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DAOオペレーティングシステム(OS) ホワイトペーパーV1.0 October 29th, 2017 作成中資料、, お問い合わせは [email protected]まで。 概要 DAOstackとは、新しい形態の組織、DAO、のためのオペレーティングシステム(OS)である。 自律分散型組織は、ブロックチェーン空間での最も優秀な人材の興味を抱いてきたが、今でも 単なる抽象的なアイディアとして残っている。この実態の主な理由は、分散型ブロックチェー ン統治のための堅固な枠組みが欠けている事である。DAOstackの基盤となるArc は、分散型統 1 治とブロックチェーン全体にわたる集団的価値管理のためのスマートコントラクトのオープン でユニバーサルなフレームワークである。DAOstackは、WebサイトやWebアプリケーション の作成や相互運用性を可能にするHTTP同様に、Web企業、コラボレーションアプリ、DAO作成と相互運用性、および利益の調整を可能にする。その結果、純粋な経済成長以上に、個々 が目標や価値観を共有して自己組織化するオープンなコラボレーションを可能にする新しい ウェブが誕生した。我々はこれがより協調的かつ持続可能な未来への社会の進化において重要 な一歩となると考えている。 1 ギリシャ語のArcheから、 "政府の方法"を意味している。 1

DAO オペレーティングシステム(OS) ホワイトペーパー V 1 · 自律分散型組織は、ブロックチェーン空間での最も優秀な人材の興味を抱いてきたが、今でも

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 DAOオペレーティングシステム(OS)

 

ホワイトペーパーV1.0  

October 29th, 2017 

 

作成中資料、, お問い合わせは 

[email protected]まで。 

 

概要 

DAOstackとは、新しい形態の組織、DAO、のためのオペレーティングシステム(OS)である。

自律分散型組織は、ブロックチェーン空間での最も優秀な人材の興味を抱いてきたが、今でも

単なる抽象的なアイディアとして残っている。この実態の主な理由は、分散型ブロックチェー

ン統治のための堅固な枠組みが欠けている事である。DAOstackの基盤となるArc は、分散型統1

治とブロックチェーン全体にわたる集団的価値管理のためのスマートコントラクトのオープン

でユニバーサルなフレームワークである。DAOstackは、WebサイトやWebアプリケーション

の作成や相互運用性を可能にするHTTP同様に、Web企業、コラボレーションアプリ、DAOの

作成と相互運用性、および利益の調整を可能にする。その結果、純粋な経済成長以上に、個々

が目標や価値観を共有して自己組織化するオープンなコラボレーションを可能にする新しい

ウェブが誕生した。我々はこれがより協調的かつ持続可能な未来への社会の進化において重要

な一歩となると考えている。 

1 ギリシャ語のArcheから、 "政府の方法"を意味している。 

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Table of Content 

Abstract 1 

1. 前書き 4 

2. DAO: 未来型組織 5 従来組織 5 ブロックチェーン 6 代理者 6 DAOs 7 

DAO トポロジー 8 既知の分散構造 10 

オープン組織 11 

3. ブロックチェーン統治 12 実例 13 

レピュテーション(評判)システム 15 ブロックチェーン統治構造 15 

代理者機能性 16 スキーム 17 

単純な報酬体系 17 より複雑な例 18 

グローバル制約 18 スケーラビリティ 19 

構成性 19 アテンションの収益化 20 相対的過半数 20 

DAOstack投票システム 21 

4. DAO stackについて 23 Arc 24 

アーキテクチャー 25 コントローラー 25 サブスクライブ済みのエレメント 26 代理者のインプット 26 トークンプリンター 26 レピュテーションプリンター 26 ウォレット 26 アバター 26 

 

 

DAOstack 2 

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プロトコル更新 26 テクニカル更新 27 実例 27 ユニバーサルエレメント 27 

デザイン原則 28 Arc.JS 29 ArcHives 30 

コンペンディアム 30 モザイク 30 The Hive 31 

アルケミー(Alchemy) 31 

5. Stack経済 31 サークラートークン経済 31 

DAppモデル 32 DAO経済 32 

分散型コラボレーション 32 分散型協同組合 33 分散型キュレーションネットワーク 34 

Stackモデル 35   

 

   

 

 

DAOstack 3 

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1. 前書き 人類誕生以来、人々は、核家族や部族から国家、企業、世界経済に至るまで、より効果的な構

造で協力の組織と規模を拡大する新しい方法を常に発明してきた。これまでの最先端の組織で

あるインターネットは、世界規模でリアルタイムの情報交換の扉を開いてきたが、汎用的な調

整とグローバルなピアプロダクションのための経済的手段が欠けている。ブロックチェーン

は、信頼性の高いオープンでプログラム可能なアカウンティングシステムを提供することを可

能にし、その結果、自律分散型組織(DAO)の発明に繋がった。 

 

DAOは、経済的インセンティブと自己実行コードによって調整されたオープンで自己組織化さ

れた集団であり、共通の目標に沿って協力している。DAOは、ネットワーク効果によって

強化され、オープンで共有可能なリソース(例:オープンソースのコードや音楽ファイ

ル)を生み出すための収益モデルとインセンティブを提供する。よりオープンなリソー

スを作成することで、DAOは敏捷性と一貫性を保ちながら無限に拡張でき、多くの事

例において、既存の企業構造と競合する。DAOは、ブロックチェーン分野でのトップ

才能を集めたため、より効率的で弾力のある組織のポテンシャルを持つ。それにもかか

わらず、これまでのところ、うまく展開するための重要なエレメント、特に適切な分散

型統治システム、が欠けていた。 DAOstackはDAOのオペレーティングシステム(OS)である。DAOstackを使用すると、何千

人ものオープンソースクリエイターが共同で分散アプリ(DApps)を作成し、製品の

個々の所有権の価値を貢献者に分配することができる。クラウドキュレーターは、

Yelp, TripadvisorやYouTubeと競争する服数値ランキングシステムを所有し管理出来

る。自律的なネットワークは、集合的な投資または保険基金を運営することができる。

DAOは、スタートアップから企業、NPO、国家などの人々から成り立つ組織を根本的

に変えると考えている。DAOstackは、将来の仕事に移行するために必要な基礎エレメ

ントを開発している。  

次の章では、DAOの将来について説明する:非中心 で、反競争的な協力(下記にて定義され2

る)。第3章では、ブロックチェーン(特にDAO)統治のトピックについての説明がある。第4章では、この新しい形式の組織を可能にするテクノロジ(DAO)Stackを紹介し、その使用方

2 一般的な用語は「分散化」だが、よりエレガントで正確なのは「acentric」(=中心が存在しない)であ る。  

 

DAOstack 4 

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法について複数の例が出される。第5章と最後の章では、DAOstack経済とその成長エンジンに

ついて詳しく説明が行われる。 

 

2. DAO: 未来型組織  

多くの人々ををうまく編成し調整する能力は、何千年もの間、絶えず進化してきた社会

の最大の力の1つである。この章では、現在の従来組織の課題と新しい可能性のある

Web組織であるDAOについての説明を行う。 

従来組織 

代理者(エージェント)の協力は、外部の競合する市場勢力に対して効率を高める。こ

れは企業の基本的な起源 であり、組織が成長したい理由でもある。しかし、多数の3

エージェントを連携させるのは困難でコストがかかるため、組織が無限に成長すること

ができないのが実態だ。 

成長時に組織はより強固な構造を必要とし、これらの困難に直面する:a) 急速に変化する状況 に対応して敏捷性を維持し、b)メンバー間の利益、信頼、関与の整合性を保つ事。要するに、

組織が大きくなればなるほど、対処する必要のある内部摩擦はより大きくなる。そして組織が

小さいほど、より多くの外部競争が支配的になる。一般的に、企業の実際の規模はこれらの二

つの力のバランスである。 

時には、新しい技術の導入やパラダイムシフトによって、組織の規模と効率性を新しいレベル

に押し上げ、調整コストを削減出来る。これは、仕事やビジネス景観に変化を引き起こし、そ

の後社会的変化も引き起こす。これは、クラウドソーシングやインターネットそのものの発明

と全く同じような現象だ。 

インターネットは、世界規模でリアルタイムにオープンなP2P情報交換を可能にした。そのた

め、インターネットメディアは従来のメディアのアウトレットよりも効率的に拡張可能とな

り、後者をすばやく同化した。しかし、インターネット自体は、オープンP2Pの価値交換と汎

用コーディネーションをサポートしていないため、グローバルな協力の可能性はまだ限られて

いる。 

3 有名な論文「会社の性質」でCoaseによって公式化された。  

 

DAOstack 5 

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ブロックチェーン 

ブロックチェーンは第二のインターネット革命であり、インターネットが情報とメディアに対

して与えた影響を、価値とビジネスに与えている。これは、障害と信頼の問題を完全に排除す

ることによって、前例のないレベルの群衆調整を可能にし、その結果、自律分散型組織(DAO

)の技術的基盤を形成する。DAOはスケーラブルな自己組織化協力の新しい形であり、ブロッ

クチェーン上のスマートな契約によって運営されている。多くの人々は、DAOが将来のビジネ

スと仕事の約束を守っていると信じている。だが、この事柄に取り組むブロックチェーンコ

ミュニティーの牽引力が増加しているのにも関わらず、DAOの統治システムと運用基盤はまだ

欠けている。 

代理者 

DAOはスマート企業又は代理者(これらの用語は同義で使用される)から成り立っている。代理

店は、ブロックチェーン上のスマート契約で管理および運用される原子レベルの統治ユニット

である。これには、企業自らのトークン(企業のリソース関連)、レピュテーションシステム

(企業マターに対する評判と影響力関連)そして統治システム(スマート契約にコード化された

細則)が含まれている。 

 

企業のスマート契約に組み込まれている統治プロトコルは、誰もが思いついたものでも大丈

夫。簡単な例として挙げられるのは、承認と執行のために必要な賛成多数/賛成投票(スマート

企業の一つの行動)である提案ベースの統治システムである。たとえば、提案はトークンの配

布に関するものであり、投票は投票者の評判によって重み付けすることができる。次の章で

は、いくつかの例を挙げられる。全体的には、次の図のようになる。 

 

 

DAOstack 6 

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ブロックチェーン機関の略図  

塗りつぶされたボールは企業の代理者を表す。それらの中心からの距離が影響力や評判を反映

する(距離が近いほど影響力が大きい)。それらのサイズはそれらの固有のトークン所有を反映

する(サイズが大きいほど、所有トークンも多いい)。一人の代理者が代理者Aに対してバグ

XXXの修正のために5ETHを提供する提案を行なっている。企業の代理者はこの提案に対して投

票を行う。各自の投票は評判によって重み付けされる。全ての評判持ち主が提案に賛成次第、

トークンの割り当てが実行される。 

DAOs 

代理者はブロックチェーン上のスマート契約に従う。彼らは検証可能なルールに従っており、

ルール自体に従ってのみ変更可能。選択された統治システムに応じて自律的である場合とそう

でない場合がある。例えば、ある代理者が別の代理店のための意思決定プロセスで独自の拒否

権を留保することができる。 

 

DAO自体が代理者でもあり、非中央的な代理者のメッシュネットワークでもある。組織内に単

一のコントロールポイントや障害点が存在しない。中央管理の代わりに、生物学のスティグ

マージに似た、インセンティブとコードによって代理者間の間接的調整が行われる。DAOは、

自己組織化エンティティであり、生物に似ているとも言われる。 

 

 

DAOstack 7 

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DAO トポロジー 

自律分散にはさまざまなモードがあり、それに応じてDAOについてのさまざまな考え方が存在

する。 DAOについてよく知られている方法は、大規模なアセンブリモードである。 

 

DAOのアセンブリモード 

 

 

DAOのアセンブリモードでは、多数の代理者が単一の機関内で意思決定を行う際にス

マートな契約を交わしている。この際、レピュテーションや意思決定力が公平に配分された

事を想定している。最も単純であるにもかかわらず、このモードは本質的にスケーラビ

リティ面では問題があり、レジリエンスを維持しながら処理能力には限界がある。この

DAOモードの処理能力を拡張するための方法を紹介するが、それだけでは完全な答え

にはならない。 

 

 

 

 

 

DAOstack 8 

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第二モードの自律分散はフラクタル連邦統治である。  

 

 

DAOのフラクタル連邦統治モード 

 

極端なDAOのフラクタル連邦ガバナンスモードでは、DAOはいくつかの代理者を持つ組織であ

り、それぞれ自体がいくつかの代理者をを持つ組織であり、それらの代理者も他の代理者をも

つ組織である。実際には、DAOはこれら二つのモードの間のどこかに存在する。また、ネスト

されたメッシュネットワークの代理者として、共有代理者を通じて他のDAOと織り交ぜられて

いる。 

 

 

DAOstack 9 

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DAOのメッシュネットワークモード 

 

複合メッシュネットワークは、DAOStackによって提供されるインフラストラクチャを

持つ単純な代理者から発生する可能性がある。集団的知性を効果的に活用し、組織全体

に利益をもたらすために、意思決定力はDAO全体にメリトクラティックな方法でうま

く分散することができる。 

既知の分散構造 

分散構造は本質的に豊富である。人体は、器官、下位器官、および下位器官で構成された分散

型構造であり、それ自体が内部構造を持つ原子細胞に至るまで存在する。体の機能はかなり分

散されており、他のセルに何をすべきか指示するセルは存在しない。むしろ、各セルは、その

環境から受け取る入力に従って自律的に動作している。生物の感覚は、自律的かつ本質的な人

間であり、集団レベルでのみ明らかな創発現象である。 

 

 

DAOstack 10 

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蟻コロニーも分散構造で成り立っている。これは、中央管理や制御なしで機能しており(嬢王蟻

も意思決定権を持ってなく、ただ産卵するだけ)、個々の蟻は、最も近い環境の条件に反応し

て行動します。そのため、コロニーは相互に直接通信する必要がない蟻の間接的な調整から得

られた集団レベルでの創発現象である。 

 

インターネットは人間中心の分散構造である。これは50年以上の間に20億人以上の

ユーザーに適切に拡張された非中央的なシステムである。そのダイナミックな自己統治

は、生きているシステムのように進化し、時間をかけてアップグレードするのに貢献し

た。インターネットは内部価値流通をサポートしていないため、エンゲージメントに固

有の経済的インセンティブモデルが欠けている。したがって、その機能は情報の配信に

限定されている。 

 

ブロックチェーン自体がDAOに最も近いものである(より正確にはDApp)。これは、多くの参

加しているマイナーによって運営されている、非中央的な生物のようなものだ。新しい形の内

部経済的インセンティブモデルにより、これまでには見られなかった成長と導入率の扉を開

く。執筆時点で、Bitcoinブロックチェーンネットワークは、中央管理や調整なしでゼロ

からほぼ1000億ドル規模まで成長した。イーサリアムブロックチェーンは三年で同じ

ように300億ドルにまで成長した。(運の良い投資家は、イーサリアムのクラウドセー

ルで投資価値の1200倍向上を成し遂げた。)しかし、これらの価値ベースのDAppの機

能は限られており、一般的な目的のために編成できる汎用DAOを有効にするために

は、さらなるエレメントが必要だ。DAO Stackこそが欠けているエレメントなのだ。

オープン組織 

現在の経済システムは、ほぼゼロサム又は勝敗ゲームに基づいている。競争の勢いは、ピーク

のパフォーマンスに向かって進化を引き起こしますが、グローバルではなく、ローカルでの勝

利が最大化される。(それは、企業はそれ自身の生存に関して最適化し、より全体の社会への利

益に繋げる事は無い 。)これこそが、非協力ナッシュ均衡の課題なのだ。ナッシュ均衡では、4

全ての人々にとって良い別の協調均衡が存在しても、そのために個人が戦略を変更するインセ

ンティブが無い事が実態だ。競争から協力への移行を妨ぐのは、大規模調整の問題である。 

 

4 個々のレベルまで、あらゆる主権主体についても同じことが言える。  

 

DAOstack 11 

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この非協調的なナッシュ均衡はほとんどどこでも支配的だが、生産と開発の分野では、知識と

情報、そしてより一般的には反競合財の閉鎖や曖昧さの形で明らかに現れている。 

反競合財の使用は無制限であり、むしろそれらが使用されているほど価値が高くなる。

典型的な例はコードだ。コードは消費されず、より多くの目が通される事でコードがよ

り良く(又は、安全)になる。同時に、企業にとってコードをオープンソースにするメ

リットが無く、競合にアドバンテージを与えてしまう。だが、同じような製品をもつ

10社が、自社での開発よりも、お互いに協力し合い共通エレメントを開発した方が皆

得する。この難問は、おそらく製薬業界で最も顕著なものだ。  

知的財産権(IP)は、反競合財を希少元素に変えて売却可能にする伝統的手段であるが、現在

の加速された発明のペースでは、実用的ではなくなってきている。 

 

共有リソースをオープンにすることは、現代経済のメカニズムと矛盾している。だか、これが 

効果的にするためには、DAOは再利用可能なコンポーネントの共有にインセンティ

ブ、報酬を与える必要がある。結果的に、より多くの既存の共有可能コンポーネントが

DAOの成長と有効性をサポートする。 

3. ブロックチェーン統治 代理社がブロックチェーン上の基本統治ユニットである。ブロックチェーン統治システム

は、ブロックチェインアドレスから入力を収集する状態遷移関数であり、そして特定の

規則でグローバル状態遷移を記述する。 

 

 

DAOstack 12 

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ブロックチェーン統治システム 

 

この文を形式的な言語の解説では無く、下記はで例を使っての解説である。 

実例 

最も簡単な代理者はETHファンドを管理し、そのネイティブFNDトークンのみを持つ。それを

Fundisと呼ぶ。 Fundis統治システムには3つのルールしか存在しない。 

 

1. Fundisが行う唯一の共同決定は、メインウォレットから特定のブロックチェー

ンアドレスにETHを送信する事(つまり、投資を行う)。このアクションは、あ

る代理社のプロポーザルによって開始される。たとえば、代理者XはアドレスA

に1000 ETHを送信することを提案したとする。その提案に全ての代理者が投票

 

 

DAOstack 13 

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する。代理者の票は、個別のアドレスにあるFND数により重付される。FND保

有者の過半数が提案を承認すると、自動的に実行される。 

2. Fundisの第2のルールは、その設立時に、FNDトークンが発行され、1週間の間、1ETH

あたり1 FNDが購入者に送られることである。 

3. 最後の3つ目のルールは、いつでもFNDの所持者が自分のFNDをメインFundisウォレッ

トに送信し、その時点でその財布に存在する比例のETHのシェアに戻すことができると

いうことである。その時点で所有のFNDは破壊される。 

 

この統治システムには、次のようないくつかの問題が存在する。

 

1. FND保有者の過半数を1つの提案に投票させるのは非常に難しい。この問題は、

統治システムの大規模化に関連しています。 

2. 51%攻撃の問題が存在する。Fundisウォレットには1億ドル相当のETHが存在する。

そして、市場ですべてのFNDトークンの半分を購入するには6,000万ドルかかると想定

する。その後、必要な資本を持つ代理者が市場のFNDのわずか半分以上を購入し、その

後すぐにすべてのETHを自分の住所に送るという提案をしたとする。結果的に、4000万

ドルの損失を出すことになる。これこそが、レジリエンスの課題である。 

3. より多くのトークンを保持する人が最良の投資判断を下すことは明らかでは無い。これ

は取引を中断するものではないが、かなり効果のない投資ファンドにつながる可能性が

ある。これはもう一つの重要な基準である能力主義と矛盾である。 

4. 詳しく説明するために、Fundis ETHの全てを提案に賛成するアドレスにのみ配布すると いうプロポーザルを作成する事でも、システムに攻撃できる。当初は、まともな代理者

がこのような提案を承認する事を控える。だが、最初の承認が出た瞬間に雪崩影響が発

生する。全ての代理者が、承認しなければお金を失うプレッシャーを感じる。 

5. 最後に、Fundisの作成者は統治システムに大きな欠陥があると認識した後もアップグ

レードを行えない。これも、我々が成し遂げたいエレメントの一つである。 

 

 

このシンプルな統治システムは、ブロックチェーン統治の問題のほとんどすべてを強調

している。上記の「ブロックチェーン統治システムは、ブロックチェインアドレスから

入力を収集する状態遷移関数であり、そして特定の規則でグローバル状態遷移を記述す

る」事も示している。

 

 

DAOstack 14 

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代理者が企業に投入できる入力は四種類存在する。  

1. プロポーザルの提出;  

2. 存在するプロポーザルに対する賛否;  3. 設立後一週間にFND購入のためにETHをFundisに送信する事; 4. 又,FNDをFundisに送り、ETHシェアを返済する事。 

 

Fundisが行うことができる三つの可能なアクション(グローバル状態遷移に起因す

る)と統治システムの三つのルールがトリガされる。 

 

1. 最初の週にETHの送付者にFNDを発行して送付する(1ETHあたり1 FND); 2. Fundis財布からFNDの送付者への比例分のETHを送付(およびFNDの削除); 3. 提案が大半に承認された後ETHを送信する。 

レピュテーション(評判)システム 

ネーティブトークンの所有量で代理者を重付する代わりに、企業は代理者の影響力を異なるバ

ランスシートで基づける事ができる。一般に、評判スコアは譲渡不能な資産であり、代理者は

評判を別の代理者に移すことはできない。最も単純なケースは、企業が単一の評判システムを

持っている場合である。つまり、すべての意思決定に同じ影響スコア存在する。より一般的に

企業は、異なるケースで使用される複数の評判スコアを維持することができる。評判はここで

は影響力と交換可能に使用され、最も貢献度の高いものが最も影響力の持つ能力主義的

な統治システムの基盤を形成することができる。例えば、代理人が100FNDr(Fundis評

判スコア単位)を代理人Aの貴重な貢献度Cに対して割り当てる提案できる。評判はアル

ゴリズム的に企業の経済的報酬と集団と比較して各自の投票や評価とも結びついてい

る。 

レピュテーションシステムだけでは、以前のトークンベースの統治システムの問題のほとんど

が解決されていますが、まだスケーラブルではありません。 

ブロックチェーン統治構造 

The governance of an agency can be divided into two types of actions, the do’s and the don’ts: 

 

1. 代理者の機能が発動できる論理的および運用上のルールである。たとえば、DAOの評判

保持者の大多数が新しいトークンの発行を承認した場合、トークン発行はDAOのスマー

 

 

DAOstack 15 

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トな契約によって自動的にトリガーされます。我々はこれらの操作論理をスキームと呼

ぶ。 

 

2. 代理者によって絶対に尊重されなければならない制限があり、承認された制度によって

も違反することはできない。たとえば、DAOが100万のトークンの上限を承認した場

合、発行されたトークンの総数が100万未満である限り、トークン発行スキームは動作

する。これらの制限をグローバル制約と呼んでいる。制約は絶対的なものでもよいし、

特定の条件のもとでアップグレードできるように設計することもできる。 

 

スキームとグローバル制約両方をエレメントとして表す。代理者のエレメントによって、統治

プロトコル全体(プロトコルを変更するプロトコルを含む)は明確に定義されている。 

 

代理者機能性 

DAOStackを介してEthereumブロックチェーンにデプロイされた代理者は、基本的に

ブロックチェーン上で実行できることをすべて行うことができる。具体的には、下記の

通りだ。 

 

● トークンの配布。各DAOは、組織が評価した価値のある貢献者に独自のネイティブトー

クンを発行して配布することができる。ネイティブトークンの発行により、組織は独自

の経済を創出することができる。トークンの効用または利益は、DAOの製品へのアクセ

ス権(これらのユーティリティトークンと呼ぶ)、または代理者の収益のシェアを付与

する(これらのシェアトークンと呼ぶ)など、代理者が決定するものであれば何でもか

まわない。 

 

● 資金配分。組織は、ETH、STKまたは他のDAOのトークンなどの外部トークンを獲得し

たり、独自のトークンセールを介して回収することができる。それらを保有することが

でき、特定の努力や貢献と引き換えに第三者に配布することができる。これは、企業が

寄付者、従業員または他のサービス提供者に報酬を支払うのに似ている。 

 

● 評判の割り当て。各企業は評判スコアをメンバーに割り当てることができる。評判は、

組織内での専門的な信頼性の表現であり、したがってそれが影響力でもある。従来のブ

ロックチェーンベースのトークンとは対照的に、評判は移転可能ではない。組織に与え

られたメリットと貢献に応じて、特定のメンバーに授与される、または獲得される。組

 

 

DAOstack 16 

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織の評判は意思決定力と結びついているため、最高の意思決定を行う代理者に評判を与

えるべきである。しかし、意思決定力を時間をかけて守らないようにするために、組織

は評判が時間の経過とともに消え去ると判断するかもしれない。 

● 集合的データキュレーション。各組織は、独自のオブジェクトデータベースを管理し、

キュレーションを維持する事ができる。それは、記事、ウェブサイト、組織、またその

他のキュレーションであり得る。共有データベースの機能は、ネットワーク効果に繋が

る。もし誰もが同じ場所を見ているなら(それはうまくキュレーションされているた

め)、その場所は貴重だ(また、これには金銭にも価値がある)。下記では、集合的な

DAOstackレジストリであるArcHivesの例がいくつか記載されている。 

● 外部活動。代理者は、別の企業内で単一の事業体として行動することができる。たとえ

ば、代理者は別の企業(またはDAO)内で提案書を提出し、他の代理者に投票すること

ができる。   5

● 統治更新。各組織は、独自の統治システムを設定および更新できる。特定のエレメント

を承認または削除することによって、代理者はその機能の仕組みや統治体系を変更する

仕組みを定義する 。 6

スキーム 

スキームとは、一連の命令で構成され、特定の入力セットを受け取り、特定の出力セットを生

成するために処理する論理関数である。スキームは事実上何でもできるように設計することが

できるが、そのほとんどはトークンや資金配分、評判の割り当て、プロトコルのアップグレー

ドなど、代理者の基本機能の一つを起動する。共通スキームは、プロポーザルに基づいてる-

特定の方法で代理者の基本的な行動の一部をトリガーする。これらはyesまたはnoで投票さ

れ、承認された場合プロポーザルが自動的に実行される。 

単純な報酬体系 

例えば、DAOの単純な報酬体系は次のようになる: 

 

● 代理者は、DAOへの貢献のため150のトークンと200の評判ビットを別の代理者に報酬

するためにDAOに提案書を提出する。 

5 より一般的には、DAOstack代理者はブロックチェーンドメイン内のどこでも動作することが できるため、他のシステムとの完全な相互運用性が維持される。例えば。 DAOstackの代理者 はアラゴンの会社でユーザーを開くことができる:) 6 代理者は、DAOstackのアップグレード、又は、新しいアーキテクチャのいずれかにテクノロジスタッ ク自体をアップグレードできる。  

 

DAOstack 17 

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● 誰でもこの提案に対してyesまたはnoを投票でき、その票をDAO評判スコアで重み付け

することができる。 

● 大多数が「はい」と投票すると、DAOのオペレーティングシステムはその提案

を実行し、貢献するエージェントに150のトークンと200の評判ビットを割り当

てる。 

 

同様に、上記のFundisの例を振り返ると、三つのルールがあり、三つの異なるスキームとして

記述できる。したがって、Fundisの統治システム全体は、これら三つのエレメントを介して記

述できる。次の章では、DAOStack、特にArc統治フレームワークを記述する際に、このモ

ジュール化された形式を使用する。 

 

より複雑な例 

説明のため、かなり複雑な報酬制度は以下のようである: 

 

● 代理者は、特定の貢献に対して報酬を求める提案する。 

● このスキームは代替の投票システムを起動させ、DAOの評判を保有している誰でも特定

の数のトークンを提案して代理者に報酬を与えることができる。 

● 投票は、各投票者の評判スコアによって重み付けされ、授与されるトークンの総量は、

すべての有権者の重み付けされた中央値となる。 

● 評判保持者の20%以上が投票を表明し、最終日に評判保持者の2%以下が投票に参加す

ると、DAOはトークンの量と比例分の評判を代理者に、その時点で中央値に従い、割り

当てる。 

 

より一般的には、可能なスキームのデザインのスペクトラムはほぼ無限である。スキー

ムは、様々なアクション(上記の機能を含む)を有効にしたり、様々な論理を組み込ん

だり、投票力と評判、トークン、またはその両方の組み合わせに関連付ける様々な投票

システムに依存する。スキームのもう一つの一般的なタイプは、DAOがいくつかの条

件で販売するネイティブトークンを提供(いわゆるトークンセールス)できるようにす

るものである。 

 

 

DAOstack 18 

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グローバル制約 

グローバル制約は、特定のエージェンシーやDAOに付随し、その機能を制限する特定の条件で

ある。一般的な規則として、特定の機関内で行われる操作は、組織によって構成された制約の

リストに従わなければならない。機関内で承認されたスキームのリストに関係なく、これらの

スキームのいずれも、グローバル制約に適合しない場合、組織内の特定の機能をトリガーする

ことができない。 

 

例えばDAOによって採用される可能性のあるグローバル制約は次の通りだ:  

● 組織が発行できるトークンの総量に課される上限。 

● 一定期間(例えば、月に2%)のトークン膨張率(すなわち動的上限)。 

● 企業の資金の使用率。 

● 特定の期間内に発行できる評判の最大量。 

● より多くのトークンまたは評判の発行をリクエストできる代理者のリスト 

● DAOが新しいスキームを承認できるレジストリ。 

● 組織は、一定のグローバル制約を永続的にもできれば、他を変更可能に定義することも

できる。変更の場合、これらの制約をどのような条件の下で(例えば、トークン所有者

の75%の決定によって、または特定のスキームを介してのみ)更新できるかも定義す

る。 

スケーラビリティ 

分散型統治システムのスケーラビリティは、それのレジリエンスと緊迫感がある。分権

化では、一定の規則(すなわち、オープンプロトコルを使用する)の下で参加者のため

にシステムを開くことを必要とする。レジリエンスは、すべての決断をこなすために十

分な参加者が必要であることを意味する。しかし、これでは十分に参加者のアテンショ

ンをキャプチャーできない。 

 

分散型ガバナンス・システムにおけるスケーラビリティとレジリエンスの課題を(ある程度ま

で)解決するための一般的な三つの方法がある。それらは、構成性、アテンションの収益化、そして相対的過半数である。ブロックチェーン自体は、分散型統治システムの一形態であり、

これら三つのメカニズムは次のようなものである:シャーディング、ガス、そしてオフチェー

ン計算。 

 

 

DAOstack 19 

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構成性 

次の二つのケースがある。最初の9人は、同票を持つ企業の代理者である。二つ目は、

同票を持つ会社が三社あり、それぞれが3人の代理者から構成されている。サブ企業

は、社内多数で決定を下すとすぐに、マザーカンパニーで投票を行う。 

 

アセンブリーVSフェデレーション統治  

 

最初のケースでは、マザーカンパニーでの決断のために5人の代理者のコンセンサスが求めら

れることは容易にわかる。二番目のケースでは、同じ意思決定の為には4人の代理者のコンセ

ンサスで十分だ。 

 

この非常に単純な例は、ガバナンスシステムの構成性またはフラクタライゼーション

が、それらをよりスケーラブルにするという事実を示している。これにより、少数がシ

ステムの乗っ取ったように、レジリエンスを失ったようにも見える。だが、第二のケースで

は、どの4人組でもマザーカンパニーの意思決定を行えるのでは無い。異なる仮定の下で、第

二ケースのレジリエンスは弱く又は、強くなる。 

アテンションの収益化 

意思決定を行うには、有権者のアテンションが必要だ。より多くの判断が評価されるほど、よ

り多くのアテンションが必要になる。しかし、アテンションは希少である。その為、レジリエ

ンスのある分散型意思決定システムを形成するには、アテンションの希少を反映する収益方法

があるべきだ。ビットコインでは、手数料が存在し、イーサリアムではガスがある。DAOガバ

ナンスの場合、アテンションを集めている代理者のコミュニティを反映したトークンでアテン

ションを収益化する必要性がある。内部DAO決定はDAOトークンになる可能性があルガ、DAO

 

 

DAOstack 20 

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間アクティビティではDAOstackエコシステムトークンであるStacks(STK)を使用する。ア

テンションの収益は意思決定権を買わず、提案に対するアテンションに対しての支払い

だけである。この点についてさらに詳しく説明される。 

相対的過半数 

純粋に、スケーラブルな意思決定プロセスを形成するための直接的な方法は、相対的過半数に

のみ決定を承認することである。相対的多数決とは、大部分の承認は、投票を行った人のみで

あり、システム内の潜在的な有権者すべてではないということだ。 

 

ボールのサイズはエージェントの投票力を反映している。空のボールは、特定の提案に投票し

ていない人。暗いボールはYesに投票し、軽いボールはNoに投票。明らかに、承認の過半数は

存在しないが、相対的過半数の承認が存在する。 

 

相対的多数決には、提案を検討するために有限の時間枠が必要である。 

 

この問題を解決するために、以前の統治システムでは、認可の正当性を判断するために必要な

議決権の最小限の定足数が導入した。定足数の問題は、適切な量を定める事が不可能であり、

設定が低すぎるか、スケーラビリティが高すぎるか。そして、おそらく両方の場合にはレジリ

エンスが損なわれる。最悪でも、定足数は動的である必要がある。 

 

以下では、相対的多数決とアテンションの収益化に基づいた、定足制のないレジリエン

スのある統治システムを提案している。 

 

 

DAOstack 21 

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DAOstack投票システム 

このセクションでは、潜在的に分散化されレジリエンスのある、拡張可能で最も単純な

意思決定プロトコルを提案している。これは、次の章で説明されるDAOStackに実装さ

れている投票システムの一つであり、DAOstack組織自体もこのペーパーと同時にリ

リースされる。以下の手順でプロトコルを説明する。 

 

1. 提案。提案から開始する。プロポーザルは代理者によって提出され、YesかNoで投票さ

れる。 

2. 評判に基づく。代理者の投票は評判で重み付けされる。現在、会社ごとに1つの

評判システムに限定している。 DAOのサブ企業とそれのもサブ企業は、生産や

意思決定の特定の分野に焦点を当ている。このフラクタルフレームワークでは、

企業ごとに1つの評判スコアという構造は想像できなくない。 

 

3. 限られた時間。プロポーザルが開かれ、閉鎖するには限られた時間(例えば、2週間)

がある。つまり、この時間間隔の終わりには、投票評判の相対的過半数(つまり、すべ

ての投票者のみ)に基づいて意思決定(YesかNo)が行われる。 

 

4. 静かな結末。ファイナライズ攻撃を回避するために、効果的な決定(YesかNoの大多

数)は、終了間隔(たとえば1日)で変更できない。それは、最後の日に「Yes」から「

No」に変更した場合(またはその逆)、プロポーザル間隔がもう1日延長される。投票

は、最終日に決定が変更されない場合にのみ終了する。 

 

5. Stackを開く。各時点では、限られた数の公開提案(たとえば、10)しか存在し

ない。他のすべての提案はランキングシステムによって列に並ぶ。開始Stackの

提案が確定されるたびに、そのキューの最上位の提案が開始Stackに入れ替わ

る。 

 

6. ブースト。誰でも追加したプロポーザルをキュー内で伝播できる。ブースティングは、

トークンを置くことによって行われる 。提案が成功した場合、ブースターはトークンを7

7 トークンに関しては次の二つの章で解説されている。  

 

DAOstack 22 

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取り戻し、そうでなければそれらは破壊される(このプロトコルのバリエーションで

は、有権者の一部または全員に配布される)。 

 

7. ランキングシステム。待ち行列内の提案のランク付けシステムはかなり一般的だ

が、スマートな方法は次の通りだ: , はこの提案ですでに投票権をもつ評⋅BR+2   R+

判の量で、Bは提案を促進するトークンの総量。提案者だけでなく、誰でも既存の提案

を増やすことができる。この式のもう一つの選択肢は、 であり、ここでの は⋅B⋅S R+2 S

限られた期間中提案者のアドレスにてロックされいるトークンの量である。 

4. DAO stackについて DAOstackは、DAOの作成、操作、及び統治のための基本的なツールを幅広いエコシステムで

内部的にも外部的にも提供している。これは、DAOのためのWordpressの様なもうのである。

Wordpressがウェブに与えた影響と同じ様に、DAOstackはブロックチェーンに与えている。こ

の実態は、次のようなコンポーネントの積み重ねによって可能になっている。 

 

 

DAOstack 23 

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DAOstackの構成

 

 

DAOstackエコシステムは、オープンで分散したコラボレーションの潜在的な利点を最

大限に生かすために、相互に作用しあいながら、異なるが相互運用可能な多数のDAO

で構成されている。技術レベルでは、すべてのDAOはArc経由で配備された一連のス

マートコントラクトで構成されている。Arcとは、Ethereumブロックチェーン にDAO8

を作成、設定、展開、操作するための統治のソリディティフレームワーク。ストレージ

とレトリーブには、おそらくIPFSをデータのオーバーレイネットワークを頼り。

8 Arcは現在イーサリアムベースだが、他のブロックチェーンとの相互運用可能を目指してい る。  

 

DAOstack 24 

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人々は、ブロックチェーン取引の実行を通じて、または間接的に、特定のフロントエン

ドを基礎とするブロックチェーンエコシステムによって、これらのDAOと直接やり取

りができる。Alchemyは、DAOstackによって社内で開発された協調型DAppであり、

誰でも新しい代理者やDAOを作成し、DAOstackエコシステム内で他の人と共同作業を

開始することができる。これはWeb3.js経由でArcSolidityフレームワークを操作する

JavaScriptライブラリであるArc.jsに依存している。フロントエンドのJavaScript開発者

は、SolinityコードまたはEthereumブロックチェーンと関わりの必要なく、Arc上で共

同アプリケーションを簡単に作成できるように設計されている。ArcHivesは、

DAOstackコミュニティによってキュレーションされ、そのグローバルなエコシステム

を提供する公開されたレジストリーである。そ子でエコシステムとネットワーク効果が

蓄積する。 

Arc 

Arcは、DAOの基本的なオペレーティングシステムであるブロックチェーン機関のインタラク

ティブなインターネットのための一般的な統治フレームワークです。これはオープンソースの

モジュール式で汎用的なフレームワークであり、ユーザーのニーズに応じて展開するテンプ

レート統治モジュールまたはエレメントのオープンライブラリが付属しています。また、統治 システムを簡単にアップグレードおよび変更できるため、時間の経過とともに組織のニーズに

合わせやすくなる。 Arcは、特定の統治システムに限定されず、第三者が必要に応じて独自のエレメントを作成する

ことを容易にします。利用可能なエレメントを組み合わせることによって、各代理者は、譲渡

可能な資産(例えば、トークン)および譲渡不能な資産(例えば、評判)を含む希少資源の発

行、管理および割当のための規則を規定する独自の統治システムを実施することができる。 

アーキテクチャー 

Arcは前の章で説明した統治システムの基本的な分解をスマートコントラクトにてエレ

ガントに実装している。これには、あらゆる機関が構築できる行動、スキーム、とグ

ローバル制約が存在する。以下は、Arcフレームワークのロジックおよびスマートコン

トラクトアーキテクチャを表したものである。 

 

 

DAOstack 25 

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A sketch of the Arc contract bundle per agency.  

コントローラー 

コントローラ契約は、代理者の主なエンジンである。それは加入スキームだけによって「所

有」され、その機能を動作させるコマンドを取得する。その機能を介して、アクター契約にトークンと評判プリンター、資金財布、アバター、さらに統治システムと技術アーキテク

チャー自体のアップグレード機能をコマンドに送る。 

 

サブスクライブ済みのエレメント 

サブスクライブされたスキームおよび制約は、スキームを登録することが許可されてい

る以前のスキームによって登録されたエレメントである。代理者は通常、Genesis Schemeで始まルガ、特定の条件下で、特定のエレメントを登録または登録解除できる

新しいものを追加することができる。 

 

 

DAOstack 26 

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代理者のインプット 

代理者と企業の関わり合い唯一サブスクライブされたスキームによるものである。各スキーム

には、トランザクションを介してこれらの機能を呼び出して操作する、外部代理者(ブロック

チェーンアドレス)が操作できる固有の「ノブ」(関数)が用意されている。 

トークンプリンター 

トークンプリンターは、ネイティブトークンを発行し、代理者に割り当てる。それはコント

ローラによって「所有」され、コントローラからコマンドを取得する。 

レピュテーションプリンター 

レピュテーションプリンターは評判を代理者に割り当てる。それはコントローラによっ

て「所有」され、コントローラからコマンドを取得する。 

ウォレット 

ウォレットは、次のバージョンで導入される(現時点では、アバターもウォレット同様)。企

業が所有する外部資金を保持し、代理者に配布する。それはコントローラによって「所有」さ

れ、コントローラからコマンドを取得する。 

アバター 

アバターは企業の「顔」である。これは、外部で行動し、特定のスキームのもとブロック

チェーン上できる事は何でも実行できる。特に、他の機関に提案やそれに投票などもできる。

それはまた、他の機関の評判が割り当てられているアイデンティティーでもある。 

プロトコル更新 

コントローラーは、サブスクライブされたスキームからのコマンドを受信した時に、新しいス

キームや制約を登録するか、又は古いものの登録解除もできる。企業の統治プロトコルは、

そのエレメントを介して完全に指定されているため、統治システムを容易にアップグ

レードおよび変更できる(これは、この能力が既存のプロトコルに根ざしている場合で

ある)。プロトコルアップグレードを実行するための条件は、エレメントの登録又は解

除を操作できるサブスクライブスキームで定義されいる。エレメントの登録又は解除に

て異なる条件が存在する。(例えば、スキームとほとんどの制約を変更するには、評判

 

 

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保持者の60%以上が必要だが、トークン供給の増加に関してはトークン所有者の75%

以上が必要だ。)

テクニカル更新 

コントローラーには、すべてのアクター契約の所有権を新しいアドレスに転送する特別な機能

がある。この新しいアドレスがどんなものであろうと、代理者の資産(他の機関の評判など、

譲渡可能かつ移転不可能な資産)を完全に管理することになる。これは、Arcの改善された

アーキテクチャへのアップグレード、また企業の望みによっては、全く新しいアーキテクチャ

へのアップグレードとなり得る。 

実例 

上記のエレメント間の相互作用の例を以下に示す: 

● 代理者は、DAOの特定の「報酬体系」のアクティベイト要求。 

● 代理者は、その計画に必要なスキーム関連入力(たとえば企業、トークンの数と

タイプ、受取人のアドレスなど)と共に、そのスキームのスマートコントラクト

(おそらくArcと統合されたDAppの一つを介して)に取引を提出する。 

● 他の代理者が投票でこの要求を承認することがある。 

● その特定の報酬体系で定義されているように、十分な票が要求を承認すると、報酬体系

はコントローラに(特定のパラメータを用いて)提案書を実行するよう命令し、コント

ローラは報酬配分の実行命令を下す。 

● コントローラによって制御されるすべての機能は、DAOによって登録されたグローバル

制約の対象となる。グローバル制約は、事前と修正の両方の修飾子として機能する。実

行前に、コントローラは配列に格納されているすべてのグローバル制約を実行して、こ

の特定の時点ですべてがfalseを返すようにする必要がある。実行された後にDAOの状態

が変化する可能性があるため、実行が完了すると、コントローラはすべてのグローバル

制約を再度実行する必要があり、すべてがFalseを返す場合はすべてを元の状態に戻

す。 

ユニバーサルエレメント 

エレメント- スキームと制約 - は設計上ユニバーサルである。つまり、すべてのDAOは

毎回独自の契約を展開するのではなく、同じ普遍的なエレメント契約に頼ることができ

る。各代理者に対して独立して配備される唯一の契約は、コントローラーとアクターで

 

 

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ある。この様な設計は、フレームワークのスケーラビリティ、機能性およびセキュリ

ティに貢献する。 

デザイン原則 

Arcは、次の設計原則を念頭に設計されている: 

 

● 一般性。Arcは、不確定な数の統治エレメントをサポートする一般的なフレームワーク

である。Arcのスキームとグローバル制約のライブラリは、第三者やオープンソースの

DAOstack開発コミュニティによって開発された新しいテンプレートやモジュールを追

加することで成長できる。これらを組み合わせることで、人々はますます多くの統治プ

ロトコルを実験することができ、結果的に進化と自然選択によって成功を収めることが

できる。 

 

● モジュール式: Arcフレームワークは、モジュール式で設計されている。全てのDAO系の 統治構造は小さな基礎的エレメント(統治モジュール又はエレメント)でできており、簡単に追

加、結合、編集や削除出来る。モジュールはブロックチェーンに再展開する必要は無く、単に参

照するだけで、ストレージ及び運用コストを削減し、セキュリティーを強化する。さらに、よ

り洗練された統治プロトコルの開発が、より多くのビルディングブロックが存在

する様になる。その上、契約管理セキュリティをはるかに穏やかにしていて、そ

もそも毎回プロトコル全体をゼロから作成するのは、セキュリティ上は考えられ

ない。 

 

● シンプルさ:Arcは、技術的な設計と使いやすさの両面で、シンプルさを重視して設計

されている。フレームワークのモジュール性により、複雑さを最小限に抑えることがで

きる個々のビルディングブロックに集中することが可能になる。ビルディングブロック

はモジュール化されており、再利用されるため、それぞれが個別の精査を多く受け、高

いレベルの審査とそれに対応するより高いレベルのセキュリティを提供している。 Arc

の使用を容易にするために、スマートコントラクトのバンドルを単一のトランザクショ

ンで展開することができる。 

 

● アップグレード可能: 各DAOの統治構造は、新しいスキームや制約を使用できるよう又は、既 存のものと異なるパラメータを使用するようにアップグレード可能。詳細としては、Arcから作

成されたかくDAOには一連のルールがあり、それにはディフォルトでルールを変更出来るルール

も含まれている。 

 

 

DAOstack 29 

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● 相互運用性:Arcは、さまざまな機関とDAO間の相互作用を促進し、相互運用性を促進

するように設計されている。実際には、代理店は他の機関とシームレスに連携し、トー

クンを交換し、契約を結び、他の企業内で個々の代理者として行動し、トークンと評判

を得ることができる。Arcは、相互接続された機関のメッシュネットワークが出現し、

自発的にDAOエコシステムを作成することを可能にする。 

 

● オープン性:Wordpress、Googleアドオン、Androidなどのオープンフレームワーク

は、独自のアプリ、テンプレート、統合を作成するために独立した開発者を招待し、活

気のある開発コミュニティをインスタンス化してサポートする。同様に、DAOstackは

Ethereumコミュニティの開発者を引き寄せて、独自の統治モジュールやフロントエン

ドDAppsを開発することを期待している。DAOstackのバックエンドとフロントエンド

コードは、完全にオープンソースである。オープンプロトコルとしてのArcのもう一つ

の側面は、統合されたすべてのDAppが相互に潜在的に相互運用可能である事。両方の

アプリケーションが同じオープンプロトコル(HTTP)に乗っているため、二つのWeb

アプリケーションのユーザーが相互にやり取りできるようになっている。 

Arc.JS 

 

Arcはかなり拡張されたSolidityフレームワークであり、Solidityスマートコントラクトプ

ログラミング言語とEthereumブロックチェーンとの十分の知識が必要。熱心なフロン

トエンド(JavaScript)開発者にとってサードパーティのアプリケーションの統合を簡

単にするために、Arc.jsを簡単なJavaScriptゲートとして設計している。 

 

Arc.jsはWeb3.js(EthereumのJavaScript API)の上に構築されたJavaScriptライブラリであ

り、Solidityプログラミング言語の知識がなくてもJavaScript環境内からArcフレームワークの任

意の機能をコールできる。 この追加レイヤーにより、Arcフレームワーク(およびその他のDAOStack)は、オープンソー

ス開発コミュニティや第三者にとってよりアクセスしやすくなり、DAOStackの早期採用を促

進する。 

 

 

 

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ArcHives 

ArcはDAOstackエコシステムの基本操作レイヤーであり、ArcHivesは共通のキュレー

ションされたレコードである。共有され、キュレーションされたデータベースは非常に

強力で、データの整合性とデータ品質に中心的な存在を提供します。しかし、それはエ

コシステムでのネットワーク効果のためであり、これはエコシステムの収益化(つまり

ビジネスモデル)の源泉でもある。以下では、DAOstackの基本的なArcHives:

Compendium、Mosaic、Hiveレジストリについて説明し、それらの背後にある収益モ

デルについて説明を行う。それ以外にも、各代理者やDAOは独自の独立したレジスト

リを持つことができる。特に、DAOstackは今後も多くのレジストリを持つことができ

る。 

コンペンディアム 

Arcのオープンなフレームワークにより、誰もが新しい統治エレメント(スキームや制約)を導

入することが可能になる。セキュリティ目的で、DAOは徹底的かつ専門的な監査を受けたス

キームに自らを限定する。その目的のために、DAOstack専門家コミュニティによって承認され

たすべての統治モジュールを記録するエレメントのための独自の「App Store」を導入した。 

 

コンペンディアムは、Stacksにより有用性をもたらす。実際のところ、Stackにて統治モジュー

ルを導入するためには、コストがかかる。そこで、独自のエレメントをコンペンディアムにて

開発する開発者は、その代理者からモジュールへの契約毎特定の量のStacksを収集するビジネ

スモデルを持つ事ができる。これは、統治モジュール用のアプリストアなのだ。DAOstackの創

立 

チームによって開発されたエレメントはコミュニティーの為に無料で提供される。 

 

エレメントを求めコンペンディアムを使用するユーザーのネットワーク効果発生すると、この

レジストリーの価値は上昇し、それに応じて収益性が向上する。開発者がこのレジストリーに

このエレメントを公開し、登録料を支払うことが有益でになる。登録料は、スパムなどのフィ

ルタリングも可能にする。何故ならば、DAOstackエコシステムによって承認され使用されるエ

レメントのみが有益になる体。 

 

 

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モザイク 

DAOstackは、Arcフレームワークを通じて配布されたすべての代理者とDAOのリストとメタ

データを記録する組織レジストリを導入している。このデータベースは、DAOstackエコシステ

ム内のすべての共同DAppと組織の相互運用性にとって重要である。モザイクはDAOstackコ

ミュニティによってキュレーションされ、DAOstackコミュニティは検索エンジンを通して発見

を容易にする。コンペンディアムと同様、StacksにはMosaicレジストリーで組織を登録又は宣

伝するのにコストがかかる。 

The Hive 

Hiveは、革新者、専門家およびステークホルダーが複数の組織内でお互いに出会う場

所である。誰もがリクエストやオファーを投稿するために使用できる公開掲示板であ

る。Stacksの支払いで、登録や宣伝を行える。Hiveレジストリは、DAOstackコミュニ

ティによってキュレーションされている。DAOstackコミュニティは、検索エンジンを

導入して検索を容易にできる。各コラボレーションDAppは独自の(ブロックチェーン

ではない)データベースを持つことがありるが、Hiveはすべてのコラボレーション

DAppがデータの相互運用性を維持し、ネットワーク効果を高めることができる。 

アルケミー(Alchemy) 

DAOStackは、独立した開発者やサードパーティがArc上で独自のコラボレーションアプリケー

ションを開発し、DAOStackとそのコミュニティと統合することを容易にするように設計され

ている。同時に、DAOstackのネイティブの共同DAppを開発し、DAOとのインターフェースを

容易にし、統治プロトコルを設定し、提案への投票を行い、他のプロジェクトとの共同作業な

どを行える。これは、この新しい仕事と組織の世界への最初のインターフェースとして意図さ

れている。 

 

 

 

DAOstack 32 

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5. Stack経済 

サークラートークン経済 

代理者、DAO、DApps(分散アプリケーション)はすべてサークラートークンエコノ

ミーに基づいている。一般的な考え方としては、トークンはネットワーク貢献した価値

の分貢献者に配布されている。一方、そのトークンはネットワークから生み出る価値か

ら利益を得る。より価値が生み出ると、トークンの価値が上昇し、組織はより多くの価

値の貢献にインセンティブを与えることが出来る。 

DAppモデル 

DAppモデルでは、トークンのユーティリティーとその値がネットワークアプリケーションの使

用に直接関係している。トークンは、DAppのビルダー、アーリーアダプター、および保守担当

者のネットワークに貢献する寄稿者に配布されている。反対に、DAppの使用には同じトークン

の使用が必要だ。たとえば、EtherはEthereumブロックチェーンの創設者やビルダーに配布さ

れ、現在ネットワークを維持するマイナーに配布されている。一方、Ethereumブロックチェー

ン上で自律的な計算を処理したり、そのストレージを使用するためには、ユーザーがEtherを費

やす必要がある。 

 

DAppの成功は、その使用法とトークンの要求でトークンの価値を引き上げる。

Ethereumブロックチェーンで計算を実行する人が増えるほど、消費するEtherが多くな

り、オープンマーケットではその価値が高くなる(それは、供給が限られているためで

ある)。 

DAO経済 

DAppに関するDAOの追加された特徴は、汎用的な集合的意思決定を処理して実行する能力で

ある。 DAOが取り組むことができる決定のさまざまな領域があり、したがってDAOのさまざ

まなカテゴリ(およびその可能性のあるハイブリッド)がある。 

 

 

DAOstack 33 

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分散型コラボレーション 

DAOへの貢献のに対してのインセンティブ化と報酬にDAOの統治システムを適用する場合、そ

れを分散型コラボレーションという。 

 

ブロックチェーンDAppsからすでにわかるように、トークン配布インセンティブモデルは、エ

ンゲージメントと導入を促進するうえで非常に効果的である。 Bitcoinネットワークでは、マイ

ナーの採用率は次のようになる。 

 

 

 Bitcoinネットワークの総ハッシングパワーは、マイニングにおける経済的インセンティブが組み込まれ

ているため、指数関数的に増加し、過去7年間で約650万倍になった。

 

しかし、ブロックチェーンのケースでは、マイナーはネットワークのメンテネを行うだけであ

り、ネットワークの開発者や早期採用者には直接の報酬は与えられない。より新しいプロジェ

クトトークンでは、プロジェクトの創設者に共通して配布され、創設者は他の貢献者に恩恵を

もたらす。しかし、このインセンティブ化モデルでは、DAOの統治システムなしでは体系化さ

れず、スケールアップできない。 

 

DAOStack、および上記の相対的多数決決定プロトコルにより、トークンは、ネットワークの

開発者、プロモーターおよび早期採用者を含む、価値のある寄稿者に容易に分配することがで

きる。貢献の目的と報酬には(DAO自身が選択しない限り)制限はなく、かつてないレベルで

群衆の関与と調整が可能。 

 

 

 

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分散されたコラボレーションのトークンは、そのコラボレーションの結果に結びついている。

たとえば、結果がDAppの場合、分散型コラボレーションで配布されるトークンはDAppトーク

ンである。 

分散型協同組合 

 

DAppモデルでは、ネットワークの目的はアプリケーションを作成してサポートするこ

とであり、トークンの値はそのアプリケーションの使用に結びついている。株式モデル

は、代理者またはネットワークの目的が外部収益を得ることに過ぎない。それは、大き

な機関で発展する代理者、又はDAOで、代償でトークンを受け取るか、他のプロジェ

クトに投資し、投資収益を上げることを意図した投資DAOでもかまわない。どちらの

場合でも、トークンの価値は組織の外部収益と結びついていて、この関係はさまざまな

方法で実装できる。一つの方法は、DAOトークンが代理店のウォレットに存在する資

金に対して償還され、トークンの価値が代理者の収益から得られる償還スキームを実装

することである。他の実施形態は、配当または他のメカニズムを含むことができる。こ

のモデルでは、DAOは分散型協同組合であり、そのトークンはそのシェアに似てい

る。 

分散型キュレーションネットワーク 

DAOは、コンテンツのキュレーションで成り立つこともできる。DAOは、コンテンツのキュ

レーションの周りに組織することもできる。ネットワークの価値は、DAOレジストリ上で情報

の共有軌跡を共有することで顕在化する。同じポイントを見ているアテンションのネットワー

ク効果が発生すると、そのポイントはネットワーク自体で収益を上げることができる。ネット

ワークは、レジストリに投稿されたオブジェクトを管理し、コンテンツのプロモーターは、コ

ンテンツを投稿して宣伝するためにネットワークのトークンで支払う。低品質のコンテンツを

投稿すると、審査が行われ、投稿者の評判が低下する。コンテンツのプロモーションは、ブー

スト料金と評判保証に結びついている。従って、プロモーターの内容は、ネットワークによっ

てキュレーションされ、同じネットワーク内に再び投稿することがより安くなる。 

 

このプロセスのメカニズムとその収益化は、上記の意思決定プロトコルのバリエーションであ

る。下記の例で説明されている。 

 

 

 

DAOstack 35 

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パリのビーガンレストランのキュレーションネットワークが存在するとしよう。誰でも、この

ネットワークのレジストリにレストランを投稿することができる。一般的には、レストランは

キューに入り、ネットワークの評判保持者によって評価される。それぞれの時点で、いくつか

のレストラン投稿は、相対的なキュレーションを行うためにアクティブにすることができる。

ここでは、参加下キュレーターからだけ計算されたネットワークの評判保持者のキュレーショ

ンが行われる。相対的なキュレーション過程は、例えば少なくとも2週間の時間にわたって行わ

れる。相対キュレーションが閉じられるたびに、スコアが最も高いキューからのレストランが

アクティブな相対キュレーションスタックに入り、コミュニティからより強調されたアテン

ションと絶対的な評判よりも相対的なランクを得る。得点式は何でも良い。例えば、レストラ

ンの評価に5つ星 ランクを付けると、レストランのスコアは次の様になる: でA ) ⋅B ( − 3 2  9

ここでAは星の評判加重平均であり(すなわち、各評価は評価者の評判で重み付けさ

れ、次にすべての評価にわたって加重平均をとる)、Bは追加トークンの量である。 

Stackモデル 

DAOstackは上記の3つのカテゴリを含むDAOである。貢献者にDAOstackとそのエコシステム

を参加させ、開発することを奨励する。その意味では、分散型コラボレーションである。その

意味では、分散型コラボレーションです。 DAOStack上(DAOスタックを構築し強化

するプロジェクト)に来るであろうプロジェクトへの投資のために、資金調達した資金

の一部(トークンセールを通じて収集)を使用し、エコシステムを加速化し、また、投

資収益率も期待している。その意味では、分散型共同組合である。統治エレメントや

DAOやその他のためにもこれは、分散型キュレーションネットワークでもある。ETH

がイーサリアムネットワークで集団的アテンションを買うと同じ様に、DAOStackネッ

トワークでは、Stackで買うことができる。DAO内部またはDApp内部のローカル意思

決定プロセスでは、ローカルDAOまたはDAppトークンを使用してローカル集団的アテ

ンションを呼び出すことができる。インターネットと同様に、ローカルイントラネット

のネットワークを使用するたびに、ローカルトークンで支払うとする。幅広いインター

ネットにアクセスするためにHTTP経由でコールするたびに、「HTTPトークンを支払

う」ことになる。そのため、Stackを「集団的アテンショントークン」ともいう。  

9 「最悪なレストラン」には一つ星、「悪いレストラン」には二つ星、「平均的なレストラン」 には三つ星、「おいしいレストラン」には四つ星、「優秀なレストラン」には五つ星が与えられるケース。  

 

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DAOstackコードは、完全にオープンソース、バックエンド、フロントエンドで、Githubにあ

る。 

 

 

 

 

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