2-42

表 2.13 調査対象範囲該当町の砂防指定地等指定状況

苫小牧出張所管内の砂防指定地の内訳は下表のとおりであり，調査対象範囲内では厚真川流域の「オ

バウス沢川」，「日高幌内川」が該当する。

表 2.14 調査対象範囲該当町の砂防指定地の内訳

（北海道室蘭建設部の HP より）

④ 土砂災害危険区域等

調査対象範囲に該当する 4 町の土砂災害計画区域，土砂災害特別警戒区域の指定状況は次表のとお

りである。

厚真町は同町の山地区域の大半が調査対象範囲に含まれるので，土砂災害計画区域，土砂災害特別

警戒区域の多くが調査対象範囲に分布している。

むかわ町の区域指定箇所は，鵡川沿いの 1 箇所と道道平取厚真線沿いに 8 箇所が分布する。

安平町の区域指定箇所は調査対象範囲の西端部（安平町市街地の東側山麓部）に 3 箇所のみが分布

する。

由仁町は調査対象範囲に区域指定箇所は分布しない。

表 2.15 調査対象範囲該当町の土砂災害警戒区域等指定状況

箇所数 面積（ha） 箇所数 面積（ha） 箇所数 面積（ha）

室蘭建設管理部苫小牧出張所管内（むかわ町，厚真町，安平町）

11 296.0 ― ― ― ―

札幌建設管理部長沼出張所管内（由仁町）

― ― ― ― ― ―

砂防指定地所管（該当町）

地すべり防止区域 急傾斜地崩壊危険区域

町名 土砂災害警戒区域 土砂災害特別警戒区域

むかわ町 57 23厚真町 60 19安平町 13 5由仁町 7 4

2-43

2. 4. 2 保全対象 調査対象範囲で区分された中流域の内部（区域内）と，中流域の流域下端より下流（区域外＝調査

対象範囲外）に分布する保全対象について，住宅地図，胆振総合振興局管内図等をもとに保全対象を

抽出し数量を集計した。

なお，流域下端より下流側の保全対象は山地災害地区調査要領の「崩壊土砂流出危険地区調査実施

要領」に準じ，渓流出口から 2km 以内までの保全対象を抽出した。

保全対象は，今回の地震での被害の有無に関わらず，中流域内に存在する全てのものを数量計上し

た。

中流域毎の保全対象の数量は表 2.17に示すとおりであり，それらを大流域で整理したのが表 2.16

である。

表 2.16 保全対象集計表（大流域区分）

人家

（戸）

公共施設

（ヶ所）

企業

（ヶ所）

道道

（ｍ）

町道

（ｍ）

林道

（ｍ）

農地

（ha)

区域内 1 0 0 1,500 1,350 15,100 0.0

区域外 15 0 1 1,300 4,800 0 14.5

合　計 16 0 1 2,800 6,150 15,100 14.5

区域内 9 0 1 9,700 10,800 28,400 34.0

区域外 25 0 2 2,500 2,800 0 21.0

合　計 34 0 3 12,200 13,600 28,400 55.0

夕張川

区域内 174 0 1 35,550 33,550 56,200 58.5

区域外 112 5 6 3,500 2,600 0 20.5

合　計 286 5 7 39,050 36,150 56,200 79.0

区域内総計 184 0 2 46,750 45,700 99,700 92.5

区域外総計 152 5 9 7,300 10,200 0 56.0

総合計 336 5 11 54,050 55,900 99,700 148.5

備考範囲区分

保全対象

総　計

安平川

鵡川

厚真川

大流域

2-44

表 2.17 保全対象集計表（中流域区分）

人家

（戸）公共施設

（ヶ所）

企業

（ヶ所）

道道

（ｍ）

町道

（ｍ）

林道

（ｍ）

農地

（ha)

区域内 0 1,200 9,500

区域外 4 1,100 0.5

計 4 0 0 0 2,300 9,500 0.5

区域内 0 1,500 150 5,300 0.0

区域外 1,200 2.5

計 0 0 0 2,700 150 5,300 2.5

区域内 300

区域外 2 1,000 1.5

計 2 0 0 0 1,000 300 1.5

区域内 1

区域外 9 1 100 2,700 10.0

計 10 0 1 100 2,700 0 10.0

区域内 1 0 0 1,500 1,350 15,100 0.0

区域外 15 0 1 1,300 4,800 0 14.5

合　計 16 0 1 2,800 6,150 15,100 14.5

区域内 9 1 7,500 3,500 14,000 2.5

区域外 20 2 500 100

計 29 0 3 8,000 3,600 14,000 2.5

区域内 7,000 7,700 1.5

区域外 4 1,200 1.0

計 4 0 0 0 8,200 7,700 2.5

区域内 300 5,500 30.0

区域外 1,500 20.0

計 0 0 0 0 1,800 5,500 50.0

流域内 2,200 1,200

流域外 1 2,000

計 1 0 0 4,200 0 1,200 0.0

区域内 9 0 1 9,700 10,800 28,400 34.0

区域外 25 0 2 2,500 2,800 0 21.0

合　計 34 0 3 12,200 13,600 28,400 55.0

夕張川 Y-1

区域内 22 2,800 8,000 2.0

区域外 15 3 1,200 100 0.5

計 37 0 3 4,000 8,100 0 2.5

区域内 16 550 0.4

区域外 20 2 200 10.0

計 36 0 2 200 550 0 10.4

Z-2 区域内 18 4,500 3,500 14,600 4.0

Z-3 区域内 8,000

Z-4 区域内 5,000 5,500

Z-5 区域内 500 1,700 5,500

Z-6 区域内 8 3,500 3,000 0.6

Z-7 区域内

Z-8 区域内 2 50 1,000

Z-9 区域内 5 1,800 4,500 0.2

区域内 12 8,700 6,500 5,500 1.2

区域外 11 2,000 1,000 5.0

計 23 0 0 10,700 7,500 5,500 6.2

Z-11 区域内 4,300

Z-12 区域内 2 2,200 0.1

Z-13 区域内 4,000 300

区域内 89 1 10,000 8,000 1,800 50.0

区域外 66 5 1 100 1,500 5.0

計 155 5 2 10,100 9,500 1,800 55.0

区域内 174 0 1 35,550 33,550 56,200 58.5

区域外 112 5 6 3,500 2,600 0 20.5

合　計 286 5 7 39,050 36,150 56,200 79.0

区域内総計 184 0 2 46,750 45,700 99,700 92.5

区域外総計 152 5 9 7,300 10,200 0 56.0

総合計 336 5 11 54,050 55,900 99,700 148.5

保全対象

範囲区分中流域大流域 備考

計

総　計

Z-10

B-2

B-3

B-4

M-1

安平川

鵡川

厚真川

Z-14

M-2

M-3

M-4

Z-0

Z-1

B-1

計

計

2-45

2. 4. 3 防災施設等調査 （1）貯水ダム

調査対象範囲の周辺は胆振地方有数の穀倉地帯であり，厚真川をはじめとする河川の流下水は農業

用水および水道用水として利用されている。

調査対象範囲内には厚真川流域に 2 箇所，安平川流域に 1 箇所の貯水ダムが設置されている。

厚真川流域の厚幌ダムは，同流域が過去に台風や前線による大雨で幾度となく洪水に見舞われ，住

宅や農地などに多くの被害をもたらしてきた経緯から，洪水被害の軽減も目的とした多目的ダムであ

り，平成 30 年に竣工したばかりである。

3 箇所のダムにおいては，ダム湖や堤体周辺に多量の崩壊土砂が流れ込んだことから，陸上自衛隊

や北海道開発局により復旧が行われている。

各ダムの目的，諸元等は次表に示すとおりである。

表 2.18 調査対象範囲に位置するダムの諸元等

項目 厚真ダム 厚幌ダム 瑞穂ダム

所在地 厚真町字幌内 厚真町字幌内 安平町早来字瑞穂

河川 厚真川水系厚真川 厚真川水系厚真川 勇払川水系安平川

目的 かんがい用水 多目的（治水・利水他） かんがい用水

型式 ロックフィルダム 台形 CSG ダム ロックフィルダム

堤高 38.2m 47.2ｍ 25.9m

堤頂長 222.0m 516.0m 427.1m

集水面積 52.0km2 105.3km2 12.2km2

総貯水量 10,080 千 m3 47,400 千 m3 4,300 千 m3

有効貯水量 9,523 千 m3 43,100 千 m3 3,900 千 m3

ダム事業者 北海道開発局 北海道胆振総合振興局 北海道開発局

着手／竣工 1959／1970 2014／2018 1982／1998

（2）砂防施設

先述のとおり，調査対象範囲内の砂防指定地は厚真川流域の「オバウス沢川」，「日高幌内川」であ

り，オバウス沢川では 3 基の砂防えん堤と渓流保全工（流路工），日高幌内川では 1 基の砂防えん堤

が設置されている。

各施設の状況は下表のとおり。

表 2.19 調査対象範囲該当町の砂防指定地の内訳

水系名 渓流名 工種 施工年度 地震後の状況（写真判読）

厚真川

オバウス沢川 砂防えん堤 1 基 H4～H6 流出土砂によりほぼ満砂状態

施設自体の被災は無い。

オバウス沢川 渓流保全工

H7～H13 山腹崩壊による埋塞が多く発生

砂防えん堤 2 基 流出土砂により満砂，土砂乗り越え

日高幌内川 砂防えん堤 1 基

（ｺﾝｸﾘｰﾄｽﾘｯﾄ） H7～H11

堤体までの土砂流出は少なく，未満砂状

態。施設自体の被害なし。

2-46

写真 2.3 オバウス沢川既設砂防えん堤（3 基：赤丸）と渓流保全工埋塞状況

写真 2.4 日高幌内川既設砂防えん堤の状況

2-47

（3）治山施設

北海道より貸与された GIS データによる既往治山施設（主に渓間工）の位置は下図のとおりであり，

調査対象範囲では多数の治山施設が設置されている。

図 2.34 既往治山施設位置図（北海道 GIS データより）

2-48

航空写真（オルソ画像，DEM）から地震後の治山施設（治山ダム）の状況を確認したのが下図であ

る。渓流の源頭部および両岸が崩壊した流域に位置する既設治山ダムは，多くが土砂で埋没した状態

となっている。

今後は，埋没した各施設の状況を現地で把握し，施設機能の回復の要否等について検討することが

望まれる。

図 2.35 既往治山施設の土砂埋没状況（オルソ画像にて判読）