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アプリケーションノート
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Dual-Luciferase®レポーター遺伝子アッセイ
Tecan Infinite™ M200を用いた発光測定
はじめに レポーター遺伝子アッセイ
近年、レポーター遺伝子を用いたシステムが、真核細胞、
原核細胞を問わず、遺伝子発現、遺伝子調節、細胞応答を
研究、理解するのに大きな影響を及ぼしている。
レポーター遺伝子システムは、プロモーターまたは調査し
たい遺伝子配列にレポーター遺伝子を接続したものが、発
現ベクターに組み入れられている。レポータータンパク質
の発現は、タンパク質そのものを測定することによっても、
タンパク質の酵素活性を測定することによっても明らか
にすることが可能である。
酵素を測定するほうが、反応生成物を生成するのに必要な
レポーター酵素の量がごくわずかでよいことから、きわめ
て感度が高い。感度が高く、測定が容易であることから、
さまざまな生物から採取したルシフェラーゼ酵素が、レ
ポーターシステムに普通に用いられるようになってきて
いる。
測定原理
Promega Corp. の Dual-Luciferase®Reporter Assay System は、2 種類のルシフェラーゼ活性を測定することに基づいている。レポーターの一方を、実験の目的となる
反応を測定するのに使用する。通常、このレポーターを「実
験用」レポーターと呼んでいる。もう一方のレポーターを
内部コントロールとして用い、実験用レポーターのデータ
を補正するのに用いられる。
ホタル(Photinus pyralis)からとったホタルルシフェラーゼは、61 kDaの一量体酵素であり、ルシフェリンの酸化を触媒して約 560 nm の光を放出する。ウミシイタケ
(Renilla reniformis)からとった同じく一量体で分子量が小さい Renilla luciferase(31 kDa)は、セレンテラジンを酸化して約 480 nmの光を放出する。
実験の組立て方によって、ホタルルシフェラーゼかウミシ
イタケルシフェラーゼのどちらを実験レポーター、コント
ロールレポーターに用いてもよい。
図 1: ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの反応
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デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイでは、ホタル
ルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの活
性を連続して測定する。そうするにはまず、サンプル細胞
ライセートの入ったウェルに、個々のマイクロウェルプ
レートを分析したホタルルシフェラーゼ試薬(LAR II)100 µlを分注する。10秒間の発光測定ののち、第二のルシフェラーゼ試薬(Stop&Glo®
試薬)100 µl を分注し、再び発光を測定する。第二の試薬は最初の反応を停止(消光)さ
せると同時に、ウミシイタケルシフェラーゼ反応の基質を
供給する。 本稿では、2 チャンネルインジェクターを備えた Tecan Infinite™ M200マルチモードリーダーを用いて、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイの性能を報告する。
材料と方法 機 器 • Tecan Infinite™ M200 マイクロプレートリーダー(Teca
Austria、オーストリア) マイクロプレート • 96 ウェル平底型白色ポリスチロールマイクロプレート、
Lumitrac 200(Greiner Bio-One、ドイツ) 試 薬 • Dual-Luciferase® Reporter Assay System(Promega、マサチューセッツ州)
• QuantiLum® Recombinant Firefly Luciferase(Promega、マサチューセッツ州)
• Recombinant Renilla Luciferase(LUX Biotechnology、イギリス)
測定手順 1. Promega の使用説明書に従って、試薬を融解し、
Luciferase Assay Reagent II(LAR II)、Stop&Glo Reagent(S&GR)、ゼラチン 1 mg/mlを含む 1×PLB(1×PLB/G)を調製して室温に馴化させる。
2. 試薬を調製している間に、Infinite M200の電源を入れ、DLR測定用のスクリプトを i-controlに入力する。 ‘Heating’機能を用いて、アッセイ実施温度になるよう、機器を 30分間加熱する。
3. インジェクターAに LAR IIを、インジェクターBに S&GRを満たす。
4. 消光試験のため、組換えホタルルシフェラーゼをPLB/Gで希釈し、これをマイクロウェルプレートのひとつの行の各ウェルに 20 µlずつ加える。
5. ホタルルシフェラーゼのシグナルとウミシイタケルシフェラーゼのシグナルとを独立にみるために、組換え
ホタルルシフェラーゼおよび組換えウミシイタケルシ
フェラーゼを、PLB/Gを用いてふたつのモル比が 1:10 および 10:1 になるよう希釈、混合する。各モル比の試験のため、各酵素混合液 20 µlを、マイクロウェルプレートのふたつの行(24ウェル)に分注する。
6. マイクロウェルプレートをリーダーにセットし、測定を開始する。
測定パラメータ
Parameter Setting Plate [GRE96fw]
Mode Luminescence
well wise
Injector A 100 µl
200 µl / sec refill after injection
Wait 2 sec Label 1, integration time 10 sec
Injector B 100 µl
200 µl / sec refill after injection
Wait 2 sec Label 2, integration time 10 sec
表 2: Infinite M200での Dual Luminescence Reporter Assayの測定パラメータ
データ分析
実験データと測定パラメータは、分析のために i-controlソフトウェアによって自動的に Microsoft Excelに取り込まれる。
結果と考察 Tecan Infinite M200で、96ウェル白色マイクロプレートを用いて測定を実施した。表 1は、ホタルルシフェラーゼ反応が効果的に消光されることを示している。
サンプル ホタルルシフェラーゼ S&G 消光 1 5,508,185 74 74,435 2 5,589,571 96 58,225 3 5,540,906 65 85,245 4 5,641,428 94 60,015 5 5,668,053 92 61,609 6 5,522,657 81 68,181 7 5,521,004 84 65,726 8 5,504,265 72 76,448 9 5,594,167 71 78,791
10 5,515,535 90 61,284 11 5,432,539 86 63,169 12 5,375,449 89 60,398 平均 5,534,480 67,794
CV (%) 1.48
表 1:ホタルルシフェラーゼの消光。ホタルルシフェラーゼ反応が、Stop&Glo試薬 100 µlを加えることによって消光した。消光の値は、RLU値をブランキングしたのち測定した。
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図 2 は、ホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼを 2種類のモル比(1:10および 10:1)で混合したのち測定した場合の発光をグラフにまとめたものであ
る。発光の干渉は認められなかった。さらに、24 のウェルのシグナルは、変動係数が約 1.5~2.7%であり、きわめて一貫性が高いことがわかる。
0
1,000,000
2,000,000
3,000,000
4,000,000
5,000,000
6,000,000
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23
図 2:ホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼのシグナルの独立性。ホタルルシフェラーゼとウミシイ
タケルシフェラーゼとのモル比が 1:10 および 10:1 になるよう混合し、RLU を測定した。ホタルルシフェラーゼ(♦)とウミシイタケルシフェラーゼ( )が 10:1の場合、ホタルルシフェラーゼ( )とウミシイタケルシフェ
ラーゼ( )が 1:10の場合を示す。
結 論 本稿は、Tecan Infinite M200マルチモード検出リーダーで、Promega Dual Luciferase Reporter Assayを実施すると、良好な性能を発揮することを示している。 Dual Luciferase Reporter Assayの実施にあたり、いくつか注意しなければならない点があるが、Tecan Infinite M200リーダーを用いれば簡単に克服できる。 ルシフェラーゼ反応も、多くの酵素反応と同じく、温度依
存性である。このため、機器を反応温度に 30分以上馴化することが望ましい。'Heating'機能で、機器の温度を均一にすることができる。ルシフェラーゼアッセイの感度が高
いため、機器を正しく管理することが欠かせない。Dual Luciferase Reporter Assay を実施する前に、インジェクターを入念に洗浄する必要がある。
試薬の希釈や汚染を予防するため、アッセイの試薬をイン
ジェクターに満たす前に、チューブ内の液体をすべて除去
するとよい。
アッセイ終了後、インジェクターとチューブを、まず蒸留
水、次に 70%エタノールに 30分間浸漬してきれいにする。こうすることによって、プラスチックの種類によって可逆
吸着を起こすStop&Glo試薬を効果的に除去することができる。Tecan Injectorシステムは、高品質テフロンチューブを使用しており、試薬の吸着は最小限になっている。
最後に、マイクロプレートによっては、製造に用いる材料
によって、自家蛍光が大きいものがある。このため、実験
開始前に、マイクロプレートの自己蛍光をテストしておく
必要がある。測定値の精度を上げるため、自家蛍光の大き
いプレートには暗順応が必要である。
謝 辞 有益なディスカッションと、多大なご協力をいただいた
Promega Corp.の Laurie Engel氏および Kevin Kopish氏に感謝いたします。
参考文献 (1) Dual-Luciferase® Reporter Assay System,
Instructions for use (Promega Corp., MA)
略語の一覧 PLB Passive Lysis Buffer PLB/G ゼラチン(1 mg/ml)含有 Passive Lysis Buffer RLU 相対発光単位 S&GR Stop&Glo試薬
Tecan Group Ltd.は、本稿に正確かつ最新の情報を記載するよう努力していますが、遺漏や誤りがないとは限りません。このため、本稿にある情報の正確性、完全性について、Tecan Group Ltd.は明示的であれ黙示的であれ、一切の言明も保証も致しません。本稿を、随時、予告なく変更することがあります。このなかで言及した商標はいずれも、法律により保護されています。本稿に記載されている
仕様の技術的詳細および操作の詳細については、最寄の Tecan販売店にご連絡ください。本稿は、市場によっては入手できない製品について記載することがあります。最寄の販売店にご確認ください。 ©2007, Tecan Trading AG、スイス、著作権所有。Tecanは、主要諸国で、スイス、Männedorfの Tecan Group Ltd.の登録商標です。 Infinite M200は、スイス、Männedorfの Tecan Group Ltd.の商標です。 DLRおよび DLReadyのロゴは、Promega Corporationの商標です。Dual-Luciferaseおよび Stop&Gloは、Promega Corporationの商標であり、U.S.Patent and Trademarkに登録されています。
Austria T +43 62 46 89 33 Belgium T +32 15 42 13 19 China T +32 15 42 13 19 Denmark +45 70 23 44 50 France +33 4 72 76 04 80 Germany +49 79 51 94 170 Italy +39 02 215 21 28 Japan +81 44 556 73 11 Netherlands +31 18 34 48 174 Portugal +351 21 000 82 16 Singapore +65 644 41 886 Spain +34 93 490 01 74 Sweden +46 31 75 44 000 Switzerland +41 44 922 89 22 UK +44 118 9300 300 USA +1 919 361 5200 ROW +43 62 46 89 33
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