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肝属川河川改修事業 平成 20 年 12 月 15 日 国土交通省 九州地方整備局

肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

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Page 1: 肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

肝属川河川改修事業

平成 20 年 12 月 15 日

国土交通省 九州地方整備局

Page 2: 肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

1. 事業の概要··················································································································· 河川-2-1

1) 流域の概要······································································································· 河川-2-1

2) 肝属川の特性··································································································· 河川-2-3

3) 河川整備基本方針·························································································· 河川-2-4

4) 当面 20 ヶ年の整備事業················································································ 河川-2-5

5) 肝属川の課題··································································································· 河川-2-7

6) 事業の経緯······································································································· 河川-2-8

7) 事業の進捗状況 ······························································································ 河川-2-9

8) これまでに行った事業の効果事例等·························································河川-2-11

9) 現在実施中の主要整備 ·················································································河川-2-13

2. 事業の必要性 ············································································································河川-2-15

1) 前回評価時からの変化 ··················································································河川-2-15

2) 事業を巡る社会経済情勢等の変化·····························································河川-2-16

①人口の動向 ······································································································河川-2-16

②災害発生時の影響 ·························································································河川-2-17

③洪水被害の実績······························································································河川-2-18

④災害発生の危険度 ·························································································河川-2-20

3) 事業の投資効果 ······························································································河川-2-21

①費用対効果の考え方 ·····················································································河川-2-21

②前回評価時以降の費用対効果 ···································································河川-2-23

③現時点以降(残事業)の費用対効果 ··························································河川-2-26

3. 事業進捗の見込み····································································································河川-2-29

4. コスト縮減の方策等 ··································································································河川-2-31

5. まとめ(総括) ··············································································································河川-2-32

目 次

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河川-2-1

きんこうちょう

錦江町

おおさきちょう

大崎町かのやし

鹿屋市

高隈ダム(農業用水)

あさひばし

朝日橋

(利水)

しぶしわん

志布志湾

きんこうわん

錦江湾

高隈山県立自然公園

日南海岸国定公園

おんたけ

御岳(標高1,182m)

きもつきちょう

肝付町

ひがしくしらちょう

東串良町

またせ

俣瀬

(治水)

くしらがわ

串良川

こうやまがわ

高山川

あいらがわ

姶良川

しもたにがわ

下谷川

たるみずし

垂水市

きもつきがわ

肝属川

鹿屋市街地

中流

上流

下流(感潮区間)

1.事業の概要

1)流域の概要

肝属川流域概要図

〇水源

〇流域面積

〇幹川流路延長

〇大臣管理区間

〇流域内市町村

〇流域内人口

〇想定氾濫区域内面積

〇想定氾濫区域内人口

〇年平均降水量

:鹿児島県鹿屋市高隈山御岳(標高 1,182m)

: 485km2

: 34km

: 51.1km

: 2 市 4 町

鹿児島県:鹿屋市,垂水市,肝付町,東串良町,

大崎町,錦江町

:約 11.6 万人

: 58.7km2

:約 1.8 万人

:約 2,800mm

*赤丸数字は流域の 概要の番号に対応

① ②

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河川-2-2

〔下流(河口)部〕:位置図①

肝属平野を貫流して志布志湾

に注ぐ。左岸に塩入川が合流

し漁港として多くの漁船が係留

されている。河口左岸周辺は

日南海岸指定公園に属し、大

崎砂丘が北側に分布しており、

沖合に石油備蓄基地が建設さ

れている。

〔中流部〕:位置図②

肝属平野の穀倉地帯を流れ、

改修以前は屈曲の多い蛇行

河川であったが、大規模となる

捷水路工事により、現在は直

線的な河道 となっている。ま

た、高水敷は広く牧畜の採草

地として利用されている。

〔上流部〕:位置図③

鹿屋市街部を貫流し、河道は

狭く高水敷のない単断面の掘

込河道区間である。これより上

流は蛇行して流れる未改修区

間が残り、河畔林が一部に見

られるが、鹿屋市街部はコンク

リートに固められた人口河川を

呈している。

〔最上流部〕:位置図④

源流部の高隈山地は、温暖多

雨の気候により照葉樹林が広

がっており、自然環境に恵ま

れ、県立自然公園に指定され

ている。

Page 5: 肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

河川-2-3

肝属川流域地形図

主要洪水の発生要因

流域内土地利用区分

田田[14%][14%]畑畑[36%][36%]

山地山地[32%][32%]宅地宅地[13%][13%]

その他その他[5%][5%]

A

B

A

B

鹿屋市街部

肝属川

下谷川

低平地

シラス台地シラス台地

地山

(A-B断面)畜産

田畑

田畑

畜産

2)肝属川の特性

・肝属川流域は、上流部を高隈山地等の標高 1,000m を超える急峻な山地に囲まれ、山

間部を抜けたところに鹿屋市街地が位置し、その下流の中下流部では沖積平野が広

がっている。

・宅地部は鹿屋市を始め、東串良町、肝付町の中心部並びに、主要道路沿いに集中し

ている。

・肝属川は昭和 12 年から直轄工事に着手し、堤防整備率は約 9 割に達しているが、古

い時代に築造された堤防も多く存在している。

・肝属川の主要洪水は、約 7 割が台風による豪雨であり、近年も平成 17 年 9 月の台風

14 号による洪水では、甚大な家屋浸水被害が発生した。

台風

72%

前線性

8%

梅雨前線

20%

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河川-2-4

3)河川整備基本方針

■肝属川計画高水流量図

■基本高水のピーク流量等一覧表

河川名 基準地点

基本高水の

ピーク流量

(㎥/s)

洪水調節施設

による調節流量

(㎥/s)

河道への

配分流量

(㎥/s)

肝属川 俣 瀬 2,500 0 2,500

肝属川水系河川整備基本方針は、平成 19 年 3 月に策定された。基本高水は、

昭和 13 年 10 月、昭和 46 年 8 月、昭和 51 年 6 月洪水及び平成 17 年 9 月洪水

等の既往洪水について検討した結果、工事実施基本計画を踏襲した。基本高水ピ

ーク流量は基準地点俣瀬において 2,500m3/s とし、これを河道に配分する。

串良川

高山川

姶良川

大姶良川

鹿屋分水路

肝属川

志布志湾

豊栄

高山橋俣瀬

姶良橋

高良橋朝日橋

王子橋

2,500

800

1,100

1,400

700

200

200400

河口

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河川-2-5

高良橋朝日橋

田崎大橋

1,970 →1,730 →

← 640

850 →

1,040 →

560 →

580 →410 →

200 →

140 →220 →

180 →

310 →

340 → 210 →

:基準地点

:主要地点

鹿屋分水路

王子橋

肝属川

豊栄

俣瀬

姶良橋 高山橋

大姶良川

下谷川

姶良川

高山川

串良川

志布志湾

4)当面 20 ヶ年の整備事業

当面 20 ヶ年(H15~H34)のプロジェクト事業は、概ね 30 年に 1 回の確率で発生する洪水

規模を目標に事業を継続実施している。

河川整備において目標とする流量

河川名 地点名 目標流量

(m3/s) 備考

王子橋 340

朝日橋 140

高良橋 1,040

川 肝属川

俣瀬※ 1,970

概ね 30年に 1回の確率で発生する

洪水規模に対応

(基準地点俣瀬において既往最大を

記録した平成 17年 9月洪水における

実績流量をカバーしている)

串良川 豊栄 640

高山川 高山橋 850

姶良川 姶良橋 560

下谷川 田崎大橋 180

支川についても本川と同等の治水

安全度を確保

※基準地点

目標流量(確率 W=1/30)流 量 配 分 図

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河川-2-6

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河川-2-7

浸水箇所

5)肝属川の課題

堤防については、堤防整備が必要な区間 82.3km に対し、完成堤防の区間は 72.6km と約 90%

が完成していますが、河道内の河積不足や固定堰等による流下阻害により、支川を含め全川的に

流下能力が不足。このため大規模な洪水が発生した場合、甚大な被害が予想される。

平成年代の近年は、大きな洪水が頻発するようになり、

特に平成 2 年、平成 9 年、平成 17 年には戦後最大規模と

なる洪水が発生し、河川水位は HWL 相当まで上昇し、各

出水とも 500 戸を超える浸水被害をもたらしている。

肝属川の堤防整備率は約 9 割に達しているが、古い時代に築造された堤防も多く、また、築堤材

料として使用されているシラスは流水による浸食や吸出しによる堤体の空洞化等による堤防決壊が

懸念されるため、堤防が完成した箇所においても安全性の点検を実施し、必要に応じた堤防強化対

策を行う必要がある。

③堤防の安全度

②はん濫の危険

①近年の洪水の発生状況 平成 9 年 9 月洪水時の浸水被害状況

堤防の一部崩壊(姶良川:H16.8.30) 堤体の空洞化(串良川:H10.11)

基基準準地地点点俣俣瀬瀬のの年年最最大大流流量量のの推推移移

0

500

1000

1500

2000

S13

S14

S15

S16

S17

S18

S19

S20

S21

S22

S23

S24

S25

S26

S27

S28

S29

S30

S31

S32

S33

S34

S35

S36

S37

S38

S39

S40

S41

S42

S43

S44

S45

S46

S47

S48

S49

S50

S51

S52

S53

S54

S55

S56

S57

S58

S59

S60

S61

S62

S63

H1

H2

H3

H4

H5

H6

H7

H8

H9

H10

H11

H12

H13

H14

H15

H16

H17

(m3/s)

(推定値)

近年規模の大きい

洪水が発生している。

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河川-2-8

6)事業の経緯

西 暦 年 号 計画の変遷 主 な 事 業 内 容

1937 年 昭和 12 年

・直轄河川改修事業に着手

・計画高水流量:1,200m3/s

(基準地点俣瀬)

高山川の改修に着手したが、昭和 13 年

10 月出水により、計画の改定が必要とな

る。

1940 年 昭和 15 年

・改修計画

・計画高水流量:1,900m3/s

(基準地点俣瀬)

・中下流部の蛇行箇所のショートカット工

事(S17~28)

1967 年 昭和 42 年 ・工事実施基本計画の策定

(従来の改修計画を踏襲)

1981 年 昭和 56 年

・工事実施基本計画の改定

・基本高水のピーク流量:2,500m3/s

・河道への配分流量 :2,300m3/s

(基準地点俣瀬)

・高山ダムによる洪水調節計画の導入

・鹿屋分水路による分流計画の導入

1984 年 昭和 59 年 ・鹿屋分水路建設に着手

(計画高水流量:200m3/s)

1996 年 平成 8 年 ・鹿屋分水路本体の完成

(暫定通水開始)

2000 年 平成 12 年 ・鹿屋分水路完成

(分派点上流の本川捷水路工事が終了)

2001 年 平成 13 年 ・波見水門建設に着手 ・串良川引堤工事が本格化

2004 年 平成 16 年 ・波見水門完成

2006 年 平成 18 年 ・串良川引堤完成

・下谷川改修に着手

2007 年 平成 19 年

・肝属川水系河川整備基本方針の策定

・基本高水流量:2,500m3/s ・計画高水流量:2,500m3/s

(基準地点俣瀬)

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河川-2-9

7)事業の進捗状況

■これまでに行った主な改修事業

主な事業内容 事業費 完成年度

波見水門建設事業 約 17 億円 平成 16 年度

串良川永和・豊栄地区引堤事業 約 54 億円 平成 17 年度

■継続中の事業

主な事業内容 事業費 完成年度

下谷川改修事業 約 22 億円 継続

○直轄編入 昭和 12 年

○事業着手 昭和 12 年

○工事実施基本計画

昭和 42 年策定(俣瀬 1,900m3/s)

○工事実施基本計画

昭和 56 年改定(俣瀬 2,500m3/s)

○河川整備基本方針

平成 19 年 3 月策定(俣瀬 2,500m3/s)

○河川整備計画

未策定

国管理

区間延長

(Km)

要堤防

整備延長

(Km)

完成堤防

整備延長

(Km)

整備率

(%)

51.1 82.3 72.6 88.2

◎築堤必要区間:82.3km

◎完成堤防整備率:88%

堤防整備率

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河川-2-10

■河川改修事業の進捗状況

河川整備基本方針(工事実施基本計画)に基づき、当面の河川改修は、平成 15 年再評

価時のプロジェクト事業を継続実施している。(河川整備計画は未策定)

前回再評価時からの進捗

・串良川豊栄地区引堤

・波見水門新設

・下谷川改修事業(H18~実施中)

串良町 永和地区

東串良町 豊栄地区

豊栄橋

○波見水門建設事業

○永和・豊栄地区引堤事業

肝属川

和田川

整備メニュー H15 H16 H17 H18 H19 H20以降

波見水門新設

串良川豊栄地区引堤

下谷川改修事業(H18~)

事業費(億円) 約11 約7 約7 約3 約8 約95

整備メニュー H15 H16 H17 H18 H19 H20以降

波見水門新設

串良川豊栄地区引堤

下谷川改修事業(H18~)

事業費(億円) 約11 約7 約7 約3 約8 約95

平成16年度末完成予定和田川の出口に波見水門を新設し、肝属川からの河川水の流入を防ぐとともに内水排除の効率化を図る。

水門新設前状況 波見地区内水浸水状況

波見水門

永和・豊栄地区

管内図

平成17年度末完成予定豊栄橋上下流の川幅を広げて串良川の流下能力を高め、流域の安全性の向上を図る。

Page 13: 肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

河川-2-11

8)これまでに行った事業の効果事例等

■鹿屋分水路建設事業

鹿屋分水路は、鹿屋市街部を貫流する肝属川の計画高水流量 400m3/s のうち 200m3/s

を分水し、市街部の氾濫を回避する目的で建設された。

平成 12年に完成した鹿屋分水路により、鹿屋市街部の河道は水位の低下が見られ、市

街部の洪水被害が軽減されている。

平成 12 年 6 月の出水では 220m3/s を 110m3/s 分水し、市街部で約 1m の水位低減効

果が発揮された。

被害軽減効果表

3.97 平成12年6月24

分水路がなければ水位

が約5.0mまで上昇、災

害の危険性があった。

3.97 平成9年9月16日 建設後

河岸決壊、流失家屋5

戸、全半壊家屋15戸 5.20 昭和51年6月24建設前

被災内容 朝日橋

観測所

水位

(m)

洪水年月日 分水路

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河川-2-12

■波見水門建設事業

波見水門は、外水の流入を防ぐとともに、内水排除の効率化を図り排水被害の軽減を

図ることを目的として平成16年度に完成した。

波見水門の建設によって平成17年9月出水では、外水氾濫を防御し、波見地区に浸水

被害軽減効果をもたらした。

肝属川mm

平成9年9月洪水浸水エリア

平成17年9月洪水浸水エリア

雨量(高山観測所)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

平成9年洪水 平成17年洪水

平成9年洪水 平成17年洪水

H9洪水を上回る

雨量を記録

672

937

290

180

42

9

156

102

0

50

100

150

200

250

300

浸水面積 床上浸水 床下浸水

H9.9洪水

H17.9洪水

水門設置前の洪水

に対し、H17.9洪水において浸水戸

数を軽減!!

波見水門

Page 15: 肝属川河川改修事業河川-2-2 〔下流(河口)部〕:位置図① 肝属平野を貫流して志布志湾 に注ぐ。左岸に塩入川が合流 し漁港として多くの漁船が係留

河川-2-13

9)現在実施中の主要整備

■下谷川改修事業

(1)事業目的

肝属川水系下谷川は、鹿屋市街地を流れる支川であり、川沿いには家屋が建ち並んで

いる。

現在の河道は洪水を安全に流せるだけの断面が不足しているため、豪雨の度に河川水

位が急上昇し、地元住民は洪水氾濫の危機にさらされている。

そこで、河床掘削により河道断面を拡大し、洪水時の河川水位低下を図ることで、市街

地における洪水への安全性を確保する事を目標としている。

◎改修方式:河床掘削による断面確保

①河床掘削を行うにあたり、既設護岸の倒壊

を防ぐため、根継工をおこないます。

②根継工を施工後、河床掘削を行います。

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河川-2-14

■今後 5 ヵ年程度の河川事業

【事業展開の基本的な考え方】

上下流、本支川バランス、背後地の重要性を考慮しながら事業を実施し、洪水はん

濫による家屋の浸水被害を防止する。

今後 5 ヵ年程度の河川事業として、以下の整備を予定している。

・下谷川改修事業

資産が集中する鹿屋市街地を貫流する支川下谷川改修を継続実施し、早期治

水安全度の向上を図る。

・串良川中流地区河道掘削

H17 完の串良川引堤に引き続き、下流より順次治水安全度の向上を図る。

・堤防質的強化対策については、河川堤防の浸透に対する詳細点検、結果に基づ

き、必要個所について実施していく。

下谷川河道掘削[流下能力増大]

下谷川河道掘削[流下能力増大]

下谷川河道掘削[流下能力増大]

肝属川→

串良川↓

河道掘削

凡例

河道掘削

凡例

串良川中流地区 5/0~7/0河道掘削[流下能力増大]串良川中流地区 5/0~7/0河道掘削[流下能力増大]

↑姶良川

↑高山川

下谷川

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河川-2-15

2.事業の必要性

1)前回評価時からの変化

前回評価時(平成 15 年)から平成 20 年の 5 年間に「肝属川水系河川整備基本方針」が

策定されたが、元計画の治水目標を踏襲しており、前回評価から、河川事業については堤

防質的強化が追加となったが、目標流量等に変更はない。(「河川整備計画」は策定作業

中)

項 目 前回再評価時

(H15)

今回評価時

(H20)

目 標 流 量 約 2,000m3/s

(俣瀬地点)

約 2,000m3/s

(俣瀬地点)

河 川 事 業 約 132 億円 約 132 億円

整 備 内 容

・河道掘削および築堤

・流下能力阻害施設(堰群、橋梁)

の改築・改良

・河道掘削および築堤

・流下能力阻害施設(堰群、橋梁)

の改築・改良

・堤防質的強化対策

目 標 整 備 期 間 平成 15 年から概ね 20 年 平成 15 年から概ね 20 年

項目 前回評価時

(H15)

今回評価時

(H20)

河道掘削および築堤 59億円 58億円

流下能力阻害施設

(堰群、橋梁)の改築・改良 73億円 73億円

堤防質的強化対策 - 1億円

合計 132 億円 132 億円

※河道掘削および築堤については、コスト縮減により約 1 億円減

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河川-2-16

2)事業を巡る社会経済情勢等の変化

①人口の動向

平成 15 年評価時から平成 20 年評価時でほぼ横這いとなっている。

H15 評価時からの流域内人口の変化

11.6万人 11.6万人

0

7.5

15

H15再評価時 H20再評価時

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河川-2-17

②災害発生時の影響

100 年に 1 回程度起こる大雨が降ったことにより、肝属川がはん濫した場合に浸水が想

定される区域の面積は約 59km2、人口は約 1.8 万人にも達する。

鹿屋分水路により鹿屋市街部の氾濫が軽減されているものの流域内の主要都市である

東串良町、肝属町の主要地区が想定氾濫区域内に含まれており、社会・経済・文化等に

甚大な被害を被ることになり、またその影響が広範囲に及ぶことが予想される。

肝属川水系浸水想定区域図

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河川-2-18

③洪水被害の実績

肝属川の主な洪水

洪水年月日 原因 流量 被害状況

昭和 13 年 10 月 15 日 台風 約 1,750m3/s 家屋の流失・全半壊 1,532 戸 床上下浸水 5,067 戸

昭和 46 年 8 月 5 日 台風 約 1,040m3/s 家屋の流失・全半壊 70 戸 床上浸水 20 戸、床下浸水 389 戸

昭和 46 年 8 月 30 日 台風 約 1,250m3/s 家屋の流失・全半壊 127 戸 床上浸水 48 戸、床下浸水 360 戸

昭和 51 年 6 月 24 日 梅雨前線 約 980m3/s 家屋の流失・全半壊 35 戸 床上浸水 5 戸、床下浸水 182 戸

平成 2 年 9 月 29 日 秋雨前線 約 1,780m3/s 床上浸水 45 戸、床下浸水 659 戸

平成 5 年 8 月 1 日 台風 約 1,310m3/s 家屋の流失・全半壊 26 戸 床上浸水 150 戸、床下浸水 455 戸

平成 5 年 9 月 3 日 台風 約 990m3/s 家屋の流失・全半壊 276 戸 床上浸水 4 戸、床下浸水 57 戸

平成 9 年 9 月 16 日 台風 約 2,200m3/s 床上浸水 154 戸、床下浸水 756 戸

平成 17 年 9 月 6 日 台風 約 2,260m3/s 家屋半壊 6 戸 床上浸水 91 戸、床下浸水 462 戸

注 1:被害状況は高水速報資料から記載

注 2:昭和 13 年の流量は雨量からの推算

注 3:昭和 13 年以外の俣瀬地点流量については氾濫戻し流量

肝属川の主要な洪水は、昭和 13 年 10 月洪水、昭和 46 年 8 月洪水、昭和 51 年

6 月洪水、平成 2 年 9 月洪水、平成 5 年 8 月洪水、平成 5 年 9 月洪水、平成 9 年

9 月洪水、平成 17 年 9 月洪水等であり、これらのほとんどは台風性の洪水である。

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河川-2-19

過去の浸水被害状況

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河川-2-20

④災害発生の危険度

肝属川は、昭和 12 年以降に直轄事業として改修を進めてきた結果、国管理区間の堤防整備

が必要な区間 82.3km に対し完成堤防の区間は約 90%まで進んでいるが、本川、支川ともに洪水

の流下断面が不足する区間が存在しており、また、洪水の流下を阻害する床止めや固定堰もみ

られるため、大規模な洪水が発生した場合、甚大な被害が予想される。

国管理区間堤防整備状況

注)堤防延長は左右岸の合計値

完成堤防 国管理

区間延長

(Km)

要堤防

整備延長

(Km) 整備延長

(Km)

整備率

(%)

51.1 82.3 72.6 88.2

■堤防整備状況

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河川-2-21

3)事業の投資効果

①費用対効果の考え方

河川改修事業実施の有無による被害軽減額ならびに、施設整備費用を用い費用対効

果を算定する。被害軽減額は、氾濫解析より求まる水位ならびに各地区の資産数量をもと

にする。

また、費用対効果の算定は、最新の「治水経済調査マニュアル(案)」(国土交通省河川

局 平成 17 年 4 月)に準拠し、下図のフローに従い行った。

費用の算定

①河道掘削および築堤②流下能力阻害施設(堰群、橋梁)の改築・改良③堤防質的強化対策

総費用(C)の算出

(評価対象期間内の維持管理費と資産の残存価値も考慮)

総便益(B)の算出

便益の算定

費用対便益B/C

年平均被害軽減期待額の算出

直接被害:一般資産被害、農産物被害、公共土木施設等被害

間接被害:営業停止想定被害家庭等の応急対策費用等

費用対効果算定フロー図

B/C算出のケース

算出ケース 評価時点 整備期間

Ⅰ.前回評価時以降の費用対効果 H20年 H15年から20年間

Ⅱ.現時点以降(残事業)の費用対効果 H20年 H20年から15年間

※「治水経済調査マニュアル(案)」H17.4 国土交通省河川局

※「治水経済マニュアル(案)各種資産評価単価及びデフレーター」H20.2 国土交通省河川局

※「氾濫シミュレーション・マニュアル(案)」H8.2 建設省土木研究所河川部都市河川研究室

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河川-2-22

■年平均被害軽減期待額の算出

【河川改修(前回評価時点(H15)から予定事業完了(H34))による】

(百万円)

①事業を実施しない

場合

②事業を実施した

場合

③被害 軽減額(a-b)

 W=1/1.3 0.7692 0 0 0 0.0000 0 0 0.0

 W=1/2 0.5000 59 0 59 0.2692 30 8 7.9

 W=1/5 0.2000 341 0 341 0.3000 200 60 67.9

 W=1/10 0.1000 623 0 623 0.1000 482 48 116.1

 W=1/30 0.0333 9,668 0 9,668 0.0667 5,146 343 459.2

 W=1/50 0.0200 18,402 8,152 10,250 0.0133 9,959 133 592.0

 W=1/100 0.0100 43,563 30,474 13,089 0.0100 11,669 117 708.7

注)

【河川改修(前回評価時点(H15)から現時点(H19))による】(百万円)

①事業を実施しない

場合

②事業を実施した

場合

③被害 軽減額(a-b)

 W=1/1.3 0.7692 0 0 0 0.0000 0 0 0.0

 W=1/2 0.5000 59 59 0 0.2692 0 0 0.0

 W=1/5 0.2000 341 341 0 0.3000 0 0 0.0

 W=1/10 0.1000 623 623 0 0.1000 0 0 0.0

 W=1/30 0.0333 9,668 7,345 2,323 0.0667 1,162 77 77.5

 W=1/50 0.0200 18,402 13,182 5,220 0.0133 3,771 50 127.7

 W=1/100 0.0100 43,563 36,336 7,228 0.0100 6,224 62 190.0

注)

【河川改修(評価時点(H20)から予定事業完了(H34))による】(百万円)

①事業を実施しない

場合

②事業を実施した

場合

③被害 軽減額(a-b)

 W=1/1.3 0.7692 0 0 0 0.0000 0 0 0.0

 W=1/2 0.5000 59 0 59 0.2692 30 8 7.9

 W=1/5 0.2000 341 0 341 0.3000 200 60 67.9

 W=1/10 0.1000 623 0 623 0.1000 482 48 116.1

 W=1/30 0.0333 7,345 0 7,345 0.0667 3,984 266 381.7

 W=1/50 0.0200 13,182 8,152 5,030 0.0133 6,188 83 464.2

 W=1/100 0.0100 36,336 30,474 5,862 0.0100 5,446 54 518.7

注)

流量規模 年平均超過確率

被害額

d区間確率

流量規模 年平均超過確率

eCの区間

平均被害額

年平均被害

軽減額d×e

被害額

d区間確率

流量規模 年平均超過確率

被害額

d区間確率

①は評価時点(H20)の被害額②は予定事業完了河道(H34)の被害額

eCの区間

平均被害額

年平均被害

軽減額d×e

年平均被害額の累計

年平均被害額の累計

①はH15河道の被害額②は現時点河道(H20)の被害額

①はH15河道の被害額②は予定事業完了(H34)の被害額

年平均被害額の累計

eCの区間

平均被害額

年平均被害

軽減額d×e

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河川-2-23

②前回評価時以降の費用対効果

(1)経済効果(B/C)の条件

・評価時点 :現況時点(H20 年)

・整備期間 :前回評価時点(H15)から予定事業完了(H34)

・評価対象期間 :施設完成後 50 年間

(2)総便益:B

事業を実施しない場合と実施した場合の被害額の差分で洪水氾濫被害の防止効果を

便益として評価する。また、評価対象期間終了時点の施設の残存価値を評価し便益として

加算する。

総便益の算定結果

評価時点 対象評

価期間

年平均被害軽減額

(億円) 総便益 B

(億円)

前回評価時点(H15)から現時点 (H19)までの河川改修効果(b)

H15~H19 1.90 3.80

現時点から予定事業完了(H34)までの河川改修効果(b)

H20~H34 5.19 47.05

河道完成後の評価期間(50 年間) H35~H84 - 87.91

残存価値 - - 1.87

合 計 140.63

)(5.506,397,1)04.01(

49

0百万円

S

tt

bB

b:年平均被害軽減期待額

S:整備期間

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河川-2-24

(3)総費用:(C)

・建設費 :c(毎年の建設費を現在価値化して算定)

・維持管理費 :M(定常的な維持管理費と設備交換等の突発的・定期的に支出が

予定される維持管理費を現在価値化して算定)

総費用算定結果(基準年:H20 年)

施 設 建設費 c

(①)

維持管理費 M

(②)

総費用

(①+②)

河 道 110.52 13.03 123.55

(4)B/C 算定結果

総便益(B)

(億円)

総費用(C)

(億円)

経済効果

(B/C)

140.63 123.55 1.1

(単位:億円)

20

15

10

5

0

5

10

15

20

H15 H20 H25 H30 H35 H40 H45 H50 H55 H60 H65 H70 H75 H80

金額

(億

円)

便益

維持管理費建設費

現在価値化した便益 現在価値化した建設費 現在価値化した維持管理費

整備期間(20年) 施設完成後の評価期間(50年)

評価対象期間

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河川-2-25

費用対効果算定結果 評価時点:H20 年 水系名:肝属川 河川名:肝属川等 単位:億円

費用C

建設費③ 維持管理費④ ③+④

便益 現在価値 費用 現在価値 費用 現在価値 費用 現在価値

H15 - 0.00 0.00 11.00 11.19 0.00 0.00 11.00 11.19

H16 - 0.38 0.38 7.30 7.41 0.06 0.06 7.36 7.46

H17 - 0.76 0.76 7.00 7.06 0.09 0.09 7.09 7.15

H18 - 1.14 1.14 3.30 3.30 0.13 0.13 3.43 3.43

H19 - 1.52 1.52 8.10 8.10 0.14 0.14 8.24 8.24

H20 1 1.90 1.90 6.35 6.35 0.18 0.18 6.54 6.54 評価時点

H21 2 2.25 2.16 6.35 6.11 0.22 0.21 6.57 6.32

H22 3 2.59 2.40 6.35 5.87 0.25 0.23 6.60 6.10

H23 4 2.94 2.61 6.35 5.65 0.28 0.25 6.63 5.90

H24 5 3.28 2.81 6.35 5.43 0.31 0.27 6.66 5.70

整 H25 6 3.63 2.98 6.35 5.22 0.34 0.28 6.70 5.50

H26 7 3.97 3.14 6.35 5.02 0.37 0.30 6.73 5.32

備 H27 8 4.32 3.28 6.35 4.83 0.41 0.31 6.76 5.14

H28 9 4.67 3.41 6.35 4.64 0.44 0.32 6.79 4.96

期 H29 10 5.01 3.52 6.35 4.46 0.47 0.33 6.82 4.79

H30 11 5.36 3.62 6.35 4.29 0.50 0.34 6.85 4.63

間 H31 12 5.70 3.70 6.35 4.13 0.53 0.35 6.89 4.47

H32 13 6.05 3.78 6.35 3.97 0.56 0.35 6.92 4.32

(s) H33 14 6.40 3.84 6.35 3.82 0.60 0.36 6.95 4.17

H34 15 6.74 3.89 6.35 3.67 0.63 0.36 6.98 4.03

H35 16 7.09 3.93 0.66 0.37 0.66 0.37

H36 17 7.09 3.78 0.66 0.35 0.66 0.35

H37 18 7.09 3.64 0.66 0.34 0.66 0.34

H38 19 7.09 3.50 0.66 0.33 0.66 0.33

H39 20 7.09 3.36 0.66 0.31 0.66 0.31

H40 21 7.09 3.23 0.66 0.30 0.66 0.30

H41 22 7.09 3.11 0.66 0.29 0.66 0.29

H42 23 7.09 2.99 0.66 0.28 0.66 0.28

H43 24 7.09 2.88 0.66 0.27 0.66 0.27

施 H44 25 7.09 2.76 0.66 0.26 0.66 0.26

H45 26 7.09 2.66 0.66 0.25 0.66 0.25

設 H46 27 7.09 2.56 0.66 0.24 0.66 0.24

H47 28 7.09 2.46 0.66 0.23 0.66 0.23

完 H48 29 7.09 2.36 0.66 0.22 0.66 0.22

H49 30 7.09 2.27 0.66 0.21 0.66 0.21

成 H50 31 7.09 2.18 0.66 0.20 0.66 0.20

H51 32 7.09 2.10 0.66 0.20 0.66 0.20

後 H52 33 7.09 2.02 0.66 0.19 0.66 0.19

H53 34 7.09 1.94 0.66 0.18 0.66 0.18

の H54 35 7.09 1.87 0.66 0.17 0.66 0.17

H55 36 7.09 1.80 0.66 0.17 0.66 0.17

評 H56 37 7.09 1.73 0.66 0.16 0.66 0.16

H57 38 7.09 1.66 0.66 0.15 0.66 0.15

価 H58 39 7.09 1.60 0.66 0.15 0.66 0.15

H59 40 7.09 1.54 0.66 0.14 0.66 0.14

期 H60 41 7.09 1.48 0.66 0.14 0.66 0.14

H61 42 7.09 1.42 0.66 0.13 0.66 0.13

間 H62 43 7.09 1.36 0.66 0.13 0.66 0.13

H63 44 7.09 1.31 0.66 0.12 0.66 0.12

(50年) H64 45 7.09 1.26 0.66 0.12 0.66 0.12

H65 46 7.09 1.21 0.66 0.11 0.66 0.11

H66 47 7.09 1.17 0.66 0.11 0.66 0.11

H67 48 7.09 1.12 0.66 0.10 0.66 0.10

H68 49 7.09 1.08 0.66 0.10 0.66 0.10

H69 50 7.09 1.04 0.66 0.10 0.66 0.10

H70 51 7.09 1.00 0.66 0.09 0.66 0.09

H71 52 7.09 0.96 0.66 0.09 0.66 0.09

H72 53 7.09 0.92 0.66 0.09 0.66 0.09

H73 54 7.09 0.89 0.66 0.08 0.66 0.08

H74 55 7.09 0.85 0.66 0.08 0.66 0.08

H75 56 7.09 0.82 0.66 0.08 0.66 0.08

H76 57 7.09 0.79 0.66 0.07 0.66 0.07

H77 58 7.09 0.76 0.66 0.07 0.66 0.07

H78 59 7.09 0.73 0.66 0.07 0.66 0.07

H79 60 7.09 0.70 0.66 0.07 0.66 0.07

H80 61 7.09 0.67 0.66 0.06 0.66 0.06

H81 62 7.09 0.65 0.66 0.06 0.66 0.06

H82 63 7.09 0.62 0.66 0.06 0.66 0.06

H83 64 7.09 0.60 0.66 0.06 0.66 0.06

H84 65 7.09 0.58 0.66 0.05 0.66 0.05

合 計 138.76 1.87 140.63 132.00 110.52 39.50 13.03 171.50 123.55 1.1

B/C便益①

残存価値②

計①+②

便益B

区分 年度 tデフレーター

指数

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河川-2-26

③現時点以降(残事業)の費用対効果

(1)経済効果(B/C)の条件

・評価時点 :現時点(H20 年)

・整備期間 :現時点(H20)から予定事業完了(H34)

・評価対象期間 :施設完成後 50 年間

(2)総便益:B

事業を実施しない場合と実施した場合の被害額の差分で洪水氾濫被害の防止効果を

便益として評価する。また、評価対象期間終了時点の施設の残存価値を評価し便益として

加算する。

総便益の算定結果

評価時点 対象評

価期間

年平均被害軽減額

(億円) 総便益 B

(億円)

現時点(H20)から予定事業完了(H34)までの河川改修効果(b)

H20~H34 5.19 25.08

河川事業完成後の評価期間 50 年間 H35~H84 - 64.34

残存価値 - - 1.48

合 計 90.90

)(5.506,397,1)04.01(

49

0百万円

S

tt

bB

b:年平均被害軽減期待額

S:整備期間

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河川-2-27

(3)総費用:(C)

・建設費 :c(毎年の建設費を現在価値化して算定)

・維持管理費 :M(定常的な維持管理費と設備交換等の突発的・定期的に支出が

予定される維持管理費を現在価値化して算定)

総費用算定結果(基準年:H20 年)

施 設 建設費 c

(①)

維持管理費 M

(②)

総費用

(①+②)

河 道 73.46 8.21 81.68

(4)B/C 算定結果

総便益(B)

(億円)

総費用(C)

(億円)

経済効果

(B/C)

90.90 81.68 1.1

(単位:億円)

20

15

10

5

0

5

10

15

20

H15 H20 H25 H30 H35 H40 H45 H50 H55 H60 H65 H70 H75 H80

金額

(億

円)

整備期間(20年) 施設完成後の評価期間(50年)

評価対象期間

現在価値化した便益 現在価値化した建設費 現在価値化した維持管理費

便益

維持管理費建設費

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河川-2-28

費用対効果算定結果 評価時点:H20 年 水系名:肝属川 河川名:肝属川等 単位:億円

費用C

建設費③ 維持管理費④ ③+④

便益 現在価値 費用 現在価値 費用 現在価値 費用 現在価値

H15

H16

H17

H18

H19

H20 1 0.00 0.00 6.35 6.35 0.00 0.00 6.35 6.35 評価時点

H21 2 0.35 0.33 6.35 6.11 0.03 0.03 6.38 6.14

H22 3 0.69 0.64 6.35 5.87 0.06 0.06 6.42 5.93

H23 4 1.04 0.92 6.35 5.65 0.10 0.08 6.45 5.73

H24 5 1.38 1.18 6.35 5.43 0.13 0.11 6.48 5.54

整 H25 6 1.73 1.42 6.35 5.22 0.16 0.13 6.51 5.35

H26 7 2.07 1.64 6.35 5.02 0.19 0.15 6.54 5.17

備 H27 8 2.42 1.84 6.35 4.83 0.22 0.17 6.58 5.00

H28 9 2.77 2.02 6.35 4.64 0.25 0.19 6.61 4.83

期 H29 10 3.11 2.19 6.35 4.46 0.29 0.20 6.64 4.66

H30 11 3.46 2.34 6.35 4.29 0.32 0.21 6.67 4.51

間 H31 12 3.80 2.47 6.35 4.13 0.35 0.23 6.70 4.35

H32 13 4.15 2.59 6.35 3.97 0.38 0.24 6.73 4.21

(s) H33 14 4.50 2.70 6.35 3.82 0.41 0.25 6.77 4.06

H34 15 4.84 2.80 6.35 3.67 0.44 0.26 6.80 3.93

H35 16 5.19 2.88 0.48 0.26 0.48 0.26

H36 17 5.19 2.77 0.48 0.25 0.48 0.25

H37 18 5.19 2.66 0.48 0.24 0.48 0.24

H38 19 5.19 2.56 0.48 0.24 0.48 0.24

H39 20 5.19 2.46 0.48 0.23 0.48 0.23

H40 21 5.19 2.37 0.48 0.22 0.48 0.22

H41 22 5.19 2.28 0.48 0.21 0.48 0.21

H42 23 5.19 2.19 0.48 0.20 0.48 0.20

H43 24 5.19 2.10 0.48 0.19 0.48 0.19

施 H44 25 5.19 2.02 0.48 0.19 0.48 0.19

H45 26 5.19 1.95 0.48 0.18 0.48 0.18

設 H46 27 5.19 1.87 0.48 0.17 0.48 0.17

H47 28 5.19 1.80 0.48 0.17 0.48 0.17

完 H48 29 5.19 1.73 0.48 0.16 0.48 0.16

H49 30 5.19 1.66 0.48 0.15 0.48 0.15

成 H50 31 5.19 1.60 0.48 0.15 0.48 0.15

H51 32 5.19 1.54 0.48 0.14 0.48 0.14

後 H52 33 5.19 1.48 0.48 0.14 0.48 0.14

H53 34 5.19 1.42 0.48 0.13 0.48 0.13

の H54 35 5.19 1.37 0.48 0.13 0.48 0.13

H55 36 5.19 1.31 0.48 0.12 0.48 0.12

評 H56 37 5.19 1.26 0.48 0.12 0.48 0.12

H57 38 5.19 1.22 0.48 0.11 0.48 0.11

価 H58 39 5.19 1.17 0.48 0.11 0.48 0.11

H59 40 5.19 1.12 0.48 0.10 0.48 0.10

期 H60 41 5.19 1.08 0.48 0.10 0.48 0.10

H61 42 5.19 1.04 0.48 0.10 0.48 0.10

間 H62 43 5.19 1.00 0.48 0.09 0.48 0.09

H63 44 5.19 0.96 0.48 0.09 0.48 0.09

(50年) H64 45 5.19 0.92 0.48 0.08 0.48 0.08

H65 46 5.19 0.89 0.48 0.08 0.48 0.08

H66 47 5.19 0.85 0.48 0.08 0.48 0.08

H67 48 5.19 0.82 0.48 0.08 0.48 0.08

H68 49 5.19 0.79 0.48 0.07 0.48 0.07

H69 50 5.19 0.76 0.48 0.07 0.48 0.07

H70 51 5.19 0.73 0.48 0.07 0.48 0.07

H71 52 5.19 0.70 0.48 0.06 0.48 0.06

H72 53 5.19 0.67 0.48 0.06 0.48 0.06

H73 54 5.19 0.65 0.48 0.06 0.48 0.06

H74 55 5.19 0.62 0.48 0.06 0.48 0.06

H75 56 5.19 0.60 0.48 0.06 0.48 0.06

H76 57 5.19 0.58 0.48 0.05 0.48 0.05

H77 58 5.19 0.55 0.48 0.05 0.48 0.05

H78 59 5.19 0.53 0.48 0.05 0.48 0.05

H79 60 5.19 0.51 0.48 0.05 0.48 0.05

H80 61 5.19 0.49 0.48 0.05 0.48 0.05

H81 62 5.19 0.47 0.48 0.04 0.48 0.04

H82 63 5.19 0.46 0.48 0.04 0.48 0.04

H83 64 5.19 0.44 0.48 0.04 0.48 0.04

H84 65 5.19 0.42 0.48 0.04 0.48 0.04

合 計 89.42 1.48 90.90 95.30 73.46 27.16 8.21 122.45 81.68 1.1

区分 年度 tデフレーター

指数B/C

便益①残存価値

②計

①+②

便益B

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河川-2-29

3.事業進捗の見込み

1)地域の協力体制

肝属川流域では、河川整備の早期実現に向けた地域住民・関係機関の要望が高

いことから、地域との連携を図りながら、河川整備を進めている。

■肝属川改修促進連盟会

一級河川肝属川の直轄事業の継続とその改修促進を図るため、関係機関に対し積極的

な要望活動を実施。

■大隅経済地域開発推進協議会

大隅地域の一体的な開発の推進、産業、文化等の飛躍的な発展を目指し、関係機関に

対し積極的な要望活動を実施。

■地域と一体となった河川管理

肝属川水系においては、支川の姶良川では「姶良川河川愛護会」、支川高山川では「こう

やま川・川の少年団」の団体が、河川整備の勉強会や河川のクリーン作戦など様々な取り組

みを行っている。

肝属川の鹿屋市街地については、水辺へのアプローチ箇所が少なく、活動団体が無い状

態であったが、鹿屋市の再開発事業と連携した水辺プラザ事業の完成に伴い、鹿屋市にお

いて清掃活動団体が発足し、毎月 1 回、川の清掃活動を行っている。

再開発事業との連携による 水辺プラザ箇所の利用状況

肝属川鹿屋市街地 「水神様川づくり隊」による河川清掃

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河川-2-30

■姶良川河川愛護会

アユが泳ぎ、釣りや川遊びが出来る姶良川であって欲しいとの想いから、川の清掃やアユ

の放流、釣り大会などを行っています。町をあげて行う姶良川クリーン作戦には、色んな世代

の人が川の清掃に取り組んでいます。

■清流ルネッサンスⅡ

肝属川では、地域の住民、鹿屋市、鹿児島県、国土交通省などが役割分担し、川をきれ

いにするための行動計画を作成して、水環境の改善対策を実施しています。

肝属川清流ルネッサンスⅡの行動計画は、2010 年を中間評価年、2015 年(平成 27 年度)

を最終目標年度としています。

姶良川クリーン作戦

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河川-2-31

4.コスト縮減の方策等

以下に示す手法により工事コストの縮減を図った。

・新技術・新工法の採用

・発生土の工事間の利用促進によるコスト縮減

・広幅鋼矢板を採用することによるコスト縮減

・建設副産物の発生抑制の推進によるコスト縮減

・大型除草機械による除草工法の見直しによるコスト縮減

・再生砕石の利用促進

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河川-2-32

5.まとめ(総括)

①事業の必要性等に関する視点:継続が妥当

・肝属川水系の 7 割が特殊土であるしらすで覆われており、堤防の大半がしらすを堤体材料

としている。そのため、過去の出水においても河岸崩壊、陥没、法面崩壊等の被害が度々

発生

・肝属川の下流部はなだらかな低平地となっており、氾濫区域が広いため、破堤氾濫が生じ

た場合、甚大な被害が発生

・平成 2 年 9 月出水、平成 9 年 9 月、平成 17 年 9 月出水など近年大きな出水が発生

・肝属川は農業・畜産業が盛んな地域であり、我が国有数の食料基地の役割を果たしている

こと。また、国家的重要施設(鹿屋航空自衛隊、志布志湾国家石油備蓄基地、鹿児島宇

宙空間観測所)へ物資の輸送経路でもあるため、河川整備を促進して国家的重要度を向

上。

・費用と効果の比(効果/費用)は、当面の整備期間 20 年で実施する事業に対して 1 を上回

る事から事業の経済的妥当性が得られる。

②事業進捗の見込み:継続が妥当

・事業を継続実施しているところであるが、近年も浸水被害が多発している状況をふまえ、災

害を頻繁に受けている住民の強い要望に支えられた事業であることや、地域住民の河川利

用意識(カヌー、イカダ下り、マラソンなど)も大変高いため、住民だけではなく県・市町から

強力に支援されており、事業進捗に対する支障はない。

③コスト縮減の視点:継続が妥当

・工事発生土の抑制、他工事への流用を積極的に行いコスト縮減を実施

・地域産業と連携した堤防除草を行うことにより、除草費のコスト縮減を実施

・樋門樋管150箇所について、老朽樋管の改築及び統廃合及び光ファイバーを活用した省

力化によるライフサイクルコスト縮減を実施。

■対応方針(原案)

【理由】

当該事業は、前回の再評価以降においても、その事業の必要性は変わっておらず、

順調な進捗が見込まれることから、引き続き事業を継続することとしたい。