世界が 自衛隊 求めている。 自衛隊の国際協力活動 20年を振り返るパーフェクトガイド

世界が自衛隊を 求めている。 - MOD · 2017-09-26 · そのためゲート内は日本語の ほかに、英語やフランス語、さらに現地語であるソマリ

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世界が自衛隊を求めている。

自衛隊の国際協力活動20年を振り返るパーフェクトガイド

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自衛隊が世界各国で行っている国際協力活動は、さまざまな地域で現在進行中です。第一線で活躍する10人の自衛官に、日々の任務を語ってもらいました。

いま、世界で多くの自衛官が活動中。最前線の現場の声をリポートします

国連スーダンミッション司令部要員

木村昌秀 3等陸佐

日本最後の要員として国家の独立に立ち会う 当初はミッションに当たる部隊の移動や支援の計画などを行う兵站に従事していましたが、現在は撤収チームの兵站を担当。2011年7月9日、南スーダン共和国がアフリカ大陸で54番目の国家として独立しました。独立の熱気は、メディアなどで首都のハルツームにいる私でも感じ取れました。貴重な経験をしたと考えています。帰国予定時期も近づいてきましたが、最後までしっかり勤務したいと思います。

国連スーダンミッション

派遣海賊対処行動水上部隊 指揮官

大判英之 1等海佐

派遣海賊対処行動水上部隊 護衛艦『うみぎり』艦長

佐藤正博 2等海佐

海賊に関する情報交換を積極的に行う

多彩な活動に当たる約200人の乗員が一丸となり初の派遣で任務完遂を目指す

派遣海賊対処行動航空隊 警衛隊長

寺本保敏 3等陸佐

他国軍の兵士とだけではなく現地の人とのつながりの重要性を体感

派遣海賊対処行動航空隊 機長

伊藤修身 1等海尉

警戒監視飛行中に海賊船を発見。外国艦艇と協力して無力化に成功

 日本関連船舶を含む各国の船舶を海賊から防護するための任務に従事しています。本海域は毎日多くの船舶が往来しますが、依然として海賊の発生が多い海域です。航行船舶は船上から放水を行うなどの自衛措置をとっていますが、海賊に襲われる船は後を絶たず、海賊に対する恐怖感や緊迫感は相当高いものがあります。各国は海軍を派遣して安全確保に努めており、私たちも含め、海賊に関する情報交換などの協力を積極的に実施しています。日本から遠く離れた海域ですが、全隊員が全力で努力を続けていくつもりです。

派遣海賊対処行動航空隊 司令

江藤裕之 1等海佐

ジブチに設置した初の活動拠点の充実に力を入れる 私たちの任務は哨戒機のP-3Cにより広域の警戒監視を行い、情報を収集し、情報提供をすること。航空機が緊急状態になったときは速やかに着陸させる必要がありますが、ソマリアなどの周辺国は情勢不安定のため、周到な準備と訓練を実施させた上で任務に臨ませています。2011年6月からジブチ共和国内に陸上自衛隊と海上自衛隊の統合部隊として初の活動拠点を持ったため、施設機能の充実などにも力を入れています。派遣に際し、多くの国民の皆さんからいただいた激励のお言葉を胸に、全力を尽くすつもりです。

 海賊対処活動に初派遣となった護衛艦『うみぎり』の新米艦長として、任務に当たっています。現場は天気や昼夜を問わず、失敗が許されない緊迫した状況。警戒の目を光らせる隊員、機関運転や整備に従事する隊員、ヘリコプター作業を行う隊員、食事を丹念に作る隊員など、約200人の乗員一人一人が各自の持ち場で努力を続けており、頼もしい限りです。“チームうみぎり”一丸となって任務完遂を目指します。

 警衛隊長として、新活動拠点の警備を実施しています。警衛隊の大きな特徴は、現地警備会社のスタッフとともに勤務していること。そのためゲート内は日本語のほかに、英語やフランス語、さらに現地語であるソマリ語が飛び交います。日本とは文化、慣習、宗教など異なる部分がありますが、一緒に仕事し、コミュニケーションしてみると、人間性は皆同じであり、気持ちは通じることが分かりました。

 私は哨戒機P-3Cの機長として任務に従事しています。警戒監視飛行において小型ボートタイプの海賊船を何回か発見しました。非常に小さく、何度も見失いかけましたが、なんとか追尾することができ、付近を航行していた外国艦艇と協力して海賊船を無力化することに成功。発見から無力化まで、非常に緊迫した状況の連続であり、任務を達成できたときは安堵感と充実感で胸がいっぱいになりました。

ソマリア沖・アデン湾での海賊対処

ゴラン高原派遣輸送隊 隊長

志道桂太郎 3等陸佐

15年間で培われた厚い信頼を感じています

The Golan Heights

The Democratic Republic of Timor-Leste

Off the Coast of Somalia and in the Gulf of Aden

The Republic of the Sudan

 自衛隊は1996年の第1次隊からこれまでに15年間、1つの大きな事故もなく、活動を続けてきました。その結果、自衛隊に対するオーストリアやクロアチア、フィリピン、インド、カナダという派遣各国が寄せる信頼や友情は厚いものがあると、いまこの地で感じています。中東和平を願う強い絆で結ばれた各派遣国の仲間とともに、引き続きしっかりと任務を継続していきたいと思います。

国連兵力引き離し監視隊

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国連東ティモール統合ミッション軍事連絡要員

栗田千寿 2等陸佐

日本人らしい心遣いで現地の人々の心に残る活動を 私の任務は、担当地域をパトロールし、村や警察、軍などの訪問先で治安情報を主とした情報収集を行い、本部に報告することです。数十センチしか余裕のない道や上下左右に揺れる凸凹の道を行き、山越えや谷越え、とにかくどんな場所でも訪ねます。真心をもって聞き取りをすること、できるだけ住民と交流を図ることで日本を印象付けるように留意し、現地の人々の心に残る活動を目指しています。

国連東ティモール統合ミッション

国際協力活動は、その内容や活動根拠となる法律で、以下の6つに分類できます(6種類の色と次ページのHISTORYの活動名の色が対応しています)。

  自衛隊の国際協力活動は大きく6つのカテゴリーに分類されます

イラク人道復興支援特措法に基づく活動

旧テロ対策特措法に基づく協力支援活動、旧補給支援特措法に基づく補給支援活動など

2003年7月に成立した「イラクにおける人道復興支援活動および安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(イラク特措法)を根拠とする活動で、イラクの国家再建を支援するのが目的。活動の柱は人道復興支援活動と安全確保支援活動である。陸上自衛隊は約2年半、航空自衛隊は約5年間にわたり活動。

アメリカ9.11テロ事件を受け、わが国も国際社会の一員としてテロの防止と根絶に取り組むこととなった。海上自衛隊はインド洋において米、英、独、仏、パキスタンなどテロ対策に取り組む諸外国の艦船に燃料や水などの洋上における補給活動を実施。 中断を挟み、約8年間にわたり活動が続けられた。

国際平和協力業務1992年6月に成立した「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(国際平和協力法)を根拠とする活動。その内容は①国際連合平和維持活動(国連PKO)、②人道的な国際救援活動、③国際的な選挙監視活動に分類。 活動への参加は諸外国に自衛隊の能力を示し、わが国への信頼向上につながる。

ペルシャ湾への掃海艇派遣湾岸戦争でわが国は資金協力を行ったが、貢献度は低く見なされた。そのため、政府は「わが国船舶の航行の安全のため、遺棄された機雷を除去する」目的で、自衛隊法99条を根拠に、ペルシャ湾に「ペルシャ湾掃海派遣部隊」を派遣。 自衛隊初の海外における実任務となり、今日の国際貢献の足がかりとなった。

海賊対処ソマリア沖・アデン湾において、機関銃やロケット砲などで武装した海賊行為が多発。資源や食料の多くを海上輸送に頼るわが国も看過できず、2009年3月、護衛艦2隻をアデン湾に派遣し民間商船の護衛を行うとともに、同年6月からは哨戒機P-3Cに よる警戒監視活動を実施。国際社会から高い評価を受けている。

国際緊急援助活動など1987年施行の「国際緊急援助隊法」が1992年に改正され、自衛隊が国際緊急援助活動に参加可能となった。自衛隊では①応急治療、防疫などの医療活動、②ヘリなどによる物資、患者、要員などの輸送、③浄水装置を活用した給水活動を中心に、自衛隊の機能、能力を生かしたさまざまな活動を積極的に行っている。

ハイチ派遣国際救援隊 (第4次要員)隊長

足立寧達 1等陸佐

ハイチ派遣国際救援隊 (第4次要員)最先任上級曹長

浅見義浩 准陸尉

高い技術力と規律正しさが世界から認められている

家屋の解体や敷地の造成などで実力を発揮

 私たちの任務は震災で倒壊した家屋の解体や、がれきの運搬と除去、建物の構築などの施設作業が主体です。そのほかにもコレラなどの疫病の防疫活動や物資の輸送支援なども行っています。国連ミッションでの活動は、自衛隊の実力を世界の軍隊に披露する良い機会でもあり、これまでの派遣隊の活動は高い技術力と規律の正しさで、「プロフェッショナル集団」と各国から高く評価されています。今後の国際協力活動でも、自衛隊が国内外で培った実力をもってすればどんな任務でも完遂できると、このハイチで強く感じています。

 ハイチにおいて、倒壊した家屋の解体、壊れた道路の補修や学校や病院などの建設予定地の敷地造成などの施設活動ほか、大統領選挙のための物資輸送や医療支援などを行ってきました。国連ハイチ安定化ミッションの特別代表からも、「他部隊の模範である」という賛辞をいただくほど、自衛隊は高い存在感を発揮しています。部隊勤務や教育訓練で培われた実務を担う隊員の実力の証拠だと考えています。

国連ハイチ安定化ミッション

Republic of Haiti

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世界での自衛隊の活動の歴史を、時系列に沿って振り返ってみました。また、その活動エリアも世界中に広がり、中央の地図のようになりました(フラッグの位置がその活動が行われた場所を示しています)。

自衛隊の国際協力活動20年の歩みとともに、世界と日本で何が起きていたかを振り返ります。

湾岸戦争停戦後に行われた、自衛隊初の海外での実任務。ペルシャ湾の機雷除去のため、海上自衛隊の掃海艇『ひこしま』など4隻、掃海母艦『はやせ』、補給艦『ときわ』の計6隻を派遣。処理した機雷は計34個。

海上自衛隊の掃海能力は、諸外国の海軍からも高く評価された

ペルシャ湾への掃海艇派遣1991.4〜1991.101

すべての活動はここから始まった自衛隊の国際協力の出発点!!

派遣人数 計511人

シリア、イスラエルの間で緊張状態が続くゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)に、司令部要員と輸送部隊を派遣。UNDOFの活動に必要な物資の輸送、道路の補修、除雪などを行っている。現在輸送隊は第32次要員、司令部要員は第16次要員となり、わが国のPKOの最長記録を更新中である。

上/食料品の輸送や物資の保管を行う隊員 下/重機材の整備や消防活動、除雪、道路の補修など、その活動は多岐にわたっている

国連兵力引き離し監視隊1996.2〜現在5

ゴラン高原の安定に寄与するため長期にわたって部隊の派遣を継続中

派遣人数

自衛隊初めてのPKO。陸上自衛隊から停戦監視要員と、現地の道路や橋の補修などを行う施設部隊が派遣され、ほかのPKO構成部門への給油や給水なども実施。また、海上自衛隊の補給艦や航空自衛隊の輸送機なども参加した。

掃海艇の派遣に続き、大きな反響を呼んだ自衛隊初のPKOでは、施設科部隊が活躍した

国連カンボジア暫定機構1992.9〜1993.92

自衛隊にとって初のPKO陸・海・空の自衛隊から部隊が参加

派遣人数 延べ1216人

延べ1411人(9月現在)

内戦により大量に発生した難民救援のため、アフリカのザイール(現コンゴ民主共和国)とケニアに自衛隊の部隊と連絡調整要員を派遣。陸上・航空自衛隊により医療、防疫、給水、空輸などの業務を実施した。

医官が難民キャンプからの患者を診察。70件の手術を行うなど医療活動を行った

ルワンダ難民救援1994.9〜1994.124

初めての人道的な国際救援活動で多くのルワンダ難民の救援に協力

派遣人数 計378人

1月 阪神・淡路 大震災発生3月 地下鉄サリ ン事件発生

1月 多国籍軍、イラ クとクウェート への空爆開始11月 宮澤内閣成立

4月 防衛大学 校に初の 女子学生 が入校

6月 皇太子徳仁 親王殿下結 婚の儀8月 細川内閣成立

4月 羽田内閣 成立6月 村山内閣 成立

1991 1992 1993 1994 1995

1月 橋本内閣成立11月 クリントン アメリカ大統 領再選

1月 情報本部 の新設7月 香港、中 国へ返還

3月 即応予備自 衛官制度が 導入7月 小渕内閣成立

9月 茨城県東海 村の民間ウ ラン加工施 設で臨界事 故。災害派 遣開始12月 マカオが中 国に返還

1996 19981997 1999

アフリカ南部のモザンビークに司令部要員と輸送調整部隊を派遣。司令部では中長期的な業務計画の立案や輸送業務の企画調整、現場部隊では空港や港湾などでの人員、物資などの受け入れや送り出しについての調整業務を行った。

天幕で野営しながらバングラデシュ軍と輸送調整業務に当たったほか、司令部要員も派遣

国連モザンビーク活動1993.5〜1995.13

司令部、輸送調整など多様な分野で多くの隊員が参加

派遣人数 延べ154人

トルコ大地震による被害に対し、同国政府からの要請に基き、トルコ共和国派遣海上輸送部隊を編成。輸送艦『おおすみ』、補給艦『ときわ』、掃海母艦『ぶんご』の3隻からなる部隊を派遣し約500戸の仮設住宅の輸送を行った。

輸送艦『おおすみ』、補給艦『ときわ』など3隻で仮設住宅を輸送した

トルコ国際緊急援助活動に必要な物資輸送

1999.9〜1999.117

大規模な地震で被災し、家を失った人のための緊急援助物資を輸送

派遣人数 計426人

東ティモールに大量に発生した避難民が西ティモールに流入。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請により、航空自衛隊の部隊などを派遣。スラバヤとクバンの間で、C-130H輸送機での援助物資の航空輸送を実施。

航空自衛隊のC-130H輸送機が、その積載能力を生かして物資の輸送に活躍した

東ティモール避難民救援1999.11〜2000.28

航空自衛隊の救援空輸隊が多くの援助物資を運び、避難民を支援

派遣人数 計113人

ハリケーンにより甚大な被害を被ったホンジュラス共和国の要請を受け、陸上自衛隊の部隊、医官などを派遣。医療・防疫活動などを行った。航空自衛隊も部隊の装備品などの輸送や、米国とホンジュラスの間で輸送を行った。

ホンジュラス国際緊急援助活動1998.11〜1998.126

医療援助や防疫活動、空輸など迅速で効果的な緊急援助活動を実施

派遣人数 計185人

 世界に広がる自衛隊の活動エリア国際協力活動20年のクロニクル

世界と日本の20年史年表

31

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1

11

2325

165

4

1413

3

2

26

21

22

24

188

12

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10

9

20

17

29

19

31

7 15

16

イラク特措法に基づき、陸上自衛隊はイラク南部サマーワを中心に給水、医療支援、学校や道路補修などを実施。海上自衛隊も車両などの輸送を艦艇で行い、航空自衛隊はクウェートとイラク国内を結び、人道復興関連物資などを輸送した。

イラク人道復興支援特措法に基づく活動

2003.12〜2009.2

自衛隊による日本の国際貢献を世界中に示した重大な意味を持つ

派遣人数 計約1240人

上/陸上自衛隊医官らがサマーワ総合病院などで医療技術の指導などに当たった 下/イラク派遣のC-130H輸送機はブルーの塗装

アメリカの9.11テロ事件を受けて制定されたテロ対策特措法に基づき、海上自衛隊の艦船をインド洋に派遣。テロ対策に取り組む諸外国の艦船に対し、燃料と水の補給を行った。航空自衛隊も米軍に対し物資輸送などで支援を行った。

上/海上自衛隊の補給艦は、米国など各国艦艇への洋上補給を行った下/お互いに航行しながらの補給は「ハイライン」と呼ばれる

旧テロ対策特措法に基づく協力支援活動

2001.11〜2007.1111

テロと戦うアメリカやほかの各国を燃料や水の補給など後方から支援

派遣人数 計約320人

インド西部での大地震による被害に対し、インド政府からの要請を受けて陸上自衛隊では物資支援隊、航空自衛隊では緊急援助空輸隊を編成。現地スタッフへテントの設営技術指導や、テントや毛布など緊急援助物資の輸送を行った。

航空自衛隊の空輸隊は、テント441張、毛布4475枚を地震被害のインドへ空輸

インド国際緊急援助活動2001.29

大地震で大きな被害を受けた地域にテントなどの緊急援助物資を空輸

派遣人数 計94人

アフガニスタン難民救援のため、パキスタン・イスラム共和国で活動しているUNHCRの要請で難民救援用の物資としてテント、毛布、スリーピングマットなどを提供。これらを航空自衛隊の空輸隊がイスラマバードまで輸送。

6機のC-130H輸送機が、パキスタンのイスラマバードまで救援物資を空輸した

アフガニスタン難民救援2001.1010

難民のための救援物資を空輸しUNHCRの要請に対応する

派遣人数 計138人

国連からの要請を受け、国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)の司令部に要員を派遣。その後、わが国のPKOで最大規模の680人の施設部隊を派遣。道路、橋などの維持補修や、現地住民などが使う給水所の維持などを行った。

派遣された施設部隊は4カ所の宿営地に寝起きしながら道路や橋の補修を行った

国連東ティモール暫定行政機構2002.2〜2004.612

わが国PKOで過去最大規模女性のPKO要員も初の参加

派遣人数 延べ2304人

イラク戦争で発生した難民救済の活動しているUNHCRからの要請を受け、航空自衛隊のイラク難民救援空輸隊をヨルダンのアンマンに派遣。2機の政府専用機でイラク難民に対する人道的な国際救援活動に必要な、テントなどさまざまな物資の輸送を行った。

イラク難民救援2003.3〜2003.413

イラク難民への人道的支援のため政府専用機を活用し、物資を輸送派遣人数 計50人

5月 G・W・ブッシュ米大統領、イラクにおける 主要な戦闘の終結宣言6月 武力攻撃事態対処関連3法、 参議院本会議で可決成立12月米軍がフセイン元イラク大 統領を拘束する

3月 有珠山噴火。災害派遣開始4月 森内閣成立5月 プーチン・ロシア大統領代行、正式に大統領

就任 防衛庁が市ヶ谷庁舎へ移転6月 三宅島火山噴火。災害派遣開始7月 九州・沖縄サミット首脳会合が開催

1月 G・Wブッシュ米大統領就任2月 えひめ丸米潜水艦衝突事故4月 情報公開法施行 小泉内閣成立9月 アメリカ9.11テロ事件発生12月皇太子御夫妻に 内親王殿下誕生 九州南西海域不審船事案

3月 予備自衛官補制度導入5月 東ティモール民主共和国が独立。 21世紀初の独立国が誕生する9月 日朝首脳会談10月北朝鮮拉致被害者5人が帰国12月米ミサイル防衛配備発表

2000 2001 2002 2003

イラク戦争被災民救援のため、航空自衛隊はイラク被災民救援空輸隊を編成。イタリアとヨルダンの間で、世界食糧計画(WFP)などが行っている人道的な国際救援活動に必要な物資約140トンをC-130H輸送機で空輸。

イラク被災民救援2003.7〜2003.8

世界食糧計画の要請に基づきC-130H輸送機で人道救援物資を空輸派遣人数 計98人

14

イラン南東部の地震によりケルマン州を中心に甚大な被害が発生。航空自衛隊からイラン国際緊急援助隊を派遣。C-130H輸送機2機で、シンガポールにJICAが備蓄していた合計約12トンの緊急援助物資をイランへ輸送した。

イラン国際緊急援助活動に必要な物資輸送2003.12〜2004.1

大地震で甚大な被害を受けたイラン南東部に援助物資を空輸

派遣人数 計31人

15

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カムチャツカ半島沖でロシア海軍の潜水艇が行動不能になった事故で、ロシア政府からの要請を受け、潜水艦救難母艦『ちよだ』、掃海母艦『うらが』などが派遣。イギリス軍により乗組員は救出されたが、ロシア海軍には海上自衛隊の即応態勢が高く評価された。

ロシア連邦カムチャツカ半島沖国際緊急援助活動2005.819

ロシア潜水艇救助のため、海上自衛隊の潜水艦救難艦が迅速に対応

派遣人数 計346人

スマトラ沖で発生した大地震と津波により被害が発生。タイ王国から要請があり、テロ対策特措法任務から帰国途上の海上自衛隊の部隊を派遣。海上での遺体収容のほか、他の国際緊急援助チームと器材の航空輸送を実施した。

タイ国際緊急援助活動2004.12〜2005.117

タイ王国とその周辺海域で、地震と津波による被災者の捜索救助を実施

派遣人数 計590人

スマトラ沖で発生した地震と津波により、被害が発生。インドネシア共和国から要請を受け、陸・海・空自衛隊の部隊を派遣。国際緊急援助活動として初めてヘリを派遣、陸自のヘリを海自の艦艇で輸送するなど統合運用の試金石となった。

陸・海・空自衛隊部隊のほか、統合連絡調整所の要員も派遣

インドネシア国際緊急援助活動2005.1〜2005.318

陸・海・空、3つの自衛隊が派遣され史上最大規模の海外活動となった

派遣人数 計925人

大規模地震による被害に対し、パキスタン政府の要請で航空援助隊を派遣。航空自衛隊の輸送機で陸上自衛隊のヘリ3機を輸送、さらに3機を追加派遣。医薬品やテントなど援助物資を約131トン、被災民や患者など人員824人を輸送した。

陸上自衛隊航空援助隊のヘリが機動力を生かした救援活動を実施した

パキスタン国際緊急援助活動2005.10〜2005.1220

大地震による被害で陸路が寸断された地域でヘリによる輸送援助を実施

派遣人数 計261人

ジャワ島中部沖で発生した大規模地震で生じた被害に対して、インドネシア政府の要請に応じて国際緊急医療援助隊と、国際緊急援助空輸隊などを派遣。医療支援を実施、3759人を診療、1683人への予防接種を行った。

陸上自衛隊の医官が診療や予防接種などの医療支援、防疫活動などを行った

インドネシア国際緊急援助活動2006.621

大規模地震に襲われたジャワ島中部で、診察などの医療支援を実施する

派遣人数 計234人

ネパール国軍とマオイストの間で続いていた武力紛争が和平合意に達したのを受けて設立された、国連ネパール政治ミッション(UNMIN)に軍事監視要員として自衛官を派遣。ネパール国軍の兵舎などで武器や兵士の管理の監視を実行。

国連ネパール政治ミッション2007.3〜2011.122

武力紛争終結後の地域安定のため軍事監視要員を派遣して貢献

派遣人数 延べ24人

テロ対策特措法の失効で一時活動が中断していたが、補給支援特措法の成立により、活動を再開した。テロ対策に取り組む諸外国の艦船に対し、インド洋において艦船用燃料、艦艇搭載用ヘリコプター用燃料と水の補給を行った。

補給支援特措法の成立によって各国艦艇へのインド洋での補給活動が再開された

旧補給支援特措法に基づく補給支援活動

2008.1〜2010.123

新たな補給支援特措法の成立で中断していた補給支援活動を再開

派遣人数 約330人

5月 中国四川省で大地震発生6月 岩手・宮城内陸地震発生。 災害派遣開始7月 北海道洞爺湖サミット開催9月 米大手証券会社リーマン・ ブラザーズが経営破綻 麻生内閣成立

6月 事態対処法制関連7法、参 議院本会議で可決成立およ び3条約の締結承認9月 防衛庁・自衛隊50周年記念 式典を実施10月新潟県中越地震発生。災害 派遣開始

1月 G・W・ブッシュ米大統領が就 任。2期目となる3月 国民保護基本方針を閣議決

定する9月 茨城県で鳥インフルエンザが 発生。災害派遣開始11月福井県で国民保護法に基づ

く初の実動訓練

3月 防衛庁設置法等の一部改正法 (弾道ミサイル等に対する破壊 措置を規定、統合幕僚監部が

発足、自衛隊は統合運用体制に移行)施行

7月 北朝鮮、日本海に向け計7発 の弾道ミサイル発射9月 安倍内閣成立

1月 防衛庁設置法等の一部改正法(防衛庁の防衛省への移行、国際平和協力活動等の本来任務化等)施行

7月 新潟県中越沖地震が発生。災害派遣開始

9月 福田内閣成立

2004 2005 2006 2007 2008

上/これまでとは違い、部隊派遣ではなく、軍事監視要員は個人として派遣 下/武器の管理状況の点検を行う要員

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1月 オバマ米大統領就任4月 北朝鮮、わが国上空を越えるミサイルを発射 タイでデモ隊の乱入によりASEAN関連会議が中止。

バンコクに非常事態宣言7月 北朝鮮、日本海に向けて計7発の弾道ミサイル発射 中国・九州北部で豪雨。災害派遣開始9月 鳩山内閣成立11月行政刷新会議が「事業仕分け」を行う

3月 韓国海軍哨戒艦『天安』黄海で沈没5月 宮崎県で口蹄疫発生。災害派遣開始6月 菅内閣成立8月 イラク駐留米軍戦闘任務終了9月 尖閣諸島近海で中国漁船が海上保安庁巡

視船に接触10月鹿児島県奄美大島で大雨。災害派遣開始11月北朝鮮、韓国延坪島砲撃

1月 宮崎県で発生した鳥インフルエンザを受け、 災害派遣開始 エジプト各地で反政府デモ2月 エジプト、ムバラク大統領辞任3月 東日本大震災発生。災害派遣開始5月 オバマ米大統領、「アルカイダ」指導者のウサ

マ・ビン・ラーディンを殺害と発表9月 野田内閣成立

2009 2010 2011

スーダンでの内戦の終結を受け、設立された国連スーダンミッション(UNMIS)に司令部要員として自衛官を派遣。兵站全般の調整に当たる「兵站幕僚」と、データベースの管理に当たる「情報幕僚」(2011年7月をもって帰国)を派遣。

国連の司令部要員は非武装。また、この派遣も個人単位である

国連スーダンミッション2008.10〜現在24

内戦終結後のスーダンの安定のため長期にわたり司令部要員を派遣中

派遣人数 延べ12人(9月現在)

ソマリア沖・アデン湾においてわが国関係船舶を海賊行為から防護するために水上、航空部隊を派遣。護衛艦による民間船舶護衛やP-3C哨戒機による海賊の確認作業を実施。ジブチの活動拠点にはP-3C警備などのための陸自部隊も派遣されている。

哨戒ヘリによる上空からの監視は、各国の船団に安心感を与えている

ソマリア沖・アデン湾での海賊対処

2009.3〜現在25

海賊が頻繁に出没する危険な海域で各国船舶の安全航行のために活動中

派遣人数 計580人(9月現在)

西スマトラ州パダン沖で発生した大地震による甚大な被害に対し、インドネシア政府の要請により、医官3人を含む医療援助隊を派遣。西スマトラ州周辺において、応急手当をはじめとした医療活動を行い、延べ919人の患者を診察した。

インドネシア国際緊急援助活動2009.1026

スマトラ沖で発生した大地震に対し速やかに医療援助隊を編成し派遣派遣人数 計33人

ハイチに展開していた国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)は、地震後の復興を支援するため軍事、警察要員の増員を決定。国連の要請を受けたわが国は、陸上自衛隊の施設部隊を派遣。現地ではがれきの除去、道路補修、施設建設などを実施。他国軍との協力も盛んに行われ、現在も活動を継続中である。

上/油圧ショベルやドーザ、トラッククレーンなどの重機を使って、地震による大量のがれきの除去を実施 下/避難民キャンプの造成なども行っている

国連ハイチ安定化ミッション2010.2〜現在28

大地震後のハイチの復旧、復興を支援するため、施設部隊を派遣中

派遣人数 延べ1542人(9月現在)

豪雨による洪水被害に対し、パキスタン政府の要請により、ヘリコプター6機による国際緊急航空援助隊を派遣。海上自衛隊の輸送艦や航空自衛隊のC-130H輸送機も派遣、統合運用された。人員49人、物資約260トンを輸送した。

現地まで輸送機でヘリを空輸。効率のいい運用で迅速に被災地に展開

パキスタン国際緊急援助活動2010.8〜2010.1029

ヘリによる航空援助隊を派遣し陸・海・空の自衛隊を統合運用した

派遣人数 計514人

独立後の東ティモールで治安の維持、回復を目的に設立された国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)に2人の自衛官を軍事連絡要員として派遣。武力紛争停止の遵守状況を監視するため、各地の治安状況などの情報収集を実施。

治安状況の監視を行う軍事連絡要員を現在も派遣。女性自衛官も活躍している

国連東ティモール統合ミッション

2010.9〜現在30

独立後の東ティモールにおける治安の維持と回復に寄与している

派遣人数 延べ6人(9月現在)

ニュージーランド南島の大地震によるビルなどが倒壊するなど甚大な被害に対し、ニュージーランド政府の要請で国際緊急援助空輸隊を編成。警察庁、消防庁、海上保安庁なども含めた救助チームを政府専用機で空輸した。

各機関の混成部隊である救助チームを、政府専用機で被災地まで送り届けた

ニュージーランド国際緊急援助活動を行う要員および物資輸送

2011.2〜2011.331

ニュージーランド南島の大地震でわが国の救助チームを迅速に空輸

派遣人数 計約40人

27

ハイチ共和国で巨大地震が発生、30万人以上が死亡するなど甚大な被害に対し、ハイチ政府からの要請を受け、即座に訓練のためアメリカ・アリゾナ州に展開していた航空自衛隊のC-130H輸送機をフロリダに移動し、輸送活動を開始。その後、陸上自衛隊の医療援助隊も現地入りし、医療活動を開始。合計2954人の治療を行った。

ハイチ国際緊急援助活動2010.1〜2010.2

大地震で大きな被害を受けたハイチに迅速で臨機応変な救援を実施

派遣人数 計234人

上/自衛隊医療援助隊は、現地住民に対する応急手当を実施 下/米軍やカナダ軍のほか、NGO団体などとも連携した

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発行:防衛省大臣官房広報課(2011年10月)〒162-8801東京都新宿区市谷本村町5番1 ☎03-3268-3111(代表)http://www.mod.go.jp

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自衛隊による国際協力活動は今年で20周年。国際社会の平和と安定のため、

これからも積極的に取り組んでいきます。

20年間にわたり自衛隊が積み重ねてきた国際協力活動には数多くの人が関わっています。2人のキーパーソンからメッセージが届きました。

国際協力活動で派遣された国や地域からはその活動や貢献に対して多くの賛辞の声が寄せられています。その一部を紹介します。

  自衛隊に密接に関わったキーパーソンが語る国際協力活動

  世界各国が寄せた自衛隊・国際協力活動への賞賛の声

すべてが手探りの状態。得たものは非常に大きかった

自衛官の能力を発揮できるよう最善の環境を整えるのに苦心

 「ペルシャ湾掃海派遣部隊」で、指揮官を務めました。この派遣が失敗したら自衛隊の海外での活動は当分できないだろう、絶対に成功させなければいけないぞ、と身の引き締まる思いでしたね。 当時は他国に比べて、装備はかなり劣っていました。水中カメラもコンピューターもない。機雷の座標を正確に把握するGPSも、ようやく出発直前に間に合った。 現場の活動では、他国の部隊から機雷の種類などの情報を教えてもらえたので助かりました。最初の1カ月は休息もなく、連日夜明けから日没まで灼熱の中で掃海作業を続けたんですが、隊員たちは文句も言わず、淡 と々任務をこなしてくれました。彼らの働きのおかげで、活動期間中に34個の機雷を処理することに成功。他国からは驚かれましたね。忘れられないのは、休息のために寄ったバーレーンで、現地の在留邦人に掛けられた「今まで肩身が狭かったが、これからは堂 と々街を歩けます」という言葉。あれから20年、今では法整備も進み、当時とは隔世の感があります。これからも海外での活動への参加を希望する隊員が増えてほしいと願っています。

東ティモール民主共和国

グスマン大統領「日本の自衛隊については、両国の架け橋となって復興支援や技術移転などを行っており、政府のみならず住民からも高く評価されている」

〔2004年2月【東ティモール避難民救援】などに対し、防衛庁(当時)を訪問した際の発言〕

国際連合

潘基文事務総長「日本政府の特に国連ハイチ安定化ミッションへの参加について深く感謝の気持ちを抱いている。ハイチについての引き続きの貢献を要請したい」

〔2011年8月、潘基文国連事務総長と北澤防衛大臣(当時)の会談で上記の主旨を発言〕

パキスタン・イスラム共和国

クレーシ外務大臣「洪水被災に対する日本の支援、特に日本の自衛隊ヘリコプター部隊および医療チームが素晴らしい活動を行っていることに謝意を述べたい」

〔2010年9月【パキスタン国際緊急援助活動】に対し、前原外務大臣(当時)との会談で上記の主旨を発言〕

ジブチ共和国

ユスフ外務大臣「日本は、持続的発展に向けた先駆者の役割を果たしており、国際社会や海運の安全確保において重要な役割を果たしている」

〔2009年4月【ソマリア沖・アデン湾での海賊対処】に対し、浜田防衛大臣(当時)を表敬した際の発言〕

 国際協力活動の「主役」は現場の自衛官ですが、その円滑な活動を実現するには、政策の企画立案や部隊行動の計画を担当する防衛省内局・各幕僚監部などの働きも「黒子」として重要です。 国際協力課では、現場で働く自衛官がその能力を存分に発揮できるよう、法制度の改善やより効率的に活動するための工夫などについて検討しています。数ある課題の中には解決困難なものもありますが、少しでも現状が改善されるよう日々努力しています。 自衛隊の活動実施の際は「官僚」である事務官も現地に派遣されます。私も昨夏にパキスタンに赴き、各種の対外交渉、活動地の選定、任務内容の整理などの担当として、派遣部隊と共に汗を流しました。こうした仕事は大きなやりがいがありますが、大変難しい仕事でもあります。私も交渉をうまく進めるため、大技小技を交えた工夫をしましたが、国際協力活動20年の歴史は、隊員の地道な工夫・努力によって、支えられて来たと感じます。 現在、国際社会には自衛隊に期待される任務が数多く存在しています。防衛省・自衛隊が国際社会の平和と安定に積極的に関与するため、新たな課題に果敢に挑戦していきたいと思います。

落合 畯たおさ

さん

最初の国際協力活動を指揮した元自衛官

1963年、防衛大学校を卒業(7期)。第1掃海隊群司令などを歴任し、ペルシャ湾掃海派遣部隊指揮官。その後第2掃海隊群司令などを務め1996年に海将補で退官。2010年に瑞宝小綬章を受章

宇野茂行 防衛部員

自衛官を陰で支える国際派事務官

2003年防衛庁(当時)入庁。2009年9月~2011年8月まで運用企画局国際協力課にてハイチ、パキスタンなどの災害対応とハイチPKOの派遣などを担当。現在は防衛政策局日米防衛協力課