17
高知県における最近の雇用情勢の変化と 人手不足への対応策 概要版 日本銀行高知支店 2017年6月

高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

高知県における最近の雇用情勢の変化と 人手不足への対応策

- 概要版 ―

日本銀行高知支店 2 0 1 7 年 6 月

Page 2: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

目 次

0.概要

1.高知県内の雇用情勢の変化とその背景

2.人手不足感の高まりと県内企業への影響、先行き見通し

3.高知県経済の持続的な成長を確保するうえでの人手不足

解消に向けた対応策

4.まとめ~高知県経済の持続的な成長のために~

Page 3: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

0.概要

○ 高知県の有効求人倍率は、2009年をボトムに上昇しており、企業の人手不足感

も強まっている。

○ 経済データを使った分析からは、高知県の労働市場は、概ね完全雇用の状態と

なっていることが示されている。また、県内企業等へのヒアリングでも、人手

不足から営業時間の短縮を行うといった声が増加しているなど、本稿の分析結

果と整合的な動きとなっている。

○ 完全雇用のもと、今後、高知県経済が成長を続けるには、労働供給の増加や労

働生産性の引き上げによる供給能力の引き上げが必要である。

3

Page 4: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

1.高知県内の雇用情勢の変化とその背景

○ 高知県の有効求人倍率(有効求人数/有効求職者)は、2009年をボトムに上昇傾向にある。

○ 2009年度からの上昇幅は、2/3が求人数の増加、1/3が求職者数の減少で説明可能。

4

▽ 高知県の有効求人倍率 ▽ 有効求人倍率の求人要因と求職者要因

(出所)厚生労働省

Page 5: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

(1)求人数の変化とその背景

○ 求人数増加には、「卸売・小売業」の寄与が最も大きく、次に「医療・福祉」、「その他サービス」となっており、「宿泊・飲食サービス」や「建設業」を含めて、非製造業が牽引。

○ この背景としては、①観光需要や公共・住宅投資の増加などの需要サイドの要因に加え、②小売業界における県外からの新規出店と一部県内企業の店舗網拡大という供給サイドの要因も寄与。

5 (出所)総務省、厚生労働省

▽ 新規求人数の寄与度分解 ▽ 医薬品・化粧品小売業および飲食料品小売業の事業所数

0

500

1000

1500

2000

2500

個人 法人

2012年2014年

(事業所数)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

個人 法人

(一事業所当たりの従業員数、2014年)

▽ 医薬品・化粧品小売業および飲食料品小売業の従業員数(個人と法人計) 0

10

20

30

40

50

60

70

09 10 11 12 13 14 15 16

その他 その他サービス業

医療・福祉 宿泊・飲食サービス業

卸売・小売業 運輸・郵便業

製造業 建設業

新規求人数(2009年からの変化幅)

(2009年度からの累積寄与度、%)

(年度)

Page 6: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

(2)求職者数の変化とその背景

○ 求職者数の減少には、景気回復に伴う失業者の減少に加え、足もとでは少子・高

齢化と人口減少の進展に伴う労働力人口の減少も影響。

6

(出所)総務省、厚生労働省

▽ 高知県の労働力人口と完全失業率の推移 ▽ 求職者数の推移

Page 7: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

(3)職種毎の求人・求職のミスマッチ状況

○ 職種毎の有効求人倍率をみると、ミスマッチが生じている。

○ 例えば、「事務」や「運搬・清掃等」では、比較的専門性が低く、身体的な負担が少ないこともあって、求人数に対して求職者数が圧倒的に多い。

○ 一方、 「専門的・技術的職業」、「販売」、「サービス」などでは、実務経験や資格が必

要であったり、労働条件が相対的に厳しかったりすることもあって、求人数に対して求職者数が圧倒的に少ない。

7

(出所)厚生労働省

▽ 職種別の有効求人倍率(2016年度)

Page 8: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

2.人手不足感の高まりと県内企業への影響、先行き見通し (1)製造業・非製造業別にみた人手不足感の高まりと県内企業への影響

○ 県内企業からは、非製造業を中心に人手不足感の高まりを指摘する声が聞かれている。

○ このため、 「営業時間の短縮」、「新規受注の抑制」、「自社製造の惣菜商品数の

拡充見送り」など、経営への影響を指摘する声が増加。

8

▽ 非製造業から聞かれた声

小売A社 恵方巻き商戦に際して、人手不足から供給体制が整わず、品数を増やすことができなかった。

小売B社

幡多地区で時給1200円でパートを募集しても応募がないなど、郡部で人手不足の影響が深刻化している。郡部のコンビニでは24時間営業をやめる先が出てきた。

建設

業績低迷期に採用を控えていた一方、最近では公共工事が増加していることから、人手不足感を強く感じている。そのため、工事の新規受注を受けられない状況にある。

(出所)日本銀行高知支店、ヒアリング情報に基づき作成

▽ 高知県の雇用人員判断D.I.

Page 9: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

○ 本稿では、高知県の構造失業率を推計し、「完全雇用状態にあるか否か」の検証を試みた。分析結果は、以下の①~③のとおり。

①構造失業率は3%~4%

②完全失業率は足もと、構造失業率と概ね同水準まで低下

③その結果、概ね「完全雇用の状態」(需要不足による失業率がゼロ)にあること

○ これは、人手不足が実際の企業経営に悪影響を及ぼしているとの声が増加していることと整合的。高知県経済は、既に「供給の天井」に達しており、供給サイドに働きかける政策の重要性が高まっている。

9 (出所)総務省、厚生労働省

▽ 高知県の構造失業率

(2)高知県の構造失業率の推計結果とその推移

Page 10: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

○ 高知県では、今後も労働力人口の減少が続くことは避けられず、有効求人倍率の上昇傾向が続き、人手不足感が一段と高まっていくことは確実。

○ 持続的な経済成長のためには、労働供給の増加(女性や高齢者の活躍促進、非正規社員の正規化、ミスマッチの解消)や労働生産性の向上といった供給サイドへの働きかけが喫緊の課題。

10

(出所)総務省、厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所

▽ 労働力人口の減少 ▽ 先行きの有効求人倍率

(3)人口動態を踏まえた人手不足感についての先行き見通し

Page 11: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

東京都

奈良県

徳島県

京都府

香川県

大阪府

広島県

福岡県

兵庫県

宮城県

高知県

山口県

北海道

熊本県

大分県

岡山県

鳥取県

福島県

和歌山県

神奈川県

愛媛県

岩手県

長崎県

青森県

山形県

鹿児島県

愛知県

山梨県

宮崎県

島根県

静岡県

群馬県

栃木県

新潟県

三重県

福井県

秋田県

長野県

富山県

岐阜県

佐賀県

千葉県

石川県

茨城県

滋賀県

沖縄県

埼玉県

全国平均

(%)

3.高知県経済の持続的な成長を確保するうえでの人手不足解消に向けた対応策 (1)労働供給の増加に向けた対応策 ①女性の活躍促進

○ 高知県は、女性の労働参加率および管理職比率の高さが示す通り、「女性活躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

11

▽ 高知県と全国の労働力率(2015年) ▽ 高知県の労働力率の変化

▽ 女性の管理職比率(2015年)

(出所)総務省

0102030405060708090

全国

高知県

(%)

0

20

40

60

80

100

120

20~24歳 30~34 40~44 50~54 60~64 70~74

2010年・女性

2015年・女性

2010年・男性

2015年・男性

(%)

Page 12: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

①女性の活躍促進(続き)

○ 人手不足への対応や社会的要請の高まりから、県内企業では「女性が働きやすい環境の整備」、「働く女性のインセンティブ向上」といった取り組みがみられる。

○ もっとも、課題としては、「管理職への登用となると消極的」といった声が聞かれるほか、未就学児をもつ女性を中心に、始業・就業時間の選択など、さらなる改善を求める声が少なくない。

12 (出所)ヒアリング情報、高知商工会議所

①女性が働きやすい環境の整備

金融機関A社 転勤制限のある総合職を新設。

建設 育児との両立を図ってもらうために、2時間単位で取得できる時間休制度を導入。

②働く女性のインセンティブ向上

小売A社 2021年までに女性の管理職比率を5%以上に引き上げることを目標に、人事評価システムの見直しを実施。

小売B社 財布を握ることの多い主婦と同じ目線を持った、有能な女性社員を、営業戦略の企画に携わる幹部に登用。

③取り組みの成果・波及効果

金融機関B社

育児中の女性社員に対して時短制度等の取り組みを行った結果、育児休業後の職場復帰率が9割以上になっている。

▽県内企業の取り組み事例

0 10 20 30 40

その他

上のキャリア(管理職や役員等)を目指したい

会社の指示なら受け入れる

仕事の範囲を広げたくない

今よりも働きやすくなればキャリアアップやスキル

アップを目指したい

今以上にスキルアップしたい

ライフステージの変化に応じて判断

(%)

▽ 働く女性の仕事に対する考え方

0 20 40 60

その他

半日単位の年休

軽微な業務への配置換え

短時間勤務への切り替え

有給の看護休暇

時間単位の年休

始業・就業時間の選択

(%)

▽ 未就学児をもつ働く女性が必要と考える制度

Page 13: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

②高齢者の活躍促進

○ 法令面での要請や人手不足感から高齢者の活躍促進が進展。もっとも、法令面での要請以上の取り組みを行う先は一部に限られるほか、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は全国と比べて低位。

○ 賃金体系や職種区分の見直し、健康・体力面を考慮した勤務時間の柔軟化が必要。

13

(出所)総務省、厚生労働省、ヒアリング情報

▽県内企業の取り組み事例

①法令の要請以上の取り組みを行っている先

建設A社

人手不足の深刻化に加え、高い技術の継承を企図して、高齢者の定年延長を行っている。また、身体的な負担を考慮して、短時間勤務制度も導入している。

②法令の要請以上の取り組みは行っていない先

建設B社 現場の指揮をするには相応の精神力と体力が必要なことから、法令の要請以上の取り組みには消極的である。

行政機関 年功序列型の賃金体系が根付いており、高齢者の継続雇用はコストが大きい。

▽ 高齢者の労働力率の推移

0

20

40

60

80

2010年

2015年

(%)

▽ 60歳以上の常用労働者の推移

11,169

13,416

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

51人以上規模企業

31人以上規模企業

(人)

(年)

Page 14: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

③非正規社員の正社員化

○ 優秀な人材の確保が困難になっていることや、非正規社員では応募者が集まりにくいとの認識が強まっていることから、「既存の非正規社員の正規化」や「非正規での募集から正社員での募集へのシフト」などの動きが拡大。

○ 非正規社員の正社員化は、正社員としての就業機会がないために、求職を諦めた人の労働市場への参入等を通じて、労働供給の引き上げに繋がる取り組み。加えて、正社員化でOJTや研修への参加機会が増え、労働者の質の面での向上にも繋がる。

○ もっとも、女性が非正規社員を選ぶ背景には、育児や介護との両立の難しさがあるため、女性活躍促進に向けた取り組みが、非正規社員の正社員化にも繋がる。

14

(出所)総務省、ヒアリング情報

▽県内企業の取り組み事例

その他製造

人が集まりにくくなっていることに加え、既存の正社員へのスキル継承が進んでいないことから、やる気のあるパートの正社員化を進めている。昨年から年齢制限をなくしたほか、勤務期間が1年以内のパートであっても正社員化の対象としている。

食料品

毎年、繁忙期に向けて季節労働者を募集してきたが、応募が集まらなかったことから、今年は通年での正社員として応募をかけている。

飲食

非正規社員の正社員化により、店長(正社員)への道を開くことで、優秀な

人材の繋ぎ止めを図っている。正社員比率を現在の10%から20%へと引き上げていく予定である。

▽ 男女別にみた非正規社員を選んだ理由

<女性> <男性>

都合の良い時間に働き

たいため家計の補助・学費等の

ため家事・育児・介護との

両立のため通勤時間が短いため

専門的な技能等を活か

せるから正規の職がないから

その他

Page 15: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

④ミスマッチの解消

○ 職種間のミスマッチ解消による充足率の引き上げも人手不足解消には有効。そこで、求職者が「運搬・清掃等」から「販売・サービス」に移ると、どれだけ人手不足感が解消するのかを試算。

○ その結果、「販売・サービス」の有効求人倍率は大きく押し下げられるものの、就職率(面接等の試験を受けて実際に就職できる人の割合)の低さから、充足率は低位に止まることが判明。

○ 従って、ミスマッチ解消には、職業訓練等を通じて、就職率を引き上げることが必要。また、職業訓練は高知県の構造問題でもある低生産性の解消にも効果的。

15 (出所)厚生労働省

▽ 有効求職者の移動の効果

<有効求人倍率の変化> <充足率の変化>

▽ 全国の就職率(サービス、2015年度)

0

5

10

15

20

25

福井山形秋田宮崎青森富山新潟大分山口愛媛徳島鹿児島

岩手島根石川和歌山

鳥取長崎岡山佐賀香川群馬岐阜福島熊本長野三重広島奈良山梨栃木茨城宮城高知滋賀静岡福岡北海道

兵庫京都大阪千葉東京沖縄愛知埼玉神奈川

(%)

Page 16: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

(2)労働生産性の引き上げに向けた対応策

○ 労働供給の増加のほか、労働生産性の引き上げも人手不足解消に有効。県内では、①省力化投資、②従業員のマルチタスク化、③外部委託の活用、④BPR

(Business Process Re-engineering)の推進などに取り組む企業が拡大。

○ こうした企業は同時に賃上げも実施。この点、「賃金上昇による人件費の上昇により経費削減に迫られたこと」を労働生産性の引き上げに取り組む理由として挙げる先が大半。

16

▽県内企業の取り組み事例

①省力化投資

汎用・生産用機械

従業員数の確保が難しくなっている中で、増産を実施するため、昨年組立部門にロボットを導入。

小売A社 人手不足に対応するため、事務の機械化・集中化を進めており、加工センターの建設(機械導入含む)を計画。

小売B社 人手が集まらないことから、昨年セミセルフレジを導入した。

②従業員のマルチタスク化

紙・パルプ

余裕のあるラインの機械操作者に、繁忙度が高く人手が足りていない製造ラインの機械の操作方法を習得させている。

小売C社

これまでよりも少ない人数で業務を回さざるを得なくなったことから、商品陳列専担の従業員にもレジ打ちの方法を習得させた。

③外部委託の活用

飲食

パート・アルバイトの時給引き上げによって人件費が上昇しているが、県外大手との競争激化や消費者の低価格志向により価格に転嫁し切れてない。そのため、一部業務の機械化のほか、2年程前から、野菜のカット作業を卸売業者に委託している。

④BPRの推進(業務効率化)

小売D社

前年に、人手不足感からアルバイトの時給を改定した結果、人件費が+4%上昇したが、オペレーションの見直しによる総労働時間の減少で吸収することができた。

(出所)企業からのヒアリング情報

Page 17: 高知県における最近の雇用情勢の変化と ... · 躍の先進県」といっても過言ではない。また、女性の労働力率は、ここ5年で 更に高まるなど、このところ女性の活躍が一段と進展。

4.まとめ~高知県経済の持続的な成長のために~

○ 高知県は、景気回復や産業振興政策等の奏功に労働力人口の減少も相俟って、概ね「完全雇用の状態にある」とみられる。こうしたもとで、持続的な成長を達成するためには労働供給の増加や生産性向上による供給能力の引き上げが急務。

○ 短期的には、単純な求職者の移動による職種間のミスマッチ解消が挙げられる。もっとも、それだけでは就職率の低さから人手不足の解消や生産性の向上には繋がらない。

○ 中長期的な取り組みとして、①女性や高齢者の活躍促進を通じた労働供給の引き上げ、②非正規社員の正規化や職業訓練等を通じた質の向上を伴う労働供給の引き上げ、③省力化投資等を通じた能動的な労働生産性の引き上げが重要。

○ 地公体や金融機関等には、地元企業がここに掲げた取り組みを行うインセンティブを高めるような施策を実施していくことが強く求められる。

17