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一般国道237号
平取び ら と り
バイパス
事後評価結果準備書説明資料
平成18年度
北海道開発局
資料 5-2
目 次
1.事業の概要 ························································ 1
(1)目的······························································ 1
(2)計画の概要 ····················································· 3
(3)経緯······························································ 4
2.社会経済情勢の変化············································· 5
3.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化·········· 10
4.事業の効果の発現状況·········································· 15
5.今後の事後評価の必要性······································· 28
6.改善措置の必要性················································ 28
7.同種事業の計画・調査のあり方や
事業評価手法の見直しの必要性················ 28
- 1 -
1.事業の概要
(1)目的
一般国道237号は、旭川市から富良野を経由し、日高町
富川に至る延長約179kmの幹線道路であり、東胆振圏と
十勝圏を結ぶ物流の重要なアクセスルートとなっています。
平取バイパスは、平取町中心市街地の現道部における道路
線形不良箇所、幅員狭小橋梁等の区間の解消を図るとともに、
騒音レベル改善による市街地の沿道環境改善、交通事故の減
少など交通安全の確保を目的とした、延長3.2kmの2車
線事業です。
- 2 -
■位置図
■事業概要図
- 3 -
(2)計画の概要
① 起点 ‥‥北海道ほっかいどう
沙流さ る
郡平取びらとり
町字小平こ び ら
終点 ‥‥北海道ほっかいどう
沙流さ る
郡平取びらとり
町字荷菜に な
② 計画延長 ‥‥3.2km
③ 幅員 ‥‥14.00m
④ 構造規格 ‥‥3種2級
⑤ 設計速度 ‥‥60km/h
⑥ 車線 ‥‥2車線
⑦ 事業主体 ‥‥北海道開発局
■横断図
(単位:m)
- 4 -
(3)経緯
昭和61年度 事業化
平成 元年度 用地補償着手
平成 5年度 工事着手
平成12年度 部分供用(L=2.7km)
平成14年度 完成供用
- 5 -
2.社会経済情勢の変化
①市町村合併
平成18年3月に、平取町を挟んで、旧日高町と旧門別町が
「日高町」に飛び地合併するとともに、隣接する旧穂別町と旧
鵡川町が「むかわ町」に合併しています。
市町村域図(合併後)
- 6 -
②人口及び高齢化率
人口は、平取町および日高町(旧日高町および旧門別町)と
もに減少傾向にあります。また、全国的な傾向と同様に高齢化
が進行しています。
■人口
資料:北海道総務部統計課住民基本台帳
平成 2 年は国勢調査より
■高齢化率
資料:北海道総務部統計課住民基本台帳
【日高町の65歳以上人口の割合】
14%18%
22%24%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
平成2年 平成8年 平成13年 平成17年
【平取町の65歳以上人口の割合】
15%19%
24%26%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
平成2年 平成8年 平成13年 平成17年
【日高町の人口推移】
14,77015,53716,24616,976
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
平成2年 平成8年 平成13年 平成17年
(人)【平取町の人口推移】
7,3526,870 6,593 6,231
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
平成2年 平成8年 平成13年 平成17年
(人)
H14 完成供用 H5 工事着手 H14 完成供用
H5 工事着手 H14 完成供用
H5 工事着手
H5 工事着手 H14 完成供用
- 7 -
③農業産出額 農業産出額は、平取町は増加傾向にあり、日高町(旧日高町
および旧門別町)は横ばいとなっています。
農家一戸当り生産農業所得も、平取町は増加傾向にあります
が、日高町(旧日高町および旧門別町)は横ばいとなっていま
す。
資料:北海道農林水産統計年報
④商業販売額 平取町および日高町(旧日高町および旧門別町)ともに減少
傾向にあります。
資料:北海道市町村勢要覧
【日高町の農業産出額及び 農家一戸当り生産農業所得】
1,223 1,2191,119
7,2565,4846,016
0
500
1,000
1,500
2,000
平成5年 平成12年 平成16年
(千万円)
0
2,000
4,000
6,000
8,000
(千円)
農業産出額 農家1戸当たり生産農業所得
【平取町の農業産出額及び 農家一戸当り生産農業所得】
461
616 629
5,814
3,389
6,668
0
250
500
750
1000
平成5年 平成12年 平成16年
(千万円)
0
2,000
4,000
6,000
8,000(千円)
農業産出額 農家1戸当たり生産農業所得
H14 完成供用H14 完成供用
【平取町の商業販売額】
735817799
609
0
200
400
600
800
1000
平成3年 平成6年 平成11年 平成16年
(千万円) 【日高町の商業販売額】
2,178
2,6782,844
2,109
0
1,000
2,000
3,000
平成3年 平成6年 平成13年 平成16年
(千万円)
H14 完成供用H5 工事着手 H14 完成供用H5 工事着手
H5 工事着手H5 工事着手
- 8 -
⑤工業製品出荷額
工業製品出荷額は、平取町は減少傾向にありましたが、近年微
増に転じています。日高町(旧日高町および旧門別町)は減少傾
向にあります。
資料:経済産業省経済産業政策局調査統計部
⑥観光入込客数の推移
観光入込客数は、平取町および日高町(旧日高町および旧門
別町)ともに微増傾向にあります。
資料:北海道観光入込客数調査
【日高町の観光入込客数の推移】
73 89 59
603756 827
0
300
600
900
1,200
H9 H12 H16
(千人)
宿泊客 日帰客
676
845 886
【平取町の観光入込客数の推移】
11 6 5
128160 163
0
50
100
150
200
H9 H12 H16
(千人)
宿泊客 日帰客
139
166 168
【平取町の工業製品出荷額】
97
156
220
103
0
50
100
150
200
250
平成4年 平成8年 平成12年 平成16年
(千万円) 【日高町の工業製品出荷額】
1,6931,7471,849
1,578
0
500
1,000
1,500
2,000
平成4年 平成8年 平成12年 平成16年
(千万円)
H14 完成供用H5 工事着手 H14 完成供用H5 工事着手
H14 完成供用H5 工事着手 H14 完成供用H5 工事着手
- 9 -
⑦自動車保有台数
自動車保有台数は、平取町および日高町(旧日高町および旧
門別町)ともに微増傾向にあります。
【日高町の自動車保有台数】
12,70412,46912,17910,909
0
3,000
6,000
9,000
12,000
15,000
18,000
平成4年 平成8年 平成13年 平成17年
(台)【平取町の自動車保有台数】
9,37410,396 10,656 10,894
0
3,000
6,000
9,000
12,000
15,000
平成4年 平成8年 平成13年 平成17年
(台)
資料:北海道自動車統計
H14 完成供用H14 完成供用
【自動車保有台数の伸び率(H4/H17)】
1.161.18
1.12
0.00
0.30
0.60
0.90
1.20
1.50
旧日高町 平取町 旧門別町
H5 工事着手H5 工事着手
- 10 -
3.費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
①交通量の増加及び旅行速度向上の状況
当該区間の平成18年における交通量は、バイパス部が7,
070台/日、旧国道部が2,058台/日となっており、交通
の分散化が図られています。
また、整備前後の旅行速度を比較すると、バイパス化したこ
とにより旅行速度が向上し、交通の円滑化および分散化による
効果が現れています。
整備前の交通量 (平成11年センサス値)
8,943台/日
整備前の旅行速度 (平成11年センサス値)
36.3km/h
整備後の旅行速度 (平成18年実測値)
バイパス部
49.3km/h 旧国道部
36.3km/h
※ 整備前は平成11年道路交通センサス値
整備後は平成18年実測値
整備後の交通量 (平成18年実測値)
バイパス部
7,070台/日 旧国道部
2,058台/日
《交通量と旅行速度の推移》
8,943
2,058
7,070
36.3
49.3
0
5,000
10,000
15,000
整備前 整備後
交通
量(台
/日
)
0
20
40
60
旅行
速度
(km
/h)
交通量 旧国道部 交通量 バイパス部 旅行速度
9,128
- 11 -
②交通事故の低減の状況
当該事業の整備前後の事故率を比べると、交通量が分散され
たことにより、約半分に減少しています。
整備前の事故率
(平成9~10年平均)
64.3件/億台km
整備後の事故率
(平成13~16年平均)
24.2件/億台km
※整備前の交通量は平成11年度の道路交通センサス値、事故率は平成9~10年の平均値
※整備後の交通量は平成18年度の実測値、事故率は平成13~16年の平均値
事故率の減少! 8,943
7,070
64.3
24.2
0
3,000
6,000
9,000
12,000
整備前 整備後
交通
量(台
/日
)
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
事故
率(件
/億
台k
m)
交通量(台/日)
事故率(件/億台km)
- 12 -
③費用対効果分析結果(B/C)
費用便益分析の結果
路 線 名 一般国道237号
事 業 名 平取バイパス
□便益
走行時間
短縮便益
走行経費
減少便益
交通事故
減少便益 合 計
基 準 年 平成18年
供 用 年 平成15年
単 年 便 益
( 初 年 便 益 )
5億円
0億円
0億円
5億円
基準年における
現 在 価 値
161億円
3億円
2億円
166億円
・・・・(B)
□費用
事 業 費 維持管理費 合 計
基 準 年 平成18年
単 純 合 計 79億円 14億円 93億円
基準年における
現 在 価 値
109億円
8億円
117億円
・・・・(C)
□算定結果
費用便益分析(CBR)
B/C= = =1.4
117億円
166億円 便益の現在価値の合計(B)
費用の現在価値の合計(C)
注)1.費用及び便益額は整数止とする。
2.費用及び便益の合計は、表示桁数の関係で計算値と一致しないことがある。
- 13 -
④事業費・維持管理費の状況
■ 事業費
計画時 実績
名目値 76.6億円 78.6億円
実質値 77.1億円 79.2億円
旧道引継ぎに際する構造物・路面等の補修費や用地補償費が
増加しました。
※名目値は、各年次の工事費・用補費の単純合計値
※実質値は、平成18年度の価値に換算した事業費
■ 維持管理費
計画時 実績
2百万円/km・年
より効率的、効果的な道路管理を目指します。
※維持管理費は、当該区間の実績値
- 14 -
⑤事業費及び事業期間による社会的影響
本事業は昭和61年度に事業化され、平成5年度に工事に着
手しました。
平成14年度末の供用を目指し、当初予定通りに完成供用し
ました。
供用年(計画時) 供用年
平成15年3月 平成15年3月
費用増加額 便益減少額 社会的損失額
2.5億円 0億円 2.5億円
「事業遅延による社会的損失」=「費用増加額」+「便益減少額」
ここで
「費用増加額」:事業着手から実際の供用年次までの期間における「実績事業費の現在価値合計」
と「計画事業費、維持管理費の現在価値合計」の差額
「便益減少額」:遅延した期間に発生が想定される「便益の現在価値合計」
- 15 -
4.事業の効果の発現状況
■事業の効果や必要性の評価に対応する事後評価項目 客観的評価指標「一般国道(二次改築)」
政策目標 指 標 資料ページ
● 現道等の年間渋滞損失時間(人・時間)及び削減率 P21
○ 現道等における混雑時旅行速度が20km/h未満である区間の旅行速度の改善状況
○ 現道又は並行区間等における踏切道の除去もしくは交通改善の状況
● 当該路線の整備によるバス路線の利便性向上の状況 P22
○ 新幹線駅もしくは特急停車駅へのアクセス向上の状況
円滑なモビリテ
ィの確保
○ 第一種空港、第二種空港、第三種空港もしくは供用飛行場へのアクセス向上の状況
● 重要港湾もしくは特定重要港湾へのアクセス向上の状況 P26
● 農林水産業を主体とする地域において農林水産品の流通の利便性向上の状況 P19 物流効率化の支
援 □ 現道等における、総重量25tの車両もしくはISO規格背高海上コンテナ輸送車が通行できない区間が解消
○ 都市再生プロジェクトの支援に関する効果
○ 広域道路整備基本計画に位置づけのある環状道路が形成(又は一部形成)されたことによる効果
○ 市街地再開発、区画整理等の沿道まちづくりとの連携に関する効果
○ 中心市街地内で行われたことによる効果
□ 幹線都市計画道路網密度が1.5km/km2以下である市街地内での事業である
□ DID区域内の都市計画道路整備であり、市街地の都市計画道路網密度が向上
都市の再生
□ 対象区間が事業実施前に連絡道路がなかった住宅宅地開発(300戸以上又は16ha以上、大都市においては
100戸以上又は5ha以上)への連絡道路となった
□ 高速自動車国道と並行する自専道(A'路線)の位置づけあり
□ 地域高規格道路の位置づけあり
□ 当該路線が新たに拠点都市間を高規格幹線道路で連絡するルートを構成する(A'路線としての位置づけが
ある場合)
□ 当該路線が隣接した日常生活圏中心都市間を 短時間で連絡する路線を構成する
□ 現道等における交通不能区間が解消
■ 現道等における大型車のすれ違い困難区間が解消 P16
国土・地域ネッ
トワークの構築
○ 日常活動圏の中心都市へのアクセス向上の状況
○ 鉄道や河川等により一体的発展が阻害されていた地区の一体的発展への寄与の状況
○ 拠点開発プロジェクト、地域連携プロジェクト、大規模イベントの支援に関する効果
● 主要な観光地へのアクセス向上による効果 P24
1
活
力
個性ある地域の
形成
○ 新規整備の公共公益施設と直結されたことに関する効果
○ 自転車利用空間が整備されたことによる当該区間の歩行者・自転車の通行の快適・安全性向上の状況 歩行者・自転車
のための生活空
間の形成 □
交通バリアフリー法に基づく重点整備地区における特定経路を形成する区間が新たにバリアフリー化さ
れた
□ 対象区間が電線類地中化5ヶ年計画に位置づけあり 無電柱化による
美しい町並みの
形成 □
市街地又は歴史景観地区(歴史的風土特別保存区域及び重要伝統的建造物保存地区)の幹線道路において
新たに無電柱化を達成
2
暮
ら
し
安全で安心でき
るくらしの確保 ● 三次医療施設へのアクセス向上の状況 P25
● 現道等における交通量の減少、歩道の設置又は線形不良区間の解消等による安全性向上の状況 P17~18 安全な生活環境
の確保 ○ 歩道が無い又は狭小な区間に歩道が設置されたことによる安全性向上の状況
□ 近隣市へのルートが1つしかなく、災害による1〜2箇所の道路寸断で孤立化する集落が解消
■ 対象区間が、都道府県地域防災計画、緊急輸送道路ネットワーク計画又は地震対策緊急整備事業計画に位
置づけがある、又は地震防災緊急事業五ヶ年計画に位置づけのある路線(以下「緊急輸送道路」という)
として位置づけあり
P23
□ 緊急輸送道路が通行止になった場合に大幅な迂回を強いられる区間の代替路線を形成
□ 並行する高速ネットワークの代替路線として機能(A'路線としての位置づけがある場合)
□ 現道等の防災点検又は震災点検要対策箇所もしくは架替の必要のある老朽橋梁における通行規制等が解
消
3
安
全 災害への備え
□ 現道等の事前通行規制区間、特殊通行規制区間又は冬期交通障害区間が解消
地球環境の保全 ● 対象道路の整備により、削減される自動車からのCO2排出量 P27
○ 現道等における自動車からのNO2排出削減率
○ 現道等における自動車からのSPM排出削減率
● 現道等における騒音レベルが夜間要請限度を超過していた区間の騒音レベルの改善の状況 P20
4
環
境
生活環境の改善
・保全
○ その他、環境や景観上の効果
○ 関連する大規模道路事業と一体的に整備されたことによる効果
○ 他機関との連携プログラムに関する効果
5
そ
の
他
他のプロジェク
トとの関係 ○ その他、対象地域や事業に固有の事情等、以上の項目に属さない効果
注意:●は定性的又は定量的に効果を確認する項目
■は効果のある項目
- 16 -
客観的評価指標①
「現道等における大型車のすれ違い困難区間が解消」
整備前の当該区間は、橋梁部の幅員が狭く大型車同士のすれ
違いの際に、一旦停止を伴うなど、スムーズな走行が妨げられ
ていました。
当該事業の整備により、幅員狭小橋梁部を迂回することによ
り、旅行速度が約13km/h向上し、交通の円滑化が図られて
います。
■整備前ルートの平取橋と新平取大橋の幅員 【平取橋】 【新平取大橋】
■整備前ルートの平取橋と ■整備前後の旅行速度の推移
新平取大橋の状況
36.3
49.3
0
20
40
60
80
整備前 整備後
旅行速度(km/h)
【平取橋】 【新平取大橋】旅行速度が
約 13km/h アップ
整備前の平取橋では、大型車同士のすれ違いができず交互通行となっていたが、整備後の新平取大橋では、大型車同士の通行についても支障がなくなり、非常に便利になった。そのため安全性も確保できるようになった。
【物流業者ヒアリング】
接触
※ 整備前は平成11年の道路交通センサス値
整備後は平成18年の実測値
- 17 -
客観的評価指標②
「現道等における交通量の減少、歩道の設置又は線形不良区間
の解消等による安全性向上の状況」
<線形不良区間の解消>
一般国道237号は十勝方面と東胆振圏及び日高圏を結ぶ重
要な幹線道路であり、物流交通及び生活交通が錯綜し、通過す
る車両の大型車混入率は約40%となっています。
整備前の当該区間は、平取町市街地を通っていましたが、歩
道も無く、半径90mのカーブを含む線形不良区間が3箇所あ
り、見通しが悪く、ドライバーや歩行者が危険な状況にありま
した。
当該事業の整備により、線形不良区間が解消され、平取バイ
パスに大きく交通が転換されました。
【平日交通量の比較】
8,943
2,058
7,070
0
3,000
6,000
9,000
12,000
整備前 整備後
(台)
旧国道 バイパス
9,128
■整備前後の幅員
【整備前】
【整備後】
旧国道交通量の 約 80%が転換
整備前:H11 交通センサス
整備後:H18 実測値
【休日交通量の比較】
9,433
1,903
9,203
0
3,500
7,000
10,500
14,000
整備前 整備後
(台)
旧国道 バイパス
11,106
半径 150m 以下の
カーブが解消
- 18 -
<安全性向上の状況>
当該区間の死傷者数は、整備前では年平均6.5人となって
いましたが、整備後は年平均3.3人と約50%に減少してい
ます。なお、整備後においては死亡事故は発生しておりません。
また、事故件数は、整備前では年平均5.0件(内車輌相互
は4.3件)となっていましたが、整備後は年平均2.0件(内
車輌相互は1.8件)となっており、約60%減少しています。
当該事業の整備により、市街地を通過する交通が転換したた
め、安全性が向上しました。
整備前:H9~H12 の合計
整備後:H13~H16 の合計
事故件数が 60%減少
死亡者数は 0人 死傷者数が 50%減少
整備前は、車道、歩道が狭く、大型車両の通行が多く危険であった。また、市街地を通行するため、通行に時間がかかることがあった。 整備後は、車道、歩道とも広くなり安全に通行できるようになり、時間的にも短縮された。
【平取町ヒアリングより】
【事業区間の事故件数の推移】
17
7
12
1
0
5
10
15
20
25
整備前 整備後
車輌相互 車輌単独 人対車輌件数
20
8
【事業区間の死傷者人数の推移】
2
53
19
10
0
10
20
30
整備前 整備後
死者数 重傷者数 軽傷者数
26
13
整備前の状況
整備後の状況
- 19 -
客観的評価指標③
「農林水産業を主体とする地域における農林水産品の流通の利
便性向上の状況」
平取町は、トマトや畜産を主体とする農業を基幹産業として
おり、このうちトマトの収穫量は全道1位を誇り、平取町の農
畜産物販売高の53%を占めています。畜産では「びらとり和
牛」が黒毛和種の高級牛肉として有名です。
トマトは、約9,800tの収穫量があり、その約40%が
当該区間を経由して選果場へ輸送されています。また、選果場
から規格外のトマトが、年間約500t当該区間を経由してジ
ュース工場に運ばれています。
「びらとり和牛」は、年間300頭前後が当該区間を経由し
て、安平町早来の食肉処理場へ出荷されています。
当該事業の整備により、平取町を代表する農畜産品の流通の
利便性が向上しています。
■トマト・びらとり和牛の輸送ルート
資料:農林水産省北海道統計
資料:平取町
トマトの輸送には主に11t車を使用していますが、整備前の国道237号平取市街地の道路は、狭隘で通行し難かった。また、平取橋での大型車のすれ違いができなかった。 整備後のバイパス利用によって大型車の通行が非常に楽になった。
【JA平取町ヒアリングより】
トマト53%
肉牛18%
生乳11%
米10%
その他8%
【平取町主要農畜産物 販売高】
主要農畜産物販売高合計5,050百万円
(H17年)
平取町9,770t19%
その他30,980t
63%森町
2,180t4%
砂川市2,150t
4%
美瑛町2,500t
5%
余市町2,720t
5%
【トマトの市町村別収穫量】
総収穫量50,300t(H17年)
- 20 -
客観的評価指標④
「現道等で騒音レベルが夜間要請限度を超過していた区間の騒
音レベルの改善の状況」
整備前の当該区間は、通過する車両の大型車混入率が約4
0%あり、道路敷地境界に家屋が連接していました。このため、
夜間(22~6時)の騒音レベルは73dBと夜間要請限度の
70dBを超過していました。
当該区間の整備により、交通がバイパスに転換したため、旧
国道の騒音レベルが52dBと夜間要請限度以下に改善されま
した。
また、アンケート調査においても平取町の住民の大半の方が旧
国道を通行する自動車による騒音が軽減されたと回答していま
す。
【騒音レベルの推移】
75 7361 52
0
20
40
60
80
100
昼 間 夜 間
等価騒音レ
ベル:Leq
(db)
14dbの改善
要請限度:75db 要請限度:70db
21dbの改善
整備前 整備後 整備前 整備後
120dB ・飛行機のエンジンの近く
110dB ・自動車の警笛(前方2m)
100dB ・電車が通るときのガード下
90dB・大声による独唱・騒々しい工場の中
80dB ・地下鉄の車内
70dB・電話のベル・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭
60dB・静かな乗用車・普通の会話
50dB ・静かな事務所
40dB・図書館・静かな住宅地の昼
30dB・郊外の深夜・ささやき声
20dB・木の葉のふれ合う音・置き時計の秒針の音(前方1m)
【参考】騒音の大きさの例
騒音レベルが要請 限度以下に改善!
整備前:H12
整備後:H14
■沿線住民アンケート調査
■旧国道の騒音レベルの低下の状況
旧国道を通過する自動車による騒音がなくなった
どちらかというとそう思う19.4%
どちらかというとそう思わ
ない3.2%
非常にそう思う
25.8%
そう思う51.6%
そう思わない
全くそう思わない
0%
資料:室蘭開発建設部
- 21 -
客観的評価指標⑤
「現道等の年間渋滞損失時間(人・時間)及び削減率」
当該区間は平取町の中心地であり、通勤・買物などの日常生
活交通に加え、十勝地域から苫小牧港間などの物流交通が集中
しています。
平成11年度における国道237号の年間渋滞損失時間は1
61.8千人・時間/年となっていましたが、整備後は32.2
千人・時間/年となり80.1%削減されました。
また、当該事業の整備(渋滞箇所の迂回及び右折車線の設置)
により 大渋滞長・ 大通過時間解消されました。
■整備前の渋滞ポイント
整備前の状況
整備後の状況
【渋滞損出時間の推移】
161.8
32.2
0.0
50.0
100.0
150.0
200.0
整備前 整備後
千人
時間
/年
渋滞損失時間は80.1%削減
- 22 -
客観的評価指標⑥
「当該路線の整備によるバス路線の利便性向上の状況」
当該区間と並行する道路を通る路線バスは富川高校~日高タ
ーミナル間など1日往復14便、都市間バスは、苫小牧~日高
間が1日往復2便、札幌~日高間が1日往復1便、運行されて
います。当該区間の整備前は、狭隘で、大型車とのすれ違いが
困難であるため、バスの定時性の確保や安全な通行が妨げられ
ていました。
当該区間の整備により、大型車両等が平取バイパスへ転換し、
旧国道の交通量が減少したことから、定時性が確保されるとと
もに安全性も高まりました。
■都市間・路線バスの運行状況
整備前は、橋梁箇所の幅員が狭く、大型車とのすれ違いが出来ず一時停止していた。また、平取市街地で駐車車輌があると対向車が多くすれ違うことが出来なかった。 整備後は大型車が平取バイパスを通る様になったので、平取市街地の通行はほとんど地元住民
の車両通行となり通行しやすくなった。 【平取町内のバス会社 担当ドライバーヒアリングより】
【整備後の当該区間】
整備前 整備後
- 23 -
客観的評価指標⑦
「対象区間が、都道府県地域防災計画、緊急輸送道路ネットワ
ーク計画又は地震対策緊急整備事業計画に位置づけがある、又
は地震防災緊急事業五ヶ年計画に位置づけのある路線(以下「緊
急輸送道路」という)として位置づけあり」
当該区間を含む国道237号は、緊急輸送道路ネットワーク計
画※において「緊急輸送道路」に位置づけられており、防災、危
機管理の観点から幹線道路機能の向上が求められる重要路線と
なっています。
当該区間の整備により、線形改良や車道拡幅が図られ、道路
交通の安全性、確実性が向上し、防災対策や危機管理の充実に
寄与しています。
※緊急輸送道路ネットワーク計画 :災害対策基本法、及び地震防災対策特別措置法に基づき策定 ● 第一次緊急輸送道路とは、県庁所在地、地方中心都市及び重要港湾、空港、総合病院、
自衛隊、警察、消防等を連絡する道路 ● 第二次緊急輸送道路とは、一次緊急輸送道路と市町村役場、主要な防災拠点(行政機
関、公共機関、主要駅、港湾、ヘリポート、災害医療拠点、備蓄集積拠点、広域避難地等)を連絡する道路
- 24 -
客観的評価指標⑧
「主要な観光地へのアクセス向上による効果」
平取町にはアイヌ文化を紹介する施設や自然に親しむ「すず
らん群生地」などの観光地があり、年間約16万人の観光客が
訪れます。
当該区間の整備により、観光拠点へのアクセス向上が図られ、
地域観光振興に寄与しています。
■平取町内の観光地
【平取町の観光入込客数の推移】
139159 158
0
50
100
150
200
H9 H13 H17
(千人)
二風谷ファミリーランド
びらとり温泉
すずらん群生地
資料:北海道観光入込調査 資料:平取町調べ(平成 17 年度)
びらとり温泉
75,857人53%
沙流川歴史館
18,027人12%
すずらん観賞会
10,352人7%
二風谷オート
キャンプ場
6,068人4%
その他7,449人
5%
二風谷アイヌ文化博物館
27,535人19%
【各施設・イベントの 観光入込客数】
観光入込客数合計145,288人
主要観光施設等位置図
二風谷湖
- 25 -
平取町からの三次医療施設は札幌医科大学付属病院高度救命
救急センター、独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター
救命救急センター、手稲渓仁会病院救命救急センター、札幌市
立病院救命救急センターの四つとなります。
また、平取町からは苫小牧市への通院も多くあり、1ヶ月で
約400件あります。
当該区間の整備により平取町から、救急医療機関へのアクセ
スが向上し、迅速・確実な地域医療活動に大きく貢献していま
す。
客観的評価指標⑨
「三次医療施設へのアクセス向上の状況」
旧日高町方向への救急出場の際は、バイパスを利用している。旧道へ入る場合でも道路整備がなされており、道幅も広いため満足している。 救急搬送における時間の短縮は特にないが、旧道に比べ道幅が広く見通しも良いため、走行上の安全性は
ある程度期待できる。 【日高西部消防組合 消防署平取支署ヒアリング】
平取町64件66%
門別町3件3%
苫小牧市
29件30%
札幌市1件1%
【平取町における各方面への 救急搬送件数】
緊急搬送件数合計
97件(H17)
資料:平取支署ヒアリングより
● 札幌医科大学付属病院高度救命救急センター
● 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター
平取町から苫小牧市まで通院している方は、少なくとも 400 件/月程度はあります。 【平取町ヒアリング】
- 26 -
客観的評価指標⑩
「重要港湾もしくは特定重要港湾へのアクセス向上の状況」
当該区間は十勝方面と苫小牧港を結ぶ物流交通が集中し、大
型車混入率は約40%となっています。
全道1位の生産量を誇る十勝管内の砂糖は、道外へ移出する
際には約60%が国道274号、国道237号、日高自動車道
を経由して苫小牧港へと運ばれています。
当該区間の整備により、輸送車の安全性、確実性の向上が図
られ、特定重要港湾へのアクセス向上に寄与しています。
■十勝支庁管内より苫小牧港への輸送ルート
本別製糖所9%
道南製糖所7%
芽室製糖所27%
士別製糖所7%
中斜里製糖工
場21%
美幌製糖所10%
清水製糖工場
10%
北見製糖所9%
生産量合計
708,688t(H17)
【北海道における砂糖生産量】
十勝支庁管内
資料:平成 16 年 10 月陸上出入貨物調査
注 :一ヶ月調査の取扱量
整備前は、橋梁部で大型車とのすれ違いが出来ず一時停止して待っていたし、平取市街地でも道幅が狭く、歩行者に神経を使っていた。 平取バイパスを通るようになって、歩行者に神経を使うことも無くなり、走行性や安全性が向上
した。 【物流会社 担当ドライバーヒアリングより】
砂糖40%
野菜・果物11%
その他食品工業品29%
米・雑穀・豆11%
その他3%
その他畜産物
6%
移出貨物合計
4,682t
【苫小牧港における十勝支庁管内 移出貨物取扱量】
資料:平成17年道路交通センサス
区間:帯広市~~日高町
①日高町~R274(樹海ロード)~夕張IC~沼ノ端IC
②日高町~R234(平取BP)~富川IC~沼ノ端IC
資料:北海道農政部食の安全推進局農産振興課調べ
釧路港42% 苫小牧
港58%
輸送量合計
3,168t(H16,10)
【十勝支庁管内の砂糖輸送先港湾】
鉄鋼13%
石油製品53%
米・雑穀・豆
2%
その他10%
重油6%
セメント16%
移入貨物合計9,816t
【苫小牧港における十勝支庁管内 移入貨物取扱量】
資料:平成 16 年 10 月陸上出入貨物調査注 :一ヶ月調査の取扱量
【帯広から苫小牧港への移動時間】
188209
225249
0
100
200
300
R274夕張経由 R237平取経由
アク
セス
距離
(km
)
0
100
200
300
アク
セス
時間
(分
)
移動距離 移動時間
- 27 -
平成16年度における国内の二酸化炭素総排出量は、12億
8,600万(t-CO2/年)、1人あたりの総排出量は10.
07(t-CO2/年)となっています。 当該区間の整備により、整備されない場合に比べ、661.
0(t-CO2/年)の削減が見込まれます。これを1人あたり
の年間排出量に換算した場合、約66人分の排出量に相当しま
す。
■CO2排出量の削減
客観的評価指標⑪
「対象道路の整備により、削減される自動車からのCO2排出
量」
988,756
988,095
987,000
987,500
988,000
988,500
989,000
整備無し 整備有り
(t-CO2/年)
661 トン削減
0
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5.今後の事後評価の必要性
平取バイパスは、旅行速度の改善、安全性の向上、物流の効
率化など、整備に伴う効果が発現されています。
よって、今後の事後評価の必要性はありません。
なお、今後も交通状況等の把握に努めます。
6.改善措置の必要性
平取バイパスの整備により、十分な機能が発揮され、改善措
置は必要ありません。
なお、今後も利用しやすい道路環境の確保に努め、適切な維
持管理を実施し、そのコスト縮減に努めます。
7.同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の見直しの
必要性 特に同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の見直し
の必要はありません。