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1l H瞑 ■□ '12版 2020年 (令 2年 )4月 6日 (月 曜日 ) _ 崇府 (第 3種 郵便物認可 ) 調 調 50 10 調 12 使 姿 調 使 宿 調 姿 姿 使 西 調 調 「行 き 当 た りば った りな とこ ろもあるが、 米 トランプ政権は交渉による解決に非常 に 前 向 き 。 戦 争 を どん ど ん す る よ りは 、 ずつといい面もある Jと 話す東氏 < 東大作 i上 智大教授の新著 新型 ロナ : 医学史家 酒井シヅ氏

dept.sophia.ac.jp · 2020-04-20 · Created Date: 4/6/2020 11:31:24 AM

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Page 1: dept.sophia.ac.jp · 2020-04-20 · Created Date: 4/6/2020 11:31:24 AM

1l H瞑■□'12版

2020年 (令和2年)4月 6日 (月 曜日) 毘習 _ 互 崇 府 閤 (第 3種 郵 便 物 認 可 )

新著では、イラク、南スー

ダン、アフガ

ニスタンなどの

ケースを踏まえ、仲介者によ

「和平調停」活動を中心に

紛争の解決法を考察した。

まず示されるのは、現代は

悲惨な

「内戦」の時代である

ということ。スウ

ェーデンの

大学の調査によれば、国家間

の戦争は近年、ほとんどなく

っているが、内戦は毎年50

件を超えている。そして毎年

10万人前後が死亡し、計70

00万人以上が家を追われて

いる。

「こうした状況が続くのは、

第2次世界大戦後

では初め

て。難民は他国に流入し、受

け入れ国での排斥運動も引き

起こす「す

べての国にと

って

ひとむとではない」

当初は政府と反政府勢力の

純粋な内戦だ

ったものが、周

辺国やグローバル大国の介入

によ

って国際化している事例

が多いことも示される。

こうした内戦をどう解決し

ていけばいいのか。東氏は、

紛争が続

いている段階

での

「和平交渉」と、停戦後の

「平

和構築」とで、考え方

を変えて対処する必要

があると強調する。つ

まり、戦闘を止める段

階では現実的になり、

有力な当事者の間だけ

で交渉し、合意をまと

める。そして停戦後の

平和構築の段階にな

たら、包摂性を持

って

全当事者で合意をまと

めることが重要だとい

うのだ。

また、国際化した内

戦の和平交渉は、関係

する周辺国や昇ローバ

ル大国が本気にな

って

動かないと、うまくい

昨年12月、米ニューヨーク

の国連本部で開かれた安全

保障理事会の緊急会合

かないとも指摘する。国連は

この時には力をあまり発揮で

きないという。,逆に

「紛争

の介入をやめない周辺国など

が、国連を利用する

『国連の

濫購』ともいうヽき事態が起

きている」。そうした国は国

連の仲介努力

への支援などを

表明し、平和に向けた努力を

アピールすることが多いとい

うが、

「責任回避のために国

連を使うべきではなく、周辺

。大国としての責任を認識

すべきだ」と訴える。

他方

で平和構築

の段階

は、国連は大きな役割を果た

しうる。影響力の大きい特定

の国と違い、国連のような中

立的な存在はスムーズに受け

入れられるからだという。

こうした世界の中で、日本

は対話を促進するファシリテ

ータ■を目指すべきだと力を

込める。これまでの国際支援

で、自国の利害を押しつけず

中立的な姿勢を示してきたこ

となどから、中東やアフリカ

では、独特の信頼感を持たれ

ていると指摘。紛争状態にあ

る双方の当事者に会

って話が

できる数少ない国の

一つだと

いう。東氏は

「軍事的な力は

ないので調停者にまではなれ

ないが、ファシリテーターの

役割は十分に果たせると実感

している。外交の柱の

一つに

するべきだ」と提唱する。

日本経済が伸び悩む現在、

他国の援助に大金を使うべき

ではないという批判もありう

るがい東氏は真

っ向から反論ゃ

例えば、石油の大半を輸入し

ている中東地域の安定は、日

本の安全保障に直結する。さ

らに内戦が少しでも減れば、

温暖化や環境問題、そして感

染症など地球規模の課題に対

応する世界全体の力も上が

ていき、

「回り回

って日本の

メリ

ットになる」。加えて、

一フアシリテーターの役割を果

たすために必要な費用は、関

係者の旅費や宿泊費などでヘ

インフラ支援と比べれば格段

に少ないのだという。

東氏は、

「病気を根絶でき

なくても医者が死者を減らす

努力を続けるのと

同じよう

に、日本人は世界平和のため

に努力し続けることが重要

だ」と強調する。関与してい

る姿を他国に認識してもらう

こと自体がメリ

ットなのだと

いう。

「新型コロナの感染拡

大もあり、今の日本は激しく

内向きにな

ってきていると感

じる。仕方がない部分がある

が、日本が世界の中で生きて

いく上では、その姿勢を克服

することも必要だ。外にも目

を向けてほしい」

齋藤

緒方洪庵の適塾で学び、

長崎で蘭医ポンペに師事L

た長与専斎

(1838~1

902年)は、1871年、

明治政府の岩倉使節団に輩

願して渡米し、翌年には十

西洋を渡

ってロンドン、ペ

リを経てベルリンに赴く。

もとより先進国の医学教苔

や医療制度を実地に知る予

めである。

視察当初は「サ

ニタリー

「ヘルス」、あるいは於

イツ語で健康保護という書

「ゲズントハイツプレ‐

ダ」とい

ったことばをさ{

んに耳にしても

「ただ字業

のままに解」するだけで示

った彼は、調査が進むにn

れてこれ

らの語

の背

「国民

一般の健康保護を用

当する特種の行政組織あス

ことを

見」する

に至ス

(『松本順自伝

・長与専暮

自伝』平凡社東洋文庫)。

そして1875年、現在(

厚生労働省へとつながる肉

務省衛生局の初代局長と井

る。公

衆衛生とい)つ語は、渾

代国家建設のために欠くン

とができない二つの観念べ

組み合わされている。と辞

いえ静勲としてはヽ近侍H

後に0ぼ室

言の訳語とし7

急速に広まった公衆に比

て衛生は由来が古く、

『韓

子』に載せられた老子と滲

の弟子の問答の中に

「衛と

み縫」ヽ

つまり生命を守ス

不変の方法として見え、蕃

生や摂生と類義の語であ

内戦の時代

日本

が、豊富な現地調査をもとに

『内戦と和平』

(中公新書)をまとめ

た。東氏は

「新型

コロナウイルスの感染が拡大しているが、こんな

時こそ日本は世界にも目を向ける

べきだ。日本にできることは多い」

と話している。             (文化部 小林佑基)

「行き当た りば った りな ところ もあるが、

米 トランプ政権は交渉による解決に非常

に前向き。戦争をどん どんするよ りは、

ず つといい面 もある Jと話す東氏

<

東大作 i上智大教授の新著 対 話 促 進 で 平 和 貢 献

′‐

□田

感染拡大が続く新型コロ

ナウイルス。日本人が悩ま

されてきた疫病と比べれば

どう見えるのか。 

・『病が語

る日本史』

(講談社学術支

庫)の著書がある、医学博

士で順天堂大特任教授

谷医

学史)の酒井シゾ氏=写真

=に語

ってもら

った。

日本人は古代から疫病に

苦しめられてきた。結核、

駐薄

(天然痘)、マラチア、

麻疹、コレラ、ペスト……。

そして、それらの疫病が政

治に大きな影響を与えてい

た。権力者は大規模な祈構

をし、遷都や改元を行

った”

誰が疫病にかかるかで、権

力構図が入れ替わることも

たびたびあ

った。

鎖国をしていたはずの江

戸時代も、世界各地で繰り

返し流行していたインフル

エンザやコレラが長崎など

から何度も日本に入り、猛

威を振る

った。幕末が典型

的だが、健全な政治が行わ

れていない時には健康な社

会も損なわれる。現代は昔

と同じではないが、ま

った

く関係がないとも言い切れ

ない。       一

これだけ疫病に苦しめら

れてきたのに、人間には常

におむりがあ

った。疫病が

沈静化すると克服したつも

りになり、すぐに忘れてし

まう。1918年に始まる

スペイン風邪

(インフルエ

ンザ)は名前が珍しく、死

者も多くて記憶に残

ってい

るが、大正期や昭和期には

ほかにも様々な感染症がし

ょっちゅう流行し、多くの

人が亡くな

っていたこと

は、忘れられている。

確かに、人々は少しず

賢くはな

っている。今回の

新型コロナウイルスの感染

拡大を見ていても、外出自

粛や手洗い励行とい

った行

政からの要請に、多くの人

が素直に従

っている。学校

の休校措置や在宅ワークな

どの試みも、ウイルスを運

ぶ媒体を減らすュ

で良か

ったと思ム

今後のモデルにト

いい。

他方、感染の申

く捉えて正しく肱

るようには思え持

の人は

ュー

て、自分で自分上

ている側面もあ呟

いか。

今の日本では耐

する法律も整備忘

も現時点ではで姜

それでも怖くち

医学では説明で学

があるからだろス

病気を科学的に〕

論で説明できる」

新型コロナ

:

繰ひ返される疫病との問い

医学史家・酒井シヅ氏