教科:全教科 実践教科:学級活動、図工、総合、道徳、家庭科

時間数:10 時間 対象学年:第 6 学年 人数:100 名

Page 2: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

【4】展開計画(全 10 時間)

時 テーマ・ねらい 活動・内容 使用教材

1

2

学活・図工・総合 「タンザニアってどんな国? うちわでお互いの夢を伝え合おう。」 <事前授業> ・タンザニアについて興味をもち、交流するための準備をする。

・パワーポイントでタンザニアについて、基本的なことを知る。

・タンザニア(アフリカ)がどんな国かイメージする。

・担任がタンザニアに行くことを知る。 ・タンザニアについて知りたいこと、担任にやってきてほしいことなどを考える。

・タンザニアの小学生と交流するために、うちわに将来の夢と、日本の文化で伝えたいもの等をかく。

・パワーポイント

・ワークシート

【資料1】

・世界地図

・うちわ

Page 3: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

【4】展開計画(全 10 時間)

時 テーマ・ねらい 活動・内容 使用教材

1

2

学活・図工・総合 「タンザニアってどんな国? うちわでお互いの夢を伝え合おう。」 <事前授業> ・タンザニアについて興味をもち、交流するための準備をする。

・パワーポイントでタンザニアについて、基本的なことを知る。

・タンザニア(アフリカ)がどんな国かイメージする。

・担任がタンザニアに行くことを知る。 ・タンザニアについて知りたいこと、担任にやってきてほしいことなどを考える。

・タンザニアの小学生と交流するために、うちわに将来の夢と、日本の文化で伝えたいもの等をかく。

・パワーポイント

・ワークシート

【資料1】

・世界地図

・うちわ

3

学活・総合 「タンザニアについて知ろう!」 ・タンザニアの現状を知り、興味をもつ。

・「タンザニア〇・×ゲーム」を行う。 撮影した写真や動画、購入したお土産等を見なが タンザニアの現状や文化について知る。 気づいたことをみんなで共有する。

・振り返りをする。

・ワークシート

【資料 2】

・パワーポイント

・タンザニアで購入した品々(カンガ・ティンガティンガ・太鼓 等)

・振り返りカード

4 学活・総合 「世界について知ろう!」 ・世界に目を向け現状 を知り興味をもつ。

・自分の知っている国をできるだけたくさんあげる。

・「世界がもし 100 人の村だったら」を題材として、ワークショップを行い、世界の現状について体験的に学び、世界について興味をもつ。

・振り返りをする。

・ワークショップ版世界がもし100 人の村だったら 第 5版

(役割カード等) ・振り返りカード

Page 4: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

5 総合 「スワヒリ語に挑戦しよう!」 ・スワヒリ語に慣れ親しみ、タンザニアの人と話してみたい、という気持ちを育む。

・テレビ電話で交流することを知る。 ・タンザニアの小学生に質問したいこと、伝えたい日本文化について考える。

・スワヒリ語で挨拶の仕方や自己紹介の仕方を知り練習する。

・スムーズにやり取りができるように練習をする。

・ワークシート

【資料 3】

・タンザニアの小学生が歌う「チュウーリップ」の動画

6 学活 「タンザニアの友だちを作ろう。」 ・テレビ電話を通して直接関わることで、タンザニアという国により親しみをもてるようにする。

・お互いの国の言葉で挨拶をする。 ・質問コーナー 自己紹介をしてから練習したスワヒリ語で質問をする。

・日本の文化紹介コーナー 写真を見せたり、浴衣を着たりして、簡単なスワヒリ語で紹介する。

・チューリップを歌う。

1 番がタンザニアの子ども達、2番を日本の子どもたちが歌う。

・挨拶をしてお別れをする。 ・振り返りを書く。

・パソコン ・テレビ ・うちわ ・日本とタンザニアの国旗

・写真や浴衣、ランドセルなどの日本の文化を紹介するもの

・振り返りカード

Page 5: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

5 総合 「スワヒリ語に挑戦しよう!」 ・スワヒリ語に慣れ親しみ、タンザニアの人と話してみたい、という気持ちを育む。

・テレビ電話で交流することを知る。 ・タンザニアの小学生に質問したいこと、伝えたい日本文化について考える。

・スワヒリ語で挨拶の仕方や自己紹介の仕方を知り練習する。

・スムーズにやり取りができるように練習をする。

・ワークシート

【資料 3】

・タンザニアの小学生が歌う「チュウーリップ」の動画

6 学活 「タンザニアの友だちを作ろう。」 ・テレビ電話を通して直接関わることで、タンザニアという国により親しみをもてるようにする。

・お互いの国の言葉で挨拶をする。 ・質問コーナー 自己紹介をしてから練習したスワヒリ語で質問をする。

・日本の文化紹介コーナー 写真を見せたり、浴衣を着たりして、簡単なスワヒリ語で紹介する。

・チューリップを歌う。

1 番がタンザニアの子ども達、2番を日本の子どもたちが歌う。

・挨拶をしてお別れをする。 ・振り返りを書く。

・パソコン ・テレビ ・うちわ ・日本とタンザニアの国旗

・写真や浴衣、ランドセルなどの日本の文化を紹介するもの

・振り返りカード

7

図工 「毛野小に世界の美術館をつくろう。」 ・世界の名画を鑑賞し、その作品の良さを感じ取り、自らもオリジナルの作品を描くことができる。

・世界の名画を鑑賞し自分の気に入った作品を選ぶ。

[ティンガティンガを含む。] ・選んだ作品を参考にし、画家になったつもりで自分のオリジナル作品を描く。

・振り返りをする

・世界の名画

・振り返りカード

8 本時

道徳 「世界の人々のために」 ・世界で活躍している日本人について知り、進んで他国の人々とつながり、国際親善に努めようとする態度を育てる。

・世界の人々のために活躍する日本人について知っていることを発表する。

・青年海外協力隊について知る。 ・「エンザロ村のかまど」の話を読んで話し合う。 岸田さん、岡本さんは、どんな思いからかまどを広めようとしたのでしょうか。 ・国際理解や親善を自分の問題として考える。 ・岡本さんから届いたメッセージを読む。 ・本時の感想を書く

・パワーポイント 【資料4】 ・ラジオ体操 CD ( ス ワ ヒ リ 語Ver.)

・ワークシート 【資料 5】

・岡本さんから手 紙 【資料 6】

9 家庭科 「タンザニアの食を味わおう」 ・日本の食文化と比べながら、タンザニアの食文化を味わう。

・タンザニアの主食であるウガリについて知る。 ・調理する。

・日本の食文化と比べて、気づいたことや感想を書く。

・振り返りをする。

・写真 ・調理器具 ・コーンフラワー

・振り返りカード

Page 6: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

10 学活 「幸せについて考えよう」 ・幸せに暮らすために大切なものを考え意見を共有し、異なる考えも認めようとする態度を育てる。

・幸せに暮らすために必要なものを考える。 それぞれ幸せの価値基準は同じではなくみんなちがっていいことを伝える。

・日本の小学生、タンザニアの小学生の幸せについて、それぞれの目線に立って考え話し合う。

・単元を通した振り返りをする。

・振り返りカード

【5】本時の展開【世界の人々のために】

ねらい:世界で活躍している日本人について知り、国際親善に努めようとする態度を育てる。

過程・

時間 学習活動 指導上の留意点(支援) 資料(教材)

導入

(10分)

展開

(25分)

まとめ

(10 分)

1 世界の人々のために活躍する

日本人について知っていること

を発表する。

2 青年海外協力隊について知る。

3 「エンザロの村のかまど」の話

を読んで話し合う。

岸田さん、岡本さんは、どんな思

いからかまどを広めようとしたの

でしょうか。

4 国際理解や親善を自分の問題

として考える。

5 岡本さんから届いたメッセー

ジを読む。

6 本時の感想を書く。

○テレビ等で見聞きしたり、本で読ん

だりしたことを発表してもよいこ

とを伝える。

○タンザニアで出会った協力隊の方

を紹介する。(かまどの事業を行っ

ている岡本さんについて詳しく伝

える。)

○エンザロ村の位置について確認す

る。

○「岸田さんは、どんな気持ちで村人

たちの声を直接聞いて回り、何度も

話し合いを重ねたのだろう。」と問

いかける。

○エンザロ村の人々のことを心から

考えた活動が、岸田さんへの親しみ

と尊敬に繋がっていることを押さ

える。

○岡本さんのかまど事業の現状につ

いて伝える。

○今の自分にできることと、将来的に

してみたい活動、もしも自分が協力

隊だったらやってみたいこと等を

ワークシートに書かせ、全体で共有

させる。

○本時の授業についての感想を自由

に書かせる。

・パワーポイント

【資料 4】

・ラジオ体操 CD

( ス ワ ヒ リ 語

Ver.)

・ワークシート

【資料 5】

・岡本さんから手

【資料 6】

Page 7: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

10 学活 「幸せについて考えよう」 ・幸せに暮らすために大切なものを考え意見を共有し、異なる考えも認めようとする態度を育てる。

・幸せに暮らすために必要なものを考える。 それぞれ幸せの価値基準は同じではなくみんなちがっていいことを伝える。

・日本の小学生、タンザニアの小学生の幸せについて、それぞれの目線に立って考え話し合う。

・単元を通した振り返りをする。

・振り返りカード

【5】本時の展開【世界の人々のために】

ねらい:世界で活躍している日本人について知り、国際親善に努めようとする態度を育てる。

過程・

時間 学習活動 指導上の留意点(支援) 資料(教材)

導入

(10分)

展開

(25分)

まとめ

(10 分)

1 世界の人々のために活躍する

日本人について知っていること

を発表する。

2 青年海外協力隊について知る。

3 「エンザロの村のかまど」の話

を読んで話し合う。

岸田さん、岡本さんは、どんな思

いからかまどを広めようとしたの

でしょうか。

4 国際理解や親善を自分の問題

として考える。

5 岡本さんから届いたメッセー

ジを読む。

6 本時の感想を書く。

○テレビ等で見聞きしたり、本で読ん

だりしたことを発表してもよいこ

とを伝える。

○タンザニアで出会った協力隊の方

を紹介する。(かまどの事業を行っ

ている岡本さんについて詳しく伝

える。)

○エンザロ村の位置について確認す

る。

○「岸田さんは、どんな気持ちで村人

たちの声を直接聞いて回り、何度も

話し合いを重ねたのだろう。」と問

いかける。

○エンザロ村の人々のことを心から

考えた活動が、岸田さんへの親しみ

と尊敬に繋がっていることを押さ

える。

○岡本さんのかまど事業の現状につ

いて伝える。

○今の自分にできることと、将来的に

してみたい活動、もしも自分が協力

隊だったらやってみたいこと等を

ワークシートに書かせ、全体で共有

させる。

○本時の授業についての感想を自由

に書かせる。

・パワーポイント

【資料 4】

・ラジオ体操 CD

( ス ワ ヒ リ 語

Ver.)

・ワークシート

【資料 5】

・岡本さんから手

【資料 6】

【授業実践の様子】

<世界で活躍する日本人について知る> <スワヒリ語版ラジオ体操実践!>

<「エンザロ村のかまど」を読む> <世界のために自分にできることを考える>

《本時の感想》

【6】本時の振返り

本時では、道徳の「国際理解」をテーマに、教科書の「エンザロ村のかまど」の話と、実際に協力隊

としてかまどを広げる活動をされている岡本さんの話を交えながら授業を進めていった。授業の導入

で、岡本さんをはじめとして様々な分野で実際に活躍されている協力隊の方々を紹介したことで、子ど

もたちは話の中のことではなく、現実の問題として考えることができていた。授業終盤には、「自分たち

にもできること」を考える時間を設定した。子どもたちから「物を送る」、「募金をする」等の物質的な

支援が出てくることを予想していたが、「相手の国のことを知ること」「何が必要なのか考えること」「多

くの人に途上国のことを知ってもらうこと」等と書いている児童が多く驚いた。本時までの授業を通し

て、子どもたちが「本当に大切なことは何か」一生懸命に考えた成果であると思った。

Page 8: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

【7】単元を通した児童生徒の反応/変化

「思っていたタンザニアと全然違う!」と、子どもたちはとても興味津々に授業に参加していた。「次は

いつやるんですか。」と、楽しみにしてくれている児童も見られた。また、タンザニアの子どもたちと実

際にテレビ電話で交流したことで、子どもたちのタンザニアに対するイメージが、「日本から遠く離れ

た知らない国」から「友だちのいるいつか行ってみたい国」へと大きな変化があったように感じられた。

普段の生活のなかでも、スワヒリ語であいさつしたり、日常会話の中にも取り入れたり、頭の上に物を

乗せて運んだりする児童も見られた。

【途上国・異文化への意識の変容について記載ください】

(授業前)

途上国に対する知識はほとんどなく、タンザニアは、「ご飯が食べられなくてかわいそう。」「黒人の人

はこわそう。」といったネガティブイメージ。また「藁の家に住んでいる。」「狩りをして暮らしている。」

等、途上国に対し、どこか上から目線な感じもあった。自分たちとは、全く関係のない遠い国といった

印象だった。

(授業後)

タンザニアについて紹介した授業では、「思っていたのと全然違った」、「思い込みで決めるのはよく

ない」と多くの児童の振り返りに書かかれていた。また、ビデオ電話の交流後は、「タンザニアの友だち

と話せてうれしかった。」「今すぐにでもタンザニアに行きたい」といった声が多く聞かれた。世界で活

躍する日本人について紹介した授業では、途上国のために自分たちにできることを一生懸命に考える姿

が見られた。この学習を通して、子どもたちの外国・異文化への意識を高められたように思う。

【自己評価】

1. 苦労した点

学校行事が重なったことで時間を作るのが難しく、授業と授業の間が一か月以上

空いてしまっこともあった。また、各教科とうまく関連させながら授業を考えてい

くのが難しかった。

全員参加型にしたかったが、6学年 3クラス合同で進めてきたため、代表のみの活

動や、教師の一方的な話が多くなってしまった。

2. 改善点 タンザニアで得た情報や資料は大変多く、1つの授業の中に伝えたいことや考え

させたいことを欲張って取り入れてしまい、中途半端になってしまったことがあっ

た。1時間で何を伝えたいのか、何を考えさせたいのか、目的をしっかりと考え、

重点を絞って授業を行う必要があった。

3. 成果が出た点 児童の将来の夢の作文に「世界で困っている人を助けられるような人になりた

い」と書かれていた。子どもたちが世界に興味をもち、世界に目を向けるきっかけ

を作ることができ、とてもうれしく思う。柔軟な子どもたちにとって、教師の影響

は大きいと実感した。だからこそ、まずは自分が挑戦したり行動したりすることが

大切だと感じた。

添付資料:

ワークシート【資料 1】 【資料 2】 【資料 3】

《校内のタンザニアコーナー》

《各クラス・学校のティンガティンガ》

Page 9: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

【7】単元を通した児童生徒の反応/変化

「思っていたタンザニアと全然違う!」と、子どもたちはとても興味津々に授業に参加していた。「次は

いつやるんですか。」と、楽しみにしてくれている児童も見られた。また、タンザニアの子どもたちと実

際にテレビ電話で交流したことで、子どもたちのタンザニアに対するイメージが、「日本から遠く離れ

た知らない国」から「友だちのいるいつか行ってみたい国」へと大きな変化があったように感じられた。

普段の生活のなかでも、スワヒリ語であいさつしたり、日常会話の中にも取り入れたり、頭の上に物を

乗せて運んだりする児童も見られた。

【途上国・異文化への意識の変容について記載ください】

(授業前)

途上国に対する知識はほとんどなく、タンザニアは、「ご飯が食べられなくてかわいそう。」「黒人の人

はこわそう。」といったネガティブイメージ。また「藁の家に住んでいる。」「狩りをして暮らしている。」

等、途上国に対し、どこか上から目線な感じもあった。自分たちとは、全く関係のない遠い国といった

印象だった。

(授業後)

タンザニアについて紹介した授業では、「思っていたのと全然違った」、「思い込みで決めるのはよく

ない」と多くの児童の振り返りに書かかれていた。また、ビデオ電話の交流後は、「タンザニアの友だち

と話せてうれしかった。」「今すぐにでもタンザニアに行きたい」といった声が多く聞かれた。世界で活

躍する日本人について紹介した授業では、途上国のために自分たちにできることを一生懸命に考える姿

が見られた。この学習を通して、子どもたちの外国・異文化への意識を高められたように思う。

【自己評価】

1. 苦労した点

学校行事が重なったことで時間を作るのが難しく、授業と授業の間が一か月以上

空いてしまっこともあった。また、各教科とうまく関連させながら授業を考えてい

くのが難しかった。

全員参加型にしたかったが、6学年 3クラス合同で進めてきたため、代表のみの活

動や、教師の一方的な話が多くなってしまった。

2. 改善点 タンザニアで得た情報や資料は大変多く、1つの授業の中に伝えたいことや考え

させたいことを欲張って取り入れてしまい、中途半端になってしまったことがあっ

た。1時間で何を伝えたいのか、何を考えさせたいのか、目的をしっかりと考え、

重点を絞って授業を行う必要があった。

3. 成果が出た点 児童の将来の夢の作文に「世界で困っている人を助けられるような人になりた

い」と書かれていた。子どもたちが世界に興味をもち、世界に目を向けるきっかけ

を作ることができ、とてもうれしく思う。柔軟な子どもたちにとって、教師の影響

は大きいと実感した。だからこそ、まずは自分が挑戦したり行動したりすることが

大切だと感じた。

添付資料:

ワークシート【資料 1】 【資料 2】 【資料 3】

《校内のタンザニアコーナー》

《各クラス・学校のティンガティンガ》

Page 10: 世界を広げよう!~新しい自分と出会う旅~ - JICA...Ver.) ・ワークシート 【資料5】 ・岡本さんから手 紙 【資料6】 9 家庭科 「タンザニアの食を

パワーポイント【資料 4】

ワークシート 岡本さんからのメッセージ

ワークシート【資料 5】 岡本さんから手紙【資料 6】

参考資料:

・『世界がもし 100 人の村だったら』池田香代子 著、C.ダグラス・ラミス翻訳、マガジンハウス

・指さし会話帳 60 ケニア(スワヒリ語)宮城裕見子 著 情報センター出版局