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DNAの構造:ヌクレオチド
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p98)
2010. 10.18: DNA,RNAの構造
1
DNAの構造:ポリヌクレオチド鎖
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p99)
ポリヌクレオチド鎖:
ヌクレオチドどうしがデオキリボースの3’-OHと5’-OHに結合したリン酸基を介してポリヌクレオチド鎖をつくる
プリン塩基:A,Gピリミジン塩基:T,C水素結合
T-A:2本G-C:3本
長さの単位:
2
GC含量 全塩基対に対するG・C塩基対の百分率
大部分の高等生物のGC含量は50%に近く、種による変動は非常に小さい(霊長類で49-51%)
単細胞生物では、GC含量は属が違うと大きく異なる。 Ex:細菌の場合
Clostridium属では27%
Sarcina属では76%
E. coli 約50%
→DNAの安定性に関連
基礎
3
コーン・スタンプ 生化学 第5版 東京化学同人p210 より引用
1本鎖DNAと2本鎖DNA:DNAの吸光度
塩基同士が近接→
吸光度が減衰
個々の塩基の吸光を検出
(260nm
)二本鎖:A260=1
一本鎖:A260=1.37
(遊離核酸:A260=1.60)
4
DNAの変性
分子生物学の基礎p45
DNAを物理的・化学的刺激により二本鎖から一本鎖に変化
A260の上昇は6-8℃の比較的狭い温度幅で起こる
この遷移の中点
→
例)
5
DNAの融解温度(melting temperature) 融解温度:Tm
GC塩基対がAT塩基対よりも水素結合の数が多い
GC塩基対と隣接塩基対との積み重なりによる相
互作用がAT塩基対での相互作用より強い
DNAの主鎖→負電荷(リン酸基)
イオン強度が高い→らせん構造が安定
イオン強度が低い→らせん構造が不安定
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p99)6
T G C T G C T G C T G C TA C G A C G A C G A C G A
DNA-1: 5’- -3’3’- -5’
T G C T G C C G C T G C TA C G A C G G C G A C G A
DNA-2: 5’- -3’3’- -5’
DNA-2
0
20
40
60
80
100
20 30 40 50 60 70 80
温度 (˚C)
吸光度比
DNA-1(%)
GC含量:全塩基対に対するGCの百分率
13塩基分の8 61.5%
13塩基分の9 69.2%
DNAの変性
GC含量
7
DNA変性のGC含量と塩濃度依存性
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p111)
8
アニーリングとハイブリダイゼーション
アニーリング(annealing) 変性したDNA分子から未変性状態と同じDNAを再生
高温→低温
ハイブリダイゼーション(hybridization) 異なる分子種から得た1本のDNA試料を混ぜて再結合DNAを形成させる
サザンブロット法、DNAマイクロアレイ法に利用
9
Target : ALDH2 (アルデヒド脱水素酵素)
(ゲノムDNA 第12染色体 exon12)
<genotype>
1. ALDH2*1 / ALDH2*1 → いくらでも飲める
2. ALDH2*1 / ALDH2*2 → そこそこ飲める
3. ALDH2*2 / ALDH2*2 → 下戸
Normal spine profile Osteoporosis spine profile
Target : TGF-b1遺伝子
Table Sequences of detection probes
T allele detection probe: Cy3 - 5'-TGCTGCTGCTGCTG-3'
C allele detection probe: Cy5 - 5'-TGCTGCCGCTGCT-3'
TGF-b1 (2745bp)
SNP site---T869 → C
(Leu10 → Pro)
骨粗鬆症感受性遺伝子マーカー
非常にGC含量高い
一部に繰り返し配列を含む
Whole blood(100 µl)
Genomic DNA(50 ng)
PCR product(50 µl)
PCR
Extraction
TRITC-primer
Biotin-primer
Enzyme activity
Inactive form
Active form
Glu
(GAA)
Lys
(AAA) ---ALDH2*2
---ALDH2*1
Codon487
Exon 12
Aldehyde dehydrogenase 2 (ALDH2)
10
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
20 30 40 50 60 70Temp (℃ )
Rela
tive
flu
ore
sce
nce
inte
nsity
5’-TTCACTTCAGTGTAT 3’
5’-TTCACTTTAGTGTAT 3’
ターゲット3’CAAAAGTGAAGTCACATACGG 5’
ALDH2遺伝子を対象とした熱融解曲線解析
3’CAAAAGTGAAGTCACATACGG 5’
ALDH2*1
ALDH2*2
Whole blood(100 µl)
Genomic DNA(50 ng)
PCR product(50 µl)
PCR
Extraction
TRITC-primer
Biotin-primer
Enzyme activity
Inactive form
Active form
Glu
(GAA)
Lys
(AAA) ---ALDH2*2
---ALDH2*1
Codon487
Exon 12
Aldehyde dehydrogenase 2 (ALDH2)
ターゲット3’CAAAAGTGAAGTCACATACGG 5’ 3’CAAAAGTGAAGTCACATACGG 5’ ALDH2*1:5’-TTCACTTCAGTGTAT 3’ ALDH2*2:5’-TTCACTTTAGTGTAT 3’
25℃
25℃
70℃
ALDH2*2
ALDH2*1○
△
11
スケールバー:100 nm 12
DNAのB型、A型、Z型のモデル
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p106)
B型DNA
細胞内の大部分のDNA
A型DNA
RNAが二重らせんをつくる時の構造
Z型DNA
塩基配列上でプリンとピリミジン残基が交互に出現する部分はこの構造をとりやすい
B型DNA A型DNA Z型DNA 特徴コンフォメーション
(立体構造)
B型DNA A型DNA Z型DNAらせんの種類
らせんの直径(nm) 2.37 2.55 1.841塩基対ごとの昇り(nm) 0.34 0.29 0.371巻きごとの距離 (nm) 3.4 3.2 4.5
1巻きごとの塩基対の数
13
環状DNAと超らせんDNA(1)
二重らせんのとる立体配座の1つで、二重らせんに余分の巻きが加わったり、巻きが除去されたりして形成されるらせん
ゲノム2 (p54,55)
14
DNAの糖-りん酸の主鎖に切れ目を入れる
原核生物のDNAおよびミトコンドリアのDNAは環状分子
2本の鎖がたがいに巻き合う合計回数は一定
DNAの複製やRNAへの転写の際、どのように2本鎖を分離するか?
環状DNAと超らせんDNA(2)
15
トポイソメラーゼの働き
トポイソメラーゼⅡ DNAに結合し二本鎖に切れ目を入れ、切れていないDNAをくぐらせた後、切れ目をつなぐ
トポイソメラーゼⅠ DNA二本鎖のうちの1本だけに切れ目(ニック)をいれ、切れていない方の一本鎖をくぐらせ、ニックを閉じる
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p116)
大腸菌では
16
トポイソメラーゼによるDNAの切断と再結合反応
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p119)
トポイソメラーゼ活性部位のチロシン残基が、標的DNAの主鎖のホスホジエステル結合を攻撃
17
トポイソメラーゼⅠの反応:仮説
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p120)
18
RNAの構造 DNAとの違い
RNAの主鎖を含む糖鎖はリボース
RNAはチミンの代わりにウラシル
RNAは一本鎖
水素結合によって折りたたまれている
(立体構造を取りやすい)
細胞内ではDNAよりも多く存在
化学的に不安定
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p122)
19
RNAの種類
リボソームRNA(ribosomal RNA, rRNA)
細胞内でタンパク質合成を行うリボソームを構成しているRNA
転移RNA (transfer RNA, tRNA)
翻訳の際に、特定のアミノ酸をリボソーム内部へと導入するRNA
メッセンジャーRNA (messenger RNA, mRNA)
タンパク質合成部位であるリボソームにDNAの情報を伝える役割をするRNA
その他:
→ex) リボザイム(ribozyme →ribose + enzyme)
細胞内の必須の反応を触媒する酵素
→ex) siRNA(short interfering RNA)
ある種のmRNAに結合して翻訳を妨げる→RNA干渉 20
RNAの三次構造とGU塩基対
ワトソン遺伝子の分子生物学 第5版 (p124)
RNAにはワトソン-クリック型以外のGU塩基対をつくる性質がある
GU塩基対はワトソン-クリック塩基対4種類と同頻度で出現
RNA鎖は自己相補力が増強される
・
http://www.stanford.edu/~esorin/trna_cartoon.gif
21
米スタンフォード大のアンドリュー・Z・ファイア教授米マサチューセッツ大のクレッグ・C・メロー教授
2006年度 ノーベル医学・生理学賞
Nature (1998)391, 806-811
受賞理由は「RNA干渉 / 二本鎖RNAによる遺伝子発現抑制の発見」(プレスリリース, 1998年のNature掲載論文 )
GFP-repoter strain PD4251(線虫)にGFP部分配列の二本鎖RNAを注入
→GFPの発現が抑制された
→この発見がきっかけとなり、RNAi研究がスタート
22
http://www.jp.amershambiosciences.com/technologies/sirna/essential/essential_1.asp
・目的の遺伝子配列に対応する二本鎖RNA (double-stranded RNA; dsRNA)を体内に導入すると、特異的な配列が分解され、遺伝子の発現が抑制される現象
・線虫(C. elegance)で初めて見出された (1998年)
・菌類、酵母、テトラヒメナ、ショウジョウバエおよび植物、ほ乳類まで保存
生理学的役割(仮説)
・ウイルスやトランスポゾンなどの外来性因子に対する防御機構
・生体内で生成された“異常な”mRNAの排除機構
・生物が内在的に持っている遺伝子発現の転写後制御機構23
まとめ DNAの構造
ヌクレオシド、ヌクレオチドについて
DNAの性質吸光度の違いでDNAの状態(1本鎖、2本鎖)を評価
GC含量、イオン強度、Tm値の関係
変性、ハイブリダイゼーション、アニーリング
→トピックス①、②
DNAのB型、A型、Z型モデル:立体構造
環状DNAと超らせんDNA
トポイソメラーゼの役割:ⅠとⅡの違い
RNAの三次構造と機能:RNAの種類→トピックス③
24