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(選択講習) "ビオトープ" は野生生物の生息空間 令和元年6月22日(土曜) 講師 成岡 市(なりおか はじめ) 三重大学大学院 生物資源学研究科 共生環境学専攻 農業土木学講座 農地工学教育研究分野 〒514-8507 三重県津市栗真町屋町1577 e-mail:[email protected]

(選択講習) ビオトープは野生生物の生息空間...(選択講習) "ビオトープ"は野生生物の生息空間 令和元年6月22日(土曜) 講師 成岡市(なりおかはじめ)

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(選択講習)"ビオトープ" は野生生物の生息空間

令和元年6月22日(土曜)

講師 成岡 市(なりおか はじめ)三重大学大学院 生物資源学研究科共生環境学専攻 農業土木学講座 農地工学教育研究分野〒514-8507 三重県津市栗真町屋町1577e-mail:[email protected]

"ビオトープ" は野生生物の生息空間開始頁

1. ビオトープを考える/講習の方法 12. ビオトープの概念、定義、意義 73. ビオトープの歴史、法律、事例 114. 野生動植物と人間社会の共生 155. 日本型ビオトープの考え方 196. ビオトープ創出における雑草の問題 237. ビオトープに関する調査法(例) 278. ビオトープに関する日本とドイツの比較 319. マングローブ環境と生物生息空間保全 3710. 海の恩恵「塩益」 4511. 履修認定試験 (別紙)

スケジュール9:00~11:50 講習(2h50m)

11:50~13:00 昼休み13:00~15:50 講習(2h50m)15:50~16:00 休憩16:00~16:40 履修認定試験16:40~ 受講者評価書記入、提出後解散

特別寄稿 『愛知の土と水』、第25号、愛知県農業土木技術研究会(2019)、1-6

ノート

"ビオトープ" は野生生物の生息空間

三重大学大学院 生物資源学研究科 教授 成岡 市

1 はじめに

農業農村整備事業で使われる「環境に配慮し

た・・・」を冠した文章は、"ビオトープ"の概

念に含まれているいくつかの語句の中から参考

または引用にすることができる。

早速のことだが、ギリシア語からの造語とい

われる"ビオトープ"{bios(生き物)+ topos(場

所)}は、Biozoenose(生物群集)という概念

を提唱したドイツの動物学者 Karl Moebius が

1877 年に動植物の生物共同体の生息場所とい

う意味で使い始めたといわれている。近年では、

「特定の生物群集の境界のある生息空間」

(Scheffer,1992 年)、「動植物の特定された生

物群集の境界を有する生息場所」(Bastian,1999

年)などと再定義されている(表-1)。

要するに、"ビオトープ"は、生物の生息環境

を意味する生物学の用語であり、現在のドイツ

連邦自然保護局では"ビオトープ"を「有機的に

結びついた生物群。すなわち生物社会(一定の

組み合わせの種によって構成される生物群集)

の生息空間」としている(日本生態系協会,

2016)。

2 ドイツ生まれの "ビオトープ"ドイツ人の自然に対する考え方には、「人々

に安らぎを与える空間だけでなく、自然が人々

に安全性を感じさせ、人々がそれに恐れを感じ

表-1 "ビオトープ"

ドイツ語: Biotop(ビオトープ)

英語 : biotope(バイオトープ)

共通概念: 生物群集の生息空間を示す語

日本語訳: 「生物空間」、「生物生息空間」

ることがない空間」というものがある。このよ

うにドイツでは、地域を重視し、歴史的な経緯

をふまえた整備を行い、水環境や古い建物など

を積極的に維持し、歴史的な農業資産などの保

全にも力を入れている(日本生態系協会,2016)。

このことは、日本でも同様であると理解するこ

とができる。

ところで、ドイツの農村では、畑地や草地が

農地の大半であり、地形にあわせた「山なり」

で農地整備が行われており、「点・面」の整備

手法によって"ビオトープ"が形成されている。

そして、環境保全型農業や生物保護を考慮した

農業用施設の整備に補助金が出される制度もあ

る。加えて、農村の自然・景観などを保全する

ために、都市住民もその費用を負担する合意形

成が行われる(日本生態系協会,2016)。よく

使われる用語「ミティゲーション」(mitigation)

は、森や干潟などの自然が大規模開発などで失

われるかわりに、それに見合った自然を復元さ

せるという環境保全上の手法のことをいう。

1

表-2 生物種の絶滅の原因

・生息場所の生息状況の悪化(消失、縮小、分

断、孤立化)

・有害物質による環境汚染

・感染症の拡大

・採集、捕獲(狩猟)

・侵略的外来種の侵入

表-3 生息場所の生息状況の悪化

・消失(住む場所が無くなる)

・縮小(面積が小さくなれば、個体数の減少、

種数の減少につながる)

・分断{移動が妨げられ、重要なハビタット

(Habitat;生息地)要素にたどり着けなくなる。同種の他個体と交流できなくなる}

・孤立化(同種の他個体と交流できなくなる)

表-4 絶滅危惧種の特徴

・固有性が高い(狭い地域に全個体がまとまっ

て住む)

・適応範囲が狭い(住める環境タイプが限られ

ていて変更できない)

・個体数が少ない(偶然の環境変化で一気に絶

滅に至る)

・個体数が減少している(原因を取り除かない

と急激な減少が起こる)

表-5 個体数減少の要因

・近交弱勢の顕在化(繁殖率の低下、有害遺伝

子の発現)

・集団的防衛力の低下{見張り時間の減少、モ

ビング(擬攻撃、いやがらせ)の弱体化}

・雌雄比率の偏り、出会いの機会の減少(繁殖

機会の減少)

・偶然の出来事の影響(カタストロフィー;不

意に発生する無秩序な現象)

これに対して、日本では"ビオトープ"の直接

的保全・整備・管理に必要な経費を農家が負担

していることがあり、農村における"ビオトー

プ"概念を導入した保全・整備を進めるために

は、土地改良法に関わる制度設計が不可欠と思

われる。

3 "ビオトープ"の生態学的要素関連用語を表-2~表-5にまとめた。各表の

「生物種の絶滅の原因、生息場所の生息状況の

悪化、絶滅危惧種の特徴、個体数減少の要因」

はいずれも生態学的要素である。これらが"ビ

オトープ"の根底にある。

4 日本では自然保護制度が "ビオトープ"時代を追って、どのような制度があったのか、

振り返ってみたい。

(1)初期/森林に対する制度江戸時代:各藩で山林等の「禁伐」処置

1888(明治 21):東京市区改正条例(無秩序な拡

大防止のための都市計画制度)

1897(明治 30):森林法(保安林制度を導入し、

森林の無秩序な伐採を規制)

1919(大正 8):都市計画法(都市内の公園緑地

の整備や風致地区制度へ発展)

1919(大正 8):史跡名勝天然記念物保存法

1931(昭和 6):国立公園法(自然公園法、変化

に富んだ自然風景を保護の対象とする国立公

園制度)

(2)初期/野生生物に対する制度1892(明治 25):狩猟規則(捕獲禁止の保護鳥

獣を定める)

1895(明治 28):狩猟法

1918(大正 7):改正狩猟法(鳥獣保護及び狩猟

の適正化に関する法律、狩猟対象鳥獣以外は

すべて保護対象とする)

2

(3)高度経済成長期(1955~ 1970頃)1971(昭和 46):環境庁設置(2001年に環境省)

1972(昭和 47):自然環境保全法(自然環境保

全に関する基本的な理念や基本方針を示す。

国の自然保護政策の中心的な役割)、「開発」

に伴う自然破壊が深刻化

(4)現在1993(平成 5):環境基本法(環境政策の基本方

針。公害問題と自然保護問題を統合)

1993(平成 5): 生物多様性条約締結(生態系保

全に関する国際的条約)

最近では、環境基本法に基づく「環境基本計

画」と、「生物多様性条約」に基づく生物多様

性国家戦略を軸に、法律や制度が整備されてい

る。

(5)自然環境に関連した法律参考までに、"ビオトープ"の管理士資格試験

に関係ある主要な法律を列挙する。多岐・多分

野をカバーしており、「開発・保護・保全・安

全など」の用語(表-6)が重要なキーワード

として組み込まれていることが理解できる。

○環境基本法

○自然環境保全法(原生自然環境保全、自然環

境保全、都道府県単位)

○自然公園法(生物多様性の確保、保護規制計

画、保護施設計画)

○鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律(狩

猟鳥獣、鳥獣保護区、鳥獣保護事業計画)

○絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に

関する法律(希少野生動植物)

○文化財保護法(天然記念物、特別天然記念物、

文化的景観)

○特定外来生物による生態系等に係る被害の防

止に関する法律(特定外来生物)

○環境影響評価法

○自然再生推進法

○環境の保全のための意欲の増進及び環境教育

の推進に関する法律

○都市緑地法、都市公園法

○河川法

○湖沼水質保全特別措置法

○水質汚濁防止法(排水基準、濃度規制、総量

規制、生活排水対策)

○森林・林業基本法

○森林法(全国計画、地域計画、保安林)

○国有林野の管理経営に関する法律

○食料・農業・農村基本法(国土保全、水源涵

養、自然環境保全、保健休養、文化の伝承)

○土地改良法

○地球温暖化対策の推進に関する法律(京都議

定書、温室効果ガス算定排出量)

○エコツーリズム推進法(自然観光資源等)

○生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)

と生物多様性国家戦略

○特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地

に関する条約(ラムサール条約)

○世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する

条約

○絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取

引に関する条約(ワシントン条約)

表-6 用語「開発・保護・保全・安全など」

・開発 [development]:自然や知識を利用してより人間に有用なものを生み出す行為

・保護 [protection]:脅威や影響を与えるものに対し、有形無形の障壁で守ること

・保全 [conservation,preservation]:保護して安全であるようにすること

・安全 [safety,security]:危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の

盗難や破損などの心配のないこと

・復元 [restoration,reconstruction]:元の位置や形態に戻す(戻る)こと※

・創出 [creation]:はじめて作ること。いままでなかったものを新しく作り出すこと

※「復元」は現代の材料と技法を使って行うこと。

「復原」は当時の材料と技法を使って行うこと。

3

表-7 「共生」の意味

・共生 [Symbiosis]:複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象。共に生

きること。

・相利共生:双方の生物種がこの関係で利益を

得る場合

・片利共生:片方のみが利益を得る場合

・片害共生:片方のみが害を被る場合

・寄生:片方のみが利益を得、相手方が害を被

る場合

5 生物の多様性と共生

"ビオトープ"の視点からみた「生物が多様」

であるということは、「群集が持続する(種の

多様性の高さ)、種が持続する(種内の遺伝的

多様性)、人間社会を支えている(自然と人間

との関係)、固有価値がある」、すなわち種の絶

滅の危険性が低下することを意味している。

そして、「共生」には、表-7のように各種が

あって、耳障りのよい意味に偏っていないよう

である。

6 "ビオトープ"に関わる雑草の問題欧米では注目されない、むしろ稀少価値とし

てみられる「雑草」がアジア地域にはある。

起源は、「人類が土壌を初めて耕すことを知

った時」であり、①自然植生の破壊(氷河など)

によって生まれた裸地に適応した植物が、のち

に人間がつくった耕地に侵入して、淘汰・分化

したもの、②自然植生の種に由来する栽培植物

の分化や作物を育てる過程で作物との交雑種な

どが生まれ残ったもの、③古代人の利用栽培し

た植物種が後に廃棄されて耕地に残ったもの、

④農耕地やその周辺などで、たえず人間の干渉

を受けている立地を生活の基盤としている植

物、と理解されている(雑草管理ハンドブック,

2010)。

ここで、雑草の分類、特徴、被害項目などを

図-1、表-8、表-9に、雑草管理にあたって

の基本方針を表-10に列挙する。

図-1 日本での山野草、人里植物、帰化植物

および作物の生育地と種類数(笠原,1971)

人類の歴史の中で、しだいに農耕社会の発達

とともに作物という概念が育ち、雑草と区別さ

れたというわけであるが、現在の「雑草」は農

業生産とは関係のない立地に生える植物も含ま

れている。そして、雑草(weed)の定義には諸

説がある。すなわち、

(1)雑草とは、人類の使用する土地に発生して、

人類に直接あるいは間接に損害を与える植

物(半澤,1910)

(2)耕作地などを含めて人間によって作られた

立地や不規則に変化しやすい不安定な立地

に生活する特殊な一群の植物(河野,1969)

(3)農耕地で人間の営んでいる経済行為に相反

して直接または間接に作物を害して生産を

減少させ、農耕地の経済価値を低下させて

いる作物以外の草本(荒井,1954)

(4)「耕地雑草」とは、人間が耕地を利用して

経営行為を営むために植栽した以外のすべ

ての草本植物(川延,1962)

などが列挙される。

すると、「雑草」を一つにまとめて、「望まれ

ない、嫌われる植物、見いだされていない価値

をもつ植物」と言うこともできるが、雑草を本

格的に定義する場合は、「雑草に対する生物学

的な視点、作物との競合関係に関する視点、利

用価値などの評価に関する視点」など、要する

に「人間が土地を利用するという価値観に立つ

と、雑草は人間の生活および生産活動を営む立

4

地において栽培・植栽した以外の植物」と総括

した方が正しい理解と思われる。

表-8 雑草の特徴

・「踏みつけ」に強い(運動場や道路脇など、踏

まれることの多い場所を専有する)

・「繁殖力」が強い(地下茎をもつものは、地下

を広がりながら無性生殖で個体数を増やした

り、種子でも繁殖する)

・一世代の時間や成長に「融通」が利く(条件が

悪ければ、小さな個体のまま、花をつけ、種

子を作るものがある)

・「休眠」に適する構造を持つ(種子や根茎など)

・作物への「擬態」がある(田畑など耕地に発生

するものに、作物に擬態するものがある)

表-9 雑草による主要な被害項目

・農地では、直接・間接的に、作物の生産量減

少や品質低下が起こる

・除草のための資材や労力を必要とする

・雑草が繁茂することによって、作業能率を低

下させ、生産費の増加を招く

・農道・畦畔では、作業機の運搬、田畑への搬

入の障害となる

・水路では雑草の繁茂によって、水温が低下し、

養魚の生育に影響が出る

・「毒草」もあり、家畜等への被害となる

・病害虫の生息・越冬場所となり、病原微生物

の宿主植物や媒介源となる

表-10 雑草管理の基本方針

防除:雑草の発生を防止、発生雑草を取り除く

制御:雑草の発生量を抑える、発生雑草の繁茂

を抑える

管理:経済性や合理性を加えた概念

※「管理」>「防除、制御」(厳密な区別はない)

7 おわりに(日本型ビオトープの考え方)

ドイツで生まれた"ビオトープ"の概念を日本

型ビオトープとしてわが国に定着させるために

は、「"ビオトープ" + 農業 + 農村」の関連

性に配慮する必要がある。すなわち、"ビオト

ープ"を「地域・地区レベルの環境からみて価

値のある野生生物の生息空間であり、その生態

系が長期にわたって維持されていく一定の広が

りをもった空間」と整理することによって、農

業農村整備事業の方向性と異なることにはなら

ないだろう。このことを地域環境の重要な構成

要素として位置づけ、それを「保全・復元・創

出」(前出 表-7)しようとする考え方に近寄っ

て行くことが必要である。つまり、今後のわが

国の農村地域の開発・整備、農村環境の諸問題

を考える際の重要な概念がここにある。

ところで、日本において「欧州の"ビオトー

プ"的発想」があまり問題とならなかったわけ

がある。つまり、①日本の気候・風土の中で、

国土の大半を占める森林などの「緑」が身近に

あり、自然の回復力を当たり前のように認識、

②近年の工業化・都市化、農業技術の化学化・

機械化が急速に進展し、国土の自然や生活環境

が悪化するようになってから、はじめて認識対

象となった、③農業生産性向上中心の発想から

地域の自然生態系・生物の多様性を配慮した新

たな計画・整備手法の解明・開発が必要。など

の理由があげられる。

以上より、「日本型ビオトープ」の成立要件

は、農水省の「環境保全型農業」に当てはめて、

「農業のもつ物質循環機能を生かし、生産性と

の調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて

化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減

に配慮した持続的な農業」ということである。

自然的・社会的経済条件の特徴を踏まえた

「日本型ビオトープ」が必要とされるならば、

①自然生態系や生物多様性の普遍的価値や「人

間生活に直接役立つかどうか」の価値観を考え

る必要がある、②都市と農村を比較して「"ビ

オトープ"の考え方・内容・規模・整備手法」

5

などの使い分けが必要である、③日本的評価法

の確立が必要である(実施事例を増やす意味)。

"ビオトープ"の計画は、「明確な目的があっ

て、ある種の生物または生物群が生育・生息で

きる状態を計画すること」であり、幅広い知識

・情報・経験が必要である。その手順には、①

課題設定、②野生生物調査(文献・聞き取り調

査、現地調査)、③問題点の明確化、法的制限

の確認、④解決策の検討、⑤ビオトープ計画の

立案(②~④の間はフィードバックを繰り返す)

がある。

このようにみると、「立案・調査・計画・設

計・施工・管理など」の一連の手法は、いうま

でもなく、農業農村工学(農業土木)が得意と

する「技」であったということに気がつく。

最後に、愛知県農林水産部「愛知の土と水」

編集担当者ならびにご関係の皆様方から本稿を

まとめる機会を与えていただきました。ここに

記して深謝申し上げます。

参考文献

巌佐庸、松本忠夫、菊沢喜八郎(日本生態学会)

編(2003):生態学事典、共立出版、

ISBN978-4-320-05602-2

草薙得一、近内誠登、芝山秀次郎編(2010):雑

草管理ハンドブック、朝倉書店、

ISBN978-4-254-40018-2

日本生態系協会編(2016):改訂版ビオトープ管

理士資格試験 公式テキスト- 2 級ビオトー

プ計画管理士・施工管理士対応-、日本能率

マネジメントセンター

農業農村工学会編(2010):改訂 7 版 農業農村

工学ハンドブック、農業農村工学会、

http://www.jsidre.or.jp/newinfo/handbook/

参考URL

日本生態系協会:

http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/

日本ビオトープ協会:

http://www.biotope.gr.jp/

6

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

2.ビオトープの概念、定義、意義

情報

源■

(財

団法

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講習開始

■⾔葉の意味、概念

(1)ド

イツ語

︓ビオ

トープ

(Bi

otop

)(2

)英語

︓バ

イオトー

プ(

biot

ope)

(3)共

通概

念︓

⽣物

群集

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息空

間を

⽰す

語(4

)⽇本

語訳

︓「⽣

物空

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⽣物

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語源

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所)

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⽣物

群集

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概念

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唱した

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近年

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、「特

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群集

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空間

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1992

年)

、「動

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た⽣

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場所

」(Ba

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99年

)とい

う定義

もあ

■⾔葉の意味、概念

<お

さらい

> 「ビオトープ」とは何か︖

Biot

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⽣物

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要素

、空間

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︓地

学的

要素

、空間

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︓⽣

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地学

的要

素、機

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機的

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無機

的有

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要素

を含

む、

機能

的領

域=

⽣態

→い

ずれ

も⾃

然に

対す

る⾒

⽅、と

らえ⽅

7

■定義

(1)「

ビオトー

プ」と

は、⽣物の⽣息環境を意味する⽣

物学の⽤語

(2)⻄ドイツ

で⽣

まれ

た概

念(3

)ドイツ

連邦

⾃然

保護

局で

は、ビ

オトー

プを

「有機

的に

結び

つい

た⽣

物群

。すな

わち

⽣物

社会

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定の

組み

合わ

せの

種に

よって

構成

される

⽣物

群集

)の

⽣息

空間

」と位

置づ

けて

いる

(4)ビ

オトー

プを

「地域・地区レベルの環境からみて価

値のある野⽣⽣物の⽣息空間で、その⽣態系

が⻑期にわたって維持されていく⼀定の広がりを

もった空間

」と定

義す

■意義、関係⽤語(0)

(1)

レッド

デー

タ(2

) 種

の保

存法

(3)

⽣物

種の

絶滅

の原

因(4

) ⽣

息場

所の

⽣息

状況

の悪

化(5

) 侵

略的

外来

種の

侵⼊

(6)

絶滅

危惧

種の

特徴

(7)

個体

数の

減少

(8)

絶滅

の連

鎖次へ

■意義、関係⽤語(1)

レッドデータ

国際

⾃然

保護

連合

IUCN

のカテ

ゴリー

8基

準に

よる

評価

種の保存法

ワシ

ントン条

約、1

973年

「絶滅

のお

それの

ある

野⽣

動植

物の

種の

国際

取引

に関

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条約

」Co

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tern

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nal

Trad

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End

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red

Spec

ies

of

Wild

Fau

na a

nd F

lora

■意義、関係⽤語(2)

⽣物種の絶滅の原因

(1)⽣

息場

所の

⽣息

状況

の悪

化(

消失

・縮

⼩・分

断・孤

⽴化

)(2

)有害

物質

によ

る環

境汚

染(3

)感染

症の

拡⼤

(4)採

集・捕

獲(

狩猟

)(5

)侵略

的外

来種

の侵

8

■意義、関係⽤語(3)

⽣息場所の⽣息状況の悪化

(1)消失

︓住

む場

所が

無くな

る(2

)縮⼩

︓⾯

積が

⼩さく

なれ

ば、個

体数

の減

少、種

数の

減少

(3)分断

︓移

動が

妨げ

られ、重

要な

ハビ

タット(

Habi

tat︔

⽣息

地)

要素

にた

どり着

けな

くなる

。同種

の他

個体

と交流

でき

なくな

る(4

)孤⽴化

︓同

種の

他個

体と交

流で

きな

くな

■意義、関係⽤語(4)

侵略的外来種

の侵

↓在来種

の(1

)⾷害

(2)駆

逐(3

)交雑

(4)環

境の

質を

変え

るet

c.

■意義、関係⽤語(5)

絶滅危惧種の特徴

(1)固有性が⾼い

︓狭

い地

域に

全個

体が

まとま

って住

む(2

)適応範囲が狭い

︓住

める

環境

タイプ

が限

られて

いて

変更

でき

ない

(3)個体数がもともと少

ない

︓偶

然の

環境

変化

で⼀

気に

絶滅

に⾄

る(4

)個体数が減少している

︓原

因を

取り

除か

ない

と急激

な減

少が

起こる

■意義、関係⽤語(6)

個体数の減少

(1)近交弱勢の顕在化

︓繁

殖率

の低

下、

有害

遺伝

⼦の

発現

(2)集団的防衛⼒の低下

︓⾒

張り時

間の

減少

、モビン

グ(

擬攻

撃、い

やが

らせ

)の

弱体

化(3

)雌雄⽐率の偏り、出会いの機会の減少

︓繁

殖機

会の

減少

(4)偶然の出来事の影響

(カタ

ストロ

フィー

︔不

意に

発⽣

する

無秩

序な

現象

9

■意義、関係⽤語(7)

絶滅の連鎖

(1)共

⽣相

⼿の

絶滅

によ

る直

接的

影響

(2)捕

⾷者

の絶

滅に

よる

被捕

⾷者

の⼀

時的

⼤量

発⽣

(3)分

解者

の絶

滅に

よる

循環

栄養

量の

減少

→⼀

つの

種の

絶滅

は、多

種の

絶滅

の引

き⾦

にな

10

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

3.

ビオトー

プの

歴史

、法律

・事例

講習開始

■⽇

本に

おけ

る「⾃

然保

護制

度」(

1)

(1)初

期/

森林

に対

する

制度

江⼾

時代

︓各

藩で

⼭林

等の

「禁伐

」処置

1888

(明治

21)︓

東京

市区

改正

条例

(無秩

序な

拡⼤

防⽌

のた

めの

都市

計画

制度

)18

97(明

治30

)︓森

林法

(保

安林

制度

を導

⼊し、

森林

の無

秩序

な伐

採を

規制

)19

19(⼤

正8)

︓都

市計

画法

(都

市内

の公

園緑

地の

整備

や⾵

致地

区制

度へ

発展

)19

19(

〃)︓

史跡

名勝

天然

記念

物保

存法

(→⽂

化財

保護

法、す

ぐれた

⾵景

や名

勝、学

術的

貴重

な動

植物

、岩⽯

、地形

、地質

などを

保護

・保存

)19

31(昭

和6)

︓国

⽴公

園法

(→⾃

然公

園法

、変化

に富

んだ

⾃然

⾵景

を保

護の

対象

とする

国⽴

公園

制度

■⽇

本に

おけ

る「⾃

然保

護制

度」(

2)

(2)

初期

/野

⽣⽣

物に

対す

る制

度18

92(明

治25

)︓狩

猟規

則(

捕獲

禁⽌

の保

護⿃

獣を

定め

る)

1895

(明治

28)︓

狩猟

法19

18(⼤

正7)

︓改

正狩

猟法

(→

⿃獣

保護

及び

狩猟

の適

正化

に関

する

法律

、狩猟

対象

⿃獣

以外

はす

べて

保護

対象

とする

11

■⽇

本に

おけ

る「⾃

然保

護制

度」(

3)

(3)

⾼度

経済

成⻑

期(

1955

〜19

70頃

)19

71(昭

和46

)︓環

境庁

設置

(→20

01年

に環

境省

)19

72(昭

和47

)︓⾃

然環

境保

全法

(⾃

然環

境保

全に

関す

る基

本的

な理

念や

基本

⽅針

を⽰

す。国

の⾃

然保

護政

策の

中⼼

的な

役割

↑「開

発」に

伴う⾃

然破

壊が

深刻

化︕

■⽇

本に

おけ

る「⾃

然保

護制

度」(

4)

(4)

現在

1993

(平成

5)︓

環境

基本

法(

環境

政策

の基

本⽅

針。

公害

問題

と⾃然

保護

問題

を統

合)

1993

( 〃

)︓⽣

物多

様性

条約

締結

(⽣態

系保

全に

関す

る国

際的

条約

↑環

境基

本法

に基

づく「

環境

基本

計画

」、「⽣

物多

様性

条約

」に基

づく⽣

物多

様性

国家

戦略

を軸

に、

法律

や制

度が

整備

される

■「開

発・保

護・保

全」⽤

語の

確認

開発

︓[d

evel

opm

ent]

⾃然

や知

識を

利⽤

して

より⼈

間に

有⽤

なも

のを

⽣み

出す

⾏為

保護

︓[p

rote

ctio

n] 脅

威や

影響

を与

える

もの

に対

し、有

形無

形の

障壁

で守

ること

保全

︓[c

onse

rvat

ion、

pres

erva

tion]

保護

して安

全で

ある

ように

する

こと

(安全

)︓[s

afet

y、se

curit

y] 危

険が

なく安

⼼な

こと。傷

病な

どの⽣

命に

かか

わる

⼼配

、物

の盗

難・破

損な

どの⼼

配の

ない

こと

■⾃

然環

境関

連法

令の

構成

環境

に関

する

基本

的な

⽅針

を定

める

法律

・計画

保護

対象

となる

⾃然

地域

及び

対策

関係

する

法律

(他に

各⾃

治体

が定

める

条例

や指

針・要

綱等

があ

る)

環境

基本

法(環

境基

本計

画)

⽣物

多様

性条

約(⽣

物多

様性

国家

戦略

原⽣

的な

⾃然

⾃然

環境

保全

法、⽂

化財

保護

法、⾃

然公

園法

⾃然

景観

⾃然

公園

法、⽂

化財

保護

法、都

市計

画法

、景観

法森

林森

林・林

業基

本法

、森林

法、国

有林

野管

理経

営法

河川

河川

法湖

沼河

川法

、湖沼

⽔質

保全

特別

措置

法、琵

琶湖

総合

開発

特別

措置

法海

岸海

岸法

砂防

法、瀬

⼾内

海環

境保

全特

別措

置法

温泉

温泉

法農

村⾷

料・農

業・農

村基

本法

、農地

法、農

業振

興地

域の

整備

に関

する

法律

、⽣産

緑地

法都

市緑

地都

市公

園法

、都市

緑地

法、都

市計

画法

、建築

基準

法、⽣

産緑

地法

、樹⽊

保存

法歴

史的

⾵⼟

⽂化

財保

護法

、景観

法野

⽣⽣

物⿃

獣保

護法

、種の

保存

法⽂

化財

保護

法⾃

然環

境へ

の影

響評

価環

境影

響評

価法

⾃然

環境

の積

極的

復元

⾃然

再⽣

推進

法外

来⽣

物特

定外

来⽣

物法

(国際

条約

)⽣

物多

様性

条約

、ラム

サー

ル条

約、世

界遺

産条

約、ワ

シント

ン条約

引⽤

)(財

)⽇本

⽣態

系協

会︓

平成

20年

度ビオ

トープ

管理

⼠セ

ミナー

、講義

テキ

スト集

、200

8

12

■チ

ェック

/⾃

然環

境に

関連

した法

律①

○環

境基

本法

(ke

ywor

ds︓

共⽣

、循環

、参加

、国際

的取

り組

み)

○⾃

然環

境保

全法

(原⽣

⾃然

環境

保全

、⾃然

環境

保全

、都道

府県

単位

○⾃

然公

園法

(⽣

物多

様性

の確

保、保

護規

制計

画、保

護施

設計

画)

○⿃

獣保

護及

び狩

猟の

適正

化に

関す

る法

律(

狩猟

⿃獣

、⿃獣

保護

区、⿃

獣保

護事

業計

画)

○絶

滅の

おそ

れの

ある

野⽣

動植

物の

種の

保存

に関

する

法律

(希

少野

⽣動

植物

○⽂

化財

保護

法(

天然

記念

物、特

別天

然記

念物

、⽂化

的景

観)

■チ

ェック

/⾃

然環

境に

関連

した法

律②

○⽂

化財

保護

法(

天然

記念

物、特

別天

然記

念物

、⽂化

的景

観)

○特

定外

来⽣

物に

よる

⽣態

系等

に係

る被

害の

防⽌

に関

する

法律

(特

定外

来⽣

物)

○環

境影

響評

価法

(①ス

クリー

ニング

、②ス

コーピン

グ、③

ミティゲ

ーシ

ョン)

①個

別の

事業

や地

域の

違い

を踏

まえ

環境

影響

評価

の実

施の

必要

性を

個別

に判

定②

評価

項⽬

、調査

・予測

・評価

⼿法

を検

討し⽅

法書

の⾒

直しを

⾏う

③森

や⼲

潟な

どの⾃

然が

⼤規

模開

発な

どで失

われ

るか

わりに

、それ

に⾒

合った

⾃然

を復

元させ

るとい

う環境

保全

上の

⼿法

■チ

ェック

/⾃

然環

境に

関連

した法

律③

○⾃

然再

⽣推

進法

○環

境の

保全

のた

めの

意欲

の増

進及

び環

境教

育の

推進

に関

する

法律

○都

市緑

地法

、都市

公園

法○

河川

法○

湖沼

⽔質

保全

特別

措置

法○

⽔質

汚濁

防⽌

法(

排⽔

基準

、濃度

規制

、総量

規制

、⽣活

排⽔

対策

○森

林・林

業基

本法

○森

林法

(全国

計画

、地域

計画

、保安

林)

○国

有林

野の

管理

経営

に関

する

法律

■チ

ェック

/⾃

然環

境に

関連

した法

律④

○⾷

料・農

業・農

村基

本法

(国

⼟保

全、⽔

源涵

養、⾃

然環

境保

全、保

健休

養、⽂

化の

伝承

)○

⼟地

改良

法(

環境

との調

和、⽥

園環

境整

備マ

スター

プラン

)○

地球

温暖

化対

策の

推進

に関

する

法律

(京

都議

定書

、温室

効果

ガス

算定

排出

量)

○エ

コツー

リズム

推進

法(

⾃然

観光

資源

、観光

旅⾏

者)

○⽣

物の

多様

性に

関す

る条

約(

⽣物

多様

性条

約)

と⽣物

多様

性国

家戦

略○

特に

⽔⿃

の⽣

息地

として

国際

的に

重要

な湿

地に

関す

る条

約(

ラムサ

ール

条約

)○

世界

の⽂

化遺

産及

び⾃

然遺

産の

保護

に関

する

条約

(世

界遺

産条

約)

○絶

滅の

おそ

れの

ある

野⽣

動植

物の

種の

国際

取引

に関

する

条約

(ワ

シント

ン条約

13

■重

要⽤

語/

⾃然

環境

に関

連した

法律

○⽣

物多

様性

条約

と⽣物

多様

性国

家戦

略「⽣

物多

様性

」︓す

べて

の⽣

物の

間の

変異

性を

いう。

種内

の多

様性

、種間

の多

様性

及び

⽣態

系の

多様

性を

含む

○ラ

ムサ

ール

条約

「湿地

」︓永

続的

か⼀

時的

かを

問わ

ず、⽔

が滞

ってい

るか

流れ

てい

るか

、汽⽔

か淡

⽔か

、天然

か⼈

⼯か

を問

わな

い。→

湿原

、湖沼

、河川

、⼲潟

、マング

ローブ

林、サ

ンゴ礁

、藻場

、⽔⽥

などを

「湿地

」と定

義され

る。

○世

界遺

産条

約「世

界遺

産」︓

⽂化

遺産

、⾃然

遺産

、複合

遺産

○ワ

シン

トン条

約→

野⽣

⽣物

(⽣

きて

いる

個体

のほ

か、死

体、⼀

部、加

⼯品

を含

む)

の国

際取

引の

規制

、絶滅

のお

それの

ある

野⽣

⽣物

の保

書籍

案内 →

この1

冊で

ビオトー

プ管

理⼠

資格

試験

の対

策が

でき

る。

2級

試験

の過

去問

題と解

答・解

説を

収録

14

教員免許状更新講習(選択講習)

4.

野⽣

動植

物と⼈

間社

会の

共⽣

講習開始

1. 「

共⽣

」の意

味を

再確

認す

共⽣(Symbiosis)︓

複数種の⽣物が相互関係を持ちながら同

所的に

⽣活する現象。共

に⽣きること

相利

共⽣︓双⽅の⽣物種がこの関係で利益を

得る場合

⽚利

共⽣︓⽚⽅のみが利益を得る場合

⽚害

共⽣︓⽚⽅のみが害を被る場合

寄⽣

︓⽚⽅のみが利益を得、相

⼿⽅が害を

被る場合

2. 「

⽣物

が多

様で

ある

」ことの

意義

は︖

(1)群

集が

持続

する(種の多様性の⾼さ)

(2)種

が持

続す

る(種内の遺伝的多様性)

(3)⼈

間社

会を

⽀え

てい

る(⾃然と⼈

間との関係)

(4)固

有価

値が

ある

「 多様」

→種の絶滅の危険性が低下

15

3. 「

⽣物

多様

性」

は⼈

間が

利⽤

してい

たとえば・・・

(1)「

資源」としての価値(⾷料、医

薬品、燃

料、

⼯業原料、遺

伝⼦など)

(2)「

環境

安定

化装

置」としての価値(⽔の浄化、

空気の浄化、気

候の安定化、病

害⾍の制御、

ヒートアイランド現象の抑制、宇

宙線の遮蔽、

物質の循環と貯

留など)

(3)⼼理的価値(「癒

し効果」など)

(4)そのほか多数

↑イボイノシシとマングース⼀家

(ケニア・マサイマラにて)

16

聞か

ザル

、⾒ザ

ル、⾔

わザ

ル・・

・(ン

?)

17

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

5. ⽇

本型

ビオトー

プの

考え

⽅講習開始

1. 「

⽇本

型ビオ

トープ

」を考

える

(1

ビオトー

プの

概念

と⽇本

での

意義

keyw

ords

︓ビオ

トープ

+農

業+

農村

ビオトー

プ地

域・地

区レ

ベル

の環

境か

らみて

価値

のあ

る野

⽣⽣

物の

⽣息

空間

であ

り、その

⽣態

系が

⻑期

にわ

たって

維持

されて

いく⼀

定の

広が

りをも

った空

間↑

主とし

て⻄

ドイツで

発達

したビオ

トープ

の概

念、お

よび

これを

地域

環境

の重

要な

構成

要素

として

位置

づけ

、それ

を「保

全・復

元・創

出」し

ようと

する

考え

⽅は

、⽇本

にお

いて

も今

後の

農村

地域

の開

発・整

備と環

境の

問題

を考

える

際の

重要

な概

1. 「

⽇本

型ビオ

トープ

」を考

える

(2

)「保

全・復

元・創

出」の

意味

保全

︓[c

onse

rvat

ion,

pre

serv

atio

n]、保

護して

安全

であ

るよ

うにす

ること

復元

︓[r

esto

ratio

n, r

econ

stru

ctio

n]、元

の位

置や

形態

に戻

す(

戻る

)こと

創出

︓[c

reat

ion]

、はじめ

て作

ること

。いま

まで

なか

ったも

のを

新しく

作り出

すこと

※ 「

復原

」は、当

時の

材料

と技法

を使

って⾏

うこと

「復元

」は、現

代の

材料

と技法

を使

って⾏

うこと

19

1. 「

⽇本

型ビオ

トープ

」を考

える

(3

)⽇

本に

おい

て「欧

州の

ビオトー

プ的

発想

」があ

まり問

題とな

らなか

ったわ

け1)

⽇本

の気

候・⾵

⼟の

中で

、国⼟

の⼤

半を

占め

る森

林な

どの「緑

」が⾝

近に

あり、

⾃然

の回

復⼒

を当

たり前

のよ

うに認

識2)

近年

の⼯

業化

・都市

化、農

業技

術の

化学

化・機

械化

が急

速に

進展

し、国

⼟の

⾃然

や⽣

活環

境が

悪化

する

ように

なって

から、

はじめ

て認

識対

象とな

った3)

農業

⽣産

性向

上中

⼼の

発想

→地

域の

⾃然

⽣態

系・⽣

物の

多様

性を

配慮

した新

たな

計画

・整備

⼿法

の解

明・開

発が

必要

2.ビ

オトー

プの

成⽴

要件

(1

)<

⽇本

の特

徴>

⾃然

条件

︓温

暖多

湿、四

季、傾

斜地

、⽕⼭

灰⼟

、河川

勾配

⼟地

利⽤

︓森

林⾯

積⼤

、⽔⽥

多く草

地・牧

草地

少な

い、地

⽅都

市や

集落

の近

くに森

植物

︓種

の相

違が

⼤、夏

季の

バイオ

マス

量⼤

、植⽣

遷移

が早

く極相

は森

昆⾍

︓昆

⾍相

複雑

、個体

数多

、季節

変動

動物

︓多

様な

植物

相に

連動

して種

が豊

富、ほ

乳類

は固

有種

多、在

来種

は移

⼊種

に弱

社会

・制度

︓⼟

地利

⽤の

法規

制弱

、保全

に関

する

予算

少、法

の権

限範

囲狭

国⺠

⽂化

︓森

林と⽔

⽥稲

作に

育ま

れて

きた

⾃然

を特

別意

識し

ない

、都市

住⺠

は農

村・⾃

然環

境へ

の関

⼼薄

、保全

に関

する

国⺠

的合

意形

成遅

2.ビ

オトー

プの

成⽴

要件

(2

)<

ドイツ

の特

徴(

農村

部を

中⼼

にした

場合

)>

(1)ド

イツの

農村

は畑

地や

草地

が中

⼼。地

形に

あわ

せた

「⼭な

り」の

整備

で「点

・⾯」の

形で

ビオトー

プを

形成

しや

すい

(2)

ドイツで

は「環

境保

全型

農業

」や⽣

物保

護を

考慮

した

農地

の構

造物

に補

助⾦

が出

る制

度が

ある

(3)

ドイツで

は農

村の

⾃然

・景観

などを

保全

する

ため

に、

都市

住⺠

もその

費⽤

を負

担す

る合

意形

成が

ある

⽇本

では

、ビオ

トープ

の保

全・整

備や

管理

に必

要な

経費

を農

業者

だけ

に負

担させ

てい

る。農

村の

ビオトー

プ保

全・整

備を

広め

るた

めに

は、⼟

地改

良法

などの

事業

シス

テム

の整

備が

不可

2.ビ

オトー

プの

成⽴

要件

(3

「環境

保全

型農

業」

← 農

⽔省

の定

義「農

業の

もつ

物質

循環

機能

を⽣

かし、

⽣産

性との

調和

などに

留意

しつつ

、⼟づ

くり等

を通

じて化

学肥

料、農

薬の

使⽤

等に

よる

環境

負荷

の軽

減に

配慮

した持

続的

な農

業」

↓化

学肥

料・農

薬の

削減

量に

応じて

タイプ

分け

してい

るが

、有

機農

業や

、合鴨

・鯉な

どを使

う⽣物

稲作

⾷料

・農業

・農村

基本

法は

、⾃然

循環

型農

業の

推進

を掲

げ、そ

の実

現⼿

段とし

て持

続農

業法

などい

わゆ

る農

業・

環境

三法

を定

めた

20

3.⽇

本型

ビオトー

プ保

全・復

元・創

出⾃

然的

・社会

的経

済条

件の

特徴

を踏

まえ

た⽇

本型

ビオトー

プが

必要

(1)⽇

本に

あった

ビオトー

プの

あり⽅

は如

何に

︖⾃

然⽣

態系

や⽣

物多

様性

の普

遍的

価値

、「⼈

間⽣

活に

直接

役⽴

つか

どうか

」の価

値観

を超

える

。(2

) ⽇

本に

おけ

るビオ

トープ

の基

本的

考え

⽅は

︖(3

) 保

全・復

元・創

出の

優先

順位

は如

何に

︖(4

) 都

市と農

村の

⽐較

は如

何に

︖「ビ

オトー

プの

考え

⽅・内

容・規

模・整

備⼿

法」な

どに⼤

きな

差が

ある

。→情

報交

流が

必要

(5)

⽇本

的⼿

法の

確⽴

が必

要(6

)⽇本

的評

価法

の確

⽴←

実施

事例

を増

やす

必要

あり

3.⽇

本型

ビオトー

プ保

全・復

元・創

「点→

線→

⾯」

「保全

・復元

・創出

」を考

える

ときの

基本

的思

考過

おまけ

東ジ

ャワの

ニン

ニク

21

東ジ

ャワの

傾斜

地農

業(

上段

)、バ

リ島の

棚⽥

(下

段)

↓ イ ン ド ネ シ ア ・ ジ ワ 島

ベチ

バー

(Vet

iver

)Ve

tiver

ia z

izan

ioid

es は

、インド

原産

のイネ

科の

多年

⽣草

本。タ

ミル語

の「ま

さかりで

刈る

」の意

草は

2〜3m

にな

り、ま

とまって

⼤き

な株

を形

成し、

スス

キに

良く似

てい

る。深

根性

のた

め、⼟

壌保

全に

も利

⽤され

ベチ

バー

精油

根茎

を⽔

蒸気

蒸留

する

ことに

より得

られる

。採油

量は

、極め

て少

なく(

およ

そ1%

前後

)で

、乾燥

した根

を⽤

いる

22

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

6. ビ

オトー

プ創

出に

おけ

る雑

草の

問題

講習開始

←出

展︓

⾵景

壁紙

.com

http

://w

ww

.fuke

i-kab

egam

i.com

/

ビオトー

プ創

出に

おけ

る雑

草の

問題

↑セ

イタ

カア

ワダ

チソ

ウ↓

オオ

バコ

↑ハ

キダ

メギ

←ス

スキ

(イネ

の仲

間)

スス

キ以

外は

キクの

仲間

画像

出展

︓W

ikip

edia

「雑草

」ht

tp:/

/ja.

wik

iped

ia.o

rg/w

iki/

1.

雑草

(w

eed)

の定

義(1

)雑草

とは、⼈

類の

使⽤

する

⼟地

に発

⽣して

、⼈類

に直

接あ

るい

は間

接に

損害

を与

える

植物

(半

澤,1

910)

(2)

農耕

地で

⼈間

の営

んで

いる

経済

⾏為

に相

反して

直接

また

は間

接に

作物

を害

して⽣

産を

減少

させ、農

耕地

の経

済価

値を

低下

させて

いる

作物

以外

の草

本(

荒井

,195

4)(3

) 「耕

地雑

草」と

は、⼈

間が

耕地

を利

⽤して

経営

⾏為

を営

むた

めに

植栽

した以

外の

すべ

ての

草本

植物

(川

延,1

962)

(4)

耕作

地な

どを含

めて

⼈間

によ

って作

られた

⽴地

や不

規則

に変

化しや

すい

不安

定な

⽴地

に⽣

活す

る特

殊な

⼀群

の植

物(

河野

,196

9)

23

2.

⼀つ

にま

とめて

、「雑

草」と

は︖

「望ま

れな

い、嫌

われ

る植

物、⾒

いだ

され

てい

ない

価値

をも

つ植

物」

など⽴

場の

違い

によ

る定

義が

ある

「雑草

」の定

義に

関す

る視

点○

雑草

に対

する

⽣物

学的

な視

点○

作物

との競

合関

係に

関す

る視

点○

利⽤

価値

などの

評価

に関

する

視点

↓要

する

に、

「⼈間

が⼟

地を

利⽤

する

という価

値観

に⽴

つと、

雑草

は⼈

間の

⽣活

およ

び⽣

産活

動を

営む

⽴地

にお

いて

栽培

・植栽

した以

外の

植物

3.

雑草

に関

する

概念

雑草

は、農

耕地

やその

周辺

などで

、たえ

ず⼈

間の

⼲渉

を受

けて

いる

⽴地

を⽣

活の

基盤

として

いる

植物

⼈類

の歴

史の

中で

、しだ

いに

農耕

社会

の発

達とと

もに

作物

という概

念が

育ち

、雑草

と区別

された

現在

の「雑

草」は

、農業

⽣産

とは関

係の

ない

⽴地

に⽣

える

植物

も含

まれ

てい

4.

雑草

の起

源起

源は

、「⼈

類が

⼟壌

を初

めて

耕す

ことを

知っ

た時

」。農

耕の

発達

によ

って、雑

草性

の⾼

い植

物群

が発

①⾃

然植

⽣の

破壊

(氷河

など)

によ

って⽣

まれ

た裸

地に

適応

した植

物が

、のち

に⼈

間が

つくっ

た耕

地に

侵⼊

して、

淘汰

・分化

したも

の②

⾃然

植⽣

の種

に由

来す

る栽

培植

物の

分化

や作

物を

育て

る過

程で

作物

との交

雑種

などが

⽣ま

れ残

ったも

の③

古代

⼈の

利⽤

栽培

した植

物種

が後

に廃

棄され

て耕

地に

残った

もの

5.

雑草

の特

徴(1

) 「踏

みつ

け」に

強い

︓運

動場

や道

路脇

など、

踏ま

れる

ことの

多い

場所

を専

有す

(2)

「繁殖

⼒」が

強い

︓地

下茎

をも

つも

のは

、地下

を広

がりな

がら無

性⽣

殖で

個体

数を

増や

したり、

種⼦

でも

繁殖

する

(3)

⼀世

代の

時間

や成

⻑に

融通

が利

く︓条

件が

悪け

れば

、⼩さな

個体

のま

ま、花

をつ

け、種

⼦を

作る

もの

があ

(4)休

眠に

適す

る構

造を

持つ

︓種

⼦や

根茎

など

(5)

作物

への

「擬態

」があ

る︓

⽥畑

など耕

地に

発⽣

する

もの

に、作

物に

擬態

する

もの

があ

24

6.

「帰化

植物

」帰

化植

物とは

、⾃然

の営

⼒に

よらず

、⼈為

的営

⼒に

よって

意識

的ま

たは

無意

識的

に移

⼊さ

れた

外来

植物

が野

⽣の

状態

で⾒

いだ

され

るも

の(

⻑⽥

,197

6)<

帰化

植物

の3

条件

>①

⼈間

がよ

そか

ら持ち

込ん

だ植

物②

野⽣

の状

態で

⾒い

ださ

れる

。栽培

され

てい

ない

③外

来植

物で

ある

起源

につ

いて

は諸

説あ

るが

、⽯器

時代

前後

に稲

作とと

もに

渡来

した南

⽅起

源の

「史前

帰化

植物

」、有

史以

降に

渡来

した帰

化植

物と区

分され

る。

外国

貿易

・交流

が盛

んに

⾏わ

れた

江⼾

末期

から現

代ま

でに

渡来

した「新

帰化

植物

」を狭

義の

帰化

植物

という

ことが

ある

7.雑草による被害

(1)耕

地で

は、直

接・間

接的

に、作

物の

⽣産

量減

少や

品質

低下

が起

こる(2

) 除

草の

ため

の資

材や

労⼒

を必

要とす

る(3

) 雑

草が

繁茂

する

ことに

よって

、作業

能率

を低

下させ

、⽣

産費

の増

加を

招く

(4)

農道

・畦畔

では

、作業

機の

運搬

、⽥畑

への

搬⼊

の傷

害とな

る(5

) ⽔

路で

は雑

草の

繁茂

によ

って、⽔

温が

低下

し、養

⿂の

⽣育

に影

響が

出る

(6)

「毒草

」もあ

り、家

畜等

への

被害

となる

(7)

病害

⾍の

⽣息

・越冬

場所

となり、

病原

微⽣

物の

宿主

植物

や媒

介源

となる

8.

雑草

管理

の基

本⽅

(1)「

防除

」︓雑

草の

発⽣

を防

⽌、発

⽣雑

草を

取り除

(2)

「制御

」︓雑

草の

発⽣

量を

抑え

る、発

⽣雑

草の

繁茂

を抑

える

(3)

「管理

」︓経

済性

や合

理性

を加

えた

概念

「防除

、制御

」(厳

密な

区別

はな

い)

<「管

理」

9.

雑草

管理

(防除

)の

⽅法

○⽣

態的

防除

︓耕

種的

防除

(耕

起、輪

作、⽥

畑輪

換)

○機

械的

防除

︓草

刈り、

中耕

除草

、中耕

培⼟

○物

理的

防除

︓光

と熱の

利⽤

(燃や

す、遮

光す

る、

防草

シー

トを張

る)

○⽣

物的

防除

︓・昆

⾍利

⽤(

天敵

昆⾍

)・⿂

介・⿃

類利

⽤(

ソウギ

ョ、ア

イガモ

)・微

⽣物

利⽤

・アレ

ロパシ

ー利

○化

学的

防除

︓除

草剤

、抑草

剤、⼟

壌消

毒剤

25

10

.ア

レロ

パシ

Alle

lopa

thy、

「多感

作⽤

」狭

義︓

植物

が放

出す

る化

学物

質が

、他の

植物

に阻

害的

ある

いは

促進

的な

何らか

の作

⽤を

及ぼ

す現

広義

︓植

物、微

⽣物

、動物

等の

⽣物

が同

⼀個

体外

に放

出す

る化

学物

質が

、同種

の⽣

物を

含む

他の

⽣物

個体

にお

ける

、発育

・⽣育

・⾏動

・栄養

状態

・繁殖

⼒・個

体数

、ある

いは

これら

の要

因とな

る⽣

理・⽣

化学

的機

構に

対して

何ら

かの

作⽤

や変

化を

引き

起こす

現象

↓「化

学物

質に

よる

⽣物

個体

間の

攻撃

・防御

・共同

作業

・情報

伝達

などに

関す

る相

互作

⽤」

雑草

を活

かす

↓ イ ン ド ネ シ ア ・ ジ ワ 島

ベチ

バー

(Vet

iver

)Ve

tiver

ia z

izan

ioid

es は

、インド

原産

のイネ

科の

多年

⽣草

本。タ

ミル語

の「ま

さか

りで刈

る」の

意味

。草

は2〜

3mに

なり、

まとま

って⼤

きな

株を

形成

し、ス

スキ

に良

く似て

いる

。深根

性の

ため

、⼟壌

保全

にも

利⽤

される

ベチ

バー

精油

根茎

を⽔

蒸気

蒸留

する

ことに

より得

られる

。採油

量は

、極め

て少

なく(

およ

そ1%

前後

)で

、乾燥

した根

を⽤

いる

26

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

7.ビオトープに関する調査法(例)

講習開始

1.ビオトープ計画の⽴案

○ビオ

トープ

の計

画は

、「⽬

的が

あって

、ある

種の

⽣物

また

は⽣

物群

が、⽣

育・⽣

息で

きる

状態

を計

画す

ること

」であ

り、幅広い知識・情報・経験

が必

要○

計画

の⼿

順1)

課題

設定

2) 野⽣⽣物調査

(⽂献

・聞き

取り調

査、

現地

調査

)3)

問題

点の

明確

化、法

的制

限の

確認

4) 解決策の検討

5) ビオトープ計画の⽴案

フ ィ ー ド バ ッ ク

2.野⽣⽣物調査の対象⽣物群

(⼀

般的

①⽔域

プラン

クトン(

浮遊

⽣物

)︓

植物

、動物

ネクト

ン(遊

泳⽣

物)

︓⿂

類ベ

ントス

(底

⽣⽣

物)

︓⽔

底⽣

息動

物⽔

⽣植

物︓

⼤型

、付着

藻類

②陸域

植物

︓コケ

植物

、維管

束植

物(

シダ植

物、

種⼦

植物

)動

物︓

ほ乳

類、⿃

類、は

⾍類

、両⽣

類、

陸上

昆⾍

類、そ

の他

27

3.野⽣⽣物調査の⽬的(1

)調

査⽬

的か

らみた

調査

区分

の例

調査区分

調査⽬的

①現

状把

握調

査事

業区

域の

⽣物

環境

の現

状把

握、お

よび

その事

業が

⽣物

環境

に及

ぼす

影響

の有

無・程

度を

把握

する

こと。環

境影

響評

価の

ため

の調

査は

これに

含ま

れる

②環

境保

全対

策調

査事

業実

施と併

せて

、より良

い⽣

物環

境を

保全

し、創

出し、

維持

する

ため

の⼿

法を

⽴案

する

こと。

③モ

ニタリン

グ調

査事

業が

⽣物

環境

に及

ぼす

影響

を、事

業実

施時

および

完成

後も

継続

的に

監視

する

こと。

4.野⽣⽣物調査の⽬的(2)

調査

項⽬

によ

る調

査区

分の

例調査項⽬

調査内容

①⽣

物相

何が⽣育・⽣息しているか

⽣物

調査

にお

ける

最も

基本

的な

調査

。⽣物

相(

ビオ

タ)は

、植物

相(

フロラ)

と動物

相(

ファウナ

)に

分け

られる

。②

分布

状況

どこに⽣育・⽣息しているか

⽣物

調査

と⼀体

的に

⾏わ

れる

ことが

多い

。その

場合

、⽣

物分

布調

査とし

て扱

われ

る。

③現

存量

どのくらい⽣育・⽣息しているのか

⽣育

・⽣息

してい

る種

の現

存量

。④

⽣物

種の

⽣態

確認された場所で何をしているのか

その場

の利

⽤状

況や

、種の

⾏動

圏の

広さな

ど。保

全対

象種

等の

場合

、⽣活

史全

般を

把握

する

ことが

必要

な場

合も

ある

。⑤

季節

によ

る変

化いつ出現するか

開花

・産卵

などの

時期

、回遊

⿂の

遡上

時期

、⿃類

の渡

りの時

期な

ど季節

的な

変化

を把

握す

る。

5.現地調査を⾏う場

合の関係法令

法令等

関連機関

⽂化

財保

護法

⽂化

庁絶

滅の

おそれ

のあ

る野

⽣動

植物

の種

の保

存に

関す

る法

律環

境省

⾃然

公園

法環

境省

⿃獣

外来

⽣物

によ

る⽣

態系

等に

係る

被害

の防

⽌に

関す

る法

律環

境省

漁業

法及

び⽔

産資

源保

護法

(内

⽔⾯

漁業

調整

規則

、海区

漁業

調整

規則

)農

林⽔

産省

(都

道府

県)

港則

法海

上保

安庁

その他

の都

道府

県・市

町村

の条

例都

道府

県・市

町村

⽣物

の採

取・捕

獲に

際して

は、種

々の

関係

法等

によ

って制

限が

設定

されて

いる

。対象

種に

よって

は、関

連機

関へ

申請

や協

議を

⾏う必

要が

ある

6.野⽣⽣物調査結果のとりまとめ

たとえ

ば、

1) GIS

(Geo

grap

hic

Info

rmat

ion

Syst

em)

によ

る情

報の

⼀元

的管

理・表

⽰2)

地理空間情報活⽤推進基本法

(200

7年

)に

よる

国⼟

の利

⽤・整

備・保

全に

関す

る情

報の

整理

・活⽤

←GI

S活⽤

「現存

植⽣

図」の

例環

境省

⾃然

環境

局⽣

物多

様性

センタ

ー、

http

://w

ww

.veg

etat

ion.

jp/

28

GIS活⽤「現存植⽣図」の例

環境

省⾃

然環

境局

⽣物

多様

性セ

ンター

、ttp

://w

ww

.veg

etat

ion.

jp/

7.調査・計画グループの構成

(事

例)

事例︓

調査対象地区の状況

1)調

査地

︓代

表的

中⼭

間地

(東北

地⽅

)2)

⽴地

条件

︓地

区の

概要

(地形

、社会

、⽣活

者、⾃

然環

境et

c.)

、⽔利

条件

、⼟地

条件

、農

業概

況et

c.3)

⽣物

調査

︓植

物、昆

⾍(⽔

⽣、蝶

類)

、動物

etc.

4)周

辺整

備計

画︓

農村

とビオ

トープ

の関

連性

、農

業農

村整

備計

画、当

該地

区の

活性

化構

想et

c.

8.調査・計画グループの構成

(事

例)

事例︓

調査・計画グループ班員

(専

⾨分

野)

○代表者

(農

村⼯

学)

○⼤学教員

(造

園学

、緑地

計画

学、農

業農

村⼯

学、施

設設

計⼯

学、昆

⾍⽣

態学

、林政

学、植

物⽣

態学

、草地

学、野

⽣動

物学

、農地

⼯学

、⼟壌

学et

c.)

○⺠間

(農

業農

村⼯

学、昆

⾍⽣

態学

etc.

)○学⽣

(昆

⾍⽣

態学

、植物

⽣態

学、野

⽣動

物学

、環境

教育

・野⽣

動物

学et

c.)

※留意点

○代

表者

はグ

ルー

プの

資⾦

調達

およ

び統

括能

⼒が

必要

○グ

ルー

プ活

動を

円滑

に実

施す

るた

めに

、⾏政

・地域

・住⺠

・グル

ープ

内の

連絡

調整

担当

、調査

報告

のとり

まとめ

担当

なども

配置

する

必要

があ

9.整理︓ビオトープの計画と調

査1)

ビオトー

プを

計画

する

には

、その地域の⽣物

相や⾃然環境に関する知識、とくに代表的

な⽣物についての基本的な知⾒

(種

名、

⽣態

)が

必要

であ

る2)

⽣物

調査

には

、⽬的に応じた様々な種類と

⼿法がある。調

査結

果(

⽣物

種リス

トなど)

を理

解す

るに

は、調

査⼿

法を

知る

必要

があ

る3)

個々

の⽣

物の

⽣育

・⽣息

状況

だけ

でな

く、⽣育・⽣息環境の全体像を理解

する

。結果

の整

理に

は、G

ISが

有効

29

植物群落調査、野⽣動物調

査、⼟壌調査の現場(例)

植物群落調査

野⽣動物調査

調査地の遠景、⼩型動物の捕獲

野⽣動物調査

⾃動撮影カメラ

⼟壌

調査

30

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

8.

ビオトー

プに

関す

る⽇

本とド

イツ

の⽐

較(

例)

話題

(1

)︓

「世界

登録

遺産

」の基

種類

内容

⾃然

遺産

地球

の歴

史を

表す

地質

地形

学・⾃

然地

理学

的な

顕著

な例

陸や

海に

すむ

動植

物の

進化

や発

展の

⽣態

・⽣物

的な

顕著

な例

卓越

した⾃

然美

・⾃然

現象

であ

ること

絶滅

のお

それの

ある

動植

物の

⽣息

・⽣育

⽂化

遺産

⼈間

の創

造的

才能

を表

した傑

作建

築物

・技術

・記念

碑・都

市計

画・⽂

化的

景観

の発

展に

⼤き

な影

響を

与え

たも

の現

存す

るま

たは

消滅

した⽂

化的

伝統

や⽂

明に

関して

顕著

な証

拠を

⽰す

もの

⼈類

史に

残る

建築

様式

を代

表す

るも

の⽂

化を

象徴

する

伝統

的集

落や

⼟地

利⽤

普遍

的な

価値

を持

つ出

来事

や⽣

きた

伝統

・思想

・信仰

・芸術

等と関

連の

深い

もの

複合

遺産

⾃然

遺産

と⽂化

遺産

の項

⽬を

⼀つ

以上

兼ね

備え

てい

るも

↑原

爆ドー

ム(

⽂化

遺産

↑⽩

川郷

(⽂化

遺産

)

→紀

伊⼭

地の

霊場

と参詣

道(⽂

化遺

産)

↑知

床(⾃

然遺

産)

話題

(2

)︓

「環境

教育

■⾃

然⽣

態系

を保

護・回

復す

るた

めに

は、「

⾏政

、議員

、事

業者

、市⺠

」が各

々問

題の

本質

を理

解し、

対策

を考

え、⾏

動して

いくこ

とが必

要。「

環境

教育

」は、そ

の動

機づ

けに

重要

な役

割を

果た

す■

環境

教育

の⽬

的︓

⼈間

の⽣

活環

境だ

けで

なく、

地球

上す

べて

の野

⽣⽣

物の

ことを

考え

ること

■環

境教

育の

基本

︓「ベ

オグ

ラード憲

章」(

19

75

)と「ト

ビシリ宣

⾔」(

19

77

)

■ベ

オグ

ラー

ド憲章

のキ

ーワ

ード(

⽬的

段階

)︓

「関⼼

→知

識→

態度

→技

能→

評価

能⼒

→参

加」

31

話題

(3

)︓

「無形

⽂化

遺産

「和⾷

の⼼

世界

へ」

無形

⽂化

遺産

に登

録決

定 (201

3.12

.5)

国連

教育

科学

⽂化

機関

(ユ

ネス

コ)は

4⽇

、アゼ

ルバ

イジャン

のバ

クーで

政府

間委

員会

を開

き、⽇

本政

府が

推薦

した「和

⾷⽇

本⼈

の伝

統的

な⾷

⽂化

」を無

形⽂

化遺

産に

登録

する

ことを

決め

た。

⽇本

からの

登録

は歌

舞伎

や能

楽な

どに続

き22

件⽬

。⽇本

の⾷

⽂化

が国

際的

な評

価を

得た

ことで

、外国

⼈観

光客

の増

加や

農⽔

産物

の輸

出拡

⼤に

つな

がる

可能

性が

ある

■無

形⽂

化遺

産(

Inta

ngib

le C

ultu

ral H

erita

ge)

ユネ

スコの

事業

の⼀

つ。同

じくユ

ネス

コの事

業で

ある

世界

遺産

が建

築物

などの

有形

の⽂

化財

の保

護と継

承を

⽬的

として

いる

のに

対し、

「⺠族

⽂化

財、フ

ォークロ

ア、⼝

承伝

統な

ど」の

無形

のも

のを

保護

対象

とする

ことを

⽬指

したも

講習開始

■お

さらい

︓「ミ

ティゲ

ーシ

ョン」

(代

償)

ミティゲ

ーシ

ョン︓

「森や

⼲潟

などの

⾃然

が⼤

規模

開発

などで

失わ

れる

かわ

りに、そ

れに

⾒合

った⾃

然を

復元

させ

るとい

う環境

保全

上の

⼿法

■ドイ

ツに

関す

る基

本情

報■

国名

︓ドイ

ツ連

邦共

和国

(Fe

dera

l Rep

ublic

of G

erm

any)

■⼈

⼝︓

8,20

0万⼈

(20

08年

末)

■⼈

⼝密

度︓

約23

0⼈/平

⽅km

■⾯

積︓

35.7

万平

⽅km

(⽇

本の

約94

%)

(ベ

ルギ

ー、オ

ランダ、

ルクセ

ンブル

ク、フラ

ンス、オ

ース

トリア

、スイス

、チェコ

、ポー

ランド、

デンマ

ークの

9カ国

と国

境を

接す

る)

■⺠

族︓

ゲル

マン系

を主

体とす

るドイ

ツ⺠族

■経

済︓

世界

有数

の先

進⼯

業国

であ

るとと

もに

貿易

⼤国

。GDP

の規

模で

は欧

州内

で第

1位。

■主

要産

業︓

⾃動

⾞、機

械、電

⼦⼯

学、化

学、環

境技

術、精

密機

械、光

学、医

療技

術、バ

イオ・遺

伝⼦

⼯学

、ナノテ

クノロジ

ー、航

空・宇

宙産

業、物

32

■「代

償ミテ

ィゲー

ション

」の例

■1

99

3年

6⽉

、バイ

エル

ン州

(ドイ

ツ)

州の

道路

建設

事業

計画

にお

ける

バイ

エル

ン州

⾃然

保護

法第

6a

条に

基づ

く代償

・代替

⽤地

の⾯

積の

計算

法に

関して

、原則

を設

けた

原則

1ビオ

トープ

の直

接的

破壊

原則

2⾯

積縮

⼩に

よる

ビオトー

プとし

ての

価値

の喪

失原

則3

集約

的に

利⽤

されて

いる

農地

・林地

の舗

装原

則4

⼯事

期間

のみ

の⼀

時的

直接

的悪

影響

原則

5道

路付

近の

ビオトー

プへ

の間

接的

悪影

響原

則6

⾞道

辺縁

からの

代償

・代替

⽤地

の距

離原

則7

広い

⾯積

を⽣

態的

に要

求す

る動

物種

や希

少な

ビオトー

プ複

合体

を含

む⽣

物⽣

息空

間に

対す

る悪

影響

原則

8〜

11

(略

■原

則1

ビオトー

プの

直接

的破

■道

路(⾞

道、中

央分

離帯

、法⾯

、防⾳

壁等

の構

成要

素)

の建

設に

よって

、ビオ

トープ

は直

接的

に破

壊され

■この

場合

の代

償・代

替⽤

地の

計算

法は

、4種

類設

けられ

てい

例[代

償・代

替地

]=B

×1

〜3

B︓

破壊

された

ビオトー

プの

⾯積

■原

則2

⾯積

縮⼩

によ

るビオ

トープ

として

の価

値の

喪失

■残

された

⼟地

であ

っても

、ビオ

トープ

として

の価

値を

ほぼ

失うま

でに

直接

的破

壊に

よって

⾯積

が縮

⼩す

る場

合、悪

影響

の度

合い

に応

じて、残

された

⼟地

に対

しても

、代償

また

は代

替措

置が

原則

1に

基づ

いて

実施

され

なけ

れば

ならな

■原

則3

集約

的に

利⽤

され

てい

る農

地・林

地の

舗装

■畑

、採草

地、林

地な

どの舗

装(

⾞道

、駐⾞

場な

ど)に

対す

る代

償ま

たは

代替

の⾯

積は

、例

[代償

・代替

地]=

V×

0.

3〜

1.

0V

︓舗

装され

た⾯

■⽣

態的

に価

値が

⾼い

⽴地

環境

(河

畔の

沼沢

地、低

層湿

原な

ど)に

おけ

る畑

や集

約的

に利

⽤され

てい

る採

草地

が舗

装され

る場

合、

(中

略)

、代償

・代替

⽤地

⾯積

を増

やす

ことに

よって

考慮

する

33

■原

則4

⼯事

期間

のみ

の⼀

時的

直接

的悪

影響

■⼯

事の

間だ

け必

要とさ

れる

⼟地

(倉

庫、⼯

事敷

地、乗

り⼊れ

道路

、代⽤

道路

など)

は、元

の状

態に

戻す

等の

措置

が必

要。成

⽴時

間が

⻑い

ビオトー

プや

再⽣

不可

能な

ビオトー

プの

⼀時

的利

⽤に

よって

引き

起こさ

れる

直接

的な

悪影

響は

、永続

的に

⽤意

された

追加

的⼟

地に

よって

もま

た代

償ま

たは

代替

される

成⽴

時間

が⻑

い場

合︓

B×

0.

1〜

0.

5再

⽣不

可能

な場

合︓

B×

0.

5〜

2.

■前

ペー

ジ「原

則1

」に対

する

附則

再⽣

不可

能な

ビオトー

プが

ある

(1)

中間

湿原

と⾼層

湿原

(2)

低層

湿原

と敷ワ

ラ草地

(3)

河岸

の⼟

地を

含む

⾃然

の、ま

たは

近⾃

然的

(⼈間

が関

わった

⾃然

)な

河川

およ

び湖

(4)

乾性

草地

およ

び半

乾性

草地

(5)

⾼⼭

以外

のエ

ノコログ

サ草

地(6

) ビ

オトー

プ的

価値

が⾼

い近

⾃然

的な

森林

(7)

健全

な順

序で

ビオトー

プが

連続

する

ラントシ

ャフト

(land

scap

e︔⾵

景)

(8)

レッド

デー

タブック

記載

の脊

椎動

物ま

たは

絶滅

危機

の無

脊椎

動物

の孤

島的

⽣育

があ

るビオ

トープ

■この

地⽅

にお

ける

「農地

整備

」の⽅

法(

1)

■⾃

然保

護に

対す

る法

的な

規制

が厳

しい■

地主

が整

備す

る場

合で

も、州

政府

が保

存す

べき

重要

な⾃

然と考

えた

地点

があ

ると整

備が

でき

なくな

り、政

府に

買い

上げ

られ、保

全され

る■

農家

はた

えず

⾃然

保護

と共存

しなけ

れば

なら

ない

■農

地整

備の

際、⽣

態系

マップ

を利

⽤した

り、現

地の

⽣態

系調

査を

⾏い

、保存

すべ

き⼟

地と決

まる

と重要

地点

と公表

する

■この

地⽅

にお

ける

「農地

整備

」の⽅

法(

2)

⼿続

き(流

れ)

(1)

農家

から農

地整

備の

要望

を出

す(2

)地

域の

農家

全員

の合

意形

成を

認定

(3)

10

名(程

度)の

代表

者を

選任

し、役

所か

ら測量

技師

を1

名派

遣し、

その合

計数

で委

員会

を設

置(4

)同

委員

会で

現地

調査

を⾏

い、計

画作

成(5

)⽣

態系

調査

(6)

⽔路

や道

路な

どの計

画の

有無

を確

認(7

)現

地に

ある

構造

物な

どの調

査(8

)ビオ

トープ

の設

計(9

)⼟

地の

評価

(10)

⼟地

の交

換条

件の

提⽰

、農家

は⼯

事費

の1

0%

を負

担、最

初に

道路

建設

34

■ドイ

ツ⼈

の⾃

然に

対す

る考

え⽅

(考察

■⾃

然とは

、「⼈

々に

安らぎ

を与

える

空間

だけ

でな

く、⾃

然が

⼈々

に安

全性

を感

じさせ

、⼈々

がそ

れに

恐れ

を感

じること

がな

い空

間」

■その

地域

を重

視し、

歴史

的な

経緯

をふ

まえ

た整

備を

⾏い

、⽔環

境や

古い

建物

などを

積極

的に

維持

し、歴

史的

な農

業資

産な

どの保

全に

も⼒

を⼊

れて

いる

■その

地⽅

に⽣

育す

る植

物な

どの復

元に

も⼒

を⼊

れ、

⾃宅

の庭

でこの

地⽅

にしか

⽣育

しない

野⽣

の花

など

を守

り育て

てい

る⼈

には

補助

⾦を

出す

など、

農地

だけ

でな

く、農

村と⼀

体とな

った保

護活

動を

展開

してい

■ビオ

トープ

が受

ける

影響

に関

する

評価

図例

凡例

(上

︓地

形、中

︓影

響範

囲、下

地形

の特

徴)

平地

のビオ

トープ

の図

⽰例

35

教員

免許

状更

新講

習(

選択

講習

9. マ

ング

ロー

ブ環

境と

⽣物

⽣息

空間

(事

例)

マン

グロ

ーブ

(Man

grov

e)

熱帯

〜亜

熱帯

の海

岸、⼊

り江

、河⼝

(海

⽔と汽

⽔の

冠⽔

する

泥⼟

また

は砂

礫⼟

)に

⽣育

する

常緑

の低

⽊〜

⾼⽊

の群

落や

それを

構成

する

植物

の総

Man

grov

e

熱帯

から亜

熱帯

の陸

と海の

境(

感潮

帯)

に⽣

育す

る植

物群

の総

耐塩

性が

⾼い

例)

ヤエ

ヤマ

ヒルギ

の⽀

柱根

Rhiz

opho

ra m

ucro

nata

例)オ

ヒルギ

の胎

⽣種

⼦Br

ugui

era

gym

norh

iza

37

タケノコ型

膝根型

タコ足型

ゾー

ネー

ション

(Zon

atio

n)

海 側陸 側

Man

grov

eの分

布マ

ング

ロー

ブ⽣

育環

1.海

⽔の

影響

を受

けて

⾼い

耐塩

性を

もち

、汽⽔

圏で

の低

い⽔

ポテ

ンシャル

にも

適応

2.農

林⽔

産資

源の

給源

として

関⼼

が集

中3

.東南

アジ

ア諸

国沿

岸地

域の

マング

ローブ

の伐

採(

⽊材

、薪炭

などに

利⽤

)とエ

ビ養

殖池

の造

成が

過度

に進

み、沿

岸域

環境

が激

38

マン

グロ

ーブ

⼟壌

環境

(そ

の1

1.

腐植

や⽊

本遺

体を

⼤量

に含

2.

⼟壌

密度

が⼩

さい

3.

透⽔

性が

⼤き

4.

微⽣

物活

性が

⾼い

マン

グロ

ーブ

⼟壌

環境

(そ

の2)

5.

⼲潟

表層

は、⼲

潟⽣

物の

活動

やマ

ングロー

ブ根

の伸

⻑に

よっ

て、⼟

層が

成層

構造

6.

⽔平

⽅向

に堆

積し、

粘⼟

層は

マング

ローブ

の養

分補

給源

、砂

層は

ガス

などの

有害

成分

の排

出通

7.

⼲潟

⽣物

(カニ

やシ

ャコ)

の棲

息⽳

は、⼲

潟の

表層

⼟壌

に鉛

直⽅

向に

発達

する

粗孔

隙と

して存

在し、

ガス

・⽔・溶

質な

どの

急速

移動

に⼤

きな

影響

を与

えて

いる

マン

グロ

ーブ

⽣育

環境

(そ

の1)

正常

⽣育

環境

1.

マング

ローブ

が進

⼊し易

い2

.緩

速度

で植

⽣遷

移が

進⾏

3.

⾃然

堤防

の形

成4

.特

殊⼟

壌(m

angr

ove泥

層、泥

炭層

)の形

成5

.砂

礫と粘

⼟の

互層

の形

成6

.浅

層地

下⽔

のマ

ングロー

ブ⼟

壌へ

の多

量・⾼

速流

マン

グロ

ーブ

⽣育

環境

(そ

の2)

⽣育

不良

環境

1.

伐採

跡の

無被

覆の

⼲潟

では

⽇中

、地温

が気

温も

しくは

それ以

上の

温度

に上

昇2

.海

岸線

の塩

分濃

度が

相対

的に

⾼く、

陸地

から⼲

潟へ

の地

下⽔

流⼊

が減

少3

.⼟

壌密

度が

⾼くな

り、透

⽔性

が低

39

マン

グロ

ーブ

⽣育

地域

の保

全の

指針

1.

マング

ローブ

林の

⼟壌

・⽔環

境は

きわ

めて

繊細

であ

ること

を認

識2

.マ

ングロー

ブ林

を保

全す

るに

は後

背地

となる

内陸

部の

造林

を考

慮す

る(

⾵の

強い

地域

では

樹⽊

によ

って防

⾵効

果が

期待

され、

⽔源

涵養

に有

効)

3.

内陸

部の

有機

物を

多く含

む表

⼟の

保全

は、海

岸の

マング

ローブ

⽣育

にとっ

て重

要4

.侵

⾷⼟

壌が

後背

地か

らマング

ローブ

林に

流⼊

させな

い防

⽌対

策の

⼀つ

として

、海岸

と内

陸部

の境

に乾

燥や

塩分

に強

い潅

⽊を

植林

し、地

表被

覆の

ため

に雑

草の

導⼊

を⾏

マングローブ

の現地(事

例)

マン

グロ

ーブ

植⽣

と調査

現場

の⼀

1,19

0 km

イン

ドネシ

ア共

和国

(Rep

ublik

Ind

ones

ia)

とうしょ

東⻄

5,11

0km

、世界

最多

の島

嶼国

⾚道

をま

たが

る13

,500

余の

島に

より構

成され

↑調

査地

40

94 k

m

バリ島

ロンボ

ク島

3.63

km

Denp

asar

Inte

rnat

iona

l Airp

ort

Ngur

ah R

ai In

tern

atio

nal A

irpor

t

Den

pasa

r In

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atio

nal A

irpo

rtN

gura

h Ra

i Int

erna

tiona

l Air

port

41

42

43

Goo

gle

Eart

h 20

10版

↑ 現

地調

査時

の航

空撮

影19

93年

17年

調査

関係

機関

・東京

農業

⼤学

総合

研究

所(N

RI)

・国際

協⼒

機構

(JIC

A)

44

10.海の恩恵「塩

益」

最終講習

■本

⽇の

話題

の流

れ「ビ

オトー

プ」

に関

する

基本

的知

識↓

「環境

」に

対す

る⼀

つの

考え

⽅↓

「環境

」に

明瞭

な境

界が

ある

か︖

↓「⼟

壌」

↓「海

岸」

↓[⼀

つの

研究

成果

を事

例とし

て]

海の

恩恵

「塩益

」海

から陸

定 義 → 諸 制 度 → 事 例 紹 介 → 総 合 的 理 解

科学

Science

(Scientist)

⼤学

・研究

組織

技術

Technology

(Technologist)

施⼯

・管理

組織

関係

性を

整理

する

「環境

」に

対す

る⼀

つの

考え

「環境

」・周

囲を

取り囲

む境

界・周

囲を

取り囲

む外

界、状

「環」

・輪の

形を

したも

の・め

ぐる、め

ぐらす

、まわ

る、

もとに

もどる

(守る

場所

)内

45

環境

⾃然

(的)環

境社

会(的

)環境

■⼈

為的

・⼈⼯

的(⼈

間が

関与

)■

秩序

・平衡

状態

のア

ンバラン

⾃然

(的)環

境A

⾃然

(的)環

境B

社会

(的)環

「環境

」に

明瞭

な境

界が

ある

か︖

⽇本

語「⼟

壌」

≠ 「

⼟」

英語

“Soi

l”漢

字の

意味

⼟︓

⼤地

の上

に突

き出

た形

壌︓

混ぜ

返した

やわ

らかい

学問

分野

の意

味⼟

︓材

料⼟

壌︓

⽣命

(植

物・動

物)

の⽣

活環

⽇本

国内

の典

型的

な⼟

壌の

⽔⽥

(低

平地

)に

多い

畑(

⽕⼭

灰⼟

)に

多い

寒冷

地・低

平地

の⼟

壌で

みられ

る熱

帯・亜

熱帯

の⼟

壌で

みられ

場所

によ

って⼟

壌の

⾊が

異な

46

⼟壌

は「粒

」の

⼤き

さで

性質

が異

なる

0.00

20.

02

2

mm

2μm

粘⼟

シル

ト砂

礫⼩

さい

⼤き

N

100m

海岸

(三

重⼤

学前

町屋

海岸

47

海の恩

恵「塩

益」

海から陸への贈り物

■四

⽅を

海に

囲ま

れた

我が

国は

、海⽔

由来

の塩

類「海

塩微

粒⼦

」が海

岸線

に近

い陸

上部

にほ

ぼ常

態的

に供

給され

てい

る■

海塩

微粒

⼦が

陸地

に供

給され

る過

程に

つい

て、地

形・

気象

要因

の影

響程

度、⾶

来量

の定

量化

などを

検討

項⽬

として

、「津

、沖縄

本島

、宮古

島、⽯

垣島

」を観

測点

として

調査

を⾏

った■

海塩

微粒

⼦は

、降⽔

量、⾵

向、⾵

速に

影響

を受

け、津

と沖縄

地域

との間

に捕

捉量

の相

違が

ある

ことが

明らか

とな

った

はじめ

48

「海塩

微粒

⼦」と

は何

か︖

•海

⾯の

気泡

が破

裂す

る際

に⼤

気中

に放

出され

る、

液状

また

は固

体状

の微

⼩粒

•組

成は

通常

海⽔

とほぼ

同じ

•⼤

きさは

0.1μ

m-

数10

μm

海塩

微粒

⼦の

発⽣

過程

海⾯

海⾯

海塩

微粒

10μm

「海塩

微粒

⼦」の

陸地

への

供給

過程

18陸

海②⾵

などに

よる

輸送

①発

③雲

・⾬・雪

によ

る「湿

性沈

着」

③地

表⾯

や障

害物

の「乾

性沈

着」

「海塩

微粒

⼦」は

害に

なる

か(?

)

■農

作物

へ⾵

潮害

を引

き起

こす■

構造

物・⾞

両な

どの劣

化・腐

⾷の

誘発

■電

⼒設

備の

腐⾷

・漏電

「塩害

」として

の対

「海塩

微粒

⼦」の

役割

■作

物必

須栄

養成

分(

S、Ca

、K、M

g、B

等)

の⾃

然供

給■

適度

な塩

ストレ

スに

よる

作物

の⾼

付加

価値

「塩益

」として

の役

49

調査

地域

-三

重県

津、沖

縄県

本島

、宮古

島、⽯

垣島

•各

地域

で•

2009

年7⽉

末か

ら3年

間の

観測

観測

⽅法

1.各

地域

で10

〜20

kmの

観測

線(海

岸か

ら対向

する

海岸

、また

は海

岸か

ら内陸

)を設

2.観

測線

上に

5地点

の観

測点

(家屋

の屋

上な

ど)を

選定

3.観

測点

に「塩

類捕

捉装

置」を

設置

4.⽉

1回、捕

捉装

置の

試料

採取

・⽔質

分析

A1 A2

A3

A4A5

三重

県(

津)

地域

伊勢

湾9k

m

NB1

B2

B5

B3

B4

沖縄

島(

南部

)地

10km

50

C1

C2

C5

C3

C4

宮古

島地

12km

D1 D2 D

3D

4 D5

⽯垣

島地

15km

⽅法

(塩

類捕

捉装

置の

構造

マリオ

ットタン

本体

貯⽔

タンク

常時

⼀定

⽔⾯

を保

ち、湿

性沈

着、乾

性沈

着両

⽅の

塩類

を捕

捉、内

径27

6㎜

⽅法

(⽔

質分

析)

イオンク

ロマトグ

ラフ法

によ

る分

析→

採⽔

試料

中の

「イオ

ン濃

度」、

「pH」

、「EC

イオン項

⽬︓

Na+、

K+、

Ca2+

、M

g2+

、Cl-

、SO

42 、NH

4+、P

O43-

ほか

51

最⾼

⾵速

を観

測した

⾵向

(20

09年

8⽉〜

2011

年7⽉

050100

150

200

NNNE

NE

ENE E

ESE

SE

SSE

SSSW

SW

WSWW

WNW

NW

NNW

Tsu area

050100

150

NNNE

NE

ENE E

ESE

SE

SSE

SSSW

SW

WSWW

WNW

NW

NNW

Miyako Is.

050100

150

NNNE

NE

ENE E

ESE

SE

SSE

SSSW

SW

WSWW

WNW

NW

NNW

Ishigaki Is.

050100

150

NNNE

NE

ENE E

ESE

SE

SSE

SSSW

SW

WSWW

WNW

NW

NNW

Okina

wa Is.

津沖

縄本

宮古

島⽯

垣島

わか

ったこと

(1)/

塩類

供給

と気象

要因

津.5

地点

(三重

⼤学

⽣物

資源

学部

校舎

屋上

)に

おけ

る⾬

量と塩

類捕

捉量

台⾵

18号

(200

9)直

後の

観測

結果

「⾬量

」、「⾵

向」、

「⾵速

」の影

台⾵

直後

にN

a+、C

l-、

Ca2+

、SO

42-の

捕捉

量が

ともに

増加

わか

ったこと

(2)/

⾵向

・⾵速

と海岸

からの

距離

N⾵

⾵下

に向

けて

Na+

の捕

捉量

が減

海岸

からの

「距離

」に

加え

て、

「⾵向

」・「⾵

速」

が⼤

きな

要因

沖縄

本島

の観

測点

にお

ける

2009

/7/3

0〜11

/17期

間の

Na+捕

捉量

と⾵向

別の

平均

⾵速

(m/s

)・出

現時

間(h

)

Goo

gle

Ear

thよ

り引⽤

わか

ったこと

(3)/

塩類

捕捉

2009

年10

⽉の

津・沖

縄本

島・宮

古島

・⽯

垣島

のNa

+とC

l- の

捕捉

主に

海⽔

由来

であ

るN

a+、C

l-は

、津に

⽐べ

て、

沖縄

本島

、宮古

島、⽯

垣島

の⽅

が捕

捉量

が多

津以

外の

3地域

は、三

⽅、

四⽅

を海

に囲

まれ

た島

嶼で

ある

ことが

原因

52

陸上

の⼟

壌由

来も

ある

SO42-

、Ca2

+が

、海岸

に⾯

する

割合

が少

なく、

⼭か

らの「お

ろし⾵

」を受

ける

津で

多い

わか

ったこと

(4)/

塩類

捕捉

津SO

42-Ca

2+Cl

Na+

沖縄

本島

Cl-

SO42+

Na+

Ca2+

宮古

島Cl

-Na

+SO

42-

Ca2+

⽯垣

島Cl

-Na

+SO

42-

Ca2+

津で

はSO

42-、C

a2+の

検出

量が

Cl-、N

a+を

超え

<各

地域

の塩

類捕

捉量

(昇順

)>

わか

ったこと

(5)/

塩類

捕捉

陸側

海側

海岸

から内

陸に

向け

て、

Ca2+

、SO

42-の

捕捉

量が

増加 海岸

から内

陸に

向け

て、

Na+

、Cl- の

捕捉

量が

減少

津に

おけ

る20

09/9

/25〜

11/2

7期間

にお

ける

塩類

捕捉

量と観

測線

上の

距離

・標⾼

との関

<津

の観

測線

上に

おけ

る塩

類捕

捉量

の違

い>

わか

ったこと

(6)/

塩類

捕捉

<Na

+とC

l- の

相関

係数

(R)>

津(0

.953

)、沖

縄本

島(0

.998

)、宮

古島

(0.9

99)、

⽯垣

島(1

.000

)Na

+とC

l-は

ペア

で海

⽔由

しかし、

津に

おい

て若

⼲値

が下

がる

のは

、海塩

微粒

⼦に

変質

(Cl-

の損

失な

ど)が

起こっ

てい

る可

能性

があ

各地

域とも

⾼い

相関

係数

わか

ったこと

(7)/

⼤気

中で

海塩

微粒

⼦が

変質

Na+

Cl-

Na+

Cl- Cl-

Na+

SO42-

NO3-

⼤気

中の

酸性

物質 硫

硝酸

Na+

Cl-

海塩

微粒

⼦参

考︓

エア

ロゾル

⽤語

集,

2004

H+H+H+

53

わか

ったこと

(7)/

⼤気

中で

海塩

微粒

⼦が

変質

Na+

Na+

Na+H+

H+ Cl-Cl

SO42-

SO42-

気体

塩化

⽔素

Na+

Cl-

NO3-

H+Cl

海塩

微粒

「Cl-

損失

」2N

aCl+

H 2SO

4→Na

2SO

4+2H

Cl↑ Na

Cl+

HNO

3→Na

NO3+

HCl

参考

︓エ

アロゾ

ル⽤

語集

,20

04

わか

ったこと

のま

とめ1

.気

象要

因・地

形要

因の

うち、⾬

量、⾵

向、

⾵速

、海岸

からの

距離

は、捕

捉塩

類量

に影

響を

及ぼ

してい

2.

津よ

りも沖

縄島

嶼で

、N

a+、C

l-が

多く

検出

され

、それ

らは海

⽔由

来だ

った

3.

SO42-

、Ca2

+は

、沖縄

島嶼

よりも

津で

多く、

それ

は陸

上の

⼟壌

由来

だった

本研

究の

主な

共同

研究

者(順

不同

、敬称

略)

・中⻄

康博

(東京

農業

⼤学

国際

⾷料

情報

学部

)←

研究

代表

者・成

岡市

(三重

⼤学

⼤学

院⽣

物資

源学

研究

科)

・佐本

康⼈

(現津

市役

所)

・廣住

豊⼀

(現四

⽇市

⼤学

)・古

家克

彦(⼀

般財

団法

⼈沖

縄県

環境

科学

センタ

ー)

・⼩笠

原敬

(⼀般

財団

法⼈

沖縄

県環

境科

学セ

ンター

)・松

⾕達

⾺(現

宮城

県⼤

崎農

業改

良普

及セ

ンター

)・⼩

沢聖

(当時

国際

農林

⽔産

業研

究セ

ンター

島嶼

研究

拠点

学会

発表

中⻄

康博

,松

⾕達

⾺,

⼩沢

聖,

成岡

市,

古家

克彦

,⼩

笠原

敬(2

015)

︓海

⽔由

来栄

養塩

類の

陸域

への

⾃然

供給

量-

「塩益

」の定

量評

価,

⽇本

海⽔

学会

誌,

第69

号,

pp.4

-13

成岡

市,

⽯川

達⼈

,辻

雅⼈

,古

⾕啓

,廣

住豊

⼀,

古家

克彦

,⼩

笠原

敬,

松⾕

⿓⾺

,中

⻄康

博(2

011)

︓海

塩微

粒⼦

の陸

地⾃

然供

給量

の定

量評

価,

第10

回海

環境

と⽣物

およ

び沿

岸環

境修

復技

術に

関す

るシ

ンポ

ジウ

ム,

海環

境シ

ンポ

実⾏

委員

会,

pp.6

7-72

成岡

市,

佐本

康⼈

,廣

住豊

⼀,

古家

克彦

,⼩

笠原

敬,

中⻄

康博

(201

0)︓

海塩

微粒

⼦の

陸地

供給

量測

定に

関す

る試

⾏調

査-

三重

県お

よび

沖縄

県の

例-

,第

9回海

環境

と⽣物

およ

び沿

岸環

境修

復技

術に

関す

るシ

ンポ

ジウ

ム,

海環

境シ

ンポ

実⾏

委員

会,

pp.8

1-85

成岡

市,

佐本

康⼈

,廣

住豊

⼀,

古家

克彦

,⼩

笠原

敬,

中⻄

康博

(201

0)︓

海塩

微粒

⼦の

陸地

供給

量に

つい

て―

三重

県お

よび

沖縄

県に

おけ

る試

⾏調

査報

告―

,農

業農

村⼯

学会

⼤会

,講

演要

旨,

CD-R

OM

[7-2

1]

54

おわり

55