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安倍政権の成長戦略 - 日本産業の競争力強化に向けて - 2013年7月 みずほ銀行 産業調査部

安倍政権の成長戦略...安倍政権下における主要会議の関係図 閣議 産業競争力会議(日本経済再生本部) 総合科学技術会議 規制改革会議

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安倍政権の成長戦略- 日本産業の競争力強化に向けて -

2013年7月

みずほ銀行

産業調査部

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安倍政権の成長戦略 概観

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安倍政権の経済政策 – 3本の矢でデフレ脱却、持続的成長を目指す

安倍政権の経済政策

金融政策

大胆な金融緩和大胆な金融緩和

財政政策

財政規律の維持財政規律の維持

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

日本産業再興

プラン

戦略市場創造

プラン

成長戦略の実現

国際展開戦略

産業政策

経済財政諮問会議

日本経済再生本部

(産業競争力会議)

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3 Copyright © 2013 Mizuho Bank , Ltd

省庁横断的な技術・イノベーションの施策・基本方針を取りまとめ

省庁横断的な規制改革のテーマを調査・審議、及び取りまとめ

産業成長を推進する為の調査・審議・新成長戦略を取りまとめ

構成員

安倍政権下における主要会議の関係図

閣 議

産業競争力会議(日本経済再生本部)

総合科学技術会議 規制改革会議

経済・財政運営並びに予算運営全般に係る基本的な方針を調査・審議及び取りまとめ

構成員

安倍 内閣総理大臣(議長)

麻生 副総理 兼 財務大臣

菅 内閣官房長官

甘利 内閣府特命担当大臣

新藤 総務大臣

茂木 経済産業大臣

黒田 日銀総裁

(民間議員)

伊藤 東京大学大学院教授

小林 三菱ケミカル社長

佐々木 東芝社長

高橋 日本総研社長

経済財政諮問会議

連携連携

連携

連携

報告 報告

内閣府

内閣府

内閣府内閣府

安倍 内閣総理大臣(議長)

麻生 副総理 兼 財務大臣

甘利 内閣府特命大臣(副議長)

菅 内閣官房長官

茂木 経済産業大臣

山本 内閣府特命大臣(科学技術)

稲田 内閣府特命大臣(規制改革)

秋山 サキコーポレーション社長

岡 住友商事相談役

榊原 東レ会長

坂根 コマツ相談役

佐藤 みずほ社長

竹中 慶應大学教授

新浪 ローソン社長

橋本 東京大学大学院教授

長谷川 武田薬品工業社長

三木谷 楽天会長兼社長

(民間議員)

産業競争力会議概要

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

安倍政権の主要会議概要

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4 Copyright © 2013 Mizuho Bank , Ltd (出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

安倍政権の成長戦略 概観①

安倍政権の成長戦略 概観

成長戦略の目標値

今後10年平均で、 名目GDP(国内総生産)成長率3%、実質GDP成長率2% 程度を実現

10年後に、 一人当たり名目GNI(国民総所得)150万円以上拡大

新陳代謝とベンチャーの加速 :設備・資産入替、事業再編、起業を促す枠組の構築、思い切った投資減税

規制・制度改革と官業開放の断行 :「規制省国」の実現により、農業・医療・エネルギー等を新たな成長産業に

⇒グローバル競争に勝ち続ける製造業の復活、付加価値の高いサービス産業の創出を図る

民間の力を最大限引き出す

女性が働き易い環境を整える :保育所整備、育休後の職場復帰支援で労働参加率を引き上げる

若者・高齢者が能力を生かし働く :行き過ぎた雇用維持から、労働移動支援型へ大胆にシフトする

若者を世界で活躍できる人材に :大学を世界標準にし、世界と戦える人材を育てる

全員参加・世界で勝てる人材を育てる

新たなフロンティアを作り出す

成長への道筋

技術立国・知財立国を再興する :研究開発の司令塔機能を強化し、国際競争に打ち勝つ体制を構築

世界に飛び出し、世界を惹きつける :制度面の障害を取り除き、官民一体で戦略的に市場を取込む

⇒全く新しい市場の創造、国際マーケットの取り込み

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300

350

400

450

500

550

600

650

1990 2000 2010 2020

(兆円、2000年価格)

自然体での潜在GDP

2012年:532兆円↓

2022年:540兆円

実質成長率2%を維持する

時の潜在GDP

2022年:648兆円(自然体+108兆円)

経済成長の目標値に対する水準感

実質GDP成長率2%の実現には、2022年までに自然体から100兆円以上のGDP上積みが必要に

一人当たり名目GNIの150万円増には、名目GDP3%成長に加え、所得収支の倍増を実現する必要

名目GDP3%以上 ≒ 実質GDP2%以上 + GDPデフレーター1%以上

実質成長2%の確保

⇒自然体+108兆円

実質GDP成長率2%の水準感 一人当たり国民総所得150万円増の水準感

一人あたり

名目GNI

名目GDP 所得収支

人口

+

2012年 390万円

+475兆円 +15兆円

1.26億人

+

2022年 540万円

+638兆円 +26兆円

1.23億人

+

一人あたりGNI

+150万円

+名目GDP

3%成長

所得収支

約倍増

(出所)内閣府、人口問題研究所、厚生労働省HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

安倍政権の成長戦略 概観

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安倍政権の成長戦略 概観②

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

1.日本産業再興プラン

(1)産業

の新陳代謝

緊急構造改革プログラム・3年で設備投資70兆円に回復

(2)

人材・雇用

人材力強化・雇用制度改革・20年に女性就業率73%

(3) 科学技術科学技術イノベーションの推進

・5年以内にイノベーション世界1位

(4) IT世界最高水準のIT社会の実現・データ公開を世界最高水準に

(5)

立地競争力

立地競争力の更なる強化・20年にビジネス環境世界3位

(6)中小企業

革新

産業基盤革新による地域活性化・開廃業率10%台

2.戦略市場創造プラン

(1)健康長寿

国民の「健康長寿」の延伸

・20年に予防/介護産業

市場10兆円に

(2)エネルギー

クリーン・経済的なエネ

ルギー需給の実現

・20年に約26兆円市場に

(3)次世代

インフラ

安全・便利で経済的な

次世代インフラの構築

・20年に16兆円市場に

(4)地域資源

世界を惹きつける地域資源

で稼ぐ地域社会の実現

・10年間で農業所得倍増

3.国際展開戦略

(1)TPP

/FTA

戦略的な通商関係の構築

と経済連携推進

・18年までに貿易のFTA

比率70%を目指す

(2)海外

市場獲得

海外市場獲得のための戦

略的な取組

・20年に30兆円のインフラ

システム受注

(3)資金・

人材基盤

整備

成長を支える資金・人材

等に関する基盤の整備

・20年に対内直接投資

を35兆円に倍増

日本の経済成長実現に向けて、3つの観点でアクションプランを構築

日本産業再興プラン :ヒト・モノ・カネを活性化するための仕組み作り・環境整備を実施(直ちに取組むべき計画)

戦略市場創造プラン :「社会課題を解決」しつつ、「強みを発揮」し、「市場成長」できる分野に資源を投入(中長期戦略)

国際展開戦略 :グローバル市場取込と共に、日本の魅力を世界へ発信する仕組み作りを構築

安倍政権の成長戦略 概観

競争力強化の土壌を作る

(環境整備・仕組み作り)

戦略分野に政策資源を投入し

内需を生み出す(産業化推進)外需を取込み輸出拡大を図る

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1990-1995

1995-2000

2000-2005

2005-2009

2012-2022e

TFPの寄与

資本投入増加の寄与

労働投入増加の寄与

GDP成長率

労働投入の観点でのアプローチ・女性/高齢者活用や教育推進により、人口減に伴う労働投入減少を防ぎ、労働の質を高める

日本産業再興プランでは、労働、資本、生産性の各々の観点から競争力強化の環境を整備し、経済成長へのアプローチを図る

経済成長率の寄与度分析の観点からのアプローチ(イメージ)

『1.日本産業再興プラン』による経済成長の道筋

0%

資本投入の観点でのアプローチ・新陳代謝、立地競争力強化、中小企業革新による、投資の増加・拡大を推進

生産性の観点でのアプローチ・科学技術イノベーション/IT活用により生産性を改善

①新陳代謝 ⑤立地競争力

③科学技術 ④IT

⑥中小企業

②人材・雇用

(出所)RIETI『JIPデータベース2012』等よりみずほ銀行

産業調査部作成年

経済成長率の寄与度分析

安倍政権の成長戦略 概観

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2012 2022

戦略市場創造プランでは、 「日本・世界が直面する社会課題」のうち、「日本が国際的に強み」を持ち、「グローバルに市場成長が期待」できる産業分野をターゲットに政策資源を投入し、経済成長を企図 エネルギー、医療、農業、インフラ等の内需分野での新たな市場の創出を企図

同分野の産業化・競争力強化に伴い、外需取込(輸出展開)や、関連産業等への波及効果も期待

戦略市場創造プランにおけるターゲット市場、及び経済成長イメージ

『2.戦略市場創造プラン』による経済成長の道筋

(出所)内閣府資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

戦略市場創造プランのターゲット市場 『日本産業再興プラン』による経済成長イメージ

①産業化による経済成長

規制緩和等によりエネルギー、

医療、農業、観光等の産業化

と市場拡大を図る(内需取込)

②外需取込による成長

国内産業化により競争力を強化

し、海外需要も取込む

(Ex. 火力発電、農作物輸出等)

③関連産業への波及

市場拡大・活性化により関連

産業への波及を期待

(Ex. 農業の6次産業化等)

安倍政権の成長戦略 概観

解決すべき社会課題を有する産業

今後グローバルに市場拡大する産業

エネルギー

医療

農業

インフラ

日本が強みを発揮できる産業

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『2.戦略市場創造プラン』の意義

戦略市場創造プランにより、国内産業の競争力を強化し自給率を向上、更に輸出を拡大する 富の流出を防ぎ(内需取込)、富の流入を増やす(輸出拡大)観点で貿易収支改善に非常に有効な手段となり得る

国内で競争力を強化し、今後市場拡大が期待されるアジアを中心に輸出展開を

安倍政権の成長戦略 概観

農業、医療、エネルギーの国内自給率、及び輸出入金額 富裕層・上位中間層のアジア人口

医療

(医薬・

医療機器)

エネルギー

(注記)自給率:農業:食料自給率(カロリーベース)、医療:医薬・医療機器金額ベース、エネルギー:熱量ベース

輸出入:農業:農産品(2012年)、医療:医薬・医療機器(2011年)、エネルギー:鉱物性燃料(2012年)

(出所)農林水産省、経済産業省、厚生労働省、省エネルギーセンター資料よりみずほ銀行産業調査部作成

戦略市場創造プラン

(出所)経済産業省HPよりみずほ銀行産業調査部作成

(注1)富裕層・上位中間層は世帯可処分所得が15千ドル以上の人口

(注2)ASEAN6: シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム

(注3)NIEs3: 韓国、台湾、香港

輸入額 3.5 兆円

輸出額

輸入額

1.0 兆円

24.1 兆円

国内生産69%

輸入31%

国内生産20%

輸入80%

農業輸出額

輸入額

0.3 兆円

5.4 兆円

輸出額 0.6 兆円

国内生産39%

輸入61%

5.7億人

日本中国

1.2億人

3.5億人

インド

1.6億人

ASEAN6

0.8億人NIEs3

2010年実績 2020年予測

1.6億人

1.6億人 0.6億人

0.6億人

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2012 2022-200

-100

0

100

200

300

400

500

600

700

94 96 98 00 02 04 06 08 10 12

内需

輸出

輸入

国際展開戦略では、競争力のある分野での海外需要の取込による経済成長を企図

経済連携推進等により、輸出製品の競争力強化の土壌を整備し、輸出拡大を促進

パッケージ化(インフラ輸出等)、ブランド化(クールジャパン等)による新たな輸出分野・産業を拡大

主要構成別GDP及び市場拡大戦略イメージ

『3.国際展開戦略』による経済成長の道筋

(兆円、2005年度基準)

(年度)

構成別(内需・輸出・輸入)GDP推移『国際展開戦略』による輸出拡大戦略(イメージ)

(出所) 内閣府『国民経済計算』等よりみずほ銀行産業調査部作成

安倍政権の成長戦略 概観

既存輸出製品

(自動車・電機・機械等)

新たな輸出製品

(インフラ輸出・クールジャパン)

①経済連携推進による

既存輸出製品の競争力

強化・輸出拡大を促進

②パッケージ化・ブランド化

の促進により輸出分野・

産業を拡大する

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0

10

20

30

96 98 00 02 04 06 08 10 12 22

その他

証券投資収益

直接投資収益

(兆円)

(年)

(参考)所得収支の拡大には何が必要か

1人当たりGNI拡大に向けては、GDP増加とあわせ、所得収支の拡大を図る必要

投資額・投資収益率の双方の観点から所得収支の拡大を図るべき

安倍政権の成長戦略 概観

(出所) 財務省『国際収支統計』、日本銀行資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

(※)2012年末時点の直接投資純資産72兆円 (資産90兆円、負債18兆円)、

証券投資純資産125兆円 (資産305兆円、負債181兆円)

所得収支の推移、及び所得収支拡大に向けた考え方

求められる方向性(案)

求められる政策(案)

1)投資額の拡大(※)

・積極的な海外進出・投資の推進

(競争力のある間に国際展開を積極支援)

2)投資収益率の拡大

・投資ポートフォリオの見直し

⇒低リスク債券から株式投資・直接投資等

高リスク・高収益分野へのウェイト拡大

○投資インフラ整備(新興国の金融関連法制・

会計ルール整備支援)

○EPA等の活用による現地での投資規制の緩和

○投資家のリスクテイクを支援するインセンティブ

(長期株式保有の売却益に対する課税軽減等)

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(参考) 消費者物価指数(CPI)及びGDPデフレータの推移

1995年以降CPI2%超は97年、08年の2回、GDPデフレータ1%超は97年のみ

CPI/GDPデフレータのいずれの指標をベースにするにせよ、過去平均から約2%強の上昇が求められる

CPI(消費者物価指数)、GDPデフレータ(前年同月比)推移 CPI、GDPデフレータの概念の違い

CPI

(出所)総務省統計局、内閣府HPより等よりみずほ銀行産業調査部作成

(注記)CPI、GDPデフレータの平均は1995年1月以降の前年同月比(伸び率)の平均値を採用

・・・全国消費者世帯が購入する商品(財・サー

ビス)価格の平均的な変動を測定

GDPデフレータ

・・・名目GDP ÷ 実質GDP

・・・民間消費、政府支出、設備投資、輸出入

等各財の物価動向を反映

CPI、GDPデフレータの主な違い

1)GDPデフレータは民間消費以外の支出・

投資・輸出入の物価動向も含めて反映

2)CPIは財別数量を一定と前提としているが、

GDPデフレータは四半期毎に変更

(統計目的の違い)

-4.0%

-2.0%

0.0%

2.0%

4.0%

1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

CPI(消費者物価指数)

GDPデフレータ

日銀 CPIターゲット2%

GDPデフレータ目標1%

日銀 CPI平均▲0.1%

GDPデフレータ平均▲1.1%

安倍政権の成長戦略 概観

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インフレ率(コアCPI)2%が実現した時期の需給ギャップはいずれも+2%超の需要超過状態

2年後にインフレ率2%を実現するためには、2年後の需給ギャップが+2%になっている必要

⇒ 需給ギャップを縮小させるためには、一定期間、潜在成長率を上回る成長を続けることが必要

⇒ 現在の需給ギャップは▲2%程度なので、1年で2%、2年で4%需給ギャップを押し上げる必要

⇒ わが国の潜在成長率は0.5~1.0%程度。今後2年間に、求められる実質成長率は年率2.5~3.0%(=潜在成長率+2%)

(参考) CPI2%実現には何が必要か

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

1 0

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

労 働 投 入 ギ ャッ プ資 本 投 入 ギ ャッ プ消 費 者 物 価 (前 年 比 )需 給 ギ ャッ プ

(% 、% p t )

(出 所 )内 閣 府 、総 務 省 、経 済 産 業 省 等 よ り み ず ほ コ ー ポ レ ー ト 銀 行 産 業 調 査 部 作

需給ギャップとコアCPI

(出所)内閣府、総務省、経産省HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

日本銀行はCPI (消費者物価指数)の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期

間を念頭において、できるだけ早期に実現 (2013年4月4日 日銀・金融政策決定会合)

安倍政権の成長戦略 概観

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1.日本産業再興プラン

競争力強化の土壌を作る

(環境整備・仕組み作り)

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日本産業再興プラン 全体像

日本経済の3つの歪み(“過少投資”“過剰規制”“過当競争”)の是正のため今後5年間を「緊急構造改革期間」と位置づけ、集中的に取り組みを進める

「産業競争力強化法案(仮称)」を国会に提出し、政策資源を集中的に投入

1.日本産業再興プラン 全体像

日本産業再興プラン

(1) 産業

の新陳代謝

緊急構造改革プログラム

(2) 人材・雇用人材力強化・雇用制度改革

(3) 科学技術科学技術イノベ

ーションの推進

(4) IT世界最高水準のIT社会の実現

(5) 立地競争力立地競争力の更なる強化

(6) 中小企業

革新

産業基盤革新

による地域活性化

産業競争力強化法

主要提言

企業への思い切った投資減税

インパクト

待機児童解消加速化プラン

高度外国人材活用

総合科学技術会議の司令塔機能強化(予算権限等)

最先端研究開発支援プログラム(FIRST)後継施策

世界最高レベルの通信インフラ整備

電子行政推進(政府CIO、ダッシュボード)

国家戦略特区創設

公営施設運営権の民間開放

個人保証制度見直し、事業承継・引継支援

地域産業競争力協議会の設置

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

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民間投資の拡大

新市場の開拓

(規制改革/新事業投資促進) 事業再編の促進

産業競争力強化法(仮称)検討の背景と方向性

日本経済が有する3つの歪み(過少投資/過剰規制/過当競争)を是正すべく、3つのポイント(民間投資拡大/新市場開拓/事業再編促進)を促す政策パッケージ(仮称:産業競争力強化法)を検討

(出所)内閣府HP「第9回産業競争力会議 茂木大臣提出資料」等よりみずほ銀行産業調査部作成

問題意識ー 3つの歪みの解消によりデフレの悪循環を解消 ー

過少投資

過剰規制

過当競争

(過剰設備)

3つの歪み 好循環への3つのポイント

産業競争力強化法(仮称)の方向性

消費・需要拡大

新市場創出

市場

設備投資・事業再編拡大

収益力向上

企業

賃金・所得の上昇

個人・消費者

好循環

法案提出時期

2013年夏までに内容確定、秋の臨時国会提出予定

政策パッケージの方向性

1.民間投資(設備・R&D)の拡大

○生産設備の更新・新規投資に対する税制措置

○リース活用による新規設備促進

○クリーンエネルギー・ファイナンス制度創設

2.新市場の開拓(規制改革/投資促進)○公的分野での適法性確認・認定制度の創設

(グレーゾーンの明確化)

○新事業創出に向けた税制措置

○創業支援(個人保証負担軽減/支援チーム創設)

3.事業再編の促進

○収益力向上への経営計画の後押し、過剰供給

構造にある分野の再編を促す税制措置・金融支援

○コーポレートガバナンス強化

1.日本産業再興プラン (1) 産業の新陳代謝

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電子行政推進の方向性①政府CIOの設置、ITダッシュボードの導入促進

政府CIOの下、無駄を省き、利便性を向上した電子行政サービス(電子政府)を推進

更に日本版ITダッシュボードを整備し、IT投資を適正化する方向

1.日本産業再興プラン (4) IT

電子行政推進の方向性(政府CIO設置、ITダッシュボード導入)

(出所)内閣府HP「第6回産業競争力会議 山本大臣提出資料」等よりみずほ銀行産業調査部作成

政府CIO(Chief Information Officer)の意義・位置づけ

意義

各府省が個別にIT投資を実施した結果、重複・連携不足による無駄・利便性が低下

IT政策統括者(政府CIO)を設置し、各省と調整を実施し、利便性を向上する必要性

CIO位置づけ

内閣

内閣官房 IT戦略本部

総理大臣(本部長)

全国務大臣

内閣情報通信政策監

(政府CIO)意見・報告

IT担当大臣・府庁横断的計画策定

・経費見積もり方針作成

・施策実施に関する指針策定

・施策評価

日本版ITダッシュボードの方向性

政府全体のIT投資適正化に向け、IT投資を国民に対して透明化する「日本版ITダッシュボード(複数の情報源からデータを集め、一覧表示する機能)」整備を実施

米国版ダッシュボードは情報公開に重点を置いているが、日本版では更に開発計画・実績情報・技術情報等を公開する方向

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電子行政推進の方向性②クラウド化推進、公共データの民間開放

クラウド活用により、各府省の情報システムを統合し、運用経費の3割減を目指す方向性

公共データを民間が加工しやすい形態でインターネット上で公開し(カタログサイトの設置)、民間サービス創出に寄与

1.日本産業再興プラン (4) IT

(出所)内閣府HP「第6回産業競争力会議 山本大臣提出資料」等よりみずほ銀行産業調査部作成

クラウド技術活用による政府情報システム改革

意義

現在各府省が約1,500の情報システムを別個に整備。

クラウド化活用によりシステム数を半減し、20年までに約3割の運用コスト削減を目指す

政府共通プラットフォーム化(クラウド化)イメージ

公共データの民間開放(オープンデータの推進)

公共機関が保有するデータ(空間情報、調達情報、統計情報、防災情報等)を、民間が編集・加工しやすい形でインターネット上で公開、総合案内・横断検索可能なカタログサイトを立上げ

民間の新サービス・新ビジネスの創出に寄与

クラウド化

ハードウェア

ソフトウェア ソフトウェア ソフトウェア

共通情報(利用者認証・決済機能)

Aプログラム

Bプログラム

Cプログラム

Dプログラム

Eプログラム

Fプログラム

ハードウェア

ソフトウェア

Aプログラム

Bプログラム

Cプログラム

Dプログラム

Eプログラム

Fプログラム

ハードウェア

ソフトウェア

ハードウェア

ソフトウェア

ハードウェア

ソフトウェア

ハードウェア

ソフトウェア

ハードウェア

ソフトウェア

現行システム

オープンデータ化(イメージ)

A省

B機構

C市

公開

データ

公開

データ

公開

データ

データカタログ

(ポータルサイト)

検索

収集

企業・個人

電子行政推進の方向性(クラウド活用、公共データの民間開放)

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電子政府推進の方向性③ まとめ

民間政府地方自治体

利用者(個人・法人)

デジタル

B省A省 C省B市A県

個別ソフト

個別ソフト

ハードウェア

個別ソフト

ソフトウェア

ハードウェア

ソフトウェア

個別ソフト

個別ソフト

A社

システム

行政サービスシステム(ポータル)

マイナンバー (データ連携基盤)

サービス

デジタル

国民にとっての

利便性向上

クラウド

ビッグデータ 公共データ

の開放

オープン

ガバメント

行政コスト

の削減

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

各種電子政府化推進により、利便性向上、行政コスト低減、オープンガバメント化の3点の改善が期待

電子行政推進の意義(まとめ)

1.日本産業再興プラン (4) IT

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「国家戦略特区」の意義、今後の検討プロセス

地方主導の「特区」制度から、「総理主導」による大胆な規制緩和・税制措置を含めた「特区」を設立(ワーキンググループにて8月頃目処に地域・プロジェクトを選定)

1.日本産業再興プラン (5)立地競争力

(出所)内閣府HP「国家戦略特区ワーキンググループ」資料よりみずほ銀行産業調査部作成

国家戦略特区の創設(案) 概要

ミッション

世界で一番ビジネスをしやすい環境を作る

アプローチ方法/スケジュール

国家戦略特区WGを立上げ(2013/5)

・現行特区制度の検証、本特区の制度設計

・地域・プロジェクト選定(8月目処)

「国家戦略特区諮問会議」設立(今秋目処)

・総理を長とし、民間有識者も参画

特区毎に「統合推進本部」を立上げ

・実施計画策定、規制改革、税制措置検討

ビジョン/意義

これまでとは次元の違う「国家戦略特区」の創設

総理主導の下、強力な実行体制の構築

特区検討プロセス(イメージ)

内閣総理大臣

国家戦略特区諮問会議

民間有識者

特区担当大臣

(特命担当大臣)措置要求

関係大臣

関係大臣

必要に応じ会議出席

諮問会議にて

特区の方向性

検討の上、

措置要求

を実施

統合推進本部

特区担当大臣

知事・市町村長

民間事業者

農業特区

統合推進本部

特区担当大臣

知事・市町村長

民間事業者

医療特区

統合推進本部

特区担当大臣

知事・市町村長

民間事業者

イノベーション特区

統合本部にて

個別特区毎に

具体策

(規制改革・税制

措置)等を検討

etc

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コンセッション、PPP/PFIの導入状況と今後のアクションプラン(案)

コンセッション方式、PPP/PFI活用推進

1.日本産業再興プラン (5)立地競争力

(出所)内閣府PFI推進室資料よりみずほ銀行産業調査部作成

今後10年で12兆円規模のPPP/PFI方式導入により、公共サービスに民間資金・民間活力の導入を促進(空港/道路/水道事業等へ積極的に推進)

コンセッション方式

PPP/PFI

PFI( Private Finance Initiative)

- 公共サービスに民間の資金・経営能力・技術能力

を導入し、事業コストの削減と共に、効率的・効果的な

サービス提供を図る手法

PPP(Public Private Partnership)

- PFIの概念を拡大し、サービスの属性に応じて民間

委託、PFI、民営化等の方策により効率化を図る手法

施設の所有権を移転せずに、民間事業者に施設の事業

運営等に関する権利を貸与する方式

実施状況

PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン

(内閣府「民間資金等活用推進会議」より)

PFI法制定(1999年)後のPFI事業の導入実績

・事業件数 418件、契約件数 約4.1兆円(99-12年累計)

全体目標

・今後10年で12兆円規模のPPP/PFIを実施

4つのアクションプラン

公共施設等運営権制度を活用したPFI事業:3兆円

・空港、上下水道事業における積極導入

収益施設活用等の事業収入PFI事業:4兆円

・高速道路(首都高等)の維持更新にPPP導入検討

公的不動産有効活用等のPPP事業:2兆円

・ガイドライン・提案窓口整備、官民連携体制構築

その他事業累計(複数施設包括化等):3兆円

・PPP/PFIの抜本改革に取組む省庁・地方公共団体

への補助金・交付金重点化

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【みずほ提言】PPP/PFIの促進施策

1.日本産業再興プラン (5)立地競争力

構想段階

維持・運営

段階

企画・発注

段階

経済性

PFI法では対象だが、個別法がネック

官 民

発注方法にそもそも不慣れ

事務手間が膨大/時間がかかる

地元企業が参画しづらい

応札ノウハウ不足(地場企業等)

事務手間が膨大

既存の公務員の扱い

個別法改正

特区活用

発注ノウハウ支援

CM/工事分離 等(地場と大手の分担)

出向制度改定 等 経験・ノウハウのある人材不足

VFMを確保できない

補助金・財源制度 等とフィットしない

民間提案制度の確立

競争的対話の導入 規模が小さい

創意工夫の余地が小さい

リスク分担が不明確補助・税制等の

イコールフッティング

(個別制度改定)

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参考)韓国のPFI推進機関PIMAC/CM方式・工事分離

1.日本産業再興プラン (5)立地競争力

韓国のPPP/PFI支援機関PIMAC

所管官庁/自治体 PIMAC実行支援

民間事業者

民間提案

提案募集書類審査

入札評価・交渉支援

入札

韓国のPFI(PPI)は予算編成権を持つ企画財政部が所管

推進機関の公共投資管理センター(PIMAC)が設置され、約40名の専門スタッフが他官庁・自治体等のPFI実行を支援

民間提案はPIMACが受付、提案評価やVFMテストを所管官庁とともに行う

民間の当初提案者には加点あり

企画財政部予算編成/協議

CM方式/工事分離

SPC

PFIは地場企業の入札ノウハウが不十分で対応しづらいとの指摘あり

震災復興で導入されたCM方式であれば、大手のマネジメントノウハウと地場企業への発注を両立することも可能に

羽田の国際線旅客ターミナル事業のPFIでも、SPCが建設施工者を選定する方式を採用

自治体

地盤調査

測量

詳細設計

地元建設会社

地元建設会社

地元建設会社

建設会社

建設会社

PPP/PFI発注

個別業務発注

コンストラクション

マネージャー(CMr)

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2.戦略市場創造プラン

戦略分野に政策資源を投入し内需を生み出す

(産業化の推進)

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戦略市場創造プラン 全体像

健康長寿、エネルギー、次世代インフラ、地域資源(農業・観光)を戦略市場とし、政策資源を投入

ポイントは産業化により「課題解決」と「内需拡大」を図ること、さらに中長期的には産業の競争力強化により、海外輸出へと繋げていく点

戦略市場創造プラン

日本版NIH(医療分野の省庁横断機能)創設

主要提言

MEJ(メディカルエクセレンスジャパン)活用による医療国際展開

インパクト

ヘルスケアポイントの実証実験推進

高効率火力発電推進(環境アセス迅速化)

風力発電導入推進(環境アセス・送電網整備等)

新築物の省エネ基準適合義務化(住宅・建物省エネ推進)

インフラ長寿命化基本計画の策定

安全運転支援・自動走行システム開発・環境整備

車両関連ビックデータでの情報サービス環境整備

賃貸スキーム活用による農業大規模化促進

農業の6次産業化推進

ビザ発給要件緩和(訪日観光促進)

2.戦略市場創造プラン 全体像

(1)

健康長寿

国民の「健康長寿」

の延伸

(2)

エネルギー

クリーン・経済的なエネ

ルギー需給の実現

(3)

次世代

インフラ

安全・便利で経済的な

次世代インフラの構築

(4)

地域資源

世界を惹きつける地域

資源で稼ぐ社会の実現

(農業・観光)

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

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日本版NIHの創設

医療分野の研究開発の司令塔機能創設により、研究開発予算の一元化・戦略的配分や、基礎研究から実用化までの一気通貫の支援を目指す

研究開発を戦略的に実施することで、特に(再生医療等の)先端医療分野での国際競争力を強化

日本発の医薬品・医療機器を増加させることにより、先端医療の推進や治験環境整備による市場創出の効果を(欧米企業ではなく)日系プレイヤーが最大限享受することが可能に

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

(出所)内閣府「第3回 健康医療戦略参与会合」等よりみずほ銀行産業調査部作成

日本版NIH創設の意義・位置づけ

(参考)米国NIH 概要

27研究所・センターで構成

・国立ガン研究所

・国立アレルギー感染症研究所

・国立心臓肺血液研究所

・国立総合医科学研究所

・国立糖尿病・腎疾病研究所

・国立神経疾患・脳卒中研究所

・国立精神衛生研究所 等

組織形態

健康増進・寿命延伸・病患負担軽減のための研究

目的(Mission)

309億ドル(約3兆円)予算(2013年予算)

約18,000名従業員数

National Institute of Health名称

日本版NIH 骨子

骨子

総理・担当大臣・関係閣僚からなる推進本部設置

医療分野の研究開発に関する総合戦略を策定

医療分野の研究開発予算を一元化、戦略的予算配分

を実施

基礎研究から実用化まで管理する中核組織を設置

臨床研究・知見が確実に実施される仕組みの構築

スケジュール

医療分野の研究開発の司令塔機能の創設

2013年8月末までに推進本部を設置

詳細設計を実施の上、概算要求に反映

所用の法案を時期通常国会に提出

設置意義

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【医療の国際展開】MEJを活用した医療パッケージ輸出推進

(出所)経済産業省資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

現地受入先

Medical Excellence JAPAN (MEJ)

医療機器メーカー

システムベンダー

医療機関

医療周辺サービス

医療/流通

その他医療関係者

日本政府

後方側面支援を行う後方側面支援を行う

日本の医療・関連企業等の窓口となり、交渉を担当する日本の医療・関連企業等の窓口となり、交渉を担当する

MEJのアウトバウンド案件イメージMEJのアウトバウンド案件イメージ 平成24年度 日本の医療機器・サービスの海外展開に関する調査事業平成24年度 日本の医療機器・サービスの海外展開に関する調査事業

従来主に医療インバウンドの窓口として活動してきたMEJ(メディカル・エクセレンス・ジャパン)を、2013年4月に医療パッケージ輸出の窓口・取り纏め機能を担う機関に改組

東芝、日立、オリンパス、テルモ等、医療機器メーカー23社が当初参画

新興国を中心に2020年までに医療拠点を10ヶ所程度創設、2030年までに5兆円の市場獲得を目指す

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

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ヘルスケアポイント制度がもたらすインパクト

ヘルスケアポイント制度は高齢者の健康関連データを元にポイントを付与する仕組。同制度は健康寿命の延伸へのインセンティブになると共に、医療・介護保険財政の肥大化抑制に貢献

更にシルバー産業(生活・健康・教育等)の活性化や、データ活用による新たな健康関連産業の創出にも寄与

総合特区を活用し、来年度よりモデル確立に向けた実証実験を開始予定

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

ヘルスケアポイントの概念図と波及効果(イメージ)

健康クラウド

特定健診

データ

歩数計

データ

血圧計

データ

・・・

健康関連

ビッグ

データ

健康関連データ

健康度

評価・還元

ヘルスケア

ポイント付与

集約寿命延伸・社会保障費抑制

数値化

健康関連産業(医療・介護等)

での新製品・新サービス創出

高齢者による消費活性化

健康関連産業の創出(事例)

期待される波及効果・事例(イメージ)

医療・介護事業等での活用

分析

ヘルスケアポイントの付与により各個人の健康

寿命の延伸へのインセンティブに

併せてヘルスケアポイントの活用や、健康寿命

の延伸により、社会保障費抑制にも寄与

ポイント付与により高齢者の消費行動にも波及

生活関連産業 :見守り、宅配、リフォーム・・

健康推進産業 :フィットネス、テニススクール・・

教育娯楽産業 :カルチャークラブ、教育、旅行・・

運動量を元に設計された保険商品開発

健康度毎の予防運動プログラム設計・提供

データ蓄積の為のセンサー・機器開発 等

(出所)内閣府HPよりみずほ銀行産業調査部作成

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【【みずほ提言みずほ提言】】グレーゾーンとは

■■医師(医師の指示を受けた看護師等)以外の医行為の禁止・各医療職の権限で行う業務範囲・責任の不明確さ・医行為の定義の不明確さ⇒民間事業者が医療関連分野へ参入する障壁になっていると考えられる

■医療法人の収益事業の制限・社会医療法人以外の医療法人…収益事業禁止・社会医療法人…全収入の20%以内の収益事業が可能・収益事業の範囲(事業内容)が明確に定められていない⇒民間事業者が医療法人と提携して予防医療へ参入する障壁となっていると考えられる

■保険内サービスと保険外サービスの併用不可(混合診療の禁止)⇒民間事業者が医療法人と提携して予防医療へ参入する障壁となっていると考えられる

医 師 法

歯科医師法

保助看法(※)

医 療 法

医療保険制度

法令・制度 概 要

(※)保健師助産師看護師法

規制内容や法解釈が曖昧であり、事業者が参入を躊躇している分野

グレーゾーンをホワイトにすることにより、事業者の創意工夫によるサービスの多様性、利用者の利便性の向上、新たな民間事業者の参入による産業の活性化、市場の創造が期待できる。

医療・介護関連における主なグレーゾーンは、以下の分野が考えられる。

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

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【【みずほ提言みずほ提言】】グレーゾーンのホワイト化による事業機会の拡大

医療機関と民間事業者(フィットネスクラブ等)の連携による運動指導⇒医療機関から生活習慣病患者やリハビリ難民(*)をフィットネスクラブに紹介し、医師の指示に基づく運動指導を行う。

紹介料等のインセンティブ収入が混合診療?

保険制度

紹介料等のインセンティフ収入が医療法人の収益事業?

医 療 法

民間事業者による運動指導は医行為?

医 師 法

事例 ① 【運動指導】 事例 ② 【簡易健診】

疾病予防、安心して運動療法を実施

利 用 者

インセンティブ収入医療機関

顧客対象、サービス提供範囲の拡大

民 間

事 業 者

自己採血による簡易健診

⇒自己採血による血液検査等により、低価格で簡易な健診を実施。

自己採血は医行為には当たらないが、一部の自治体は医師法等に抵触するとして、出店を認めないケースが有る。

⇒ 自治体ごとに判断が異なる

健診受診機会の拡大による疾病の早期発見

利 用 者

健診分野への民間事業者の進出

民 間

事 業 者

【【グレーゾーングレーゾーン】】 【【ホワイト化によるメリットホワイト化によるメリット】】

事業イメージ 事業イメージ

【【グレーゾーングレーゾーン】】 【【ホワイト化によるメリットホワイト化によるメリット】】

(出所)経済産業省資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

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医療介護情報電子化、利活用推進(ICT利活用)

医療情報・レセプト情報の電子化・データベース化により、①患者の利便性向上、②健康寿命伸長サービスの実現、③医療政策の質の向上・研究基盤強化、④医療費の適正化を実現を目指す

2.戦略市場創造プラン (1)健康寿命延伸

(出所)内閣府HP「第9回産業競争力会議 菅大臣提出資料」等よりみずほ銀行産業調査部作成

健康・医療分野でのICT利活用のイメージ

病院

診療所

介護施設

患者・顧客

医療情報

レセプト情報

医療情報

レセプト情報

医療情報

レセプト情報

医療情報

レセプト情報

データ

ベース

提供

提供

提供

保険者

分析

活用

PMDA(※)等

分析

活用

(※)Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)

医薬品、医療機器の品質、安全性等の審査、及び情報分析・提供を実施

副作用データ分析

加入者の医療費分析

レセプト審査充実・強化

カルテ・介護情報共有

お薬手帳/母子手帳電子化

個人医療データ管理・活用

臨床研究・知見データベース

処方箋電子化(実証)

特定健診・医療技術効果分析

活用

分析結果の還元・活用

分析結果の提供

(予防・健診等)

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【発電設備動向】世界の発電設備投資は火力・風力が今後中心に

世界の火力発電投資は2035年までに累計約250兆円の見通し(約2.7兆ドル)

日本における石炭及びLNG火力発電設備の2030年迄の累積設備投資規模は4.7兆円 高効率火力発電への輸出が期待

世界の発電設備投資規模予測(2012-2035)

世界の発電設備投資規模予測(2012-2035)

(出所)IEA”WEO2012”よりみずほ銀行産業調査部作成

日本の発電設備投資規模予測(40年リプレースケース2014-2030)

日本の発電設備投資規模予測(40年リプレースケース2014-2030)

942

1,549

2,129

1,2591084

2,722

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

火力 原子力 水力 風力 太陽光 その他

(bil USD)

石炭

ガス

石油

火力設備投資

4.7兆円

石炭

1.8兆円

LNG

2.9兆円

(出所)「コスト等検証委員会報告書」等よりみずほ銀行産業調査部作成

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

LNG 石炭

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【風力発電】環境アセス短縮化、送電網の整備・実証を推進

風力発電の導入促進の諸課題のうち、重要課題であった下記2点の改善を推進

環境アセスメントの迅速化 :3-4年かかるとされた環境アセス手続き期間の半減を目指す

送電網の整備・実証 :電力系統(送電網)の整備により、導入インフラを整備

1. 長期導入目標の設定1. 長期導入目標の設定

政策的長期導入目標と実現に向けたロードマップ策定により、民間事業者の参入意欲を高める仕掛けを工夫する要

*風力発電導入量をコミット

-例)風力発電導入量 1.6GW/年×20年

政策的長期導入目標と実現に向けたロードマップ策定により、民間事業者の参入意欲を高める仕掛けを工夫する要

*風力発電導入量をコミット

-例)風力発電導入量 1.6GW/年×20年

2. 事業性の担保2. 事業性の担保

民間開発事業者・投資資金を呼び込む為に、採算性が見込める事業環境を整備

*買取制度の実効性担保

*電力系統増強&系統利用ルールの整備

*事業継続性の担保 等

民間開発事業者・投資資金を呼び込む為に、採算性が見込める事業環境を整備

*買取制度の実効性担保

*電力系統増強&系統利用ルールの整備

*事業継続性の担保 等

3. 規制緩和・ルール整備3. 規制緩和・ルール整備

不要・過剰な規制を見直し、導入をスピードアップ

*耕作放棄地における導入拡大

*洋上風力開発エリア拡大

*環境アセスの簡素化・短縮化(3-4年を半減)

*農地転用、漁業者との調整 等

不要・過剰な規制を見直し、導入をスピードアップ

*耕作放棄地における導入拡大

*洋上風力開発エリア拡大

*環境アセスの簡素化・短縮化(3-4年を半減)

*農地転用、漁業者との調整 等

風力発電市場創出の課題風力発電市場創出の課題

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

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▲ 600

▲ 400

▲ 200

0

200

400

600

800

1,000

0

50

100

150

200

250

300

350

400

所得増減

既存電源代替

操業

設備投資

GDP誘発効果(右軸)

(億円/GW) (億円/GW)

国産化率80% 国産化率20%国産化率80%国産化率20%

メガソーラー 洋上風力

発電コストの由来が国内生産か輸入かは、産業振興の観点からは重要な論点◆再エネルギー(太陽光・風力発電)のGDP誘発効果は大きい

◆国産化率 = 80% とした場合、洋上風力導入により1GWあたり400億円弱のGDP創出効果が期待

【風力発電】“再生可能エネルギーによる産業振興”のマクロ経済的な意義

(出所)「コスト等検証委員会報告書」等よりみずほ銀行産業調査部作成

電源別発電コスト比較電源別発電コスト比較

0

2

4

6

8

10

12

14

原子力 LNG火力 風力

(円/kWh)

系統対策費CO2排出クレジット購入費燃料費政策経費・事故リスク対応費用等運転維持費資本費

輸入

輸入

国内生産

国内生産

国内生産

メガソーラー・洋上風力導入によるGDP創出効果メガソーラー・洋上風力導入によるGDP創出効果

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

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【石炭火力】石炭火力導入の意義

(出所) BP統計、貿易統計資料よりみずほ銀行産業調査部作成

エネルギー源別平均輸入CIF価格の推移

価格は他燃料に比べ安価で安定的価格は他燃料に比べ安価で安定的

価格が安価・安定的であることなど、燃料としての石炭の利点は大きい 日本の石炭火力効率は世界でも最高水準であり、インフラ輸出の観点でも注目すべき分野

0

2

4

6

8

10

12

1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011

(円/千kcal)

0

1

2

3

4

5

6

(倍)

原油

一般炭

LNG

カロリー単価倍率:右軸(原油/一般炭)

約4倍

石炭火力の熱効率 国際比較石炭火力の熱効率 国際比較

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

20

25

30

35

40

45

90 9192 93 94 95 96 9798 99 00 01 02 03 04 05 0607 08 09

中国 フランス

ドイツ インド

日本 韓国

イギリス 米国

日本

熱効率(発電端・LHV)

(%)

(年)

(出所) ECOFIS “ International comparison of fossil power efficiency(2012)”よりみずほ銀行産業調査部作成

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【石炭火力】導入の最大のネックであった環境アセスの明確化・迅速化を推進

石炭火力電源の活用に向けた最大のボトルネックが現状の環境アセスメント期間とCO2排出基準

リプレースについて環境アセスメントの審査期間を現在の3年程度から、最短1年強に短縮

新増設の際の審査基準として、商用プラントとして運転中の最新鋭の技術を目安に

環境アセス(火力発電)の主な現状課題と今後の改善議論環境アセス(火力発電)の主な現状課題と今後の改善議論

(出所)内閣府、経済産業省資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

1. 環境アセスメント短縮化1. 環境アセスメント短縮化

現状石炭火力の環境アセスメントに3年程度かかり、新増設・リプレース実施の大きなネックに

現状石炭火力の環境アセスメントに3年程度かかり、新増設・リプレース実施の大きなネックに

2. CO2対策の明確化2. CO2対策の明確化

石炭火力の新増設検討に際し、石炭火力のCO2排出に対する評価について方針・審査基準が不明確

石炭火力の新増設検討に際し、石炭火力のCO2排出に対する評価について方針・審査基準が不明確

※ Best Available Technology※ 2012年4月環境省策定『リプレースガイドライン』

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

・国・自治体の審査を同時並行で行うことにより、リプレースの審査期間を最短1年強に短縮

・新増設についても短縮に今後取り組み

・国・自治体の審査を同時並行で行うことにより、リプレースの審査期間を最短1年強に短縮

・新増設についても短縮に今後取り組み

・電力業界全体でCO2排出を管理する枠組を構築

・新増設の際の審査基準として、商用プラントとして運転中の最新鋭の技術を目安に

・電力業界全体でCO2排出を管理する枠組を構築

・新増設の際の審査基準として、商用プラントとして運転中の最新鋭の技術を目安に

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【省エネ推進】日本のエネルギー消費効率は高いが、足元では欧州とほぼ拮抗する水準に

日本の一次エネルギー消費効率は他国比高い水準も、足元ではほぼ欧州各国と同水準まで拮抗

省エネルギーの推進は、貿易収支の改善、エネルギーセキュリティの確保、環境負荷の低減に加え、省エネに係るイノベーションや関連産業の創出効果あり

省エネルギー化における指標の概念整理

E1/GDP E1/E2 E2/GDP= ×

GDP当たり

一次エネルギー

消費

総合エネルギー

変換効率

GDP当たり

最終エネルギー

消費

産業= ++

産業部門

エネルギー

消費

GDP当たり

最終エネルギー

消費

民生 運輸

民生部門

エネルギー

消費

運輸部門

エネルギー

消費

E2/GDP

先進国の実質GDPあたり一次エネルギー消費比較

0

100

200

300

1980 1990 2000 2010

米国 イギリスドイツ フランス日本

(石油換算トン/ドル)

(年)(出所)日本エネルギー経済研究所「エネルギー経済統計要覧」、及びOECD統計、日銀統計等よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

(注記)実質GDPは2010年基準(為替換算も2010年基準)

論点1.変換効率を

如何に改善するか

論点2. どの部門の消費量を抑制すべきか

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

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50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

1980 1990 2000 2010

米国 イギリスドイツ フランス日本

【省エネ推進】総合エネルギー変換効率の改善と民生部門のエネルギー消費抑制が日本の課題

①総合エネルギー変換効率はドイツが際立っている一方、日本は1990年以降悪化傾向に

②部門別のエネルギー消費動向では、2000年以降の民生部門の改善幅は限定的

⇒①エネルギー変換効率と②民生部門のエネルギー消費に対する対策が特に求められる

総合エネルギー変換効率の各国比較

(最終エネルギー消費/一次エネルギー消費)

(年)

日本の部門別エネルギー消費動向の比較

(出所)日本エネルギー経済研究所「エネルギー経済統計要覧」よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

50

100

150

200

1980 1990 2000 2010

民生部門運輸部門産業部門

(※)1980年=100

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

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0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

総合効率 発電部門における総合効率

発電効率

【みずほ提言】コジェネ導入拡大によるエネルギー総合効率改善の可能性

日独のエネルギー効率比較日独のエネルギー効率比較

ドイツのエネルギー総合効率は、日本比優位

大きな要因としては、発電部門におけるコジェネ導入による熱の有効利用

※総合効率=最終エネルギー消費量/1次エネルギー供給量発電部門における総合効率=(発電電力量+熱回収量)/発電用燃料消費量発電効率=発電電力量/発電用燃料消費量

ドイツのエネルギー総合効率は、日本比優位ドイツのエネルギー総合効率は、日本比優位

ドイツの発電部門における総合効率は、

熱の有効利用分を含むことで、日本より優位に

ドイツの発電部門における総合効率は、

熱の有効利用分を含むことで、日本より優位に

効率差の要因効率差の要因

(出所)IEA資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

要因は、コジェネ導入による熱の有効利用(火力発電の設備容量に占めるコジェネの割合はドイツ29.1%、日本5.2%)要因は、コジェネ導入による熱の有効利用

(火力発電の設備容量に占めるコジェネの割合はドイツ29.1%、日本5.2%)

効率【%】

ドイツ 日本

38.8%

42.8%45.0%42.8%

69.3%65.3%

熱の有効利用分

(2010年)

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0

2

4

6

8

10

12

1990 92 94 96 98 00 02 04 06 08 100

10

20

30

40

50

60

70コジェネ累積発電設備容量LNG輸入価格(右軸)

(累積発電設備容量:GW)

(FY)

(価格:千円/t)

【みずほ提言】コジェネの概要と現状(伸び悩むコジェネ導入量)

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

コジェネのイメージとエネルギー効率コジェネのイメージとエネルギー効率

コジェネは、天然ガス、石油、LPガス等を燃料として、エンジン、タービン等の方式により発電し、その際に生じる熱も同時に回収利用する、熱電併給システム。高いエネルギー効率を実現可能

一方、わが国のコジェネの導入量は、燃料輸入価格の高騰によるランニングコストの上昇が大きく影響し、近年伸び悩んでいる状況

コジェネの導入状況コジェネの導入状況

コジェネ

総合効率 75~80%

熱 30~60%

電力 45~20%

ガス製造所

パイプラインコジェネ

(タービン、エンジン、燃料電池)需要地(産業用、民生用)

利用困難な熱20~25%

【ガスコジェネの場合】

最新鋭のガス火力発電 総合効率 54%

利用困難な熱42%

電力 54%

送電損失等4%

火力発電所 送電線 需要地

エネルギー

使用燃料の

エネルギー

使用燃料の

コジェネ導入量は伸び悩み

(出所)経済産業省資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

燃料種別設備容量(2011FY)

天然ガス50%

石油35%

LPG4%

その他11%

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規模B

【みずほ提言】コジェネ導入における投資回収条件の変化と改善の方向性

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

燃料輸入価格の高騰により、コジェネ導入はコスト高の状況か

①設備導入規模の拡大、②設備コストの低減、燃料輸入価格の抑制が実現すれば、コジェネへの投資妙味が発生

投資回収条件の変化投資回収条件の変化

1サイト当たりの導入規模規模A

○ 方向性①: 設備導入規模の拡大○ 方向性②: 設備コストの低減、燃料輸入価格の抑制

○ 方向性①: 設備導入規模の拡大○ 方向性②: 設備コストの低減、燃料輸入価格の抑制

投資回収条件の改善の方向性投資回収条件の改善の方向性

1サイト当たりの導入規模

現状燃料輸入価格高騰前

燃料価格高騰前のコジェネによる電力と熱の製造コスト

現状のコジェネによる電力と熱の製造コスト

規模A

○燃料輸入価格高騰により、コジェネの電力と熱の製造コストは上昇○現状では、コジェネの投資回収は困難な状況

○燃料輸入価格高騰により、コジェネの電力と熱の製造コストは上昇○現状では、コジェネの投資回収は困難な状況

コスト

出所:みずほ銀行産業調査部作成

現状

燃料輸入価格高騰前

コジェネによる電力・熱の製造

現状

コジェネによる電力・熱の製造

現状イニシャル+

ランニング

コストイニシャル+

ランニング

設備コスト低減燃料輸入価格抑制

の実現後

電力会社からの買電+ボイラーによる熱製造

電力会社からの買電+ボイラーによる熱製造

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【みずほ提言】設備導入規模の拡大には余剰電力買取制度が有効的か

余剰電力・熱の経済性を担保することで、現状最低限に留まっている設備導入規模の拡大促進が可能

特に余剰電力を一定価格(ex.市場価格+α)で買い取る『余剰電力買取制度(仮称)』は即効性があり、追加コストも限定的であるため、足許の取組みとして現実的か

但し、機器メーカーのコスト低減インセンティブを誘発する価格設定が必要

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

(参考)日独のコジェネ導入に関する制度(参考)日独のコジェネ導入に関する制度

○×電力買取制度

×

ドイツ

熱パイプライン整備補助

税制優遇

導入補助金

出所:日本エネルギー経済研究所、資源エネルギー庁 熱電併給(コジェネ)推進室よりみずほ銀行産業調査部作成

コジェネ導入規模の拡大を促す制度(案)コジェネ導入規模の拡大を促す制度(案)

○熱利用の機会拡大

○電力インフラは整備済みのため、即効性があり、追加コストも限定的

Pros

○熱パイプライン整備には時間・コストが必要

熱パイプライン整備の支援

○電力買取価格設定に工夫が必要

Cons

余剰電力買取制度

施策案

設備導入規模の現状設備導入規模の現状

電力・熱の余剰発生を回避するため最低限の設備導入規模に留まる

電力・熱の余剰発生を回避するため最低限の設備導入規模に留まる

低くならざるをえない売電価格

低くならざるをえない売電価格 熱パイプラインの未整備熱パイプラインの未整備

電力需要 熱需要

発電 熱利用

時間時間

現状設備

設備導入ポテンシャル

電力の需要曲線

熱の需要曲線

0 12 24 0 12 24

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2,2502,978

3,999

2,690

4,861

1,665

2,941

5,221

383

294

230

3,565

7,036

10,108

15,010

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(mUSD)

その他

アジア太平洋

欧州

日本

北米

【みずほ提言】コジェネ機器の海外展開の可能性

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

世界のコジェネ新規導入見通し世界のコジェネ新規導入見通し

世界のコジェネ市場規模は約7,000億円程度であるが、今後2018年までのCAGRは約10%と予測

分散電源としてコジェネ成長期待が最も高いアジア地域において、コジェネ向けガスタービンでは日系メーカーが既に2割のシェアを確保しており、海外市場拡大の恩恵を享受できるポジションにあり

国内市場拡大で量産によるコスト低減が図れれば、海外での更なる競争力向上に寄与

アジア(除く日本)コジェネ向けガスタービンシェアアジア(除く日本)コジェネ向けガスタービンシェア

(2001年~2010年累積ベース)

(出所)Global Industry Analysts, McCoy Power Reportよりみずほ銀行産業調査部作成

CAGR:10%CAGR:10%

GE56%

Siemens13%

三菱重工8%

Alstom3%P&W

5%

川崎重工6%

日立5%

IHI3%

Rolls-Royce1%

(単年ベース)

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【省エネ推進】建設物・住宅における省エネ基準適合義務化

民生部門の省エネ化推進に向け、建設物(ビル等)・住宅への省エネ基準を2020年までに義務化

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

住宅・建設物の省エネ基準の段階的適合義務化住宅・建設物の省エネ基準の段階的適合義務化

住宅・建築物の省エネ基準義務化に向けた工程表

(出所)内閣府HP,国土交通省、経済産業省「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」

よりみずほ銀行産業調査部作成

2010年度 2020年度

住宅

第一種(2,000㎡以上)

届出義務

第二種(300-2,000㎡)

届出義務

300㎡未満

努力義務

省エネ基準適合義務化

省エネ基準適合義務化

省エネ基準

段階的義務化

建設物

(非住宅)

第一種(2,000㎡以上)

届出義務

第二種(300-2,000㎡)

届出義務

300㎡未満

努力義務

省エネ基準適合義務化

省エネ基準適合義務化

省エネ基準

段階的義務化

省エネ基準の基本的考え方(改正省エネ法)

住宅

建設物

(非住宅)

空調

換気設備

照明設備

給湯設備

昇降機 等

+外壁

窓 等

平均熱還流率/日射熱取得率で評価

空調

換気設備

照明設備

給湯設備

昇降機 等

建物全体の一次

エネルギー消費量で評価

(再エネ分控除可)

+外壁

窓 等年間熱負荷係数で評価

建物全体の一次

エネルギー消費量で評価

(再エネ分控除可)

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6.15.2

2.0△0.2△0.8

△5.53.6

0

2

4

6

8

10

(兆円/平年)

住宅投資

非住宅投資

投資による消費減少

エネルギー生産減

発電投資減

エネルギー代替消費減

経済効果(総計)

【みずほ提言】建築分野(住宅・非住宅)の課題解決策

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

1.情報で市場を変える ⇒ 需要者の行動変化で保有・供給者にインセンティブを与える

2.技術開発の促進 ⇒ コストの低減でZEB・ZEHの普及を促す

3.課税・税優遇 ⇒ 保有者への直接的なインセンティブ、又はディスインセンティブを更に加える

省エネ◎

耐震◎

省エネ◎

耐震◎

・・・・・・

十分に区別出来ない十分に区別出来ない 省エネ◎

耐震◎

健康◎

省エネ◎

耐震◎

健康◎

省エネ×

耐震×

健康×

省エネ×

耐震×

健康×

情報整備

開示強制化

燃料

電池蓄電池

中小

工務店

地中熱

利用

HEMS

技術開発

支援

普及価格帯への低下

施工対応力向上

省エネで

税Down↓省エネで

税Down↓

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

区別する/価格差を求める区別する/価格差を求める

税制

改正 税UP↑改修・更新へ

税UP↑改修・更新へ

公共 公共

公共

課税建替えで税UP↑建替えで税UP↑

古い方が

税が安い

古い方が

税が安い

課税

住宅・非住宅の省エネ投資効果

現行省エネ基準の厳格化と適用義務の早期化に加え、既存ストック(住宅・非住宅)の改修を

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

GDP創出効果

雇用創出効果

65.5

29.6

37.9

△62.2

△13.6 △2.1 4.1

0

40

80

120

(万人/平年)

住宅投資

非住宅投資

投資による消費減少

エネルギー生産減

発電投資減

エネルギー代替消費減

雇用創出効果(総計)

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【みずほ提言】「特定テナント制度」(試案)の導入~ユーザー側の義務履行をサポート~

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

本当のエネルギー消費量や、省エネ努力の結果がわからない

本当のエネルギー消費量や、省エネ努力の結果がわからない

オーナー情報提供努力義務あり

不十分な情報提供

テナント(特定事業者)省エネ計画策定・報告義務あり

特定テナント制度導入

建築分野では、一定規模以上のテナント・オーナー双方に省エネ義務自体は課されているが、賃貸面積割りでしか情報がないなど情報が未整備、共有されていないなどの課題により、有効に省エネ化が図れていない状況

省エネ計画策定・報告義務のある特定事業者がテナントとなる場合に、オーナー側に厳格な情報提供を義務化、テナント側にも省エネ計画への盛り込みを徹底することで、運用段階を含む省エネ化を徹底することが可能に

情報整備

開示強制化

オーナー情報提供義務あり

厳格な情報提供

テナント(特定事業者)省エネ計画策定・報告義務あり

実際のエネルギー消費量を元に

省エネに取組める

実際のエネルギー消費量を元に

省エネに取組める

2.戦略市場創造プラン (2)エネルギー

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安全運転支援システム、自動走行システムの開発・環境整備

交通事故・渋滞が劇的に減少し、安全・快適にヒト・モノの移動ができる社会像の実現に向け、数値目標・ロードマップを明確化した上で、運転支援システム高度化計画を策定

車車間通信、路車間通信等を用いた安全運転支援装置・支援システム、自動走行システム、渋滞予測システム、物流システムの構築にむけ、必要な制度改正を積極的に推進

2.戦略市場創造プラン (3)次世代インフラ

(出所)国土交通省「オートパイロットシステムに関する検討会」資料よりみずほ銀行産業調査部作成

(※)ACC = Adaptive Cruise Control (車間距離制御システム)

(参考)オートパイロットシステムの実現に向けたロードマップ(イメージ)(参考)運転支援の高度化に関する概念整理

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【みずほ提言】次世代モビリティ導入による社会イノベーション

【超小型モビリティ】

××

【自動運転技術】

⇒⇒

【次世代モビリティ】

コンパクトなコンパクトな11~~22人乗り車両人乗り車両

日本各地で実証実験中。日本各地で実証実験中。

実売車も(写真は日産車)実売車も(写真は日産車)

日本:日本:20202020年代に高速道で実現年代に高速道で実現

米国:DARPA主催レース(写真)米国:DARPA主催レース(写真)

Googleが公道で実証実験中Googleが公道で実証実験中

GMが提案するコンセプトカーGMが提案するコンセプトカー

自動運転可能な小型モビリティ自動運転可能な小型モビリティ

EN-V(MITと共同研究)EN-V(MITと共同研究)

クルマのために都市を設計するのではなく、都市(人間)のためにクルマを再発明する(『次の交通モードは自動車メーカーだけでは開発できない。社会で開発するしかない』)

コンパクト化インターネット/相互通信制御グリーン・スマートなエネルギー

交通弱者のモビリティ拡大道路輸送処理能力向上歩行者・自転車の安全性向上

高齢者モビリティの飛躍的拡大低密な都市における生活機能維持自動車関連産業の競争力維持・拡大

2.戦略市場創造プラン (3)次世代インフラ

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

新たなモビリティのあり方について

次世代モビリティは、所謂クルマの開発ではなく、都市全体の再構築であるべきである適切な次世代モビリティを導入することにより、都市の再構築・高齢化対策等の社会的な課題を解決しつつ、産業振興を図ることが可能に

高齢化・低密都市化する社会構造の中で、生活者にとって最適なモビリティを構築すべき

まずは要素技術の成熟の支援(自動運転車の公道実験許容)、リスク負担・補償等の制度設計検討 etc

日本での次世代モビリティのあり方

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【農業】 【みずほ提言】あるべき農業の姿とは

日本の農業政策は戦後直後の食糧事情等から形成・踏襲されてきたが、今日的に改める必要性

①生産者視点から消費者視点への転換、②産業政策的な農政(地域の戦略産業としての農業の育成)、③地域コミュニティ形成機能、国土・環境・景観保全機能等、農業の持つ多面性への目配り等を踏まえた政策を実施すべき

農業を競争力のある戦略産業にするためには、①大規模化、②若年化、③専業化の3点が重要

経営規律の導入や規制緩和等により、農業の競争力を強化し、正のスパイラルが働く環境に

2.戦略市場創造プラン (4)地域資源

農業政策の基本的方向性(イメージ) 農業の競争力強化のための3要素

消費者視点の農政

農業の多面的機能との

調和を図る農政

産業政策としての

農政

新しい農政

農地制度 農協組織・・・

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

平均耕地

面積

40歳未満

就農比率

主業・準主業

農家比率

94%

説明

可能

一人当たり

GDP

1.96

ha/戸7.1% 45.9%

(出所)農林水産省HP,農林業センサス等よりみずほ銀行産業調査部作成

小さな

事業規模

増えない

若年就農者

低い

専業度

低収益で

補助金頼み

事業規模

の拡大

若年就農者

の増加

専業度

の高まり

177万円/人

負の

スパイラル

正の

スパイラル

経営規律導入+

規制緩和大規模化 若年化 専業化

高収益で

自律した産業

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【農業】【みずほ提言】賃貸・信託スキーム活用による農地集積・耕作放棄地解消

(出所)内閣府HPよりみずほ銀行産業調査部作成

【受け手】

意欲のある生産者

賃料(信託料)

農業経営農家A

農地A

農家B

農地B 農地賃貸(信託)

①賃貸(信託) ②管理・運用

③対価の支払④対価の受取

農地A 農地B

農地C ・・・

事業利益賃貸利益

農家C

農地C

2.戦略市場創造プラン (4)地域資源

各都道府県に中間受け皿会社(農地中間管理機構)を設置。賃貸スキームの活用により、耕作放棄地等の集約、大規模化を促進

同スキームが成功するかのポイントは①土地を集約・大規模化できるか、②中間受け皿会社が透明性・公平性を保てるか、③意欲ある生産者が集まるか

⇒信託活用が一つの有効な選択肢に

農地賃貸(信託)

賃料(信託料)

【中間受け皿会社】【出し手】

(農家)

Point.1土地集約し大規模化できるか

Point.2透明性・公平性を確保出来るか

Point.3意欲ある生産者が集まるか?

農地集積のポイントと信託活用による解決策(案) (みずほ提言)

土地集約し大規模化できるか? 農地保有者の賛成多数(面積ベース)で特定地域のゾーニング(転用規制)を実施し、全ての保有者が信託設定

透明性・公平性を担保できるか? 信託には善管注意義務・公正忠実義務があり、中間会社に対し、経済的合理性に基づく委託が義務付けられる

意欲ある生産者が集まるか? 収穫や販売の変動に応じた対価を支払い、受益者とリスク・リターンをシェア(信託は柔軟な権利設定が可能)

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【みずほ取組】 6次産業化の推進(6次産業化ファンドの活用)

農林漁業成長産業化ファンドによる6次産業化の推進

農林漁業の高付加価値化を企図し、6次産業化事業者への成長資本の提供やハンズオン支援を一体的に実施するためのファンド

機構の3大業務は、①出資、②融資、③マッチングであり、20年間の時限組織

地銀との協調により、サブファンド出資等を通じて、6次産業化推進の支援を実施

(出所)農林水産省資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

(産業投資)

(一部民間)

㈱農林漁業成長産業化支援機構

6次産業化事業体

出資

貸付

直接出資

資本性劣後ローン

みずほ・地銀

出資

出資

サブファンド

運営

支援

2.戦略市場創造プラン (4)地域資源

農林漁業成長産業化ファンド概要

生産者出資生産者出資

Partner 出資Partner 出資

Sub fund 出資Sub fund 出資

劣後ローン劣後ローン

借入金借入金

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

6次産業事業体6次産業事業体

生産者出資生産者出資

Partner 出資Partner 出資

Sub fund 出資Sub fund 出資

劣後ローン劣後ローン

借入金借入金

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

生産者出資生産者出資

Partner 出資Partner 出資

Sub fund 出資Sub fund 出資

劣後ローン劣後ローン

借入金借入金

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

6次産業

事業

1次 +・×

2次 +・×

3次 +・×

6次産業事業体6次産業化事業体

出資

経営

支援

ファンド構成(イメージ) 資本・負債構成(イメージ)

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3.国際展開戦略

外需を取込み輸出拡大を図る(経済連携推進とパッケージ化・ブランド化による輸出競争力強化)

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国際展開戦略 全体像

TPP交渉参加をはじめとする各国との経済連携推進により輸出環境を改善

インフラシステム輸出(パッケージ型インフラ輸出)、クールジャパン推進(ブランド化)による輸出分野拡大・強化

加えて戦略的な通商関係・経済連携の推進(ex. 新興国における投資インフラ整備、各国間の規格統一化)は、輸出環境の改善のみならず、日系企業の海外進出促進・所得収支拡大にも寄与

国際展開戦略

TPP協定交渉への積極的な取組

主要提言

日中韓FTA、日EU EPA等への同時並行的取組

インパクト

外国人看護士・介護福祉士受け入れ

クールジャパン推進機構設立(リスクマネー供給・推進)

インフラシステム輸出の促進(政府支援)

コンテンツ・食文化の輸出促進

国家戦略特区活用(再掲)

政府の外国企業誘致体制強化(JETRO活用)

(◎)

国際会議等(MICE)誘致体制構築・強化 ○

3.国際展開戦略 全体像

(1)TPP

/FTA

戦略的な通商関係の

構築と経済連携推進

(2)海外

市場獲得

海外市場獲得のため

の戦略的な取組

(3)資金・

人材基盤

整備

成長を支える資金・人材

等に関する基盤の整備

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

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【経済連携交渉の推進】TPP等の多国間経済連携交渉の推進

経済連携を推進し、貿易のFTA比率を現在の19%から、2018年に70%への向上を目指す

TPP協定交渉取り組みとともに、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTAも検討を進め、FTAAP(アジア自由貿易圏)のルール作りのたたき台に

2,280億ドル

960億ドル

1,050億ドル

経済効果試算

+4.3%FTAAP

+1.8%RCEP

+2.0%TPP

対GDP比

3.国際展開戦略 (1)経済連携推進

TPPの経済効果(政府統一試算)

TPP

APEC(FTAAP)

チリ、ペルー、米国

カナダ、メキシコ

オーストラリア

ニュージーランド

ブルネイ

シンガポール

マレーシア

ベトナム

インドネシア

フィリピン

タイ

カンボジア

ラオス

ミャンマー

インド

中国、韓国

ASEAN

ASEAN+3(EAFTA)

ASEAN+6(CEPEA/RCEP)

香港、ロシア、台湾

パプアニューギニア

日本日本

(出所)内閣府、みずほ総合研究所資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

3.2兆円

▲2.9兆円

2.6兆円

0.5兆円

3.0兆円

経済効果試算

+0.55%輸出

+0.09%投資

+0.61%消費

+0.66%総額

▲0.60%輸入

対GDP比

【参考】 PECC(太平洋経済協力会議)による日本の広域FTA参加による経済効果試算

アジア太平洋地域に関連する主な広域FTA構想

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【インフラ輸出】 インフラシステム輸出の強化・推進

日本の「強みのある技術・ノウハウ」を生かし、2020年に約30兆円のインフラシステムの受注を達成

受注獲得に向けて、官民連携(トップセールス・経済協力の戦略展開等)を強化・推進する

3.国際展開戦略 (2)海外市場獲得

官民連携によるインフラシステム輸出の獲得(イメージ)

トップセールスの推進(安倍総理のロシア・中東訪問)

経済協力の戦略的展開

F/S実証

事業の充実

技術協力・

無償資金協力

活用

円借款

活用

公的金融

支援強化(JICA/JBIC/NEXI)

第1期

第2期

英国運輸省による高速鉄道車両更新・調達案件

世界最大手の入札競争に勝ち(加Bombardier:失注, 仏Alstom:辞退)、受注を獲得

PPPスキームによる保守等を含む車輌リース事業として受注、日立グループが596両の車輌製造 ・ 27.5年の保守事業等を一括して担う(第一期 総事業費:約GBP 2,600Mi)

官民連携強化・推進策

川上から川下までの一貫した取組支援

成功事例

日立Groupによる英国・高速鉄道案件の受注獲得

受注獲得の勝因(想定)

本案件に先立ち、10年以上の営業実績があり、日立Groupの品質・サービスの優位性、納期遵守が評価されたこと

先進国におけるJBICの資金供与の第一号案件(NEXIによるサポートが功奏)

(出所)Agility Trains、日立製作所HP、国際協力銀行プレスリリース、英国運輸省、

国土交通省資料、内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

川上 川中 川下

案件

発掘

案件

形成

調査

設計建設 運営

維持

管理

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【クールジャパン】クールジャパン推進機構の創設

(出所)クールジャパン推進会議HP等 よりみずほ銀行産業調査部作成

クールジャパン推進機構(仮称)

民間(事業法人・金融機関等)

500億円規模

100億円

規模

出資

民間金融機関

政府保証枠

政府保証付借入

人材

人材

出資・助言

アパレルセレクトショップ運営

アパレル業者・商社等

例モール・ストリート不動産賃貸

デベ・商社等

地域産品地域産品売店運営

商社・地銀・信金等

外食フードコート運営

外食業者・商社等

メディア放送枠買取

TV局・広告代理店等

例 例例

政府(産投出資等)

出資

①民間投資の呼び水としてのリスクマネー供給機能

②企業発掘や経営支援等のサポート・総合コンサルティング機能

保有機能

JVパートナー(想定)

“クールジャパン推進機構(仮称)”を創設し、海外におけるクリエイティブ産業の事業化を促進 中小企業の海外進出を促すためのリスクマネー供給+経営支援

3.国際展開戦略 (2)海外市場獲得

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【みずほ提言】高い日本酒の輸出拡大ポテンシャル

日本酒の輸出は90億円(輸出比率2%強)でワイン市場(2.5-3兆円)の1/450程度だが高い成長率を記録

2000年以降年率5-15%の高い成長率。更に現状輸出先は米国・東南アジア中心で、中国等のポテンシャル市場も期待

ワインの1/10程度の市場を獲得できれば、酒米需要は倍増

コメ需要拡大という観点でも、日本酒の輸出拡大を促す意義は大きい

日本酒1升(1.8ℓ)でコメ0.77kgが必要、但し玄米の精米歩合次第で更にその必要量は増加

ブランドバリューが高い日本酒は、輸入米による代替リスクも小さい

3.国際展開戦略 (2)海外市場獲得

日本酒・輸出拡大のインパクト

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

1997/03

1998/03

1999/03

2000/03

2001/03

2002/03

2003/03

2004/03

2005/03

2006/03

2007/03

2008/03

2009/03

2010/03

2011/03

100分の1

10分の1

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

輸出

内需

輸出比率

(kl) (%)

試算

出所: 農林水産省「食料統計年報」よりみずほ銀行産業調査部作成

一升瓶:1.8l 精米歩合35%

玄米2.2kg

日本酒を一升造るのに必要な玄米量

精米歩合77%

玄米1kg

出所: 農林水産省「食料統計年報」他よりみずほ銀行産業調査部作成

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【みずほ提言】日本酒の競争力強化に向けて、まずは『日本酒版ドメーヌ』を設立

3.国際展開戦略 (2)海外市場獲得

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

フランスではドメーヌ(domaine)と呼ばれるぶどう生産とワイン酒造を一体で行う形態が主

日本でも「農家」と「酒造メーカー」が一体となりドメーヌを設立することで、ブランド構築(自社生産のコメによる付加価値向上等)、収入の安定化(春-秋にコメ作り、冬に酒作り)等によるメリットを享受可能

現状: コメ農家と酒蔵の関係は「販売先」、「仕入先」という関係

コメ農家 A

コメ農家 B

コメ農家 C

コメ農家 D

酒造メーカー

各地の酒造組合

消費者

流通網

販売

販売

販売

販売

仕入

仕入

仕入

仕入

「コメ農家≒酒蔵」という「日本酒版ドメーヌ」の可能性は?

日本酒版ドメーヌ

コメ作り部門

(春~秋)

酒造部門

(冬)

原料米消費者

流通網

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【みずほ提言】マーケティング・ブランディングを強化する仕組み作りを

日本酒輸出における日本の課題はマーケティングでありブランディング 小規模な蔵元が自力でアジア市場開拓を模索しているのが日本酒輸出を巡る現状

仏・ブルゴーニュ地方は日本同様に小規模ドメーヌによる生産が主体だが、「ネゴシアン」と呼ばれるワイン専門卸が価格のコントロールや品質保証等を行いながら輸出するモデルを確立(ブランディング)。また「SOPEXA(フランス食品振興会)」があり、「ワイン」、「チーズ」などを「カテゴリー」としてマーケティング

「日本版ネゴシアン」「日本版SOPEXA」創設により、バーゲニングパワー拡大、マーケティング強化を実施すべき

3.国際展開戦略 (2)海外市場獲得

酒蔵A 酒蔵B 酒蔵C

代理店

代理店

小売店

料理店

小売店

料理店

小売店

料理店

ドメーヌA

ドメーヌB

ドメーヌC

代理店

ネゴシアンネゴシアン

小売店

料理店

小売店

料理店

小売店

料理店

代理店 代理店

日本の地酒輸出モデル フランス・ブルゴーニュのワイン輸出モデル

SOPEXASOPEXA

カテゴリーマーケティング 日本版SOPEXA

個別製品の販売を行うのではなく、

「日本酒(或いは日本食)」全体の

啓蒙・教育・ブランディング・

マーケティングに特化した機関

世界市場

主要

酒造

メーカー

主要

輸出

商社

政府、

金融機関

その他

日本食品

メーカー

日仏の輸出モデルの違い 日本版SOPEXAによる輸出拡大促進(イメージ)

(出所)みずほ銀行産業調査部作成

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高度外国人材を支える生活関連サービスや訪日外客へのホスピタリティ・サービスを、英語・母国語で提供するサービス従事者となる外国人材の受入れも、拡大を図ることが必要に

日本再興戦略における目標・KPI

【みずほ提言】高度外国人材・訪日外客を支える外国人材も必要ー

高度外国人材

訪日外客

外国人留学生

ポイント制による認定数(約430人、11ヶ月)

飛躍的な増加

2013年1000万人

2030年3000万人超

2020年に30万人

(実績2012年14万人)

外国語対応日本人人材の圧倒的不足

外国人の視点・情報発信力も重要に

言語などの不安があって

生活しづらい/楽しめない言語などの不安があって

生活しづらい/楽しめない

他国へ

高度外国人材

訪日外客

行政サービス教育医療

生活支援交通 日本に来たら日本語で!日本に来たら日本語で!観光

接客・サービスの現場への外国人材受入れ

外国人向けの各種生活関連サービス業/観光関連業について、受入目標・実績に合わせて、一定規模の外国人材を受入れることで、外国語対応能力を拡充

経営者・管理者/通訳・語学教師/興業/技能者に限られる在留資格・就労を、サービス現場従事者にも認める

高所得とは限らないサービス現場従事者等向けの

生活環境整備も必要に

言語の不安もなくて

生活しやすい/楽しめる言語の不安もなくて

生活しやすい/楽しめる

他国へ

行政サービス教育医療

生活支援交通 英語/母国語OK!ニーズ理解/サービス改善!英語/母国語OK!

ニーズ理解/サービス改善!観光

環境整備

促進策

在留外国人材

①郊外団地など空家・未利用住宅活用

②外国人向けアフォーダブル住宅整備に容積ボーナス

高度外国人材

訪日外客

母国への情報発信

3.国際展開戦略 (3)資金・人材基盤革新

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

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シンガポールシンガポールシンガポール

【みずほ提言】日本版EDBの創設

海外海外海外

EDB(経済開発庁)のミッション

1. 投資の誘致

2. 産業構造の発展

3. ビジネス環境の整備

EDB(経済開発庁)のミッション

1. 投資の誘致

2. 産業構造の発展

3. ビジネス環境の整備

シンガポールにより高い付加価値をもたらす事業、企業をワンストップで支援

特徴

投資家等との意見交換を基に、インフラと公共サービスの効率性と価格競争力が維持されるよう、他政府機関にフィードバック

IE(国際企業庁)のミッション

1. シンガポール企業の海外展開支援

2. 外資とシンガポール企業の提携支援

IE(国際企業庁)のミッション

1. シンガポール企業の海外展開支援

2. 外資とシンガポール企業の提携支援

業界情報の提供、パートナー探し、各種能力開発、資本支援等、各種国際事業展開をサポート

特徴

国際貿易の促進(FTA推進等)例) 投資優遇措置(IHQ制度等)は、協議により弾力的に決定・適用

「国内投資の呼び込み」と

「企業の海外展開」を両輪を軸に国富増大を目指す

エネルギー、農産品、メタル等の貿易事業者のシンガポール誘致

シンガポール政府は国富増大に向けて、「国内」と「国外」におけるバランスのとれた政策支援機能を保有

海外企業のインバウンドを支援するためEDB(経済開発庁)を設立し、国際的に競争力の高いビジネス環境の整備を図りつつ、ワンストップで企業誘致を積極的に推進する機能に特色

⇒シンガポールの対内直接投資残高は461billionと日本の215billionの約2倍(2010年)に

海外企業誘致にむけ、日本にも日本版EDBを創設し、インバウンド行政を一元的に担う司令塔を設置すべき

拠点 海外に37拠点拠点 海外に18拠点

3.国際展開戦略 (3)資金・人材基盤革新

シンガポールにおける富の増大にむけた取組

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おわりに

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おわりに ~成長戦略に終わりはない~

戦略テーマ毎に具体的な提言があり、既に成果が出てきているものも少なくない(石炭火力等)

一方で成長戦略の実現には不断の取組が必要

提言が着実に実行されているか、形骸化していないかについて、定期的なチェックを行う必要

更にKPI等の指標・経済成長の指標等をみながら、随時追加施策の検討も行うべき

(インセンティブ等のアメの戦略のみならず、規制強化・義務化等を含めたムチの戦略の検討も)

おわりに

成長戦略における主要提言、KPI、及び更なる追加提言(案)

戦略テーマ

(1)産業の新陳代謝

(2)人材・雇用

(5)立地競争力

産業競争力強化法(設備投資減税等)

主要提言

待機児童解消

更なる追加提言(案)

国家戦略特区創設

日本産業

再興プラン

戦略市場

創造プラン

国際

展開戦略

実質的な法人税負担引き下げ

労働市場の流動化

PFI法改正の実効性担保

(1)健康長寿

(2)エネルギー

(4)地域資源

日本版NIH創設

環境アセス見直し(石炭火力・風力)

賃貸スキームによる農業大規模化推進

ホワイトゾーンの明定化・保険外併用診療の迅速な拡大

熱の有効活用(コジェネ推進)既存ストック(住宅・ビル)改修

農地の一括借上スキーム構築(信託の活用)

(3)資金・人材基盤整備政府の外国企業誘致体制強化(JETRO活用等)

外国人労働者の活用日本版EDB創設

(出所)内閣府資料等よりみずほ銀行産業調査部作成

3年で設備投資70兆円に回復

KPI

20年に女性就業率73%

20年にビジネス環境世界3位に

20年に予防・介護・医療産業

20年にエネルギー関連産業26兆円

10年間で農業・農村所得倍増

20年に対内直接投資35兆円に倍増

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Appendix.1 為替影響に対する評価

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為替変動が輸出増減に与える影響は時代と共に減少傾向

円安は輸出増に繋がるものの、その影響度は時代と共に減少傾向にある

円安メリットが縮小した背景には、①貿易構造の変化、②産業構造の変化、③輸出企業の構造変化の3点が想定

実質輸出 世界需要 (GDP指数)= α×

為替レート+ β×

(注) 推計式:実質輸出(前年比)=α×世界GDP指数(前年比)+β×実質実効為替(6カ月ラグ、前年比)+γ

(推計期間)1976年7月~1986年6月(120カ月)を1期間として、推計期間を1年ずつシフトさせたローリング推計

(出所)IMF“Internatioanl Financial Statistics"、日本銀行「実質輸出入」、「外国為替相場」より、みずほ銀行産業調査部作成

+ γ

円安メリットが縮小した背景(想定される3つの背景)輸出と為替レートの関係(時系列)

為替影響に対する評価

1.貿易構造の変化

2.産業構造の変化

3.輸出企業の構造変化

貿易黒字から貿易赤字に

(外貨建では一層の貿易赤字の拡大)

円建輸出比率の拡大

製造業から内需型サービス業にシフト

輸出企業の海外生産シフト

輸出企業の円安効果の経路の変化

国内投資機会の減少

-1

0

1

2

3

4

5

1976

1979

1982

1985

1988

1991

1994

1997

2000

α

β

-0.6

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0

0.1

0.21976

1979

1982

1985

1988

1991

1994

1997

2000

β

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鉱物性燃料, 22

一般機械, 9

一般機械, 5

電気機器, 4

電気機器, 12

電気機器, 8

輸送用機器, 12一般機械, 14

輸送用機器, 14

-40

0

40

80

(兆円)

純輸出(輸出-輸入)

輸出 輸入

鉱物性燃料▲21

貿易赤字化の背景は化石燃料増に加え、電機産業での輸入拡大が主要因

原油・LNG等の 「鉱物性燃料」 が昔も今も最大の輸入調達 短期的には原発停止による鉱物性燃料調達増の影響もあるが、基本的な構造は変わらない

電気機器は部品・製品の輸入が進展 電気機器産業においては、一概に円安がプラスとは言えない状況に

製品別の貿易収支動向

1988年 貿易収支

半導体等電子部品 2

音響・映像機器(含部品) 1

通信機(携帯) 2

その他 1

原油・粗油 11

石油製品 2

液化天然ガス 5

液化石油ガス 1

石炭 2

その他 1

(出所)財務省「貿易統計」よりみずほ銀行産業調査部作成

一般機械, 6

電気機器, 7

鉱物性燃料, 5

鉱物性燃料▲5

一般機械, 7

電気機器, 8

輸送用機器, 8

輸送用機器,,8

-40

0

40

80

食料品 原料品

鉱物性燃料 化学製品

原料別製品 一般機械

電気機器 輸送用機器

その他

(兆円)

輸出 輸入

純輸出(輸出-輸入)

2011年 貿易収支

1.貿易構造の変化

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-50

0

50

100

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

-20

0

20

40

米ドル建輸出(軸:左)

米ドル建輸入(軸:左)米ドル建貿易収支(軸:右)

(兆円) (兆円)

(年)

米ドル建の為替差損益の観点では、2000年代初頭から既に貿易収支に

ドル建貿易収支に関してはマイナスの状況が継続しており、米ドル建で見た場合為替差損益に関して、既に2000年頃から円安は貿易収支にマイナスに働く状況

米ドル建輸出比率の減少に伴い、その傾向は徐々に拡大

輸出入に占める決済通貨の変遷米ドル建・輸出入動向及び貿易収支推移

(出所)財務省「貿易統計」よりみずほ銀行産業調査部作成

1.貿易構造の変化

40%

45%

50%

55%

60%

65%

70%

75%

80%

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

米ドル建輸出比率

米ドル建輸入比率

(年)

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わが国の産業構造の実態は、第三次産業(非製造業)中心に

わが国の産業構造は、第一次産業中心から第二次、第三次中心へと変遷

内需型を中心とする第三次産業のウェイトが時代と共に拡大し、現在では70%超に

輸出型を中心とする製造業の経済全体に与える影響度は相対的に低下

17.1 24.3 26.114.7

5.9 3.6 2.4 1.7 1.2

26.5

35.9 32.236.4

43.137.8 36.7

28.5 25.2

56.439.8 41.6 48.9 50.9

58.7 60.969.8 73.6

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

第一次産業 第二次産業 第三次産業戦後

(出所)内閣府「国民経済計算確報」等より、みずほ銀行産業調査部作成

(注1)産業分類は以下の通り。

第一次産業: 農業、林業、水産業 第二次産業: 鉱業、製造業、建設業 第三次産業: その他(含む公務)

(注2)1960年までは年度・国内国民所得ベース、以降は暦年・国内総生産ベース

わが国の産業別付加価値産出ウエイトの推移わが国の産業別付加価値産出ウエイトの推移

19.7 12.9 8.8 5.9 5.0

35.334.3

33.829.1 24.1

45.052.8 57.4

65.0 70.8

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1970 1980 1990 2000 2010

第一次産業 第二次産業 第三次産業

わが国の産業別就業者数ウエイトの推移わが国の産業別就業者数ウエイトの推移

2.産業構造の変化

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上場企業は円安メリットを享受する一方、内需・輸入型中小企業は円安がネガティブに

上場会社の場合、円安による恩恵は大きい

10円円安による営業利益額の増加は全体で2兆円弱の効果が期待される

一方で非上場含めた法人企業合計では、増加幅は小さくなる

中堅中小の内需・輸入型企業には円安はむしろ業績にネガティブに働く懸念が大きい

業種別の10円円安による営業利益額(企業合計)増減推定

(出所) 東洋経済「会社四季報2013年1月ワイド版」、財務省「法人企業統計」よりみずほ銀行産業調査部推計

(注1) 東洋経済によるアンケート調査(有効回答19.3%)のため、各社IR公表値と異なる可能性があることに留意が必要

(注2) 非上場会社は「上場会社ー法人企業合計」と推定。但し、上場企業は連結ベース、法人企業合計は単体ベースのため、必ずしも正確な数値にならないことに留意

(非上場企業のみ「円安の営業利益額影響がマイナス」のケースは、大企業/中小企業の影響の違いというよりも、連結/単体の違いによる影響が大きいと想定される)

(※) 円安デメリットを受ける業界

上場会社 非上場企業(注2)

法人企業合計

(億円) (億円) (億円)

10 金属製品・その他製造 206 314 520

11 卸売・小売業 ▲ 9,255 ▲ 17,221 ▲ 26,476

12 物流業 944 727 1,670

13 金融業 330 56 386

14 情報通信業 1,938 1,309 3,247

15 サービス業 ▲ 2,162 ▲ 2,384 ▲ 4,546

16 建設・不動産 727 2,471 3,199

合計 19,295 ▲ 12,714 6,581

上場企業 非上場企業(注2)

法人企業合計

(億円) (億円) (億円)

1 水産・農林業 0 0 0

2 鉱業 154 134 288

3 食料品 ▲ 337 ▲ 385 ▲ 722

4 繊維・パルプ・印刷 ▲ 183 ▲ 1,844 ▲ 2,027

5 化学・医薬 5,306 ▲ 1,676 3,630

6 石油・石炭製品 1,667 ▲ 567 1,100

7 鉄鋼・非鉄金属・硝子 1,314 634 1,948

8 輸送用機器 6,370 ▲ 584 5,786

9 機械・電気機器 12,276 6,302 18,577

2.産業構造の変化

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上場企業 非上場企業 法人企業合計

(万人) (万人) (万人)

10 金属製品・その他製造 16 176 192

11 卸売・小売業 44 865 908

12 物流業 32 289 321

13 金融業 23 157 180

14 情報通信業 21 178 199

15 サービス業 40 1,129 1,169

16 建設・不動産 28 381 409

100 2,249 2,349

289 1,575 1,865

円安デメリットを受ける業界

円安メリットを受ける業界(※) 円安デメリットを受ける業界

雇用者数の観点では、円安によるデメリットを受ける従業員が大きい

円安デメリットを受け易い内需・輸入型産業の従業員数は、円安メリットを受ける企業よりも大きい

法人企業全体でみると、円安デメリット業界の従業員数2,349万人>円安メリット業界1,865万人

上場会社/非上場会社別、業種別の従業員数 及び円安メリット/デメリットを受ける業界の従業員数

(出所) 東洋経済「会社四季報2013年1月ワイド版」、財務省「法人企業統計」よりみずほ銀行産業調査部推計

(注1) 東洋経済によるアンケート調査(有効回答19.3%)のため、各社IR公表値と異なる可能性があること、回答企業内でのアンケート調査である旨留意が必要

(注2) 非上場会社は「上場会社 ー 法人企業合計」と推定。上場企業、法人企業合計ともに従業員数は単体の数値

上場企業 非上場企業 法人企業合計

(万人) (万人) (万人)

1 水産・農林業 1 17 18

2 鉱業 0 4 5

3 食料品 11 121 132

4 繊維・パルプ・印刷 6 134 140

5 化学 29 34 63

6 石油・石炭製品 1 2 3

7 鉄鋼・非鉄金属・硝子 15 55 69

8 輸送用機器 42 82 124

9 機械・電気機器 82 201 283

2.産業構造の変化

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円高影響の大きい輸送用機器業界も、生産拠点の現地化により為替影響を抑制する動き

日系自動車メーカーも為替影響の極小化の観点から、生産拠点の現地化を推進

自動車メーカー売上規模はこの20年で倍増したが、現地生産シフトにより為替影響の増加を防ぐ動き

1990年 2000年 2010年

国内生産

(81%)

海外生産

(19%)

国内需要

(46%)

海外需要

(54%)輸出

(35%)

国内生産

(59%)

海外生産

(41%)

国内需要

(35%)

海外需要

(65%)

輸出

(24%)

国内生産

(40%)

海外生産

(60%)

国内需要

(20%)

海外需要

(80%)

輸出

(20%)

(出所)日本自動車工業会資料よりみずほ銀行産業調査部作成

(注期)「海外需要」は「国内生産+海外生産ー国内需要」として想定

日系自動車メーカーの生産・需要動向

3.輸出企業の構造変化

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輸出企業が円安メリットを享受する経路としては、以下の2パターンが想定 ①数量効果(為替益を外貨建単価に反映し、数量増を狙う) :数量増に伴う川上・川下産業への波及が期待

②価格効果(為替益を外貨建単価に反映せず、利益率維持を優先) :川上・川下産業への波及は期待できない

契約通貨建の輸出物価は2000年代以降ほぼ横ばいであり、価格効果を享受するケースが中心と想定 各社のスタンスにもよるが、ⅰ)製品の競争力が低下した(値段を下げても売れない)こと、又はⅱ)価格の弾力性が低い財が輸出の中心になっている(価格に需要が依拠しない)ことが、契約通貨建の値下げ等の変化に結びついていない背景に

川上・川下産業

1

数量効果を享受(為替益を外貨建単価に反映し数量増を図る)

輸出型大企業

2

価格効果を享受(為替益を外貨建単価に反映せず、利益率維持を優先)

輸出企業の波及効果に関する考え方① 数量効果か価格効果か

3.輸出企業の構造変化

輸出企業の円安メリット享受に対する態様変化(1)数量効果と価格効果

川上・川下産業

数量面の波及無し数量増に伴う波及有り

契約通貨建の輸出物価と名目為替レート推移

90

100

110

120

130

140

150

160

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2008

2009

2010

2011

2012

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150輸出物価(契約通貨ベース)(軸:左)

円ドルレート(軸:右)

(2010年=100) (円/ドル)

(出所)日本銀行「企業物価指数」「外国為替相場」よりみずほ銀行産業調査部作成

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輸出企業が円安メリットにより生まれた利益を、①投資促進や賃金増として費用計上するのか、②内部留保として蓄積するのか

②内部留保として蓄積した場合、円安メリットが投資・消費等へ波及することは期待し難い

設備産業内需・サービス産業

1

投資拡大・賃金増

輸出型大企業

2

内部留保として蓄積

輸出企業の波及効果に関する考え方② 国内投資拡大・賃金増か、内部留保か

3.輸出企業の構造変化

輸出企業の円安メリット享受に対する態様変化(2)投資・消費促進か内部留保か

設備産業内需・サービス産業

投資・消費拡大に

伴う波及あり

投資・消費拡大等

に伴う波及なし

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【まとめ】為替影響の変化に対する評価と今後のあり方

為替影響に対する評価(まとめ)

円安メリットが縮小した背景

(3つの構造変化)

国内に残る輸出産業は何か?

(日本が立地競争力を保てる産業)

1.貿易構造の変化

2.産業構造の変化

3.輸出企業の構造変化

貿易赤字の背景は①化石燃料増加に加え、②電機産業の輸入拡大も主要因

外貨建ベースでは2000年代初頭から既に赤字の状況であり、足元の貿易赤字は一過性とは言いがたい

産業構造が製造業からシフトし、サービス業がGDP,雇用者数共に70%強に

更に、円安増益企業より、円安減益企業の方が、従業員数ベースでは約500万人多いと想定

従来の輸出型製造業が海外生産シフトした結果、円安メリットが相対的に低下

加えて輸出型製造業が数量効果より価格効果中心に享受するケースが増え、川上・川下産業への波及効果は限定的に

さらに円安による利益を投資や賃金増ではなく内部留保した場合、設備産業や内需・サービス型産業への波及は期待し難い

需要の価格弾力性が低く、価格以外

の差別化要素がある高付加価値財

ブランド力のある財

・高級品、嗜好品(デザイン・ストーリー性等)

インフラ産業(パッケージ型輸出)

高分子化学等の部材・素材

医療機器、製薬

高付加価値サービス

・情報サービス、調査、コンサル 等

企業が内部留保ではなく投資を喚起するには?

投資を促すための制度設計・基盤整備

規制緩和等による新たな投資機会の創造

輸出を促す環境整備 等

成長戦略の着実な実行により、

新たな投資機会を創出することが重要に

好循環創出の必要性

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0

50

100

150

200

250

300

350

1973年

1976年

1979年

1982年

1985年

1988年

1991年

1994年

1997年

2000年

2003年

2006年

2009年

2012年

実勢相場

購買力平価

(円/ドル)

【参考】実勢相場と購買力平価に対する考え方の整理

中長期的に為替レートは購買力平価に収斂する方向に 足元の購買力平価(生産者物価指数ベース)の水準は1ドル=95円前後

推定値は幅を持って捉える必要はあるが、90-100円台が一つの目安に実勢相場と購買力平価に関する考え方の整理

(参考) 一物一価の法則 実勢相場と購買力平価の推移

100円 1ドル

1ドル=

200円

輸出

ドル

100円 1ドル

1ドル=

100円

100円 1ドル

1ドル=

50円

輸入

均衡

物価水準より円安なら輸出発生 ⇒ ドル流入により円高ドル安に

物価水準より円高なら輸入発生 ⇒ 円流出により円安ドル高に

最終的には均衡する水準に落ち着く(一物一価の法則)

(出所) 日本銀行、米国厚労省データ等によりみずほ銀行産業調査部作成

(注記) 物価水準は1973年基準、生産者物価指数を採用

【参考】最適な為替水準に対する考え方

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Appendix.2 その他資料

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(参考)産業競争力会議・テーマ別会合 実施状況

第12回

第11回

第10回

第9回

第8回

第7回

第7回

第6回

第6回

第5回

第4回

第5回

第3回

第2回

第4回

第1回

第3回

第2回

第1回

成長戦略・素案産業競争力会議6月5日

これまでの検討状況整理、関連会議の状況報告産業競争力会議5月14日

関係会議の状況報告、国家戦略特区産業競争力会議5月22日

成長戦略・骨子産業競争力会議5月29日

(テーマ)人材・雇用②、農業、健康長寿②、(一般)地域資源産業競争力会議4月23日

成長戦略提言産業競争力会議6月12日

農業、健康長寿②テーマ別会合4月19日

人材・雇用②テーマ別会合4月18日

立地競争力テーマ別会合4月3日

科学技術・ITテーマ別会合4月1日

エネルギーテーマ別会合3月25日

健康長寿①テーマ別会合3月22日

新陳代謝、人材・雇用①テーマ別会合3月6日

TPP産業競争力会議2月26日

新陳代謝、人材・雇用①産業競争力会議3月15日

(テーマ)エネルギー、健康長寿①、(一般)国際展開戦略産業競争力会議3月29日

(テーマ)科学技術・IT、立地競争力、(一般)次世代インフラ産業競争力会議4月17日

農業、科学技術、エネルギー(何れも全体感の議論)産業競争力会議2月18日

開催要旨、各議員が問題意識を提出産業競争力会議1月23日

テーマ会議日程

産業競争力会議概要

(出所)内閣府HP等よりみずほ銀行産業調査部作成

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みずほ産業調査、Mizuho Industry Focusのご案内

みずほ産業調査 日本産業動向(年2回発行、1月・7月)

主要産業の需給動向および収支見通しについて分析その他、テーマ調査(不定期)など

http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/index.html

【カバー業種】

産業総合、鉄鋼、非鉄、紙パルプ、セメント、化学、医薬品、石油、自動車、造船、一般機械、エレクトロニクス、情報サービス、通信、広告・放送、海運、物流、電力、都市ガス、小売、食品、外食、建設、不動産・住宅、ホテル・レジャー、カード・信販、リース、人材サービス

Mizuho Industry Focus

産業界をめぐるその時々の最新のテーマに焦点(Focus)をあてて随時刊行するレポート

http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/mif.html

【主な発行済みテーマ(抜粋)】

シェールガス・オイルの現状と展望

発電システム産業における海外戦略

国内サービス企業の成長戦略に関する検討

レアアース業界の現状と課題

ドイツ ミニチュアワンダーランドに見る欧州版テーマパークの成功と戦略

市場リスクプレミアムの望ましい推定法を問う

医療機器メーカーの成長戦略

『みずほ産業調査』

『Mizuho Industry Focus』

(みずほ銀行トップページ→法人のお客さま→金融経済情報→産業情報→みずほ産業調査 )

(みずほ銀行トップページ→法人のお客さま→金融経済情報→産業情報→Mizuho Industry Focus )

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