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■モンキーズ「ザ・デフィニティヴ・モンキーズ」
●モンキーズを知っているのは60代の人だけかもしれません。
モンキーズは、テレビ番組用にオーディションで集められた4人
組。日本でも「モンキーズ」というタイトルでコメディと彼らの
歌を組み合わせた番組が放映され、番組を通して人気を博してい
ました。モンキーズはロック史上に何の功績も残していませんが、
優れた曲に恵まれたポップ・グループでした。●忌野清志郎が歌
う「ディドリーム・ビリーバー」の替え歌は、モンキーズが19
66年に発売したシングル・レコードで、日本ではモンキーズ・
イコール「ディドリーム・ビリーバー」として認識されています。●ポップ・グループと
してのモンキーズには、今でも通用する曲がたくさんあります。基本はトミー・ボイス&
ボビー・ハートのコンビが曲を書いていましたが、ニール・ダイアモンドの「アイム・ア
・ビリーバー」「恋はちょっぴり」、キャロル・キングの「プリーザント・ヴァリー・サン
デー」「希望を胸に」、他にもハリー・ニルソンも曲を提供。自分たちで演奏していない分、
曲の良さを最大限引き出すアレンジやサウンドを追求することができ、結果として良質の
曲が数多く残りました。●作られたアイドルとして、1966年から実質3年間ほどの活
動でしたが、ベスト盤の29曲は今もポップです。
■スライ&ザ・ファミリー・ストーン「アンソロジー」
●映画「ウッドストック」で最も輝きを放っていたバンドがス
ライ&ザ・ファミリー・ストーン。飛び跳ねるリズムの洪水は
圧巻でした。ベース、ホーン、キーボード、ギターが自在にう
ねり、それまでになかったファンク・ミュージックは、ソウル
とロックの融合そのもの。●スライ・ストーンの奇行や精神的
な病が重なり、1967年から73年頃までが重要な活動期間
でしたが、スライ・ストーンが生み出した音は、誰も追随でき
ないもので、バンド全体のかっこよさは彼らだけのもの。フル
・ボリュームで聴くと体が動き出します。●このアルバムには67年から79年発表の最
後のアルバムの中から選び抜かれた20曲が収められています。一時代を築いたアーティ
ストの音、ファンク・ミュージックのエネルギーをお楽しみください。
■ザ・バンド「ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・バンド」
●ザ・バンドはレコードデビューした最初から完成されたバンドで、ヒット曲はないけれ
▲ △ ▲
常呂図書館情報紙 ★
かもめ風だよりかもめ風だより2018.2 VOL23
★
メニュー紹介 CD特集
※今回、次号連続で常呂図書館所蔵CDを紹介します
ど数多くのミュージシャンに敬愛されたバンドです。●ボブ・デ
ィランがエレクトリック・サウンドに転向したツアーのサポート
バンドを務め、その後時間をかけてファーストアルバム「ミュー
ジック・フロム・ビッグピンク」(1968)を発表。ディラン
の「アイ・シャル・ビー・リリースト」やリチャード・マニュエ
ルの「怒りの涙」、ロビー・ロバートソンの「ザ・ウェイト」な
ど、後々までザ・バンドを代表する曲、ロックの名曲が収められ
ています。●ザ・バンドの音を理解するには、アメリカの伝統的なブルース、カントリー、
ロックンロールなどをある程度聴いていることが必要です。ドラムのリヴォン・ヘルム、
ベースのリック・ダンコ、ピアノのリチャード・マニュエル、この3人のボーカルと荒々
しく力強いコーラスはザ・バンドの世界を拡げる魔法の杖でした。また、ライヴ盤「ロッ
ク・オブ・エイジス」(1972)はホーンセクションが加わり、レコード以上の完璧さ
で、彼らの最高傑作といわれています。●彼らは1976年にバンドとしての活動を閉じ
ますが、このベストアルバムには18曲が収められ、いぶし銀のような存在だった彼らの
音の豊かさを体験できます。●ユーチューブには、彼らのフルコンサートがアップされて
います。
■サイモン&ガーファンクル
●サイモン&ガーファンクルは独特のハーモニーが特徴。イー
グルスやドゥービー・ブラザーズのようなくっきりとしたコー
ラスとは違い、繊細で複雑なハーモニーは唯一無二。●常呂図
書館には3枚のCDがあり、どれも彼らの音楽的経歴を語るう
えで時代を切り取った貴重な作品。●「サウンド・オブ・サイレン
ス」は1966年発売の2作目。元々アコースティックな曲だっ
た「サウンド・オブ・サイレンス」をエレクトリック・タイプ
のフォーク・ロックに変えたことで大ヒット。ここからサイモ
ン&ガーファンクルの歴史が始まった作品。「4月になれば彼女は」「アイ・アム・ア・ロ
ック」など代表曲も収録されています。●「サイモン&ガーファンクル・ライブ1969」は、2
人がデュオを解消する直前のライブ。67年のアコースティック・ライブCDもあります
が、69年盤は、大ヒット曲「明日にかける橋」のレコーディング直後で、彼らの人気が
最高潮の時期。アコースティックとフォークロックの両方を楽しめ、ハーモニーを支える
アート・ガーファンクルの声に伸びとツヤがあり、必聴の名盤。●「セントラルパーク・コ
ンサート」は82年の作で、ニューヨーク・セントラルパークで行った一夜だけの再結成
コンサート。50万人が集まったという伝説的な作品。アート・ガーファンクルの声に多
少の衰えがありますが、豪華なバックを努めるメンバーに支えられ、2人の代表的な曲を
存分に楽しめる幸せを感じる1枚です。●サイモン&ガーファンクルは1960年代後半
に集中して活躍したデュオですが、曲と飛び抜けたハーモニーの美しさは時代を超えた普
遍性があります。静かで、時にシャウトする2人のアンサンブルは完璧です。●2人が創
り出した曲は、ユーチューブで後追いできますが、過去のアーティストにするにはもった
いない存在です。●また、常呂図書館にはソロになった時代のアート・ガーファンクルの
作品が2枚あります。「愛への旅立ち」「ウォーターマーク」は、自身に合う曲を選んで歌
うボーカリストとしての作品。どちらも美しさ、心地よさを感じさせるアルバム。
■ビー・ジーズ「愛はきらめきの中に」
●2004年発売のビー・ジーズ結成40周年記念盤●ビー・ジーズは、バリー、ロビン、
モーリス3兄弟のボーカル・グループですが、60年代と70年代以降ではまったく違う
タイプの曲を歌っています。●1967年のデビュー後、「ラヴ・サムバディ」、「ホリデ
ィ」、「マサチューセッツ」、「ワーズ」「獄中の手紙」「ジョーク」など立て続けに大ヒット
曲を出しました。●特に、映画「小さな恋のメロディ」の収録曲
「イン・ザ・モーニング」「メロディ・フェア」は、曲の美しさ
と兄弟それぞれ違うファルセットの柔らかな歌声が彼らの特徴で
した。●一方、70年代は一転してディスコ・ミュージックに転
向します。映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の収録曲「愛
はきらめきの中に」「ステイン・アライヴ」は、一世を風靡した
感があります。●2つの顔を持つビー・ジーズ のどちらかしか
知らない人には、うってつけのベスト・アルバムです。
■フリートウッド・マック「噂」
●フリートウッドマックは、元々ピーター・グリーンというギ
タリストがメインのブルース・バンドでしたが、彼の脱退後に
メンバーを一新。女性ボーカル2人を迎え、タイプの違う曲づ
くりを3人のメンバーが受け持つというバンドに変身します。
また、曲もがらりと変え、今風に言うならキャッチ-なメロデ
ィとタイトなリズムを基本に2人の歌姫のボーカルが彼らを一
気に人気グループにのし上げました。●「噂」は1977年作
で音楽チャート誌「ビルボード」で31週にわたり1位の座を
続けたモンスター・アルバム、彼らの代表作です。この後のA
ORというメロウでポップなおとな向けの音楽の先駆けにもなり、エポック・メイキング
なバンドであり、アルバム、音楽でした。一つひとつの曲が良く練られ、耳に心地よく上
質な曲だということが一度聴くと分かります。●紹介するCDは、代表曲「ドリームス」
「ドント・ストップ」「オウン・ウェイ」を含め、オリジナルのリマスター盤でボーナス
・トラックが16曲付いている2枚組、超お得な1枚。
■ボズ・スキャッグス「シルク・ディグリーズ」「ミドル・マン」
●ボズ・スキャッグスは、「シルク・ディグリーズ」(1976)
で大ブレイクしました。都会的な雰囲気の曲とサウンド、少しけ
だるく浮き上がるような声質のボーカル、ソウルフルながらおと
なのおしゃれなロックを体現しています。●ボズ・スキャッグス
は、元々スティーヴ・ミラー・バンドというブルースバンドのギ
ターとボーカルを担当していました。ボズはフリートウッド・マ
ック同様、それまでの音楽とはまったく違うアプローチで新しい
音を紡ぎ出しました。バックを固めるバンドは、後にTOTOを
結成する腕利きのスタジオ・ミュージシャン。聴きやすいけれど、彼の根底にあるブル
ースの基本があってこその時代に沿う音になっています。「何て言えばいいんだろう」「ジ
ョージア」「ロウダウン」「ウィア・オール・アローン」など心に染み入る曲の数々は不変
です。続編「ミドル・マン」もどうぞ。AORの名作の一つとされています。
■ダイアーストレイツ「ヴェリー・ベスト・オブ・ダイアーストレイツ」
●ダイアーストレイツは、1977年デビュー。時代はパンク・
ロック全盛期、激しさとビート中心の時代に、ピックを使わず指
とツメでカントリーの味つけをしたギターにボブ・ディランのよ
うな歌い方、哀愁が混ざる曲「悲しきサルタン」をひっさげてイ
ギリスのロック・シーンに場違いのように登場。オーソドックス
ながらどこか時代の音楽とは違うクセになる魅力がありました。
●グループの中心は、曲づくりとギターワークの職人/マーク・
ノップラー。このベスト盤では、繊細さから力強さに変わってい
く「ロミオとジュリエット」や骨太な「トンネル・オブ・ラヴ」、映画音楽のような「哀
しみのダイアリー」などタイプの違う曲を堪能できます。時代を追うごとにアリーナでコ
ンサートをするスケールの大きさを感じさせる曲が多くなります。●また、曲を聴いてい
るとギターの音色が変わっていることに気がつくかも…。マーク・ノップラーは、いつの
頃からかストラト・キャスターからレス・ポールにギターを替えています。骨太で柔らか、
伸びのある温かみのあるレス・ポールの音色は彼のトレードマーク。●CDの最後は、バ
ンドのコンサートの最後に演奏する「ローカル・ヒーローのテーマ」。静かで美しい曲に
ひたすらきらめくギターの音が胸を打ち、この曲を体験するだけでもCDを聴く価値あり
…です。●マーク・ノップラーは90年以降、ソロ活動に入り、映画音楽を手がけたり、
エミルー・ハリスとの共演、ケルト・ミュージックをふんだんに取り入れた心に染み入る
作品を生み続けています。
■ピンク・フロイド「ベスト・オブ・ピンク・フロイド」
●2001年発売。1966年から35年の歩みを2枚組に収
めたベスト盤。ピンク・フロイドは、デビュー当時からステー
ジの音響とライトショーに大がかりな仕掛けを施し、当初のサ
イケデリックからプログレッシブ・ロックへと変貌していきま
す。●日本での人気は70年の「原始心母」頃から71年の「お
せっかい」で決定的になりました。「吹けよ風、呼べよ嵐」「エ
コーズ」は今でも初期ピンク・フロイドの代表曲として親しま
れています。物語性に富み、壮大なサウンドはピンク・フロイド独特。73年の「狂気」
は全米1位、その後30年以上もアルバム・チャートにランクインし、全世界で5000
万枚以上売れたとされる超モンスター級。全体が一つの物語のようになっているコンセプ
ト・アルバムで、「タイム」「虚空のスキャット」など今でも、誰かがどこかで聴いている
に違いない曲ばかり。●このベスト盤はリマスター版で、曲順はベスト盤全体を一つの作
品に見立て、時代に関係なくつながりを考慮した構成になっています。ピンク・フロイド
のアルバム全てを体験することは今では難しいことですが、このベスト盤を聴くと彼らが
選び抜き、聴いて欲しい世界の一端を知ることができます。ユーチューブでは彼らのコン
サートのすごさを体験できます。
■ライ・クーダー「チキン・スキン・ミュージック」
●ライ・クーダーはヒット曲を持たないけれどアメリカやメキ
シコ、カリブ海、ハワイなどのルーツ・ミュージック発掘と現
代に伝える大きな役割を果たしている希有なミュージシャンで
す。●このアルバムは1976年発売。メキシコとハワイのル
ーツ・ミュージックを取り上げたり、「スタンド・バイ・ミー」
にルーツ音楽の味付けをしてベン・E・キングやジョン・レノ
ンとは違う魅力を引き出しています。アルバム全体にゆったり
としたうねりがあり、素朴な楽器群(ギター、マンドリン、バ
ンジョー、アコーディオン)が奏でる音に心地よさと温かさが
あり、気持ちよさに身を包まれるます。違う世界の音楽に心を開くきっかけになるかも…。
●ライの業績の中で日本でも知られていることとして、キューバの老ミュージシャンたち
に日を当て、ライがギタリストとしてバンドを組み、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラ
ブ」名のCD制作、ライブ・ツアー、ドキュメンタリー映画制作・公開があります。この
映画は日本でもヒットし、キューバ音楽に注目が集まるきっかけにもなりました。●常呂
図書館には、ブエナビスタ・ソシアル・クラブ関連CDとして、「イヴライム・フェレー
ル・ウィズ・ライ・クーダー」、「ルベーン・ゴンザレス・イントロデューシング」の2枚
があります。●ライ・クーダーを通して世界の音楽につながる幸せをどうぞ。