21
平成30年度第1CPD協議会シンポジウム ~ 工学における基盤技術の重要性 ~ 1 ECEプログラムの挑戦 ~ Artificial Intelligence and IoT 分野における事例紹介 産業技術総合研究所 秋永広幸

ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

1

ECEプログラムの挑戦~ Artificial Intelligence and IoT 分野における事例紹介 ~

産業技術総合研究所

秋永広幸

Page 2: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

2

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 3: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

3

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 4: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

4

1. ECEプログラムとは何か?

Engineering Capacity Enhancement Program : 技術力向上教育プログラムのことであり、時代が要請する技術領域にまたがる課題とCPD取得者やその雇用者ニーズに基づいた明確な課題を、日本工学会に属する学協会が協力して提供する技術者継続教育プログラムを指す。

世界最高の技術を含むECEプログラムを学ぶことにより、大きく変化する国際社会のニーズに対応できる独創性と高い志をもつ優れた技術者を育成することを目的とする技術者継続教育プログラムである。

教育プログラムの特徴として、時代の要求に適合する最も先進的なエンジニア層の形成を目指しており、そのため十分な理解促進のために、まとまった期間を持つ研修プログラムである。

引用:「日本工学会認定ECEプログラムの開発と実施ガイドライン」、2 2014年4月、日本工学会CPD協議会ECEプログラム委員会

Page 5: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

5

1. ECEプログラムとは何か?

「ECEプログラム」年表

平成19年6月 「ECEプログラム」検討WGのPDE協議会への提案

平成19年9月~平成22年6月PDE協議会ECE・WG会議を22回開催

平成22年8月~平成28年3月CPD協議会ECE・WG会議を34回開催

平成22年4月~平成24年

●ナノエレクトロニクスECEプログラム開始(産総研)

平成23年4月~●物質・材料基礎ECEプログラム開始(NIMS)

平成25年3月 冊子 「ECEプログラムの開発と運用~国際競争力向上に

向けて~」を発行(ECEプログラム委員会)

平成25年5月~●SICE続々プロセス塾ECEプログラム認定

平成26年4月 冊子 「日本工学会ECEプログラムの開発と実施ガイド

ライン」を発行(ECEプログラム委員会)

平成28年現在

プログラム修了証授与者は総計196名各界で活躍中

Page 6: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

6

1. ECEプログラムとは何か?

ECEプログラムの目的(到達目標)

1.プロフェッショナルとしての専門能力の向上高度な知識と業務遂行能力、独創的開発力、的確な問題設定能力、技術者倫理の理解、洞察力など向上

2.多様性を受け入れ、異分野技術を取り入れていける能力の向上技術分野の統合理解能力、異分野技術の活用能力、新しい技術領域を知る能力など向上

3.グローバルな競争力の強化に寄与できる能力の向上将来研究課題をリードできる能力、グローバルな人脈形成能力、日本文化を海外に伝える能力向上

4.社会人基礎力の向上海外の技術者・異分野の技術者と人的チャンネルを開拓できる能力、ロジカルスピーキング、生涯にわたって新しい知識を獲得し活用していける能力、リベラルアーツを理解できる能力、経営・管理能力など向上

Page 7: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

7

1. ECEプログラムとは何か?

ECEプログラムの要件

1.異分野技術を取り入れたプログラムであること

多様性を受け入れ、異分野技術を取り入れる能力の向上を目指した内容を含んだプログラムであること。

2.CPD取得者やその雇用者のニーズに基づき課題と到達目標が定められたプログラムであること克服すべき課題と到達目標が設定

3.プロフェッショナルとして専門技術力を身につけることができる総合的コース制プログラムであること十分な研修期間を確保する

4.世界の最先端技術を取り入れたプログラムであること

将来の研究課題をリードできるようにするため世界最先端技術を取り入れたプログラムであること

5.社会人基礎力の向上を取り入れたプログラムであること

自律的な関心を高め、自ら考え行動できる能力を身につけるために、社会人基礎力向上を取り入れたプログラムであること

Page 8: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

8

1. ECEプログラムとは何か?

実施と申請から認定までの流れ

日本工学会理事会

CPD協議会

ECEプログラム委員会

ECEプログラム

推進委員会A A

ECEプログラム

推進委員会A B

ECEプログラム

推進委員会A C

ECEプログラム

推進委員会A D

STEP 1 学協会・機関等は申請書を書いてECEプログラム委員長あてにプログラム認定を申請する。 3月頃STEP 2 ECEプログラム委員会が認定基準に基づきプログラムを審査する。 4月頃STEP 3 審査結果が日本工学会理事会に提示され、承認を受けたプログラムはECEプログラムとして認定 5月頃STEP 4 各ECEプログラム推進委員会が教育を実施する

STEP 5 修了者判定を各ECEプログラム推進委員会が行い、修了証授与候補者をECEプログラム委員会に申請する(翌年3月頃)STEP 6 承認されるとECEプログラム修了証が授与される(翌年5月頃) 名前等HP掲載。

幹事会(6回/年)

E, F, G, ・・・

Page 9: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

9

1. ECEプログラムとは何か?

今後の日本工学会ECEプログラム活動方針(理事会資料平成29年度計画 公益事業-2より抜粋)

~次期ECEプログラム(第III期)の検討推進~

日本工学会ECEプログラムは、まず第I期として産業技術総合研究所や物質・材料研究機構など、日本を代表する独立行政法人によって開始された。平成25年度からは、第II期として、計測自動制御学会によって学会主導のECEプログラムが開始され、現在好評裏に運営されている。今後第III

期として民間会社など産業界とのコラボレーションの可能性を追求する。このためには、いろいろなセクターにおけるECEプログラム推進可能性を模索する必要があり、以下の活動を行う。

a)独立行政法人、産業界、学会等各セクターにおける高度技術者教育に対するニーズを把握するため、各種懇談の場を設け各セクターが抱える高度技術者教育の問題点と日本工学会が果たすべき役割を検討するb) 民間企業が実施する技術者教育プログラムをECEプログラムとして認定し、CPD単位を付与する可能性について検討する。

Page 10: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

10

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 11: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

11

2. AI2oT ECEプログラムの目指す人材育成像

非連続に増大するビッグデータ“情報爆発”を利活用するために、それらの情報を処理する計算機の性能向上は喫緊の課題となっている。従来型計算機にそれを任せていては、半導体テクノロジーにおけるスケーリングや3次元化による低消費電力化をもってしても、情報爆発のスピードに追い付けない。

また、IoT (Internet of Things) 時代においては、実世界とITが緊密に結合され、実空間とサイバー空間の相互連関システムであるCPS (Cyber Physical

System) が進展していくことが予想され、工場間やバリューチェーンにおける連携強化や、ものづくり企業のサービス高度化などの産業構造の変革をもたらすことが期待されている。そしてその実現に向けて、情報処理に要する消費エネルギーを非連続的に低減し、機能的にも従来型計算機の不得意な処理を補完する「脳型情報処理(人工知能AI (Artificial Intelligence))」関連技術の社会実装が急速に進められている。

このように広範、かつ横断的に拡がるAI、IoT関連技術に習熟し、特に製造技術の高度化や製造現場の技能・技術を統括できる人材の輩出を目指す。

Page 12: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

12

2. AI2oT ECEプログラムの目指す人材育成像

広範、かつ横断的に拡がるAI、IoT関連技術に習熟し、特に製造技術の高度化や製造現場の技能・技術を統括できる人材の輩出

アーキテクチャ・システム

収集 蓄積 処理セキュリティ

回路・

プロセス

プロセス・

デバイス

材料

収集:センサ―ネット、高速通信等蓄積:サーバーからクラウドまで処理:脳型推論、量子情報処理等

特に、ソフトとハードの一体的開発の視点を入れてからアーキテクチャを含む

データセキュリティ:PUF等

AI、IoT関連技術から見た視点

モノ・コトづくりの視点

(レイヤー間融合)

⇒カリキュラム開発の骨子とする。⇒さらに実習(セミナー)を併設する。

Page 13: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

13

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 14: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

14

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯 / 講義

第1回人材育成スクール(2017年2月23-24日)

受講生アンケート回収~カリキュラムの改善

第2回 人材育成スクール(2017年10月~12月)

講義1「ニューラルネットワーク集積回路概論 」講義2「ReRAM基本技術とそのAI応用」講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」講義4「組合せ最適化処理の高速化を目指したアニーリング研究開発の現状と展望」講義5「IoT社会にむけたスマートセンサ開発の取り組み 」講義6「生体情報リアルタイム計測デバイス開発とプラットフォーム展開について」講義7「エッジAIの動向と省電力AIエンジンのアーキテクチャについて」講義8「耐タンパセキュリティ技術とReRAMへのセキュア応用」

講師の方々:民間企業5名、大学2名、公的機関1名※世界最先端の研究開発を推進している研究者が講師となっている。

ホームページアドレスhttps://www.iot-aidevice.org/

ソフト、ハード一体型研究開発の成果の一部⇒講義

ECEプログラムとして認定(2018年4月19日)

Page 15: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

15

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯 / 実習

Page 16: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

16

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯 / 実習

講義で学んだ素子を自分の手で作製し、その特性評価までを行う。受講生間の意見交換も活発になる。

Page 17: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

17

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 18: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

18

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

第3回人材育成スクール (2018年夏開催予定)

8~10コマの講義と新アナログ型抵抗変化素子の試作環境を生かした実習を実施予定です。また、本年度は、ArduinoとNEDO事業で開発したAIアクセラレータであるFPGAシールドを用いて、AIを体験していただく実習形式のセミナーの併設も計画しています。

QR-JAM

2018年夏のプログラムの情報をお知りになられたい方は、下記ホームページからご連絡下さい。

https://www.iot-aidevice.org/

受講生が作製した素子

2017年度講義の様子

Page 19: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~

19

Structure

1. ECEプログラムとは何か?

2. AI2oT (Artificial Intelligence and IoT)

ECEプログラムの目指す人材育成像

3. AI2oT ECEプログラム開発の経緯

4. AI2oT ECEプログラム開催計画

5. まとめ

Page 20: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

20

5. まとめ

スクールカリキュラムの一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。関係各位に感謝いたします。事業名:IoT推進のための横断技術開発プロジェクト

実習プログラムに関しては、特に、島 久氏 (産業技術総合研究所)によって、その開発が先導されました。また、アルバックテクノ株式会社の協力を得て実施しました。

【謝辞】

「予測不可能な人工知能の進化に対抗するすべはあるのか?」という警鐘が、頻繁に鳴らされるようになってきた[下記参考文献]。人工知能の自己進化は「知識爆発」として

知られている。この知識爆発による負の側面を顕在化させないために、今、我々が出来ることは、人工知能を地球上に局在させないことである。我々には、ものづくりの視点で脳型推論(人工知能)システムの小型化・低消費電力化を推進し、そのシステムを使いこなせる人材が必要となる。[参考文献] ジェイムズ・バラット著 (水谷淳 訳),Our Final Invention,ダイヤモンド社,2015年.

【私たちの挑戦】

Page 21: ECEプログラムの挑戦 - jfes.or.jp · 講義2「reram基本技術とそのai応用」 講義3「ニューロモルフィック応用を目指した材料・デバイス開発」

21

平成30年度第1回CPD協議会シンポジウム~工学における基盤技術の重要性~