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DELL SOLUTIONS2011 JULY
データの価値に応じた最適化を実現する最先端の自動階層化ストレージ「DellTM CompellentTM」
Efficient Enterpriseを通じてお客様のTrusted Advisorになるデル株式会社 代表取締役社長郡 信一郎
VOL.01
NEW DELL
EXECUTIVE VISION
仮想化技術とインテル® vProTM テクノロジーを両輪にデスクトップとワークスタイルの変革を支援するデル
EFFICIENT WORKFORCE
HOYA株式会社PowerEdgeTMとEqualLogicTMによりSAP ERPをUNIXからWindows® 環境へ移行運用コストの75%削減を実現するプライベート・クラウド基盤を構築
CASE STUDY
創刊号
第2世代インテル® CoreTM i7 vProTM プロセッサー
2 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
社長就任のご挨拶
郡 信一郎(こおり しんいちろう)1969年3月、東京に生まれ、現在42歳。1991年タフツ大学で機械工学の学士号を取得後、1991年に横河メディカルシステム株式会社(現GEヘルスケア・ジャパン株式会社)に入社。1998年にハーバード大学経営学修士号を取得後、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン社(現ブーズ・アンド・カンパニー株式会社)に入社。2000年にはサイエント株式会社に勤務。2004年4月にデル株式会社にマーケティング・ディレクターとして入社。その後、公共営業本部長、米国デル社 エグゼクティブ・ディレクター兼デル株式会社 執行役員、米国デル本社 北アジア地域公共事業本部長を歴任し、2011年2月にはデル株式会社の営業統括本部長に就任。
このたびジム・メリットの後任として 7月 1日
付でデル株式会社代表取締役に就任する運び
となりました。大任を仰せつかり身の引き締ま
る思いでございます。
つきましては微力ながら、一意専心社業発展
に精励し、誠心誠意尽くしてまいる所存でござ
いますので、なにとぞ今後とも格別のご指導ご
鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
平成二十三年七月一日 デル株式会社 代表取締役社長 郡 信一郎
3DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
2011 JULYVOL.01
DELLSOLUTIONS
©2011 Dell Inc.*本文掲載の記事、写真、図表の無断転写を禁じます。*本誌掲載の記事において、日本では発表されていないDell製品の機能、サービスについて言及、説明してる記述がある場合がありますが、ご了承ください。
●PowerEdge、PowerVault、EqualLogic、OpenManage、DELLロゴは、米国DellInc.の商標または登録商標です。●Intel、インテル、Intel ロゴ、IntelInside、Intel Inside ロゴ、Intel vPro、 Intel vPro ロゴ、Intel Core、Core Inside、Itanium、Itanium Inside、vPro Inside、Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporationの商標です。●その他の社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。
第2世代インテル® CoreTM i7 vProTM プロセッサー
PCの保護機能、運用管理機能、パフォーマンスを強化
4 EXECUTIVE VISION
Efficient Enterpriseを通じてお客様のTrusted Advisorになる デル株式会社 代表取締役社長 郡 信一郎
8 EFFICIENT DATACENTER 仮想化のメリットを最大限に享受できる運用環境を入手する
デルの仮想化統合ソリューション「VIS(Virtual Integrated System)」12 NEW DELL
データの価値に応じた最適化を実現する 最先端の自動階層化ストレージ「Dell Compellent」16 EFFICIENT CLOUD
社外で活用するノートPCの情報漏洩防止と 資産管理の効率化を支援する「Dell System Track」18 EFFICIENT WORKFORCE
仮想化技術とインテル® vProTM テクノロジーを両輪に デスクトップとワークスタイルの変革を支援するデル22 CASE STUDY
HOYA株式会社 PowerEdgeとEqualLogicにより SAP ERPをUNIXからWindows環境へ移行 運用コストの75%削減を実現するプライベート・クラウド基盤を構築
26 GICS CONSULTANT
お客様のニーズから業務課題を把握し、その解決につながるシステムを提案したい27 DELL COMMUNITY
ITプロフェッショナル向けのコミュニティ・サイト「デル テックセンター」のご紹介
[発行]デル株式会社神奈川県川崎市幸区堀川町580番地ソリッドスクエア東館20F
[発行責任者]公共・法人マーケティング本部 本部長 松原大助[編集スタッフ]公共・法人マーケティング本部 布谷恒和(編集長)、川船奈穂美、小山智子
平素より、デルの製品およびソリューションをご利用いただき、誠にありがとうございます。デルというとクライアントPCやサーバ、ストレージなどハードウェア製品のイメージが強いと思われますが、実際には、今まさにデルはソリューション・カンパニーへと大きく変革しています。 まず、デル自身がグローバルの IT環境の変革を実践し、実証されたシステムをお客様向けソリューションとして提供する。また、すべてを自社開発の技術のみでなく業界標準技術に基づいた“ベスト・オブ・ブリード”のソリューションを組み上げる。これにより、ソリューションの価値を最大化するとともに優れたコストパフォーマンスも実現しています。
東日本大震災後の厳しい経済環境、また省電力や効率的な IT環境構築がますます重要になっている今、デルのソリューションの価値、活用事例などを余すことなく一人でも多くのお客様にお伝えしたいと思っております。 このような思いで、このたび“DELL SOLUTIONS”を発刊することになりました。今後、皆様のご意見をいただきながら、価値あるメディアに育てて行きたいと思います。今後もデルのソリューション展開にご期待ください。よろしくお願いいたします。
DELL SOLUTIONS創刊にあたって
CONTENTS
DELL SOLUTIONS 発行人デル株式会社 公共・法人マーケティング本部 本部長 松原大助
4 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
ステムの維持・管理といった保守・メンテナンス費に割かれ、他社との差別化や業務の効率化といった前向きな新規投資に充当できるのはわずか2~3割なのが実情です。この状況を打破し、後者の割合をできる限り高めることがEE戦略の最大の目的となります。 そのために私たちは、ハードウェアとソフトウェアの両面から製品ラインナップを拡充するとともに、営業やコンサルタントなど人員も強化、「デスクトップ」、「データセンター」、「クラウド」の3つの側面からEE戦略を推進していくための体制を整えてき
標準化された技術か否かが運用コストを大きく左右する
̶̶デルでは昨年からEfficient Enterprise(以下、EE)戦略を推進しています。その狙いとするところを教えてもらえますか。
郡 EE戦略を端的に説明すれば、今や企業や組織の業務に欠かせなくなった ITを、最大限かつ効率的に活用するための取り組みとなります。一般的に企業・組織のITコストの7~8割は、シ
Efficient Enterpriseを戦略として掲げるデルは、現在、そのために様々な取り組みを推し進めている。顧客からの多様な要望に合致したソリューションを提案するため人材面の強化やM&Aによる製品ラインナップの拡充など、その施策は多岐にわたる。では、デルでは今後、どのような考えの下で提案活動に取り組もうとしているのか。2011年7月1日、デル株式会社 代表取締役社長に就任した郡 信一郎に話を聞いた。
Efficient Enterpriseを通じてお客様のTrusted Advisorになる
デル株式会社代表取締役社長
郡 信一郎
EXECUTIVE VISION
5DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
ました。 デスクトップでは、クライアント仮想化をはじめとして、情報システム担当者の運用負荷の軽減だけでなく、実際に業務を行っているエンドユーザが仕事の効率化を図れるようにするための様々なソリューションを展開しています。 また、データセンターでは仮想化を主軸として、効率的なデータセンター運用を可能とするソリューションを展開しています。例えば、すでに国内で高い実績を有している仮想ストレージ「EqualLogic」に加え、今回新たに米コンペレント・テクノロジーズを買収。仮想ストレージ製品のラインナップを広げることで、データ増に悩まされている企業・組織に対して、より明快な解決策を提示できるような体制を整えています。 さらに仮想サーバ/ストレージの統合管理を可能としたソフトウェア・ソリューション「Advanced Infrastructure Manager(AIM)」を提供するなど、運用コストのさらなる削減に寄与できるよう取り組んでいます。 そして、企業・組織に浸透しつつあるクラウド・コンピューティングに関しても、医療データアーカイブ用クラウドアプリケーションを開発する米インサイトワンを買収、同社の資産をいかすかたちで日本でもクラウド・サービスに本腰を入れていく等、様々な取り組みを推進しています。
̶̶EE戦略を推進するにあたって、デルの強みはどこにあるのでしょうか。
郡 私たちの最大の差別化ポイントは、あらゆる製品に標準化された技術を採用している点にあると言えます。 技術革新を背景にテクノロジーは絶えず変化し続けています。そうした中、もし、ベンダー固有の独自技術に縛られた製品を採用した場合、技術に囲い込まれることで無駄なコストを支払い続けなくてはならないことは、これまでの経験からも明らかでしょ
う。運用コストを削減するには、システムの柔軟性を確保することが不可欠です。そのためにデルではレイヤーごとにユニークな製品を提供しつつも、業界標準の技術を用いることで、その時々で最適なソリューションをお客様に提供することが可能になっているわけです。
幅広いラインナップによりワンストップでニーズに応える
郡 また、お客様に直接製品を販売したりソリューションを提供したりする私たちのビジネスモデルも、お客様からの声を直接聞き、さまざまな観点からアドバイスを行えるという点で大きな強みと言えます。 情報提供の仕方も、当社からの一方的なものだけではなく、ユーザ企業同士の情報交換の場を設けたり、事例の紹介などを通じ、様々な観点からお客様に最も望まれるかたちで情報提供できるよう工夫を凝らしてきました。 幸いなことに現在、私たちにはお客様からハードウェアからサービスまで、より多くのものを一括して提供して欲しいとの声が多く寄せられています。これもこうした取り組みの結果、デルが提供するメリットが広く知られるようになった賜物と言えるでしょう。 私たちとお客様の接点は、直接お客様と顔を会わせる外勤営業や、電話などで対応する内勤営業、オンラインなど様々です。言い換えれば、そのいずれかでお客様と常につながっていると言ってもよいでしょう。これらの様々なチャネルに寄せられる情報に絶えず耳を傾け、お客様の役に立てる領域をさらに広げていきたいと考えています。
̶̶顧客のニーズにより応えていくために、どのような施策を展開しているのでしょうか。
実証済みのアプローチ●標準化●シンプル化●自動化
効率化高い柔軟性、少ない設備投資、最小限のIT管理工数
TCOの削減より無駄の少ない優れた制御性と敏捷性を伴った生産性とイノベーションの実現
デスクトップの効率化 データセンターの効率化 クラウドの効率化
技術革新●オープン●十分かつ多彩な機能●購入しやすい
デルのE�cient Enterprise戦略
図1 私たちのミッション:革新的なソリューションにより一歩先行くITの効率化を実現すること
Efficient Enterpriseを通じてお客様のTrusted Advisorになる
6 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
す。そのために、今後は営業活動を進めるにあたり、日本でも営業部門を業界ごとにさらに細分化して組織する必要があるかもしれません。すでにグローバルではそうした体制を整えつつあり、その一環として金融系を中心に知見をグローバルで共有する仕組みの整備に着手しています。 そこでの財産と言えるのが、これまで多様な業界に対して長らく提案活動を行ってきた私たちの経験と実績です。これを生かすことができれば、必ず結果がついてくるはずです。 米国ではすでに小売店向けのPOSソリューションなどを私たちのハードウェアとの組み合わせにより提供していますが、PCやアプリケーションの作り込みを通じて、各業界向けにソリューションの横展開が可能になるはずです。海外で得られた知見を基に、拡張性のあるかたちでそれらを国内でも提供したいですね。
M&Aにより優れた製品をソリューションとして提供
̶̶一方でM&Aも積極的に展開していますね。
郡 きっかけは3年前の米イコールロジックの買収です。高い拡張性を備えた iSCSI対応ストレージを提供する同社の買収を通じ、今や私たちは iSCSIストレージ市場においてグローバルで4割以上のシェアを獲得しています。 この成功を機に、企業買収を当社が成長するための 1つの手段と位置づけ、昨年はソリューション・プロバイダ大手の米ペローシステムズを、今年に入ってはセキュリティ・ベンダーである米セキュアワークスを買収するなど、M&A戦略を推進しています。外部リソースも必要に応じて買収により迅速かつ柔軟に調達し、EE戦略を遂行するための基盤を整えることが最大の狙いです。
̶̶クラウド・コンピューティングに対する企業の関心も高まりつつあるようですが、今後デルでは、どのようなソリューションを展開していく計画でしょうか。
郡 その点への対応も急務であると考えています。そこで、今
郡 まず、すでに述べた人材面の強化が1つです。従来からの私たちの営業スタイルは、ハードウェアへの要望を仕様として伺い、そこから適した製品を提案するというものでした。しかし、これから目指すべきは、経営や業務、ビジネスに関する、より高い視点からお客様の課題解決を支援する提案活動です。 そのためにはネットワークやデータベース、ストレージなどのスペシャリストの知見が欠かせません。当社がシステム・アンド・サービス部門の人員を倍増させるほど人材採用に積極的だったのも、まずはお客様が抱える問題を解決するための、様々な知識や技術を有する人材を確保することが狙いにあります。その甲斐もあり、今ではハードウェアの提供のみならず、システム設計や導入、構築、運用、保守サポートまで一貫して提供できる体制を整えることができています。 ただし、現状ではまだ対策が十分ではない側面があることも事実です。例えば、私たちのお客様は公共分野だけを見ても医療や官公庁、文教など多岐にわたり、業務もそれぞれのお客様ごとに大きく異なります。お客様のより深い悩みに応えようとするならば、各業界や業務により精通したスペシャリストを要件に応じて配備し、あたかもオーケストラの一員のように協業させ、問題解決にあたっていく必要があることは言うまでもないでしょう。
̶̶より深い業務課題の解決が今後の目標になるというわけですね。
郡 そうです。この課題に対しては、今後も様々な部分で見直しを進める計画です。具体的に言えば、私たちの役割はお客様が事業を展開する様々な業界の特性に合致した最適なシステムを、ハードウェアやソフトウェアを組み合わせて実現することにありま
“ベスト・オブ・ブリード”に投資することでデルの総合力を強化
運用管理
プラットフォーム
サービス
図2 デルのソリューション&サービスへの投資
EXECUTIVE VISION
7DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
土面の双方を支えに、営業スタッフにはあらゆる側面からお客様の悩みの解決を支援する“Trusted Advisor”となることを当社のスタッフに今後も強く求めていきます。
̶̶現在、課題として考えていることは?
郡 まず挙げられるのが、残念ながら私たちがまだソリューション・プロバイダーとして広く認知されるまでには至っていないことでしょう。これはコストのかかるマスメディアでの周知活動をあえて行わないという当社の考えが大きく影響しています。ただ、そうした中にあっても、私たちはEqualLogicなどの画期的な製品で新市場を開拓してきました。 繰り返しになりますが、これも一重にお客様と直接対話することで、今、何が求められているのかを把握していたからこそできたわけです。そうした地道な活動を続け、お客様から評価していただける提案をし続けることができれば、課題は自ずと解決するのではないでしょうか。
̶̶代表取締役社長の立場として、また、一個人の営業マンとして、案件に対応していくにあたりどのような事を心がけていますか。
郡 他社よりデルをお選びいただくことで、どれだけ私たちがお客様に役立てるのか、このことを常に第一に考えています。そのためにも、提案の質のみならず、サポートや日ごろの情報提供など、総合的な観点からお客様の満足度を高めていくことが重要であると思っています。 ただ、その実現にはチームとして取り組んでいかなければなりません。そして、スタッフのひとり一人が「プラス思考」で案件にあたっていかなければならないと考えています。 自動車で言えば車種により排気量が異なるように、人の能力にも違いがあるでしょう。しかし、たとえ大きな排気量でも、後ろ向きに考えることに力を使っていては、その能力を最大限に発揮するのはやはり難しい。私たちも常にプラスに考え、たとえ可能性が低くても成功のための方策を考え続ける。そんなチームになり、またあり続けたいと気を引き締めているところです。
年中に開始しようと考えているのがIaaSなど、ホスティング・サービスをベースとした各種のサービスです。 具体的なものとして挙げられるのが、私たちの各種の管理ツールを組み合わせ、お客様の IT資産を一元管理するサービスです。私たちはすでにグローバルで10以上のデータセンターの準備を進めており、既に昨年からサービスを提供しています。また、それらを順次、国内にも横展開する計画です。
どれだけ“お客様のお役に立てたのか”を営業として自問すべき
̶̶今後の営業戦略として、どのような施策を展開していくのでしょうか。
郡 まずは今後も毎年、市場を上回る成長を続けることがセールス面での目標です。昨年までの人員の拡充により、その土台となる組織体制は整えることができました。 とはいえ、私たちの提案するソリューションが業務課題の解決にどうつながったのか、それを見るお客様の目がよりシビアになっている以上、社員の知識レベルをさらに底上げし、チームとして知識や知恵をさらに有効に活用できる体制を作り上げることに手を抜くことはできません。 このことを踏まえ、この数年で私たちは社員のトレーニング量を大幅に増やしてきました。 一方で、当社は組織改編を継続的に行ってきたことから、社員が組織に縛られることなくチームとして機能できる文化が醸成されています。意思決定における階層を減らすことを企業として強く意識しているのもまさにそのためなのです。知識面と組織風
どれだけ“お客様のお役に立てたのか”を常に営業として自問すべき
Efficient Enterpriseを通じてお客様のTrusted Advisorになる
8 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
れており、登録ユーザは ITアプリケーションとリソースのカスタム・カタログを選択、展開、そして管理できるため、ワークロードの展開を数分以内に行うことができます。 VIS Self-Service CreatorはITの管理性を高めると同時に ITプロセスを高速化し、時間とリソースの大幅な削減を実現します。
③VIS Director 「VIS Director」は仮想化環境におけるIT管理の中心となり、仮想化の運用管理に関わる包括的な機能を提供することで、仮想環境における問題をすばやく特定することを可能にします。このモジュールには、高度なレポート、仮説・傾向分析、キャパシティと利用レポート、コスト配分、チャージバック機能が含まれ、 IT管理者に高いレベルの視認性と、実施すべき作業を特定するための情報を提供します。情報システム担当者はVISで、既存環境の効率的な運用と、計画立案が可能になります。
このように、VISによって仮想化ソリューションはさらにその効果を発揮できるようになります。そして、企業が仮想化によるメリットを最大限享受できるように設計されたサーバがデルの「PowerEdge」シリーズです。
仮想化ソリューションのメリットを最大限に享受するためには、仮想サーバ/ストレージを導入した後の管理・運用フェーズが重要となります。デルでは、仮想インフラを効率的に管理・運用してくためのソリューション「Virtual Integrated System(VIS)」を提供しています。 VISのアーキテクチャとサービスは、新規および既存の技術を、オープンな“クラウド的モデル”へと移行する支援をします。このクラウド的モデルでは、アプリケーションの作業負荷の動的プロビジョニングができ、異種混在のサーバ、ストレージ、およびネットワークの全ての資産を共通のリソース・プールに統合します。これにより、IT管理コストの削減、ビジネス・ニーズの変化に対応できる高い柔軟性を確保することができ、物理リソースと仮想リソースに対するアプリケーション負荷の効率的な配分が可能となるのです。 VISアーキテクチャを構成する3つのコンポーネントを紹介していきましょう。
①Advanced Infrastructure Manager(AIM) AIMは、一人の情報システム管理者がサーバ、およびネットワーク・リソースをアプリケーション負荷に合わせて割り当てることを可能にし、データセンターの管理をシンプル化します。このソリューションは、異種混合のハードウェア・ソリューションと先進の仮想化ハイパーバイザをまとめ、ニーズに応じた管理を可能にする仮想リソース・プールを作成します。
②VIS Self-Service Creator 「VIS Self-Service Creator」は、アプリケーションの展開を標準化および自動化することで、新規のビジネス・アプリケーション展開に必要な時間を短縮します。このコンポーネントにはWebベースのポータルが用意さ
PowerEdgeサーバが仮想化基盤の構築に最適な理由の一つには、インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台を搭載していることが挙げられます。インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台では、インテル® バーチャライゼーション・テクノロジーにより、同一仮想化プール内の様々な世代のインテル® Xeon® プロセッサー搭載サーバを柔軟に運用できます。例えば、夜間にはワークロードを少数のサーバに集中して、電力コストを削減することができます。さらに、データセンターを新規に構築する場合、インテル® トラステッド・エグゼキューション・テクノロジーを使用した次世代の仮想化環境が、仮想マシンのブート前に、悪意あるソフトウェア攻撃に対するハードウェア・ベースの防御を提供します。
デルは全世界で「Efficient Enterprise(効率的なエンタープライズ)」を提唱しており、その一環として、テクノロジーを管理する人やプロセスと同様、物理と仮想の両インフラストラクチャを1つのプールとして効率的に管理することにより、仮想化時代におけるITの効率向上に取り組んでいます。「Virtual Integrated System(VIS)」は、データセンターやプライベート・クラウド環境における仮想化統合のソリューションであり、VISを導入することにより、柔軟性やコストを犠牲にすることなく、効率的に仮想化環境を運用できます。
仮想化のメリットを最大限に享受できる運用環境を入手するデルの仮想化統合ソリューション「VIS(Virtual Integrated System)」
仮想インフラの効率的な管理・運用を支援
デルのVISがもたらすメリットと3つのコンポーネント
デルのVirtual Integrated System(VIS)アーキテクチャを構成するコンポーネント
カタログベースの簡単なセルフサービスと自動的なワークロードの導入
エンドツーエンドのインフラストラクチャとサービスの監視および計画
VIS Self-Service Creator
VISデリバリーセンター
VIS Director
コンピューティング、ストレージ、ネットワーキングリソースの迅速な導入
Advanced Infrastructure Manager(AIM)
VISインフラストラクチャ
インテリジェントなハードウェア
Efficient DataCenter
9DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
グを迅速に行います。仮想、物理のサーバリソースを追加するところから、OSイメージを割り当て起動するまでほんの数分で行うことができます。煩わしいケーブリング作業や、ネットワークの構成変更は不要です。
③自動化された高い可用性 サーバ障害を自動的に検知し、障害が発生しているサーバのイメージのターゲットを利用可能なスペアの物理または仮想サーバに変更し、ネットワークおよびストレージ接続を自動的に確立します。
④物理環境と仮想環境の統合管理 AIMは物理・仮想を問わずにシステムを管理することができます。管理されるワークロード(OSイメージ)は、物理・仮想間のシームレスな移行 (P2V/V2P)が可能で、ワークロードの仮想化に伴うリスクも軽減します。
⑤動的なストレージ およびネットワーク接続 サーバの役割の変化に合わせて、物理的に介入することなく接続トポロジを自動的に調整します。必要に応じて性能の高いハードウェアまたは低いハードウェアに移動させます。
⑥仮想化のシンプルな導入 ハイパーバイザや仮想マシンを使用し、リ
仮想化によって、様々なメリットがもたらされる一方で、情報システム担当者は、物理/仮想の2つの環境を管理していかなければなりません。また、仮想化ベンダー各社からは独自の管理ツールが提供されていますが、異なるベンダーによる複数の仮想化ソリューションを利用している環境では、多くの場合、そうした管理ツールを統合することは不可能です。 そうしたことから、情報システム担当者は、こうした多数の管理ツールの使い方を習得して運用し、常にそれらを連携させるという極めて困難な作業を強いられます。 このような課題を解決するものが、デルの「Advanced Infrastructure Manager(AIM)」です。AIMは、異種混在のハイパーバイザ、サーバ、ストレージ、およびネットワークの管理を統合し簡素化するように設計されています。また、組織のニーズの変化に迅速かつ容易に適応できる仮想化対応データセンターへの円滑な移行を可能にします。
①効率的なデータセンター管理 AIMによって、サーバ、ネットワーク、およびストレージ間の接続においてデータセンター・リソース(物理および仮想環境)を統合して確認することができます。
②サーバの迅速なプロビジョニング AIMは仮想、物理サーバのプロビジョニン
スクを抑えて迅速にサーバをプロビジョニング。物理サーバと仮想マシン間で、変換せずにサーバ・イメージを移動します。
⑦異種環境をサポート 複数ベンダーのハードウェアと混在型の仮想化環境(VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、Red Hat KVM)をサポートします。
⑧既存のネットワーキング・インフラへの投資価値の最大化
お客様がお使いの帯域幅とインフラストラクチャを有効活用することで、ネットワーキング・インフラストラクチャと帯域幅追加のコストを削減します。
AIMを導入することによって、これらの機能群を活用できるようになり、その結果、サーバ台数やOS、ソフトウェア・ライセンスはもちろん、ラック・スペースや消費電力、保守や運用コストを削減できます。
異種混在環境で高まる管理負荷をどう解決する?
仮想/物理環境の柔軟な運用管理を実現するAdvanced Infrastructure Manager(AIM)
動的で迅速なサーバの導入
一元的なOSプロビジョニングWindows/Linux/ハイパーバイザ
高い可用性 N+1 高可用性(HA)災害対策(DR)
ワークロードの機動性、P2VとV2P、P2P
物理サーバと仮想マシン間でワークロードをシームレスに移動可能
オープンシステム マルチOS/ハイパーバイザ/ハードウェアをサポート
共有インフラストラクチャ サーバ、ネットワーク接続、およびストレージへのアクセスを動的に割り当てる
ソフトウェアとして提供 オープンなソフトウェア提供
物理リソースと仮想リソースの一元管理によって、異種ハードウェアのプロビジョニングを迅速化するとともに、非常に柔軟で動的な環境を実現します。
インフラストラクチャのプロビジョニング
リソースの階層化とプール化
容量計画と傾向分析
コストの割り当て
依存関係のマッピング
セルフサービスポータル
自動的なワークロードプロビジョニング
Dell Advanced Infrastructure Manager (AIM)
Dell AIMは、INTEROP Tokyo 2011 Best of Show Award 「ソリューション&サービス部門 ― クラウド/仮想化ソリューション」 にてグランプリを受賞しました。
デルの仮想化統合ソリューション「VIS(Virtual Integrated System)」
10 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
ダイナミック・データセンターを実現する
AIMの仕組みと導入効果
AIMの仕組み
シンプルな管理を実現するDell AIMのコンソール
こんなお客様におすすめ物理・仮想環境が並存する物理・仮想環境が並存し、さらにHAシステムを導入している環境で複数のツールが存在する複雑な環境
繁忙期にリソースが不足する繁忙期のリソースが不足しており、迅速・容易にリソースの剥がしや再配置を行いたい環境
ITリソースのサイロ化、分散化管理者がサーバ、ストレージ、ネットワークなど細分化し、データセンターの管理コストが増加している
ASPやSaaSなど迅速なサービス提供迅速なサービス展開が必要で、可用性管理も容易に行う必要があるデータセンター
AIM 導入効果ダイナミック・データセンター・ ITリソースのプール化と迅速な配置・ ワークロードの展開が3時間から10分に短縮・ フェイルオーバー時の復旧は10時間から10分に短縮
IT生産性の向上・ 1度のラック・ケーブルのセットアップ・ 仮想環境と物理環境に統一した管理画面・ 数分でのワークロードの移動(P2P, P2V, V2P)
コストの削減・ サーバ仮想化を促進し、省電力・省スペース化を実現・ サーバリソース、ネットワークの統一管理で37%の運用 コストを削減
ディスクレス・ブレードサーバ(本番系)
ディスクレス・ブレードサーバ(本番系)
ディスクレス・ブレードサーバ(本番系)
ブレードサーバAIMコントローラ
①AIMコントローラにあるOSのプレブートイメージからネットワークブート
OSプレブートイメージ
PersonaPersona
PersonaPersona
ペルソナ設定ファイル
コントローラがOSの仮想MACアドレス、仮想WWNアドレスを保持します。OSブートイメージ
SANストレージ
10Gbps IP SAN
③物理サーバ障害時は、予備のサーバから自動的にOSを再起動。スイッチのVLAN設定を含むすべての設定変更はAIMが自動的に行う。
②SANストレージにあるOSイメージからブート
物理環境も仮想環境も、シンプルに、統合的に、稼働監視、管理、確認が行えます。1度のラックケーブルのセットアップで、ダイナミックデータセンターの自由なコントロールを実現します。
AIMでは、図示した仕組みにより、OS(ペルソナ)の起動を行います。
Efficient DataCenter
11DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
ビジネス・レディ・ソリューション for AIMお客様に容易なデータセンター環境の利用を開始いただくために、デルの豊富なハードウェア・ラインナップの中から、最小規模で最適なハードウェア製品と、AIMソフトウェア、基本導入サービス、保守をオールインワンにし、お客様にターンキーで提供する新しいソリューションです。
AIM ビジネス・レディ・ソリューション パッケージ特長
構成例価格9,900,000円(税別)
容易な拡張性 ● Dell AIMと仮想ストレージの組み合せで、IT・ストレージリソースの増強を、容易で迅速に行えます。
高い信頼性● デルのブレードサーバは、冗長化を確保しながら、 物理コンポーネント数を最小限に抑えることで、信頼性を向上します。● Dell AIMにより、仮想と物理が混在した環境のN+1のHAを提供します。
容易な管理運用性● 仮想/物理環境の一括管理と、迅速なプロビジョニングを提供します。● ブレード用シャーシ管理コントローラ(CMC)やEqualLogicマネージャの最低限のハードウェア管理ツール。
TCO削減効果
● 他社より20%程度省電力を実現するブレードサーバ&エンクロージャ。● 統一的な可用性の管理およびプロビジョニングの提供により、容易な操作性を提供します。● Dell AIMと仮想ストレージの組み合せにより、無駄なITリソースを抑制します。● インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台搭載により、最小限の消費電力で最大限の性能を自動的に提供します。
カテゴリー 構成 数
ハードウェア
Dell PowerEdge M1000e 冗長化CMC ・ iKVM含む 1
Dell PowerEdge Mシリーズ(プロダクションサーバ)インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台(4コア ×2ソケット)、4GBメモリ 4
Dell PowerEdge Mシリーズ(AIMコントローラ:シングル構成)インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台(4コア ×2ソケット)、4GBメモリ 1
Dell PowerConnect シリーズ(10GbE L3スイッチ) 6
Dell EqualLogic PS6010E 冗長化コントローラ ×2 1
1U LCDモニター 1
ソフトウェア AIM ソフトウェア(4ソケットライセンス/3年サブスクリプションおよびサポート) 2
サービス BRS AIM Single Controller 基本導入サービス 1
サポート- ハードウェア:【IT・プロサポート】3年間ミッションクリティカル 4時間対応オンサイト(24時間365日)/TAM
- ソフトウェア: 平日9時~17時 デルソフトウェア・サポート
※Dell AIMは、VMware ESX, Microsoft Hyper-V, RedHat KVMのハイパーバイザに対応しております。●製品の購入には当社の販売条件が適用されます。●構成や仕様により、提供に制限がある場合があります。詳細は弊社営業にお問い合わせください。●システム構成により、提供に制限がある場合もございます。●PowerEdge、PowerVault、DELLロゴは、米国Dell Inc.の商標または登録商標です。●その他の社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。●本カタログに記載されている仕様は2010年11月24日現在のものであり、予告なく変更する場合があります。最新の使用については、弊社営業またはホームページにてご確認ください。
※パッケージ構成例と提供イメージ写真では、 ブレードサーバ台数が異なります。
「ビジネス・レディ・ソリューション for AIM」に含まれるブレード・サーバ・モジュール「PowerEdge M610」のプロセッサーには、インテル® Xeon® プロセッサーが搭載されています。 インテル® Xeon® プロセッサー 5600番台は、ワークロードに適応するスマートかつ高性能な次世代のインテリジェント・サーバ・プロセッサーです。業界をリードする電力効率を備えており、消費電力を自動的に制御。昨今、多くの企業で急務の課題となっている節電対策にも大きく貢献します。 さらに、仮想化機能についても、インテル® バーチャライゼーション・テクノロジーにより、様々な世代のサーバを同一の仮想サーバプールに統合。仮想化環境においてフェイルオーバー、負荷分散、障害回復の機能を柔軟に運用することが可能となり、システム管理者の運用負荷が大幅に抑制されるようになります。
PowerEdge Mシリーズには節電対策と柔軟な仮想環境の運用を支援するインテル® Xeon® プロセッサー 5600番台を搭載
デルの仮想化統合ソリューション「VIS(Virtual Integrated System)」
12 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
これらのメリットが、どのようなテクノロジーによって実現されるのか。詳しく見ていこう。
Compellent Fluid Dataアーキテクチャがもたらす革新性
シンプロビジョニングによりデータ保管を効率化
前述した優位性を実現する技術的な裏付けとなっているのが、コンペレント独自の「Compellent Fluid Dataアーキテクチャ」である。 従来の一般的なストレージは、リソースを固定的に割り当てたボリュームを作り、サーバと1対 1で紐づけて使用していた。だが、この仕組みは大きな課題を抱えていた。各ボリュームに割り当てられた容量は、実際に使われていなくても無駄に消費されることになり、RAIDコントローラに依存したオーバヘッドが発生するのだ。 こうした非効率性を軽減し、各ボリュームを最適な状態で運用するためには、長期的な利用の変化を見据えつつ、個々のシステムやアプリケーションの要件に合わせた詳細なレイアウト設計やチューニングを行うことが必須となる。加えて、いったん作成したボリュームは簡単に入れ替えることができず、ストレージの構成変更時にはシステム停止を余儀なくされるなど、煩雑なストレージ管理を行わなければならなかった。 対して、Compellent Fluid Dataアーキテクチャでは、データを小さなブロック単位(ページ)に分割し、ストレージ・システムを構成するすべてのディスク・ドライブに分散して保存するという仮想化の仕組みを基本とする。ボリュームありきでデータを保存するのではなく、分散したページを集めることでボリュームが作られるのだ。 ボリュームごとの I/Oはすべてのディスクに均等化され、バラ
自動階層化ストレージCompellentの狙い
現在の企業の IT環境においては、ストレージに対する要件もますます多様化してきている。肥大し続けるデータに対するストレージ容量の確保だけではなく、データそのものが持つ価値や速度といった要件にも踏み込み、より効率的なデータの保管や保護、活用を実現したいというニーズが高まっているのである。 一方では、複雑化の一途をたどっているストレージ運用管理の自動化やTCO削減といった課題の解決も急務となっている。 そうしたニーズに答えるのが、今回、買収によりデルのラインナップに加わった仮想化ストレージ・ソリューション「Compellent」である。Compellentは、自動階層化の機能によりデータ管理を最適化する仮想ストレージ・ソリューションだ。 Compellentによって、エンタープライズのシステム基盤にはどのようなメリットがもたらされるのだろうか。そこには大きく、次のような4つのポイントがある。
①容量の最適化 爆発的に増えていくデータ量に対して単に容量を増やすのではなく、効率的な保管を行うことでドライブ本数を最小化する。②作業の軽減 シンプルな管理体系を提供するとともに、優れたレポーティング機能によって管理者の作業を軽減する。③安全な保護 容易なリモートデータ保護機能を提供し、短期間でDR(ディザスタ・リカバリ)環境の構築を実現する。④管理の効率化 数100TBを超える大規模なデータをわずか数名のスタッフで管理することが可能。
世界市場で急成長を遂げてきたストレージ・ベンダーである米コンペレントの買収により、デルのストレージ製品のラインナップに新たに「Dell Compellentシリーズ」が加わった。「Compellent Fluid Dataアーキテクチャ」という最新技術を備えた真の自動階層化ストレージである。膨大なデータの爆発と、データの価値に応じた活用ならびに保護に対するソリューションを提供。お客様の要件に必要なドライブ本数を抑えてコスト削減や省電力化に貢献するとともに、データ管理を最適化するソリューションだ。
デル株式会社ストレージ・ソリューション・マーケティングエバンジェリスト
河南敏
データの価値に応じた最適化を実現する最先端の自動階層化ストレージ「Dell Compellent」
NEW DELL
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ツキは発生しないため、パフォーマンスも全体最適化されることになる。ボリュームとページのマッピングを変更することで、業務を停止することなくRAIDレベルを変更することも可能だ。 なお、各サーバに対して余裕を持ったボリューム容量を割り当てることができるが、それは便宜上の“見せかけ”のものであり、実際にその容量を使用するまで無駄にリソースを消費することはない。いわゆる「シンプロビジョニング(ボリューム容量仮想化)」をアーキテクチャレベルで実現しているのである。
空きスペースをリアルタイムで管理
さらに、Compellentが優れているのは、不使用となったブロックを即座に開放し、再利用可能とすることだ。従来のSANブロック・ストレージは、上位にあるホストOSやファイル・システムと分離されているため、ファイル・システム上で行われたデータの削除がディスク・ドライブのレイヤーに反映されるまでに大きなタイムロスが発生する。その結果、ファイル・システム上で論理的に使用している容量と、ディスク・ドライブ上で物理的にアロケーションされた容量の間の差異がどんどん拡大していき、無駄な容量を消費してしまう。 そこでCompellent Fluid Dataアーキテクチャが、ファイル・システムとディスク・ドライブの間を仲介する。ファイル・システム上でファイルが削除された時点でディスク・ドライブ上の当該ブロックを開放し、ページプールに戻して再生するのである。こうしてCompellentは、フリー・スペースをリアルタイムに管
理することで、より効率的なストレージ運用を自動的に実現するのである。
自動階層化によるストレージ運用管理の最適化
Compellent Fluid Dataアーキテクチャの特筆すべきもう一つの特長は、「自動階層化によるストレージ運用管理の最適化」である。 現在のストレージ・システムは、SSD(Solid State Drive)、FC(Fibre Channel:ファイバチャネル)、SASなど、特性の異なる複数のディスク・ドライブで構成されている。 このストレージ階層のもと、アクセス頻度の高いデータのみを高性能で高価なSSDやFCドライブに配置し、一方でアクセス頻度の低下したデータを低コストで大容量のSASドライブに移動させていくことで、ストレージ・システム全体としてのパフォーマンスを向上しつつ運用コストを削減することが可能となる。 しかしながら、従来のストレージではボリュームやサブボリューム、あるいはサブLUNといった粒度の粗い単位でしか移動を行うことができず、効率的なストレージ階層化を行うのは困難だった。また、データの移動に際しても管理者側で緻密な設定をする必要があり、最適な運用を実現するまでには大変な手間と苦労が伴っていた。 Compellent Fluid Dataアーキテクチャは、こうしたデータ移動を粒度の細かいブロック単位で行うことで、効率的なストレージ階層化を実現するのである。しかも、各ブロックのアクセ
Compellent のストレージ仮想化Dynamic Block Architecture
旧来のストレージの課題・ サーバ毎に固定されたストレージのリソース割当・ 無駄なRAIDオーバヘッドと非効率なリソース利用・ ストレージの構成変更時にシステムの停止が必要・ サーバ毎の長期的な利用方法を見据えた設計が必要
Compellentのメリット・ いずれのサーバに対してもリソースを提供可能・ データをドライブにまたがり分散して全体効率化・ システムを停止せずRAIDレベルの変更が可能・ 初期投資を抑え、サーバ毎のストレージ使用率を見ながら、 柔軟に構成変更がいつでも可能
旧来のストレージ・システム Compellent Fluid Data アーキテクチャ
図1 ストレージ運用でCompellentがもたらす優位性
データの価値に応じた最適化を実現する最先端の自動階層化ストレージ「Dell Compellent」
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より、ストレージ階層の最適なディスクの最適な位置にデータを配置する効率的な自動運用を実現。CAPEX(設備投資)の削減、OPEX(事業運用コスト)の削減、パフォーマンスの改善といった課題を解決するのである。 結果的にこれは無駄なディスク・ドライブの増設を抑え、昨今の切実な問題となっている ITシステムの省電力化にも大きく貢献することになる。
容易でシンプルなデータ保護ソリューションを提供
スナップショットによる定期バックアップ「Data Instant Replay」
Compellentは、優れたデータ保護のソリューションも提供する。その一つが、スナップショットによる定期バックアップを行う「Data Instant Replay」と呼ばれる機能である。 従来のストレージ上でスナップショットを活用するためには、バックアップデータ保存用のディスク容量を事前にサイジングして確保しなければならなかった。また、スナップショットを取得できる数(世代)は、必然的にその容量によって制限を受けることになるため、狙いどおりのバックアップを行えないケースがある。 これに対してCompellentのData Instant Replayは、
ス状況を定期的に監視することで、ストレージ階層間のデータ移動を自動化する。ストレージ階層はCompellent Fluid Dataアーキテクチャによって隠蔽されているため、従来のような複雑なストレージ階層管理や性能チューニングは一切不要となるのである。
データ移動によるパフォーマンスの最適化
さらに、Compellent Fluid Dataアーキテクチャにおけるデータ移動は、各ディスク・ドライブのレベルでも最適化される。SSDを除いた磁気ディスクを用いたドライブでは、その物理的な構造からシークタイムや回転遅延時間が発生するため、最大性能を活かせるのはディスクの外縁の20%程度しかないと言われている。このため従来のストレージ・システムでは、データを書き込んでいくにつれてアクティブなブロックがディスク上に分散していき、それとともにパフォーマンスが劣化していくことが避けられなかった。 これに対してCompellent Fluid Dataアーキテクチャは、アクティブなブロックを動的かつ自動的にディスクの外縁に配置することでシークタイムと回転遅延時間を短縮し、パフォーマンスを最適化するのである。 Compellent Fluid Dataアーキテクチャの“Fluid”とは、流動性を意味する。データが“水のごとく”流れていくこの仕組みに
旧来のストレージの課題・ 割当済みのスペースは使われていなくても 無駄に消費・ スナップショット領域を事前割当する必要性・ スペース、電力の過大な消費
Compellent のメリット・ 実際の書き込み時に物理ディスクを使用して ディスクを効率的に利用・ Replay (スナップショット)領域は事前割当不要・ 空きブロックを自動的に開放・ 省スペース、省エネ
Compellent のデータ保管の効率化
25%
75%
25%
75%
Dynamic Capacity
旧来のストレージ
15K FC
割り当てられているが無駄になっている
割当/使用済
Compellentストレージ
シンプロビジョニング
15K FC
未使用
使用済20%
5%
75%
Compellentストレージ
シンプロビジョニング&
階層化
7K SAS
未使用
Inactiveデータ
15K FCActiveデータ
図2 Compellentによるデータ保管の効率化
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ン管理や障害検出、VMwareとの統合、Windows Free Space Recoveryなどをサポートする基本機能(ファンデーション)に加え、容量やパフォーマンス管理のベースとなるレポーター、ストレージバースのチャージバック(容量の消費量に応じた自動コスト計算)などの機能を提供しており、複数台数にまたがるストレージ管理を集中化するとともに、管理者の作業を合理化して軽減する。 こうしたCompellentの統合管理機能や自動階層化機能を活用することにより、従来のSANストレージ・システムに比べて2年間で200万ドル以上のコスト削減を実現したのは、米国のノーステキサス大学だ。 また、世界の油田事業者に向けて天候監視サービスを提供している米国タイドウォーター社は、仮想化サーバ環境ならびにリモートリプリケーション機能を、Compellentをベースとしたストレージ・システムに移行することで、迅速な災害復旧のための体制を整えた。 同様に医療や金融 /保険、教育、小売り/マーケティング、製造、サービスプロバイダ、行政機関、法務など、あらゆる業界・業種においてCompellentの導入が進んでいる。 デルは、ストレージ製品の新しいラインナップとして加わったこのCompellentを、日本市場に向けて積極的に展開していく考えだ。
バックアップデータ保存用のディスク容量を事前に確保する必要はなく、スナップショットの数にも制約はない。Compellentのシンプロビジョニング機能を使って、ディスク容量を無駄に消費することなく、効率的かつ必要に応じて自由にスナップショットを取得することができるのだ。 こうしたCompellentの優位性は、リモートレプリケーションにより災害対策をサポートする「Remote Instant Reply」の機能にも活かされている。一般に遠隔地のサイト間でストレージのリプリケーションを行おうとすると、データ量があまりにも多くなり、膨大な時間を要してしまうのが実情だった。 これに対してCompellentの場合は、先述したようにデータを細かいブロック単位で分散保存しているため、そのうちの変更されたブロック(差分)のみを転送すればよい。 しかも、CompellentのRemote Instant Reply機能は稼働中の業務を停止することなくDRテストを実施できるとともに、いざという場合には1クリックで任意のボリュームをリストアできるという操作の簡便性を備えているのである。
統合ストレージ管理システム「Enterprise Manager」も装備
さらにCompellentは、統合ストレージ管理システムとして「Enterprise Manager」を標準装備している。レプリケーショ
旧来のストレージの課題・ シークタイムや回転遅延時間が発生するため パフォーマンスが低下・ ブロックは全て外側から書き込まれていき、 アクティブなブロックが分散され、性能が劣化する
Compellent のメリット・ ほとんどのアクティブなブロックを動的かつ自動的に 外縁に配置してパフォーマンスを最適化・ シークタイムと遅延時間と低減することができる
Compellent のデータ移動による最適化Fast Track
旧来のストレージ Compellent ストレージ
回転レイテンシ
シークタイム
ディスクドライブは、ストレージシステムで最も低速な物理デバイス
図3 ストレージ・パフォーマンスを最適化するCompellentのテクノロジー
データの価値に応じた最適化を実現する最先端の自動階層化ストレージ「Dell Compellent」
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にあったノートPCの所在を特定し、そのノートPC上にある企業データを保護するもの。さらに、各地域の警察と協力し、盗難にあったノートPCの回収に努めるというサービスを提供し、セキュリティリスクの低減をサポートする。
紛失・盗難にあったノートPCをリアルタイムで追跡してデータを保護
具体的にDell System Trackでは、下記のような機能を組み合わせることで、紛失・盗難にあったノートPCの追跡、そしてデータ保護を行う(図1)。・System Identification/Connectivity データ保護対策を実行するために紛失・盗難にあったノートPCに接続し、レポートの生成に利用するハードウェアとソフトウェアの基本情報を収集する。・Geotechnology GPSベースのトラッキングとWi-Fi三角測量により、カスタマーポータルの地図上でノートPCの所在を可視化し、リアルタイムで追跡する。・Data Security 追跡対象の端末がインターネットもしくは無線ブロードバンドに接続された時点で、端末から機密データを削除する。また、重要ファイルの緊急抽出を実施することも可能。
パブリック・クラウドによるオンデマンドなIT管理サービスを提供
デルは、クラウド・コンピューティングに様々な形で取り組んできた。例えば、パブリック・クラウドのサービスプロバイダに対してはクラウド特化型インフラを、プライベート・クラウドを導入するユーザ企業に対しては仮想化ソリューションを提供している。 そして現在、あらゆる規模の企業に対してオンデマンドで IT管理サービスを提供するパブリック・クラウドのビジネスにデル自身が踏み出した。従来のオンサイト・ソリューションでのオペレーションの煩雑さを解消し、シンプルで効果的な IT管理の実現を目的とする「デル ITマネジメントSaaS」である。クライアント統合管理やエンタープライズ統合管理をはじめ、インパクトの大きい IT課題に対応するサービス・メニューを用意しており、すでにワールドワイドでは1万5,000社以上の企業、数百万人のユーザがデルITマネジメントSaaSのサービスを利用している。 同サービスの多岐にわたるメニューの中で、今回フォーカスするのが「Dell System Track」だ。現在、ある調査会社の報告によれば、米国の空港における年間のノートPCの紛失・盗難数は62万4,000台に達しており、そのうち回収された割合はわずか3%にすぎないという。こうした頻発するノートPCの紛失・盗難が、情報漏洩など企業にとっての重大なリスクをもたらしていることは言うまでもない。Dell System Trackは、紛失・盗難
ノートPCの紛失・盗難は、情報漏洩をはじめ企業における重大なセキュリティリスクとなっている。この課題に対応するため、デルは紛失・盗難にあったノートPCの所在を特定し、企業データを保護するパブリック・クラウドのサービス「Dell System Track」(※2011年8月よりサービス名称等変更)を提供している。同サービスは資産管理ソリューションとしても活用可能であり、企業におけるモバイル環境の拡大をシンプルな形でサポートするものだ。
デル株式会社公共・法人マーケティング本部サービス & ソリューションマーケティングシニア マネージャー
土肥明彦
社外で活用するノートPCの情報漏洩防止と資産管理の効率化を支援する「Dell System Track」
図1 Dell System Trackの機能とメリットSystem Trackの機能 メリット
捜索対象システムのリアルタイム追跡(Geotechnology機能の選択が必要)
・別の場所に持ち運ばれ紛失した端末の位置を特定・予め設定したエリアから離れた際にアラート・リースまたはレンタルされた端末も確実に回収
SystemTrackエージェントにより、あらゆるシステムから遠隔操作で一元的にデータを削除
・重要データを不正アクセスから保護・重要データを削除した状態でリースまたは配置換えされた端末を回収
リモート緊急ファイル抽出 ・端末を紛失しても、重要なデータは確実に保護
SystemTrackエージェントをBIOSに搭載※BIOSが対応していることが条件
・BIOSはセキュリティが保たれており、フォーマットやハードドライブ更新を行っても設定を保持
毎日一度は監視センターへ接続 ・資産情報の変更の監視が容易に可能・違反事項に関わる問題を迅速に識別
盗難時リカバリ対応チーム ・貴重なハードウェアの回収確率に大きく貢献
Efficient Cloud
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・Device Security 遠隔操作によりシステムをOSレベルで強制終了する。・Theft Recovery 各地域の警察と協力することで、盗難の被害に遭ったノートPCを回収。(追加料金対象。また、地域事情により対応不可の場合もあり)
これらの機能を実行するソフトウェア・モジュール(System Trackエージェント)は、ノートPCのBIOSとOS上にあらかじめインストールされた状態で納品されるため、簡単にセットアップし、運用を開始することが可能だ。いったん起動した後は、System TrackエージェントがデルのSystem Track監視センターと毎日コンタクトを行い、IT管理者は各ノートPCの管理・保護を行うための一連の操作をリモートで実施できるようになる。その際に IT管理者が社内ネットワークにアクセスする必要はない。 また、盗難にあったノートPCが犯人によってOSの再インストールやSystem Trackエージェントの削除が行われた場合でも問題はない。先に述べたようにSystem TrackはBIOS上にもインストールされているため、自動的にOS上にふたたび展開し、ノートPCの保護を継続するのである。
煩雑だった資産管理の作業をリモートから実行することで効率化
現在、多くの企業では、災害や計画停電時の対応を念頭に置いた在宅勤務体制の導入を進めている。一方、昨今のビジネス環境の変化の中で、従来のようなオフィスに依存しない、より柔軟かつ機動的な業務体制を確立することも求められている。組
織運営のコスト削減、社員一人ひとりの生産性向上、ワーク・ライフ・バランスの最適化といったトータルな視点から、多様なモバイル環境の整備が求められている。 こうした時代の流れの中で、モバイル環境に不慣れなエンドユーザが社外でノートPCを使い始めるケースは、今後ますます増えていくと予想される。その意味でもDell System Trackは非常に重要な役割を担うことになる。 さらにDell System Trackで特筆すべきは、ノートPCが紛失・盗難にあった際のセキュリティリスクの低減のみならず、これまで高まる一方だったIT/総務部門における資産管理作業の負荷軽減にも大きく貢献するという点である。各エンドユーザに配布したノートPCから日々自動的に送信されてくるハードウェア構成情報、ソフトウェア構成情報、位置情報などをもとに、厳重な資産管理をリモートから一括して行うことが可能となるのである。 例えば、ノートPCのHDD容量に空きがなくなった場合、システムに何らかの変更が行われた場合、許可されていないソフトウェアがインストールされた場合、ウイルスの定義ファイルを一定期間更新していない場合、指定された場所を離れてノートPCが持ち出された場合など、いずれかのノートPCがポリシーに違反した際にアラートを発して即座に対処することができる。 もちろん、管理したい資産情報を個別に設定することも可能だ。例えば、リース/レンタル期限を設定しておけば、返却期限が近づいたノートPCを一覧表示するといったことも簡単に行える。さらにデルでは、電源OFF状態のノートPCに対してもリモートからロックをかけられる新機能の提供や、Android OSへの対応といったDell System Trackのエンハンスも計画している。日本企業の課題にマッチした、より有益なパブリック・クラウドのソリューションとしてサービスの拡充を図っていく考えだ。
モニタリングセンター
エンドユーザ 管理者
モニタリングセンター
端末情報
構成情報を毎日自動送信エンドユーザのPCから毎日構成情報を自動送信
リース期限管理・リース期間を管理し、リース切れを防止
レポート機能・ハードウェア構成情報・ソフトウェア構成情報・周辺機器情報・ハードディスク容量情報・変更情報
・OSの更新情報・無許可のソフトウェア情報・ウィルス駆除情報・モデムの追加情報など
図2 Dell System Trackによる資産管理
トップレベルの第2世代インテル® CoreTM i7 vProTM プロセッサーをはじめとするインテル® CoreTM プロセッサー・ファミリー搭載のデルのノートPCでは、紛失や盗難といった情報漏洩のリスクを最小化するための、インテル® アンチセフト・テクノロジーを利用することが可能だ。このハードウェアによるスマートなセキュリティ機能は、盗難の可能性を検知し、自動的にノートブックPCを無効化することができ、重要なデータを確実に保護する。ノートブックPCが正式なユーザの手元に戻ったら、シンプルで迅速な低コストの方法によって、PCやデータに損害を与えることなく、フル機能状態に復帰させることを可能としている。
インテル® アンチセフト・テクノロジー*1でさらにセキュリティを強化
*1:すべての条件下で絶対的なセキュリティーを提供できるシステムはありません。インテル® アンチセフト・テクノロジーを利用するには、同テクノロジーに対応したチップセット、BIOS、ファームウェア、ソフトウェアを搭載したシステムと、同テクノロジーに対応したサービス・プロバイダーのサービスへの加入が必要です。対応状況と機能については、各システムメーカーとサービス・プロバイダーにお問い合わせください。データやシステムの紛失や盗難など、サービス利用の結果生じたいかなる損害に対してもインテルは責任を負いません。詳細については、http://www.intel.com/go/anti-theft/(英語)を参照してください。
社外で活用するノートPCの情報漏洩防止と資産管理の効率化を支援する「Dell System Track」
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が求められているのです」と、説明する。 こうしたニーズに応えるソリューションがEfficient Workforceであり、多様なクライアントの利用環境を整える「クライアント仮想化」と、従来からのPCの運用効率をインテル® vProTM テクノロジー等によって飛躍的に高める「ファット・クライアント環境の強化」の 2つのハイブリッドなアプローチにより、柔軟なコンピューティング環境が実現される。
業務やニーズに応じて適切な仮想クライアント環境を提供
まず、クライアントの仮想化について見ていこう。これは、あらゆる場所から、多様な端末で、社内のリソースに柔軟かつセキュアにアクセスするための仕組みを仮想化技術の活用によって実現するというものだ。 もっとも、全社員に占めるモバイル・ワーカーの割合や組織規模、セキュリティ・レベルは企業ごとにそれぞれ異なり、クライアントの仮想化にあたってはそれらを考慮に入れたシステム設計が必須となる。 このことを踏まえたデルの施策が、①各種アセスメントを通じたシステム要件の見極めと適切なサイジング、②デスクトップ/ノートPC、シンクライアント端末など、ユーザニーズに応じて選択可能な多彩な製品ラインナップ、③ヴイエムウェアの「VMware ESX」やマイクロソフトの「Hyper-V」、「Hype-V」とシトリックス・システムズの「XenDesktop」との組み合わせなど、業務や要望に応じた各種仮想ソリューションの提案──、の実施である。 「シンクライアント専用端末は確かにセキュリティ対策として有効な反面で、その利用を前提とした場合には端末に縛られる可能性があります。また、仮想環境下でのモバイル端末の利用を
“技術”と“業務”の双方の変化にワークスタイルの見直しで対応
既存システムから無駄や非効率性を排することで、より多くのIT投資を「維持管理」から「変革」へと振り向け、ビジネスの成長を支援するデルの「Efficient Enterprise」戦略。その1つに位置付けられるのが、「Efficient Workforce」である。これは、クライアント・コンピューティング環境、ひいてはユーザのワークスタイルを抜本的に見直すことで、従業員の業務効率をさらに向上し、厳しいビジネス競争を勝ち抜くための基盤を構築するものだ。 ワークスタイルの見直しが必要とされる背景には、業務と IT技術の双方の大きな変化がある。企業のクライアント環境を見ると、従来からのデスクトップPCだけでなく、ノートPCの導入が拡大する一方、スレートやスマートフォンなどの新たなモバイル・デバイスの業務活用が急速に広がっている。 また、ネットワーク環境の発展に伴い、自分のデスク以外で仕事をする広義のモバイル・ワーカーが急増しており、ある調査会社の報告によればその割合も2013年までに全従業員の3分の1に達するとも見込まれている。 そして、様々な仮想化技術の進歩に伴い、セキュリティ強化や運用管理の効率性を目指し、仮想デスクトップの利用に乗りだす企業も着実に増えている。 デルのラージ・エンタープライズ ジャパン・マーケティング本部でクライアントソリューション・ブランドマネジャーを務める堀内朗は、「エンドユーザからは何時でも、どこからであっても自席に居るのと同じように業務を遂行できる環境が求められる一方で、クライアント・デバイスの多様化や急増などによりIT部門の管理負荷は高まるばかりです。社員の多様なニーズにフレキシブルに対応しつつ、運用管理負荷を抑制可能なクライアント環境
デルは「Efficient Enterprise」戦略の一環として企業のエンドユーザIT環境の効率化、ひいてはユーザのワークスタイル変革を支援する「Efficient Workforce」を積極的に推進している。そこで柱となる取り組みが、クライアント仮想化の推進と、第2世代インテル® CoreTM i7 vProTM プロセッサーのインテル® vProTM テクノロジーの活用をはじめとした、従来からのファット・クライアント環境の管理性向上である。「Efficient Workforce」の狙いと具体的なソリューションについて、デルのラージ・エンタープライズ ジャパン・マーケティング本部でクライアントソリューション・ブランドマネジャーを務める堀内朗に聞いた。
仮想化技術とインテル® vProTM テクノロジーを両輪にデスクトップとワークスタイルの変革を支援するデル
Efficient Workforce
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想定した場合、仮想アプリケーションごとに管理ツールの使い勝手はそれぞれ異なります。それらを総合的に勘案して、企業のニーズに最も合致したシステムを提案することが私たちのミッションです」(堀内)
クライアント仮想化に際して提供されるソリューションは、
①外部ネットワークにあるストレージからクライアントを起動する「オンデマンド・デスクトップ・ストリーミング」②データセンター側にある仮想化されたデスクトップOSに接続し利用する「仮想デスクトップ・インフラストラクチャ」③データセンター側でデスクトップ・イメージを実行し、クライアントに画面を転送する「仮想リモート・デスクトップ」
④データセンター内のワークステーションでアプリケーションを実行し、圧縮転送した画面をクライアント側で展開する「リモート・ワークステーション」
等が主となる(図1)。
オンデマンド・デスクトップ・ストリーミングでは、クライアントに一般的なPCやワークステーションを利用するものの内蔵HDDは用いず、OSやアプリケーションをサーバから配信する。仮想デスクトップ・インフラストラクチャでは、一般的なクライア
ントほか、シンクライアントも利用可能だ。仮想リモート・デスクトップとリモート・ワークステーションでは、クライアントにシンクライアント端末のOptiPlex FX160を用いる。ただし、仮想リモート・デスクトップでは通常のPCを代替として選択することもできる。
インテル® vProTM テクノロジーにより電源管理を含めたPCマネジメントを高度化計画停電の対応を支援
一方で、多くの企業では仮想化への対応を進める一方で増えゆく従来型のファット端末をいかに効率よく管理していくのか、ということが課題として浮上している。こうした課題を解決するための策の1つと言えるのが、インテル® vProTM テクノロジーの積極的な活用である(図2)。 インテル® vProTM テクノロジーは、①紛失や盗難時にPCを無効化できる「インテル® AT」、②悪意のあるソフトウェアから重要なデータを保護する「インテル® TXT」、③1台のコンピュータで複数のOSを並行に動作させる「インテル® VT」、④資産管理やトラブル時のPCのリモート管理を実現する「インテル® AMT」──の4つの技術により構成される。これらの機能を利用することで、クライアントのセキュリティを確保するとともに、デスクサイド・サポートの工数削減などによる運用管理負荷の抑制が可能
オンデマンド・デスクトップ・ストリーミング
外部ネットワークにあるストレージからクライアントを起動
処理:・ クライアント側仮想 ディスク・ クライアント側CPU・ クライアント側GPU
OptiPlex/Latitude/Dell Precision全機種で対応(PXEブート可能な機種)
内蔵HDDを利用せずOS、アプリケーションをサーバからブートイメージ配信イメージ管理はサーバで実現
仮想デスクトップ・インフラストラクチャ
データセンター側にある仮想デスクトップOSに接続
処理:データセンター側にある仮想化されたデスクトップOS環境
OptiPlex/Latitude/Dell Precision全機種で対応
データセンター側でのデスクトップの集中管理を実現
仮想リモート・デスクトップ
データセンター側でデスクトップ・イメージを実行。プレゼンテーションはクライアントにストリーミング
処理:データセンター側にあるデスクトップ環境
OptiPlex FX160(仮想リモートデスクトップ専用)クライアントを推奨ただし、通常のPCでも問題なし
基本端末は単なるデータレシーバー+I/Oの管理イメージ管理はサーバで実現
リモート・ワークステーション
データセンター側にあるワークステーションで、アプリケーションを実行。PC-over-IPを利用して画面を圧縮転送し、端末で展開
処理:データセンター側ワークステーション端末側には圧縮データをハードウェアで展開可能なCPUが稼働
Dell Precision R5500ラック型ワークステーション+Dell FX100リモートアクセスデバイス
R5500でデータ作成。内蔵の圧縮カードでPC-over-IP化し、LANで転送
図1 デルのクライアント仮想化ソリューション
仮想化技術とインテル® vProTM テクノロジーを両輪にデスクトップとワークスタイルの変革を支援するデル
20 DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
用意されており、その採用を通じて電源管理やセキュリティ管理、リモートコントロールといった機能の活用が可能となる。 また、企業ではPCが最低でも数年間は利用され続けるが、すべての企業向け製品の設計段階で、長期的な運用計画に基づくPCLCM(PCライフサイクルマネジメント)への対応が考慮されており、新技術への円滑な移行も実現される。 では、デルのクライアントPCには仕様面でどのような工夫が凝らされているのだろうか。中・大規模企業向け製品である「Latitude E-Family」を例に見ていこう(図3)。 2011年3月から販売を開始したLatitude E-Familyは、第2世代インテル® CoreTM i7 vProTM プロセッサー搭載によるインテル® vProTM テクノロジー対応モデルの「E6000番台」と非対応モデルの「E5000番台」、タブレットや屋外などの現場などで必要とされる堅牢モデルなどのスペシャリティモデルの3ラインナップが提供されている。 このうち、インテル® vProTM テクノロジーのメリットを享受できるモデルがE6000番台だ。 「vProの機能において現在ではデスクトップとノートPCの間に差異はありません。よりノートブックを使って高度な管理を実現できるようになりました。例えば、リモートKVMの機能をフルに活用することにより、OSが壊れたとしても画面を転送することで、デスクサイドサポートをせずにリモートで管理コンソールから対処することも可能になります」とそのメリットを解説する。 従来、多くの企業はPCをタイプ別に管理してきたが、ニーズや端末の多様化によって管理すべきイメージ数は増え続けている。こうした業務の抜本的な効率化がインテル® vProTM テクノ
となる。 また、インテル® vProTM テクノロジーは企業の節電対策にも有効となる。④の活用を通じて、ネットワークを介して監視コンソールからPCの電源を一括、あるいは個別に落としたり、逆に立ち上げたりすることが容易に行えるようになり、必要なときにだけクライアントの電源を立ち上げることが可能になるのである。 「PCの電源管理に悩む企業は、従来から大企業を中心に数多く存在していました。加えて、東日本大震災によって、消費電力の抑制は企業にとり社会的な責務となっています。これらのことを踏まえ、当社では他社に先駆け、インテル® vProTM テクノロジーの電源管理機能に着目し、そのメリットの周知活動に力を入れてきました。ユーザの反応から、電源管理におけるインテル® vProTM テクノロジーの有効性に確かな手ごたえを感じています」(堀内)
設計段階で新技術への移行を視野に超軽量ラインナップも強化
デルが提供する企業向けクライアント製品群は、シンクライアント端末やOSにAndroidを採用したタブレットに加え、エントリーレベル・ノート/デスクトップPCの「Vostro」から、中・大規模環境向けノート P C「L a t i t u d e」とデスクトップ P C「OptiPlex」、ワークステーションの「Dell Precision」まで幅広いラインナップを揃える。 このうち、LatitudeとOptiPlex、Dell Precisionのラインナップにはインテル® vProTM テクノロジー対応モデルが数多く
①インテル® AT・・・・・・・・・・・・・・紛失や盗難時にPCを無効化②インテル® TXT・・・・・・・・・・・悪意のあるソフトウェアから重要なデータを保護③インテル® VT・・・・・・・・・・・・・・1台のコンピュータで複数のOSを並行に動作④インテル® AMT・・・・・・・・・・資産管理やトラブル時のPCのリモート管理を実現
インテル® vProTM テクノロジー
盗難対策 ハードウェアベースのセキュリティ
VT-dVT-x
インテル® ATアンチセフト・テクノロジー
インテル® TXTトラステッド・
エグゼキューション・テクノロジー
インテル® VTバーチャライゼーション・
テクノロジー
インテル® AMTアクティブ・マネジメント・テクノロジー
リモートブートリモート構成システム防御監査ログなど
図2 インテル® vProTM テクノロジーの構成
Efficient Workforce
21DELL SOLUTIONS 01_JULY 2011
クターで接続するスライスバッテリーを併せて利用することで、給電なしに20時間以上もPCを稼働させることもできる。その利用を通じて、電源を落とすことが許されないPCを計画停電から保護することが可能だ。さらに、14.0/15.6インチのディスプレイではマルチタッチ・スクリーンをオプションで用意するとともに、画面を完全にフラットな状態にまで開けるようにすることであらゆるシーンで高い視認性を確保した。 「今回の震災の被災地で復旧にあたっているユーザからは、暗い場所での作業を支援するバックライトキーボードに対して高い評価を頂きました。これらの機能ももちろんすべての機種にオプションで搭載することができます」(堀内) 環境対策にも十分な配慮が払われており、全製品がRoHS指令に準拠し、梱包材も9割以上がリサイクル素材だ。 今後、デルではLatitudeのこれらのメリットとともに、インテル® vProTM テクノロジーのメリットも訴求していく構えだ。そのために、すでに企業で利用されている運用管理ソフトウェアと連携したかたちでのデモンストレーションを実施していく。すでにインテル本社のショールームにはデモ環境も用意されている。 「5月には�