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西IU西西神戸市生まれ。丹波焼の[俊彦窯]での修 業を経て2005年独立。民芸の〈用の美〉 の考えをもとに、使う人が穏やかな気持ち になれる焼き物を目指す。美しいものを観 て味わう[美観味・さんみの会]など島の仲 間とイベント企画も。 10/5バジル農家・青 木さんの「basil+」、 11/1120 日本画家・ 矢吹芳寛氏の「あいモード」などのイベント をギャラリーにて開催。 2調26252100西1500u洲本市五色町鳥飼浦2667 2 20799 34 1137 午前10時~午後6時(105月は午後5 時まで) 火・水曜休 10道案内/ 電車→高速バス陸の港西淡下車、タクシ ーに乗り換え約15分 車→西淡三原IC から県道31号線を北へ、鳥飼浦交差点を 右折、出光スタンドを右折、約1km 樂久登窯 西村昌晃 さん ギャラリー&カフェ らくとがま [にしむら・まさあき] ※道案内・地図はP5を併せて参照ください。 1 「のどかな土地に、 をはっとさせるギャラリーがつ くりたかった」と西村さん。「ゆくゆくは裏山さ3mの ツリーハウスをてたい。 夕日 めてお茶会 をしたらおもしろいでしょ」。 いているだけでしい。 ドキッとさせる 空間 と、 アイデアをここに。 樂久登窯

淡路島 - kobe-np.co.jp · 2011-11-23 · 淡路島 では 島 の 南西 ... その 多 くが、iターンやu ターンで 島 に 移住 した 若手作家 だ。 [ 樂久登

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淡路島

ものづくりの若手作家が

島を元気にしています。

 

古くからの歴史を守りつつ、新しい

人や流れを受け入れて、進化していく

町が兵庫のあちらこちらに見られる。

 

近年、淡路島では島の南西側を中

心に、陶芸や服飾の作家たちのアト

リエが増えている。ものづくりの作家

同士がつながり、島を盛り上げる動

きもある。その多くが、IターンやU

ターンで島に移住した

若手作家だ。﹇樂久登

窯﹈の西村昌晃さんもそ

の1人。幼い頃から夏休み

を過ごした五色町の祖母

の家で窯を開き、昨年には「来てくれ

た人をもてなしたい」と母屋をモダン

なギャラリー&カフェに改装した。

「淡路島はいい土が採れるし、地元の

人も温かく食べ物もおいしい。ものづ

くりに最高の環境です」。島で採れた

土を練り、貝灰や火山灰などから釉

薬をつくる焼き物は、英国のスリップ

ウェア、焼締め、李朝風など。土の持つ

味わいが食卓を楽しくする。そうし

た生き方も陶芸も、「ただ自分が感動

したい。ワクワクできることを」とい

うのが西村さんの持論。大好きな海

の近くで陶芸に没頭し、時には料理

人たちと島の豊かな食材を炎の力で

味わうイベントを試みたりも。「この

島で、いかにおもしろいことができる

か」と日々考え続けるクリエイターの

魂が、島をもっと熱くする。

神戸市生まれ。丹波焼の[俊彦窯]での修業を経て2005年独立。民芸の〈用の美〉の考えをもとに、使う人が穏やかな気持ちになれる焼き物を目指す。美しいものを観て味わう[美観味・さんみの会]など島の仲間とイベント企画も。10/5バジル農家・青木さんの「basil+」、11/11~20日本画家・矢吹芳寛氏の「あいモード」などのイベントをギャラリーにて開催。

ギャラリーは2部屋に分かれ、墨黒の壁に包まれた部屋には焼締めの大皿

や壺など芸術性の高いものを。ガラス張りの窓から日の光が注ぐ真っ白な空

間は民芸調の日常遣いの器を展示。しのぎの伝統技法を施した青緑の釉薬

が美しい中皿2625円。水玉柄のマグカップ2100円など。

工房と向かい合わせの、築百年の母屋をモダンに蘇らせたカフェで腕をふ

るうのは、西村さんのお母さんとお姉さん(写真右)。「私が子どもの頃、母

と一緒につくったおうちの味を再現しています」。鮎原米をはじめ、地魚、地

野菜たっぷりなランチ1500円は要予約。

u洲本市五色町鳥飼浦2667‐220799‐34‐1137午前10時~午後6時(10~5月は午後5時まで) 火・水曜休 Ⓟ10台 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車、タクシーに乗り換え約15分 車→西淡三原ICから県道31号線を北へ、鳥飼浦交差点を右折、出光スタンドを右折、約1km

樂久登窯

西村昌晃さん

ギャラリー&カフェ

らくとがま

[にしむら・まさあき]

※道案内・地図はP5を併せて参照ください。

いま、気になる町へ。

取材・文/伊藤順子 

新谷慶子 

野上知子 

増田

恵 

牧野しのぶ 一幡祐子

撮影/青木 崇 

貝原弘次 

前田博史 

ゆう

やく

1

「のどかな土地に、来た人をはっとさせるギャラリーがつくりたかった」と西村さん。「ゆくゆくは裏山に高さ3mのツリーハウスを建てたい。海に沈む夕日を眺めてお茶会をしたらおもしろいでしょ」。聞いているだけで楽しい。

ドキッとさせる空間と、アイデアをここに。

樂久登窯

2

 

夫婦で立ち上げた服のブランド

「Char*

」の誕生から2年目に、横浜か

ら南あわじ市へ移住し、6年目の今年

アトリエ兼ショールームを開いた。「服

のテイストもこれまで以上に絞り込

めて、より私たちらしくなってきたと

思う」と清岡まなみさん。着て触って

気持ちがよく、何度も手を通したく

なる服は、「緩やかな島の時間が、僕ら

が目指すものをつくらせてくれる。焦

らず仕事を楽しめて、僕ら自身が癒や

されているのかも。淡路島に腰を落ち

着けてから、服づくりだけでなく子育

てや暮らしもうまく回り出しました」

と正明さん。実は当初、淡路島発のブ

ランドが都会の人に受け入れられる

か不安だったとか。「でも横浜時代の

友人たちが『カッコいいよ』と背中を押

してくれた」。服の自然な風合いが清

岡夫妻の日常生活とより近づき、島の

空気とあつらえたように重なっている。 東京のアパレルメーカー数社で企画・パターン・

経営を学び、2005年、横浜でオリジナルブランド「Char*」を設立。2007年春、家族4人でまなみさんの故郷である淡路島に移住。コットンやリネンなど、水をくぐるほどに風合いの増す自然素材を中心に、長く愛される服づくりを目指す。

築75年の古民家をリノベーションした住まい兼アトリエ兼プレスルーム&ショップは7月に完成。設計は「私たちのことをわかり、センスを引き出してくれる」洲本市在住の一級建築士・山下涼代さん(写真右)に依頼。

u南あわじ市津井2066 20799‐36‐3078http://char‐by‐cheep‐cheep.com/午前11時~午後5時 不定休 ※来店時は要予約 Ⓟ3台 ※通販あり 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車、らんらんバスに乗り換え、松の前下車徒歩約5分(本数少) 車→西淡三原ICから県道31号線~県道25号線で北西へ約10分

ブランドイメージにぴったりなプレスルーム&ショップは元・農作業小屋。秋冬物の定番、ナイロンフードブルゾン24,150円(写真左)、自然裏毛ロングカーディガン15,960円(右)などが人気。

自然素材の服づくり。

島風そよがせて、

Char*by cheep-cheep

清岡正明さん清岡まなみさん

Char*

チャー・バイ・チープチープ

※P2・3の道案内・地図はP5を併せて参照ください。3

 

家業の玉ネギ農家を継ぎながら、

「古伊賀」の再生に打ち込む前田さん。

「古伊賀とは、安土桃山時代の20数年

間だけ栄え、最高峰と言われながら

消えた焼き物。大学時代に研究者で

ある恩師と出会い、魅了されました」。

最もこだわるのが、登り窯で火を入れ

る「焼成」。1年間かけて集めた10トン

以上の薪を、4昼夜焚き続ける大変

な作業だ。「当時の陶工の気持ちを知

るため、薪は手割りで。釉薬は使いま

せんが、木の灰が溶けてグリーンのガ

ラス(ビードロ)状になったり、渋い色

調になったり、自然が生み出す色が美

しい」。茶陶の花入れや茶碗以外に、日

常遣いの器も豊富。「農業と陶芸、互い

が支え合って僕があります。農家をし

ながら陶芸をする良さは、島に生きて

いると実感できること」。重厚で力強

いのに触れると温かな気持ちになる

器は、前田さんの人柄そのものだ。

恩師と一緒につくった6連の登り窯。1年間つくりためた器は、毎年2月にだけ焼成する。最終日は1,400度、4m近くの火柱が上がって大迫力。「焼き物は生きものと同じで命がある。一生かけて取り組む価値があります」。

山口での大学時代、古伊賀と運命的に出合う。卒業後郷里淡路に帰り、資料や文献も少なく難しいとされた古伊賀の再生に励む。納屋を改装した手づくりの工房では陶芸教室を開催。少人数で丁寧に教えてもらえる(1回5,000円・要予約)。工房の見学時も、電話予約を。

u南あわじ市志知中島6262090‐7110‐6987 午前10時~午後7時 無休(毎年6月は休) ※来訪時は要予約 ⓅP3台 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車、タクシーに乗り換え約5分 車→西淡三原ICから県道31号線、八幡北交差点を西へ入り、川を越えて1本目を北へ。ICから約5分

鶴来窯前田幸一さん

かくらいがま

左は安土桃山時代から続く様式美を踏襲した茶陶。色も形も一点もので見入ってしまう。右は小皿2,000円、カップ&ソーサー5,500円、オーレボウル3,800円など。

幻の陶器に打ち込む。

半農半陶で

鶴来窯こ

ゆうやく

しょうせい

ギャラリー土坐 つちざ

[みちかみ・だいすけ]

4

 

土の質感を生かした壁、昔の瓦を

砕いてツタ模様に埋め込んだ土間、漆

喰で固めた海を思わせる瑠璃色のカ

ウンター。400年の歴史を誇る瓦

産業の町・津井にある﹇大栄窯業﹈の

工場の2階にあるギャラリーは、どこ

にもないアートな空間が魅力。空間の

すべてが、世界で活躍する淡路島出身

の左官職人・久住有生さんの手によ

るというのもぜいたくだ。「以前から

知り合いなので依頼を。例えば壁な

ら『あえて細かなひび割れを

残すほうがかっこいいや

ん?』と相談しながら進め

ました。淡路瓦が発展した

のは粘土質のいい土が採れ

るから。島の土と瓦だけの空間で

心地よさを感じてください」と3代目

の道上大輔さん。「機能美にあふれ、

風情ある町並みを形成する和瓦の魅

力を、再発見するきっかけに」と瓦と

同素材のいぶし銀のコースターや雑

貨を販売したり、本物の瓦をイスに使

う発想もユニーク。お茶を飲んでくつ

ろぎながら、淡路瓦を身近に感じたい。

淡路瓦の魅力と

可能性を発信。

ギャラリー

土坐

昭和36年創業の大栄窯業3代目。1年前に工場の一角にギャラリーをオープン。瓦コースター(グッドデザインひょうご選定)を考案したり、新築やリフォームで瓦屋根を選んだ人に立ち合ってもらう「瓦の火入れ式」が評判を呼ぶなど、瓦の新たな可能性を発信。

u南あわじ市津井2124‐2 20799‐38‐0500午前9時~午後4時 不定休 Ⓟ15台 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車らんらんバスに乗り換え、津井下車徒歩約1分(本数少) 車→西淡三原ICから県道31号線~県道25号線で北西へ約10分

道上大輔さん

卵形ドーム「egg」がシンボル。入ると座ってくつろぎたくなる宇宙的空間。左奥、カウンターの向こうは海! 瓦のイスは、座ると緩やかなカーブがお尻にしっくり。

※道案内・地図はP5を併せて参照ください。

しっ

くい

くすみなおき

5

鳴門海峡と瀬戸内海を一望できるテラス席は犬同伴OK。カマンベールチーズオープントースト780円、フレーバーソーダー580円。淡路玉ネギ、淡路牛、牛スジを煮込んだカレー980円も人気。

プライベートビーチみたいに穏やかで、のんびりした船瀬ビーチを眺めながら、スイカモヒート(1,000円)でノドを潤せば最高。ロコモコやグリーンカレーなどのフードメニューもそろう。

エフビーアイ

u南あわじ市阿那賀1603‐75晴海ヶ丘内 20799‐39‐0999午前10時~日暮れ頃 月・火・水曜休(祝日の場合は営業、1~2月ごろ冬季休業あり) Ⓟ6台 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車、タクシーに乗り換え約15分 車→淡路島南ICから県道25号線を北上し、晴海ヶ丘内へ

u洲本市五色町鳥飼浦235920799‐34‐0900http://www.fbi‐camping.com/[レストラン&バー] 午前10時~午前0時頃 GW~10月末のみ営業 Ⓟ10台 道案内/電車→高速バス陸の港西淡下車、タクシーに乗り換え約20分 車→津名一宮ICから県道88号線~県道31号線を南西へ約5分、喫茶宝舟付近で右折

島時間の名残を惜しんで、海を感じる立ち寄り。

カモメテラス

一瞬が永遠のような、大人のリゾートを遊ぶ。

 眼下に広がる海岸線の美しさに魅せられて神戸から移り住み、海をのぞむ別荘地でカフェを営む井上さん夫妻。「学生時代はヨットを。昔から海の見えるところで暮らすのが夢だった」と昌宏さん。「時計はほとんど見ない」と紀子さん。友人の家でお茶をしているような心地よい錯覚は、お2人の空気感のおすそわけかも!?

FBI

バックパッカー仲間で開拓中のビーチハウス。

 老夫妻が営んでいた海の家の閉鎖を、バックパックの旅が大好きな仲間が残念に思って一念発起。自分たちの手でほぼ1年をかけてキャンプ場を復活させた。「まだまだ絶賛、開拓中(笑)。現在工事中のバンガローは来年にお披露目の予定」とオーナーの行(ゆき)淳弥さん。冒険基地に吹く風は、とことん爽やかだ。

[淡路島への道案内] 電車→各線三宮駅、またはJR神戸線舞子駅から高速バス、各バス停へ           車→神戸淡路鳴門自動車道で各ICへ

瓦工場が建ち並ぶ通り、工場の2階にギャラリーはある。カフェを併設し、季節のスイーツや島の搾りたてミルクのジェラートが楽しめ

る。ギャラリーではコースターや箸置きづくり体験(材料費込み・送料別2100円)が大人気。自分だけのオリジナルに挑戦してみたい。

桜、アジサイ、紅葉など日本の伝統柄をデザインした瓦コースターはお土産に。手触りがよく水滴を吸うので機能的。各1680円。

淡路島南IC

西淡三原IC

洲本市役所

成ケ島南あわじ市役所

諭鶴羽山

諭鶴羽ダム

洲本IC

八幡

25

31

28

28

D拡大図

A拡大図B拡大図

C拡大図

船瀬海水浴場

鳥飼小学校

集会所

播磨灘

鳥飼浦

31

472

FBI

樂久登窯

A

来馬製瓦所

Char*by cheep-cheep

ギャラリー土坐

B

八幡北イオン

淡路農産食品

看板

31

C

鶴来窯

丸山簡易郵便局

晴海ヶ丘

淡路信用金庫

2525

D

カモメテラス

Q 篠山古い文化を生かしながら

町が再生しています。

7 6

姫路市生まれ。西宮市でカフェを経営していた時、篠山の古民家再生事業に携わって、現地で店をオープン。平成21年に[plug LLC]を立ち上げ、篠山をアピールするイベント企画や、ショップ誘致を通して町づくりに取り組む。10/8~10、15、16、22、23「ササヤマルシェ」、11/12「ベジタボーワンダホー」を篠山城下で開催予定。http://plug-sasayama.com/

仕掛け人の吉成さん、

どうなっていますか?

篠山の町はいま

間口の広い古民家の﹇プラグストア﹈は、気軽に入れるオープンな雰囲気。「篠山の〈人〉がいいんです」と吉成さ

ん。スタッフの足立亜矢さんは、フランスアンティークの洋服を藍染めしたウエアなどを手掛ける藍染め作家。

練り込みという手法でつくられた掛谷康樹の器は、

練上手盛鉢8925円など。ほかにフェアトレード

の雑貨、地場産業の農産物など「つくり手の思いを

届けたい」と暮らしに根ざした日用品をセレクト。

u篠山市西町32‐5 2079‐552‐2555午前11時~午後6時 火・水曜休 Ⓟなし(市営駐車場を利用) 道案内/電車→神姫バス誓願寺前下車徒歩約1分

plug LLC

吉成佳泰さん代表 (右)

プラグストアつくり手と使う人をつなぐ空間。

吉成さんをはじめ[plug LLC]のスタッフで営む、篠山の古民家改装ショップの草分け。懐かしい佇まいの空間には、播州織り作家・玉木新雌の布作品をはじめ、モダンな日常遣いの器や、地元農家の人の手づくりみそなど、丁寧につくられた生活用品が並ぶ。

プラグ・エルエルシー

 

武家屋敷や商家のレトロな建物が

並ぶ篠山には、ここ1〜2年で個性的

なカフェや雑貨店が急増中だ。そんな

変化の仕掛け人の1人が、﹇plu

g LLC

の吉成佳泰さん。古民家ショップ経営

やイベント企画など、地元の人たちと

力を合わせて町の魅力をアピール。そ

の思いや取り組みを伺った。

――吉成さんが篠山

の町づくりに携わる

きっかけは何ですか?

 

数年前に篠山の古

民家再生の活動に参

加する機会があり、初

めて篠山を訪れた時、

ロケーションの素晴らしさと町が秘め

た可能性を感じました。城下町とし

ての歴史や里山などの自然、歩いて町

を楽しむのにちょうどいいサイズ感が

すごく魅力的だなと。祭りの風習を

守り、日本人の丁寧な暮らしが息づ

き、伝統を大切にしていることにも共

感しました。もともと篠山では、市や

町のコミュニティやNPOによって、町

を再興しようとする動きがあったの

で、そこに地元以外の目線である僕ら

がかかわり、活動がぐっと広がったの

だと思います。

――外から、中からの力がうまく作用

した結果なのですね。吉成さんのプラ

ンを教えてもらえますか?

 

まず町に残っている古い民家を改

装し、魅力的なお店に入ってもらうこ

とで、町を訪れた人が回遊して楽しめ

る下地をつくりました。これまでに10

軒ほどの店舗を受け入れ、篠山の空気

に合い、町の魅力と響き合うようなカ

フェや器の店が人気を集めています。

僕自身も﹇プラグストア﹈という古民

家ショップを営業して、大家さんや地

元の方と交流して風習や考え方を学

び、それが新しくお店を開く人へのア

ドバイスになることも多い。そうして、

篠山に人を呼ぶ仕組みの大枠はつく

れたかなと。今は、篠山の農業や地場

産業に注目しているんです。地元野菜

や農産物を販売する「ササヤママル

シェ」「ベジタボーワンダホー」などのイ

ベントを企画し、内外から大好評です。

古いものをそのまま維持するのは難

しいですが、外から違う空気を入れる

ことで、お互いに良い刺激が生まれま

す。町と人、人と人をつないで、新しい

発見や可能性を広げていきたいですね。

た ま き に い め

※道案内・地図はP9を併せて参照ください。

よしなりよしひろ

Q8

吉成さん、どんなお店が町を盛り上げていますか?

裕樹さんの工房[poncrafts]の漆器は、木目を出す拭き漆、木目をつぶす白い漆など味わいも多彩。箸置き525円~、菓子盆1,575円など。

u篠山市栗柄476‐32079‐506‐0343正午~午後5時 木・金曜休 Ⓟ2台 道案内/電車→神姫バス栗柄奧下車徒歩約3分(本数少) 車→丹南篠山口ICから国道77号線~県道97号線で約20分

居七十七 「城下町でお店を開くことも考えたけど、本能のように、山すそで住みたくなって」という希望通りの、緑の田んぼと多紀連山を借景にした1軒家。木工作家の野澤裕樹さんと設計士の奧さん・香織さんが大阪から移住し、快適な住まいを叶えるハウスマテリアルショップを開く。ヒノキや竹を材料にした食器や生活雑貨が温かく、ほっこりしつつ選びたい。

いなとな

u篠山市乾新町202‐22079‐552‐3680金・土・日曜の正午~午後7時のみ営業 Ⓟ3台 道案内/電車→神姫バス誓願寺前下車徒歩約1分

トロンコ

 木の柱や白壁、土間があるシンプルな空間にモダンな家具や雑貨が並ぶ落ち着いた雰囲気のカフェ兼家具のショールーム。神戸・北野の[トリトンカフェ]の姉妹店で、オリジナルの家具[オーバーオール]のイスやテーブルを使ってお茶やランチができる。オーナーの松岡賢太郎さんがセレクトした作家の作品や雑貨なども販売。ゆっくりと空間を楽しみたい。

u篠山市河原町121‐12079‐552‐7522午前11時~午後6時 月・木曜休(火・水曜不定営業) Ⓟ5台 道案内/電車→神姫バス大篠山下車徒歩約3分

ハクトヤ器とくらしの道具

 元町で服飾のバイヤーをしていた一瀬裕子さんが、篠山の縁日への参加を機に、篠山の町と人に惚れ込み昨年4月にお店をオープン。「当時のこの辺りはまだお店が少なくて。吉成くんと、町を盛り上げたいよねって話しました」という建造物保存地区である商家群の一軒家に、一瀬さんがコツコツ集めた器や古道具がぎっしりと。思いが詰まった宝箱のようなお店。

もとは旅館や郵便局だった建物は「篠山では珍しい間口の広さが

気に入った」と松岡さん。地元野菜を使ったチキンカレー

円。

関西では取り扱いがここだけの馬場勝文さんの焼き物(急須

7350円など)や小鹿田焼、小石原焼など優しい色目の器が。

野澤夫妻の

暮らしぶりからも、

古民家再生の

ヒントをもらえます。

元郵便局の古民家と、

オーナー松岡さんが

つくる家具が

ピッタリです。

店主の一瀬さんの人柄の

良さに尽きます。

リピーターも多いんです。

※道案内・地図はP9を併せて参照ください。

5

ちょっと東へ。

9

ささらい

 

篠山の城下町から東へ、車で10分ほ

ど。山里の風景に囲まれた﹇ささらい﹈

は、庄屋屋敷だった古い建物に和食や

スイーツ、自然素材の服や食材の店が

仲良く共存した心和む空間だ。「地元

の大工さんの心意気で、縁側や欄間、

塗り壁など古い意匠を生かして改装

してもらいました」と﹇ささらい﹈オー

ナーの藤岡敏夫さん。玄関の木戸を

くぐると土間があり、座敷への上がり

口には立派な神棚、奥には米蔵を利

用したショップやイベントスペースも。

﹇mokono

﹈店主の竹岡たまみさんは、

「ゆったりと流れる時間をみんなで共

有してもらえたら」とここでの過ごし

方を提案する。ランチを楽しんだあと

は古民家内を巡って、建物の趣と豊か

な暮らしを味わおう。

ささらい里山旬菜料理

篠山店

種 の々森

2079‐556‐3444午前11時30分~、午後1時30分~(2部制、前日までに要予約)、カフェ午前10時~午後7時 火・水曜休(祝日の場合は営業)

地元農家からその朝に仕入れた野菜の旨みを生かし、多彩な創作料理を提供。蔵にあったという豪華なお膳や食器に盛りつけられた料理は目にも鮮やか。要予約で3,675円のコースのみ。

mokono

2079‐556‐2822金・土・日曜の午前11時~午後5時のみ営業(祝日の月曜は営業)

自然素材の服や作家が手がける作品をセレクト。肌触りの良いガーゼや綿の服、オーガニックの締めつけない靴下など心地よいおしゃれが楽しめる。店内の織り機は、店主の作品づくりの場にも。

2079‐506‐2280(とあっせ)午前10時~午後7時 火・水曜休(祝日の場合は営業)

[とあっせ]の藤岡亜樹子さんが集めた蔵書を、まさに蔵の中で展示・販売。小説、詩集、紀行など気に入った1冊を備え付けのイスに座ってじっくり読むのもOK。隠れ家のようで、ほっと息抜き。

2なし午前10時~午後5時 金・土・日曜、祝日のみ営業

丹波篠山産を中心に国産の食材や調味料、地元野菜、お茶、手づくりみそなどを販売。生産地以外ではここでしか買えないものなど、生産者の気持ちが伝わる製品が並ぶ。山椒みそ525円など。

モコノ

しゅしゅのもりひよこ文庫ひよこぶんこ

[篠山市街地への道案内]電車→JR福知山線篠山口駅から神姫バスで各所へ 車→舞鶴若狭自動車道丹南篠山口ICから約10分で篠山市街地方面へ

u篠山市日置3972079‐556‐3444 ⓅP10台道案内/電車→神姫バス篠山営業所下車、タクシーに乗り換え約10分 車→丹南篠山ICから県道306号線~国道372号線で約15分

各店主はそれぞれのセンスを生かし、家族のように和やかな雰囲気。左から[ささらい]の藤岡敏夫さん、[とあっせ][ひよこ文庫]の藤岡亜樹子さんご夫妻。[mokono]の竹岡たまみさん、[種々の森]の奥山実代さん。

つのお店をハシゴできます!

素敵なお店が集まって古民家複合ショップができました。

とあっせ

2079‐506‐2280午前10時~午後7時 火・水曜休(祝日の場合は営業)

素材を厳選した「芦屋ぷりん」で知られる[とあっせ]の2号店。篠山の卵と牛乳でつくる里山プリン(321円)など。奥の座敷のほか、スタンディングカフェや中庭などでもいただける。コーヒー580円。

舞鶴若狭

自動車道

丹南篠山口IC

篠山城跡JR福知山線

鍔市ダム五坊谷池

篠山口駅

97

77

69

301

306372

A拡大図

B拡大図

C拡大図

176

東岡屋

風深

乾新町

篠山城跡

篠山市役所

丹波市立歴史美術館三井住友

銀行

丹波田園交響ホール

河原町通

丹波古陶館宅間家史料館

アグロガーデン

スーパーマーケットニシヤマ

篠山川南新町

河原町三差路

77 トロンコプラグストア(plug LLC)

ハクトヤ

器とくらしの道具

A

多紀連山登山口

栗柄奥バス停

八柱神社栗柄ふれあいセンター

97

居七十七B篠山川

ミニストップ

城東支所前日置北

城東小学校

交番

日本チバガイギー12

372

Cささらい

10

 

姫路城の北東部・野里エリアは、か

つて街道を結ぶ交通の要路で、多くの

商家や寺が集まり繁栄した所。姫路

市都市景観重要建築物指定の町家や

商家が残り、歩調を緩めて歩きたく

なる通りがある。「野里は歴史的資源

も数多く、その良さを知ってもらって、

にぎわいのある場所にしたいですね」

と話すのは、NPO野里まちづくりの

会理事長でこの町の仏壇店店主・瀬

通りに並ぶ町家は今もほとんどの家が住居として使われている。元禄時代から鋳物屋を営んでいた大野家住宅は都市景観重要建築物。虫籠窓など町家らしい意匠が見られ、予約すれば見学も可。

大正時代の銀行跡や明治期の呉服店、「お夏清十郎」の比翼塚を祀る慶雲寺など、「野里は世界文化遺産の姫路城のバッファゾーン(建物などを含んだ周辺地域)。その町並みを保存し伝えたい」と話す瀬澤さん(左)と町家の景観を残す仕出し料理店[尾張屋]のご主人大脇さん。

u姫路市大野町532079‐225‐1141 午前9時~午後7時 日曜・祝日休 Ⓟ6台

井上書林 いのうえしょりん

ジュエリーショップ併設のユニークなブックカフェ。

 1895(明治28)年創業の老舗書店を、宝石関係の仕事に携わっていた4代目の井上さんが、カフェやキッズスペース、ジュエリーコーナーもあるユニークな書店へとリニューアル。「宝石店の敷居を低くし、お子さん連れのお母さんもゆっくり本が楽しめると好評です」。

﹇姫路・野里への道案内﹈

電車↓JR神戸線・山陽電車姫路駅から神姫バ

ス、野里門、河問町、慶雲寺前、伊伝居、梅ヶ枝

町を利用

車↓国道2号線姫路市民会館前交

差点から県道518号線を北へ

「新しい店やスタイルも加わることで、町の活性化に繋げたい。ここがコミュニティースペースになれば」と井上さん。コーヒー400円など。

u姫路市威徳寺町27 2079‐286‐8783http://www.mobbs.jp 午前9時30分~午後7時30分 木曜休 Ⓟ4台

MOBBSモブス

アレンジの美しさが評判のモダンなフラワーショップ。

 建物自体まるでギャラリーのようなモダンな趣き。シックな色合いは町家が点在する通りにとけ込み、「いたって普通の花屋ですよ」と店主の陸井さん。日常遣いの生花はもちろん、インテリアとしてさりげなく決まる観葉植物もそろうので、遠方のファンも多数!

「落ち着いた町並みを気に入って2009年にオープンしました」と陸井さん。年配の人たちが子どもたちに声をかける優しい町だとも。

新旧の良さに触れる姫路まちなか散策。

澤義和さん。町家の公開などイベント

を企画し、野里のまち歩きの楽しさ

を広めている。一方﹇井上書林﹈の井上

陽介さんが会長を務める野里旧街道

活性化協議会では、商店街の店主や

市内の若手ショップオーナーが野里

旧街道の活性化に力を注ぐ。どちら

も「野里を元気にしたい!」という思

いは同じだ。新旧が交わることで、さ

らに野里のまち歩きの楽しさが増す。

立ち寄りたい町のニューウェイブ。

姫路・野里 いま、気になる町へ。

なるせ(昔の銀行跡)

姫路城・JR姫路駅

伊伝居

梅ケ枝町

野里駅

姫路駅慶雲寺

JR播但線

野里旧街道

慶雲寺前

魚橋呉服店

尾張屋

大野家住宅松屋(P13参照)

MOBBS

井上書林

11

u西宮市山口町船坂16262078‐904‐2603午前10時~午後9時(午前11時30分~午後2時30分はランチタイム) 火曜・第3水曜休(祝日の場合は営業) Ⓟ15台

展示・交流期間=9/16(金)~10/1(土)の金・土・日曜、祝日のみ開場 Ⓟなしhttp://funasaka-art.com/minori/

アリス癒しの森のガーデン・カフェ・レストラン

森の中の洋館でぜいたくなひとときを。

ドラマのロケ地のようなかわいい旧船坂小が主会場に。

 まるで童話の世界のような豊かな自然に囲まれた一軒家レストラン。「英国風ガーデンを眺めながら、くつろいでいただければ」と店主の八濱さん。庭の奥には水遊びもできる滝が流れ、邸宅に遊びにきた気分で、ゆっくりとランチやティータイムを楽しみたい。

 ビエンナーレの間の年になる今年は、船坂が大好きなアーティスト達による、「土と火と、実りの里の芸術祭2011in船坂」を旧船坂小で開催。つながる心地よさを、秋の里山で楽しみたい。

ケーキセット1,050円。ランチは1,600円から。人気は三田牛のビーフシチューがセットになったクイーンアリスコース2,600円。

昨年3月に閉校した船坂小学校。木造校舎の残るカワイイ建物は、今後も船坂のランドマークだ。校舎から見える里山風景がのどか。

立ち寄りは癒しのレストラン。

[西宮・船坂への道案内]電車→阪神西宮駅、JRさくら夙川駅、阪急夙川駅からさくらやまなみバス、船坂橋下車または、JR宝塚線・阪急宝塚線宝塚駅から阪急バス、船坂下車 車→中国自動車道西宮北ICから国道176号線~県道82号線を西宮方面へ※アートイベントへはバス利用が便利

 

南北に意外と広い西宮。いわゆる

〈阪神間〉と呼ばれる町並みとは違っ

た顔を持つのが、北部にある船坂地区

だ。今も棚田や茅葺きの古民家が残る

里山の風景が広がる船坂で、09年のプ

レイベントに続き、10年「西宮船坂ビエ

ンナーレ」が開催された。野外を含む

地域のあちこちに現代美術作品が展

示され、約550人の町に2万人もの

見学者が訪れた。「船坂は日本の原風

景が広がる近場の異空間。心の開放感

が得られる場所です。イベントでは地

元の人の力が大きな力になりました」

と、同イベント総合ディレクター藤井

達矢さん。地元の人達の中心となりイ

ベントを支えた、西宮船坂里山芸術推

進委員会の池田壱和さんと八濱雅彦

さんも「多くの人に船坂の良さを知っ

てもらいたい」と、今ある里山を生か

したアートとの調和を見守る。

地域を散策すれば2010年の西宮船坂ビエンナーレの作品が、自然の中にとけ込むように置かれている。

棚田に置かれた木のボックスは、藤井龍徳作「水の音ーみずのやどり」。右一番上はその内部。

里山を歩いて

アートに出合う町。

西宮・船坂

「イベントを通して、さらに地域の絆が深まったように思います」

と話す池田さん(右)や八濱さん(左)らが発行する地域の新聞

「船坂新聞」に、藤井さんからアプローチがあったことがイベント

開催のきっかけに。「ビエンナーレの時も行政主導ではなく、地元

の人が手弁当で支えてくれました。これほど地域の人がかかわっ

てくれたイベントは他にはないのでは」と藤井さん。時間が経って

変化する作品、再生する古民家など「時空」も楽しみたい。

船坂

有馬温泉セブンイレブン

船坂山王神社

夙川・苦楽園方面

有馬街道船坂川

西宮北有料道路

茅葺き屋根

茅葺き屋根

直売所

船坂橋

宝塚

アリス

旧船坂小学校

善照寺

棚田