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国土交通省 東北地方整備局 建設業法令遵守推進本部 建設業法令遵守指導監督室 平成28年3月

建設業法令遵守 ハンドブック 【資料編】 - mlit.go.jp...建設業法令遵守 ハンドブック 【資料編】 国土交通省 東北地方整備局 建設業法令遵守推進本部

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建建設設業業法法令令遵遵守守 ハハンンドドブブッックク

【【資資料料編編】】

国土交通省 東北地方整備局 建設業法令遵守推進本部 建設業法令遵守指導監督室

平成28年3月

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 法令 ページ

1○建設業法(抄) (S24.5.24 法律第100号 最終改正H26.6.13)

・・・ 1

2○公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (H12.11.27 法律第127号 最終改正H27.9.11)

・・・ 33

3○公共工事の品質確保の促進に関する法律 (H17.3.31 法律第18号 最終改正H26.6.4)

・・・ 38

4○特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(抄) (H19.5.30 法律第66号)

・・・ 44

5○「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(抄) (H12.5.31 法律第104号 最終改正H26.6.4)

・・・ 47

6

○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(抄) (S22.4.14 法律第54号 最終改正H26.6.13)○建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準 (S47.4.1 公正取引委員会事務局長通達第4号 改正 H13.1.4 公正取引委員会事務総長通達第3号)

・・・ 49

 ガイドライン・マニュアル

7○建設業法令遵守ガイドライン(第4版) ~元請負人と下請負人の関係に係る留意点~ (H26.10 国土交通省土地・建設産業局建設業課)

・・・ 57

8○発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン (H23.8 国土交通省土地・建設産業局建設業課)

・・・ 93

9○社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について (H27.3.25  国土建労第138号~141号 国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課)

・・・ 122

10○外国人建設就労者受入事業に関する下請指導ガイドライン (H26.12.25 国土交通省土地・建設産業局建設業課、建設市場整備課)

・・・ 135

11○建設業許可事務ガイドラインについて(※一部、平成28年6月までに適用) (H13.4.3 国総建第97号  最終改正H27.1.30 国土建第246号)

・・・ 144

12○監理技術者制度運用マニュアルについて (H16.3.1 国総建第315号~318号 建設業課長通知)

・・・ 184

13○「監理技術者制度運用マニュアル」の解釈の明確化について (H27.7.30 事務連絡  国土交通省土地・建設産業局建設業課)

・・・ 199

14○施工体制台帳の作成等について (H7.6.20 建設省経建発第147号   最終改正H26.12.25 国土建第198号~202号)

・・・ 202

15○施工体制台帳等活用マニュアルの改正について (H16.12.28 国総入企第26号  最終改正H26.12.25 国土建第203号)

・・・ 210

16○中小建設企業のための内部統制向上ガイドラインについて (H21.3 国土交通省総合政策局建設業課)

・・・ 237

 通知・通達

17○建設産業における生産システム合理化指針について (H3.2.5 建設省経構発第2号 建設経済局長通達)

・・・ 272

18○施工体制の適正化及び一括下請負の禁止の徹底等について (H13.3.30 国総建第80号 総合政策局長通知)

・・・ 281

19○建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 (H14.3.28 国総建第67号 最終改正H24.10.24 国土建第214号)

・・・ 296

20○注文書及び請書による契約の締結について (H12.6.29 建設省経建発第132号 建設業課長通知)

・・・ 306

21○建設工事の技術者の専任等に係る取扱いについて(改正) (H26.2.3 国土建第272号 建設業課長通知)

・・・ 307

22○営業所における専任の技術者の取扱いについて (H15.4.21 国総建第18号 建設業課長通知)

・・・ 315

23○下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について (H27.12.1 国土建推第46号 国土交通省土地・建設産業局長通知)

・・・ 316

24○下請代金の決定に当たって公共工事設計労務単価を参考資料として取り扱う場合の留意事項について  (H27.12.1 国土建労第383号 建設市場整備課長通知)

・・・ 323

25○「建設業取引適正化推進月間」の創設について (H22.8.6 国総建第98号 建設流通政策審議官通知)

・・・ 324

<建設業法令遵守ハンドブック 資料編 目次>

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26○復旧・復興建設工事における共同企業体の当面の取扱いについて (H24.2.29 国土入企第34号~37号  改正 H24.10.10 国土入企第19号~22号 建設業課長通知)

・・・ 326

27○建設業からの暴力団排除の徹底について (H19.3.2 国総入企第59号 建設業課長通知)

・・・ 338

28○建設産業における社会保険加入の徹底について (H24.3.26 国土建第342号、国土建整第183号 土地・建設産業局長通知)

・・・ 345

29○法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について (H24.7.23 国土建整第77号 建設市場整備課長通知)

・・・ 349

30○法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について (H24.9.13 国土建整第115号 建設市場整備課長通知)

・・・ 352

31○技能労働者の確保に向けた標準見積書の活用等による法定福利費の確保を通じた社会保険等未加入対策の徹底等について  (H25.6.7 国土建労第11号 建設市場整備課長通知)

・・・ 359

32○法定福利費の内訳明示に係る標準見積書の活用等による建設業における社会保険等未加入対策の徹底について  (H25.9.26 国土建労第73号 建設市場整備課長通知)

・・・ 362

 その他

33○建設工事標準下請契約約款 (S52.4.26 中央建設業審議会 最終改正H22.7.26)

・・・ 365

34○中央建設工事紛争審査会における建設工事紛争処理手続の手引 (H26.4 中央建設工事紛争審査会事務局)

・・・ 382

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条 内 容 条 内 容

1 目的 25 建設工事紛争審査会の設置

2 定義 25の9 管轄

3 建設業の許可 26 主任技術者及び監理技術者の設置等

4 附帯工事 26の2 専門技術者の設置

5 許可の申請 26の3 主任技術者及び監理技術者の職務等

6 許可申請書の添付書類

7 許可の基準(一般建設業) 27の23 経営事項審査

8 欠格要件

9 許可換えの場合における従前の許可の効力 28 指示及び営業の停止

11 変更等の届出 29 許可の取消し

12 廃業等の届出 29の2 所在不明の建設業者の許可の取消し

13 提出書類の閲覧 29の3 許可の取消し等の場合における建設工事の措置

14 国土交通省令への委任 29の4 営業の禁止

15 許可の基準(特定建設業) 29の5 監督処分の公告等

16 下請契約の締結の制限 30 不正事実の申告

17 準用規定 31 報告及び検査

32 参考人の意見聴取

18 建設工事の請負契約の原則

19 建設工事の請負契約の内容 40 標識の掲示

19の2 現場代理人の選任等に関する通知 40の2 表示の制限

19の3 不当に低い請負代金の禁止 40の3 帳簿の備付け等

19の4 不当な使用資材等の購入強制の禁止 41建設業を営む者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告

19の5 発注者に対する勧告 42 公正取引委員会への措置請求等

20 建設工事の見積り等 42の2 報告及び検査(中小企業庁)

21 契約の保証 43 都道府県の費用負担

22 一括下請負の禁止 44 参考人の費用請求権

23 下請負人の変更請求 44の2 経過措置

23の2 工事監理に関する報告 44の3 権限の委任

24 請負契約とみなす場合 44の4 都道府県知事の経由

24の2 下請負人の意見の聴取 44の5 事務の区分

24の3 下請代金の支払

24の4 検査及び引渡し

24の5 特定建設業者の下請代金の支払期日等

24の6 下請負人に対する特定建設業者の指導等

24の7 施工体制台帳及び施工体系図の作成等

第5章 監督

第7章 雑則

4750525355

罰則

第8章 罰則

建設業法一覧(抄)

第1章 総則

第2章 建設業の許可

第3章 建設工事の請負契約

第3章の2 建設工事の請負契約に関する紛争の処理

第4章 施工技術の確保

第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等

1

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建設業法(抄)

昭和24年法律第100号(最終改正:平成26年6月13日法律第69号)

第1章 総則

第1条(目的)

この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ること

によって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な

発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

第2条(定義)

この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げる

ものをいう。

2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問

わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。

3 この法律において「建設業者」とは、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をい

う。

4 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者

と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約

をいう。

5 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注

文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下

請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

第2章 建設業の許可

第3条(建設業の許可)

建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二

以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令*1で定めるこれに準ずるも

のをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣の、一の

都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の

所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令*2で定める

軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

一 建設業を営もうとする者であって、次号に掲げる者以外のもの

二 建設業を営もうとする者であって、その営業にあたって、その者が発注者から直接請

け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に

係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令*3で定める金額以上と

なる下請契約を締結して施工しようとするもの

2 前項の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に

掲げる建設業に分けて与えるものとする。

3 第1項の許可は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その

効力を失う。

4 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「許可の有効期間」という。)

の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期

間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

5 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可

2

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の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

6 第1項第1号に掲げる者に係る同項の許可(第3項の許可の更新を含む。以下「一般建

設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第1項第2号に掲

げる者に係る同項の許可(第3項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」という。)

を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。

*1 施行令第1条(支店に準ずる営業所)()

建設業法(以下「法」という。)第3条第1項の政令で定める支店に準

ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。

*2 施行令第1条の2(法第3条第1項ただし書の軽微な建設工事)()

法第3条第1項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件

の請負代金の額が建築一式工事にあっては1500万円に満たない工事

又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事、建築一式工事以外の

建設工事にあっては500万円に満たない工事とする。

2 前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上

の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とす

る。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでな

い。

3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格

及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第1項の請負

代金の額とする。

*3 施行令第2条 (法第3条第1項第2号の金額)

法第3条第1項第2号の政令で定める金額は、3000万円とする。た

だし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合におい

ては、4500万円とする。

第4条(附帯工事)

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設

工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

第5条(許可の申請)

一般建設業の許可(第8条第2号及び第3号を除き、以下この節において「許可」とい

う。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区

域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては国土交通大臣に、一の都道府県

の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあっては当該営業所の所在地を

管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならな

い。

一 商号又は名称

二 営業所の名称及び所在地

三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。以下同じ。)及び役員

等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問

その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取

締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる

者をいう。以下同じ。)の氏名

四 個人である場合においては、その者の氏名及び支配人があるときは、その者の氏名

五 第7条第1号イ又はロに該当する者(法人である場合においては同号に規定する役員

のうち常勤であるものの一人に限り、個人である場合においてはその者又はその支配人

3

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のうち一人に限る。)及びその営業所ごとに置かれる同条第2号イ、ロ又はハに該当する

者の氏名

六 許可を受けようとする建設業

七 他に営業を行っている場合においては、その営業の種類

第6条(許可申請書の添付書類)

前条の許可申請書には、国土交通省令の定めるところにより、次に掲げる書類を添付し

なければならない。

一 工事経歴書

二 直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面

三 使用人数を記載した書面

四 許可を受けようとする者(法人である場合においては当該法人、その役員等及び

政令*4で定める使用人、個人である場合においてはその者及び政令で定める使用人)

及び法定代理人(法人である場合においては、当該法人及びその役員等)が第8条

各号に掲げる欠格要件に該当しない者であることを誓約する書面

五 次条第1号及び第2号に掲げる基準を満たしていることを証する書面

六 前各号に掲げる書面以外の書類で国土交通省令で定めるもの

2 許可の更新を受けようとする者は、前項の規定にかかわらず、同項第1号から第3号ま

でに掲げる書類を添付することを要しない。

*4 施行令第3条(使用人) 法第6条第1項第4号(法第17条において準用する場合を含む。)、

法第7条第3号、法第8条第4号 、第11号及び第12号(これらの規

定を法第17条において準用する場合を含む。)、法第28条第1項第3号 並びに法第29条の4の政令で定める使用人は、支配人及び支店又は第1

条に規定する営業所の代表者(支配人である者を除く。)であるものとす

る。

第7条(許可の基準)

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合し

ていると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれ

らに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合にお

いてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。

イ 許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験

を有する者

ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者

二 その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。

イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和22年法律第

26号)による高等学校(旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)による実業学校

を含む。以下同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後5年以上又は同法による大

学(旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学を含む。以下同じ。)若しくは

高等専門学校(旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校を含む。以

下同じ。)を卒業した後3年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定

める学科を修めたもの

ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上実務の経験を有す

る者

ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有する

ものと認定した者

4

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三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令*4で定める使用人が、

個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又

は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

四 請負契約(第3条第1項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)

を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

第8条(欠格要件)

国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許

可の更新を受けようとする者にあっては、第1号又は第7号から第13号までのいずれか)

に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記

載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

二 第29条第1項第5号又は第6号に該当することにより一般建設業の許可又は特定

建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者

三 第29条第1項第5号又は第6号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業

の許可の取消しの処分に係る行政手続法 (平成5年法律第88号)第15条の規定に

よる通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日ま

での間に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日

から5年を経過しないもの

四 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があっ

た場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは

政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令*4で定める使用人であっ

た者で、当該届出の日から5年を経過しないもの

五 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が

経過しない者

六 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、そ

の禁止の期間が経過しない者

七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることが

なくなった日から5年を経過しない者

八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の

規定で政令*5で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

(平成3年法律第77号)の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項

の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法 (明治40年法律第45号)第20

4条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪

若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)の罪を犯したことに

より、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることが

なくなった日から5年を経過しない者

九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又

は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第13号において

「暴力団員等」という。)

十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又

は次号(法人でその役員等のうちに第1号から第4号まで又は第6号から前号までのい

ずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの

十一 法人でその役員等又は政令*4で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は

第6号から第9号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者

が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者

についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前

から、第6号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止さ

れる以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を

5

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除く。)のあるもの

十二 個人で政令*4で定める使用人のうちに、第1号から第4号まで又は第6号から第9

号までのいずれかに該当する者(第2号に該当する者についてはその者が第29条の規

定により許可を取り消される以前から、第3号又は第4号に該当する者についてはその

者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第6号に

該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、

建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの

十三 暴力団員等がその事業活動を支配する者

*5 施行令第3条の2(法第8条第8号の法令の規定) 法第8条第8号 (法第17条において準用する場合を含む。)の政令で

定める建設工事の施工又は建設工事に従事する労働者の使用に関する法

令の規定は、次に掲げるものとする。 一 建築基準法(昭和25年法律第201号)第9条第1項又は第10項

前段(これらの規定を同法第88条第1項から第3項まで又は第90条

第3項において準用する場合を含む。)の規定による特定行政庁又は建

築監視員の命令に違反した者に係る同法第98条第1項(第1号に係る

部分に限る。) 二 宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)第14条第2項、第

3項又は第4項前段の規定による都道府県知事の命令に違反した者に

係る同法第26条 三 都市計画法(昭和43年法律第100号)第81条第1項の規定によ

る国土交通大臣、都道府県知事又は市長の命令に違反した者に係る同法

第91条 四 景観法(平成16年法律第110号)第64条第1項の規定による市

町村長の命令に違反した者に係る同法第101条 五 労働基準法(昭和22年法律第49号)第5条の規定に違反した者に

係る同法第117条(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働

者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣

法」という。)第44条第1項(建設労働者の雇用の改善等に関する法

律 (昭和51年法律第33号。以下「建設労働法」という。)第44条

の規定により適用される場合を含む。第7条の3第3号において同じ。)

の規定により適用される場合を含む。)又は労働基準法第6条の規定に

違反した者に係る同法第118条第1項 六 職業安定法(昭和22年法律第141号)第44条の規定に違反し

た者に係る同法第64条 七 労働者派遣法第4条第1項の規定に違反した者に係る労働者派遣法

第59条

第9条(許可換えの場合における従前の許可の効力)

許可に係る建設業者が許可を受けた後次の各号の一に該当して引き続き許可を受けた建

設業を営もうとする場合において、第3条第1項の規定により国土交通大臣又は都道府県

知事の許可を受けたときは、その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の許可は、

その効力を失う。

一 国土交通大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ営業所を有することと

なったとき。

二 都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における営業所を廃止して、

他の一の都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき。

三 都道府県知事の許可を受けた者が二以上の都道府県の区域内に営業所を有することと

6

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なったとき。

2 第3条第4項の規定は建設業者が前項各号の一に該当して引き続き許可を受けた建設業

を営もうとする場合において第5条の規定による申請があったときについて、第6条第2

項の規定はその申請をする者について準用する。

第11条(変更等の届出)

許可に係る建設業者は、第5条第1号から第5号までに掲げる事項について変更があっ

たときは、国土交通省令の定めるところにより、30日以内に、その旨の変更届出書を国

土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

2 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第6条第1項第1号及び第2号に

掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後4月以内に、国土交通

大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

3 許可に係る建設業者は、第6条第1項第3号に掲げる書面その他国土交通省令で定める

書類の記載事項に変更を生じたときは、毎事業年度経過後4月以内に、その旨を書面で国

土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

4 許可に係る建設業者は、第7条第1号イ又はロに該当する者として証明された者が、法

人である場合においてはその役員、個人である場合においてはその支配人でなくなった場

合若しくは同号ロに該当しなくなった場合又は営業所に置く同条第2号イ、ロ若しくはハ

に該当する者として証明された者が当該営業所に置かれなくなった場合若しくは同号ハに

該当しなくなった場合において、これに代わるべき者があるときは、国土交通省令の定め

るところにより、2週間以内に、その者について、第6条第1項第5号に掲げる書面を国

土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

5 許可に係る建設業者は、第7条第1号若しくは第2号に掲げる基準を満たさなくなった

とき、又は第8条第1号及び第7号から第13号までのいずれかに該当するに至ったとき

は、国土交通省令の定めるところにより、2週間以内に、その旨を書面で国土交通大臣又

は都道府県知事に届け出なければならない。

第12条(廃業等の届出)

許可に係る建設業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当

該各号に掲げる者は、30日以内に、国土交通大臣又は都道府県知事にその旨を届け出な

ければならない。

一 許可に係る建設業者が死亡したときは、その相続人

二 法人が合併により消滅したときは、その役員であった者

三 法人が破産手続開始の決定により解散したときは、その破産管財人

四 法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したときは、その清算人

五 許可を受けた建設業を廃止したときは、当該許可に係る建設業者であった個人又は当

該許可に係る建設業者であった法人の役員

第13条(提出書類の閲覧)

国土交通大臣又は都道府県知事は、政令*6 の定めるところにより、次に掲げる書類又は

これらの写しを公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならない。

一 第5条の許可申請書

二 第6条第1項に規定する書類(同項第1号から第4号までに掲げる書類であるものに

限る。)

三 第11条第1項の変更届出書

四 第11条第2項に規定する第6条第1項第1号及び第2号に掲げる書類

五 第11条第3項に規定する第6条第1項第3号に掲げる書面の記載事項に変更が生じ

た旨の書面

六 前各号に掲げる書類以外の書類で国土交通省令で定めるもの

7

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*6 施行令第5条(閲覧所)

国土交通大臣又は都道府県知事は、閲覧所を設けた場合においては、

当該閲覧所の閲覧規則を定めるとともに、当該閲覧所の場所及び閲覧規

則を告示しなければならない。

2 国土交通大臣の設ける閲覧所においては、許可申請書等(法第13条(法

第17条において準用する場合を含む。)に規定する書類をいう。次項に

おいて同じ。)で国土交通大臣の許可を受けた建設業者に係るものを公衆

の閲覧に供しなければならない。

3 都道府県知事の設ける閲覧所においては、当該都道府県知事の許可を受

けた建設業者に係る許可申請書等を公衆の閲覧に供しなければならない。

第14条 (国土交通省令への委任)

この節に規定するもののほか、許可の申請に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

第15条(許可の基準)

国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる

基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 第7条第1号及び第3号に該当する者であること。

二 その営業所ごとに次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。ただ

し、施工技術(設計図書に従って建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及

びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮

して政令*7で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者に

あっては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により

国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければな

らない。

イ 第27条第1項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受け

ようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令

の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定める

ものを受けた者

ロ 第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係

る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令*8で定める金額以

上であるものに関し2年以上指導監督的な実務の経験を有する者

ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者

三 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令*9で定める金額以上であるもの

を履行するに足りる財産的基礎を有すること。

*7 施行令第5条の2(法第15条第2号ただし書の建設業)

法第15条第2号ただし書の政令で定める建設業は、次に掲げるもの

とする。

一 土木工事業

二 建築工事業

三 電気工事業

四 管工事業

五 鋼構造物工事業

六 舗装工事業

七 造園工事業

*8 施行令第5条の3(法第15条第2号ロの金額 )

法第15条第2号ロの政令で定める金額は、4500万円とする。

8

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*9 施行令第5条の4(法第15条第3号の金額 )

法第15条第3号の政令で定める金額は、8000万円とする。

第16条(下請契約の締結の制限)

特定建設業の許可を受けた者でなければ、その者が発注者から直接請け負った建設工事

を施工するための次の各号の一に該当する下請契約を締結してはならない。

一 その下請契約に係る下請代金の額が、一件で、第3条第1項第2号の政令*3で定める

金額以上である下請契約

二 その下請契約を締結することにより、その下請契約及びすでに締結された当該建設工

事を施工するための他のすべての下請契約に係る下請代金の額の総額が、第3条第1項

第2号の政令*3で定める金額以上となる下請契約

第17条(準用規定)

第5条、第6条及び第8条から第14条までの規定は、特定建設業の許可及び特定建設

業の許可を受けた者(以下「特定建設業者」という。)について準用する。この場合におい

て、第5条第5号中「同条第2号イ、ロ又はハ」とあるのは「第15条第2号イ、ロ又は

ハ」と、第6条第1項第5号中「次条第1号及び第2号」とあるのは「第7条第1号及び

第15条第2号」と、第11条第4項中「同条第2号イ、ロ若しくはハ」とあるのは「第

15条第2号イ、ロ若しくはハ」と、「同号ハ」とあるのは「同号イ、ロ又はハ」と、同条

第5項中「第7条第1号若しくは第2号」とあるのは「第7条第1号若しくは第15条第

2号」と読み替えるものとする。

第3章 建設工事の請負契約

第18条(建設工事の請負契約の原則)

建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を

締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。

第19条(建設工事の請負契約の内容)

建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲

げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

一 工事内容

二 請負代金の額

三 工事着手の時期及び工事完成の時期

四 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをすると

きは、その支払の時期及び方法

五 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中

止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそ

れらの額の算定方法に関する定め

六 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する

定め

七 価格等(物価統制令 (昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)

の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

八 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

九 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、

その内容及び方法に関する定め

十 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡

しの時期

9

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十一 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

十二 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保

険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

十三 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他

の損害金

十四 契約に関する紛争の解決方法

2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更する

ときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければ

ならない。

3 建設工事の請負契約の当事者は、前2項の規定による措置に代えて、政令*10で定める

ところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他

の情報通信の技術を利用する方法であって、当該各項の規定による措置に準ずるものとし

て国土交通省令*11で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交

通省令*11で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。

*10 施行令第5条の5(建設工事の請負契約に係る情報通信の技術を利用す

る方法)

建設工事の請負契約の当事者は、法第19条第3項の規定により同項

に規定する国土交通省令で定める措置(以下この条において「電磁的措置」

という。)を講じようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、

あらかじめ、当該契約の相手方に対し、その講じる電磁的措置の種類及び

内容を示し、書面又は電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信

の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるもの(次項において

「電磁的方法」という。)による承諾を得なければならない。

2 前項の規定による承諾を得た建設工事の請負契約の当事者は、当該契約

の相手方から書面又は電磁的方法により当該承諾を撤回する旨の申出が

あったときは、法第19条第1項又は第2項の規定による措置に代えて電

磁的措置を講じてはならない。ただし、当該契約の相手方が再び同項の規

定による承諾をした場合は、この限りでない。

*11 施行規則第13条の2 (建設工事の請負契約に係る情報通信の技術を

利用する方法)

法第19条第3項の国土交通省令で定める措置は、次に掲げる措置と

する。

一 電子情報処理組織を使用する措置のうちイ又はロに掲げるもの

イ 建設工事の請負契約の当事者の使用に係る電子計算機(入出力装

置を含む。以下同じ。)と当該契約の相手方の使用に係る電子計算機

とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電

子計算機に備えられたファイルに記録する措置

ロ 建設工事の請負契約の当事者の使用に係る電子計算機に備えられ

たファイルに記録された法第19条第1項に掲げる事項又は請負契

約の内容で同項に掲げる事項に該当するものの変更の内容(以下「契

約事項等」という。)を電気通信回線を通じて当該契約の相手方の閲

覧に供し、当該契約の相手方の使用に係る電子計算機に備えられた

ファイルに当該契約事項等を記録する措置

二 磁気ディスク等をもって調製するファイルに契約事項等を記録した

ものを交付する措置

10

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2 前項に掲げる措置は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなけれ

ばならない。

一 当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を

作成することができるものであること。

二 ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていない

かどうかを確認することができる措置を講じていること。

3 第1項第1号の「電子情報処理組織」とは、建設工事の請負契約の当

事者の使用に係る電子計算機と、当該契約の相手方の使用に係る電子計

算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)

請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現

場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対す

る意見の申出の方法(第3項において「現場代理人に関する事項」という。)を、書面によ

り注文者に通知しなければならない。

2 注文者は、請負契約の履行に関し工事現場に監督員を置く場合においては、当該監督員

の権限に関する事項及び当該監督員の行為についての請負人の注文者に対する意見の申出

の方法(第4項において「監督員に関する事項」という。)を、書面により請負人に通知し

なければならない。

3 請負人は、第1項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、

同項の注文者の承諾を得て、現場代理人に関する事項を、電子情報処理組織を使用する方

法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより通知

することができる。この場合において、当該請負人は、当該書面による通知をしたものと

みなす。

4 注文者は、第2項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、

同項の請負人の承諾を得て、監督員に関する事項を、電子情報処理組織を使用する方法そ

の他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより通知する

ことができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による通知をしたものとみな

す。

第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)

注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するた

めに通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結して

はならない。

第19条の4 (不当な使用資材等の購入強制の禁止)

注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建

設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に

購入させて、その利益を害してはならない。

第19条の5 (発注者に対する勧告)

建設業者と請負契約を締結した発注者(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法

律 (昭和22年法律第54号)第2条第1項に規定する事業者に該当するものを除く。)

が前2条の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者

の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をするこ

とができる。

第20条(建設工事の見積り等)

建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種

11

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別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行う

よう努めなければならない。

2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまで

の間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあっては契約を締結する

以前に、入札の方法により競争に付する場合にあっては入札を行なう以前に、第19条第

1項第1号及び第3号から第14号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容

を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事

の見積りをするために必要な政令*12で定める一定の期間を設けなければならない。

*12 施行令第6条(建設工事の見積期間)1項

法第20条第3項に規定する見積期間は、次に掲げるとおりとする。ただ

し、やむを得ない事情があるときは、第2号及び第3号の期間は、5日以内

に限り短縮することができる。

一 工事一件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上

二 工事一件の予定価格が500万円以上5000万円に満たない工事に

ついては、10日以上

三 工事一件の予定価格が5000万円以上の工事については、15日以上

第21条(契約の保証)

建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたとき

は、注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求すること

ができる。但し、公共工事の前払金保証事業に関する法律 (昭和27年法律第184号)

第2条第4項に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令*13で定める軽微な工事

については、この限りでない。

2 前項の請求を受けた建設業者は、左の各号の一に規定する保証人を立てなければならな

い。

一 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人

二 建設業者に代って自らその工事を完成することを保証する他の建設業者

3 建設業者が第1項の規定により保証人を立てることを請求された場合において、これを

立てないときは、注文者は、契約の定にかかわらず、前金払をしないことができる。

*13 施行令第6条の2(保証人を必要としない軽微な工事)

法第21条第1項ただし書の政令で定める軽微な工事は、工事一件の請負

代金の額が500万円に満たない工事とする。

第22条(一括下請負の禁止)

建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括

して他人に請け負わせてはならない。 2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負

ってはならない。 3 前2項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で

政令*14で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があ

らかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。 4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同

項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を

利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をす

ることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみ

なす。

12

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*14 施行令第6条の3(一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する

施設又は工作物に関する重要な建設工事)

法第22条第3項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築す

る建設工事とする。

第23条(下請負人の変更請求)

注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人

があるときは、その変更を請求することができる。ただし、あらかじめ注文者の書面によ

る承諾を得て選定した下請負人については、この限りでない。

2 注文者は、前項ただし書の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところに

より、同項ただし書の規定により下請負人を選定する者の承諾を得て、電子情報処理組織

を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるも

のにより、同項ただし書の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、

当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。

第23条の2(工事監理に関する報告) 請負人は、その請け負った建設工事の施工について建築士法 (昭和25年法律第202

号)第18条第3項の規定により建築士から工事を設計図書のとおりに実施するよう求め

られた場合において、これに従わない理由があるときは、直ちに、第19条の2第2項の

規定により通知された方法により、注文者に対して、その理由を報告しなければならない。

第24条(請負契約とみなす場合)

委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的と

して締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。

第24条の2(下請負人の意見の聴取)

元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法そ

の他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ、下請負人の

意見をきかなければならない。

第24条の3(下請代金の支払)

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けた

ときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が

支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応す

る下請代金を、当該支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払

わなければならない。

2 元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の

募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなけれ

ばならない。

第24条の4(検査及び引渡し)

元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、

当該通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認

するための検査を完了しなければならない。

2 元請負人は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たと

きは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契

約において定められた工事完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを

受ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。

13

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第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

特定建設業者が注文者となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は

資本金額が政令*15で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同

じ。)における下請代金の支払期日は、前条第2項の申出の日(同項ただし書の場合にあっ

ては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して50日を経過する日以前に

おいて、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

2 特定建設業者が注文者となった下請契約において、下請代金の支払期日が定められなか

ったときは前条第2項の申出の日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定めら

れたときは同条第2項の申出の日から起算して50日を経過する日が下請代金の支払期日

と定められたものとみなす。

3 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払に

つき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の

融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付

してはならない。

4 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となった下請契約に係る下請代金を第1項

の規定により定められた支払期日又は第2項の支払期日までに支払わなければならない。

当該特定建設業者がその支払をしなかったときは、当該特定建設業者は、下請負人に対し

て、前条第2項の申出の日から起算して50日を経過した日から当該下請代金の支払をす

る日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に国土交通省令*16で定める率

を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

*15 施行令第7条の2(法第24条の5第1項 の金額)

法第24条の5第1項の政令で定める金額は、4000万円とする。

*16 施行規則第14条(法第24条の5第4項 の率)

法第24条の5第4項の国土交通省令で定める率は、年14.6パー

セントとする。

第24条の6(下請負人に対する特定建設業者の指導等)

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、そ

の下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設

工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令*17で定めるものに違反しないよ

う、当該下請負人の指導に努めるものとする。

2 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同

項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反

している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。

3 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営

む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を

営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営

業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む

者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報

しなければならない。

*17 施行令第7条の3(法第24条の6第1項の法令の規定)

法第24条の6第1項の政令で定める建設工事の施工又は建設工事に

従事する労働者の使用に関する法令の規定は、次に掲げるものとする。

一 建築基準法第9条第1項及び第10項(これらの規定を同法第88

条第1項から第3項までにおいて準用する場合を含む。)並びに第90

14

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二 宅地造成等規制法第9条(同法第12条第3項において準用する場

合を含む。)及び第14条第2項から第4項まで

三 労働基準法第5条(労働者派遣法第44条第1項の規定により適用

される場合を含む。)、第6条、第24条、第56条、第63条及び第

64条の2(労働者派遣法第44条第2項(建設労働法第44条の規

定により適用される場合を含む。)の規定によりこれらの規定が適用さ

れる場合を含む。)、第96条の2第2項並びに第96条の3第1項

四 職業安定法第44条、第63条第1号及び第65条第8号

五 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第98条第1項(労働

者派遣法第45条第15項(建設労働法第44条の規定により適用さ

れる場合を含む。)の規定により適用される場合を含む。)

六 労働者派遣法第4条第1項

第24条の7(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)

特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負った場合において、当該建設工事を

施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、そ

れらの請負代金の額の総額)が政令*18で定める金額以上になるときは、建設工事の適正

な施工を確保するため、国土交通省令*19で定めるところにより、当該建設工事について、

下請人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省

令*19で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければ

ならない。

2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け負

わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該

他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負った建設工事の内容及び工期その他

の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

3 第1項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があったときは、同項の規定により備

え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。

4 第1項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における

各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見や

すい場所に掲げなければならない。

*18 施行令第7条の4(法第24条の7第1項の金額)

法第24条の7第1項の政令で定める金額は、3000万円とする。

ただし、特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事が建築一

式工事である場合においては、4500万円とする。

*19 施行規則第14条の2(施工体制台帳の記載事項等)

法第24条の7第1項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりと

する。

一 作成建設業者(法第24条の7第1項の規定(公共工事の入札及び契

約の適正化の促進に関する法律 (平成12年法律第127号。次項第

1号において「入札契約適正化法」という。)第15条第1項の規定に

より読み替えて適用される場合を含む。)により施工体制台帳を作成す

る場合における当該建設業者をいう。以下同じ。)に関する次に掲げる

事項

イ 許可を受けて営む建設業の種類

ロ 健康保険等の加入状況

二 作成建設業者が請け負った建設工事に関する次に掲げる事項

イ 建設工事の名称、内容及び工期

15

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ロ 発注者と請負契約を締結した年月日、当該発注者の商号、名称又は

氏名及び住所並びに当該請負契約を締結した営業所の名称及び所在

ハ 発注者が監督員を置くときは、当該監督員の氏名及び法第19条の

2第2項に規定する通知事項

ニ 作成建設業者が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名及

び法第19条の2第1項に規定する通知事項

ホ 主任技術者又は監理技術者の氏名、その者が有する主任技術者資格

(建設業の種類に応じ、法第七条第二号イ若しくはロに規定する実務

の経験若しくは学科の修得又は同号ハの規定による国土交通大臣の

認定があることをいう。以下同じ。)又は監理技術者資格及びその者

が専任の主任技術者又は監理技術者であるか否かの別

ヘ 法第26条の2第1項又は第2項の規定により建設工事の施工の

技術上の管理をつかさどる者でホの主任技術者又は監理技術者以外

のものを置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設

工事の内容及びその有する主任技術者資格

ト 出入国管理及び難民認定法 (昭和26年政令第319号)別表第

一の二の表の技能実習の在留資格を決定された者(第4号チにおいて

「外国人技能実習生」という。)及び同法 別表第一の五の表の上欄の

在留資格を決定された者であって、国土交通大臣が定めるもの(第4

号チにおいて「外国人建設就労者」という。)の従事の状況

三 前号の建設工事の下請負人に関する次に掲げる事項

イ 商号又は名称及び住所

ロ 当該下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号及びその

請け負った建設工事に係る許可を受けた建設業の種類

ハ 健康保険等の加入状況

四 前号の下請負人が請け負った建設工事に関する次に掲げる事項

イ 建設工事の名称、内容及び工期

ロ 当該下請負人が注文者と下請契約を締結した年月日

ハ 注文者が監督員を置くときは、当該監督員の氏名及び法第19条の

2第2項に規定する通知事項

ニ 当該下請負人が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名及

び法第19条の2第1項に規定する通知事項

ホ 当該下請負人が建設業者であるときは、その者が置く主任技術者の

氏名、当該主任技術者が有する主任技術者資格及び当該主任技術者が

専任の者であるか否かの別

ヘ 当該下請負人が法第26条の2第1項又は第2項の規定により建

設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者でホの主任技術者以外

のものを置くときは、当該者の氏名、その者が管理をつかさどる建設

工事の内容及びその有する主任技術者資格

ト 当該建設工事が作成建設業者の請け負わせたものであるときは、当

該建設工事について請負契約を締結した作成建設業者の営業所の名

称及び所在地

チ 外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事の状況

2 施工体制台帳には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 前項第2号ロの請負契約及び同項第4号ロの下請契約に係る法第1

9条第1項及び第2項の規定による書面の写し(作成建設業者が注文者

となった下請契約以外の下請契約であって、公共工事(入札契約適正化

法第2条第2項に規定する公共工事をいう。第14条の4第3項におい

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て同じ。)以外の建設工事について締結されるものに係るものにあって

は、請負代金の額に係る部分を除く。)

二 前項第2号ホの主任技術者又は監理技術者が主任技術者資格又は監

理技術者資格を有することを証する書面(当該監理技術者が法第26条

第4項の規定により選任しなければならない者であるときは、監理技術

者資格者証の写しに限る。)及び当該主任技術者又は監理技術者が作成

建設業者に雇用期間を特に限定することなく雇用されている者である

ことを証する書面又はこれらの写し

三 前項第2号ヘに規定する者を置くときは、その者が主任技術者資格を

有することを証する書面及びその者が作成建設業者に雇用期間を特に

限定することなく雇用されている者であることを証する書面又はこれ

らの写し

3 第1項各号に掲げる事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気

ディスク等に記録され、必要に応じ当該工事現場において電子計算機その

他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第

24条の7第1項に規定する施工体制台帳への記載に代えることができ

る。

4 法第19条第3項に規定する措置が講じられた場合にあっては、契約事

項等が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、

必要に応じ当該工事現場において電子計算機その他の機器を用いて明確

に紙面に表示されるときは、当該記録をもって第2項第1号に規定する添

付書類に代えることができる。

第3章の2 建設工事の請負契約に関する紛争の処理

第25条(建設工事紛争審査会の設置)

建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るため、建設工事紛争審査会を設置する。

2 建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)は、この法律の規定により、建設工事の

請負契約に関する紛争(以下「紛争」という。)につきあっせん、調停及び仲裁(以下「紛

争処理」という。)を行う権限を有する。

3 審査会は、中央建設工事紛争審査会(以下「中央審査会」という。)及び都道府県建設工

事紛争審査会(以下「都道府県審査会」という。)とし、中央審査会は、国土交通省に、都

道府県審査会は、都道府県に置く。

第25条の9(管轄)

中央審査会は、次の各号に掲げる場合における紛争処理について管轄する。

一 当事者の双方が国土交通大臣の許可を受けた建設業者であるとき。

二 当事者の双方が建設業者であって、許可をした行政庁を異にするとき。

三 当事者の一方のみが建設業者であって、国土交通大臣の許可を受けたものであると

き。

2 都道府県審査会は、次の各号に掲げる場合における紛争処理について管轄する。

一 当事者の双方が当該都道府県の知事の許可を受けた建設業者であるとき。

二 当事者の一方のみが建設業者であって、当該都道府県の知事の許可を受けたもので

あるとき。

三 当事者の双方が許可を受けないで建設業を営む者である場合であって、その紛争に

係る建設工事の現場が当該都道府県の区域内にあるとき。

四 前項第3号に掲げる場合及び第2号に掲げる場合のほか、当事者の一方のみが許可

を受けないで建設業を営む者である場合であって、その紛争に係る建設工事の現場が

当該都道府県の区域内にあるとき。

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3 前2項の規定にかかわらず、当事者は、双方の合意によって管轄審査会を定めること

ができる。

第4章 施工技術の確保

第26条(主任技術者及び監理技術者の設置等)

建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第7条第

2号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理を

つかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

2 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事を施工するために

締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金

の額の総額)が第3条第1項第2号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項

の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第15条第2号イ、ロ又はハに該当する者(当

該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあっては、同号イに該当する者又は同

号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定

した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下

「監理技術者」という。)を置かなければならない。

3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する

重要な建設工事で政令*20で定めるものについては、前2項の規定により置かなければな

らない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。

4 前項の規定により専任の者でなければならない監理技術者は、第27条の18第1項

の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であって、第26条の4から第

26条の6までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうち

から、これを選任しなければならない。

5 前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技

術者資格者証を提示しなければならない。

*20 施行令第27条(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工

事)

法第26条第3項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれ

かに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が2500万円(当該建

設工事が建築一式工事である場合にあっては、5000万円)以上のもの

とする。

一 国又は地方公共団体が注文者である施設又は工作物に関する建設工事

二 第15条第1号及び第3号に掲げる施設又は工作物に関する建設工事

三 次に掲げる施設又は工作物に関する建設工事

イ 石油パイプライン事業法 (昭和47年法律第105号)第5条第2

項第2号に規定する事業用施設

ロ 電気通信事業法 (昭和59年法律第86号)第2条第5号に規定す

る電気通信事業者(同法第9条第1号に規定する電気通信回線設備を

設置するものに限る。)が同条第4号に規定する電気通信事業の用に供

する施設

ハ 放送法(昭和25年法律第132号)第2条第23号に規定する基

幹放送事業者又は同条第24号に規定する基幹放送局提供事業者が同

条第1号に規定する放送の用に供する施設(鉄骨造又は鉄筋コンクリ

ート造の塔その他これに類する施設に限る。)

ニ 学校

ホ 図書館、美術館、博物館又は展示場

ヘ 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第1項に規定する社

会福祉事業の用に供する施設

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ト 病院又は診療所

チ 火葬場、と畜場又は廃棄物処理施設

リ 熱供給事業法 (昭和47年法律第88号)第2条第4項に規定する

熱供給施設

ヌ 集会場又は公会堂

ル 市場又は百貨店

ヲ 事務所

ワ ホテル又は旅館

カ 共同住宅、寄宿舎又は下宿

ヨ 公衆浴場

タ 興行場又はダンスホール

レ 神社、寺院又は教会

ソ 工場、ドック又は倉庫

ツ 展望塔

2 前項に規定する建設工事のうち密接な関係のある二以上の建設工事を同

一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工するものについ

ては、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができ

る。

第26条の2 (専門技術者の設置)

土木工事業又は建築工事業を営む者は、土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合

において、土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事(第3条第1項ただし書の政令

で定める軽微な建設工事を除く。)を施工するときは、当該建設工事に関し第7条第2号イ、

ロ又はハに該当する者で当該工事現場における当該建設工事の施工の技術上の管理をつか

さどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた

建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。

2 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設工事(第3条第1

項ただし書の政令で定める軽微な建設工事を除く。)を施工する場合においては、当該建設

工事に関し第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における当該建設工事

の施工の技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事

に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。

第26条の3 (主任技術者及び監理技術者の職務等)

主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該

建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事

の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

2 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職

務として行う指導に従わなければならない。

第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等

第27条の23(経営事項審査)

公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令*21で定めるものを発注者から直

接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令*22で定めるところにより、その経営に関す

る客観的事項について審査を受けなければならない。

2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による

評価をすることにより行うものとする。

一 経営状況

二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項

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3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を

聴いて国土交通大臣が定める。

*21 施行令第27条の13(公共性のある施設又は工作物に関する建設工事)

法第27条の23第1項の政令で定める建設工事は、国、地方公共団

体、法人税法 (昭和40年法律第34号)別表第一*23に掲げる公共法

人(地方公共団体を除く。)又はこれらに準ずるものとして国土交通省

令*24で定める法人が発注者であり、かつ、工事一件の請負代金の額が5

00万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあっては、150

0万円)以上のものであって、次に掲げる建設工事以外のものとする。

一 堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破

壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあ

るものによって必要を生じた応急の建設工事 二 前号に掲げるもののほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発

注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事

情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事

*22 施行規則第18条の2(経営事項審査の受審)

法第27条の23第1項の建設業者は、同項の建設工事について発注 者と請負契約を締結する日の1年7月前の日の直後の事業年度終了の日

以降に経営事項審査を受けていなければならない。

*23 法人税法別表第一 公共法人の表(第二条関係)

名称 根拠法

沖縄振興開発金融公庫 沖縄振興開発金融公庫法(昭和47年法律第

31号)

株式会社国際協力銀行 会社法及び株式会社国際協力銀行法(平成

23年法律第39号)

株式会社日本政策金融公庫 会社法及び株式会社日本政策金融公庫法(平

成19年法律第57号)

港務局 港湾法

国立大学法人 国立大学法人法(平成15年法律第112

号)

社会保険診療報酬支払基金 社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法

律第129号)

水害予防組合 水害予防組合法(明治41年法律第50号)

水害予防組合連合 同上

大学共同利用機関法人 国立大学法人法

地方公共団体 地方自治法(昭和22年法律第67号)

地方公共団体金融機構 地方公共団体金融機構法(平成19年法律第

64号)

地方公共団体情報システム 地方公共団体情報システム機構法(平成25

機構 年法律第29号)

地方住宅供給公社 地方住宅供給公社法(昭和40年法律第12

4号)

地方道路公社 地方道路公社法(昭和45年法律第82号)

地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成15年法律第11

8号)

20

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独立行政法人(その資本金 独立行政法人通則法(平成11年法律第10

の額若しくは出資の金額の 3号)及び同法第1条第1項(目的等)に

全部が国若しくは地方公共 規定する個別法

団体の所有に属しているも

の又はこれに類するものと

して、財務大臣が指定をし

たものに限る。)

土地開発公社 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和47

年法律第66号)

土地改良区 土地改良法(昭和24年法律第195号)

土地改良区連合 同上

土地区画整理組合 土地区画整理法(昭和29年法律第119号)

日本下水道事業団 日本下水道事業団法(昭和47年法律第41

号)

日本司法支援センター 総合法律支援法(平成16年法律第74号)

日本中央競馬会 日本中央競馬会法(昭和29年法律第205

号)

日本年金機構 日本年金機構法(平成19年法律第109号)

日本放送協会 放送法(昭和25年法律第132号)

*24 施行規則第18条(令第27条の13の法人)

令第27条の13の国土交通省令で定める法人は、公益財団法人JK

A、国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人新エネルギ

ー・産業技術総合開発機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、

国立研究開発法人理化学研究所、首都高速道路株式会社、消防団員等公務

災害補償等共済基金、新関西国際空港株式会社、地方競馬全国協会、中間

貯蔵・環境安全事業株式会社、東京地下鉄株式会社、東京湾横断道路の建

設に関する特別措置法(昭和61年法律第45号)第2条第1項に規定す

る東京湾横断道路建設事業者、独立行政法人環境再生保全機構、独立行政

法人勤労者退職金共済機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行

政法人農業者年金基金、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、

西日本高速道路株式会社、日本私立学校振興・共済事業団、日本たばこ産

業株式会社、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第8

5号)第1条第1項に規定する会社及び同条第2項に規定する地域会社、

農林漁業団体職員共済組合、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式

会社、本州四国連絡高速道路株式会社並びに、旅客鉄道株式会社及び日本

貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)第1条第3項

に規定する会社とする。

第5章 監督

第28条(指示及び営業の停止)

国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに

該当する場合又はこの法律の規定(第19条の3、第19条の4及び第24条の3から第

24条の5までを除き、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (平成12

年法律第127号。以下「入札契約適正化法」という。)第15条第1項の規定により読

み替えて適用される第24条の7第1項、第2項及び第4項を含む。第4項において同じ。)、

入札契約適正化法第15条第2項若しくは第3項の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の

履行の確保等に関する法律(平成19年法律第66号。以下この条において「履行確保法」

21

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という。)第3条第6項 、第4条第1項、第7条第2項、第8条第1項若しくは第2項若

しくは第10条の規定に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示を

することができる。特定建設業者が第41条第2項又は第3項の規定による勧告に従わな

い場合において必要があると認めるときも、同様とする。 一 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は

危害を及ぼすおそれが大であるとき。 二 建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。 三 建設業者(建設業者が法人であるときは、当該法人又はその役員等)又は政令*4で定

める使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法及び履行確保法並びにこれら

に基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。 四 建設業者が第22条の規定に違反したとき。 五 第26条第1項又は第2項に規定する主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理

について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。 六 建設業者が、第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者

と下請契約を締結したとき。 七 建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が第3条第1項第2

号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結したとき。 八 建設業者が、情を知って、第3項の規定により営業の停止を命ぜられている者又は第

29条の4第1項の規定により営業を禁止されている者と当該停止され、又は禁止され

ている営業の範囲に係る下請契約を締結したとき。 九 履行確保法第3条第1項 、第5条又は第7条第1項の規定に違反したとき。

2 都道府県知事は、その管轄する区域内で建設工事を施工している第3条第1項の許可を

受けないで建設業を営む者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該建設業

を営む者に対して、必要な指示をすることができる。 一 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼ

すおそれが大であるとき。 二 請負契約に関し著しく不誠実な行為をしたとき。

3 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第1項各号のいずれか

に該当するとき若しくは同項若しくは次項の規定による指示に従わないとき又は建設業を

営む者が前項各号のいずれかに該当するとき若しくは同項の規定による指示に従わないと

きは、その者に対し、1年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずる

ことができる。 4 都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の許可を受けた建設業者で当該都

道府県の区域内において営業を行うものが、当該都道府県の区域内における営業に関し、

第1項各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定、入札契約適正化法第15条第

2項若しくは第3項 の規定若しくは履行確保法第3条第6項 、第4条第1項、第7条第

2項、第8条第1項若しくは第2項若しくは第10条の規定に違反した場合においては、

当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。 5 都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の許可を受けた建設業者で当該都

道府県の区域内において営業を行うものが、当該都道府県の区域内における営業に関し、

第1項各号のいずれかに該当するとき又は同項若しくは前項の規定による指示に従わない

ときは、その者に対し、1年以内の期間を定めて、当該営業の全部又は一部の停止を命ず

ることができる。 6 都道府県知事は、前2項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該建

設業者が国土交通大臣の許可を受けたものであるときは国土交通大臣に報告し、当該建設

業者が他の都道府県知事の許可を受けたものであるときは当該他の都道府県知事に通知し

なければならない。 7 国土交通大臣又は都道府県知事は、第1項第1号若しくは第3号に該当する建設業者又

は第2項第1号に該当する第3条第1項の許可を受けないで建設業を営む者に対して指示

22

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をする場合において、特に必要があると認めるときは、注文者に対しても、適当な措置を

とるべきことを勧告することができる。 第29条(許可の取消し)

国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに

該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。

一 一般建設業の許可を受けた建設業者にあっては第7条第1号又は第2号、特定建設業

者にあっては同条第1号又は第15条第2号に掲げる基準を満たさなくなった場合

二 第8条第1号又は第7号から第13号まで(第17条において準用する場合を含む。)

のいずれかに該当するに至った場合

二の二 第9条第1項各号(第17条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当

する場合において一般建設業の許可又は特定建設業の許可を受けないとき。

三 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止し

た場合

四 第12条各号(第17条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至

った場合

五 不正の手段により第3条第1項の許可(同条第3項の許可の更新を含む。)を受けた

場合

六 前条第1項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合又は同条第3項若しくは第5

項の規定による営業の停止の処分に違反した場合

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第3条の2第1項の規

定により付された条件に違反したときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

第29条の2(所在不明の建設業者の許可の取消し)

国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者の営業所の所在地を確知できないとき、又

は建設業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいい、個人である場合

においては、その支配人の所在を含むものとする。)を確知できないときは、官報又は当該

都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該建設業者

から申出がないときは、当該建設業者の許可を取り消すことができる。

2 前項の規定による処分については、行政手続法第3章の規定は、適用しない。

第29条の3(許可の取消し等の場合における建設工事の措置)

第3条第3項の規定により建設業の許可がその効力を失った場合にあっては当該許可に

係る建設業者であった者又はその一般承継人は、第28条第3項若しくは第5項の規定に

より営業の停止を命ぜられた場合又は前2条の規定により建設業の許可を取り消された場

合にあっては当該処分を受けた者又はその一般承継人は、許可がその効力を失う前又は当

該処分を受ける前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。こ

の場合において、これらの者は、許可がその効力を失った後又は当該処分を受けた後、2

週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければならない。

2 特定建設業者であった者又はその一般承継人若しくは特定建設業者の一般承継人が前項

の規定により建設工事を施工する場合においては、第16条の規定は、適用しない。

3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第1項の規定にかかわらず、公益上必要があると認

めるときは、当該建設工事の施工の差止めを命ずることができる。

4 第1項の規定により建設工事を施工する者で建設業者であったもの又はその一般承継人

は、当該建設工事を完成する目的の範囲内においては、建設業者とみなす。

5 建設工事の注文者は、第1項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する許可がそ

の効力を失ったこと、若しくは処分があったことを知った日から30日以内に限り、その

建設工事の請負契約を解除することができる。

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第29条の4(営業の禁止)

国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者その他の建設業を営む者に対して第28条

第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ずる場合においては、その者が法人である

ときはその役員等及び当該処分の原因である事実について相当の責任を有する政令*4で定

める使用人(当該処分の日前60日以内においてその役員等又はその政令で定める使用人

であった者を含む。次項において同じ。)に対して、個人であるときはその者及び当該処分

の原因である事実について相当の責任を有する政令で定める使用人(当該処分の日前60

日以内においてその政令で定める使用人であった者を含む。次項において同じ。)に対して、

当該停止を命ずる範囲の営業について、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、新

たに営業を開始すること(当該停止を命ずる範囲の営業をその目的とする法人の役員等に

なることを含む。)を禁止しなければならない。

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、第29条第1項第5号又は第6号に該当することに

より建設業者の許可を取り消す場合においては、当該建設業者が法人であるときはその役

員等及び当該処分の原因である事実について相当の責任を有する政令で定める使用人に対

して、個人であるときは当該処分の原因である事実について相当の責任を有する政令で定

める使用人に対して、当該取消しに係る建設業について、5年間、新たに営業(第3条第

1項ただし書の政令*2で定める軽微な建設工事のみを請け負うものを除く。)を開始するこ

とを禁止しなければならない。

第29条の5(監督処分の公告等)

国土交通大臣又は都道府県知事は、第28条第3項若しくは第5項、第29条又は第2

9条の2第1項の規定による処分をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、そ

の旨を公告しなければならない。

2 国土交通省及び都道府県に、それぞれ建設業者監督処分簿を備える。

3 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第28条第1項若しく

は第4項の規定による指示又は同条第3項若しくは第5項の規定による営業停止の命令を

受けたときは、建設業者監督処分簿に、当該処分の年月日及び内容その他国土交通省令で

定める事項を登載しなければならない。

4 国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者監督処分簿を公衆の閲覧に供しなければな

らない。

第30条(不正事実の申告)

建設業者に第28条第1項各号の一に該当する事実があるときは、その利害関係人は、

当該建設業者が許可を受けた国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設

工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をと

るべきことを求めることができる。

2 第3条第1項の許可を受けないで建設業を営む者に第28条第2項各号の一に該当する

事実があるときは、その利害関係人は、当該建設業を営む者が当該建設工事を施工してい

る地を管轄する都道府県知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をとるべきことを求

めることができる。

第31条(報告及び検査)

国土交通大臣は、建設業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の

区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若し

くは工事施工の状況につき、必要な報告を徴し、又は当該職員をして営業所その他営業に

関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 当該職員は、前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を

携帯し、関係人の請求があったときは、これを呈示しなければならない。

3 当該職員の資格に関し必要な事項は、政令で定める。

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第32条(参考人の意見聴取)

第29条の規定による許可の取消しに係る聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、

参考人の意見を聴かなければならない。 2 前項の規定は、国土交通大臣又は都道府県知事が第28条第1項から第5項まで又は第

29条の4第1項若しくは第2項の規定による処分に係る弁明の機会の付与を行う場合に

ついて準用する。

第7章 雑則

第40条(標識の掲示)

建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に、国土交通省令

の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建

設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければ

ならない。

第40条の2(表示の制限)

建設業を営む者は、当該建設業について、第3条第1項の許可を受けていないのに、そ

の許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしてはならない。

第40条の3(帳簿の備付け等)

建設業者は、国土交通省令*25,*26,*27で定めるところにより、その営業所ごとに、その

営業に関する事項で国土交通省令*25で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳

簿及びその営業に関する図書で国土交通省令*25で定めるものを保存しなければならない。

*25 施行規則第26条(帳簿の記載事項等)

法第40条の3の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 営業所の代表者の氏名及びその者が当該営業所の代表者となった年月日

二 注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項

イ 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地

ロ イの建設工事について注文者と請負契約を締結した年月日、当該注文

者(その法定代理人を含む。)の商号、名称又は氏名及び住所並びに当該

注文者が建設業者であるときは、その者の許可番号

ハ イの建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日及び当該

建設工事の目的物の引渡しをした年月日

三 発注者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号

に規定する宅地建物取引業者を除く。以下この号及び第28条において同

じ。)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する次に掲げる事

イ 当該住宅の床面積

ロ 当該住宅が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令

(平成19年政令第395号)第3条第1項の建設新築住宅であるとき

は、同項の書面に記載された二以上の建設業者それぞれの建設瑕疵負担

割合(同項に規定する建設瑕疵負担割合をいう。以下この号において同

じ。)の合計に対する当該建設業者の建設瑕疵負担割合の割合

ハ 当該住宅について、住宅瑕疵担保責任保険法人(特定住宅瑕疵担保責

任の履行の確保等に関する法律(平成19年法律第66号)第17条第

1項に規定する住宅瑕疵担保責任保険法人をいう。)と住宅建設瑕疵担保

責任保険契約(同法第2条第5項に規定する住宅建設瑕疵担保責任保険

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契約をいう。)を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に

交付しているときは、当該住宅瑕疵担保責任保険法人の名称

四 下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する次に掲げる事項

イ 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地

ロ イの建設工事について下請負人と下請契約を締結した年月日、当該下

請負人(その法定代理人を含む。)の商号又は名称及び住所並びに当該

下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号

ハ イの建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日及び当

該建設工事の目的物の引渡しを受けた年月日

ニ ロの下請契約が法第24条の5第1項に規定する下請契約であると

きは、当該下請契約に関する次に掲げる事項

(1) 支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段

(2) 下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付したときは、そ

の手形の金額、手形を交付した年月日及び手形の満期

(3) 下請代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の残額

(4) 遅延利息を支払ったときは、その遅延利息の額及び遅延利息を支

払った年月日

2 法第40条の3に規定する帳簿には、次に掲げる書類を添付しなければなら

ない。

一 法第19条第1項及び第2項の規定による書面又はその写し

二 前項第4号ロの下請契約が法第24条の5第1項に規定する下請契約で

あるときは、当該下請契約に関する同号ニ(1)に掲げる事項を証する書面又

はその写し

三 前項第2号イの建設工事について施工体制台帳を作成しなければならな

いときは、当該施工体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分(第1

4条の5第1項の規定により次に掲げる事項の記載が省略されているとき

は、当該事項が記載された同項の書類を含む。)

イ 監理技術者の氏名及びその有する監理技術者資格並びに第14条の2

第1項第2号ヘに規定する者を置くときは、その者の氏名、その者が管

理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格

ロ 当該建設工事の下請負人の商号又は名称及び当該下請負人が建設業者

であるときは、その者の許可番号

ハ ロの下請負人が請け負った建設工事の内容及び工期

ニ ロの下請負人が置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資

格並びにロの下請負人が第14条の2第1項第4号ヘに規定する者を置

くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及

びその有する主任技術者資格

3 第14条の7に規定する時までの間は、前項第3号に掲げる書類を法第4

0条の3に規定する帳簿に添付することを要しない。

4 第2項の規定により添付された書類に第1項各号に掲げる事項が記載され

ているときは、同項の規定にかかわらず、法第40条の3に規定する帳簿の

当該事項を記載すべき箇所と当該書類との関係を明らかにして、当該事項の

記載を省略することができる。

5 法第40条の3の国土交通省令で定める図書は、発注者から直接建設工

事を請け負った建設業者(作成建設業者を除く。)にあっては第1号及び第2

号に掲げるもの又はその写し、作成建設業者にあっては第1号から第3号ま

でに掲げるもの又はその写しとする。

一 建設工事の施工上の必要に応じて作成し、又は発注者から受領した完成

図(建設工事の目的物の完成時の状況を表した図をいう。)

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二 建設工事の施工上の必要に応じて作成した工事内容に関する発注者と

の打合せ記録(請負契約の当事者が相互に交付したものに限る。)

三 施工体系図

6 第1項各号に掲げる事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気デ

ィスク等に記録され、必要に応じ当該営業所において電子計算機その他の機

器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって法第40条の

3に規定する帳簿への記載に代えることができる。

7 法第19条第3項に規定する措置が講じられた場合にあっては、契約事項

等が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要

に応じ当該営業所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に

表示されるときは、当該記録をもって第2項第1号に規定する添付書類に代

えることができる。

8 第五項各号に掲げる図書が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディ

スク等に記録され、必要に応じ当該営業所において電子計算機その他の機器

を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって同項各号の図書

に代えることができる。

*26 施行規則第27条(帳簿の記載方法等)

前条第1項各号に掲げる事項の記載(同条第6項の規定による記録を含

む。次項において同じ。)及び同条第2項各号に掲げる書類の添付は、請け

負った建設工事ごとに、それぞれの事項又は書類に係る事実が生じ、又は明

らかになったとき(同条第1項第1号に掲げる事項にあっては、当該建設工

事を請け負ったとき)に、遅滞なく、当該事項又は書類について行わなけれ

ばならない。

2 前条第1項各号に掲げる事項について変更があったときは、遅滞なく、当

該変更があった年月日を付記して変更後の当該事項を記載しなければなら

ない。

*27 施行規則第28条(帳簿及び図書の保存期間)

法第40条の3に規定する帳簿(第26条第6項の規定による記録が行わ

れた同項のファイル又は磁気ディスクを含む。)及び第26条第2項の規定

により添付された書類の保存期間は、請け負った建設工事ごとに、当該建設

工事の目的物の引渡しをしたとき(当該建設工事について注文者と締結した

請負契約に基づく債権債務が消滅した場合にあっては、当該債権債務の消滅

したとき)から5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るも

のにあっては、10年間)とする。 2 第26条第5項に規定する図書(同条第8項の規定による記録が行われた

同項のファイル又は磁気ディスクを含む。)の保存期間は、請け負った建設

工事ごとに、当該建設工事の目的物の引渡しをしたときから10年間とする。

第41条(建設業を営む者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告)

国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業を営む者又は第27条の37の届出のあった

建設業者団体に対して、建設工事の適正な施工を確保し、又は建設業の健全な発達を図る

ために必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。

2 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の

建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払

を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国

土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち

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当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することそ

の他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。

3 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の

建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し他人に損害を加えた場合において、必要が

あると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、

当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替

払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。

第42条(公正取引委員会への措置請求等)

国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第19条の3、第19

条の4、第24条の3第1項、第24条の4又は第24条の5第3項若しくは第4項の規

定に違反している事実があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法

律第19条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に

従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、中小企業者(中小企業基本法(昭和38年法律第1

54号)第2条第1項に規定する中小企業者をいう。次条において同じ。)である下請負人

と下請契約を締結した元請負人について、前項の規定により措置をとるべきことを求めた

ときは、遅滞なく、中小企業庁長官にその旨を通知しなければならない。

第42条の2(報告及び検査)

中小企業庁長官は、中小企業者である下請負人の利益を保護するため特に必要があると

認めるときは、元請負人若しくは下請負人に対しその取引に関する報告をさせ、又はその

職員に元請負人若しくは下請負人の営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿

書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求

があったときは、これを提示しなければならない。

3 中小企業庁長官は、第1項の規定による報告又は検査の結果中小企業者である下請負人

と下請契約を締結した元請負人が第19条の3、第19条の4、第24条の3第1項、第

24条の4又は第24条の5第3項若しくは第4項の規定に違反している事実があり、そ

の事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第19条の規定に違反している

と認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを

求めることができる。

4 中小企業庁長官は、前項の規定により措置をとるべきことを求めたときは、遅滞なく、

当該元請負人につき第3条第1項の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事に、その旨

を通知しなければならない。

第43条(都道府県の費用負担)

都道府県知事がこの法律を施行するために必要とする経費は、当該都道府県の負担とす

る。

第44条(参考人の費用請求権)

第32条の規定により意見を求められて出頭した参考人は、政令の定めるところにより、

旅費、日当その他の費用を請求することができる。

第44条の2(経過措置)

この法律の規定に基づき、命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、

その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰

則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

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第44条の3(権限の委任)

この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令*28で定めるところにより、

その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

*28 施行規則第29条(権限の委任)

法、令及びこの省令に規定する国土交通大臣の権限のうち、次に掲げる

もの以外のものは、建設業者若しくは法第3条第1項の許可を受けようと

する者の主たる営業所の所在地、法第7条第1号ロ、第2号ハ若しくは法

第15条第2号ハの認定若しくは法第27条第3項の合格証明書の交付

を受けようとする者若しくは令第27条の9第1項の規定により合格を

取り消された者の住所地又は建設業者団体の主たる事務所の所在地を管

轄する地方整備局長及び北海道開発局長に委任する。ただし、法第25条

の27第2項、法第27条の38、法第27条の39第2項、法第28条

第1項、第3項及び第7項、法第29条、法第29条の2第1項、法第2

9条の3第3項 、法第29条の4、法第31条第1項並びに法第41条

並びに第23条第5項の規定に基づく権限については、国土交通大臣が自

ら行うことを妨げない。 一 法第7条第1号ロの規定により認定すること(外国における経験に関

するものに限る。)。 二 法第7条第2号ハの規定により認定すること(外国における学歴又は

実務経験に関するものに限る。)。 三 法第15条第2号イの規定により試験及び免許を定め、並びに同号

ハの規定により認定すること(外国における学歴、資格又は実務経験に

関するものに限る。)。 四 中央建設工事紛争審査会に関する法第25条の2第2項並びに法第

25条の5第1項及び第2項(法第25条の7第3項においてこれらの

規定を準用する場合を含む。)、法第25条の10並びに法第25条の2

5の規定による権限 五 登録講習実施機関及び登録経営状況分析機関に関する法第26条の

6(法第26条の7第2項において準用する場合を含む。)、法第26条

の9から法第26条の11まで(法第26条の10第2項を除く。)並

びに法第26条の13から法第26条の15まで(法第27条の32 においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、法第26条の17第1

項 、法第26条の19、法第26条の20第1項並びに法第26条の

21(法第27条の32においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、

法第27条の31第2項及び第3項(法第27条の32において準用す

る法第26条の7第2項において準用する場合を含む。)並びに法第2

7条の35第1項及び第2項の規定による権限 六 法第27条第1項の規定により技術検定を行うこと。 七 指定試験機関及び指定資格者証交付機関に関する法第27条の2第

1項及び第3項、法第27条の3、法第27条の4(法第27条の19

第5項において準用する場合を含む。)、法第27条の5第1項、同条第

2項(法第27条の6第3項において準用する場合を含む。)、法第27

条の6第2項、法第27条の8(法第27条の19第5項において準用

する場合を含む。)、法第27条の9、法第27条の11、法第27条の

12第1項(法第27条の19第5項において準用する場合を含む。)、

法第27条の13から法第27条の15まで(同条第3項を除く。)並

びに法第27条の17 (法第27条の19第5項においてこれらの規

定を準用する場合を含む。)、法第27条の19第1項、第3項及び第4

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項並びに法第27条の20の規定による権限 八 法第27条の18第1項の規定により監理技術者資格者証を交付す

ること。 九 法第27条の23第3項の規定により経営事項審査の項目及び基準

を定めること。 十 法第29条の5第1項の規定により公告すること(国土交通大臣の処

分に係るものに限る。)。 十一 法第32条第2項において準用する同条第1項の規定により意見

を聴くこと(国土交通大臣の処分に係るものに限る。)。 十二 法第35条第2項 (法第37条第3項において準用する場合を含

む。)の規定により任命すること。 十三 法第39条の3第1項の規定による諮問をすること。 十四 中央建設工事紛争審査会に関する令第12条、令第15条第4号

並びに令第25条第2号及び第3号の規定による権限 十五 技術検定に関する令第27条の3第3項 、令第27条の5第1項

第4号及び第2項第3号 、令第27条の6 、令第27条の7 、令第

27条の9第1項 並びに令第27条の10 の規定による権限 十六 令第27条の13第2号 の規定により指定すること。 十六の二 登録地すべり防止工事試験実施機関、登録計装試験実施機関及

び登録経理試験実施機関に関する第7条の4第2項及び第7条の6第

1項(第7条の7第2項(第7条の22及び第18条の7において準用

する場合を含む。)においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第

7条の9から第7条の11まで及び第7条の13から第7条の15ま

で(第7条の22及び第18条の7においてこれらの規定を準用する場

合を含む。)、第7条の17及び第7条の18(第7条の22及び第18

条の7においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第7条の19第

2項、第7条の20第1項、第18条の4第2項並びに第18条の5第

1項の規定による権限 十七 登録講習実施機関及び登録経営状況分析機関に関する第17条の

4(第17条の5(第21条の10において準用する場合を含む。)に

おいて準用する場合を含む。)、第17条の8及び第17条の12(第2

1条の10においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第17条の

13第1項、第21条の6第2号並びに第21条の9第1項の規定によ

る権限 十八 指定試験機関及び指定資格者証交付機関に関する第17条の17

第1項、第17条の18(第17条の39において準用する場合を含

む。)、第17条の19第1項、第17条の21、第17条の23(第1

7条の39において準用する場合を含む。)、第17条の24、第17条

の26第1項、第17条の27及び第17条の28(第17条の39に

おいてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第17条の35第1項、

第17条の37並びに第17条の38の規定による権限 十九 資格者証に関する第17条の29第1項及び第3項(第17条の3

3第2項において準用する場合を含む。)、第17条の30第3項、第1

7条の31第1項及び第3項並びに第17条の32第1項及び第4項

の規定による権限 二十 別記様式第十五号及び第十六号の規定により勘定科目の分類を定

めること。 二十一 別記様式第二十五号の八及び第二十五号の十一の規定により認

定すること。

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第44条の4(都道府県知事の経由)

第3条第1項の許可を受けようとする者、建設業者及び第12条各号に掲げる者がこの

法律又はこの法律に基づく命令で定めるところにより国土交通大臣に提出する許可申請書

その他の書類で国土交通省令で定めるものは、国土交通省令で定める都道府県知事を経由

しなければならない。

第44条の5(事務の区分)

前条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和22

年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。

第8章 罰則

第47条(罰則)

次の各号の一に該当する者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

一 第3条第1項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者

一の二 第16条の規定に違反して下請契約を締結した者

二 第28条第3項又は第5項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者

二の二 第29条の4第1項の規定による営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者

三 虚偽又は不正の事実に基づいて第3条第1項の許可(同条第3項の許可の更新を含

む。)を受けた者

2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第50条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す

る。

一 第5条(第17条において準用する場合を含む。)の規定による許可申請書又は第6条

第1項(第17条において準用する場合を含む。)の規定による書類に虚偽の記載をして

これを提出した者

二 第11条第1項から第4項まで(第17条において準用する場合を含む。)の規定によ

る書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者

三 第11条第5項(第17条において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなか

った者

四 第27条の24第2項若しくは第27条の26第2項の申請書又は第27条の24第

3項若しくは第27条の26第3項の書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者

2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第52条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。

一 第26条第1項から第3項までの規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかっ

た者

二 第26条の2の規定に違反した者

三 第29条の3第1項後段の規定による通知をしなかった者

四 第27条の24第4項又は第27条の26第4項の規定による報告をせず、若しくは

資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者

五 第31条第1項又は第42条の2第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告を

した者

六 第31条第1項又は第42条の2第1項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避し

た者

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第53条(罰則)

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は

人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を

罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金

刑を科する。

一 第47条 1億円以下の罰金刑

二 第50条又は前条 各本条の罰金刑

第55条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の過料に処する。 一 第12条(第17条において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠った者 二 正当な理由がなくて第25条の13第3項の規定による出頭の要求に応じなかった者 三 第40条の規定による標識を掲げない者 四 第40条の2の規定に違反した者 五 第40条の3の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚

偽の記載をし、又は帳簿若しくは図書を保存しなかった者

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公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

(平成12年11月27日法律第127号)

終改正:平成27年9月11日法律第66号

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 情報の公表(第4条―第9条)

第3章 不正行為等に対する措置(第10条・第11条)

第4章 適正な金額での契約の締結等のための措置(第12条・第13条)

第5章 施工体制の適正化(第14条―第16条)

第6章 適正化指針(第17条―第20条)

第7章 国による情報の収集、整理及び提供等(第21条・第22条)

第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、国、特殊法人等及び地方公共団体が行う公共工事の入札及び契約について、

その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置、適

正な金額での契約の締結等のための措置及び施工体制の適正化の措置を講じ、併せて適正化指針

の策定等の制度を整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う

建設業の健全な発達を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この法律において「特殊法人等」とは、法律により直接に設立された法人若しくは特別の

法律により特別の設立行為をもって設立された法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)

第4条第15号の規定の適用を受けない法人を除く 、特別の法律により設立され、かつ、その。)

設立に関し行政官庁の認可を要する法人又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法

律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。第6条において同じ )のうち、。

次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する法人であって政令で定めるものをいう。

一 資本金の二分の一以上が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の

主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であること。

二 その設立の目的を実現し、又はその主たる業務を遂行するため、計画的かつ継続的に建設工

事(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事をいう。次項に

おいて同じ )の発注を行う法人であること。。

2 この法律において「公共工事」とは、国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事を

いう。

3 この法律において「建設業」とは、建設業法第2条第2項に規定する建設業をいう。

4 この法律において「各省各庁の長」とは、財政法 (昭和22年法律第34号)第20条第2項

に規定する各省各庁の長をいう。

(公共工事の入札及び契約の適正化の基本となるべき事項)

第3条 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなけ

ればならない。

一 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。

二 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進される

こと。

三 入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除が徹底されること。

四 その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止さ

れること。

五 契約された公共工事の適正な施工が確保されること。

第2章 情報の公表

(国による情報の公表)

第4条 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通

しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

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2 各省各庁の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、

変更後の当該事項を公表しなければならない。

、 、 。第5条 各省各庁の長は 政令で定めるところにより 次に掲げる事項を公表しなければならない

一 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の

資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他

の政令で定める公共工事の入札及び契約の過程に関する事項

二 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関す

る事項

(特殊法人等による情報の公表)

第6条 特殊法人等の代表者(当該特殊法人等が独立行政法人である場合にあっては、その長。以

下同じ )は、前二条の規定に準じて、公共工事の入札及び契約に関する情報を公表するため必。

要な措置を講じなければならない。

(地方公共団体による情報の公表)

第7条 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の

見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

2 地方公共団体の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところによ

り、変更後の当該事項を公表しなければならない。

第8条 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければなら

ない。

一 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の

資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他

の政令で定める公共工事の入札及び契約の過程に関する事項

二 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関す

る事項

第9条 前二条の規定は、地方公共団体が、前二条に規定する事項以外の公共工事の入札及び契約

に関する情報の公表に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。

第3章 不正行為等に対する措置

(公正取引委員会への通知)

第10条 各省各庁の長、特殊法人等の代表者又は地方公共団体の長(以下「各省各庁の長等」と

いう )は、それぞれ国、特殊法人等又は地方公共団体(以下「国等」という )が発注する公共。 。

工事の入札及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律

第54号)第3条又は第8条第1号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるとき

は、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。

(国土交通大臣又は都道府県知事への通知)

第11条 各省各庁の長等は、それぞれ国等が発注する公共工事の入札及び契約に関し、当該公共

工事の受注者である建設業者(建設業法第2条第3項に規定する建設業者をいう。次条において

同じ )に次の各号のいずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときは、当該建設業者が建。

設業の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管

轄する都道府県知事に対し、その事実を通知しなければならない。

一 建設業法第8条第9号、第10号(同条第9号に係る部分に限る 、第11号(同条第9号。)

に係る部分に限る 、第12号(同条第9号に係る部分に限る )若しくは第13号(これら。) 。

の規定を同法第17条において準用する場合を含む )又は第28条第1項第3号、第4号若。

しくは第6号から第8号までのいずれかに該当すること。

二 第15条第2項若しくは第3項、同条第1項の規定により読み替えて適用される建設業法第

24条の7第1項、第2項若しくは第4項又は同法第26条若しくは第26条の2の規定に違

反したこと。

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第4章 適正な金額での契約の締結等のための措置

(入札金額の内訳の提出)

第12条 建設業者は、公共工事の入札に係る申込みの際に、入札金額の内訳を記載した書類を提

出しなければならない。

(各省各庁の長等の責務)

第13条 各省各庁の長等は、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれ

ない契約の締結を防止し、及び不正行為を排除するため、前条の規定により提出された書類の内

容の確認その他の必要な措置を講じなければならない。

第5章 施工体制の適正化

(一括下請負の禁止)

第14条 公共工事については、建設業法第22条第3項の規定は、適用しない。

(施工体制台帳の作成及び提出等)

第15条 公共工事についての建設業法第24条の7第1項、第2項及び第4項の規定の適用に

ついては、これらの規定中「特定建設業者」とあるのは「建設業者」と、同条第1項中「締結し

た下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)

が政令で定める金額以上になる」とあるのは「下請契約を締結した」と、同条第4項中「見やす

い場所」とあるのは「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。

2 公共工事の受注者(前項の規定により読み替えて適用される建設業法第24条の7第1項の規

定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という )を作成しなければ。

ならないこととされているものに限る )は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載す。

べきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む )の写しを発注。

者に提出しなければならない。この場合においては、同条第3項の規定は、適用しない。

3 前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次

条において「施工技術者」という )の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳。

の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならな

い。

(各省各庁の長等の責務)

第16条 公共工事を発注した国等に係る各省各庁の長等は、施工技術者の設置の状況その他の工

事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合

致しているかどうかの点検その他の必要な措置を講じなければならない。

第6章 適正化指針

(適正化指針の策定等)

第17条 国は、各省各庁の長等による公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置(第2

章、第3章、第13条及び前条に規定するものを除く )に関する指針(以下「適正化指針」と。

いう )を定めなければならない。。

2 適正化指針には、第3条各号に掲げるところに従って、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 入札及び契約の過程並びに契約の内容に関する情報(各省各庁の長又は特殊法人等の代表者

による措置にあっては第4条及び第5条、地方公共団体の長による措置にあっては第7条及び

第8条に規定するものを除く )の公表に関すること。。

二 入札及び契約の過程並びに契約の内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切

に反映する方策に関すること。

三 入札及び契約の過程に関する苦情を適切に処理する方策に関すること。

四 公正な競争を促進し、及びその請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込ま

れない契約の締結を防止するための入札及び契約の方法の改善に関すること。

五 将来におけるより適切な入札及び契約のための公共工事の施工状況の評価の方策に関するこ

と。

六 前各号に掲げるもののほか、入札及び契約の適正化を図るため必要な措置に関すること。

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3 適正化指針の策定に当たっては、特殊法人等及び地方公共団体の自主性に配慮しなければなら

ない。

4 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、あらかじめ各省各庁の長及び特殊法人等を所管する

大臣に協議した上、適正化指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5 国土交通大臣は、適正化指針の案の作成に先立って、中央建設業審議会の意見を聴かなければ

ならない。

6 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第四項の規定による閣議の決定があったときは、遅

滞なく、適正化指針を公表しなければならない。

7 第3項から前項までの規定は、適正化指針の変更について準用する。

(適正化指針に基づく責務)

第18条 各省各庁の長等は、適正化指針に定めるところに従い、公共工事の入札及び契約の適正

化を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(措置の状況の公表)

第19条 国土交通大臣及び財務大臣は、各省各庁の長又は特殊法人等を所管する大臣に対し、当

該各省各庁の長又は当該大臣が所管する特殊法人等が適正化指針に従って講じた措置の状況につ

いて報告を求めることができる。

2 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、適正化指針に従って講じた措置の状況に

ついて報告を求めることができる。

3 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、毎年度、前二項の報告を取りまとめ、その概要を公

表するものとする。

(要請)

第20条 国土交通大臣及び財務大臣は、各省各庁の長又は特殊法人等を所管する大臣に対し、公

共工事の入札及び契約の適正化を促進するため適正化指針に照らして特に必要があると認められ

る措置を講ずべきことを要請することができる。

2 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、公共工事の入札及び契約の適正化を促進

するため適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請すること

ができる。

第7章 国による情報の収集、整理及び提供等

(国による情報の収集、整理及び提供)

第21条 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第2章の規定により公表された情報その他そ

の普及が公共工事の入札及び契約の適正化の促進に資することとなる情報の収集、整理及び提供

に努めなければならない。

(関係法令等に関する知識の習得等)

第22条 国、特殊法人等及び地方公共団体は、それぞれその職員に対し、公共工事の入札及び契

約が適正に行われるよう、関係法令及び所管分野における公共工事の施工技術に関する知識を習

得させるための教育及び研修その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 国土交通大臣及び都道府県知事は、建設業を営む者に対し、公共工事の入札及び契約が適正に

行われるよう、関係法令に関する知識の普及その他必要な措置を講ずるよう努めなければならな

い。

附 則 抄

(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施

行する。ただし、第2章から第4章まで並びに第16条、第17条第1項及び第2項、第18条

並びに附則第3条(建設業法第28条の改正規定に係る部分に限る )の規定は平成13年4月。

1日から、第17条第3項の規定は平成14年4月1日から施行する。

(経過措置)

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第2条 第5条及び第8条の規定は、これらの規定の施行前に入札又は随意契約の手続に着手して

いた場合における当該入札及びこれに係る契約又は当該随意契約については、適用しない。

2 第4章及び次条(建設業法第28条の改正規定に係る部分に限る )の規定は、これらの規定。

の施行前に締結された契約に係る公共工事については、適用しない。

附 則 (平成21年6月10日法律第51号) 抄

(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下

「施行日」という )から施行する。ただし、第8条の改正規定、第8条の2第1項及び第2項。

の改正規定、第8条の3の改正規定( 第8条第1項第1号」を「第8条第1号」に改める部分「

に限る 、第24条、第25条第1項及び第26条第1項の改正規定、第43条の次に1条を加。)

える改正規定、第59条第2項の改正規定( 第8条第1項第1号」を「第8条第1号」に改め「

る部分に限る 、第66条第4項の改正規定( 第8条第1項」を「第8条」に改める部分に限。) 「

る 、第70条の13第1項の改正規定( 第8条第1項」を「第8条」に改める部分に限る 、。) 「 。)

第70条の15に後段を加える改正規定、同条に1項を加える改正規定、第84条第1項の改正

規定、第89条第1項第2号の改正規定、第90条の改正規定、第91条の2の改正規定(同条

第1号を削る部分に限る 、第93条の改正規定並びに第95条の改正規定(同条第1項第3号。)

中「 第3号を除く 」を削る部分、同条第2項第3号中「、第91条第4号若しくは第5号(第( 。)

4号に係る部分に限る 、第91条の2第1号」を削る部分(第91条の2第1号に係る部分を。)

除く )及び第95条第3項中「前項」を「第2項」に改め、同条第2項の次に2項を加える部。

分を除く )並びに附則第9条、第14条、第16条から第19条まで及び第20条第1項の規。

定、附則第21条中農業協同組合法(昭和22年法律第132号)第72条の8の2及び第73

条の24の改正規定並びに附則第23条及び第24条の規定は、公布の日から起算して一月を経

過した日から施行する。

附 則 (平成26年6月4日法律第55号) 抄

(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施

行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第1条(建設業法目次、第25条の27(見出しを含む )及び第27条の37の改正規定。

並びに同法第4章の3中第27条の38の次に1条を加える改正規定に限る )及び附則第7。

条の規定公布の日

(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第4条 第2条の規定による改正後の公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(次項

において「新入札契約適正化法」という )第4章の規定は、この法律の施行の際現に入札に付。

されている公共工事については、適用しない。

2 この法律の施行前に締結された契約に係る公共工事の施工については、新入札契約適正化法第

15条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(政令への委任)

第7条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰

則に関する経過措置を含む )は、政令で定める。。

(検討)

第8条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、第1条から第4条までの規定に

よる改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基

づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成27年9月11日法律第66号) 抄

(施行期日)

第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。

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公共工事の品質確保の促進に関する法律

(平成17年3月31日法律第18号)

最終改正:平成26年6月4日法律第56号

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本方針等(第9条―第11条)

第3章 多様な入札及び契約の方法等

第1節 競争参加者の技術的能力の審査等(第12条・第13条)

第2節 多様な入札及び契約の方法(第14条―第20条)

第3節 発注関係事務を適切に実施することができる者の活用及び発注者に対する支援等(第

21条―第24条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この法律は、公共工事の品質確保が、良質な社会資本の整備を通じて、豊かな国民生活の

実現及びその安全の確保、環境の保全(良好な環境の創出を含む 、自立的で個性豊かな地域社。)

会の形成等に寄与するものであるとともに、現在及び将来の世代にわたる国民の利益であること

に鑑み、公共工事の品質確保に関する基本理念、国等の責務、基本方針の策定等その担い手の中

長期的な育成及び確保の促進その他の公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定めるこ

とにより、現在及び将来の公共工事の品質確保の促進を図り、もって国民の福祉の向上及び国民

経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この法律において「公共工事」とは、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法

律(平成12年法律第127号)第2条第2項に規定する公共工事をいう。

(基本理念)

第3条 公共工事の品質は、公共工事が現在及び将来における国民生活及び経済活動の基盤となる

社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有することに鑑み、国及び地方公共団体

並びに公共工事の発注者及び受注者がそれぞれの役割を果たすことにより、現在及び将来の国民

のために確保されなければならない。

2 公共工事の品質は、建設工事が、目的物が使用されて初めてその品質を確認できること、その

品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により条件が異なること等の

特性を有することに鑑み、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質

が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない。

3 公共工事の品質は、施工技術の維持向上が図られ、並びにそれを有する者等が公共工事の品質

確保の担い手として中長期的に育成され、及び確保されることにより、将来にわたり確保されな

ければならない。

4 公共工事の品質は、公共工事の発注者(第24条を除き、以下「発注者」という )の能力及。

び体制を考慮しつつ、工事の性格、地域の実情等に応じて多様な入札及び契約の方法の中から適

切な方法が選択されることにより、確保されなければならない。

5 公共工事の品質は、これを確保する上で工事の効率性、安全性、環境への影響等が重要な意義

を有することに鑑み、より適切な技術又は工夫により、確保されなければならない。

6 公共工事の品質は、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、将来に

わたり確保されなければならない。

7 公共工事の品質は、地域において災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に行わ

れるよう、地域の実情を踏まえ地域における公共工事の品質確保の担い手の育成及び確保につい

て配慮がなされることにより、将来にわたり確保されなければならない。

8 公共工事の品質確保に当たっては、入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性並びに競争

の公正性が確保されること、談合、入札談合等関与行為その他の不正行為の排除が徹底されるこ

と、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止さ

れること並びに契約された公共工事の適正な施工が確保されることにより、受注者としての適格

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性を有しない建設業者が排除されること等の入札及び契約の適正化が図られるように配慮されな

ければならない。

9 公共工事の品質確保に当たっては、民間事業者の能力が適切に評価され、並びに入札及び契約

に適切に反映されること、民間事業者の積極的な技術提案(公共工事に関する技術又は工夫につ

いての提案をいう。以下同じ )及び創意工夫が活用されること等により民間事業者の能力が活。

用されるように配慮されなければならない。

10 公共工事の品質確保に当たっては、公共工事の受注者のみならず下請負人及びこれらの者に

使用される技術者、技能労働者等がそれぞれ公共工事の品質確保において重要な役割を果たすこ

とに鑑み、公共工事における請負契約(下請契約を含む )の当事者が各々の対等な立場におけ。

る合意に基づいて公正な契約を適正な額の請負代金で締結し、その請負代金をできる限り速やか

に支払う等信義に従って誠実にこれを履行するとともに、公共工事に従事する者の賃金その他の

労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮されなければならない。

、 ( 。 。)11 公共工事の品質確保に当たっては 公共工事に関する調査 点検及び診断を含む 以下同じ

及び設計の品質が公共工事の品質確保を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、前

各項の趣旨を踏まえ、公共工事に準じ、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を有する者

の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、及びそれらの者が十分に活用されること

等により、公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない。

(国の責務)

第4条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という )にのっとり、公共工事の品質確保の。

促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、その地域の実情を踏まえ、公共工事の品質確保の

促進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(国及び地方公共団体の相互の連携及び協力)

第6条 国及び地方公共団体は、公共工事の品質確保の促進に関する施策の策定及び実施に当たっ

ては、基本理念の実現を図るため、相互に緊密な連携を図りながら協力しなければならない。

(発注者の責務)

第7条 発注者は、基本理念にのっとり、現在及び将来の公共工事の品質が確保されるよう、公共

工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、仕様書及び設計書の作成、予

定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督及び検査並びに工

事中及び完成時の施工状況の確認及び評価その他の事務(以下「発注関係事務」という )を、。

次に定めるところによる等適切に実施しなければならない。

一 公共工事を施工する者が、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保され

るための適正な利潤を確保することができるよう、適切に作成された仕様書及び設計書に基づ

き、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を

的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること。

二 入札に付しても定められた予定価格に起因して入札者又は落札者がなかったと認める場合に

おいて更に入札に付するときその他必要があると認めるときは、当該入札に参加する者から当

該入札に係る工事の全部又は一部の見積書を徴することその他の方法により積算を行うことに

より、適正な予定価格を定め、できる限り速やかに契約を締結するよう努めること。

三 その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止す

るため、その入札金額によっては当該公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約となるお

。それがあると認められる場合の基準又は最低制限価格の設定その他の必要な措置を講ずること

四 計画的に発注を行うとともに、適切な工期を設定するよう努めること。

五 設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。以下この号において同じ )に適切に施工条件。

、 、を明示するとともに 設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合

設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合

その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い

必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと。

六 必要に応じて完成後の一定期間を経過した後において施工状況の確認及び評価を実施するよ

う努めること。

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、 、2 発注者は 公共工事の施工状況の評価に関する資料その他の資料が将来における自らの発注に

及び発注者間においてその発注に相互に、有効に活用されるよう、その評価の標準化のための措

置並びにこれらの資料の保存のためのデータベースの整備及び更新その他の必要な措置を講じな

ければならない。

3 発注者は、発注関係事務を適切に実施するため、必要な職員の配置その他の体制の整備に努め

、 。るとともに 他の発注者と情報交換を行うこと等により連携を図るように努めなければならない

(受注者の責務)

第8条 公共工事の受注者は、基本理念にのっとり、契約された公共工事を適正に実施し、下請契

約を締結するときは、適正な額の請負代金での下請契約の締結に努めなければならない。

2 公共工事の受注者(受注者となろうとする者を含む )は、契約された又は将来施工すること。

となる公共工事の適正な実施のために必要な技術的能力の向上並びに技術者、技能労働者等の育

成及び確保並びにこれらの者に係る賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に

努めなければならない。

第2章 基本方針等

(基本方針)

第9条 政府は、公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針

(以下「基本方針」という )を定めなければならない。。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 公共工事の品質確保の促進の意義に関する事項

二 公共工事の品質確保の促進のための施策に関する基本的な方針

3 基本方針の策定に当たっては、特殊法人等(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する

法律第2条第1項 に規定する特殊法人等をいう。以下同じ )及び地方公共団体の自主性に配慮。

しなければならない。

4 政府は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(基本方針に基づく責務)

第10条 各省各庁の長(財政法(昭和22年法律第34号)第20条第2項に規定する各省各庁

の長をいう 、特殊法人等の代表者(当該特殊法人等が独立行政法人(独立行政法人通則法(平。)

成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう )である場合にあって。

は、その長)及び地方公共団体の長は、基本方針に定めるところに従い、公共工事の品質確保の

促進を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(関係行政機関の協力体制)

第11条 政府は、基本方針の策定及びこれに基づく施策の実施に関し、関係行政機関による協力

体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

第3章 多様な入札及び契約の方法等

第1節 競争参加者の技術的能力の審査等

(競争参加者の技術的能力の審査)

第12条 発注者は、その発注に係る公共工事の契約につき競争に付するときは、競争に参加しよ

うとする者について、工事の経験、施工状況の評価、当該公共工事に配置が予定される技術者の

経験その他競争に参加しようとする者の技術的能力に関する事項を審査しなければならない。

(競争参加者の中長期的な技術的能力の確保に関する審査等)

第13条 発注者は、その発注に係る公共工事の契約につき競争に付するときは、当該公共工事の

性格、地域の実情等に応じ、競争に参加する者(競争に参加しようとする者を含む。以下同じ )。

について、若年の技術者、技能労働者等の育成及び確保の状況、建設機械の保有の状況、災害時

における工事の実施体制の確保の状況等に関する事項を適切に審査し、又は評価するよう努めな

ければならない。

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第2節 多様な入札及び契約の方法

(多様な入札及び契約の方法の中からの適切な方法の選択)

第14条 発注者は、入札及び契約の方法の決定に当たっては、その発注に係る公共工事の性格、

地域の実情等に応じ、この節に定める方式その他の多様な方法の中から適切な方法を選択し、又

はこれらの組合せによることができる。

(競争参加者の技術提案を求める方式)

第15条 発注者は、競争に参加する者に対し、技術提案を求めるよう努めなければならない。た

だし、発注者が、当該公共工事の内容に照らし、その必要がないと認めるときは、この限りでは

ない。

2 発注者は、前項の規定により技術提案を求めるに当たっては、競争に参加する者の技術提案に

係る負担に配慮しなければならない。

3 発注者は、競争に付された公共工事につき技術提案がされたときは、これを適切に審査し、及

び評価しなければならない。この場合において、発注者は、中立かつ公正な審査及び評価が行わ

れるようこれらに関する当事者からの苦情を適切に処理することその他の必要な措置を講ずるも

のとする。

4 発注者は、競争に付された公共工事を技術提案の内容に従って確実に実施することができない

と認めるときは、当該技術提案を採用しないことができる。

5 発注者は、競争に参加する者に対し技術提案を求めて落札者を決定する場合には、あらかじめ

その旨及びその評価の方法を公表するとともに、その評価の後にその結果を公表しなければなら

ない。ただし、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第4条から第8条までに定

める公共工事の入札及び契約に関する情報の公表がなされない公共工事についての技術提案の評

価の結果については、この限りではない。

(段階的選抜方式)

第16条 発注者は、競争に参加する者に対し技術提案を求める方式による場合において競争に参

加する者の数が多数であると見込まれるときその他必要があると認めるときは、必要な施工技術

を有する者が新規に競争に参加することが不当に阻害されることのないように配慮しつつ、当該

公共工事に係る技術的能力に関する事項を評価すること等により一定の技術水準に達した者を選

抜した上で、これらの者の中から落札者を決定することができる。

(技術提案の改善)

第17条 発注者は、技術提案をした者に対し、その審査において、当該技術提案についての改善

を求め、又は改善を提案する機会を与えることができる。この場合において、発注者は、技術提

案の改善に係る過程について、その概要を公表しなければならない。

、 。2 第15条第5項ただし書の規定は 技術提案の改善に係る過程の概要の公表について準用する

(技術提案の審査及び価格等の交渉による方式)

第18条 発注者は、当該公共工事の性格等により当該工事の仕様の確定が困難である場合におい

て自らの発注の実績等を踏まえ必要があると認めるときは、技術提案を公募の上、その審査の結

果を踏まえて選定した者と工法、価格等の交渉を行うことにより仕様を確定した上で契約するこ

とができる。この場合において、発注者は、技術提案の審査及び交渉の結果を踏まえ、予定価格

を定めるものとする。

2 発注者は、前項の技術提案の審査に当たり、中立かつ公正な審査が行われるよう、中立の立場

で公正な判断をすることができる学識経験者の意見を聴くとともに、当該審査に関する当事者か

らの苦情を適切に処理することその他の必要な措置を講ずるものとする。

3 発注者は、第1項の技術提案の審査の結果並びに審査及び交渉の過程の概要を公表しなければ

ならない。この場合においては、第15条第5項ただし書の規定を準用する。

(高度な技術等を含む技術提案を求めた場合の予定価格)

第19条 発注者は、前条第1項の場合を除くほか、高度な技術又は優れた工夫を含む技術提案を

求めたときは、当該技術提案の審査の結果を踏まえて、予定価格を定めることができる。この場

合において、発注者は、当該技術提案の審査に当たり、中立の立場で公正な判断をすることがで

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きる学識経験者の意見を聴くものとする。

(地域における社会資本の維持管理に資する方式)

第20条 発注者は、公共工事の発注に当たり、地域における社会資本の維持管理の効率的かつ持

続的な実施のために必要があると認めるときは、地域の実情に応じ、次に掲げる方式等を活用す

るものとする。

一 工期が複数年度にわたる公共工事を一の契約により発注する方式

二 複数の公共工事を一の契約により発注する方式

三 複数の建設業者により構成される組合その他の事業体が競争に参加することができることと

する方式

第3節 発注関係事務を適切に実施することができる者の活用及び発注者に対する支援等

(発注関係事務を適切に実施することができる者の活用)

第21条 発注者は、その発注に係る公共工事が専門的な知識又は技術を必要とすることその他の

理由により自ら発注関係事務を適切に実施することが困難であると認めるときは、国、地方公共

団体その他法令又は契約により発注関係事務の全部又は一部を行うことができる者の能力を活用

するよう努めなければならない。この場合において、発注者は、発注関係事務を適正に行うこと

ができる知識及び経験を有する職員が置かれていること、法令の遵守及び秘密の保持を確保でき

る体制が整備されていることその他発注関係事務を公正に行うことができる条件を備えた者を選

定するものとする。

2 発注者は、前項の場合において、契約により発注関係事務の全部又は一部を行うことができる

者を選定したときは、その者が行う発注関係事務の公正性を確保するために必要な措置を講ずる

ものとする。

3 第1項の規定により、契約により発注関係事務の全部又は一部を行う者は、基本理念にのっと

り、発注関係事務を適切に実施しなければならない。

4 国及び都道府県は、発注者を支援するため、専門的な知識又は技術を必要とする発注関係事務

を適切に実施することができる者の育成及びその活用の促進、発注関係事務を公正に行うことが

できる条件を備えた者の適切な評価及び選定に関する協力、発注者間の連携体制の整備その他の

必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(発注関係事務の運用に関する指針)

第22条 国は、基本理念にのっとり、発注者を支援するため、地方公共団体、学識経験者、民間

事業者その他の関係者の意見を聴いて、公共工事の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の

方法の選択その他の発注関係事務の適切な実施に係る制度の運用に関する指針を定めるものとす

る。

(国の援助)

第23条 国は、第21条第4項及び前条に規定するもののほか、地方公共団体が講ずる公共工事

の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保の促進その他の公共工事の品質確保の促進に関す

る施策に関し、必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。

(公共工事に関する調査及び設計の品質確保)

第24条 公共工事に関する調査又は設計の発注者は、その発注に当たり、公共工事に準じ、競争

に参加しようとする者について調査又は設計の業務の経験、当該業務に配置が予定される技術者

の経験又は有する資格その他技術的能力に関する事項を審査すること、受注者となろうとする者

に調査又は設計に関する技術又は工夫についての提案を求めることその他の当該業務の性格、地

域の実情等に応じた入札及び契約の方法を選択すること等により、その品質を確保するよう努め

なければならない。

2 公共工事に関する調査又は設計の発注者は、公共工事に準じ、業務状況の評価の標準化並びに

調査又は設計の成果及び評価に関する資料その他の資料の保存に関し、必要な措置を講ずるよう

努めなければならない。

3 国は、公共工事に関する調査及び設計に関し、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を

有する者の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、及びそれらの者が十分に活用さ

れるようにするため、これらに係る資格等の評価の在り方等について検討を加え、その結果に基

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づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則

(施行期日)

1 この法律は、平成17年4月1日から施行する。

(検討)

2 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況等について検

討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成26年6月4日法律第56号) 抄

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

(検討)

2 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の公共工事の品質確保の

促進に関する法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に

基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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○特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 (平成19年5月30日法律第66号)(抄)

(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等) 第3条 建設業者は、各基準日(毎年3月31日及び9月30日をいう。以下同じ。)において、当

該基準日前十年間に住宅を新築する建設工事の請負契約に基づき発注者に引き渡した新築住宅について、当該発注者に対する特定住宅建設瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。

2 前項の住宅建設瑕疵担保保証金の額は、当該基準日における同項の新築住宅(当該建設業者が第17条第1項に規定する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下この章及び次章において単に「住宅瑕疵担保責任保険法人」という。)と住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付した場合における当該住宅建設瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除く。以下この条において「建設新築住宅」という。)の合計戸数の別表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で、建設新築住宅の合計戸数を基礎として、新築住宅に住宅品質確保法第94条第1項に規定する瑕疵があった場合に生ずる損害の状況を勘案して政令で定めるところにより算定する額(以下この章において「基準額」という。)以上の額とする。

3 前項の建設新築住宅の合計戸数の算定に当たっては、建設新築住宅のうち、その床面積の合計が政令で定める面積以下のものは、その二戸をもって一戸とする。

4 前項に定めるもののほか、住宅を新築する建設工事の発注者と二以上の建設業者との間で締結された請負契約であって、建設業法第19条第1項の規定により特定住宅建設瑕疵担保責任の履行に係る当該建設業者それぞれの負担の割合が記載された書面が相互に交付されたものに係る建設新築住宅その他の政令で定める建設新築住宅については、政令で、第2項の建設新築住宅の合計戸数の算定の特例を定めることができる。

5 第1項の住宅建設瑕疵担保保証金は、国土交通省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第278条第1項に規定する振替債を含む。以下同じ。)をもって、これに充てることができる。

6 第1項の規定による住宅建設瑕疵担保保証金の供託は、当該建設業者の主たる事務所の最寄りの供託所にするものとする。

(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等) 第4条 前条第1項の新築住宅を引き渡した建設業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住

宅建設瑕疵担保保証金の供託及び同条第2項に規定する住宅建設瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、国土交通省令で定めるところにより、その建設業法第3条第1項の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

2 前項の建設業者が新たに住宅建設瑕疵担保保証金の供託をし、又は新たに住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結して同項の規定による届出をする場合においては、住宅建設瑕疵担保保証金の供託又は住宅建設瑕疵担保責任保険契約の締結に関する書類で国土交通省令で定めるものを添付しなければならない。

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(住宅を新築する建設工事の請負契約の新たな締結の制限) 第5条 第3条第1項の新築住宅を引き渡した建設業者は、同項の規定による供託をし、かつ、

前条第1項の規定による届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して五十日を経過した日以後においては、新たに住宅を新築する建設工事の請負契約を締結してはならない。ただし、当該基準日後に当該基準日に係る住宅建設瑕疵担保保証金の基準額に不足する額の供託をし、かつ、その供託について、国土交通省令で定めるところにより、その建設業法第3条第1項の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の確認を受けたときは、その確認を受けた日以後においては、この限りでない。

(建設業者による供託所の所在地等に関する説明) 第10条 供託建設業者は、住宅を新築する建設工事の発注者に対し、当該建設工事の請負

契約を締結するまでに、その住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅建設瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。

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○特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行規則

(平成20年3月24日国土交通省令第10号)(抄)

最終改正:平成23年3月23日国土交通省令第15号

(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等) 第5条 法第4条第1項の規定による届出は、基準日(法第3条第1項に規定する基準日をいう。

以下同じ。)から三週間以内に、別記第一号様式による届出書により行うものとする。 2 前項の届出書には、当該基準日における法第3条第1項の新築住宅のうち、当該基準日

前六月間に引き渡した新築住宅に関する事項を記載した別記第一号の二様式による一覧表を添付しなければならない。

3 法第4条第2項に規定する国土交通省令で定める書類は、次に掲げるものとする。 一 新たに供託した住宅建設瑕疵担保保証金の供託に係る供託物受入れの記載のある供

託書の写し 二 新たに法第17条第1項に規定する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下単に「住宅瑕疵

担保責任保険法人」という。)と締結した住宅建設瑕疵担保責任保険契約を証する書面

(住宅建設瑕疵担保保証金の保管替え等の届出) 第11条 供託建設業者は、法第8条第1項の住宅建設瑕疵担保保証金の保管替えがされ、

又は同条第2項の規定により住宅建設瑕疵担保保証金を供託したときは、遅滞なく、別記第五号様式による届出書に当該供託に係る供託物受入れの記載のある供託書の写しを添えて、その建設業法第3条第1項の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出るものとする。

(住宅建設瑕疵担保保証金に関する説明事項) 第13条 法第10条の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の表示 二 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令(平成19年政令第395号。

以下「令」という。)第3条第1項の建設新築住宅については、同項の書面に記載された二以上の建設業者それぞれの建設瑕疵負担割合(同項に規定する建設瑕疵負担割合をいう。以下この号において同じ。)の合計に対する当該建設業者の建設瑕疵負担割合の割合

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「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 (抄)」(平成12年5月31日法律第104号)

最終改正:平成26年6月4日法律第55号

(目的)第1条 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進

するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)第2条 この法律において「建設資材」とは、土木建築に関する工事(以下「建設工事」

という )に使用する資材をいう。。2 この法律において「建設資材廃棄物」とは、建設資材が廃棄物(廃棄物の処理及び清

掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ )となったものをいう。。

3 この法律において「分別解体等」とは、次の各号に掲げる工事の種別に応じ、それぞれ当該各号に定める行為をいう。一 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という )の全部又は一部を解体する建。

設工事(以下「解体工事」という )建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材。廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為

二 建築物等の新築その他の解体工事以外の建設工事(以下「新築工事等」という )。当該工事に伴い副次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為

4 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化」とは、次に掲げる行為であっ、 ( 。)て 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分 再生することを含む

に該当するものをいう。一 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用す

ること(建設資材廃棄物をそのまま用いることを除く )ができる状態にする行為。二 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物であって燃焼の用に供することができる

もの又はその可能性のあるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にする行為

「 」 、 、 、5 この法律において 特定建設資材 とは コンクリート 木材その他建設資材のうち建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるものとして政令で定めるものをいう。

6 この法律において「特定建設資材廃棄物」とは、特定建設資材が廃棄物となったものをいう。

7 この法律において建設資材廃棄物について「縮減」とは、焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設資材廃棄物の大きさを減ずる行為をいう。

8 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化等」とは、再資源化及び縮減をいう。

9 この法律において「建設業」とは、建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む )をいう。。

10 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいい 「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負ったものを除く )の注、 。文者をいい 「元請業者」とは、発注者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者、をいい 「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。、

11 この法律において「解体工事業」とは、建設業のうち建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業(その請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む )をいう。。

12 この法律において「解体工事業者」とは、第21条第1項の登録を受けて解体工事業を営む者をいう。

(分別解体等実施義務)第9条 特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使

用する新築工事等であって、その規模が第3項又は第4項の建設工事の規模に関する基準以上のもの(以下「対象建設工事」という )の受注者(当該対象建設工事の全部又。は一部について下請契約が締結されている場合における各下請負人を含む。以下「対象建設工事受注者」という )又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下単。に「自主施工者」という )は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなけれ。ばならない。

2 前項の分別解体等は、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保するための適切な施工方法に関する基準として主務省令で定める基準に従い、行わなければならない。

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3 建設工事の規模に関する基準は、政令で定める。4 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、特定建設資材廃棄物の再資源化等をする

ための施設及び廃棄物の最終処分場における処理量の見込みその他の事情から判断して前項の基準によっては当該区域において生じる特定建設資材廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認められる区域があるときは、当該区域について、条例で、同項の基準に代えて適用すべき建設工事の規模に関する基準を定めることができる。

「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令」(平成 年 月 日政令第 号)12 11 29 495

(最終改正 平成 年 月 日政令第 号)20 10 16 316

(建設工事の規模に関する基準)第2条 法第9条第3項の建設工事の規模に関する基準は、次に掲げるとお

りとする。一 建築物(建築基準法(昭和 年法律第 号)第2条第1号に規定す25 201る建築物をいう。以下同じ )に係る解体工事については、当該建築物(当。該解体工事に係る部分に限る )の床面積の合計が 平方メートルである。 80もの二 建築物に係る新築又は増築の工事については、当該建築物(増築の工

事にあっては、当該工事に係る部分に限る )の床面積の合計が 平方。 500メートルであるもの三 建築物に係る新築工事等(法第2条第3項第2号に規定する新築工事

等をいう。以下同じ )であって前号に規定する新築又は増築の工事に。該当しないものについては、その請負代金の額(法第9条第1項に規定する自主施工者が施工するものについては、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額。次号において同じ )。が1億円であるもの

四 建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等については、その請負代金の額が 万円であるもの500

2 解体工事又は新築工事等を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、前項に規定する基準を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない。

(対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項)第13条 対象建設工事の請負契約(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約

が締結されている場合における各下請契約を含む。以下この条において同じ )の当事。者は、建設業法(昭和24年法律第100号)第19条第1項に定めるもののほか、分

、 、別解体等の方法 解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

2 対象建設工事の請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に規定する事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

3 対象建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、当該各項の規定による措置に準ずるものとして主務省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該主務省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。

「特定建設資材に係る分別解体等に関する省令」(平成 年 月 日国土交通省令第 号)14 3 5 17

(最終改正 平成 年 月 日国土交通省令第 号)22 2 9 3

(対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項)第4条 法第13条第1項の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 分別解体等の方法二 解体工事に要する費用三 再資源化等をするための施設の名称及び所在地四 再資源化等に要する費用

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「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 (抄)」(昭和22年4月14日法律第54号)

(最終改正:平成26年6月13日法律第69号)

第1章 総則

第1条 この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支

配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の

不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な

競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の

水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な

発達を促進することを目的とする。

第2条 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者を

いう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項

又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。

○9 この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為

をいう。

一 正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をするこ

と。

イ ある事業者に対し、供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若し

くは内容を制限すること。

ロ 他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は供給に係る商品若しく

は役務の数量若しくは内容を制限させること。

二 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供

給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価

で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあ

るもの

四 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに

掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。

イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることそ

の他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。

ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手

方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該

商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照ら

して不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロに

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おいて同じ )に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入。

させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利

益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る

商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対し

て取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利

益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を

阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの

イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。

ロ 不当な対価をもつて取引すること。

ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。

ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。

ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。

ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の

事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である

場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をする

ように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。

第2章 私的独占及び不当な取引制限

第3条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

第5章 不公正な取引方法

第19条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

第20条 前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第8章第2節に

規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、契約条項の削除その他当該行

為を排除するために必要な措置を命ずることができる。

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建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準

(昭和47年4月1日公正取引委員会事務局長通達第4号)

改正 平成13年1月4日公正取引委員会事務総長通達第3号

今般、別記のとおり「建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準」を

定めたので、今後、建設業における下請代金の支払遅延等に対する独占禁止法の

適用については、この認定基準により処理されたい。

なお、この認定基準の運用にあたつては、別紙の諸点に留意されたい。

建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準

建設業の下請取引において、元請負人が行なう次に掲げる行為は不公正な取引方

法に該当するものとして取扱うものとする。

一 下請負人からその請け負つた建設工事が完了した旨の通知を受けたときに、正

当な理由がないのに、当該通知を受けた日から起算して20日以内に、その完成を

確認するための検査を完了しないこと。

二 前記一の検査によつて建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出た場

合に、下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した日以前

の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がなされているときを除き、正当な理由が

ないのに、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けないこと。

三 請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたと

きに、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請

負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出

来形部分に相応する下請代金を、正当な理由がないのに、当該支払を受けた日か

ら起算して1月以内に支払わないこと。

四 特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設

業者又は資本金額が1千万円以上の法人であるものを除く。後記五においても同

じ。)における下請代金を、正当な理由がないのに、前記二の申し出の日(特約が

なされている場合は、その一定の日。)から起算して50日以内に支払わないこと。

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五 特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金の支払につき、前記

二の申し出の日から起算して50日以内に、一般の金融機関(預金又は貯金の受

入れ及び資金の融通を業とするものをいう。)による割引を受けることが困難であ

ると認められる手形を交付することによつて、下請負人の利益を不当に害するこ

と。

六 自己の取引上の地位を不当に利用して、注文した建設工事を施工するために通

常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする下請契約を締結す

ること。

七 下請契約の締結後、正当な理由がないのに、下請代金の額を減ずること。

八 下請契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、注文した建設工事

に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを下請負

人に購入させることによつて、その利益を害すること。

九 注文した建設工事に必要な資材を自己から購入させた場合に、正当な理由がな

いのに、当該資材を用いる建設工事に対する下請代金の支払期日より早い時期

に、支払うべき下請代金の額から当該資材の対価の全部若しくは一部を控除し、

又は当該資材の対価の全部若しくは一部を支払わせることによつて、下請負人の

利益を不当に害すること。

十 元請負人が前記一から九までに掲げる行為をしている場合又は行為をした場合

に、下請負人がその事実を公正取引委員会、国土交通大臣、中小企業庁長官又

は都道府県知事に知らせたことを理由として、下請負人に対し、取引の量を減じ、

取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。

〔備考〕 この認定基準において使用する用語の意義については、次のとおりとする。

1 「建設工事」とは、土木建築に関する工事で建設業法(昭和24年法律第100

号)第2条第1項別表の上欄に掲げるものをいう。

2 「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設

工事の完成を請け負う営業をいう。

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3 「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建

設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結させる請負契

約をいう。

4 「元請負人」とは、下請契約における注文者である建設業者であつて、その取引

上の地位が下請負人に対して優越しているものをいう。

5 「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

6 「特定建設業者」とは、建設業法第3条第1項第2号に該当するものであつて、同

項に規定する許可を受けた者をいう。

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〔別紙〕

1 検査期間について

これは、工事完成後、元請負人が検査を遅延することは、下請負人に必要以上

に管理責任を負わせることになるばかりでなく、下請代金の支払遅延の原因とも

なるので、工事完成の通知を受けた日から起算して二十日以内に確認検査を完了

しなければならないこととしたものである。ただし、二十日以内に確認検査ができな

い正当な理由がある場合には適用されない。

例えば、風水害等不可抗力により検査が遅延する場合、あるいは、下請契約の

当事者以外の第三者の検査を要するため、やむを得ず遅延することが明らかに認

められる場合等は正当な理由があるといえよう。

2 工事目的物の引取りについて

これは、確認検査後、下請負人から工事目的物の引渡しを申し出たにもかかわ

らず、元請負人が引渡しを受けないことは、下請負人に検査後もさらに管理責任

を負わせることとなるので、特約がない限り、直ちに引渡しを受けなければならない

こととしたものである。ただし、引渡しを受けられない正当な理由がある場 合には

適用されない。

例えば、検査完了から引渡し申し出の間において、下請負人の責に帰すべき破

損、汚損等が発生し、引渡しを受けられないことが明らかに認められる場合等は正

当な理由があるといえよう。

3 注文者から支払を受けた場合の下請代金の支払について

これは、元請負人が注文者から請負代金の一部または全部を出来形払または

竣工払として支払を受けたときは、下請負人に対し、支払を受けた出来形に対する

割合および下請負人が施行した出来形部分に応じて、支払を受けた日から起算し

て一月以内に下請代金を支払わなければならないこととしたものである(元請負

人が前払金の支払を受けたときは、その限度において当該前払金が各月の当該

工事の出来形部分に対する支払に順次充てられるものとみなす。)ただし、一月以

内に支払うことができない正当な理由がある場合には適用されない。

例えば、不測の事態が発生したため、支払が遅延することに真にやむを得ない

と明らかに認められる理由がある場合等は正当な理由があるといえよう。

なお、認定基準三の下請負人に対する下請代金の「支払」とは、現金またはこ

れに準ずる確実な支払手段で支払うことをいう。したがつて、元請負人が手形で支

払う場合は、注文者から支払を受けた日から起算して一月以内に、一般の金融機

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関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とするものをいう。)で割引を受け

ることができると認められる手形でなければならない。

また、元請負人が請負代金を一般の金融機関で割引を受けることが困難な手

形で受けとつた場合は、その手形が一般の金融機関で割引を受けることができる

と認められるものとなつたときに支払を受けたものとみなす。

4 特定建設業者の下請代金の支払について

これは、特定建設業者が元請負人となつた場合の下請負人に対する下請代金

は、下請負人から工事目的物の引渡し申し出のあつた日から起算して五十日以内

に 支払わなければならないこととしたものである。ただし、五十日以内に支払うこ

とができない正当な理由がある場合には適用されない。

例えば、不測の事態が発生したため、支払が遅延することに真にやむを得ない

と明らかに認められる理由がある場合等は正当な理由があるといえよう。

なお、認定基準三との関係は、下請負人に対する下請代金の支払期限が、認

定基準三による場合と認定基準四による場合といずれが早く到達するかによつて

決まるのであり、認定基準三による方が早くなつた場合には認定基準四は適用さ

れないこととなる。

5 交付手形の制限について

これは、特定建設業者が元請負人となつた場合の下請代金の支払につき、手

形を交付するときは、その手形は現金による支払と同等の効果を期待できるもの、

すなわち、下請負人が工事目的物の引渡しを申し出た日から五十日以内に一般

の金融機関で割引を受けることができると認められる手形でなければならないこと

としたものである。

割引を受けられるか否かは、振出人の信用、割引依頼人の信用、手形期間、

割引依頼人の割引枠等により判断することとなろう。

6 不当に低い請負代金について

これは、元請負人が取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原

価に満たない金額を請負代金の額とする下請契約を締結してはならないこととした

ものである。

認定基準六でいう原価は、直接工事費のほか、間接工事費、現場経費および

一般管理費は含むが、利益は含まない。

7 不当減額について

これは、元請負人は下請契約において下請代金を決定した後に、その代金の額

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を減じてはならないこととしたものである。これには、下請契約の締結後、元請負人

が原価の上昇をともなうような工事内容の変更をしたのに、それに見合つた下請代

金の増額をしない等実質的に下請代金の額を減じることとなる場合も含まれる。た

だし、下請代金の額を減ずることに正当な理由がある場合には適用されない。

例えば、工事目的物の引渡しを受けた後に、瑕疵が判明し、その瑕疵が下請負

人の責に帰すべきものであることが明らかに認められる場合等は正当な理由があ

るといえよう。

8 購入強制について

これは、元請負人が取引上の地位を不当に利用して、資材、機械器具またはこ

れらの購入先を指定し、購入させてはならないこととしたものである。

例えば、契約内容からみて、一定の品質の資材を当然必要とするのに、下請負

人がこれより劣つた品質の資材を使用しようとしていることが明らかになつたとき、

元請負人が一定の品質の資材を指定し、購入させることがやむを得ないと認めら

れる場合等は不当とはいえないであろう。

9 早期決済について

これは、元請負人が工事用資材を有償支給した場合に、当該資材の対価を、当

該資材を用いる建設工事下請代金の支払期日より以前に、支払うべき下請代金の

額から控除し、または支払わせることは、下請負人の資金繰りないし経営を不当に

圧迫するおそれがあるので、当該資材の対価は、当該資材を用いる建設工事の下

請代金の支払期日でなければ、支払うべき下請代金の額から控除し、または支払

わせてはならないこととしたものである。ただし、早期決済することに正当な理由が

ある場合には適用されない。

例えば、下請負人が有償支給された資材を他の工事に使用したり、あるいは、

転売してしまつた場合等は正当な理由があるといえよう。

10 報復措置について

これは、取引上の地位が元請負人に対して劣つている下請負人が、元請負人

の報復措置を恐れて申告できないこととなる事態も考えられるので、元請負人が認

定基準に該当する行為をした場合に、下請負人がその事実を公正取引委員会、国

土交通大臣、中小企業庁長官または都道府県知事に知らせたことを理由として、

下請負人に対し取引停止等の不利益な取扱いをしてはならないこととしたものであ

る。

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建設業法令遵守ガイドライン(第4版)

- 元請負人と下請負人の関係に係る留意点 -

国土交通省土地・建設産業局建設業課

平 成 2 6 年 1 0 月

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目 次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1.見積条件の提示・・・・・・・・・・・・・2

(建設業法第20条第3項)

2.書面による契約締結

2-1 当初契約・・・・・・・・・・・・・4

(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)

2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約・・8

(建設業法第19条第2項、第19条の3)

2-3 工期変更に伴う変更契約・・・・・・10

(建設業法第19条第2項、第19条の3)

3.不当に低い請負代金・・・・・・・・・・・12

(建設業法第19条の3)

4.指値発注・・・・・・・・・・・・・・・・14

(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

5.不当な使用資材等の購入強制・・・・・・・16

(建設業法第19条の4)

6.やり直し工事・・・・・・・・・・・・・・18

(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)

7.赤伝処理・・・・・・・・・・・・・・・・20

(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)

8.工期・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

(建設業法第19条第2項、第19条の3)

9.支払保留・・・・・・・・・・・・・・・・25

(建設業法第24条の3、第24条の5)

10.長期手形・・・・・・・・・・・・・・・・27

(建設業法第24条の5第3項)

11.帳簿の備付け・保存及び

営業に関する図書の保存・・・・・・・・・28

(建設業法第40条の3)

12.関係法令

12-1 独占禁止法との関係について・・・・31

12-2 社会保険・労働保険について・・・・32

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12-3 労働災害防止対策について・・・・・33

関連条文・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

「建設業法」(抄)・・・・・・・・・・・・・ 36

「建設工事標準下請契約約款」・・・・・・・・44

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(抄)

・・・・・・・・・・・・・ 62

「建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準」

・・・・・・・・・・・・・ 62

「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」

・・・・・・・・・・・・・ 67

「労働安全衛生法」(抄)・・・・・・・・・・ 69

「元方事業者による建設現場安全管理指針」(抄)

・・・・・・・・・・・・・ 75

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- 1 -

建設業法令遵守ガイドライン

はじめに

建設産業は、激しい競争の時代に突入し、過剰供給構造にある建設業にとって、

適正な競争を通じて、技術と経営に優れた企業が生き残り伸びていくことが求め

られています。しかしながら、建設業においては、従来から、適切な施工能力を

有しない、いわゆるペーパーカンパニーなどの不良・不適格業者の存在を始め、

一括下請負、技術者の不専任、不適正な元請下請関係等の法令違反が問題となっ

ています。このような状況下で、建設業に対する国民の信頼の回復、建設業の魅

力の向上のため、建設業者が法令遵守を徹底することが求められております。

既に、一括下請負、技術者の不専任については「一括下請負の禁止について(平

成4年12月17日建設省経建発第379号)」及び「監理技術者制度運用マニ

ュアルについて(平成16年3月1日国総建第315号)」が定められていると

ころですが、不当に低い請負代金、指値発注、赤伝処理等の不適正な元請下請関

係については、どのような行為が法令に違反するかを示した通達等が定められて

おらず、違法であるという認識のないまま法令違反行為が繰り返されている可能

性があります。

本ガイドラインは、元請負人と下請負人との間で交わされる下請契約が発注者

と元請負人が交わす請負契約と同様に建設業法(昭和24年法律第100号)に

基づく請負契約であり、契約を締結する際は、建設業法に従って契約をしなけれ

ばならないことや、また、元請負人と下請負人との関係に関して、どのような行

為が建設業法に違反するかを具体的に示すことにより、法律の不知による法令違

反行為を防ぎ、元請負人と下請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取

引の実現を図ることを目的としています。

なお、本ガイドラインについては、できるだけ多くの事例を対象にすることを

考えており、今後、随時更新を重ね、充実させることとしています。

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1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請負人に見積りを

行わせた場合

②元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人

が、未回答あるいは曖昧な回答をした場合

【建設業法上違反となる行為事例】

③元請負人が予定価格が 700 万円の下請契約を締結する際、見積期間を3日として下

請負人に見積りを行わせた場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第20条第3項に違反するお

それがあり、③のケースは同項に違反する。

建設業法第20条第3項では、元請負人は、下請契約を締結する以前に、下記(1)

に示す具体的内容を下請負人に提示し、その後、下請負人が当該下請工事の見積り

をするために必要な一定の期間を設けることが義務付けられている。これは、下請

契約が適正に締結されるためには、元請負人が下請負人に対し、あらかじめ、契約

の内容となるべき重要な事項を提示し、適正な見積期間を設け、見積落し等の問題

が生じないよう検討する期間を確保し請負代金の額の計算その他請負契約の締結に

関する判断を行わせることが必要であることを踏まえたものである。

(1)見積条件の提示に当たっては下請契約の具体的内容を提示することが必要

建設業法第20条第3項により、元請負人が下請負人に対して具体的内容を提示し

なければならない事項は、同法第19条により請負契約書に記載することが義務付け

られている事項(工事内容、工事着手及び工事完成の時期、前金払又は出来形部分に

対する支払の時期及び方法等(4ページ「2-1 当初契約」参照))のうち、請負代

金の額を除くすべての事項となる。

見積りを適正に行うという建設業法第20条第3項の趣旨に照らすと、例えば、上

記のうち「工事内容」に関し、元請負人が最低限明示すべき事項としては、

① 工事名称

② 施工場所

③ 設計図書(数量等を含む)

④ 下請工事の責任施工範囲

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⑤ 下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程

⑥ 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項

⑦ 施工環境、施工制約に関する事項

⑧ 材料費、労働災害防止対策、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区

分に関する事項

が挙げられ、元請負人は、具体的内容が確定していない事項についてはその旨を明

確に示さなければならない。

施工条件が確定していないなどの正当な理由がないにもかかわらず、元請負人が、

下請負人に対して、契約までの間に上記事項等に関し具体的な内容を提示しない場合に

は、建設業法第20条第3項に違反する。

(2)望ましくは、下請契約の内容は書面で提示すること、更に作業内容を明

確にすること

元請負人が見積りを依頼する際は、下請負人に対し工事の具体的な内容について、

口頭ではなく、書面によりその内容を示すことが望ましく、更に、元請負人は、「施

工条件・範囲リスト」(建設生産システム合理化推進協議会作成)に提示されてい

るように、材料、機器、図面・書類、運搬、足場、養生、片付、安全などの作業内

容を明確にしておくことが望ましい。

(3)予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要

建設業法第20条第3項により、元請負人は以下のとおり下請負人が見積りを

行うために必要な一定の期間(建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第

6条)を設けなければならない。

ア 工事1件の予定価格が 500 万円に満たない工事については、1日以上

イ 工事1件の予定価格が 500 万円以上 5,000 万円に満たない工事については、

10日以上

ウ 工事1件の予定価格が 5,000 万円以上の工事については、15日以上

上記期間は、下請負人に対する契約内容の提示から当該契約の締結までの間に

設けなければならない期間である。そのため、例えば、6月1日に契約内容の提

示をした場合には、アに該当する場合は6月3日、イに該当する場合は6月12

日、ウに該当する場合は6月17日以降に契約の締結をしなければならない。た

だし、やむを得ない事情があるときは、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮

することができる。

なお、上記の見積期間は、下請負人が見積りを行うための最短期間であり、元

請負人は下請負人に対し十分な見積期間を設けることが望ましい。

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2.書面による契約締結

2-1 当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

①下請工事に関し、書面による契約を行わなかった場合

②下請工事に関し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を

交付した場合

③元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手

し、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合

上記①から③のケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反する。

(1)契約は下請工事の着工前に書面により行うことが必要

建設工事の請負契約の当事者である元請負人と下請負人は、対等な立場で契約

すべきであり、建設業法第19条第1項により定められた下記(2)の①から⑭

までの14の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなけれ

ばならないこととなっている。

契約書面の交付については、災害時等でやむを得ない場合を除き、原則として

下請工事の着工前に行わなければならない。

建設業法19条第1項において、建設工事の請負契約の当事者に、契約の締結

に際して契約内容を書面に記載し相互に交付すべきことを求めているのは、請負

契約の明確性及び、正確性を担保し、紛争の発生を防止するためである。また、

あらかじめ契約の内容を書面により明確にしておくことは、いわゆる請負契約の

「片務性」の改善に資することともなり、極めて重要な意義がある。

(2)契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要

契約書面に記載しなければならない事項は、以下の①~⑭の事項である。特に、

「① 工事内容」については、下請負人の責任施工範囲、施工条件等が具体的に

記載されている必要があるので、○○工事一式といった曖昧な記載は避けるべき

である。

① 工事内容

② 請負代金の額

③ 工事着手の時期及び工事完成の時期

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④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをする

ときは、その支払の時期及び方法

⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは

一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は

損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法

に関する定め

⑦ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等

をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する

定め

⑨ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与す

るときは、その内容及び方法に関する定め

⑩ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並

びに引渡しの時期

⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき

保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金

その他の損害金

⑭ 契約に関する紛争の解決方法

(3)注文書・請書による契約は一定の要件を満たすことが必要

注文書・請書による請負契約を締結する場合は、次に掲げる場合に応じた要件

を満たさなければならない。

ア 当事者間で基本契約書を取り交わした上で、具体の取引については注文書及

び請書の交換による場合

① 基本契約書には、建設業法第19条第1項第4号から第14号に掲げる事

項(上記(2)の④から⑭までの事項。ただし、注文書及び請書に個別に記

載される事項を除く。)を記載し、当事者の署名又は記名押印をして相互に

交付すること。

② 注文書及び請書には、建設業法第19条第1項第1号から第3号までに掲

げる事項(上記(2)の①から③までの事項)その他必要な事項を記載する

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こと。

③ 注文書及び請書には、それぞれ注文書及び請書に記載されている事項以外

の事項については基本契約書の定めによるべきことが明記されていること。

④ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印するこ

と。

イ 注文書及び請書の交換のみによる場合

① 注文書及び請書のそれぞれに、同一の内容の契約約款を添付又は印刷する

こと。

② 契約約款には、建設業法第19条第1項第4号から第14号に掲げる事項

(上記(2)の④から⑭までの事項。ただし、注文書及び請書に個別に記載

される事項を除く。)を記載すること。

③ 注文書又は請書と契約約款が複数枚に及ぶ場合には、割印を押すこと。

④ 注文書及び請書の個別的記載欄には、建設業法第19条第1項第1号から

第3号までに掲げる事項(上記(2)の①から③までの事項)その他必要な

事項を記載すること。

⑤ 注文書及び請書の個別的記載欄には、それぞれの個別的記載欄に記載され

ている事項以外の事項については契約約款の定めによるべきことが明記され

ていること。

⑥ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印するこ

と。

(4)電子契約によることも可能

書面契約に代えて、CI-NET等による電子契約も認められる。その場合で

も上記(2)の①~⑭の事項を記載しなければならない。

(5)建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を持つ契約書による

契約が基本

建設業法第18条では、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場

における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行し

なければならない」と規定している。建設工事の下請契約の締結に当たっては、

同条の趣旨を踏まえ、建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を持つ

契約書による契約を締結することが基本である。

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(6)片務的な内容による契約は、建設業法上不適当

元請負人と下請負人の双方の義務であるべきところを下請負人に一方的に義務

を課すものや、元請負人の裁量の範囲が大きく、下請負人に過大な負担を課す内

容など、建設工事標準下請契約約款に比べて片務的な内容による契約については、

結果として建設業法第19条の3により禁止される不当に低い請負代金(12ペ

ージ「3.不当に低い請負代金」参照)につながる可能性が高い契約となるので、

適当ではない。

また、発注者と元請負人の関係において、例えば、発注者が契約変更に応じな

いことを理由として、下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下

請負人に追加工事等の費用を負担させることは、元請負人としての責任を果たし

ているとはいえず、元請負人は発注者に対して発注者が契約変更等、適切な対応

をとるよう働きかけを行うことが望ましい。

(7)一定規模以上の解体工事等の場合は、契約書面にさらに以下の事項の記

載が必要

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。

以下「建設リサイクル法」という。)第13条では、一定規模*以上の解体工事等

に係る下請契約を行う場合に、以下の①から④までの4事項を書面に記載し、署

名又は記名押印をして相互に交付しなければならないこととなっており、そのよ

うな工事に係る契約書面は上記(2)の①から⑭までの14事項に加え、以下の

4事項の記載が必要となる。

① 分別解体等の方法

② 解体工事に要する費用

③ 再資源化等をするための施設の名称及び所在地

④ 再資源化等に要する費用

*「一定規模」とは、次のそれぞれの規模をいう

ア 建築物に係る解体工事…当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が

80 平方メートル

イ 建築物に係る新築又は増築の工事…当該建築物(増築の工事にあっては、当該工事に係る部分に

限る。)の床面積の合計が 500 平方メートル

ウ 建築物に係る新築工事等(上記イを除く)…その請負代金の額が1億円

エ 建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等…その請負代金の額が 500 万円

注 解体工事又は新築工事等を二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で

請け負ったものとみなして、前項に規定する基準を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約

を分割したときは、この限りでない。

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2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

①下請工事に関し追加工事又は変更工事(以下、「追加工事等」という。)が発生した

が、元請負人が書面による変更契約を行わなかった場合

②下請工事に係る追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書

面により契約変更を行った場合

③下請負人に対して追加工事等の施工を指示した元請負人が、発注者との契約変更手

続が未了であることを理由として、下請契約の変更に応じなかった場合

④下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請工事の工期が当初契約

の工期より短くなり、残された工期内に工事を完了させるため労働者の増員等が必

要となった場合に、下請負人との協議にも応じず、元請負人の一方的な都合により

変更の契約締結を行わなかった場合

上記①から④のケースは、いずれも建設業法第19条第2項に違反するほ

か、必要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれ

がある。

(1)追加工事等の着工前に書面による契約変更が必要

請負契約の当事者である元請負人と下請負人は、追加工事等の発生により請負

契約の内容で当初の請負契約書に掲げる事項を変更するときは、建設業法第19

条第2項により、当初契約を締結した際と同様に追加工事等の着工前にその変更

の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない

こととなっている。これは、当初契約書において契約内容を明定しても、その後

の変更契約が口約束で行われれば、当該変更契約の明確性及び正確性が担保され

ず、紛争を防止する観点からも望ましくないためであり、災害時等でやむを得な

い場合を除き、原則として追加工事等の着工前に契約変更を行うことが必要であ

る。

元請負人及び下請負人が追加工事等に関する協議を円滑に行えるよう、下請工

事の当初契約において、建設業法第19条第1項第5号に掲げる事項(当事者の

一方から設計変更等の申し出があった場合における工期の変更、請負代金の額の

変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め)について、できる

限り具体的に定めておくことが望ましい。

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(2)追加工事等の内容が直ちに確定できない場合の対応

工事状況により追加工事等の全体数量等の内容がその着工前の時点では確定で

きない等の理由により、追加工事等の依頼に際して、その都度追加・変更契約を

締結することが不合理な場合は、元請負人は、以下の事項を記載した書面を追加

工事等の着工前に下請負人と取り交わすこととし、契約変更等の手続については、

追加工事等の全体数量等の内容が確定した時点で遅滞なく行うものとする。

① 下請負人に追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容

② 当該追加工事等が契約変更の対象となること及び契約変更等を行う時期

③ 追加工事等に係る契約単価の額

(3)元請負人が合理的な理由なく下請工事の契約変更を行わない場合は建設

業法に違反

追加工事等が発生しているにもかかわらず、例えば、元請負人が発注者との間

で追加・変更契約を締結していないことを理由として、下請負人からの追加・変

更契約の申出に応じない行為等、元請負人が合理的な理由もなく一方的に変更契

約を行わない行為については、建設業法第19条第2項に違反する。

(4)追加工事等の費用を下請負人に負担させることは、建設業法第19条の

3に違反するおそれ

追加工事等を下請負人の負担により施工させたことにより、下請代金の額が当

初契約工事及び追加工事等を施工するために「通常必要と認められる原価」(1

2ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満たない金額となる場合には、当

該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請

負代金の禁止に違反するおそれがある。

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2-3 工期変更に伴う変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請工事の当初契約で定め

た工期が変更になり、下請工事の費用が増加したが、元請負人が下請負人からの協

議に応じず、書面による変更契約を行わなかった場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項に違反するほか、必要な増額を

行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。

(1)工期変更にかかる工事の着工前に書面による契約変更が必要

請負契約の当事者である元請負人と下請負人は、工期変更により請負契約で当

初の請負契約書に掲げる事項を変更するときは、建設業法第19条第2項により、

当初契約を締結した際と同様に工期変更にかかる工事の着工前にその変更の内容

を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

元請負人及び下請負人が工期変更に関する協議を円滑に行えるよう、下請工事

の当初契約において、建設業法第19条第1項第5号に掲げる事項(当事者の一

方から工事着手の延期等の申し出があった場合における工期の変更、請負代金の

額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め)について、で

きる限り具体的に定めておくことが望ましい。

(2)工事に着手した後に工期が変更になった場合、追加工事等の内容及び変

更後の工期が直ちに確定できない場合の対応

下請工事に着手した後に工期が変更になった場合は、契約変更等の手続きにつ

いては、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく行うものとする。工期を変更す

る必要があると認めるに至ったが、変更後の工期の確定が直ちにできない場合に

は、工期の変更が契約変更等の対象となること及び契約変更等を行う時期を記載

した書面を、工期を変更する必要があると認めた時点で下請負人と取り交わすこ

ととし、契約変更等の手続については、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく

行うものとする。

(3)下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、

これに起因して下請工事の費用が増加したが、元請負人が下請工事の変更

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を行わない場合は建設業法違反

下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、これ

に起因して下請工事の費用が増加したにもかかわらず、例えば、元請負人が発注

者から増額変更が認められないことを理由として、下請負人からの契約変更の申

し出に応じない行為等、必要な変更契約を行わない行為については、建設業法第

19条第2項に違反する。

(4)下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、

これに起因して下請工事の費用が増加した場合に、費用の増加分について

下請負人に負担させることは、建設業法第19条の3に違反するおそれ

下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、これ

に起因して下請工事の費用が増加した場合に、費用の増加分について下請負人に

負担させたことにより、下請代金の額が下請工事を施工するために「通常必要と

認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満たない金

額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19

条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

(5)追加工事等の発生に起因する工期変更の場合の対応

工事現場においては、工期の変更のみが行われる場合のほか、追加工事等の発

生に起因して工期の変更が行われる場合が多いが、追加工事等の発生が伴う場合

には、(1)から(4)のほか、追加工事等に伴う追加・変更契約に関する記述

が該当する(8ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」参照)。

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3.不当に低い請負代金(建設業法第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、

下請負人による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合

②元請負人が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可

能性がある旨を示唆して、下請負人との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請

契約を締結した場合

③元請負人が、下請代金の増額に応じることなく、下請負人に対し追加工事を施工さ

せた場合

④元請負人が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

上記①から④のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそ

れがある。

(1)「不当に低い請負代金の禁止」の定義

建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」とは、注文者が、自己

の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常

必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を請負人と

締結することを禁止するものである。

元請下請間における下請契約では、元請負人が「注文者」となり、下請負人が

「請負人」となる。

(2)「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある元

請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること

建設業法第19条の3の「自己の取引上の地位を不当に利用して」とは、取引

上優越的な地位にある元請負人が、下請負人の指名権、選択権等を背景に、下請

負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いることをいう。

ア 取引上の優越的な地位

取引上優越的な地位にある場合とは、下請負人にとって元請負人との取引の

継続が困難になることが下請負人の事業経営上大きな支障をきたすため、元請

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負人が下請負人にとって著しく不利益な要請を行っても、下請負人がこれを受

け入れざるを得ないような場合をいう。取引上優越的な地位に当たるか否かに

ついては、元請下請間の取引依存度等により判断されることとなるため、例え

ば下請負人にとって大口取引先に当たる元請負人については、取引上優越的な

地位に該当する蓋然性が高いと考えられる。

イ 地位の不当利用

元請負人が、下請負人の指名権、選択権等を背景に、下請負人を経済的に不

当に圧迫するような取引等を強いたか否かについては、下請代金の額の決定に

当たり下請負人と十分な協議が行われたかどうかといった対価の決定方法等に

より判断されるものであり、例えば下請負人と十分な協議を行うことなく元請

負人が価格を一方的に決定し当該価格による取引を強要する指値発注(14ペ

ージ「4.指値発注」参照)については、元請負人による地位の不当利用に当

たるものと考えられる。

(3)「通常必要と認められる原価」とは、工事を施工するために一般的に必

要と認められる価格

建設業法第19条の3の「通常必要と認められる原価」とは、当該工事の施工

地域において当該工事を施工するために一般的に必要と認められる価格(直接工

事費、共通仮設費及び現場管理費よりなる間接工事費、一般管理費(利潤相当額

は含まない。)の合計額)をいい、具体的には、下請負人の実行予算や下請負人

による再下請先、資材業者等との取引状況、さらには当該地域の施工区域におけ

る同種工事の請負代金額の実例等により判断することとなる。(併せて、32ペ

ージ「12-2 社会保険・労働保険について」及び33ページ「12-3 労働災害防

止対策について」参照)

(4)建設業法第19条の3は契約変更にも適用

建設業法第19条の3により禁止される行為は、当初契約の締結に際して、不

当に低い請負代金を強制することに限られず、契約締結後元請負人が原価の上昇

を伴うような工事内容の変更をしたのに、それに見合った下請代金の増額を行わ

ないことや、一方的に下請代金を減額することにより原価を下回ることも含まれ

る。

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4.指値発注(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一

方的に提供、又は貸与した安全衛生保護具等に係る費用、下請代金の額を決定し、

その額で下請契約を締結した場合

②元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下

回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合

③元請負人が下請負人に対して、複数の下請負人から提出された見積金額のうち最も

低い額を一方的に下請代金の額として決定し、その額で下請契約を締結した場合

【建設業法上違反となる行為事例】

④元請下請間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事

を着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じ

ることなく下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合

⑤元請負人が、下請負人が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額

を下請負人に提示し、下請契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を

締結した場合

上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそ

れがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。また、

④のケースは同法第19条第1項に違反し、⑤のケースは同法第20条第3

項に違反する。

元請負人が下請負人との請負契約を交わす際、下請負人と十分な協議をせず又は

下請負人の協議に応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請

負人に提示(指値)し、その額で下請負人に契約を締結させる、指値発注は、建設

業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づ

いて公正な契約を締結する。)を没却するものである。

(1)指値発注は建設業法に違反するおそれ

指値発注は、元請負人としての地位の不当利用に当たるものと考えられ、下請

代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(12ペー

ジ「3.不当に低い請負代金」参照)に満たない金額となる場合には、当該元請

下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金

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の禁止に違反するおそれがある。

元請負人が下請負人に対して示した工期が、通常の工期に比べて著しく短いな

ど厳しい工期である場合には、下請工事を施工するために「通常必要と認められ

る原価」は、元請負人が示した厳しい工期で下請工事を完成させることを前提と

して算定されるべきである。

元請負人が、通常の工期を前提とした下請代金の額で指値をした上で厳しい工

期で下請工事を完成させることにより、下請代金の額がその工事を施工するため

に「通常必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)

を下回る場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

また、下請負人が元請負人が指値した額で下請契約を締結するか否かを判断す

る期間を与えることなく、回答を求める行為については、建設業法第20条第3

項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する(2ページ「1.見積条件の

提示」参照)。

さらに、元請下請間において請負代金の額の合意が得られず、このことにより

契約書面の取り交わしが行われていない段階で、元請負人が下請負人に対し下請

工事の施工を強要し、その後に下請代金の額を元請負人の指値により一方的に決

定する行為は、建設業法第19条第1項に違反する(4ページ「2.書面による

契約締結」参照)。

なお、上記に該当しない場合についても、指値発注は、その情状によっては、

建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実な行為に該当するおそ

れがある。

(2)元請負人は、指値発注により下請契約を締結することがないよう留意す

ることが必要

下請契約の締結に当たり、元請負人が契約額を提示する場合には、自らが提示

した額の積算根拠を明らかにして下請負人と十分に協議を行うなど、指値発注に

より下請契約を締結することがないよう留意すべきである。

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5.不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①下請契約の締結後に、元請負人が下請負人に対して、下請工事に使用する資材又は

機械器具等を指定、あるいはその購入先を指定した結果、下請負人は予定していた

購入価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合

②下請契約の締結後、元請負人が指定した資材等を購入させたことにより、下請負人

が既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面における損

害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係が悪化

した場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第19条の4に違反するおそ

れがある。

(1)「不当な使用資材等の購入強制」の定義

建設業法第19条の4で禁止される「不当な使用資材等の購入強制」とは、請

負契約の締結後に「注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、請負人に

使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入

させて、その利益を害すること」である。

元請下請間における下請契約では、元請負人が「注文者」となり、下請負人が

「請負人」となる。

(2)建設業法第19条の4は、下請契約の締結後の行為が規制の対象

「不当な使用資材等の購入強制」が禁止されるのは、下請契約の締結後におけ

る行為に限られる。これは、元請負人の希望するものを作るのが建設工事の請負

契約であるから、下請契約の締結に当たって、元請負人が、自己の希望する資材

等やその購入先を指定することは、当然のことであり、これを認めたとしても下

請負人はそれに従って適正な見積りを行い、適正な下請代金で契約を締結するこ

とができるため、下請負人の利益は何ら害されるものではないからである。

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(3)「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある元

請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること

「自己の取引上の地位を不当に利用して」とは、取引上優越的な地位にある元

請負人が、下請負人の指名権、選択権等を背景に、下請負人を経済的に不当に圧

迫するような取引等を強いることをいう(12ページ「3.不当に低い請負代金」

参照)。

(4)「資材等又はこれらの購入先の指定」とは、商品名又は販売会社を指定

すること

「請負人に使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを

請負人に購入させて」とは、元請負人が下請工事の使用資材等について具体的に

○○会社○○型というように会社名、商品名等を指定する場合又は購入先となる

販売会社等を指定する場合をいう。

(5)「請負人の利益を害する」とは、金銭面及び信用面において損害を与え

ること

「その利益を害する」とは、資材等を指定して購入させた結果、下請負人が予

定していた資材等の購入価格より高い価格で購入せざるを得なかった場合、ある

いは既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面におけ

る損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係

が極度に悪化した場合等をいう。

したがって、元請負人が指定した資材等の価格の方が下請負人が予定していた

購入価格より安く、かつ、元請負人の指定により資材の返却等の問題が生じない

場合には、下請負人の利益は害されたことにはならない。

(6)元請負人が使用資材等の指定を行う場合には、見積条件として提示する

ことが必要

使用資材等について購入先等の指定を行う場合には、元請負人は、あらかじめ

見積条件としてそれらの項目を提示する必要がある。

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6.やり直し工事(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し

工事を下請負人に行わせ、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項、第19条の3に違反するおそ

れがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。

(1)やり直し工事を下請負人に依頼する場合は、やり直し工事が下請負人の

責めに帰すべき場合を除き、その費用は元請負人が負担することが必要

元請負人は下請工事の施工に関し下請負人と十分な協議を行い、また、明確な

施工指示を行うなど、下請工事のやり直し(手戻り)が発生しない施工に努める

ことはもちろんであるが、やむを得ず、下請工事の施工後に、元請負人が下請負

人に対して工事のやり直しを依頼する場合には、やり直し工事が下請負人の責め

に帰すべき理由がある場合を除き、当該やり直し工事に必要な費用は元請負人が

負担する必要がある。

(2)下請負人の責めに帰さないやり直し工事を下請負人に依頼する場合は、

契約変更が必要

下請負人の責めに帰すべき理由がないのに、下請工事の施工後に、元請負人が

下請負人に対して工事のやり直しを依頼する場合にあっては、元請負人は速やか

に当該工事に必要となる費用について元請下請間で十分に協議した上で、契約変

更を行う必要があり、元請負人が、このような契約変更を行わず、当該やり直し

工事を下請負人に施工させた場合には、建設業法第19条第2項に違反する(8

ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」参照)。

(3)下請負人の一方的な費用負担は建設業法に違反するおそれ

下請負人の責めに帰すべき理由がないのに、その費用を一方的に下請負人に負

担させるやり直し工事によって、下請代金の額が、当初契約工事及びやり直し工

事を施工するために「通常必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低

い請負代金」参照)に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存

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度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反する

おそれがある。

また、上記建設業法第19条第2項及び第19条の3に違反しない場合であっ

ても、やり直し工事により、元請負人が下請負人の利益を不当に害した場合には、

その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実

な行為に該当するおそれがある。

(4)下請負人の責めに帰すべき理由がある場合とは、下請負人の施工が契約

書面に明示された内容と異なる場合又は下請負人の施工に瑕疵等がある場

下請負人の責めに帰すべき理由があるとして、元請負人が費用を全く負担する

ことなく、下請負人に対して工事のやり直しを求めることができるのは、下請負

人の施工が契約書面に明示された内容と異なる場合又は下請負人の施工に瑕疵等

がある場合に限られる。なお、次の場合には、元請負人が費用の全額を負担する

ことなく、下請負人の施工が契約書面と異なること又は瑕疵等があることを理由

としてやり直しを要請することは認められない。

ア 下請負人から施工内容等を明確にするよう求めがあったにもかかわらず、元

請負人が正当な理由なく施工内容等を明確にせず、下請負人に継続して作業を

行わせ、その後、下請工事の内容が契約内容と異なるとする場合

イ 施工内容について下請負人が確認を求め、元請負人が了承した内容に基づき

下請負人が施工したにもかかわらず、下請工事の内容が契約内容と異なるとす

る場合

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7.赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①元請負人が、下請負人と合意することなく、一方的に提供、又は貸与した安全衛生

保護具等に係る費用、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費

用及び下請代金を下請負人の銀行口座へ振り込む際の手数料等を下請負人に負担さ

せ、下請代金から差し引く場合

②元請負人が、建設廃棄物の発生がない下請工事の下請負人から、建設廃棄物の処理

費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合

③元請負人が、元請負人の販売促進名目の協力費等、差し引く根拠が不明確な費用を、

下請代金から差し引く場合

④元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場

合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合

⑤元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し

工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額すること

により下請負人に負担させた場合

上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそ

れがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。

また、上記①のケースについて、当該事項を契約書面に記載しなかった場

合には建設業法第19条、見積条件として具体的な内容を提示しなかった場

合には同法第20条第3項に違反する。

赤伝処理とは、元請負人が

① 一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の費用

② 下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)

③ 下請工事の施工に伴い、副次的に発生する建設廃棄物の処理費用

④ 上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)

を下請代金の支払時に差引く(相殺する)行為である。

(1)赤伝処理を行う場合は、元請負人と下請負人双方の協議・合意が必要

赤伝処理を行うこと自体が直ちに建設業法上の問題となることはないが、赤伝

処理を行うためには、その内容や差引く根拠等について元請負人と下請負人双方

の協議・合意が必要であることに、元請負人は留意しなければならない。

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(2)赤伝処理を行う場合は、その内容を見積条件・契約書面に明示すること

が必要

下請代金の支払に関して発生する諸費用、元請負人が一方的に提供・貸与した

安全衛生保護具等の労働災害防止対策に要する費用及び下請工事の施工に伴い副

次的に発生する建設廃棄物の処理費用について赤伝処理を行う場合には、元請負

人は、その内容や差引額の算定根拠等について、見積条件や契約書面に明示する

必要があり、当該事項を見積条件に明示しなかった場合については建設業法第2

0条第3項に、当該事項を契約書面に記載しなかった場合については同法第19

条に違反する。

また、建設リサイクル法第13条では、建設副産物の再資源化に関する費用を

契約書面に明示することを義務付けていることにも、元請負人は留意すべきであ

る(4ページ「2-1 当初契約」参照)。

(3)適正な手続に基づかない赤伝処理は建設業法に違反するおそれ

赤伝処理として、元請負人と下請負人双方の協議・合意がないまま元請負人が

一方的に諸費用を下請代金から差引く行為や下請負人との合意はあるものの、差

引く根拠が不明確な諸費用を下請代金から差引く行為又は実際に要した諸費用

(実費)より過大な費用を下請代金から差引く行為等は、建設業法第18条の建

設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約

を締結する。)を没却することとなるため、元請負人の一方的な赤伝処理につい

ては、その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する

不誠実な行為に該当するおそれがある。

なお、赤伝処理によって、下請代金の額が、その工事を施工するために「通常

必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満た

ない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法

第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

(4)赤伝処理は下請負人との合意のもとで行い、差引額についても下請負人

の過剰負担となることがないよう十分に配慮することが必要

赤伝処理は、下請負人に費用負担を求める合理的な理由があるものについて、

元請負人が、下請負人との合意のもとで行えるものである。元請負人は、赤伝処

理を行うに当たっては、差引額の算出根拠、使途等を明らかにして、下請負人と

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十分に協議を行うとともに、例えば、安全協力費については下請工事の完成後に

当該費用の収支について下請負人に開示するなど、その透明性の確保に努め、赤

伝処理による費用負担が下請負人に過剰なものにならないよう十分に配慮する必

要がある。

また、赤伝処理に関する元請下請間における合意事項については、駐車場代等

建設業法第19条の規定による書面化義務の対象とならないものについても、後

日の紛争を回避する観点から、書面化して相互に取り交わしておくことが望まし

い。

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8.工期(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がない

にもかかわらず下請工事の工程に遅れが生じ、その結果下請負人の工期を短縮せざ

るを得なくなった場合において、これに伴って発生した増加費用について下請負人

との協議を行うことなく、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合

②元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がない

にもかかわらず下請工事の工期が不足し、完成期日に間に合わないおそれがあった

場合において、元請負人が下請負人との協議を行うことなく、他の下請負人と下請

契約を締結し、又は元請負人自ら労働者を手配し、その費用を一方的に下請負人に

負担させた場合

③元請負人の都合により、下請工事が一時中断され、工期を延長した場合において、

その間も元請負人の指示により下請負人が重機等を現場に待機させ、又は技術者等

を確保していたにもかかわらず、これらに伴って発生した増加費用を一方的に下請

負人に負担させた場合

上記①から③のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそ

れがあるほか、同法第28条第1項第2号に該当するおそれがある。また、い

ずれのケースも変更契約を行わない場合には、建設業法第19条第2項に違反

する。

(1)工期に変更が生じた場合には、当初契約と同様に変更契約を締結すること

が必要

建設工事の請負契約の当事者である元請負人及び下請負人は、当初契約の締

結に当たって、適正な工期を設定すべきであり、また、元請負人は工程管理を

適正に行うなど、できる限り工期に変更が生じないよう努めるべきであること

はいうまでもない。しかし、工事現場の状況により、やむを得ず工期を変更す

ることが必要になる場合も多い。このような場合には、建設業法第19条第2

項により、当初契約を締結した際と同様に、変更の内容を書面に記載し、署名

又は記名押印をして相互に交付しなければならないこととなっている(10ペ

ージ「2-3 工期変更に伴う変更契約」参照)。

工期の変更に関する変更契約の締結に際しても、他の変更契約の締結の際と

同様に、元請負人は、速やかに当該変更に係る工期や費用等について、下請負

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人と十分に協議を行う必要がある。合理的な理由もなく元請負人の一方的な都

合により、下請負人の申し出に応じず、必要な変更契約の締結を行わない場合

には、建設業法第19条第2項に違反する。

(2)下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず工期が変更になり、

これに起因する下請工事の費用が増加した場合は、元請負人がその費用を負

担することが必要

下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、例えば、元請負人の施

工管理が十分に行われなかったため、下請工事の工期を短縮せざるを得ず、労働

者を集中的に配置した等の理由により、下請工事の費用が増加した場合には、そ

の増加した費用については元請負人が負担する必要がある。

(3)元請負人が、工期変更に起因する費用増を下請負人に一方的に負担させ

ることは建設業法に違反するおそれ

元請負人が下請負人に対して、自己の取引上の地位を利用して、一方的に下請

代金の額を決定し、その額で下請契約を締結させた場合や、下請負人の責めに帰

すべき理由がない工期の変更による下請工事の費用の増加を元請負人の都合によ

り、一方的に下請負人に負担させ又は赤伝処理を行った結果、下請代金の額が「通

常必要と認められる原価」(12ページ「3.不当に低い請負代金」参照)に満

たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業

法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

また、上記建設業法第19条第2項及び第19条の3に違反しない場合であっ

ても、工期の変更により、元請負人が下請負人の利益を不当に害した場合には、

その情状によっては、建設業法第28条第1項第2号の請負契約に関する不誠実

な行為に該当するおそれがある。

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9.支払保留(建設業法第24条の3、第24条の5)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡し終

了後、元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を

支払わない場合

②建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事等について、それぞれの工事

が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、

工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金

として下請代金の一部を支払わない場合

③工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越

した場合

上記①から③のケースは、いずれも建設業法第24条の3及び第24条の

5に違反するおそれがある。

下請代金については、元請負人と下請負人の合意により交わされた下請契約に基

づいて適正に支払われなければならない。

建設業法第24条の3で、元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する

支払又は工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、元請負人が

支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応

する下請代金を、支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に

支払わなければならないと定められている。

また、建設業法第24条の5では、元請負人が特定建設業者であり下請負人が一

般建設業者(資本金額が 4,000 万円以上の法人であるものを除く。)である場合、

発注者から工事代金の支払があるか否かにかかわらず、下請負人が引渡しの申出を

行った日から起算して 50 日以内で、かつ、できる限り短い期間内において期日を

定め下請代金を支払わなければならないと定められている。そのため、特定建設業

者の下請代金の支払期限については、注文者から出来高払い又は竣工払を受けた日

から1月を経過する日か、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して 50 日

以内で定めた支払期日のいずれか早い期日となる。

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(1)正当な理由がない長期支払保留は建設業法に違反

工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが終了後、正当な理由がないにもか

かわらず長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないことは、建設

業法第24条の3又は同法第24条の5に違反する。

(2)望ましくは下請代金をできるだけ早期に支払うこと

元請負人が特定建設業者か一般建設業者かを問わず、また、下請負人の資本金

の額が 4,000 万円未満かを問わず、元請負人は下請負人に対し下請代金の支払は

できるだけ早い時期に行うことが望ましい。

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10.長期手形(建設業法第24条の5第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

特定建設業者である元請負人が、手形期間が120日を超える手形により下請代金

の支払を行った場合

上記のケースは、建設業法第24条の5第3項に違反するおそれがある。

建設業法第24条の5第3項では、元請負人が特定建設業者であり下請負人が資

本金 4,000 万円未満の一般建設業者である場合、下請代金の支払に当たって一般の

金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはなら

ないとされている。

(1)割引を受けることが困難な長期手形の交付は建設業法に違反

元請負人が手形期間120日を超える長期手形を交付した場合は、「割引を受

けることが困難である手形の交付」と認められる場合があり、その場合には建設

業法第24条の5第3項に違反する。

(2)望ましくは手形期間は120日を超えないこと

元請負人が特定建設業者か一般建設業者かを問わず、下請代金を手形で支払う

場合には、元請負人は下請負人に対し手形期間が120日を超えない手形を交付

することが望ましい。

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- 28 -

11.帳簿の備付け・保存及び営業に関する図書の保存(建設業法第40条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

①建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備付けられていなかった場合

②帳簿及び添付書類は備付けられていたが、5年間保存されていなかった場合

③発注者から直接請け負った建設工事の完成図等の営業に関する図書が、10年間保

存されていなかった場合

上記①から③のケースは、いずれも建設業法第40条の3に違反する。

※③については、平成20年11月28日以降に工事目的物の引渡しをしたものに

限る。

(1)営業所ごとに、帳簿を備え、5年間保存することが必要

建設業法第40条の3では、建設業者は営業所ごとに、営業に関する事項を記

録した帳簿を備え、5年間(平成21年10月1日以降については、発注者と締

結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては、10年間。)保存しなけ

ればならないとされている。(建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)

第28条第1項)。

(2)帳簿には、営業所の代表者の氏名、請負契約・下請契約に関する事項な

どを記載することが必要

帳簿に記載する事項は以下のとおりである(建設業法施行規則第26条第1

項)。

① 営業所の代表者の氏名及びその者が営業所の代表者となった年月日

② 注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項

・ 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地

・ 注文者と請負契約を締結した年月日

・ 注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号

・ 請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日

・ 工事目的物を注文者に引渡した年月日

③ 発注者(宅地建物取引業者を除く。)と締結した住宅を新築する建設工事の

請負契約に関する事項

・ 当該住宅の床面積

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・ 建設瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された

場合)

・ 住宅瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)

④ 下請負人と締結した下請契約に関する事項

・ 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地

・ 下請負人と下請契約を締結した年月日

・ 下請負人の商号・名称、住所、許可番号

・ 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した

年月日

・ 下請工事の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日

⑤ 特定建設業者が注文者となって資本金 4,000 万円未満の法人又は個人である

一般建設業者と下請契約を締結したときは、上記の記載事項に加え、以下の事

・ 支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段

・ 支払手形を交付したとき…その手形の金額、交付年月日及び手形の満期

・ 下請代金の一部を支払ったとき…その後の下請代金の残額

・ 遅延利息を支払ったとき…その額及び支払年月日

※上記の帳簿は電磁的記録によることも可能。

(3)帳簿には契約書などを添付することが必要

帳簿には、契約書若しくはその写し又はその電磁的記録を添付しなければなら

ない(建設業法施行規則第26条第2項、第6項)。

また、以下の場合にはこれらの書類に加え、次のそれぞれの書類を添付する。

ア 特定建設業者が注文者となって資本金 4,000 万円未満の法人又は個人である

一般建設業者と下請契約を締結した場合は、下請負人に支払った下請代金の額、

支払年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又はその写しを添付

イ 特定建設業者が元請工事について、3,000 万円(建築一式工事の場合 4,500万円。一次下請負人への下請代金の総額で判断。)以上の下請契約を締結した

場合は、工事完成後(建設業法施行規則第26条第3項)に施工体制台帳のう

ち以下に掲げる事項が記載された部分を添付

・ 自社が実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名及びその有する監理技術

者資格

・ 自社が監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その

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- 30 -

者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格

・ 下請負人の商号又は名称及び許可番号

・ 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期

・ 下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名及びその有する主任

技術者資格

・ 下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、

その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格

(4)発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、営業に関

する図書を10年間保存することが必要

発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、以下の営業に関

する図書を当該建設工事の目的物の引渡をしたときから10年間保存しなければ

ならないとされている。(建設業法施行規則第26条第5項、第8項、第28条

第2項)

① 完成図(建設業者が作成した場合又は発注者から受領した場合のみ。)

② 工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録(相互に交付したものに限る。)

③ 施工体系図(発注者から直接請け負った建設工事について、3,000 万円(建

築一式工事の場合 4,500 万円。一次下請負人への下請代金の総額で判断。)以

上の下請契約を締結した特定建設業者の場合のみ。)

※平成20年11月28日以降に引渡をしたものから適用。なお、上記の図書は

電磁的記録によることも可能。

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12 関係法令

12 -1 独占禁止法との関係について

建設業法第42条では、国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた

建設業者が第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)、第19条の4(不当な

使用資材等の購入強制の禁止)、第24条の3(下請代金の支払)第1項、第2

4条の4(検査及び引渡し)又は第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払

期日等)第3項若しくは第4項の規定に違反している事実があり、その事実が私

的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下

「独占禁止法」という。)第19条の規定に違反していると認めるときは、公正

取引委員会に対して措置請求を行うことができると規定している。

また、公正取引委員会は、独占禁止法第19条の規定の適用に関して、建設業

の下請取引における不公正な取引方法の認定基準(昭和47年4月1日公正取引

委員会事務局長通達第4号。以下「認定基準」という。)を示している。

なお、本ガイドラインと関係のある認定基準は以下のとおりである。

① 「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」、「2-3 工期変更に伴う変

更契約」、「3.不当に低い請負代金」、「6.やり直し工事」及び「8.工期」

に関しては、認定基準の6に掲げる「不当に低い請負代金」及び認定基準の7

に掲げる「不当減額」

② 「4.指値発注」に関しては、認定基準の6に掲げる「不当に低い請負代金」

③ 「5.不当な使用資材等の購入強制」に関しては、認定基準の8に掲げる「購

入強制」

④ 「7.赤伝処理」に関しては、認定基準の7に掲げる「不当減額」

⑤ 「8.支払保留」に関しては、認定基準の3に掲げる「注文者から支払を受

けた場合の下請代金の支払」及び認定基準の4に掲げる「特定建設業者の下請

代金の支払」

⑥ 「9.長期手形」に関しては、認定基準の5に掲げる「交付手形の制限」

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12 -2 社会保険・労働保険について

社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要な制度である。このた

め、社会保険、労働保険は強制加入の方式がとられている。

健康保険と厚生年金保険については、法人の場合にはすべての事業所について、

個人経営の場合でも常時5人以上の従業員を使用する限り、必ず加入手続を行わ

なければならない。また、雇用保険については建設事業主の場合、個人経営か法

人かにかかわらず、労働者を1人でも雇用する限り、必ず加入手続をとらなけれ

ばならない。

これらの保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費で

あり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれ

るものである。

このため、元請負人及び下請負人は見積時から法定福利費を必要経費として適

正に確保する必要がある。

下請負人は、見積書に法定福利費相当額を明示すべきであり、下請負人の見積

書に法定福利費相当額が明示されているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重

せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、法定福利費相当額を含めない金

額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満

たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業

法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

また、社会保険・労働保険への加入は法律で義務づけられているので、保険未

加入業者は、その情状によっては、建設業法第28条第1項第3号の「その業務

に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当」に該当するおそれがある。

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12 -3 労働災害防止対策について

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)は、建設工事現場において、元請負

人及び下請負人に対して、それぞれの立場に応じて、労働災害防止対策を講ずるこ

とを義務づけている。

したがって、当該対策に要する経費は、元請負人及び下請負人が義務的に負担し

なければならない費用であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認め

られる原価」に含まれるものである。

元請負人は、建設工事現場における労働災害防止対策を適切に実施するため、「1.

見積条件の提示」並びに「元方事業者による建設現場安全管理指針」(平成7年4月

21日労働省基発第267号の2。以下「元方安全管理指針」という。)3及び14

を踏まえ、見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者及びそれに要する経費

の負担者の区分を明確にすることにより、下請負人が、自ら実施しなければならな

い労働災害防止対策を把握できるとともに、自ら負担しなければならない経費を適

正に見積ることができるようにしなければならない。

下請負人は、元請負人から提示された労働災害防止対策の実施者及びそれに要す

る経費の負担者の区分をもとに、自ら負担しなければならない労働災害防止対策に

要する経費を適正に見積り、元請負人に提出する見積書に明示すべきである。

元請負人は、下請負人から提出された労働災害防止対策に要する経費が明示され

た見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で下請負人との契

約交渉をしなければならない。

また、元請負人及び下請負人は、「2.書面による契約締結」並びに「元方安全管

理指針」3及び14を踏まえ、契約書面の施工条件等に、労働災害防止対策の実施

者及びそれに要する経費の負担者の区分を記載し明確にするとともに、下請負人が

負担しなければならない労働災害防止対策に要する経費のうち、施工上必要な経費

と切り離し難いものを除き、労働災害防止対策を講ずるためのみに要する経費につ

いては、契約書面の内訳書などに明示することが必要である。

なお、下請負人の見積書に適正な労働災害防止対策に要する経費が明示されてい

るにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、当該経費相当額を一方的に削減し

たり、当該経費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通

常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引

依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反す

るおそれがある。

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発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン

平成23年8月

国土交通省 土地・建設産業局

建 設 業 課

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1

目 次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1.見積条件の提示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

(建設業法第20条3項)

2.書面による契約締結

2-1 当初契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(建設業法第19条第1項、第19条の3)

2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

(建設業法第19条第2項、第19条の3)

2-3 工期変更に伴う変更契約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

(建設業法第19条第2項、第19条の3)

3.不当に低い発注金額・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 16

(建設業法第19条の3)

4.指値発注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

(建設業法第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

5.不当な使用資材等の購入強制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 21

(建設業法第19条の4)

6.やり直し工事

(建設業法第19条第2項、第19条の3)・・・・・・・・・・・・ ・ 23

7.支払

(建設業法第24条の5)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・25

8.関係法令

8-1 独占禁止法との関係について・・・・・・・・・・・・・・・ ・・27

8-2 社会保険・労働保険について・・・・・・・・・・・・・・・ ・・28

関連条文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

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2

はじめに

発注者と受注者との間の契約は建設生産システムのスタートとして位置付けられ

るものです。両者の間の契約の適正化を図ることは、元請下請間の契約を含め建設業

における契約全体について当事者が対等な立場に立ってそれぞれの責任と役割の分

担を明確化することを促進するとともに、適正な施工の確保にも資するものであり、

ひいては発注者等の最終消費者の利益にもつながるものです。

建設業法においては、契約当事者は、各々対等な立場における合意に基づいて、契

約締結及びその履行を図るべきものとし、不当に低い請負代金の禁止、不当な使用資

材等の購入強制の禁止など契約適正化のために契約当事者が遵守すべき最低限の義

務等を定めていますが、これらの規定の趣旨が十分に認識されていない場合等におい

ては、法令遵守が徹底されず、建設業の健全な発展と建設工事の適正な施工を妨げる

おそれがあります。法令遵守は、受発注者双方が徹底を図らなければならないもので

す。

こうした観点から、公共工事、民間工事にかかわらず、発注者と受注者との間で行

われる請負契約の締結やその履行に関し、法律の不知等による法令違反行為を防ぎ、

発注者と受注者との対等な関係の構築及び公正・透明な取引の実現を図るための対策

として、受発注者間の建設業法令遵守ガイドラインの早期策定及びその活用の必要性

が指摘され、平成23年6月に建設産業戦略会議がとりまとめた「建設産業の再生と

発展のための方策 2011」においてもその旨が盛り込まれたところです。

これを受け、今般、発注者と受注者との間の取引において、必ずしも十分に徹底さ

れていない法条を中心に、建設業法に照らし、受発注者はどのような対応をとるべき

か、また、どのような行為が不適切であるかを明示した「発注者・受注者間における

建設業法令遵守ガイドライン」を策定しました。

本ガイドラインの活用により、発注者と受注者との間の契約の適正化が促進される

とともに、元請下請間の契約の適正化を図るために平成19年6月に策定した「建設

業法令遵守ガイドライン」も併せて活用することにより、建設業における契約全体の

適正化が促進されることが期待されます。

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3

(注1)本ガイドラインにおける用語の意義は、以下のとおり。

「発注者」とは、建設工事の最初の注文者(いわゆる「施主」)をいう。

「受注者」とは、発注者から直接工事を請け負った請負人をいう。

(注2)本ガイドラインは、公共工事及び民間工事における発注者と受注者との間の

取引全般を対象としているが、個人が発注する工事で専ら自ら利用する住宅や

施設を目的物とするものに関する取引は含まない。

(注3)本ガイドラインは上記のとおり発注者と受注者との間の請負契約全般を対象

としているが、公共工事については、入札契約手続が制度化されていることや、

支払についての規定があること等、民間工事とは異なる点があることに留意し

必要に応じ記述を加えている。

(注4)発注者の代理人が行った行為が、本ガイドラインに抵触する場合にも、発注

者が責めを免れるものではない。

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1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①発注者が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により受注予定者に見積りを依頼

した場合

②発注者が受注予定者から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、発注者が未回

答あるいは曖昧な回答をした場合

【建設業法上違反となる行為事例】

③発注者が予定価格1億円の請負契約を締結しようとする際、見積期間を1週間として受

注予定者に見積りを行わせた場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第20条第3項に違反するおそれが

あり、③のケースは、建設業法第20条第3項に違反する。

建設業法第20条第3項では、発注者は、建設工事の請負契約を締結する前に、下

記(1)に示す具体的内容を受注予定者に提示し、その後、受注予定者が当該工事の

見積りをするために必要な一定の期間を設けることが義務付けられている。これは、

請負契約が適正に締結されるためには、発注者が受注予定者に対し、あらかじめ、契

約の内容となるべき重要な事項を提示し、適正な見積期間を設け、見積落し等の問題

が生じないよう検討する期間を確保し、受注予定者が請負代金の額の計算その他請負

契約の締結に関する判断を行うことが可能となることが必要であることを踏まえた

ものである。

(1)見積りに当たっては工事の具体的内容を提示することが必要

建設業法第20条第3項により、発注者が受注予定者に対して提示しなけれ

ばならない具体的内容は、同法第19条により請負契約書に記載することが義

務付けられている事項(工事内容、工事着手及び工事完成の時期、前金払又は

出来形部分に対する支払の時期及び方法等(7ページ「2-1 当初契約」参

照))のうち、請負代金の額を除くすべての事項となる。

見積りを適正に行うという建設業法第20条第3項の趣旨に照らすと、例え

ば、上記のうち「工事内容」に関し、発注者が最低限明示すべき事項としては、

① 工事名称

② 施工場所

③ 設計図書(数量等を含む)

④ 工事の責任施工範囲

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5

⑤ 工事の全体工程

⑥ 見積条件

⑦ 施工環境、施工制約に関する事項

が挙げられ、発注者は、具体的内容が確定していない事項についてはその旨を

明確に示さなければならない。施工条件が確定していないなどの正当な理由が

ないにもかかわらず、発注者が、受注予定者に対して、契約までの間に上記事

項等に関し具体的な内容を提示しない場合には、建設業法第20条第3項に違

反する。

(2)望ましくは、工事の内容を書面で提示し、作業内容を明確にすること

発注者が受注予定者に見積りを依頼する際は、受注予定者に対し工事の具体

的な内容について、口頭ではなく、書面によりその内容を示すことが望ましい。

(3)予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要

建設業法第20条第3項により、発注者は、以下のとおり受注予定者が見積

りを行うために必要な一定の期間(下記ア~ウ(建設業法施行令(昭和31年

政令第273号)第6条))を設けなければならないこととされている。

ア 工事1件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上

イ 工事1件の予定価格が500万円以上5,000万円に満たない工事に

ついては、10日以上

ウ 工事1件の予定価格が5,000万円以上の工事については、15日以

上記期間は、受注予定者に対する契約内容の提示から当該契約の締結又は入

札までの間に設けなければならない期間である。そのため、例えば、4月1日

に契約内容の提示をした場合には、アに該当する場合は4月3日、イに該当す

る場合は4月12日、ウに該当する場合は4月17日以降に契約の締結又は入

札をしなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、イ及びウ

の期間は、5日以内に限り短縮することができる。

上記の見積期間は、受注予定者が見積りを行うための最短期間であり、より

適正な見積が行われるようにするためには、とりわけ大型工事等において、発

注者は、受注予定者に対し、余裕を持った十分な見積期間を設けることが望ま

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6

しい。

なお、国が一般競争入札により発注する公共工事については、予算決算及び

会計令(昭和22年勅令第165号)第74条の規定により入札期日の前日か

ら起算して尐なくとも10日前(急を要する場合には5日までに短縮可能)に

公告しなければならないとされており、この期間が上記ア~ウの見積期間とみ

なされる。

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7

2.書面による契約締結

2-1 当初契約(建設業法第19条第1項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

①建設工事の発注に際し、書面による契約を行わなかった場合

②建設工事の発注に際し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契

約書面を交付した場合

③建設工事の発注に際し、請負契約の締結前に建設業者に工事を着手させ、工事の

施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合

上記①~③のケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反する。

(1)契約は工事の着工前に書面により行うことが必要

建設工事の請負契約の当事者である発注者と受注者は、対等な立場で契約す

べきであり、建設業法第19条第1項により定められた下記(2)の①から⑭

までの14の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなけ

ればならないこととなっている。

契約書面の交付については、災害時等でやむを得ない場合を除き、原則とし

て工事の着工前に行わなければならない。

(2)契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要

建設業法第19条第1項において、建設工事の請負契約の当事者に、契約の

締結に際して契約内容を書面に記載し相互に交付すべきことを求めているの

は、請負契約の明確性及び正確性を担保し、紛争の発生を防止するためである。

また、あらかじめ契約の内容を書面により明確にしておくことは、いわゆる請

負契約の「片務性」の改善に資することともなり、極めて重要な意義がある。

契約書面に記載しなければならない事項は、以下の①~⑭の事項である。特に、

「①工事内容」については、受注者の責任施工範囲、施工条件等が具体的に記

載されている必要があるので、○○工事一式といった曖昧な記載は避けるべき

である。

① 工事内容

② 請負代金の額

100

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③ 工事着手の時期及び工事完成の時期

④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めを

するときは、その支払の時期及び方法

⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若し

くは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額

の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定

方法に関する定め

⑦ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価

格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容

の変更

⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関

する定め

⑨ 発注者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸

与するときは、その内容及び方法に関する定め

⑩ 発注者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方

法並びに引渡しの時期

⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ず

べき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その

内容

⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違

約金その他の損害金

⑭ 契約に関する紛争の解決方法

(3)電子契約によることも可能

書面契約に代えて、電子契約も認められる。その場合でも、(2)①~⑭の

事項を記載しなければならない。

(4)工期の設定時の留意事項

建設工事の請負契約において、受注者が適正な施工を行うためには、施工内

容に応じた適切な工期設定が必要である。発注者へ工事の目的物を引き渡す前

に設備(空調、衛生、電気、昇降機等)の試運転などが必要な場合には、これ

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らも含めた工期とする必要がある。

工期が施工を行うために必要な期間よりも短ければ、手抜き工事、不良工事

や公衆災害、労働災害等の発生につながる可能性がある。発注者及び受注者は、

当初契約の締結に当たって、十分に協議を行った上で、適正な工期を設定する

必要がある。

公共工事については、発注者が入札公告等において、契約に盛り込む予定の

工期を明示することが一般的であるが、発注者においては、適正な予定工期を

検討することが必要である。

また、受注者の責めに帰すべき事由により、工期内に工事を完成することが

できない場合における違約金の設定については、過大な額にならないよう設定

することが必要である。

(5)短い工期にもかかわらず、通常の工期を前提とした請負代金の額で請負契約を

締結することは、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれ

やむを得ず、通常の工期に比べて著しく短い工期で契約する場合には、工事

を施工するために「通常必要と認められる原価」は、短い工期で工事を完成さ

せることを前提として算定されるべきである。

発注者が、短い工期にもかかわらず、通常の工期を前提とした請負代金の額

で請負契約を締結させることにより、請負代金の額がその工事を施工するため

に「通常必要と認められる原価」を下回る場合には、建設業法第19条の3に

違反するおそれがある。

(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)

(6)受注者に過度な義務や負担を課す片務的な内容による契約を行わないことが

必要

建設業法第18条においては、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対

等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこ

れを履行しなければならない」と規定している。建設工事の請負契約の締結に

当たっては、同条の趣旨を踏まえ、公共工事については、中央建設業審議会が

作成する公共工事標準請負契約約款(以下「公共約款」という。)に沿った契

約が締結されている。民間工事においても、同審議会が作成する民間工事標準

請負契約約款又はこれに沿った内容の約款※(以下「民間約款等」という。)に

沿った内容の契約書による契約を締結することが望ましい。

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※ 民間約款に沿った内容の約款として、民間(旧四会)連合協定工事請

負契約約款がある。

民間工事の中には、民間約款等を大幅に修正した契約が締結されており、そ

の修正内容が受注者に過大な義務を課す等、次のような片務的な内容となって

いる場合がある。

① 発注者の責めに帰すべき事由により生じた損害についても、受注者に負

担させること

② 工事の施工に伴い通常避けることができない騒音等の第三者への損害に

ついても、受注者に負担させること

③ 例えば、民法(明治29年法律第89号)や住宅の品質確保の促進等に

関する法律(平成11年法律第81号)に定める期間を大幅に超えて、

長期間の瑕疵担保期間を設けること

④ 過度なアフターサービス、例えば、経年劣化等に起因する不具合につい

てのアフターサービスなどを受注者に負担させること

また、契約外の事項である次のような業務を発注者が求めることも片務的な

行為に該当すると考えられる。

⑤ 販売促進への協力など、工事請負契約の内容にない業務を受注者に無償

で求めること

⑥ 設計図書と工事現場の状況が異なっていた場合に、設計変更の作業を受

注者に無償で協力させること

このような、受注者に過度な義務や負担を課すなど、片務的な内容による契

約や契約外の行為をさせることは、結果として建設業法第19条の3により禁

止される不当に低い請負代金(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)

による契約となる可能性があり、厳に慎むべきである。

(7)一定規模以上の解体工事等の場合は、契約書面に更に以下の事項の記載が必

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)

第13条においては、一定規模(*)以上の解体工事等に係る契約を行う場合に、

以下の①から④までの4事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に

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交付しなければならないこととされており、そのような工事に係る契約書面は

上記(2)の①から⑭までの14事項に加え、以下の4事項の記載が必要とな

る。

① 分別解体等の方法

② 解体工事に要する費用

③ 再資源化等をするための施設の名称及び所在地

④ 再資源化等に要する費用

*「一定規模」とは、次のそれぞれの規模をいう

ア 建築物に係る解体工事…当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)

の床面積の合計が80平方メートル

イ 建築物に係る新築又は増築の工事…当該建築物(増築の工事にあっては、

当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が500平方メートル

ウ 建築物に係る新築工事等(上記イを除く)…その請負代金の額が1億円

エ 建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等…その請負代金の額が

500万円

注 解体工事又は新築工事等を二以上の契約に分割して請け負う場合に

おいては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、上記の「一定

規模」に関する基準を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を

分割したときは、この限りでない。

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2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

①追加工事又は変更工事が発生したが、発注者が書面による契約変更を行わなかっ

た場合

②追加工事又は変更工事について、これらの工事に着手した後又は工事が終了した

後に書面により契約変更を行った場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第19条第2項に違反するほか、必

要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。

(1)追加工事等の着工前に書面による契約変更を行うことが必要

建設業法第19条第2項では、請負契約の当事者は、追加工事又は変更工事

(工事の一時中止に伴う中止期間中の工事現場の維持、工事体制の縮小及び工

事の再開準備を含む。以下「追加工事等」という。)の発生により当初の請負

契約書(以下「当初契約書」という。)に掲げる事項を変更するときは、その

変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければな

らないこととなっている。これは、当初契約書において契約内容を明定しても、

その後の変更契約が口約束で行われれば、当該変更契約の明確性及び正確性が

担保されず、紛争を防止する観点からも望ましくないためであり、災害時等で

やむを得ない場合を除き、原則として追加工事等の着工前に、契約変更を行う

ことが必要である。

発注者及び受注者が追加工事等に関する協議を円滑に行えるよう、建設工事

の当初契約書において、建設業法第19条第1項第5号に掲げる事項(当事者

の一方から設計変更等の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額

の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め)について、で

きる限り具体的に定めておくことが望ましい。

なお、追加・変更契約を行うべき事由及びその方法については、公共約款、

民間約款等において規定しているほか、国土交通省等では、「工事請負契約に

おける設計変更ガイドライン」や「工事一時中止に係るガイドライン」を策定

している。

(2)追加工事等の内容が直ちに確定できない場合の対応

工事状況により追加工事等の全体数量等の内容がその着工前の時点では確定

できない等の理由により、追加工事等の依頼に際して、その都度追加・変更契

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約を締結することが不合理な場合は、発注者は、以下の事項を記載した書面を

追加工事等の着工前に受注者と取り交わすこととし、契約変更等の手続につい

ては、追加工事等の内容が確定した時点で遅滞なく行う必要がある。

① 受注者に追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容

② 当該追加工事等が契約変更等の対象となること及び契約変更等を行う時

③ 追加工事等に係る契約単価の額

(3)追加工事等に要する費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い

請負代金の禁止に違反するおそれ

追加・変更契約を行う場合には、追加工事等が発生した状況に応じ、当該追

加工事等に係る費用について、発注者と受注者との間で十分協議を行い決定す

ることが必要である。発注者が、受注者に一方的に費用を負担させたことによ

り、請負代金の額が当初契約工事及び追加工事等を施工するために「通常必要

と認められる原価」(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)に満たな

い金額となる場合には、受注者の当該発注者への取引依存度等の状況によって

は、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあ

る。

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2-3 工期変更に伴う変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】

受注者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、当初契約で定めた工期を短

縮し、又は延長せざるを得なくなり、また、これに伴って工事費用が増加したが、

発注者が受注者からの協議に応じず、書面による契約変更を行わなかった場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項に違反するほか、必要な増額を行わな

かった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。

工期は、建設業法第19条第1項第3号により、建設工事の請負契約において定め

なければならない項目となっている。建設工事の請負契約の当事者は、当初契約の締

結に当たって適正な工期を設定すべきであり、また、受注者は工程管理を適正に行う

など、できる限り工期に変更が生じないよう努めるべきである。しかし、工事現場の

状況により、やむを得ず工期を変更することが必要になる場合も多い。こうした場合

において、工期の変更に係る請負契約の締結に関しても、書面によることが必要であ

る。

なお、工期の変更の原因となった工事の一時中止の期間中における現場維持、体制

縮小又は再開準備に要する費用については、追加工事が発生した場合と同様に書面で

契約変更等を行うことが必要である。(12ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・

変更契約」参照)

(1)工期変更についても書面による契約変更が必要

建設工事の請負契約において、工期に係る変更をする場合には、建設業法第

19条第2項により、契約当事者である発注者及び受注者は、原則として工期

変更に係る工事の着工前にその変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印

をして相互に交付しなければならない。

また、発注者及び受注者が工期変更に関する協議を円滑に行えるよう、当初

契約書において、建設業法第19条第1項第5号に掲げる事項(当事者の一方

から工事着手の延期等の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額

の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め)について、で

きる限り具体的に定めておくことが望ましい。

なお、工期に係る変更の方法については、公共約款、民間約款等において規

定しているほか、国土交通省等では、「工事請負契約における設計変更ガイド

ライン」や「工事一時中止に係るガイドライン」を策定している。

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(2)工事に着手した後に工期が変更になった場合、変更後の工期が直ちに確定で

きない場合の対応

工事に着手した後に工期が変更になった場合の契約変更等の手続について

は、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく行うものとする。工期を変更する

必要があると認めるに至ったが、変更後の工期の確定が直ちにできない場合に

は、発注者は、工期の変更が契約変更等の対象となること及び契約変更等を行

う時期を記載した書面を、工期を変更する必要があると認めた時点で受注者と

取り交わすこととし、契約変更等の手続については、変更後の工期が確定した

時点で遅滞なく行うものとする。

(3)工期の変更に伴う費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い請

負代金の禁止に違反するおそれ

工期が変更になり、これに起因して工事の費用が増加した場合には、発注者

と受注者とが工期変更の原因及び増加費用の負担について、十分協議を行うこ

とが必要であり、発注者の一方的な都合により受注者の申出に応じず、必要な

変更契約を締結しない場合には、建設業法第19条第2項に違反する。(12

ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」参照)

また、発注者の責めに帰すべき事由により工期が変更になった場合に、発注

者が、工期変更に起因する費用の増加分を受注者に一方的に負担させたことに

より、請負代金の額が工事を施工するために「通常必要と認められる原価」(1

6ページ「3.不当に低い発注金額」参照)に満たない金額となるときには、

受注者の当該発注者への取引依存度等の状況によっては、建設業法第19条の

3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

(4)追加工事等の発生に起因する工期変更の場合の対応

工事現場においては、工期の変更のみが行われる場合のほか、追加工事等の

発生に起因して工期の変更が行われる場合が多いが、追加工事等の発生が伴う

場合には、(1)から(3)のほか、追加工事等に伴う追加・変更契約に関す

る記述が該当する(12ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」

参照)。

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3.不当に低い発注金額(建設業法第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①発注者が、自らの予算額のみを基準として、受注者との協議を行うことなく、受

注者による見積額を大幅に下回る額で建設工事の請負契約を締結した場合

②発注者が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可

能性がある旨を示唆して、受注者との従来の取引価格を大幅に下回る額で、建設

工事の請負契約を締結した場合

③発注者が、請負代金の増額に応じることなく、受注者に対し追加工事を施工させ

た場合

④発注者の責めに帰すべき事由により工期が変更になり、工事費用が増加したにも

かかわらず、発注者が請負代金の増額に応じない場合

⑤発注者が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

上記のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

公共工事においては、発注者が直接工事費、共通仮設費、現場管理費及び一般管理

費等により積算した予定価格の範囲内で応札した者の中から受注者を決めるのが一

般的であり、①及び②のようなケースは生じにくいものと考える。しかし、発注者は、

積算した金額(設計金額)からいわゆる歩切りをして予定価格を設定することや、歩

切りした予定価格による入札手続の入札辞退者にペナルティを課すなどにより、歩切

りをした予定価格の範囲内での入札を実質的に強いるようなことは、建設業法第19

条の3に違反するおそれがあり、厳に慎む必要がある。

また、変更契約は、入札手続を経ることなく、相対で締結されることから、発注者

が請負代金の増額に応じないなどのケースが生じるおそれがあり、同条違反とならな

いよう留意が必要である。

(1)「不当に低い請負代金の禁止」の定義

建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」とは、発注者が、自

己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した工事を施工するために通常

必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を受注者

と締結することを禁止するものである。

発注者が、取引上の地位を不当に利用して、不当に低い請負代金による契約

を強いた場合には、受注者が工事の施工方法、工程等について技術的に無理な

手段、期間等の採用を強いられることとなり、手抜き工事、不良工事や公衆災

害、労働災害等の発生につながる可能性もある。

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(2)「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある発注者

が、受注者を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること

建設業法第19条の3の「自己の取引上の地位を不当に利用して」とは、取

引上優越的な地位にある発注者が、受注者の選定権等を背景に、受注者を経済

的に不当に圧迫するような取引等を強いることをいう。

ア 取引上の優越的な地位

取引上優越的な地位にある場合とは、受注者にとって発注者との取引の

継続が困難になることが受注者の事業経営上大きな支障を来すため、発注

者が受注者にとって著しく不利益な要請を行っても、受注者がこれを受け

入れざるを得ないような場合をいう。取引上優越的な地位に当たるか否か

については、受注者の発注者への取引依存度等により判断されることとな

るため、例えば受注者にとって大口取引先に当たる発注者については、取

引上優越的な地位に該当する蓋然性が高いと考えられる。

イ 地位の不当利用

発注者が、受注者の選定権等を背景に、受注者を経済的に不当に圧迫す

るような取引等を強いたか否かについては、請負代金の額の決定に当たり

受注者と十分な協議が行われたかどうかといった対価の決定方法等により

判断されるものであり、例えば受注者と十分な協議を行うことなく発注者

が価格を一方的に決定し、当該価格による取引を強要する指値発注(19

ページ「4.指値発注」参照)については、発注者による地位の不当利用

に当たるものと考えられる。

(3)「通常必要と認められる原価」とは、工事を施工するために一般的に必要と

認められる価格

建設業法第19条の3の「通常必要と認められる原価」とは、当該工事の施

工地域において当該工事を施工するために一般的に必要と認められる価格(直

接工事費、共通仮設費及び現場管理費よりなる間接工事費、一般管理費(利潤

相当額は含まない。)の合計額)をいい、具体的には、受注者の実行予算や下

請先、資材業者等との取引状況、さらには当該施工区域における同種工事の請

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負代金額の実例等により判断することとなる。

(4)建設業法第19条の3は変更契約にも適用

建設業法第19条の3により禁止される行為は、当初の契約の締結に際して、

不当に低い請負代金を強いることに限られず、契約締結後、発注者が原価の上

昇を伴うような工事内容や工期の変更をしたのに、それに見合った請負代金の

増額を行わないことや、一方的に請負代金を減額したことにより原価を下回る

ことも含まれる。

追加工事等を受注者の負担により一方的に施工させたことにより、請負代金

の額が当初契約工事及び追加工事等を施工するために「通常必要と認められる

原価」に満たない金額とならないよう、適正な追加・変更契約を行うことが必

要である。(12ページ「2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約」参照)

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4.指値発注(建設業法第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①発注者が、自らの予算額のみを基準として、受注者と協議を行うことなく、一方

的に請負代金の額を決定し、その額で請負契約を締結した場合

②発注者が、合理的根拠がないにもかかわらず、受注者の見積額を著しく下回る額

で請負代金の額を一方的に決定し、その額で請負契約を締結した場合

③発注者が複数の建設業者から提出された見積金額のうち最も低い額を一方的に

請負代金の額として決定し、当該見積の提出者以外の者とその額で請負契約を締

結した場合

【建設業法上違反となる行為事例】

④発注者と受注者の間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、受注

者に工事に着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に発注者が受注者との協議

に応じることなく請負代金の額を一方的に決定し、その額で請負契約を締結した

場合

⑤発注者が、受注者が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額を

受注者に提示し、請負契約締結の判断をその場で行わせ、その額で請負契約を締

結した場合

上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがあ

る。また、④のケースは同法第19条第1項に違反し、⑤のケースは同法第20条

第3項に違反する。

指値発注とは、発注者が受注者との請負契約を交わす際、受注者と十分な協議をせ

ず、又は受注者との協議に応じることなく、発注者が一方的に決めた請負代金の額を

受注者に提示(指値)し、その額で受注者に契約を締結させることをいう。指値発注

は、建設業法第18条の建設工事の請負契約の原則(各々の対等な立場における合意

に基づいて公正な契約を締結する。)を没却するものである。

公共工事においては、入札公告などから入札期日の前日まで一定の期間を設け、ま

た、発注者が積算した予定価格の範囲内で応札した者の中から受注者を決めるのが一

般的であり、当初契約時においては、①から⑤までのようなケースは生じにくいもの

と考える。しかし、発注者は、歩切りをして予定価格を設定することや、歩切りした

予定価格による入札手続の入札辞退者にペナルティを課すなどにより、歩切りをした

予定価格の範囲内での入札を実質的に強いるようなことは、厳に慎む必要がある。ま

た、変更契約は、入札手続を経ることなく、相対で締結されることから、発注者が請

負代金の増額に応じないなどのケースが生じるおそれがあり、建設業法第19条の3

違反とならないよう留意が必要である。

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(1)指値発注は建設業法に違反するおそれ

指値発注は、発注者としての取引上の地位の不当利用に当たるものと考えら

れ、請負代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」

(16ページ「3. 不当に低い発注金額」参照)に満たない金額となる場合に

は、受注者の当該発注者に対する取引依存度等の状況によっては、建設業法第

19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

発注者が受注者に対して示した工期が、通常の工期に比べて著しく短い工期

である場合には、工事を施工するために「通常必要と認められる原価」は、発

注者が示した短い工期で工事を完成させることを前提として算定されるべきで

あり、発注者が通常の工期を前提とした請負代金の額で指値をした上で短い工

期で工事を完成させることにより、請負代金の額がその工事を施工するために

「通常必要と認められる原価」(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)

を下回る場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

また、発注者が受注者に対し、指値した額で請負契約を締結するか否かを判

断する期間を与えることなく回答を求める行為については、建設業法第20条

第3項の見積りを行うための一定期間の確保に違反する(4ページ「1.見積

条件の提示」参照)。

更に、発注者と受注者との間において請負代金の額の合意が得られず、この

ことにより契約書面の取り交わしが行われていない段階で、発注者が受注者に

対し工事の施工を強要し、その後に請負代金の額を発注者の指値により一方的

に決定する行為は、建設業法第19条第1項に違反する(7ページ「2.書面

による契約締結」参照)。

(2)請負代金決定に当たっては、十分に協議を行うことが必要

建設工事の請負契約の締結に当たり、発注者が契約希望額を提示した場合に

は、自らが提示した額の積算根拠を明らかにして受注者と十分に協議を行うな

ど、一方的な指値発注により請負契約を締結することがないよう留意すべきで

ある。

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5.不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

①請負契約の締結後に、発注者が受注者に対して、工事に使用する資材又は機械器

具等を指定し、あるいはその購入先を指定した結果、受注者が予定していた購入

価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合

②請負契約の締結後、当該契約に基づかないで発注者が指定した資材等を購入させ

たことにより、受注者が既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭

面及び信用面における損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった

販売店との取引関係が悪化した場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第19条の4に違反するおそれがあ

る。

(1)「不当な使用資材等の購入強制」の定義

建設業法第19条の4で禁止される「不当な使用資材等の購入強制」とは、

請負契約の締結後に、発注者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、受注

者に使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを受注者

に購入させて、その利益を害することである。

(2)建設業法第19条の4は、請負契約の締結後の行為が規制の対象

「不当な使用資材等の購入強制」が禁止されるのは、請負契約の締結後にお

ける行為に限られる。これは、発注者の希望するものを作るのが建設工事の請

負契約であり、請負契約の締結に当たって、発注者が、自己の希望する資材等

やその購入先を指定することは、当然想定し得る。発注者が請負契約締結前に

これを行ったとしても、受注者はそれに従って適正な見積りを行い、適正な請

負代金で契約を締結することができるため、建設業法第19条の4の規定の対

象とはならない。

(3)「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある発注者

が、受注者を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること

「自己の取引上の地位を不当に利用して」とは、取引上優越的な地位にある

発注者が、受注者の選定権等を背景に、受注者を経済的に不当に圧迫するよう

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な取引等を強いることをいう(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)。

(4)「資材等又はこれらの購入先の指定」とは、商品名又は販売会社を指定する

こと

「使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを購入さ

せる」とは、発注者が工事の使用資材等について具体的に○○会社○○型とい

うように会社名、商品名等を指定する場合又は購入先となる販売会社等を指定

する場合をいう。

(5)受注者の「利益を害する」とは、金銭面及び信用面において損害を与えるこ

受注者の「利益を害する」とは、資材等を指定して購入させた結果、受注者

が予定していた資材等の購入価格より高い価格で購入せざるを得なかった場

合、あるいは、既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり、金銭面及

び信用面における損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販

売店との取引関係が極度に悪化した場合等をいう。

したがって、発注者が指定した資材等の価格の方が受注者が予定していた購

入価格より安く、かつ、発注者の指定により資材の返却等の問題が生じない場

合には、受注者の利益は害されたことにはならない。

(6)資材等の指定を行う場合には、見積条件として提示することが必要

使用資材等について購入先等の指定を行う場合には、発注者は、あらかじめ

見積条件としてそれらの項目を提示する必要がある。

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6.やり直し工事(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】

発注者が、受注者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、やり直し工事を

行わせ、必要な変更契約を締結せずにその費用を一方的に受注者に負担させた場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項、第19条の3に違反するおそれがあ

る。

(1)やり直し工事を受注者に依頼する場合は、発注者と受注者が帰責事由や費用

負担について十分協議することが必要

発注者と受注者は、工事の施工に関し十分な協議を行い、工事のやり直し(手

戻り)が発生しないよう努めることはもちろんであるが、発注者の指示や要求

により、やむを得ず、工事の施工途中又は施工後において、やり直し工事が発

生する場合がある。やり直し工事が発生した場合には、発注者が受注者に対し

て一方的に費用を負担させることなく、発注者と受注者とが帰責事由や費用負

担について十分協議することが必要である。

(2)受注者の責めに帰さないやり直し工事を依頼する場合は、契約変更が必要

受注者の責めに帰すべき事由がないのに、工事の施工途中又は施工後におい

て、発注者が受注者に対して工事のやり直しを依頼する場合にあっては、発注

者は速やかに受注者と十分に協議した上で契約変更を行う必要があり、発注者

がこのような契約変更を行わず、当該やり直し工事を受注者に施工させた場合

には、建設業法第19条第2項に違反する(12ページ「2-2 追加工事等

に伴う追加・変更契約」参照)。

(3)やり直し工事の費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い請負

代金の禁止に違反するおそれ

発注者の責めに帰すべき事由によりやり直し工事が必要になった場合に、発

注者がやり直し工事に係る費用を一方的に受注者に負担させることによって、

請負代金の額が当初契約工事及びやり直し工事を施工するために「通常必要と

認められる原価」(16ページ「3.不当に低い発注金額」参照)に満たない

金額となるときには、発注者と受注者との間の取引依存度等によっては、建設

業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがある。

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(4)受注者の責めに帰すべき事由がある場合とは、施工内容が契約書面に明示さ

れた内容と異なる場合や施工に瑕疵等がある場合

受注者の責めに帰すべき事由があるため、受注者に全ての費用を負担させ、

工事のやり直しを求めることができるケースとしては、施工が契約書面に明示

された内容と異なる場合や施工に瑕疵等がある場合などが考えられる。

次のような場合には、施工が契約書面と異なり、又は瑕疵等があるとは認め

られず、発注者の責めに帰すべき事由がある場合に該当する。

ア 受注者から施工内容等を明確にするよう求めがあったにもかかわらず、

発注者が正当な理由なく明確にせず、受注者に継続して作業を行わせた

ことにより、施工が発注者の意図と異なることとなった場合

イ 発注者の指示、あるいは了承した施工内容に基づき施工した場合におい

て、工事の内容が契約内容と異なる場合

なお、天災等により工事目的物が滅失し、工事の手戻り等が生じる場合があ

るが、発注者及び受注者の双方の責めに帰すことができない不可抗力による損

害の負担者については、民間約款等において、協議により重大と認めるものは

発注者がこれを負担すると規定されている。

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7.支払(建設業法第24条の5)

【望ましくない行為事例】

①請負契約に基づく工事目的物が完成し、引渡し終了後、発注者が受注者に対し、

速やかに請負代金を支払わない場合

②発注者が、手形期間の長い手形により請負代金の支払を行った場合

上記①及び②のケースは、いずれも発注者が受注者による建設業法第24条の5

違反の行為を誘発するおそれがあり、望ましくない。

(1)請負代金の支払時の留意事項

請負代金については、発注者と受注者の合意により交わされた請負契約に基

づいて適正に支払われなければならない。請負代金の支払方法については、原

則として当事者間の取り決めにより自由に定めることができるが、本来は工事

目的物の引渡しと請負代金の支払は同時履行の関係に立つものであり、民間約

款等においても、その旨が規定されている。また、発注者から受注者への支払

は、元請下請間の支払に大きな影響を及ぼすことから、尐なくとも引渡し終了

後できるだけ速やかに適正な支払を行うように定めることが求められる。

更に、実際には、特に長期工事の場合等、工事完成まで支払がなされないと、

受注者及び下請負人の工事に必要な資金が不足するおそれがあるため、民間工

事標準請負契約約款の規定に沿って前払金制度あるいは部分払制度(いわゆる

出来高払制度)を活用するなど、迅速かつ適正な支払を行うことが望ましい。

(2)目的物の引渡しを受けた場合には、できるだけ速やかに支払を行うこと

発注者は、請負契約に基づく目的物の引渡しを受けた場合、受注者に対し、

請負契約において取り決められた請負代金の額を、できるだけ速やかに支払う

ことが望ましい。

建設業法第24条の5では、受注者が特定建設業者であり下請負人が資本金

4,000万円未満の一般建設業者である場合、下請契約における下請代金の

支払期日は、下請負人が引渡の申出を行った日から起算して50日以内と規定

している。これは、発注者から受注者に工事代金の支払があるか否かにかかわ

らず適用される規定であるが、発注者の支払期日によっては建設業法に定めた

元請下請間の支払に実質的な影響を与えかねないことから、発注者は、これら

の元請下請間の下請代金の支払に関する規定も考慮し、できるだけ速やかに支

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払を行うことが望ましい。

国が発注する公共工事においては、政府契約の支払遅延防止等に関する法律

(昭和24年法律第256号)に、検査、支払の時期が規定されており、同法

に従って支払が行われている。国以外の公共発注者においても、それぞれが定

めた検査や支払についての規則に従って行われているが、受注者からの工事完

了の通知の速やかな受理や検査の適切な実施を含め、迅速な支払の確保に努め

るべきである。

(3)長期手形を交付しない

建設業法第24条の5第3項では、受注者が特定建設業者であり下請負人が

資本金4,000万円未満の一般建設業者である場合、下請代金の支払に当た

って一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形

(例えば、手形期間が120日超の長期手形)を交付してはならないとされて

いる。

発注者から受注者への支払方法は、元請下請間の支払に実質的な影響を与え

かねないことから、発注者は、受注者に対する請負代金を手形で支払う場合に

も、同条の趣旨を踏まえ、長期手形を交付することがないようにすることが望

ましい。

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8.関係法令 8-1 独占禁止法との関係について

不当に低い発注金額や不当な使用資材等の購入強制については、建設業法第

19条の3及び第19条の4でこれを禁止しているが、これらの規定に違反す

る上記行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年

法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第19条で禁止している不公正

な取引方法の一類型である優越的な地位の濫用にも該当するおそれがある。優

越的地位の濫用に関して、公正取引委員会は、平成22年11月30日、「優

越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(以下「考え方」という。)

を示している。

この「考え方」のうち、本ガイドラインと関係のある主な部分は以下のとお

りである。

① 「1.見積条件の提示」、「2-1 当初契約」、「2-2 追加工事等

に伴う追加・変更契約」、「2-3 工期変更に伴う変更契約」及び「3.

不当に低い発注金額」に関しては、「考え方」第4の2(3)に掲げる「そ

の他経済上の利益の提供の要請」、第4の3(4)に掲げる「減額」及び第

4の3(5)に掲げる「その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定

等」

② 「4.指値発注」に関しては、「考え方」第4の3(5)アに掲げる「取

引の対価の一方的決定」

③ 「5.不当な使用資材等の購入強制」に関しては、「考え方」第4の1に

掲げる「購入・利用強制」

④ 「6.やり直し工事」に関しては、「考え方」第4の3(5)イに掲げる

「やり直しの要請」

⑤ 「7.支払」に関しては、「考え方」第4の3(3)に掲げる「支払遅延」

なお、発注者が独占禁止法第2条第1項に規定する事業者でない場合(公的

発注機関の場合)には、建設業法第19条の5において、国土交通大臣又は都

道府県知事は、当該発注者が同法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)

又は第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)の規定に違反してい

る事実があり、特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して必要な勧

告をすることができると規定している。

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8-2 社会保険・労働保険(法定福利費)について

社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要な制度であり、強制加

入の方式がとられている。

具体的には、健康保険と厚生年金保険については、法人の場合にはすべての事

業所について、個人経営の場合でも常時5人以上の従業員を使用する限り、必ず

加入手続を行わなければならず、また、雇用保険については、建設事業主の場合、

個人経営か法人かにかかわらず、労働者を1人でも雇用する限り、必ず加入手続

をとらなければならない。

このため、受注者には、これらの保険料に係る費用負担が不可避となっている。

これらの保険料にかかる受注者の費用は、労災保険料とともに受注者が義務的

に負担しなければならない法定福利費であり、建設業法第19条の3に規定する

「通常必要と認められる原価」に含まれるべきものである。

このため、発注者及び受注者は見積時から法定福利費を必要経費として適正に

考慮すべきであり、法定福利費相当額を含まない金額で建設工事の請負契約を締

結した場合には、発注者がこれらの保険への加入義務を定めた法令の違反を誘発

するおそれがあるとともに、発注者が建設業法第19条の3に違反するおそれが

ある。

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国土建労第141号

平成27年3月25日

別記(建設業者団体)宛

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

建設産業においては、下請企業を中心に、雇用、医療、年金保険(以下「社会保険

等」という )について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち保険未加入。

企業)が存在し、技能労働者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保さ

れず、若年入職者減少の一因となってきたほか、関係法令を遵守して適正に法定福利

費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が生じています。

このような状況を踏まえ、関係者が一体となって社会保険等未加入問題に対する総

合的な対策を進めているところであり、平成27年1月19日には、建設業団体や労働組

合等の建設業関係団体、国土交通省、厚生労働省等の関係行政機関、学識経験者等か

ら構成される社会保険未加入対策推進協議会において、別添1「法定福利費を内訳明

示した見積書の活用による法定福利費の確保に向けた関係者の更なる取組の強化につ

いて」のとおり、法定福利費の確保に向けた関係者の取組を更に強化することを申し

合わせたところです。

また、下請企業を中心に保険未加入企業が存在している状況を改善していくために

は、元請企業において下請企業の保険加入を指導する役割を担うことが求められてい

ることから、建設業における社会保険等への加入について、元請企業及び下請企業が

それぞれ負うべき役割と責任を明確にし、建設企業の取組の指針となるべきものとし

て平成24年7月に「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」が制定されてお

りましたが、今般、平成29年度の目標達成を見据え、社会保険等への加入徹底に向け

た取組を一層強化するため、上記申し合わせの趣旨等も踏まえつつ、本ガイドライン

について別添2のとおり改訂を行うことといたしました。

つきましては、貴団体傘下の会員企業等に対して、別添申し合わせの内容及び改訂

される本ガイドラインの内容について、速やかに周知徹底をお願いするとともに、こ

れらの趣旨を踏まえた社会保険等への加入徹底に向けた取組が着実に行われるよう、

適切な指導を行っていただくようお願いいたします。

なお、本ガイドラインの改訂内容については、本年4月1日から適用することとして

おります。

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社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン

第1 趣旨 建設産業においては、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険(以下「社会保険」という。)

について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち保険未加入企業)が存在し、技能

労働者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保されず、若年入職者減少の一因

となっているほか、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する事業者ほど競争上不利

になるという矛盾した状況が生じている。 この対策に際しては、「建設産業の再生と発展のための方策2011」(平成23年6月2

3日建設産業戦略会議取りまとめ)及び中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会

建設部会基本問題小委員会中間とりまとめ(平成24年1月27日)において示されている

とおり、建設産業全体としての枠組みを整備し、行政、元請企業及び下請企業が一体となっ

て取り組んでいくことが必要である。 このため、建設産業行政としては、建設業許可部局において、社会保険担当部局との連携

を図りつつ、建設業許可・更新時や立入検査等における確認・指導、経営事項審査の厳格化、

社会保険担当部局への通報等を行うこととしたところである。 また、平成26年9月30日に改正された公共工事の入札及び契約の適正化を図るための

措置に関する指針(平成13年3月9日閣議決定)においては、「公平で健全な競争環境を

構築する観点からは、社会保険に加入し、法定福利費を適切に負担する建設業者を確実に契

約の相手方とすることが重要である。このため、法令に違反して社会保険に加入していない

建設業者について、公共工事の元請業者から排除するため、定期の競争参加資格審査等で必

要な対策を講ずるものとする」ほか、「元請業者に対し社会保険未加入業者との契約締結を

禁止することや、社会保険未加入業者を確認した際に建設業許可行政庁又は社会保険担当部

局へ通報すること等の措置を講ずることにより、下請業者も含めてその排除を図るものとす

る」こととされたところである。 他方で、下請企業を中心に保険未加入企業が存在している状況を改善していくためには、

元請企業において下請企業の保険加入を指導する役割を担うことが求められる。これについ

ては、従来から「建設産業における生産システム合理化指針」(平成3年2月5日建設省経

構発第2号)において、元請企業が下請企業に対して社会保険の加入及び保険料の納付につ

いて措置するよう指導等を行うことを求めているが、平成24年5月には、下請企業の保険

加入状況を把握することを通じて、適正な施工体制の確保に資するため、施工体制台帳の記

載事項及び再下請負通知書の記載事項に健康保険等の加入状況を追加すること等を内容と

する建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号。以下「規則」という。)の改正を行

ったところである。 中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会による「当

面講ずべき施策のとりまとめ」(平成26年1月)においては、「平成29年度までに事業者

単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では少なくとも製造業相当の加入状況を目

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指すべきである」とされており、本ガイドラインは、この目標を達成するため、建設業にお

ける社会保険の加入について、元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確

にしたものであり、建設企業の取組の指針となるべきものである。

第2 元請企業の役割と責任 (1)総論

元請企業は、請け負った工事の全般について、下請企業よりも広い責任や権限を持って

いる。この責任・権限に基づき元請企業が発注者との間で行う請負価格、工期の決定など

は、下請企業の経営の健全化にも大きな影響をもたらすものであることから、下請企業の

企業体質の改善について、元請企業も相応の役割を分担することが求められる。 このような観点から、元請企業はその請け負った建設工事におけるすべての下請企業に

対して、適正な契約の締結、適正な施工体制の確立、雇用・労働条件の改善、福祉の充実

等について指導・助言その他の援助を行うことが期待される。 とりわけ社会保険については、関係者を挙げて未加入問題への対策を進め、社会保険加

入を徹底することにより、技能労働者の雇用環境の改善や不良不適格業者の排除に取り組

むことが求められており、元請企業においても下請企業に対する指導等の取組を講じる必

要がある。 建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51年法律第33号)においても、元方

事業主は関係請負人に対して雇用保険その他建設労働者の福利厚生に関する事項等の適

正な管理に関して助言、指導その他の援助を行うように努めることとされている(第8条

第2項)。 本ガイドラインによる下請指導の対象となる下請企業は、元請企業と直接の契約関係に

ある者に限られず、元請企業が請け負った建設工事に従事するすべての下請企業であるが、

元請企業がそのすべてに対して自ら直接指導を行うことが求められるものではなく、直接

の契約関係にある下請企業に指示し、又は協力させ、元請企業はこれを統括するという方

法も可能である。もっとも、直接の契約関係にある下請企業に実施させたところ指導を怠

った場合や、直接の契約関係にある下請企業がその規模等にかんがみて明らかに実施困難

であると認められる場合には、元請企業が直接指導を行うことが必要である。 元請企業においては、支店や営業所を含めて、その役職員に対する本ガイドラインの周

知徹底に努めるものとする。 (2)協力会社組織を通じた指導等

元請企業による下請指導は、特定の建設工事の期間中、すなわち、元請・下請関係が継

続している間実施する必要があるが、元請企業の協力会や災害防止協会等の協力会社組織

に所属する建設企業(以下「協力会社」という。)に対しては、長期的な観点から指導を

行うことが望まれる。また、保険未加入対策を効果的なものとするためには、元請企業に

おいて保険未加入の協力会社とは契約しないことや、保険未加入の建設労働者の現場入場

を認めないことを具体的に予定しつつ、協力会社の指導に取り組んでいくことが求められ

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る。 このため、元請企業としては、様々な機会をとらえて協力会社の社会保険に対する意識

を高めることが重要であり、具体的には次の取組を行うべきである。 ア 協力会社の社会保険加入状況について定期に把握を行うこと。 イ 協力会社組織を通じた社会保険の周知啓発や加入勧奨を行うこと。 ウ 適正に加入していない協力会社が判明した場合には、早期に加入手続を進めるよう指

導すること。労働者であるにもかかわらず社会保険の適用除外者である個人事業主とし

て作業員名簿に記載するケースや、個々の工事で4人以下の適用除外者を記載した作業

員名簿を提出する個人事業主が実際には5人以上の常用労働者を雇用すると判明する

ケースなど、不自然な取扱いが見られる協力会社についても、事実確認をした上で適正

に加入していないと判明した場合には、同様に指導を行うこと。 エ 社会保険の未加入企業が二次や三次等の下請企業に多くみられる現状にかんがみ、協

力会社から再下請企業に対してもこれらの取組を行うよう指導すること。 加えて、平成29年度以降を見据え、すべての下請企業を適切な保険に加入したものに

限定した工事を試行的に実施し、その取組を拡大することが望ましい。作業員についても、

工事の規模等に鑑みて可能である場合には、すべての作業員を適切な保険に加入したもの

に限定した工事を試行的に実施することが望ましい。 (3)下請企業選定時の確認・指導等

元請企業は、下請企業の選定に当たっては、法令上の義務があるにもかかわらず適切に

社会保険に加入しない建設企業は社会保険に関する法令を遵守しない不良不適格業者で

あるということ(公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針参照)

を踏まえる必要がある。 このため、下請契約に先立って、選定の候補となる建設企業について社会保険の加入状

況を確認し、適用除外でないにもかかわらず未加入である場合には、早期に加入手続を進

めるよう指導を行うこと。この確認に当たっては、必要に応じ、選定の候補となる建設企

業に保険料の領収済通知書等関係資料のコピーを提示させるなど、真正性の確保に向けた

措置を講ずるよう努めること。なお、雇用保険については、厚生労働省の労働保険適用事

業場検索サイト(http://chosyu-web.mhlw.go.jp/LIC_D)において適用状況を確認するこ

とができる。 ついては、下請企業には、適切な保険に加入している建設企業を選定すべきであり、遅

くとも平成29年度以降においては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全部又は一部

について、適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請企業として選定

しないとの取扱いとすべきである。 (4)再下請負通知書を活用した確認・指導等

施工体制台帳の作成及び備付け又は写しの提出が義務付けられる建設工事において、再

下請負がなされる場合には、発注者から直接建設工事を請け負った元請負人に対して下請

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負人から再下請負通知書が提出される。規則第14条の4の規定により、再下請負通知書

の記載事項に健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の加入状況に関する事項が追加された

ことから、発注者から直接建設工事を請け負った元請負人においては、再下請負通知書を

活用して下請負人の社会保険の加入状況を確認することが可能である。(別紙1) このため、建設業者たる元請企業は、再下請負通知書の「健康保険等の加入状況」欄に

より下請企業が社会保険に加入していることを確認すること。この確認の結果、適用除外

でないにもかかわらず未加入である下請企業があり、(3)の指導が行われていない場合

には、(3)と同様の指導を行うこと。 施工体制台帳については、別紙2の作成例を参考とし、適正な施工体制を確保すること。

(5)作業員名簿を活用した確認・指導

施工体制台帳及び再下請負通知書に関する規則の規定の改正に合わせて、各団体等が作

成している作業員名簿の様式においても、各作業員の加入している健康保険、年金保険及

び雇用保険の名称及び被保険者番号等の記載欄が追加されている。(別紙3) この作業員名簿を活用することで、建設工事の施工現場で就労する建設労働者について、

健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の加入状況(以下「保険加入状況」という。)を把

握することが可能である。これを受け、元請企業は、新規入場者の受け入れに際して、各

作業員(建設業に従事する者に限る。以下同じ。)について作業員名簿の社会保険欄を確

認すること。確認の結果、 ・全部又は一部の保険について空欄となっている作業員 ・法人に所属する作業員で、健康保険欄に「国民健康保険」と記載され、又は(及び)年

金保険欄に「国民年金」と記載されている者 ・個人事業所で5人以上の作業員が記載された作業員名簿において、健康保険欄に「国民

健康保険」と記載され、又は(及び)年金保険欄に「国民年金」と記載されている作業

員 がある場合には、作業員名簿を作成した下請企業に対し、作業員を適切な保険に加入させ

るよう指導すること。なお、法人や5人以上の常用労働者を雇用する個人事業所に所属す

る作業員であっても、臨時に使用され1か月以内で日々雇用される者等は、健康保険や厚

生年金保険の適用除外となる。 元請企業が、各作業員の保険加入状況が記録された情報システムを利用するなど、作業

員名簿の確認以外の方法により各作業員の保険加入状況を把握できる場合には、当該方法

による確認も可能である。 各作業員の保険加入状況の確認を行う際には、必要に応じ、下請企業に社会保険の標準

報酬決定通知書等関係資料のコピー(保険加入状況の確認に必要な事項以外を黒塗りした

ものでも構わない)を提示させるなど、記載事項の真正性の確保に向けた措置を講ずるよ

う努めること。情報システムを利用して各作業員の保険加入状況を確認する場合にあって

は、必要な資料を電子データで添付する方法により提示させることも可能である。 なお、作業員名簿に記載する被保険者番号等は個人情報の保護に関する法律(平成15

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年法律第57号)第2条第1項に規定する個人情報に該当することから、同法及び「国土

交通省所管分野における個人情報保護に関するガイドライン」(平成24年国土交通省告

示第363号)に留意し、適切に取り扱うことが必要である。 遅くとも平成29年度以降においては、適切な保険に加入していることを確認できない

作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとす

べきである。 (6)施工体制台帳の作成を要しない工事における取扱い

下請契約の総額が建設業法施行令(昭和31年政令第273号)で定める金額を下回る

ことにより施工体制台帳の作成等が義務付けられていない民間工事の場合であっても、建

設工事の適正な施工を確保する観点から、元請企業は規則第14条の2から第14条の7

までの規定に準拠した施工体制台帳の作成等が勧奨されているところである(「施工体制

台帳の作成等について」(平成7年6月20日建設省経建発第147号)参照)。 建設工事の施工に係る下請企業の社会保険の加入状況及び各作業員の保険加入状況に

ついても、元請企業は適宜の方法によって把握し、未加入である場合には指導を行うべき

である。 (7)建設工事の施工現場等における周知啓発

下請企業や建設労働者に対し、社会保険の加入に関する周知啓発を図るため、次の取組

を継続して行うべきである。 ア 建設工事の施工現場において社会保険の加入に関するポスターの掲示、パンフレット

等の資料及び情報の提供、講習会の開催等の周知啓発を行うこと。 イ (2)に記載したとおり、協力会社組織を通じた社会保険の周知啓発や加入勧奨を行

うこと。 (8)法定福利費の適正な確保

建設産業においては、専門工事業団体等が作成した標準見積書の活用等による法定福利

費相当額を内訳明示した見積書を下請企業から元請企業に提出する取組が行われている

ところであり、これを提出する環境づくりが必要である。 そもそも、社会保険の保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利

費であり、建設業法(昭和24年法律第100号)第19条の3に規定する「通常必要と

認められる原価」に含まれるものである。 このため、元請負人及び下請負人は見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保

する必要がある。 その上で、元請負人は、標準見積書の活用等による法定福利費相当額を内訳明示した見

積書を提出するよう下請負人に働きかけるとともに、提出された見積書を尊重して下請負

契約を締結しなければならない。 具体的には、元請負人は、社会保険の保険料が建設業者が義務的に負担しなければなら

127

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6

ない経費であり、上記「通常必要と認められる原価」に含まれるものであることを踏まえ、

下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、元請負人に提示でき

るよう、見積条件の提示の際、適正な法定福利費を内訳明示した見積書(特段の理由によ

り、これを作成することが困難な場合にあっては、適正な法定福利費を含んだ見積書)を

提出するよう明示しなければならない。加えて、社会保険の加入に必要な法定福利費につ

いては、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づいて請負金額

に適切に反映することも必要である。 下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元

請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや請

負金額を構成する他の費用(材料費、労務費、その他経費など)で減額調整を行うなど、

実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し、そ

の結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の

取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反する

おそれがあるので、これを厳に慎むこと。 第3 下請企業の役割と責任 社会保険に関する法令に基づいて従業員の社会保険への加入義務を負っているのは雇用

主である。そのため、社会保険加入を徹底するためには、建設労働者を雇用する者、特に下

請企業自らがその責任を果たすことが必要不可欠である。 具体的には、次の責任を果たすべきである。

ア 下請企業はその雇用する労働者の社会保険加入手続を適切に行うこと。建設労働者につ

いて、労働者である社員と請負関係にある者の二者を明確に区別した上で、労働者である

社員についての保険加入手続を適切に行うことが必要である。また、施工体制台帳、再下

請負通知書及び作業員名簿については、下請負人と建設労働者との関係を正しく認識した

上で記載すること。事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあっ

た労働者を対象に個人事業主として請負契約を結ぶことは、たとえ請負契約の形式であっ

ても実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法(昭和22年法律第141号)

等の労働関係法令に抵触するおそれがある。 労働者であるかどうかは、

・仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無 ・業務遂行上の指揮監督の有無 ・勤務時間の拘束性の有無 ・本人の代替性の有無 ・報酬の労務対償性 をはじめ関連する諸要素を勘案して総合的に判断されるべきものであるが、保険未加入対

策の推進を契機に、従来の慣行が適正なものかどうか見直しを行うこと。 その際には、期間の定めのない労働契約による正社員、工期に合わせた期間の定めのあ

る労働契約による契約社員とすることもあり得るものであり、その実情に応じて建設労働

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7

者の処遇が適切に図られるようにすること。 イ 元請企業が行う指導に協力すること。この協力は、元請企業が行う指導の相手方として

指導に沿った対応をとることにとどまらず、元請企業の指導が建設工事の施工に携わるす

べての下請企業に行き渡るよう、元請企業による指導の足りないところを指摘、補完し、

もしくはこれを分担することや、再下請企業が雇用する各作業員の保険加入状況を確認し、

自社の雇用者も含めてその真正性の確保に向けた措置を講ずるよう努めること、それらの

状況について元請企業に情報提供することなども含まれる。 規則第14条の4の規定の改正を受けた再下請通知書については、別紙1の作成例を参

考とし、適正な施工体制を確保すること。 なお、作業員名簿に記載する被保険者番号等は個人情報の保護に関する法律第2条第1

項に規定する個人情報に該当することから、同法及び「国土交通省所管分野における個人

情報保護に関するガイドライン」に留意し、適切に取り扱うことが必要である。特に、作

業員名簿の元請企業への提出に当たっては、利用目的(保険加入状況を元請企業に確認さ

せること)を示した上で、あらかじめ作業員の同意を得ることが必要となることに留意す

ること。 ウ 建設労働者の社会保険への加入促進を図るためには、建設労働者を直接雇用する下請企

業が法定福利費を適切に確保する必要がある。そのため、下請企業は自ら負担しなければ

ならない法定福利費を適正に見積り、標準見積書の活用等により法定福利費相当額を内訳

明示した見積書を注文者に提出し、雇用する建設労働者が社会保険に加入するために必要

な法定福利費を確保すること。 エ 請け負った建設工事を他の建設業を営むものに再下請負させた場合には、第2(8)と

同様に再下請負人の法定福利費を適正に確保するよう努めること。 具体的には、社会保険の保険料は建設業者が義務的に負担しなければならない経費であ

り、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものであ

ることを踏まえ、再下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積ると

ともに提出する見積書に明示できるよう、見積条件の提示の際、適正な法定福利費を内訳

明示した見積書(特段の理由により、これを作成することが困難な場合にあっては、適正

な法定福利費を含んだ見積書)を提出するよう明示することが望ましい。その際、社会保

険の加入に必要な法定福利費については、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場

における合意に基づいて請負金額に適切に反映することも求められる。 第4 施行期日等 本ガイドラインは、平成24年11月1日から施行する。(平成27年4月1日一部改訂) このガイドラインは、今後、建設業における社会保険の加入状況や社会保険未加入対策の

取組状況及び成果、本ガイドラインに基づく取組状況等を踏まえて必要があると認めるとき

は、速やかにガイドラインの見直しなど所要の措置を講ずるものとする。

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別紙1 再下請負通知書の作成例

年 月 日

 

資 格 内 容 担当工事 内容

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

有  無外国人技能実習生の従事の状況(有無)

有  無

権限及び意見申出方法

専 門 技 術 者 名

主 任 技 術 者 名専 任非専任

資 格 内 容

現 場 代 理 人 名 雇用管理責任者名

権限及び意見申出方法

安全衛生推進者名

監 督 員 名 安全衛生責任者名

事業所整理記号等

営業所の名称2 健康保険3 厚生年金保険4 雇用保険5

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外健康保険等

の加入状況

保険加入の有無1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険

工事業大臣 特定

第    号   年  月  日知事 一般

工事業大臣 特定

第    号   年  月  日知事 一般建 設 業 の許 可

施工に必要な許可業種 許 可 番 号 許可(更新)年月日

工 期自      年   月   日

至      年   月   日

注文者との契 約 日

年   月   日 

《自社に関する事項》工 事 名 称及 び工 事 内 容

会 社 名

代表者名

元 請 名 称

【報告下請負業者】

住 所

再下請負通知書

直 近 上 位注 文 者 名

1.各保険の適用を受ける営業所について届出を行っている場合には「加入」、行っていない場合(適用を受ける営業所が複数あり、そのうち一部について行っていない場合を含む)は「未加入」、従業員規模等により各保険の適用が除外される場合は「適用除外」を○で囲む。

2.請負契約に係る営業所の名称を記載。

3.事業所整理記号及び事業所番号(健康保険組合にあっては組合名)を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整理記号及び事業所番号を記載。

4.事業所整理記号及び事業所番号を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整理記号及び事業所番号を記載。 5.労働保険番号を記載。継続事業の一括の認可に係る営業所の場合は、本店の労働保険番号を記載。

※2~5については、直近上位の注文者との請負契約に係る営業所以外の営業所で再下請負業者との請負契約を行う場合には欄を

追加。

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9

 

有  無

専門技術者名

資格内容

担当工事内容

資格内容

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

現場代理人名

権限及び意見申出方法

主任技術者名専 任非専任

健康保険等の加入状況

保険加入の有無1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険

事業所整理記号等

健康保険3 厚生年金保険4

安全衛生推進者名

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

安全衛生責任者名

雇用保険5

《再下請負関係》再下請負業者及び再下請負契約関係について次のとおり報告いたします。

会 社 名 代 表 者 名

工 期自      年   月   日

至      年   月   日

契 約 日 年   月   日 

住 所電 話 番 号

工 事 名 称及 び工 事 内 容

建 設 業 の許 可

施工に必要な許可業種 許 可 番 号 許可(更新)年月日

工事業大臣 特定

第    号   年  月  日知事 一般

工事業

有  無外国人技能実習生の従事の状況(有無)

大臣 特定 第    号   年  月  日知事 一般

営業所の名称2

雇用管理責任者名

1.各保険の適用を受ける営業所について届出を行っている場合には「加入」、行っていない場合(適用を受ける営業所が複数あり、そのうち一部について行っていない場合を含む)は「未加入」、従業員規模等により各保険の適用が除外される場合は「適用除外」

を○で囲む。 2.請負契約に係る営業所の名称を記載。

3.事業所整理記号及び事業所番号(健康保険組合にあっては組合名)を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整

理記号及び事業所番号を記載。

4.事業所整理記号及び事業所番号を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整理記号及び事業所番号を記載。 5.労働保険番号を記載。継続事業の一括の認可に係る営業所の場合は、本店の労働保険番号を記載。

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別紙2 施工体制台帳の作成例

年 月 日

 

 

担 当工 事 内 容

担 当工 事 内 容

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

有  無外国人技能実習生の従事の状況(有無)

有  無

専 門技 術 者 名

専 門技 術 者 名

資 格 内 容 資 格 内 容

現 場代 理 人 名

権限及び意見申 出 方 法

監理技術 者名

主任技術 者名

専 任非専任

資 格 内 容

監 督 員 名権限及び意見申 出 方 法

発 注 者 の監 督 員 名

権限及び意見申 出 方 法

下請契約

元請契約事業所整理記号等

区分 営業所の名称2 健康保険3 厚生年金保険4 雇用保険5

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

健康保険等の加入状況

保険加入の有無1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険

下請契約

契 約営 業 所

区 分 名         称 住         所

元請契約

工 期自      年   月   日

至      年   月   日契 約 日 年   月   日 

知事 一般

工 事 名 称及 び工 事 内 容

発 注 者 名及 び住 所

工事業大臣 特定

第    号   年  月  日

工事業大臣 特定

第    号   年  月  日知事 一般

[事業所名]

建 設 業 の許 可

許 可 業 種 許 可 番 号 許可(更新)年月日

施工体制台帳

[ 会 社 名 ]

1.各保険の適用を受ける営業所について届出を行っている場合には「加入」、行っていない場合(適用を受ける営業所が複数あり、

そのうち一部について行っていない場合を含む)は「未加入」、従業員規模等により各保険の適用が除外される場合は「適用除外」を○で囲む。

2.元請契約に係る営業所の名称及び下請契約に係る営業所の名称をそれぞれ記載。 3.事業所整理記号及び事業所番号(健康保険組合にあっては組合名)を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整

理記号及び事業所番号を記載。 4.事業所整理記号及び事業所番号を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整理記号及び事業所番号を記載。

5.労働保険番号を記載。継続事業の一括の認可に係る営業所の場合は、本店の労働保険番号を記載。

※2~5については元請契約に係る営業所で下請契約を行う場合は下請契約の欄に「同上」と記載。

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住 所

許 可 番 号 許可(更新)年月日

工事業

《下請負人に関する事項》

会 社 名 代 表 者 名

  年  月  日知事 一般

第    号工事業

工 事 名 称及 び工 事 内 容

工 期自      年   月   日

至      年   月   日契 約 日 年   月   日 

専門技術者名

  年  月  日知事 一般

建 設 業 の許 可

施工に必要な許可業種

大臣 特定

大臣 特定 第    号

保険加入の有無1

加入  未加入適用除外

健康保険

事業所整理記号等

資格内容

健康保険等の加入状況 営業所の名称2 雇用保険5健康保険3 厚生年金保険4

厚生年金保険 雇用保険

加入  未加入適用除外

加入  未加入適用除外

現場代理人名

権限及び意見申出方法

主任技術者名専 任非専任

安全衛生責任者名

安全衛生推進者名

雇用管理責任者名

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

有  無外国人技能実習生の従事の状況(有無)

有  無

資格内容

担当工事内容

1 各保険の適用を受ける営業所について届出を行っている場合には「加入」、行っていない場合(適用を受ける営業所が複数あり、

そのうち一部について行っていない場合を含む)は「未加入」、従業員規模等により各保険の適用が除外される場合は「適用除外」を○で囲む。

2 請負契約に係る営業所の名称について記載。 3 事業所整理記号及び事業所番号(健康保険組合にあっては組合名)を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整

理記号及び事業所番号を記載。 4 事業所整理記号及び事業所番号を記載。一括適用の承認に係る営業所の場合は、本店の整理記号及び事業所番号を記載。

5 労働保険番号を記載。継続事業の一括の認可に係る営業所の場合は、本店の労働保険番号を記載。 ※2~5については、請負契約に係る営業所以外の営業所で再下請契約を行う場合には欄を追加。

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別紙3 作業員名簿の作成例 ○社会保険関係について別葉とする例

提出日 平成 年 月 日

作 業 員 名 簿 事業所の名称 一 次 二 次 所長名 会社名 会社名 番

号 ふりがな 社 会 保 険 氏 名 健康保険 1 年金保険 2 雇用保険 3

○既存の様式に社会保険関係を組み込む例

提出日 平成 年 月 日

作 業 員 名 簿 事業所の名称 一 次 二 次 所長名 会社名 会社名 番号

ふりがな 職種

最近の健康診断日 特殊健康診断日 健康保険 1 教育・ 実施年月日

氏 名 血圧 種 類 年金保険2 雇入・職長

特別教育 入場年月日 教育実施日) 血液型 雇用保険3

班長コード 年 月 日

年 月 日

年 月 日

班長コード 年 月 日

年 月 日

年 月 日

班長コード 年 月 日 年 月 日

年 月 日

元請確認欄

元請確認欄

1 上段に健康保険の名称(健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険)、下段に健康保険被保険者証の番号の下4けた

(番号が4桁以下の場合は、当該番号)を記載。上記の保険に加入しておらず、後期高齢者である等により、国民健康保険の適用除外である場合には、上段に「適用除外」と記載。

2 上段に年金保険の名称(厚生年金、国民年金等)を記載。各年金の受給者である場合は、上段に「受給者」と記載。

3 下段に被保険者番号の下4けたを記載。(日雇労働被保険者の場合には上段に「日雇保険」と記載)事業主である等により雇用保険の適用除外である場合には上段に「適用除外」と記載。

1 左欄に健康保険の名称(健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険)、右欄に健康保険被保険者証の番号の下4けた

(番号が4桁以下の場合は、当該番号)を記載。上記の保険に加入しておらず、後期高齢者である等により、国民健康保険の適用除外である場合には、左欄に「適用除外」と記載。

2 左欄に年金保険の名称(厚生年金、国民年金等)を記載。各年金の受給者である場合は、左欄に「受給者」と記載。

3 右欄に被保険者番号の下4けたを記載。(日雇労働被保険者の場合には左欄に「日雇保険」と記載)事業主である等により雇用保険の適用除外である場合には左欄に「適用除外」と記載。

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1

外国人建設就労者受入事業に関する下請指導ガイドライン

第1 趣旨 復興事業の更なる加速を図りつつ、2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会の関

連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するため、2020 年度までの緊急かつ時

限的な措置として、国内での人材確保に最大限努めることを基本とした上で、即戦力となり

得る外国人材の活用促進を図ることが平成 26 年 4 月 4 日の「建設分野における外国人材の

活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議」においてとりまとめられた。 また、この緊急かつ時限的な措置として即戦力となる外国人建設就労者の受入れを行う外

国人建設就労者受入事業の適正かつ円滑な実施を図ることを目的として、その具体的な内容

を定める「外国人建設就労者受入事業に関する告示」(平成 26 年国土交通省告示第 822 号)

が今般定められたところである。 この「外国人建設就労者受入事業に関する告示」においては、外国人建設就労者を雇用契

約に基づく労働者として受け入れて建設特定活動に従事させる受入建設企業は、「国土交通

省が別に定めるところにより、元請企業から報告を求められたときは、誠実にこれに対応す

るとともに、元請企業の指導に従わなければならない。」とされている(第6の4)。 本ガイドラインは、外国人建設就労者受入事業について、元請企業及び下請企業がそれぞ

れ負うべき役割と責任を明確にすることにより、外国人建設就労者受入事業の適正かつ円滑

な実施を図ることを目的とする。 第2 元請企業の役割と責任 (1)総論

元請企業は、請け負った工事の全般について、下請企業よりも広い責任や権限を持っ ている。この責任・権限に基づき元請企業が発注者との間で行う請負価格、工期の決定

などは、下請企業の経営の健全化にも大きな影響をもたらすものであることから、下請

企業の企業体質の改善について、元請企業も相応の役割を分担することが求められる。 このような観点から、元請企業はその請け負った建設工事におけるすべての下請企業

に対して、適正な契約の締結、適正な施工体制の確立、雇用・労働条件の改善、福祉の

充実等について指導・助言その他の援助を行うことが期待される。 建設業法(昭和24年法律第100号)では、第24条の6において、元請企業の下

請企業に対する指導等が規定されているところである。 また、外国人建設就労者についても、関係者を挙げて事業の適正化を進めることが必

要であり、元請企業においても受入建設企業に対する指導等の取組を講じる必要がある。 本ガイドラインによる下請指導の対象となる受入建設企業は、元請企業と直接の契約

関係にある者に限られず、元請企業が請け負った建設工事に従事するすべての受入建設

企業であるが、元請企業がそのすべてに対して自ら直接指導を行うことが求められるも

のではなく、直接の契約関係にある下請企業に指示し、又は協力させ、元請企業はこれ

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2

を統括するという方法も可能である。もっとも、直接の契約関係にある下請企業に実施

させたところ指導を怠った場合や、直接の契約関係にある下請企業がその規模等にかん

がみて明らかに実施困難であると認められる場合には、元請企業が直接指導を行うこと

が必要である。 元請企業においては、支店や営業所を含めて、その役職員に対する本ガイドラインの

周知徹底に努めるものとする。

(2)再下請負通知書を活用した確認・指導等 施工体制台帳の作成及び備付けが義務付けられる建設工事において、再下請負がなさ

れる場合には、下請負人から特定建設業者に対して再下請負通知書が提出される。規則

第14条の4の規定の改正により、再下請負通知書の記載事項に外国人技能実習生又は

外国人建設就労者の従事の状況に関する事項が追加されたことから、特定建設業者にお

いては、再下請負通知書を活用して下請負人の外国人建設就労者の従事の状況を確認す

ることが可能となった。(別紙1) また、元請企業は、受入建設企業の管理指導員から外国人建設就労者建設現場入場届

出書(別紙2)による報告があった場合、その記載内容と実際の受入状況の整合性に加

え、以下の①から③の事項について確認すること(外国人建設就労者の受入れが確認さ

れたにも関わらず、別紙2による報告がない場合は、別紙2による報告を受入建設企業

の管理指導員に求めること)。あわせて、別紙2の記載内容に変更がある場合、受入建設

企業から元請企業に変更の届出を行うよう指導すること。 ①就労させる場所 外国人建設就労者建設現場入場届出書の「1.建設工事に関する事項」のうち「施

工場所」が適切な記載となっているかどうか。具体的には、「3.受入建設企業・適正

監理計画に関する事項」の「就労場所」の範囲内であるかどうか。 ②従事させる業務の内容 外国人建設就労者建設現場入場届出書の「2.建設現場への入場を申請する外国人

建設就労者に関する事項」のうち「従事させる業務」が、適切な記載となっているか

どうか。具体的には、「3.受入建設企業・適正監理計画に関する事項」の「従事させ

る業務の内容」と同一であるかどうか。 ③従事させる期間 外国人建設就労者建設現場入場届出書の「2.建設現場への入場を申請する外国人

建設就労者に関する事項」のうち「現場入場の期間」が、適切な記載となっているか

どうか。具体的には、「3.受入建設企業・適正監理計画に関する事項」の「従事させ

る期間(計画期間)」の範囲内であるかどうか。 外国人建設就労者現場入場届出書の記載内容と実際の受入状況の整合性が確認できな

い場合、適正監理計画に基づいた外国人建設就労者の受入れが行われるよう、受入建設

企業を指導すること。

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3

また、別紙2による報告があった後、その記載内容と実際の受入状況に関して明らか

な齟齬が確認された場合は、別紙2により変更の届出を行うよう受入建設企業を指導す

ること。 受入建設企業が上記報告の求めに応じない場合や指導に従わないような場合には、所

属する元請企業団体を通じて適正監理推進協議会への報告を行うこと。 なお、元請企業団体に所属していない元請企業は、直接適正監理推進協議会事務局へ

の報告を行うこと。 また、規則第14条の4の規定の改正を受けた施工体制台帳については、別紙3の作

成例を参考とし、施工体制を適切に把握するとともに、必要に応じて建設業法第24条

の6第1項の規定に基づく指導を行うなど、適正な施工体制の確保に努めること。 なお、元請企業団体は、上記確認・指導の実施の状況及びその結果について集計し、

適正監理推進協議会への報告を行うこと。

(3)施工体制台帳の作成を要しない工事における取扱い 下請契約の総額が建設業法施行令(昭和31年政令第273号)で定める金額を下回

ることにより施工体制台帳の作成等が義務付けられていない民間工事であっても、建設

工事の適正な施工を確保する観点から、元請企業は規則第14条の2から第14条の7

までの規定に準拠した施工体制台帳の作成等が勧奨されているところである(「施工体制

台帳の作成等について」(平成7年6月20日建設省経建発第147号)参照)。 建設工事の施工に係る受入建設企業の外国人建設就労者の受入状況についても、元請

企業は適宜の方法によって把握し、必要な報告徴求及び指導を行うことが望ましい。 (4)外国人建設就労者の現場入場について

元請企業は、適正な手順を踏まえて受入建設企業が雇用する外国人建設就労者につい

て、(1)から(3)に記載の役割及び責任が新たに生じること等を理由として、その現

場入場を不当に妨げてはならない。 第3 受入建設企業の役割と責任

事業の円滑な実施・運営にあたっては、外国人建設就労者を雇用する受入建設企業自らが

積極的にその責任を果たすことが必要不可欠である。具体的には、規則第14条の4の規定

の改正を受けた再下請通知書については、別紙1の作成例を参考とし、適正な施工体制の確

保に努めるとともに、外国人建設就労者を雇用し、現場に新規入場させる場合には、別紙2

の作成例を参考(既存の様式等別紙2以外の様式を用いる場合であっても別紙2に記載の項

目を満たすこと)として、適正監理計画の内容に基づいて現場ごとに外国人建設就労者建設

現場入場届出書を作成し、管理指導員を通じて元請企業に提出するほか、別紙2の記載内容

の変更がある場合には、元請企業に変更の届出を行うことが必要である。 第4 施行期日等

137

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4

本ガイドラインは、平成27年4月1日から施行する。 本ガイドラインは、外国人建設就労者受入事業の開始にあたって想定される取組を中心に

記載したものであり、今後、外国人建設就労者の受入状況、外国人技能実習制度の見直しの

状況等を踏まえて必要があると認めるときは、ガイドラインの見直しなど所要の措置を講ず

るものとする。

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別紙1 再下請負通知書の作成例 平成 年 月 日

再下請負通知書 直近上位 注文者名

【報告下請負業者】 住 所

会 社 名

代表者名 ≪自社に関する事項≫ 工事名称及び 工 事 内 容

工 期 自 平成 年 月 日 至 平成 年 月 日

注文者との 契 約 日 平成 年 月 日

建設業の 許 可

施工に必要な許可業種 許 可 番 号 許可(更新)年月日 工事業 大臣 特定

知事 一般 第 号 平成 年 月 日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

健康保険等の 加入状況 保険加入の

有無 1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険 加入 未加入

適用除外 加入 未加入

適用除外 加入 未加入

適用除外 事業所

整理記号等

営業所の名称 2 健康保険 3 厚生年金保険 4 雇用保険 5

現 場 代 理 人 名 雇用管理責任者名

権限及び 意見申出方法 専門技術者名

主任技術者 専 任 非専任

資格内容

資格内容 担当工事内容

外国人建設就労者の

従事の状況(有無) 有 無 外国人技能実習生の

従事の状況(有無) 有 無

元請名称

1.出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の二の表の技能実習の在留資格

を決定された者(以下「外国人技能実習生」という。)が当該建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。

2.同法別表第一の五の表の上欄の在留資格を決定された者であって、国土交通大臣が定めるもの(以下「外

国人建設就労者」という。)が、建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。

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≪再下請負関係≫ 再下請負業者及び再下請負契約関係について次のとおり報告いたします。

会 社 名 代表者名

住 所

工事名及び 工 事 内 容

工 期 自 平成 年 月 日 至 平成 年 月 日 契約日 平成 年 月 日

建設業の 許 可

施工に必要な許可業種 許 可 番 号 許可(更新)年月日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

健康保険等の 加入状況

保険加入の

有無 1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険 加入 未加入

適用除外 加入 未加入

適用除外 加入 未加入

適用除外 事業所

整理記号等

営業所の名称 2 健康保険 3 厚生年金保険 4 雇用保険 5

現場代理人名

安全衛生責任者名

権限及び 意見申出方法 安全衛生推進者名

主任技術者 専 任 非専任 雇用管理責任者名

資格内容 専門技術者名

資格内容

担当工事内容

外国人建設就労者の

従事の状況(有無) 有 無 外国人技能実習生の

従事の状況(有無) 有 無

1.外国人技能実習生が当該建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。 2.外国人建設就労者が、建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。

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別紙2 外国人建設就労者現場入場届出書の作成例

外国人建設就労者建設現場入場届出書

工事事務所長 殿

平成 年 月 日

(受入建設企業の名称)

(責任者の職・氏名)

外国人建設就労者の建設現場への入場について下記のとおり届出ます。

1 建設工事に関する事項

建設工事の名称

施工場所

2 建設現場への入場を届け出る外国人建設就労者に関する事項

※ 4 名以上の入場を申請する場合、必要に応じて欄の追加や別紙とする等対応すること。

外国人建設就労者 1 外国人建設就労者 2 外国人建設就労者 3

氏名

生年月日

性別

国籍

従事させる業務

現場入場の期間

在留期間満了日

3 受入建設企業・適正監理計画に関する事項

適正監理計画認定番号

受入建設企業の所在地

元請企業との関係

(直近上位の企業名その他)

責任者 役職 氏名

管理指導員 役職 氏名

就労場所

従事させる業務の内容

従事させる期間(計画期間)

○添付書類 提出にあたっては下記に該当するものの写し各1部を添付すること

1 適正監理計画認定証 2 パスポート(国籍、氏名等と在留許可のある部分) 3 在留カード又は外国人登録証明書 4 受入建設企業と外国人建設就労者との間の雇用契約書及び雇用条件書(労働条件通知書)

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別紙3 施工体制台帳の作成例 平成 年 月 日

施工体制台帳

[会 社 名] [事業所名]

建設業の 許 可

許可業種 許 可 番 号 許可(更新)年月日

工事業大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

工事名称及び

工事内容

発注者及び 住 所

工 期 自 平成 年 月 日 至 平成 年 月 日 契約日 平成 年 月 日

契 約 営業所

区 分 名 称 住 所 元請契約 下請契約

監督員名 権限及び 意見申出方法

現場代理人名 権限及び 意見申出方法

監理技術者名 ○ 一郎 資格内容 一級土木施工管理技士

専門技術者名 契約書記載のとおり 専門技術者名

資格内容 専 任 非専任 ○○ 三郎

資格内容

資格内容 一級土木施工管理技士 担当工事内容

外国人建設就労者の

従事の状況(有無) 有 無 外国人技能実習生の

従事の状況(有無) 有 無

1.外国人技能実習生が当該建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。 2.外国人建設就労者が、建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。

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[一次下請負人に関する事項]

会 社 名 代表者名

住 所

工事名及び 工 事 内 容

工 期 自 平成 年 月 日 至 平成 年 月 日 契約日 平成 年 月 日

建設業の 許 可

施工に必要な許可業種 許可番号 許可(更新)年月日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

工事業 大臣 特定 知事 一般 第 号 平成 年 月 日

健康保険等の 加入状況

保険加入の

有無 1

健康保険 厚生年金保険 雇用保険 加入 未加入

適用除外 加入 未加入 適用除外

加入 未加入 適用除外

事業所 整理記号等

営業所の名称 2 健康保険 3 厚生年金保険 4 雇用保険 5

現場代理人名

安全衛生責任者名

権限及び 意見申出方法 安全衛生推進者名

主任技術者 専 任 非専任 雇用管理責任者名

資格内容 専門技術者名

資格内容

担当工事内容

外国人建設就労者の

従事の状況(有無) 有 無 外国人技能実習生の

従事の状況(有無) 有 無

1.外国人技能実習生が当該建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。 2.外国人建設就労者が、建設工事に従事する場合は「有」、従事する予定がない場合は「無」を○で囲む。

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1

○ 建設業許可事務ガイドラインについて

(平成 13 年4月3日国総建第 97 号 総合政策局建設業課長から地方整備局建政部長等あて)

最終改正 平成 27 年 1 月 30 日国土建第 246 号

国土交通大臣に係る建設業許可事務の取扱い等について、別添のとおりとりまとめたので、今後

の事務処理に当たって遺漏のないよう取り扱われたい。

[別添]

建設業許可事務ガイドライン

【第2条関係】

1.第2条第1項の別表第一の上欄に掲げる建設工事について

建設業法(昭和 24 年法律第 100 号。以下「法」という。)第2条第1項の別表第一の上欄に

掲げる建設工事については、昭和 47 年3月8日建設省告示第 350 号をもってその内容を示して

いるところであるが、その具体的な例は、別表1のとおりである。

この建設工事の内容及び例示は、現実の建設業における施工の実態を前提として、施工技術の

相違、取引の慣行等により分類したものであるが、各工事の内容はそれぞれ他の工事の内容と重

複する場合もある。

なお、土木一式工事及び建築一式工事については、必ずしも二以上の専門工事の組み合わせは

要件でなく、工事の規模、複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも

含まれる。

2.許可業種区分の考え方について

各業種における類似した建設工事の区分の考え方等については、次のとおりである。

(1)土木一式工事

① 「プレストレストコンクリート工事」のうち橋梁等の土木工作物を総合的に建設するプレ

ストレストコンクリート構造物工事は『土木一式工事』に該当する。

② 上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設

工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工

事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小

管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理

場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。

なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木

一式工事』に該当する。

(2)建築一式工事

ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の躯

体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。

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テキストボックス
※建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)附則 第1条第2号に掲げる規定の施行の日から適用
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2

(3)左官工事

① 防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業、防水工事業どちらの業種の許可でも施工可

能である。

② ラス張り工事及び乾式壁工事については、通常、左官工事を行う際の準備作業として当然

に含まれているものである。

③ 『左官工事』における「吹付け工事」とは、建築物に対するモルタル等を吹付ける工事を

いい、『とび・土工・コンクリート工事』における「吹付け工事」とは、「モルタル吹付け

工事」及び「種子吹付け工事」を総称したものであり、法面処理等のためにモルタル又は種

子を吹付ける工事をいう。

(4)とび・土工・コンクリート工事

① 『とび・土工・コンクリート工事』における「コンクリートブロック据付け工事」並びに

『石工事』及び『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリートブロック積み(張

り)工事」間の区分の考え方は以下のとおりである。根固めブロック、消波ブロックの据付

け等土木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事、プレキャス

トコンクリートの柱、梁等の部材の設置工事等が『とび・土工・コンクリート工事』におけ

る「コンクリートブロック据付け工事」である。建築物の内外装として擬石等をはり付ける

工事や法面処理、又は擁壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事等が『石

工事』における「コンクリートブロック積み(張り)工事」である。コンクリートブロック

により建築物を建設する工事等が『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリー

トブロック積み(張り)工事」であり、エクステリア工事としてこれを行う場合を含む。

② 『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』におけ

る「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負う

のが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てる

ことのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」であ

る。

③ 「プレストレストコンクリート工事」のうち橋梁等の土木工作物を総合的に建設するプレ

ストレストコンクリート構造物工事は『土木一式工事』に該当する。

④ 「地盤改良工事」とは、薬液注入工事、ウエルポイント工事等各種の地盤の改良を行う工

事を総称したものである。

⑤ 『とび・土工・コンクリート工事』における「吹付け工事」とは、「モルタル吹付け工事」

及び「種子吹付け工事」を総称したものであり、法面処理等のためにモルタル又は種子を吹

付ける工事をいい、建築物に対するモルタル等の吹付けは『左官工事』における「吹付け工

事」に該当する。

⑥ 「法面保護工事」とは、法枠の設置等により法面の崩壊を防止する工事である。

⑦ 「道路付属物設置工事」には、道路標識やガードレールの設置工事が含まれる。

⑧ 『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』

における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置ま

でを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の

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3

工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」である。

⑨ トンネル防水工事等の土木系の防水工事は『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリ

ート工事』に該当し、いわゆる建築系の防水工事は『防水工事』に該当する。

(5)石工事

『とび・土工・コンクリート工事』における「コンクリートブロック据付け工事」並びに『石

工事』及び『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリートブロック積み(張り)

工事」間の区分の考え方は以下のとおりである。根固めブロック、消波ブロックの据付け等土

木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事、プレキャストコンク

リートの柱、梁等の部材の設置工事等が『とび・土工・コンクリート工事』における「コンク

リートブロック据付け工事」である。建築物の内外装として擬石等をはり付ける工事や法面処

理、又は擁壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事等が『石工事』におけ

る「コンクリートブロック積み(張り)工事」である。コンクリートブロックにより建築物を

建設する工事等が『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリートブロック積み(張

り)工事」であり、エクステリア工事としてこれを行う場合を含む。

(6)屋根工事

① 「瓦」、「スレート」及び「金属薄板」については、屋根をふく材料の別を示したものに

すぎず、また、これら以外の材料による屋根ふき工事も多いことから、これらを包括して「屋

根ふき工事」とする。したがって板金屋根工事も『板金工事』ではなく『屋根工事』に該当

する。

② 屋根断熱工事は、断熱処理を施した材料により屋根をふく工事であり「屋根ふき工事」の

一類型である。

③ 屋根一体型の太陽光パネル設置工事は『屋根工事』に該当する。太陽光発電設備の設置工

事は『電気工事』に該当し、太陽光パネルを屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理を行

う工事が含まれる。

(7)電気工事

① 屋根一体型の太陽光パネル設置工事は『屋根工事』に該当する。太陽光発電設備の設置工

事は『電気工事』に該当し、太陽光パネルを屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理を行

う工事が含まれる。

② 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、

機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』

等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の

工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械

器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

(8)管工事

① 「冷暖房設備工事」、「冷凍冷蔵設備工事」、「空気調和設備工事」には、冷媒の配管工

事などフロン類の漏洩を防止する工事が含まれる。

② し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』及び『清掃施設

工事』間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿

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を処理する施設の建設工事が『管工事』に該当し、公共団体が設置するもので下水道により

収集された汚水を処理する施設の建設工事が『水道施設工事』に該当し、公共団体が設置す

るもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が『清掃施設工事』に該

当する。

③ 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、

機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』

等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の

工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械

器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

④ 建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『管工事』に該当し、トンネル、地

下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は『機械器具設置工事』に該当する。

⑤ 上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設

工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工

事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小

管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理

場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。

なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木

一式工事』に該当する。

⑥ 公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの

公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器

具設置工事』等に区分すべきものである。

(9)タイル・れんが・ブロツク工事

① 「スレート張り工事」とは、スレートを外壁等にはる工事を内容としており、スレートに

より屋根をふく工事は「屋根ふき工事」として『屋根工事』に該当する。

② 「コンクリートブロック」には、プレキャストコンクリートパネル及びオートクレイブ養

生をした軽量気ほうコンクリートパネルも含まれる。

③ 『とび・土工・コンクリート工事』における「コンクリートブロック据付け工事」並びに

『石工事』及び『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリートブロック積み(張

り)工事」間の区分の考え方は以下のとおりである。根固めブロック、消波ブロックの据付

け等土木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事、プレキャス

トコンクリートの柱、梁等の部材の設置工事等が『とび・土工・コンクリート工事』におけ

る「コンクリートブロック据付け工事」である。建築物の内外装として擬石等をはり付ける

工事や法面処理、又は擁壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事等が『石

工事』における「コンクリートブロック積み(張り)工事」である。コンクリートブロック

により建築物を建設する工事等が『タイル・れんが・ブロツク工事』における「コンクリー

トブロック積み(張り)工事」であり、エクステリア工事としてこれを行う場合を含む。

(10)鋼構造物工事

① 『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』におけ

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る「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負う

のが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てる

ことのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」であ

る。

② ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の

躯体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。

③ 『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』

における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置ま

でを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の

工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」である。

(11)鉄筋工事

『鉄筋工事』は「鉄筋加工組立て工事」と「鉄筋継手工事」からなっており、「鉄筋加工組

立て工事」は鉄筋の配筋と組立て、「鉄筋継手工事」は配筋された鉄筋を接合する工事である。

鉄筋継手にはガス圧接継手、溶接継手、機械式継手等がある。

(12)舗装工事

① 舗装工事と併せて施工されることが多いガードレール設置工事については、工事の種類と

しては『舗装工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当する。

② 人工芝張付け工事については、地盤面をコンクリート等で舗装した上にはり付けるものは

『舗装工事』に該当する。

(13)板金工事

① 「建築板金工事」とは、建築物の内外装として板金をはり付ける工事をいい、具体的には

建築物の外壁へのカラー鉄板張付け工事や厨房の天井へのステンレス板張付け工事等であ

る。

② 「瓦」、「スレート」及び「金属薄板」については、屋根をふく材料の別を示したものに

すぎず、また、これら以外の材料による屋根ふき工事も多いことから、これらを包括して「屋

根ふき工事」とする。したがって板金屋根工事も『板金工事』ではなく『屋根工事』に該当

する。

(14)塗装工事

下地調整工事及びブラスト工事については、通常、塗装工事を行う際の準備作業として当然

に含まれているものである。

(15)防水工事

① 『防水工事』に含まれるものは、いわゆる建築系の防水工事のみであり、トンネル防水工

事等の土木系の防水工事は『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当

する。

② 防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業、防水工事業どちらの業種の許可でも施工可

能である。

(16)内装仕上工事

① 「家具工事」とは、建築物に家具を据付け又は家具の材料を現場にて加工若しくは組み立

148

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てて据付ける工事をいう。

② 「防音工事」とは、建築物における通常の防音工事であり、ホール等の構造的に音響効果

を目的とするような工事は含まれない。

③ 「たたみ工事」とは、採寸、割付け、たたみの製造・加工から敷きこみまでを一貫して請

け負う工事をいう。

(17)機械器具設置工事

① 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、

機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』

等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の

工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械

器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

② 「運搬機器設置工事」には昇降機設置工事も含まれる。

③ 「給排気機器設置工事」とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関す

る工事であり、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『機械器具設置工事』

ではなく『管工事』に該当する。

④ 公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの

公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器

具設置工事』等に区分すべきものである。

(18)電気通信工事

① 「情報制御設備工事」にはコンピューター等の情報処理設備の設置工事も含まれる。

② 既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は『電気通信工事』に該当する。なお、

保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理

をいう。)に関する役務の提供等の業務は、『電気通信工事』に該当しない。

③ 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、

機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』

等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の

工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械

器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

(19)造園工事

① 「植栽工事」には、植生を復元する建設工事が含まれる。

② 「広場工事」とは、修景広場、芝生広場、運動広場その他の広場を築造する工事であり、

「園路工事」とは、公園内の遊歩道、緑道等を建設する工事である。

③ 「公園設備工事」には、花壇、噴水その他の修景施設、休憩所その他の休養施設、遊戯施

設、便益施設等の建設工事が含まれる。

④ 「屋上等緑化工事」とは、建築物の屋上、壁面等を緑化する建設工事である。

⑤ 「緑地育成工事」とは、樹木、芝生、草花等の植物を育成する建設工事であり、土壌改良

や支柱の設置等を伴って行う工事である。

(20)水道施設工事

149

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7

① 上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設

工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工

事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小

管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理

場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。

なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は『水道施設工事』ではなく『土木

一式工事』に該当する。

② し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』及び『清掃施設

工事』間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿

を処理する施設の建設工事が『管工事』に該当し、公共団体が設置するもので下水道により

収集された汚水を処理する施設の建設工事が『水道施設工事』に該当し、公共団体が設置す

るもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が『清掃施設工事』に該

当する。

(21)消防施設工事

① 「金属製避難はしご」とは、火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁

に固定された避難階段等はこれに該当しない。したがって、このような固定された避難階段

を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の躯体の一部の工事として『建築一式

工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。

② 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、

機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』

等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の

工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械

器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

(22)清掃施設工事

① 公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの

公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器

具設置工事』等に区分すべきものである。

② し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』及び『清掃施設

工事』間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿

を処理する施設の建設工事が『管工事』に該当し、公共団体が設置するもので下水道により

収集された汚水を処理する施設の建設工事が『水道施設工事』に該当し、公共団体が設置す

るもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が『清掃施設工事』に該

当する。

(23)解体工事

それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専

門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事

は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。

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8

【第3条関係】

1.許可の区分について

(1)大臣許可と知事許可

国土交通大臣の許可と都道府県知事の許可の区分については、二以上の都道府県の区域内に

営業所を設けて営業しようとする場合には国土交通大臣の許可、一の都道府県の区域内にのみ

営業所を設けて営業しようとする場合には都道府県知事の許可とされているが、この場合にお

ける営業所は、当該許可に係る営業所のみでなく、当該建設業者についての当該許可に係る建

設業を営むすべての営業所と解して取り扱う。すなわち、許可を受けた業種について軽微な建

設工事のみ行う営業所についても法に規定する営業所に該当し、当該営業所が主たる営業所の

所在する都道府県以外の区域内に設けられている場合は、国土交通大臣の許可として取り扱

う。

(2)一般建設業の許可と特定建設業の許可

許可は、一般建設業と特定建設業の別に区分して行うものであり、同時に一の建設業につき

一般建設業の許可と特定建設業の許可が重複することはあり得ない。ただし、一の建設業者に

つき二以上の業種について、それぞれ一般建設業の許可及び特定建設業の許可をすることは差

し支えない。

2.営業所の範囲について

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。し

たがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他

の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するもの

である場合には、当然本条の営業所に該当する。

また「常時請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請

負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する

者であるか否かを問わない。

なお、1.(1)のとおり、許可を受けた業種については軽微な建設工事のみを請け負う場合

であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできない。

3.建設業法施行令(昭和31年政令第273号。以下「令」という。)第1条の2第1項の「木造住

宅」について

(1)「木造」とは、建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいう。

(2)「住宅」とは、住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の

用に供するものをいう。

4.令第2条の「下請代金の額」について

発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が3,000万円(建築一式工事にあっ

ては4,500万円)以上の工事を下請施工させようとする時の3,000万円には、元請負人が提供す

る材料等の価格は含まない。

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5.同一業者に係る二以上の許可の有効期間の調整(一本化)について

一の業者が既に許可を受けた後、更に他の建設業について追加して許可の申請をしてきた場合

(般・特新規(【第5条及び第6条関係】2(1)②参照)の場合を含む。)、それぞれを別個の

許可として、各々許可年月日及び許可の有効期間が異なるものとして取り扱うと、建設業の許可

を行った国土交通大臣にあっては許可事務の円滑化を阻害し、建設業者にあっては許可の更新時

期の失念等の原因ともなり、法の適正な運用を図る上で不都合を生ずることとなるので、同一業

者で別個に二以上の許可を受けているものについては、以下のとおり取り扱う。

(1)同一業者で別個に二以上の許可を受けているものについては、一の許可の更新を申請する際

に、できるだけ有効期間の残っている他の建設業の許可についても同時に一件の許可の更新と

して申請させるものとし、すべてをあわせて一件の許可の更新として許可するものとする。

(2)一の業者が既に許可を受けたあと、更に他の建設業について追加して許可の申請をしようと

する場合には、有効期間の残っている従来の建設業の許可についても同時に許可の更新を申請

することができるものとし、追加の許可と許可の更新(別個に二以上の許可を受けている場合

はそのすべて)とをあわせて一件として許可することができるものとする。

ただし、この場合、追加する許可の申請についてある程度の審査期間が必要となるため、そ

れと同時に更新を申請することができる従来の建設業の許可の有効期間は、原則として6カ月

以上残っていることを必要とする。

6.許可の有効期間の取扱いについて

(1)許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可があった日に対応する日の前日をもっ

て満了する。なお、当該期間の末日が日曜等の休日であってもその日をもって満了する。

(2)建設業者から複数の建設業の許可の有効期間の調整(一本化)をする旨の申請が行われた場

合における許可の有効期間については、有効期間が残っている建設業の許可についても新たに

申請を行ったものとして取り扱う。

7.一般建設業許可と特定建設業許可の間の移行に係る申請があった場合の従前の許可の効力等に

ついて

(1)建設業者から、

① 一般建設業の許可の有効期間の満了の日以前に当該許可に係る建設業について特定建設

業の許可への移行に係る申請があった場合

② 特定建設業の許可の有効期間の満了の日以前に当該許可に係る建設業について一般建設

業の許可への移行に係る申請があった場合

であって、当該有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、当該申請

は、法第3条第4項に規定する「更新の申請」とみなして取り扱う。

(2)(1)の申請があった場合において、従前の許可の有効期間の満了の日までに当該申請に対

する処分がされないときは、(1)①の場合にあっては一般建設業の許可の有効期間満了後特

定建設業の許可に係る処分がされるまでの間は一般建設業の許可は、(1)②の場合にあって

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は特定建設業の許可の有効期間満了後一般建設業の許可に係る処分がされるまでの間は特定

建設業の許可は、なおその効力を有するものとして取り扱う。

(3)なお、当該建設業者が法第29条に該当する場合については、(1)及び(2)の取扱いは当

然受けないものである。

8.許可の有効期間が満了した後の許可の効力について

許可の更新の申請に基づく審査の結果、従前の許可の有効期間の満了後に不許可処分とされた

場合であっても、当該不許可処分がされるまでの間は、法第3条第4項の規定により、従前の許

可はなお効力を有するものとされる。

また、この場合、従前の許可の有効期間の満了後当該不許可処分が行われるまでの間に締結さ

れた請負契約に係る建設工事については、当該不許可処分が行われたことにより従前の許可がそ

の効力を失った後も、法第29条の3第1項の規定により継続して施工することができる。

9.許可の通知について

(1)建設業の許可をした場合においては、申請者に対し当然に通知する必要があるので、別紙1

により通知するものとする。

なお、当該通知は直接申請者あてに送付若しくは手交することとし、申請者が当該通知を確

実に受け取った旨の記録を残すものとする。

(2)知事許可から大臣許可への許可換えをした場合の許可の通知は、別紙2により通知するもの

とする。

(3)一般建設業の許可から特定建設業の許可へ移行した場合の許可の通知は、別紙3により通知

するものとする。

【第3条の2関係】

許可に付する条件について

許可の条件は、建設工事の適正な施工の確保及び発注者の保護を図ることを目的として、許可の

効果に制限を加えるものである。したがって、付することができる条件は、こうした目的に照らし

て一定の制約があり、どのような場合にどのような条件を付するかは、個々具体の事例に即して判

断する。

また、法令上の義務を履行することを許可の条件として付することも可能ではあるが、この場合

には、当該条件違反があったとしても、法第29条第1項第6号に該当する場合を除き、同条第2項

の規定により許可を取り消す前に、当該義務の履行を確保するための指示をし、又は営業停止を命

ずることとする。

なお、一般建設業者に関する法第7条第1号及び第2号に掲げる基準並びに特定建設業者に関す

る法第7条第1号及び法第15条第2号に掲げる基準については、これらを満たさなくなれば法第29

条第1項第1号に該当するものとして許可を取り消さなければならないので、当該基準を満たさな

くなった場合に関する条件を付する余地はない。

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【第4条関係】

附帯工事について

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事のほか、当該建設工事に附帯する他の建設業に

係る建設工事(以下「附帯工事」という。)をも請け負うことができるが、この附帯工事とは、主

たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事の施工によ

り必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではない

ものをいう。

附帯工事の具体的な判断に当たっては、建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等

を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工するこ

とが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する。

【第5条及び第6条関係】

1.法及び建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号。以下「規則」という。)に規定する許可

申請書及び許可申請書の添付書類(以下「許可申請書類」という。)の取扱いについて

(1)許可申請を取り下げようとする者については、許可申請の取下げ願書(別紙4)を提出させ

るものとし、提出があった場合には、許可申請書類を直接申請者あてに返却する。

なお、当該返却は直接申請者あてに送付し若しくは手交することとし、申請者が当該返却を

確実に受け取った旨の記録を残すものとする。

(2)許可申請を却下する場合には、許可の拒否通知書(別紙5)を、申請者あてに送付する。

なお、当該通知書は直接申請者あてに送付または手交することとし、申請者が当該通知書を

確実に受け取った旨の記録を残すものとする。

(3)許可申請書類以外の書類については、許可申請書類の記載事項について特に疑義がある場合

等に限り、必要なもののみの提示又は提出をさせることとし、画一的にその提示又は提出を求

めない。ただし、【その他】3.で定めるものについてはこの限りではない。

2.許可申請書類の審査要領について

(1)建設業許可申請書(様式第一号)について

① 建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分して行われるが、許可申請は、一枚の建

設業許可申請書により同時に行うことができる。ただし、登録免許税又は許可手数料につい

ては、一般建設業と特定建設業を別個に取り扱う。

② 「行政庁側記入欄」は、以下の要領で記入する。

0 1「許可番号」及び「許可年月日」の欄は、申請時において既に許可を受けている者

(許可換え新規(下記参照)を申請する者を除く。)については、現在有効な許可のうち最

も古いものの許可番号と許可年月日を記入する。

0 2「申請の区分」の欄は、次の分類に基づき該当する数字をカラムに記入する。

「新規」………………現在有効な許可をどの許可行政庁からも受けていない者が、許可を申

請する場合

「許可換え新規」……法第9条第1項各号のいずれかに該当することにより、現在有効な許

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可を受けている許可行政庁以外の許可行政庁に対し、新たに許可を申

請する場合

「般・特新規」………一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申

請する場合、又は特定建設業の許可のみを受けている者が新たに一般

建設業の許可を申請する場合

この場合、一般建設業の許可のみを受けている者が、許可を受けてい

る建設業の全部又は一部について特定建設業の許可を申請するとき

は、法第3条第6項の規定により、その申請をそのまま「般・特新規」

として取り扱って差し支えないが、特定建設業の許可のみを受けてい

る者が、許可を受けている建設業の一部について一般建設業の許可を

申請しようとするときは、事前に当該特定建設業を廃止させた後(法

第29条に該当することにより、当該特定建設業の許可を継続すること

ができない場合に限る。)、新たに「般・特新規」として一般建設業

の許可を申請させることを必要とする。ただし、特定建設業の許可の

みを受けている者が、許可を受けている建設業全部について一般建設

業の許可を申請しようとする場合には、特定建設業の全部を廃業させ

た後(法第29条に該当することにより、当該特定建設業の許可を継続

することができない場合に限る。)、新たに一般建設業の許可を申請

させる必要があるので、「般・特新規」ではなく「新規」に該当する。

「業種追加」…………一般建設業の許可を受けている者が他の建設業について一般建設業の

許可を申請する場合、又は特定建設業の許可を受けている者が他の建

設業について特定建設業の許可を申請する場合

「更新」………………既に受けている建設業の許可を、そのままの要件で続けて申請する場

0 3「申請年月日」の欄は、申請書類を正式に受理した年月日を記載する。

なお、ここでいう受理とは、申請者の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事(以

下「経由庁」という。)においてなされたものをいう。

③ 「申請者」の欄には、申請者が法人である場合は本店の所在地、商号又は名称、代表者氏

名を記載して会社印及び代表者印を押印し、申請者が個人である場合はその本店の所在地、

商号又は名称及び氏名を記載して押印する。ここで本店とは、建設業許可申請書の(様式第

一号)別紙二(1)「営業所一覧表(新規許可等)又は別紙二(2)「営業所一覧表(更新)」

の「主たる営業所」をいう。

また、許可申請書類の作成等を代理人を通じて行う場合は、申請者に加え、その者の氏名

も併記し、押印する。この場合には、作成に係る委任状の写しその他の作成等に係る権限を

有することを証する書面の添付を必要とする。なお、この他、許可申請書類の作成を代理人

を通じて行う場合において、代理人の記名押印を可又は不可とする許可申請書類は、別表2

のとおりである。

④ 「支配人の氏名」の欄には、申請者が個人の場合において、支配人すなわち営業主に代わ

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ってその営業に関する裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有する使用人を置いている場

合に記載させる。

⑤ 「連絡先」の欄には、許可申請書類を作成した者又は記載内容に係る質問等に応答できる

者の氏名、電話番号、ファックス番号を記載させる。

⑥ 建設業許可申請書(様式第一号)別紙一「役員等の一覧表」の「役員等の氏名及び役名等」

の欄に記載する者は法第5条第3号に規定する役員等(以下「役員等」という。)に該当す

る者である。「業務を執行する社員」とは持分会社の業務を執行する社員を、「取締役」と

は株式会社の取締役を、「執行役」とは委員会設置会社の執行役を、「これらに準ずる者」

とは法人格のある各種の組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事

務局長等は本欄の役員には含まれない。また、本別紙には、「相談役」及び「顧問」のほか、

「その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締

役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」で

ある可能性がある者として、少なくとも「総株主の議決権の100分の5以上を有する株主」及

び「出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」(個人であるものに限る。以

下「株主等」という。)について記載させることとし、この他、役職の如何を問わず取締役

と同等以上の支配力を有する者がある場合にはその者についても記載させる。なお、個人事

業者については当該書面に経営業務の管理責任者に該当する者を記載させる。

⑦ 建設業許可申請書(様式第一号)別紙二(1)「営業所一覧表(新規許可等)」又は別紙

二(2)「営業所一覧(更新)」の「主たる営業所」とは、建設業を営む営業所を統轄し、

指揮監督する権限を有する一か所の営業所をいい、通常は本社、本店等であるが、名目上の

本社、本店等であっても、その実態を有しないもの(単なる登記上の本社、本店等)はこれ

に該当しない。

⑧ 従たる営業所が複数あることにより、建設業許可申請書(様式第一号)別紙二(1)(営

業所一覧表(新規許可等))又は別紙二(2)「営業所一覧表(更新)」が二枚以上にわた

る場合は、二枚目以降については主たる営業所に係る記載を省略することができる。

⑨ 建設業許可申請書(様式第一号)別紙四「専任技術者一覧表」は、「営業所一覧表」(様

式第一号別紙二)に記載した営業所順に専任技術者名を記載する。

(2)工事経歴書(様式第二号)について

① この表は、許可を受けようとする建設業に対応する建設工事の種類ごとに作成するものと

し、他の建設工事と二重に計上することはできない。例えば、建築一式工事で請け負った場

合、この工事を管工事又は電気工事とその他の工事に分割し、それぞれ管工事、電気工事又

は建築一式工事に分割計上することはできず、建築一式工事として計上する。また、水道本

管埋設工事の場合は、通常、水道施設工事に該当するが、道路の大規模な改修等と複合して

おり、その工事が土木一式工事とみなし得る場合には、土木一式工事として計上することは

できるが、両方の建設工事に計上することはできない。

② 本表には、申請又は届出を行う日の属する事業年度の前事業年度の完成工事及び未成工事

を記載する。なお、本表への記載を要する完成工事の範囲については、申請又は届出を行う

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者が法第27条の26の規定に基づく経営規模等評価の申請を行う者であるか否かにより異な

る。

(a)経営規模等評価の申請を行う者の場合

イ 元請工事(発注者から直接請け負った工事をいう。以下同じ。)に係る請負代金の額

の合計額の7割を超えるところまで請負代金の額の大きい順に元請工事を記載させる。

ただし、当該額が1,000億円を超える場合は1,000億円を超えるところまで記載させ

る。

また、軽微な建設工事(令第1条の2第1項に規定する建設工事をいう。以下同じ。)

が含まれる場合については、軽微な建設工事に該当する元請工事は10件を超えて記載さ

せる必要はない。

ロ イに該当する元請工事の記載に続けて、総完成工事高の7割を超えるところまで、イ

で記載した元請工事以外の元請工事及び下請工事について、請負代金の額の大きい順に

工事を記載させる。

ただし、当該金額が1,000億円を超える場合は1,000億円を超えるところまで記載させ

る。

また、軽微な建設工事が含まれる場合については、軽微な建設工事に該当する工事は1

0件(上記イにおいて記載した軽微な建設工事の件数を含む。)を超えて記載させる必要

はない。

(b)経営規模等評価の申請を行わない者の場合

完成工事の記載に関しては、主な工事について請負代金の額の大きい順に記載させるこ

ととなる。

③ 経営規模等評価申請を行う者が本表を作成する場合には、「請負代金の額」にあっては、

消費税及び地方消費税の額を除いた額を記載させるよう指導するものとする。

④ 「注文者」及び「工事名」の記入に際しては、その内容により個人の氏名が特定されるこ

とのないよう十分に留意すること。例えば注文者「A」、工事名「A邸新築工事」等と記載

すること等が考えられる。

(3)直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)について

① 「許可に係る建設工事の施工金額」の欄には、許可を受けようとする建設業に係る建設工

事の施工金額を記載し、「工事」の欄には、施工金額の有無にかかわらず許可を受けようと

する建設工事の種類をすべて記載させる。

② 「その他の建設工事の施工金額」の欄には、当該許可に係る建設工事以外の建設工事の施

工金額を記載させる。

(4)使用人数(様式第四号)について

① 「建設業法第7条第2号イ、ロ若しくはハ又は同法第15条第2号イ若しくはハに該当する

者」には、営業所ごとに専任で置かれる技術者はもちろん、それ以外の者でも法第7条第2

号イ、ロ若しくはハ又は法第15条第2号イ若しくはハのいずれかに該当する者はすべて含ま

れる。

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② 同一の者が「その他の技術関係使用人」と「事務関係使用人」の両方に該当する場合には、

その者の職務内容を勘案し、どちらか主として従事する職務の区分に含めて記載させる。

(5)経営業務の管理責任者証明書(様式第七号)について

① 経営業務の管理責任者には、その要件さえ備えていれば当該申請に係る二以上の建設業に

ついても同一人がなり得るし、また、その者が専任技術者の要件を備えている場合には、同

一営業所(原則として主たる営業所)内に限って当該技術者を兼ねることができる。なお、

同一の建設業について二以上の者を経営業務の管理責任者として証明することのないよう

指導する。

② 証明書は、許可を受けようとする建設業ごとに被証明者一人について証明者別に作成させ

る。ただし、被証明者がその要件を満たすものであり、二以上の建設業について同一人の証

明者の証明が得られる場合においては、(1)「 工事業」の欄に当該業種を列記できる

範囲において一枚の証明書で証明することができるものとする。また、被証明者が休職又は

出向等によって経験期間が中断している場合であって、証明者が同一人であるときは、「経

験年数」の欄に実際の経験期間を別々に明記して一枚の証明書で証明することができるもの

とする。

③ 「証明者」は、原則として使用者(法人の場合は代表者、個人の場合は当該本人)でなけ

ればならない。ただし、法人の解散等の場合には、被証明者と同等以上の役職にあった者と

することができるものとし、この場合、「備考」欄にその理由を記載させる。なお、これら

の者の証明を得ることができない正当な理由があり、やむを得ず自己証明する者について

は、「備考」欄にその理由を記載させ、必要な場合には当該事実を証し得る第三者の証明書

又はその他の書類を添付させること。

④ 経営業務の管理責任者として証明された者について規則第7条の2の規定により氏名の

変更を行う場合には、本様式を用いること。この場合、1 7「申請又は届出の区分」は、

「2.変更」として扱い、カラムには「2」を記入させる。なお、経営業務の管理責任者の

変更がある場合には、様式第二十二号の二による届出も必要であるので留意すること。

⑤ 経営業務の管理責任者の略歴書(様式第七号別紙)は、経営業務の管理責任者である役員

について記載するものとし、「従事した職務内容」の欄には、建設業の経営経験が明らかに

なるように具体的に記載させるものとする。なお、「賞罰の内容」の欄に具体的な記載がな

い場合に行政処分等の事実が確認され、当該事実が法第8条に該当する場合には原則として

「虚偽申請」として取り扱うこととする。

(6)専任技術者証明書(様式第八号)について

① 建設業許可申請時(更新を除く。)、専任技術者の変更がある場合には新規・変更用(様

式第八号)を使用させて変更等の手続を行うこととする。なお、専任技術者の変更がある場

合には、様式第二十二号の二による届出も必要であるので留意すること。

② 新規・変更用(様式第八号)(新規許可等を申請するために使用する場合(6 1「区分」

の欄に「1」を記入する場合)に限る。)については、建設業許可申請書(様式第一号)別

紙二(1)「営業所一覧表(新規許可等)」に記載された営業所の順序で当該営業所に置か

れる専任技術者について記載させる。

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③ 同一の営業所においては、同一の建設業について二人以上の者を専任技術者として証明す

ることのないよう指導する。

④ 6 4の「今後担当する建設工事の種類」及び「現在担当している建設工事の種類」の欄

は、特定建設業の専任技術者になり得る資格を有する者の場合であっても、同人が現在専任

技術者となっている建設業が一般建設業の場合には、「1」、「4」又は「7」を記入させ

る。

⑤ 6 4の「今後担当する建設工事の種類」の欄には、既に専任技術者として証明されてい

る者が新たに他の建設業の専任技術者となる場合には、既に担当している建設工事を含め今

後担当する建設工事の種類のすべてについて、記載要領7に掲げる分類に従い該当する数字

を記入させる。

⑥ 般・特新規若しくは業種追加を申請する場合又は専任技術者の担当業種若しくは有資格区

分の変更に基づき届出を行う場合において、専任技術者としての基準を満たしていることを

証するために添付する証明書については、 6 4の「現在担当している建設工事の種類」の

欄に記載された建設工事の種類に係るものにあっては、その提出を省略できる。ただし、当

該証明書が、同時に、新たに追加される建設工事に係るものとなっている場合には、省略す

ることができない。

⑦ 6 5の「有資格区分」の欄は、証明しようとする技術者が他に資格を有している場合で

あっても、同人が専任の技術者となる建設業に係る資格のみを記載させる。

⑧ 規則第7条の3第2号の表中「大工工事業」の下欄四、五、「とび・土工工事業」の下欄

五、「屋根工事業」の下欄四、「しゅんせつ工事業」の下欄三、「ガラス工事業」の下欄三、

「防水工事業」の下欄三、「内装仕上工事業」の下欄四、五、「熱絶縁工事業」の下欄三、

「水道施設工事業」の下欄三に該当する者(以下「実務経験要件緩和対象者」という。)と

して専任技術者の証明をする場合に、規則別記様式第八号による「専任技術者証明書」の資

格区分コード欄には、規則別表(二)の分類に従い「99」を記載させる。

(7)実務経験証明書(様式第九号)について

① 「実務経験の内容」の欄には、「使用された期間」内において、具体的に建設工事に携わ

った実務の経験について記載させるものとし、例えば、「都市計画街路○○線改良工事現場

主任」、「○○駅ビル増改築工事現場監督」等のように具体的工事件名をあげて、建設工事

に関する実務経験の内容が具体的に明らかになるように記載させる。

② 「実務経験年数」の欄には、上記①の「実務経験の内容」の欄に記載された建設工事に係

る経験期間を記載し、それらの期間を積み上げて、その合計期間を「合計」欄に記載し、当

該合計年数が必要年数を満たしていることが必要である。この場合、経験期間が重複してい

るものにあっては二重に計算しないものとする。なお、所定の用紙内に記載しきれないとき

は、適宜用紙を追加して必要な実務経験年数に達するまで記載させるものとする。

③ 「証明者」は、経営業務の管理責任者証明書の「証明者」(上記(5)の③)に準じて取

り扱うものとする。

④ 電気工事及び消防施設工事については、それぞれ電気工事士法、消防法等により電気工事

士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ、一定の工事に直接従事できな

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いこととされているので、審査に当たって十分注意する。

(8)指導監督的実務経験証明書(様式第十号)について

① 「指導監督的な実務の経験」としては、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、

発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上

の指導監督的な実務の経験が必要である。(なお、昭和59年10月1日前に請負代金の額が1,

500万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験及び昭和59年10月1日

以降平成6年12月28日前に請負代金の額が3,000万円以上4,500万円未満の建設工事に関し

て積まれた実務の経験は、4,500万円以上の建設工事に関する実務の経験とみなして、当該

2年以上の期間に算入することができる。)したがって、発注者から直接請け負った建設工

事に関する経験のみを認めるものであり、発注者の側における経験又は下請負人としての経

験は含まない。

② 「証明者」は、経営業務の管理責任者証明書の「証明者」(上記(5)の③)に準じて取

り扱うものとする。

③ 実務の経験は、発注者から直接請け負った一件の建設工事の請負代金の額が、4,500万円

以上のもの(昭和59年10月1日前の建設工事にあっては1,500万円以上のもの、昭和59年10

月1日以降平成6年12月28日前の建設工事にあっては3,000万円以上のもの)について記載

させるものとする。この場合の「請負代金の額」は、「実務経験の内容」欄に記載された建

設工事の請負代金の額とし、その請負代金の額に変更があった場合には、変更後の請負代金

の額とする。

④ 「実務経験の内容」及び「実務経験年数」の欄については、実務経験証明書((7)の①

及び②)に準じて取り扱うものとする。

(9)その他専任技術者の証明書類(規則第3条第2項及び第13条第2項)について

① 規則第3条第2項第3号に規定する「法第7条第2号ハの規定により知識及び技術又は技

能を有すると認定された者であることを証する証明書」又は規則第13条第2項第1号に規

定する「法第15条第2号イの規定により国土交通大臣が定める試験に合格したこと又は国

土交通大臣が定める免許を受けたことを証する証明書」のうち、法第27条第1項に規定す

る技術検定に合格したことを証明する書類としては、原則として、同条第3項に規定する合

格証明書により確認することとするが、技術検定の合格後合格証明書の受領までの間につい

ては、試験実施機関が発出する合格通知書の確認で足りるものとする。なお、合格通知書は

合格証明書に代わるものではなく、合格証明書発行までの暫定的な確認手段として用いるこ

ととし、合格証明書受領にあたって十分な期間(例えば、合格通知書の交付日より半年程度)

が経過した後においては、合格証明書で合格の確認を行うことを原則とする。

② 規則第3条第2項第4号又は規則第13条第2項第4号(監理技術者資格者証の写し)に

より、法7条第2号又は法15条第2号の基準を満たすことを証明する場合には、学校の卒

業証明書、(7)の実務経験証明書、(8)の指導監督的実務経験証明書又は①の技術検定

の合格証明書等の提出は要しない。その際「監理技術者資格者証」の有効期限が切れている

ものであっても「資格」や「実務経験」は認めるものとする。

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(10)建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)について

「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とは、建設工事の請負契約の締結及びその履行

に当たって、一定の権限を有すると判断される者すなわち支配人及び支店又は営業所(主たる

営業所を除く。)の代表者である者が該当する。これらの者は、当該営業所において締結され

る請負契約について総合的に管理することが求められ、原則として、当該営業所において休日

その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事してい

る者がこれに該当する。

なお、この表は、これらの者のうち役員を兼ねている者についても記載させるものとする。

(11)国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・追加・削除)(様式第十一号の二)につい

① 本表には、法第7条第2号ハに該当する者、法第15条第2号イに該当する者及び同号ハの

規定により同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定された者について記載

する必要があるが、特定建設業の許可を受けようとする者又は特定建設業の許可を受けてい

る者にあっては、これらの者に加え、法第15条第2号ロに該当する者及び同号ハの規定によ

り同号ロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定された者についても記載するこ

とを要する。

② 本表の提出に際しては、国家資格者・監理技術者の資格について、法第7条第2号ハの規

定により知識及び技術又は技能を有すると認定された者であることを証する書面、法第15条

第2号イの規定により国土交通大臣が定める試験に合格した者若しくは国土交通大臣が定

める免許を受けた者であることを証する書面、指導監督的な実務経験を有する者として同号

ロの基準を満たすことを証する指導監督的実務経験証明書(様式第十号)(卒業証明書等及

び実務経験証明書(様式第九号)を含む。)及び同号ハの規定により能力を有すると認定さ

れた者であることを証する証明書を提示させる等により、その確認を行う。なお、一般建設

業の許可のみを受けている者が特定建設業の許可を申請する場合及び国家資格者・監理技術

者の有資格区分等の変更に基づき届出を行う場合においては、「既提出の一覧表における建

設工事の種類」に係る技術者の証明書については、その確認は要しない。ただし、当該証明

書のうち「今後担当できる建設工事の種類(建設業法第15条第2号ロ又はハ関係)」に係る

ものについては、提示を求める等によりその確認を行うことが必要である。また、これらの

証明書は、監理技術者資格者証(指定建設業監理技術者資格者証を含む。)の写しをもって

代えることができるものとする。

③ 規則第7条の3第2号の表中、実務経験要件緩和対象者については、二業種についてそれ

ぞれ実務経験10年を有している者など本来記載対象外である法第7条第2号ロ該当の者の

一部が当然に含まれるが、法第7条第2号ハに該当する者であるため、同様式記載要領1に

従い、「国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・追加・削除)(様式第十一号の二)」

の記載対象となるものである。

また、この場合、有資格区分コード欄には、規則別表(二)の分類に従い「99」が記載さ

れることとなる。

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なお、特定建設業の許可を受けようとする者又は受けている者については、法第7条第2

号ロに該当し、かつ、法第15条第2号ロにも該当する場合、有資格区分コードを「99」から

「02」に変更することが認められる。

④ 7 4の「今後担当できる建設工事の種類(建設業法第15条第2号ロ又はハ関係)」及び

「既提出の一覧表における建設工事の種類」の欄には、技術者が法第7条第2号ハ又は第15

条第2号イに該当する建設業については「7」又は「9」を記入する必要はない。

⑤ 7 5の「有資格区分」の欄は、申請する又は既に受けている許可の如何にかかわらず、

法第7条第2号ハに該当する者、法第15条第2号イに該当する者、同号ロに該当する者、同

号ハの規定により同号イ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定された者

の資格について記載させる。

(12)許可申請者(法人の役員等 本人 法定代理人 法定代理人の役員等)の住所、生年月日等

に関する調書(様式第十二号)について

本調書は役員等の一覧表(様式第一号別紙一)に記載された者全員について作成するものと

するが、経営業務の管理責任者については、本調書の作成は要しない。なお、「賞罰の内容」

の欄に具体的な記載がない場合に行政処分等の事実が確認され、当該事実が法第8条に該当す

る場合には原則として「虚偽申請」として取り扱うこととする。

(13)建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書(様式第十三号)

について

この調書は、「建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表」に記載された者全員につ

いて作成するものとするが、役員等を兼ねている者については、本調書の作成は要しない。な

お、「賞罰の内容」の欄に具体的な記載がない場合に行政処分等の事実が確認され、当該事実

が法第8条に該当する場合には原則として「虚偽申請」として取り扱うこととする。

(14)登記事項証明書等(規則第4条第1項第5号及び第6号)について

① 登記事項証明書等の内容について

(a)規則第4条第1項第5号に規定する「登記事項証明書」の交付については、法務局及び

地方法務局において受けられるものであること。

(b)規則第4条第1項第6号に規定する「市町村の長の証明書」の交付については、当該証

明書の交付を受けようとする者の本籍地の市区町村において受けられるものであること。

(c)上記(a)及び(b)の証明書(以下「登記事項証明書等」という。)については、申

請又は届出日前3月以内に発行されたものであるものとする。

② 登記事項証明書等の添付について

登記事項証明書等の添付については、次のとおり取り扱うものとする。

(a)新たな者が役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人になった場合

新たな者が役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人になった場合は、変更届出書(様

式第二十二号の二)による届出を行い、誓約書(様式第六号)には登記事項証明書等を添付する。 (b)役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人として既に登録されている者に変更があっ

た場合 役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人並びに個人である場合のその者として既に登

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録されている者の役職、氏名、住所、所属する営業所の名称に変更があった場合には、変更届出

書(様式第二十二号の二)による届出を行う。その際、当該者に係る誓約書(様式第六号)及び

登記事項証明書等は省略することができるものとする。 (c)役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人として既に登録されている者が該当しなく

なった場合 役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人として既に登録されている者が当該建設業者

の役員、相談役、顧問及び令第3条に定める使用人でなくなった場合には、変更届出書(様式第

二十二号の二)による届出を行う。その際、当該者に係る誓約書(様式第六号)及び登記事項証

明書等は省略することができるものとする。

(15)附属明細表(様式第十七号の三)について

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第24条に規定する有価証券報告書の提出会社にあっ

ては、有価証券報告書の写しの提出をもって附属明細表の提出に代えることができるものとす

る。

(16)営業の沿革(様式第二十号)について

法に基づき最初に受けた登録及び許可について、その記号番号を付して記載させるものと

し、建設業者が行政処分、行政罰その他の罰を受けたものについては、その内容を記載させる

ものとする。

(17)健康保険等の加入状況(様式第二十号の三)について 「健康保険」及び「厚生年金保険」の加入状況の確認については、申請時の直前の健康保険及び

厚生年金保険の保険料の納入に係る「領収証書又は納入証明書」の写し若しくはこれらに準ずる資

料の提出又は提示を申請者に求めることにより、「雇用保険」の加入状況の確認については、申請時

の直前の「労働保険概算・確定保険料申告書」の控え及びこれにより申告した保険料の納入に係る

「領収済通知書」の写し若しくはこれらに準ずる資料の提出又は提示を申請者に求めることにより、

それぞれ行うものとする。

3.提出書類の省略について

更新、般・特新規又は業種追加を申請する者は、申請する際既に提出されている添付書類につ

いて、重複を避けるため、次のとおりその提出を省略することができることとする。

(1)許可の更新を申請する者は、専任技術者に係る書面については、建設業許可申請書(様式第

一号)別紙四「専任技術者一覧表」のみを提出すればよく、規則第3条第2項各号に掲げる証

明書等の提出を要しない。

また、工事経歴書(様式第二号)、直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した

書面(様式第三号)、使用人数を記載した書面(様式第四号)、国家資格者等・監理技術者一

覧表(新規・変更・追加・削除)(様式第十一号の二)、財務諸表(様式第十五号から第十九

号まで)及び納税証明書の提出を省略することができ、記載事項に変更がない場合に限り、定

款、商業登記簿の謄本、株主(出資者)調書(様式第十四号)、所属建設業者団体名(様式第

二十号の二)及び主要取引金融機関名(様式第二十号の四)についてもその提出を省略するこ

とができる。

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(2)般・特新規又は業種追加を申請する者は、規則第4条第1項に規定する添付書類のうち、建

設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)、許可申請者の住所、生年月

日等に関する調書(様式第十二号)、建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月

日等に関する調書(様式第十三号)、健康保険等の加入状況(様式第二十号の三)並びに規則

第4条第1項第5号及び第6号に規定する証明書のみを提出すればよく、他の書類の提出はす

べて省略することができる。

ただし、一般建設業の許可のみを受けている者が特定建設業の許可を申請する場合にあって

は、法第15条第2号ロに該当する者及び同号ハの規定により国土交通大臣が同号ロに掲げる者

と同等以上の能力を有するものと認定した者を国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・

追加・削除)に記載した上で提出する必要があり、本表の添付を省略することはできない。

(3)許可換え新規を申請しようとする者は、工事経歴書(様式第二号)、直前3年の各事業年度

における工事施工金額を記載した書面(様式第三号)、使用人数を記載した書面(様式第四号)

を省略することができる。

【第7条関係】

1.経営業務の管理責任者について(第1号)

(1)「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株

式会社の取締役をいい、「執行役」とは、委員会設置会社の執行役をいう。また、「これらに

準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監

事及び事務局長等は含まない。

(2)「役員のうち常勤であるもの」とは、いわゆる常勤役員をいい、原則として主たる営業所に

おいて休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に

従事している者がこれに該当する。なお、建築士事務所を管理する建築士、宅地建物取引業者

の専任の宅地建物取引士等の他の法令で専任を要するものと重複する者は、専任を要する営業

体及び場所が同一である場合を除き「常勤であるもの」には該当しない。

なお、「役員」には、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は含まれない。

(3)「支配人」とは、営業主に代わって、その営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をな

す権限を有する使用人をいい、これに該当するか否かは、商業登記の有無を基準として判断す

る。

(4)「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」とは、法人の役員、個人の事業主又は支

配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執

行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者をいう。

(5)本号は、許可を受けようとする建設業について、本号のイ又はロに該当する者を一の建設業

ごとにそれぞれ個別に置いていることを求めるものではなく、したがって二以上の建設業につ

いて許可を行う場合において、一の建設業につき本号のイ又はロの要件を満たしている者が、

他の建設業についても本号のイ又はロの要件を満たしているときは、当該他の建設業について

もその者をもって本号の要件を満たしているとして取り扱う。

なお、本号のイ又はロに該当する者が第二号に規定する専任の技術者としての基準を満たし

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ている場合には、同一営業所(原則として主たる営業所)内に限って当該技術者を兼ねること

ができるものとする。

(6)建設業法第7条第1号イに掲げる者と同等以上の能力を有する者を定める件(昭和47年建設

省告示第351号。(6)において「告示」という。)について

① 許可を受けようとする建設業に関する経営業務の管理責任者に準ずる地位について

(a) 執行役員等としての経営管理経験について(告示第1号イ)

イ 「経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的

な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として建設業の経営業務を総合

的に管理した経験」(以下「執行役員等としての経営管理経験」という。)とは、取締役

会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲

を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、

代表取締役の指揮および命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験をいう。また、

当該事業部門は、許可を受けようとする建設業に関する事業部門であることを要する。

ロ 執行役員等としての経営管理経験については、許可を受けようとする建設業に関する執

行役員等としての経営管理経験の期間と、許可を受けようとする建設業における経営業務

の管理責任者としての経験の期間とが通算5年以上である場合も、本号イに該当するもの

とする。

ハ 本号イに該当するか否かの判断に当たっては、規則別記様式第七号および別紙6による

認定調書に加え、次に掲げる書類において、被認定者が本号イに掲げる条件に該当するこ

とが明らかになっていることを確認するものとする。

・ 執行役員等の地位が役員に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類

組織図その他これに準ずる書類

・ 業務執行を行う特定の事業部門が許可を受けようとする建設業に関する事業部門であ

ることを確認するための書類

業務分掌規程その他これに準ずる書類

・ 取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として

選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事

業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者

であることを確認するための書類

定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締

役会の議事録その他これらに準ずる書類

・ 業務執行を行う特定の事業部門における業務執行実績を確認するための書類

過去5年間における請負契約の締結その他の法人の経営業務に関する決裁書その他

これに準ずる書類

(b) 経営業務を補佐した経験について(告示第1号ロ)

イ 経営業務を補佐した経験(以下「補佐経験」という。)とは、経営業務の管理責任者に

準ずる地位(法人の場合は役員に次ぐ職制上の地位にある者、個人の場合は当該個人に次

ぐ職制上の地位にある者)にあって、許可を受けようとする建設業に関する建設工事の施

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工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経

営業務全般について、従事した経験をいう。

ロ 許可を受けようとする建設業に関する7年以上の補佐経験については、許可を受けよう

とする建設業に関する補佐経験の期間と、許可を受けようとする建設業に関する執行役員

等としての経営管理経験又は許可を受けようとする建設業若しくはそれ以外の建設業に

おける経営業務の管理責任者としての経験の期間が通算7年以上である場合も、本号ロに

該当するものとする。

ハ 法人、個人又はその両方において7年以上の補佐経験を有する者については、許可を受

けようとするものが法人であるか個人であるかを問わず、本号ロに該当するものとする。

ニ 本号ロに該当するか否かの判断に当たっては、規則別記様式第七号及び別紙6による認

定調書に加え、次に掲げる書類において、被認定者が本号ロに掲げる条件に該当すること

が明らかになっていることを確認するものとする。

・ 被認定者による経験が役員又は個人に次ぐ職制上の地位における経験に該当すること

を確認するための書類

組織図その他これに準ずる書類

・ 被認定者における経験が補佐経験に該当すること及び補佐経験の期間を確認するため

の書類

過去7年間における請負契約の締結その他の法人の経営業務に関する決裁書、稟議書

その他これらに準ずる書類

② 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経営業務管理責任者としての経験に

ついて(告示第2号)

許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する7年以上の経営業務の管理責任者と

しての経験については、単一の業種区分において7年以上の経験を有することを要するもの

ではなく、複数の業種区分にわたるものであってもよいものとする。また、許可を受けよう

とする建設業とそれ以外の建設業に関して通算7年以上の経営業務の管理責任者としての

経験を有する場合も本号に該当する。

2.専任技術者について(第2号)

(1)「専任」の者とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいう。

会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等

により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、

いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱う。

次に掲げるような者は、原則として、「専任」の者とはいえないものとして取り扱うものと

する。

① 住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者

② 他の営業所(他の建設業者の営業所を含む。)において専任を要する者

③ 建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所等

において専任を要することとされている者(建設業において専任を要する営業所が他の法令

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により専任を要する事務所等と兼ねている場合においてその事務所等において専任を要す

る者を除く。)

④ 他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について専任に

近い状態にあると認められる者

(2)「実務の経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいい、ただ単に

建設工事の雑務のみの経験年数は含まれないが、建設工事の発注に当たって設計技術者として

設計に従事し、又は現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事し

た経験等も含めて取り扱うものとする。

また、実務の経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係

る経験期間を積み上げ合計して得た期間とする。ただし、経験期間が重複しているものにあっ

ては二重に計算しない。なお、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備

士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験について

は、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り

経験期間に算入する。

(3)本号の取扱いについては、二以上の建設業について許可を行う場合において、一の建設業に

つき本号のイ、ロ又はハの要件を満たしている者が、他の建設業についても本号の要件を満た

しているときは、当該他の建設業についても、その者をもって本号の要件を満たしているとし

て取り扱うことができる。

なお、経営業務の管理責任者に該当する者と専任の技術者とを重複して認めることは、勤務

場所が同一の営業所である限り差し支えない

3.誠実性について(第3号)

(1)「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反

する行為をいい、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担

等について請負契約に違反する行為をいう。

(2)申請者が法人である場合においては当該法人、その非常勤役員を含む役員等及び一定の使用

人(支配人及び支店又は常時建設工事の請負契約を締結する営業所の代表者(支配人であるも

のを除く。)をいう。以下同じ。)が、申請者が個人である場合においてはその者及び一定の

使用人が、建築士法(昭和25年法律第202号)、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)等

の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終

処分から5年を経過しない者である場合は、原則としてこの基準を満たさないものとして取り

扱うものとする。

(3)許可を受けて継続して建設業を営んでいた者については、(1)に該当する行為をした事実

が確知された場合又は(2)のいずれかに該当する者である場合を除き、この基準を満たすも

のとして取り扱うものとする。

4.財産的基礎又は金銭的信用について(第4号)

(1)「請負契約」には、工事一件の請負代金の額が建築一式工事にあっては1,500万円に満たな

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い工事又は延べ面積150平方メートルに満たない木造住宅工事に係るもの、建築一式工事以外

の工事にあっては500万円に満たない工事に係るものを含まない。

なお、これらの額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負

うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、各契約の請負代金の額の合計額

とし、また、注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費

を当該請負契約の請負代金の額に加えた額とする。

(2)次の①、②又は③に該当する者は、倒産することが明白である場合を除き本号の基準に適合

するものとして取り扱う。

① 自己資本の額が500万円以上である者

② 500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められる者

(注)担保とすべき不動産等を有していること等により、金融機関等から500万円以上の資

金について、融資を受けられる能力があると認められるか否かの判断は、具体的には、

取引金融機関の融資証明書、預金残高証明書等により行う。

③ 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者

(3)「自己資本」とは、法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額を、個人にあっては

期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債

の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいう。

(4)この基準を満たしているかどうかの判断は、原則として既存の企業にあっては申請時の直前

の決算期における財務諸表により、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表によ

り、それぞれ行う。

(5)本号の基準に適合するか否かは当該許可を行う際に判断するものであり、許可をした後にこ

の基準を適合しないこととなっても直ちに当該許可の効力に影響を及ぼすものではない。(法

第15条第3号の基準について同じ。)

【第8条関係】

1.法第8条本文括弧書きの趣旨

許可の申請が、更新に係るものである場合においては、法第8条第2号から第6号までの一に

該当しても許可の拒否事由にならないとされているが、これは法第3条の許可が業種ごとに与え

られるものであり、法第29条の規定による取消しを受けていない他の建設業の許可についてはそ

の更新をする必要があること、営業の停止又は禁止は許可の更新を認めないものではないことに

よるものである。

2.法第8条第10号及び第11号括弧書きの趣旨

法第8条第10号及び第11号括弧書きは許可申請者の役員又は一定の使用人のうちに、法第8条

第2号から第4号及び第6号に該当する者があっても、その者が当該事由に該当する以前から当

該許可申請者の役員又は一定の使用人であった場合には、それをもって直ちに許可の取消し又は

許可の拒否事由とすることは適切でないとの趣旨により規定されたものである。

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3.役員等の欠格要件の該当性の判断について

役員等の一覧表(様式第一号別紙一)に記載された者のうち、「顧問」、「相談役」、株主等

及び「その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締

役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」が欠格

要件に該当した場合、「顧問」、「相談役」及び「その他いかなる名称を有する者であるかを問

わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の

支配力を有するものと認められる者」については従来の「役員」と同様に扱うが、株主等につい

ては、その者が法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同

等以上の支配力を有するものと認められる者か否かを個別に判断する。

【第9条関係】

1.許可換え新規について

許可を受けた建設業者が、法第9条第1項各号の一に該当したときは、許可行政庁を異にする

こととなるので、新たに許可を受けることが必要であり、新たな許可行政庁に対する新規の許可

申請が必要である。

2.許可換え新規の取扱いについて

(1)許可換え新規の申請の取扱いは、新規の許可の申請の場合における取扱いと同様に行う。

(2)許可換え新規の申請をしようとする者には、当該申請書の正本に申請時において既に受けて

いる建設業の許可の通知書の写しを添付させる。

3.許可換え新規の際の添付書類の移管について

(1)第9条第2項の規定により、許可換え新規の申請をする建設業者は、法第6条第1項第1号

から第3号までの書類(以下「工事経歴書等」という。)の添付を省略できることとされてい

るが、工事経歴書等の添付を省略して許可換え新規の申請が行われた場合には、これを受けた

地方整備局長、北海道開発局長及び沖縄総合事務局長(以下「地方整備局長等」という。)は、

従前の許可行政庁と連絡を密にしつつ、変更届等により従前の許可行政庁に提出されている工

事経歴書等の内容を十分に把握・理解した上で、当該申請に係る審査を行う。

(2)(1)の申請に関する審査の結果、許可換え新規の許可をした地方整備局長等は、従前の許

可行政庁に対して、当該許可を受けた建設業者に係る工事経歴書等を送付するよう依頼する。

(3)(2)により工事経歴書等の送付を受けた地方整備局長等は、その設ける閲覧所において、

送付を受けた工事経歴書等を、許可換え新規の申請時に提出された書類とあわせて公衆の閲覧

に供する。

4.許可の有効期間が満了した後の許可の効力について

許可換え新規の申請に基づく審査の結果、従前の許可の有効期間の満了後に不許可処分とされ

た場合であっても、当該不許可処分がされるまでの間は、法第9条第2項の規定により、従前の

許可はなお効力を有するものとされる。

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また、この場合、従前の許可の有効期間の満了後当該不許可処分が行われるまでの間に締結さ

れた請負契約に係る建設工事については、当該不許可処分が行われたことにより従前の許可がそ

の効力を失った後も、法第29条の3第1項の規定により継続して施工することができる。

【第10条関係】

1.登録免許税の取り扱いについて

一般建設業の許可又は特定建設業の許可のいずれか一方を国土交通大臣から受けている者が、

新たに他の区分に係る国土交通大臣の許可を受けようとする場合には、その者は法第10条第2号

の「既に他の建設業について国土交通大臣の許可を受けている者」に該当しないものとして取り

扱う。

2.登録免許税の納入及び還付について

(1)登録免許税の納入について

国土交通大臣の許可を受けようとする者が、登録免許税を現金で納入する場合には、地方整

備局、北海道開発局及び沖縄総合事務局(以下「地方整備局等」という。)の所在地を管轄す

る税務署に直接納付するか、あるいは日本銀行、最寄りの国税の収納を行う日本銀行歳入代理

店又は郵便局を通して地方整備局等の所在地を管轄する税務署あてに納入するものとする。

(2)登録免許税の還付について

許可申請を取り下げる場合又は許可申請が却下された場合において、当該申請に伴って納入

した登録免許税の還付を受けたい者については、次により取り扱う。

① 許可申請を取り下げる場合には、許可申請の取下げ願書(別紙4)に登録免許税の還付願

書(別紙7)を添え、直接地方整備局建政部建設産業課長(東北・北陸・中国・四国・九州

地方整備局にあっては建政部計画・建設産業課長、関東地方整備局にあっては建政部建設産

業第一課長、北海道開発局にあっては事業振興部長、沖縄総合事務局にあっては開発建設部

長(以下「建設産業課長等」という。))あてに提出させる。

② 許可申請が却下された場合には、前記登録免許税の還付願書に当該申請に伴って納入した

登録免許税の領収証書を添え、直接建設産業課長等あてに提出させる。

3.非課税の場合について

国土交通大臣の許可を受けるものであっても、個人で国土交通大臣の許可を受けた者の相続人

が引き続き建設業を営むために許可を受ける場合及び法人で国土交通大臣の許可を受けた者が

他の法人と合併するために解散し新たに設立又は吸収合併した法人が、引き続き建設業を営むた

め国土交通大臣の許可を受ける場合には、登録免許税が課されない。

4.許可手数料について

許可の更新の申請及び業種追加の申請を行った者が納入した許可手数料は、いかなる理由をも

っても返還しないものとする。

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【第11条関係】

1.変更届出書等の効力について

変更届出書(様式第二十二号の二)、国家資格者等・監理技術者一覧表(新規・変更・追加・

削除)(様式第十一号の二)、届出書(様式第二十二号の三)等の変更届は、当該届出に係る事

項が許可要件に関するものであり、法で定める要件を充足しないものでない限りは、国土交通大

臣許可に係るものにあっては経由庁が受理したときにその効力を生ずるものとして取り扱う。

2.変更届出書等の取扱いについて

(1)変更届出書(様式第二十二号の二)について

① 本届出書は、届出事項について、変更に係る部分のみの記載で足りる。なお、変更の内容

が◎「入力事項」の各欄に掲げる事項に係る場合には、該当する欄にも変更後の内容を記載

させる。

② 4 3の「郵便番号」「電話番号」の欄はいずれの変更の場合にも両方記載させることが

必要となるので、十分注意すること。

③ 法第5条第1号から第5号までに掲げる事項について変更があった場合に本届出書を記載

させる。

(2)事業報告書について

会社法(平成17年法律第86号)第438条の規定に基づき取締役が定時株主総会に提出してそ

の内容を報告した事業報告書と同一のものを、毎事業年度経過後、届け出ることを求めるもの

であり、様式については問わない。

事業報告書が、定時株主総会に株主を招集するための通知書等として、貸借対照表及び損益

計算書等とともに同一の冊子にまとめられる場合にあっては、当該冊子を届け出ることで足り

るものとする。

(3)法第11条第1項の規定のうち、役員等の一覧表(様式第一号別紙一)に記載しなければなら

ない総株主の議決権の100分の5以上を有する株主に変更があった場合には、変更を覚知してか

ら三十日以内に提出するよう指導する。なお、すでに記載している株主の持ち分比率が100分

の5を下回らない場合には提出を要しない。

(4)法第11条第2項及び第3項の規定により提出し又は届け出なければならない書面について

は、別紙8により届出等を行わせるものとする。

(5)届出書(様式第二十二号の三)について

本届出書は、既に証明されている経営業務の管理責任者又は専任技術者を削除する場合にも

使用できる。

経営業務の管理責任者又は専任技術者を削除する場合としては、許可を受けている建設業の

一部を廃業する場合が主に想定され、その場合には廃業届(様式第二十二号の四)と本届出書

が同時に提出される必要があるが、それ以外にも、経営業務の管理責任者としての経験年数が

7年以上になった者がいるため複数いる経営業務の管理責任者を一人にする場合、一部の営業

所を廃止したためそこに置いていた専任技術者が不要になった場合等が考えられる。

なお、専任技術者については、上記の場合において、廃業しない建設業について引き続き専

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任技術者となる者又は営業所の廃止に伴い所属する営業所を変更し引き続き専任技術者とな

る者については、本届出書ではなく、専任技術者証明書(新規・変更)(様式第八号)を用い

て届け出ることになる。

【第12条関係】

1.廃業届(様式第二十二号の四)の取扱いについて

(1)法第12条の規定による届出は、本様式をもって行わせる。なお、一部の業種の廃業の場合に

は、専任技術者証明書(新規・変更)(様式第八号(1))による専任技術者の変更又は届出書

(様式第二十二号の三)による専任技術者の削除が必要となるので、本届出と同時に必要な書

類を提出させる。

(2)「行政庁側記入欄」は、以下の要領で記入する。

5 8「整理区分」の欄は、廃業の理由について、次の分類に従い該当する数字をカラムに

記入すること。

「1.廃業」……………法第12条各号の一に該当することにより、建設業者自らが建設業

を廃業した場合

「2.取消」……………許可行政庁が許可を取り消した場合

「3.失効」……………許可の有効期間が経過しても更新の手続がとられていない場合

5 9「決裁年月日」の欄は、廃業について決裁をした年月日を記載すること。

2.許可の取消しの通知について

廃業届に基づき許可の取消しをした場合においては、届出者に対し、別紙9により通知する。

なお、当該通知は直接届出者あてに送付若しくは手交することとし、届出者が当該通知を確実

に受け取った旨の記録を残すものとする。

【第15条関係】

1.専任技術者について(法第15条第2号)

(1)営業所におかれる技術者に必要とされる実務の経験は、発注者から直接請け負った建設工事

に係るものに限られており、したがって発注者の側における経験、元請負人から請け負った建

設工事に係る実務の経験は含まれない。

(2)指導監督的な実務経験について

① 「指導監督的な実務の経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主

任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう。

② 指導監督的な実務の経験については、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発

注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上の

指導監督的な実務の経験が必要であるが、昭和59年10月1日前に請負代金の額が1,500万円

以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験及び昭和59年10月1日以降平成

6年12月28日前に請負代金の額が3,000万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれ

た実務の経験は、4,500万円以上の建設工事に関する実務の経験とみなして、当該2年以上

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の期間に算入することができる。

(3)法第7条第2号イからハまでのいずれかに該当するための期間の全部又は一部が、法第15条

第2号ロに該当するための期間の全部又は一部と重複している場合には、当該重複する期間を

法第7条第2号イからハまでのいずれかに該当するまでの期間として算定すると同時に法第1

5条第2号ロに該当するための期間として算定してもよい。

また、実務の経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係

る経験期間を積み上げ合計して得た期間とする。ただし、経験期間が重複しているものにあっ

ては二重に計算しない。なお、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備

士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験について

は、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り

経験期間に算入する。

2.財産的基礎について(法第15条第3号)

(1)次のすべての基準を満たす者は、倒産することが明白である場合を除き、この基準を満たし

ているものとして取り扱う。

① 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。

② 流動比率が75%以上であること。

③ 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること。

(2)「欠損の額」とは、法人にあっては貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合にその額が

資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額を、個人にあっては事業主損失が

事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の

引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいう。

(3)「流動比率」とは、流動資産を流動負債で除して得た数値を百分率で表したものをいう。

(4)「資本金」とは、法人にあっては株式会社の払込資本金、持分会社等の出資金額をいい、個

人にあっては期首資本金をいう。

(5)「自己資本」とは、法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額を、個人にあっては

期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債

の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいう。

(6)この基準を満たしているかどうかの判断は、原則として既存の企業にあっては申請時の直前

の決算期における財務諸表により、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表によ

り、それぞれ行う。

ただし、当該財務諸表上では、資本金の額に関する基準を満たさないが、申請日までに増資

を行うことによって基準を満たすこととなった場合には、「資本金」については、この基準を

満たしているものとして取り扱う。

【第29条の2及び第29条の5関係】

許可の取消し処分の公告について

法第29条の2第1項の規定に基づき許可の取消しをした場合においては、規則第23条の2各号に

掲げる事項に加え、次の事項についても公告するものとする。

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「5 教示 この処分に不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算し

て60日以内に、国土交通大臣に対して審査請求をすることができる(この処分があったこと

を知った日の翌日から起算して60日以内であっても、審査請求は、処分があった日の翌日か

ら起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、

この限りでない。)。ただし、天災その他審査請求をしなかったことについてやむをえない

理由があるときは、この限りでない。

また、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の定めるところにより、この処分があっ

たことを知った日(当該処分につき審査請求をした場合においては、これに対する裁決があ

ったことを知った日)から6か月以内に国を被告として(訴訟において国を代表する者は法

務大臣となる。)、取消訴訟を提起することができる(この処分又は裁決があったことを知

った日から6か月以内であっても、取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年を経過したとき

は、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。)。た

だし、正当な理由があるときは、この限りでない。」

【その他】

1.許可番号について

(1)許可番号は、国土交通大臣の許可に係る場合にあっては、下記の具体例のとおり、許可行政

庁名、一般建設業又は特定建設業の別、許可年度及び業者番号を、記号及びアラビア数字をも

って付与する。

なお、業者番号は、一業者一番号とし、一般建設業の許可及び特定建設業の許可を通じ、同

一の番号を付与する。例えば、一般建設業の許可をするに当たって、第 100号を付与した場

合は、特定建設業の許可をする場合においても、同番号を付与することとなる。

許可番号

国土交通大臣 許可 (般特-13) 第 100 号

許可行政庁名

一般建設業又は

特定建設業の別

許可年度

業者番号

(2)許可番号は、地方整備局等単位ではなく全国を通して、許可をした順に付与することとする。

(3)既に受けていたすべての許可が効力を失った場合(特定建設業の許可のみを受けている者が、

一般建設業の許可を申請するために、特定建設業の全部を廃業する場合を除く。)の許可番号

は欠番とし、補充は行わないものとする。

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2.法等における「請負代金の額」等の内容について

消費税及び地方消費税は消費一般に負担を求める間接税であり、取引の各段階において適正に

転嫁される必要があることにかんがみ、法、令及び規則の規定中、「請負代金の額」その他の個々

の取引に係る請負代金に係る用語は、当該取引に係る消費税及び地方消費税の額を含むものとす

る。

3.国土交通大臣の許可に係る許可要件等の確認について

許可等をするに当たっては、申請又は届出に係る経営業務の管理責任者(法第7条第1号及び

第15条第1号)及び営業所ごとに置かれる専任の技術者(法第7条第2号及び第15条第2号)が、

法に規定する要件に適合しているか否か等を確認する必要があるので、次の(1)から(3)に

掲げる方法により、その確認を行うこととする。

また、必要に応じ、法第31条第1項の規定に基づき営業所の立入検査を実施することとする。

(1)経営業務の管理責任者に係る許可要件の確認

経営業務の管理責任者の常勤性の確認については、例えば健康保険被保険者証カード(両面)

の写し若しくはこれらに準ずる資料の提出又は提示を申請者に求めることにより、経験年数の

確認については商業登記簿謄本その他建設業の経営業務に関する経験を確認することができ

る資料の提出又は提示を申請者に求めることにより、それぞれ行うものとする。

(2)営業所ごとに置く専任の技術者及び令第3条に規定する使用人に係る許可要件の確認

営業所ごとに置く専任の技術者及び令第3条に規定する使用人に係る常勤性の確認につい

ては、例えば健康保険被保険者証カード(両面)の写し若しくはこれらに準ずる資料の提出又

は提示を申請者に求めることにより行うものとする。

(3)営業所の確認

営業所の確認については、次の①及び②に掲げる資料の提出又は提示を申請者に求めること

により行うものとする。

① 営業所の地図及び営業所の写真

「営業所の地図」とは、営業所の所在地を明記し、最寄りの交通機関、公共、公益施設等

の位置を明示した概略図とする。

また、営業所の写真とは、営業所の形態を確認できるもので、営業所のある建物の外観、

入口付近及び営業所の内部(規則第25条第2項前段に規定する標識が掲示されていることが

確認できるもの)を写したものとする。

② 営業所を使用する権原を確認するための資料

営業所を使用する権原を確認するための資料は、不動産登記簿謄本又は不動産賃貸借契約

書等の写し若しくはこれらに準ずる資料とする。

4.建設業者の合併に係る建設業許可関係事務の取扱いについて

(1)合併に伴う諸届出

① 新設合併により消滅する会社

法律上、新設合併の効果が生じるのは合併登記後であるが、通常は、合併契約上合併をな

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すべき時期(以下「合併期日」という。)を定め、合併登記をまたず合併期日以後は実態上

新設会社(新設合併において合併に伴い設立された会社をいい、合併期日後合併登記前の状

態を含むものとする。以下4.において同じ。)として活動することとなると考えられる。

したがって、このような新設会社への移行の実態的内容に着目し、次のとおり取り扱うもの

とする。

(a)合併期日において、合併契約に基づき合併により消滅することとなる会社(以下「消滅

会社」という。)の従業員が新設会社に実態上所属することとなる等消滅会社が許可の要

件を明らかに満たさなくなる場合

法第11条第5項に該当し、合併期日から二週間以内に同項の届出をしなければならな

い。

ただし、法第12条第5号に該当するものとして同条の規定による届出をした場合はこの

限りでない。

(b)(a)以外の場合で合併期日以後残務整理等を行い合併登記前に段階的に新設会社に移

行する場合

消滅会社が許可の要件を明らかに満たさなくなり、又は廃業した段階で法第11条第5項

又は第12条第5号に該当するものとして、これらの規定による届出をしなければならな

い。

(c)(a)及び(b)以外の場合(合併登記の段階で消滅会社の実態が消滅する場合)

法第12条第2号に該当するものとして、同条の規定による届出をしなければならない。

② 吸収合併における消滅会社

法律上、吸収合併の効果が生じるのは合併期日であるため、合併登記前においても法第11

条の届出をなすべき実態が生じた段階で、当該届出をしなければならないものとする。

(2)建設業の許可申請の取扱い

① 許可手続を行う時期

消滅会社が合併以前に受けていた建設業の許可については、当該合併により新会社(吸収

合併においては合併後存続している会社(以下「存続会社」という。)、新設合併において

は新設会社をいう。以下4.において同じ。)に当然継承されるものではなく、

(a)吸収合併においては、存続会社が許可を受けておらず消滅会社のみが許可を受けていた

業種について、

(b)新設合併においては、新設会社は、許可を受けようとするすべての業種について、

それぞれ新たに許可を受けることが必要となる。

また、吸収合併の場合、存続会社が一般建設業の許可を受けている業種について、特定建

設業の許可を受けなければならない場合もあり得る。

これらの合併に係る建設業の許可申請の取扱いについては、当該申請に係る建設業の新会

社への移行の円滑化を図るため、次に掲げる事項に留意するものとする。

(a)吸収合併の場合

合併期日後に、存続会社より、これらの許可の申請があったときは、消滅会社に係る同

種の許可の取消し前においても存続会社に許可をすることができるものであり、消滅会社

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から存続会社への移行を円滑に進め、事業の空白をなるべく生じさせないという観点か

ら、可及的速やかに処理する。

なお、存続会社の既に許可を受けている許可の更新と併せて【第3条関係】4.でいう

同一業者に係る二以上の許可の有効期間の調整(一本化)ができることに留意する。

(b)新設合併の場合

新設合併の場合においては、法律上、合併の効果が生じ新設会社が設立されるのは合併

登記時であるので、合併登記後に新設会社に必要な許可申請を行わせ、可及的速やかに処

理する。

② 手続における配慮

審査の円滑な実施のため、合併により許可申請が必要となると見込まれる場合には、なる

べく早く申し出、事前打合わせを行うよう、建設業者(許可申請をすることとなる者を含む。

以下同じ。)を指導する。

③ その他の留意事項

消滅会社から新会社への移行に当たり事業の内容に変更事項が多数ある場合には審査に

相応の期間が必要であり、①に掲げる取扱いは合併に伴う許可申請についての行政手続法

(平成5年法律第88号)第6条の標準処理期間をその他の許可申請に比べて短縮する趣旨で

はない。

(3)関連する手続相互の整合性の確保

(1)及び(2)に掲げる手続については、建設業者間の相互に直接の関係を有するもので

はなく、例えば消滅会社の廃業届等が提出される前に新会社の許可申請も可能である等前後関

係に特段の制約はないが、これらの手続は一連のものであり、関係建設業者が相互に協調しつ

つ、許可行政庁と十分に打ち合わせて、整然と手続が進められるよう、これらの関係建設業者

を指導する。

(4)消滅会社に係る施工中の建設工事の取扱い

消滅会社が施工中の建設工事で合併期日までに完成しないものの取扱いについては、一般的

には注文者と消滅会社の請負契約の中で処理されることとなる(公共工事については公共工事

標準請負契約約款第5条参照)ので、当該工事の取扱いについては、合併前から注文者と十分

協議するよう関係建設業者を指導する。

なお、建設業の許可に関しては、消滅会社に係る許可が取り消された場合において、新会社

は合併登記前においても許可を取り消された者の法第29条の3第1項に規定する一般承継人

に該当するものと解して差し支えなく、この場合、新会社は、(2)①に掲げる許可を受ける

までの間は、同項の規定により工事を施工することとなる。

5.建設業の譲渡に係る建設業許可関係事務の取扱いについて

(1)建設業の許可申請の取扱い

建設業の譲渡に係る建設業許可申請の取扱いについては、建設業の譲渡を行う者(以下「譲

渡人」という。)から建設業の譲渡を受ける者(以下「譲受人」という。)への建設業の移行

の円滑化を図るため、次に掲げる事項に留意するものとする。

177

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35

① 許可申請の速やかな処理

建設業の譲渡に伴い譲受人から建設業の許可の申請があったときは、当該建設業の譲受人

への移行を円滑に進め、事業の空白をなるべく生じさせないという観点から、可及的速やか

に処理する。

なお、建設業の譲渡に伴い譲渡人の建設業の許可を取り消す必要がある場合、譲受人に対

する同種の許可は、譲渡人の建設業の許可の取消し前においてもできるものであることに留

意する。

② 事前打ち合わせの実施

①の許可申請に係る審査を円滑に実施するため、建設業の譲渡により許可申請が必要にな

ると見込まれる場合には、なるべく早く申し出、事前打ち合わせを行うよう建設業者を指導

する。

③ その他の留意事項

建設業の譲渡に当たり事業の内容に変更事項が多数ある場合には審査に相応の期間が必

要であり、①に掲げる取扱いは建設業の譲渡に伴う許可申請についての行政手続法第6条の

標準処理期間をその他の許可申請に比べて短縮する趣旨ではない。

(2)譲渡人が施工中の建設工事の取扱い

① 注文者との事前協議

譲渡人が施工中の建設工事で譲渡がなされる日までに完成しないものの取扱いについて

は、一般的には注文者と譲受人の請負契約の中で処理されることとなる(公共工事について

は公共工事標準請負契約約款第5条参照)ので、当該工事の取扱いについては、譲渡前から

注文者と十分協議するよう関係建設業者を指導する。

② 法第29条の3第1項の適用に当たっての注意事項

建設業の譲渡に伴い譲渡人の建設業の許可が取り消された場合で、かつ、当該取り消され

た建設業の許可業種に係る譲渡人の請負契約上の債権債務が包括的に譲受人に引き継がれ

る場合には、当該建設業の許可業種に関する限り、譲受人を法第29条の3第1項に規定する

一般承継人に該当するものとして解して差し支えなく、この場合、譲受人は(1)①に掲げる

許可を受けるまでの間は、同項の規定により工事を施工することとなる。

6.建設業の会社分割に係る建設業許可関係事務の取扱いについて

(1)建設業の許可申請の取扱い

① 許可手続を行う時期

分割会社(会社分割(以下「分割」という。)をする会社をいう。以下同じ。)が分割以

前に受けていた建設業の許可については、その分割により当然継承されるものではなく、

(a)吸収分割においては、承継会社(吸収分割によって建設業を承継する会社をいう。以下

同じ。)が許可を受けておらず分割会社のみが許可を受けていた業種について、

(b)新設分割においては、新設会社(新設分割によって設立される会社をいう。以下6.に

おいて同じ。)は、許可を受けようとするすべての業種について、

それぞれ新たに許可を受けることが必要となるものである。

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また、吸収分割の場合、承継会社が一般建設業の許可を受けている業種について、特定建

設業の許可を受けなければならない場合もあり得る。

これらの分割に係る建設業の許可申請の取扱いについては、当該申請に係る建設業の新会

社(分割後の分割会社、承継会社及び新設会社をいう。以下6.において同じ。)への移行

の円滑化を図るため、次に掲げる事項に留意するものとする。

(a)吸収分割の場合

分割をなすべき時期(以下「分割期日」という。)以後、承継会社より、これらの許可

の要件を満たしている場合において、これらの許可の申請があったときは、分割会社に係

る同種の許可の取消し前においても承継会社に許可をすることができるものであり、分割

会社から承継会社への移行を円滑に進め、事業の空白をなるべく生じさせないという観点

から、可及的速やかに処理する。

なお、承継会社の既に受けている許可の更新と併せて【第3条関係】4.でいう同一業

者に係る二以上の許可の有効期間の調整(一本化)ができることに留意する。

(b)新設分割の場合

新設分割の場合においては、法律上、分割の効果が生じ新設会社が設立されるのは分割

登記時であるので、分割登記後に新設会社に必要な許可申請を行わせ、可及的速やかに処

理する。

② 手続における配慮

審査の円滑な実施のため、分割により許可申請が必要となると見込まれる場合には、なる

べく早く申し出、関係書類を整え、事前打ち合わせを行うよう、建設業者を指導する。

③ その他の留意事項

分割に当たって事業の内容に変更事項が多数ある場合には審査に相応の期間が必要であ

り、①に掲げる取扱いは分割に伴う許可申請についての行政手続法第6条の標準処理期間を

その他の許可申請に比べて短縮する趣旨ではない。

(2)分割会社に係る施工中の建設工事の取扱い

分割会社が施工中の建設工事で分割期日までに完成しないものの取扱いについては、一般的

には注文者と分割会社の請負契約の中で処理されることとなる(公共工事については公共工事

標準請負契約約款第5条参照)ので、当該工事の取扱いについては、分割前から注文者と十分

協議するよう関係建設業者を指導する。

なお、建設業の許可に関しては、分割会社に係る許可が取り消された場合において、承継会

社又は新設会社は分割登記前においても許可を取り消された者の法第29条の3第1項に規定

する一般承継人に該当するものと解して差し支えなく、この場合、承継会社又は新設会社は、

(1)①に掲げる許可を受けるまでの間は、同項の規定により工事を施工することとなる。

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別表1

建設工事の種類 建 設 工 事 の 例 示

土木一式工事

建築一式工事

大工工事 大工工事、型枠工事、造作工事

左官工事

左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、

とぎ出し工事、洗い出し工事

とび・土工・コンクリート工事

イ とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重

運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック

据付け工事

ロ くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい

工事

ハ 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事

ニ コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリ

ート圧送工事、プレストレストコンクリート工事

ホ 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウ

ト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面

保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、

捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アン

カー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

石工事 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)

工事

屋根工事 屋根ふき工事

電気工事

発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、

構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工

事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

管工事

冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、

給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄

化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工

事、管内更生工事

タイル・れんが・ブロツク工事 コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張

り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、

サイディング工事

鋼構造物工事

鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タ

ンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工

鉄筋工事 鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事

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建設工事の種類 建 設 工 事 の 例 示

ほ装工事

アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック

舗装工事、路盤築造工事

しゆんせつ工事 しゆんせつ工事

板金工事 板金加工取付け工事、建築板金工事

ガラス工事 ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事

塗装工事

塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、

鋼構造物塗装工事、路面標示工事

防水工事

アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工

事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事

内装仕上工事

インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切

り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、

防音工事

機械器具設置工事

プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工

事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器

設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装

置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事

熱絶縁工事

冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学

工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事

電気通信工事

電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械

設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制

御設備工事、TV電波障害防除設備工事

造園工事

植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設

備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、

緑地育成工事

さく井工事

さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井

戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工

事、揚水設備工事

建具工事

金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテ

ンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア

ー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事

水道施設工事 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設

備工事

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建設工事の種類 建 設 工 事 の 例 示

消防施設工事

屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、

泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、

屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知

設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、

金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備

の設置工事

清掃施設工事 ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

解体工事 工作物解体工事

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別表2

代理人の記名押印を可とする

許可申請書類

建設業許可申請書(様式第一号)の申請者の欄、専任技術者証

明書(新規・変更)(様式第八号)の申請者・届出者の欄(専

任技術者の交代に伴う削除に限る。)、国家資格者等・監理技

術者一覧表(新規・変更・追加・削除)(様式第十一号の二)

の申請者・届出者の欄、変更届出書(様式第二十二号の二)の

届出者の欄、届出書(様式第二十二号の三)の届出者の欄及び

廃業届(様式第二十二号の四)の届出者の欄

代理人の記名押印を不可とす

る許可申請書類

誓約書(様式第六号)の申請者の欄、経営業務の管理責任者証

明書(様式第七号)の証明者又は申請者の欄、経営業務の管理

責任者の略歴書(様式第七号別紙)の氏名の欄、専任技術者証

明書(新規・変更)(様式第八号)の申請者・届出者の欄(専

任技術者の交代に伴う削除の場合を除く。)、実務経験証明書

(様式第九号)の証明者の欄、指導監督的実務経験証明書(様

式第十号)の証明者の欄、許可申請者の住所、生年月日等に関

する調書(様式第十二号)の氏名の欄、建設業法施行令第3条

に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書(様式第十

三号)の氏名の欄

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国 総 建 第 3 1 8 号

平 成 1 6 年 3 月 1 日

建 設 業 者 団 体 の 長 あて

国土交通省総合政策局建設業課長

監理技術者制度運用マニュアルについて

建設業法第26条に定める工事現場に置く技術者については 「監理技術者資格者証運用、

マニュアルについて (平成6年12月28日付け建設省経建発第395号)をもって当職より通」

知し、これに違反した場合、建設業者に対しては監督処分を行いうるものとしているとこ

ろである。

今般 「公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律、

(平成15年法律第96号 」等が施行されたことに加え、技術者が適正に設置されていない)

こと等による不良施工や一括下請負などの不正行為を排除するとともに、建設業の生産性

の向上を図り建設工事の適正な施工を確保するため、従来の「資格者証(監理技術者資格

者証)運用マニュアル」を見直し、技術者の適正な設置に係る運用を定めた標記マニュア

ルを別添のとおり定め、当職から地方整備局等建設業担当部長及び各都道府県主管部局長

あて通知した。

標記マニュアルは、行政担当部局が指導を行う際の指針となると同時に、建設業者が業

務を遂行する際の参考となるものであるので、別添のとおり送付する。

また、貴団体傘下の建設業者に対し、周知方お願いする。

なお、平成6年の「監理技術者資格者証運用マニュアルについて」は、廃止する。

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〔別添〕

監理技術者制度運用マニュアル

目 次

一 趣旨

二 監理技術者等の設置

二-一 工事外注計画の立案

二-二 監理技術者等の設置

二-三 監理技術者等の職務

二-四 監理技術者等の雇用関係

三 監理技術者等の工事現場における専任

四 監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証の携帯

五 施工体制台帳の整備と施工体系図の作成

六 工事現場への標識の掲示

七 建設業法の遵守

一 趣旨

建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するため、工事現場における建設工事の施工の技術上

の管理をつかさどる者として主任技術者又は監理技術者(以下、「監理技術者等」という。)の設置を

求めている。

監理技術者等に関する制度(以下、「監理技術者制度」という。)は、高度な技術力を有する技術者

が施工現場においてその技術力を十分に発揮することにより、建設市場から技術者が適正に設置され

ていないこと等による不良施工や一括下請負などの不正行為を排除し、技術と経営に優れ発注者から

信頼される企業が成長できるような条件整備を行うことを目的としており、建設工事の適正な施工の

確保及び建設産業の健全な発展のため、適切に運用される必要がある。

本マニュアルは、建設業法上重要な柱の一つである監理技術者制度を的確に運用するため、行政担

当部局が指導を行う際の指針となるとともに建設業者が業務を遂行する際の参考となるものである。

(1)建設業における技術者の意義

・ 建設業については、一品受注生産であるためあらかじめ品質を確認できないこと、不適正な施工が

あったとしても完全に修復するのが困難であること、完成後には瑕疵の有無を確認することが困難で

あること、長期間、不特定多数に使用されること等の建設生産物の特性に加え、その施工については、

総合組立生産であるため下請業者を含めた多数の者による様々な工程を総合的にマネージメントす

る必要があること、現地屋外生産であることから工程が天候に左右されやすいこと等の特性があるこ

とから、建設業者の施工能力が特に重要となる。一方、建設業者は、良質な社会資本を整備するとい

う社会的使命を担っているとともに、発注者は、建設業者の施工能力等を拠り所に信頼できる建設業

者を選定して建設工事の施工を託している。そのため、建設業者がその技術力を発揮して、建設工事

の適正かつ生産性の高い施工が確保されることが極めて重要である。特に現場においては、建設業者

が組織として有する技術力と技術者が個人として有する技術力が相俟って発揮されることによりは

じめてこうした責任を果たすことができ、この点で技術者の果たすべき役割は大きく、建設業者は、

適切な資格、経験等を有する技術者を工事現場に設置することにより、その技術力を十分に発揮し、

施工の技術上の管理を適正に行わなければならない。

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(2)建設業法における監理技術者等

・ 建設業法においては、建設工事を施工する場合には、工事現場における工事の施工の技術上の管理

をつかさどる者として、主任技術者を置かなければならないこととされている。また、発注者から直

接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が三千万円(建築一

式工事の場合は四千五百万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要になるとともに、主任

技術者に代えて監理技術者を置かなければならない(法第二十六条第一項及び第二項、令第二条)。

・ 監理技術者等となるためには、一定の国家資格や実務経験を有していることが必要であり、特に指

定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業及び造園

工事業)に係る建設工事の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者又は建設業法第十五条第

二号ハの規定に基づき国土交通大臣が認定した者(以下、「国土交通大臣認定者」という。)に限られ

る(法第二十六条第二項)。

(3)本マニュアルの位置付け

・ 監理技術者制度が円滑かつ的確に運用されるためには、行政担当部局は建設業者を適切に指導する

必要がある。本マニュアルは、監理技術者等の設置に関する事項、監理技術者等の専任に関する事項、

監理技術者資格者証(以下、「資格者証」という。)に関する事項、監理技術者講習に関する事項等、

監理技術者制度を運用する上で必要な事項について整理し、運用に当たっての基本的な考え方を示し

たものである。

建設業者にあっては、本マニュアルを参考に、監理技術者制度についての基本的考え方、運用等に

ついて熟知し、建設業法に基づき適正に業務を行う必要がある。

二 監理技術者等の設置

二-一 工事外注計画の立案

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、施工体制の整備及び監理技術者等の設置の要否

の判断等を行うため、専門工事業者等への工事外注の計画(工事外注計画)を立案し、下請契約の請

負代金の予定額を的確に把握しておく必要がある。

(1)工事外注計画と下請契約の予定額

・ 一般的に、工事現場においては、総合的な企画、指導の職務を遂行する監理技術者等を中心とし、

専門工事業者等とにより施工体制が構成される。その際、建設工事を適正に施工するためには、工事

のどの部分を専門工事業者等の施工として分担させるのか、また、その請負代金の額がどの程度とな

るかなどについて、工事外注計画を立案しておく必要がある。工事外注計画としては、受注前に立案

される概略のものから工事施工段階における詳細なものまで考えられる。発注者から直接建設工事を

請け負った建設業者は、監理技術者等の設置の要否を判断するため、工事受注前にはおおむねの計画

を立て、工事受注後速やかに、工事外注の範囲とその請負代金の額に関する工事外注計画を立案し、

下請契約の予定額が三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となるか否か的確に把握し

ておく必要がある。なお、当該建設業者は、工事外注計画について、工事の進捗段階に応じて必要な

見直しを行う必要がある。

(2)下請契約について

・ 「下請契約」とは、建設業法において次のように定められている(法第二条第四項)。

「建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の

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全部又は一部について締結される請負契約」

「請負契約」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に

対して報酬を与えることを約する契約」であり、単に使用者の指揮命令に従い労務に服することを目

的とし、仕事の完成に伴うリスクは負担しない「雇用」とは区別される。発注者から直接建設工事を

請け負った建設業者は、このような点を踏まえ、工事外注の範囲を明らかにしておく必要がある。

・ なお、公共工事については全面的に一括下請負が禁止されており(公共工事の入札及び契約の適正

化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。以下、「入札契約適正化法」という。)第十二

条)、民間工事においても発注者の書面による承諾を得た場合を除き禁止されている(法第二十二条)。

二-二 監理技術者等の設置

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の予定額を的確に把握して監理技

術者を置くべきか否かの判断を行うとともに、工事内容、工事規模及び施工体制等を考慮し、適正に

技術者を設置する必要がある。

(1)監理技術者等の設置における考え方

・ 建設工事の適正な施工を確保するためには、請け負った建設工事の内容を勘案し適切な技術者を適

正に設置する必要がある。このため、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、事前に

監理技術者を設置する工事に該当すると判断される場合には、当初から監理技術者を設置しなければ

ならず、監理技術者を設置する工事に該当するかどうか流動的であるものについても、工事途中の技

術者の変更が生じないよう、監理技術者になり得る資格を有する技術者を設置しておくべきである。

また、主任技術者、監理技術者の区分にかかわらず、下請契約の請負代金の額が小さくとも工事の

規模、難易度等によっては、高度な技術力を持つ技術者が必要となり、国家資格者等の活用を図るこ

とが適切な場合がある。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、これらの点も勘案しつつ、

適切に技術者を設置する必要がある。

(2)共同企業体における監理技術者等の設置

・ 建設業法においては、建設業者はその請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し、

当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる監理技術者等を置かなければな

らないこととされており、この規定は共同企業体の各構成員にも適用され、下請契約の額が三千万円

(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となる場合には、特定建設業者たる構成員一社以上が監

理技術者を設置しなければならない。また、その請負金額が二千五百万円(建築一式工事の場合は五

千万円)以上となる場合は設置された監理技術者等は専任でなければならない。

なお、共同企業体が公共工事を施工する場合には、原則として特定建設業者たる代表者が、請負金

額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきである。

・ 一つの工事を複数の工区に分割し、各構成員がそれぞれ分担する工区で責任を持って施工する分担

施工方式にあっては、分担工事に係る下請契約の額が三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)

以上となる場合には、当該分担工事を施工する特定建設業者は、監理技術者を設置しなければならな

い。また、分担工事に係る請負金額が二千五百万円(建築一式工事の場合は五千万円)以上となる場

合は設置された監理技術者等は専任でなければならない。

なお、共同企業体が公共工事を分担施工方式で施工する場合には、分担工事に係る下請契約の額が

三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となる場合は、当該分担工事を施工する特定建

設業者は、請負金額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきである。

・ いずれの場合も、その他の構成員は、主任技術者を当該工事現場に設置しなければならないが、公

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共工事を施工する特定建設共同企業体にあっては国家資格を有する者を、また、公共工事を施工する

経常建設共同企業体にあっては原則として国家資格を有する者を、それぞれ請負金額にかかわらず専

任で設置すべきである。

・ 共同企業体による建設工事の施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が、施

工しようとする工事にふさわしい技術者を適正に設置し、共同施工の体制を確保しなければならない。

したがって、各構成員から派遣される技術者等の数、資格、配置等は、信頼と協調に基づく共同施工

を確保する観点から、工事の規模・内容等に応じ適正に決定される必要がある。このため、編成表の

作成等現場職員の配置の決定に当たっては、次の事項に配慮するものとする。

① 工事の規模、内容、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な配置人数を確保すること。

② 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、配置される職員は、ポストに応

じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること。

③ 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること。

④ 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること。

(3)主任技術者から監理技術者への変更

・ 当初は主任技術者を設置した工事で、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負

代金の額が三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となったような場合には、発注者か

ら直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者

を設置しなければならない。ただし、工事施工当初においてこのような変更があらかじめ予想される

場合には、当初から監理技術者になり得る資格を持つ技術者を置かなければならない。

(4)監理技術者等の途中交代

・ 建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあることから、施工管理をつかさどっている監理技

術者等の工期途中での交代は、当該工事における入札・契約手続きの公平性の確保を踏まえた上で、

慎重かつ必要最小限とする必要があり、これが認められる場合としては、監理技術者等の死亡、傷病

または退職等、真にやむを得ない場合のほか、次に掲げる場合等が考えられる。

① 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な変更が発生し、工期

が延長された場合

② 橋梁、ポンプ、ゲート等の工場製作を含む工事であって、工場から現地へ工事の現場が

移行する時点

③ ダム、トンネル等の大規模な工事で、一つの契約工期が多年に及ぶ場合

・ なお、いずれの場合であっても、発注者と発注者から直接建設工事を請け負った建設業者との協議

により、交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とするほか、交代前後における監理技術

者等の技術力が同等以上に確保されるとともに、工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して工事

現場に設置するなどの措置をとることにより、工事の継続性、品質確保等に支障がないと認められる

ことが必要である。

・ また、協議においては、発注者からの求めに応じて、直接建設工事を請け負った建設業者が工事現

場に設置する監理技術者等及びその他の技術者の職務分担、本支店等の支援体制等に関する情報を発

注者に説明することが重要である。

(5)営業所における専任の技術者と監理技術者等との関係

・ 営業所における専任の技術者は、営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められている。

・ ただし、特例として、当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職

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務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業

所との間で常時連絡をとりうる体制にあるものについては、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用

関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない監理技術者等となることができる(平成十五年四

月二十一日付、国総建第十八号)。

二-三 監理技術者等の職務

監理技術者等は、建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の

技術上の管理及び施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

・ 監理技術者等の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における建設工

事の施工の技術上の管理をつかさどることである。すなわち、建設工事の施工に当たり、施工内容、

工程、技術的事項、契約書及び設計図書の内容を把握したうえで、その施工計画を作成し、工事全体

の工程の把握、工程変更への適切な対応等具体的な工事の工程管理、品質確保の体制整備、検査及び

試験の実施等及び工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行うとともに、当該建設工事

の施工に従事する者の技術上の指導監督を行うことである(法第二十六条の三第一項)。

特に、監理技術者は、建設工事の施工に当たり外注する工事が多い場合に、当該建設工事の施工を

担当するすべての専門工事業者等を適切に指導監督するという総合的な役割を果たすものであり、工

事の施工に関する総合的な企画、指導等の職務がとりわけ重視されるため、より高度な技術力が必要

である。

また、工事現場における建設工事の施工に従事する者は、監理技術者等がその職務として行う指導

に従わなければならない(法第二十六条の三第二項)。

・ なお、監理技術者等が、同じ建設業者に所属する他の技術者を活用しながら監理技術者等としての

職務を遂行する場合には、監理技術者等を補佐するこれらの他の技術者の職務を総合的に掌握すると

ともに指導監督する必要がある。この場合において、適正な施工を確保する観点から、個々の技術者

の職務分担を明確にしておく必要があり、発注者から請求があった場合は、その職務分担等について、

発注者に説明することが重要である。

・ 現場代理人は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び

契約関係事務に関する一切の事項を処理するものとして工事現場に置かれる請負者の代理人であり、

監理技術者等との密接な連携が適正な施工を確保する上で必要不可欠である。なお、監理技術者と現

場代理人はこれを兼ねることができる(公共工事標準請負契約約款第十条)。

二-四 監理技術者等の雇用関係

建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常

的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証または健康保険被

保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。

(1)監理技術者等に求められる雇用関係

・ 建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関

係にあることが必要である。また、建設業者としてもこのような監理技術者等を設置して適正な施工

を確保することが、当該建設業者が技術と経営に優れた企業として評価されることにつながる。

・ 発注者は設計図書の中で雇用関係に関する条件や雇用関係を示す書面の提出義務を明示するなど、

あらかじめ雇用関係の確認に関する措置を定め、適切に対処することが必要である。

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(2)直接的な雇用関係の考え方

・ 直接的な雇用関係とは、監理技術者等とその所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇

用に関する一定の権利義務関係(賃金、労働時間、雇用、権利構成)が存在することをいい、資格者

証、健康保険被保険者証または市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書等によって建設業者と

の雇用関係が確認できることが必要である。したがって、在籍出向者、派遣社員については直接的な

雇用関係にあるとはいえない。

・ 直接的な雇用関係であることを明らかにするため、資格者証には所属建設業者名が記載されており、

所属建設業者名の変更があった場合には、三十日以内に指定資格者証交付機関に対して記載事項の変

更を届け出なければならない(建設業法施行規則(昭和二十四年建設省令第十四号、以下、「規則」

という。)第十七条の三十第一項、第十七条の三十一第一項)。

・ 指定資格者証交付機関は、資格者証への記載に当たって、所属建設業者との直接的かつ恒常的な雇

用関係を、健康保険被保険者証、市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書により確認している

が、資格者証中の所属建設業者の記載や主任技術者の雇用関係に疑義がある場合は、同様の方法等に

より行う必要がある。具体的には、

① 本人に対しては健康保険被保険者証

② 建設業者に対しては健康保険被保険者標準報酬決定通知書、市区町村が作成する住民税

特別徴収税額通知書、当該技術者の工事経歴書

の提出を求め確認するものとする。

(3)恒常的な雇用関係の考え方

・ 恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事

することが担保されていることに加え、監理技術者等と所属建設業者が双方の持つ技術力を熟知し、

建設業者が責任を持って技術者を工事現場に設置できるとともに、建設業者が組織として有する技術

力を、技術者が十分かつ円滑に活用して工事の管理等の業務を行うことができることが必要であり、

特に国、地方公共団体等(法第二十六条第四項に規定する国、地方公共団体その他政令で定める法人)

が発注する建設工事(以下、「公共工事」という。)において、発注者から直接請け負う建設業者の専

任の監理技術者等については、所属建設業者から入札の申込のあった日(指名競争に付す場合であっ

て入札の申込を伴わないものにあっては入札の執行日、随意契約による場合にあっては見積書の提出

のあった日)以前に三ヶ月以上の雇用関係にあることが必要である。

・ 恒常的な雇用関係ついては、資格者証の交付年月日若しくは変更履歴又は健康保険被保険者証の交

付年月日等により確認できることが必要である。

・ 但し、合併、営業譲渡又は会社分割等の組織変更に伴う所属建設業者の変更(契約書又は登記簿の

謄本等により確認)があった場合には、変更前の建設業者と三ヶ月以上の雇用関係にある者について

は、変更後に所属する建設業者との間にも恒常的な雇用関係にあるものとみなす。また、震災等の自

然災害の発生またはその恐れにより、最寄りの建設業者により即時に対応することが、その後の被害

の発生または拡大を防止する観点から最も合理的であって、当該建設業者に要件を満たす技術者がい

ない場合など、緊急の必要その他やむを得ない事情がある場合については、この限りではない。

(4)持株会社化等による直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱い

・ 建設業を取り巻く経営環境の変化等に対応するため、建設業者が営業譲渡や会社分割をした場合や

持株会社化等により企業集団を形成している場合における建設業者と監理技術者等との間の直接的

かつ恒常的な雇用関係の取扱いの特例について、次の通り定めている。

① 建設業者の営業譲渡又は会社分割に係る主任技術者又は監理技術者の直接的かつ恒常的

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な雇用関係の確認の事務取扱いについて(平成十三年五月三十日付、国総建第百五十五号)

② 持株会社の子会社が置く主任技術者又は監理技術者の直接的かつ恒常的な雇用関係の確

認の取扱いについて(平成十四年四月十六日付、国総建第九十七号)

③ 親会社及びその連結子会社の間の出向社員に係る主任技術者又は監理技術者の直接的か

つ恒常的な雇用関係の取扱い等について(平成十五年一月二十二日付、国総建第三百三十

五号)

三 監理技術者等の工事現場における専任

監理技術者等は、公共性のある工作物に関する重要な工事に設置される場合には、工事現場ごとに

専任の者でなければならない。

専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事

していることをいう。

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者については、施工における品質確保、安全確保等を

図る観点から、監理技術者等を専任で設置すべき期間が、発注者と建設業者の間で設計図書もしくは

打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。

(1)工事現場における監理技術者等の専任の基本的な考え方

・ 監理技術者等は、公共性のある工作物に関する重要な工事については、より適正な施工の確保が求

められるため、工事現場ごとに専任の者でなければならない(法第二十六条第三項)。

・ 「公共性のある工作物に関する重要な工事」とは、次の各号に該当する建設工事で工事一件の請負

代金の額が二千五百万円(建築一式工事の場合は五千万円)以上のものをいう(建設業法施行令(昭

和三十一年政令第二百七十三号。以下、「令」という。)第二十七条)。

① 国又は地方公共団体が注文者である工作物に関する工事

② 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、

飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道に関する工事

③ 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設を

いう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設を

いう。)に関する工事

④ 学校、児童福祉法第七条に規定する児童福祉施設、集会場、図書館、美術館、博物館、

陳列館、教会、寺院、神社、工場、ドック、倉庫、病院、市場、百貨店、事務所、興行場、

ダンスホール、旅館業法第二条に規定するホテル、旅館若しくは下宿、共同住宅、寄宿舎、

公衆浴場、鉄塔、火葬場、と畜場、ごみ若しくは汚物の処理場、熱供給事業法第二条第四

項に規定する熱供給施設、石油パイプライン事業法第五条第二項第二号に規定する事業用

施設又は電気通信事業法第十二条第一項に規定する第一種電気通信事業者がその事業の

用に供する施設に関する工事

(2)監理技術者等の専任期間

・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現場に専任で設置すべき期

間は契約工期が基本となるが、たとえ契約工期中であっても次に掲げる期間については工事現場への

専任は要しない。ただし、いずれの場合も、発注者と建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書もし

くは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。

① 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入

または仮設工事等が開始されるまでの間。)

191

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② 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的

に一時中止している期間

③ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製作のみ

が行われている期間

④ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手

続、後片付け等のみが残っている期間

なお、工場製作の過程を含む工事の工場製作過程においても、建設工事を適正に施工するため、監

理技術者等がこれを管理する必要があるが、当該工場製作過程において、同一工場内で他の同種工事

に係る製作と一元的な管理体制のもとで製作を行うことが可能である場合は、同一の監理技術者等が

これらの製作を一括して管理することができる。

・ 下請工事においては、施工が断続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、下

請工事が実際に施工されている期間とする。

・ また、例えば下水道工事と区間の重なる道路工事を同一あるいは別々の主体が発注する場合など、

密接な関連のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する

場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる(令第二十七条第二項)。

ただし、この規定は、専任の監理技術者については適用されない。

・ このほか、同一あるいは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請

負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるもの

(当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限る。)については、全体の工

事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者等が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的である

と考えられることから、これら複数の工事を一の工事とみなして、同一の監理技術者等が当該複数工

事全体を管理することができる。この場合、これら複数工事に係る下請金額の合計を三千万円(建築

一式工事の場合は四千五百万円)以上とするときは特定建設業の許可が必要であり、工事現場には監

理技術者を設置しなければならない。また、これら複数工事に係る請負代金の額の合計が二千五百万

円(建築一式工事の場合は五千万円)以上となる場合、監理技術者等はこれらの工事現場に専任の者

でなければならない。

・ なお、フレックス工期(建設業者が一定の期間内で工事開始日を選択することができ、これが書面

により手続上明確になっている契約方式に係る工期をいう。)を採用する場合には、工事開始日をも

って契約工期の開始日とみなし、契約締結日から工事開始日までの期間は、監理技術者等を設置する

ことを要しない。

四 監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の携帯

公共工事における専任の監理技術者は、資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者講習

を過去五年以内に受講したもののうちから、これを選任しなければならない。また、当該監理技術者

は、発注者等から請求があったときは資格者証を提示しなければならず、当該建設工事に係る職務に

従事しているときは、常時これらを携帯している必要がある。また、監理技術者講習修了証(以下、「修

了証」という。)についても、発注者等から提示を求められることがあるため、資格者証と同様に携帯

しておくことが望ましい。

(1)資格者証制度及び監理技術者講習制度の適用範囲

・ 公共工事については、専任の監理技術者は、資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者

講習を受講したもののうちから選任しなければならない(法第二十六条第四項)。

・ 建設業法上、資格者証及び監理技術者講習に関する規定が適用される発注者は、国、地方公共団体、

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法人税法別表第一に掲げる公共法人、東京湾横断道路株式会社、帝都高速度交通営団及び関西国際空

港株式会社である(法第二十六条第四項、令第二十七条の二、規則第十七条の二)。

(2)資格者証に関する規定

・ 資格者証は、公共性のある工作物に関する重要な建設工事の中でも、より適正な施工の確保が求め

られる公共工事について、当該建設工事の監理技術者が所定の資格を有しているかどうか、監理技術

者としてあらかじめ定められた本人が専任で職務に従事しているかどうか、工事を施工する建設業者

と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であるかどうか等を確認するために活用されている。建設業

者に選任された監理技術者は、発注者等から請求があった場合は、資格者証を提示しなければならな

い(法第二十六条第五項)。

・ 監理技術者になり得る者は、指定資格者証交付機関に申請することにより資格者証の交付を受ける

ことができる。監理技術者になり得る者は、指定建設業七業種については、一定の国家資格者又は国

土交通大臣認定者に限られるが、指定建設業以外の二十一業種については、一定の国家資格者、国土

交通大臣認定者のほか、一定の指導監督的な実務経験を有する者も監理技術者になり得る。

・ 資格者証の交付及びその更新に関する事務を行う指定資格者証交付機関として財団法人建設業技術

者センターが指定されている。

・ 資格者証には、本人の顔写真の他に次の事項が記載され(法第二十七条の十八第二項、規則第十七

条の三十)、様式は図-1に示すものとなっている。

① 交付を受ける者の氏名、生年月日、本籍及び住所

② 最初に資格者証の交付を受けた年月日

③ 現に所有する資格者証の交付を受けた年月日

④ 交付を受ける者が有する監理技術者資格

⑤ 建設業の種類

⑥ 資格者証交付番号

⑦ 資格者証の有効期間の満了する日

⑧ 所属建設業者名

(3)監理技術者講習に関する規定

・ 監理技術者は常に最新の法律制度や技術動向を把握しておくことが必要であることから、公共工事

の専任の監理技術者として選任されている期間中のいずれの日においても、講習を修了した日から五

年を経過することのないように監理技術者講習を受講していなければならない(規則第十七条の十

四)。

・ 監理技術者講習は、所定の要件を満たすことにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下、「登録

講習機関」という。)が実施し、監理技術者として従事するために必要な事項として

①建設工事に関する法律制度

②建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理

③建設工事に関する最新の材料、資機材及び施工方法

に関し最新の事例を用いて、講義と試験によって行われるものである。受講希望者はいずれかの登録

講習機関に受講の申請を行うことにより講習を受講することができる。

・ 各登録講習機関から講習の修了者に対し交付される修了証の様式は図-2に示すものとなっており

(規則第十七条の六)、講習の修了を証明するものとして発注者等から提示を求められることがある

ため、資格者証と同様に携帯しておくことが望ましい。

・ なお、平成十六年二月二十九日以前に交付された資格者証を所持している者については、これを提

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示することにより公共工事の専任の監理技術者としての要件となる監理技術者講習を受講している

ことが証明される。また、平成十六年二月二十九日以前に指定講習を受講し、平成十六年三月一日以

降に交付された資格者証を所持している者については、資格者証に加えて指定講習に係る修了証を提

示することにより公共工事の専任の監理技術者としての要件となる監理技術者講習を受講している

ことが証明される。

五 施工体制台帳の整備と施工体系図の作成

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請金

額の総額が三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となる場合には、工事現場ごとに監

理技術者を設置するとともに、建設工事を適正に施工するため、建設業法により義務付けられている

施工体制台帳の整備及び施工体系図の作成を行うこと等により、建設工事の施工体制を的確に把握す

る必要がある。

(1)施工体制台帳の整備

・ 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その下請負人が建設業法等の関係法令に違

反しないよう指導に努めなければならない(法第二十四条の六)。このような下請負人に対する指導

監督を行うためには、まず、特定建設業者とりわけその監理技術者が建設工事の施工体制を的確に把

握しておく必要がある。

・ そこで、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者で当該建設工事を施工するために総額

三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上の下請契約を締結したものは、下請負人に対し、

再下請負を行う場合は再下請負通知を行わなければならない旨を通知するとともに掲示しなければ

ならない。(規則第十四条の三)また、下請負人から提出された再下請負通知書等に基づき施工体制

台帳を作成し、工事現場ごとに備え付けなければならない(法第二十四条の七第一項)。

施工体制台帳を作成した特定建設業者は、発注者から請求があったときは、施工体制台帳をその発

注者の閲覧に供しなければならない(法第二十四条の七第三項)。公共工事の受注者は、これに代え

て、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければならない(入札契約適正化法第十三条第

一項)。さらに、公共工事の受注者は、発注者から施工体制が施工体制台帳の記載と合致しているか

どうかの点検を求められたときはこれを受けることを拒んではならない(入札契約適正化法第十三条

第二項)。

(2)施工体系図の作成

・ 下請業者も含めた全ての工事関係者が建設工事の施工体制を把握する必要があること、建設工事の

施工に対する責任と工事現場における役割分担を明確にすること、技術者の適正な設置を徹底するこ

と等を目的として、施工体制台帳を作成する特定建設業者は、当該建設工事に係るすべての建設業者

名、技術者名等を記載し工事現場における施工の分担関係を明示した施工体系図を作成し、これを当

該工事現場の見やすい場所に、公共工事においては工事関係者の見やすい場所及び公衆の見やすい場

所に掲げなければならないことが定められている(法第二十四条の七第四項、入札契約適正化法第十

三条第三項)。

六 工事現場への標識の掲示

建設工事の責任の所在を明確にすること等のため、建設業者は、建設工事の現場ごとに、建設業許

可に関する事項のほか、監理技術者等の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号等を記載した

標識を、公衆の見やすい場所に掲げなければならない。

194

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・ 建設業法による許可を受けた適正な業者によって建設工事の施工がなされていることを対外的に

明らかにすること、多数の建設業者が同時に施工に携わるため、安全施工、災害防止等の責任が曖昧

になりがちであるという建設工事の実態に鑑み対外的に建設工事の責任主体を明確にすること等を目

的として、建設工事を請け負った全ての建設業者は、建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に

標識を掲げなければならない。(法第四十条)

・ 現場に掲げる標識には、建設業許可に関する事項のほか、監理技術者等の氏名、専任の有無、資格

名、資格者証交付番号等を記載することとされており、図-3の様式となる。(規則第二十五条第一

項、第二項)建設業者は、この様式の標識を掲示することにより、監理技術者等の資格を明確にする

とともに、資格者証の交付を受けている者が設置されていること等を明らかにする必要がある。

七 建設業法の遵守

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、

建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって

公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものである。したがって、建設業者は、この法

律を遵守すべきことは言うまでもないが、行政担当部局は、建設業法の遵守について、適切に指導を

行う必要がある。

・ 法第一条においては、建設業法の目的として

「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、

建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって

公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」

と規定しており、建設業者は、この法律を遵守する必要がある。また、行政担当部局は、建設業法の

遵守について、建設業者等に対して適切に指導を行う必要がある。

・ 特に、法第四十一条においては、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通大臣又は都道府

県知事が建設業者に対して必要な指導、助言等を行うことができることを規定している。また、法第

二十八条第一項及び第四項では、建設業者が建設業法や他の法令の規定に違反した場合等において、

当該建設業者に対して、監督処分として必要な指示を行うことができ、同条第三項及び第五項では、

この指示に違反した場合等において、営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。さらに、こ

の営業の停止の処分に違反した場合等において、建設業の許可を取り消すこととしている。

195

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図-1 資格者証の様式

(表面)

(裏面)

(注)裏面上部に磁気ストライプをはり付ける。

氏名    年 月 日生 本籍

住所初回交付    年 月 日 交付    年 月 日

交 付 番 号 第             号

監理技術者資格者証   年 月 日 まで有効

所属建設業者

国 土 交 通 大 臣指 定 資 格 者 証 交 付 機 関 代 表 者

許可番号            

有する資 格建設業の種類

有・無

写 真

土建大左と石屋電管タ鋼筋舗 板ガ塗防内機絶通園井具水消清しゆ

備 考

53.92ミリメートル以上

54.03ミリメートル以下

85.47 ミリメートル以上

85.72 ミリメートル以下

196

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図-2 修了証の様式

注意事項

いなければならない。

備考 1 材質は、プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するも のとすること。 2 「本籍」の欄は、本籍地の所在する都道府県名(日本の国籍を有  しない者にあつては、その者が有する国籍)を記載すること。

建設業法第26条第4項の規定により選任されている

監理技術者は、当該選任の期間中のいずれの日におい

てもその日の前5年以内に行われ た講 習を 受講 して

建設業法第26条第4項に規定する発注者から本証の

本証は、他人に貸与し、又は譲渡してはならない。

提示を求められることがある。

(表面)

2

3

監 理 技 術 者 講 習 修 了 証

(裏面)

1

修了証番号  第     号

本 籍   ○ ○ 県      フ     リ    ガ    ナ

氏 名   ○  ○  ○  ○      (生年月日    年  月  日)

この者は、建設業法第26条第4項の国土交通大臣の登録を受けた講習の課程を修了した者であることを証します。

修了年月日       年   月   日

登 録 講 習 実 施 機 関 代 表 者     印

(登録番号 第    号)

写 真

53.92ミリ

メー

トル

以上

54.03ミリ

メー

トル

以下

85.47ミリメートル以上85.72ミリメートル以下

24.00ミリメートル

30.00ミリ

メー

トル

197

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図-3 工事現場に掲げる標識の様式

建 設 業 の 許 可 票

商 号 又 は 名 称

代 表 者 の 氏 名

主任技術者の氏名 専 任 の 有 無

資 格 名 資格者証交付番号

一 般 建 設 業 又 は 特 定 建 設 業 の 別

許 可 を 受 け た 建 設 業

許 可 番 号 国土交通大臣

知事 許可( )第 号

許 可 年 月 日

記載要領

1 「主任技術者の氏名」の欄は、法第 26 条第 2項の規定に該当する場合には、「主任技術者の氏名」を「監理技術者

の氏名」とし、その監理技術者の氏名を記載すること。

2 「専任の有無」の欄は、法第 26 条第 3項の規定に該当する場合に、「専任」と記載すること。

3 「資格名」の欄は、当該主任技術者又は監理技術者が法第 7条第 2項ハ又は法第 15 条第 2項イに該当する者であ

る場合に、その者が有する資格等を記載すること。

4 「資格者証交付番号」の欄は、法第 26 条第 4項に該当する場合に、当該監理技術者が有する資格者証の交付番号

を記載すること。

5 「許可を受けた建設業」の欄には、当該建設工事の現場で行っている建設工事に係る許可を受けた建設業を記載す

ること。

6 「国土交通大臣 知事」については、不要のものを消すこと。

40cm 以上

40cm

以上

198

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事 務 連 絡 平成27年7月30日

各建設業者団体 御中

国土交通省土地・建設産業局建設業課

「監理技術者制度運用マニュアル」の解釈の明確化について 建設業法第26条に定める工事現場に置く技術者については、「監理技術者制

度運用マニュアルについて」(平成16年3月1日付け国土交通省国総建第31

5号)等において、かねてよりその適正な設置の徹底等をお願いしてきたところ

であるが、昨今の技術者をとりまく環境の変化を踏まえ、「適正な施工確保のた

めの技術者制度検討会」(委員長:小澤一雅東京大学教授。以下「検討会」とい

う。)において、そのあり方について検証しているところである。 今般、当検討会におけるこれまでの議論を踏まえ、監理技術者制度運用マニュ

アル(以下「運用マニュアル」という。)の一部について、解釈を明確化したこ

とから別添の通り通知する。 なお、当検討会は継続中であり、他の論点について一定程度の結論が得られた

段階で、本通知における解釈を含め運用マニュアルを改正する予定であること

を申し添える。 また、貴団体傘下の建設企業に対して周知方願いたい。

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1.主任技術者又は監理技術者の途中交代

主任技術者又は監理技術者(以下「監理技術者等」という。)の途中交代に

ついては、「監理技術者制度運用マニュアル 二-二(4)」に定められている

ところであるが、交代が認められる場合として以下に留意して適切に取扱う

ものとする。 ・「監理技術者等の死亡、傷病または退職等、真にやむを得ない場合」には

出産、育児、介護等の真にやむを得ない場合を含む。 ・「次に掲げる場合等」の「等」には、工事の規模の大小にかかわらず一つ

の契約工期が多年に及ぶ工事を含む。 「監理技術者制度運用マニュアル」 【抜粋】

二-二 監理技術者等の設置 (4)監理技術者等の途中交代 ・ 建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあることから、施工管理を

つかさどっている監理技術者等の工期途中での交代は、当該工事における入

札・契約手続きの公平性の確保を踏まえた上で、慎重かつ必要最小限とする

必要があり、これが認められる場合としては、監理技術者等の死亡、傷病ま

たは退職等、真にやむを得ない場合のほか、次に掲げる場合等が考えられる。 ① 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な

変更が発生し、工期が延長された場合 ② 橋梁、ポンプ、ゲート等の工場製作を含む工事であって、工場から現

地へ工事の現場が移行する時点 ③ ダム、トンネル等の大規模な工事で、一つの契約工期が多年に及ぶ場

合 2.余裕期間を設定した工事における監理技術者等の配置

監理技術者等の配置については、「監理技術者制度運用マニュアル 三(2)」

にフレックス工期を採用した場合の取扱いが定められているところであるが、

発注者が余裕期間を設定した工事においてもフレックス工期を採用する場合

と同様に、工事開始日をもって契約工期の開始日とみなし、契約締結日から工

事開始日までの期間は、監理技術者等を設置することを要しないことに留意

して適切に取り扱うものとする。

なお、余裕期間を設定した工事とは、発注者が余裕期間(発注者が発注書類

において実工期の 30%かつ 4 か月を超えない等の範囲で設定する工事着手前

別添

200

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の期間をいう)の範囲で工事開始日を指定する工事又は受注者が発注者の指定

した余裕期間内で工事開始日を選択する工事をいう。 「監理技術者制度運用マニュアル」 【抜粋】

三 監理技術者等の工事現場における専任 (2)監理技術者等の専任期間 ・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現

場に専任で設置すべき期間は契約工期が基本となるが、たとえ契約工期中で

あっても次に掲げる期間については工事現場への専任は要しない。ただし、

いずれの場合も、発注者と建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書もしく

は打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。 <中略> ・ なお、フレックス工期(建設業者が一定の期間内で工事開始日を選択する

ことができ、これが書面により手続上明確になっている契約方式に係る工期

をいう。)を採用する場合には、工事開始日をもって契約工期の開始日とみ

なし、契約締結日から工事開始日までの期間は、監理技術者等を設置するこ

とを要しない。

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平成7年6月20日 建設省経建発第147号

終改正:平成26年12月25日

国土建第198~202号

各地方整備局等建設業担当部長 各都道府県建設業主管部局長 殿

国土交通省土地・建設産業局建設業課長

施工体制台帳の作成等について(通知) 建設業法の一部改正する法律(平成6年法律第63号)により、平成7年6月29日

から特定建設業者に施工体制台帳の作成等が義務付けられ、また、公共工事の入札及び

契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号。以下「入札契約適正化

法」という。)の適用対象となる公共工事(以下単に「公共工事」という。)は、発注者

へその写しの提出等が義務付けられることとなった。さらに、建設業法等の一部を改正

する法律(平成26年法律第55号)により、平成27年4月1日から、公共工事につ

いては、発注者から直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締結する

場合には下請金額にかかわらず施工体制台帳の作成等が義務付けられることとなった。

このため、これらの的確な運用に資するため、施工体制台帳の作成等を行う際の指針を

下記のとおり定めたので、貴職におかれては、十分留意の上、事務処理に当たって遺漏

のないよう措置されたい。 なお、貴管内の公共工事の発注者等関係行政機関及び建設業者団体にも速やかに関係

事項の徹底方を取り計らわれたい。

記 一 作成建設業者の義務 建設業法(昭和24年法律第100号。以下「法」という。)第24条の

7第1項(入札契約適正化法第15条第1項の規定により読み替えて適用さ

れる場合を含む。)の規定により施工体制台帳を作成しなければならない場

合における建設業者(以下「作成建設業者」という。)の留意事項は次のと

おりである。 (1) 施工計画の立案

202

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施工体制台帳の作成等に関する義務は、公共工事においては発注者か

ら直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締結したときに、

民間工事(公共工事以外の建設工事をいう。以下同じ。)においては発

注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の

総額が 3,000 万円(建築一式工事にあっては、4,500 万円)以上となった

ときに生じるものである。このため、特に民間工事については、監理技

術者の設置や施工体制台帳の作成等の要否の判断を的確に行うことがで

きるよう、発注者から直接建設工事を請け負おうとする特定建設業者は、

建設工事を請け負う前に下請負人に施工させる範囲と下請代金の額に関

するおおむねの計画を立案しておくことが望ましい。 (2) 下請負人に対する通知 公共工事においては発注者から請け負った建設工事を施工するために

下請契約を締結したとき、民間工事においては下請契約の額の総額が

3,000 万円(建築一式工事にあっては、4,500 万円)に達するときは、 ① 作成建設業者が下請契約を締結した下請負人に対し、

a 作成建設業者の称号又は名称 b 当該下請負人の請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け

負わせたときには法第24条の7第2項の規定による通知(以下「再

下請負通知」という。)を行わなければならない旨 c 再下請負通知に係る書類(以下「再下請負通知書」という。)を

提出すべき場所 の 3 点を記載した書面を交付しなければならない。 ② ①の a、b 及び c に掲げる事項が記載された書面を、工事現場の見や

すい場所に掲げなければならない。 上記①及び②の書面の記載例としては、次のようなものが考えられる。 〔①の書面の文例〕 下請負人となった皆様へ

今回、下請負人として貴社に施工を分担していただく建設工事につ

いては、建設業法(昭和24年法律100号)第24条の7第1項の規定

により、施工体制台帳を作成しなければならないこととなっています。 この建設工事の下請負人(貴社)は、その請け負ったこの建設工事を他

の建設業者を営むもの(建設業の許可を受けていないものを含みます。) に請け負わせたときは、 イ 建設業法第24条の7第2項の規定により、遅滞なく、建設業法

施行規則(昭和24年建設省令第14号。以下「規則」という。)

第14条の4に規定する再下請負通知書を当社あてに次の場所まで

提出しなければなりません。また、一度通知いただいた事項や書類

に変更が生じたときも、遅滞なく、変更の年月日を付記して同様の

通知書を提出しなければなりません。 ロ 貴社が工事を請け負わせた建設業を営むものに対しても、この書

面を複写し交付して、「もしさらに他の者に工事を請け負わせたと

きは、作成建設業者に対するイの通知書の提出と、その者に対する

203

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この書面の写しの交付が必要である」旨を伝えなければなりません。 作成建設業者の商号 ○○建設(株) 再下請負通知書の提出場所 工事現場内

建設ステーション/△△営業所 〔②の書面の文例〕 この建設工事の下請負人となり、その請け負った建設工事を他の

建設業を営む者に請け負わせた方は、遅滞なく、建設業法施行規則

(昭和24年建設省令第14号)第14条の4第1項に規定する再

下請負通知書を提出してください。一度通知した事項や書類に変更

が生じたときも変更の年月日を付記して同様の書類の提出をしてく

ださい。 ○○建設(株)

(3)下請負人に対する指導等 施工体制台帳を的確かつ速やかに作成するため、施工に携わる下請負人

の把握に努め、これらの下請負人に対し速やかに再下請通知書を提出する

よう指導するとともに、作成建設業者としても自ら施工体制台帳の作成に

必要な情報の把握に努めなければならない。 (4)施工体制台帳の作成方法 施工体制台帳は、所定の記載事項と添付書類から成り立っている。その

作成は、発注者から請け負った建設工事に関する事実と、施工に携わるそ

れぞれの下請負人から直接に、若しくは各下請負人の注文者を経由して提

出される再下請負通知書により、又は自ら把握した施工に携わる下請負人

に関する情報に基づいて行うこととなるが、作成建設業者が自ら記載して

もよいし、所定の記載事項が記載された書面や各下請負人から提出された

再下請負通知書を束ねるようにしてもよい。ただし、いずれの場合も下請

負人ごとに、かつ、施工の分担関係が明らかとなるようにしなければなら

ない。 〔例〕発注者から直接建設工事を請け負った建設業者をA社とし、A社が

下請契約を締結した建設業を営む者をB社及びC社とし、B社が下請契

約を締結した建設業を営む者をBa社及びBb社とし、Bb社が下請契

約を締結した建設業を営む者をBba社及びBbb社とし、C社が下請

契約を締結した建設業を営む者をCa社、Cb社、Cc社とする場合に

おける施工体制台帳の作成は、次の 1)から 10)の順で記載又は再下請負通

知書の整理を行う。 1)A社自身に関する事項(規則第14条の2第1項第1号)及び A 社

が請け負った建設工事に関する事項(規則第14条の2第1項第2号) 2)B 社に関する事項(規則第14条の2第1項第3号)及び請け負っ

た建設工事に関する事項(規則第14条の2第1項第4号) 3)Ba 社に関する・・・ 〔B 社が提出する再下請負通知書等に基づき記載

または添付〕

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4)Bb 社に関する・・・ 〔B 社が提出する再下請負通知書等に基づき記載

または添付〕 5)Bba 社に関する・・・〔Bb社が提出する

〃 〕 6)Bbb 社に関する・・・〔Bb 社が提出する

〃 〕 7)C 社に関する事項(規則第14条の2第1項第3号)及び請け負っ

た建設工事に関する事項(規則第14条の2第1項第4号) 8)Ca 社に関する・・・ 〔C 社が提出する

〃 〕 9)Cb 社に関する・・・ 〔C 社が提出する

〃 〕 10)Cc 社に関する・・・ 〔C 社が提出する

〃 〕 また、添付書類についても同様に整理して添付しなければならない。 施工体制台帳は、一冊に整理されていることが望ましいが、それぞれの

関係を明らかにして、分冊により作成しても差し支えない。 (5)施工体制台帳を作成すべき時期 施工体制台帳の作成は、記載すべき事項又は添付すべき書類に係る事実

が生じ、又は明らかとなった時(規則第14条の2第1項第1号に掲げる

事項にあっては、作成建設業者に該当することとなった時)に遅滞なく行

わなければならないが(規則第14条の5第3項)、新たに下請契約を締

結し下請契約の総額が(1)の金額に達したこと等により、この時よりも後に

作成建設業者に該当することとなった場合は、作成建設業者に該当するこ

ととなった時に上記の記載又は添付をすれば足りる。 また、作成建設業者に該当することとなる前に記載すべき事項又は添付

すべき書類に係る事実に変更があった場合も、作成建設業者に該当するこ

ととなった時以降の事実に基づいて施工体制台帳を作成すれば足りる。 (6)各記載事項及び添付書類の意義 施工体制台帳の記載に当たっては、次に定めるところによる。

A 社 1)

C 社 7) B 社 2)

Cc Cb Ca Bb Ba 社 10) 社 9) 社 8) 社 4) 社 3)

Bbb Bba 社 6) 社 5)

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① 記載事項(規則第14条の2第1項)関係 イ 第1号イの「建設業の種類」は、請け負った建設工事にかかる建設業

の種類に関わることなく、特定建設業の許可か一般建設業の許可かの別

を明示して、記載すること。この際、規則別記様式第1号記載要領5の

表の()内に示された略号を用いて記載して差し支えない。 ロ 第1号ロの「健康保険等の加入状況」は、健康保険、厚生年金保険及

び雇用保険の加入状況についてそれぞれ記載すること。 ハ 第2号イ及びへの建設工事の内容は、その記載から建設工事の具体的

な内容が理解されるような工種の名称等を記載すること。 ニ 第2号ロの「営業所」は、作成建設業者の営業所を記載すること。 ホ 第2号ホの「主任技術者資格」は主任技術者が法第7条第2号イに該

当する者であるときは「実務経験(指定学科・土木)」のように、同号

ロに該当する者であるときは「実務経験(土木)」のように、同号ハに

該当し、規則別表(2)に掲げられた資格を有するときは当該資格の名

称を、有しないときは「国土交通大臣認定者(土木)」のように記載す

る。また、「監理技術者資格」は、監理技術者が法第15条第2号イに

該当する者であるときはその有する規則別表(2)に掲げられた資格の

名称を、同号ロに該当する者であるときは「指導監督的実務経験(土木)」

のように、同号ハに該当する者であるときは「国土交通大臣認定者(土

木)」のように記載する。 ヘ 第2号ホの「専任の主任技術者又は監理技術者であるか否かの別」は、

実際に置かれている技術者が専任の者であるか専任の者でないかを記

載すること。 ト 第2号への「主任技術者資格」は、その者が法第7条第2号イに該当

する者であるときは「実務経験(指定学科・土木)」のように、同号ロ

に該当する者であるときは「実務経験(土木)」のように、同号ハに該

当し、規則別表(2)に掲げられた資格を有するときは当該資格の名称

を、有しないときは「国土交通大臣認定者(土木)」のように記載する。 チ 第2号トの「外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事の状況」

は、当該工事現場に従事するこれらの者の有無を記載すること。 リ 第3号ロの「建設業の種類」は、例えば大工工事業の許可を受けてい

るものが大工工事を請け負ったときは「大工工事業」と記載する。この

際、規則別記様式第1号記載要領6の表の()内に示された略号を用い

て記載して差し支えない。 ② 添付書類(規則第14条の2第2項)関係 イ 第1号の書類は、作成建設業者が当事者となった下請契約以外の下請

契約にあっては、請負代金の額について記載された部分が抹消されて

いるもので差し支えない。 ただし、公共工事については、全ての下請契約について請負代金の

額は明記されていなければならない。 なお、同号の書類には、法第19条各号に掲げる事項が網羅されて

いなければならないので、これらを網羅していない注文伝票等は、こ

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こでいう書類に該当しない。 ロ 第2号の「主任技術者又は監理技術者資格を有することを証する書

面」は、作成建設業者が置いた主任技術者又は監理技術者についての

み添付すればよく、具体的には、規則第3条第2項又は規則第13条

第2項に規定する書面を添付すること。 ハ 第3号の「主任技術者資格を有することを証する書面」は、作成建設

業者が置いた規則第14条の2第1項第2号ヘに規定する者について

のみ添付すればよく、具体的には、規則第3条第2項に規定する書面

を添付すること。 (7)記載事項及び添付書類の変更 一度作成した施工体制台帳の記載事項または添付書類(法第19条第1項

の規定による書面を含む。) について変更があったときは、遅滞なく、当該

変更があった年月日を付記して、既に記載されている事項に加えて変更後

の事項を記載し、又は既に添付されている書類に加えて変更後の書類を添

付しなければならない。 変更後の事項記載についても、(4)に掲げたところと同様に、作成建設業

者が自ら行ってもよいし、変更後の所定の記載事項が記載された書面や各

下請負人から提出された変更に係る再下請負通知書を束ねるようにしても

よい。 (8)施工体系図 施工体系図は、作成された施工体制台帳をもとに、施工体制台帳のいわ

ば要約版として樹状図等により作成の上、工事現場の見やすいところに掲

示しなければならないものである。 ただし、公共工事については、工事関係者が見やすい場所及び公衆が見や

すい場所に掲示しなければならない。 その作成に当たっては、次の点に留意して行う必要がある。

① 施工体系図には、現にその請け負った建設工事を施工している下請負人

に限り表示すれば足りる(規則第14条の6第2号)。なお、「現にその

請け負った建設工事を施工している」か否かは、請負契約で定められた工

期を基準として判断する。 ② 施工体系図の掲示は、遅くとも上記①により下請負人を表示なければな

らなくなったときまでには行う必要がある。また、工期の進行により表示

すべき下請負人に変更があったときには、速やかに施工体系図を変更して

表示しておかなければならない。 ③ 施工体系図に表示すべき「建設工事の内容」(規則第14条の6第1号

及び第2号)は、その記載から建設工事の具体的な内容が理解されるよう

な工種の名称等を記載すること。 ④ 施工体系図は、その表示が複雑になり見にくくならない限り、労働安全

等他の目的で作成される図面を兼ねるものとして作成しても差し支えな

い。 (9)施工体制台帳の発注者への提出等 作成建設業者は、発注者からの請求があったときは、備え置かれた施工

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体制台帳をその発注者の閲覧に供しなければならない。 ただし、公共工事については、作成した施工体制台帳の写しを提出しな

ければならない。 (10)施工体制台帳の備置き等 施工体制台帳の備置き及び施工体系図の掲示は、発注者から請け負った

建設工事目的物を発注者に引き渡すまで行わなければならない。ただし、

請負契約に基づく債権債務が消滅した場合(規則第14条の7。請負契約の

目的物の引渡しをする前に契約が解除されたこと等に伴い、請負契約の目

的物を完成させる債務とそれに対する報酬を受け取る債権とが消滅した場

合を指す。) には、当該債権債務の消滅するまで行えば足りる。 (11)法第40条の3の帳簿への添付

施工体制台帳の一部は、上記(10)の時期を経過した後は、法第40条の

3の帳簿の添付資料として添付しなければならない。すなわち、上記(10)の時期を経過した後に、施工体制台帳から帳簿に添付しなければならない部

分だけを抜粋することとなる。このため、施工体制台帳を作成するときには、

あらかじめ、帳簿に添付しなければならない事項を記載した部分と他の事項

が記載された部分とを別紙に区分して作成しておけば、施工体制台帳の一部

の帳簿への添付を円滑に行うことが出来ると考えられる。 二 下請負人の義務 施工体制台帳の作成等の義務は、作成建設業者に係る義務であるが、施工

体制台帳が作成される建設工事の下請負人にも次のような義務がある。 (1)施工体制台帳が作成される建設工事である旨の通知 その請け負った建設工事の注文者から一(2)①の書面の交付を受けた場合

や、工事現場に一(2)②の書面が掲示されている場合は、その請け負った建

設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときに以下に述べるところに

より書類の作成、通知等を行わなければならない。 (2)建設工事を請け負わせた者及び作成建設業者に対する通知 (1)に述べた場合など施工体制台帳が作成される建設工事の下請負人とな

った場合において、その請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け

負わせたときは、遅滞なく、 ① 当該他の建設業を営む者に対し、一(2)①の書面を交付しなければなら

ない。 ② 作成建設業者に対し、(3)に掲げるところにより再下請負通知を行わな

ければならない。 (3)再下請負通知

① 再下請負通知は、規則第14条の4に規定するところにより作成した書

面(以下「再下請負通知書」という。) をもって行わなければならない。再下

請負通知書の作成は、再下請負通知人がその請け負った建設工事を請け負

わせた建設業を営む者から必要事項を聴取すること等により作成する必

要があり、自ら記載をして作成してもよいし、所定の記載事項が記載され

た書面を束ねるようにしてもよい。ただし、いずれの場合も下請負人ごと

に行わなければならない。

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② 再下請負通知書の作成及び作成建設業者への通知は、施工体制台帳が作

成される建設工事の下請負人となり、その請け負った建設工事を他の建設

業を営む者に請け負わせた後、遅滞なく行わなければならない。(規則第

14条の4第2項) また、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が新たに下請契約

を締結した場合や下請契約の総額が一(1)の金額に達したこと等により、施

工途中で再下請負通知人に該当することとなった場合において、当該該当

することとなった時よりも前に記載事項又は添付書類に係る事実に変更

があった時も、再下請負通知人に該当することとなった時以降の事実に基

づいて再下請負通知書を作成すれば足りる。 ③ 再下請通知書に添付される書類は、請負代金の額について記載された部

分が抹消されているもので差し支えない。ただし、公共工事については、

当該部分は記載されていなければならない。 ④ 一度再下請負通知を行った後、再下請負通知書に記載した事項または添

付した書類(法第19条第1項の規定による書面)について変更があったと

きは、遅滞なく、当該変更があった年月日を付記して、既に記載されてい

る事項に加えて変更後の事項を記載し、又は既に添付されている書類に加

えて変更後の書類を添付しなければならない。 ⑤ 作成建設業者に対する再下請負通知書の提出は、注文者から交付される

一(2)①の書面や工事現場の掲示にしたがって、直接に作成建設業者に提

出することを原則とするが、やむを得ない場合には、直接に下請契約を締

結した注文者に経由を依頼して作成建設業者あてに提出することとして

も差し支えない。 三 施工体制台帳の作成等の勧奨について 下請契約の総額が一(1)の金額を下回る民間工事など法第24条の7第1項

の規定により施工体制台帳の作成等を行わなければならない場合以外の場合

であっても、建設工事の適正な施工を確保する観点から、規則第14条の2か

ら第14条の7までの規定に準拠して施工体制台帳の作成等を行うことが望

ましい。 また、より的確な建設工事の施工及び請負契約の履行を確保する観点から、

規則第14条の2等においては記載することとされていない安全衛生責任者

名、雇用管理責任者名、就労予定労働者数、工事代金支払方法、受注者選定理

由等の事項についても、できる限り記載することが望ましい。

なお、「施工体制台帳の整備について」(平成3年2月5日付け建設省経構発

第3号)は、廃止する。

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国 土 建 第 2 0 3 号

平成26年12月25日

各地方整備局等建設業担当部長 殿

国土交通省土地・建設産業局建設業課長

施工体制台帳等活用マニュアルの改正について

今般、建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)により、公共工

事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)が改正さ

れ、公共工事における施工体制台帳の作成及び提出の範囲が、下請契約を締結する全て

の場合に拡大されることとなりました。

また、建設業法施行規則等の一部を改正する省令(平成26年国土交通省令第85号)

により、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)が改正され、施工体制台帳

の記載事項として外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事の状況が追加されるこ

ととなりました。

これらの改正は、いずれも平成27年4月1日より施行されます。

つきましては、今般、「施工体制台帳等を活用した適正な施工体制の確保について」(平

成15年11月7日付国総入企第25号)において通知した「施工体制台帳等活用マニ

ュアル」を別添のとおり改正し、平成27年4月1日より適用することとしましたので、

貴職におかれましては、これを参考とし、施工体制台帳等を活用した施工体制の適正化

のより一層の徹底に取り組まれるようお願いします。

210

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施工体制台帳等活用マニュアル 1.はじめに (1)適切な施工体制の確保と現場確認の必要性

適切な施工の確保は、公共工事の品質確保の前提となるものであり、

また、適切な施工を行おうとしない不良・不適格業者を放置することは、

適正な競争を妨げ、コスト縮減等の支障となるとともに、技術力・経営

力を向上させようとする優良な建設業者の意欲を削ぎ、ひいては建設業

の健全な発展を阻害するものである。 このため、各発注者及び許可行政庁においては、許可・入札・契約手

続時における厳重なチェックや発注者支援データベースの活用等に努め

る一方で、実際の施工現場に、適切な体制を組んだ上で、施工体制等の

確認に入り、建設業者の技術者配置状況や下請業者使用状況等を具体的

にチェックし、適切な是正措置を講ずることが、必要であると考えられ

る。 しかしながら、「入札契約適正化法及び適正化指針の措置状況調査結果

について」(平成25年9月10日国土交通省、総務省、財務省公表。以

下、「入札契約適正化措置状況調査」という。)によると、市区町村にお

いて施工体制台帳の写しを提出させている割合が約9割に留まっている

という状況にあること、また、特定建設業者を対象に行った調査結果に

よると、公共工事において施工体制台帳に必要書類を全て添付している

割合が約6割に留まっているという状況にあること等から、今後施工体

制の確認のさらなる徹底を図る必要がある。 (2)現場施工体制の適正化のための現行制度

施工体制の確認のため、従来から建設業法(昭和24年法律第100

号)においては、下請契約の請負代金の合計が3,000万円以上(建

築一式工事の場合は4,500万円以上)となる工事について、特定建

設業者が下請負人の名称や工事内容その他国土交通省令で定める事項を

記載した施工体制台帳を作成し工事現場に備え置くこと、また、各下請

負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し工事現場の見やす

い場所に掲げることが義務付けられている。 さらに、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平

成12年法律第127号。以下「入札契約適正化法」という。)において

211

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は、公共工事については、工事現場における適正な施工体制の確保のた

め、発注者から直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締

結した建設業者が下請金額にかかわらず施工体制台帳を作成すること、

公共工事の受注者が施工体制台帳の写しを発注者へ提出すること、また、

施工体系図を工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所に掲げ

ることが義務付けられている。一方、公共工事の発注者に対しても、施

工体制台帳を活用した点検その他の必要な措置を講じることが義務付け

られている。

公共工事において適切な施工体制を確保するため、各発注者及び許可

行政庁においては、上記制度にしたがって施工体制台帳や施工体系図を

適切に活用することにより現場の施工体制を確認する必要がある。

【施工体制台帳や施工体系図の作成等を行う際の指針については「施

工体制台帳の作成等について」(平成26年12月25日付国土建第

198~202号)参照】 2.現場施工体制等の適正化のために確認すべき事項 (1)現場施工体制等の確認に当たってのチェックポイント

「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」

(平成13年3月9日閣議決定、平成26年9月30日一部変更)にお

いては、発注者は、現場の施工体制の把握を徹底するため要領の策定等

により統一的な監督の実施に努めるものとされている。 しかしながら、入札契約適正化措置状況調査によれば、市区町村にお

いて要領を策定していない割合が7割以上に及ぶ状況にあること等から、

例えば、別添1のチェックポイントを参考にして、各発注者が有する契

約規定等によって義務付けられる項目等を新たに加えるなど、必要に応

じその充実を図った上で施工体制台帳等のチェックリストを作成し、現

場での確認作業の効率化を図ることが適当である。また、実際の確認作

業に当たっては、別添2の活用事例も参考として、効果的な現場確認を

行う必要がある。 なお、平成13年3月30日の建設業法施行規則の改正により、同年

10月1日以降に契約された公共工事については、施工体制台帳の添付

書類である下請契約書について2次以下の下請金額についても記載する

ことが義務付けられ、また、平成24年5月1日の建設業法施行規則の

改正により、同年11月1日以降に特定建設業者が発注者と締結した請

212

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負契約に係る建設工事について、施工体制台帳等の記載事項に健康保険

等の加入状況が追加されることとなり、これらの情報の活用により適正

な施工の確保、一括下請負等不正行為の排除、不良・不適格業者の排除

の徹底を図ることが望ましい。 (2)特に重点的に確認すべきポイント

現場施工体制の適正化を確保するための基本的事項として、特に、次

の2点について、重点的に確認を行う必要がある。特に、下請会社が元

請会社の子会社であるなど、特殊な関係にある場合には、徹底した確認

を行うこととする。 また、必要に応じて監督業務の一部を外部機関に委託するなどの措置

を行うことにより、発注者の監督体制を強化することが望ましい。 ① 技術者の現場専任制の徹底

専任を要する主任技術者及び監理技術者に対して、工事現場への抜

き打ちの点検を行うなどして現場専任制の確認を徹底する。また、監

理技術者資格者証の提示を求め、その者があらかじめ通知された配置

予定監理技術者と同一人であることを確認するとともに、資格者証が

偽造されたものではないことのほか、請負業者との直接的かつ恒常的

な雇用関係を確認する。なお、恒常的な雇用関係の考え方については、

「監理技術者制度運用マニュアルについて」(平成16年3月1日付

国総建第315号)において、公共工事において発注者から直接請け

負う建設業者の専任の監理技術者等については、所属建設業者から入

札の申込のあった日以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要

であるとされていることにも留意すること。

② 一括下請負に関する点検の強化 現場の施工体制が施工体制台帳(契約書等の添付書類を含む)や施

工体系図に記載された内容と相違ないか確認する。 また、下請業者が元請業者と同業種であって元請業者以上の規模を

有する会社である場合(下請業者がそのような同業種会社の子会社で

ある場合を含む)など十分な点検が必要な場合には、建設業者が請負

った工事の内容や難易度が当該業者の経営規模や技術力に対して適

当であるかをチェックの上、①により技術者の現場専任制を確認する

とともに、技術者への聞き取り等により当該工事に対する実質的な関

与について確認する。

【一括下請負に該当するか否かの判断基準等については、「一括下請

213

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負の禁止について」(平成13年3月30日付国総建第82号)参照】 3.施工体制等の確認に当たっての留意事項 (1)現場確認の体制

現場施工体制等の確認においては、技術者配置状況、下請業者使用状

況等確認範囲が広範に及ぶとともに、その確認結果についても許可、工

事成績評定等に適切に反映させる必要がある。このため、確認の実施に

当たっては、通常の監督・検査手続きにとどまらず、関係部局の緊密な

連携のもと、効果的かつ効率的な確認体制を組むことが望ましい。 (2)許可行政庁間の相互連携

現場施工体制等の確認の結果、建設業法等に違反しているおそれのあ

る建設業者が、自らの許可にかからないものである場合には、当該建設

業者に対し自ら是正を求める一方で、当該建設業者の許可行政庁に連絡

し、連絡を受けた許可行政庁においても、当該建設業者に対し必要な報

告聴取等を実施した上で、厳正に対処するなど、許可行政庁が相互に連

携して、不良・不適格業者の排除に努めていくことが望ましい。 (3)入札契約適正化法に基づく発注者と許可行政庁の連携

入札契約適正化法の規定に基づき、公共工事の発注者は、一括下請負

等不正行為があると疑うに足りる事実があるときは、許可行政庁に通知

しなければならないとされている。許可行政庁においては、発注者から

通知を受けた事案等に対して工事現場への立入検査等を行い、不良・不

適格業者の排除のより一層の推進を図ることが望ましい。 国土交通省においては、平成19年度から地方整備局等に「建設業法

令遵守推進本部」を設置し、大臣許可業者を対象とした工事現場への立

入検査等に鋭意取り組んでいるところであり、都道府県や市町村等から

の通知に対しても積極的に対応していくこととしている。 (4)建設業法違反等への対処

現場施工体制等の確認の結果、建設業法等への違反が認められた場合

には、早急に是正措置を講ずるとともに、当該違反が悪質である場合は、

建設業法に基づく監督処分を行う等により厳格な措置を講ずることとす

る。さらに、各発注者の成績評定等に適切に反映するなど、不良・不適

格業者の排除に向けた万全の対策をとることが望ましい。

214

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(5)第三者による施工体制の確認

入札契約適正化法において施工体系図を公衆が見やすい場所にも掲示

することとした趣旨は、公共工事が適正な施工体制の下に行われている

ことを担保するために、第三者でも現場の施工体制を簡明に確認できる

ようにするためのものであるため、この趣旨を踏まえて、適切な掲示の

確認を徹底することとする。なお、施工体制台帳についても、掲示を行

うものではないものの、第三者に対しこれを開示することは上記の趣旨

に合致するものであるので、公開することによって請負人の競争上の地

位を害するおそれのある下請金額等を除き、開示の請求等に応じ、これ

を開示することが望ましい。

215

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1.

施工

体制

台帳

の写

しの

チェ

ック

ポイ

ント

(事

前確

認)

チェックポイント

結果

備考

(1)施工体制台帳に必

要事

項が

書き

込ま

れて

いる

か(

建設

業法

施行

規則

第1

4条

の2

)。

項目

結果

備考

・作成建設業

者が

許可

を受

けた

建設

業の

種類

・建設工事の

名称

、内

容及

び工

・健康保険等

の加

入状

・発注者と請負

契約

を締

結し

た年

月日

、当

該発

注者

の商

号、名

称又

は氏

名及

び住

所並

びに

当該

請負

契約を締結した

営業所の名

称及

び所

在地

・発注者が監督

員を

置く

とき

は、当

該監

督員の

氏名

及び

権限

、当

該監

督員

の行

為に

つい

ての

作成

建設

業者の発注者

に対する意

見の

申出

方法

(ま

たは

その

内容

が記

載さ

れた

作成

建設

業者へ

の通

知書

の写

し)

・主任技術者

又は

監理

技術

者の

氏名

、そ

の者

が有

する

主任

技術

者資

格又

は監

理技

術者

資格

及び

その

者が

専任の主任

技術者又は

監理

技術

者で

ある

か否

かの

配置

予定技

術者と

同一人

物であ

るか確

認。

・作成建設業者が

現場

代理

人を

置く

とき

は、当

該現

場代

理人

の氏

名及

び権

限、当

該現

場代

理人

の行

為についての発

注者の作成

建設

業者に

対す

る意

見の

申出方

法(

また

はそ

の内

容が

記載

され

た発

注者

への

通知

書の

写し)

・主任技術者又

は監

理技

術者

以外

に施

工の技

術上

の管

理を

つか

さど

る者

を置

くと

きは

、そ

の者

の氏

名、管理をつか

さどる工事

内容

及び

その

者が

有す

る主

任技

術者

資格

・外国人技能

実習

生及

び外

国人

建設

就労

者の

従事

の状

・下請負人の商

号又

は名

称及

び住

所、許

可番号

及び

請け

負っ

た建

設工

事に

係る

許可

を受

けた

建設

業の

種類、健康保

険等の加入

状況

・全ての下請

負人

の請

け負

った

工事

名称

、内

容及

び工

・全ての下請

負人

が注

文者

と下

請契

約を

締結

した

年月

・作成建設業者が

監督

員を

置く

とき

は、当

該監

督員

の氏

名及

び権

限、当

該監

督員

の行

為に

つい

ての

下請負人の作成

建設業者

に対

する

意見

の申

出方

法(

または

その

内容

を記

載し

た下

請負

人に

対す

る通

知書

の写

し)

・下請負人が現

場代

理人

を置

くと

きは

、当

該現

場代

理人

の氏

名及

び権

限、当

該現

場代

理人

の行

為に

ついて作成建設

業者

の下請

負人

に対

する

意見

の申

出方

法(

また

はそ

の内

容を

記載

した

作成

建設

業者へ

の通

知書

の写

し)

・下請負人が

置く

主任

技術

者の

氏名

、そ

の者

の有

する

主任

技術

者資

格及

びそ

の者

が専

任か

否か

の別

・下請負人が

、主

任技

術者

以外

に施

工の

技術

上の

管理

をつ

かさ

どる

者を

置く

場合

は、当

該者

の氏

名、その者がつか

さどる工事

の内

容及

びそ

の者

が有

する

主任

技術

者資

・1次

下請負契

約を

締結

した

作成

建設

業者の

営業

所の

名称

及び

所在

・下請負人に

おけ

る外

国人

技能

実習

生及

び外

国人

建設

就労

者の

従事

の状

(別添1)

施工体制台帳等のチェックリ

スト

216

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チェックポイント

結果

備考

(2)施工体制台帳の添

付書

類は

揃っ

てい

るか

(建

設業

法施

行規

則第

14

条の

2第

2項

項目

結果

備考

2次以下の下

請負

人を

含め

、全

ての

請負

契約

書の

写し(

公共

工事

につ

いて

は2

次下

請以

下も

含め

た全ての下請業

者について請

負金

額を

明記

しな

けれ

ばな

らな

い。)

必ず

、書面

である

こと。

・下請契約書

に法

第19

条に

ある

全て

の事項

が含

まれ

てい

るか

①工事

内容

、②

請負

代金

の額

、③

工事

着手

の時

期及

び工

事完

成の

時期

④請

負代

金の

全部

又は

一部

の前

金払

又は

出来

形部

分に

対す

る支

払の

定め

をす

ると

きは

その

支払

の時

期及

び方

払は

でき

る限

り現

金払

い。

少な

くと

も労

務費

相当

分は

現金

払。

手形

期間は

、120

日以

内で

、できる

限り短

い期間

⑤当

事者

の一

方か

ら設

計変

更又

は工

事着

手の

延期

若し

くは

工事

の全

部若

しく

は一

部の

中止

の申

出が

あっ

た場

合に

おけ

る工

期の

変更

、請

負代

金の

額の

変更

又は

損害

の負

担及

びそ

れら

の額

の算

定方

法に

関す

定め

⑥天災

その

他不

可抗

力に

よる

工期

の変

更又

は損

害の

負担

及び

その

額の

算定

方法

に関

する

定め

⑦価格

等の

変動

若し

くは

変更

に基

づく

請負

代金

の額

又は

工事

内容

の変

⑧工事

の施

工に

より

第三

者が

損害

を受

けた

場合

にお

ける

賠償

金の

負担

に関

する

定め

⑨注

文者

が工

事に

使用

する

資材

を提

供し

、又

は建

設機

械そ

の他

の機

械を

貸与

する

とき

は、

その

内容

及び

方法

に関

する

定め

⑩注文

者が

工事

の全

部又

は一

部の

完成

を確

認す

るた

めの

検査

の時

期及

び方

法並

びに

引渡

しの

時期

完成

通知を

受けて

から、検

査完了

まで

20日

以内

引渡

しの

申し

出が

あっ

た場

合は

ただ

ちに

引渡

を受

ける。

⑪工事

完成

後に

おけ

る請

負代

金の

支払

いの

時期

及び

方法

元請

が支

払を

受け

てか

ら下

請負

人に

支払

うま

1月

以内

。特

定建

設業

者は

、引

渡し

の申

し出

あっ

てから

、代

金の

支払ま

で50

日以

内。手

形期

間は

、12

0日

以内

で、

でき

る限

り短

い期

間。

⑫各当

事者

の履

行の

遅滞

その

他債

務の

不履

行の

場合

にお

ける

遅延

利息

、違

約金

その

他の

損害

⑬契約

に関

する

紛争

の解

決方

②全ての再下

請通

知書

・再下請通知

書の

必要

事項

が書

き込

まれて

いる

か。

(施

行規則

第14

条の4

①下請

負人

の商

号、

名称

、住

所、

許可

番号

②下請

負人

が注

文者

と締

結し

た工

事の

名称

、請

負契

約を

締結

した

年月

日、

注文

者の

商号

、名

③再下

請負

人の

商号

、名

称、住

所、許

可番

号及

び請

け負

った

建設

工事

に係

る許

可を

受け

た建

設業の種類、

217

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健康

保険

等の

加入

状況

④下請

負人

が再

下請

負人

と締

結し

た請

負契

約に

つい

請負

契約書

の写し

の添付

工事

の名

称、

内容

、工

請負

契約

を締

結し

た年

月日

・下

請負

人が

監督

員を

置く

場合

は、

その

者の

氏名

、権

限、

当該

監督

員の

行為

につ

いて

の再

下請

負人

下請

負人

に対

する

意見

の申

出方

法(

また

はそ

の内

容が

記載

され

た再

下請

負人

への

通知

書の

写し)

再下

請負

人が

現場

代理

人を

置く

場合

は、

その

者の

氏名

、権

限、

当該

現場

代理

人の

行為

につ

いて

の下

請負

人の

再下

請負

人に

対す

る意

見の

申出

方法

(ま

たは

その

内容

が記

載さ

れた

下請

負人

への

通知

書の

写し

再下

請負

人の

置く

主任

技術

者の

氏名

、そ

の者

が有

する

主任

技術

者資

格及

びそ

の者

が専

任か

否かの別

再下

請負

人が

主任

技術

者に

加え

て専

門技

術者

を置

く場

合は

、そ

の者

の氏

名、

その

者が

管理

をつ

かさ

どる

建設

工事

の内

容、

その

者が

有す

る主

任技

術者

資格

再下

請負

人に

おけ

る外

国人

技能

実習

生及

び外

国人

建設

就労

者の

従事

の状

③主任技術者

又は監

理技

術者

が主

任技

術者

資格

又は監

理技

術者

資格

を有

する

こと

の証

明書

の写

し(

専任の監理技術

者について

は監

理技

術者

資格

者証

の写

しに

限る

。)

④主任技術者

又は監

理技

術者

が直

接的

かつ

恒常

的な

雇用

関係

にあ

るこ

とを

証明

する

もの

の写

し(

健康

保険被保険者

証又は住民税

特別

徴収

税額

通知

書の

写し)

(別

紙1

)「技

術者

の直

接的

かつ

恒常

的な

雇用

関係

につい

ての確

認方法

」を参

⑤主任技術者

又は監

理技

術者

以外

に施

工の

技術

上の

管理

をつ

かさ

どる

者を

置く

とき

は、そ

の者

が主

任技

術者資格を

有することを

証す

る書

面及

び直

接的

かつ恒

常的

な雇

用関

係に

ある

こと

を証

する

もの

の写

し。

チェックポイント

結果

備考

(3)元請の施工範囲等

を確

認(

直営

施工

部分

があ

るか

、主

たる

部分

を請

け負

わせ

てい

ない

か等

。)

契約

書等か

ら直営

施工範

囲を確

認。直

営部

分の

容と

比し、受

注金額

から一

次下請

金額の

合計を

いた

金額が

妥当で

あるか

確認。

(4)上請け、横請けの

可能

性の

確認

下請

に地元

以外の

建設業

者(元

請が地

元の場

合)

又は

、元請

負人

より

も資本

金の多

い下請

負人が

ない

か。同

規模同

業者が

下請に

いない

か。

(5)JV工事の場合、

共同

企業

体の

運営

関係

書類

の作

成状

況の

確認

代表

者、出

資比率

、責任

範囲等

の確認

(6

)下

請負

人の

中に

無許

可業

者が

いる

場合

に5

00

万円

以上

(建

築一

式工

事に

あっ

ては

1,

50

0万

円以

上)

の下

請を

させていない

かど

うか

確認

契約

書によ

り当該

施工範

囲を確

認し、適

切かど

か判

断。

許可

業者

か否

か不

明な

場合

は許

可部

局に

照会

する

218

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2.

現場

での

標識

等の

確認

チェックポイント

結果

備考

1)

施工

体系

図を

作成

し、

工事

関係

者が

見や

すい

場所

及び

公衆

が見

やす

い場

所に

掲示

して

いる

か(

建設

業法

第2

4条

7第4項、入札

契約

適正

化法

第1

5条

第1

項)。

公衆が見やすい場所とは、工事現場の道路に

面した場所など

2)

下請

負人

が再

下請

を行

う場

合に

再下

請通

知書

を元

請負

人に

提出

すべ

き旨

の掲

示を

行っ

てい

るか

(建

設業

法施

行規

第14条の3)。

掲示

文の例

は以下

参照。

再下請負通知書を元請負人に提出すべ

き旨掲示する書面の文案

下請負人となった皆様へ

今回、下請負人として貴社に施工を分担していただく建設工事については、建設業法(昭和24年法律100号)第24条の7第1項の

規定により、施工体制台帳を作成しな

ければならないこととされています。

この

建設

工事

の下

請負

人(貴

社)は

、そ

の請

け負

った

建設

工事

を他

の建

設業

を営

む者

(建

設業

の許

可を

受け

てい

ない

者を

含み

ます

。) に

請け負わせたときは、

① 建設業法第24条の7第2項の規定により、遅滞なく、建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第14条の4第1項に

定する再下請負通知書を当社あてに次の場所まで提出しなければなりません。また、一度通知いただいた事項や書類に変更が生じたと

きも、変更の年月日を付記して遅滞なく同様の通知書を提出しなければなりません。

② 貴社が他の者に工事を請け負わせた時は、その者に対してこの書面を複写し交付して、「さらに他の者に工事を請け負わせたときは、

作成建設業者

に対する①の通知書の提出と、その者に対するこの書面の写しの交付が必要である」旨を伝えなければなりません。

作成建設業者の商号 ○○建設(株)

再下請負通知書の提出場所 工事現場内

建設ステーション/△△営業所

219

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(3)全ての建設業許可

を持

つ建

設業

者が

、建

設業

許可

に関

する

標識

を掲

示し

てい

るか

確認

公衆

の見易

い場所

に(建

設業法

第40

条)

①一

又は

特定建

設業の

別、②

許可

年月

日、許

可番

号及

び許

可を

受け

た建

設業

、③

商号

又は

名称

、④

代表

者の

氏名

、⑤

主任

技術

者又

は監

理技

術者

の氏

(建

設業法

施行規

則第

25条

)が

記載さ

れた標

かど

うか確

認。

(4)建退共制度導入事

業者

であ

るこ

と及

び証

紙の

配布

状況

の確

建設

業退

職金

共済

制度

適用

事業

主工

事現

場標

識」の

掲示

があ

るか

確認す

るとと

もに元

請に対

下請

の加

入状

況を

確認

し、

疑義

が生

じた

場合

は、現

場従

事者

に対

し共済

手帳の

提示を

求める

又は

各建

設業

者が

現場

に備

え付

けて

いる

共済

紙受

払簿

(中

小企

業退

職金

共済

法施

行規

則第

90条

)を

提出

させる

(5)労災保険に関する

掲示

の確

労災

保険に

関する

法令の

うち、労

働者

に関

係の

る規

定の要

旨、労災

保険に

係る保

険関係

成立の

月日

、労働

保険

番号

の掲示

若しく

は備え

付け状

の確

認。(

労働

者災

害補

償保

険法

施行

規則

第4

条)

220

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3.

現場

での

施工

体制

台帳

等の

確認

チェックポイント

結果

備考

(1)施工体制台帳は現

場に

備え

付け

られ

てい

るか

(建

設業

法第

24

条の

7)。

公共

工事に

ついて

は、施

工体

制台

帳の写

しにつ

て発

注者(監

督員

)へ

の提出

が義務

づけら

れてい

る(

入札契

約適正

化法第

15条

第2項

)。

(2)発注者(監督員)

に提

出し

た施

工体

制台

帳の

写し

と比

べ、

不備

、追

加、

変更

を確

不備

がある

場合は

、速

やか

な是正

を指導

し、その

内容

を確認

するこ

と。

加、変

更につ

いて

も、そ

の内

容を

確認す

ること

。 ・

施工体制台帳に

必要

事項

が書

き込

まれ

てい

るか

(建

設業

法施

行規

則第

14

条の

2第

1項)。

・施工体制台帳の添

付書

類は

揃っ

てい

るか

(建

設業

法施

行規

則第

14

条の

2第

2項

)。

(3)元請負人の直営部

分の

施工

状況

を確

認。

・事前確認において

、上

請け

、横

請け

の可

能性

があ

る場

合に

つい

ては

、よ

り詳

細に

確認

・直営施工個所が存

在し

ない

場合

には

、施

工の

関与

状況

を特

に確

・実

際の直

営施工

個所を

確認し

、施工

体制台

帳、

契約

書等と

相違が

ないか

確認。

・はっ

きりし

ない場

合は

、現

場代理

人等に

口頭で

聞き

取りに

より確

認。

・実際

の直営

施工個

所の内

容と比

し、受注

金額か

ら一

次下請

金額の

合計を

引いた

金額が

、不

自然

に高

くな

いか

確認

(4)下請負人が工事の

一部

を再

下請

に出

して

いる

場合

、下

請負

人の

直営

部分

の施

工状

況を

確認

約書

等と

実際

の直

営施

工範

囲が

等し

いか

確認

し、直

営部分

がない

場合は

、施

工の

関与状

況を特

に確

(5

)下

請負

人の

中に

無許

可業

者が

いる

場合

に5

00

万円

以上

(建

築一

式工

事に

あっ

ては

1,

50

0万

円以

上)

の下

請を

させていない

かど

うか

確認

契約

書によ

り当該

施工範

囲を確

認。

疑義

が生

じた

場合

は、

元請

又は

下請

業者

に確

認。

許可

業者

か否

か不

明な

場合

は許

可部

局に

照会

する

221

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4.

現場

での

監理

技術

者等

の配

置状

況の

確認

チェックポイント

結果

備考

1)

主任

技術

者又

は監

理技

術者

に関

し、

以下

の事

項に

つい

て確

認(

その

際、

監理

技術

者に

対し

ては

監理

技術

者資

格者

の提示を求める。)

公共

性の

ある

重要

な工

事で

建設

業法

施行

令第

7条

で定め

るもの

のうち

、国

や地

方公共

団体等

発注

するも

のにつ

いては

、元

請負

人の監

理技術

は、専

任か

つ監

理技

術者資

格者証

を有し

ていな

れば

なら

ない

(建

設業

法第

26

条第

3項

、第

項)。

また

、発

注者

から

請求

があ

った

とき

は資

者証

を提示

しなけ

ればな

らない(

建設

業法

第2

条第

5項)。

当該主任技術者又

は監

理技

術者

の現

場専

任制の

確認

日報

等で専

任制の

確認を

行う。

→疑

義があ

る、ある

いは現

在現場

に常駐

してい

い場

合には

、所在

を確認

して直

ちに呼

び出し

該主

任技

術者

又は

監理

技術

者が

、施

工体

制台

帳等

に記

載さ

れた

主任

技術

者又

は監

理技

術者

と同

一人

物で

ある

こと

の確認

③ 当該主任技術者又

は監

理技

術者

の直

接的

かつ恒

常的

な雇

用関

係の

確認

別紙

1)「

技術

者の

直接

的か

つ恒

常的

な雇

用関

係に

ついて

の確認

方法」

を参照

当該主任技術者又

は監

理技

術者

の能

力及

び実質

的な

関与

の状

況の

確認

建設

工事の

施工計

画の作

成、工程

管理、品

質管理

その

他技

術上

の監

理及

び当

該建

設工

事の

施工

従事

する

者の

技術

上の

指導

監督

を誠

実に

行っ

いる

かどう

か口頭

試問等

により

確認。

質的

な関

与に

つい

ては

、(別

紙2

)「技

術者

実質

的関与

につい

ての確

認方法

」を参

222

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5.

現場

での

下請

業者

の使

用状

況の

確認

チェックポイント

結果

備考

(1)施工体制台帳、下

請負

通知

書、

施工

体系

図に

記載

のな

い下

請業

者が

作業

して

いな

いか

どう

か確

ヘル

メット

等の外

観、口

頭聞

き取

り等に

より確

する

(2)下請業者の施工状

況・内

容及

び下

請金

額が

下請

負契

約書

に同

じか

どう

か確

下請

業者に

聞き取

りを行

う(

平成

13年

10月

日以

降に契

約され

た公共

工事に

ついて

は、2

次以

下も

含め

て全

ての

下請

業者

につ

いて

請負

額が

載さ

れた

契約

書の

写し

を添

付す

るこ

とが

義務

けら

れてい

る。)

(3)主任技術者の現場

専任

制の

確認

建設

業者

は、

請け

負っ

た全

ての

工事

現場

にお

て、建

設工

事の

施工

の技術

上の管

理をつ

かさど

もの

を置か

なけれ

ばなら

ず(

建設

業法第

26条

)、

公共

性の

ある

工作

物に

関す

る重

要な

工事

で建

業法

施行

令第

27

条で

定め

るも

のに

つい

ては

任で

なけれ

ばなら

ない。

当該主任技術者

の現

場専

任制

の確

施工

体制台

帳の工

期、実

施工

程表

と比較

して、専

任の

必要な

時期に

あるか

確認、専

任が

必要

な場

は、

日報等

により

確認。

→疑

義があ

る、ある

いは現

在現場

に常駐

してい

い場

合には

所在を

確認し

て直ち

に呼び

出し。

ただ

し、

同一

の場

所又

は近

接し

た場

所に

おけ

る、

密接

な関

連の

ある

2以

上の

工事

の兼

任は

能。

当該主任技術

者が

、施

工体

制台

帳等

に記

載さ

れた

主任

技術

者と

同一

人物

であ

るこ

との

確認

当該主任技術

者の

直接

的か

つ恒

常的

な雇

用関

係の

確認

(別

紙1

)「技

術者

の直

接的

かつ

恒常

的な

雇用

係に

ついて

の確認

方法」

を参照

当該主任技術

者の

能力

及び

実質

的な

関与

の状

況の

確認

主任

技術

者で

ある

資格

又は

実務

経験

の確

認を

うと

ともに

、監

理技

術者の

場合に

準じ、口

頭試問

等に

より確

認。

質的

な関

与に

つい

ては

、(別

紙2

)「技

術者

実質

的関与

につい

ての確

認方法

」を参

223

Page 227: 建設業法令遵守 ハンドブック 【資料編】 - mlit.go.jp...建設業法令遵守 ハンドブック 【資料編】 国土交通省 東北地方整備局 建設業法令遵守推進本部

(別

紙1

)技

術者

の直

接的

かつ

恒常

的な

雇用

関係

につ

いて

の確

認方

チェックポイント

結果

備考

(1)直接的な雇用関係

にあ

るこ

との

確認

監理技術者:

以下

のい

ずれ

かに

より

確認

①監理技術

者資

格者

証の

所属

建設

業者

の商

号又

は名

称、

又は

変更

履歴

(裏

書)

②健康保険

被保

険者

証の

所属

建設

業者

の商

号又

は名

③住民税特

別徴

収税

額通

知書

の所

属建

設業

者の

商号

又は

名称

主任技術者:

以下

のい

ずれ

かに

より

確認

①健康保険

被保

険者

証の

所属

建設

業者

の商

号又

は名

②住民税特

別徴

収税

額通

知書

の所

属建

設業

者の

商号

又は

名称

直接

的な

雇用

関係

」と

は、「

技術

者と

企業

の間

に、

第三

者の

介入

する余

地のな

い雇用

に関す

る一定

の権利

義務関

係(

賃金

、労

働時

間、雇

用、権

利構

成等

)が

存在

する

こと

」を

いい

、以

下の

件を

満たす

場合と

解す。

健康

保険

被保

険者

証や

市町

村が

作成

する

住民

税特

別徴

収税

通知

書によ

って、所属

建設業

者と

の雇用

関係が

確認で

きるこ

とが

必要

(在籍

出向者

、派遣

社員は

認めら

れない

)。

(2)恒常的な雇用関係

にあ

るこ

との

確認

監理技術者:以

下の

いず

れか

によ

り確

①監理技術

者資

格者

証の

交付

年月

日、

又は

変更

履歴

(裏

書)

②健康保険

被保

険者

証の

交付

年月

主任技術者:

健康

保険

被保

険者

証の

交付

年月

日に

より

確認

「恒

常的な

雇用関

係」と

は、①「

施工管

理業務

に従事

する一

定の

期間

にわた

り、当該

企業に

勤務し

、日

々一

定時間

以上職

務に従

する

こと

が担

保さ

れて

いる

こと

」、②

「企

業及

び技

術者

が双

方の

持つ

技術力

を熟知

し、企

業が

責任

を持っ

て技術

者を工

事現場

に設

置で

きると

ともに

、技

術者が

十分

かつ円

滑に企

業の持

つ技術

力を

活用

できる

こと」を

いい

、特

に国

、地方

公共団

体等(

注1)が

注す

る公

共工

事に

おけ

る専

任の

監理

技術

者又

は主

任技

術者

につ

いて

は、以

下の要

件を満

たす場

合と解

す。

所属

建設業

者から

入札の

申込の

あった

日(

指名

競争に

付す場

合で

あっ

て入札

の申込

を伴わ

ないも

のにあ

っては

入札の

執行日

、随

契約

によ

る場

合に

あっ

ては

見積

書の

提出

のあ

った

日。)

以前

に3

ヶ月

以上の

雇用関

係にあ

ること

。ただ

し、合併

、営業

譲渡又

は会

社分

割によ

る所属

企業の

変更(

注2)が

あった

場合、緊

急の

必要

その

他やむ

を得な

い事情

がある

場合に

ついて

は、3

ヶ月

に満

たな

い場

合であ

っても

恒常的

な雇用

関係に

あるも

のとみ

なす。

注1:建

設業

法第2

6条第

4項に

規定す

る国

、地

方公共

団体そ

他政

令で

定め

る法

注2:合

併、営

業譲

渡及び

会社分

割につ

いては

、その

契約書

及び

登記

簿の謄

本等に

より確

認する

ものと

する。

224

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(別

紙2

)技

術者

の実

質的

関与

につ

いて

の確

認方

チェックポイント

結果

備考

(1)発注者との協議に

おい

て主

体的

な役

割を

果た

して

いる

こと

の確

打合

せ時の

受け答

えから

判断。

(2)住民への説明にお

いて

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

日報

や住民

からの

苦情内

容を確

認。必

要に

応じ

て技術

者に聞

き取

り。

(3)官公庁等への届出

等に

おい

て主

体的

な役

割を

果た

して

いる

こと

の確

申請

書等の

内容を

もとに

技術者

に聞き

取り。

(4)近隣工事との調整

にお

いて

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

近隣

工事と

の調整

状況を

技術者

に聞き

取り。

(5)施工計画の作成に

おい

て主

体的

な役

割を

果た

して

いる

こと

の確

施工

計画書

の確認

。施

工計画

の打

合せ時

におけ

る技術

者の受

け答

えか

ら判断

(6)工程管理において

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

施工

計画と

実際の

工程を

比較。工程

の変更

を余

儀なく

された

とき

の対

応から

判断。

(7)出来形・品質管理

にお

いて

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

出来

形報告

書類や

品質管

理書類

をもと

に技術

者に聞

き取り

(8)完成検査において

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

下請

工事の

検査状

況につ

いて技

術者に

聞き取

り。

(9)安全管理において

主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

安全

パトロ

ールの

実施状

況等を

確認。

10)下請業者との施工

調整

・指

導監

督に

おい

て主体

的な

役割

を果

たし

てい

るこ

との

確認

下請

業者か

らの聞

き取り

225

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参考

現場

施工

確認

等実

施フ

ロー

契約

手続

工体

制台

注者

及び

許可

行政

入札

契約

工事内容、施工体制の内容について

請負業者と打合せ

工事

の着

場に

備え

置く

発注

者(

監督

員)

への

写し

の提

出)

・ 内

容の

チェ

ック

(事

前確

認)

・不

備・

変更

につ

いて

確認

(不

備・変

更内

容に

つい

て報

告を

める

。)

※現

場確

・現場

での

施工

体制

等を

チェ

ック

施工体制に変更が生じた場合は、

速やかに施工体制台帳の変更。

→発注者(監督員)へ報告

226

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ケース1:発注者が「発注者支援データベース・システム」の活用により技

術者の専任違反を発見し、通知を受けた許可行政庁が処分 ◇施工体制における問題点 A社は専任の必要な2件の工事において技術者を兼任させていた。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB地方整備局から許可行政庁であるC県に対し、発注者支援

データベース・システムの活用により、B地方整備局が発注した工事とC県

が発注した工事に配置された技術者が同一の者である疑義が発覚したと、入

札契約適正化法第11条に基づく通知があった。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるC県がA社から報告聴取を行ったところ、技術者の兼任

の事実が確認されたため、建設業法第26条第3項に違反していることから

指示処分を行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるC県は、報告聴取を行った際に、A社が提出した施工体

制台帳と技術者届に記載された技術者を照合し、さらに、契約書、竣工写真

等を確認した。その結果、当該技術者が専任の必要な2件の工事において5

ヶ月に渡って兼任していた事実が発覚した。

(別添2)

発注者及び許可行政庁における施工体制台帳の活用事例集

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ケース2:許可行政庁が経営事項審査の工事経歴書により技術者の兼任を発

見し処分 ◇施工体制における問題点 A社は専任の必要な2件の工事において技術者を兼任させていた。 ◇問題点を発見したきっかけ 許可行政庁であるB県が経営事項審査において工事経歴書を確認していた

ところ、A社の技術者が、専任が必要な2件の工事について一定期間兼任し

ている疑義が生じた。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるB県がA社に報告聴取を行ったところ、技術者の兼任の

事実が確認されたため、建設業法第26条第3項に違反していることから指

示処分を行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるB県は、報告聴取を行った際に、A社が提出した施工体

制台帳と工事経歴書に記載された技術者を照合した。その結果、当該技術者

が専任の必要な2件の工事において2ヶ月に渡って兼任していた事実が発覚

した。

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ケース3:発注者がJVの構成員の技術者不設置を発見し、通知を受けた許

可行政庁が処分 ◇施工体制における問題点 A社は、B県発注工事のJVの構成員であるにもかかわらず、技術者を配

置していなかった。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB県から許可行政庁であるC地方整備局に対して、A社が技

術者を配置していない疑義があると、入札契約適正化法第11条に基づく通

知があった。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるC地方整備局がA社から報告聴取を行ったところ、当該

JVの代表構成員のみが工事の施工管理を行っており、A社は技術者を現場

に配置していない事実が確認されたことから、建設業法第26条第1項に違

反していることから15日間の営業停止処分を行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるC地方整備局は、報告聴取を行った際に、当該JVが提

出した施工体制台帳をもとにA社の技術者が本来担うべき役割について本人

に聞き取りを行うとともに、当該技術者が実際に担った役割を示す資料の提

出を求めたところ、当該技術者が実際には現場に配置されていないことが発

覚した。

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ケース4:発注者が施工体制の点検によりCORINSにおける技術者の虚

偽登録を発見し、許可行政庁に通知 ◇施工体制における問題点 A社は専任の必要な2件の工事において技術者を兼任させていた。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB県が施工体制の重点点検を行ったところ、施工体制台帳に

記載された技術者と当該工事においてCORINS登録された技術者が異な

ることが発覚した。 ◇問題点発見後の処理 発注者であるB県がA社に確認したところ、当該技術者をC県発注の専任

を要する工事と兼任させるため、データベース上の重複を避ける目的でCO

RINSへの虚偽の登録を行った事実が確認された。このためB県は事実関

係を発注者であるC県および許可行政庁に通知した。 ◇施工体制台帳の活用方法 発注者であるB県は、A社の技術者に監理技術者資格者証の提示を求め、

施工体制台帳およびCORINSに登録された内容と照合した。その結果、

A社がCORINSに登録した内容が虚偽のものであることが発覚した。

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ケース5:発注者が監理技術者資格者証の確認により技術者の専任違反を発

見し口頭注意 ◇施工体制における問題点 A社は、専任の必要な工事において技術者を専任で配置していなかった。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB県が現場の施工体制を確認したところ、A社の技術者の住

所が通勤の出来ない場所であることから、当該技術者の専任違反の疑義が生

じた。 ◇問題点発見後の処理 発注者であるB県がA社に確認したところ、技術者の兼任の事実が確認さ

れたものの、両社とも建設業法の理解が不足しており悪質ではなかったこと

から、許可行政庁と協議の上、口頭で注意し是正を求めた。 ◇施工体制台帳の活用方法 発注者であるB県が現場の施工体制を確認した際、A社の技術者に監理技

術者資格者証の提示を求め住所を確認した上で、出勤簿により当該技術者の

専任状況を確認した。その結果、当該技術者は自宅から工事現場への通勤が

困難なため、専任の義務を怠っていたことが発覚した。

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ケース6:許可行政庁が「下請取引等実態調査」の立入調査をきっかけに一

括下請負を発見し処分 ◇施工体制における問題点 A社は施工体制台帳および施工体系図に一次下請B社を記載していなかっ

た。またB社は二次下請に工事を一括下請負していた。 ◇問題点を発見したきっかけ 許可行政庁であるC地方整備局が下請取引等実態調査においてA社に立入

調査を行ったところ、一次下請のB社が施工体制台帳および施工体系図に記

載されていないことを発見した。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるC地方整備局がA社から報告聴取を行ったところ、一次

下請として契約したB社を施工体制台帳および施工体系図に記載せず、また

B社への指導も実施していない事実が確認されたため、建設業法第24条の

7第1項、第24条の7第4項および第24条の6第1項に違反しているこ

とから、7日間の営業停止処分を行った。また、B社の一括下請負の事実が

確認されたため、建設業法第22条第1項に違反していることから15日間

の営業停止処分を行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるC地方整備局は、下請取引等実態調査においてA社に立

入調査を行った際、当該工事における全ての契約書を施工体制台帳および施

工体系図と照合した。その結果、一次下請として契約書が交わされたB社を

施工体制台帳および施工体系図に記載していないことが発覚した。さらに、

B社は完成工事高の水増しのため一次下請として参入したものの、工事には

全く関与していないことが発覚した。

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ケース7:許可行政庁が技術者への聞き取りにより工事の主たる部分の一括

下請負を発見し処分 ◇施工体制における問題点 A社は工事の主たる部分を一次下請に一括下請負させていた。 ◇問題点を発見したきっかけ 許可行政庁であるB県に対し、A社が一括下請負を行っているという匿名

の電話があった。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるB県がA社から報告聴取を行ったところ、A社が工事の

主たる部分を一次下請のC社に一括下請負していた事実が確認されたため、

建設業法第22条第1項に違反していることから15日間の営業停止処分を

行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるB県は、A社から報告聴取を行った際、施工体制台帳に

より施工体系を確認した上で、A社の技術者に対して実際に行った業務につ

いて聞き取りを行った。その結果、当該技術者は工事の主たる部分について

の工事に関して十分な知識を有せず、実際の業務は一次下請のC社に請け負

わせていたことが発覚した。

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ケース8:発注者が技術者への聞き取りにより当該技術者が工事に対して実

質的な関与を行っていないことを発見し、許可行政庁に通知 ◇施工体制における問題点 A社の技術者が、B県から請け負った工事において実質的な関与を行って

いなかった。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB県が現場の施工体制の点検を行い、A社の技術者に対して

施工管理などについて聞き取りを行ったところ、理解が不十分であったこと

から、実質的な関与に対して疑義が生じた。 ◇問題点発見後の処理 発注者であるB県がA社に確認したところ、一括下請負の疑義が生じたた

め、入札契約適正化法第11条に基づき許可行政庁に通知した。 ◇施工体制台帳の活用方法 発注者であるB県が、A社の技術者に対して担った役割および実際に行っ

た業務について聞き取りを行った上で、打合せ簿との照合を行った。その結

果、当該技術者は施工計画の立案、施工管理などの業務を下請業者の技術者

に行わせており、工事に対して実質的な関与を行っていない事実が発覚した。

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ケース9:発注者が施工体制変更後の施工体制台帳・施工体系図の作成義務

違反を発見したため、通知を受けた許可行政庁が処分 ◇施工体制における問題点 A社は、施工体系が変更されたにもかかわらず、変更後の施工体制台帳お

よび施工体系図の作成を怠った。 ◇問題点を発見したきっかけ 許可行政庁であるB地方整備局に対して、A社が施工体系変更後の施工体

制台帳及び施工体系図の作成を怠っていたため指名停止措置を行ったと、発

注者からの通知があった。 ◇問題点発見後の処理 許可行政庁であるB地方整備局がA社から報告聴取を行ったところ、施工

体制変更後の施工体制台帳および施工体系図の作成を怠っていた事実が確認

されたため、建設業法第24条の7第1項、第24条の7第4項に違反して

いることから、指示処分を行った。 ◇施工体制台帳の活用方法 許可行政庁であるB地方整備局は、A社から報告聴取を行った際、当該工

事における全ての契約書を施工体制台帳および施工体系図と照合した。その

結果、下請業者を変更したにもかかわらず、施工体制台帳および施工体系図

の変更を怠っていた事実が発覚した。

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ケース 10:発注者が施工体制台帳の現場備え付け違反を発見したため、指導

を行うとともに、後日、是正措置がとられていることを確認 ◇施工体制における問題点 A社は、施工体制台帳を現場に備え付けていなかった。 ◇問題点を発見したきっかけ 発注者であるB県が抜き打ちで工事現場に立入検査を行ったところ、施工

体制台帳が備え付けられていなかった。 ◇問題点発見後の処理 発注者であるB県が立入検査の際にA社にその場で問いただしたところ、

施工体制台帳を本社に保管しているとの回答を得たため、工事現場に備え付

けるよう口頭で指導した。後日、再度工事現場に立入検査を行い、施工体制

台帳が備え付けられていることを確認した。 ◇施工体制台帳の活用方法

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......................................................................................14 ................................................14

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COSOCOSOCOSOCOSO

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(Act)

(Do)

(Check)

(Check)

(Plan)

(Plan)

(Act)

(Do)

(Check)

(Check)

(Plan)

(Plan)

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建設省経構発第2号 平成3年2月5日

建設業者団体の長 あて

建設省建設経済局長

建設産業における生産システム合理化指針について 建設産業における生産システムの合理化については、従来より建設業法及び関係法令の

規定を踏まえ、その推進に努めてきたところであるが、今般、中央建設業審議会の第三次

答申(昭和 63 年 5 月 27 日)を受けて、建設生産システムの合理化を一層推進するため、

「建設産業における生産システム合理化指針」を別添のように定めたので、本指針の趣旨

を御了知の上、貴会さん下の建設業者に対し、本指針の周知徹底を図るとともに、その遵

守について適正な指導に努められるようお願いする。 なお、「元請・下請関係合理化指導要綱」(昭和 53 年 11 月 30 日付け建設省計建発第 318

号)は廃止する。

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建設産業における生産システム合理化指針 第1 趣旨 建設産業の生産活動は、総合的管理監督機能(発注者から直接建設工事を請け負って企

画力、技術力等総合力を発揮してその管理監督を行う機能)と、直接施工機能(専門的技

能を発揮して工事施工を担当する機能)とが、それぞれ相互に組み合わされて行う方式が

基本となっている。 これらの機能を軸とした分業関係を基本とする建設生産システムの下、基幹産業として

の活力に溢れた建設産業の実現を図るとともに、発注者の信頼に応えうる適正かつ効率的

な建設生産を確保するためには、すべての建設業者が技術と経営に優れた企業への成長を

目指しつつ、その分担する分野において、役割に応じた責任を的確に果たすことが不可欠

である。 本指針は、総合的管理監督機能を担う総合工事業者と直接施工機能を担う専門工事業者

が、それぞれ対等の協力者として、その負うべき役割と責任を明確にするとともに、それ

に対応した建設産業における生産システムの在り方を示したものである。これは、建設生

産システムの合理化を進める上での行政による指導の指針であり、建設業者の取組の指針

となるべきものである。 第2 総合工事業者の役割と責任 総合工事業者は、総合的管理監督機能を担うとともに、建設工事の発注者に対して契約

に基づき、工事完成についてのすべての責任を持つという役割を有している。 また、総合工事業者が、発注者との間で行う請負価格、工期(工事着手の時期及び工事

完成の時期)の決定等は、自らの経営はもとより、専門工事業者の経営の健全化にも大き

な影響をもたらすものである。 このため、次の責任を果たすべきである。 ア 経営計画の策定、財務管理及び原価管理の徹底等的確な経営管理を行いうる能力の

向上に努めること。また、常に合理的な請負価格、工期による受注に努めるとともに、

専門工事業者への発注に当たっては、請負価格、工期、請負代金支払等の面で、適正

な契約を締結すること。 イ 業種・工程間の総合的な施工管理を的確に行うため、技術者に対する研修の充実等

により、管理監督機能の向上に努めること。 また、効率的かつ高度な建設生産を確保するため、技術開発の推進、施工の合理化

に努めること。 ウ 優良な専門工事業者の選定を行うため、専門工事業者の施工能力、経営管理能力等

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を的確に把握し、評価できる体制の確立に努めること。 エ 優秀な建設労働者を確保するため、労働時間の短縮、休日の確保、労働福祉の充実、

安全の確保及び作業環境の整備等に努めること。 第3 専門工事業者の役割と責任 専門工事業者は、直接施工機能を担っており、建設生産物の品質、原価に対し実質的に

大きな影響を与えるものである。 また、近年においては、建設生産システムにおける専門工事業者の担う役割が増大して

おり、特に、専門的技術・技能を有する建設労働者を直接に雇用する等の点において、今

後の建設産業の発展に大きな役割を有している。 このため、次の責任を果たすべきである。 ア 教育訓練等の充実や、技術・技能資格等の取得の奨励等により、施工能力及び経営

管理能力を向上させるとともに、常に合理的な契約条件による受注に努め、企業基盤

の強化を図ること。 イ 専門工事業者の役割の高度化という要請に応え、分担する工事分野において、直接

施工のみならず施工管理をも自らが行いうる体制の確立に努めるとともに、各々の能

力に応じて部分一式等多様な業種・工程を担うことができるよう努めること。 ウ 優秀な建設労働者を確保するため、直用化の推進等による雇用の安定、月給制の拡

大、職能給の導入、労働時間の短縮、休日の確保、労働福祉の充実、安全の確保及び

作業環境の整備等に努めること。 第4 適正な契約の締結 (1)契約締結の在り方

建設工事の施工における企業間の下請契約の当事者は、契約の締結に当たって、次の

事項を遵守するものとする。 また、建設工事の内容や工期・工程において、変更又は追加の必要が生じた場合にお

ける契約の締結についてもこれに準ずるものとする。 ア 建設工事の開始に先立って、建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内容を

持つ契約書による契約を締結すること。 イ 契約の当事者は対等な立場で十分協議の上、施工責任範囲及び施工条件を明確にす

るとともに、適正な工期及び工程を設定すること。 ウ 請負価格は契約内容達成の対価であるとの認識の下に、施工責任範囲、工事の難易

度、施工条件等を反映した合理的なものとすること。 また、消費税相当分を計上すること。

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エ 請負価格の決定は、見積及び協議を行う等の適正な手順によること。 オ 下請契約の締結後、正当な理由がないのに、請負価格を減じないこと。

(2)代金支払等の適正化

下請契約における注文者(以下「注文者」という。)からその契約における受注者(以

下「受注者」という。)に対する請負代金の支払時期及び方法等については、建設業法に

規定する下請契約に関する事項のほか、次の各号に定める事項を遵守するものとする。 なお、資材業者、建設機械又は仮設機材の賃貸業者等についてもこれに準じた配慮を

するものとする。 ア 請負代金の支払は、請求書提出締切日から支払日(手形の場合は手形振出日)まで

の期間をできる限り短くすること。 イ 請負代金の支払は、できる限り現金払とし、現金払と手形払を併用する場合であっ

ても、支払代金に占める現金の比率を高めるとともに、少なくとも労務費相当分につ

いては、現金払とすること。 ウ 手形期間は、120 日以内で、できる限り短い期間とすること。 エ 前払金の支払を受けたときは、受注者に対して資材の購入、建設労働者の募集その

他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう、適切な配慮をすること。

特に、公共工事においては、発注者(下請契約における注文者を除く。以下同じ。)か

らの前金払は現金でなされるので、企業の規模にかかわらず前金払制度の趣旨を踏ま

え、受注者に対して相応する額を、速やかに現金で前金払するよう十分配慮すること。 オ 建設工事に必要な資材をその建設工事の注文者自身から購入させる場合は、正当な

理由がないのに、その建設工事の請負代金の支払期日前に、資材の代金を支払わせな

いこと。 第5 適正な施工体制の確立 (1)施工体制の把握

建設業法に基づく適正な施工体制の確保等を図るため、発注者から直接建設工事を請

け負った建設業者は、施工体制台帳を整備すること等により、的確に建設工事の施工体

制を把握するものとする。 (2)一括下請の禁止等 ア 一括下請は、中間において不合理な利潤がとられ、これがひいては建設工事の質の

低下、受注者の労働条件の悪化を招くおそれがあること、実際の建設工事施工上の責

任の所在を不明確にすること、発注者の信頼に反するものであること等種々の弊害を

有するので、建設業法において原則として禁止されているところであるが、発注者の

承諾が得られる場合においても、極力避けること。

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イ 不必要な重層下請は、同様に種々の弊害を有するので行わないこと。 (3)技術者の適正な配置 ア 工程管理、品質管理、安全管理等に遺漏が生ずることのないよう、適切な資格、技

術力等を有する技術者等の適正な配置を図ること。特に、指定建設業監理技術者資格

者証に係る建設業法の規定を遵守すること。 イ 建設業者が工事現場ごとに設置しなければならない専任の主任技術者及び監理技術

者については、常時継続的に当該工事現場において専らその職務に従事する者で、そ

の建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者とすること。 (4)適正な評価に基づく受注者の選定

注文者は、受注者の選定に当たっては、その建設工事の施工に関し建設業法の規定を

満たす者であることはもとより、 ア 施工能力 イ 経営管理能力 ウ 雇用管理及び労働安全衛生管理の状況 エ 労働福祉の状況 オ 関係企業との取引の状況 等を的確に評価し、優良な者を選定するものとする。 この場合においては、少なくとも別表 1 に掲げる事項のすべてが満たされるよう留意

するものとする。 第6 建設労働者の雇用条件等の改善 建設業者は、建設労働者の雇用・労働条件の改善等を図るため、安定的な雇用関係の確

立や建設労働者の収入の安定等を図りつつ、少なくとも別表 2 に定める事項について措置

するものとする。 また、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、建設労働者の雇用の改善等に

関する法律及び労働安全衛生法の遵守、労働者災害補償保険法に係る保険料の適正な納付、

適正な工程管理の実施等の措置を講じるとともに、その建設工事におけるすべての受注者

が別表 2 に定める事項について措置するよう指導、助言その他の援助を行うものとする。 この場合、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者以外の注文者は上記の指導、

助言その他の援助が的確に行われるよう協力するものとする。 第7 遵守のための体制づくり (1)建設業者は、その役職員に対する本指針の周知徹底に努めなければならない。特に、

総合工事業者にあっては建設生産システムの合理化を積極的に推進する体制の整備・

拡充に努めるとともに、その請け負った建設工事におけるすべての建設業者に対して

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本指針の第 4 及び第 5 の遵守についての指導に努めるものとする。 (2)建設業者団体においては、会員企業に対する本指針の周知徹底に努めるとともに、

本指針の遵守について団体としての取組の体制を確立するものとする。 (3)本指針に基づき、真に合理的な建設生産システムを確立するためには、総合工事業

者と専門工事業者のそれぞれが果たすべき役割と責任についての理解を共有すること

が不可欠である。このため、建設業者団体が主体となり、総合工事業者、専門工事業

者のそれぞれが対等な立場に立って協議を行う場を設け、適正な契約関係の形成のた

めのルール、建設労働者の雇用・労働条件等の改善及び技術・技能の向上に係る役割

分担に関するルール等を確立するものとする。

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別表 1 (1)過去における工事成績が優良であること。 (2)その建設工事を施工するに足りる技術力を有すること。 (3)その建設工事を施工するに足りる労働力を確保できると認められること。 (4)その建設工事を施工するに足りる機械器具を確保できると認められること。 (5)その建設工事を施工するに足りる法定資格者を確保できると認められること。 (6)財務内容が良好で、経営が不安定であると認められないこと。 (7)建設事業を行う事業場ごとに雇用管理責任者が任命されているとともに、労働条件

が適正であると認められること。 (8)一の事業場に常時 10 人以上の建設労働者を使用している者にあっては、就業規則を

作成し、労働基準監督者に届け出ていること。 (9)建設労働者の募集は適法に行うことはもとより、出入国管理及び難民認定法に違反

して不法に外国人を就労させるおそれがないと認められること。 (10)過去において労働災害をしばしば起こしていないこと。 (11)賃金不払を起こすおそれがないと認められること。 (12)現に事業の附属寄宿舎に建設労働者が居住している場合においては、寄宿舎規則を

作成し、労働基準監督者に届け出ていること。 (13)取引先企業に対する代金不払を起こすおそれがないと認められること。

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別表 2 <雇用・労働条件の改善> (1)建設労働者の雇入れに当たっては、適正な労働条件を設定するとともに、労働条件

を明示し、雇用に関する文書の交付を行うこと。 (2)適正な就業規則の作成に努めること。この場合、一の事業場に常時 10 人以上の建設

労働者を使用する者にあっては、必ず就業規則を作成の上、労働基準監督署に届け出

ること。 (3)賃金は毎月 1 回以上一定日に通貨でその全額を直接、建設労働者に支払うこと。 (4)建設労働者名簿及び賃金台帳を適正に調製すること。 (5)労働時間管理を適正に行うこと。この場合、労働時間の短縮や休日の確保には十分

配慮すること。 <安全・衛生の確保> (6)労働安全衛生法に従う等建設工事を安全に施工すること。特に、新たに雇用した建

設労働者、作業内容を変更した建設労働者、危険又は有害な作業を行う建設労働者、

新たに職長等建設労働者を直接指揮監督する職務についた者等に対する安全衛生教育

を実施すること。 (7)災害が発生した場合は、当該下請契約における注文者及び発注者から直接建設工事

を請け負った建設業者に報告すること。 <福祉の充実> (8)雇用保険、健康保険及び厚生年金保険に加入し、保険料を適正に納付すること。な

お、健康保険又は厚生年金保険の適用を受けない建設労働者に対しても、国民健康保

険又は国民年金に加入するよう指導に努めること。 (9)任意の労災補償制度に加入する等労働者災害補償に遺漏のないよう努めること。 (10)建設業退職金共済組合に加入する等退職金制度を確立するとともに、厚生年金基金

の加入にも努めること。なお、厚生年金基金の加入対象とならない建設労働者に対し

ても、国民年金基金に加入するよう指導に努めること。 (11)自らが使用するすべての建設労働者に対し、健康診断を行うよう努めること。特に、

常時使用する建設労働者に対しては、雇入れ時及び定期の健康診断を必ず行うこと。 <福利厚生施設の整備> (12)建設労働者のための宿舎を整備するに当たっては、その良好な居住環境の確保に努

めること。この場合、労働基準法における寄宿舎に関する規定を遵守すること。 (13)建設現場における快適な労働環境の実現を図るため、現場福利施設(食堂、休憩室、

更衣室、洗面所、浴室及びシャワー室等)の整備に努めること。特に、発注者から直

接建設工事を請け負った建設業者は、これに努めること。 <技術及び技能の向上>

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(14)建設労働者の能力の開発及び向上のため、技術及び技能の研修・教育訓練に努める

こと。 <適正な雇用管理> (15)雇用管理責任者を任命し、その者の雇用管理に関する知識の習得及び向上を図るよ

う努めること。 (16)建設労働者の募集は適法に行うこと。 (17)出入国管理及び難民認定法に違反して不法に外国人を就労させないこと。 <その他> (18)前各号に定める事項のほか、建設業法施行令第 7 条の 3 各号に規定する法令を遵守

すること。

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国総建第80号

平成 13 年 3 月 30 日

都道府県知事 あて

政令指定都市の長

国土交通省総合政策局長

施工体制の適正化及び一括下請負の禁止の徹底等について

一括下請負等不正行為の排除については、従来よりその徹底に努めてきたと

ころでありますが、依然として不適切な事例が多く見られ、公共工事における

これら不正行為の排除の徹底と適正な施工の確保がより一層求められています。

このため、先の臨時会(第 150 回国会)において、「公共工事の入札及び契約の適

正化の促進に関する法律」(平成 12 年 11 月 27 日法律第 127 号)が制定され、

同法に基づき、平 成 13 年 4 月 1 日から、公共工事について、一括下請負が全

面的に禁止されるほか、施工体制台帳の写しの発注者への提出の義務付け措置

等が講じられるととも に、「建設業法施行規則の一部を改正する省令」(平成 13

年 3 月 30 日第 76 号)により、平成 13 年 10 月 1 日から、公共工事に係る施工

体制台帳について は二次以下の下請契約についても請負代金の額を明示した

請負契約書を添付することとされ、施工体制台帳の拡充が図られることとなっ

たところであります。

ついては、下記の点に留意し、拡充された施工体制台帳の活用等を通じ、適正

な施工の確保と一括下請負等不正行為の排除の徹底等により一層努められると

ともに、貴都道府県内の市区町村等に対しても、その旨周知方お願いします。

また、これらの措置に伴い、「一括下請負の禁止について」(平成 4年 12 月 17

日付け建設省経建発第 379 号)を別紙のとおり改正することとしたので、併せ

て周知、指導方お願いします。

1. 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、建

設業者から提出される施工体制台帳の活用等により、適切に現場施工体制

の点検等に努めること。

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2. 一括下請負等建設業法等に違反すると疑うに足りる事実がある場合には、

建設業法担当部局に通知する等相互の適切な連携に努めるとともに、厳正

に対処すること。

3. 公共工事に係る施工体制台帳の拡充に関する措置は、発注者による施工

体制台帳の活用による現場施工体制の点検等を通じ、適正な施工の確保、

一括下請負等不正行為の排除の徹底等を図るためのものであり、この趣旨

を踏まえ、その適切な活用を図ること。

また、契約書類のうち請負金額等については、一般的には、行政機関の

保有する情報の公開に関する法律(平成 11 年法律第 42 号)第 5 条の不開

示情報(同条第 2号イの「競争上の地位を害するおそれのある情報」)とし

て取り扱われるものであるが、入札監視委員会等の第三者機関において施

工体制台帳を提示するなど透明性の確保に留意すること。

4. 施工体制台帳の活用による点検等を通じ、元請下請を含めた全体の施工

体制を把握し、必要に応じ元請負人に対して適切な指導を行うこと。また、

施工体制台 帳の活用に当たっては、着工時点で必ずしも全ての下請契約が

締結されているものではないこと等効率的施工のための現場実態等にも十

分配慮し、元請負人に過 度の負担にならないよう留意すること。

5. 発注者支援データベースの活用等により主任技術者又は監理技術者の適

正な配置の徹底に努めること。

6. 一括下請負の禁止に違反した建設業者に対しては、行為の態様、情状等

を勘案し、再発防止を図る観点から、原則として営業停止処分により厳正

に対処するとと もに、一括下請負を行った建設業者については、当該工事

を実質的に行っていると認められないため、経営事項審査における完成工

事高から当該工事に係る金額 を除外するものとすること。

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国総建第81号

平成 13 年 3 月 30 日

主要発注機関の長 あて

国土交通省総合政策局長

施工体制の適正化及び一括下請負の禁止の徹底等について

一括下請負等不正行為の排除については、従来よりその徹底に努めてきたと

ころですが、依然として不適切な事例が多く見られ、公共工事におけるこれら

不正行為の排除の徹底と適正な施工の確保がより一層求められています。

このため、先の臨時会(第 150 回国会)において、「公共工事の入札及び契約の適

正化の促進に関する法律」(平成 12 年 11 月 27 日法律第 127 号)が制定され、

同法に基づき、平成 13 年 4 月 1 日から、公共工事について、一括下請負が全面

的に禁止されるほか、施工体制台帳の写しの発注者への提出の義務付け措置等

が講じられるとともに、「建設業法施行規則の一部を改正する省令」(平成 13 年

3 月 30 日第 76 号)により、平成 13 年 10 月 1 日から、公共工事に係る施工体制

台帳については二次以下の下請契約についても請負代金の額を明示した請負契

約書を添付することとされ、施工体制台帳の拡充が図られることとなったとこ

ろです。

ついては、下記の点に留意し、拡充された施工体制台帳の活用等を通じ、適正

な施工の確保と一括下請負等不正行為の排除の徹底等により一層努められるよ

うご協力お願いします。

また、これらの措置に伴い、「一括下請負の禁止について」(平成 4年 12 月 17

日付け建設省経建発第 379 号)を別紙のとおり改正することとしたので、的確

な対応をお願いします。

1. 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、建

設業者から提出される施工体制台帳の活用等により、適切に現場施工体制

の点検等に努めること。

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2. 一括下請負等建設業法等に違反すると疑うに足りる事実がある場合には、

建設業法担当部局に通知する等相互の適切な連携に努めるとともに、厳正

に対処すること。

3. 公共工事に係る施工体制台帳の拡充に関する措置は、発注者による施工

体制台帳の活用による現場施工体制の点検等を通じ、適正な施工の確保、

一括下請負等不正行為の排除の徹底等を図るためのものであり、この趣旨

を踏まえ、その適切な活用を図ること。

また、契約書類のうち請負金額等については、一般的には、行政機関の

保有する情報の公開に関する法律(平成 11 年法律第 42 号)第 5 条の不開

示情報(同条第 2号イの「競争上の地位を害するおそれのある情報」)とし

て取り扱われるものであるが、入札監視委員会等の第三者機関において施

工体制台帳を提示するなど透明性の確保に留意すること。

4. 施工体制台帳の活用による点検等を通じ、元請下請を含めた全体の施工

体制を把握し、必要に応じ元請負人に対して適切な指導を行うこと。また、

施工体制台帳の 活用に当たっては、着工時点で必ずしも全ての下請契約が

締結されているものではないこと等効率的施工のための現場実態等にも十

分配慮し、元請負人に過度の 負担にならないよう留意すること。

5. 発注者支援データベースの活用等により主任技術者又は監理技術者の適

正な配置の徹底に努めること。

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国総建第82号

平成 13 年 3 月 30 日

建設業者団体の長 あて

国土交通省総合政策局長

施工体制の適正化及び一括下請負の禁止の徹底等について

一括下請負等不正行為の排除については、従来よりその徹底に努めてきたと

ころでありますが、依然として不適切な事例が多く見られ、公共工事における

これら不正行為の排除の徹底と適正な施工の確保がより一層求められている。

このため、先の臨時会(第 150 回国会)において、「公共工事の入札及び契約の適

正化の促進に関する法律」(平成 12 年 11 月 27 日法律第 127 号)が制定され、

同法に基づき、平成 13 年 4 月 1 日から、公共工事について、一括下請負が全面

的に禁止されるほか、施工体制台帳の写しの発注者への提出の義務付け措置等

が講じられるとともに、「建設業法施行規則の一部を改正する省令」(平成 13 年

3 月 30 日第 76 号)により、平成 13 年 10 月 1 日から、公共工事に係る施工体制

台帳については二次以下の下請契約についても請負代金の額を明示した請負契

約書を添付することとされ、施工体制台帳の拡充が図られることとなったとこ

ろである。

貴団体におかれては、施工体制の適正化及び一括下請負の禁止の徹底等につい

て、さらに特段の御配慮と積極的な対応をお願いする。

また、これらの措置に伴い、「一括下請負の禁止について」(平成 4 年 12 月 17

日付け建設省経建発第 379 号)を別紙のとおり改正するとともに、施工体制の

適正化及び一括下請負の禁止の徹底等について、別添のとおり都道府県知事及

び主要発注機関の長あて通知したので、併せて貴傘下会員への周知、指導方お

願いする。

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平成 4 年 12 月 17 日 建設省経建発第 379 号

最終改正:平成13年3月 30 日

国総建第 82号

建設業者団体の長 殿

建設省建設経済局長

一括下請負の禁止について

一 括下請負は、発注者が建設工事の請負契約を締結するに際して建設業者に寄せた信

頼を裏切ることとなること等から、建設業法第22条において禁止されており、「第二次

構造改善推進プログラム」(平成4年3月30日付け建設省経構発第8号別添)において

もその徹底を図ることとされたところである。このため、 別添のとおり「一括下請負の

禁止について」を定めたので送付する。

貴会におかれては、その趣旨及び内容を了知の上、傘下の建設業者に対しこの旨の周

知徹底が図られるよう指導方お願いする。

〔別添〕

一括下請負の禁止について

一括下請負は、発注者が建設工事の請負契約を締結するに際して建設業者に

寄せた信頼を裏切ることとなること等から、禁止されています。

(参考)建設業法

第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、如何なる方法を

もつてするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。

2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工

事を一括して請け負つてはならない。

3 前二項の規定は、元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を

得た場合には、適用しない。

4 (略)

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一 一括下請負の禁止

(1) 建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過

去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度

から当該建設業 者の評価をするものであり、受注した建設工事を一括して

他人に請け負わせることは、発注者が建設工事の請負契約を締結するに際

して当該建設業者に寄せた信 頼を裏切ることになります。

(2) また、一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件

の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化等が発生するとともに、施工能

力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くことにもなりかねず、

建設業の健全な発達を阻害するおそれがあります。

(3) このため、建設業法第22条は、如何なる方法をもってするを問わず、

建設業者が受注した建設工事を一括して他人に請け負わせること(同条第

1項)、及び建設業を営む者が他の建設業者が請け負った建設工事を一括し

て請け負うこと(同条第2項)を禁止しています。

また、民間工事については、事前に発注者の書面による承諾を得た場合

は適用除外となりますが(同条第3項)、公共工事の入札及び契約の適正化の促

進に関する法律(平成12年法律第127号)の適用対象となる公共工事(以下単

に「公共工事」という。)については建設業法第22条第3項は適用されず、全面的

に禁止されています。

同条第1項の「如何なる方法をもつてするを問わず」とは、契約を分割

したり、あるいは他人の名義を用いるなどのことが行われていても、その

実態が一括下請負に該当するものは一切禁止するということです。

また、一括下請負により仮に発注者が期待したものと同程度又はそれ以

上の良質な建設生産物ができたとしても、発注者の信頼を裏切ることに変

わりはないため、 建設業法第22条違反となります。なお、同条第2項の

禁止の対象となるのは、「建設業を営む者」であり、建設業の許可を受けて

いない者も対象となります。

(注) この指針において、「発注者」とは建設工事の最初の注文者をいい、

「元請負人」とは下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、

「下請負人」とは下請契約における請負人をいいます。

二 一括下請負とは

(1) 建設業者は、その請け負った建設工事の完成について誠実に履行するこ

とが必要です。したがって、次のような場合は、元請負人がその下請工事

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の施工に実質的に関与していると認められるときを除き、一括下請負に該

当します。

① 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一括して他の業者に

請け負わせる場合

② 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機

能を発揮する工作物の工事を一括して他の業者に請け負わせる場合

(2) 「実 質的に関与」とは、元請負人が自ら総合的に企画、調整及び指導(施

工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するための工程管理

及び安全管理、工 事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理、下請

負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監督等)を行うことを

いいます。単に現場に技術者を 置いているだけではこれに該当せず、また、

現場に元請負人との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を有する適格な技術

者が置かれない場合には、「実質的に関 与」しているとはいえないことに

なりますので注意してください。

なお、公共工事の発注者においては、施工能力を有する建設業者を選択

し、その適正な施工を確保すべき責務に照らし、一括下請負が行われない

よう的確に対応することが求められることから、建設業法担当部局におい

ても公共工事の発注者と連携して厳正に対応することとしています。

(3) 一括下請負に該当するか否かの判断は、元請負人が請け負った建設工事

一件ごとに行い、建設工事一件の範囲は、原則として請負契約単位で判断

されます。

(注1) 「その主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる場合」とは、

下請負に付された工事の質及び量を勘案して個別の工事ごとに判断

しなければなりませんが、例え ば、本体工事のすべてを一業者に下

請負させ、附帯工事のみを自ら又は他の下請負人が施工する場合や、

本体工事の大部分を一業者に下請負させ、本体工事のう ち主要でな

い一部分を自ら又は他の下請負人が施工する場合などが典型的なも

のです。

(具体的事例)

① 建築物の電気配線の改修工事において、電気工事のすべてを1社に

下請負させ、電気配線の改修工事に伴って生じた内装仕上工事のみを

元請負人が自ら施工し、又は他の業者に下請負させる場合

② 住宅の新築工事において、建具工事以外のすべての工事を1社に下

請負させ、建具工事のみを元請負人が自ら施工し、又は他の業者に下

請負させる場合

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(注2) 「請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してそ

の機能を発揮する工作物の工事を一括して他の業者に請け負わせる

場合」とは、次の(具体的事例)の①及び②のような場合をいいます。

(具体的事例)

① 戸建住宅10戸の新築工事を請け負い、そのうちの1戸の工事を

一社に下請負させる場合

② 道路改修工事2キロメートルを請け負い、そのうちの500メー

トル分について施工技術上分割しなければならない特段の理由が

ないにもかかわらず、その工事を1社に下請負させる場合

三 一括下請負に対する発注者の承諾

民間工事の場合、元請負人があらかじめ発注者から一括下請負に付するこ

とについて書面による承諾を得ている場合は、一括下請負の禁止の例外とさ

れていますが、次のことに注意してください。

① 建設工事の最初の注文者である発注者の承諾が必要です。発注者の

承諾は、一括下請負に付する以前に書面により受けなければなりませ

ん。

② 発注者の承諾を受けなければならない者は、請け負った建設工事を

一括して他人に請け負わせようとする元請負人です。

したがって、下請負人が請け負った工事を一括して再下請負に付そ

うとする場合にも、発注者の書面による承諾を受けなければなりませ

ん。当該下請負人に工事を注文した元請負人の承諾ではないことに注

意してください。

四 一括下請負禁止違反の建設業者に対する監督処分

受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者が建設業

者に寄せた信頼を裏切る行為であることから、一括下請負の禁止に違反した

建設業者に対しては建設業法に基づく監督処分等により、厳正に対処するこ

ととしています。

また、公共工事については、一括下請負と疑うに足りる事実があった場合、

発注者は、当該工事の受注者である建設業者が建設業許可を受けた国土交通

大臣又は都 道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する

都道府県知事に対し、その事実を通知することとされ、建設業法担当部局と

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発注者とが連携して厳 正に対処することとしています。

監督処分については、行為の態様、情状等を勘案し、再発防止を図る観点

から原則として営業停止の処分が行われることになります。

なお、一括下請負を行った建設業者は、当該工事を実質的に行っていると

認められないため、経営事項審査における完成工事高に当該工事に係る金額

を含むことは認められません。

○ 一括下請負に関するQ&A

Q1 施主から500万円で地盤改良工事を請け負いましたが、都合により自

ら施工することができなくなったため、利益はもちろん経費も一切差し引かず

に、A社に500万円でこの工事の全部を下請負させました。この場合でも建

設業法第22条に違反することになるのですか。

A 建設業法が一括下請負を禁止しているのは、発注者は契約の相手方であ

る建設業者の施工能力等を信頼して契約を締結するものであり、当該契約

に係る建設工 事を実質的に下請負人に施工させることはこの信頼関係を

損なうことになることから、発注者保護という観点からこれを禁止してい

るのであって、中間搾取の有 無は一括下請負であるか否かの判断において

は考慮されません。

したがって、本件のように請け負った建設工事をそっくりそのまま下請

負させれば、元請負人が一切利潤を得ていなくても一括下請負に該当しま

す。

Q2 小学校の増築工事を請け負い、当該工事の主たる部分である基礎工事、

躯体工事、仕上工事及び設備工事を1社に下請負させました。一応現場には当

社の技術者を置いていますが、この場合でも建設業法第22条に違反すること

になるのですか。

A 請け負った建設工事の主たる部分を一括して下請負させる場合であって

も、元請負人として自ら総合的に企画、調整及び指導を行い、当該下請負

させた部分の 施工につき実質的に関与していれば、一括下請負には該当し

ません。しかし、単に現場に技術者を置いているというだけでは「実質的

に関与」しているとはいえ ません。「実質的に関与」しているとの判断が

されるためには、施工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保

するための工程管理及び安全管理、工事 目的物、工事仮設物、工事用資材

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等の品質管理、下請負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監

督等を実際に行っていることが必要です。

Q3 A市の公民館の新築工事を落札・契約し、当該工事のうち基礎工事と躯

体工事について下請契約をB社と締結しました。3月後、この公民館の外構工

事の入札 が実施され、これを落札・契約しましたが、当該外構工事については

公民館の本体工事と施工場所も同一で、工期も一部重なっていることから、本

体工事と一体 として施工することとし、当該外構工事についてB社と追加変更

契約を締結したところ、発注者であるA市から外構工事については一括下請負

に該当すると指摘 されました。この場合は本当に一括下請負になるのでしょう

か。

A 一括下請負に該当するか否かの判断は、元請負人が請け負った建設工事

1件ごとに行うものであり、建設工事1件の範囲は原則として請負契約単

位で判断することとなっています。

本件の場合、外構工 事が本体工事とは別に入札・発注されていることか

ら、たとえ外構工事が本体工事と施工場所も同一で工期も一部重なってい

たとしても、本体工事と外構工事と を取りまとめて1件の建設工事として

扱うことはできません。したがって、この外構工事全部をB社に下請負さ

せるとすれば、一括下請負に該当することとなり ます。

Q4 道路改修工事に関して、その工事の全部をA社1社に下請負させました

が、工事に必要な資材を元請負人としてA社に提供しています。この場合

も一括下請負になるのでしょうか。

A 適正な品質の資材を調達することは、施工管理の一環である品質管理の

一つではありますが、これだけを行っても、元請負人として自ら総合的に

企画、調整及び指導をし、その施工に実質的に関与しているとはいえず、

一括下請負に該当することになります。 Q5 一括下請負の禁止は元請負人だけではなく下請負人にも及ぶということ

ですが、下請負人には一括下請負に該当するか、元請負人が「実質的に関

与」しているかどうかがよく分からないこともあるのではないですか。

A 発注者保護という一括下請禁止規定の趣旨からは、直接契約関係にある

元請負人の責任がまず問われるべきであり、また、特に公共発注者におい

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ては、施工力 を有する建設業者を選択し、その適正な施工を確保すべき責

務に照らし、一括下請負が行われないよう的確に対応することが求められ

ると考えられますが、下請 負人においても、工事の施工に係る自己の責任

の範囲及び元請の監理技術者又は主任技術者による指導監督系統を正確に

把握することにより、漫然と一括下請負 違反に陥ることのないように注意

する必要があります。 そもそも誰が元請負 人における当該工事の施工の責任者であるのか分

からない状態で下請負人の施工が適切に行われることは考えられず、瑕疵

が発生した場合の責任の所在も不明確 となります。したがって、下請負人

にとって元請負人の適格な技術者が配置されていると信じるに足りる特段

の事由があり事後に適格性がないことが判明した等 やむをえない事情が

ない限り、元請負人において適格な技術者が配置されず、実質的に関与し

ているといえない場合には、原則として、下請負人も建設業法に基 づく監

督処分等の対象となります。

Q6 A市から電線共同溝工事を請け負い、電線共同溝の本体工事をB社に下

請負させ、その他の信号移設工事や植裁・移植工事等はそれぞれ他の建設

業者に下請負させています。このような場合も一括下請負に該当するので

しょうか。 A 複数の建設業者と下請契約を結んでいた場合であっても、その建設工事

の主たる部分について一括して請け負わせている場合は、元請負人が実質

的に関与して いる場合を除き、一括下請負となります。本件のような場合

には、実質的な関与の内容について精査が必要と考えられます。 解 説 元請が複数の下請を活用しているのものの、工事の大半をB社が行ってい る場合である。元請負人がその下請け工事の施工に実質的に関与していると 認められるときを除き、請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一 括して他人に請け負わせる場合、一括下請に該当することとなる。単に外形 のみで判断するものではないが、仮に複数の下請業者を活用している場合で であっても、工事の大半をある1社に下請させているような場合、実質的関 与の内容等について精査が必要になってくるとの認識を示したものである。

Q7 A県からトンネル工事を請け負い、工事の全体の施工管理を行っていま

すが、工事が大規模であり、必要な技術者もあいにく十分に確保すること

ができなかったので、1次下請負人にも施工管理の一部を担ってもらって

います。主たる工事の実際の施工は2次以下の下請負人が行っています。

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このような場合も一括下請 負に該当するのでしょうか。 A 元請負人も1次下請負人も自らは施工を行わず、共に施工管理のみを行

っている場合、実質関与についての元請負人と1次下請負人それぞれどの

ような役割を 果たしているかが問題となり、その内容如何によって、その

両者又はいずれかが、一括下請負になります。特に、元請負人と1次下請

負人が同規模・同業種であるような場合には、相互の役割分担等について

合理的な説明が困難なケースが多いと考えられます。 解 説 元請、1次下請ともに、実質的な施工を行わず、施工管理のみを行い、具

体の施工は2次以下の下請が行っている場合である。実質的関与とは、元請

負人が自ら総合的に企画、調整及び指導(施工計画の総合的な企画、工事仮

設物、工事用材料等の品質管理、下請負人間の施工の調整、下請負人に対す

る技術指導、監督等)を行うことであり、単に現場に技術者を置いているだ

けではこれに該当しない。当該工事の規模、種類等により、一概にこのよう

なケース全てが一括下請負に該当するものではないが、実質的関与について、

元請、1次下請がどのような役割を果たしているかが問われるケースである。

Q8 A県から橋梁工事を受注しましたが、隣接工区で実際に施工を行ってい

る建設業者に、施工の効率化の観点からも有効と考え、工事の大部分を下

請負させました。このような場合も一括下請負に該当するのでしょうか。 A 自らが請け負った建設工事の主たる部分を一括して他人に請け負わせた

場合には、実質的な関与をしている場合を除き、一括下請負に該当します。

本件のケー スのような場合には、下請負人が隣接工区を含め、一体的に施

工し、工事全体にわたって主体的な役割を果たしているケースが多いと考

えられ、元請負人の実質 的な関与について疑義が生じるケースであると考

えます。 解 説 元請が、隣接工区で下請施工している業者に下請負いさせたケースである

が、この様なケースは、一般的に、施工管理も含め下請請業者が行っている

場合が多いと考えられ、元請業者の役割を説明することが困難な場合が多い

と考えられる。

Q9 地盤改良整備を含む道路改良工事を請け負いましたが、当該地盤改良に

は、特別な工法が要求されるため、地盤改良技術を持つ子会社に実際の工

事を行わせました。このような分社化は経営効率化の要請によるものであ

り、また、子会社とは連結関係にあることからも一括下請負に該当しない

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と考えますが如何でしょうか。 A 連結関係の子会社であるとしても、実際の工事を一括して他社に行わせ

た場合、別々の会社である以上、一括下請負に当たります。このように親

会社が自ら実質的な業務を行わない場合には、親会社を介さず直接子会社

に請け負わせることが適当です。 解 説 企業経営上の種々の事情から、子会社を設立するケースも多いかと考えて

いるが、別会社である以上、子会社であるからといって特別な取り扱いはし

ないという考えを示したものである。

Q10 「実質的に関与」しているとは、具体的にどのようなことを行っている ことが求められますか。

A 元請負人が配置した主任技術者又は監理技術者が、現場に専任であって、

元請負人と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることは言うまでもありませ

んが、これ ら技術者が、発注者との協議、住民への説明、官公庁等への届

出等、近隣工事との調整、施工計画、工程管理、出来型・品質管理、完成

検査、安全管理、下請業 者の施工調整・指導監督等の全ての面において、

主体的な役割を果たしていることが必要です。その際、当該技術者が、過

去に同種又は類似の工事での施工管理 を行った経験の有無も判断の際の

参考になるでしょうし、また、業務量等に応じてその他の必要な技術者を

配置していることが求められます。 解 説 実質的関与の内容について、具体的に示したものである。従来から、単に

現場に技術者を置いているだけでは実質的に関与しているとはいえないとの

認識を示してきたところであるが、請け負った建設工事を適切に履行する上

でいずれも重要なものであることから、これら全てについて主体的な役割を

果たしていることが求められるとの認識を示したものである。 また、これらを実質的に十全に行おうとすれば、工事の規模、種類に応じ、

類似工事の実績を有する相応しい技術者の配置が当然必要になってくると考

えられる。配置技術者の過去の経験の有無のみで実質的関与の有無の判断す

るものではないが、当然に判断に当たっての参考となるとの考えを示したも

のである。 また、業務量等に応じて、配置技術者は、一人のみならず複数必要になっ

てくる場合も当然にあることであり、その認識を改めて示したものである。

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Q11 「実質的に関与」していることの確認は、具体的にどのような方法で行

うのでしょうか。

A 一括下請負の疑義がある場合には、まず、当該元請負人の主任技術者又

は監理技術者に対して、具体的にどのような作業を行っているのかヒアリ

ングを行いま す。ヒアリングの際、その請け負った建設工事の施工管理等

に関し、十分に責任ある受け答えができるか否かがポイントとなります。

また、必要に応じ、下請負 人の主任技術者又は監理技術者からも同様のヒ

アリングを行うことが有効です。 その場合、元請負人が作成する日々の作業打合せ簿、それぞれの請負人

が作成する工事日報、安全指示書等を確認して、実際に行った作業内容を

確認することが 有効です。これらの帳簿の中に、具体的な作業内容が記載

されていない場合、又は記載されていても形式的な参加に過ぎない場合等

は一括下請負に該当する可能 性が高いと言えます。 解 説 発注者や建設業許可担当部局が、実際に個別案件に接し、実質的関与の有

無等を具体的にどのような方法により判断していくこととなるかについて例

示したものである。

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建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

平成14年3月28日

国 総 建 第 6 7 号

( )H24.10.24改正 国土建第214号

一 趣旨

本基準は、建設業者による不正行為等について、国土交通大臣が監督処分を行う場合

の統一的な基準を定めることにより、建設業者の行う不正行為等に厳正に対処し、もっ

て建設業に対する国民の信頼確保と不正行為等の未然防止に寄与することを目的とす

る。

二 総則

1 監督処分の基本的考え方

建設業者の不正行為等に対する監督処分は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者

を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進するという建設業法の目的を踏まえつ

つ、本基準に従い、当該不正行為等の内容・程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案

して行うものとする。

2 監督処分の対象

(1)地域

監督処分は、地域を限定せずに行うことを基本とする。ただし、営業停止処分を行

う場合において、不正行為等が地域的に限定され当該地域の担当部門のみで処理され

たことが明らかな場合は、必要に応じ地域を限って処分を行うこととする。この場合

においては、当該不正行為等が行われた地域を管轄する地方整備局又は北海道開発局

(当該地域が沖縄県の区域にあっては沖縄総合事務局)の管轄区域全域(九州地方整

備局にあっては沖縄県の区域全域を、沖縄総合事務局にあっては九州地方整備局の管

轄区域全域を含む )における処分を行うことを基本として地域を決定することとす。

る。なお、役員が不正行為等を行ったときは、代表権の有無にかかわらず、地域を限

った処分は行わない。

(2)業種

監督処分は、業種を限定せずに行うことを基本とする。ただし、営業停止処分を行

う場合において、不正行為等が他と区別された特定の工事の種別(土木、建築等)に

係る部門のみで発生したことが明らかなときは、必要に応じ当該工事の種別に応じた

処分を行うこととする。この場合においては、不正行為等に関連する業種について一

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括して処分を行うこととし、原則として許可業種ごとに細分化した処分は行わない。

(3)請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分

建設工事の請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分は、公共工事の請負

契約(当該公共工事について下請契約が締結されている場合における各下請契約を含

む )に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公共工事に係るものについ。

て、それ以外の工事の請負契約に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公

共工事以外の工事に係るものについて、それぞれ行うものとする。

3 監督処分等の時期等

(1)他法令違反に係る監督処分については、原則として、その刑の確定、排除措置命令

又は課徴金納付命令の確定等の法令違反の事実が確定した時点で行うことを基本とす

るが、その違反事実が明白な場合は、刑の確定等を待たずに行うことを妨げるもので

はない。

(2)贈賄等の容疑で役員等が逮捕された場合など社会的影響の大きい事案については、

営業停止処分その他法令上の必要な措置を行うまでに相当の期間を要すると見込まれ

るときは、これらの措置を行う前に、まず、法令遵守のための社内体制の整備等を求

めることを内容とする勧告を書面で行うこととする。

(3)公正取引委員会による警告が行われた場合、建設業者が建設工事を適切に施工しな

かったために公衆に危害を及ぼすおそれが大である場合、工事関係者に死亡者又は負

傷者を生じさせた場合等で必要があるときは、監督処分に至らない場合であっても、

勧告等の措置を機動的に行うこととする。

(4)指示処分を行った場合においては、建設業者が当該指示に従っているかどうかの点

検、調査を行う等の所要の措置を講ずることとする。

4 不正行為等が複合する場合の監督処分

不正行為等が複合する場合の監督処分の基準は、次のとおりとする。なお、情状によ

り、必要な加重又は減軽を行うことを妨げないものとする。

(1)一の不正行為等が二以上の処分事由に該当するとき

当該処分事由に係る監督処分の基準のうち当該建設業者に対して最も重い処分を課

すこととなるものに従い、監督処分を行うこととする。

(2)複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当するとき

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- 3 -

① 建設業者の複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、それぞれが

営業停止処分事由に当たるとき

イ 複数の不正行為等が二の営業停止処分事由に該当するときは、それぞれの処分

事由に係る監督処分基準に定める営業停止の期間の合計により営業停止処分を行

うこととする。ただし、一の不正行為等が他の不正行為等の手段又は結果として

行われたことが明らかなときは、それぞれの処分事由に係る監督処分の基準のう

ち当該建設業者に対して重い処分を課すこととなるものについて、営業停止の期

間を2分の3倍に加重して行うこととする。

、 、ロ 複数の不正行為等が三以上の営業停止処分事由に該当するときは 情状により

イに定める期間に必要な加重を行うものとする。

② 建設業者の複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、ある行為が

営業停止処分事由に該当し、他の行為が指示処分事由に該当するとき

営業停止処分事由に該当する行為については上記二4(2)①又は下記三の定め

るところにより営業停止処分を行い、指示処分事由に該当する行為については当該

事由について指示処分を行うこととする。

③ 建設業者の複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、それぞれが

指示処分事由に当たるとき

原則として指示処分を行うこととする。なお、不正行為等が建設業法第28条第

、 、1項各号の一に該当するものであるときは 当該不正行為等の内容・程度等により

営業停止処分を行うことを妨げないものとする。

(3)複数の不正行為等が一の処分事由に2回以上該当するとき

① 建設業者の複数の不正行為等が一の営業停止処分事由に2回以上該当するとき

当該処分事由に係る監督処分の基準について、営業停止の期間を2分の3倍に加

重した上で、当該加重後の基準に従い、営業停止処分を行うこととする。

② 建設業者の複数の不正行為等が一の指示処分事由に2回以上該当するとき

原則として指示処分を行うこととする。なお、不正行為等が建設業法第28条第

、 、1項各号の一に該当するものであるときは 当該不正行為等の内容・程度等により

営業停止処分を行うことを妨げないものとする。

5 不正行為等を重ねて行った場合の加重

(1)営業停止処分を受けた者が再び営業停止処分を受ける場合

営業停止処分を受けた建設業者が、当該営業停止の期間の満了後3年を経過するま

での間に再び同種の不正行為等を行った場合において、当該不正行為等に対する営業

停止処分を行うときは、情状により、必要な加重を行うこととする。なお、先行して

行われた営業停止処分の処分日より前に行われた不正行為等により再び営業停止処分

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- 4 -

を受ける場合は、この限りでない。

(2)指示処分を受けた者が指示に従わなかった場合

建設業者が指示の内容を実行しなかった場合又は指示処分を受けた日から3年を経

過するまでの間に指示に違反して再び類似の不正行為等を行った場合(技術者の専任

義務違反により指示処分を受けた建設業者が再び専任義務違反を犯すなどの場合をい

う )には、情状を重くみて、営業停止処分を行うこととする。。

6 営業停止処分により停止を命ずる行為

営業停止処分により停止を命ずる行為は、請負契約の締結及び入札、見積り等これに

付随する行為とする。営業停止処分を受けた建設業者が当該営業停止の期間中に行えな

い行為及び当該営業停止の期間中でも行える行為の例は、別表のとおりとする。

7 不正行為等を行った企業に合併等があったときの監督処分

( 「 」 。) 、 、 、不正行為等を行った建設業者 以下 行為者 という に 不正行為等の後 合併

会社分割又は営業譲渡があった場合で、行為者の営業を承継した建設業者(以下「承継

者」という )の建設業の営業が、行為者の建設業の営業と継続性及び同一性を有する。

と認められるとき

① 行為者が当該建設業を廃業している場合には、承継者に対して監督処分を行う。

② 行為者及び承継者がともに当該建設業を営んでいる場合には、両者に対して監督処

分を行う。

三 監督処分の基準

1 基本的考え方

(1)建設業法第28条第1項各号の一に該当する不正行為等があった場合

当該不正行為等が故意又は重過失によるときは原則として営業停止処分を、その他

の事由によるときは原則として指示処分を行うこととする。なお、個々の監督処分を

行うに当たっては、情状により、必要な加重又は減軽を行うことを妨げない。

(2 (1)以外の場合において、建設業法の規定(第19条の3、第19条の4及び第)

24条の3から第24条の5までを除き、入札契約適正化法第13条第3項の規定に

より読み替えて適用される第24条の7第4項を含む 、入札契約適正化法第13。)

条第1項若しくは第2項の規定、又は履行確保法第3条第6項、第4条第1項、第7

条第2項、第8条第1項若しくは第2項若しくは第10条の規定に違反する行為を行

ったとき

。 、 、 、 、指示処分を行うこととする 具体的には 建設業法第11条 第19条 第40条

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第40条の3違反等がこれに該当するものとする。

(3)不正行為等に関する建設業者の情状が特に重い場合又は建設業者が営業停止処分に

違反した場合

建設業法第29条の規定により、許可の取消しを行うこととする。

2 具体的基準

(1)建設業者の業務に関する談合・贈賄等(刑法違反(競売入札妨害罪、談合罪、贈賄

罪、詐欺罪 、補助金等適正化法違反、独占禁止法違反))

( 。 。)a 代表権のある役員 建設業者が個人である場合においてはその者 以下同じ

が刑に処せられた場合は、1年間の営業停止処分を行うこととする。

b その他の場合においては、60日以上の営業停止を行うこととする。この場合

において、代表権のない役員又は政令で定める使用人が刑に処せられたときは1

20日以上の営業停止処分を行うこととする。

c 独占禁止法に基づく排除措置命令又は課徴金納付命令の確定があった場合(独

占禁止法第7条の2第18項に基づく通知を受けた場合を含む )は、30日以。

上の営業停止処分を行うこととする。

d a~cにより営業停止処分(独占禁止法第3条違反に係るものに限る )を受。

けた建設業者に対して、当該営業停止の期間の満了後10年を経過するまでの間

にa~cに該当する事由(独占禁止法第3条違反に係るものに限る )があった。

場合は、a~cにかかわらず、それぞれの処分事由に係る監督処分基準に定める

営業停止の期間を2倍に加重して、1年を超えない範囲で営業停止処分を行うこ

ととする。

(2)請負契約に関する不誠実な行為

建設業者が請負契約に関し(入札、契約の締結・履行、瑕疵担保責任の履行その他

の建設工事の請負契約に関する全ての過程をいう 、社会通念上建設業者が有すべ。)

き誠実性を欠くものと判断されるものとしては、次のとおり監督処分を行うこととす

る。

① 虚偽申請

ⅰ 公共工事の請負契約に係る一般競争及び指名競争において、競争参加資格確認

申請書、競争参加資格確認資料その他の入札前の調査資料に虚偽の記載をしたと

きその他公共工事の入札及び契約手続について不正行為等を行ったとき(ⅱに規

定される場合を除く )は、15日以上の営業停止処分を行うこととする。。

ⅱ 完成工事高の水増し等の虚偽の申請を行うことにより得た経営事項審査結果を

公共工事の発注者に提出し、公共発注者がその結果を資格審査に用いたときは、

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30日以上の営業停止処分を行うこととする。この場合において、平成20年国

土交通省告示第85号第一の四の5の(一)に規定する監査の受審状況において

加点され、かつ、監査の受審の対象となった計算書類、財務諸表等の内容に虚偽

があったときには、45日以上の営業停止処分を行うこととする。

② 一括下請負

建設業者が建設業法第22条の規定に違反したときは、15日以上の営業停止処

分を行うこととする。ただし、元請負人が施工管理等について契約を誠実に履行し

ない場合等、建設工事を他の建設業者から一括して請け負った建設業者に酌量すべ

き情状があるときは、営業停止の期間について必要な減軽を行うこととする。

③ 主任技術者等の不設置等

建設業法第26条の規定に違反して主任技術者又は監理技術者を置かなかったと

き(資格要件を満たさない者を置いたときを含む )は、15日以上の営業停止処。

分を行うこととする。ただし、工事現場に置かれた主任技術者又は監理技術者が、

同条第3項に規定する専任義務に違反する場合には、指示処分を行うこととする。

指示処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこととする。この場合に

おいて、営業停止の期間は、7日以上とする。

また、主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であ

り、かつ、その変更が公益上必要であると認められるときは、直ちに当該技術者の

変更の勧告を書面で行うこととし、必要に応じ、指示処分を行うこととする。指示

処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこととする。この場合におい

て、営業停止の期間は、7日以上とする。

④ 粗雑工事等による重大な瑕疵

施工段階での手抜きや粗雑工事を行ったことにより、工事目的物に重大な瑕疵が

生じたときは、7日以上の営業停止処分を行うこととする。

⑤ 施工体制台帳等の不作成

施工体制台帳又は施工体系図を作成せず、又は虚偽の施工体制台帳又は施工体系

図の作成を行ったときは、7日以上の営業停止処分を行うこととする。

⑥ 無許可業者等との下請契約

建設業者が、情を知って、建設業法第3条第1項の規定に違反して同項の許可を

受けないで建設業を営む者、営業停止処分を受けた者等と下請契約を締結したとき

は、7日以上の営業停止処分を行うこととする。

また、建設業者が、情を知って、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金

の額が建設業法第3条第1項第2号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結

したときは、当該建設業者及び当該特定建設業者以外の建設業を営む者で一般建設

業者であるものに対し、7日以上の営業停止処分を行うこととする。

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(3)事故

① 公衆危害

建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために、公衆に死亡者又は3人以上

の負傷者を生じさせたことにより、その役職員が業務上過失致死傷罪等の刑に処せ

られた場合で、公衆に重大な危害を及ぼしたと認められる場合は、7日以上の営業

停止処分を行うこととする。それ以外の場合であって、危害の程度が軽微であると

認められるときにおいては、指示処分を行うこととする。

また、建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼすお

、 、それが大であるときは 直ちに危害を防止する措置を行うよう勧告を行うこととし

必要に応じ、指示処分を行うこととする。指示処分に従わない場合は、機動的に営

業停止処分を行うこととする。この場合において、営業停止の期間は、7日以上と

する。

② 工事関係者事故

役職員が労働安全衛生法違反により刑に処せられた場合は、指示処分を行うこと

とする。ただし、工事関係者に死亡者又は3人以上の負傷者を生じさせたことによ

り業務上過失致死傷罪等の刑に処せられた場合で、特に重大な事故を生じさせたと

認められる場合には、3日以上の営業停止処分を行うこととする。

(4)建設工事の施工等に関する他法令違反

他法令違反の例は次のとおりであるが、監督処分に当たっては、他法令違反の確認

と併せて、当該違反行為の内容・程度、建設業の営業との関連等を総合的に勘案し、

建設業者として不適当であるか否かの認定を行うこととする。

建設工事の施工等に関する法令違反①

ⅰ 建築基準法違反等

a 役員又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以

外の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこと

とする。

b 建築基準法第9条に基づく措置命令等建設業法施行令第3条の2第1号等に

規定する命令を受けた場合は指示処分を行うこととし、当該命令に違反した場

合は3日以上の営業停止処分を行うこととする。

ⅱ 廃棄物処理法違反、労働基準法違反等

役員又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以外

の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこととす

る。

ⅲ 特定商取引に関する法律違反

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a 役員又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以

外の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこと

とする。

b 特定商取引に関する法律第7条等に規定する指示処分を受けた場合は、指示

処分を行うこととする。

また、同法第8条第1項等に規定する業務等の停止命令を受けた場合は、3

日以上の営業停止処分を行うこととする。

役員等による信用失墜行為等②

ⅰ 法人税法、消費税法等の税法違反

役員又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以外

の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこととす

る。

ⅱ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反(第32条の2第7項の

規定を除く )等。

役員又は政令で定める使用人が刑に処せられた場合は、7日以上の営業停止処

分を行うこととする。

③ 健康保険法違反、厚生年金保険法違反、雇用保険法違反

ⅰ 役員又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以外

の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこととす

る。

ⅱ 健康保険、厚生年金保険又は雇用保険(以下「健康保険等」という )に未加。

入であり、かつ、保険担当部局による立入検査を正当な理由がなく複数回拒否す

る等、再三の加入指導等に従わず引き続き健康保険等に未加入の状態を継続し、

健康保険法、厚生年金保険法又は雇用保険法に違反していることが保険担当部局

からの通知により確認された場合は、指示処分を行うこととする。指示処分に従

わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこととする。この場合において、営

業停止の期間は、3日以上とする。

(5)履行確保法違反

a 履行確保法第5条の規定に違反した場合は、指示処分を行うこととする。指示

処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこととする。この場合にお

いて、営業停止の期間は、15日以上とする。

b 履行確保法第3条第1項又は第7条第1項の規定に違反した場合は、指示処分

を行うこととする。指示処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこ

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ととする。この場合において、営業停止の期間は、7日以上とする。

四 その他

① 建設業許可又は経営事項審査に係る虚偽申請等建設業法に規定する罰則の適用対

象となる不正行為等については、告発をもって臨むなど、法の厳正な運用に努める

こととする。

② 不正行為等に対する監督処分に係る調査等は、原則として、当該不正行為等があ

った時から3年以内に行うものとする。ただし、他法令違反等に係る監督処分事由

に該当する不正行為等であって、公訴提起されたもの等については、この限りでな

い。

③ 監督処分の内容については、速やかに公表することとする。

五 施行期日等

① この基準は、平成14年5月1日から施行する。

② この基準は、その施行後に不正行為等が行われたものから適用する。

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別表

一 営業停止期間中は行えない行為

1 新たな建設工事の請負契約の締結(仮契約等に基づく本契約の締結を

含む )。

2 処分を受ける前に締結された請負契約の変更であって、工事の追加に

係るもの(工事の施工上特に必要があると認められるものを除く )。

3 前2号及び営業停止期間満了後における新たな建設工事の請負契約の

締結に関連する入札、見積り、交渉等

4 営業停止処分に地域限定が付されている場合にあっては、当該地域内

における前各号の行為

5 営業停止処分に業種限定が付されている場合にあっては、当該業種に

係る第1号から第3号までの行為

6 営業停止処分に公共工事又はそれ以外の工事に係る限定が付されてい

る場合にあっては、当該公共工事又は当該それ以外の工事に係る第1号

から第3号までの行為

二 営業停止期間中でも行える行為

1 建設業の許可、経営事項審査、入札の参加資格審査の申請

2 処分を受ける前に締結された請負契約に基づく建設工事の施工

3 施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工

4 アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工

5 災害時における緊急を要する建設工事の施工

6 請負代金等の請求、受領、支払い等

7 企業運営上必要な資金の借入れ等

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注文書及び請書による契約の締結について

平成 12 年 6 月 29 日付け建設省経建発第 132 号

建設省建設経済局建設業課長通知(各都道府県主務部局長宛て)

建設業法(以下「法」という。)第 19 条においては、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結

に際し、同条第 1 項各号に掲げられた事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付

しなければならないこととされています。

しかしながら、建設業者間の実際の取引現場においては、注文書及び請書の形態により請書契約

が締結されている場合が多いことを踏まえ、この度、注文書及び請書の形態による請負契約にかか

る法第 19 条との関係について下記のとおり整理しましたので、貴職におかれましては、十分ご留

意の上事務処理に当たられますようお願いします。

また、貴管下の建設業者に対しこの旨の周知徹底が図られるよう、併せてお願いします。

1 注文書・請書による請負契約を締結する場合において、次の(1)または(2)の区分に従い、それぞ

れ各号のすべての要件を満たすときは、法第 19 条第 1 項の規定に違反しないものであること。

(1) 当事者間で基本契約書を締結した上で、具体の取引については注文書及び請書の交換による

場合

① 基本契約書には、個別の注文書及び請書に記載される事項を除き、法第 19 条第 1 項各号

に掲げる事項を記載し、当事者の署名又は記名押印をして相互に交付すること。

② 注文書及び請書には、法第 19 条第 1 項第 1 号から第 3 号までに掲げる事項その他必要な

事項を記載すること。

③ 注文書及び請書には、それぞれ注文書及び請書に記載されている事項以外の事項について

は基本契約書の定めによるべきことが明記されていること。

④ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。

(2) 注文書及び請書の交換のみによる場合

① 注文書及び請書のそれぞれに、同内容の基本契約約款を添付又は印刷すること。

② 基本契約約款には、注文書及び請書の個別的記載事項を除き、法第 19 条第 1 項各号に掲

げる事項を記載すること。

③ 注文書又は請書と基本契約約款が複数枚に及ぶ場合には、割印を押すこと。

④ 注文書及び請書の個別的記載欄には、法第 19 条第 1 項第 1 号から第 3 号までに掲げる事

項その他必要な事項を記載すること。

⑤ 注文書及び請書の個別的記載欄には、それぞれの個別的記載欄に記載されている事項以外

の事項については基本契約約款の定めによるべきことが明記されていること。

⑥ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。

2 注文書・請書による請負契約を変更する場合において、当該変更内容が注文書及び請書の個別

的記載事項に係るもののみであるときは、次によることがでる。

① 注文書及び請書の双方に変更内容が明記されていること。

② 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。

ただし、当該変更内容に注文書及び請書の個別的記載事項以外のものが含まれる場合には、

当該事項の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付すること。

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国土建第272号

平成26年2月3日

都道府県主管部局長 あて

国土交通省土地・建設産業局建設業課長

建設工事の技術者の専任等に係る取扱いについて(改正)

建設工事の現場に置くこととされている主任技術者又は監理技術者(以下、

「監理技術者等」という。)及び現場代理人について、「建設工事の技術者の

専任等に係る取扱いについて」(平成25年2月5日付け国土建第348号)

を定め、その適正な運用をお願いしてきたところですが、今般、下記のとおり

改正し、地方整備局等あて通知しましたのでお知らせします。

貴職におかれては、貴管内の公共工事発注機関等の関係行政機関及び建設業者

団体に対しても速やかに関係事項の周知方お願いします。

なお、「東日本大震災の被災地における「建設工事の技術者の専任等に係る取

扱いについて」の運用について」(平成25年9月19日付け国土建第162

号)は、廃止します。

1.令第27条第2項の当面の取扱いについて

令第27条第2項においては、同条第1項に規定する工事のうち密接な関

係のある二以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場

所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を

管理することができることとされているところであるが、当面の間、以下の

とおり取り扱うこととする。

なお、当該規定については監理技術者には適用されないことに留意された

い。

(1) 工事の対象となる工作物に一体性若しくは連続性が認められる工事

又は施工にあたり相互に調整を要する工事で、かつ、工事現場の相互

の間隔が10km程度の近接した場所において同一の建設業者が施

工する場合には、令第27条第2項が適用される場合に該当する。な

お、施工にあたり相互に調整を要する工事について、資材の調達を一

括で行う場合や工事の相当の部分を同一の下請け業者で施工する場

合等も含まれると判断して差し支えない。

(2) (1)の場合において、一の主任技術者が管理することができる工

事の数は、専任が必要な工事を含む場合は、原則2件程度とする。

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(3) (1)及び(2)の適用に当たっては、法第26条第3項が、公共

性のある施設又は多数の者が利用する施設等に関する重要な工事に

ついて、より適正な施工を確保するという趣旨で設けられていること

にかんがみ、個々の工事の難易度や工事現場相互の距離等の条件を踏

まえて、各工事の適正な施工に遺漏なきよう発注者が適切に判断する

ことが必要である。また、本運用により、土木工事以外の建築工事等

においても活用が見込まれ、民間発注者による工事も含まれる点につ

いて留意されたい。

2.現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について

平成22年7月の標準約款の改正により、現場代理人の常駐義務を緩和す

る旨の規定(標準約款第10条第3項)が追加されたことを受け、「現場代

理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について」(平成23年11月14

日付け国土建第161号)(別紙1)において、適切な運用に努めるよう、

お願いしてきたところであるが、引き続き、当該規定の趣旨を踏まえ、現場

代理人の常駐義務緩和について適切に運用されたい。

なお、現場代理人の常駐義務の緩和により、法第26条第3項に基づく監

理技術者等の専任義務が緩和されるものではないことに留意されたい。

3.監理技術者等の専任を要しない期間の明確化について

監理技術者等の専任を要しない期間については、「監理技術者制度運用マ

ニュアル」(平成16年3月1日付け国総建第315号)のほか、「主任技

術者又は監理技術者の専任を要しない期間の明確化について」(平成21年

6月30日付け国総建第75号)(別紙2)において、適切に設定されるよ

う、お願いしてきたところであるが、引き続き、これらの趣旨を踏まえ、監

理技術者等の専任を要しない期間について適正に運用されたい。

以 上

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【別紙1】

国 土 建 第 1 6 1 号

平成23年11月14日

各公共発注者 殿

国土交通省土地・建設産業局建設業課長

現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について

昨年7月の公共工事標準請負契約約款(以下「標準約款」という。)の改正により、現

場代理人の常駐義務を緩和する旨の規定(標準約款第10条第3項)が追加されたこと

を受け、他の工事の現場代理人を兼ねるようになった例もありますが、当該規定の趣旨

及び運用上の留意事項は下記のとおりですので、参考にされるとともに、適切な運用に

努められますようお願いします。

また、都道府県におかれましては、貴管内の市区町村(指定都市を除く)及び公共発

注者への周知徹底をお願いいたします。

現場代理人は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の運営、取締りのほ

か、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項(請負代金額の変更、契約の解除

等を除く。)を処理する受注者の代理人であることから、発注者との常時の連絡に支障を

来さないよう、工事現場への常駐(当該工事のみを担当し、かつ、作業期間中常に工事

現場に滞在していること)が義務づけられている(標準約款第10条第2項)。

しかしながら、昨今、通信手段の発達により、工事現場から離れていても発注者と直

ちに連絡をとることが容易になってきていることから、厳しい経営環境下における施工

体制の合理化の要請にも配慮し、一定の要件を満たすと発注者が認めた場合(※)には、例

外的に常駐を要しないこととすることができるものとされた(標準約款第10条第3項)。

(※)工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなく、かつ、発注者との連絡体制が確保されると発注

者が認めた場合

具体的にどのような場合に常駐義務を緩和するかについては、受注者から現場代理人

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に付与された権限の範囲や、工事の規模・内容等に応じた運営、取締り等の難易等を踏

まえて発注者が判断すべきものであるが、その基本的な考え方を示せば次のとおりであ

る。

(1)契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまで

の期間や、工事の全部の施工を一時中止している期間等、工事現場の作業状況等に応

じて、発注者との連絡体制を確保した上で、常駐義務を緩和することが考えられる。

(2)(1)以外にも、次の①及び②をいずれも満たす場合には、常駐義務を緩和するこ

とが考えられる。

① 工事の規模・内容について、安全管理、工程管理等の工事現場の運営、取締り等

が困難なものでないこと(安全管理、工程管理等の内容にもよるが、例えば、主任

技術者又は監理技術者の専任が必要とされない程度の規模・内容であること)

② 発注者又は監督員と常に携帯電話等で連絡をとれること

また、常駐義務の緩和に伴い、他の工事の現場代理人又は技術者等を兼任することも

可能となったところであるが、これまでの運用実態も踏まえると、兼任を可能とする典

型的な例としては、(2)①及び②並びに次のアからウまでの全てを満たす場合が挙げら

れる。

ア 兼任する工事の件数が少数であること

(工事の規模・内容、兼任する工事間の近接性等にもよるが、例えば2~3件程度)

イ 兼任する工事の現場間の距離(移動時間)が一定範囲内であること

(工事の規模・内容、兼任する工事件数等にもよるが、例えば同一市町村内であるこ

と)

ウ 発注者又は監督員が求めた場合には、工事現場に速やかに向かう等の対応を行う

こと

なお、上記によっても、建設業法第26条第3項に基づく主任技術者又は監理技術者

の専任義務が緩和されるものではないことに留意する必要がある。

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【別紙2】

国 総 建 第 7 5 号

平成21年6月30日

公共工事発注担当部局の長 あて

国土交通省総合政策局建設業課長

主任技術者又は監理技術者の専任を要しない期間の明確化について

建設業法第26条に定める工事現場に置く主任技術者又は監理技術者(以下「監理技

術者等」という。)は、請負代金の額が2千5百万円(建築一式工事である場合にあって

は、5千万円)以上の一定の建設工事については、工事現場ごとに専任の者でなければ

ならないとされているところです。「監理技術者制度運用マニュアルについて」(平成1

6年3月1日付け国総建第315号。以下単に「運用マニュアル」という。)に基づき、

かねてよりその適正な運用をお願いしているところですが、このうち、監理技術者等の

専任を要しない期間については、適切な運用が行われていない事例が見受けられるとこ

ろです。

建設工事の適正な施工を確保しつつ、建設業の生産性の向上を図るためには、専任を

要しない期間についても適切に設定することが必要であり、その設定に当たっては、下

記の事項に特に留意されるよう改めてお願いします。また、貴管下の関係機関に対して

も周知及び徹底方お願いします。

1.工事現場に設置する監理技術者等については、建設工事の請負契約の締結前におい

ては、その設置が不要であることは当然のことであるが、請負契約の締結後において

も、運用マニュアルで定める一定の期間について、発注者と建設業者の間で設計図書

若しくは打合せ記録等の書面により明確となっていることを条件に、たとえ契約工期

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中であっても工事現場への専任は要しないことに留意すること。

特に、運用マニュアル三「(2)監理技術者等の専任期間」で定めている①「請負契

約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入また

は仮設工事等が開始されるまでの間。)」、及び同④「工事完成後、検査が終了し(発

注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残って

いる期間」については、監理技術者等の工事現場への専任を要しない期間とされてい

るものの、専任を要しない期間が設計図書若しくは打合せ記録等の書面により明確と

なっていないために、必要以上に専任を求められる事例が見受けられる。したがって、

以下の記載方法例を参考にして、工事現場への専任を要しない期間を明確にすること。

また、発注者は、工事現場への専任を要しない期間を書面により明確にしている場

合には、当該期間に監理技術者等の専任を求めることのないようにすること。

なお、同④「工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合

を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間」については、発注者の都合

により検査が遅延した場合は、その期間も専任を要しないことに留意すること。

<記載方法例>

※設計図書(仕様書又は現場説明書)に以下の事項を記載する。

①現場施工に着手するまでの期間に関する記載方法例

【現場施工に着手する日が確定している場合】

○ 請負契約の締結の日の翌日から平成○○年△△月××日までの期間について

は、主任技術者又は監理技術者の工事現場への専任を要しない。

【現場施工に着手する日が確定していない場合】

○ 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資

機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの期間)については、主任技術者

又は監理技術者の工事現場への専任を要しない。なお、現場施工に着手する日

については、請負契約の締結後、監督職員との打合せにおいて定める。

②検査終了後の期間に関する記載方法例

○ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、

事務手続、後片付け等のみが残っている期間については、主任技術者又は監理

技術者の工事現場への専任を要しない。なお、検査が終了した日は、発注者が

工事の完成を確認した旨、請負者に通知した日(例:「完成検査確認通知書」

等における日付)とする。

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- 3 -

2.運用マニュアル三「(2)監理技術者等の専任期間」③中「橋梁、ポンプ、ゲート、

エレベーター等の工場製作を含む工事」について、工場製作のみが行われている期間

は監理技術者等の工事現場への専任を要しないこととされているが、これは、「橋梁、

ポンプ、ゲート、エレベーター」の工場製作を含む工事に限る趣旨ではなく、発電機

・配電盤等の電機品などを含め、工場製作を含む工事全般について、工場製作のみが

行われている期間における工事現場への専任を要しないとの趣旨であること。

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(参 考)

○監理技術者制度運用マニュアルについて(平成16年3月1日国総建第315号)(抄)

三 監理技術者等の工事現場における専任

(2)監理技術者等の専任期間

・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現場に専任

で設置すべき期間は契約工期が基本となるが、たとえ契約工期中であっても次に掲げ

る期間については工事現場への専任は要しない。ただし、いずれの場合も、発注者と

建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確と

なっていることが必要である。

① 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材

の搬入または仮設工事等が開始されるまでの間。)

② 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を

全面的に一時中止している期間

③ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製

作のみが行われている期間

④ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、

事務手続、後片付け等のみが残っている期間

なお、工場製作の過程を含む工事の工場製作過程においても、建設工事を適正に施工

するため、監理技術者等がこれを管理する必要があるが、当該工場製作過程において、

同一工場内で他の同種工事に係る製作と一元的な管理体制のもとで製作を行うことが可

能である場合は、同一の監理技術者等がこれらの製作を一括して管理することができる。

(以下略)

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国 総 建 第 号1 8平成 年 月 日1 5 4 2 1

都 道 府 県 主 管 部 局 長 殿

国土交通省総合政策局建設業課長

営業所における専任の技術者の取扱いについて

( 。 「 」 。) 、建設業法 昭和24年法律第100号 以下 法 という 第7条第2号においては

建設工事の請負契約の適正化を図り、発注者を保護すること等を目的に、建設業の許可の

要件として、建設業者は営業所ごとに専任の技術者を置かなければならないこととされて

いる。

一方、建設業においては、これまで以上に生産性の向上が求められており、これに伴い

建設業者において技術者の配置及び運用に対する関心も高まっていること等から、今般、

当該営業所における専任の技術者の取扱いについて下記のとおり明確化したので、通知す

る。

営業所における専任の技術者(以下「営業所専任技術者」という )については 「営。 、

業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者 とされているところであるが 建」 (

設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建第97号)[別添]【第7

条関係】2 (1 (以下「ガイドライン」という 、当該営業所において請負契約が締. ) 。))

結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従

事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制

にあるものについては、当該営業所において営業所専任技術者である者が、当該工事の現

場における主任技術者又は監理技術者(法第26条第3項に規定する専任を要する者を除

く。以下「主任技術者等」という )となった場合についても 「営業所に常勤して専ら。 、

その職務に従事」しているものとして取り扱う。

なお、営業所専任技術者として申請のあった技術者が会社の社員の場合は、出向社員で

あっても、当該技術者の勤務状況、給与の支払状況、当該技術者に対する人事権の状況等

により専任性が認められれば、営業所専任技術者として取り扱うこととされているところ

であるが(ガイドライン 、営業所専任技術者が本取扱いにより工事現場における主任技)

術者等となる場合であっても、当該技術者は、主任技術者等としての立場においては、所

属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要であるので、念のため申し添

える。

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国 土 建 推 第 4 6 号

平 成 2 7 年 1 2 月 1 日

建設業団体の長 あて

国土交通省土地・建設産業局長

下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について

標記について、従来より元請建設企業に対する指導方お願いしているところである。

今後、資金需要の増大が予想される冬期を控え、とりわけ経営基盤の脆弱な中小企業が

多数を占める下請建設企業に対する適正な代金支払等の確保について、その経営の安定・

健全性を確保するため特段の配慮が必要である。

加えて、昨年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成17年

法律第18号。以下「品確法」という。)においても、基本理念として、下請契約を含む請

負契約を適正な額の請負代金で締結し、その請負代金をできる限り速やかに支払うととも

に、従事する者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように

配慮されなければならないことが位置づけられ(第3条第10項)、さらに、適正な額の請

負代金での下請契約の締結、技術者・技能労働者に係る賃金その他の労働条件、安全衛生

その他の労働環境の改善が受注者の責務として規定された(第8条)ところである。

国土交通省においては、平成3年に策定した「建設産業における生産システム合理化指

針」(以下「指針」という。)に基づき、適正な契約の締結及び代金支払の適正化等につい

て指導を行うとともに、下請取引に係る調査結果等に基づき、法令違反のおそれがある建

設企業に対して立入検査を行い、見積りや契約の方法、支払期日、手形払と現金払の比率、

手形期間等、元請下請関係の適正化に向けた指導を行ってきた。

また、平成19年から「建設業法令遵守推進本部」の設置による指導監督体制の強化、

建設業法令遵守のための情報収集を目的とした「駆け込みホットライン」の開設、建設企

業が守るべき下請取引上のルールを示した「建設業法令遵守ガイドライン-元請負人と下

請負人の関係に係る留意点-」(以下「ガイドライン」という。)の策定、建設業の取引に

おけるトラブルの迅速な解決を目的として弁護士等が適切なアドバイス等を行う「建設業

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取引適正化センター」の設置、建設業の取引適正化に関し集中的に取り組むための「建設

業取引適正化推進月間」の実施等、元請下請関係の適正化のより一層の推進に努めている。

平行して、公共工事設計労務単価については、最近の技能労働者の賃金水準の上昇傾向

を踏まえ、平成25年4月、平成26年2月に引き続き、本年2月にも引き上げを行った

ところである。

さらに、平成24年度から社会保険等未加入対策として、建設業許可・経営事項審査時

における加入状況の確認・指導を行うとともに、国土交通省直轄工事においても、昨年8

月以降に、元請建設業者及び下請代金の総額が3千万円以上の工事における一次下請建設

業者を社会保険等加入企業に限定し、さらに本年8月以降は下請代金額の制限を撤廃する

など更なる保険加入の推進・支援に努めている。

このように、建設業の取引の適正化の推進、建設労働者の就労環境の改善と適正な競争

環境の整備に努めてきた。しかしながら、元請下請間において赤伝処理等による一方的な

代金の差し引き、指値発注による不適切な下請取引、追加・変更契約の締結拒否、下請負

人の責に依らないやり直し工事の強制、正当な理由がない長期間にわたる支払保留等、下

請負人へのしわ寄せが依然として存在するとの指摘がなされているところである。

また、工事の施工に伴う公衆災害や労働災害を防止することはもとより、国民や発注者

に対して建設生産物の安全性や品質を確保するため、建設工事を適正に実施することは建

設企業の基本的責務であり、従来からその徹底に努めてきた。しかしながら、近年、不適

切な施工や安全管理の不徹底に起因する工事現場における事故の発生が見受けられ、建設

業における労働災害も長期的には減少してきているものの、ここ数年は増減を繰り返して

いることから、施工管理のより一層の徹底が求められている。国土交通省では、昨年10

月にガイドラインを改訂し、見積・契約時における労働災害防止対策の実施者及びその経

費の負担者の明確化を図ることとしたところである。以上を踏まえ、貴団体傘下建設企業

に対し、関係法令や指針及びガイドライン等を遵守するほか、下記事項に十分留意し、下

請契約における請負代金の設定及び適切な代金の支払い等元請下請取引の適正化並びに施

工管理のより一層の徹底に努められるよう、会議や講習会の開催などにより現場事務所に

至るまで指導されたい。

1.見積りについて

下請代金の設定については、施工責任範囲、施工条件等を反映した合理的なものとす

るため、書面による見積依頼及び建設業法施行令第6条で定める見積期間の設定、明確

な経費内訳による見積書の提出、それらを踏まえた双方の協議等の適正な手順を徹底す

ること。また、工事現場における工程管理や品質管理及び安全管理等の施工管理が適切

に行われるよう、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化する

とともに、必要な経費に十分留意すること。また、適切な水準の賃金等に加えて、一般

管理費等の必要な諸経費を適切に考慮すること。なお、材料費等については、市場価格

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を参考に適切な価格設定となるよう十分留意すること。

あわせて、下請代金の決定に当たって公共工事設計労務単価を参考資料として取り扱

う場合の留意事項について別途通知したので、その内容についても、周知徹底を図るこ

と。

なお、工事見積条件の明確化については、建設生産システム合理化推進協議会におい

て「施工条件・範囲リスト」(標準モデル)の内容の普及促進について申合せ(平成19

年3月)がなされているので、当該申合せの主旨の周知徹底を図り、契約の適正化に努

めること。

2.標準見積書等の法定福利費の内訳明示された見積書の提出・尊重による社会保険等へ

の加入徹底について

建設産業の労働環境の改善及び技能労働者の処遇改善に向け、平成25年9月より、

社会保険等への加入に必要な法定福利費を確保するため、専門工事業団体が作成した標

準見積書の活用等による法定福利費を内訳明示した見積書の一斉提出を開始している。

また、平成27年4月には「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改訂

を行ったところであり、元請負人においては、下請負人との契約に当たって、法定福利

費が内訳明示された見積書の提出を見積条件に明示するとともに(下請負人が再下請負

に出す場合も同様)、提出された見積書を尊重すること。下請負人においては、法定福利

費の内訳を明示した見積書を元請負人に対して提出し、算定根拠の適切な説明等を通じ

て法定福利費を確保し、自社及び外注先の技能労働者を必要な保険に加入させること。

3.契約について

建設工事の契約の締結については、建設業法第19条に基づき、当該建設工事の着工

前の書面による契約を徹底すること。建設工事標準下請契約約款又はこれに準拠した内

容による契約書を用いて、具体的な工事内容、適正な請負代金及び支払方法、着工及び

完工の時期、設計変更・工期の変更・請負代金の変更に関する定め等を明示すること。

特に、請負代金の出来高払を行うに当たり、下請代金の支払時に建設廃棄物等の処理

費用や一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の労働災害防止対策に要する費用等を

相殺する(いわゆる赤伝処理)場合には、当該事項の具体的内容を、請負契約の両当事

者の対等な立場における合意に基づき、契約書面に明記すること。

また、請負代金を決定する際、下請負人と十分な協議をせず、又は下請負人の協議に

応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請負人に提示し、その額

で下請負人に契約を締結させる行為(いわゆる指値発注)を行うことがないよう留意す

ること。

当初の契約どおり工事が進行せず、工事内容に変更が生じ、工期又は請負代金に変更

が生じる場合には、双方の協議等の適正な手順により、変更工事の着工前に書面による

契約をもってこれを変更すること。工事状況により追加・変更工事の全体数量等が直ち

に確定できない場合には、元請負人は、①下請負人に追加・変更工事として施工を依頼

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する工事の具体的な作業内容、②当該追加・変更工事が契約変更の対象になること及び

契約変更等を行う時期並びに③追加・変更工事に係る契約単価の額を記載した書面を追

加・変更工事の着手前に下請負人と取り交わすこととし、契約変更等の手続きについて

は、追加・変更工事等の全体数量等の内容が確定した時点で遅滞なく行うこと。

建設工事が「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(平成12年法律第10

4号)の対象建設工事の場合は、分別解体等の方法、解体工事に要する費用並びに再資

源化等をするための施設の名称及び所在地、再資源化等に要する費用について書面に記

載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないことに留意すること。

4.検査及び引渡しについて

元請負人は、下請負人から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を

受けた日から20日以内で、できる限り短い期間内に検査を完了すること。

また、検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人からの申し出があったと

きは、特約がされている場合を除いて、直ちに当該建設工事の目的物の引渡しを受ける

こと。

5.下請代金の支払について

下請契約における代金の支払は、請求書提出締切日から支払日(手形の場合は手形振

出日)までの期間をできる限り短くすること。また、元請負人が注文者から部分払(出

来高払)や完成払を受けた時は、出来形に対して注文者から支払を受けた金額の割合に

相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、できる限り短い期間内に支

払わなければならないことにも留意すること。特に、特定建設業者においては、注文者

から支払を受けたか否かにかかわらず、建設工事の完成を確認した後、下請負人が工事

目的物の引渡しの申し出を行った日から起算して50日以内で、できる限り短い期間内

に下請代金の支払を行うよう留意すること。

また、全ての元請負人は下請負人に対し、下請代金の支払をできる限り現金払により

行うこと。現金払と手形払を併用する場合には、下請負人に対する支払条件を改善し、

支払代金に占める現金の比率を高めることに留意すること。特に、労働者の雇用の安定

を図る上で重要であることから、少なくとも労務費相当分を現金払とするよう支払条件

を設定すること。

なお、前払金を受領した場合には、建設業法第24条の3第2項に基づき、下請負人

に対して必要な費用を前払金として適正に支払うよう配慮すること。また、公共工事に

係る前払金については、下請負人、資材業者等に対する前払金の適正かつ確実な支払を

確保するため、保証事業会社と保証契約を締結した元請負人は、前払金支払時において

は、下請負人、資材業者等の口座への直接振込の方法が基本とされていることを踏まえ、

直接振込の実施の徹底を図ること。

下請代金の支払保留については、工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しが終了し

た後に、正当な理由なく長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わないこと

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がないよう留意すること。

手形期間については、120日以内で、できる限り短い期間とすること。特定建設業

者については、下請契約における代金の支払を一般の金融機関による割引を受けること

が困難であると認められる手形を交付してはならないことにも留意すること。また、フ

ァクタリング方式を用いる際の決済期間についても同様に、できる限り短い期間に努め

ること。

6.下請負人への配慮等について

中小企業をめぐる昨今の厳しい経営環境や、工事現場における適切な施工管理の必要

性にかんがみ、元請負人は下請契約の締結に際し、法定福利費、建設業退職金共済制度

に基づく事業主負担額等の必要な諸経費を公共工事・民間工事を問わず適切に考慮する

とともに、下請負人の資金繰りや雇用確保に十分配慮すること。特に、建設業退職金共

済制度については公共工事のみならず、民間工事における普及に努めること。また、元

請負人は、下請負人の倒産、資金繰りの悪化等により、下請契約における関係者に対し、

建設工事の施工に係る請負代金、賃金の不払等、不測の損害を与えることのないよう十

分配慮すること。特に、元請負人は、公共工事について中間前金払制度の導入が進んで

いることを踏まえ、同制度の適用対象となっている工事については、同制度を積極的に

活用することにより、下請負人への支払の適正化に配慮すること。さらに、公共工事等

については、「下請セーフティネット債務保証事業」及び「地域建設業経営強化融資制度」

を利用した資金調達も可能となっており、その活用による下請負人への支払の適正化に

配慮すること。

なお、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、建設業法第24条の6

において、下請負人が建設業法その他関係法令に違反しないよう指導に努めるものとさ

れていることを踏まえ、下請負人が建設業法第19条、第24条の3、第24条の5等

の規定及び労働基準法等の建設工事に従事する労働者の使用に関する法令のうち一定の

規定等に違反しないよう指導に努めること。また、第41条第2項及び第3項の適用が

あることも踏まえ、下請契約の関係者保護に特に配慮すること。

7.施工管理の徹底について

公衆災害や労働災害の防止及び建設生産物の安全性や品質を確保するため、見積・契

約時における労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化、適切な施工計

画の作成、工事現場における施工体制の十分な確保、工事全体の工程管理や工事目的物・

工事用資材等の品質管理及び工事現場における安全管理等の施工管理のより一層の徹底

に努めること。

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、公共工事においては下請契約を締

結したとき、民間工事においては下請契約の請負代金の額が3,000万円(建築一式

工事は4,500万円)以上となるときは、契約書等の写しなど定められた書類を添付

した施工体制台帳及び施工体系図の作成、工事現場ごとの備え置き等を義務づけられて

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おり、これを徹底すること。また、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法

律」(平成12年法律第127号)において、公共工事の受注者は、施工体制台帳の写し

を発注者に提出すること、施工体系図を工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい

場所に掲げることとされているので、あわせて徹底すること。さらに、「施工体制台帳等

活用マニュアルの改正について」(平成26年12月25日付国土建第203号)におい

ても、現場の施工体制の確認のさらなる徹底が求められていることも踏まえ、より一層

の下請契約の適正化に努めること。

なお、「建設業法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第55号)により、公共

工事については、元請負人が下請契約を締結するときは、下請契約の請負代金の額にか

かわらず、施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出することとされたところで

ある。本改正部分については、平成27年4月1日より施行されているので、適切に対

応すること。

また、建設工事の主任技術者の専任等に係る取扱いについては、「建設工事の技術者の

専任等に係る取扱いについて」(平成26年2月3日付国土建第272号)に十分留意す

ること。

8.技能労働者への適切な賃金の支払いについて

長年にわたる建設投資の大幅な減少に伴って、いわゆるダンピング受注が激化し、そ

のしわ寄せが労働者の賃金低下をもたらした結果、若年入職者が大きく減少するととも

に、高齢化が著しく進展しており、このままでは熟練工から若手への技能承継がされな

いままに技能労働者が減少し、将来の建設産業の存続が危惧されるに至っている。

技能労働者への適切な賃金水準の確保は、建設産業全体の持続的な発展のため極めて

重要な課題である。平成25年4月以降これまで3度にわたり公共工事設計労務単価を

引き上げ、その都度、建設業団体あてに「技能労働者への適切な賃金水準の確保につい

て」を通知するとともに、国土交通大臣又は副大臣が建設業団体四団体に対して直接要

請してきたところであり、各方面の努力の結果、賃金水準や建設業の担い手確保の状況

には改善が見られるものの、未だ十分とは言えない状況である。各団体及び建設企業に

おいては、発注者からの適切な価格での受注、適切な価格での下請契約の締結、適切な

水準の賃金の支払いに関する下請負人や再下請負人への要請、重層下請構造の改善など

の具体的な取組を展開し、現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払

われるよう努めること。

また、本年3月から「建設業フォローアップ相談ダイヤル」を開設しており、本年4

月から本格運用が開始された品確法に基づく「発注関係事務の運用に関する指針」(平成

27年1月30日公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議申合せ)に関す

る情報や公共工事設計労務単価改訂後の請負契約に係る情報など建設業に関する様々な

生の声を受け付けているので、当該相談窓口を活用されるとともに、貴団体傘下建設企

業に対し、引き続きその周知に努めること。

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9.消費税の円滑かつ適正な転嫁について

平成26年4月1日の消費税率の引上げに関連して、「消費税の円滑かつ適正な転嫁

の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25

年法律第41号。以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)が施行され、これに伴

い、国土交通省では、建設業における消費税の転嫁が円滑かつ適正に行われるよう、「消

費税率の引上げに伴う消費税転嫁対策特別措置法及び建設業法の遵守について」(平成2

5年11月18日付国土建推第26号)、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について

(重点要請)」(平成26年1月17日付国土建推第31号)及び「消費税率の引上げに

伴う消費税の円滑かつ適正な転嫁について」(平成26年4月1日付国土建推第1号)を

通知したところであり、これらを踏まえ、元請負人と下請負人との間で交わされる下請

契約等において、転嫁拒否等行為を行わないなど、適切な対応を行うこと。

なお、消費税の転嫁拒否等に関する政府共通の相談窓口である「消費税価格転嫁等総

合相談センター」のほか、地方整備局等の「駆け込みホットライン」や都道府県建設業

所管部局においても消費税の転嫁拒否等に関する相談を受け付けているので、当該窓口

を活用されるとともに、貴団体傘下建設企業に対し、引き続きその周知に努めること。

10.関係者への配慮について

資材業者、建設機械又は仮設機材の賃貸業者、警備業者、運送事業者等に対しても、

上記1から9までの事項に準じた配慮をすること。

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国 土 建 労 第 3 8 3 号

平成 2 7年 1 2月1日

建設業者団体の長 あて

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

下請代金の決定に当たって公共工事設計労務単価を

参考資料として取り扱う場合の留意事項について

下請契約における請負代金の設定に当たっては、「下請契約及び下請代金支払の適正化

並びに施工管理の徹底等について」(平成27年12月1日付け国土建推第46号)により、書

面による見積依頼及び建設業法施行令第6条で定める見積期間の設定、明確な経費内訳に

よる見積書の提出、それらを踏まえた双方の協議等の適正な手順によるとともに、適切な

水準の賃金等に加えて一般管理費等の必要な諸経費を適正に考慮するよう、貴会傘下建設

企業に対し指導の徹底をお願いしているところである。

公共工事設計労務単価は、公共工事の工事費の積算に用いるためのものであり、下請契

約における労務単価や雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではなく、

また、所定労働時間内8時間当たりの労務単価として設定したものであって、所定時間外

の労働に対する割増賃金や現場管理費(法定福利費の事業主負担額等)、一般管理費等の

諸経費は含まれていないものである。

貴会傘下建設企業において、下請代金の決定に当たって公共工事設計労務単価を参考資

料として取り扱う場合には、例えば、交通誘導業務の契約では、交通誘導警備員の賃金等

に加えて警備会社に必要な現場管理費(法定福利費の事業主負担額等)及び一般管理費等

の諸経費を適正に考慮する、東京電力福島第一・第二原子力発電所の周辺地域における作

業では、労働者の賃金等に加えて特殊な作業環境及び安全確保を踏まえた手当、諸経費を

適正に考慮する等、上述の公共工事設計労務単価の意味を十分に理解の上、適切な取扱い

が図られるよう、併せて、周知徹底をお願いしたい。 なお、建設労働者の雇用に伴い必要

となる法定福利費の事業主負担額、労務管理費、安全管理費等の企業経費を含んだ労務単

価の参考公表を行っているので、併せて周知をお願いする。

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国 総 建 第 9 8 号

平成22年8月6日

各建設業関係団体の長 あて

国土交通省建設流通政策審議官

「建設業取引適正化推進月間」の創設について

建設業における取引の適正化については、従来から、建設業法(昭和24年法

律第100号)の厳正かつ適正な運用により、法令の遵守指導等を通じ、その推

進を図ってきたところです。

しかしながら、依然として建設業の請負契約における不適切な取引が指摘さ

れていることから、建設業の健全な発達を促進するため、建設業取引の適正化

をより一層推進する必要があります。

このため、建設業の取引適正化に関し集中的に取り組むため、国土交通省及

び都道府県において、別添1のとおり「建設業取引適正化推進月間」(以下「月

間」という。)を創設し、法令遵守に関する活動を行うこととしたので通知い

たします。

貴団体におかれては、上記趣旨にかんがみ、月間中における取引の適正化に

関する積極的な取組をお願いするとともに、国土交通省及び都道府県の各種取

組に関し協力いただきますようお願いいたします。

また、傘下会員企業に対しても、月間の創設について周知方よろしくお願い

いたします。

324

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(別添1)

平成22年8月

「建設業取引適正化推進月間」の創設について

1.趣 旨

建設業における取引の適正化については、従来から、建設業法(昭和24年

法律第100号)の厳正かつ適正な運用により、法令の遵守指導等を通じ、そ

の推進を図ってきたところである。

しかしながら、依然として建設業の請負契約における不適切な取引が指摘

されていることから、建設業の健全な発達を促進するため、建設業取引の適

正化をより一層推進する必要がある。

このため、建設業の取引適正化に関し集中的に取り組むため、国土交通省

及び都道府県において、「建設業取引適正化推進月間」を創設し、法令遵守

に関する活動を行うものである。

2.期 間

毎年11月(11月1日~30日)

3.主 催

国土交通省、都道府県

4.実施内容

(1) ポスターの配布・掲示等

(2) 新聞、機関誌、ホームページ等を通じた広報

(3) 建設業者等を対象とした講習会等の開催

(4) 立入検査等の実施

(5) その他

①上記のほか、地方整備局等及び各都道府県において自主的な事業の実施

に努める。

②各年度の具体的な実施事業については、建設業取引適正化推進月間事務

局が各年度の実施要領において別途定める。

5.取組体制

地方整備局等及び各都道府県との調整を図りながら、毎年の取組を決定す

るため、国土交通省総合政策局建設業課に「建設業取引適正化推進月間事務

局」を置くこととする。

325

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国 土 入 企 第 2 1 号

平成24年10月10日

建設業者団体の長 あて

国土交通省土地・建設産業局建設業課長

復旧・復興建設工事における共同企業体の当面の取扱いについて

平成23年3月11日に発生した東日本大震災において特に被災の大きい岩

手県、宮城県及び福島県(以下「被災三県」という。)においては、今後、更

なる復旧・復興工事が本格化することが想定されるが、被災地域内だけでは十

分な施工体制を確保できないなどの理由により、入札不調が多数発生するよう

なことがないように十分に配慮する必要があります。 このため、被災三県における建設工事については、不足する技術者や技能者

を広域的な観点から確保することを可能とするため、復旧・復興建設工事共同

企業体方式(復興JV)の制度を試行的に実施すべく、「復旧・復興建設工事

における共同企業体の当面の取扱いについて」(平成24年2月29日付け国

土入企第34、35、36、37号。以下「当面の取扱い」という。)におい

て通知したところですが、更なる入札不調対策として、別紙のとおり当面の取

扱いを改正し、別添1のとおり各省各庁主管担当課長、被災三県主管担当部局

長及び仙台市主管担当部局長に復興JV制度を適切に活用するよう通知すると

ともに、別添2により被災三県を除く都道府県主管担当部局長及び仙台市を除

く政令指定都市主管担当部局長に復興JV制度が適切に活用されるよう通知し

ましたので、お知らせいたします。 貴団体におかれましては、この旨を了知していただくとともに、必要に応じ

て、会員、傘下団体等に周知頂きますようよろしくお願いします。

326

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被災地域における復旧・復興のための共同企業体(復興JV)を活用するための当面の

運用について

1.活用目的

※1 「被災地域」の範囲については、発注者の実情に応じて定める。(例:県内、県内

ブロック等)

※2 復興JVは、被災地域外の建設企業と協業関係を確保することを目的とするため、

被災地域外の建設企業においては被災地域内の営業所の有無を問わないものとする。

・ この運用方針は、復興JV制度の試行期間に係る措置とする。

・ 復興JV制度の試行対象エリアは、当面の間、岩手県、宮城県及び福島県とする。

2.対象工事

※1 「政府調達に関する協定(平成7年条約第23号)の対象となる公共工事」及び

「特定JV対象工事」とし、発注者において適切に定める。

・ 工事種別及び予定価格の範囲は発注者において適切に定めるが、その際、工事にお

ける安全確保が図られるよう発注者は留意する。

3.構成員の数

4.構成員の組合せ

・ 同程度の施工能力を有する者の組合せの判断基準は、被災地域の地元企業を基準と

被災地において不足する技術者や技能者を広域的な観点から確保することにより、復

旧・復興工事の円滑な施工を確保するため、被災地域(※1)の地元の建設企業が、被

災地域外の建設企業(※2)と共同することにより、その施工力を強化するために結成

される共同企業体とする。

被災地三県における復旧・復興工事を対象とする。

ただし、大規模な工事と技術的難度の高い工事(※1)は除く。

2ないし3社とする。

同程度の施工能力を有する者の組合せとし、被災地域の地元の建設企業を1社以上含

むものとする。

別 紙

327

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して考え、例えば、経営事項審査などを用いて発注者において定める。

・ 経常JV及び地域維持型JVの構成員である一の企業が復興JVの構成員となるこ

とは可。

5.構成員の資格

※1 国内建設企業にあっては、当該許可業種に係る許可の更新の有無が営業年数の判

断の目安として想定される。

※2 分担施工を行う場合には、各構成員の分担工事及びその価額に応じて技術者を配

置するものとする。

設計図書又は受発注者間の打合せ記録等の書面で工事を行う時期が明らかにされ

ている場合は、監理技術者又は主任技術者の専任を求める期間は、契約工期中、実

際に施工を行う時のみとする。

6.結成方法

7.登録

・ 構成員による適正な共同施工を確保するため、発注者が特別に認める場合であって

も、一の企業が結成・登録できる共同企業体の数は最大3までとする。

・ 一の企業との同時登録は可。特定JV、経常JV及び地域維持型JVとの同時結成・

構成員は少なくとも次の三要件を満たす者とする。

1)登録部門に対応する許可業種につき、営業年数が少なくとも数年あること。(※1)

2)当該登録部門について元請として一定の実績を有することを原則とする。

3)全ての構成員に、当該許可業種に係る監理技術者となることができる者又は当該許

可業種に係る主任技術者となることができる者で国家資格を有する者が存し、工事

の施工に当たっては、これらの技術者を工事現場毎に専任で配置し得ることを原則

とする。ただし、共同施工を行う場合は、当該工事規模に見合った施工能力を有す

る構成員が当該許可業種に係る監理技術者又は主任技術者を専任で配置する場合

は、他の構成員の配置する技術者は兼任で配置することを可能とする。(※2)

自主結成とする。

一の企業が各登録機関毎に結成・登録することができる共同企業体の数は、原則とし

て一とし、継続的な協業関係を確保するものとする。

328

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登録は可とする。

・ 同一の企業が、単体、経常JV又は復興JVのいずれかの形態をもって入札に同時

に参加することは認めない。

8.出資比率制限

※ 出資比率の最小限度基準については、下記に基づき定めるものとする。

2社の場合30パーセント以上

3社の場合20パーセント以上

9.代表者

10.協定書

出資比率の最小限度基準は、技術者を適正に配置して共同施工を確保し得るよう、構

成員数を勘案して発注機関において定めるものとする。(※)

代表者は、構成員において決定された地元の建設企業を原則とし、その出資比率は構

成員において自主的に定めるものとする。

甲型共同企業体標準協定書及び乙型共同企業体標準協定書については、経常JVのも

のを準用することとし参考のとおりとした。

329

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○○復旧・復興建設工事共同企業体協定書(甲)

(目的)

第1条 当共同企業体は、復旧・復興建設工事共同企業体の対象となる工事(以

下「復旧・復興工事」という。)を共同連帯して営むことを目的とする。

(名称)

第2条 当共同企業体は、○○復旧・復興建設工事共同企業体(以下「企業体」

という。)と称する。

(事務所の所在地)

第3条 当企業体は、事務所を○○市○○町○○番地に置く。

(成立の時期及び解散の時期)

第4条 当企業体は、平成○年○月○日に成立し、その存続期間は、1年とす

る。ただし、1年を経過しても当企業体に係る復旧・復興工事の請負契約の

履行後○箇月を経過するまでの間は解散することができない。

2 前項の存続期間は、構成員全員の同意をえて、これを延長することができ

る。

(構成員の住所及び名称)

第5条 当企業体の構成員は、次のとおりとする。

○○県○○市○○町○○番地

○○建設株式会社

○○県○○市○○町○○番地

○○建設株式会社

(代表者の名称)

第6条 当企業体は、○○建設株式会社を代表者とする。

(代表者の権限)

第7条 当企業体の代表者は、復旧・復興工事の施工に関し、当企業体を代表

してその権限を行うことを名義上明らかにした上で、発注者及び監督官庁等

と折衝する権限並びに請負代金(前払金及び部分払金を含む。)の請求、受

領及び当企業体に属する財産を管理する権限を有するものとする。

参 考

330

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(構成員の出資の割合等)

第8条 当企業体の構成員の出資の割合は別に定めるところによるものとする。

2 金銭以外のものによる出資については、時価を参しやくのうえ構成員が協

議して評価するものとする。

(運営委員会)

第9条 当企業体は、構成員全員をもつて運営委員会を設け、組織及び編成並

びに工事の施工の基本に関する事項、資金管理方法、下請企業の決定その他

の当企業体の運営に関する基本的かつ重要な事項について協議の上決定し、

復旧・復興工事の完成に当るものとする。

(構成員の責任)

第10条 各構成員は、復旧・復興工事の請負契約の履行及び下請契約その他の

復旧・復興工事の実施に伴い当企業体が負担する債務の履行に関し、連帯し

て責任を負うものとする。

(取引金融機関)

第11条 当企業体の取引金融機関は、○○銀行とし、共同企業体の名称を冠し

た代表者名義の別口預金口座によつて取引するものとする。

(決算)

第12条 当企業体は、復旧・復興工事完成の都度当該復旧・復興工事について

決算するものとする。

(利益金配当の割合)

第13条 決算の結果利益を生じた場合には、第8条に基づく協定書に規定する

出資の割合により構成員に利益金を配当するものとする。

(欠損金の負担の割合)

第14条 決算の結果欠損金を生じた場合には、第8条に基づく協定書に規定す

る割合により構成員が欠損金を負担するものとする。

(権利義務の譲渡の制限)

第15条 本協定書に基づく権利義務は他人に譲渡することはできない。

(工事途中における構成員の脱退に対する措置)

第16条 構成員は、発注者及び構成員全員の承認がなければ、当企業体が復旧・

復興工事を完成する日までは脱退することができない。

331

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2 構成員のうち復旧・復興工事の工事途中において前項の規定により脱退し

た者がある場合においては、残存構成員が共同連帯して復旧・復興工事を完

成する。

3 第1項の規定により構成員のうち脱退した者があるときは、残存構成員の

出資の割合は、脱退構成員が脱退前に有していたところの出資の割合を、残

存構成員が有している出資の割合により分割し、これを第8条に基づく協定

書に規定する割合に加えた割合とする。

4 脱退した構成員の出資金の返還は、決算の際行なうものとする。ただし、

決算の結果欠損金を生じた場合には、脱退した構成員の出資金から構成員が

脱退しなかつた場合に負担すべき金額を控除した金額を返還するものとする。

5 決算の結果利益を生じた場合において、脱退構成員には利益金の配当は行

なわない。

(構成員の除名)

第16条の2 当企業体は、構成員のうちいずれかが、復旧・復興工事の工事途

中において重要な義務の不履行その他の除名し得る正当な事由を生じた場合

においては、他の構成員全員及び発注者の承認により当該構成員を除名する

ことができるものとする。

2 前項の場合において、除名した構成員に対してその旨を通知しなければな

らない。

3 第1項の規定により構成員が除名された場合においては、前条第2項から

第5項までを準用するものとする。

(工事途中における構成員の破産又は解散に対する処置)

第17条 構成員のうちいずれかが復旧・復興工事の工事途中において破産又は

解散した場合においては、第16条第2項から第5項までを準用するものとす

る。

(代表者の変更)

第17条の2 代表者が脱退し若しくは除名された場合又は代表者としての責務

を果たせなくなった場合においては、従前の代表者に代えて、他の構成員全

員及び発注者の承認により残存構成員のうちいずれかを代表者とすることが

できるものとする。

(解散後のかし担保責任)

第18条 当企業体が解散した後においても、当該工事につきかしがあつたとき

は、各構成員は共同連帯してその責に任ずるものとする。

332

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(協定書に定めのない事項)

第19条 この協定書に定めのない事項については、運営委員会において定める

ものとする。

○○建設株式会社外○社は、上記のとおり○○復旧・復興建設工事共同企業

体協定を締結したので、その証拠としてこの協定書○通を作成し、各通に構成

員が記名捺印し、各自所持するものとする。

年 月 日

○○建設株式会社

代表取締役○ ○ ○ ○ 印

○○建設株式会社

代表取締役○ ○ ○ ○ 印

○○復旧・復興建設工事共同企業体協定書第8条に基づく協定書

○○発注に係る下記工事については、○○復旧・復興建設工事共同企業体協

定書第8条の規定により、当企業体構成員の出資の割合を次のとおり定める。

ただし、当該工事について発注者と契約内容の変更増減があつても構成員の出

資の割合は変わらないものとする。

1 工事の名称 ○○○○○○工事

2 出資の割合 ○○建設株式会社 ○○%

○○建設株式会社 ○○%

○○建設株式会社外○社は、上記のとおり出資の割合を定めたのでその証拠

としてこの協定書○通を作成し、各通に構成員が記名捺印して各自所持するも

のとする。

年 月 日

○○復旧・復興建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社 代表取締役 ○○○○ 印

○○建設株式会社 代表取締役 ○○○○ 印

333

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○○復旧・復興建設工事共同企業体協定書(乙)

(目的)

第1条 当共同企業体は、復旧・復興建設工事共同企業体の対象となる工

事(以下「復旧・復興工事」という。)を共同連帯して営むことを目的と

する。

(名称)

第2条 当共同企業体は、○○復旧・復興建設工事共同企業体(以下「企

業体」という。)と称する。

(事務所の所在地)

第3条 当企業体は、事務所を○○市○○町○○番地に置く。

(成立の時期及び解散の時期)

第4条 当企業体は、平成○年○月○日に成立し、その存続期間は1年と

する。ただし、1年を経過しても当企業体に係る復旧・復興工事の請負

契約の履行後○箇月を経過するまでの間は、解散することができない。

2 前項の存続期間は、構成員全員の同意をえて、これを延長することが

できる。

(構成員の住所及び名称)

第5条 当企業体の構成員は、次のとおりとする。

○○県○○市○○町○○番地

○○建設株式会社

○○県○○市○○町○○番地

○○建設株式会社

(代表者の名称)

第6条 当企業体は、○○建設株式会社を代表者とする。

(代表者の権限)

第7条 当企業体の代表者は、復旧・復興工事の施工に関し、当企業体を

代表して、発注者及び監督官庁等と折衝する権限並びに自己の名義をも

つて請負代金(前払金及び部分払金を含む。)の請求、受領及び当企業

参 考

334

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体に属する財産を管理する権限を有するものとする。

(分担工事額)

第8条 各構成員の工事の分担は、別に定めるところによるものとする。

2 前項に規定する分担工事の価格については、運営委員会で定める。

(運営委員会)

第9条 当企業体は、構成員全員をもつて運営委員会を設け、復旧・復興

工事の完成に当るものとする。

(構成員の責任)

第 10 条 構成員は、運営委員会が決定した工程表によりそれぞれの分担

工事の進捗を図り、請負契約の履行に関し連帯して責任を負うものとす

る。

(取引金融機関)

第 11 条 当企業体の取引金融機関は、○○銀行とし、代表者の名義によ

り設けられた別口預金口座によつて取引するものとする。

(構成員の必要経費の分配)

第 12 条 構成員はその分担工事の施工のため、運営委員会の定めるとこ

ろにより必要な経費の分配を受けるものとする。

(共通費用の分担)

第 13 条 復旧・復興工事施工中に発生した共通の経費等については、分

担工事額の割合により毎月1回運営委員会において、各構成員の分担額

を決定するものとする。

(構成員の相互間の責任の分担)

第 14 条 構成員がその分担工事に関し、発注者及び第三者に与えた損害

は、当該構成員がこれを負担するものとする。

2 構成員が他の構成員に損害を与えた場合においては、その責任につき

関係構成員が協議するものとする。

3 前二項に規定する責任について協議がととのわないときは、運営委員

会の決定に従うものとする。

4 前三項の規定は、いかなる意味においても第 10 条に規定する当企業

335

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体の責任を免かれるものではない。

(権利義務の譲渡の制限)

第 15 条 本協定書に基づく権利義務は、他人に譲渡することはできない。

(工事途中における構成員の脱退)

第 16 条 構成員は、当企業体が復旧・復興工事を完成する日までは脱退

することができない。

(工事途中における構成員の破産または解散に対する処置)

第 17 条 構成員のうちいずれかが復旧・復興工事の工事途中において破

産または解散した場合においては、残存構成員が共同連帯して当該構

成員の分担工事を完成するものとする。

2 前項の場合においては、第 14 条第2項及び第3項の規定を準用する。

(解散後のかし担保責任)

第 18 条 当企業体が解散した後においても、当該工事につきかしがあつ

たときは、各構成員は共同連帯してその責に任ずるものとする。

(協定書に定めのない事項)

第 19 条 本協定書に定めのない事項については、運営委員会において定

めるものとする。

○○建設株式会社外○社は、上記のとおり○○復旧・復興建設工事共

同企業体協定を締結したので、その証拠としてこの協定書○通を作成し

各通に構成員が記名捺印し、各自所持するものとする。

年 月 日

○○建設株式会社

代表取締役○ ○ ○ ○ 印

○○建設株式会社

代表取締役○ ○ ○ ○ 印

336

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○○復旧・復興建設工事共同企業体協定書第8条に基づく協定書

○○発注に係る下記工事については、○○復旧・復興建設工事共同企業

体協定書第8条の規定により、当企業体構成員が分担する工事の工事額を

次のとおり定める。

ただし、分担工事の一つにつき発注者と契約内容の変更増減があつたと

きは、それに応じて分担の変更があつたものとする。

1 工事名称 ○○○○○○工事

2 分担工事額(消費税分を含む。)

○○工事○○建設株式会社○○円

○○工事○○建設株式会社○○円

○○建設株式会社外○社は、工事の分担について、上記のとおり定めた

ので、その証拠としてこの協定書○通を作成し、各通に構成員が記名捺印

して各自所持するものとする。

年 月 日

○○復旧・復興建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社 代表取締役○○○○ 印

○○建設株式会社 代表取締役○○○○ 印

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国総入企 第59号

平成19年3月2日

建設業者団体の長 あて

国土交通省総合政策局建設業課長

建設業からの暴力団排除の徹底について

標記については、従来より、「建設業からの暴力団排除の徹底について」(昭和 61年

12 月9日付建設省経構発第8号の3)、「『暴力団員による不当な行為の防止等に関す

る法律』の施行に伴う建設業界における暴力団員による不当な行為の排除の徹底に

ついて」(平成4年4月 28 日付建設省経構発第 13 号)、「建設業からの暴力団等排除

の徹底について」(平成 11 年6月29日付建設省経入企発第7号)及び「建設業からの

暴力団排除の徹底について」(平成 17 年6月2日付国土交通省国総入企第1号)によ

り、建設業者があらゆる不正な要求に対し断固としてこれを拒否するとともに、暴力団

員から暴力的要求行為その他の不当な要求による被害を受けた場合には警察や暴力

追放運動推進センターへ通報を行うこと等についてお願いしているところである。

今般、政府に設置された暴力団資金源等総合対策ワーキングチームにおいて、公

共工事からの暴力団排除の徹底の観点から、警察当局への通報及び発注機関への

報告を暴力団員等から不当介入を受けた公共工事受注業者に対して義務付けるとと

もに、その実効性を担保するための措置を導入することが合意されたところである。

このため、国土交通省においては、地方整備局等が発注する建設工事からの暴力

団員等による不当介入の排除を徹底するため、先般、警察庁刑事局長から国土交通

省大臣官房長あての依頼「公共工事からの暴力団排除の推進について(依頼)」(別

添1)をうけて、国土交通省大臣官房から各地方整備局あてに通達「地方整備局発注

工事における暴力団員等による不当介入に対する措置について」(別添2)を発出した

ところである。

併せて、警察庁より、「建設業からの暴力団排除の推進について(依頼)」(別添3)の

通り、建設業からの暴力団排除の徹底について改めて依頼を受けたところであるので、

上記施策の実施についてご理解の上、暴力団員等からの不当要求又は工事妨害等

があった場合には、速やかに警察に通報するとともに、捜査上必要な協力にも努められ

るよう、貴傘下建設業者に対して徹底をお願いする。

なお、公共工事受注業者が通報及び捜査上必要な協力を行った際に不当介入を

行った暴力団員等の迅速かつ確実な取締等を実施すること、及び通報及び捜査上必

要な協力を行った公共工事受注業者の保護対策に万全を期すことについては、警察

庁から各都道府県警察に対して周知徹底されているところである。

338

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別添1

警察庁丙暴発第3号

平成19年3月2日

国土交通省大臣官房長 殿

警察庁刑事局長

公共工事からの暴力団排除の推進について(依頼)

最近の暴力団構成員等の数は徐々に増加し、暴力団対策法施行以前の水準に迫

りつつあり、その背景には、暴力団の資金獲得活動の巧妙化と暴力団の存在を許

容又は利用する土壌の存在があります。

社会から暴力団を確実に排除するためには、警察と関係省庁とが連携して、「犯

罪に強い社会の実現のための行動計画」(平成15年12月犯罪対策閣僚会議)

に盛り込まれた施策をより深めるとともに加速させ、また、官民が力を合わせ、

社会全体で公共事業、企業活動等から暴力団を排除し、その資金源を遮断する必

要があります。

このような認識から、先般、犯罪対策閣僚会議において、関係省庁から成る「暴

力団資金源等総合対策に関するワーキングチーム」により、公共事業からの暴力

団排除の検討状況が報告されたところであります。

貴職におかれましては、かねてより、地方整備局等発注工事等からの暴力団排

除対策等に御尽力いただいているところでありますが、このような状況を踏まえ、

公共工事からの暴力団排除を更に徹底すべく、公共工事を受注している建設業者

に対して、暴力団員等(暴力団員、暴力団準構成員及び暴力団関係業者をいう。)

による不当要求又は工事妨害があった場合には速やかに警察に通報するととも

に、捜査上必要な協力を行うよう、御指導方をお願い申し上げます。

339

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別添2

国官会第1854号

国 地 契 第 8 5 号

平成19年3月2日

各地方整備局総務部長

総 括 調 整 官 殿

国土交通省大臣官房

会 計 課 長

地 方 課 長

地方整備局発注工事における暴力団員等による不当介入に対する

措置について

国土交通省地方整備局(以下「整備局」という。)が発注する建設工事(以下「発

注工事」という。)における暴力団からの不当要求等については、「地方整備局発

注工事等からの暴力団関係業者の排除について」(平成17年6月2日付け国官会

第299号、国地契第33号)記3において、暴力団からの不当要求等の情報を

入手した場合には、速やかに警察当局に通報を行うとともに、捜査上必要な協力

を行うこととされているところである。

平成18年12月19日に開催された犯罪対策閣僚会議において、「暴力団資

金源等総合対策に関するワーキングチーム(公共事業からの暴力団排除)の検討

状況について」として、「各省庁は、その発注する公共工事について、暴力団関

係業者等の排除対象を明確化するとともに、警察からの排除要請等の手続きにつ

いて、警察との連携を強化する。」ことや「各省庁は、公共工事の受注業者に対

して、暴力団員等による不当介入がなされた場合に、当該事実の警察への通報及

び発注者への報告を義務付けるとともに、それらの義務を怠った場合にはペナル

ティ措置を講ずる仕組みを導入する。」などの取組を政府として進めるものとする

との報告がなされたところである。

さらに、別添1のとおり警察庁刑事局長から国土交通省大臣官房長あて通知さ

れた「公共工事からの暴力団排除の推進について(依頼)」(平成19年3月2

日付け警察庁丙暴発第3号)を踏まえ、各都府県警察本部から発注工事における

暴力団員等による不当要求又は工事妨害(以下「不当介入」という。)に対する措

置について協力要請が行われた場合、発注工事に関し請負者が暴力団員等による

不当介入を受けている事実を当該整備局および警察本部が確実に把握し、発注工

事における暴力団員等による不当介入の排除を徹底するため、下記の措置を講じ

ることとするので、遺憾なきよう措置されたい。

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1 発注工事における暴力団員等による不当介入の排除手続きに関する合意書の

締結について

発注工事における暴力団員等による不当介入の排除手続きについて、別添2

の合意書の(モデル)を参考に、各都府県警察本部と合意書を締結し、2以下

の措置を講じるものとする。

なお、合意書を締結した後、速やかに本省大臣官房会計課又は地方課まで報

告されたい。

2 暴力団員等による不当介入を受けた場合における請負者の措置義務について

発注工事において請負者が暴力団員等による不当介入を受けた場合、当該請

負者に対して、警察への通報を行うとともに、捜査上必要な協力を行うこと(以

下「警察への通報等」という。)及び発注者への報告を行うこと(以下「発注者

への報告」という。)を義務付けるため、現場説明書の説明事項に次の内容を追

加するものとする。

「○.暴力団員等による不当介入を受けた場合の措置について

(1) ○○地方整備局が発注する建設工事(以下「発注工事」という。)

において、暴力団員等による不当要求又は工事妨害(以下「不当介

入」という。)を受けた場合は、断固としてこれを拒否するとともに、

不当介入があった時点で速やかに警察に通報を行うとともに、捜査

上必要な協力を行うこと。

(2) (1)により警察に通報を行うとともに、捜査上必要な協力を行っ

た場合には、速やかにその内容を記載した書面により発注者に報告

すること。

(3) 発注工事において、暴力団員等による不当介入を受けたことによ

り工程に遅れが生じる等の被害が生じた場合は、発注者と協議を行

うこと。」

3 暴力団員等による不当介入の通知等を受けた場合の取扱いについて

(1) 総務部長又は総括調整官(以下「総務部長等」という。)は、各都府県警

察本部刑事部長(以下「刑事部長」という。)から、請負者が発注工事にお

いて暴力団員等による不当介入を受けた事案の通知を書面(別添2の合意

書(モデル)の記2の別記様式1)により受けたときは、速やかに書面(別

記様式1)に刑事部長からの通知の写しを添付して、当該工事の契約担当

事務所長(本局が契約担当の場合は総務部契約課長又は経理調達課長)(以

下「事務所長等」という。)に通知するものとする。

(2) (1)において、総務部長等は(3)の報告がなされているか確認し、

報告がなされていないことを確認した場合は、事務所長等に対し、発注者

への報告について請負者に確認するとともに状況を報告するよう、指示す

るものとする。

(3) 事務所長等は、請負者から発注者への報告を受けたときは、速やかに書

面(別記様式2)により総務部長等に報告するものとする。

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(4) 総務部長等は、(3)の報告を受けたときは、速やかに書面(別添2の合

意書(モデル)の記3の別記様式2)により、刑事部長に通知するものと

する。

(5) (4)において、総務部長等は刑事部長からの通知がなされているか確

認し、通知がなされていないことを確認した場合は、その旨も併せて通知

するものとする。

4 請負者が警察への通報等又は発注者への報告義務を怠ったと認められる事実

の確認について

(1) 事務所長等は、3(2)において発注者への報告がないことを確認した場

合、速やかに書面(別記様式3)により、総務部長等へ報告するものとす

る。

(2)① 総務部長等は、請負者が発注工事において暴力団員等による不当介入

を受けたにもかかわらず、警察への通報等を怠ったと認められるとの通

報を刑事部長から書面(別添2の合意書(モデル)の記6の別記様式3)

により受けた場合、速やかに書面(別記様式4)に刑事部長からの通報

の写しを添付して、事務所長等に通知するものとする。

② ①の連絡を受けた事務所長等は、請負者にその事実の内容について確

認し、速やかに書面(別記様式5)により、総務部長等へ報告するもの

とする。

5 実効性を確保するための措置について

4の確認の結果、警察への通報等及び発注者への報告を怠ったことが確認さ

れた場合、以下の措置を講じるものとする。

(1) 指名停止又は文書注意

暴力団員等による不当介入を受けた請負者が警察への通報等及び発注

者への報告を怠った場合は、「工事請負契約に係る指名停止等の措置要

領」(昭和59年3月29日付け建設省厚第91号。以下「措置要領」と

いう。)の別表第2第15項に規定する「不正又は不誠実な行為」のうち、

「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領の運用基準について」(平成

3年5月18日付け建設省厚発第172号)記7第七項ロに規定する「著

しく信頼関係を損なう行為があった場合」又は「地方整備局(港湾空港

関係)所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」(昭和59年3

月31日付け港管第927号。以下「港湾空港関係措置要領」という。)

の別表第2第15項に規定する「不正又は不誠実な行為」のうち、「地方

整備局(港湾空港関係)所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要

領の運用基準について」(平成15年8月19日付け国港管第474-3

号)記7第七項ロに規定する「著しく信頼関係を損なう行為があった場

合」に該当するものとして指名停止を行うものとする。

この場合、指名停止期間については、措置要領第3第3項及び港湾空

港関係措置要領第3条第3項に規定する「情状すべき特別の事由がある」

ものとして、原則として2週間とする。

なお、著しく信頼関係を損なう行為に該当するとまではいえず、指名

停止を行わない場合は、措置要領第10又は港湾空港関係措置要領第1

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0条に基づき、書面による注意の喚起(以下「文書注意」という。)を行

うものとする。

(2) 工事成績評定への反映

「請負工事成績評定要領の運用について」(平成13年3月30日付け

国官技第93号)、「請負工事成績評定要領の改訂について」(平成13年

3月30日国港建第110号)又は「営繕工事に係る請負工事成績評定

要領の運用について」(平成13年3月30日付け国営技第32号)に基

づき、(1)による指名停止を受けた者については10点、文書注意を受

けた者については8点、工事成績評定点を減点するものとする。

(3) 暴力団員等による不当介入を受けた場合において、警察への通報等ま

たは、発注者への報告を怠った旨の公表

(1)による指名停止を受けた者については、「工事における入札及び契

約の過程並びに契約の内容等に係る情報の公表について」(平成13年3

月30日付け国官会第1429号、国官地第26号)の別紙3Ⅰ(1)

⑩及び3Ⅱ(1)⑩で公表することとされている指名停止措置理由として、

暴力団員等による不当介入を受けた請負者が警察への通報を行うととも

に、捜査上必要な協力を行うこと及び発注者への報告を行うことを怠っ

た旨を明記するものとする。

(4) 下請等の禁止

(1)による指名停止を受けた者については、措置要領第8及び港湾空

港関係措置要領第8条に規定する下請等の承認をしてはならないものと

する。

(5) 優良工事施工団体表彰の推薦基準への反映

表彰日までに(1)による指名停止又は文書注意を受けた者については、

各地方整備局の推薦基準に基づき、表彰対象から除外するものとする。

附 則

記2以下の措置については、記1の各都府県警察本部との合意書締結後、

平成19年4月1日以降現場説明書を交付する工事に適用するものとする。

(別添1~2 省略)

(別記様式1~5 省略)

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別添3

警 察 庁 丁 暴 発 第 2 5 号

平 成 1 9 年 3 月 2 日

国土交通省総合政策局建設業課長 殿

警察庁刑事局組織犯罪対策部

暴 力 団 対 策 課 長

建設業からの暴力団排除の推進について(依頼)

最近の暴力団構成員等の数は徐々に増加し、暴力団対策法施行以前の水準に迫りつつ

あり、その背景には、暴力団の資金獲得活動の巧妙化と暴力団の存在を許容又は利用す

る土壌の存在があります。

社会から暴力団を確実に排除するためには、警察と関係省庁とが連携して、「犯罪に

強い社会の実現のための行動計画」(平成15年12月犯罪対策閣僚会議)に盛り込ま

れた施策をより深めるとともに加速させ、また、官民が力を合わせ、社会全体で公共事

業、企業活動等から暴力団を排除し、その資金源を遮断する必要があります。

このような認識から、先般、犯罪対策閣僚会議において、「暴力団資金源等総合対策

ワーキングチーム(公共事業からの暴力団排除)の検討状況について」が報告されたと

ころであります。

貴職におかれましては、かねてより、建設業許可等において暴力団排除対策に御尽力

いただいているところでありますが、このような状況を踏まえ、公共工事からの暴力団

排除を更に徹底すべく、公共工事を受注している建設業者に対して、暴力団員等(暴力

団員、暴力団準構成員及び暴力団関係業者をいう。)による不当要求又は工事妨害等が

あった場合には速やかに警察に通報するとともに、捜査上必要な協力を行うよう、御指

導方をお願い申し上げます。

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国土建第 3 4 2 号国土建整第 1 8 3 号

平成 2 4 年 3月 2 6 日

別記 3 (建設業者団体の長) 宛

国土交通省土地 ・建設産業局長

建設産業における社会保険加入の徹底について

建設産業においては、下請企業を中心に、雇用、医療、年金保険について、法定福利費を適正に負担しない企業 (すなわち保険未加入企業) が存在し、技能労働者の医療、 年金など、 いざというときの公的保障が確保されず、 若

年入識者減少の一因となっているほか、 関係法令を遵守して適正に法定福利

費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が生じていま

す。

このため、 関係者を挙げて社会保険未加入問題への対策を進め、 建設産業

の持続的な発展に必要な人材の確保を図るとともに、 事業者間の公平で健全

な競争環境を構築する必要があることから、 平成 2 4 年 2月 2 3 日、 社会保

険未加入対策の具体化に関する検討会において、 社会保険未加入問題への対

策が取りまとめられ、 3月 1 4 日、 中央建設業審議会に報告し、 同審議会会

長から別途連絡されているとおり、 建設産業における社会保険加入の徹底に

関する提言が取りまとめられました。これを踏まえ、 国土交通省では、 関係する様々な主体と連携しながら、 検

討会で取りまとめられた別添 1を骨子とする総合的対策を実施してまいりま

す (別添 2 参照)。 本検討会の取りまとめでは、 実施後 5 年を目途に、 企業単

位では許可業者の加入率 1 0 0 %、 労働者単位では製造業相当の加入状況を

目指して取り組むこととされています。社会保険加入の徹底に当たっては、 様々な関係者が一体となって協力して

様々な角度からの取組を実施することが必要であることから、 貴職におかれ

ましては、 建設産業における社会保険加入の徹底の趣旨を十分御理解いただ

くとともに、 適切な取組の実施に努めていただきますよう、 お願いいたしま

す。なお、 会員企業への周知方お願いいたします。

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(別添 1 )

「建設業における社会保険未加入問題への対策について」 骨子

平 成 2 4 年 2 月 2 3 日

社会保険未加入対策の具体化に関する検討会

l工 課題 I下請企業を中心に、 特に雇用、 医療、 年金保険に未加入の企業が存在して

おり、 技能労働者の処遇が低下し、 若年入識者減少の一因となっている。 ま

た、 適正に法定福利費を負担する企業ほど受注競争上不利になるという矛盾

した状況が生じている。

I□. 総合的対策の推進」

行政、元請企業、 下請企業など関係者が一体となって建設業界の保険加入

徹底に取り組む。 営業所 ・工事現場での取組のほか、 保険加入促進のネット

ワ - ク (連携体制) を構築して保険加入を推進 ・支援していく。

1 . 行政 ・元請 ・下請等の関係者が一体となった保険加入の推進

(1 ) 行政、 建設業団体、 関係団体による推進協議会の設置

社会保険未加入対策を行政、建設業団体、 関係団体等の関係者が一体と

なって継続的に実施するため、保険未加入対策推進協議会を全国及び地方

ブロックに設置する。(2 ) 各建設業団体による保険加入計画の策定 ・推進

保険未加入対策推進協議会に参加する各建設業団体は、それぞれの立場から主体的な取組を計画的に進めるため、計画期間 5年間の社会保険加入

促進計画を策定し、 毎年フォローアップを実施する。(3 ) 行政、 関係団体、 保険者等様々な主体による周知 ・啓発

行政、 関係団体、 元請企業、 協力会、 保険者など、 建設業に関わる様々

な主体から、 多様な手段による周知 ・啓発を行い、 保険加入に向けた機運

を醸成する。

2 . 行政による制度的チェック ・指導

(1 ) 建設業許可 ・更新時の加入状況確認

建設業の許可 ・更新の申請時に保険加入状況を記載した書面の提出を求

め、建設業担当部局において保険加入状況を確認する。 保険未加入企業に

対して、 加入を指導する。

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(2 ) 建設業担当部局による監督

建設業担当部局において、 事業所及び工事現場への立入検査等を行い、保険加入状況を調査するとともに、 保険未加入企業に対して、 加入を指導

する。 指導してもなお加入が見込まれない企業に対して、 保険関係法令違

反に該当する事実が認められるときは、建設業法に基づく監督処分を行う。(3 ) 経営事項審査の厳格化

経営事項審査の項目区分 「健康保険及び厚生年金保険」 を分割するとと

もに、 保険未加入の場合の減点幅を拡大する。(4 ) 保険担当部局 (厚生労働省) との連携

(1 ) 及び (2 ) により指導してもなお保険未加入の企業について、 保

険担当部局に通報する。 保険担当部局から加入勧奨を行い、 最終的には強

制加入手続を実施する。

偽 建設企業の取組(1 ) 元請企業による下請指導

保険加入の取組を下請企業及び現場作業員に浸透させるため、元請企業

において、 協力会等を通じた保険加入の勧奨や工事現場における周知 ・啓

発、 再下請負通知書 ・作業員名簿等を活用した確認 ・指導を行う。(2 ) 元請企業 ・下請企業による重層下請構造の是正に向けた取組

元請企業、 下請企業 (特に 1次下請企業) において、 重層下請の抑制に

向けた啓発 ・指導を行うとともに、 下請企業において、 適正な受注先企業

の選定等の取組を実施する。(3 ) 建設企業 (特に下請企業) における取組

建設企業において、、就労者の雇用関係を明確にした上で、 雇用関係にあ

る社員の保険加入の徹底、再下請負通知書を活用した再下請負企業の保険

」加入状況の確認を実施するとともに、 元請企業の指導への協力を行う。

4 . 法定福利費の確保

(1 ) 発注者への要請 ・周知、 元請企業への要請

法定福利費は、 発注者が負担する工事価格に含まれる経費であることを

踏まえ、 民間発注者に要請 ・周知するとともに、個別の請負契約の当事者

間において見積時から適正に考慮するよう元請団体 ・元請企業に要請するなど、 民間発注者、 元請企業、 下請企業等の関係者において、 それぞれの

立場からの法定福利費の確保に向けた取組を推進する。

2

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(2 ) 業界における見積時の法定福利費の明示

専門工事業団体において、 見積時に法定福利費を明示するための標準見

積書を作成し、 建設企業における活用を推進する。(3 ) ダンピング対策

国において対策を進めるとともに、 地方公共団体における対策を要請す

る。

(4 ) 重層下請構造の是正

建設企業及び建設業団体において、重層下請構造の是正に向け下請契約

の必要性 ・適法性のチェックや施工力のある下請企業の選定、 工事の平準

化等の取組など自主的取組を実施する。行政において、一括下請負の禁止、主任技術者の配置、 請負 ・雇用に関するルールを徹底する。

5 . その他

(1 ) 就労履歴管理システムの普及 ・活用

工事就労履歴や保険加入状況を迅速に把握する就労履歴管理システム

の実現に向け、 関係者が協力して検討を行い、 具体化を推進する。(2 ) 社会保険適用促進に向けた研究

社会保険の適用を促進するため、 法定福利費の取扱い、 建設業団体によ

る保険加入確認の枠組み、重層下請や一人親方の就労状況の実態把握等について、 調査 ・検討を実施する。

lm . 対策の進め方と目指す姿」

1 . 対策の進め方

(1 ) 平成 2 4 年度以降、順次、周知 ・啓発、 加入指導、保険加入者 (企業 ・

労働者) の優先活用に重点的に取り組み、実施後 5年を目途に、 企業単

位では許可業者の加入率 1 0 0 %、労働者単位では製造業相当の加入状

況を目指す。(2 ) 平成 2 9 年度までの中間時点でそれまでの実施状況を検証 ・評価し、

対策の必要な見直しを行った上で、 計画的に推進する。

2 . 目指す姿

技能労働者の処遇の向上、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保

を図るとともに、法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競

争環境の構築を実現する。

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国土建整第77号

平成24年7月23日

別記(主要民間発注者) 殿

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について 現在、建設業においては、産業の持続的な発展に必要な人材の確保を図るとともに、事業

者間の公平で健全な競争環境の構築を進めるため、社会保険等(雇用、健康、年金保険)の

未加入対策を進めております。 建設工事の質を確保し、将来の建設産業の担い手を確保する上で、社会保険等未加入対策

の推進は重要な取組ですが、こうした取組を実効あるものとするためには、発注者各位のご

理解とご協力が不可欠です。 ついては、以下について傘下の会員企業各位に情報提供いただくとともに、建設工事の発

注に当たって、 ①公正な競争が成り立つよう必要以上の低価格による発注をできる限り避けて、必要な経

費を適切に見込んだ価格による発注を行い、 ②発注する工事についての建設作業を担う技能労働者等に係る法定福利費が着実に確保さ

れるよう、見積・入札・契約の際に配慮頂く ことについて、ご理解、ご協力を頂くようお願いいたします。 1 社会保険未加入対策の推進 (1)現状 貴団体の関係者が発注する建設工事を担う我が国の建設産業は、現在の建設投資がピーク

時の約50%に減少している中で、受注競争が激化しており、かつてなく厳しい状況に直面

しています。 そのような中で、建設業就業者は55歳以上の高齢者の占める割合が約33%(平成23

年現在)と全産業平均を大きく上回る一方、若年者の新規入職者が著しく減少し、その結果

次代を支える若年層が著しく減少しており、今後熟練者の大量退職が進む中で、現場で建設

工事を担う技能労働者が恒常的に不足する事態が懸念されます。

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これまで建設業界では、厳しい状況の中で企業経営を成り立たせるため、従来からの直用

など雇用関係が不明確な労働慣行、重層化した下請構造の中で、技能労働者の非社員化・非

常勤化、月給制から日給月給制への転換などを進めてきました。 その結果、本来固定費であるはずの労務費が変動費化し、賃金が低下するとともに、法令

上加入義務がある社会保険に事業者や技能労働者が加入していないという事態に至り、技能

労働者を巡る労働環境は悪化しています。 (2)社会保険等未加入解消に向けた取組 このような状況に鑑み、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保に向け労働環境の改

善を図るとともに、事業者間の公平で健全な競争環境を構築するため、現在、建設業におい

ては、業界を挙げて社会保険未加入対策を徹底することとしています。 社会保険未加入対策の推進に当たっては、加入義務のある下請企業のみならず、発注者、

元請企業、下請企業、個々の建設労働者など関係者全体で取り組むとともに、建設業の構造

を踏まえて総合的に取り組むこととしています。 このため、行政、元請企業、下請企業、個々の労働者等が一体となった「社会保険未加入

対策推進協議会」を設置して、関係者による一体的取組に向けた機運を醸成するとともに、

各建設業者団体による「社会保険加入促進計画」の策定と、これに基づくそれぞれの取組の

推進、行政による建設業許可・更新時の確認と指導、下請指導ガイドラインに沿った元請企

業による下請企業への指導など、建設業に関わる主体が、それぞれ積極的な取組を展開して

いるところです。 (3)取組の進め方 社会保険加入の徹底については、本年3月14日に中央建設業審議会からも「今後は、行

政・発注者・元請企業・下請企業・建設労働者等の関係者が一体となって、社会保険未加入

は許さないとの固い決意をもって対策に取り組むことが不可欠である。」と提言されていると

ころです。 これを受け、(2)で述べた「社会保険未加入対策推進協議会」には、複数の発注者団体に

もオブザーバーとして参画頂いております。 今後、社会保険未加入対策については、平成24年度以降、まずは、周知や啓発を進め、

次いで加入指導を行い、その上で社会保険に加入している企業・労働者の優先活用に

取り組み、対策の実施後5年を目途に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働

者単位では製造業相当の加入状況を目指すこととしています。

発注者の皆様におかれては、建設工事の発注に当たり、前述の建設業界が置かれた非常に

厳しい現状と、状況の改善に向けて社会保険加入を軸として、関係者一体となって取組を進

めているということにつき、ご理解をお願いしたいと存じます。 2 公正な競争環境の実現と法定福利費の確保 (1)現状 発注者の皆様においては、株主等への対外的な説明責任が求められる中で、建設工事を発

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注する際には、出来るだけ安くすることが求められる立場にあると認識しています。 しかし、それを受注する側においては、前述の通り受注競争が激化する中で、本来固定費

であるべき法定福利費ですら変動費化するような行き過ぎた競争が行われています。その結

果、法定福利費を適正に負担しない企業が競争上有利となって、適正に負担している企業が

競争上不利となる矛盾した状態となっています。 更には、建設業における重層下請構造下での不透明な契約関係、下請契約の当事者間にお

ける交渉力の格差等と相まって、受注者が極度に低い価格で受注すると、多くの専門工事業

者や労働者へのしわ寄せが生じ、建設産業全体の足腰が弱まって、建設工事の成果物の品質

にも影響が及ぶことが懸念されます。 (2)公正な競争環境の構築と法定福利費の確保 質の高い建設工事を実施するためには、適正な単価や適正な工期の設定が必要です。 (1)のような状況においては、発注者の皆様にもご協力を頂き、法定福利費などの不可

欠な経費について、しっかりと確保していく必要があります。「発注者・受注者間における法

令遵守ガイドライン」(平成23年8月)においても、発注者及び受注者は見積時から法定福

利費を必要経費として考慮すべきとされているところです。 発注者の皆様におかれては、建設業における公正で健全な競争環境を構築し、必要な技能

労働者を確保するため、発注する工事についての建設作業を担う技能労働者等に係る法定福

利費が着実に確保されるよう、法定福利費を含む適正な積算に基づき予定価格を設定して頂

くと共に、実際の発注に当たっては、必要以上の低価格による発注をできる限り避けて、必

要な経費を適切に見込んだ価格による発注を行って頂くことにつき、ご理解とご協力をお願

いいたします。 なお、国土交通省直轄の土木工事においては、これまで実態調査による法定福利費の支払

額に基づき現場管理費の一部として計上されていたところですが、本年4月から、本来事業

者が負担すべき法定福利費の額について予定価格に適切に反映できるように、現場管理費率

式の見直しを実施しています。また、国土交通省直轄の建築工事については、本来事業者が

負担すべき法定福利費の額について、これまでも予定価格に適切に反映しているところです。

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国 土 建 整 1 1 5 号

平成24年9月13日

別記(建設業者団体の長)

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について 建設業においては、「建設産業における社会保険加入の徹底について」(平成24年3月2

6日国土建第342号・国土建整第183号国土交通省土地・建設産業局長通知)によりお

知らせしているとおり、産業の持続的な発展に必要な人材の確保を図るとともに、事業者間

の公平で健全な競争環境の構築を進めるため、発注者、元請企業、下請企業など関係者を挙

げて、雇用、健康、厚生年金保険(以下「社会保険等」という。)の未加入対策を総合的に進

めているところです。 こうした取組を進めるに当たっては、社会保険等に加入するための原資となる法定福利費

が、発注者から元請企業、下請企業へ、更に個々の技能労働者まで適正に支払われるように

することが重要ですが、その実現のためには、各段階ごとに課題を整理し、関係者による対

策を講じることが必要です。 ついては、元請企業となる建設企業は、必要な法定福利費の確保と下請企業への社会保険

等の加入指導等の両面から重要な役割を担うものであることから、下記について傘下の会員

企業各位に周知していただくとともに、本通知の2で要請している次の①から④の取組が着

実に行われるよう、傘下の会員企業各位に周知徹底いただくことをお願いいたします。また、

会員企業内部において、工事の受注担当部局や専門工事業者の調達部門、加入指導を行う現

場関係者等も含め、必要な部署に徹底されるよう、周知方お願いいたします。 ①適正な法定福利費の確保 ②適正な法定福利費を含んだ見積・契約の実施 ③法定福利費が内訳明示された標準見積書の尊重 ④下請企業への社会保険加入の指導の徹底 併せて、貴団体におかれても法定福利費確保の方針を明確化するとともに、発注者団体へ

の法定福利費確保の働きかけを行い、適正な法定福利費が確保されるよう、積極的な取り組

みをお願いいたします。

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記 1.社会保険等未加入対策における法定福利費確保の重要性

社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要となる重要な制度です。このため、

社会保険、労働保険は法律により一定の要件を満たす場合には必ず加入することが義務づけ

られる強制加入の方式がとられています。これらの保険料は建設企業が義務的に負担しなけ

ればならない法定福利費であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる

単位」に含まれる大変重要な経費です。 一方、建設投資の減少等により過度の価格競争が進むことで、本来固定費であるべき法定

福利費ですら変動費化するような行き過ぎた競争の結果、請負額に法定福利費を適正に計上

しない企業が競争上有利となって、適正に計上している企業が競争上不利となる矛盾した状

態となっています。 こうした状況を踏まえ、現在、建設産業においては、関係者が一体となって社会保険未加

入対策を進め、産業の持続的な発展に必要な人材の確保、公平で健全な競争環境の構築に取

り組んでいるところですが、社会保険等への加入に当たっては、その前提として、法定福利

費の適正な確保が課題です。 なお、国土交通省では、直轄工事における法定福利費について、土木工事では従来実態調

査での支払額に基づく現場管理費への計上であったものを改め、本年4月から本来事業者が

負担すべき額を予定価格に適切に反映できるよう、現場管理費率式の見直しを行いました。

また、建築工事では、本来事業者が負担すべき法定福利費の額について、従来より予定価格

に適切に反映しているところです。 2.法定福利費の確保に向けた取組

元請企業となる建設企業には、発注者から受注する側面と、下請企業に発注する側面があ

ります。下請企業に法定福利費が着実に支払われるようにするためには、それぞれの側面に

おいて以下の取組を行うことが不可欠ですので、ご理解と着実な取組をお願いいたします。 (1)受注者・元請企業としての基本的立場(適正な法定福利費の確保)

法定福利費については、「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」(平成

23年8月)において、社会保険や雇用保険の保険料にかかる受注者の費用は、労災保険料

とともに受注者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、建設業法第 19 条の3

に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるべきものとされ、発注者及び受注者は

見積時から法定福利費を必要経費として適正に考慮すべきとされています。 また、「建設業法令遵守ガイドライン(再改訂)- 元請負人と下請負人の関係に係る留意

点 -」(平成24年7月。以下「元下間法令遵守ガイドライン」)では、元請負人及び下請負

人は見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保する必要があるとされています。 これらを踏まえ、傘下の会員企業に対し、改めてこれらの点について十分認識していただ

き、受注・下請契約いずれの側面においても法定福利費は価格競争上の変動費として扱うべ

きではなく、契約の見積時から契約まで必要な労務費と合わせて適正な法定福利費が確保さ

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れるよう、営業担当者も含めて周知徹底方よろしくお願いいたします。併せて、団体として

契約の見積時から契約まで適正な法定福利費の確保に努める旨を、貴団体の加入促進計画等

で明らかにされるようお願いいたします。

(2)注文者との関係(適正な法定福利費を含んだ見積・契約の実施)

建設業者は、建設業法(昭和24年法律第100号)第20条第1項の規定により、請負

契約の締結に際し、経費の内訳を明らかにして見積もりを行う努力義務が課せられており、

同条第2項により、注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設

工事の見積書を提示しなければならないこととされています。これを踏まえれば、見積もり

の際、法定福利費についても経費の一環として適正に含んだ形で、内訳を明示した見積もり

を行うことが適切です。 また、「法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について」(平成24年7月

23日国土建整第77号国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長通知)により、主要

民間発注者に対し、建設工事の発注に当たって、 ①公正な競争が成り立つよう必要以上の低価格による発注をできる限り避けて、必要な経

費を適切に見込んだ価格による発注を行い、 ②発注する工事についての建設作業を担う技能労働者等に係る法定福利費が着実に確保さ

れるよう、見積・入札・契約の際に配慮頂く ことについて、要請したところです。 ついては、貴団体におかれては、傘下の会員企業に対し、法定福利費相当額を含む適正な

金額による見積の実施・請負契約の締結を発注者に求めていくよう周知いただくとともに、

傘下の会員企業の取り組みを支えるため、貴団体から各発注者団体に対し、法定福利費の確

保を要請するなど働きかけていただくようお願いいたします。 (3)下請企業との関係①(法定福利費が内訳明示された見積書を尊重した下請契約の締結)

現在下請企業との請負契約においては、見積の際、法定福利費が明示されていないトン単

価や平米単価に法定福利費を含めているなど、法定福利費の内訳が分かりにくい状況となっ

ていることから、現在、各専門工事業団体に対し、見積時に法定福利費を明示するための標

準見積書等の作成を依頼しているところです(「専門工事業団体における標準見積書の作成に

ついて」(平成24年6月13日国土建整第48号国土交通省土地・建設産業局建設市場整備

課長通知))。 ついては、傘下の会員企業に対し、今後、見積時に適正な法定福利費の内訳が明示された

見積書が下請企業から提示された場合には、これを尊重した建設工事の請負契約が締結され

るよう周知をお願いいたします。 なお、元下間法令遵守ガイドラインにおいては、下請負人の見積書に法定福利費相当額が

明示されているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に

削減したり、法定福利費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通

常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元請下請間の取引依存度等

によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあると

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されているところです。 (4)下請負企業との関係②(社会保険加入の指導の徹底)

「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(平成23年8月閣議

決定)では、社会保険・労働保険に関する法令を遵守しない企業は不良・不適格業者として

位置付けられています。 また、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」(平成24年7月)では、元請企

業に対し、その請け負った建設工事に従事するすべての下請企業に対する社会保険加入の指

導等の徹底を求めるとともに、遅くとも平成29年度以降の未加入事業者の排除を要請して

いるところです。 一方で、下請企業には、社会保険加入を求められるものの労務費が切り下げられるだけで

必要な法定福利費が確保されないのではないか、安値を求める余り安全や技術が考慮されな

いのではないか、指し値発注や後払い・後契約が行われるのではないかといった不安が見ら

れます。 ついては、傘下会員企業に対し、下請企業の選定や加入指導に当たっては、元請企業が必

要な法定福利費を確保する一方でこういった下請企業の不安の解消に努めつつ、社会保険加

入の指導等の徹底と、遅くとも平成29年度以降の未加入事業者の排除に向け取り組みを進

めていただくよう周知をお願いいたします。

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<参 考>

○建設業法(昭和24年法律第100号)(粋)

(不当に低い請負代金の禁止)

第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を

施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を

締結してはならない。

(建設工事の見積り等)

第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の

種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行う

よう努めなければならない。

2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間

に、建設工事の見積書を提示しなければならない。

3 (略)

○発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(平成23年8月)(粋)

「社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要な制度であり、強制加入の方式が

とられている。 具体的には、健康保険と厚生年金保険については、法人の場合にはすべての事業所につい

て、個人経営の場合でも常時5人以上の従業員を使用する限り、必ず加入手続を行わなけれ

ばならず、また、雇用保険については、建設事業主の場合、個人経営か法人かにかかわらず、

労働者を1人でも雇用する限り、必ず加入手続をとらなければならない。 このため、受注者には、これらの保険料に係る費用負担が不可避となっている。 これらの保険料にかかる受注者の費用は、労災保険料とともに受注者が義務的に負担しな

ければならない法定福利費であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められ

る原価」に含まれるべきものである。 このため、発注者及び受注者は見積時から法定福利費を必要経費として適正に考慮すべき

であり、法定福利費相当額を含まない金額で建設工事の請負契約を締結した場合には、発注

者がこれらの保険への加入義務を定めた法令の違反を誘発するおそれがあるとともに、発注

者が建設業法第19条の3に違反するおそれがある。」 ○公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成23年8月閣議決

定)(粋)

「5 その他入札及び契約の適正化に関し配慮すべき事項 (1)不良・不適格業者の排除に関すること 不良・不適格業者とは、一般的に、技術力、施工能力を全く有しないいわゆるペーパーカ

ンパニー、経営を暴力団が支配している企業、対象工事の規模や必要とされる技術力からみ

て適切な施工が行い得ない企業、過大受注により適切な施工が行えない企業、建設業法その

他工事に関する諸法令(社会保険・労働保険に関する法令を含む。)を遵守しない企業等を指

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すものであるが、このような不良・不適格業者を放置することは、適正かつ公正な競争を妨

げ、公共工事の品質確保、適正な費用による施工等の支障になるだけでなく、技術力・経営

力を向上させようとする優良な建設業者の意欲を削ぎ、ひいては建設業の健全な発達を阻害

することとなる。 また、建設業許可や経営事項審査の申請に係る虚偽記載を始めとする公共工事の入札及び

契約に関する様々な不正行為は、主としてこうした不良・不適格業者によるものである。 このため、建設業許可行政庁等においては、建設業法に基づく処分やその公表等を厳正に

実施し、また、各省各庁の長等においては、それらの排除の徹底を図るため、公共工事の入

札及び契約に当たり、次に掲げる措置等を講ずるとともに、建設業許可行政庁等に対して処

分の実施等の厳正な対応を求めるものとする。 イ~ホ (略)」

○中央建設業審議会提言(平成24年3月)(粋)

「法定福利費は発注者が負担する工事価格に含まれる経費であり、受注者が義務的に負担し

なければならない経費であることを踏まえ、個別の請負契約の当事者間において見積時から

適正に確保するよう徹底し、発注者から下請企業まで適正に支払われるよう関係者がそれぞ

れの立場から取組を行うべき」 ○社会保険未加入対策推進協議会申し合わせ(平成24年6月)(粋)

「法定福利費の原資の確保に向け、発注者から下請企業まで適正に支払われるようそれぞれ

の立場からの取組を行う」 ○社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン(平成24年7月)(粋)

「(8)法定福利費の適正な確保 社会保険の保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、

建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものである。 このため、元請負人及び下請負人は見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保す

る必要がある。 下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示されているにもかかわらず、元請負人が、法

定福利費相当額を一方的に削減したり、法定福利費相当額を含めない金額で建設工事の請負

契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当

該元請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁

止に違反するおそれがある。」

○建設業法令遵守ガイドライン(再改訂)- 元請負人と下請負人の関係に係る留意点 -(平

成24年7月)(粋)

「12-2 社会保険・労働保険について 社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要な制度である。このため、社会

保険、労働保険は強制加入の方式がとられている。

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健康保険と厚生年金保険については、法人の場合にはすべての事業所について、個人経

営の場合でも常時5人以上の従業員を使用する限り、必ず加入手続を行わなければならな

い。また、雇用保険については建設事業主の場合、個人経営か法人かにかかわらず、労働

者を1人でも雇用する限り、必ず加入手続をとらなければならない。 これらの保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、 建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものである。

このため、元請負人及び下請負人は見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保

する必要がある。 下請負人は、見積書に法定福利費相当額を明示すべきであり、下請負人の見積書に法定

福利費相当額が明示されているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費

相当額を一方的に削減したり、法定福利費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を

締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、当該元

請下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止

に違反するおそれがある。 また、社会保険・労働保険への加入は法律で義務づけられているので、保険未加入業者 は、その情状によっては、建設業法第28条第1項第3号の「その業務に関し他の法令に

違反し、建設業者として不適当」に該当するおそれがある。」

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国土建労第11号

平成25年6月7日

別記(主要民間発注者団体) 殿

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

技能労働者の確保に向けた標準見積書の活用等による

法定福利費の確保を通じた社会保険等未加入対策の徹底等について

建設産業においては、近年建設投資の大幅な減少に伴ってダンピング受注が激化し、そ

のしわ寄せが技能労働者の賃金の低下をもたらし、若年入職者が大きく減少する一方、高

齢化が進み、このままでは熟練工から若手への技能承継がなされずに、将来の建設産業自

体の存続が危惧される状況に立ち至っています。人材の育成には一定の期間を要すること

から、今ここで対策を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラの維持・管理にも支

障を生じかねないところです。

このような状況の下、国土交通省では、建設業界を挙げて雇用、健康、厚生年金保険(以

下「社会保険等」という。)の未加入対策を総合的に進めることにより、人材の確保と健

全な競争環境の構築を進めており、その旨は、「建設産業における社会保険加入の徹底に

ついて」(平成 24 年3月 26 日国土建第 342 号・国土建整第 183 号国土交通省土地・建設産

業局長通知)により通知したところです。

また、こうした取り組みを進めるに当たっては、社会保険等に加入するための原資とな

る法定福利費が、発注者から元請企業、下請企業へ、更に個々の技能労働者まで適正に支

払われるようにすることが重要です。

こうしたことから、「法定福利費の確保による社会保険等未加入対策の徹底について」

(平成24年7月23日国土建整第77号国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長通知)

において、建設工事の発注に当たって、

①必要以上の低価格による発注をできる限り避けて、必要な経費を適切に見込んだ価格

による発注を行い、

②発注する工事についての建設作業を担う技能労働者等に係る法定福利費が確保される

よう、見積・入札・契約の際配慮頂く

ことについて、ご理解、ご協力を頂くようお願いしたところです。

さらに、平成 25 年度の公共工事設計労務単価の改定において、社会保険等への加入徹底

の観点から、技能労働者の保険加入に必要な法定福利費相当額を適切に反映し、あわせて

「適正な価格による工事発注について」(平成 25 年3月 29 日国土入企第 38 号国土交通省

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土地・建設産業局長通知)において、適正価格による工事発注と、法定福利費相当額を適切

に含んだ額による契約を求めているところです。

いうまでもなく、社会保険等未加入対策の推進に係る取り組みを実効あるものとするた

めには、建設投資の過半を占める民間発注者各位のご理解とご協力が不可欠です。

このたび、行政、発注者、元請企業、下請企業、建設労働者等の関係者が一体となって

社会保険等未加入問題への対策を進めるための推進体制である社会保険未加入対策推進協

議会の下に設置されている同協議会ワーキンググループにおいて、標準見積書の活用等に

よる法定福利費の確保に向け課題と対応を整理し、申し合わせを行いましたので、以下に

ついて傘下の会員企業各位に情報提供頂くとともに、見積・入札・契約の際に特段の配慮

を頂きますよう、ご理解、ご協力をお願いいたします。

1.社会保険等未加入対策における発注者の協力の必要性

社会保険等への加入は、労働者を雇用する事業者及び労働者にとって法令上の義務で

あり、また、技能労働者に最低限の福利厚生を保障して、若年入職者の確保を図ること

が技能承継を通じた建設産業の持続的発展に不可欠です。

このため、国土交通省直轄の公共工事については、既に平成 24 年4月に行われた現場

管理費率式の見直しにより、事業主が負担すべき法定福利費について、適切に予定価格

に反映されるよう措置するとともに、平成 25 年度の公共工事設計労務単価改定におい

て、技能労働者の加入に必要な社会保険料(本人負担分の法定福利費)相当額が勘案さ

れたところです。

他方、建設投資の過半を占めている民間工事については、「発注者・受注者間における

建設業法令遵守ガイドライン」(以下「受発注者ガイドライン」という。)において、

発注者及び受注者は見積時から法定福利費を必要経費として考慮すべきこととされてい

るところですが、業界全体としてトン単価や平米単価のように総価方式が一般的で労務

費や法定福利費が明確となっていない現状であるために、結果として現場では必要な賃

金や法定福利費が適切に確保されずに就労環境の悪化が進み、必要な人材の確保や納期

の遵守にも苦労する事例が生じている状況です。このため、今後、社会保険等への加入

徹底に向けて民間工事、とりわけ民間建築工事における法定福利費の確保が極めて大き

な課題となっているところです。

発注者の皆様におかれては、社会保険等未加入対策の推進に当たっては、民間工事に

おける皆様の積極的な協力が不可欠であるということを十分ご理解頂き、法定福利費を

含む適正な積算に基づき予定価格を設定するとともに、建設工事の発注に当たって、必

要以上の低価格による発注をできる限り避けて、必要な賃金や法定福利費を適切に見込

んだ価格による発注を行って頂くことについて、改めて、ご理解、ご協力をお願いいた

します。

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2.標準見積書の活用及び総合工事業団体からの要請に対する十分な配慮

4月 18 日に開催された社会保険未加入対策推進協議会ワーキンググループにおいて、

本年9月頃を目途として下請企業から元請企業へ法定福利費を内訳明示した標準見積書

の提出を一斉に開始することについて、申し合わせが行われたところです。これを円滑

に進めるためには、発注者各位の契約実態を踏まえれば、標準見積書の提出時期よりも

数ヶ月前からの見積及び契約締結について、発注者の配慮が必要となると考えられます。

また、今後、総合工事業団体(会員企業が元請企業となり得る専門工事業団体を含む。)

から主な民間発注者団体に対し、受発注者ガイドライン及び「標準見積書の活用等によ

る法定福利費の確保の推進について」(平成 25 年5月 10 日国土建労第7号国土交通省

土地・建設産業局建設市場整備課長通知)等を踏まえて、法定福利費を適正に考慮した金

額により見積及び契約締結を行うよう要請が行われる予定です。

このため、発注者の皆様におかれては、今後の見積及び契約締結に当たり十分配慮を

頂きますようお願いいたします。

3.適正価格による工事発注と適正な工期の設定

近年、技能労働者の減少等に伴い労働需給がひっ迫する傾向が見られますが、特に被

災地を中心として鉄筋工や型枠工の不足が顕著となっており、今後、この傾向が全国的

に拡大することが懸念されるところです。また、他の職種についても、高齢化などいび

つな年齢構成の影響が今後、顕在化するおそれがあります。

このような状況の中、質の高い建設工事の円滑な施工に必要となる技能労働者を確保

するためには、技能労働者に平成 25 年度公共工事設計労務単価を踏まえた適切な賃金水

準を確保することが必要であり、発注者においても工事発注に当たっては、必要な経費

を適切に見込んだ適正価格として頂くことが不可欠となっています。

また、施工の際に例えば鉄筋や型枠工事など軀体工事が遅れたときには、前工程での

遅れが後工程に影響することから、受注者としては後工程の下請企業に納期の確保を強

く求めることとなりますが、無理な工程設定を行うと、却って工事品質の低下をもたら

すおそれがあります。

このため、発注者の皆様におかれては、工事発注を行う際には、受発注者ガイドライ

ンに記載されているとおり、質の高い建設工事を円滑に施工する観点から、あらかじめ

受注者と十分に協議を行って、施工に必要な適正な工期を設定するとともに、工事中に

あっても、やむを得ず工期を変更することが必要となる場合には、受注者に過度な負担

を課すことにならないよう受注者との円滑な協議に努め、必要な期間の確保を検討して

頂くなど、適正な工期の設定につき、十分配慮を頂きますようお願いいたします。

4.会員企業への周知及び団体としての計画的な取り組みの推進

貴団体におかれては、傘下の会員企業に対し、上記1~3の内容について周知頂くと

ともに、貴団体としての計画的な取り組みの推進をお願いいたします。

なお、標準見積書の活用等による法定福利費の確保を含め、社会保険等未加入対策の

推進に係る取り組みを実効あるものとするため、今後、貴団体としての取り組み状況や

取り組みの過程で生じた課題等についてお聞かせ頂くこと等も検討しておりますので、

その際にはご協力頂きますようお願いいたします。

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国 土 建 労 第 7 3 号

平成25年9月26日

別記(建設業団体)宛

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長

法定福利費の内訳明示に係る標準見積書の活用等による建設業における

社会保険等未加入対策の徹底について

建設産業においては、下請企業を中心に、雇用、医療、年金保険(以下「社会保険

等」という。)について、法定福利費を適正に負担しない企業(すなわち保険未加入

企業)が存在し、技能労働者の医療、年金など、いざというときの公的保障が確保さ

れず、若年入職者減少の一因となっているほか、関係法令を遵守して適正に法定福利

費を負担する事業者ほど競争上不利になるという矛盾した状況が生じています。

このような状況を踏まえ、建設産業の関係者を挙げて社会保険未加入問題に対する

総合的な対策を進めているところであり、その趣旨は、「建設産業における社会保険

加入の徹底について」(平成24年3月26日国土建第342号・国土建整第183号国土交通省

土地・建設産業局長通知)等により周知を図ってきたところです。

言うまでもなく、建設産業における社会保険等への加入を徹底するためには、技能

労働者を雇用している下請企業等が、保険料を払うための法定福利費を確保していく

ことが必要不可欠です。

このため、今般、建設業団体や労働組合等の建設業関係団体、国土交通省、厚生労

働省等の関係行政機関、学識経験者等から構成される社会保険未加入対策推進協議会

において、別添「法定福利費の内訳明示に係る標準見積書の活用等による社会保険未

加入対策の更なる推進について」のとおり申し合わせを行い、法定福利費の内訳明示

に係る標準見積書の活用等により法定福利費を確保するための取組を一斉に開始する

こととしたところです。

貴職におかれましては、別添申し合わせの内容を適確に遂行するため、傘下の会員

企業に対し、標準見積書の活用等による法定福利費の確保に向けた取組が適切に行わ

れるよう、適切な指導を行っていただくとともに、会員企業内部において、現場関係

者を含む必要な部署全てに、申し合わせの内容が周知徹底されるようよろしくお願い

いたします。

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別 添

法定福利費の内訳明示に係る標準見積書の活用等による

社会保険未加入対策の更なる推進について

第3回社会保険未加入対策推進協議会の開催に当たり、過去2回の本協

議会における申し合わせを踏まえつつ、法定福利費の内訳明示に係る標準

見積書を活用した社会保険未加入対策の更なる推進について、以下のとお

り申し合わせます。

一.法定福利費の内訳明示に係る標準見積書を活用する趣旨

・ 社会保険の加入を進めるためには、保険料を払うための法定福利費

を確保していくことが必要不可欠であり、標準見積書の活用等により

法定福利費を内訳明示した見積書を提出する取組は、その第一歩とし

て重要です。

・ その上で、私たち行政・元請企業・下請企業・建設労働者等の関係

者は、この取組は、これで元請企業や下請企業が利益を得るような類

のものでは決してなく、就労環境の改善を通じた建設労働者の確保と

事業者間の公平で健全な競争環境を構築するために、保険料本人負担

分とあわせて、法律上必要な費用を流すだけに過ぎないという認識を

改めて共有します。

二.標準見積書の活用等による法定福利費の確保に向けた関係者の具体的

な取組

私たち関係者は、標準見積書の活用等により法定福利費を内訳明示し

た見積書を下請企業から元請企業に対して提出する取組を本日から一

斉に開始するため、関係者が一体となって、社会保険未加入は許さない

との固い決意をもって、以下の取組を進めます。

・ まず、私たち関係者は一体となって、標準見積書の活用等により法

定福利費を内訳明示した見積書を提出する環境づくりにより積極的

に取り組みます。

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・ 元請企業は、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインに基づ

く下請企業への指導を一層徹底するとともに、下請企業との契約に当

たって、標準見積書の活用等により法定福利費を内訳明示した見積書

を提出するよう働き掛け、提出された見積書を尊重します。

・ 下請企業は、標準見積書の活用等により法定福利費を内訳明示した

見積書を元請企業に対して提出して算定根拠を適切に説明し、適正な

法定福利費が確保されるよう取り組むとともに、自社及び外注先の技

能労働者を必要な保険に加入させるよう積極的に取り組みます。

・ 国土交通省等は、主な民間発注者団体、地方公共団体等に対し、標

準見積書の活用等による法定福利費の確保を含め、社会保険未加入対

策の推進に係る取組を実効あるものとするための働き掛けを積極的

に展開します。

三.加入促進計画の着実な実行

・ 推進協議会に加入する私たちは、協議会に提出した各団体の加入促

進計画について、今回のフォローアップ結果を踏まえつつ、着実に

実行するとともに、適時必要な見直しを行います。

・ その際には、他の優れた取組も参考にするとともに、取組の輪を団

体から会員団体や会員企業、関係する会社に広げ、さらにそのトップ

から担当者まで理解を深めていきます。

平成25年9月26日

社会保険未加入対策推進協議会

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建設工事標準下請契約約款

昭和52年4月26日

中央建設業審議会決定

改正 平成 元年 1月24日平成 9年 1月21日平成12年10月 2日平成13年 3月 1日平成14年 2月12日平成15年 2月10日平成15年10月31日平成22年 7月26日

[注1]この約款は、第一次下請段階における標準的な工事請負契約を念頭において、下請段階における請負

契約の標準的約款として作成されたものである。

[注2]個々の契約に当たっては、建設工事の種類、規模等に応じ契約の慣行又は施工の実態からみて必要が

あるときは、当該条項を削除し、又は変更するものとすること。この場合において、契約における元

請負人及び下請負人の対等性の確保、責任範囲その他契約内容の明確化に留意すること。

建 設 工 事 下 請 契 約 書

1 工 事 名

2 工 事 場 所

3 工 期 着工 平成 年 月 日

完成 平成 年 月 日

注 工期は、下請負人の施工期間とすること。

4 請負代金額

(うち取引に係る消費税及び地方消費税の額 )

注 ( )の部分は、下請負人が課税業者である場合に使用する。

5 請負代金の支払の時期及び方法

支払時期(額)

(1) 前 金 払 契約締結後 日以内に 現金・手形の別又は割合

万円

(2) 部 分 払 〇 月 日締切 現金・手形=〇・〇

翌 月 日支払

(3) 引渡し時 請求後 日以内 手形期間 日

の支払い

注 労務費に見合う額については、原則として現金払とすること。

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(2)部分払の〇には毎、隔等を記入する。

6 調停人

注 元請負人及び下請負人が調停人を定めない場合には、削除する。

7 その他

注 この工事が、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)第九

条第一項に規定する対象建設工事の場合は、(1)解体工事に要する費用、(2)再資源化等に要する

費用、(3)分別解体等の方法、(4)再資源化等をする施設の名称及び所在地についてそれぞれ記入

する。

発注者〇〇による〇〇工事のうち、上記の工事について、元請負人及び下請負人は、

各々対等な立場における合意に基づき、別添の条項によってこの請負契約を締結し、信

義に従って誠実にこれを履行する。この契約の証として、本書〇通を作り、元請負人及

び下請負人(及び保証人)が記名押印して、各自一通を保有する。

平成 年 月 日

元請負人 住所 氏名

(金銭保証人 〃 )

下請負人 〃

(金銭保証人 〃 )

注 ( )は金銭保証人を立てる場合に使用する。

(総則)

第一条 元請負人及び下請負人は、この約款(契約書を含む。以下同じ。)に基づき、設

計図書(別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以

下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この約款及び設計図書を内容と

する工事の請負契約をいい、その内容を変更した場合を含む。以下同じ。)を履行する。

2 この約款の各条項に基づく協議、承諾、通知、指示、請求等は、この約款に別に定め

るもののほか原則として、書面により行う。

3 元請負人は、下請負人に対し、建設業法(昭和二十四年法律第百号)その他工事の施

工、労働者の使用等に関する法令に基づき必要な指示、指導を行い、下請負人はこれに

従う。

4 労働災害補償保険の加入は〇が行う。

注 〇は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」(昭和四十四年法律第八十四号)に基づく

加入の実情に合わせて記入する。

(請負代金内訳書及び工程表)

第二条 下請負人は設計図書に基づく請負代金内訳書、工事計画書及び工程表を作成し、

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契約締結後速やかに元請負人に提出して、その承認を受ける。

(関連工事との調整)

第三条 元請負人は、契約書記載の工事(以下「この工事」という。)を含む元請工事(元

請負人と発注者との間の請負契約による工事をいう。)を円滑に完成するため関連工事

(元請工事のうちこの工事の施工上関連のある工事をいう。以下この条において同じ。

)との調整を図り、必要がある場合は、下請負人に対して指示を行う。この場合にお

いてこの工事の内容を変更し、又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止したとき

は、元請負人と下請負人とが協議して工期又は請負代金額を変更できる。

2 下請負人は関連工事の施工者と緊密に連絡協調を図り、元請工事の円滑な完成に協力

する。

(契約保証人)

第四条 金銭保証人は、当該金銭保証人を立てた元請負人又は下請負人の債務の不履行に

より生ずる損害金の支払を行う。

注 金銭保証人を立てる場合に使用する。

(権利義務の譲渡)

第五条 元請負人及び下請負人は、相手方の書面による承諾を得なければ、この契約によ

り生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させることはできない。

注 承諾を行う場合としては、たとえば、下請負人が工事に係る請負代金債権を担保として資金

を借り入れようとする場合(下請負人が、「下請セーフティネット債務保証事業」(平成十一年

一月二十八日建設省経振発第八号)により資金を借り入れようとする等の場合)が該当する。

2 元請負人及び下請負人は、相手方の書面による承諾を得なければ、この契約の目的物

並びに検査済の工事材料及び建築設備の機器(いずれも製造工場等にある製品を含む。

以下同じ。)を第三者に譲渡し、若しくは貸与し、又は抵当権その他の担保の目的に供

することはできない。

(一括委任又は一括下請負の禁止)

第六条 下請負人は、一括してこの工事の全部又は一部を第三者に委任し又は請け負わせ

てはならない。ただし、公共工事及び共同住宅の新築工事以外の工事で、かつ、あらか

じめ発注者及び元請負人の書面による承諾を得た場合は、この限りでない。

(関係事項の通知)

第七条 下請負人は、元請負人に対して、この工事に関し、次の各号に掲げる事項をこの

契約締結後遅滞なく書面をもって通知する。

一 現場代理人及び主任技術者の氏名

二 雇用管理責任者の氏名

三 安全管理者の氏名

四 工事現場において使用する一日当たり平均作業員数

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五 工事現場において使用する作業員に対する賃金支払の方法

六 その他元請負人が工事の適正な施工を確保するため必要と認めて指示する事項

2 下請負人は、元請負人に対して、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、

遅滞なく書面をもってその旨を通知する。

(下請負人の関係事項の通知)

第八条 下請負人がこの工事の全部又は一部を第三者に委任し、又は請け負わせた場合、

下請負人は、元請負人に対して、その契約(その契約に係る工事が数次の契約によって

行われるときは、次のすべての契約を含む。)に関し、次の各号に掲げる事項を遅滞な

く書面をもって通知する。

一 受任者又は請負者の氏名及び住所(法人であるときは、名称及び工事を担当する営

業所の所在地)

二 建設業の許可番号

三 現場代理人及び主任技術者の氏名

四 雇用管理責任者の氏名

五 安全管理者の氏名

六 工事の種類及び内容

七 工期

八 受任者又は請負者が工事現場において使用する一日当たり平均作業員数

九 受任者又は請負者が工事現場において使用する作業員に対する賃金支払の方法

十 その他元請負人が工事の適正な施工を確保するため必要と認めて指示する事項

2 下請負人は、元請負人に対して、前項各号に掲げる事項について変更があったときは、

遅滞なく書面をもってその旨を通知する。

(監督員)

第九条 元請負人は、監督員を定めたときは、書面をもってその氏名を下請負人に通知す

る。

2 監督員は、この約款の他の条項に定めるもの及びこの約款に基づく元請負人の権限と

される事項のうち、元請負人が必要と認めて監督員に委任したもののほか、設計図書で

定めるところにより、次に掲げる権限を有する。

一 契約の履行についての下請負人又は下請負人の現場代理人に対する指示、承諾又

は協議

二 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は下請負人が作

成したこれらの図書の承諾

三 設計図書に基づく工程の管理、立会い、工事の施工の状況の検査又は工事材料の

試験若しくは検査

3 元請負人は、監督員にこの約款に基づく元請負人の権限の一部を委任したときはその

委任した権限の内容を、二名以上の監督員を置き前項の権限を分担させたときは、それ

ぞれの監督員の有する権限の内容を、書面をもって下請負人に通知する。

4 元請負人が第一項の監督員を定めないときは、この約款に定められた監督員の権限は、

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元請負人が行う。

(現場代理人及び主任技術者)

第十条 現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを

行うほか、この約款に基づく下請負人の一切の権限(請負代金額の変更、請負代金の請

求及び受領、工事関係者に関する措置請求並びにこの契約の解除に係るものを除く。)

を行使する。ただし、現場代理人の権限については、下請負人が特別に委任し、又は制

限したときは、元請負人の承諾を要する。

2 元請負人は、前項の規定にかかわらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り

及び権限の行使に支障がなく、かつ、元請負人との連絡体制が確保されると認めた場合

には、現場代理人について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。

3 主任技術者は工事現場における工事施工の技術上の管理をつかさどる。

4 現場代理人と主任技術者とはこれを兼ねることができる。

(工事関係者に関する措置請求)

第十一条 元請負人は、現場代理人、主任技術者、その他下請負人が工事を施工するため

に使用している請負者、作業員等で、工事の施工又は管理につき著しく不適当と認めら

れるものがあるときは、下請負人に対して、その理由を明示した書面をもって、必要な

措置をとるべきことを求めることができる。

2 下請負人は、監督員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは、元請

負人に対してその理由を明示した書面をもって、必要な措置をとるべきことを求めるこ

とができる。

3 元請負人又は下請負人は、前二項の規定による請求があったときは、その請求に係る

事項について決定し、その結果を相手方に通知する。

(工事材料の品質及び検査)

第十二条 工事材料につき設計図書にその品質が明示されていないものは、中等の品質を

有するものとする。

2 下請負人は、工事材料については、使用前に監督員の検査に合格したものを使用する。

3 監督員は、下請負人から前項の検査を求められたときは、遅滞なくこれに応ずる。

4 下請負人は、工事現場内に搬入した工事材料を監督員の承諾を受けないで工事現場外

に搬出しない。

5 下請負人は、前項の規定にかかわらず、検査の結果不合格と決定された工事材料につ

いては遅滞なく工事現場外に搬出する。

6 前四項の規定は、建設機械器具についても準用する。

(監督員の立会い及び工事記録の整備)

第十三条 下請負人は、調合を要する工事材料については、監督員の立会いを受けて調合

し、又は見本検査に合格したものを使用する。

2 下請負人は、水中の工事又は地下に埋設する工事その他施工後外面から明視すること

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のできない工事については、監督員の立会いを受けて施工する。

3 監督員は下請負人から前二項の立会い又は見本検査を求められたときは、遅滞なくこ

れに応ずる。

4 下請負人は、設計図書において見本又は工事写真等の記録を整備すべきものと指定さ

れた工事材料の調合又は工事の施工をするときは、設計図書で定めるところによりその

見本又は工事写真等の記録を整備し、監督員の要求があったときは、遅滞なくこれを提

出する。

(支給材料及び貸与品)

第十四条 元請負人から下請負人への支給材料及び貸与品の品名、数量、品質、規格、性

能、引渡し場所、引渡し時期、返還場所又は返還時期は、設計図書に定めるところによ

る。

2 工程の変更により引渡し時期及び返還時期を変更する必要があると認められるとき

は、元請負人と下請負人とが協議して、これを変更する。この場合において、必要があ

ると認められるときは、工期又は請負代金額を変更する。

3 監督員は、支給材料及び貸与品を、下請負人の立会いの上検査して引き渡す。この場

合において、下請負人は、その品質、規格又は性能が設計図書の定めと異なり、又は使

用に適当でないと認めたときは、遅滞なくその旨を書面をもって元請負人又は監督員に

通知する。

4 元請負人は、下請負人から前項後段の規定による通知(監督員に対する通知を含む。)

を受けた場合において、必要があると認めるときは、設計図書で定める品質、規格若し

くは性能を有する他の支給材料若しくは貸与品を引渡し、又は支給材料若しくは貸与品

の品質、規格等の変更を行うことができる。この場合において、必要があると認められ

るときは、元請負人と下請負人とが協議して、工期又は請負代金額を変更する。

5 下請負人は、支給材料及び貸与品を善良な管理者の注意をもって、使用及び保管し、

下請負人の故意又は過失によって支給材料又は貸与品が滅失若しくはき損し、又はその

返還が不可能となったときは、元請負人の指定した期間内に原状に復し、若しくは代品

を納め、又はその損害を賠償する。

6 下請負人は、支給材料又は貸与品の引渡しを受けた後第三項の検査により発見するこ

とが困難であった隠れた瑕疵があり、使用に適当でないと認められるときは、遅滞なく

監督員にその旨を通知する。この場合においては、第四項の規定を準用する。

(設計図書不適合の場合の改造義務)

第十五条 下請負人は、工事の施工が設計図書に適合しない場合において、監督員がその

改造を請求したときは、これに従う。ただし、その不適合が監督員の指示による等元請

負人の責めに帰すべき理由によるときは、改造に要する費用は元請負人が負担する。こ

の場合において、必要があると認められるときは、元請負人と下請負人とが協議して、

工期を変更する。

(条件変更等)

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第十六条 下請負人は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見

したときは、直ちに書面をもってその旨を監督員に通知し、その確認を求める。

一 設計図書と工事現場の状態とが一致しないこと。

二 設計図書の表示が明確でないこと(図面と仕様書が交互符合しないこと及び設計図

書に誤謬又は脱漏があることを含む。)。

三 工事現場の地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人

為的な施工条件が実際と相違すること。

四 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態

が生じたこと。

2 監督員は、前項の確認を求められたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したと

きは、直ちに調査を行い、その結果(これに対してとるべき措置を指示する必要がある

ときは、その指示を含む。)を書面をもって下請負人に通知する。

3 第一項各号に掲げる事実が元請負人と下請負人との間において確認された場合におい

て、必要があると認められるときは、設計図書を訂正し、又は工事内容、工期若しくは

請負代金額を変更する。この場合において、工期又は請負代金額の変更については、元

請負人と下請負人とが協議して定める。

(工事の変更及び中止等)

第十七条 元請負人は、必要があると認めるときは、書面をもって下請負人に通知し、工

事内容を変更し、又は工事の全部若しくは一部の施工を一時中止させることができる。

この場合において、必要があると認められるときは、元請負人と下請負人とが協議して、

工期又は請負代金額を変更する。

2 工事用地等の確保ができない等のため又は天災その他の不可抗力により工事目的物等

に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、下請負人が工事を施工できない

と認められるときは、元請負人は、工事の全部又は一部の施工を中止させる。この場合

において、必要があると認められるときは、元請負人と下請負人とが協議して、工期又

は請負代金額を変更する。

3 元請負人は、前二項の場合において、下請負人が工事の続行に備え工事現場を維持し、

若しくは作業員、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止

に伴う増加費用を必要とし、又は下請負人に損害を及ぼしたときは、その増加費用を負

担し、又はその損害を賠償する。この場合における負担額又は賠償額は、元請負人と下

請負人とが協議して定める。

(下請負人の請求による工期の延長)

第十八条 下請負人は、天候の不良等その責めに帰することができない理由その他の正当

な理由により工期内に工事を完成することができないときは、元請負人に対して、遅滞

なくその理由を明らかにした書面をもって工期の延長を求めることができる。この場合

における延長日数は、元請負人と下請負人とが協議して定める。

2 前項の規定により工期を延長する場合において、必要があると認められるときは、元

請負人と下請負人とが協議して請負代金額を変更する。

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(元請負人の請求による工期の短縮等)

第十九条 元請負人は、特別の理由により工期を短縮する必要があるときは、下請負人に

対して書面をもって工期の短縮を求めることができる。この場合における短縮日数は、

元請負人と下請負人とが協議して定める。

2 この約款の他の条項の規定により工期を延長すべき場合において、特別の理由がある

ときは、元請負人と下請負人とが協議の上通常必要とされる工期の延長を行わないこと

ができる。

3 前二項の場合において、必要があると認められるときは、元請負人と下請負人とが協

議して請負代金額を変更する。

(賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更)

第二十条 工期内に賃金又は物価の変動により請負代金額が不適当となり、これを変更す

る必要があると認められるときは、元請負人と下請負人とが協議して請負代金額を変更

する。

2 元請負人と発注者との間の請負契約において、この工事を含む元請工事の部分につい

て、賃金又は物価の変動を理由にして請負代金額が変更されたときは、元請負人又は下

請負人は、相手方に対し、前項の協議を求めることができる。

(臨機の措置)

第二十一条 下請負人は、災害防止等のため必要があると認められるときは、元請負人に

協力して臨機の措置をとる。

2 下請負人が前項の規定により臨機の措置をとった場合において、その措置に要した費

用のうち、下請負人が請負代金額の範囲内において負担することが適当でないと認めら

れる部分については、元請負人がこれを負担する。この場合における元請負人の負担額

は、元請負人と下請負人とが協議して定める。

(一般的損害)

第二十二条 工事目的物の引渡し前に、工事目的物又は工事材料について生じた損害その

他工事の施工に関して生じた損害(この契約において別に定める損害を除く。)は、下

請負人の負担とする。ただし、その損害のうち元請負人の責めに帰すべき理由により生

じたものについては、元請負人がこれを負担する。

(第三者に及ぼした損害)

第二十三条 この工事の施工について第三者(この工事に関係する他の工事の請負人等を

含む。以下この条において同じ。)に損害を及ぼしたときは、下請負人がその損害を負

担する。ただし、その損害のうち元請負人の責めに帰すべき理由により生じたもの及び

工事の施工に伴い通常避けることができない事象により生じたものについては、この限

りでない。

2 前項の場合その他工事の施工について第三者との間に紛争を生じた場合においては、

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元請負人及び下請負人が協力してその処理解決に当たる。

(天災その他不可抗力による損害)

第二十四条 天災その他不可抗力によって、工事の出来形部分、現場の工事仮設物、現場

搬入済の工事材料又は建設機械器具(いずれも元請負人が確認したものに限る。)に損

害を生じたときは、下請負人が善良な管理者の注意を怠ったことに基づく部分を除き、

元請負人がこれを負担する。

2 損害額は、次の各号に掲げる損害につき、それぞれ当該各号に定めるところにより、

元請負人と下請負人とが協議して定める。

一 工事の出来形部分に関する損害

損害を受けた出来形部分に相応する請負代金額とし、残存価値がある場合にはその

評価額を差し引いた額とする。

二 工事材料に関する損害

損害を受けた工事材料に相応する請負代金額とし、残存価値がある場合にはその評

価額を差し引いた額とする。

三 工事仮設物又は建設機械器具に関する損害

損害を受けた工事仮設物又は建設機械器具について、この工事で償却することとし

ている償却費の額から損害を受けた時点における出来形部分に相応する償却費の額を

差し引いた額とする。ただし、修繕によりその機能を回復することができ、かつ、修

繕費の額が上記の額より少額であるものについては、その修繕費の額とする。

3 第一項の規定により、元請負人が損害を負担する場合において、保険その他損害をて

ん補するものがあるときは、その額を損害額から控除する。

4 天災その他の不可抗力によって生じた損害の取片付けに要する費用は、元請負人がこ

れを負担する。この場合における負担額は、元請負人と下請負人とが協議して定める。

(検査及び引渡し)

第二十五条 下請負人は、工事が完成したときは、その旨を書面をもって元請負人に通知

する。

2 元請負人は、前項の通知を受けたときは、遅滞なく下請負人の立会いの上工事の完成

を確認するための検査を行う。この場合、元請負人は、当該検査の結果を書面をもって

下請負人に通知する。

3 元請負人は、前項の検査によって工事の完成を確認した後、下請負人が書面をもって

引渡しを申し出たときは、直ちに工事目的物の引渡しを受ける。

4 元請負人は、下請負人が前項の申出を行わないときは、請負代金の支払の完了と同時

に工事目的物の引渡しを求めることができる。この場合においては、下請負人は、直ち

にその引渡しをする。

5 下請負人は、工事が第二項の検査に合格しないときは、遅滞なくこれを修補して元請

負人の検査を受ける。この場合においては、修補の完了を工事の完成とみなして前四項

の規定を適用する。

6 下請負人が第三項の引渡しを申し出たにもかかわらず元請負人が受けないときは、引

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- 10 -

渡しまでに要する費用は元請負人が負担する。

(部分使用)

第二十六条 元請負人は、前条第三項の規定による引渡し前においても、工事目的物の全

部又は一部を下請負人の同意を得て使用することができる。

2 前項の場合においては、元請負人は、その使用部分を善良な管理者の注意をもって使

用する。

3 元請負人は、第一項の規定による使用により、下請負人に損害を及ぼし、又は下請負

人の費用が増加したときは、その損害を賠償し、又は増加費用を負担する。この場合に

おける賠償額又は負担額は、元請負人と下請負人とが協議して定める。

(部分引渡し)

第二十七条 工事目的物について、元請負人が設計図書において工事の完成に先だって引

渡しを受けるべきことを指定した部分(以下「指定部分」という。)がある場合におい

て、その部分の工事が完了したときは、第二十五条(検査及び引渡し)中「工事」とあ

るのは「指定部分に係る工事」と、第三十一条(引渡し時の支払い)中「請負代金」と

あるのは「指定部分に相応する請負代金」と読み替えて、これらの規定を準用する。

(請負代金の支払方法及び時期)

第二十八条 この契約に基づく請負代金の支払方法及び時期については、契約書の定める

ところによる。

2 元請負人は、契約書の定めにかかわらず、やむを得ない場合には、下請負人の同意を

得て請負代金支払いの時期又は支払方法を変更することができる。

3 前項の場合において、元請負人は下請負人が負担した費用又は下請負人が被った損害

を賠償する。

(前金払)

第二十九条 下請負人は、契約書の定めるところにより元請負人に対して請負代金につい

ての前払を請求することができる。

(部分払)

第三十条 下請負人は、出来形部分並びに工事現場に搬入した工事材料〔及び製造工事等

にある工場製品〕(監督員の検査に合格したものに限る。)に相応する請負代金相当額

の十分の〇以内の額について、契約書の定めるところにより、その部分払を請求するこ

とができる。

注 部分払の対象とすべき工場製品がないときは〔〕の部分を削除する。(第二項についても同じ。)

〇は九以上の数字を記入する。(第四項についても同じ。)

2 下請負人は部分払を請求しようとするときは、あらかじめ、その請求に係る工事の出

来形部分、工事現場に搬入した工事材料〔又は製造工場等にある工場製品〕の確認を求

める。この場合において、元請負人は、その確認を行い、その結果を下請負人に通知す

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- 11 -

る。

3 元請負人は、第一項の規定による請求を受けたときは、契約書の定めるところにより

部分払を行う。

4 前払金の支払いを受けている場合においては、第一項の請求額は次の式によって算出

する。

請求額=第一項の請負代金相当額×((請負代金額-受領済前払金額)/請負代金額)

×(〇/ 10)5 第三項の規定により部分払金の支払いがあった後、再度部分払の請求をする場合にお

いては、第一項及び前項中「請負代金相当額」とあるのは「請負代金相当額から既に部

分払の対象となった請負代金相当額を控除した額」とする。

(引渡し時の支払い)

第三十一条 下請負人は、第二十五条(検査及び引渡し)第二項の検査に合格したときは、

引渡しと同時に書面をもって請負代金の支払いを請求することができる。

2 元請負人は、前項の規定による請求を受けたときは、契約書の定めるところにより、

請負代金を支払う。

(部分払金等の不払に対する下請負人の工事中止)

第三十二条 下請負人は、元請負人が前払金又は部分払金の支払いを遅延し、相当の期間

を定めてその支払いを求めたにもかかわらず支払いをしないときは、工事の全部又は一

部の施工を一時中止することができる。この場合において、下請負人は、遅滞なくその

理由を明示した書面をもってその旨を元請負人に通知する。

2 第十七条(工事の変更及び中止等)第三項の規定は、前項の規定により下請負人が工

事の施工を中止した場合について準用する。

(瑕疵担保)

第三十三条(a) 工事目的物に瑕疵があるときは、元請負人は、下請負人に対して相当

の期間を定めてその瑕疵の修補を請求し、又は修補に代え若しくは修補とともに損害の

賠償を請求することができる。ただし、瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の

費用を要するときは、元請負人は、修補を請求することができない。

注 (a)又は(b)を選択して使用する。

2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償を請求することができる期間は、第二十五

条(検査及び引渡し)第三項(第二十七条(部分引渡し)において準用する場合を含む。)

の規定による引渡しを受けた日から〇年以内とする。ただし、その瑕疵が下請負人の故

意又は重大な過失によって生じた場合は、当該請求をすることのできる期間は〇年とす

る。

注 〇の部分には原則として元請契約における瑕疵担保責任の期限に相応する数字を記入する。

3 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第

九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の

品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部

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分の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害

賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。

4 工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、元請負人は、前二項に定

める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に限り、第一項の権利を行使

することができる。

5 第一項の規定は、工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は元請負人若しくは監督員の

指示等により生じたものであるときは、これを適用しない。

第三十三条(b) 工事目的物に瑕疵があり、その瑕疵が下請負人の責めに帰すべき理由に

より生じたものであるときは、元請負人は、下請負人に対して相当の期間を定めてその

瑕疵の修補(工事目的物の範囲に限る。)を請求し、又は修補に代え若しくは修補とと

もに損害の賠償(工事目的物の範囲に限る。)を請求することができる。ただし、瑕疵

が重要でなく、かつ、その修補に過分の費用を要するときは、元請負人は、修補を請求

することができない。

注 (a)又は(b)を選択して使用する。

2 前項の規定による瑕疵の修補又は損害賠償を請求することができる期間は、第二十五

条(検査及び引渡し)第三項(第二十七条(部分引渡し)において準用する場合を含む。)

の規定による引渡しを受けた日から〇年以内とする。ただし、その瑕疵が下請負人の故

意又は重大な過失によって生じた場合は、当該請求をすることのできる期間は〇年とす

る。

注 〇の部分に原則として元請契約における瑕疵担保責任の期限に相応する数字を記入する。

3 この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第

九十四条第一項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の

品質確保の促進等に関する法律施行令(平成十二年政令第六十四号)第五条に定める部

分の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について修補又は損害

賠償の請求を行うことのできる期間は、十年とする。

4 工事目的物が第一項の瑕疵により滅失又はき損したときは、元請負人は、前二項に定

める期間内で、かつ、その滅失又はき損の日から六月以内に限り、第一項の権利を行使

することができる。

(履行遅滞の場合における損害金)

第三十四条 下請負人の責めに帰すべき理由により工期内に工事を完成することができな

い場合において、工期経過後相当の期間内に完成する見込みのあるときは、元請負人は、

下請負人から損害金を徴収して工期を延長することができる。

2 前項の損害金の額は、請負代金額から出来形部分に相当する請負代金額を控除した額

につき、遅延日数に応じ、年〇パーセントの割合で計算した額とする。

3 元請負人の責めに帰すべき理由により、第二十九条(前金払)、第三十条(部分払)

第三項又は第三十一条(引渡し時の支払い)第二項(第二十七条(部分引渡し)において

準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による請負代金の支払いが遅れ

た場合においては、下請負人は、未受領金額につき、遅延日数に応じ、第二十九条の規定

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による請負代金にあっては年〇パーセント、第三十条第三項又は第三十一条第二項の規定

による請負代金にあっては年〇パーセントの割合で計算した額の遅延利息の支払いを元請

負人に請求することができる。

(元請負人の解除権)

第三十五条 元請負人は、下請負人が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を

解除することができる。

一 正当な理由がないのに、工事に着手すべき時期を過ぎても、工事に着手しないとき。

二 その責めに帰すべき理由により工期内又は工期経過後相当期間内に工事を完成する

見込がないと明らかに認められるとき。

三 前二号に掲げる場合のほか、この契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を

達することができないと認められるとき。

四 第三十七条(下請負人の解除権)第一項の規定によらないでこの契約の解除を申し

出たとき。

2 元請負人は、前項の規定によりこの契約を解除したときは、工事の出来形部分及び部

分払の対象となった工事材料の引渡しを受ける。ただし、その出来形部分が設計図書に

適合しない場合は、その引渡しを受けないことができる。

3 元請負人は前項の引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた出来形部分及び工事材

料に相応する請負代金を下請負人に支払う。

4 前項の場合において、第二十九条(前金払)の規定による前払金があったときは、そ

の前払金の額(第三十条(部分払)の規定による部分払をしているときは、その部分払

において償却した前払金の額を控除した額)を同項の出来形部分及び工事材料に相応す

る請負代金額から控除する。この場合において、受領済みの前払金額になお余剰がある

ときは、下請負人は、その余剰額に前払金の支払の日から返還の日までの日数に応じ、

年〇パーセントの割合で計算した額の利息を付して元請負人に返還する。

5 元請負人は、第一項の規定によりこの契約を解除した場合において、下請負人に対し

てその解除により生じた損害の賠償を求めることができる。この場合における賠償額は、

元請負人と下請負人とが協議して定める。

第三十六条 元請負人は、工事が完成しない間は、前条第一項に規定する場合のほか必要

があるときは、この契約を解除することができる。

2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定によりこの契約を解除した場合に準

用する。ただし、同条第四項の規定のうち利息に関する部分は、準用しない。

3 元請負人は、第一項の規定によりこの契約を解除した場合において、これにより下請

負人に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償する。この場合における賠償額は、元請

負人と下請負人とが協議して定める。

(下請負人の解除権)

第三十七条 下請負人は、次の各号のいずれかに該当する理由のあるときは、この契約を

解除することができる。

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一 第十七条(工事の変更及び中止等)第一項の規定により工事内容を変更したため請

負代金額が十分の〇以上減少したとき。

注 〇の部分には、たとえば、六と記入する。

二 第十七条第一項の規定による工事の施工の中止期間の〇を超えたとき。ただし、中

止が工事の一部のみの場合は、その一部を除いた他の部分の工事が完了した後〇月を

経過しても、なおその中止が解除されないとき。

注 ただし書き以外の部分の〇には、たとえば工期の二分の一の期間又は六カ月のいずれか短い

期間を、ただし書きの〇には、たとえば三と記入する。

三 元請負人がこの契約に違反し、その違反によって工事を完成することが困難となっ

たとき。

四 元請負人が請負代金の支払い能力を欠くと認められるとき。

2 第三十五条(元請負人の解除権)第二項から第四項までの規定は、前項の規定により

この契約が解除された場合に準用する。ただし、同条第四項の規定のうち利息に関する

部分は、準用しない。

3 下請負人は、第一項の規定により、この契約を解除した場合において、これにより損

害を受けたときは、その損害の賠償を元請負人に対して請求することができる。この場

合における賠償額は、元請負人と下請負人とが協議して定める。

(解除に伴う措置)

第三十八条 この契約が解除された場合においては、元請負人及び下請負人は前三条によ

るほか、相手方を原状に回復する。

(紛争の解決)

第三十九条(A) この約款の各条項において元請負人と下請負人とが協議して定めるも

のにつき協議が整わない場合その他この契約に関して元請負人と下請負人との間に紛争

を生じた場合には、契約書記載の調停人又は建設業法による建設工事紛争審査会(以下

「審査会」という。)のあっせん又は調停により解決を図る。

2 元請負人又は下請負人は、前項のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがな

いと認めたときは、同項の規定にかかわらず、仲裁合意書に基づき、審査会の仲裁に付

し、その仲裁判断に服する。

3 元請負人又は下請負人は、申し出により、この約款の各条項の規定により行う元請負

人と下請負人との間の協議に第一項の調停人を立ち会わせ、当該協議が円滑に整うよう

必要な助言又は意見を求めることができる。

4 前項の規定により調停人の立会いのもとで行われた協議が整わなかったときに元請負

人が定めたものに下請負人が不服がある場合で、元請負人又は下請負人の一方又は双方

が第一項の調停人のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがないと認めたとき

は、同項の規定にかかわらず、元請負人及び下請負人は、審査会のあっせん又は調停に

よりその解決を図る。

注 第三項及び第四項は、調停人を協議に参加させない場合には、削除する。

第三十九条(B) この約款の各条項において元請負人と下請負人とが協議して定めるも

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のにつき協議が整わない場合その他この契約に関して元請負人と下請負人との間に紛争

を生じた場合には、建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)の

あっせん又は調停により解決を図る。

2 元請負人又は下請負人は、前項のあっせん又は調停により紛争を解決する見込みがな

いと認めたときは、同項の規定にかかわらず、仲裁合意書に基づき、審査会の仲裁に付

し、その仲裁判断に服する。

注 (B)は、あらかじめ調停人を選任せず、建設業法による建設工事紛争審査会により紛争の

解決を図る場合に使用する。

(情報通信の技術を利用する方法)

第四十条 この約款において書面により行わなければならないこととされている承諾、通

知、請求等は、建設業法その他の法令に違反していない限りにおいて、電子情報処理組

織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて行うことができる。

ただし、当該方法は書面の交付に準ずるものでなければならない。

(補則)

第四十一条 この約款に定めのない事項については、必要に応じ元請負人と下請負人とが

協議して定める。

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〔別添〕

[裏面参照の上建設工事紛争審査会の仲裁に付することに合意する場合に使用する。]

仲 裁 合 意 書

工 事 名

工 事 場 所

平成 年 月 日に締結した上記建設工事の請負契約に関する紛争に

ついては、発注者及び受注者は、建設業法に規定する下記の建設工事紛争審査会の仲

裁に付し、その仲裁判断に服する。

管轄審査会名 建設工事紛争審査会

[管轄審査会名が記入されていない場合は建設業法第二十五条の九第一項又は第二項に

定める建設工事紛争審査会を管轄審査会とする。]

平成 年 月 日

発注者 印

受注者 印

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〔裏面〕

仲裁合意書について

(一) 仲裁合意について

仲裁合意とは、裁判所への訴訟に代えて、紛争の解決を仲裁人に委ねることを約す

る当事者間の契約である。

仲裁手続によってなされる仲裁判断は、裁判上の確定判決と同一の効力を有し、た

とえその仲裁判断の内容に不服があっても、その内容を裁判所で争うことはできない。

ただし、消費者である発注者は、請負者との間に成立した仲裁合意を解除すること

ができる。また、事業者の申立てによる仲裁手続の第一回口頭審理期日において、消

費者(発注者)である当時者が出頭せず、又は解除権を放棄する旨の意思を明示しな

いときは、仲裁合意を解除したものとみなされる。

(二) 建設工事紛争審査会について

建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)は、建設工事の請負契約に関する

紛争の解決を図るため建設業法に基づいて設置されており、同法の規定により、あっ

せん、調停及び仲裁を行う権限を有している。また、中央建設工事紛争審査会(以下

「中央審査会」という。)は、国土交通省に、都道府県建設工事紛争審査会(以下「都

道府県審査会」という。)は各都道府県にそれぞれ設置されている。審査会の管轄は、

原則として、受注者が国土交通大臣の許可を受けた建設業者であるときは中央審査会、

都道府県知事の許可を受けた建設業者であるときは当該都道府県審査会であるが、当

事者の合意によって管轄審査会を定めることもできる。

審査会による仲裁は、三人の仲裁委員が行い、仲裁委員は、審査会の委員又は特別

委員のうちから当事者が合意によって選定した者につき、審査会の会長が指名する。

また、仲裁委員のうち少なくとも一人は、弁護士法の規定により弁護士となる資格を

有する者である。

なお、審査会における仲裁手続は、建設業法に特別の定めがある場合を除き、仲裁

法の規定が適用される。

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中央建設工事紛争審査会における建設工事紛争処理手続の手引

目 次

ページ

Ⅰ.建設工事紛争審査会のあらまし 1

Ⅱ.紛争処理手続の流れ 5

Ⅲ.紛争処理に要する費用 7

Ⅳ.紛争処理の申請方法 9

V.申請書記載例 11

Ⅵ.答弁書記載例 16

Ⅶ.委任状記載例 19

Ⅷ.建設工事紛争審査会事務局の 20住所・電話番号一覧

Ⅸ.中央建設工事紛争審査会案内図 22

平 成 2 6 年 4 月

中央建設工事紛争審査会事務局

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Ⅰ.建設工事紛争審査会のあらまし

1.審査会の目的

建設工事の請負契約をめぐる紛争の解決には、建設工事に関する技術、行政、商慣

行などの専門的知識が必要になることが少なくありません。

建設工事紛争審査会は、こうした建設工事の請負契約をめぐる紛争につき、専門家

による迅速かつ簡便な解決を図ることを目的として、建設業法に基づき、国土交通省

(中央建設工事紛争審査会)及び各都道府県(都道府県建設工事紛争審査会)に設置

されています。

審査会は、原則として当事者双方の主張・証拠に基づき、民事紛争の解決を行う準司法

的機関であって、建設業者を指導監督する機関や技術的鑑定を行う機関ではありません。

2.審査会の委員

審査会の委員は、弁謙士を中心にした法律委員と、建築・土木・電気・設備など

の各技術分野の学識経験者や建設行政の経験者などの専門委員から構成されており、

専門的、かつ、公正・中立の立場で紛争の解決に当たります。

3.審査会の取り扱う事件

審査会は、当事者の一方又は双方が建設業者である場合の紛争のうち工事の瑕疵

(不具合)、請負代金の未払いなどのような「工事請負契約」の解釈又は実施をめ

ぐる紛争の処理を行います。

したがって、不動産の売買に関する紛争、専ら設計に関する紛争、工事に伴う近

隣者との紛争、直接契約関係にない元請・孫請間の紛争などは取り扱うことができ

ません。

4.紛争処理の方法

審査会は、「あっせん」、「調停」又は「仲裁」のいずれかの手続によって紛争の

解決を図ります。申請人は、事件の性質、解決の難易、緊急性などを判断して、そ

のいずれかを選択して申請することとなります。(ただし、「仲裁」の申請をするに

は、当事者間に「仲裁合意」があることが必要です。)〔Ⅰの7参照〕

申請による手続開始から終了までの紛争処理手続の流れは、〔Ⅱ〕を参照して下さ

い。両当事者と事件担当委員が出席して主張・立証の整理や和解に向けた話し合い

を行う「審理」は、審査会の所在地(中央建設工事紛争審査会は東京都千代田区霞

が関)で、通常月1回(所要1時間半から2時間)程度のペースで開催されます。

審査会の行う紛争処理の手続は、原則として非公開です。

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5.審査会の管轄

(1) 中央審査会

①当事者の一方又は双方が国土交通大臣の許可を受けた建設業者である場合

②当事者の双方が建設業者で、許可をした都道府県知事が異なる場合

(2) 都道府県審査会

①当事者の一方のみが建設業者で、当該都道府県の知事の許可を受けたものである場合

②当事者の双方が当該都道府県知事の許可を受けた建設業者である場合

③以上のほか、当事者の双方が許可を受けた建設業者でなく、その紛争に係る建設

工事の現場が当該都道府県の区域内にある場合

(3) 管轄合意

上記(1)(2)にかかわらず、当事者双方の合意により、いずれの審査会にも紛争処

理を申請することができます。

〔例〕A 県知事の許可を受けた業者と B 県知事の許可を受けた業者との間の紛争

については、管轄合意がなければ、建設業法の規定により中央審査会が管

轄することになりますが、当事者双方が合意すれば、A 県審査会や B 県審

査会などに紛争処理を申請することができます。

(管轄合意書の記載例)

管 轄 合 意 書

工事名 ○○○○○○工事

工事場所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

注文者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○ ○○

請負人 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○建設株式会社

代表取締役 ○○ ○○

上記工事の請負契約に関する紛争について、○○建設工事紛争審査会を建設業法

による紛争処理の管轄審査会とすることを合意します。

平成○○年○○月○○日

注 文 者 ○○ ○○ 印

請 負 人 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 印

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6.あっせん、調停、仲裁の違い

種内 容 特 色

審 理 内 容 調停の手続を簡略にしたもの。

…当事者双方の主張を聴き、当事者 技術的・法律的な争点が少ない場合に適

あ 間の歩み寄りを勧め、解決を図る。 している。

っ あっせんが成立したときは和解書を作成

せ あっせん委員…原則として1名 する。これは民法上の和解(第 695 条、第

ん 696 条)としての効力をもつ。

審 理 回 数…1~2回程度 別途公正証書を作成したり、確定判決を

得たりしないと強制執行ができない。

審 理 内 容 当事者の互譲により、建設工事の実情に

…当事者双方の主張を聴き、争点を 即した解決を図るもの。

調 整理し、場合によっては調停案を勧 技術的・法律的な争点が多く、あっせん

告して解決を図る。 では解決が見込めない場合に適している。

調停が成立したときは調停書を作成す

調 停 委 員…3名 る。これは民法上の和解(第 695 条、第 696停 条)としての効力をもつ。

審 理 回 数…5~6回程度 別途公正証書を作成したり、確定判決を

得たりしないと強制執行ができない。

審 理 内 容 仲裁委員が、建設業法及び仲裁法の規定

…当事者双方の主張を聴き、必要に に基づき仲裁判断を行うもので、民事訴訟

仲 応じ証拠調べや立入検査をして、仲 に代わるもの。仲裁手続には、裁判のよう

裁委員が仲裁判断を行う。 な上訴の制度はない。

仲裁を申請するには、当事者間の「仲裁

仲 裁 委 員…3名 合意」が必要。

仲裁判断は、確定判決と同一の効力を有

裁 審 理 回 数…必要な回数 する(仲裁法第 45 条第 1 項)ものであり、

仲裁判断の内容については裁判所で争うこ

とはできない。

※ 審査会への仲裁の申請には、仲裁法第 29 条第 2 項により時効中断効があります。あっせん及び調

停については、建設業法第 25 条の 16 により、打切通知到達後 1 ヶ月以内に訴えを提起(仲裁申請

を含む)した場合、あっせん又は調停の申請の時に時効が中断したものとみなされます。

※ 仲裁判断の実例等については「中央建設工事紛争審査会仲裁判断集(CD-ROM 版)」(大成出版社、

平成 14 年刊)を参照して下さい。

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7.仲 裁 合 意

仲裁合意とは、紛争の解決を第三者の仲裁に委ね、裁判所への訴訟提起はしないことを

約する当事者間の契約です。

したがって、審査会に仲裁を申請するには、当事者間に審査会の仲裁に付する旨の仲裁

合意があることが必要ですので、それを証するため、次のいずれかの書類を提出して下さ

い。

①請負契約締結の際に仲裁合意書又は工事請負契約約款により仲裁合意をした場合

……………………………………………………… 当該仲裁合意書又は工事請負契約約款

※仲裁法の施行(平成 16 年 3 月 1 日)後に消費者と事業者の間で締

結されたものについては、消費者に解除権が認められており(仲裁

法附則第 3 条)、仲裁合意が解除された場合には、仲裁判断が行わ

れないまま手続が終了します。

②紛争が生じた後に当事者双方が仲裁を申請することに合意した場合

……………………………………………………………… 次の記載例のような仲裁合意書

(仲裁合意書の記載例)

仲 裁 合 意 書

工事名 ○○○○○○工事

工事場所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

注文者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○ ○○

請負人 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○建設株式会社

代表取締役 ○○ ○○

平成○○年○○月○○日付けで締結した上記工事の請負契約に関する紛争を、建

設業法による○○建設工事紛争審査会の仲裁に付し、その仲裁判断に服します。

平成○○年○○月○○日

注 文 者 ○○ ○○ 印

請 負 人 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 印

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Ⅱ.紛争処理手続の流れ

調 停あ っ せ ん

申請人・申請書の提出

披申請人へ通知

答弁書提出まで あっせん・調停委員の指名通知※1約 1 ヶ月

披申請人・答弁書の提出

審 理 開 催 ま で あっせん・調停 委員指名の時期は約2~3ヶ月 答弁書提出前※1

程度 申 請 人 へ 通 知 答弁書提出後※2のいずれか

この間に、委員、申請人、被申請人の日程を調整して あっせん・調停委員の指名通知※2第 1 回審理開催期日を決定

(紛争がその性質上、あっせん・調停をするのに適当でないと認める場合等)

あっせん・調停をしない

【審 理】 通常月 1 回のペース(両当事者の出席の下に、

主張・立証の整理、和解の意向確認等 を行う)

和解勧告・調停案の受諾勧告 審理外での自主的解決

和解不成立 和 解 成 立 申 請取下げ

あっせん・調停の打切 和解書・調停書作成

訴訟・仲裁等 和 解 内 容 の 履 行

387

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- 6 -

仲 裁

申請人・申請書の提出(仲裁合意書を添付)

披申請人へ通知 ※

(仲裁委員の選定)

答弁書提出まで 両当事者へ仲裁委員の選定のため名簿の写の送付約 1 ヶ月

披申請人・答弁書の提出審理開催まで約 2 ~ 3 ヶ 月

程 度申 請 人 へ 通 知

この間に、委員、申請人、被申請人の日程を調整して 仲裁委員の指名通知第 1 回審理開催期日を決定

【審 理】 通常月 1 回のペース(両当事者の出席の下に、

主張・立証の整理、証人尋問等 を行う) (建設工事請負契約に関

する紛争でない場合等)

終 了 決 定

和 解 勧 告 審理外での自主的解決

和 解 不 成 立 和 解 成 立 終 了 決 定

仲 裁 判 断(和解内容を仲裁判断とする場合)

強 制 執 行 仲裁判断内容の履行 和解内容の履行

※ 仲裁法の施行(平成16年3月1日)後に締結された仲裁合意に基づいて事業者が消費者を被申請人として申請書を提出した場合には、消費者に仲裁合意の解除権が認められており、その旨が併せて被申請人に通知されます。また、第1回口頭審理では、まず被申請人に対して解除権を放棄する意思があるかどうかの確認が行われます(仲裁法附則第3条)。

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- 7 -

Ⅲ.紛争処理に要する費用

紛争処理の手続を行うには、以下のような費用が必要になりますが、原則として、

両当事者はそれぞれ各自の出費分を負担することになっています。

1.申請手数料

(1) 紛争処理を申請するときは、申請人は、申請手数料を納めることが必要です。申請手数

料の額は、「請求する事項の価額」(あっせん、調停又は仲裁を求める事項の価額)に応じ

て定められています。

(2) あっせん又は調停の打切りの通知を受けた日から2週間以内に当該あっせん又は調

停の目的となった事項について仲裁の申請をする場合には、当該あっせん又は調停に

ついて納めた申請手数料の額を控除した残額を納めます。

(3) 申請後に請求内容を変更し、「請求する事項の価額」が増額になるときは、申請人は、増額後

の「請求する事項の価額」に応じた手数料額と既に納付した手数料額との差額を追加納付する

ことが必要です。

2.通信運搬費

(1) 審査会事務局が書類などを送付する費用として、申請人は、申請時に次の金額を予納します。

(2) 通信運搬費については、後日不足が生じそうになったときは、別途事務局から追加予納を請

求します。また、紛争処理の終了後、精算を行い、剰余金があれば予納者に返還します。

3.書類、証拠の作成費用

審査会に提出する準備書面、見積書、鑑定書その他の書類や証拠の作成に要する費用は、そ

れぞれの当事者が負担します。

4.立入検査、証人尋問等の費用

立入検査に要する旅費などの審査会経費、証人尋問の録音・反訳の費用などは、両当事者の

合意により双方が折半で負担するのが通例となっています。

申請の種類 あっせん 調 停 仲 裁

予納額 10,000円 30,000円 50,000円

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- 8 -

5.申請手数料の算出表

(あっせん)

(調 停)

(仲 裁)

※ 1 万円未満は切り上げて計算します。

〔計算例〕 750 万 5,000 円の請求をする場合

(あっせん) 751 × 15 + 10,500 = 21,765 円

(調 停) 751 × 25 + 23,500 = 42,275 円

(仲 裁) 751 × 60 + 60,000 = 105,060 円

※ 請求する事項の価額を算定できないときは、その価額を 500 万円として申請手数料を計

算します。

請求する事項の価額 申 請 手 数 料 の 額

100万円まで 50,000円

500万円まで 価額(1万円単位)×100円 + 40,000円

1億円まで 価額(1万円単位)× 60円 + 60,000円

1億円を超えるとき 価額(1万円単位)× 20円 +460,000円

請求する事項の価額 申 請 手 数 料 の 頼

100万円まで 10,000円

500万円まで 価額(1万円単位)× 20円 + 8,000円

2,500万円まで 価額(1万円単位)× 15円 + 10,500円

2,500万円を超えるとき 価額(1万円単位)× 10円 + 23,000円

請求する事項の価額 申 請 手 数 料 の 額

100万円まで 20,000円

500万円まで 価額(1万円単位)× 40円 + 16,000円

1億円まで 価額(1万円単位)× 25円 + 23,500円

1億円を超えるとき 価額(1万円単位)× 15円 +123,500円

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Ⅳ.紛争処理の申請方法

1.申請に必要な書類

(1) 申請書

申請書は、申請書記載例〔Ⅴ参照〕の要領で作成し、申請人(又は代理人)が記名押印し

て提出して下さい。記載例の各項目は、建設業法で決められたものですので、必ずこれに従

って作成して下さい。

(2) 添付書類

次の場合は、それぞれの書類を必ず申請書(正本)に添付して下さい。

①登記事項証明書………………………………………………………………当事者が法人の場合

(履歴事項証明書、現在事項証明書、代表者事項証明書のいずれでも可です。)

(申請人と被申請人の双方が法人のときは、双方の分が必要です。)

(被申請人のものについても、最寄りの登記所等で手続できます。)

(申請人が個人で、被申請人が法人のときも、被申請人のものが必要です。)

②本人からの委任状……………………………………………代理人を選任した場合〔Ⅶ参照〕

③仲裁合意書………………………………………………仲裁の申請をする場合〔Ⅰの7参照〕

④管轄合意書……………………… 合意によって管轄審査会を定めた場合〔Ⅰの5(3)参照〕

(3) 証拠書類

契約書、注文書、請書、契約約款、設計図、建築確認通知書、現場写真などの証拠書類があ

るときは、その「写し」を提出して下さい。

特に工事請負契約書は、最も基本的な証拠であり、請負契約に関する紛争であることを証明

するためにも必要ですので、必ず提出して下さい。

(4) 提出部数

※ 作成に多額の費用がかかる証拠書類(設計図など)は、審査会事務局と相

談の上、提出部数を減らすことができます。

申 請 書 正本1部、副本4部(あっせんは2部)

添 付 書 類 正本1部

証 拠 書 類 正本1部、副本4部(あっせんは2部)

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2.申請手数料の納付

(1) 紛争処理を申請するときは、申請手数料を納付します。申請手数料の額は、あっせん、調停、

仲裁ごとに、「請求する事項の価額」に応じて定められています。〔Ⅲの5〕の算出表により計

算して下さい。

(2) あっせん又は調停の打切りの通知を受けた日から2週間以内に当該あっせん又は調

停の目的となった事項について仲裁の申請をする場合には、当該あっせん又は調停に

ついて納めた申請手数料の額を控除した残額を納めます。

(3) 申請手数料は、申請書(正本)に申請手数料相当の収入印紙を貼って納付して下さい。(消印

はしないで下さい。)

3.申請手数料の還付

次の場合に限り、納付された申請手数料の額〔上記2(2)の場合には、あっせん又は調停に

ついて納めた申請手数料の額を控除した残額)の2分の1を還付します。

(1) 最初の期日の終了前に申請を取り下げた場合

(2) 口頭審理が開催されることなく仲裁手続の終了決定があった場合

これ以外の場合には、申請を取り下げたり、紛争処理をしないこととなったり、不調に終わ

ったとしても、申請手数料は返還されません。

4.通信運搬費の予納

(1) 審査会事務局が書類を送付する費用として、〔Ⅲの2(1)〕の表に定める額の通信運搬費を現金

で事務局に納入します。

(2) 予納された通信運搬費は、紛争処理の終了後、精算を行います。

5.申請書等の提出

申請書などに不備があると申請を受理できないことがありますので、できるだけ郵便でなく、

事前に申請の日時を連絡して印鑑を持参の上、審査会事務局に直接提出して下さい。

※ 中央建設工事紛争審査会事務局〔巻末の案内図参照〕

TEL 03 - 5253 - 8111(内線 24-764)

〔参考〕申請書提出の際に必要なもの一覧

① 申請書・添付書類・証拠書類

② 申請手数料(収入印紙に限る)

③ 通信運搬費(現金に限る)

④ 銀行の口座番号(剰余金の返還先)

⑤ 印鑑(申請書正本に押印したもの)

注)③の納入者と④及び⑤の名義人は同一人として下さい。

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Ⅴ.申請書記載例

調 停 申 請 書【注 1】【注 2】

平成○○年○○月○○日申請

【注 3】中央建設工事紛争審査会 御中

【注 4】申 請 人 印

1.当事者及びその代理人の住所氏名【注 5】〒○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 TEL(000)00 - 0000

FAX(000)00 - 0000申請人(注文者) ○○ ○○

〒○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 TEL(0 00)0 0 - 00 00FAX(000)00 - 0000

被申請人(請負人) ○○建設株式会社

同代表者代表取締役 ○○ ○○

2.許可行政庁の名称及び許可番号【注 6】被申請人 ○○建設株式会社

○○○○許可(○-○○)第○○○○号

3.調停を求める事項【注 7】被申請人は、申請人に対し、本件工事請負契約に係る建築物の瑕疵に関し、瑕疵補修代金

として金○○万円を支払え、との調停を求める。 【注 8】

4.紛争の問題点及び交渉経過の概要【注 9】(1)申請人と被申請人とは、平成○○年○月○○日甲第 1 号証のとおり本件工事請負契約を

締結した。

本件工事については、平成○○年○月○○日に建築確認を受け(甲第 2 号証)、平成○

年○月上旬に工事が完成し、申請人は同年○月○日本件建物の引渡しを受けた。

本件工事の請負代金については、申請人は平成○○年○月○日に○○○万円、同年○

月○日に○○○万円、そして引渡し後の平成○○年○月○日に残金の○○○万円を被申

請人 に支払い、代金の支払いは完了している。

(2)ところが、本件建物には、次のような不具合が発生している。

①外装タイルのはがれ

引渡し直後から建物北側の外装タイルがはがれ始め、雨水が浸水してくるために 2 階

○○室の壁面を汚損するに至っている。(甲第 3 号証の 1 ないし 10)

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このため、申請人は、被申請人に対し、この瑕疵について補修するよう申し入れたと

ころ、平成○○年○月○○日両者間でこの外装タイル補修方法について合意した。(甲第 4号証)

しかし、被申請人は誠意をもって対応せず、一向に補修を行わないので、上記合意どお

りの補修方法により別業者に補修工事を行わせた。

この補修工事に要した費用は金○○万円(甲第 5 号証)であった。

②設計と異なる電気器具の取付け

設計では、非常用の蛍光灯はバッテリー内蔵のものを取り付けることになっていたが、

実際は普通の蛍光灯を取り付けており、その差額は○○万円であった。

(3)よって、申請人は、被申請人に対し、上記(2)の①~③の合計金額○○万円の支払い

を求めるものである。

5.その他紛争処理を行うに際し参考となる事項【注 10】工事現場 ○○県○○市○○町○丁目○番○号

工事名 ○○マンション新築工事

工事概要 RC3 階建陸屋根共同住宅 延床面積○○㎡

請負金額 ○○○○万円

工 期 平成○○年○○月○○日~○○月○○日

6.申請手数料の額 金○○○○○円【注 11】

添 付 書 類

登記事項証明書 【注 12】委 任 状 【注 13】仲裁合意書 【注 14】管轄合意書 【注 15】

証 拠 書 類【注 16】甲第 1 号証 工事請負契約書(写し) (←必ず提出する)【注 17】甲第 2 号証 建築確認通知書(写し)

甲第 3 号証の 1 ないし 10 雨漏り、蛍光灯等の状況写真

甲第 4 号証 外装タイル補修方法に合意したことを証明する書面

甲第 5 号証 外装タイル補修工事費の領収書

【注 18】収 入 収 入 収 入 収 入

印 紙 印 紙 印 紙 印 紙

※ 申請書は、A4 版、横書、左とじ

※ 提出部数は、〔Ⅳの1の(4)〕参照

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【申請書作成上の注意】

【注 1】 あっせん又は仲裁の場合は、それぞれ「あっせん申請書」、「仲裁申請書」と記載します。

【注 2】 申請書を実際に提出する年月日を記載します。

【注 3】 事査会の表示

① 審査会の管轄については、〔Ⅰの5〕を参照して下さい。

② 都道府県事査会に申請するときは、「○○県(都道府)建設工事紛争審査会」と記

載します。

【注 4】 申請人の表示

① 原則として、請負契約の名義人が申請人となります。

② 申請人が個人の場合は、個人名を記載し、押印します。

申請人が法人の場合は、法人名及び代表者の役職及び氏名を記載し、押印します。

(契約名義が営業所長等であっても、申請人は原則として法人及びその代表者となり

ます。)

③ 代理人が申請する場合は、その氏名を記載し、代理人が押印します。

④ 申請人の親族の名義や、支店長など代表権のない人の名義で申請するときは、代理

人として記載します。(ただし、審査会は、弁護士でない者が代理人となることを認

めないことがあります。)

【注 5】 住所及び電話番号を必ず記載して下さい。FAX 番号がある場合は FAX 番号も記載して下

さい。

【注 6】 許可行政庁の名称及び許可番号

① 管轄審査会を確認する必要がありますので、申請人、被申請人の別を問わず、許可

を受けている場合は必ず記載して下さい。

② 許可番号等は、建設業者から直接聞くか、次に問い合わせて下さい。

国土交通大臣許可の業者である場合…………………………次々ページのとおり

都道府県知事許可の業者である場合……………都道府県の建設業許可担当部局

【注 7】 調停を求める事項

① 訴状の「請求の趣旨」に相当する部分です。何を請求するかの結論を書く部分です

ので、その内容を極力簡潔に、説明抜きで数行程度にまとめて記載します。

② あっせんの場合は「あっせんを求める事項」、仲裁の場合は「仲裁を求める事項」

と記載します。また、「調停を求める。」の部分は、あっせんの場合は「あっせんを求

める。」、仲裁の場合は「仲裁を求める。」と記載します。

【注 8】 「瑕疵」(かし)とは、建築物等が通常備えなければならない性質を欠いていることを言

います。

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【注 9】 紛争の問題点及び交渉経過の概要

① 訴状の「請求の原因」に相当する部分です。請求の内容を具体的に説明する部分で

すので、争点ごとに申請人の主張及び従来からの交渉の経過について必要な範囲で記

載します。

② 被申請人のみならず、第三者である審査会の委員が十分理解できるように、分かり

易く、できる限り証拠を示して記載して下さい。

【注 10】 工事請負契約書、建築確認通知書等に記載の事項を転記します。

【注 11】 申請手数料の額は、〔Ⅲの5〕の算出表で計算して下さい。

あっせん又は調停の打切りの通知を受けた日から2週間以内に当該あ

っせん又は調停の目的となった事項について仲裁の申請をする場合に

は、次のとおり、当該あっせん又は調停の事件番号及び当該事件につい

て納めた申請手数料の額を括弧書きで付記してください。

6.申請手数料の額 金○○○○○円

(うち平成○○年(調)第○○号について納めた額 金○○○○○円)

【注 12】 登記事項証明書

① 当事者が法人である場合は、代表者の代表権を証明するために提出します。法務

局(登記所)で交付を受けて下さい。

② 登記事項証明書の種類は、「履歴事項証明書」、「現在事項証明書」、「代表者

事項証明書」のいずれでもかまいません。

③ 申請人と被申請人の双方又は一方が法人のときは、法人の分全てが必要です。

【注 13】 紛争処理権限を代理人に委任する場合に提出します。………………………〔Ⅶ参照〕

【注 14】 仲裁を申請する場合に提出します。………………………………………〔Ⅰの7参照〕

【注 15】 管轄合意に基づいて申請する場合に提出します。………………………〔Ⅰの5参照〕

【注 16】 証拠書類

① 申請人が提出する証拠書類は「甲」号証とします。なお、被申請人が提出する証

拠書類は「乙」号証とします。

② 申請人が提出する証拠書類には、赤書で「甲第○○号証」と一連番号をふって下

さい。

写真集のように数枚で一組になっているものについては、甲第○○号証の 1,2,………のように枝番号をふって下さい。

③ 証拠書類には、号証ごとにページをふって下さい。

【注 17】 工事請負契約書(写し)

① 最も基本的な証拠であり、請負契約に関する紛争であることを証明するためにも

必要ですので、必ず提出して下さい。

② 契約書添付の図面等は、請求内容に関係のある部分のみで結構です。

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【注 18】 収入印紙

① 申請手数料分の収入印紙を正本の末尾に貼ります。(割印をしないこと)

② 収入印紙は、郵便局などで購入して下さい。

【Ⅴ.申請書記載例の【注6】関係】

(建設業の国土交通大臣許可事務を担当する国交省地方整備局等の担当課と所管区域一覧)

地方整備局等名 担 当 課 電話番号 所 管 区 域

国土交通省 事業振興部建設産業課 011-709-2311 北海道

北海道開発局

国土交通省 建政部計画・建設産業課 022-225-2171 青森・岩手・宮城・秋田

東北地方整備局 山形・福島

国土交通省 建政部建設産業課 048-601-3151 茨城・栃木・群馬・埼玉

関東地方整備局 千葉・東京・神奈川

山梨・長野

国土交通省 建政部計画・建設産業課 025-266-1171 新潟・富山・石川

北陸地方整備局

国土交通省 建政部建設産業課 052-211-6501 岐阜・静岡・愛知・三重

中部地方整備局

国土交通省 建政部建設産業課 06-6942-1141 福井・滋賀・京都・大阪

近畿地方整備局 兵庫・奈良・和歌山

国土交通省 建政部計画・建設産業課 082-221-9231 鳥取・島根・岡山

中国地方整備局 広島・山口

国土交通省 建政部計画・建設産業課 087-851-8061 徳島・香川・愛媛・高知

四国地方整備局

国土交通省 建政部計画・建設産業課 092-471-6331 福岡・佐賀・長崎・熊本

九州地方整備局 大分・宮崎・鹿児島

内閣府 開発建設部建設行政課 098-866-0031 沖縄

沖縄総合事務局

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Ⅵ.答弁書記載例

【注 1】平成○○年(調)第○○号事件

答 弁 書

【注 2】平成○○年○○月○○日

中央建設工事紛争審査会 御中

【注 3】【注 4】〒○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 TEL(0 00)0 0 - 00 00

FAX(000)00 - 0000被申請人(請負人) ○○建設株式会社

同代表者代表取締役 ○○ ○○

〒○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 TEL(0 00)0 0 - 0 000FAX(000)00 - 0000

被申請人代理人(弁護士) ○○ ○○ 印

1.請求を求める事項に対する答弁【注 5】申請の趣旨を争う。

(申請のうち、○○については認め、その余は争う。)

2.紛争の問題点及び交渉経過の概要に対する答弁【注 6】(1)紛争の問題点及び交渉経過の概要(1)中「代金の支払は完了している。」の部分につ

いては否認し、その余は認める。

(2) 同(2)①外装タイルのはがれ中「引渡し直後から…………………合意した。」の部分に

ついては認めるが、「しかし、…………………………補修工事を行わせた」の部分は争う。

「この補修工事に要した費用は金○○万円であった」の部分は不知。

(3)同(2)②の設計と異なる電気器具の取付けについては、認める。

(4)……………………………………………………………………………………

(5)同(3)については争う。

3.被申請人の主張【注 7】(1) 本件工事に関しては、平成○○年○月○○日に申請人と被申請人との間で○○○の追

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加工事を行うことを合意し、同年○月○○日に当該追加工事は完了しているが、この追

加工事の代金○○万円が未だに支払われていない。(乙第 1 号証・乙第 2 号証)

(2)外装タイルのはがれの補修については、両者間に合意が成立したのは申請人の主張の

とおりであるが、当該補修工事については、申請人の連絡をまって始めることとされて

いた。被申請人は、いつでも工事に取りかかれるよう準備をしていたが、申請人は、

被申請人に何等連絡することなく、別の業者に補修工事を行わせたのであるから、被

申請人がその費用を負担する理由はない。

(3)電気器具が設計と異なっていたこと、その差額は○○万円であることは、申請人の

主張のとおりであるが、その差額については、既に工事代金から減額しており、被申

請人がこの差額分を支払う理由はない。(乙第 3 号証)

(4)……………………………………………………………………………………

(5)よって、被申請人は、申請人に対して追加工事代金を請求する権利を有してはいるが、

申請人に対して瑕疵補修代金を支払う義務はない。【注 8】

添 付 書 類

委 任 状【注 9】

証 拠 書 類【注 10】

乙第 1 号証 追加工事の打ち合わせメモ

乙第 2 号証 追加工事代金の請求書

乙第 3 号証 工事代金請求書

乙第 4 号証 …………………………………………………………………………………

※ 答弁書は、A4 版、横書、左とじ

※ 提出部数は、〔Ⅳの1の(4)〕参照

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【答弁書作成上の注意】

【注 1】 事件番号を明記して下さい。

【注 2】 答弁書を実際に提出する年月日を記載します。

【注 3】 被申請人の表示

① 被申請人が個人の場合は、個人名を記載し、押印します。

② 被申請人が法人の場合は、法人名及び代表者の役職及び氏名を記載し、押印します。

③ 代理人が答弁する場合は、その氏名を記載し、代理人が押印します。

④ 申請人の親族の名義や、支店長など代表権のない人の名義で答弁するときは、代理

人として記載します。(ただし、審査会は、弁護士でない者が代理人となることを認

めないことがあります。)

【注 4】 被申請人及び代理人の住所及び電話番号を必ず記載して下さい。FAX 番号がある場合は

FAX 番号を記載して下さい。

【注 5】 申請書に記載された調停(あっせん・仲裁)を求める事項について、争うか認めるかを簡

潔に記載します。

【注 6】 申請書に記載された争点ごとに、争うか認めるかを簡潔に記載します。

【注 7】 被申請人の主張

① 争点ごとに、被申請人の主張を必要な範囲で記載します。

② 申請人のみならず、第三者である審査会の委員が十分理解できるように、分かり易

く、できる限り証拠を示して記載して下さい。

【注 8】 被申請人が申請人に反対請求をする場合には、別途申請料を納付して調停(あっせん・仲

裁)の申請をしていただく必要があります。

この場合二つの事件は原則として併合され、同一の手続の下に審理を進めていくことと

なります。

【注 9】 紛争処理権限を代理人に委任する場合に提出します。………………………〔Ⅶ参照〕

【注 10】 証拠書類

① 被申請人が提出する証拠書類は「乙」号証とします。なお、申請人が提出する証拠

書類は「甲」号証とします。

② 被申請人が提出する証拠書類には、赤書で「乙第○○号証」と一連番号をふって下

さい。

写真のように数枚で一組でなっているものについては、乙第○○号証の 1,2,‥

のように枝番号をふって下さい。

③ 証拠書類には、号証ごとにページをふって下さい。

400

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Ⅶ.委任状記載例

委 任 状

私は、次の者を代理人と定め、下記の事項を委任します。【注 1 】

○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○○法律事務所 T E L ○○-○○○○-○○○○

F A X ○○-○○○○-○○○○

弁護士 ○○ ○○

1.○○○○を被申請人として、中央建設工事紛争審査会に調停申請をなす

件及びこれに関する一切の権限【注 2 】

1 .弁済の受領に関する一切の権限【注 3 】

1 .申請の取下の件【注 4 】

1 .和解に関する件

上記代理委任状に署名捺印してこれを証します。

平成○○年○○月○○日

○○県○○市○○町○丁目○番○号

○○建設株式会社

代表取締役 ○○ ○○ 印

【注1】 親族、会社副社長等、弁護士でない者を代理人とする場合には、その委任理由を付記し

て下さい。

【注 2】 被申請人が紛争処理権限を代理人に委任する場合は、「中央建設工事紛争審査会平成○○

年(調)第○○号事件に関する一切の権限」と記載します。

【注 3】 紛争処理の結果、相手方から金銭等の弁済がなされたときに、その受領権限を委任する

場合に記入します。

【注 4】 被申請人が紛争処理権限を代理人に委任する場合は、この「申請の取下の件」の条項は

不要です。

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Ⅷ.建設工事紛争審査会事務局の住所・電話番号一覧

審査会名 担当部局 住 所 電話番号

中 央 国土交通省土地建設産 〒 100 - 8918 千代田区霞が関 2 - 1 - 3 03 - 5253 - 8111(内 24764)業局建設業課紛争調整

官室

北海道 建設部建設政策局建設 〒 060 - 8588 札幌市中央区北3条西6 011 - 231 - 4111(内 29718)管理課

青森県 県土整備部監理課建設 〒 030 - 8570 青森市長島 1 - l - 1 017 - 722 - 1111(内 4240)業振興グループ

岩手県 県土整備部建設技術振 〒 020 - 8570 盛岡市内丸 10 - 1 019 - 629 - 5954(直)

興課建設業振興担当

宮城県 土木部事業管理課建設 〒 980 - 8570 仙台市青葉区本町 022 - 211 - 2111(内 3116)業振興・指導班 3 - 8 - 1

秋田県 建設部建設政策課建設 〒 010 - 8570 秋田市山王 4 - 1 - 1 018 - 860 - 2426(直)

業班

山形県 県土整備部建設企画課 〒 990 - 8570 山形市松波 2 - 8 - 1 023 - 630 - 2402(直)

福島県 土木部技術管理課建設 〒 960 - 8670 福島市杉妻町 2 - 16 024 - 521 - 7452(直)

産業室

茨城県 土木部監理課建設業担 〒 310 - 8555 水戸市笠原町 978 - 6 029 - 301 - 4334(直)

栃木県 県土整備部監理課建設 〒 320 - 8501 宇都宮市塙田 1 - 1 - 20 028 - 623 - 2390(直)

業担当

群馬県 県土整備部建設企画課 〒 371 - 8570 前橋市大手町 1 - 1 - 1 027 - 226 - 3520(直)

建設業係

埼玉県 県土整備部県土整備政 〒 330 - 9301 さいたま市浦和区高砂 048 - 824 - 5262(直)

策課訟務担当 3 - 15 - 1千葉県 県土整備部建設・不動 〒 260 - 8667 千葉市中央区市場町 1 - 1 043 - 223 - 3108(直)

産業課

東京都 都市整備局市街地建築 〒 163 - 8001 新宿区西新宿 2 - 8 - 1 03 - 5321 - 1111部調整課工事紛争調整 (内 30761 ~ 3)担当

神奈川県 県土整備局事業管理部 〒 231 - 8588 横浜市中区日本大通 1 045 - 210 - 6307(直)

建設業課調査指導グルー

プ

山梨県 県土整備部県土整備総 〒 400 - 8501 甲府市丸の内 1 - 6 - 1 055 - 223 - 1843(直)

務課建設業対策室

長野県 建設部建設政策課建設 〒 380 - 8570 長野市大字南長野字幅下 026 - 235 - 7293(直)

業係 692 - 2新潟県 土木部監理課建設業室 〒 950 - 8570 新潟市中央区新光町 4 - 1 025 - 285 - 5511(内 3203)富山県 土木部建設技術企画課 〒 930 - 8501 富山市新総曲輪 1 - 7 076 - 431 - 4111(内 4067)

建設業係

石川県 土木部監理課建設業振 〒 920 - 8580 金沢市鞍月 1 - 1 076 - 225 - 1712(直)

興グループ

岐阜県 県土整備部建設政策課 〒 500 - 8570 岐阜市薮田南 2 - 1 - 1 058 - 272 - 8504(直)

静岡県 交通基盤部建設支援局 〒 420 - 8601 静岡市葵区追手町 9 - 6 054 - 221 - 3057(直)

建設業課指導契約班

愛知県 建設部建設業不動産業 〒 460 - 8501 名古屋市中区三の丸 052 - 954 - 6502(直)

課業務・建設業第一グル 3 - 1 - 2ープ

三重県 県土整備部建設業課 〒 514 - 8570 津市広明町 13 059 - 224 - 2660(直)

402

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福井県 土木部土木管理課建設 〒 910 - 8580 福井市大手 3 - 17 - 1 0776 - 20 - 0470(直)

業グループ

滋賀県 土木交通部監理課建設 〒 520 - 8577 大津市京町 4 - 1 - 1 077 - 528 - 4114(直)

業担当

京都府 建設交通部指導検査課 〒 602 - 8570 京都市上京区下立売通新町 075 - 451 - 8111(内 5223)建設業担当 西入薮ノ内町

大阪府 住宅まちづくり部建築 〒 559 - 8555 大阪市住之江区南港北 06 - 6210 - 9736(直)

振興課建設指導グループ 1 - 14 - 16兵庫県 県土整備部県土企画局 〒 650 - 8567 神戸市中央区下山手通 078 - 341 - 7711(内 4575)

総務課建設業室 5 - 10 - 1奈良県 県土マネジメント部建 〒 630 - 8501 奈良市登大路町 30 0742 - 27 - 5429(直)

設業指導室

和歌山県 県土整備部県土整備政 〒 640 - 8585 和歌山市小松原通 1 -1 073 - 432 - 4111(内 3070)策局技術調査課建設業

鳥取県 県土整備部県土総務課 〒 680 - 8570 鳥取市東町 1 - 220 0857 - 26 - 7676(直)

建設業担当

島根県 土木部土木総務課建設 〒 690 - 8501 松江市殿町 1 0852 - 22 - 5185(直)

産業対策室

岡山県 土木部監理課建設業班 〒 700 - 8570 岡山市北区内山下 086 - 226 - 7463(直)

2 - 4 - 6広島県 土木局土木総務課 〒 730 - 8511 広島市中区基町 10 - 52 082 - 513 - 3813(直)

山口県 土木建築部監理課建設 〒 753 - 8501 山口市滝町 l - 1 083 - 933 - 3629(直)

業班

徳島県 県土整備部建設管理課 〒 770 - 8570 徳島市万代町 1 - 1 088 - 621 - 2523(直)

建設業振興指導室振興

指導担当

香川県 土木部土木監理課契約 〒 760 - 8570 高松市番町 4 - 1 - 10 087 - 832 - 3506(直)

・建設業グループ

愛媛県 土木部管理局土木管理 〒 790 - 8570 松山市一番町 4 - 4 - 2 089 - 912 - 2644(直)

課建設業係

高知県 土木部建設管理課建設 〒 780 - 8570 高知市丸の内 1 - 2 - 20 088 - 823 - 9815(直)

業担当

福岡県 建築都市部建築指導課 〒 812 - 8577 福岡市博多区東公園 7 - 7 092 - 651 - 1111(内 4677)建設業係

佐賀県 県土づくり本部建設・ 〒 840 - 8570 佐賀市城内 1 - 1 - 59 0952 - 25 - 7153(直)

技術課

長崎県 土木部監理課建設業指 〒 850 - 8570 長崎市江戸町 2 - 13 095 - 824 - 1111(内 3015)導班

熊本県 土木部監理課建設業班 〒 862 - 8570 熊本市中央区水前寺 096 - 383 - 1111(内 6019)6 - 18 - 1

大分県 土木建築部土木建築企 〒 870 - 8501 大分市大手町 3 - 1 - 1 097 - 536 - 1111(内 4515)画課建設業指導班

宮崎県 県土整備部管理課建設 〒 880 一 8501 宮崎市橘通東 2 - 10 - 1 0985 - 24 - 7176(直)

業担当

鹿児島県 土木部監理課建設業指 〒 890 - 8577 鹿児島市鴨池新町 10 - 1 099 - 286 - 2111(内 3508)導係

沖縄県 土木建築部土木総務課 〒 900 - 8570 那覇市泉崎 1 - 2 - 2 098 - 866 - 2384(直)

建設業指導契約班

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中央建設工事紛争審査会案内図(平成15年2月から)

100-8918 2-1-3〒 東京都千代田区霞ヶ関

中央合同庁舎3号館(国土交通省)10階

中央建設工事紛争審査会事務局

(国土交通省土地・建設産業局建設業課紛争調整官室)

24-764TEL(代表)03-5253-8111 内線

(注)合同庁舎に入館の際、警備員から身分証明書の提示を求められることがあります

ので、身分証明証(運転免許証、健康保険証等)をご持参下さい。

桜田門

内堀通り

←三 桜田門

出口1 法務省

警視庁 (赤れんが)

桜田通

裁判所

合同庁舎

←国会 霞ヶ関

議事堂 *駅A2

出口

霞ヶ関駅A3b出口(地下) →日比谷公園

外務省 農林水産省

虎ノ門

中央建設工事紛争審査会

事務局

合同庁舎3号館

<10階>

入口

入口

中央建設工事紛争審査会(案内図)<国土交通省土地・建設産業局建設業課紛争調整官室>

合同庁舎2号館

(総務省)

(地下鉄「丸の内線」又は「日比谷線」 霞が関駅 下車 徒歩3分)

2号館1階から3号館地下1階への連絡通路がございます。

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このハンドブックの内容に関するお問い合わせ

国土交通省 東北地方整備局

建政部 計画・建設産業課

住所/宮城県仙台市青葉区本町3-3-1

仙台合同庁舎 B 棟

電話/022-225-2171(代表)

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