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212013930日(月)札幌南高等学校図書局発行 書架の隙間から 本を読む 書評を読む ハエがある日突然ゾウになったら、どんな ことが起こるだろう?森がなくなった世の中 を想像してみたことはある?文字が動き出し て、人間の言葉を話したら?人が本の世界に 入ってしまったら?涙がダイヤモンドになった ら?←この?は、だれが作っているの?神が 死んだら、人々はどうなるんだろう? もし、そうやって親に訊いたら、「そんな“くだらないこと”を考 えている暇があったら勉強しなさい」と軽くあしらわれるだろう。 小さかったとき(今でも小さいとよく言われるが)、そういう“く だらないこと”を突然考えはじめて止まらなくなってしまうこと があった。そのことがとても重要なことのように思えた。誰しも、 そういう経験はあるのではないだろうか。 『神童のための童話集』は短編集であるが、とても難解だった。 一つ一つの文や言葉をしっかりと噛んで消化しないと、何が言い たいのかさっぱりわからない。だけど、妙に共感というか、納得で きる部分がある。そこにねじれが生じ、そのことが余計わたしの 思考を混乱させた。 なぜ、「わからない」と「わかる」が共存することができるの か。それは、これらの童話が、作者の膨大な知識と、子どものよ うな発想を合わせてつくられているからではないだろうか。哲 学者や思想家、宗教などについての知識をもとにして、普通は 成長するにつれて無意識で否定してしまっている“くだらない こと”を深く掘り下げ、さらに発展させて物語をつくりだしてい る。それこそが、読者を混乱させ、「奇妙な後味を残し、常識と 日常を揺さぶるような作用」(書評より)を与えるのだ。 そういう意味で、確かにこの本は「神童のための」ものであ ると言えるかもしれない。では、我々凡人がこの本を理解する ためにはどうしたらよいのだろうか。そこには知識と発想が必 要である。知識に関しては、かなり詳しい訳注がついているた めあまり不自由することはないだろう。問題は、発想をどのよ うにして得るかということだ。そのためには、自分の発想力を 理性で抑制することなく、最大限に解放するしかない。 大げさに言うと、わたしたちがこの本を理解しようと努める ことこそが、自分の中に新しい境地を発見することそのものな のだ。( 『神童のための童話集』 S・クルジジャノフスキィ・著 東海晃久・訳 河出書房新社 書評 毎日新聞2013/7/21 沼野充義 ~原作と楽しむドラマ『SHERLOCK』~ アーサー・コナン・ドイル著“シャーロックホームズシリー ズ”。出版から100年経った現在でも、世界中で熱狂的なファ ンがあとを絶たない。この作品は多くの映像化がされてい るが、その中でもイギリスBBC制作のテレビドラマ、 SHERLOCK』が今、人気を博している。本作品は“現代版 シャーロックホームズ”という斬新な設定で話題になり、現 在、第3シリーズが制作中である。舞台は現代のロンドン。ベ イカーストリートの221Bも健在だ。 ベネディクト・カンバ―バッチ演じる現代版ホームズは、原 作ホームズのエキセントリックな面がより強調され、頭脳は 明晰だが、周囲からはサイコパス(変質者)呼ばわり、高機能 社会不適合者を自称するといった具合で、現代の“天才像” により近い。一見、ファンから嫌われやすい、原作を無視した ような設定に思われるが、そんなことはない。むしろこの作 品は原作を読んでいる人ほど楽しめるだろう。話の大筋は 原作通りであるし、なにより、原作のあらゆるシーンや設定 が現代風にパロディされていたり、ふとした原作との相違 点があったりするから目が離せない。 例えば、ワトソンとホームズはファーストネームで呼び 合うし、ホームズのコカイン中毒はニコチン中毒に変更さ れている。(ちなみにホームズは禁煙中でニコチンパッチ を常用している)ワトソンがホームズの推理をはじめてみ るのは新聞ではなくブログであるし、ワトソンがホームズ の推理を記録するのもブログである(このブログは実際 に存在する)。変更点ばかりと思っていると、ホームズが ワトソンを221Bに呼ぶときにナイフで手紙を刺したり、黒 ピーターでおなじみの血だらけの銛を持ったホームズが 登場したりと原作の小ネタもおさえてあり、ついニヤッと してしまう。 ワトソンをはじめとし、アイリーン、レストレード、モリアー ティなどその他のキャラも魅力的な設定でパロディされ ている。 これから見てみようという人も、ドラマだけという人も、 ぜひ原作を片手に楽しんでみてほしい。新たなシャーロッ クホームズの世界に浸ること間違いなし、である。( ) 『書を捨てよ、町へ出よう』 寺山修司・著 男はやっぱりイケメンじゃなくちゃだめだけど、中身のないイケメンよりは格好いい不細工 のほうがいい。寺山修司の顔はお世辞にもイケメンとは言えない。悪そうな顔をしている。だ けどこの人には、やっぱり「格好いい」なあと思わせるなにかがある。 「かっこいい」人や「カッコいい」人はざらにいる。顏がそこまで整っていなくても、服装と か髪型とかで案外簡単に「かっこよく」「カッコよく」なることはできる。しかし「格好いい」と いうのはそういうのと全然違って、もっと内面的で、なんて説明していいかわからないのだ が、とにかくそう、簡単に言葉では言い表せないような――。 とにかく、読めばわかる、としか言えない。「文学作品なんて読み切れたことがない…」と いう人でも、この本なら必ず読める。それだけは保証する。読めば誰でも「格好よく」なれる かは保証しないが。 最後に、寺山修司の『臓器交換序説』より引用を載せる。 「街は、いますぐ劇場になりたがっている。さあ、台本を捨てよ、街へ出よう。」( この夏得たものを、いま、図書館から ~長崎しおかぜ総文祭を終えて~ 8月に諫早市で行われた、長崎しおかぜ総文祭の図書部門に参加しました。 全国から約50校もの学校の図書に関わる生徒たちが長崎に集いました。 「図書局ってどんなことをしているの?」とよく訊かれる。活動内容をたんたんと述べたとこ ろで相手の反応は薄く、ましてやその活動の目的までも問われたら、思わず口ごもってしまう。 図書局活動の意味とは何か。今夏、長崎でそんな課題、悩みを共有できる同志たちに出会えた。 全国さまざまな高校の図書局活動について話を聞いた。ユニークな活動もたくさんあった。 だがどれも、単に本の面白さを伝えるためだけにやっているわけではないように思えた。そこ には、本が自分たちの人生を豊かなものにしてくれると信じる思 いがあり、その思いが詰まった活動を鼓舞するような、本を愛す る心があった。 総文祭の中で行われた作家・古川日出男さんによる講演会の 表題は「ことばの生命力をひきだす」だった。図書局活動の意味 をことばで表現するのは未だに難しい。だがまず、図書局活動自 体の生命力をひきだすことから始めるべきだと思う。それをひき だすための皮切りとなるものは、長崎で見つけた。 今回の総文祭で、たくさんの人に出会い学んだことをヒントに しながら、これからの図書館がより生き生きしたものとなるよう、 活動していきたい。( ) ↑活動発表をする図書局員 NOW PRINTING

書架の隙間から · 2013-11-12 · 登場したりと原作の小ネタもおさえてあり、ついニヤッと してしまう。 ワトソンをはじめとし、アイリーン、レストレード、モリアー

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こ こ

第21号 2013年9月30日(月)札幌南高等学校図書局発行

書架の隙間から ―本を読む 書評を読む

ハエがある日突然ゾウになったら、どんな

ことが起こるだろう?森がなくなった世の中

を想像してみたことはある?文字が動き出し

て、人間の言葉を話したら?人が本の世界に

入ってしまったら?涙がダイヤモンドになった

ら?←この?は、だれが作っているの?神が

死んだら、人々はどうなるんだろう?

もし、そうやって親に訊いたら、「そんな“くだらないこと”を考

えている暇があったら勉強しなさい」と軽くあしらわれるだろう。

小さかったとき(今でも小さいとよく言われるが)、そういう“く

だらないこと”を突然考えはじめて止まらなくなってしまうこと

があった。そのことがとても重要なことのように思えた。誰しも、

そういう経験はあるのではないだろうか。

『神童のための童話集』は短編集であるが、とても難解だった。

一つ一つの文や言葉をしっかりと噛んで消化しないと、何が言い

たいのかさっぱりわからない。だけど、妙に共感というか、納得で

きる部分がある。そこにねじれが生じ、そのことが余計わたしの

思考を混乱させた。

なぜ、「わからない」と「わかる」が共存することができるの

か。それは、これらの童話が、作者の膨大な知識と、子どものよ

うな発想を合わせてつくられているからではないだろうか。哲

学者や思想家、宗教などについての知識をもとにして、普通は

成長するにつれて無意識で否定してしまっている“くだらない

こと”を深く掘り下げ、さらに発展させて物語をつくりだしてい

る。それこそが、読者を混乱させ、「奇妙な後味を残し、常識と

日常を揺さぶるような作用」(書評より)を与えるのだ。

そういう意味で、確かにこの本は「神童のための」ものであ

ると言えるかもしれない。では、我々凡人がこの本を理解する

ためにはどうしたらよいのだろうか。そこには知識と発想が必

要である。知識に関しては、かなり詳しい訳注がついているた

めあまり不自由することはないだろう。問題は、発想をどのよ

うにして得るかということだ。そのためには、自分の発想力を

理性で抑制することなく、最大限に解放するしかない。

大げさに言うと、わたしたちがこの本を理解しようと努める

ことこそが、自分の中に新しい境地を発見することそのものな

のだ。( )

『神童のための童話集』 S・クルジジャノフスキィ・著 東海晃久・訳 河出書房新社 書評 毎日新聞2013/7/21 沼野充義

~原作と楽しむドラマ『SHERLOCK』~

アーサー・コナン・ドイル著“シャーロックホームズシリー

ズ”。出版から100年経った現在でも、世界中で熱狂的なファ

ンがあとを絶たない。この作品は多くの映像化がされてい

るが、その中でもイギリスBBC制作のテレビドラマ、

『SHERLOCK』が今、人気を博している。本作品は“現代版

シャーロックホームズ”という斬新な設定で話題になり、現

在、第3シリーズが制作中である。舞台は現代のロンドン。ベ

イカーストリートの221Bも健在だ。

ベネディクト・カンバ―バッチ演じる現代版ホームズは、原

作ホームズのエキセントリックな面がより強調され、頭脳は

明晰だが、周囲からはサイコパス(変質者)呼ばわり、高機能

社会不適合者を自称するといった具合で、現代の“天才像”

により近い。一見、ファンから嫌われやすい、原作を無視した

ような設定に思われるが、そんなことはない。むしろこの作

品は原作を読んでいる人ほど楽しめるだろう。話の大筋は

原作通りであるし、なにより、原作のあらゆるシーンや設定

が現代風にパロディされていたり、ふとした原作との相違

点があったりするから目が離せない。

例えば、ワトソンとホームズはファーストネームで呼び

合うし、ホームズのコカイン中毒はニコチン中毒に変更さ

れている。(ちなみにホームズは禁煙中でニコチンパッチ

を常用している)ワトソンがホームズの推理をはじめてみ

るのは新聞ではなくブログであるし、ワトソンがホームズ

の推理を記録するのもブログである(このブログは実際

に存在する)。変更点ばかりと思っていると、ホームズが

ワトソンを221Bに呼ぶときにナイフで手紙を刺したり、黒

ピーターでおなじみの血だらけの銛を持ったホームズが

登場したりと原作の小ネタもおさえてあり、ついニヤッと

してしまう。

ワトソンをはじめとし、アイリーン、レストレード、モリアー

ティなどその他のキャラも魅力的な設定でパロディされ

ている。

これから見てみようという人も、ドラマだけという人も、

ぜひ原作を片手に楽しんでみてほしい。新たなシャーロッ

クホームズの世界に浸ること間違いなし、である。( )

『書を捨てよ、町へ出よう』 寺山修司・著

男はやっぱりイケメンじゃなくちゃだめだけど、中身のないイケメンよりは格好いい不細工

のほうがいい。寺山修司の顔はお世辞にもイケメンとは言えない。悪そうな顔をしている。だ

けどこの人には、やっぱり「格好いい」なあと思わせるなにかがある。

「かっこいい」人や「カッコいい」人はざらにいる。顏がそこまで整っていなくても、服装と

か髪型とかで案外簡単に「かっこよく」「カッコよく」なることはできる。しかし「格好いい」と

いうのはそういうのと全然違って、もっと内面的で、なんて説明していいかわからないのだ

が、とにかくそう、簡単に言葉では言い表せないような――。

とにかく、読めばわかる、としか言えない。「文学作品なんて読み切れたことがない…」と

いう人でも、この本なら必ず読める。それだけは保証する。読めば誰でも「格好よく」なれる

かは保証しないが。

最後に、寺山修司の『臓器交換序説』より引用を載せる。

「街は、いますぐ劇場になりたがっている。さあ、台本を捨てよ、街へ出よう。」( )

この夏得たものを、いま、図書館から

~長崎しおかぜ総文祭を終えて~

8月に諫早市で行われた、長崎しおかぜ総文祭の図書部門に参加しました。

全国から約50校もの学校の図書に関わる生徒たちが長崎に集いました。

「図書局ってどんなことをしているの?」とよく訊かれる。活動内容をたんたんと述べたとこ

ろで相手の反応は薄く、ましてやその活動の目的までも問われたら、思わず口ごもってしまう。

図書局活動の意味とは何か。今夏、長崎でそんな課題、悩みを共有できる同志たちに出会えた。

全国さまざまな高校の図書局活動について話を聞いた。ユニークな活動もたくさんあった。

だがどれも、単に本の面白さを伝えるためだけにやっているわけではないように思えた。そこ

には、本が自分たちの人生を豊かなものにしてくれると信じる思

いがあり、その思いが詰まった活動を鼓舞するような、本を愛す

る心があった。

総文祭の中で行われた作家・古川日出男さんによる講演会の

表題は「ことばの生命力をひきだす」だった。図書局活動の意味

をことばで表現するのは未だに難しい。だがまず、図書局活動自

体の生命力をひきだすことから始めるべきだと思う。それをひき

だすための皮切りとなるものは、長崎で見つけた。

今回の総文祭で、たくさんの人に出会い学んだことをヒントに

しながら、これからの図書館がより生き生きしたものとなるよう、

活動していきたい。( ) ↑活動発表をする図書局員

NOW

PRINTING

Page 2: 書架の隙間から · 2013-11-12 · 登場したりと原作の小ネタもおさえてあり、ついニヤッと してしまう。 ワトソンをはじめとし、アイリーン、レストレード、モリアー

『はだしのゲン』問題を知っているか!?

私は、『はだしのゲン』についての新聞記事を読んで驚いた。2ヵ月

くらい前に弟が札幌市中央図書館から借りてきたこの本をついでに

読んだからだ。その本には、記事に書いてあった日本兵の残酷な表

現よりも主人公の友達が麻薬中毒になってやくざに殺されたり、友

達がやくざの仲間になって人を殺したりなどあまり体験することの

ない内容が多いと思った。でも、新聞が言うほど日本兵の行動に残

酷な表現は使われていないと思う。

私の小学4年生の弟も一緒に読んでいたが、時々笑いながら読ん

でいて、感想を聞くと「おもしろいけど、かわいそう」と言っていた。

主人公と同じ小学生だと原爆に悲惨さを感じたり、主人公が差別を

されたときに仕返しをするところがすっきりしておもしろかったりす

るのかなと思った。

『はだしのゲン』の主人公は、クラスに1人はいるような元気な子

なので行動におもしろいところもあったけれど、どちらかと言えば

話が重いので、「おもしろい」よりも「たくましい」と思った。

性別や、日本人か外国人か、戦争の反対派か賛成派かで差別され

ている場面があり、当時の日本の様子を知ることができた。『はだし

のゲン』を私のまわりで読んだことがある人はあまりいなかった。だ

から制限をかけられたらこの本は主に戦争の話なので、原爆が落ち

た様子や戦時中の日本の様子は、詳しく書かれているから戦争関係

の本を読む機会が減ると思った。だから、この本は一度は読んでお

いた方が良いと思う。そして『はだしのゲン』に限らずに、本は少しく

らい過激な部分があったとしてもそこからいろいろな事を学べるの

で制限する必要はないと思った。( )

本との出会い、大切にしませんか?

昨年8月、故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた『はだしのゲン』を学校の図書館から撤去するよう松江市の男性から要

請があった。先月末に閲覧制限が撤回され、『はだしのゲン』問題は一段落着いた状態になっているが、本に閲覧制限をかけることの

問題はまだ残っている。本に閲覧制限をかけるということは、子どもたちから本を自由に選ぶという権利を奪うということだ。閲覧

制限は子どもたちの“知る権利”の侵害になりかねない。子どもが自由に本を手に取り読むか読まないかを自己で決定できる環境、子

どもの知りたいという欲求に応える場所が、学校図書館なのである。(参考:北海道新聞2013年8月27日・28日 日本経済新聞2013

年8月27日)

今回の問題について、『はだしのゲン』を読んだ側からの視点と、読んでいない側からの視点で考えてみた。( )

「四面書架」題字/書道部 カット/

図書局の先輩から みなさんこんにちは!南高での生活楽しんでいますか?

私は3年間図書局で活動していました〇〇です。私は9月から

アメリカの大学に通っています。アメリカに来てから約1か月のい

ま、“ドアを通ること”と“くしゃみ”にはまっています。Bless you.と

いう表現がありますよね。神のご加護がありますように、という

意味で誰かがくしゃみをしたときに相手を気遣ってこれを使い

ます。しかしこれ程日常生活で使われるとは思いませんでした!

家族、友達にはもちろん、授業中に生徒がくしゃみをすれば教

授も言い、それと共に数人の生徒の声も飛び交います。さらに、

私がお昼を食べていたときにくしゃみをした時は隣の知らない

女の子にも言われました。そして今のところの最高記録は3回連

続でくしゃみした人に3回とも声をかけた人を見かけました。

これをさらりとかっこよく言えるようになるには反射神経がカ

ギです。誰かのくしゃみにすばやく反応し優しくBless you.と声を

かける。残念ながら私はもともと反応が遅い方なので何度も言

おうと挑戦していますがいつもタイミングを逃してしまいます。

言おうとしたときにはもうBless youタイムは終了してしまって

います・・・。またこちらではドアを通りかけの時にちらりと振り返っ

て後ろの人を待つというのが多く行われています。なのでドア付

近では“Thank you””You’re welcome” “Thank you””No prob-

lem”のオンパレードです。ドアを通るたび、誰かのBless youを聞く

たびに今日もいい日だなと思えます。

ところで最近たくさんくしゃみを聞くのは肌寒くなってきたか

らかもしれません。季節の変わり目、一緒に元気に頑張りましょ

う!

次回はこちらの図書館について紹介します!

『はだしのゲン』がニュースで取り上げられているのを知ったと

き、私は自分が小学生だった頃を思い出した。自分のクラスの男子

が皆こぞって『はだしのゲン』を読んでいる。どうしてかはわからな

いが、いわゆる『はだしのゲン』ブームが巻き起こっていたようだ。

一方、私はこの本を読んだことがない。少年もののような気がして

読む気になれなかったのかもしれない。

先日、図書局員たちで『はだしのゲン』について話し合っていたと

き、Sさんがこんなことを言った。「誰にも見られない所でこそっと

読みたい本ってあるよね。」確かにそうだ。自分だけの空間の中で

読みたい本もある。ちょっとした興味で手に取ってみたい本もある。

本は、その性格をその時々で変えて私たちの前に現れる。さらに、そ

れらの本は、もし私たちがその場にいなければ出会うことのなかっ

た本でもある。だとしたら、私はあの本を今の今まで知らなかった

のかもしれない。クラスメイトの男子たちも、夢中になってあの本を

読むこともなかったのかもしれない。

そう考えると、あえて閲覧制限をかけなくても良いのではないか

という結論に至るのである。もちろん、人の目に触れたらその人が

不快に思ったり、人に悪影響を与えることもあると思う。しかし、そ

のような本全てに私たちが出会うのかというとそうでもない。悪影

響が何だというのか。

大切なのはどのようにして悪影響を及ばせないようにするのか

ではなく、その本から何を学び、何を感じるかというそれぞれの本

の役割だと思う。その本の役割を守るのが、本を読む私たちのやる

べきことなのである。( )

書架人のひとりごち

寒い季節がやって来ました。身体だけではなく、心

までも寒さを感じてしまうのは私だけでしょうか…。

秋って何だかさびしいなぁ。(友だちに大丈夫?とつっ

こまれる私)最近学校生活が充実しすぎていて、入学

してからもう半年が経ったのか、と思うとますますさ

びしくなります。 こんな時は、心がほっとする本を読

んであたたかくなりたいですね。( )

定期テストと実力テストと進研模試と、たくさんテス

トが続いています。テストの結果を見て、それを忘れら

れるような本を読みたいと最近思います。ぜひ図書館

に来ておもしろい本を探してみて下さい。そして、最近

肌寒いので冬服を買いにいきたいと思います。( )

『Living Bookmakers No.3 〇〇ver. 』配布開始

今回は3年生の〇〇さんに原稿を依頼し、小説、絵画、音楽…

様々な芸術を題材にして詩を書いていただきました。〇〇さん自

ら手掛けた、詩ページの挿絵も注目です。

Living Bookmakersとは…?

通称LB。図書局外の南高生に原稿を依頼し、自

由なテーマで発行しているフリー館報です。

図書館入口左手、雑誌コーナーで配付中。是

非、お手に取ってみてください。( )

新刊図書購入珍道記

7月某日、図書局員3名でくすみ書房へ行きました。卒業された先輩の家族の方からいた

だいた予算で、図書館に新刊を購入しました。希望調査で要望のあった本を探し(くすみ書

房の方にはたいへんお世話になりました)、先生方と図書局員で、南高校に必要な本を選

書していきます。

結果、54冊の本が新しく図書館に置かれることになりました。青春音楽小説『船に乗

れ!1~3』(藤谷治/ポプラ社)・『女子のキャリア〈男社会〉のしくみ、教えます』(海老原嗣

生/筑摩書房)・『たぶん猫』(畠中恵/新潮社)・『真夜中のパン屋さん』(大沼紀子/ポプ

ラ社)・『英国一家、日本を食べる』(マイケル・ブース/亜紀書房のような話題の本から『ひ

とはなぜ服を着るのか』(鷲田清一/ちくま文庫)なんて気になる本まで。ぜひ借りてみて

下さい。( )

『はだしのゲン』

中沢啓冶・著

汐文社

少しくらい過激な部分があっても…?

NOW

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