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CSR - TEPCO*1 CSR 「Corporate Social Responsibility」の略。企業の社会的責任。*2 AA1000 「AA1000シリーズ」は、「社会倫理アカウンタビリティ研究所(AccountAbility)」によって開発された基準。()

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「サステナビリティ」とは「社会の持続可能性」を意味します。本レポートのタイトル「サステナビリ

ティレポート ~地球と人とエネルギー~」には「東京電力グループがエネルギーの最適サービスを

通じて、持続可能な社会の実現に向けて行動していく」という思いが込められています。

本レポートは、持続可能な社会の実現を目指す東京電力グループのCSR*1に関する取り組みと実

績を報告し、東京電力グループの事業に関わるステークホルダーのみなさまとのコミュニケーショ

ンを一層促進していくためのツールとなることを目指しています。

2009年版の編集にあたっては、ステークホルダーのみなさまの東京電力グループに対する関心・期

待にお応えするために、サステナビリティ報告の原則として国内外で評価されている「AA1000*2

の基本原則」を参考に、以下の5つの視点で項目の重要度を評価し、掲載項目の選定に活かしてい

ます。また、一部の評価の視点については、社外機関による評価を採用し、客観性を高めています。*1 CSR「Corporate Social Responsibility」の略。企業の社会的責任。

*2 AA1000「AA1000シリーズ」は、「社会倫理アカウンタビリティ研究所(AccountAbility)」によって開発された基準。(www.accountability21.net)

編 集 方 針

重要度評価の5つの視点

評価内容参考にした資料など評価の視点

直接的かつ短期的な財務的影響を与える課題1

2

3

4

5

企業が、戦略上の方針を定めている課題

同種の組織が、その組織にとって重要性の範囲内にあると判断している課題(同業者の基準)

ステークホルダーが、(現在あるいは将来において)それに対して行動を起こすに足る程重要であると判断する課題

社会規範であると見なされる課題(規制、今後制定される規制、慣行化された規範/規格・基準などによって示される)

社内資料東京電力グループの事業における主要課題

社会の関心・期待

「経営計画の概要」などの公表資料

国内外エネルギー業界のCSRレポート

東京電力環境顧問会レポート読者アンケートなど社内外の意見

「GRIガイドライン第3版」「環境報告ガイドライン」など

※財務情報の詳細については「アニュアルレポート」で、また環境に関する詳細情報についてはインターネット版「環境行動レポート」で紹介しています。

サステナビリティレポート2009

報 告 期 間 2008年度(2008年4月~2009年3月)(上記期間以外の重要な情報についても一部報告しています。)

報告対象の範囲 東京電力株式会社及び東京電力グループ255社※特定の報告範囲を示す場合は、各掲載箇所に別途記載しています。

発 行 日 2009年7月

次回発行予定 2010年7月

お問い合わせ先 東京電力株式会社企画部・環境部・広報部〒100-8560 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号TEL 03-6373-1111(代表)FAX 03-3504-1570ホームページアドレス www.tepco.co.jp

アニュアルレポート > 企業情報 > 株主・投資家のみなさま> IR資料室 > アニュアルレポート環境行動レポート > 環境行動レポート

本レポートの各ページの見方

本文中、下記のマークがある項目は、ホームペー

ジに詳細な情報を掲載しています。

=www.tepco.co.jp=www.tepco.co.jp>TEPCOのとりくみ>TEPCOのECO

=www.tepco.co.jp>TEPCOのとりくみ>原子力情報

本文中に「*」マークがついている用語は、同じページ内に解説を掲載しています。

本文中の「 」マークは、関連情報をご覧いただ

けるホームページをご紹介しています。

● ページ右上の「 」「 」マークは、ス

テークホルダーから寄せられたご意見・ご質問と、

そのご意見に対する東京電力の回答です。

原子力

目 次

東京電力グループ経営理念 4トップコミットメント 6特集「電化が切り拓く低炭素社会」 8サステナビリティレポート2009 ハイライト 10

サステナビリティの実現に向けて

エネルギーを取り巻く環境 12電源のベストミックス 14電力流通設備 16需給運用 18新潟県中越沖地震をふまえた取り組みについて 19

東京電力の経営について

CSR・内部統制推進体制 21リスクマネジメント・防災体制 22企業倫理の遵守 24情報管理 26情報公開 27

東京電力グループの環境への取り組み

環境指標(実績・目標) 29地球温暖化と東京電力グループの取り組み 30CO2の少ない電気をつくる 32─再生可能エネルギー 34─温室効果ガス削減プロジェクト(炭素クレジット) 36高いエネルギー効率で電気をつかう 38─家庭部門における取り組み 40─産業・業務部門における取り組み 42─運輸部門における取り組み 44大気汚染・有害物質への対策 46資源循環 47生物多様性の保全 48環境マネジメント 50

東京電力グループと社会との関わり

株主・投資家、社員とのコミュニケーション 53環境コミュニケーション 54お客さまとの関わり 56国際社会との関わり 58地域社会との関わり 60ビジネスパートナーとの関わり 63社員との関わり 64

東京電力と原子力発電

発電所における情報公開 69災害に強い発電所づくり 70原子燃料サイクル 72

2008年度のCSR活動と2009年度の展開予定 74第三者意見(東京電力環境顧問会) 76サステナビリティレポートの読者とのコミュニケーション 78事業概要 79

ステーク ホルダーの ご意見

東京電力の 回答

4

東京電力グループ経営理念

エネルギーの最適サービスを通じて豊かな生活と快適な環境の実現に貢献する

東京電力グループCSR方針

経営ビジョン2010

東京電力グループが果たすべき基本的な社会的責任は、電気を安全に安定的に供給すること

です。そして、この電気を安定的に供給する上で、よりよい品質、より安い価格、お客さまに

喜ばれるサービス、環境への調和などを常に意識しながら事業を展開することにより、お客さ

まの豊かな生活と、社会全体の快適な環境の実現に貢献していきます。

また、同時に社会の一員として、お客さまや地域社会のみなさま、株主・投資家のみなさま、

ビジネスパートナー、従業員、そのほか社会の多くのみなさまとの対話を重ねつつ、その期待

に誠実に応えることにより、信頼をより確かなものとしていきます。

東京電力グループの社会的責任は、グループ経営理念の実現であり、

その基本は電気を安全に安定的に供給することです。

経営ビジョン2010

社会の信頼を得る

競争市場への参加資格は、

社会のみなさまからいただ

く「信頼」である。

競争を勝ち抜く

当社グループの喜びは、

お客さまの「満足」である。

人と技術を育てる

当社グループの未来を切

り拓くのは、「人と技術」で

ある。

東京電力グループが果たすべきCSRの取り組みは、グループ経営理念をふまえて策定した中期経営方針「経

営ビジョン2010」の下で、日々の業務として展開しています。

1.人間の尊重事業活動のあらゆる場面において、安全を最優先します。また、人権に関する国際社会の基本原

則を守り、いかなる差別も行わず、個人情報の保護を徹底するなど、人権を尊重します。

2.企業倫理の徹底すべての事業活動において、関係法令、国際ルールおよびそれらの精神を遵守し、誠実に行動す

るなど企業倫理を徹底します。

3.透明な事業活動の推進広く社会とのコミュニケーションを行い、透明性の高い開かれた事業活動を推進します。また、

政治・行政とは、健全かつ正常な関係を維持します。

4.商品・サービスの品質・安全確保お客さまの信頼と満足をいただけるよう、品質・安全の確保に万全を期し、価値ある商品・サー

ビスを提供するとともに、常にその価値を高めていきます。

5.環境問題への積極的な取り組み地球環境問題の解決をはじめ、自然環境や生活環境の保全・創出、最適な資源循環の実現に積極

的に取り組み、持続可能な社会づくりに貢献します。

6.地域社会の発展への貢献地域の方々に事業活動を支えていただいているとの基本的な認識にたち、良き企業市民として、

地域社会の発展に貢献する活動を行います。

7.明るく元気な職場づくり安全で働きやすい職場環境を確保するとともに、従業員の人格・個性を尊重し、自主性と創造性

の発揮できる明るく元気な職場をつくります。

東京電力グループ企業行動憲章

5

東京電力グループは、事業活動と様々な関わりを持つ方々、すなわち、お客さまや地域社会のみなさま、株

主・投資家のみなさま、ビジネスパートナー、従業員、その他社会の多くのみなさまとの対話を重ねつつ、

その期待に誠実に応え、信頼をいただくことが基本的な使命であり、持続的に成長を遂げていくための基

盤であると考えます。

東京電力グループは、こうしたみなさまとの信頼の絆を揺るぎないものとし、企業の社会的責任を果たす

ため、企業行動のあらゆる局面において、公正さや倫理を保つことを基本に、以下の原則に基づき行動し

ます。

6

トップコミットメント

東京電力グループの最大の使命は、現代社会において欠かすことのできない電気を安全に安定的にお届けすることです。社会のみなさまに安心して電気をお使いいただくことで、豊かな生活と快適な環境の実現に貢献してまいります。

災害に強く安全・安心な原子力発電所を構築し、安定供給を確保します。

東京電力グループは、経営理念に「エネルギーの最適サービスを通じて豊かな生活と快適な環境の実現に貢献す

る」を掲げ、電気を安全に安定的にお届けすることに尽力してまいりましたが、2007年7月に発生した新潟県中越沖

地震による柏崎刈羽原子力発電所の全号機の停止は、安定供給、収支及び環境に大きな影響を与えており、復旧に

向けた取り組みは当社の最重要経営課題となっています。

こうした中、7号機につきましては、国及び立地地域のご了解をいただき、運転を再開することができました。ご

支援いただきました地域のみなさま、関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。

今後とも、緊張感を失わず、防災・防火対策の徹底をはじめとして、安全最優先を肝に銘じ、設備の健全性確認

や復旧作業、耐震強化工事などについて、一つひとつ着実に、予断を持たず進めてまいります。また、立地地域や

社会の声に真摯に耳を傾けつつ、これら発電所運営に関する情報については、各種マスメディアやホームページな

どを通じて、情報公開を徹底してまいります。そして、協力会社やメーカーのみなさまとともに、東京電力グルー

プが一体となって、世界トップレベルの品質を持つ、災害に強く安全・安心な原子力発電所を構築してまいります。

これら原子力発電所だけでなく、すべての発電所や流通設備について、トラブルを未然に回避するよう、確実な

運転・保守を行うとともに、保安対策強化を継続することで、さらなる安定供給の確保に努めてまいります。

7

電気事業者として、低炭素社会を実現することは重大な責務です。

持続可能な社会を構築していくためには、低炭素社会へのシフトが必要不可欠です。

低炭素社会を実現するためには、エネルギーの供給側、需要側が一体となって取り組みを進めていくことが必要

であり、具体的な手段としては、「原子力」「再生可能エネルギー」「省エネ」が三本柱だと考えています。いずれも電

力との関わりが大きく電気事業者として役割の大きさと責任を感じており、東京電力グループとしても低炭素社会

の実現に向けて最大限貢献してまいります。エネルギー供給面では、ゼロエミッション電源の中心を担う原子力発

電の開発・新増設を確実に進めるとともに、安全・安定運転を前提に、設備利用率を向上させてまいります。また、

世界最高水準の高効率火力発電を導入し、CO2削減に努める他、メガソーラー発電所の建設などを計画的に進める

ことで再生可能エネルギー利用の可能性を広げていきます。需要面では、ヒートポンプを活用した高効率機器や電

気自動車の導入など、電化を推進していくことで、低炭素社会の実現に貢献できると考えています。

現在、低炭素社会に関して国の政策決定など様々な動きがありますが、実効的な政策となるよう、東京電力グルー

プとしても、これまでの事業運営で得た知見を積極的に提示し、協力してまいります。

人と人とのコミュニケーションを大切にしながら、社会的課題の解決に積極的に取り組みます。

東京電力グループは、発電所や送配電線など多くの設備を活用し、地域のみなさまにご協力いただきながら事業

運営を行っています。そのため、社会の一員として、みなさまの声をしっかりと受け止め、様々な課題を解決する

ための取り組みを積極的に行うことが重要だと考えています。

百年に一度と言われる経済不況や、燃料価格の乱高下を受け、企業の収支や雇用環境は悪化していますが、東京

電力グループの事業は、地域のみなさまや社員をはじめとする「人」と、五十数年に及ぶ事業運営の中で培ってきた

「技術」に支えられているという認識の下、人と技術を大切にする姿勢を貫き、長期的な雇用や人材育成、技術継承

に取り組み、社会とともに成長・発展していくことを目指します。また、低炭素な電気の安定供給だけでなく、低

廉な電気料金も社会のニーズであることを認識し、東京電力グループ全体で抜本的な費用・投資削減策を確実に実

行してまいります。

このように、東京電力グループの社会的責任は非常に重大だと感じており、社会のみなさまのご理解・ご協力を

得ながら、課題の一つひとつに全力で取り組んでまいります。

経済の先行きは今後も非常に不透明ですが、このような時代にこそ、明るい未来への転機としての改革と成長が

あると信じ、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

東京電力株式会社

取締役社長

低炭素社会の実現に向けた電気事業者の取り組み

● 2020年度までに原子力を中心とする非化石エネルギー比率50%を目指す

  原子力の活用

● 世界最高水準の高効率コンバインドサイクル※1の導入 ● IGCC※2、CCS※3を活用した低炭素化の研究開発などを推進

  化石燃料利用の高効率化・排出削減対策

風力発電は500万kW程度まで、太陽光発電も局所的な集中設置などの場合を除き1,000万kW程度まで、電力系統の安定度を失うことなく受け入れ可能(それ以上は対策要)

全国約30地点で、約14万kWのメガソーラー発電所を建設

  再生可能エネルギーの拡大

CO2冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュー

ト)を官民一体の普及拡大の取り組み

の下、2020年度でストック約1,000万台普及を目指す

業界全体で、2020年度までに電気自動車約1万台を業務用車両として導入

  効率化・電化の推進

高効率機器の普及・ 電化による省エネ

需要側 発電の一層の高効率・低炭素化 供給側

※1 ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式。 ※2 Integrated coal Gasification Combined Cycle 石炭ガス化複合発電。 ※3 Carbon dioxide Capture and Storage 二酸化炭素回収・貯留。

出典:電気事業連合会の公表資料より作成

2020年度までにCO2排出原単位0.33kg-CO2/kWh程度を目指す

8

一人ひとりがエネルギーの無駄使いをしないよう心がけることを基本とした上で、より安全・安心で快適・便利・衛

生的な住環境を構築するとともに低炭素社会を実現していくためのカギは、家庭、産業など様々な分野で電気の効率利

用を促進する電化であると考えています。東京電力グループは、一体となり電化を推進していきます。

低炭素社会を実現するためには、エネルギーの供給側(つくり方)・需要側(つかい方)の両側面による一体的な取り

組みが必要不可欠です。

電化が切り拓く低炭素社会

エネルギー需要側(つかい方)

ヒートポンプや電気自動車など、一段と高度に発達する

電気機器や技術を駆使し、電化を推進していくことで、利

便性・快適性を維持・向上しながら、低炭素化を進めるこ

とができます。民生部門(業務・家庭部門)と産業部門の

冷暖房や給湯などをすべてヒートポンプでまかない、乗用

車をすべて電気自動車にすると、日本全体のCO2排出量の

約17%に相当する約2.2億tを削減できると試算されてい

ます。

エネルギー効率利用の切り札ヒートポンプ

ヒートポンプは空気中の熱、地中の熱、その他未利用熱

を少ない電気の力で冷暖房や給湯に利用することができま

す。自然に存在するエネルギーを効率よく活用することが

できるという利点もあります。

身近になりつつある電気自動車

電気自動車のCO2排出量は、ガソリン車と比べ約4分の

1であり、CO2削減に大きく貢献します。また、電気自動

車は、静寂性や加速性などに優れ、自動車の新しい価値を

生み出すことができます。

エネルギー供給側(つくり方)

原子力を中心とする非化石エネルギーの割合を高めつ

つ、化石エネルギーを最大限効率よく利用し、可能な限り

CO2排出量を低減させることが必要です。

電気と相性がよい非化石エネルギー

非化石エネルギーは原子力と再生可能エネルギーの2つ

に大別されます。再生可能エネルギーは水力・太陽光・風

力・バイオマスなど、原子力と同様に多くが発電用として

用いられるため、エネルギーの最終的な利用形態を電気に

シフトしていくことで、非化石エネルギーの利用を進める

ことができます。

高効率化が進む火力発電

40年程前は40%程度だった火力発電の熱効率は、最新

鋭の設備では60%程度まで改善されています。これらの

最新鋭設備の導入を進めるとともに、引き続き世界最高の

熱効率を追求する技術開発にも積極的に取り組むことで、

さらなる向上が期待されます。

また、IGCCの技術開発や、さらなるCO2削減に向けた技

術としてCCSの可能性についての研究も進められています。

特 集

試算条件

※1 石油火力を代替するとして試算。  ※2 設備利用率85%、石油火力を代替するとして試算。  ※3 設備利用率12%、電力10社における2007年度のCO2排出原単位0.453kg-CO2/kWhに基づき試算。  ※4 設備利用率80%、従来型ガス火力を代替するとして試算。  ※5 (財)ヒートポンプ・蓄熱センター試算。  ※6 (独)国立環境研究所地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィス「温室効果ガス排出量・吸収量データベース」における乗用車のCO2排出量に基づき試算。

電化の推進は低炭素社会の実現に大きく貢献します。

CO2の少ない「電気をつくる」供給側の取り組み

ヒートポンプ技術の活用

1の電気エネルギーで3~6倍の熱エネルギーをつくり出すことが可能

冷暖房や給湯などをすべてヒートポンプでまかなうと日本全体で年間約1.3億tのCO2削減効果※5

原子力を中心とする非化石エネルギーの利用拡大

CO2の少ない「電気をつかう」需要側の取り組み

原子力発電所の 設備利用率の向上 全国の既設原子力発電所の設備利用率が1%向上すると年間約300万tのCO2削減効果※1

原子力発電所の 新増設

1基138万kWの原子力発電所を増設すると年間約700万tのCO2削減効果※2

メガソーラー計画 全国約30地点で約14万kWのメガソーラー発電所を建設すると、年間約7万tのCO2削減効果※3

電気自動車 ガソリン車に比べCO2排出量は約4分の1 (44ページ参照) 乗用車をすべて電気自動車にすると日本全体で年間約0.9億tのCO2削減効果※6

商業用ビル ホテル・病院などの給湯・空調にもヒートポンプを活用することでCO2削減が可能(43ページ参照)

電化ファクトリー ヒートポンプやIHにより蒸気を使わない工場にすることで生産品質・効率と環境性をアップ

オール電化住宅 従来の電気・ガス併用住宅に比べCO2は約27%削減(40ページ参照)

5 6

6

7

7

8

8

5

1

化石エネルギー利用の高効率化・排出削減対策

世界最高水準の 高効率コンバインド サイクルの導入

MACCⅡ(熱効率61%)を1軸(71万kW)導入すると従来型ガス火力に比べ、年間約60万tのCO2削減効果※4

1 1

将来に向けた 技術開発の推進

●IGCC(石炭ガス化複合発電)

●CCS(二酸化炭素回収・貯留)

2

2

34

43

9

10

東京電力は、世界のエネルギー情勢に適切に対応し、電気

の安定供給を確保するため、長期的な視点に立ち、「安定

性」「環境性」「経済性」のバランスの取れた取り組みを推進

していきます。

信頼度の高い電気をお届けするための取り組み

東京電力は、送電線、変電所、配電線といった流通設備

を計画的に建設し、効率的に運用することにより、電気

の安定供給に努めています。

東京電力では、コーポレートガバナンスの充実により経営

の健全性と透明性を高め、長期的な企業価値の向上をは

かっています。

新型インフルエンザに対する取り組み

東京電力は、人命尊重を第一とした上でライフライン機能

の維持という社会的使命を果たすため、「新型インフルエン

ザ対策に関する行動計画」を2007年4月に策定しました。

東京電力は、CO2の少ない電気をつくる取り組み、高いエ

ネルギー効率で電気をつかう取り組みの両面から「低炭素

社会」の実現に向けて取り組んでいます。

CO2排出原単位の自主目標と実績

2008年度は、前年度に引き続き柏崎刈羽原子力発電所

が停止していましたが、火力発電熱効率の向上などに努め

るとともに、炭素クレジットを活用することにより2008年

度実績となる調整後CO2排出原単位は0.332kg-CO2/kWh

となりました。

東京電力の経営について 詳細は、20~27ページをご覧ください。

東京電力グループの環境への取り組み 詳細は、28~51ページをご覧ください。

低炭素社会の実現

CO2の少ない「電気をつくる」取り組み

高いエネルギー効率で「電気をつかう」取り組み

高効率化・電化の促進 ライフスタイルの省エネ化

発電の一層の高効率・低炭素化

非化石エネルギーの活用

火力発電の熱効率向上

その他の取り組み

技術開発

温室効果ガス削減 プロジェクト(炭素クレジット)

「低炭素社会」の実現に向けた東京電力の取り組み

08

(%)

0

20

40

60

80

100

(年度) 1973 18070605200095908580

原子力

計画

LNG・ LPG

石炭

石油

地熱・ 新エネ

その他の ガス

水力

東京電力のエネルギー別発電電力量構成比(他社受電含む)

09サステナビリティレポート2009 ハイライトサステナビリティの実現に向けて 詳細は、12~19ページをご覧ください。

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.380

0.304

0.418

0.332

(kg-CO2/kWh)

炭素クレジット 反映分   → 20%削減

1990年度 実績

2008~2012年度 目標値

2008年度 実績

東京電力のCO2排出原単位の自主目標と2008年度実績(政府への報告値)

1997 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 イギリス

アメリカ

68分

86分

(回)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0(分)

0

20

40

60

80

100一軒あたりの停電時間(分) 一軒あたりの停電回数(回)

0.12回

3分

東京電力の一軒あたりの停電回数と停電時間の推移

11

東京電力グループと社会との関わり 詳細は、52~67ページをご覧ください。

東京電力と原子力発電 詳細は、68~73ページをご覧ください。

東京電力は、事業活動に関わるそれぞれのステークホル

ダーとのコミュニケーション活動を行っています。いただ

いたご意見・ご要望は真摯に受け止め、CSR活動を一層

充実させていくことで、みなさまから信頼される企業を目

指しています。

環境・エネルギー教育

東京電力は、子どもたちを中心に、幅広い世代に環境問題

に対する意識を高めていただくため、環境やエネルギーに

ついて学ぶ講座を実施しています。

テプコのエコ先生

2008年度より、地域のボランティアの方々と協働で環

境・エネルギー教育支援活動に取り組む「テプコのエコ先

生プロジェクト」を実施しています。

国際社会との関わり

グローバルエネルギーサービスのトップランナーを目指し、

東京電力は電気事業に関わる技術の提供や人材の育成を通

じて、発展途上国の人々のくらしと、持続可能なエネル

ギー開発を支援しています。

東京電力は、安全を最優先に発電所の安定運転に取り組む

とともに、発電所の状況を分かりやすくお伝えすることで

透明性の確保に努めていきます。

災害に強い発電所づくり

災害に強い発電所の構築に向けた取り組みを一つひとつ着

実に進めています。

発電所における情報公開

安心・信頼いただける発電所を目指して、積極的な情報公

開に努めています。

原子燃料サイクル

エネルギー資源の有効活用につながる「原子燃料サイクル」

の確立に取り組んでいます。

フィリピン世界遺産棚田保全小水力発電プロジェクト

マニラ

イフガオ州

セブ

ダヴァオ フィリピン

名称 フィリピン世界遺産棚田保全小水力   発電プロジェクト 場所 フィリピン共和国イフガオ州 設備 200kW、流込み式水力

「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」

消防車と消火要員

柏崎刈羽原子力発電所

地上化された消火栓配管

発電所広報誌

12

東京電力は、激動する国内外の経済・エネルギー情勢に

対して的確に対応し、電気の安定供給を確保するために、

長期的な視点に立ち、「安定性」「環境性」「経済性」のバラ

ンスに配慮した取り組みを進めています。時々刻々と変動

する電力需要に対し、きめ細かく対応することで品質の高

い電気を安定してお届けするとともに、将来にわたって電

力需要に対応するために、電力設備の形成を計画的に進め

ています。

アジアを中心に増え続ける世界のエネルギー消費量

発展途上国を中心に世界のエネルギー消費量は年々増加

しており、2030年までに2006年と比べて約45%増加す

る見込みです。これにより、化石エネルギー資源の枯渇だ

けでなく、CO2排出量の増加や化石エネルギー価格の変動

が世界規模での課題となっています。

エネルギー資源の枯渇

世界中がこのままのペースでエネルギーを生産すること

を前提とすると、今後それぞれのエネルギー資源は、石油

は42年、天然ガスは60年、石炭は133年、ウランは100

年で枯渇すると言われています。

長期的かつ幅広い視野で電気の安定供給に努めています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力グループの使命は、電気の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことです。

そのために、資源の安定確保から発電・送配電ネットワークの効率運用を通じて、日々、みなさまへ電気をお届けするだ

けでなく、長期的かつ幅広い視野でエネルギーの未来を考えています。

輸入に大きく依存する日本のエネルギー事情

日本のエネルギー自給率は主要国の中では極めて低く、

わずか4%です。原子力発電を準国産エネルギーとして考

えても、自給率は19%と8割以上を輸入に依存しているた

め、エネルギー資源の安定確保が重要な課題です。

出典: IEA「World Energy Outlook 2008」より作成

0

30

60

90

120

150

180

発展途上国 (アジア除く)

アジア (中国、インド、 先進国除く)

インド

中国

日本

アメリカ

その他

(年)

(億t:石油換算)

2030202020061990

世界の一次エネルギー消費の推移と見通し

石油

天然ガス

石炭

ウラン

石油・天然ガス・石炭 出典:BP「BP統計2008」 ウラン 出典:OECD-NEA/IAEA「Uranium2007」より算出

0 30 60

42年

90 120 150(年)

60年

100年

133年

エネルギー資源の可採年数

出典: IEA「Energy Balances of OECD/Non-OECD Countries 2008 Edition」

(注1)電力は輸出入量を一次エネルギーとして計上。 (注2)端数処理の関係で合計が合わない場合がある。

(%)

原子力を 含まない

原子力

15 19

3950

7181

153

77

0 1513

43

99

9

1

15 427

7

6272

143

93 192

76

0

20

40

60

80

100

120

140

160

イタリア

日本

ドイツ

フランス

アメリカ

イギリス

カナダ

中国

インド

主要国のエネルギー自給率

13

東京電力は、お客さまにご満足いただくため、サービスの

品質向上をはかりながら、電源のベストミックスを進める

とともに、業務効率の一層の改善など、徹底した経営効率

化を推進し、低廉な電気料金の維持に努めています。

化石エネルギー資源価格の大幅な変動

最近の化石エネルギー資源の価格は、世界的なエネルギー

消費量の増加や金融要因などによる高騰、その後の世界的

な景気悪化などによる急落など、不安定な動きで推移して

います。

低廉で安定した電気料金の維持に取り組んでいます。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

エネルギーを取り巻く環境

電気料金水準の維持

原油価格をはじめとする化石エネルギー資源の価格が大

幅に変動する中、東京電力は電源のベストミックスの推進

や、業務効率化の徹底などにより、低廉な電気料金水準の

維持に努めています。

1998 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 0908 (年)

(注)家庭用モデル電気料金:従量電灯B 30A 290kWh/月(燃料費調整額・消費税               相当額・口座振替割引額(2001年1月以降)を含む) 原油輸入価格 出典:財務省「貿易統計」より作成

原油輸入価格

家庭用モデル電気料金

(1998年1月=100)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

家庭用モデル電気料金と原油輸入価格の推移

出典:財務省「貿易統計」より作成

1988 90 92 94 96 98 2000 02 04 06

48.2

26.9

12.6

0908 (年)

原油(千円/kR)

LNG(千円/t)

一般炭(千円/t)

0

20

40

60

80

100

原油・LNG・石炭の輸入価格の推移

燃料費調整制度は、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の燃料価格の変動に応じて、自動的に電気料金を調整す

る制度です。燃料価格や為替レートの変動など、経営効率

化努力の及ばない要素を外部化することで、経営効率化の

成果を明確にするとともに、経済情勢の変化をできる限り

迅速に料金に反映させるため、1996年に導入されました。

● 燃料費調整制度見直しの概要

燃料価格の変動をより迅速に電気料金に反映させると

ともに、電気料金の急激な変動を緩和するため、2009年5月分の電気料金から、燃料費調整制度における料金反映の仕組みや調整方法の見直しを行いました。

①料金反映の仕組み(反映までの期間・タイミング)の見直し

平均燃料価格を燃料費調整単価に反映させるまでの期

間を現行の3カ月から2カ月へ1カ月短縮するとともに、3カ月ごとに変更していた燃料費調整単価を1カ月ごとに変更します。

見直し後

3カ月間の平均燃料価格に基づき、2カ月後の燃料費調整単価を算定し、1カ月ごとに電気料金を調整します。

②調整方法(調整を行わない範囲)の見直し

燃料価格の変動が基準燃料価格から一定範囲内(±5%)にとどまる場合には調整を行わないという現行の仕組みを

廃止し、平均燃料価格と基準燃料価格の差が小幅な場合

についても調整を行います。

燃料費調整制度

電気料金

基本料金(税込)

燃料費 調整単価 (税込)

1カ月の 使用電力量

電力量 料金単価 (税込)

1カ月の 使用電力量

燃料費調整額

電力量料金

電気料金の仕組み(家庭用のお客さまの場合)

10月分 11月分 12月分 1月分 2月分 3月分 4月分 5月分 6月分 7月分 8月分 9月分

燃料費 調整単価 適用期間

平均燃料価格 算定期間

2カ月後

燃料費 調整単価 適用期間

平均燃料価格 算定期間

2カ月後

14

電源のベストミックス

サステナビリティの実現に向けて

エネルギー資源や発電方式には「安定性」「環境性」「経済

性」の側面で様々な特長があります。東京電力は、それぞ

れの特長を活かし、中長期的なエネルギー情勢に最も適し

た組み合わせを選択する「電源のベストミックス」を推進し

ています。これにより、将来にわたる安価で品質のよい電

気の安定供給を目指しています。

エネルギーの貯蔵機能を持つ揚水式水力、電力需要の変

動に柔軟に対応することができるLNG火力、燃料確保の

安定性に優れている石炭火力、供給安定性・環境性・経

済性の面で優れている原子力など、それぞれの特長を持つ

発電方式をバランスよく組み合わせた発電設備づくりを進

めています。

特に原子力発電は、安定した発電が可能であり供給力の

ベースとして、また地球温暖化を防止する非化石エネル

ギーの主力として、安全の確保を最優先に、開発を進めて

います。

加えて、低炭素社会を実現するために電気事業者全体で

掲げた「2020年度までに原子力を中心とする非化石エネ

ルギー比率50%を目指す」という目標の達成に、積極的に

貢献していきます。

水力発電

資源の少ない日本において、古くから有効なエネルギー

として開発されてきた水力発電は、発電機の運転開始から

最大出力を発生させるまでの時間が数分と短く、また水の

流量を調整することにより数秒単位で出力を大きく変える

ことができるなど、即応性に優れているため、電力需要の

変動に対して迅速に対応することが可能であり、系統の安

定や電力品質の確保に大きく貢献する発電方式です。

また、揚水式、貯水池式、調整池式などのダムや調整池

を持つ水力発電所は、電力を水の位置エネルギーとして蓄

えておけることから、昼間の電力需要のピーク時に柔軟に

対応することができます。

水力発電は、純国産の再生可能エネルギーを活用するこ

とでエネルギー自給率の維持に寄与するとともに、発電過

程においてCO2などの温室効果ガスを排出しないことか

ら、「安定性」「環境性」に優れた発電方式であるため、経年

化が進む既設発電所の設備の改修や、水車の技術開発な

ど、発電効率の向上に努めています。

電源のベストミックスで長期的な電気の安定供給を目指します。

原子力

(円/kWh)

石炭火力

LNG火力

石油火力

水力

風力(大規模)

太陽光(住宅用)

(注)原子力・火力・水力は、耐用年数40年・利用率80%(水力は45%)の値。 原子力・火力・水力 出典:総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委             員会(2004年1月) 風力・太陽光 出典:総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会報告書(2001年6月)

0 10 20 30 40 50 60 70 80

5.3円

66円

10~14円

11.9円

10.7円

5.7円

6.2円

1kWhあたりの電源別発電コスト

08

(%)

0

20

40

60

80

100

(年度) 1973 18070605200095908580

原子力

計画

LNG・ LPG

石炭

石油

地熱・ 新エネ

その他の ガス

水力

23

60

1

45

9

16

東京電力のエネルギー別発電電力量構成比(他社受電含む)

平均的な石油火力で 発電した場合に想定 されるCO2排出量

実際のCO2排出量

2億1,320万t

3,480万t940万t

原子力発電 4,790万t

40万t

LNG火力発電水力発電

自然エネルギー

1億2,070万t CO2排出抑制量

CO2排出抑制量の内訳

抑制

電源の組み合わせによるCO2排出抑制量(2008年度)

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

15

原子力発電

原子力発電は、「安定性」「環境性」「経済性」のバランス

のよい発電方式で、現在、東京電力の発電設備の3割近く

を占めています。

他の主要国に比べてエネルギー資源が少ない日本におい

て、長期的なエネルギーセキュリティの確保は最重要課題

です。原子力発電は、燃料となるウランをオーストラリア

やカナダ、アメリカなど政情の安定した国から輸入してい

ること、一度ウランを原子炉の中に入れると最低1年間は

燃料を取り替えずに発電できることに加え、燃料のリサイ

クルが可能であることから、国のエネルギー戦略の中で基

幹電源として位置付けられているとともに、東京電力にお

いても、供給力の主体となるベース電源として重要な役割

を果たしています。

また原子力発電は、ウランが核分裂を起こす際に発生す

る熱を利用するため、発電過程において地球温暖化の原因

とされるCO2や、大気汚染の原因とされるSOx・NOxを

排出しないことから、優れた環境性を有しています。

さらに、原子力発電は発電コストに占める燃料費の割合

が小さいため燃料価格に左右されにくく、電気料金の安定

にも役立っています。

再生可能エネルギー

風力・太陽光などの再生可能エネルギーによる発電は、

発電過程においてCO2などの温室効果ガスを排出しない

ため、地球温暖化対策の一つとして大きな期待を集めてい

ます。

再生可能エネルギーは、出力が自然条件によって変動す

るため、火力発電などの系統電力によるバックアップが常

に必要である他、発電コストが高いなど、解決すべき課題

はありますが、貴重な純国産エネルギーを利用する発電方

式として、経済性などを考慮しながら、効率よく導入を進

めていきます。

火力発電

東京電力の発電設備の約6割を占める火力発電は、時々

刻々と変化する電力需要への柔軟な対応が可能であることか

ら、電気を安定供給する上で、中心的役割を担っています。

エネルギーセキュリティの観点から、多種多様な化石エ

ネルギーの利用を進めている他、エネルギー資源を有効に

利用し、CO2排出を抑制していくため、効率向上に向けた

取り組みを継続的に行っています。

多種多様な化石エネルギーの利用

火力発電所では、燃料確保の安定性や経済性、環境対策

などの観点から、重油や原油などの石油系燃料に加え、硫

黄分を含まずクリーンな燃料であるLNG(液化天然ガス)

やLPG(液化石油ガス)、世界各地に豊富な埋蔵量が存在す

る石炭など、多種多様な化石エネルギーを利用しています。

高効率化への取り組み

東京電力の火力発電熱効率が1%向上すると、CO2排出

量が年間約180万t削減され、燃料使用量は重油換算で年

間約80万kr節減されるため、高効率発電設備を導入する

など、熱効率の向上に努めています。

具体的には、世界最高水準の熱効率59%を達成する

1,500℃級コンバインドサイクル発電*(MACC発電)を

導入しています。さらなる高効率化を目指し、熱効率が約

61%になる1,600℃級コンバインドサイクル発電(MACC

Ⅱ発電)を2016年度に導入する予定です。*コンバインドサイクル発電

ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式。

(年度)

39.6%

(注)低位発熱量は総合エネルギー統計(2004年度版)の換算係数を用いて、  高位発熱量実績より推定。

35

40

45

50

55

60

1970 10 1605 0820009590858075

鹿島1号 42.7%

鹿島5・6号 43.2%

富津1・2号系列 47.2%

横浜7・8号系列 54.1%

クラス別設計熱効率

火力発電熱効率(汽力発電端)

46.1%

(%) 川崎1号系列 59%川崎2号系列(第2軸)約 61%

富津3号系列 55.3%

東京電力の火力発電熱効率(低位発熱量)

火力発電の熱効率向上の詳細については、33ページをご覧ください。

原子力発電の環境優位性については、32ページをご覧ください。

再生可能エネルギーの詳細については、34~35ページをご覧ください。

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

原油などの化石エネルギーが減少する中、これらに代わるべきエネルギーはどう考えているか?(はがき)

「安定性」「環境性」「経済性」の面で優れている原子力発電の推進や再生可能エネルギーの導入を進めていくとともに、化石エネルギーを最大限効率的に活用していきます。

16

電力流通設備

サステナビリティの実現に向けて

東京電力は、送電線、変電所、配電線といった流通設備

を計画的に建設し、効率的に運用することにより、電気の

安定供給を維持しています。

送電線の形成にあたっては、ルートを網の目状にし、万

一災害が発生して通常の送電ルートを使用できなくなった

場合でも、即時に他のルートを経由して送電できるように

しています。

また、設備の多重化、送電線や配電線の連系により停電

を回避しています。さらに配電線事故により停電が発生し

た場合、故障区間を切り離し、それ以外の区間へ自動的に

送電するシステムも設置し、短時間で復旧できるようにし

ています。

加えて、発電所や給電所など電力を制御する重要施設で

は、電力設備に事故や故障が発生した場合に備えて、24時間体制で監視しています。

膨大な設備の維持・管理

遠く離れた発電所から、高品質な電気を大量にお届けす

るため、送電線・変電所・配電線を広く敷設しています。

これらの設備を効率的に管理し効果的な運用・保守を行う

ため、省電力化やコストダウン、サービス向上を目指した

機器・システムの導入などに向けて、様々な研究・開発を

行い、設備の自動化や高度化を進めています。

高い信頼度を確保するための取り組み

送電線への落雷など、事故が発生した場合、迅速確実に

事故区間を判定して系統を切り離し、他の系統へ事故によ

る障害や影響が波及することを防止するシステムを導入し

ています。

また、変圧器や送電線に設備容量を超えて電気が流れる

ことを防止するシステムや重要送電線2回線にまたがる大

規模な系統事故に備えるシステムなどを整備し、系統を構

築しています。

配電線事故による停電が発生した場合には、配電自動化

システムによって現地に出向することなく故障区間周辺へ

の送電を迅速に行います。これにより、現地作業者が早急

に事故復旧作業へ取りかかることが可能となり、停電時間

の大幅な短縮につながっています。加えて、配電自動化シ

ステムは遠方監視・制御が可能であることから、日常にお

ける負荷切替作業の効率化にも効果を発揮しています。

これらの取り組みにより、停電回数・時間は年間0.12

回、3分と諸外国と比べ、極めて高い供給信頼度を確保し

ています。

お客さまへ電気をお届けするために、「電気の通り道」を守り続けていきます。

送電線の回線延長 変電所の箇所数 配電線の延長

架空 28,541km地中 11,652km

1,588カ所架空 1,002,300km地中 31,635km

流通設備の規模 (2009年3月末現在)

発電所

電気の流れ 電気の流れ

発電所 50万ボルト変電所

27万ボルト変電所

電気の消費地

50万ボルト系統

6万ボルト系統

27万ボルト系統 架空線 地中線

地中線

配電用変電所

東京電力の電力系統

1997 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08

68分

86分

イギリス

アメリカ

(注)東京電力の値は、非常災害及び工事計画による停電を除く。

イギリス 出典: Ofgem「2007/08 Electricity Distribution Quality of Service Report」        2007年度値 アメリカ 出典:コンソリデーティド・エジソン、フロリダ・パワー&ライト、エヌスター、         パシフィック・ガス&エレクトリック、サザン・カリフォルニア・エジソン5社         のSAIDI2008年平均値(SAIDI:System Average Interruption         Duration Index)

(回)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0(分)

0

20

40

60

80

100

一軒あたりの停電時間(分) 一軒あたりの停電回数(回)

0.12回

3分

東京電力の一軒あたりの停電回数と停電時間の推移

安全で快適な通行空間の確保、都市景観との調和などの

観点から、無電柱化はますます重要な課題となってきてい

ます。電線類の地中化は、国土交通省・警察庁・経済産業

省・総務省などの省庁と、電気事業者・通信事業者などの

電線管理者で構成される「無電柱化推進検討会議」により

国レベルで策定される「無電柱化推進計画」に沿って進め

られています。

東京電力は、今後も、国や地方自治体が進める快適な生

活環境の構築と、活力ある市街地形成に寄与するために、

道路管理者及び地元のみなさまと「三位一体」の協力体制

により、社会的基盤整備としての地中化に取り組んでいき

ます。

17

社会的基盤整備として無電柱化を進めています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

近年、電力需要の伸びの鈍化にともなう新設計画の減少

や設備信頼度の向上による事故発生頻度の低下などによ

り、実務を通じて技術・技能を継承する機会が減少してい

ます。このような状況をふまえ、東京電力は会社全体で

「第一線職場の技術・技能の維持・向上」に向けて様々な

取り組みを行っています。

● 個人のレベルチェック

日常業務を通じた指導・育成(OJT)を計画的に行うことができるよう、個人の強み・弱みを具体的に確認する仕

組みを導入しています。

● S級技能認定制度第一線職場の技術・技能について、安全確保・効率改

善・品質向上の観点から、社内外への提言・技術判断や

技術継承・人材育成について責任を持って遂行できる人

材を「S級」として認定しています。2009年3月末現在、230名が「S級」に認定され、各職場においてメンバーの具体的な目標となり、高い技術・技能レベルの習得に挑戦す

る意欲を促しています。

● 実践を通じた技術・技能の習得

日常業務において計画的に作業を実践し、設備への理解

を深めながら、最適な設備環境の保持や、安全かつ効率的

な設備運用に努めています。

● 全社技術技能競技大会

東京電力及びグループ会社の社員が一体となり、これま

で培った技術・技能の成果を発揮し競い合うことで、日常

の工夫や改善の成果を広く社内に水平展開し、職場の活

性化に役立てています。流通部門だけでなく、火力・原子

力などの発電部門も一体となって取り組んでいます。

全社技術技能競技大会

技術・技能の維持・向上にも取り組んでいます

1995 0807050320019997

(%)

(年度)

7.0

7.5

8.0

8.5

9.0

9.5

10.0

(注)地中化率= 地中線ケーブル延長

架空線亘長+地中線ケーブル延長 ×100

9.6%

東京電力の配電線地中化率の推移

地中化前

地中化後

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

都市環境、都市景観に関する取り組みについて教えてほしい。(アンケート)

快適な生活環境の構築や都市景観との調和を目指し、地方自治体や地域のみなさまと協力し、無電柱化を進めています。

埼玉県川越市「時の鐘」周辺の無電柱化

18

需給運用

サステナビリティの実現に向けて

電気の使われ方は、季節や曜日、昼夜によって大きく変

わります。東京電力のサービス区域では冷房需要の増加な

どにより夏期に最も電気が使われ、春秋に比べ1.4倍程度

の最大電力が発生します。また、夏の1日では、朝、経済

活動が始まるとともに電力需要は急増し、13時から16時

の間にピークを迎えた後、徐々に減少していきます。特に

真夏には最大電力は最小電力の約2倍になり、気温の変化

に応じて電力需要は常に変動しています。

0 12 24(時)

夏 春秋

0

20

40

60

80

100

夏の最大電力を100としたときの電力需要の比較

中央給電指令所

電力需要に即応した発電所の出力調整

電気は水やガスと異なり貯蔵することが難しく、生産即

消費という特性があるため、時々刻々と変化する電力需要

に即応した発電所の出力調整をすることが必要です。電

圧・周波数が安定した高品質の電気をお届けするために、

中央給電指令所では24時間体制で電力需要を監視し、各

発電所の出力をきめ細かくコントロールしています。また、

発電・流通設備で一貫した運用計画を年・月・週・日ご

とに作成し、設備・人員・燃料を準備することで、需給運

用を確かなものとしています。

電気の使われ方に合わせてきめ細かく供給をコントロールしています。 防災訓練を行い、

災害時対応の検証と能力向上をはかっています

首都直下地震や東海地震の切迫性が高まる中、災害発

生時でも電気を安定して供給するためには、万一の事故や

災害に備えた総合的な対応力が必要になります。そのた

め、東京電力では、日頃から情報連絡訓練や事故復旧訓

練、初期応動訓練などを実施するとともに、国や自治体な

どが主催する防災訓練にも積極的に参加しています。

阪神・淡路大震災の他、これまで経験した2006年の送電線へのクレーン船接触による大停電や2007年の新潟県中越沖地震による発電所被災など、事故や災害の教訓か

ら得られた対応策を社内マニュアルに反映するとともに、

これら防災訓練の中で実効性を確認することにより、さら

なる改善をはかっています。また、防災訓練を課題抽出の

機会ととらえ、一つでも多くの課題を洗い出せるよう様々

な訓練を計画し、繰り返し行っています。

● 全店情報連絡訓練

毎年1月の「防災とボランティア週間」に合わせて実施している「全店情報連絡訓練」では、本店・各事業所・関係

会社が参加し、より実践的な訓練になるよう、予めシナリ

オを公開せず、情報収集や災害対策活動を行うことによ

り、災害時対応能力の向上をはかっています。

送電鉄塔における事故復旧訓練

全店情報連絡訓練

19

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

2007年7月に発生した新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が被災し、全号機が運転を停止したことにより、電気の

安定供給だけでなく、収支面・環境面でも大きな影響を受けています。

柏崎刈羽原子力発電所の復旧への取り組み状況

(2009年5月末現在)

2009年5月8日、東京電力は7号機の運転再開につきま

して、地方自治体よりご了解をいただきました。新潟県中

越沖地震以降、これまでご支援いただきました地域のみな

さま、関係者のみなさまに改めて厚く御礼申し上げます。

今後、最終的な健全性を確認することとしていますが、よ

り一層の情報公開に努めるとともに、安全を最優先に取り組

んでいきます。

また、1~6号機につきましても、設備の健全性確認や復

旧作業、耐震強化工事などについて、安全を第一に一つひ

とつ着実に進めてまいります。

引き続き設備の健全性確認を

計画的に進めています

点検・評価計画書に基づき

点検を行います。機器単位の

健全性を確認後、関連する機

器を組み合わせて系統単位の

評価を実施した上で、実際に

原子炉を起動させてプラント

全体の試験を行います。

耐震強化工事を進めています

耐震安全性を向上させるため、基準地震動による評価を

もとに、耐震強化工事を行っています。また、安全上重要

な機能を有する設備においても同様に、耐震安全性が確保

されていることを確認します。

消火設備・体制を強化します

初期消火体制を充実させるために、化学消防車、水槽付

消防ポンプ車などを配備するとともに、消火要員も増員す

るなど様々な取り組みを進めました。

地震に強い免震重要棟の建設を進めています

災害時の対応力強化を目的とした取り組みの一つとし

て、免震重要棟の建設を進めています。

柏崎刈羽原子力発電所の最新の状況などについては、ホームページにてお知らせしています。

> 柏崎刈羽原子力発電所 > 新潟県中越沖地震での発電所情報原子力

新潟県中越沖地震をふまえた取り組みについて

原子力発電所の耐震安全性向上への取り組みについては、70~71ページをご覧ください。

設備構成比

水力

柏崎刈羽

その他原子力

火力

発電電力量構成比(他社受電含む)

13%

15%

57%

15%17%

6%

56%

20%

549億kWh

821.2万kW

(注)端数処理の関係で合計が100にならない場合がある。

柏崎刈羽原子力発電所の位置付け(2006年度)

CO2排出量(万t-CO2)CO2排出原単位(kg-CO2/kWh)

2006年度

2008年度

9,760

12,070

0.339

0.418(炭素クレジットを反映した調整後CO2排出原単位は0.332)

2006年度と2008年度のCO2排出量・排出原単位の比較

東京電力における柏崎刈羽原子力発電所の位置付け

柏崎刈羽原子力発電所は、東京電力の発電出力の約1割、

発電電力量の約2割を占めており、電気の安定供給に欠か

すことができない、極めて重要な発電所です。

収支面への影響

柏崎刈羽原子力発電所の復旧費用に加え、発電所の停

止によって減少した供給力を火力発電で補うための火力燃

料費の増大により、収支にも大きな影響が出ています。

環境面への影響

長期計画停止火力の運転再開など、火力発電の増加に

より、地震発生前の2006年度実績に比べ、実CO2排出量

で約24%増加、実CO2排出原単位で約23%増加となりま

した。

(億円)

柏崎刈羽原子力発電所停止による影響

影響額合計

2009年3月期

6,490

燃料費など

燃料費・購入電力料などの増

核燃料費・原子力バックエンド費用の減

復旧費用など

特別損失(災害特別損失など)

その他(休止火力立上げ費用など)

5,850

6,350-500

640

56575

ポンプ点検

系統機能試験

20

経営の執行と監督を分離した体制の構築

東京電力は、取締役20名以内で構成される取締役会に

おいて(2009年3月末現在、社外取締役2名を含む20名で

構成)、重要な業務執行について決定するとともに、取締

役の業務執行を監督しています。

この取締役会の機能を補完するため、常務会や組織横断

的な社内委員会を設置し、意思決定の効率化と適正化をは

かっています。また、執行と監督の分離のため、執行役員

制度を導入しています。

経営への監査については、7名以内の監査役のうち半数

以上を社外監査役とし、機能を強化しています(2009年3

月末現在、監査役7名中4名が社外監査役)。また、内部監

査については、独立した専任体制(品質・安全監査部、原

子力品質監査部)を整備しています。さらに、企業倫理や

原子力安全・品質保証などについて、社外有識者からなる

委員会を通じていただいた様々なご意見を経営に反映する

ことにより、その透明性を確保しています。

取締役・執行役員の会社経営に対する責任を明確化す

るため、2007年6月より任期を2年から1年に短縮しまし

た。また、報酬についても、客観性と透明性を確保するた

めに業績連動制度を導入し、社外有識者を中心とする報酬

委員会(2007年4月設置)で決定しています。

コーポレートガバナンスを確立し経営の健全性と透明性を高めます。

東京電力は、コーポレートガバナンスの充実により経営の健全性と透明性を高め、長期的な企業価値の向上に努めています。

内部監査

監査

報告

意見

報告

意見

報告

監査

監査

原子力安全・ 品質保証会議

監査役 (監査役会)

指示

報告

報告

報告

選任・解任

調査・対応 相談

報酬委員会

選任・解任

内部監査部門

品質・安全監査部

原子力品質監査部

防災対策委員会

システムセキュリティ

対策委員会

品質・安全委員会

総合技術委員会

人材開発・

組織管理委員会

人権啓発委員会

内部統制委員会

   委員会

リスク管理委員会

需給対策委員会

企業倫理委員会

内部監査

企業倫理 委員会統括事務局

企業倫理相談窓口

調査・対応

グループ会社

監督

報告

監督

選任・解任

報告

会計監査人 (監査法人)

相談

株主総会

指示

報告

常務会

報告

社長(代表取締役)

業務執行部門

取締役会

CSR

マネジメント体制(2009年3月末現在)

東京電力の経営について

21

東京電力は、取締役会で決議した内部統制システム構築

の基本方針(「会社業務の適正を確保するための体制の整

備」2006年4月制定、2007年4月改定)をもとに、「内部

統制委員会」が中心となって、法令などの遵守の徹底、業

務の有効性・効率性の向上など、会社業務の適正を確保す

るための体制を整備・運用するとともに、適宜評価し、改

善に取り組んでいます。

会社業務の適正の確保

取締役会などでの決定事項に基づく業務執行は、「職制

および職務権限規程」などにおいて、責任と権限を明確に

した上で、代表取締役、業務担当取締役、執行役員、本部

長、部長などが適切かつ迅速に遂行しています。また、規

程・マニュアルなどの社内規程について整備及び定期的な

見直しを行い、法令遵守や会計の適正処理をはじめとする

日常業務に関する品質の維持・向上に努めています。加え

て、平常時及び緊急時のリスク管理体制や内部監査体制、

監査役の監査が実効的に行われるための体制(監査役の職

務を補佐する専任組織の設置、監査役への報告体制など)

を整備し、会社業務の適正の確保に努めています。

金融商品取引法への対応

金融商品取引法に基づく「財務報告に係る内部統制報告

制度」についても、内部統制委員会の下で適切な制度運

用・評価などを行い、財務報告の信頼性確保に努めてい

ます。

東京電力グループとしての取り組み

グループ全体のリスクを一元的に管理する他、グループ

会社における職務執行上重要な事項についての当社への事

前協議・報告や、意見交換などを実施しています。これに

より、グループ会社の経営状況を把握するとともに、グ

ループにおける経営課題の共有と解決に努めています。

CSR推進体制

東京電力グループ全体のCSRに関わる重要事項につい

ては、CSR担当役員を委員長とする「CSR委員会(2004

年7月設置)」で審議しています。

CSRの取り組みの実効性を高めるため、実務者レベル

の会議体である「CSR連絡会」を委員会の下に設置してい

ます。

また、グループ会社を含めた環境管理の充実を目指し、

「環境管理部会」において、環境施策の推進、目標の設定、

チェック&レビューを行っています。

さらに、「経営広報幹事会」では、部門を横断して共有・

検討すべき広報に関わる事項について、CSRの観点から審

議しています。

加えて、「関係会社経営情報連絡会」を通して、グループ

全体へのCSR方針の浸透などをはかっています。

CSR委員会を中心にグループのCSR活動を推進しています。

基本方針に基づき内部統制システムの充実・強化をはかっています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

CSR・内部統制推進体制

経営広報 幹事会

CSR連絡会

環境管理 部会

関係会社 経営情報 連絡会

事務局 (企画部・環境部・広報部)

CSR委員会

CSR推進体制

CSR委員会

22

リスクマネジメント・防災体制

東京電力の経営について

リスクマネジメント体制

東京電力では、リスク管理の最高責任者である社長を委

員長とする「リスク管理委員会」が中心となり、経営に重大

な影響を及ぼすリスクを把握・評価し、毎年度の経営計画

に反映しています。

個別の事業リスクについては、リスク管理所管箇所(本

店各部・事業所・グループ会社)ごとに「リスク管理責任

者」を設置した上で管理を行い、必要な対策を講じている

他、リスク管理所管箇所を横断するリスクについては、社

内委員会を設置し、必要な対応を行っています。

また、危機・緊急事態に備えた体制などの整備や日頃の

情報収集を通じてリスクの顕在化を防止するとともに、危

機・緊急事態発生時には迅速かつ的確に対応することに

より、経営に及ぼす影響を最小限に抑制するよう努めてい

ます。

事務局 (企画部・広報部・ 関連事業部・総務部)

社長 (リスク管理の最高責任者)

社内委員会

本店各部

リスク管理責任者

事業所

リスク管理責任者

グループ会社

リスク管理責任者

リスク管理所管箇所

リスク管理委員会 (リスク管理の統括)

取締役会

リスクマネジメント体制

東京電力は、防災業務計画や社内マニュアルなどを定

め、全社一体となった危機管理体制を整備しています。

電力設備への被災を防止するとともに、発生した場合は

被害を軽減し、早期に復旧することを目指しています。本

店や事業所では年に1回以上の防災訓練(復旧訓練、情報

連絡訓練など)を行い、災害時対応の検証を行っています。

非常災害時における対応力の強化に努めています。

> TEPCOニュース> TOPICS > 防災業務計画

日頃よりリスクを管理しリスクの顕在化防止に努めています。

①被災しにくい設備

・耐災設計、補強 ・的確な保守 など

②被災時の影響軽減

・設備構成の多重化 ・バックアップ機能   など

③被災設備の早期復旧

・復旧資機材整備 ・復旧活動円滑化   など

非常災害※の発生を防止する。また、発生した場合は 災害の規模を軽減し、早期に健全な状態に復旧する。

人身安全確保・人命尊重が最優先、電力供給は可能な限り継続

※自然災害や内部要因、外的要因などにより電力設備が被災し、人身災害が発生すること、周囲環境に多大な影響を及ぼすこと、広範囲・長時間停電となり社会・経済システムに機能障害をもたらすことなど。

防災対策の基本計画

非常災害発生時及び予想される場合の対応

非常災害が発生した場合や発生が予想される場合は、直

ちに「非常態勢」を発令し、本店・支店・支社などに対策本

部・支部を設置し、迅速に復旧作業を行う体制を整えます。

また、復旧に必要な資機材を各地の資材センターに配備

し、他の地域の電力会社などとの協力体制も確立しています。

非常態勢の区分 非常災害の情勢

第1非常態勢■ 総務部長● 約8,000人

・災害の発生が予想される場合・災害が発生した場合

第2非常態勢■ 副社長(防災対策委員長)● 約16,000人

・大規模な災害の発生が予想される場合・大規模な災害が発生した場合・電気事故による突発的な広範囲停電が発生した場合・東海地震注意情報が発せられた場合

第3非常態勢■ 社長● 約28,000人

・大規模な災害が発生し、復旧に長期化が予想される場合・サービス区域あるいは事業所のある県内で震度6弱以上の地震が発生した場合・東海地震警戒宣言が発せられた場合

非常態勢

■:非常災害対策本部長(本店) ●:非常災害対策要員(全社)

23

東京電力は、2007年4月、新型インフルエンザ対策の基

本的な考え方を示した行動計画を策定しました。現在は、

「新型インフルエンザ対策本部」が中心となって、対策の具

体化・詳細化を進めています。

基本方針

人命尊重を第一として、ライフライン機能の維持という

社会的使命を果たすため、次のような方針に基づいて対策

を策定しています。

また、対策の前提について、厚生労働省のガイドライン

に基づき、1回の流行期間は8週間、欠勤率は25%とし、

最も被害が深刻となる大流行期はそのうちの2週間程度、

欠勤率は40%に達すると想定しました。その上で、「危機

管理体制」「事業継続対策」「感染予防・拡大防止対策」の3

つを対策の大きな柱として、流行段階ごとの具体的な対策

を策定しています。

新型インフルエンザに対する取り組みを進めています。

> TEPCOニュース> TOPICS > 新型インフルエンザ対策に関する行動計画

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

危機管理体制

自然災害時の非常態勢を基本に、新型インフルエンザ

特有の被害態様を加味した対策本部・支部態勢を定めま

した。

事業継続対策

基本方針に基づき、流行時にも継続しなければならない

優先業務を選定し、そのための要員・代行者の確保や、関

係会社などとの連携確保について定めています。

感染予防・拡大防止対策

社員と家族の安全と健康を守るとともに、事業継続に必

要な業務に従事する要員を確保するため、以下のような対

策を実施しています。

・手指衛生・咳エチケットの励行など、

社員と家族に対する啓発・教育(パン

フレットの配布)

・通常のインフルエンザ予防接種の推奨

・感染(疑い)者の非出社・帰宅の徹底

・マスクなど感染予防物品の備蓄

主な対策

流行段階 対策

発生前期 <WHOフェーズ3>

海外発生期 <WHOフェーズ4A>※

国内発生期 <WHOフェーズ4B~5B>※

大流行期 <WHOフェーズ6B>※

※フェーズ4Aは国内発生がない場合。フェーズ4Bは国内発生がある場合。フェーズ5・6も同様。

海外勤務者に対する 措置の実施

海外勤務者に対する 基本方針の検討

感染予防物品の配布 感染予防物品の使用(マスク着用など) 感染予防物品の備蓄

通勤・会議などでの感染予防・拡大防止策の実施 通勤・会議などでの感染予防・

拡大防止策の検討

手洗い・うがいの励行など社員への予防啓発の実施 予防啓発方法の検討

優先業務の選定 要員・代行者確保策の検討

協力体制の整備

流行状況に応じた優先業務の選定 要員・代行者の選定

協力会社などへの協力依頼・体制確立

優先業務の実施(その他業務の中断) 要員・代行者確保による運営

協力体制の運営

危機管理体制

事業継続対策

感染予防・ 拡大防止対策

新型インフルエンザ対策関係者会議

海外緊急事態 対策本部

新型インフルエンザ対策本部 第1、2対策態勢(総務部長、副社長)      第3対策態勢(社長)

情報収集(海外発生状況) 情報収集(国内発生状況、他のライフラインの動向など)

(必要に応じて)所管官庁への報告・情報交換など、社員への周知

第1、2対策態勢の発令は、発生地域・状況に応じて決定

流行段階別の対策

● フェーズ4~5(国内発生期)

● フェーズ6(大流行期)

:可能な限り通常に近い形で事業を継続

:電力供給の維持に直接関わる優先業務

に特化した形で事業を継続

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

「ヒト」に関するリスクについて情報公開をすべき。(アンケート)

「新型インフルエンザ対策に関する行動計画」を策定し、対策に取り組んでいます。

24

企業倫理の遵守

東京電力の経営について

「東京電力グループ企業行動憲章」に基づき、企業行動

のモノサシとして、「ルールの遵守」「誠実な行動」「オープ

ンなコミュニケーション」について、企業として優先しな

ければならない価値観や遵守事項を明示した行動基準を

定めています。東京電力では全社員がこの行動基準を意

識・共有しながら、日常業務に取り組んでいます。

企業倫理の方向性・基準の明示

企業倫理責任者の明確化及び企業倫理担当の設置

「しない風土」の構築

「言い出す仕組み」の構築

「させない仕組み」の構築

実践・定着

社会常識に沿った 業務運営・企業倫理徹底のための推進体制

「東京電力グループ企業行動憲章」の制定

「企業倫理遵守に関する行動基準」の制定

企業倫理相談窓口 の設置

企業倫理委員会 の設置

企業倫理グループ の設置

企業倫理遵守に向けた 教育と研修の実施

コミュニケーションの 活性化

業務プレッシャーなどから第一線職場が抱える悩みを軽減するための サポートの強化

第一線職場の支援のための法務・コンプライアンス機能の強化

「業務の点検月間」の設置などによる業務の集中的見直しの実施

規程・マニュアルなどの 整備

内部監査機能の強化

文書・業務記録管理の徹底

モニタリング

企業倫理遵守に向けた取り組みの全体像

東京電力は、経営トップを構成員とする「企業倫理委員

会」、内部の声を広く受け止めて改善をはかる「企業倫理相

談窓口」などを設置しています。各事業所には「企業倫理

担当」を設置し、上記組織と連携して自主的な推進活動に

取り組んでいます。また、グループ会社のうち約50社で

は、これに準じた体制を定めています。

企業倫理遵守の徹底に向けた体制を定め活動を推進しています。

取締役会 監査役会

企業倫理委員会 社 長

総務部企業倫理グループ 企業倫理相談窓口

本 店 企業倫理担当

支店など 企業倫理担当

グループ会社 グループ会社・取引先

社 員 取引先

東京電力グループの仕事に関する相談

相 談

指 示 報告・付議

社 員

第一線機関 企業倫理担当

企業倫理推進体制

企業倫理委員会では、企業倫理遵守に関する活動方針の策定

や展開をはかるとともに、企業倫理に反する事案の調査・対応

などについて隔月で審議しています。

構成員 委 員 長:会長

副委員長:社長

委  員:社外有識者

(弁護士1名、学者2名、労働組合委員長1名)

企業倫理委員会

企業倫理相談窓口では、社員やグループ会社、取引先など、

東京電力グループの仕事に関わる方々から、法令や企業倫理

違反に関する通報・相談を受け付けています。寄せられた通

報・相談は、企業倫理委員会にすべて報告・付議し、必要に応

じて事案の内容や再発防止策を公表しています。2008年度の受付件数は165件でした。

企業倫理相談窓口

> 品質保証のとりくみ「しない風土・させない仕組み」> 平成14年度以降のとりくみ

原子力

「企業倫理遵守に関する行動基準」を定め実践していきます。

> 企業情報 > 会社情報 > 理念・方針・企業倫理> 企業倫理遵守に向けた取り組み

25

社員の意識喚起

2008年度は、「社会から信頼され、選ばれ続ける企業を

目指して」をテーマに標語を募集しました。最優秀作に選

ばれた標語を企業倫理ポ

スターとして作成し、社員

の意識喚起に役立ててい

ます。

また、企業倫理上、最も

重要な価値観としている

「安全の最優先」を広く浸

透させるため、社員や東京

電力の関係者に「安全・安

心」タオルを配布しました。

東京電力は企業倫理の遵守を徹底させるために、社員一

人ひとりが企業倫理を意識し自ら実践する「しない風土」

の醸成、仕事のルールの適正化とその徹底をはかる「させ

ない仕組み」の構築、そして2007年度より課題や問題を自

発的に言い出し、積極的に受け止める「言い出す仕組み」の

構築に取り組んでいます。

社員教育

東京電力及びグループ会社の経営層に対して、社外講師

によるセミナーを開催するとともに、各事業所の企業倫理

担当を対象に経営トップとの意見交換会や研修を定期的に

実施し、意識喚起をはかっています。各事業所では、社員

一人ひとりに対し、様々なツールを利用して行動基準を理

解・定着させるための教育・啓発活動を自主的に実施して

います。

ツールには行動基準を具体的な場面を例に解説する「行

動基準Q&A集」や、グループ討議を通じて倫理的思考訓練

を行うケース・メソッド用の教材、行動基準の定着活動に

おける留意点などの重要ポイントを解説する教材「わかりや

すい解説」、eラーニングやビデオ教材などの視聴覚教材が

あり、職場で積極的に活用しています。また、これら全社

共通の取り組みに加え、職場の実態に応じた独自の取り組

みやグループ討議といった各職場の自主的な活動も増えて

きています。

モニタリング

毎年社員意識調査や社員と関わる社外の方々に対するア

ンケート調査で、企業倫理の定着度を確認し、効果的な活

動の展開に役立てています。モニタリング結果などをふま

え、事業所やグループ会社へ積極的に出向いて研修を行い

ました(2008年度46カ所)。このような取り組みは、グ

ループ会社でも同様に実施しています。

企業倫理遵守の徹底に向けた仕組みづくり、教育・啓発活動を積極的に行っています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

企業倫理ポスター

Ⅰ.意識面(しない風土)の対策・企業倫理定着活動について、研修ツール等を充実す

るとともに研修を継続

・部門間・事業所間の人材交流を継続

・危機意識を持続するための活動の実施

Ⅱ.仕組み面(させない仕組み)の対策・規程・マニュアルについて、レビューの実施や「疑義・

改善要望システム」の活用などにより継続的に改善

・内部監査において、再発防止対策を継続的に確認

・不適切事案の再発防止対策等を共有・水平展開する

活動を充実

Ⅲ.仕組み面(言い出す仕組み)の対策・立地地域・社会の声を業務運営に活かす仕組みの継続

・業務の集中的見直しを行う「業務の点検月間」を継続

実施

・不具合を管理する仕組みの一層の活用と充実

・法務室による店所サポート等の活動を継続実施

・社外関係各所とのコミュニケーション活動の継続実施

発電設備に係るデータ改ざんなど不適切な取り扱い事例に対する再発防止の取り組み(2009年度)

26

情報管理

東京電力の経営について

東京電力は、全社統一的な視点でシステムセキュリティ

対策・情報漏えい対策を講じ、その対策を維持・向上させ

るため、2001年より「システムセキュリティ対策委員会」

を設置し、全社の状況を把握・評価するとともに、基準の

強化や見直しなどを行っています。

また、システムセキュリティ担当グループを設置し、対

応の迅速化・的確化をはかっています。

合わせて、東京電力グループ全体でのシステムセキュリ

ティ方針を定め、セキュリティ対策向上に向けた管理体制

を整備しています。

情報セキュリティ対策

情報セキュリティの維持・向上のため、以下の対策を実

施しています。

お客さまの情報をはじめ、3,250万件もの大量の個人情

報を扱う東京電力にとって、それらの情報を厳正に管理

し、適切に取り扱うことは重要な責務です。2005年4月に

全面施行された「個人情報の保護に関する法律」をふまえ、

個人情報保護に向けた基本姿勢を明確にした「個人情報の

取扱いに関する基本方針」と保有している個人情報の利用

目的や開示などに関する手続き方法を公表しています。

お客さまの大切な個人情報を適切に取り扱っています。

> 個人情報保護

情報セキュリティの維持・向上に努めています。

・セキュリティ対策を強化した社外持ち出し専用パソコンの導入

・社内ネットワークへの外部からの侵入を検知する仕組み・ファイ

アウォールなどの導入、社内サーバなどへの侵入テストの実施

・許可されていないパソコンなどを社内ネットワークへつながせな

い仕組みの導入

・暗号化ソフトの導入(グループ会社含む)

・建物管理、入退出管理の徹底

技術的・物理的な面での対策

・情報セキュリティに関するeラーニングを継続的に実施(グループ会社含む)

・個人所有パソコンでの業務禁止を徹底(グループ会社含む)

・管理者によるセキュリティ対策実施状況の日常的な確認とフォ

ロー

・グループ会社向けのセキュリティ調査の実施

制度・教育の面での対策

過去に発生したインターネット上への業務情報流出事故は、

2008年度には発生していませんが、引き続き事故の再発防止に向け、これまで行ってきた、①個人所有パソコンでの業務

禁止の徹底 ②個人所有パソコンから業務情報を削除するこ

との徹底、を繰り返し実施するなど、東京電力グループ全体

で情報管理の徹底に取り組んでいます。

情報流出の再発防止に向けた対応

1.法令などの遵守

6.社内体制整備   ・社内教育

  ・社内監査

7.取り組みの改善   ・法令の改正、環境    変化などによる

2.取得・利用 3.安全性確保など 4.第三者への提供など 5.開示・訂正など

個人情報の取扱いに関する基本方針

管理体制と社員教育

職場ごとに定めた個人情報の管理責任者を中核として、

個人情報の保護に取り組んでいます。また、チェックリス

トによる評価や職場ごとに保有する個人情報の定期的な確

認など、管理やモニタリングの仕組みを取り入れています。

さらに、社員全員にeラーニングを受講させるなど社員教

育を継続的に実施するとともに、グループ会社にも教育用

のCDを配布するなど、グループ全体での意識向上に努め

ています。

なお、東京電力では、個人情報の紛失が発生した場合

は、ご迷惑をおかけしたお客さまにお詫びするとともに、

事故の内容をプレスリリースやホームページで公表するな

ど迅速に対応しています。(2008年度は、残念ながら1件

の個人情報紛失事故を公表しました。)また、社外に個人

情報を持ち出す場合は、管理をより厳正にするなど再発防

止に努めています。

様々な情報開示

27

企業活動状況の適時適切な開示

東京電力グループの事業活動については、プレスリリー

スや会見などを通じて、日々報道機関へ提供しています。

また、ホームページでもタイムリーに情報を掲載し、迅速

かつ的確な情報公開に努めています。特に、原子力発電所

の現況や省エネの情報などについては時宜をとらえ、テレ

ビ・ラジオCMや新聞・雑誌広告なども活用し、効果的に

発信しています。さらに各種刊行物やPR施設などを通じ

ても、東京電力グループの様々な取り組みを報告・紹介し

ています。

設備運転に関わる情報の迅速な公表

大地震などの自然災害や事故などにより、長時間にわた

り広範囲で停電が発生した場合には、東京電力の設備の被

害状況、復旧状況などの情報をメディアを通じて発信する

とともに、適宜ホームページ及び携帯サイトにも掲載しま

す。また、停電地域では広報車を活用するなど、迅速な情

報発信を行います。

ステークホルダーのみなさまに対して事業内容や設備運

用に関わる情報を積極的に開示することで、事業運営の透

明性を一層高めます。

積極的な情報開示により事業運営の透明性向上に努めます。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

情報公開

情報開示による透明性の確保

企業活動状況の適時適切な開示

設備運転に関わる情報の迅速な公表

開示する情報の区分

省エネなどの情報をお伝えするCM「でんこ」シリーズ

●テレビCM

東京電力トップページ

停電発生時に各種状況をお伝えする携帯電話画像(イメージ)

●ホームページ ●携帯サイト ●刊行物

電気事業120年の歴史は、お客さまに安定した電気をお届けす

るため先人の英知と努力により

築かれてきたものです。「電気の

史料館」は、何十年にもわたっ

て電気の供給に寄与してきた実

機などを数多く展示している電

気の歴史博物館です。

●PR館:電気の史料館

数表でみる東京電力

東京電力環境ハイライト

原子力発電所における情報公開は69ページをご覧ください。

> 電気料金・サービス> あなたの街の東京電力 > PR施設「電気の史料館」での実機展示

東京電力グループ環境理念

28

電気事業におけるINPUT-OUTPUT(東京電力2008年度実績)

東京電力グループの事業展開の中心となる電気事業では、多様な資源を発電などに投入(INPUT)し、電気を生み出すと

ともに、環境負荷物質や廃棄物などを排出(OUTPUT)しています。こうした資源消費や環境負荷の発生を最小限に抑える

ために、発電効率の向上や廃棄物リサイクル、大気汚染物質の除去などに取り組んでいます。

グループ各社が環境方針を展開 2009年度東京電力環境方針グループ各社の環境方針

> 環境行動レポート> 環境管理 > 東京電力環境方針

> 環境行動レポート > 環境管理 > 環境マネジメントシステム> 推進体制 > グループ環境委員会

(注)端数処理の関係で合計が合わない場合がある。

※2 圧縮・焼却による減容(低レベル)や、再処理のための海外への搬出や返還(高レベル)の状況など、発電状況と異なる要因により年度実績が変動するため、累積保管量・貯蔵量で実績値を掲載。低レベル放射性廃棄物累積保管量 : 2009年3月末現在、福島第一、福島第二、柏崎刈羽の各原子力発電所における累積保管量。高レベル放射性廃棄物累積貯蔵量 : 2009年3月末現在、フランスから返還されたキャニスター(直径約0.4m、高さ約1.3mのステンレス製の容器)の本数。日本原燃(株)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(青森県六ヶ所村)に貯蔵・管理されている。

INPUT OUTPUT

大気中への排出

CO2 1億2,070万t(他社受電分含む)

SOX 2.6万tNOX 3.3万t

CH4* 0.0万t-CO2

N2O* 2.9万t-CO2

HFCS* 0.2万t-CO2

PFCS* 0.0万t-CO2

SF6* 8.4万t-CO2

( * は2007年度実績)

放射性廃棄物※2

低レベル累積保管量 222,977本(200Rドラム缶)

高レベル累積貯蔵量 261本(キャニスター)

612万K 75.0万t 0.12万t)

3.2万t

排水 産業廃棄物発生量 (埋立処分量 国内の燃料などの輸送によるCO2*

お客さまへの販売電力量

2,890億kWh(*は2007年度実績)

発電電力量 他社からの購入 569億kWh [うち太陽光・風力発電からの 余剰電力購入 5.3億kWh]

揚水用電力量(再掲) ▲24億kWh

石炭 310万t 重油 608万kR 原油 260万kR NGL 0.0万kR LNG・LPG 1,946万t 天然ガス 0.0億NK 都市ガス 12.4億NK 軽油 4万kR 発電用水 927万K(汽力発電用燃料以外含む)

原子力発電用燃料※1 約185t 発電用水 102万K

※1 エネルギー投入量に対応するウラン燃料所要量(設計値に基づき試算)。

揚水用電力量 24億kWh

風力 地熱

火力発電

原子力発電

水力発電

自然エネルギー発電

発電所所内用 電力量

▲97億kWh

変電所所内用 電力量

▲4億kWh

送配電ロス

▲151億kWh

送電電力量※3

3,045億kWh

1,827億kWh

663億kWh

107億kWh

0.14億kWh

※3 送電電力量=発電電力量+他社からの購入-揚水用電力量-発電所所内用電力量

● 地球温暖化をはじめとする環境問題の解決に積極的に取り組み、21世紀の持続可能な発展に向けた、企業としての社会的責任を果たします。

● 環境マネジメントシステムを継続的に改善し、大気汚染防止などの環境リスク低減に努めるとともに、CO2排出削減、廃棄物リサイ

クル、省エネルギー・省資源などに配慮した環境効率性の高い事業活動を展開します。● 幅広い情報公開を通じて透明性を高めるとともに、お客さま・投資家をはじめ、事業にかかわる方々と双方向の対話を重ねながら、

21世紀にふさわしい社会づくりを目指します。

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループは、社会の低炭素化や最適な資源循環など、環境面の課題に真摯に取り組むことがグループの社会的責

任であり、事業活動を進める上での前提であるという認識の下、「東京電力グループ環境理念」を掲げ、各社の事業特性に応

じた環境保全活動を展開しています。

>環境行動レポート> 環境管理 > INPUT-OUTPUT

29

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

環境指標(実績・目標)

東京電力の環境目標

東京電力は、重点的に取り組むべき主要な環境影響や環境保全対策について環境指標を定め、可能な限り定量的な目標値

を掲げて、その達成に向け定期的なチェック&レビューを実施しています。これまでの取り組みの結果、発電熱効率や大気

環境保全、廃棄物リサイクルなど多くの指標が着実に改善されてきています。

その他の環境指標や環境会計については、ホームページや別冊データ集をご覧ください。

将来

目標値

2009年度2008年度2007年度

実績

1990年度単位

CO2排出原単位

原子力発電所の設備利用率

火力発電熱効率(低位発熱量)

自然エネルギーからの電力購入量

kg-CO2/kWh

%

%

億kWh

0.380

71.3

42.2

0.425

44.9

45.6

5.0

0.332(0.418)※

43.8

46.1

5.3

2008~2012年度の5年間平均で1990年度比20%削減(0.304)

──

トップランナーの維持

極力拡大

CO2(二酸化炭素)

関連指標

柏崎刈羽原子力発電所が年間を通じて停止していたことにともない発電電力量に占める火力発電が高い割合で推移しましたが、福島第一・第二原子力発電所の安全・安定運転や火力発電の熱効率向上などに取り組んだ結果、実CO2排出原単位は前年度同程度の0.418kg-CO2/kWhにとどまりました。さらに、炭素クレジットを活用することにより、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく調整後CO2排出原単位は0.332kg-CO2/kWhとなりました。※2008年度実績は炭素クレジットを反映した調整後CO2排出原単位。( )内は炭素クレジットを反映する前の実CO2排出原単位。

具体的取り組みについては、30~45ページをご覧ください。

将来

目標値

2009年度2008年度2007年度

実績

1990年度単位

SOX排出原単位(全電源平均)

NOX排出原単位(全電源平均)

g/kWh

g/kWh

0.17

0.22

0.11

0.14

0.10

0.13

2018年度0.1以下

2018年度0.1以下

世界最高のクリーンレベル維持

大気汚染物質

石油火力発電の比率が減少したため、2008年度はSOx排出原単位、NOx排出原単位ともに前年度に比べて減少しました。

具体的取り組みについては、46ページをご覧ください。

具体的取り組みについては、47ページをご覧ください。

将来

目標値

2009年度2008年度2007年度

実績

1990年度単位

原子力発電所周辺公衆の線量評価値ミリ

シーベルト/年 0.001未満 0.001未満 0.001未満 2018年度0.001未満

0.001未満

放射性物質

法令値(1ミリシーベルト/年)、原子力安全委員会の指針に基づく線量目標値(0.05ミリシーベルト/年)を下回っています。

将来

目標値

2009年度2008年度2007年度

実績

1990年度単位

柱上変圧器(低濃度絶縁油処理量)

柱上変圧器(容器本体の洗浄処理量)

kR/年

台 /年

──

3,665

110,098

3,338

105,396

2009年度以降 3,000

2009年度以降 約10万

PCB(ポリ塩化ビフェニル)

処理速度の向上などに努めることにより、2008年度も目標値(絶縁油3,000kr、容器約10万台)を達成しました。

将来

目標値

2009年度2008年度2007年度

実績

1990年度単位

産業廃棄物リサイクル率 % 86 100 99.8 現状レベルの維持

産業廃棄物

2008年度もリサイクルに努め、ほぼ100%を維持しています。(注)小数点第二位を四捨五入して算出。

地球温暖化に関する指標

地域環境に関する指標

資源循環に関する指標

> 環境行動レポート> 環境管理 > 環境指標

30

地球温暖化と東京電力グループの取り組み

東京電力グループの環境への取り組み

発展途上国における近年の急速な経済成長などを背景に

地球全体のCO2排出量の増勢に歯止めがかからず、地球温

暖化による影響の拡大が懸念される中、世界各国で「低炭

素社会」の実現を目指した様々な検討や取り組みが活発化

しています。また、京都議定書第一約束期間に続く2013

年以降の温室効果ガス排出削減の国際的枠組み構築に関

する交渉が行われており、合意到達の期限とされる2009

年末に向けて、交渉の行方が注目されています。

発展途上国 (アジア除く)

アジア (中国、インド、 先進国除く)

インド 中国

日本 アメリカ

その他

(億t-CO2)

1990 2005 10 15 (年) 20 25 30

出典:EIA「International Energy Outlook 2009」より作成

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

404

215

283310

331354

379

世界のCO2排出量の見通し

日本の温室効果ガス排出状況

日本における2007年度の温室効果ガス排出量は13億

7,400万t-CO2で、京都議定書の基準年*に比べて約9%

増加しており、京都議定書削減目標(2008~2012年の5

年間平均で1990年比6%削減)の達成は依然として厳しい

状況にあります。

日本の温室効果ガス排出量の約9割はエネルギー利用に

ともなって排出されるCO2であるため、エネルギーの低炭

素化と利用効率向上がCO2削減のカギを握ります。

また、CO2排出量を部門別に見ると、産業部門が約4割

と大きな割合を占めていますが、1990年度と比べて、家

庭やオフィスからの排出量が大幅に増加しており、両分野

での対策が急務となっています。*京都議定書の基準年

CO2、CH4、N2Oは1990年。HFCS、PFCS、SF6は1995年。京都議定書の基準年における日本の温室効果ガス排出量は、12億6,100万t-CO2。

実効性の高い地球温暖化対策の推進

地球規模で温室効果ガスを削減していくためには、好事

例の共有や技術の開発・普及・移転、人材育成、エネル

ギー効率の科学的・技術的分析などを、電力・鉄鋼・セメ

ントなどの業種別に進めることが有効です。

東京電力を含む日本の電気事業者は、APP*活動への参

画などを通じて、発電部門における地球規模の温室効果ガ

ス削減に向けた取り組みを推進しています。*APP「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(Asia -Pac i f i cPartnership on Clean Development and Climate)」の略称。地球温暖化防止に向けたクリーンで効率的な技術の開発・普及・移転を推進することを目的として、2006年に設立され、オーストラリア・カナダ・中国・インド・日本・韓国・アメリカの7カ国の政府・民間企業などが参加。

「低炭素社会」の実現が世界共通の目標です。

非エネルギー 起源CO2

8,450万t

合計 13億7,400万t

エネルギー 起源CO2

12億1,900万t

産業 36%

2007年度CO2排出量13億400万t

うち 電力由来

9%

うち 電力由来

11%うち

電力由来 6%うち

電力由来 1%

エネルギー 転換 6%

廃棄物 3%

工業プロセス 4%

家庭 14%

業務その他 18% 運輸

19%

出典:環境省報道発表資料(2009年4月30日)より作成 (注)数値は、CO2に換算した値。

メタン・一酸化二窒素・ 代替フロン等3ガス7,050万t

日本の温室効果ガス排出状況(2007年度)

> 環境行動レポート> 地球環境 > 国際協力> アジア太平洋パートナーシップ

(%) 業務その他部門(オフィスビルなど)

43.8%

家庭部門

41.2%

運輸部門(自動車、船舶など)

14.6%

エネルギー転換部門

22.2%

全体 14.0%

産業部門(工場など)

-2.3%

1990 95 2000 07 (年度)

出典:(独)国立環境研究所地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィス    「温室効果ガス排出量・吸収量データベース」

50

40

30

20

10

0

-10

1990年度を基準とした部門別CO2排出量の増減の推移

31

*CO2排出原単位

1kWhの電気を使う際に排出されるCO2の量(kg-CO2/kWh)。電気の使用量は経済活動などお客さまの事情や天候などに左右されるため、当社を含む電力会社はCO2排

出原単位の削減について自主目標を設定している。

東京電力は、「経営ビジョン2010」で「CO2排出原単位

を2008~2012年度の5年間平均で1990年度比20%削

減」という自主目標を掲げています。

2008年度は、前年度に引き続き柏崎刈羽原子力発電所

が停止していましたが、福島第一・第二原子力発電所の安

全・安定運転や火力発電の効率的な運用により、2008年

度の実CO2排出量は1億2,070万tとなりました。さらに炭

素クレジットの活用などにより、「地球温暖化対策の推進

に関する法律」(事業者別排出係数)に基づく、東京電力の

2008年度実績は、調整後CO2排出量で9,590万t、調整

後CO2排出原単位で0.332kg-CO2/kWhとなりました。

今後も様々な取り組みを通じ、目標達成を目指して最大限

の努力を続けます。

日本全体のCO2の約1割を排出する東京電力にとって、

地球温暖化への対応は最重要経営課題の一つです。

東京電力は、電気事業者として、非化石エネルギーの

活用や火力発電の熱効率向上など、CO2の少ない電気を

つくる取り組みを進めるとともに、高効率機器・電化シ

ステムの普及拡大やライフスタイルの省エネ化など、高い

エネルギー効率で電気をつかう取り組みも積極的に進め

ています。

このように、「電気をつくる・つかう」の両面の取り組み

を進めていくことで、「低炭素社会」の実現に貢献していき

ます。

東京電力はCO2排出原単位*の自主目標達成を目指します。

東京電力は「電気をつくる・つかう」の両面から地球温暖化対策に取り組んでいます。

> 環境行動レポート> 地球環境 > 地球温暖化対策の概要

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

低炭素社会の実現

CO2の少ない「電気をつくる」取り組み

高いエネルギー効率で「電気をつかう」取り組み

高効率化・電化の促進 ライフスタイルの省エネ化

発電の一層の高効率・低炭素化

● 非化石エネルギーの活用  原子力発電所の安全・安定  運転  再生可能エネルギーの  利用拡大

● 火力発電の熱効率向上

● 高効率機器・電化システムの  普及拡大 ● 電気自動車の導入推進

● でんこの環境家計簿 ● CO2ダイエット宣言

その他の取り組み

● 技術開発 ● 温室効果ガス削減  プロジェクト(炭素クレジット)

32~37ページをご覧ください。

38~45ページをご覧ください。

「低炭素社会」の実現に向けた東京電力の取り組み

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.380

0.304

0.418※1

0.332※2

(kg-CO2/kWh)

炭素クレジット 反映分※3 → 20%削減

1990年度 実績

2008~2012年度 目標値

2008年度 実績

※1 実CO2排出原単位(kg-CO2/kWh) 0.418= 実CO2排出量(1億2,070万t)

販売電力量(2,890億kWh)

※2 調整後CO2排出原単位(kg-CO2/kWh) (端数処理の関係で計算が合わない場合がある。)

※3 2009年6月末までに政府の保有口座に移転したものが対象。

0.332=

実CO2排出量 (1億2,070万t)

販売電力量(2,890億kWh)

炭素クレジット (2,490万t) -

東京電力のCO2排出原単位の自主目標と2008年度実績(政府への報告値)

2008年度のCO2排出原単位は、電力各社が政府へ報告し

た後、環境省にて確認の上、ホームページで政府公表値とし

て2009年夏頃を目処に発表されます。

CO2排出原単位確定までの流れ

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

柏崎刈羽原子力が停止している状態で、どのように自主目標を達成しようとしているのか。(アンケート)

火力発電の熱効率向上や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みに加え、温室効果ガス削減プロジェクトを通じて取得した炭素クレジットを活用し、自主目標の達成を目指しています。

環境省:www.env.go.jp

32

CO2の少ない電気をつくる

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力は、発電時にCO2を排出しない原子力、再生可

能エネルギーなどの非化石エネルギーの利用や、火力発電

の中ではCO2排出量が比較的少ないLNGなどの活用、さ

らに火力発電の熱効率向上などに取り組むことで、CO2の

少ない電気をつくる取り組みを進めています。

2,890

(0.418)※2

(1,207)※2

CO2排出量 販売電力量

0.332※1

※ 1 炭素クレジットを反映した調整後の値。※ 2 炭素クレジットを反映する前の値。 (注)東京電力のCO2排出原単位の算定にあたっては、「地球温暖化対策の推進に関する法

律」上の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に準拠しています。なお、本制度ではグリーン電力証書などのCO2削減価値は考慮されていません。

(10万t-CO2) (億kWh) (kg-CO2/kWh)

(年度)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

1970 80 90 2000 05 08

2,199

836

0.380

CO2排出原単位

959※1

CO2排出量・CO2排出原単位・販売電力量の推移

CO2排出抑制に貢献する原子力発電

発電時にCO2を排出しない原子力発電は、地球温暖化

対策に極めて有効な発電方式です。

2008年度は、柏崎刈羽原子力発電所の全号機が年間を

通じて停止していましたが、福島第一・第二原子力発電所

の安全・安定運転により、原子力発電所の設備利用率は前

年度並みの43.8%にとどまりました。しかしながら、依然

として地震発生前の2006年度に比べて約30%低い値とな

り、2008年度の実CO2排出量は、2006年度に比べて約

24%多い1億2,070万tとなっています。

このように、原子力発電所の稼働状況はCO2排出量に

大きく影響します。仮に東京電力の原子力発電所の設備利

用率が1%向上すると、CO2排出量は年間約100万t削減

されることになります。

CO2の少ない電気をつくる取り組みを進めています。

> 環境行動レポート> 地球環境 > CO2排出量・排出原単位

発電用燃料の燃焼に加え、原料の採掘から発電設備などの建設、燃料輸送・精製、運用・保守などのために消費されるすべてのエネルギーを対象としてCO2排出量を算出。原子力については、現在計画中の使用済燃料国内再処理・プルサーマル利用(1回リサイクルを前提)・高レベル放射性廃棄物処分などを含めて算出。

出典:電力中央研究所報告書他

(g-CO2/kWh(送電端))

石炭火力 石油火力

0

200

400

600

800

1,000

LNG火力 LNG火力 (コンバインド)

太陽光 風力 原子力 地熱 水力

発電用燃料燃焼 設備の建設・運用

88

887

742

608

519

704

478407

38130 111

53 29

22(沸騰水型原子炉:BWR) 25(加圧水型原子炉:PWR)

15 11

975

(注 1)

(注 2)端数処理の関係で合計が合わない場合がある。

電源別のライフサイクルCO2排出量

原子力

23%LNG・LPG

45%石炭

9%水力

6%石油

16%

2006年度

2008年度

地熱 0%

その他のガス 1%

新エネ 0%

LNG・LPG38%

石炭

8%水力

6%石油

9%原子力

38%

地熱 0%CO2排出量 1億2,070万t -CO2※2

CO2排出量 9,760万t -CO2

その他のガス 1%

新エネ 0%

※1 柏崎刈羽原子力発電所が年間を通じて安定的に稼働していた年度。 ※2 炭素クレジットを反映する前の値。

2006年度※1と2008年度のエネルギー別発電電力量構成比とCO2排出量の比較

> 環境行動レポート> 地球環境 > 原子力発電の利用拡大

(%)

イギリス 日本 ロシア フランス アメリカ 韓国 東京電力 2007年度

東京電力 2006年度

東京電力 2008年度

66.770.2

77.6

90.8 92.3

74.2

44.9 43.8

(注)東京電力以外は2006年値。 出典:(独)原子力安全基盤機構「原子力施設運転管理年報」(平成20年版)

0

20

40

60

80

100

75.9

原子力発電所の設備利用率の国際比較

33

CO2を削減するための技術開発

IGCC(石炭ガス化複合発電)

埋蔵量が豊富で供給源が多様な石炭は、エネルギー資源

の多くを輸入に頼る日本にとって重要な資源です。東京電力

は石炭の「安定性」「経済性」といった利点を活かしつつ、

CO2の排出を極力抑制するために、石炭をガス化して燃焼

させ、コンバインドサイクル発電を行うことで高効率な発電

を実現するIGCC(Integrated coal Gasification Combined

Cycle)の技術開発を進めています。この技術により実用

段階で48~50%(低位発熱量基準・送電端)の高い熱効

率が期待でき、石油火力とほぼ同等のCO2排出量で石炭

の発電利用が可能となります。現在、商用化に向けた実証

試験を実施しており、2008年6~9月には夏場3カ月の連

続運転試験に成功し、信頼性を実証しました。今後も商用

機に求められる性能、耐久性、経済性などを検証していき

ます。

CCS(二酸化炭素回収・貯留)

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、発

電所や工場などから排出されるCO2を回収し、地中や海洋

に注入して貯蔵・隔離する技術です。世界的にも地球温暖

化対策の有効な技術として評価されており、各地で研究開

発が行われています。

東京電力は、これまで小規模実験プラントによるCO2回

収技術の研究などに取り組んできています。また、CCSの

実施に向けた課題を明らかにするとともに、その克服に向

けて、発電所とCCSを組み合わせたシステムの実現性を評

価するための調査研究も開始しています。

火力発電の熱効率向上

火力発電は、電力需要の変動に柔軟に対応することが可

能であり、電気の安定供給上、重要な発電方式です。

CO2排出の原因となる化石エネルギー資源の消費を最小

限に抑えるため、高効率な発電設備を導入するなど、発電

熱効率の向上に努めています。

高効率発電設備の導入

世界最高水準の熱効率59%を達成する1,500℃級コンバ

インドサイクル発電(MACC発電)を、2007年6月に川崎火

力発電所、2008年7月に富津火力発電所に導入しました。

また、2016年度には、熱効率約61%を実現する1,600℃

級コンバインドサイクル発電(MACCⅡ発電)を川崎火力

発電所に導入する予定です。このような取り組みにより、

東京電力の火力発電全体の平均熱効率が1%向上すると、

CO2排出量は年間約180万t削減されることになります。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

(年度)

39.6%

(注)低位発熱量は総合エネルギー統計(2004年度版)の換算係数を用いて、   高位発熱量実績より推定。

35

40

45

50

55

60

1970 10 1605 0820009590858075

鹿島1号 42.7%

鹿島5・6号 43.2%

富津1・2号系列 47.2%

横浜7・8号系列 54.1%

クラス別設計熱効率

火力発電熱効率(汽力発電端)

46.1%

(%) 川崎1号系列 59%川崎2号系列(第2軸)約 61%

富津3号系列 55.3%

東京電力の火力発電熱効率(低位発熱量)

(注)熱効率は石炭、石油、ガスの熱効率を加重平均した発電端熱効率(低位発熱量基準)。   自家発電設備などは対象外。東京電力のみ2008年度の実績。その他は2005年の値。 出典:ECOFYS「INTERNATIONAL COMPARISON OF FOSSIL POWER EFFICIENCY AND CO2 INTENSITY」

オーストラリア

中国

北欧

韓国

インド

ドイツ

フランス

イギリス/

アイルランド

アメリカ

日本

東京電力

25

30

35

40

45

50

35.9

41.541.040.441.8

43.5

38.4

43.846.1

32.432.3

(%)

火力発電熱効率の国際比較

CO2CO2

大規模排出源

陸域地中帯水層

不透水層

不透水層

海域地中帯水層

地上施設より 圧入

海上施設より 圧入

分離・回収

出典:経済産業省「CCS2020」を参考

パイプライン輸送

CO2の分離回収・地中貯留技術の概要

> 環境行動レポート> 地球環境 > 火力発電熱効率の向上 > 環境行動レポート> 地球環境 > 技術開発・研究

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

CO2削減に向けて原子力発電が有効であることをしっかり示してほしい。(アンケート)

発電時にCO2を排出しない原子力発電の稼働状況は、CO2排出量に大きく影響し、仮に東京電力の原子力発電所の設備利用率が1%向上するとCO2排出量は年間約100万t削減されることになります。

電気事業用発電設備(東京電力)

事業所設置(東京電力)

風力発電事業(株)ユーラスエナジーホールディングス(35ページ参照)

マイクロ水力発電事業東京発電(株)

バイオマス発電事業バイオ燃料(株)

34

東京電力グループの環境への取り組み

太陽光や風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネル

ギーは、CO2などの環境負荷が少なく、化石エネルギー消

費の節減にも貢献します。東京電力は、電力会社に課せら

れた「RPS法*」による導入義務量を着実に達成するとと

もに、東京電力グループとして再生可能エネルギーに関わ

る様々な事業を展開し、「発電量の拡大」と「普及支援の仕

組み」の両面から、利用拡大に取り組んでいます。*RPS法「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(Renewables PortfolioStandard)」の略称。電力小売事業者に対して、販売電力量の一定割合を法律で定められた再生可能エネルギーでまかなうよう義務づける法律。不足分については、他の

発電事業者より購入することで義務量に算入できる。

東京電力グループの再生可能エネルギーへの取り組み

東京電力グループは、中心となる電気事業の他、風力・

水力の発電事業、バイオマス燃料加工、自然エネルギー発

電の受託・認証など、再生可能エネルギーに関わる多様な

事業に取り組んでいます。

日本における太陽光発電の導入計画と課題

国土の狭い日本では、建物の屋根にも設置できる太陽光

発電の導入拡大が期待されており、政府は国内で2020年に

現状の20倍、2030年に40倍の太陽光発電を導入する目標

を掲げ、太陽光発電の新たな買取制度の検討を開始するな

ど、普及拡大に向けた議論が活発化しています。

太陽光発電や風力発電は環境性に優れた発電方式です

が、自然条件に左右され出力が不安定なため、系統電力に

よるバックアップに加え、将来的には大規模な蓄電池の導

入などによる系統安定化対策が必要です。また、発電コス

トは低減傾向にあるものの、より一層のコスト低減が求め

られます。再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大を進め

るには、これらの課題への対応が不可欠です。

東京電力は、こうした課題に十分配慮した上で、再生可

能エネルギーの普及拡大に向けて、最大限取り組んでいき

ます。

再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んでいます。

> 環境行動レポート> 地球環境 > 再生可能エネルギー

地熱発電 3,300kW※

風力発電 500kW※

52カ所 554kW※

6カ国 174.0万kW※

19カ所 2,822kW※

化石エネルギーを代替し、約9,200tのCO2を削減(年間)

「発電量の拡大」に向けた取り組み ※は2009年3月末現在

電力購入(東京電力)

グリーン電力基金(関東圏)(財)広域関東圏産業活性化センター(GIAC)

グリーン電力証書日本自然エネルギー(株)(35ページ参照)

購入電力量累計(1992~2008年度)太陽光発電 9.4億kWh風力発電 10.4億kWh

助成実績累計(2001~2008年度)462カ所 約13.1万kW(基金の設立は2000年度)

年間契約量187団体 1.66億kWh※

「普及支援の仕組み」に関する取り組み ※は2009年3月末現在

扇島太陽光発電所(神奈川県川崎市)

・出力:約13,000kW ・運転開始予定:2011年度

浮島太陽光発電所(神奈川県川崎市)

・出力:約7,000kW・運転開始予定:2011年度

米倉山太陽光発電所(山梨県甲府市)

・出力:約10,000kW ・一部運転開始予定:2011年度

東京電力のメガソーラー計画の概要(発電所名は仮称)

東京発電(株):www.tgn.or.jp/teg

バイオ燃料(株):www.biofuel.co.jp

GIAC:www.giac.or.jp

メガソーラー*発電の導入計画

*メガソーラー

出力1,000kW以上の規模を有する太陽光発電。

東京電力は、神奈川県川崎市及び山梨県とそれぞれ協働

で大規模な太陽光発電設備(メガソーラー)の建設を計画

しています。出力は合計で約3万kW、その年間発電電力

量は一般家庭約9,300軒分の使用電力量に相当し、これに

よるCO2削減は年間約1.4万tとなる見込みです。

なお、電力業界全体では、2020年度までに、全国約30

地点で約14万kWのメガソーラー発電所の建設を計画して

います。電気事業者が自らメガソーラー発電を導入するこ

とにより、系統電力への影響を検証するとともに、太陽光

パネルのコスト低減や普及に貢献していきます。

お客さまとの協働による太陽光発電設備の設置については、42ページをご覧ください。

浮島太陽光発電所完成予想図

東京電力のRPS法義務達成量についてはホームページに掲載しています。

─再生可能エネルギー

35

お客さまの発電設備からの電力購入

東京電力は、お客さまが所有する太陽光・風力発電設備

などの自然エネルギー発電設備からの電力購入を進めてい

ます。2008年度は5.3億kWhを購入しました。

(株)ユーラスエナジーホールディングス:www.eurus-energy.com

東伊豆風力発電所の建設

東京電力は、静岡県東伊豆町と河津町で、ウィンド

ファームの新設計画を進めています。総出力は約1.8万

kWを予定しており、CO2削減は年間約1.6万tになる見込

みです。

隣接地には、東京電力グループの(株)ユーラスエナジー

ホールディングスでも、ウィンドファームの建設を計画し

ており、グループとして風力発電の利用拡大に取り組んで

います。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

世界規模の風力発電事業の展開

東京電力グループの(株)ユーラスエナジーホールディン

グスは、これまでに蓄積した風力発電全般にわたる幅広い

知識・経験を活用して、適地の選択から風況調査、事業化

計画、建設工事、運転・保守にいたるまで一貫して行い、

世界各国で事業を展開しています。

2009年3月末現在、アジア・アメリカ・ヨーロッパの3

地域6カ国で、174.0万kWの風力発電設備を操業してい

ます。また、これまで培ってきた風力発電事業の経験とノ

ウハウを活かし、2008年5月には韓国において太陽光発電

事業(設備容量994kW)を開始しており、さらなる事業分

野の拡大をはかっています。

グリーン電力証書システム

東京電力グループの日本自然エネルギー(株)は、自然エ

ネルギーによる発電の実績を証書という形で取引すること

により、自然エネルギーの環境価値を効率的に利用できる

「グリーン電力証書システム」を運営しています。自然エネ

ルギーを利用したいと考えている企業や団体は、このシス

テムを活用することで、発電設備を持たなくても、事業所

の電力使用や環境に配慮した製品・サービス、イベント開

催などに自然エネルギーを活用できます。2009年3月末現

在、契約電力量は1.66億kWhに達しています。

社会全体で効率的に自然エネルギーを普及拡大できるシ

ステムとして、一層の発展をはかっていきます。

日本自然エネルギー(株):www.natural-e.co.jp

(万kW)

55.3 61.3 70.5

101.9110.5

174.0

2000 01 02 03 04 05 06 07 08 (年度) 0

50

100

150

200

アジア 49.0万kW

アメリカ 52.4万kW

ヨーロッパ 72.6万kW

87.4

138.5132.3

風力発電操業容量の推移

(億kWh)

0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

1995 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 (年度) 07 08

太陽光発電 2.1

風力発電 3.2

お客さまの発電設備からの電力購入

150

100

50

0

12,000

200 16,000

8,000

4,000

02000 01 02 03 04 05 06 07 08

(団体) (万kWh)

187

16,627

(年度)

契約電力量(万kWh) 契約団体数(団体)

グリーン電力証書契約団体・電力量の推移

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

最近動きが活発になっている太陽光発電について、東京電力の取り組みを示してほしい。(アンケート)

東京電力は、神奈川県川崎市と山梨県甲府市で合計約3万kWの太陽光発電所の建設を計画しています。

静岡県 愛知県

長野県 山梨県 神奈川県

1,670kW×11基

発電所所在地

静岡県賀茂郡東伊豆町・河津町

発電計画

単機定格出力  1,670kW

基数      11基

総定格出力   18,370kW

運転開始予定年月

2011年10月

東京電力東伊豆風力発電所の概要

36

─温室効果ガス削減プロジェクト(炭素クレジット)

東京電力グループの環境への取り組み

*京都メカニズム

他国と協力し、地球規模で温室効果ガスを削減する仕組みで、海外における排出削減

量もしくは初期割当量を自国の排出削減目標の達成に利用できる制度。共同実施(JI)、クリーン開発メカニズム(CDM)、国際排出量取引がこれにあたり、これらを通じて移転される排出割当量を炭素クレジットという。

東京電力は、技術面や資金面などで他国や国内中小企業

などと協力して、温室効果ガスを削減する取り組みを進め

ています。

中でも、エネルギー利用効率が高い日本国内に比べて温

室効果ガスの効率的な削減が可能であり、発展途上国の持

続的発展にも貢献する京都メカニズムを国内のCO2削減対

策を補完する仕組みとして積極的に活用しています。

中国・ウラボ風力発電CDMプロジェクト

東京電力は、CECIC風力発電有限公司が、新疆しんきょう

ウイグ

ル自治区ウルムチ市郊外のウラボ地区で実施する総出力3

万kWの風力発電プロジェクトに参加しています。本プロ

ジェクトにより発電された電気を地元の電力会社に売電す

ることで、当該地域における系統電力の一部を風力発電で

代替し、CO2の排出を削減することができます。

東京電力は、本プロジェクトからのはじめての炭素クレ

ジット約3万3,000tを2008年10月に取得しています。

京都メカニズム*などの仕組みを活用した温室効果ガス削減に努めています。

> 環境行動レポート> 地球環境> 温室効果ガス削減プロジェクト> 京都メカニズムの活用

実施計画書の作成

第三者機関による

プロジェクト審査

発展途上国・先進国の

政府承認

プロジェクトの

国連登録

温室効果ガス削減量の

測定と検証

プロジェクトの実施

国連による

炭素クレジットの発行

炭素クレジット発行までの流れ

炭素基金への参加

世界銀行炭素基金 世界銀行バイオ炭素基金 日本温暖化ガス削減基金

新疆ウイグル自治区の水力発電所

しんきょう

タピオカ澱粉の原料と なるキャッサバ

製糖用のサトウキビ

中 国

再生可能エネルギーによる発電CDM

オーストラリア

植林プロジェクト

ベトナム

水力発電CDM

ホンジュラス

バガス*2発電CDM

日本

国内CDM

タ イ

タピオカ澱粉 バイオガス*1CDM

*1 バイオガス 有機性廃棄物や家畜の糞尿などを発酵させて得られるメタンを主成分とする可燃性ガスで、化石エネルギーに代わるエネルギーとして注目されている。 *2 バガス サトウキビの搾りかす。

回収したメタンの燃焼設備

チリ

養豚場メタン回収CDM

東京電力が関わる温室効果ガス削減プロジェクト

東京電力は、様々なプロジェクトに参加しています。詳しくはホームページをご覧ください。

新疆しんきょう

ウイグル自治区・ウラボ風力発電所

37

国内クレジット制度*の活用事例

*国内クレジット制度

大企業などの技術・資金などの提供を受けて中小企業などが行ったCO2排出抑制のた

めの取り組みによる排出削減量を国内クレジット認定委員会が認証し、大企業などが

自主行動計画などの目標達成のために活用する制度(2008年3月28日に閣議決定された京都議定書目標達成計画(改定案)において規定)。

東京電力は、国内クレジット制度を活用したCO2削減に

も取り組んでいます。

東京電力と東京電力グループの東京都市サービス(株)

は、(財)水と緑と大地の公社と協働で、「多摩源流 小菅の湯

におけるボイラー及び吸収式冷温水発生機の電気式高効率

ヒートポンプへの転換による省エネ事業」を行っています。

本プロジェクトは、温浴施設「小菅の湯」(山梨県)の重油

焚温水ボイラー及び灯油焚吸収式冷温水発生機でまかなわ

れていた給湯・加温・冷暖房の熱源を電気式高効率ヒート

ポンプに改修することにより、システムの省エネ化をはか

るとともに、CO2排出量を削減するものです。

東京電力は、本プロジェクトにより、2008~2012年度

の5年間にわたり、合計で約947tの炭素クレジットを取得

する予定です。

日本温暖化ガス削減基金への参加

東京電力は、2004年12月に国内の33の民間企業・団

体が設立したアジア初の炭素基金である日本温暖化ガス削

減基金(JGRF:Japan GHG Reduction Fund)への出

資を通じて、炭素クレジットの取得を目指しています。

2008年11月に

は、同基金が取得

した中国甘粛かんしゅく

省の

水力発電プロジェ

クトからの炭素ク

レジットのうち約

2,000tを取得して

います。

タイ・バイオガスCDMプロジェクト

東京電力は、2006年2月に豊田通商(株)、タイのクリー

ン・エナジー・ディベロップメント社と共同で、バイオガ

スを供給するプロジェクト事業会社「キャッサバ・ウェー

スト・ツー・エナジー社」を設立しました。本プロジェク

トでは、タイ東北部のタピオカ澱粉工場に発酵槽やメタン

回収設備などを建設し、これまで有機排水の処理過程で大

気中に放出されていたメタンを回収してバイオガスとして

同工場に供給・販売しています。これにより、温室効果ガ

スの一つであるメタンの排出を削減するとともに、これま

で同工場のボイラー用燃料として使用されていた重油をバ

イオガスに置き換えることで、CO2の排出を削減すること

ができます。

本プロジェクトは2009年1月に、東京電力が出資する

CDMプロジェクトとしてはじめて国連に登録されました。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

甘粛かんしゅく

省党河水力発電所

東京電力は、「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」に参加しています。今回の試行的実施は、排出量取引の課題抽出を目的とし

た「実験」であると認識しており、これに参加することで、排出量取引の様々な課題を抽出・評価していきたいと考えています。また、参

加にあたり、「2008~2012年度の各年度におけるCO2排出原単位を0.304kg-CO2/kWh(1990年度比20%削減)」にすることを目標値として設定しています。試行的実施に関する全般的評価については、2009年秋頃に行われる京都議定書目標達成計画の評価・見直しと合わせてフォローアップが行われる予定です。

なお、各年度の目標達成に向けては、原子力発電所の安全・安定運転など、これまで通りCO2の少ない電気をつくる取り組みに最大

限努力するとともに、試行的実施において認められている年度間の排出量の融通(バンキング・ボローイング)なども活用して、2008~

2012年度の5年間平均での自主目標達成を目指していきます。

排出量取引の国内統合市場の試行的実施

事業実施前 事業実施後

温浴施設 (露天風呂、内風呂など)

重油焚温水 ボイラー

灯油焚吸収式 冷温水発生機

重油 灯油

休憩室など

排湯熱源 ヒートポンプ

空気熱源 ヒートポンプ

電気 電気

休憩室など

(注)排出削減事業の範囲は、温浴施設の重油焚温水ボイラー、灯油焚吸収式冷温水発生機、 排湯熱源ヒートポンプ、空気熱源ヒートポンプに限定。

空気熱

熱源

熱源

冷房

暖房

加温

冷房

暖房

加温

加温

給湯

排湯槽 加

給湯

排湯

温浴施設 (露天風呂、内風呂など)

プロジェクトによる改修前後のエネルギーフロー

東京都市サービス(株):www.tts-kk.co.jp

38

高いエネルギー効率で電気をつかう

東京電力グループの環境への取り組み

社会全体の低炭素化を進めていくには、エネルギー自体

の低炭素化に加えて、エネルギーをご利用いただく段階で

のCO2削減対策も不可欠です。

東京電力は、豊かな社会生活に求められる利便性や快適

性を保ちつつ、エネルギーを最大限効率的に活用する高効

率機器の開発・普及を推進するとともに、「低炭素社会」を

指向する省エネ型ライフスタイルの定着に向けた取り組み

を進めています。

多様な分野の低炭素化に貢献する電気

電気は、最新技術を導入した電気機器やシステムを、最

適な組み合わせで活用することにより、エネルギー利用効

率の向上に大きな力を発揮します。また、CO2やSOx、

NOxなどの排出が少ないなどの環境性に加え、停電が少な

いといった供給品質の高さ、さらには、安全性や快適性な

どの多様な特性も備えています。家庭・産業・オフィスな

ど幅広い分野で電気の利用拡大が進んでおり、最近では熱

利用や農業、運輸分野など、活躍の領域を広げています。

非化石エネルギー源や高効率発電設備によってつくられ

る低炭素エネルギーである東京電力の電気は、効率の高い

利用方法との組み合わせによって、様々な社会活動の低炭

素化に貢献します。

環境性に優れた電気を活用する高効率機器の開発・普及

は、社会全体の省エネ・省CO2に極めて有効な手段です。

現代社会の様々な省エネ機器を支えるヒートポンプは、

太陽光や風力と同様に無尽蔵な自然エネルギーである大気

熱をわずかな電気でくみ上げることにより、投入した電気

エネルギーの約3~6倍の熱エネルギーをつくりだすことが

できます。東京電力は、メーカーと共同でお客さまのニー

ズに応える環境性と経済性に優れた様々な機器の開発に取

り組むとともに、それらの普及活動に努めています。

高効率機器の開発・普及を推進しています。

エネルギー利用効率の向上により「低炭素社会」の実現を目指します。

エコキュート(給湯機)

電気自動車

の「電気エネルギー」で

の熱エネルギーを つくります

の「空気の熱」 を くみ上げて

1

2~53~6

ヒート ポンプ

空気の熱は再生可能エネルギー

「再生可能エネルギー推進に関するEU指令(2009年4月採決)」の中では、ヒートポンプにより利用された空気熱・地中熱・水の熱を再生可能エネルギーとして扱うことが明記されています。

空気の熱を上手に活用するヒートポンプ

床暖房

洗濯乾燥機

浴室換気 暖房乾燥機

エコキュート

エアコン

冷蔵庫

身近なところで使われるヒートポンプ

39

「低炭素社会」を実現するためには、一人ひとりが、職場

や家庭などの日常生活におけるCO2の排出を認識し、削減

効果を定量的に理解した上で、適切な取り組みを進めるこ

とが必要です。

東京電力は、お客さまの生活に密接に関わる企業とし

て、日常のエネルギー使用量やCO2排出量を「見える化」

する仕組みの開発や、省エネに関する情報をお知らせする

ツールなどを提供するとともに、社員が自ら省エネ・省

CO2に取り組むことにより、社会全体におけるライフスタ

イルの省エネ化を推進しています。

ヒートポンプの性能とCO2削減効果

近年の技術開発の進展により、ヒートポンプの性能は着

実に向上しています。例えば、家庭用エアコンのCOP(エ

ネルギー消費効率)は10年間で約2倍に向上しています。

身近なヒートポンプ機器としては、エアコン、冷蔵庫、洗

濯乾燥機、給湯機などの家庭用電気機器があり、最近で

は、家庭だけでなく産業・業務部門でも幅広く活用され、

CO2の少ない電気との組み合わせにより、社会全体の低炭

素化に大きく貢献しています。

ライフスタイルの省エネ化を推進する取り組みを進めています。

> 環境行動レポート> 地球環境 > ライフスタイルの省エネ化

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

1997 0706050403020120009998 (年度)

(COP)

出典:(財)省エネルギーセンター、(社)日本冷凍空調工業会、メーカーカタログより作成

22

3

4

5

6

7

家庭用エアコン

業務用ターボ冷凍機

エコキュート(給湯機)

5.0

3.5 3.5

5.1

6.46.6

ヒートポンプのCOP(エネルギー消費効率)の推移

民生部門(家庭・業務部門)と産業部門の冷暖房や給湯

などがすべてヒートポンプでまかなわれた場合、CO2削減

効果は、日本全体で年間約1.3億t(日本のCO2排出量の約

10%に相当)に達すると試算されています。さらにヒート

ポンプは今後より一層の効率向上が期待されることから、

「低炭素社会」実現に向けて必要不可欠な技術となってい

ます。

※設備容量3.5kW/世帯 設備利用率12%で東京電力試算。 出典:(財)ヒートポンプ・蓄熱センター試算

0 0.5 1.0 1.5 2.0(億t-CO2/年)

現状

ヒートポンプに 代替した場合

家庭用暖房 家庭用給湯 業務用空調

業務用給湯 産業用(ボイラのみ)

約1.3億t削減

国内のCO2排出量の約10%に相当 (太陽光発電を国内全世帯に設置した削減量の2倍に相当※)

ヒートポンプのCO2削減ポテンシャル(国内の冷暖房や給湯、100℃未満の加温・乾燥などをすべてヒートポンプで代替した場合)

「見える化」ツール

詳しくは41ページをご覧ください。

● でんこの環境家計簿   省エネライフナビ   CO2家計簿 ● 電気のシェイプアップカルテ ● CO2チェックシート(検針表の裏面)

「省エネ情報提供」ツール

● CO2ダイエット宣言 ● でんことはじめるおトクに省エネ・省CO2 ● でんこちゃんのなるほど省エネ!なっとくBOOK

その他 テレビCMなど

東京電力が提供する「ライフスタイルの省エネ化」推進ツール

「でんこちゃんのなるほど省エネ!なっとくBOOK」

「でんこの環境家計簿」ホームページ

40

─家庭部門における取り組み

東京電力グループの環境への取り組み

家庭から排出されるCO2の約4割が暖房・給湯によるも

のであり、家庭部門のCO2削減のカギとなっています。暖

房にはエアコン、給湯にはエコキュートなど、ヒートポン

プを活用した高効率機器を使うことにより、投入した電気

エネルギーの何倍も

の熱エネルギーをつ

くり出し、燃焼式に

比べてCO2排出量を

大幅に削減すること

ができます。

ヒートポンプを活用したエコキュートの普及

2001年5月、世界に先駆けて商品化された家庭用自然

冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」は、環境

性に優れていることから、国も「京都議定書目標達成計画」

に普及目標台数を盛り込み、導入補助金を交付するなど、

その普及に力を入れており、2008年10月には国内メー

カーからの総出荷台数が150万台を突破しました(2009年

3月末現在、約174万台)。

東京電力としても、お客さまに採用を働きかけるなど、

普及に向けた取り組みを積極的に実施しています。その結

果、東京電力のサービス区域では、2008年度までに累計

約47万台のエコキュートが設置され、2001年度以降の

CO2削減効果は累計で約70万tにのぼります。

オール電化住宅の環境性

エアコンやエコキュートなど、ヒートポンプを活用した

オール電化住宅は、従来の電気・ガス併用住宅と比べ、約

12%の省エネ効果、約27%のCO2削減効果が期待できま

す。また、暖房やIH調理器具からは燃焼ガスが排出されず、

水蒸気の排出も少ないため、室内の空気を常にクリーンに

保つことができ、高気密・高断熱住宅に適しています。

このように、環境性、経済性、快適性に優れたオール電

化住宅は年々増加傾向にあり、東京電力サービス区域内で

は、60万戸に達しています。

家庭部門のCO2削減に取り組んでいます。

出典:(独)国立環境研究所地球環境研究センター温室効果    ガスインベントリオフィス「温室効果ガス排出量・吸収    量データベース」より作成

冷房 3.7%

暖房 19.1%

給湯 21.2%

厨房 6.5%

動力他 49.6%

家庭における用途別CO2排出量の割合

試算条件 1. 給湯負荷:IBEC((財)建築環境・省エネルギー機構)Lモードの43℃換算湯量(421r/日)+風呂保温(6.7MJ/日) 2. 外気温度、給水温度:(社)日本冷凍空調工業会規格(JRA4050:2007R)による 3. 消費電力量:300rフルオート(ヒーターレス保温)タイプでの試算、機器効率・除霜・沸き終い損失を含む、中間・冬・夏の3期間の消費電力量を計算 4. 消費ガス量:従来型燃焼式給湯器(都市ガス)の機器効率80%(東京ガスカタログによる) 5. CO2排出原単位:電気(各年度東京電力実績)、都市ガス(地球温暖化対策の推進に関する法律施行令)

2004 05 06 08

(万t-CO2/年)

07 (年度) 0

20

40

60

80

エコキュート設置によるCO2排出量の削減効果(累積)

ガス併用住宅① (従来型

給湯暖房機)

ガス併用住宅② (潜熱回収型 給湯暖房機)

オール電化住宅 (エコキュート+ ヒートポンプ 温水床暖房)

0 60 80 100(%)

100%100%

約88%

試算条件 1. 建物条件:木造戸建地上2階4LDK約122㎡ 2. 家族人数:4人 3. 断熱性能:次世代省エネルギー基準Ⅳ地域相当 4. 年間負荷:冷房8.0GJ/年 暖房6.3GJ/年 床暖房2.4GJ/年 調理2.0GJ/年 給湯20.2GJ/年 24時間換気他1.5GJ/年 電灯コンセント10.8GJ/年 5. 一次エネルギー発熱原単位:電気(9.76MJ/kWh、全日平均)、都市ガス(45MJ/k、13A) 6.CO2排出原単位:電気0.332kg-CO2/kWh(2008年度東京電力実績)、都市ガス(地球温暖化対策の推進に関する法律施行令) 7. 機器効率

冷房 エアコン

4.23エアコン

4.56潜熱回収型給湯暖房機

0.87従来型給湯暖房機

0.80ヒートポンプ温水床暖房

ガス併用住宅② ガス併用住宅① オール電化住宅

3.73IHクッキングヒーター

0.90エコキュート

3.20

ガスコンロ 0.56潜熱回収型給湯暖房機

0.95従来型給湯暖房機

0.80

暖房

床暖房

調理

給湯

一次エネルギー消費量 CO2排出量

約73%

約95%約93%

住宅の一次エネルギー消費量・CO2排出量の比較

0

10

20

30

40

50

60(万戸)

(年度) 2001 02 03 04 05 06 07 08

1.3 3.4

11.2

20.6

32.0

59.8

6.4

45.6

オール電化住宅累計戸数の推移(東京電力サービス区域)

CO2家計簿

「CO2家計簿」は、ご家庭における省エネ・省CO2の推

進を目的として、2002年に東京電力が運用を開始しまし

た。会員登録をしていただいた上で電気やガスなどの使用

量と支払金額を継続的に入力することにより、ご家庭から

のCO2排出量が自動計算され、実績の推移がグラフで表示

されます。類似する世帯の平均値との比較や年間の目標設

定などの機能もあり、ご家庭のCO2排出量を管理できる

ツールとして、ご使用をおすすめしています。

また、社内においても、この「CO2家計簿」の積極的な利

用を呼びかけ、2008

年度は、8,678人が

参加しています。東

京電力は、家庭や社

内における自発的な

省エネ・省CO2を促

進する活動にも取り

組んでいます。

41

CM、パンフレットなどによる省エネ情報の提供

テレビ・ラジオCM、パンフレット、ホームページなど

で、電気機器の上手な使い方や選び方など、様々な省エネ

に関する情報をお知らせするとともに、「電気のシェイプ

アップカルテ」や「CO2チェックシート*」などお客さまの

エネルギー使用量やCO2排出量を「見える化」するツール

を提供することで、社会全体のライフスタイルの省エネ化

に向けた意識啓発に取り組んでいます。*CO2チェックシート

「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」の裏面を活用して、電気などの使用量からご家庭

でのCO2排出量が計算できるツール。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

CO2ダイエット宣言

「CO2ダイエット宣言」は、全国のみなさまに省エネ行動

を宣言していただき、参加人数に応じて苗木を小学校など

に贈る地球温暖化防止活動です。

2004年8月の開始から2009年3月までの合計で、約

200万人の参加者から、約13.5万tのCO2削減を宣言して

いただきました。

宣言は自治体やNGO・NPO、企業、学校などから寄せ

られ、参加人数に応じて苗木を提供しました。

また、苗木の一部は(財)オイスカが主催する「富士山の

森づくり」プロジェクトへ提供し、森林再生の取り組みを

支援しています。

> CO2 Diet Sengen(CO2ダイエット宣言)

「でんことはじめるおトクに省エネ・省CO2」ホームページ 「電気のシェイプアップカルテ」

ホームページ

「CO2ダイエット宣言」ホームページ

「富士山の森づくり」プロジェクト

> くらしのサポート> でんことはじめるおトクに省エネ・省CO2

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

省エネへの取り組みについて紹介してほしい。(アンケート)

ホームページやパンフレットを通じた省エネ情報の提供や「CO2ダイエット宣言」などの取り組みを進めています。

でんこの環境家計簿

東京電力は、2009年4月より、エネルギー診断ツール

「省エネライフナビ」の運用を開始し、以前から提供してい

る「CO2家計簿」と合わせて「でんこの環境家計簿」として

お客さまに提供しています。

省エネライフナビ

「省エネライフナビ」は、「ご家庭の住まい状況」と「エネ

ルギーの使用量・光熱費」を1カ月分入力するだけで、年

間推計も含めたご家庭でのCO2排出量を算出し、類似する

世帯の平均値との比較やご家庭の「エコロジー度」を判定

することができます。その他、家電製品(エアコン・冷蔵

庫)の買い替えシ

ミュレーションなど

の便利な機能を揃

え、ご家庭ごとの最

適な省エネ・省CO2

対策をアドバイスい

たします。

>くらしのサポート>くらしのサポートコンテンツ>でんこの環境家計簿

「CO2家計簿」ホームページ

「省エネライフナビ」ホームページ(「エコロジー度」、ご家庭のCO2排出量と平均値の比較)

42

─産業・業務部門における取り組み

東京電力グループの環境への取り組み

ビルや工場の冷暖房や給湯の省エネ・省CO2にもヒート

ポンプは大きな効果を発揮します。最新のヒートポンプ技

術や、電化厨房・工業用電気加熱などの効率性、操作性が

高いIH技術の開発によって、様々な分野で電気機器の活用

が広がってきています。

東京電力は、これらの電化システムを中心としたソ

リューションをお客さまへ提案し、省エネ・CO2削減効果

を最大限に引き出すお手伝いをするとともに、高効率機器

の技術開発や情報発信に努めています。

電化ソリューション提案

東京電力は、電化システムの活用分野の拡大とともに、

再生可能エネルギーなど新たなサービスの開発・活用を通

じて、お客さまとの協働による「低炭素社会」の実現へ向け

た取り組みを進めています。

産業分野:工場における蒸気量削減・利用率改善

産業分野では、加熱や乾燥、温水製造、空調など多くの

製造工程で活用されている蒸気エネルギーの効率的な利用

が進んでいます。

日野自動車(株)羽村工場様(東京都羽村市)では、ボイ

ラー設備の更新や蒸気配管の見直しを行うとともに、蒸気

使用削減の第一歩として、当社提案による高効率ヒートポ

ンプをご採用いただきました。これにより、導入前の3年

間に比べ、約3割のCO2削減を実現しています。

業務分野:ESCO*サービスの活用

*ESCOEnergy Service Companyの略。

業務分野では、建物で消費するエネルギーの中で最も割

合の多い空調用エネルギーを中心に、省エネ・省CO2に対

するニーズが高まっています。

このようなニーズに対し、東京電力グループの日本ファ

シリティ・ソリューション(株)では、省エネ技術や補助金

活用方策などに関する高度なノウハウを活かし、CO2排出

量の削減とエネルギーコストの削減を一体的に解決する

「ESCOサービス」を提供しています。

法政大学様では、校舎の新設や空調設備の更新にあたって

複数の事業でこのサービスをご活用いただいており、2008

年度実績では、全体で2,625tのCO2削減を実現しました。

農業分野:温室へのヒートポンプ活用

施設園芸分野(ハウス栽培)では、原油価格の乱高下や

国のCO2削減に向けた取り組みを受け、暖房のエネルギー

源に電気を活用する事例が増加しています。

榎本バラ園様(千葉県君津市)では燃焼式加温機(重油)

による暖房からヒートポンプをメインとした暖房に変更す

ることにより、年間で約4割のCO2削減を実現しています。

また、2008年12月より実施している東京電力のお得な電

気料金メニュー「農業用低圧季節別時間帯別電力」を活用

し、電力コストの低減をはかっています。

オンサイト太陽光発電サービスの活用

東京電力と三井物産(株)が共同で設立した羽田太陽光

発電(株)は、羽田空港国際線地区貨物ターミナルの屋上

に2,000kWの太陽光発電設備を設置し、太陽光発電によ

る発電電力と電力会社の系統電力を組

み合わせて電力を提供するサービスを

2010年10月より開始する予定です。

この太陽光発電設備により、同ター

ミナルで使用する電力の約1割(約200

万kWh/年)をまかなうこととなり、

年間約850tのCO2削減を見込んでい

ます。

産業・業務部門のCO2削減に取り組んでいます。

> 電気料金・サービス> 法人のお客さま> エネルギーソリューション

日野自動車(株)羽村工場様に設置された高効率ヒートポンプ太陽光発電設備の完成予想図

日本ファシリティ・ソリューション(株):www.j-facility.com

43

情報発信による電化システム活用分野の拡大

ユーザー・メーカー双方の情報交流や革新的技術を体験

していただくため、情報の発信源となる施設運営やイベン

トの開催を行っています。

TEPCO電化ファクトリーⅠ2(アイ・スクエア)

電化ファクトリーとは、最新のヒートポンプ

技術やIH技術を生産プロセスに活用することに

よって、「工場で使用する熱=蒸気・熱風(化石エネル

ギー)」という構図を変革し、高い生産効率と環境性を実現

する、企業経営と地球環境を考えた新しい発想です。

東京電力は、電化機器の実体験を通じて、お客さまの工

場のプロセス・イノベーションをサポートする展示施設

「TEPCO電化ファクトリーⅠ2(アイ・スクエア)」を運営し、

企業間のマッチングや機器開発への展開をはかっています。

住所:神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4-1

高効率機器の研究・開発

東京電力は、高効率機器の活用分野拡大を支える新技

術の研究・開発を、メーカーと共同で進めています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

過熱蒸気 温水製造

流体殺菌 精密加熱 塗装乾燥・ その他技術

オリエン ゾーン

蒸気レス空調

IH流体殺菌装置 誘導発熱ジャケットロール

置換換気空調用 パッケージエアコンシステム

円筒型置換 換気吹出口

プレヒート給湯システム

フリー・ピストン・ スターリング・クーラー

ecoターボ 温水ヒーポン

IHSS(誘導加熱式 過熱蒸気発生装置)

旋回流誘引型 成層空調システム

蒸気レス空調機

屋外展示

IH塗装乾燥装置 スーパーフレックス モジュールチラー

デモ ゾーン

TEPCO電化ファクトリーⅠ2(アイ・スクエア)展示内容

電化ファクトリー:www.tepco-switch.com/biz/factory

Switch! Station Pro.有明

電化厨房システムは、排熱が少ないた

め衛生的かつ快適な厨房環境を実現する

とともに、熱効率が高くエネルギーロスが少ないため省エ

ネ・CO2削減に貢献します。東京電力は、業務用電化厨

房の総合体験施設「Switch!Station Pro. 有明」を運営

し、学校・病院などの大量調理施設から外食産業まで、

様々な厨房づくりのニーズにお応えしています。

住所:東京都江東区有明2-5-7TOC有明イーストタワー20F

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

東京電力のソリューション提案活動によるCO2削減の取り組みについて紹介してほしい。(アンケート)

様々な分野でお客さまのニーズに合わせた高効率な電気機器やシステムの提案を行っています。具体的な事例を42ページ及びホームページに掲載しています。( > 電気料金・サービス> 法人のお客さま> エネルギーソリューション)

高効率空冷ヒートポンプチラー

「スーパーフレックスモジュールチラー」

ビルや工場などの空調に使用する冷水及び温水をつくる

機器です。モジュールの連続設置により大規模空調・産業

用プロセス冷却に対応

することが可能で、省

エネ・CO2削減に大き

く貢献します。

共同開発:東芝キヤリア(株)

排熱回収温水ヒートポンプ「ecoターボ温水ヒーポンETW」

高性能ターボ圧縮機によって、工場から出る再利用が難

しく利用価値の低い40℃程度の排熱から、利用価値の高

い約80℃の温水をつくり出すことができる機器です。

また、COP4.5以上と高効率であるため、高い省エネ効

果が期待でき、従来の燃焼式貫流ボイラー(1t/時クラスの

場合)と比較して、約7割のCO2削

減が可能です。

東京電力は、本機器の仕様検討

について、開発メーカーである三

菱重工業(株)と協力するなど、高

効率機器の開発に貢献しています。

大型業務用ヒートポンプ給湯システム

「MEGA・Q[メガキュー]」

ビル用マルチエアコンやエコキュートの技術を活用し

たホテル・福祉施設・病院などの中・大規模施設用の業

務用給湯機です。モ

ジュール連結により1

日最大120tの給湯がで

き、CO2排出量の大幅

な削減(燃焼式給湯器

に比べて約4割削減)が

可能です。

共同開発:ダイキン工業(株)

「MEGA・Q[メガキュー]」

「スーパーフレックスモジュールチラー」

「ecoターボ温水ヒーポンETW」

44

─運輸部門における取り組み

東京電力グループの環境への取り組み

運輸部門では、車両の低燃費化やモーダルシフトなどに

よる物流の効率化が進められ、CO2排出量は近年わずかな

がら減少傾向にあります。しかし、依然としてエネルギー

のほとんどをガソリンや軽油などの化石エネルギーに依存

しており、「低炭素社会」の実現に向けて、一層のエネル

ギー利用効率化の推進や低炭素エネルギーへの移行など、

さらなる対策が求められています。

東京電力は、電気自動車やトラックの外部電源式アイド

リングストップ給電システムなど、CO2の少ない電気を活

用した運輸部門の低炭素化に取り組んでいます。

*EVElectric Vehicleの略。

電気自動車の共同開発

東京電力は、自動車メーカー各社と共同で電気自動車の

開発に積極的に取り組んでいます。現在、三菱自動車工業

(株)の「i MiEV」及び富士重工業(株)の「R1e」を当社事

業所などで、実際の業務車両として利用し、走行性能や利

便性などの実用性評価を行っています。

電気自動車(EV*)の開発・普及に取り組んでいます。

> 環境行動レポート> 地球環境 > 技術開発・研究> 電気自動車の開発・導入

「CO2の少ない電気」の活用によって運輸部門のCO2削減に貢献しています。

電気自動車の業務車両への導入

電気自動車は、同クラスのガソリン車と比べてCO2排出

量が約4分の1であることから、CO2削減に大きく貢献し

ます。東京電力は、保有する業務車両約8,500台のうち

2009年度中に310台程度、将来的には3,000台程度まで

電気自動車を導入していく計画です。これにより年間約

2,600tのCO2削減効果が見込まれます。なお、電力業界

全体では2020年度までに電気自動車約1万台を業務車両

として導入する目標を掲げています。

出典:(独)国立環境研究所地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィス「温室    効果ガス排出量・吸収量データベース」

(億t-CO2)

(年度)0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

1990

2.17

2.492.532.572.622.622.652.58

95 2000 03 04 05 06 07

日本における運輸部門のCO2排出量の推移

ガソリン 55%

電力 2%

LPガス 2%

軽油 31%

重油 5%

潤滑油 1%

ジェット燃料 4%

出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2009」

2007年度エネルギー 消費量

3,674×1015J

運輸部門のエネルギー源別消費量の割合(2007年度)

実証試験車両「i MiEV」(左)と「R1e」(右)

ガソリン車(軽)

電気自動車(軽) 330

試算条件 軽ガソリン車燃費(19.2km/r(社)全国軽自動車協会連合会「知れば知るほどいいね!軽自動車(2008年版)」) EV燃費(10km/kWh 東京電力と自動車メーカーによるEV共同開発の目標値) CO2排出原単位 ・ガソリン(2.32kg-CO2/r 環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」) ・電気(0.33kg-CO2/kWh 電気事業者による2020年度の目標値)

1,208

(kg-CO2) 0 500 1,000 1,500

約4分の1に抑制

電気自動車によるCO2排出抑制効果(軽自動車1台が10,000km走行した場合)

45

アイドリングをストップさせた状態でも車両の外部から

供給する電気で空調装置を稼働させることができる「外部

電源式アイドリングストップ給電システム」を開発し、

2007年10月から実用化しています。

運送事業者の方々は、トラックに外部電源で動く冷暖房

装置を搭載することで、給電スタンドが設置されたトラック

ステーションなどの駐車場において、荷待ちや休憩中に、エ

ンジンを切ったままでも空調を使用することができます。

本システムの活用により、駐車中の長時間のアイドリン

グを抑制でき、アイドリング時に比べ、約60%のコストダ

ウン、約98%のCO2削減効果が期待できます。

電気自動車の普及支援

電気自動車の普及拡大には、インフラである充電設備の

整備が不可欠です。東京電力は、

長年にわたり培ってきた充電技術

を活かし、いずれのメーカーの電

気自動車にも対応可能な急速充

電器を開発し、実証試験を実施

しています。

この急速充電器を利用するこ

とにより、10分間で約60km走

行分の充電が可能となります。

トラックのアイドリングストップによるCO2削減対策を推進しています。

> アイドリングストップ

> アイドリングストップ> 全国給電スタンドMAP

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

民間駐車場などにおける実証試験

東京電力は、新丸の内ビルディング地下駐車場、丸ノ内

鍛冶橋駐車場、首都高速道路の一部パーキングエリアなど

に急速充電器を設置し、自治体や他企業と協働で充電器の

性能、品質、利便性に関わる実証試験を実施しています。

また、大手町・丸の内・有楽町エリアにおける駐車場

に電源コンセント

(100Vまたは200V)

を設置し、充電設備

を設置・運用する際

の課題などの評価・

調査をしています。

神奈川県警の「EVパトカー」実証試験への協力

東京電力は、2007年度より、神奈川県庁へ電気自動車

「R1e」2台と自社開発した急速充電器1台を提供していま

す。神奈川県警は、2008年7月に全国の自治体としてはじ

めて、電気自動車「i MiEV」を警察業務における実証試験

車両として導入しました。「EVパトカー」による交通警察

業務を急速充電器によっ

て支援し、排気ガスや騒

音を出さない電気自動車

の環境性を広く示すとと

もに、県民の環境意識の

向上にも貢献しています。

「アイスト倶楽部」の設立

東京電力は、2008年6月に、「外部電源式アイドリング

ストップ給電システム」を利用する運送事業者や駐車場所

有者、共同開発事業者など、合計24社による協働組織と

して、「アイスト倶楽部」を設立しました。今後も、各企業

との連携により、「インフラの普及」と「利用者数の拡大」を

進め、本システムの普及促進に取り組んでいきます。

設置済み地点 設置計画地点

全国21地点 86基 設置稼働中

給電スタンド設置稼働状況(2009年3月末現在)

設置場所の詳細については、ホームページをご覧ください。

> アイドリングストップ> アイスト倶楽部

「EVパトカー」

地下駐車場における実証試験(新丸の内ビルディング)

東京電力が開発した急速充電器

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

電気自動車について詳細な情報を記載してほしい。(アンケート)

電気自動車のCO2削減効果や急速充電器の開発、実証試験などの東京電力の取り組みについて紹介しています。

東神トラックステーション

46

大気汚染・有害物質への対策

東京電力グループの環境への取り組み

火力発電所では、燃焼時にSOx、NOxなどの大気汚染

物質が排出されます。

東京電力は、これらの排出を極力抑制するために「燃料

対策」「設備対策」「運用対策」の3つの側面で対策を講じ、

先進各国と比較しても格段に低い水準を達成しています。

SOx排出原単位 NOx排出原単位

3.4

1.6

3.1 3.2

0.7 0.8 0.80.6

1.4 1.4

3.3

1.2

2.9

1.2

0.2 0.2 0.14 0.18

4.0

3.0

2.0

1.0

0

(g/kWh)

(注)東京電力は2008年度データ、日本は2007年度データ電気事業連合会調べ、その他   6カ国は2005年データ。 出典:OECD「OECD Environmental Data Compendium 2006/2007」及び    IEA 「Energy Balances of OECD Countries 2008 Edition」より試算

カナダ

フランス

ドイツ

イギリス

イタリア

アメリカ

6カ国平均

日本

東京電力

SOx・NOx排出原単位の国際比較(火力発電所の平均)

燃料対策

良質燃料使用 ・LNGの使用 ・良質炭の使用 ・低硫黄重原油の使用

SOx対策 ・排煙脱硫装置の設置

NOx対策 ・燃焼方法の改善 ・排煙脱硝装置の設置

ばいじん対策

徹底した燃焼管理 発生源の監視など

・電気集じん機の設置

設備対策

運用対策

大気汚染防止対策

火力発電所における大気汚染防止対策の概要

*PCB(ポリ塩化ビフェニル)炭素と水素と塩素からなる有機塩素化合物。環境中で分解しにくく、生物の脂肪組織

に蓄積しやすい性質を持つ。1968年のカネミ油症事件により、有害性が問題となり、1972年に製造が中止された。

東京電力は保有するPCB廃棄物について、「廃棄物処理

法」「PCB特別措置法」などに基づき、漏えい防止措置を

施した専用施設で保管し、管理台帳作成、管理責任者選

任、定期点検などを確実に実施するとともに、自社設備や

JESCO(日本環境安全事業(株))への委託による無害化

処理を進めています。

PCB*廃棄物を適切に保管し無害化処理を計画的に推進しています。

> 環境行動レポート> 地域環境 > PCB

発電時のSOx・NOxの排出抑制に努めています。

> 環境行動レポート> 地域環境 > 大気汚染対策

保有台数 処理計画 処理目標

高濃度PCB機器

トランス・コンデンサ類※1約 3,700台(搬出済み77台)

JESCOへ委託処理 計画通りに処理を実施

柱上変圧器約73万台(処理済み約37.5万台)

自社設備(リサイクルセンター)にて処理を推進中※2

容器本体の洗浄処理量年間約10万台低濃度絶縁油処理量年間3,000kR

低濃度PCB機器

PCB機器の保有台数と処理計画 (2009年3月末現在)

PCB機器の無害化処理

柱上変圧器に使用している絶縁油の一部に、本来使用し

ていないPCBが微量に混入していることが判明したため、

2001年から自社処理を開始し、現在、3カ所のリサイクル

センターで処理しています。無害化処理された絶縁油は発

電用燃料などとしてサーマルリサイクル*し、変圧器本体

は部材ごとに洗浄し、鉄鋼・銅原料や路盤材などに再利用

しています。また、高濃度PCB機器についても2008年4

月から委託処理を開始しました。*サ-マルリサイクル

回収した廃棄物を燃焼させ、熱エネルギーとして再利用すること。

37.5(千 kr) (万台)

2001 02 03 04 05 06 07 08 (年度) 0

5.0

10.0

15.0

20.0

18.7

0

10.0

20.0

30.0

40.0

容器洗浄(万台) 低濃度絶縁油(千kR)

PCB絶縁油処理及び容器洗浄処理実績(累計)

※1 重量10kg未満の機器を除く。※2 東京都内分の絶縁油のみ、JESCO東京事業所(低濃度PCB処理施設)に委託処理。

47

東京電力は、2001年度に「2005年度までに産業廃棄物

のリサイクル率100%を目指す」という目標を掲げ、2005

年度に目標をほぼ達成することができました。その後も全

社をあげた取り組みを継続し、2008年度もほぼ100%を

達成しています。

産業廃棄物のリサイクル率100%を目指しグループ全体で取り組んでいます。

> 環境行動レポート> 資源循環

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

資源循環

グループ会社におけるリサイクルへの取り組み

東京電力グループ各社においても「2010年度までに産

業廃棄物のリサイクル率100%を目指す」という目標を掲

げ、各社の事業内容に応じたリサイクル方策を推進してい

ます。

グループ39社で構成するグループ環境委員会を通じて、

リサイクルガイドラインの作成やリサイクル会社情報の共

有などに取り組み、2008年度は21社が95%以上のリサ

イクル率を達成しました。

445.4

122.5

76.8

57.7

8.8

7.4

7.2

5.3

2.8

2.5

1.5

0.6

11.8

750.3

廃棄物名 発生量※1 リサイクル用途

石炭灰

廃コンクリート電柱

脱硫石こう

金属くず

廃油

貝類

重・原油灰

排水処理汚泥

碍子(がいし)くず

コンクリートくず

廃プラスチック類

保温材くず

その他

合計

セメント原料・土地造成など

路盤材など

石こうボード・セメント原料

金属材料・リサイクル電線など

燃料代替・熱回収など

肥料・セメント原料・土壌改良材など

金属回収・セメント原料

セメント原料・鉄鋼原料など

ブロック・路盤材など

路盤材など

プラスチック再生・熱回収など

再生保温材・セメント原料など

再資源化量 749.1埋立処分量 1.2(リサイクル率※2 99.8%)

主な産業廃棄物の内訳(東京電力2008年度) (千t/年)

※1 発生量=有価物量+自社内再生利用物量+産業廃棄物量放射性廃棄物については原子力関連法令により取り扱いが規定されているため、産業廃棄物発生量には含まれない。

※2 小数点第二位を四捨五入して算出。

炭化燃料の運用

東京電力グループの常磐共同火力(株)及びバイオ燃料

(株)は共同運用により、下水処理場内で回収される汚泥を

高温で蒸し焼きにした炭化燃料を石炭に1%程度混合して

発電に活用しています。バイオマス燃料の一つである炭化

燃料は、発熱量が低いことを

除き、石炭に近い性状であ

り、燃焼によるガスは自然界

で循環されたものと見なされ

るため、地球環境への負荷の

抑制に貢献します。

廃棄物発電

東京電力グループの東京臨海リサイクルパワー(株)は、

産業廃棄物と医療廃棄物のリサイクル処理施設「スーパー

エコプラント」を運営しています。処理の過程で得られた

鉄、アルミ、スラグなどの

副産物をリサイクルすると

ともに、廃熱を発電に活用

することにより、単純焼却

と比べて、CO2排出を抑

制しています。

廃碍子のリサイクル

東京電力グループの東電環境エンジニアリング(株)は太

平洋プレコン工業(株)と共同で、碍子入り舗装用コンク

リートブロック「エコロセラ-T」を開発しました。「エコロ

セラーT」は、東京電力で発生した廃碍子の他に、エコセメ

ントや溶融スラグなどのリサ

イクル原料を70%近く使用し

ています。また、高いすべり抵

抗や安定した走行感を実現す

るとともに、ヒートアイランド

現象の緩和にも貢献する高い

透水機能を備えています。

炭化燃料貯蔵・払出設備

「エコロセラーT」で舗装した歩道

東電環境エンジニアリング(株):www.tee-kk.co.jp

常磐共同火力(株):www.joban-power.co.jp

バイオ燃料(株):www.biofuel.co.jp

東京臨海リサイクルパワー(株):www.tgn.or.jp/tokyorp

「スーパーエコプラント」

東電環境エンジニアリング(株):www.tee-kk.co.jp

48

生物多様性の保全

東京電力グループの環境への取り組み

人間活動による生物多様性への影響が懸念される中、

2010年に日本で開催される「生物多様性条約*」第10回締

約国会議(COP10)に向けて、議論が活発化しています。

東京電力グループは、すべての生命の源である豊かな自

然を守り、将来に受け継いでいくことが重要な社会的責任

であると考え、生物多様性保全に貢献する様々な取り組み

を進めています。*生物多様性条約

1992年の国連環境開発会議における主な成果として「気候変動に関する国際連合枠組条約」とともに署名のために開放され、同年6月に日本も署名。2009年2月末現在、日本を含む191の国と地域がこの条約に加盟し、世界の生物多様性を保全するための具体的な取り組みの検討を実施。

生物多様性の保全に関わる幅広い取り組み

東京電力は、長年にわたり発電設備の緑化や尾瀬の自然

保護などに取り組んできました。また、効果的な保全方策

を検討するための調査・研究にも取り組んでいます。さら

に、これらの調査・研究によって得られた知見や東京電力

の保有する自然資産を活用した環境コミュニケーション活

動「東京電力自然学校」を展開し、生物多様性保全に関す

る啓発活動に取り組んでいます。

東京電力は、設備の建設にあたり、緑地をできる限り保

全するとともに、新たな緑化を行うなど、自然環境の保全・

創出に努めています。また、生物多様性の観点から、その地

域に棲む動植物の生態を把握し、生息・生育環境を整える

など、地域に合わせた自然環境づくりに努めています。

東通原子力発電所建設における環境保全対策

東通原子力発電所建設予定地(青森県下北郡東通村)に

おいて、貴重な動植物(ゴマシジミ、シオヤトンボなど)の

生息・生育地になっている湿原への影響を抑制するため、

土地造成面積を必要最小限

にするとともに、生物の生息

地が分断されないように整

備する取り組みを行ってい

ます。

生物多様性に配慮した設備づくりを行っています。

生物多様性の保全に向けた取り組みを進めています。

> 環境行動レポート> 自然環境 > 生物多様性

千葉火力発電所に併設する「ビオトープそが」

「東京電力自然学校」開校イベント

(千葉火力発電所)

ビオトープ実証試験場の整備

東京電力グループの東電環境エンジニアリング(株)で

は、生物多様性に配慮した設備づくりの研究の一環とし

て、ビオトープ実証試験場を整備しています。新しい技術

の開発・ノウハウの蓄積に取り組むとともに、これらの技

術力をもとに、地域のビオトープづくりのお手伝いをして

います。

2008年7月には、千葉県総合教育センターに里山ビオ

トープを寄贈しました。

ビオトープ実証試験場

「東京電力自然学校」の詳細は、54ページをご覧ください。

> 東通原子力建設準備事務所原子力

吸蜜するゴマシジミ

49

東京電力は、尾瀬国立公園特別保護地区の約7割、全体

の約4割を所有しています。大正時代に当時の電力会社が

豊富な水を発電に活かす目的で取得した土地を、東京電力

が会社設立時に継承しました。その後、発電計画はなくな

りましたが、国民的財産である尾瀬の美しい自然を守るた

めに、東京電力は約半世紀にわたり、東京電力グループの

尾瀬林業(株)とともに、様々な取り組みを続けています。

木道など公共的設備の整備

自然に与える影響を最小限に抑えながら、人と自然が触

れ合えるように、尾瀬国立公園に敷設された木道(総延長

約65km)のうち群馬県側の約

20kmの補修・架替を行っていま

す。また、浄化槽を完備した公衆

トイレ(7カ所)、外来植物を防ぐ

種子落としマット(群馬県側すべ

ての入山口)など、様々な公共的

設備を維持・管理しています。

アヤメ平の植生回復作業

尾瀬ヶ原の南に位置し、かつて「天上の楽園」と呼ばれた

アヤメ平では、1960年代の尾瀬ブームで大勢のハイカーが

押し寄せたことによって荒廃した

湿原を取り戻すため、1969年か

ら湿原回復作業を実施していま

す。現在では、荒廃した湿原全体

の約9割に緑が戻ってきています。

植林ボランティア活動

尾瀬に隣接する尾瀬戸倉山林で、1997年からボラン

ティアのみなさまと一緒に、ブナを中心とする広葉樹の植

林を実施しています。毎年約300人が参加し、これまでの

13回の植林で約6.5haの土地に約32,500本のブナが植え

られました。

東京電力は、保有する自然資産を活用して、電力設備に

おける生物多様性の保全技術の開発及び環境アセスメント

のための解析手法の確立などを目的とした調査・研究を

行っています。

動植物の生態系に関する調査

東京電力グループの(株)当

間高原リゾート敷地内の森林や

湿地などを研究フィールドとし

て、地域の生態系を構成する代

表的な生物(フクロウ、カエル

類、ニホンリスなど)を対象に

その地域における基礎的な生物

の行動様式について調査してい

ます。

また、本敷地内の一部は、か

つて棚田や畑、山林で構成され

た豊かな里山環境が保全されて

いましたが、研究開始当時に

は、一面のヨシ原で覆われた単

調な環境に変わっていました。

このため、多様な水辺環境の創

出や維持管理に関わる技術開発を目的として、従来の棚田

の形状を活かし、水深や形状に変化をつけた大小様々な池

沼群を整備するとともに、創出した後の水辺環境周辺にお

ける基盤環境と動植物相(植生・鳥類・陸上昆虫類・水生

生物)の変遷について追跡調査を行っています。

未来に活かすための調査・研究を行っています。

約半世紀にわたり尾瀬の自然保護に取り組んでいます。

> 竹内純子と歩く尾瀬

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

尾瀬林業(株):www.tgn.or.jp/oze

木道整備

アヤメ平の植生回復作業

整備した棚田「あてまバードサンクチュアリ」

(株)当間高原リゾート:www.belnatio.com

フクロウ

モリアオガエル

ニホンリス

50

環境マネジメント

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループは、環境法令の遵守や汚染の防止、環

境パフォーマンスの着実な向上など、多様な事業活動にお

ける環境面の諸活動を的確に管理するため、グループ各社

において環境マネジメントシステムを整備し、その継続的

改善に努めています。

環境マネジメント推進体制

東京電力は本店に「CSR委員会 環境管理部会」を設置

し、全社の環境方針・目標の設定、対策の推進、実績の

チェック&レビューを行っています。各事業所では「環境

委員会」がその役割を担っています。

また、社外の有識者・専門家の方々を委員とする「東京

電力環境顧問会」より指導・助言をいただき、環境への取

り組みの充実・改善に活かしています(詳細は76~77ペー

ジ参照)。

さらに、東京電力及びグループ39社は「グループ環境委

員会」を構成し、情報連携、環境リスク低減、情報開示・

広報を重点方策として、グループ環境管理の改善に取り組

んでいます。

東京電力の各事業所における環境マネジメントシステム

東京電力の支店・発電所など環境保全活動を実践する

全事業所は、ISO14001に準じたEMS(環境マネジメント

システム)を構築し、運用しています。

各事業所では「環境委員会」が環境目標や環境管理計画

の策定並びに実績管理を行うとともに、EMS全般の

チェック&レビューを実施するなど、環境管理の中核的機

能を果たしています。

こうした環境管理活動の実施状況やEMSの有効性を検

証するため、各事業所の社員で構成される「環境監査チー

ム」が定期的に内部環境監査を実施しています。「パフォー

マンス(遵法を含む)」と「システム」の2つの観点から、幅

広い項目についてヒアリングや現場確認などを行い、監査

結果は業務の改善や仕組みの見直しなどへの反映を通じ

て、環境管理の継続的改善につなげています。

ISO14001認証取得

東京電力は、EMSの運用状況について、第三者の客観

的な評価を受けることができるISO14001の認証取得も、

環境管理のレベルアップの有効な手段と考え、一部事業所

において認証を取得し、EMSの一層の改善に活かしてい

ます。

グループ会社を含めた環境マネジメント推進体制を構築しています。

※事業所:支店、電力所、火力事業所、原子力発電所、建設所。

事業所※ 環境監査チーム

CSR委員会

環境管理部会

関係各部 環境部

グループ環境委員会

事業所長

第一線機関 各 部

環境担当 環境委員会

環境顧問会

監査役

社 長 常務会

環境マネジメント推進体制

事業所名 審査登録範囲 登録日

山梨支店 管内の全事業所 1999年12月27日

千葉支店※1 管内の全事業所 2000年3月29日

柏崎刈羽原子力発電所

柏崎刈羽原子力発電所構内

事業所本部と管轄する全火力発電所(千葉・五井・姉崎・袖ケ浦・富津火力発電所)

2001年8月20日

東火力事業所※2 2002年2月25日

事業所本部と南横浜・東扇島・横浜の各火力発電所

西火力事業所※3 2003年3月25日

ISO14001認証取得状況

※1 2006年3月29日、支店内全事業所に登録範囲を拡大。※2 2003年2月25日、事業所内全発電所に登録範囲を拡大。※3 2004年9月24日、横浜火力発電所を登録範囲に追加。

> 環境行動レポート> 環境管理 > 環境マネジメントシステム> 推進体制 > グループ環境委員会

51

グループ環境管理のレベルアップ

「グループ環境委員会」では、各社の事業特性やノウハウ

を活用し、連携・協働して各方策に取り組んでいます。

EMSについては、東京電力グループの東電設計(株)が

内部環境監査研修や各種の指導・助言を実施し、各社の

システムの構築・運用改善を支援しています。2009年3月

末現在、グループ環境委員会所属企業のうち、13社が

ISO14001認証を取得し、16社がISO14001に準じた

EMSを構築しています。

資源循環・リサイクルについては、東京電力グループの

東電環境エンジニアリング(株)が推進役となり、研修会開

催などによる廃棄物適正処理に向けた取り組みや、リサイ

クルに関する情報提供などによる産業廃棄物リサイクル率

100%を目指した取り組みを進めています(詳細は47ペー

ジ参照)。

また、グループ各社では環境負荷データの目標・実績管

理を行うとともに、環境活動レポートを取りまとめ、各社

のホームページなどで公表しています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

東電設計(株):www.tepsco.co.jp

東電環境エンジニアリング(株):www.tee-kk.co.jp

項目

CO2排出量※1

事務所内電気使用量※2

生活用水使用量

車両燃費(走行距離あたりのガソリン使用量)

ガソリン使用量

コピー・プリンター用紙購入量(A4換算)

産業廃棄物リサイクル率

産業廃棄物発生量

9.2万t-CO2

2.35億kWh

134万K

0.094R/km

553万R

3.0億枚

99.9%

68.8万t

11.2万t-CO2

2.35億kWh

134万K

0.095R/km

528万R

3.1億枚

100%

78.4万t

8.7万t-CO2

2.27億kWh

128万K

0.094R/km

496万R

3.0億枚

99.8%

75.0万t

3.5万t-CO2

0.76億kWh

48万K

0.098R/km

378万R

2.2億枚

98.5%

22.1万t

4.3万t-CO2

0.77億kWh

44万K

0.101R/km

456万R

2.2億枚

91.7%

121.2万t

3.7万t-CO2

0.78億kWh

42万K

0.101R/km

466万R

2.2億枚

90.0%

114.6万t

2006年度

東京電力 グループ会社※3

2007年度 2008年度 2006年度 2007年度 2008年度

東京電力グループの環境パフォーマンス

※1 事務所内電気使用量・ガソリン使用量から算定。CO2排出原単位は、電気(東京電力の各年度の実績)、ガソリン(2.32kg-CO2/R)を使用。※2 発電所所内用電力量を除く。※3 集計対象グループ会社 2006年度:28社 2007年度:33社 2008年度:34社

社員の環境意識及び知識・技能の向上

東京電力は、社員が業務遂行にあたって常に環境に配慮

した行動を実践できるよう、様々な社員教育を実施してい

ます。

各事業所の環境管理の実質的な推進役となる環境担当

や環境総括部署の社員は、新任時の集合研修などを通じ

て、EMSや主要な環境問題、環境法令などに関わる知識

を習得します。また、内部環境監査員の養成を主目的とし

た研修や、廃棄物の管理・処理などに関わる社員を対象と

した実務研修など、多様なプログラムを展開しています。

さらに、イントラネットを活用した環境情報の共有や、

環境業務に関わる相談窓口の運営、学習用教材の配布な

ど、幅広い支援メニューにより、社員の環境意識・技能の

向上に努めています。

研修名 主な内容 受講者数※1

新任環境担当・新任環境実務担当者研修

EMS、地球温暖化問題の動向、廃棄物・有害物質管理、環境コミュニケーションなど

242名

環境関連法令研修主要環境法令及びマニュアル理解、遵守状況確認手法の習得など

64名

内部環境監査に関する基礎研修

EMS概論、内部監査手法の基礎、模擬監査演習など

127名※2

廃棄物適正処理に関する研修会(実務者・中核者)

廃棄物法令の理解、廃棄物処理実務の習得など

1,081名※2

自然観察指導員養成研修自然の理解・安全対策・観察指導法・プログラムづくりなど

28名※2、3

環境に関する主な集合研修(2008年度実績)

資格取得支援研修

環境社会検定試験(eco検定)受験対策

公害防止管理者(大気関係)受験対策

308名

※1 重複受講を含む。※2 グループ会社社員を含む。※3 実施期間(2008年3~5月)。

「グループ環境委員会」

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

事業所の環境パフォーマンスを掲げるのであれば昨年との比較がほしい。(はがき)

東京電力及びグループ会社の過去3年間の実績を掲載しています。

グループ各社のEMS構築状況については、ホームページをご覧ください。

> 環境行動レポート> 環境管理 > 環境マネジメントシステム> システムのレベルアップ > グループ企業のISO14001認証取得状況

52

サービスの向上

経営情報の取得

働きがいの向上

実効的な 制度づくり

技術力・ ノウハウの 向上

環境・ エネルギーに 対する意識の 向上

取引条件の最適化

地域社会の発展

お客さま

株主・投資家

社 員

政府・自治体

国際社会

未来を担う 子どもたち

地域社会

ビジネス パートナー

*ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーとの対話を通じ、その意見を経営の意思決定に取り入れるなど、ステークホルダーを巻き込んだ経営をしていくこと。

東京電力は、事業活動に関わる様々なステークホルダーに応じて、コミュニケーション活動を行っています。

そして、いただいたご意見・ご要望を事業活動に活かしていくこと、すなわちステークホルダーエンゲージメント*を一層

充実させていくことで、よりよい事業展開をはかるとともに、みなさまからの信頼をより確かなものにしていきます。

東京電力グループと社会との関わり

53

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

社員と経営層とのコミュニケーション

毎年、経営層がほぼすべての事業所を訪問し、社員との

意見交換を通じて現場の課題を把握するとともに、経営に

関する情報を直接発信

しています。また、社

内のイントラネットに

は日常のツールとして、

「経営層とのコミュニ

ケーションひろば」を設

けています。

社員意識調査

経営ビジョンの浸透度や社内コミュニケーションの充実

度、社員の仕事へのやりがいなどを把握するために、年に

1度、社員意識調査を行っています。調査結果は社内イン

トラネットを通じて共有し、諸施策の見直しに役立ててい

ます。

社内コミュニケーションツール

社内イントラネットや社報、社内テレビなど様々なツー

ルを活用し、社員の意識高揚や情報共有をはかっています。

東京電力は、「株主・投資家のみなさまとの双方向コ

ミュニケーションを重視することにより、経営の一層の改

善に役立てる」という基本方針に基づき、IR活動を推進し

ています。

IR活動

機関投資家のみなさまに対しては、経営計画や決算に関

する説明会を開催し、決算後には国内外ともに経営層が直

接訪問し意見交換を実施しています。また、東京電力の事

業への理解を深めていただくために、発電所や研究所など

の施設見学会を開催しています。個人株主のみなさまに対

しては、事業報告書やホームページ、説明会の動画配信な

どを通じて情報開示の充実に努めています。IR活動でいた

だいたご意見などは社内で共有し、事業活動の改善につな

げ、企業価値の向上をはかっています。

IR情報公開

株主・投資家のみなさまとのコミュニケーションを重視し、事業活動の改善につなげています。

> 企業情報 > 株主・投資家のみなさま

社内コミュニケーションの充実をはかり、意識の共有に努めています。

株主・投資家、社員とのコミュニケーション

●アニュアルレポート ●機関投資家向け説明会

東京電力の財務状況などについて紹介(年1回発行)

経営層との意見交換会

社内コミュニケーションの促進と業務運行の円滑化を目的

に、社報「とうでん」を発行しています。発行にあたっては、以

下の4つの基本方針に則した情報発信を行っています。

社報「とうでん」

①会社が進む方向性を分かり

やすく伝える

②重要な情報を全社員で共有

する

③社員の声を吸い上げ風通し

のよい企業風土を構築する

④業務に対する誇りを醸成し

社員の活力を生む

ダミー

●電気自動車見学会

54

環境コミュニケーション

東京電力グループと社会との関わり

これまで東京電力が取り組んできた発電所の緑地におけ

る自然観察会や、尾瀬戸倉山林におけるブナ植林ボラン

ティアなど、自然環境を活用したコミュニケーション活動

について、2008年4月より「豊かな自然、育む心を次世代

に。」をスローガンに、「東京電力自然学校」という統一した

名称の下に展開しています。

これらの活動を継続的に実施していくために、社内人材

育成に取り組む他、社外の生物関係の専門家や教育関係者

からなる「アドバイザリー委員会」を設置し、ご意見をいた

だきながら活動を充実させていきます。

「東京電力自然学校」ロゴマーク

様々な地域での活動

水力発電所調整池を利用した鳥類観察会

水力発電所の出力を調整するために設置される調整池

は、水鳥にとって重要な生息地でもあります。2009年3月

には、野鳥観察地としても有名な長野県の小諸発電所第一

調整池、群馬県の佐

久発電所真壁調整池

を利用して、水鳥の

生態について学ぶ観

察会を実施しました。

足尾の試験植栽

銅製錬時の煙害により緑を失った足尾での試験植栽に、

ボランティアに応募いただいたみなさまとともに取り組ん

でいます。この取り組みは、エコキュートをお買い上げい

ただいたお客さまに対

して東京電力が森林保

全をお約束する「ECO

サポートプラン」の森

林保全拠出金を用いて

実施しています。

梓川水殿発電所「夏休み親子森林教室」

信濃川水系のすばらしい自然環境とそこに共存する東京

電力の設備をご案内する親子森林教室を開催しました。自

然解説は、森林イ

ンストラクターの資

格を持つ社員が地

元NPOの方々のご

協力をいただきな

がら実施しました。

社内人材育成

社員が幅広く東京電力自然学校活動に対して取り組む

ことを目的とした研修を実施しています。この研修により

自然体験活動リーダー*の資格を取得した社員が、各発電

所における自然観察会などで活躍しています。*自然体験活動リーダー

NPO法人自然体験活動推進協議会(CONE)で定められた研修カリキュラムを修了することで取得できる民間資格。

「東京電力自然学校」主要フィールドでの活動

東京電力は、これまで自然環境の保全や創出に取り組んで

きた「発電所」、「当間高原」、「尾瀬・戸倉」などのフィールド

を活用し、地域のみなさまと連携した活動を進めています。

生物多様性に配慮した豊かな緑地を持つ東京電力の発電

所では、設備の見学とともに、1993年から自然観察会を

実施しています。自然に親しんでいただくことを目的に季

節に応じたプログラムを展開しており、2008年度には

2,400名が参加しました。さらに2009年4月からは、東京

電力グループの(株)当間高原リゾート敷地内に、「あてま

森と水辺の教室 ポポラ」を開校し、里山環境の仕組みと大

切さを学ぶプログラムを提供しています。その他にも、尾

瀬において片品村の村営施設

「尾瀬ぷらり館」内に自然学校

拠点を構えるなど、生物多様

性保全に関する普及啓発に取

り組んでいます。

自然を舞台としたお客さまとの交流の場「東京電力自然学校」を展開しています。

> 東京電力自然学校

小諸発電所第一調整池の鳥類観察会

足尾の試験植栽

「夏休み親子森林教室」

(株)当間高原リゾート:www.belnatio.com

マークの形は、太陽の光とEarth(地球)、Energy(エネルギー)、Eco(環境・生態系)につながる「E」を表し、マークの色は、「太陽の輝き」(赤)、「水と空気」(青)、「みどりの森」(緑)、「大地」(茶)を表しています。これらひとつひとつの要素が東京電力自然学校の多彩な活動の源です。

発電所緑地での自然観察会

55

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

環境・エネルギー講座

東京電力は、子どもたちを中心に、幅広い世代に環境問

題に対する意識を高めていただくため、環境やエネルギー

について学ぶ講座を実施しています。

● くらしと電気の関わり

● 電気がつくられるしくみ

● エネルギー事情と地球温暖化問題

● 地球温暖化を防ぐために今日からできること

などについて、模型や実験などを織り交ぜ、分かりやすく

説明しています。

また、教職員の方々を対象に、ご自身が展開される環

境・エネルギー教育に役立てていただくために、「環境・

エネルギー教育研修会」を実施しています。今後も、地域

の特性に応じた効果的な教育支援を目指し、次世代教育に

関わる方々と連携を取りつつ、活動を進めていきます。

全国大学生環境活動コンテスト(エココン)

大学生の環境活動を支援する仕組みとして「全国大学生

環境活動コンテスト」を2003年より開催しています。これ

までに、全国各地からのべ353団体、約5,000名の方々が

参加しました。環境に関わるNGO・行政・企業などの社

会人選考委員と参加者全員による公開選考や、交流会など

を通じて、社会人と

学生や学生同士と

いった今までつなが

りのなかった人たち

のネットワークが形

成され、大学生の環

境活動の活性化に貢

献しています。

サイエンス・グランプリ

科学技術は、くらしや産業の発達において、大きな役割

を果たす不可欠なものです。東京電力は、科学技術に深く

関わるエネルギーをつくり、お客さまにお届けする企業と

して、次世代層の理科・科学教育に少しでもお役に立ちた

いと考え、1995年度より「サイエンス・グランプリ」を実

施しています。

「サイエンス・グランプリ」は、東京電力のサービス区域

1都8県の小・中学生を対象として行われる理科自由研究

のコンクールです。文部科学省をはじめ、対象地区の教育

委員会及び全国小学校理科研究協議会、全国中学校理科

教育研究会の後援の下、毎年、身近な自然や日常生活で感

じた疑問を見逃さず、その疑問に対して仮説を立て、実験

や観察により検証を繰り返し行ったレベルの高い作品が集

まります。2008年度の「第14回サイエンス・グランプリ」

では、1,540校から64,000点を超える応募をいただきま

した。子どもたちの理科・科学に対する関心を高め、科学

する心を育むきっかけとなるよう、本コンクールを今後も

実施していきます。

幅広い世代を対象に環境への関心を高めていただくための取り組みを進めています。

2008年度の「環境・エネルギー講座」参加者

小学生 50,400名 中学生 10,426名 高校生 1,328名

「エココン」での活動発表

2008年度より、地域のボランティアの方々と協働で環境・エネルギー教育支援活動に取り組む「テプコのエコ先生プロ

ジェクト」を始動しました。

「環境・エネルギー講座編」では東京電力OBや大学生から約40名の「エコ先生」が誕生し、2008年7月から、東京電力の社員とともに小・中学校での「環境・エネルギー講座」など

の出前授業で活躍しています。

「尾瀬出前授業・尾瀬自然解説ガイド編」(20名)、「自然観察会編」(11名)も、2009年から活動が始まり、学校に留まらず、地域へ広がる環境・エネルギー教育支援を目指してい

ます。

テプコのエコ先生

社員のときと比較し、「社会とのつながり」が日々希薄になる

ことに不安を感じていたときに、この活動の募集を知り、一

も二もなく応募しました。

教室では毎回楽しく講座に

参加しています。これから

も分かりやすい環境・エネ

ルギー教育のための一助と

なるよう、地道に取り組ん

でいきたいと思っています。

エコ先生の声

島崎榮一さん(東京電力OB)

> ecocon(全国大学生環境活動コンテスト)

56

お客さまとの関わり

東京電力グループと社会との関わり

東京電力は、お客さまに喜ばれるサービスを提供し、よ

りよい信頼関係を築いていきたいと考えています。

様々な場面での対話機会を通じていただいた「お客さま

の声」は、毎月約3万件にのぼります。それらを社内全体で

共有し、業務の改善や新たなサービスの提供につなげてい

ます。

※1 「お客さまの声」を社内システムに登録し、社員全員で活用できる仕組みを構築。 ※2 分析結果をもとに、社内委員会(エコー委員会)で新たなサービス提供や品質向上に    向けた方策を検討。

業務改善

お客さまのニーズ の把握※2

電話受付 作業訪問 営業訪問 窓口受付 懇談会

お客さまと接する業務/対話機会

東京電力

「お客さまの声」 の収集※1

「お客さまの声」 の分析※1

「お客さま満足度調査」 結果の分析

新たなサービス の提供

サービスの 品質向上

「お客さまの声」を活用する仕組み

お客さま満足度調査

お引っ越しや契約アンペア変更など、お客さま対応をさ

せていただいた東京電力の電話係員や訪問係員の対応や仕

事ぶりなどについて、お客さまの満足の実態を把握し、こ

れを業務の改善に結びつけ、お客さまサービスの一層の向

上をはかるために、1987年度から「お客さま満足度調査」

を実施しています。年間を通じて約20万通のアンケートを

発送し、2008年度の調査結果によると、電話受付サービ

スで93.6%、訪問サービスで93.3%のお客さまに満足い

ただいています。

「お客さまの声」の活用

お客さまからいただいたご意見・ご要望をもとに、各事

業所や各部門において分析・検討を行い、よりよいサービ

スや業務の改善につなげています。各地域にあるカスタ

マーセンターのCSア

ナリスト(専門の分析

担当者)は、東京電力

の仕事をお客さま本位

に動かしていく品質管

理の中核的役割を果た

しています。

お客さまへのサービスを一層充実させています。

CSアナリストの打ち合わせ

> お問い合わせ

(注)数値はサービスへの満足度(5段階)のうち、上位2段階にあたる「満足した」「まあ満足  した」の合計値。

70

75

80

85

90

95

100

(年度) 0706052004

(%)

93.991.892.6

93.4

93.5

92.1

86.988.8

08

93.6

93.3

電話受付サービス

訪問サービス

「お客さま満足度調査」結果の推移

「お客さまの声」を活かしたサービスの事例

「でんきのご案内」に電気料金メニュー「電化上手」について

の説明を詳しく掲載しました

電気料金メニュー「電化上手(季節別時間帯別電灯)」の

内容を分かりやすくご案内するために、入居時にお配りす

るパンフレット「でんきのご案内」に、計算事例などを追加

しました。

すべての事業所で「支払証明書」の発行を可能にしました

従来、「支払証明書」の発行は、電気のご使用場所の受け

持ち事業所でのみ対応していましたが、「受け持ち事業所

以外でも発行してほしい」との声から、すべての事業所で

発行できるように変更しました。

57

快適なくらしのご提案

「TEPCOくらしのラボ」は、オ-ル電化に欠かせないIH

クッキングヒーターをはじめ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、

食器洗い乾燥機などの家電製品の選び方から使い方まで、

お客さまの視点に立った調

査・試験を行い、「Switch!」

ホームページとともに、電

気による便利で快適なく

らしをトータルに提案して

います。

ユニバーサルデザインへの取り組み

より多くの方に電気を通じた便利なくらしを安心して

送っていただくため、PR館などにおいて、ユニバーサルデザ

インにも配慮した様々なコンサルティングを行っています。

例えば、目や耳の不自由な方にも、IHクッキングヒー

ターの選び方や使い方をご理解いただけるよう、字幕・ナ

レーション・手話付の

解説DVDを作成し、ご

紹介しています。

また、お年寄りに安

心してくらしていただ

けるよう、調査・研究

を行った結果をふまえ、

「高齢者向けオール電化ガイドブック」を作成し、コンサル

ティング内容の充実をはかっているとともに、調査・研究

で得た知見をメーカーに積極的に提供し、誰にとっても使

いやすい製品の開発にもつなげています。

電気を通じた安心で便利なくらしをより多くの方に提供しています。

くらしに役立つ電気の情報を提供しています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

東京電力Switch!カード

お客さまサービスの充実やオール電化の普及促進をはか

るため、電気料金をはじめとする公共料金などをお得にお

支払いいただけるクレジットカードを発行しています。

字幕・ナレーション・手話付の解説DVD「IHクッキングヒーターで快適キッチンライフ」

高齢者向けオール電化ガイドブック「『安心』できる住まいづくりのススメ」

目の不自由な方への料理教室(東京電力千葉支店主催)

「くらしのラボレポート」

> くらしのサポート> くらしのサポートコンテンツ> くらしのラボ

「Switch!」ホームページ(2009年4月現在)

> くらしのサポート> 快適なくらしのご提案> Switch!(オール電化住宅情報)

電気の安全に関する情報

お客さまに安心して電気をお使いいただけるよう、安全

に関する情報を冊子やホームページで提供しています。

> くらしのサポート> 電気のご利用Q&A

「でんこちゃんのなるほど安全!なっとくBOOK」

> おもしろ情報館> でんこちゃんのなるほど電磁波!

「でんこちゃんのなるほど電磁波!」

Switch!カード

> くらしのサポート> 快適なくらしのご提案> Switch!カード

58

国際社会との関わり

東京電力グループと社会との関わり

東京電力は、グローバルエネルギーサービスのトップラ

ンナーを目指し、電気事業に関わる技術の提供や人材の育

成を通じて、発展途上国の人々のくらしを支える電力設備

の形成や資源の有効活用など、持続可能なエネルギー開発

を支援しています。

e8活動

東京電力は、1992年にG7参加国(当時)の主な電力会

社とともに、地球環境問題への貢献、持続可能なエネル

ギー開発の促進を目的とした非営利組織「e8」を設立しま

した。e8参加企業は、発展途上国に対して効率的な発電

方式や電気の利用方法に関する情報及び専門的技術を提

供する様々なプロジェクトやセミナーを実施し、発展途上

国の人々の能力向上に貢献しています。

東京電力もe8の一員として、これまで培ってきた電力技

術を活用し、発展途上国の持続可能なエネルギーの開発や

小水力発電所の建設、運転に関する技術ノウハウの移転な

どに引き続き貢献していきます。

マニラ

イフガオ州

セブ

ダヴァオ

マレーシア

プロジェクトのスキーム

名称 フィリピン世界遺産棚田保全小水力発電プロジェクト 場所 フィリピン共和国イフガオ州 設備 200kW、流込み式水力

プロジェクト概要

フィリピン

「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」

イフガオ州配電事業者

棚田保全管理組合 (保全計画策定、資金管理)

小水力発電所(200kW) (フィリピン政府へ寄贈)

収入

資金

売電

発電所の建設(東京電力)

棚田保全プロジェクト

フィリピン世界遺産棚田保全小水力発電プロジェクト

「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」は、その壮大

な景観から「天国への階段」と呼ばれ、1995年にユネスコ

(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に指定されました。

しかしながら、近代化による都市への人口流出などを背

景に、荒廃が徐々に進行し、2001年には「危機にさらされ

ている世界遺産リスト」に登録されるなど、貴重な景観が

損なわれつつあります。

東京電力では、e8活動の一環として危機に瀕した棚田

の保全に貢献するため、豊かな水資源を活用した小水力発

電所の建設プロジェクトを実施しています。

本プロジェクトでは、東京電力が有する水力発電の技術

ノウハウを活かして発電出力200kWの小水力発電所を建

設し、フィリピン政府に寄贈します。発電所で発電された

電気は地元の電力会社に売られ、その収益が棚田の保全に

活用されることになります。

また、地元の管理組合による将来の発電所の運転・維持

や、棚田保全の資金管理などの体制構築も支援していま

す。なお、2008年12月に着工した発電所の運転開始は、

2009年末から2010年初頭を予定しています。

本プロジェクトが持続的な棚田保全の取り組みのモデル

ケースとなって、フィリピンの棚田保全に関する世界の関

心と支援の輪が広がることが期待されています。

技術提供や人材育成を通じて発展途上国の発展を支援しています。

e8:www.e8.org

東京電力は、国際社会への貢献に加えて事業発展・業績

拡大なども視野に入れ、東京電力の技術力・ノウハウ・人

材などの経営資源を活用した海外コンサルティング事業を

積極的に行っています。

フィジー再生可能エネルギー調査

フィジーは、経済成長にともなって電力需要が急速に拡

大している国の一つです。一方で、既存設備によるディー

ゼル発電は、燃料費高騰の影響を受けやすいという問題を

抱えており、また地球温暖化への影響も懸念されています。

東京電力は国際協力銀行(JBIC)から委託を受け、2007

年からフィジーに調査団を派遣し、各地域において再生可

能エネルギーによ

る電源開発の可能

性について調査を

実施しました。

59

サウジアラビアでの環境・エネルギー講座

東京電力では、(独)国際協力機構(JICA)からの業務委

託により、サウジアラビアで「電力省エネルギーマスター

プラン」の策定支援に取り組んでおり、その活動の一環と

して、次世代層に対する「環境・エネルギー教育」も支援し

ています。

2007年7月には、サウジアラビアから視察団を東京電力

へ迎え、日本の小・中学校で実施している「環境・エネル

ギー講座」を見学していただくとともに、2008年5月には、

東京電力の社員がサウジアラビアに赴き、現地の小学生た

ちを対象に「環境・エネルギー講座」を実施しました。

海外コンサルティング事業を積極的に展開しています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

(注)緑色(■)は東京電力のコンサルティング実施国。

サウジアラビア

電力省エネルギーマスタープラン

シンガポール

電力流通設備建設に関する技術コンサルティング

アメリカ

原子力プラントの建設・運転管理に関する技術コンサルティング

カリブ(バハマ・ジャマイカ)

送配電設備の信頼性向上に関するコンサルティング

中国

UHV送電技術支援

ザンビア

地方電化マスタープラン

中国:上海

地下送変電技術支援

フィリピン

地方電化プロジェクト

フィジー

再生可能エネルギー調査

オーストラリア

ロイ・ヤンA火力発電所の運営

デンマーク

地中送電系統解析

ラオス

ハイブリッド発電所の建設

海外コンサルティング案件実施先分布(2008年度)

現地での打ち合わせ風景(フィジー)

現地の小学生向け「環境・エネルギー講座」(サウジアラビア)

「環境・エネルギ-講座」については、55ページをご覧ください。

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

海外での活動について詳しく教えてほしい。(はがき)

電気事業に関わる技術やノウハウを活用し、発展途上国の発展支援や海外コンサルティング事業を行っています。

60

地域社会との関わり

東京電力グループと社会との関わり

東京電力グループの事業活動は、地域の方々に支えられ

ています。地域社会の一員として、地域の発展に貢献する

ために、地域安全、地域環境保全、教育支援、福祉・文化

など、様々な活動を地域のみなさまとともに行っています。

産消交流活動

東京電力は、原子力発電所立地地域(電気の生産地)で

ある福島県・新潟県や原子力発電所が着工準備中の青森

県と、首都圏を中心としたサービス地域(電気の消費地)と

の相互理解を目的とした「産消交流活動」を行っています。

立地地域の見どころや文化、物産を紹介する機会を設け

たり、発電所とサービス地域の事業所が連携し、スポーツ

交流などの企画・運営に取り組んでいます。

立地地域のことをより広くお知らせするための取り組み

テレビや雑誌などのマス媒体、首都圏で開催するイベン

ト、東京電力の各事業所が展開するフェイス・トゥ・フェ

イスの交流などを通して、立地地域の魅力をお伝えし、相

互理解を深めています。

地域安全活動

防災サミットの開催

東京電力宇都宮支社では、大規模災害発生時には、

「地域」「行政」「企業」の協力が不可欠だと考え、災害時の

対応や事前の対策などについて管轄区域の市町と協議する

「12市町&TEPCO防災サミット」を開催しました(2008年

11月)。

サミットでは、行政側から緊急時におけるホットライン

の開設や、医療機関・老人福祉施設・避難所などへの電力

優先供給など、様々な要望が出されました。ホットライン

の開設要望に対しては、災害時の着信の可能性を増やすた

め、「非常時における12市町とのホットライン連絡網」を設

定しました。12市町と東京電力とで、「防災サミット共同

宣言」を策定することを目指し、今後も定期的に開催して

いきます。

防災サミット

地域社会と協働しパートナーシップを築いています。

青森県内の特産品などを紹介(BSフジ:土曜日 21:54~22:00)

●テレビ番組:「青い森の国から」(青森テレビ)

原子力発電所が立地している

地域と首都圏との交流と、エ

ネルギーについての理解を深

めてもらうイベントを新宿駅

で1999年より継続して実施。

●でんきのふるさとフレンドパーク

福島第一・第二原子力発電

所、柏崎刈羽原子力発電所と

銀座支社が、福島・新潟・東

京の各地域で、毎年持ち回り

で開催。相互交流を深めると

ともに、発電所見学なども実

施し、原子力発電に対する理

解促進をはかる。

●ママさんバレーボール大会 

でんきのふるさとフレンドパーク

ママさんバレーボール大会

一人暮らしのお年寄り向け巡回安全サービス

東京電力水戸支社では、社会福祉法人日立市社会福祉

協議会からの要請により、一人暮らしのお年寄りなどに安

全・安心な生活をお送りいただくため、他の企業や団体と

ともに、家屋の安全点検や悪徳商法・火災への注意喚起な

どの活動を実施しています。また、(財)関東電気保安協会

と協働し、屋内の電気配線診断、職員を装った詐欺事件の

防止、漏電遮断器取り付けの推奨なども行っています。

廃止水力発電所の再生事業

落合楼発電所は、伊豆半島中央部の天城湯ヶ島にある老

舗旅館が1962年に運転開始した水力発電所ですが、10年

程前から運転不能となり放置されたままの状態で、取水え

ん堤が魚類の遡上を妨げ、排砂門・取水口に流木などが絡

まり景観を損なうなど、河川環境が非常に悪化していまし

た。2006年度に東京電力グループの東京発電(株)が行っ

た再生事業により、現在では魚類が遡上する美しい水面が

復活し、子どもたちが親水活動に興じるなど、地域住民に

も喜ばれています。なお、当

事業はNEDO技術開発機構と

経済産業省が実施した「新エ

ネ百選」にも選ばれています。

61

教育支援活動

本業を活かした中学生・企業への介護研修実施

東京電力グループの東電パートナーズ(株)では、介護

サービス事業を通して培ったノウハウを活かし、中学生な

どにお年寄りの擬似体験やデイサービスでの交流の機会を

提供するとともに、一般の方々へいざというとき困らない

ための介護の基礎知識などをお伝えすることで、今後避け

ては通れない「介護」の問題をともに支え、みなさまが安心

していきいきと過ごせる地域づくりに貢献していきます。

地域環境保全活動

外来植物(ギシギシ・ハルジオン)除去 

尾瀬国立公園特別保護地区内の山小屋や歩道の周辺に

は、ギシギシやハルジオンといった外来植物の進入が見ら

れます。東京電力グルー

プの尾瀬林業(株)では、

自社経営の山小屋周辺の

外来植物を抜き取り、区

域外へ搬出・処理をして

います。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

ギシギシの駆除作業

再生前

中学生によるデイサービス交流 介護セミナー

放射線について楽しく学べる講座を実施 

放射線は、日常生活の中で身近に接していますが、視認

することができないため関心が薄く、また学校教育で取り

上げられることもほとんどありませんでした。東京電力グ

ループの日本原燃(株)では、地域住民を対象に、放射線

の仕組みや安全性について説明する「げんねんエコスクー

ル」を毎月開催しています。また、少しでも多くの方々に

放射線に関する知識を持っていただくため、様々なテーマ

によるカルチャー講座と組み合わせて実施しています。実

施後のアンケートなどから、当初放射線に対して抱いてい

た怖いイメージが好転するなどの効果が期待されるため、

今後も定期的に開催していきます。

「げんねんエコスクール」

東京発電(株):www.tgn.or.jp/teg

尾瀬林業(株):www.tgn.or.jp/oze 東電パートナーズ(株):www.tepco-partners.co.jp

日本原燃(株):www.jnfl.co.jp

ハルジオンギシギシ

再生後

62

東京電力グループと社会との関わり

未来を担う子どもたちを対象とした活動

食育

東京電力は、社会貢献活動の一つとして食育にも積極的

に取り組んでいます。親と子のコミュニケーションをキッ

チンから育む「TEPCO 食の教室」を年間を通して実施して

います。また、関東各県で生産されている野菜を中心とし

たレシピ集「パクパクレシピ」を6種類作成し、冊子やホー

ムページで公開するなど、食に関する情報提供も継続的に

行っています。

地域との協働による環境意識の向上

城西国際大学とタイアップしたCO2ダイエットプロジェクト

東京電力成田支社では、2008年7月より、城西国際大学の

学生とともに、CO2削減のための取り組みを行っています。

今後も、学生が中心と

なってCO2ダイエット宣言

の活動報告や研究発表、環

境講演会やディスカッショ

ンを企画していただけるよ

う、積極的なプロデュース

を行っていきます。

NPOとの協働

環境NPO「オフィス町内会」との協働

CO2吸収源として生命力あふれる森を保つためには、樹

木の力強い育成を促す間伐が必要不可欠ですが、近年、経

済的な理由から間伐が適切に行われず、荒廃する森林が増

加しています。「オフィス町内会」は、用紙代の約10%を

間伐促進費用として上乗せした「間伐に寄与した紙」を間

伐サポーター企業に利用してもらうことで、間伐と間伐材

の利用を経済的に成り立たせる間伐促

進の新しい仕組み「森の町内会」活動を

展開しています。東京電力は、主要な

間伐サポーター企業として、間伐の実

施から間伐材の利用まで行う「森の町

内会」を支援しています。

エネルギー子どもワークショップ in川崎の開催

東京電力川崎支社では、環境・エネルギー問題をテーマ

とした学習を全面的に支援したいとの考えから、環境・エ

ネルギー教育を行う川崎市立の小学校を対象に、発表と情

報交換の場を提供するため、年に一度ワークショップを開

催しています。

2009年2月21日に開催した第6回のワークショップで

は、22校が参加し、活発な交流が行われました。参加者か

ら、「本ワークショップは体験を通じて子どもたちが成長す

る貴重な機会。将来、環境やエネルギー問題に取り組む人

材が生まれることを期待している」(教育関係者)、「同じ

テーマを学習している学校の発表が自分たちよりも分かり

やすくまとめられていて、参考になった」(児童)などの声

をいただきました。

> 食の教室

「TEPCO 食の教室」での子どもたちの調理風景

ワークショップ会場

ワークショップでの発表風景

電気自動車の説明を行う学生

「森の町内会」ロゴマーク

CO2ダイエット宣言については、41ページをご覧ください。

● 第1弾(2008年7月16日~9月30日)「みんなで減らそうCO2ダイエットプロジェクト2008’夏」キャンパス内の他、地域の自治体や自宅周辺などでCO2ダイ

エット宣言の募集活動を意欲的に展開。624名が参加し、124,435kgのCO2削減を宣言。

● 第2弾(2008年11月2日・3日)大学祭で電気自動車を展示するとともに、キャンパス内に走

行コースを設置し、試乗会を実施。● 第3弾(2008年11月2日~2009年3月31日)「みんなで減らそうCO2ダイエットプロジェクト2008’冬」学生が街頭に立ちCO2ダイエット宣言への参加を呼びかけ、

108名が参加し、13,839kgのCO2削減を宣言。

森の町内会:www.mori-cho.org

63

資材取引相談窓口

東京電力では、2003年1月より「資材取引相談窓口」を

資材部に設置しています。ここでは、直接の契約担当箇所

とは独立したスタッフが、取引先のみなさまから寄せられ

る取引上の問題やご意見などを受け付けています。中立的

な立場から調査及び改善を行うことで、信頼関係の維持、

透明な資材取引の確保に努めています。

グリーン調達

2001年10月よりグリーン調達を積極的に推進していま

す。その具体的な活動の一つとして、主な取引先のみなさ

ま約400社に対して、2年おきに独自のチェックシートを

用いて環境マネジメントシステムの構築状況を確認してい

ます。評価結果は、取引上の選定基準として用いるだけで

なく、東京電力主催の環境研修会やSR活動などを通じて

フィードバックし、取引先のみなさまの環境意識の向上に

努めています。

CSR調達の推進

東京電力は法改正や商慣習の変化を的確に資材取引へ

反映するため、契約における各種注文条項や契約書・請書

の内容を改定し、取引先のみなさまにも遵守していただく

ようお願いしています。

2006年11月には、国際社会の基本原則(児童就労の禁

止、強制労働の禁止など)の追加、営業秘密・個人情報な

どの秘密保持に関する条文の明確化に加え、契約内容変更

の申し出を東京電力のみならず取引先のみなさまと双方の

権利とするなど、一部の片務的条文の是正を行いました。

また、取引における原価水準の適切性・透明性の様々な検

証活動を通じ、適正取引の確保・維持に、より一層努めて

いきます。

今後も、取引先のみなさまのご理解・ご協力を得なが

ら、調達の基本方針に基づくCSR調達の一層の推進がは

かれるように、各種活動の内容を充実させていきます。

*CSR調達製品に使用する部品や資材を選定する際に、価格や品質などに加え、法令遵守や安全

管理、人権、環境への配慮など、取引先のCSR活動を考慮した調達を行うこと。

東京電力は資材取引における基本事項と、取引先のみな

さまへのお願い事項を明示した「調達の基本方針」を定め

ています。これにより、法令の遵守、安全の最優先など、

取引先のみなさまと一層の連携をはかりながら、資材取引

における社会的責任を果たしていくことを目指しています。

取引先のみなさまと協働してCSR調達*を推進しています。

> 企業情報 > 資材調達

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

ビジネスパートナーとの関わり

調達の推進

CSR

法令・社会規範の遵守 安全の最優先

資材取引相談窓口

オープンな取引姿勢 相互信頼関係の強化 公平・公正の追求

SR活動 国際調達

環境への配慮 グリーン調達

調達の基本方針

SR(サプライヤーリレーションズ)活動の展開

東京電力の経営計画や資材発注に関わる情報(調達の基

本方針、手続き、調達計画など)を、ホームページで公開

しています。また、取引先のみなさまに対して直接情報を

発信し、コミュニケーションをはかる機会として、毎年4

月に開催する資材調達概要説明会の他、火力・原子力・

送電・変電など、調達分野ごとの取引先のみなさまと、調

達に関わる様々な意見や情報の交換を行うスモールミー

ティングを定期的に開催しています。2008年度は、資材

調達概要説明会に約400社、スモールミーティングにのべ

約200社参加していただ

きました。活動を通じて

いただいたご意見やご要

望については、調達業務

に反映しています。

> 企業情報 > 資材調達 > 双方向コミュニケーション> SR活動について

> 企業情報 > 資材調達 > 調達基本方針 > グリーン調達指針

> 企業情報 > 資材調達 > 双方向コミュニケーション> 資材取引相談窓口

資材調達概要説明会

64

社員との関わり

東京電力グループと社会との関わり

労使関係

労働協約に基づき、管理職などを除く全社員が東京電力

労働組合の組合員になる、ユニオン・ショップ制を採用し

ています。労働時間のあり方や働き方の変革を検討する労

使委員会や、社員の安全について討議する安全協議会など

を定例的に開催し、良好な労使関係の構築に努めています。

人権

本店及び各事業所に、「人権啓発委員会」と「人権啓発推

進員」を設置し、各職場で啓発研修を行っています。2008

年度には、のべ36,519名が受講しました。

東京電力グループ全体での取り組みとして、「電力関係

人権啓発連絡会」を組織し、人権啓発標語の募集を通じた

啓発活動や、人権に関する情報交換を実施するとともに、

必要に応じて人権啓発研修の講義や支援を行っています。

セクシュアル・ハラスメントへの対応

セクシュアル・ハラスメントについては、「セクハラ防止

ガイド」やeラーニングなどにより、社員への啓発を行うと

ともに、社内外に相談窓口を設置し、社員をはじめ派遣社

員など、業務に関わるすべての人を対象に、問題解決と未

然防止に取り組んでいます。

健康管理

社員の健康の保持・増進をはかるため、法定の定期健康

診断に加え、産業医による保健指導や長時間労働者に対す

る面接指導などを実施しています。また、外部の専門機関

と提携し、電話・メール・カウンセリングによる相談を通

じて心身の健康問題を解決する支援をしています。

2008年度は、心の健康づくりの中でも病気の予防や健

康増進に重点を置き、従来の研修に加え、新入社員研修で

の説明や「職場ストレス診断」を実施しました。さらに、外

部専門機関のサービス内容を掲載したホームページを開設

し、利便性の高い利用環境の整備・充実をはかりました。

東京電力は、人権尊重・多様性重視の観点から、公平・

公正な雇用を行っています。

障がい者雇用

東京電力の障がい者雇用率は1.94%(493人、2009年

6月1日現在)で、法定雇用率1.8%を上回っています。

また、障がいのある方に対して新たな雇用を創出し、より

一層の社会への参加と自立を支援するため、2008年7月に

東電ハミングワーク(株)を設立しました。東電ハミング

ワーク(株)は、「印刷・コピー業」「清掃業」「園芸業(花の

栽培・花壇への植栽)」などを主な事業としており、雇用促

進法に基づく特例子会社として、東京電力グループ全体の

障がい者雇用率の向上に貢献します。東京電力グループ

は、東電ハミングワーク(株)を通じて、障がいのある方の

雇用を積極的に推進していきます。

高年齢者雇用

2004年6月の「高年齢者雇用安定法」の改正をふまえ、

65歳までの雇用を確保するものとして、高年齢者雇用制

度を見直しました。これにより2007年4月以降、社員は

55歳から57歳までに「再雇用や転籍により65歳まで就労」

または「60歳の定年まで東京電力で就労」を、本人の希望

で選択できるようになりました。

女性社員の活躍推進

全社員の約12%を占める女性社員の活躍を推進するた

め、ダイバーシティ推進室が中心となり、育成方策や条件

整備などを展開しています。2004年2月以降、女性管理職

やリーダーを育成する研修を継続的に開催し、約300名が

参加しました。こうした取り組みにより2008年度は7名を

管理職に登用し、女性管理職数は59名となりました。ま

た、中堅・若手に意識啓発の機会を提供するため、有志企

業による異業種交流セミナーなどを実施し、2008年度は

社内公募により32名が参加しました。

多様な人材が活躍できるダイバーシティの実現を目指しています。

東京電力は公正で安心な労働環境づくりを徹底しています。

東電ハミングワーク(株):www.t-humming.co.jp

65

東京電力は、仕事と生活をバランスよく両立させること

で、社員一人ひとりの生産性を高め、会社全体の業績向上

につなげることを目指しています。

2007年度から導入した「特別フレックスタイム勤務」な

ど、出産を控えた女性社員や育児・介護を行う社員が安心

して働ける職場づくりを推進しており、こうした取り組み

により、両立指標*の得点率が80%を超えています。*両立指標

仕事と家庭の両立支援対策の進展度合いを、各企業が客観的に評価することを目的

に、厚生労働省が作成した指標。

労働時間管理

「コンプライアンス(管理の適正化)」、「業務改革(業務効

率化や働き方の見直し)」、「社員意識や職場風土改革」の3

つの側面から労働時間管理に取り組んでいます。

2008年度から、就業時間中の業務効率をさらに高める

ため、東京電力全体で「メリハリワーク」と称する運動を展

開しています。社員一人ひとりがワーク・ライフバランス

を実現するため、「仕事は原則20時まで」「ノー残業デー」

「労働時間の見える化」などの取り組みを実施しています。

ワーク・ライフバランスの実現に努めています。

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

出産・育児支援

出産・育児を行う社員が安心して働き続けることができ

るように、休職制度や職場復帰後の勤務制度を整備してい

ます。また、復職に対する女性社員の不安を解消するため、

実際に育児休職を取得し、

職場復帰を果たした女性

社員の体験談を聞くこと

ができる「育児休職者セミ

ナー」を実施しています。育児休職者セミナー

(時間)

2006 07 08 (年度)

1,975 1,973 1,940

0

1,500

2,000

1人あたりの総労働時間数の推移

※法定有給休暇。原則、20日/年付与。

(日)

2006 07 08 (年度)

15.8 15.9 15.8

0

10

15

20

普通休暇※の平均取得日数の推移

(注)各年度の利用開始者数。( )はうち男性。

(人)

2006 07 08 (年度) 0

50

100

150

200

250 220(2)

221(4)

244(3)

「育児休職制度」利用者数

(注)各年度の利用開始者数。( )はうち男性。

(人)

2006 07 08 (年度) 0

5

10

15

20

9(3)

17(7)

17(6)

「介護休職制度」利用者数

社員のボランティア活動支援

社員が社会貢献活動に自発的に参加できるよう「ボラン

ティア休暇制度」(原則、年5日まで)を導入しています。

2008年度はのべ1,117人が利用しました。2002年4月

より、「TEPCOボランティアセンター」を設置し、ホーム

ページを通じて活動意欲のある社員へボランティア活動の

情報提供や各種講演会・イベントの案内など、幅広い活動

を支援する体制を整えています。

産前6週間

出産

産後8週間

産後3カ月

満1歳

満3歳

小学校入学

妊娠

小学1年生 修了

※フレックスタイム勤務が適用されない職場においても、育児や介護を行う社員がフレックスタイム勤務を希望する場合、個別に適用することができる。

特別フレックスタイム勤務

育児時間( 分× 回/日)

出産から カ月以内に 日間

配偶者の

出産時

育児休職制度

復職後のサポート

産前・産後休暇

子の看護休暇(年 日まで)

出産休暇

55

3

2

30

短時間勤務

(最大 時間/日)

2

出産・育児に関する制度

66

死亡 重傷※1 軽傷Ⅱ※2 軽傷Ⅰ※3 不休※4

2006年度

社員

請負・委託

公衆

1 4 2 16 119

労働災害発生件数 (件)

3 61 34 44 146

0 6 25 41 ─

2007年度

社員

請負・委託

公衆

1 3 3 14 127

2

1

68 24 49 167

10 17 33 ─

2008年度

社員 0 6 3 9 67

請負・委託 5 49 19 28 129

公衆 1 5 20 27 ─

※1 休業14日以上の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が30日以上の傷害)。※2 休業4日以上14日未満の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が10日以上

30日未満の傷害)。※3 休業1日以上4日未満の傷害(公衆の場合、医師の診断により、治療期間が10日未満

の傷害)。※4 社員、請負・委託のみ該当。

東京電力グループと社会との関わり

東京電力は、電気事業に関わる様々な設備を各地域に設

置し、社会のみなさまのご理解をいただきながら事業活動

を行っています。そのため、安全確保を最優先に全社をあ

げて安全活動を推進し、災害防止に努めています。

安全活動の推進と展開

毎年、本店と各事業所では、災害防止に向けて、リスク

アセスメントなどに基づき「安全活動計画」を策定し、活動

を展開しています。また、安全活動の実施状況を確認・評

価し、適宜見直すことによって安全管理のPDCAを回し、

継続的な改善をはかっています。

事業所では、「安全品質担当」が推進役となり、業務に潜

む危険要因や問題点を社員一人ひとりが自ら考え、各職場

での討議を重ねて、災害の原因をなくすための活動を展開

しています。

一方、本店では会社全体の安全ルールの改善、安全教育

の実施、重大災害の原因・対策の検討や安全管理の実施

状況の確認・評価などを通じて、事業所の活動を支援して

います。

また、定期的に本店と各事業所の委員会などにおいて、

安全活動の進め方や重点実施事項を評価・検討しています。

東京電力グループとしての安全活動の充実

東京電力は現場業務の多くを、設備の保守などを実施

しているグループ会社及び配電・通信の協力会社(35社)

と協力して行っています。このため、各社とそれぞれの安

全活動の仕組みや実施状況について意見交換を行い、災害

原因などの関連情報の共有と一層の相互協力をはかってい

ます。

2008年度の災害の発生状況は、災害防止に向けての重

点目標としている軽傷Ⅱ以上の災害については減少してい

ますが、請負作業及び公衆災害において6件の死亡災害が

発生しています。このことをふまえ、グループ全体で再発

防止策の展開を推進するとともに、リスクアセスメントに

基づく安全活動の充実に向け、今後とも継続して安全活

動に取り組みます。

安全最優先で事業活動を行っています。

計画 安全方針・ 安全活動計画の策定

実施

計画の実施 ・日常の安全管理 ・安全教育 ・災害発生時の対応

評価

マネジメントレビュー ・安全活動の実施状況 ・安全管理のプロセス評価 ・災害発生状況及び原因

改善 安全活動の見直し

危険要因及び 優先実施項目の特定 ・リスクアセスメント ・安全事前評価 ・危険予知

不適合の是正 ・不適合の報告 ・ルールの改善

主な役割 事業所長 ・活動の全体統括

安全品質担当 ・取り組み状況の  確認・評価 ・安全施策の定着への  指導・支援

事業所における安全活動の概要

度数率

東京電力(社員) 全国全産業の合計値

強度率 度数率 強度率

2006年度 0.36

0.33

0.29

0.12

0.12

0.00

1.90

1.83

1.80

0.12

0.11

0.11

度数率※1・強度率※2

2007年度

2008年度

※1 労働時間100万時間あたりの労働災害による休業1日以上の死傷者数を示すもので、災害の発生頻度を示す。

※2 労働時間1,000時間あたりの労働災害によって失われた労働損失日数を示すもので、災害の軽重の度合いを示す(0.00は0.005未満)。

全国全産業の合計値 出典:厚生労働省「平成20年労働災害動向調査」

67

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

能力・業績評価

東京電力は、評価制度を通じた能力・業績の適切な評価

を行っています。評価にあたっては、客観性・透明性・納

得性を高める観点から、複数の上位職者による多面評価、

社内イントラネット上での制度内容・評価基準の公開、上

司との面談を通じた評価結果の本人への通知を行っていま

す。また、面談については、モニタリングを行い、実施状

況や内容を確認しています。

能力発揮のための支援制度

社員のチャレンジ意欲に応え、活躍機会を提供する「社

内人材公募」などの制度により、能力の発揮を支援してい

ます。また、高度な専門性を持つ社員に対しては、「プロ

フェッショナル制度」及び「スペシャリスト制度」により、

高い技術・技能などを評価・認定しています。

社員の活躍や能力向上を積極的に支援しています。

研修制度

日常業務を通じた指導(OJT)と社員の自己啓発を基本

としながら、各部門や事業所、及び総合研修センターでは、

様々な研修を実施し、最新の専門知識・技能を短期間に習

得させることや参加者の相互啓発をはかることで、社員の

能力開発を支援しています。

特に総合研修センターでは、「経営ビジョン2010」の第3

の経営指針「人と技術を育てる」に沿って、新入社員から

経営層まで広く研修体系を整えています。恒常的かつ自律

的に業務品質改善・効率化に取り組む強い現場を支える

「第一線の技術・技能と課題発見・解決能力のある人材」

「マネジメント能力のある管理職人材」と、環境変化に先ん

じて対応し経営の変革をリードする「変革リーダー人材」の

3つを目指すべき人材と位置付け、個人の能力を高めるた

めの研修を実施しています。また、研修が効果的・効率的

に実施されるように、研修実施後の効果測定に基づき、確

実にPDCAを回すとともに、研修で習得したスキル・知識

が、職場実践の中で活用されるように、職場への適切なサ

ポートを行っています。

マネジメント能力の 付与・強化

課題発見・解決能力の 付与・強化

第一線技術・技能の 維持・継承

変革リーダーの 育成

その他 意識改革など

※1 W-TΣP:若手人材に潜在力を発揮・伸張できる場を提供し、新しい技術や業務革新、企業価値の創造に自ら取り組む人材を育成する。 ※2 WT研修:経営課題に関する最新情報と様々な部門からの参加者と議論する場を提供し、変革意欲を向上させ、自ら行動する前向きな姿勢を培う。 ※3 キャリアビジョン研修:自らの価値観や強みを認識し、キャリアビジョンを主体的に描くことで、実現に必要な能力の開発を動機づける。

管理職

一般職 目的

対象

新入社員研修 (新入社員導入、制御所・総合制御所、電気系大学卒、配電部門下期)

技術者 倫理 研修

技術 リーダー 研修

事務系大学卒 フォロー研修

マネジメント・ ベーシックⅠ

マネジメント・ ベーシックⅡ

マネジメント・ スキルアップ 研修

チーム リーダー 研修

店所GM研修

事業所 経営研修

経営 マネジメント 研修

イノベーション リーダー 研修

管理者 選択 研修

上級 指導者 研修

原子力部門の

若年層へのお客さま

接点業務研修

消費生活アドバイザーフォローアップ研修

販売営業研修(法人・生活)

短期集中技術講座

設備自動化

システム研修

保護制御システム

研修(   )

CES

研修

WT

※2

キャリアビジョン研修

※3

W-TΣP (ダブル・ テップ)※1

実践力開発

プログラム

スタッフ目標管理(   )研修

MBO

総合研修センターが実施する主な研修

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

人材育成や重大災害の防止に向けた教育研修などをしっかりと行うべき。(はがき)

本店による会社全体の安全ルールの改善や安全教育の実施や現場業務を行うグループ会社との意見交換などを通して、災害防止に努めています。

東京電力は、安全を最優先に発電所の安定運転に取り組むとともに、発電所の状況を分かりやすくお伝えすることで、透

明性の確保に努めています。そして、みなさまよりいただいた声を発電所運営のさらなる改善につなげ、安心・信頼いただ

ける発電所を目指して一つひとつ取り組んでいきます。

68

出力地点名 運転開始予定

福島第一7号機

福島第一8号機

東通1号機

東通2号機

138万kW

138万kW

138.5万kW

138.5万kW

2015年10月

2016年10月

2017年 3月

2019年度以降

原子力発電所の建設計画東京電力の原子力発電所

福島県と新潟県の原子力発電所でつくった電気は、その

ほとんどを首都圏に送っています。

また、青森県の東通原子力発電所では1号機運転開始に

向け、着工の準備を進めています。

新潟県柏崎市・刈羽郡刈羽村

柏崎刈羽原子力発電所

総出力: 821.2万kW 基数:7基 運転開始年月: 1985年9月 東京電力社員数: 1,121人 協力企業社員数: 7,191人 (2008年12月1日現在)

青森県下北郡東通村(着工準備中)

東通原子力発電所

福島県双葉郡大熊町・双葉町

福島第一原子力発電所

総出力: 469.6万kW 基数:6基 運転開始年月: 1971年3月 東京電力社員数: 1,019人 協力企業社員数: 4,478人 (2008年12月1日現在)

福島県双葉郡富岡町・楢葉町

福島第二原子力発電所

総出力: 440.0万kW 基数:4基 運転開始年月: 1982年4月 東京電力社員数: 707人 協力企業社員数: 3,759人 (2008年12月1日現在)

完成予想図

新潟県内 雇用

64%

福島県内 雇用

93%

東京電力と原子力発電

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

69

原子力発電所における積極的な情報公開

東京電力では、立地地域の方々をはじめ、広く社会のみ

なさまから安心・信頼いただける発電所を目指して、積極

的な情報公開に努めています。

原子力発電所で発生したトラブルや不具合などの「不適

合事象」については、プレスリリースやホームページなどを

通じて公開しています。

また、発電所の安全確保・品質管理に関する日常の取り

組みについて、広報誌や新聞広告などで地域の方々にお伝

えしています。

放射線や放射性物質の監視

原子力発電所では、放射線の量や放出する放射性物質の

濃度を監視しています。敷地周辺にはモニタリングポスト

を設置し、大気中の放射線の量を24時間監視し、ホーム

ページなどでリアルタイムにデータを公開しています。

また、敷地周辺の海水、土壌、農産物などを定期的に採

取して、その中に含まれる放射性物質を測定し、原子力発

電所の運転による影響の有無を確認しています。その結果

は、地元自治体へ報告するとともに広く社会へ公表してい

ます。

安心・信頼いただける発電所を目指して、積極的な情報公開に努めています。

> 情報公開のとりくみ原子力

ホームページで公開しているプレスリリースの情報

事象の概要と主な具体例公表区分

区分1

区分2

区分3

その他

法律に基づく報告事象などの重要な事象

(例)・計画外の原子炉の停止・火災の発生 など

法律の報告対象に至らない軽度な不具合など

(例)・安全上重要な機器などの軽度な故障・原子炉、使用済燃料プール内などでの異物の発見 など

信頼性を確保する観点からお知らせする事象

(例)・原子炉の安全、運転に直接影響しない機器の故障・発電所構内における負傷者の発生 など

上記以外の不適合事象

(例)・日常の小修理 など

公表方法(プレスリリース・ホームページ) 2008年度の公表実績

夜間・休祭日を問わず、プレスリリースやホームページでお知らせする。

15件

7件

68件

約10,300件

休祭日を問わず、プレスリリースやホームページでお知らせし、夜間の場合は、翌朝、準備が整い次第お知らせする。

毎日(平日)とりまとめて発電所ホームページなどでお知らせし、報道機関にはホームページへの掲載の旨をお知らせする。

定期的にとりまとめてホームページなどでお知らせし、報道機関には定例記者懇談会などでお知らせする。

不適合事象の公表基準

発電所における情報公開

ホームページで公開しているリアルタイムデータ

発電所広報誌

> 福島第一原子力発電所 > リアルタイムデータ原子力

> 福島第二原子力発電所 > リアルタイムデータ原子力

> 柏崎刈羽原子力発電所 > リアルタイムデータ原子力

新聞広告

各発電所に与える影響が大きいとされる周辺の活断層

70

災害に強い発電所づくり

東京電力と原子力発電

2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震以降、柏

崎刈羽原子力発電所では、設備の点検・評価、復旧作業、

耐震強化工事など、災害に強い発電所の構築に向けた取り

組みを着実に進めています。これらの取り組みは、福島第一、

福島第二原子力発電所にも水平展開し、着工準備中の東通

原子力発電所の原子炉設置許可申請にも反映しています。

設備の健全性確認(柏崎刈羽)

国に提出した点検・評価計画書に基づき、地震によって

設備や建物がどのような影響を受けているか、詳しく点

検・評価を実施しています。

目視点検や作動試験

目視点検や動作確認では、安全上重要な設備に損傷がな

いことを全号機で確認しています。

発電所の耐震強化(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)

発電所の耐震安全性を向上させるため、耐震強化に向

けた地震の揺れを設定し、必要な耐震強化工事を行ってい

ます。

地質調査と活断層評価

発電所周辺の地下構造や断層の活動について確認するた

め地質調査を実施しました。これらの調査結果をふまえ、

発電所周辺の活断層のうち発電所に与える影響が大きい活

断層を選定し評価しました。

低圧復水ポンプの点検 原子炉建屋の壁の目視点検

系統機能試験(7号機タービンバイパス弁機能検査)

災害に強い発電所の構築に向けた取り組みを、一つひとつ着実に進めています。

対象となる地震の揺れ位置 1号 2号 3号 4号 5号 6号 7号

新潟県中越沖地震観測値

基準地震動から算出した地震の揺れ

耐震強化に向けた地震の揺れ

基準地震動

建屋最地下階部

680

845

1,000

2,300 1,209

809 761 704 606 724 738

606 384 492 442 322 356

柏崎刈羽原子力発電所各号機における地震動の評価結果 (ガル)

機器を組み合わせた系統機能試験

機器ごとに健全性を確認後、関連する機器を組み合わせ

て、系統単位の評価を行います。

プラント全体の機能試験

実際に原子炉を起動させて発電し、原子炉の圧力や水

位、蒸気の流量などを確認します。

双葉断層

井戸沢断層

福島盆地西縁断層帯

福島第一原子力発電所

福島第二原子力発電所

福島県 福島第一・第二原子力発電所

角田・弥彦断層

片貝断層

F-B断層

気比ノ宮断層

N

長岡平野西縁断層帯

柏崎刈羽原子力発電所

新潟県 柏崎刈羽原子力発電所

基準地震動*のとりまとめ

*基準地震動

原子力発電所の耐震設計の基準として想定した地震の揺れの強さ。

活断層評価の結果をもとに、基準地震動をとりまとめま

した。これらの評価結果については、原子力安全委員会か

ら妥当との評価をいただいています。

71

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

原子力発電の安全性についてしっかりと説明してほしい。(アンケート)

耐震安全性の向上や災害時の体制強化などに向けた取り組みを進め、原子力発電所の安全確保に努めています。

消火設備・体制強化の取り組み(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)

地震時の反省をふまえ、初期消火体制を充実するため

に、様々な取り組みを進めてきました。

初期消火体制の強化

・化学消防車、水槽付消防ポンプ車などを配備

・24時間体制の自衛消防隊初期消火班を配備し、計画的

に訓練を実施

耐震強化工事

基準地震動から原子炉建屋最地下階部での地震の揺れ

を算出し、耐震強化に向けた地震の揺れを設定しました。

柏崎刈羽原子力発電所では、1,000ガルの揺れに耐えられ

るよう、全号機で耐震強化工事を行っています。

● 主な取り組み

・ 配管(電線管・ケーブルトレイ・空調ダクト含む)の強

化やサポートの追加

・ 配管ダクト周辺の地盤にセメント系固化材を噴射・混

合して周辺地盤を強固に改良

・ 原子炉建屋の屋根を支えるトラス(鉄筋構造)に、補強

用の鋼材を追加

・ 建屋内の換気などに用いる排気筒の揺れを吸収するた

め、制震装置を設置

配管サポートの追加・強化

配管ダクト

周辺地盤を強固に改良

海水系配管

非常用海水配管ダクト工事イメージ図(福島第一原子力発電所)

原子炉建屋屋根トラスの強化 制震装置の設置

地上化された消火栓配管(柏崎刈羽原子力発電所)

消防車と消火要員(柏崎刈羽原子力発電所)

耐震防火水槽(福島第一原子力発電所)

消火設備の充実

・耐震防火水槽を設置

・消火栓配管を地上化

柏崎刈羽:設置済み

福島第一:2009年9月末目途に完了

福島第二:2009年7月末目途に完了

免震重要棟(完成イメージ)

免震重要棟の建設

柏崎刈羽原子力発電所では、緊急時対策室や通信・電源な

どの重要な設備を配置した免震重要棟の建設を進めています。

72

原子燃料サイクル

東京電力と原子力発電

原子力発電所で使い終わった燃料の中には、核分裂しな

かったウランや新たに生まれたプルトニウムが含まれてい

ます。これらを再処理し回収することで、新しい燃料とし

て使うことができます。このようにウラン資源をリサイク

ルする流れが「原子燃料サイクル」です。

高レベル放射性 廃棄物処分施設

ウラン鉱石 ウラン精鉱(イエローケーキ)

放射性廃棄物(高レベル)

放射性廃棄物(低レベル)

転換工場

ウラン濃縮 工場

成型加工 工場

原子力 発電所

高レベル放射性 廃棄物貯蔵 管理施設

低レベル放射性 廃棄物 埋設施設

製錬工場 ウラン鉱山

使用済燃料 中間貯蔵 施設

天然ウラン

濃縮ウラン

濃縮ウラン

使用済燃料 使用済燃料

使用済燃料 MOX燃料集合体

MOX粉末

回収ウラン

ウラン燃料集合体

劣化ウラン

再転換 工場

再処理 工場

MOX燃料 工場

原子燃料サイクル

使用済燃料の再処理

日本原燃(株)が主体となり、青森県六ヶ所村において、

原子燃料サイクル事業を進めています。現在までにウラン

濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル

放射性廃棄物貯蔵管理センターがそれぞれ操業をはじめま

した。現在、再処理工場では操業を目指して試験運転を

行っており、安全機能及び機器・設備の性能の確認などを

実施しています。

エネルギー資源の大部分を輸入に依存している日本で

は、ウラン資源の有効活用による長期的なエネルギー資源

の安定確保や放射性廃棄物の適切な処理・処分に向けて、

「原子燃料サイクル」の確立を目指しています。

「プルサーマル」とはプルトニウムを再処理によって使用済

燃料から取り出し、ウランと混ぜてMOX*燃料をつくり、

現在の原子力発電所で利用することです。全国の電力会社

は、プルサーマルの導入に向け、幅広くご理解をいただくた

めの活動を展開しています。*MOXウランとプルトニウムの混合酸化物(Mixed-Oxide)。

使用済燃料の貯蔵

東京電力と日本原子力発電(株)が共同で設立したリサ

イクル燃料貯蔵(株)(青森県むつ市)では、現在、中間貯

蔵施設(リサイクル燃料備蓄センター)を設置するための準

備を進めています。

日本原燃(株)再処理工場施設(青森県六ヶ所村)

リサイクル燃料備蓄センター完成予想図(2012年操業開始予定)

日本原燃(株):www.jnfl.co.jp

リサイクル燃料貯蔵(株)(RFS):www.rfsco.co.jp

エネルギー資源の有効活用につながる「原子燃料サイクル」の確立に取り組んでいます。

> もっと詳しく原子力 > 原子燃料サイクル原子力

73

高レベル放射性廃棄物の処分

再処理施設では、使用済燃料からウラン・プルトニウム

を回収した後に、核分裂生成物を主成分とする廃棄物が発

生します。この廃棄物は放射性レベルが高い液体状のもの

で、高レベル放射性廃棄物と呼ばれます。

高レベル放射性廃棄物は、ガラスの原料と一緒に高温で

溶かして混ぜ合わせ、腐食に強いステンレス製の容器の中

で固め、化学的に安定したガラス固化体にします。ガラス

固化体は発熱量が大きいため、30~50年程度貯蔵し冷却

した後、地下300メートルより深い安定した地層中に処分

します。

この地層処分はこれまで国際機関や世界各国で検討され

てきた宇宙処分、海洋底処分、氷床処分などの方法と比較

しても、最も問題が少なく実現可能性があるということが

国際的な共通認識となっており、アメリカ、フィンランド、

スウェーデン、フランスなどでも、地層処分する方針がと

られています。

日本では、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律

(最終処分法)」が成立し、処分事業を行うNUMO(原子力

発電環境整備機構)が設立されました。

現在、NUMOでは、「最終処分施設の設置可能性を調査

する区域」の公募を行っています。応募された区域につい

サステナビリティの実現に向けて

東京電力の経営について

東京電力グループの環境への取り組み

東京電力グループと社会との関わり

東京電力と原子力発電

ては、まず火山や活断層の地質的な条件が明らかに不適格

でないことを確認後、3段階のプロセスで調査・選定を

行っていきます。

なお、2007年6月に最終処分法が改正されたことを受

け、長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)*が処分

事業の対象となり、高レベル放射性廃棄物と同様の方法・

スケジュールでNUMOが処分事業を進めていくことにな

りました。

これらの処分事業を推進していくためには、国、NUMO

や廃棄物の発生者責任を有する電力会社が適切な役割分

担と連携の下でそれぞれの責務を果たしていくことが重要

です。

東京電力では、2008年3月に東京都渋谷区にある電力

館に高レベル放射性廃棄物の展示コーナーを設置しまし

た。また、日頃のコミュニケーション活動においても原子

燃料サイクル事業やその中での高レベル放射性廃棄物処分

事業の重要性について説明するなど、今後も積極的な理解

活動に努めていきます。*長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)低レベル放射性廃棄物の中でも、半減期の長い核種が一定量以上含まれるもので、再

処理工場やMOX燃料工場の操業及び施設解体時に発生し、その発生量は約18,100m3

と見込まれています。

NUMO:www.numo.or.jp

文献調査 概要調査 精密調査 建設

地域の意向を十分に尊重しつつ、国が市町村に対し、文献調査実施の申入れを行う場合もあります。その場合、市町村長は、国の申入れに対して受諾の可否を表明することとなります。

公募 概要調査

地区選定

精密調査

地区選定

操業 応募

閉鎖・閉鎖後管理

処分施設

建設地選定

出典:NUMO資料より作成

平成20年代中頃目途 平成40年前後目途 平成40年代後半目途

地層処分のスケジュール

ステーク ホルダーの

東京電力の

ご意見

回答

プルサーマルの取り組みについて説明してほしい。(はがき)

国内外で回収されるプルトニウムを利用するために、全国の電力会社では、プルサーマルをできるだけ早く導入することとしており、2015年度までに、全国の16~18基の原子炉での導入を目指しています。

放射性物質をガラスの中に閉じ込め地下水に溶け出しにくくします

①ガラス固化体 地下300m以深

地下水をガラス固化体に触れにくくします

②オーバーパック(鉄製の容器)

地下水と放射性物質の移動を遅らせます

③緩衝材(締め固めた粘土)

天然バリアとして放射性物質の移動を遅らせます

④岩盤

多重バリアシステムにより放射性物質を何重にも閉じ込めることで、長期間にわたり高レベル放射性廃棄物を人間の生活から安全に隔離することができます。

人工バリア 天然バリア 多重

バリアシステム

バリア1 バリア2 バリア3 バリア4 高レベル放射性 廃棄物処分施設

地下施設

地上施設

高レベル放射性廃棄物処分システムのイメージ

74

2008年度のCSR活動と2009年度の展開予定2008年度の目標関連ページ項目分野

経営について

環境への取り組み

社会との関わり

内部統制

企業倫理・法令遵守

リスクマネジメント

環境マネジメント

地球温暖化防止

大気汚染・廃棄物

お客さま

地域社会

ビジネスパートナー

社員

P21 ○基本方針に基づくPDCAを展開することにより、内部統制の充実・強化をはかっていく○「財務報告に係る内部統制報告制度」について、金融商品取引法に基づき、適切に運用していく

○企業倫理定着活動について、研修ツール類を充実するとともに、研修を継続実施○法務室による第一線職場のサポートなどの活動を継続実施

○新潟県中越沖地震の経験をふまえ、緊急事態発生時の体制を絶えず検証・改善するとともに、第一線事業所への理解活動の展開など平常時のリスク管理活動の充実に取り組む

○環境指標の的確管理、内部環境監査の計画的実施を継続○グループ各社の環境マネジメントシステムの継続的改善を支援

発電での取り組み○原子力発電所の安全・安定運転(柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向けた取り組み)○火力発電の熱効率向上○再生可能エネルギーの利用拡大(RPS法の義務量達成、発電所新設計画の推進、研究開発の継続など)○炭素クレジットの追加取得

お客さまとの取り組み○高効率機器の普及拡大推進の継続○年間を通して地球温暖化対策に関する情報提供やツール紹介を充実○電気自動車の開発・導入、外部電源式アイドリングストップ給電システムの普及・拡大

○グループ各社の実情に応じたリサイクル方策の推進○SOx、NOxの世界最高水準の排出抑制レベルを維持○PCB廃棄物の適切な管理、安全・的確かつ効率的な処理の推進

○お客さま満足度の維持・向上に向けた取り組みを充実

○適切な情報開示やコミュニケーションを継続的に実施

○資材調達概要説明会や調達分野ごとのスモールミーティングによる「SR(サプライヤーリレーションズ)活動」を継続実施○グリーン調達を含めたCSR調達の枠組みづくり

安全確保の徹底○リスクアセスメントに基づく安全活動のさらなる充実を目指し、安全活動を推進する人材の育成や、重大災害の再発防止策の水平展開を重点的に実施

ダイバーシティ、ワーク・ライフバランスの推進○女性社員の職域拡大に向けた条件整備の継続実施や採用の拡大・育成の強化を実施○労働時間削減に向けた取り組みを全社で実施

人材の育成○現業技術・技能などの強化に向けた研修・訓練施設の再編・整備○課題を発見・解決するなど、現在の経営環境に適した能力を持つ人材の育成

P24-25

P22-23

P50-51

P32-37

P38-45

P46-47

P56-57

P60-62

P63

P64-67

75

2008年度の主な実施事項 2009年度の展開予定

○グループ会社における内部統制の整備・運用を始め、基本方針に基づく内部統制の充実・強化を実施○報告制度適用初年度にあたり、適切な制度運用、評価を実施

○不適切行為に関するケースや特別管理職、技術系社員のための研修ツールを作成して配布するとともに、各職場における企業倫理研修を実施○すべての事業所(82カ所)を訪問する出前法律相談や法律関係手引書の充実などの方策を実施

○本店や原子力発電所をはじめとする事業所における防災訓練の実施○新型インフルエンザの感染予防・拡大防止、業務継続の具体的対策の検討○平常時のリスク管理活動に関する事業所への理解活動などの実施

○環境指標の的確管理○内部環境監査の計画的実施○グループ各社の環境マネジメントシステムの運用・構築を支援

○原子力発電所の安全・安定運転(柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向けた取り組み)○火力発電の熱効率向上(2008年7月 富津火力発電所にMACCを導入、MACCⅡ導入計画の公表)○再生可能エネルギーの利用拡大(RPS法の義務量達成、メガソーラー計画の公表・推進)○炭素クレジット取得を通じたCO2削減

○高効率機器の普及拡大推進の継続○年間を通して地球温暖化対策に関する情報提供やツール紹介を充実○電気自動車の導入計画を公表(将来的に3,000台導入)○外部電源式アイドリングストップ給電システムの普及・拡大(給電スタンド全国21地点

86基)

○グループ各社の実情に応じたリサイクル方策の推進○SOx、NOxの世界最高水準の排出抑制レベルを維持○低濃度PCB機器の自社処理の推進、高濃度PCB機器の委託処理開始

○「お客さまの声」や満足度調査の結果をもとにサービスを継続的に改善○グループ会社も含めた応接マナー研修を実施

○産消交流活動をはじめとし、地域環境保全や教育活動、未来を担う子どもたちを対象とした活動などを幅広く実施

○資材調達概要説明会や調達分野ごとのスモールミーティングによる「SR活動」を展開○平成20年度「TEPCOグリーン購入ガイドライン」を改訂○グループ会社(34社)によるグリーン購入対象品目の拡大

○安全活動を推進する新任事業所長・新任安全品質担当及び安全スタッフ研修の実施○重大な災害に対する再発防止対策の周知と実践確認○関係会社の安全管理の状況調査と改善に向けた意見交換の実施

○女性社員の職域拡大に向けたガイドラインなどを制定するとともに、女性リーダー育成研修の受講者拡大を推進○労務人事部内で取り組んでいたメリハリワークを全店に展開し、労働時間低減への取り組みを実施。また、労働時間低減へ向けた意識啓発のため、全社一斉定時退社を実施

○送電訓練施設の整備並びに変電・配電・水力土木訓練施設の一部を整備○新任チームリーダーを対象とした研修の新設及び、マネジメント能力向上のための研修を実施○「課題発見・解決能力向上」、「第一線職場の技術・技能の維持・向上」、「変革リーダー育成」に向けた研修を実施

○グループ会社を含めた内部統制を整備・運用するとともに、適宜評価し改善に努める

○研修ツールなどのさらなる充実をはかるとともに、東京電力グループとして企業倫理研修を継続実施○法務室による第一線職場のサポートなどの活動を継続実施

○緊急事態発生時の体制を絶えず検証・改善するとともに、グループ会社を含めた平常時のリスク管理活動を充実させる

○環境指標の的確管理、内部環境監査の計画的実施を継続○グループ各社の環境マネジメントシステムの継続的改善を支援

○原子力発電所の安全・安定運転○火力発電の熱効率向上(MACCⅡ導入計画の推進)○再生可能エネルギーの利用拡大(RPS法の義務量達成、メガソーラー計画の推進)○炭素クレジット取得を通じたCO2削減

○高効率機器の普及拡大推進の継続○年間を通して地球温暖化対策に関する情報提供やツール紹介を充実○電気自動車の導入計画の推進○外部電源式アイドリングストップ給電システムの普及・拡大

○グループ各社の実情に応じたリサイクル方策の推進○SOx、NOxの世界最高水準の排出抑制レベルを維持○PCB廃棄物の適切な管理、安全・的確かつ効率的な処理の推進

○お客さま満足度の維持・向上に向けた取り組みを継続実施

○地域の持続的・主体的発展に向けて、地域とともに考え協力する姿勢を示し、日頃から地域住民との触れ合いを大切にした地域交流活動に継続的に取り組む

○資材調達概要説明会や調達分野ごとのスモールミーティングによる「SR活動」を継続実施○EMS(環境マネジメントシステム)調査結果を用いて、取引先の

EMS構築状況を継続確認

○安全活動のさらなる充実を目指した、再発防止対策の水平展開、業務、設備の特性をふまえた災害防止活動の実施

○ダイバーシティの推進に向け、条件整備や必要に応じた両立支援策の見直しを実施○労働時間に関するキャンペーンなどを通じて労働時間に対する社員の意識啓発をはかる

○恒常的かつ自律的に業務品質改善・効率化に取り組み、強い現場を支えるため、「第一線職場の技術・技能の維持向上」、「課題発見・解決能力の付与・強化」、「マネジメント能力の付与・強化」に向けた研修を実施○環境変化に先んじて対応し、経営の変革をリードする「変革スキル・マインド」を向上するための研修を実施

76

第三者意見(東京電力環境顧問会)東京電力は、CSR(企業の社会的責任)や環境問題に対する取り組みについて、広く社外の有識者・専門家のご指導・ご

助言をいただくため、1993年に「東京電力環境顧問会」を設置し、毎年開催しています。2008年度の会合でいただいた貴重

なご意見は、事業活動の一層の充実をはかるために役立てています。

2008年度の会合でいただいた主なご意見(上段:ご意見 下段:東京電力の取り組み)

原子力発電に関する取り組みについて

原子力の方は着々と進めていて非常によく分かるのです

が、もっと一般市民が知りたいことは、新潟県中越沖地震

からどういう教訓を学んで、それに対して東京電力として

は今後原子力発電所に対してこういうような考え方でこう

運転していく、次に地震が起こった時にはこうなるという

ところがもうちょっと見えやすい形で整理されるとよろし

いのではないかと思います。

─新潟県中越沖地震をふまえ、災害に強い安全・安心な発

電所づくりを目指して様々な取り組みを行っています。

具体的には、耐震安全性向上の取り組みを実施するとと

もに、初期消火体制の充実をはかりました。また、地震

に強い免震重要棟の建設を進めており、緊急時対策室や

通信・電源などの重要な設備を配置する建物を地震に強

い免震構造にします。さらに、災害時に東京電力から地

域のみなさまへ発電所の状況を迅速に伝えるため、複数

のラジオ局と緊急時の放送契約を結ぶなど、様々な取り

組みを実施しています。(70~71ページに記載)

原子力のプルサーマルの問題については、特に最終処分

地が未だに決定していない。そういうところは社会に意識

変革をしていくことも大事。電力会社としてのCSRで原子

力広報の重要性ということで取り組んでいくことも大事。

─高レベル放射性廃棄物の最終処分を含めた原子燃料サイ

クル事業を着実に推進することが重要であると認識して

います。国やNUMOと連携しながら、電力会社として

の責務を果たしていくことが重要であり、今後も積極的

に理解活動を進めていきます。(72~73ページに記載)

原子力発電所の安全の余裕の問題とか、考え方はしっか

りしているので、説明をきちんとしていただきたい。東京

電力の説明は、他にも影響があるのでしっかりと説明の仕

方を社内でも検討されたほうがよいと思う。

─貴重なご意見として承ります。

CSRという大きな視点からの原子力の問題については、

安全・安心が一番のベースとなるのでより一層見える化を

はかるべき。

─立地地域の方々をはじめ、広く社会のみなさまから安

心・信頼いただける発電所を目指し、引き続き積極的な

情報公開に努めていきます。発電所の安全確保・品質管

理に関する日常業務や地域の方々の関心が高いと思われ

る事象を、ホームページや広報誌などでお伝えしていま

す。(69ページに記載)

東京電力環境顧問会

東京電力環境顧問会委員(五十音順・敬称略 肩書は開催当時)

社外委員の方々

井川 陽次郎 読売新聞東京本社論説委員 

枝廣 淳子 ジャパン・フォー・サステナビリティ共同代表

後藤 敏彦 環境監査研究会代表幹事NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事

鈴木 基之 放送大学教授国際連合大学特別学術顧問

水尾 順一 駿河台大学教授・経済研究所所長

東京電力

社長及びCSR担当役員

●第17回東京電力環境顧問会:2008年9月1日

77

地球温暖化防止に向けた東京電力の取り組みについて

東京電力としてどういう世の中になっていくと思ってい

るか、もう少し考えていってほしい。エネルギーの価格が

上がっていて、ますますエネルギーの需要が増えていき、

その一方でピークオイル・ピークガスといった状況になっ

てくる。そういった世界の中で、世界の電力化が進んでい

る。自動車も電気自動車になっていくし、いろんな点でそ

うなっていく。その時に日本の電力会社ないし、東京電力

がいろいろな意味でもっと大きな責任を担うようになって

いく。その中で東京電力はどういったビジネスをやってい

くのか、これまでの延長線上でしか考えられていないのか

なという印象を受けた。

─低炭素社会の構築に向けた流れがより一層強くなってい

く中で、電気の果たす役割は今まで以上に大きなものに

なっていくと考えています。これらの考えについて東京

電力グループの考えをまとめ、本レポートの巻頭特集で

掲載しています。また、低炭素社会構築に向けた具体的

な取り組みとしては、本レポートの「東京電力の環境へ

の取り組み」において多くのページを割き、詳しく紹介

しています。(8~9、28~45ページに記載)

カーボンベースで72億tのCO2が人間活動から大気中に

出ている。それを2050年までに半分にするというのが、環

境立国戦略に書き込まれて、36億tに減らすという目標。

2050年には地球上の人口が92億になるが割り算すると1人

排出できる量は0.4tしかない。日本は現在、カーボンベー

スで2.5t程度排出。2050年には2.5tから0.4tに減らさない

といけない。50%どころではなく、この数字は大変な値。

再生可能エネルギーをどこまで開発できるかにかかってい

る。原子力は今何基か計画があるとは言っても倍増するこ

とはできない。現状を使い倒していく、稼働率を上げるこ

とを考えても限度がある。再生可能エネルギーをどこまで

使っていくのか。もっと大局的に将来の日本のエネルギー

需給はどうなっていくのかということを考え、電力会社か

らエネルギーサービス産業へ脱皮していただきたい。

─メガソーラー発電所の建設をはじめ、できる限り再生可

能エネルギーを活用するとともに、安全・安心を大前提

とした原子力発電所の安定運転に取り組み、電気事業

者全体での「2020年度までに非化石エネルギー比率

50%達成」に貢献するよう努力していきます。また、東

京電力は電気の供給側だけでなく、需要側でも高効率

機器の普及や、ライフスタイルの省エネ化を促進する情

報提供を行うなど、供給と需要の両面から取り組んでい

ます。(8~9、28~45ページに記載)

その他CSRに関わる東京電力の取り組みについて

電力料金の見直し。見直しの機会を使って、外的な要因

を転嫁しやすい仕組みをつくってほしい。何かあったとき

に東京電力が我慢してできるだけお客さまに転嫁しない形

をとっていたが、分かりやすくお客さまに転嫁できる仕組

みをつくっていただきたい。

─経営効率化努力の及ばない、燃料価格や為替レートの変

動などの要素を外部化する仕組みとして、原油・LNG・

石炭の燃料価格の変動に応じて自動的に電気料金を調

整する燃料費調整制度が導入されています。この制度に

基づき燃料価格の変動をより迅速に電気料金に反映させ

るとともに、電気料金の急激な変動を緩和するため、

2009年5月分の電気料金から、料金反映の仕組みや調

整方法の見直しを行いました。(13ページに記載)

冒頭の重要性評価について、もう少し中身が見えるよう

にしたらよい。経営資源・ヒト・モノ・カネ・技術の中か

らできること、経営資源ベースの中からできる戦略をマト

リックスさせることにより、優先順位ができあがってくる。

社会が求めていること、わが社ができること・やらなけれ

ばならないことなどから優先順位をつけて今後の戦略を広

く環境・人権を含めCSR戦略に何をどう取り組んでいけ

るか、レポートの冒頭で見えるようにしていく必要がある。

─貴重なご意見として承ります。

安全・安心・環境・エネルギーを進めていくのは誰にな

るかというと働く社員。社員が核となってやっていく訳な

ので、社員は会社から見たらある意味ではステークホル

ダーであるし、一方では外に働きかけていく役割も持つ訳

で、いわゆる働きかける客体としてのステークホルダーと

働きかける推進の主体としてのステークホルダーという両

方の主客一体の立場にある。そういうことも考えながら、

CSRと人権が大事になっていくのではないか。

─社員も重要なステークホルダーであると認識しています。

ダイバーシティやワーク・ライフバランスの推進をはじ

め、いきいきと働くことができる職場環境の整備を進め

るとともに、社内コミュニケーションを一層充実させる

ことで、CSR活動の改善につなげていきます。(64~67

ページに記載)

78

サステナビリティレポートの読者とのコミュニケーション

前回発行した「サステナビリティレポート2008」は日本

語版7万部、英語版2千部を作成し、東京電力グループの

事業活動に関わるステークホルダーのみなさまへ提供しま

した。

本レポートに添付したアンケートはがきやホームページ

を通じてご感想をお寄せいただいた方々のうち、約8割の

方々からレポート全体として「満足」「やや満足」という評

価をいただきました。また、読者のみなさまの感心が高

かった柏崎刈羽原子力発電所を中心とした原子力発電や、

電気の安定供給についての内容充実のご要望など、レポー

トの改善に向けた様々なご意見をいただきました。

今回のレポート作成に際し、いただいたご意見を掲載内

容の選定や構成、レイアウトデザインなどの改善に反映し

ました。

アンケートはがきの結果(2008年版レポート)

レポート全体としての評価

具体的なご意見(例)

原子力発電の安全性確保についての説明がもっ

とあるべきである。

─発電所の耐震強化への取り組みを実施するとと

もに、災害に強い安全・安心な発電所づくりを

進めており、詳しくは本レポートに掲載していま

す。(詳しくは70~71ページ)

化石エネルギーによる火力発電の比率を下げ

て、他の代替エネルギーによる発電に力を注いで

ほしい。

─電気事業者全体での「2020年度までに非化石エ

ネルギー比率50%達成」に貢献するよう努力して

いきます。(詳しくは8~9、34~35ページ)

エコキュートや電気自動車についてもっと説明を

してほしい。

─東京電力グループの取り組みを各部門別に整理

し、紹介しています。(詳しくは38~45ページ)

日本のエネルギーを支える電力会社として、これ

からの日本のあるべき姿やライフスタイルについ

て、もっと踏み込んだ提案をしてもよいと思う。

─東京電力グループは、電化を推進することで「低

炭素社会」の構築に貢献できると考えています。

(詳しくは8~9ページ)

「地域社会との関わり」の内容を充実してほしい。

─2008年版と比べ、より多くの事例を掲載しまし

た。(詳しくは60~62ページ)

他の企業との協力体制なども載せてほしい。

─高効率機器や電気自動車の普及・開発などで

様々な企業と協力して取り組んでいます。(詳し

くは37、43~45ページ)

十分である

ほぼ十分である

普通

やや不十分である 0%不十分である 1%

未記入 1%

必要とされる内容が記載されていましたか Q

回答数 108通

45%

40%

13%

興味・関心を持った内容(複数回答可)

● 新潟県中越沖地震による影響と東京電力グループの取り組みについて

6~11ページ 65通

● 安定供給への取り組み

14~17ページ 63通

● 地球温暖化対策

36~49ページ 59通

● 特集「東京電力グループの再生可能エネルギーへの取り組み」

30~31ページ 58通

● 地域社会との関わり

62~63ページ 51通

※本レポートでは、原則として社内の組織名称を「本店、事業所(支店、発電所、第一線機関)」と表記しています。

原子力発電所

水力発電所(10万kW以上)

火力発電所

支店所在地

柏崎刈羽

福島第一

福島第二

秋元

信濃川

玉原

神流川

新高瀬川

水殿 安曇

葛野川 山梨支店

沼津支店

多摩支店

埼玉支店

茨城支店

栃木支店

群馬支店

本店 東京支店

千葉支店

神奈川支店

塩原

広野

中津川第一 矢木沢

今市 鬼怒川

宇都宮

水戸

さいたま

新宿 八王子

横浜

千葉

沼津

甲府

前橋

常陸那珂

鹿島

千葉 品川 大井 川崎 東扇島

横浜 南横浜

横須賀

五井 姉崎 袖ケ浦

富津

東京電力は1951年の設立以来、発電から送電・配電までの一体的な事業運営の下、質の高い電気を安

定してお届けしています。

東京電力が電気をお届けしている首都圏は、面積では全国の約1割であるものの、人口は日本全体の約

3割を占め、政治・経済の中心となっています。2008年度の販売電力量は日本全体の約3分の1の

2,890億kWhとなり、イタリア一国と同程度の規模です。

電力10社のサービス区域

北海道電力

東北電力

北陸電力

関西電力

中国電力 東京電力

中部電力

四国電力

九州電力

沖縄電力

電力10社の販売電力量

32%

3%

7%10社計

8,889億 kWh

九州 沖縄

中国

四国

北陸 東北

中部

関西 北海道

東京電力 2,890億kWh

※2008年度実績

4%

3%

9%15%

1%

16%

10%会 社 名:東京電力株式会社

本店所在地:東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 設立年月日:1951年5月1日 資 本 金:6,764億円 株 主 数:793,488人 売 上 高:5兆8,875億円(2008年度)* 経 常 損 益:▲346億円(2008年度)*

当期純損益:▲845億円(2008年度)* 総 資 産 額:13兆5,593億円* 従 業 員 数:38,030人 販売電力量:2,890億kWh(2008年度)

最 大 電 力:6,430万kW(2001年7月24日)

(2009年3月31日現在) *は連結実績

発電所及びサービス区域

火力発電所

原子力発電所

水力発電所

風力発電所

事業概要

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