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折板屋根材の膨張収縮特性 に関する研究 1510920087 井町春稀

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折板屋根材の膨張収縮特性に関する研究

1510920087 井町春稀

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折板屋根とは

• 金属屋根は重ね合わせで葺く瓦や、スレートと違い、雨水の侵入する隙間が無く、そのため、勾配の緩い屋根にも用いることができる。

• 金属屋根は熱伝導率が高く、断熱性能が低い。そのため、一重折板では金属屋根自身の温度変化が著しく、外気の温度変化に弱いため工場などにしか使われない。

• 二重折板にすることで外気からの熱伝導を抑えることができる、しかし、その分外部と内部の温度差が激しいため接合部に負担がかかる。

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折板屋根の特徴

• 折板屋根として使われる金属板の素材のほとんどが、ガルバリウム鋼板・フッ素鋼板であり、どちらもコストが高く、強度的にはガルバリウム鋼板でも十分である。

• 野地板なしでそのまま梁の上に施工することができるため、屋根をふくための費用が抑えられること、鋼板をギザギザに折り曲げることにより屋根材そのものの強度が増して大きな屋根・長い屋根が作ることが可能である。

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研究の目的・背景

• 従来の屋根に比べて断熱性能が高いとされ、近年二重折板屋根の研究が盛んにおこなわれている。

• 上折板と下折板が温度変化によって大きく膨張収縮するがその温度変化の差による膨張率の違いによって接合部材に大きな負荷がかかるために生じる疲労現象についてなど理解していく。

• 屋根伸縮についての詳細データが少なく、研究する上で確認するため、鋼板の引張試験を行いその性能を十分に把握し、熱膨張特性について学ぶことである。

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実験・実測

• 鋼板断熱二重折板屋根の実測

• 緊定金物の疲労解析

• めっき鋼板の引張試験

• 熱伝導解析

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めっき鋼板の引張試験

JISに準拠した金属材料引張試験を行った。

ひずみの測定は東京測器研究所製ひずみゲージを用いた。試験体枝番-

1の試験体はポアソン比を計測するために、試験体中央部・表裏4カ所の縦ひずみと横ひずみを二軸ゲージによって計測した。また、試験体-2、-3は、大ひずみ領域の縦ひずみを計測するために、塑性域ゲージを用いて、試験体中央部・表裏2カ所の縦ひずみを計測した。

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試験体図面(5号試験片)

試験体の設置状況

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実験結果

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350

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0 20000 40000 60000 80000 100000

応力度(N/m

m2)

ひずみ度(μ)

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SGLCC材ガルバリウム鋼板の試験体荷重-変位の関係と試験体終局状況の一部を示す。

荷重-変位の関係試験体終局状況

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SGCC材溶融亜鉛めっき鋼板の試験体荷重-変位の関係と試験体終局状況を示す。

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250

300

350

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0 20000 40000 60000 80000 100000

応力度(N/m

m2)

ひずみ度(μ)

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荷重-変位の関係

試験体終局状況

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熱伝導解析

有限要素法により、板厚t=0.8mm/全長2000mmの熱伝導解析を行った。

赤外線ランプ照射を模擬したシミュレーション(室温20℃、ライト距離30㎝)を実施し、自由境界と端部拘束境界の2つのモデルにおける変形量、応力度分布を比較した。

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X

Y

Z

温度境界34.2℃

雰囲気温度20.0℃

-180

-160

-140

-120

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 100 200 300 400 500 600

Y座標(m

m)

X座標(mm)

断面形

熱伝導解析モデル 断面形状(板厚t=0.8/全長2000mm)

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解析結果自由境界と端部拘束境界の2つのモデルにおける変形量を下図に示す。

自由境界 端部拘束境界

変形コンタ図

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実測では、鋼板断熱二重折板屋根の実測データによると、水下の上折板の相対変位は水上側より大きいものの、概ね20mm以下であった。

計測結果によると、四季それぞれの上折板の温度推移において、日較差に相当する大きな温度振幅と小さな振幅が混在する。また、上折板の相対変位は温度振幅と類似の挙動を示した。

実施工された丸馳タイプ二重折板の実測データ(約1年間のデータ)を分析し、屋根全体を巨視的にとらえた際の折板の線膨張係数αを算出した結果、α=12.7×10-6~19.8×10-6(1/℃)の範囲であった。

緊定金物の疲労解析では、繰り返し数104回レベルの繰り返し挙動においては、解析上、疲労耐力は3倍程度の性能であることが分かった。

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金属屋根の伸縮の詳細データを知るうえで折板の薄いデータは少ないため、めっき鋼板の引張試験を行い、L方向、W方向で差があるかを確認すべく検討を行った。工場でロール状に生成されるため、巻き癖はあるものの大きな差は見受けられなかった。

自由境界と端部拘束境界の2つのモデルにおける変形量、応力度分布を比較した結果、両端部を拘束した場合、折板の代表的部分に歪が生じ、応力度は70N/㎟程度あることが確認された。

二重折板屋根の日射に対する基礎的特性を把握するために、試験室における要素試験体に対する熱伝導応力解析を実施し、折板に生じる非定常の温度分布状況を概ね解析可能であることを確認した。

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まとめ

前述の結果のような高精度の時刻歴データから、現象に影響を及ぼす主要な因子を抽出することを検討するために,時刻歴データから得られる温度負荷の応答スペクトルに対する解析を検討する必要があると考えられる。その結果、応答値の予測を合理的に実施することができ、設計指標の明確化が可能となる。

熱伸縮の繰り返しの影響を考慮した設計やそれに基づいた施工を行うことで、自然災害などによる被害を防ぎ、漏水防止や二次災害の低減が可能となる。さらに、屋根材の変形、音の発生などの点検を行うことで、損傷の早期発見が可能となるため、今後、よりいっそういろいろな場面での使用が考えられる。

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ご清聴ありがとうございました