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小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペーパー) 平成25年10月29日 中小企業庁 資料3

小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

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小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペーパー)

平成25年10月29日 中小企業庁

資料3

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目次

1.第2回審議会の議論と第3回の進め方

2.小規模事業者の課題と現行の小規模事業者支援施策 (1)起業・創業 (2)持続的経営 (3)成長志向型活動 (4)事業承継・廃業

3.支援体制のあり方 (1)経営課題への支援の現状 (2)支援体制の現状 (3)商工会・商工会議所による支援 (4)認定支援機関による支援

4.国、都道府県、市町村の政策連携

5.今後の検討課題(まとめ)

1

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〇第二回会合では、小規模事業者の類型化と、ライフサイクルごとの課題の整理を行い、今後のあるべき姿について御意見をいただいた。

→第三回会合においては、 今後、小規模事業者を支援していくための施策や体制のあり方について、御議論いただきたい。

1. 第二回会合での議論と第三回の進め方

<第2回での主なコメント>

○起業・創業への社会的風土や起業家の教育問題がある。起業家を掘り起こし、育てていかないと、起業家が生まれて来ない。

○起業家の悩みは千差万別であり、あらゆる悩みに対しワンストップで相談に乗る機関が必要。

【起業・創業】

2

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○規模の拡大ではなく、オンリーワンの商品やサービスを提供し続け、持続的な経営を行うための支援があっても良いのではないか。

○小規模事業者の活力低下が地域の活力低下につながる。一方、地域そのものが面として発展することが小規模事業者の活力向上につながる。個々の小規模事業者支援だけでなく、地域活性化を通じて小規模事業者を支援することが必要。

○商店街が閉鎖していく原因は、高齢化問題や相続税が支払えないこと、過去のピーク時の売上価格を知っているから値段を下げたくないなどがあげられる。都市開発的な機能も含め、商店街の経営を考えないといけない。若者がリスクをとってでも移住してもいいと思う施策が必要。

○地方テレビ局で製造業の掲載番組を行うとか、産業振興、ビジネスプランの番組企画を支援してはどうか。地域資源やシステムを活用した事業展開というのは地域の活性化に必要。

【持続的経営】

○IT活用は必要だが、小規模事業者はITを使い慣れていない方が多数いる。まずは、小規模事業者が気軽にITに接することができるよう支援が必要。

○小規模事業者でも、特許をとり、新たな技術を作り出していくことが求められており、このための支援策が必要。

○小規模事業者が海外から戻ってくる際の課題について検討すべき。 ○B to Bに関しては、どういうプレゼンをすると効果的か、展示会用にはどういう資料を作ると良いか、マスコミ用、専門家用にどういう資料を書けば効果的になるのかについて支援が必要。

【成長志向型活動】

1. 第二回会合での議論と第三回の進め方

3

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○事業者に蓄積されたノウハウや技術が失われることは、地域や国にとっても大きな損失であり、事業承継の支援が必要。

○事業承継への大きな不安要因は、地域市場の縮小。他方、地域の事業者は、地域内の顧客を大切にして事業を行っており、簡単に事業を辞められないと考えている場合が多いことを踏まえた支援が必要。

【事業承継・廃業】

1. 第二回会合での議論と第三回の進め方

○支援機関は、事業者支援を行うために、常に機能の向上を図らないといけない。 ○施策を浸透させていくため、支援のネットワークについての再検討が必要。 ○商工会・商工会議所の会員になっていない約200万の事業者をどう支援していくか。 ○事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズオンで支援する機関と経営課題に合わせてスポットで専門的な支援をする機関がそれぞれ必要。

【その他(支援体制のあり方)】

4

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2.小規模事業者の課題と 現行の小規模事業者支援施策

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○マル経融資、経営改善普及事業、小規模共済等、経営基盤の強化を目的とする伝統的な小規模企業政策は、ほぼ制度が

改変されることなく継続されてきている。他方で、1999年の中小企業基本法の改正以降、成長志向型活動を中心とした法

制度整備が進められてきた。(太字が主に小規模事業者を対象とするもの)

経済力の集中を防止、健全な中小企業の育成

二重構造論: 中小企業と大企業との格差是正

やる気と能力のある 中小企業の支援

○中小ものづくり高度化法(2006)

○マル経融資制度創設(1973)

○中小企業新事業活動促進法(2005)

○新連携支援(2005)

○中小企業投資育成株式会社(1963)

起業・創業

持続的経営

事業承継・ 廃業

成長型活動

○下請代金法(1956) ○官公需法(1966)

戦後復興期 (1945~)

高度成長期 (1955~)

安定成長期 (1970~)

転換期 (1989~)

現在

○地域商店街活性化法(2009)

○小規模共済法(1965) ○小規模企業共済法の改正(2009)

○中小企業地域資源活用促進法(2007)

○海外展開に伴う資金調達支援(2012)

○産活法の改正(2011)

○農商工連携法(2008)

○経営承継円滑化法(2008)

○小規模事業者支援法(1993)

○産業再生特別措置法(2009)

○商工会議所法(1950) ○商工会の組織等に関する法律(1960)

2. 小規模事業者に関連する法の変遷について

きめ細やかな 中小企業・小規模事業

者の支援

○小規模企業等設備導入資金助成法(1999)

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新創業融資、マル経、経営力強化融資(1500万円まで無担保、無保証)

創業補助金

創業セミナーや創業塾

登録免許税軽減(「産業競争力強化法(仮称)」提出中)

経営支援

間接金融

直接金融

税制

その他

補助金

セーフティーネット貸付 マル経(無担保・無保証)

地域中小商業支援事業 まちづくり補助金、にぎわい補助金

経営改善普及事業

「経営改善計画」策定支援

経営力強化融資(1500万円まで無担保・無保証)

「経営革新」の計画策定支援

中小企業投資促進税制

小規模事業者補助金 ものづくり補助金

中小機構投資ファンド 中小企業投資育成株式会社

後継者が事業用資産を取得する資金の低利融資 第二創業の場合の特別融資

小規模共済制度

「事業引継ぎ相談窓口」(全国47カ所)、「事業引継ぎ支援センター」(全国7カ所)を設置

事業承継円滑化税制 中小企業承継事業再生計画に従う承継への税軽減

ベンチャープラザ・ベンチャーフェア等

2 小規模事業者に関連する施策の概要

○小規模事業者に対する政策を考える上では、法律のみならず、予算・金融・税等の措置も含めた施策を全体パッケー

ジとし、ライフサイクル及び抱える課題に応じて、一貫した形で支援を継続していくことが必要。

※太枠が法律関連事業

株式分割自由化、最低資本金特例、最低資本金規制の撤廃、機関設計の柔軟化

起業・創業 地域での持続的経営 成長志向型活動 事業承継・廃業

「地域資源」「農商工連携」「新連携」の計画策定支援

中小企業海外展開現地支援プラットフォームの設置等

中小企業承継事業再生計画の策定支援

信用保証制度

銀行によるリレーションシップバンキング支援

小規模企業等設備導入資金助成法(26年度で廃止)

中小機構投資ファンド 中小企業投資育成株式会社

7

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○我が国の開業率は、1988年以降減少傾向にあり、特にここ10年は廃業率と逆転関係にあることも多い。

○また、起業の潜在的担い手となる起業希望者も年々減少している。

2-(1) 起業・創業の状況

起業の担い手

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11

開業率 廃業率

資料:厚生労働省「雇用保険事業年報」

(%)

(年度)

開廃業率の推移

38.4

63.0

8

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2-(1) 起業・創業に関する課題と現状の施策

<第2回会合で挙げられた課題>

○起業・創業への社会的風土や起業家の教育問題がある。起業家を掘り起こし、育てていかないと、起業家が生まれて来ない。 ○起業家の悩みは千差万別であり、あらゆる悩みに対しワンストップで相談に乗る機関が必要。

中小機構投資ファンド 中小企業投資育成株式会社

新創業融資(1500万円まで無担保、無保証)

創業補助金

創業セミナーや創業塾

登録免許税軽減(「産業競争力強化法(仮称)」提出中)

経営 支援

間接 金融

直接 金融

税制

その他

補助金

ベンチャープラザ・ベンチャーフェア等

株式分割自由化、最低資本金特例、最低資本金規制の撤廃、機関設計の柔軟化

起業・創業

○起業・創業については、人材育成、情報提供、資金支援等様々な支援メニューが整備されてきている。特に、2000年以降、新興市場の整備、ファンドの充実、最低資本金の撤廃、エンジェル税制の拡充等、市場公開を目指すような急成長型のベンチャー企業の事業環境整備が進展。

○他方で、地域での安定した操業を目指す起業の支援や、潜在的起業家の掘り起こしも行っていく必要がある。

<現状の施策の評価と課題> 商工会・商工会議所

中小機構

認定支援機関

公庫

中小機構・投育

信用保証制度

9

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【論点】 ◎様々な施策にもかかわらず、開業率が上昇していないこと、又、潜在的起業層が減っていることにつ いて、どう考えるべきか。 • 潜在的な起業層(女性、若者等)を大幅に掘り起こすためには、周囲の理解の促進や支援の働きか

けも必要ではないか。社会における様々なプレイヤーとの連携をどのように強化するか(大企業からの人材の移動、創業の場としての商店街の活用)。

• 起業失敗のリスク(個人保証等)をどのように緩和するか。

• 「起業」に関する国民意識や社会的風土をどのように変えていくべきか。

◎各種会社法制度の整備や、資金面での優遇措置、IT技術の発達により起業・創業の制度的な壁は下 がってきている。他方で、ビジネスリスクは多様化・複雑化しており、起業に際し、経営その他の知識 面での支援を求める声は強い。

• 利益があがりにくい創業後3~5年の間、継続して支援を行うためには、どのような支援体制を整えるべきか。

2-(1) 起業・創業に関する施策の論点

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2-(2) 地域での持続的経営の状況

[空き店舗率の推移]

8.98

10.82

14.62

0 5 10 15

平成18年度

平成21年度

平成24年度

出典:平成24年度商店街実態調査

(%)

0 20 40 60 80

年間販売額 53兆円 70兆円

(兆円)

0 20 40 60 80

事業所数

1997年度

2007年度

(万事業所)

62万事業所 43万事業所

出典:経済産業省「商業統計」

〔商店街の実態〕

○中小企業数は年々減少しており、とりわけ小規模事業者の減少率が高い。

○比較的小規模の企業(資本金100万円以下)について、欠損法人企業割合を見ると、平成11年以降若

干低下してきているものの、依然として70%以上が赤字。

○商店街等、地域社会の状況変化を受ける業態においては、事業所数の減少、空き店舗率の増加が止まっていない。

63.1 61.8

66.9

71.7 74.8 75.5

79.5

75.2 78.5 77.8

80.3 80.2 79.4 78.2 75.0 73.9 73.4 72.7

76.9 74.0 73.2

70.8

60

65

70

75

80

85

平成2

平成3

平成4

平成5

平成6

平成7

平成8

平成9

平成10

平成11

平成12

平成13

平成14

平成15

平成16

平成17年

平成18年

平成19

年 平成20

年 平成21

平成22

平成23

(%)

(年、年

(資料)国税庁「会社標本調査」 注1:平成18年の調査から、調査対象事業年度を2~1月決算ベースから4~3月決算ベースに変更しているため、平成18年以降は4~3月決算データ。 平成17年までは、2~1月決算データ 注2:平成23年に資本金区分が変更となっており、平成2年~平成22年のデータは資本金100万円未満、平成23年のデータは資本金100万円以下。

欠損法人企業割合の推移(資本金100万円未満、以下)

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2-(2) 地域での持続的経営に関する課題と現状の施策

○規模の拡大ではなく、オンリーワンの商品やサービスを提供し続け、持続的な経営を行うための支援があっても良いのではないか。

○小規模事業者の活力低下が地域の活力低下につながる。一方、地域そのものが面として発展することが小規模事業者の活力向上につながる。個々の小規模事業者支援だけでなく、地域活性化を通じて小規模事業者を支援することが必要。

○商店街が閉鎖していく原因は、高齢化問題や相続税が支払えないこと、過去のピーク時の売上価格を知っているから値段を下げたくないなどがあげられる。都市開発的な機能も含め、商店街の経営を考えないといけない。若者がリスクをとってでも移住してもいいと思う施策が必要。

○地方テレビ局で製造業の掲載番組を行うとか、産業振興、ビジネスプランの番組企画を支援してはどうか。地域資源やシステムを活用した事業展開というのは地域の活性化に必要。

<第2回会合で挙げられた課題>

間接金融

補助金

セーフティーネット貸付 マル経(1500万円まで無担保・無保証)

地域中小商業支援事業、まちづくり補助金、にぎわい補助金

経営改善普及事業

「経営改善計画」策定支援

小規模企業設備導入資金制度(平成26年廃止予定)

地域での持続的経営

経営支援

商工会・商工会議所

認定支援機関

公庫

○従来は、小規模の脆弱性・不利性に着目し、経営基盤 の強化を図るための施策が主に講じられてきた(経営改 善普及事業、マル経、小規模企業設備導入資金) 。また 事業が悪化した場合の事業再生支援・セーフティーネッ ト措置も一定程度手当てされている。 ○ 他方で、今後は、小規模事業者が地域の経済や社会を 支えていることに着目し、そのような小規模事業者固有 の強みを支援していく必要があるとの声がある。また自 治体の様々な取組とも連携していくことが重要。

<現状の施策の評価と課題>

信用保証制度

12

Page 14: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

2-(2) 地域での持続的経営を行う者の経営課題

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

既存の営業力・販売力の維持

強化

国内の新規顧客・販路の開拓

海外の新規顧客・販路の開拓

新商品・新サービスの開発

既存の商品・サービスの高付

加価値化

新規の技術開発

技術力の維持・強化

設備増強

設備更新

設備廃棄

人材の確保・育成

後継者の育成・決定

他社との連携

コスト削減、人員整理、業務

効率化

IT活用

運転資金確保

設備投資資金確保

新事業への投資資金確保

危機対応に備えた防衛的内部

留保増強

営業・販路開拓 商品開発 技術開発 生産 人材・経営 資金調達

地域で持続的経営を行うものの経営課題

(資料) 「小規模事業者の経営実態に関する調査(商工会会員向けアンケート調査)」 注1:経営課題上位5つを質問し、1位として挙げられた課題

○地域で持続的経営を行う者にとって、「既存の営業力、販売力の維持強化」が最大の課題。 次いで「国内の新規顧客・販路の開拓」、「運転資金確保」が主たる経営課題。

(%)

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【論点】

◎人口減少、少子高齢化、大型小売店舗の進出など、社会構造が変化する中で、小規模事業者が今後 生き残っていくためには、様々な意味において商品やサービスの差異化を図り、地域にとってかけがえ のない存在となっていくことが求められる。また、地域の顧客や様々な関係者との信頼関係の再構築が 必要。 • 小規模事業者は、どのような形で、地域にとって「かけがえのない存在」となり得るのか。経営規模や

売上げの拡大は求めないが、地域に求められる商品・サービスを提供しようとする事業者の取組について、何らかの支援施策を講ずべきではないか。

• 域外需要の獲得や交流人口の増加等を通じた、「面」としての地域の活性化が、小規模事業者の活性化には不可欠。各省とも連携し、地域の活性化に光を当てた施策が必要ではないか。

• 地域住民や、地域金融機関、自治体等を巻き込んだ支援策を検討すべきではないか。

• 小規模事業者の体力や能力に応じた支援策を考えるべきではないか。とりわけ、販路拡大が最大の経営課題となっており、ここに光を当てた支援策を検討すべきではないか。

2-(2) 地域での持続的経営に関する施策の論点

14

Page 16: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

2-(3) 成長志向型企業の経営課題

0

5

10

15

20

25

30

35

既存の営業力・販売力の維

持強化

国内の新規顧客・販路の開

海外の新規顧客・販路の開

新商品・新サービスの開発

既存の商品・サービスの高

付加価値化

新規の技術開発

技術力の維持・強化

設備増強

設備更新

設備廃棄

人材の確保・育成

後継者の育成・決定

他社との連携

コスト削減、人員整理、業

務効率化

IT活用

運転資金確保

設備投資資金確保

新事業への投資資金確保

危機対応に備えた防衛的内

部留保増強

営業・販路開拓 商品開発 技術開発 生産 人材・経営 資金調達

成長志向型企業の経営課題

成長型(n=435)

(資料) 「小規模事業者の経営実態に関する調査(商工会会員向けアンケート調査)」 注1:経営課題上位5つを質問し、1位として挙げられた課題

○成長志向型企業にとって、地域の持続的経営を行う者と同様、 「既存の営業力、販売力の維 持強化」が最大の課題であるが、「国内の新規顧客・販路の開拓」の割合も高く、「人材の確 保・育成」がこれに次いでいる。

15

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(出典)「2003年以降における中小企業の経営財務面での動きをめぐって」(鹿野嘉昭、成城大学経済研究所年報第22号(2009年))

2-(3) 成長志向型活動の状況

小規模企業の潜在力

▲25

▲15

▲5

5

15

25

中規模企業(法人)

小規模企業(法人)

(上位層)

(中位層)

(下位層) 資料:「平成22年中小企業実態基本調査」再編加工

横軸 : 売上高経常利益率の順位を下から数えた 企業群(パーセンタイル) 縦軸 : 売上高経常利益率

上位2割

小規模事業者ほど、2000年以降売上高の減少率が高い

企業規模別に見た売上高の推移

○一部の小規模事業者は、中規模企業と比べても高い利益率を有している。

○他方で、小規模事業者全体で見ると、中規模以上の起業に比べ、2000年以降売上高の減少率が高い。

16

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2-(3) 成長志向型活動に関する課題

○小規模事業者が気軽にITに接することができるよう支援が必要。

○小規模事業者でも、特許をとり、新たな技術を作り出していくことが求められており、このための支援策が必要。小規模事業者が海外から戻ってくる際の課題につき検討すべき。

○B to Bに関しては、どういうプレゼンをすると効果的か、展示会用にはどういう資料を作ると良いか、マスコミ用、専門家用にどういう資料を書けば効果的になるのかについて支援が必要。

<第2回会合で挙げられた課題>

経営支援

間接金融

直接金融

税制

補助金

経営力強化融資(1500万円まで無担保・無保証)

「経営革新」の計画策定支援

中小企業投資促進税制

小規模事業者補助金 ものづくり補助金

中小機構ファンド・中小企業投資育成株式会社

成長型活動 認定支援機関等

公庫

○2000年以降、経営革新等、付加価値を高める事業活動 の支援を強化。各支援機関が各種計画策定等に関す る支援も行っている。また、近年では、海外展開を含む 販路開拓、ものづくり技術支援等も実施。 ○他方で、更なる販路開拓、人材確保・育成、特許や企] 業の情報発信・PR、企業としての体制整備等、成長に 伴って直面する様々な課題が指摘されている。

<現状の施策の評価と課題>

「地域資源」「農商工連携」「新連携」の計画策定支援

中小機構 等

その他 中小企業海外展開現地支援プラットフォームの設置等

中小機構・投育

信用保証制度

17

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【論点】 ◎海外展開や新分野進出等成長志向型活動について、中小企業の多くが活用している経営革新計画で すら、小規模事業者の一部しか活用できておらず、小規模事業者にとって既存施策が活用しにくい可 能性がある。 • 小規模事業者同士で連携する、もしくは小規模事業者と中規模企業が連携するような取組を積極的

に支援していくべきではないか。

• 更なる販路開拓、組織体制の整備、企業自身のPRのあり方、特許の活用等、成長するに従って直面する様々な課題についての支援策を充実させることが必要ではないか。

2-(3) 成長志向型活動に対する施策の論点

18

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2-(4) 事業承継・廃業の状況

○小規模企業において事業継続希望が5割以上存在するが、後継者がいない、見つからないという後継者難によって、廃業を余儀なくされているケースが半数以上ある。

事業を継続させたい まだ決めていない 事業をやめたい

中小企業(n=4,418) 72.8% 20.6% 6.6%

うち小規模企業(n=1,882) 57.2% 29.1% 13.7%

うち小規模企業以外(n=2,529) 84.5% 14.2% 1.3%

<企業規模別 経営者引退後の事業継続の方針>

資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、㈱野村総合研究所) (注)1.アンケート対象:経営者の年齢50歳以上 2.中小企業4,418社には規模不明の中小企業7社が含まれる。

27.5

41.8

5.0

5.2

8.3

4.0

36.4

20.6

16.6

25.4

6.3

3.0

0% 100%

個人形態

(n=302)

法人形態

(n=402)

組織形態別の小規模事業者の廃業理由

事業に将来性がない 息子・娘に継ぐ意思がない 適当な後継者が 見付からない

息子・娘がいない

その他

地域に需要・発展性がない 後継者難 61.3%

後継者難 50.0%

資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所) (注)1.今後の事業運営方針について「廃業したい」、又は、経営者引退後の事業継続について「事業をやめたい」と回答した、経営者の年齢が50 歳以上の小規模事業者を集計している。 2.「その他」には、「従業員の確保が難しい」を含む。 19

Page 21: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」 (2012年11月、(株)野村総合研究所)、2013年中小企業白書

0

5

10

15

20

25

30

35

借入金の個人保証の引継ぎが困難

後継者による自社株式の買取りが困難

後継者による事業用資産の買取りが困難

本人から承諾が得られない

金融機関との関係を維持しにくい

計画的に後継者を養成することが難しい

取引先との関係を維持しにくい

役員・従業員の士気低下

役員・従業員から理解を得にくい

自社の株主から理解を得にくい

その他

○円滑な事業承継のためには、後継者教育を含め一定の準備期間が必要。しかし、後継者が決まっていない企 業ほど、事業承継へ向けた準備の取組が進められていない。 〇最近、親族以外の者に引き継ぐ例が増えているが、借入金の個人保証の引き継ぎや後継者の自社株買取りを 課題に挙げる者が多い。

後継者の有無別の事業承継準備の取組度合い 親族以外の者に事業を引き継ぐ際の課題(複数回答) (n=122)

(%)

2-(4) 事業承継・廃業をめぐる課題

資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」 (2012年11月、(株)野村総合研究所)、2013年中小企業白書 (注)経営者の年齢外50歳以上の企業を集計している。

15.1

2.6

1.7

55.7

30.1

13.8

18.3

35.2

30.4

5.7

18.1

36.0

5.2

14.0

18.1

0% 100%

後継者が決まっている企業

(n=1,798)

後継者候補がいる企業

(n=1,232)

後継者候補がいない企業

(n=930)

十分している

ある程度している

あまりしていない

全くしていない

現時点で準備をする必要性を感じない

後継者が決まっていない企業

67%

85%

20

Page 22: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

○事業承継に関して、蓄積されたノウハウや技術が失われることは、地域や国にとっても大きな損失であり、国の支援が必要。

○客がいるのでやめられない、事業を第三者に承継してほしいと思っている事業者は多い。事業承継問題を小規模政策の最大の課題として考えてほしい。

2-(4) 事業承継・廃業に関する課題

<第2回会合で挙げられた課題>

<現状の施策の評価と課題>

○後継者がある程度決まった段階において、事業承継を行う際の情報提供や税制・融資制度は一定程度充実。

○他方、事業を次世代に円滑に承継させていくために

は、現経営者が、後継者教育を含めた事業承継の取組を前もって計画的に進めていくことが必要。このため、事業承継の取組を早期に開始させるためのインセンティブ措置が求められる。

経営 支援

間接 金融

税制

その他

後継者が事業用資産を取得する資金の低利融資 第二創業の場合の特別融資

小規模共済制度

「事業引継ぎ相談窓口」を設置(全国47カ所) 「事業引継ぎ支援センター」を設置(全国7カ所)

事業承継円滑化のための税制 中小企業承継事業再生計画に従う承継への税軽減

事業承継・廃業 認定支援機関

公庫

中小機構

中小企業承継事業再生計画の策定支援

信用保証制度

21

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【論点】

◎後継者への円滑な事業承継を実現するためにも、現経営者に対して早期の事業承継へ向けた取組を 促すインセンティブ措置が必要。 • 事業承継する5~10年前から、後継候補者とともに「継いでもらえる会社」に作り上げていくことが必

要。 一つのコミュニケーションツールとして例えば後継者とともに計画策定を行うことが有用ではないか。 • また、「将来の後継者候補」を育てる観点からも、若者を中心として、小規模事業者とのマッチングを促 進すべきではないか。

2-(4) 事業承継・廃業に関する施策の論点

22

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3.小規模事業者に対する 支援体制

23

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資料:(株)日本政策金融公庫「2013年の中小企業の景況見通し」(2012年)

小規模事業者の経営支援ニーズの複雑化・高度化

73.2

33.2 31.1 27.0 23.6

19.5 16.4 11.6 10.2 7.9 5.4

0

10

20

30

40

50

60

70

80

営業・販売力

の強化

人材の確保

・育成

コストダウン

財務体質の強化

技術力強化

新商品開発、

新事業展開

自社ブランドの強化

設備増強等

海外事業展開

既存事業の絞り込み

資金調達方法の多様

(%)

(n=560)

3-(1).経営課題に対する対応状況

○人口減少・少子高齢化、新興国との競争激化・新興国の市場拡大、国内取引構造の変質(日本の大企業の海外進出の進展等)等により、小規模事業者の経営課題・支援ニーズが多様化・複雑化。

24

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〇経営課題に対して、5割近くが自社のみで対応しており、他者に相談している者は3割程度に止まる。対応方針が検討でき ていない者も2割程度存在する。 〇また、経営相談の相手に対しては、「専門的な知識」や「財務・会計の知識」「具体的な提案能力」を求める一方で、「人間と しての信頼感」や「人脈やネットワーク」などを求める声も強い。 → 直面している課題の性質、相談相手に求める内容により、相談相手も変わってくる。

3-(1).経営課題に対する対応状況

50.8

22.4

48.8

33.8

41.7

25.4

42.4

20.9

44.3

2.5

0

10

20

30

40

50

60

事業分野における専門的な

知識・ノウハウ

事業分野における高い技術

財務・会計の知識

判断力・柔軟な対応力

具体的な提案能力

経営の実体験

幅広い人脈やネットワーク

想像力・独創性

人間としての信頼感・秘密

保持

その他

小規模企業が相談者に期待する能力・素養

(資料) (株)帝国データバンク(n=767) 注1:「経営課題への対応状況」は、経営課題上位5つを質問し、1位とし

て挙げられた課題への対応状況。

16%

31%

17%

17%

19%

小規模企業の経営課題への対応状況

自社で既に対応を取っている

自社の問題として、具体的対

応策を考えている

自社のみでは対応できず、他

者に相談し、既に対応している

自社のみでは対応できず、他

者に相談している

いかに対応すべきか、検討で

きていない 34%

(資料)(株)帝国データバンク(n=727) 注1:複数回答のため合計は100%を越える。

47%

25

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〇最大の経営課題として挙げられる「営業・販路開拓」は、他の経営者や自社の経営陣・社員等と相談する者が多い。課題と して多い「人材・経営」も自社の社員等と相談する者が多い。 → 支援機関や専門家に直接相談する事業者は一部。経営者同士のネットワークや、取引先のネットワークによる事業者同 士の支援も重要であり、これらを支える団体の役割も重要。

3-(2).経営課題に対する支援の現状(総論)

(資料)(株)帝国データバンク 注1:経営課題ごとに上位5位までのセルを橙で表示。 注2:複数回答のため、合計は100%を越える。

(単位:%) 小規模企業の経営課題の相談相手 相談相手\経営課題

営業・販路開拓 (n=667)

商品開発 (n=544)

技術開発 (n=543)

生産 (n=481)

人材・経営 (n=645)

資金調達 (n=663)

支援機関

商工会・商工会議所 9.1 3.5 1.5 1.0 9.6 7.5

国 3.9 3.5 3.7 1.5 4.0 3.5

中小機構 4.5 4.4 3.7 0.8 3.3 3.9

都道府県 5.8 4.8 4.4 1.0 3.1 3.0

市町村 3.9 2.2 1.3 1.0 2.5 3.0

専門家

税理士・会計士 7.3 2.0 0.7 2.5 33.3 31.1

メインバンク 9.4 2.0 0.7 0.8 6.5 61.8

その他金融機関 2.7 1.3 0.0 0.6 2.3 29.1

経営コンサルタント 8.2 3.9 2.6 2.5 8.5 3.6

中小企業診断士 2.1 0.7 0.9 0.6 4.0 1.4

経営者 同業種の経営者 24.6 15.6 19.2 15.0 16.9 3.2

異業種の経営者 18.7 13.2 9.2 6.4 14.4 3.0

親しい人間/身内

経営陣 26.1 19.1 17.9 18.5 28.7 12.8

従業員 19.8 19.5 23.8 22.0 14.3 3.0

知人 14.8 6.8 5.3 5.0 9.5 2.4

家族・親族(利害関係者) 8.4 5.1 3.5 4.8 11.5 7.7

家族・親族(非利害関係者) 5.1 2.6 1.7 1.5 6.7 2.4

利害関係者

出資者・株主 7.6 4.0 4.6 4.8 8.8 7.7

保証人 2.2 0.6 0.7 1.2 2.9 3.6

取引先 28.6 26.7 22.3 18.3 8.8 3.0

その他 その他 6.6 6.8 7.2 7.7 5.7 2.9

特に誰にも相談しない 16.3 24.6 26.2 30.4 16.4 14.9

26

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〇メインバンク、商工会・商工会議所、税理士・会計士等の支援機関は、支援施策に関する情報の入手先として活用さ れている。他方で、「誰からも情報を得ていない」という者が多く、支援政策に関する情報を、自分で探しているという者 も多い。 → 支援施策の周知については強化の必要がある(都道府県や市町村等との連携強化も一案)。

(資料)(株)帝国データバンク(n=740)

13.0

1.2

3.9 3.8

0.7

11.5

20.3

5.7

1.8 0.5

3.6 1.6 1.5

0.3 0.9 0.1 0.0 0.5 0.1

2.4

7.8

1.8

16.9

0

5

10

15

20

25

商工会・商工会議所

国(本省、地方局)の相談窓口

(独)中小機構

都道府県の相談窓口

市町村の相談窓口

税理士・会計士

メインバンク

その他金融機関

経営コンサルタント

中小企業診断士

同業の経営者

異業種の経営者

経営陣

従業員

知人

家族・親族(利害関係者)

家族・親族(非利害関係者)

出資者、株主

保証人

取引先

自身でHP、メーリングリスト、

Twitterなどから情報…

その他

特に誰からも情報を得ていない

支援機関 専門家 経営者 親しい人間/身内 利害関係者 その他

中小企業支援政策の情報入手先

3-(2).経営課題に対する支援の現状(総論)

27

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11.3

4.9 3.7 3.2

1.3 1.3 0.7 0.4 0.1 0.1 1.4 1.4

15.3

10.2

5.0

2.4 2.4 0.2 1.1 0.3

17.4 15.0

10.7

0.6

16.3 15.4

5.9

0.3

33.2

10.2 9.0

6.1

0.3

21.7

0

10

20

30

40

商工会・商工会議所

信用保証協会

公共職業安定所

地方自治体

中小企業支援センター

中小企業基盤整備機構

中小企業振興公社・中小企業…

公的なベンチャーキャピタル

大学などの教育機関

公設試験研究機関

その他

不明

税理士・公認会計士

民間金融機関

司法書士・行政書士・弁理…

中小企業診断士・経営コンサ…

フランチャイズ・チェーン本部

民間のベンチャーキャピタル

その他

不明

元勤務先

元勤務先の取引先

元勤務先の同僚等

不明

仕事を通じて知り合った友人

個人的な友人

知人等から紹介された第三者

不明

親(義理の親を含む)

配偶者

兄弟・姉妹

その他の親戚

不明

①公的組織 23.9 ②民間組織 27.7 ③元勤務先等 35.2 ④友人等 28.2 ⑤親・親戚等 45.6

フォーマルな支援 41.6 インフォーマルな支援 68.8

<施策の評価> ○起業・創業に関しては、融資や補助金よりも高い割合で、会社設立や経営に必要な知識、経営全般に関する知識に関 する支援を受けている企業が多い。 ○現状においては、税理士・公認会計士、商工会・商工会議所、民間金融機関等が一定の役割を果たしている。

(参考) 起業・創業に関する支援の状況

(注)1 当調査は日本政策金融公庫の融資先を調査対象としていることから、「公的組織」の選択肢には日本政策金融公庫を含めていない。 2 支援者を分類した「①公的組織」~「⑤親・親戚等」、「フォーマルな支援」「インフォーマルな支援」の数値は、それぞれの類型に 含まれる選択肢を一つ以上回答した企業の割合を示す。

(n=2,683)

5.6

1.1

5.8

3.4

0.7

0.4

0.9

0.6

0.4

1.5

6.2

0.3

9.3

0.3

0 10 20

開業資金の融資(日本

政策金融公庫からの

融資を除く)

開業資金の出資

補助金、助成金

信用保証

店舗、事務所、工場など

の貸与

機械・設備の貸与

従業員の紹介

販売先・受注先の紹介や

販路開拓の支援

仕入先・外注先の紹介

マーケティングの指導

会社の設立や経営に必要

な経理・労務などの専門

知識の提供

技術面の指導

経営全般や事業計画の策

定に関する助言

その他

経営資源 13.7

取引関係 0.9

情報 12.4

(n=2,646)

(%)

支援者類型別支援内容(公的組織) 支援者別支援状況(複数回答)

いずれの支援も受けていない

28

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(参考) 成長志向型活動に対する支援体制(経営革新計画)

出典: 平成20年度 経営革新の評価・実態調査 報告書

経営革新計画に関してアドバイスを受けた機関

○経営革新計画の策定については、政府系金融機関、商工会・商工会議所、都道府県センターなどのアドバイスを受け ている。 ○特に、申請前には商工会・商工会議所や都道府県センター・窓口に相談しており、申請後には政府系金融機関に相談 しているケースが多い。

29

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(参考) 事業承継・廃業に関する支援体制

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E002799.pdf

○事業承継に関しては、特に相談していない者も多いが、顧問税理士等が相談先となっている場合が多い。 ○ただし、税理士等への相談内容は、相続税や贈与税、自社株式や事業用資産に関するものが中心であり、小規模事 業者の主な廃業理由である「そもそも後継者がいない」という課題に対しては、相談できていない者が多い。

事業に将来

性がない

35.9

息子・娘が

いない 5.9

息子・娘に

継ぐ意思が

ない

27.3

その他

4.4

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100(%

小規模事業者の廃業理由

後継者難 54.6%

適当な後継者が見付からない 21.4

地域に需要・発展性がない 5.1

(n=710)

資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、(株)野村総合研究所) (注)1.今後の事業運営方針について「廃業したい」、又は、経営者引退後の事業継続について「事業をやめたい」と回答した、経営者の年齢が50歳以上の小規模事業者を集計している。 2.「その他」には、「従業員の確保が難しい」を含む。 30

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<第2回の議論のまとめ> ○支援機関は、事業者支援を行うために、常に機能の向上を図らないといけない。 ○施策を浸透させていくため、支援のネットワークについての再検討が必要。 ○商工会・商工会議所の会員になっていない約200万の事業者をどう支援していくか。 ○事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズオンで支援する

機関と経営課題に合わせてスポットで専門的な支援をする機関がそれぞれ必要。

• 実際に相談するのは具体的に煮詰まってから相談している。煮詰まる前段階では、同業者の社長などいろいろな人の話を聞きに行っている。税務関係の相談は税理士に行っている。(牛乳配達)

• 資金調達や経営支援は商工会に相談している。税務関係は税理士。その他には、同業者に情報が漏れるのが嫌なため、

近い同業者以外の仲間に相談する。(印刷業)

• 経理は税理士に相談している。経営相談もするが有用なアドバイスはほとんどない。したがって、経営相談は同業者や旅行代理店に行っている。商工会は、経営指導員が多忙のようなので相談に行きづらい。(旅館)

• 日々の相談は同業者や地域の先輩・後輩にしている。(墓石小売業)

• 労務については商工会、経理税務は金融機関や税理士に聞いている。ただし、経営内容をさらけ出して相談する相手はなかなか見つからない。(建設業)

• 商工会は銀行と経営者のコーディネーターとしての役割が大きい。お金を借りるとき、銀行に直接行くのではなく、商工会を

通した方がスムーズに事が進む。(建設業)

<様々な支援を活用している小規模事業者の生声>

3-(2).経営課題に対する支援の現状(総論)

31

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3-(2).経営課題に対する支援の現状(支援機関の役割分担)

・・・ 地域プラットフォーム

(全国約130箇所登録)

保証協会

病院

大学

大企業

税理士法人等

中小企業診断士協会

商工会、 商工会議所等

よろず支援拠点 (全国約47箇所

設置予定)

<地域プラットフォームの業務> ・主に認定支援機関間が連携した支援体制 ・プラットフォーム内での連携を促進 ・9月から同プラットフォームによる専門家派遣 を開始

日本政策金融公庫(全国152支店)

中小企業基盤整備機構(全国9支部) ・よろず支援拠点間の連携 ・地域を越えたマッチング ・認定支援機関、地域プラットフォームの能力向上

・中小企業再生支援全国本部

業務連携先

<認定支援機関の業務> ・事業計画の策定や、実行支援、その後のフォローアップ ・ものづくり補助金、経営力強化資金等の申請を支援(申請要件) ・金融円滑化法終了に伴う経営改善計画の策定を支援(2/3補助) ・ITポータル等を通じた情報提供、施策活用促進等

全国ベースでの公的支援機関

日本貿易振興機構(全国39事務所)

産業技術総合研究所(全国9センター)

・・・

・・・

ITポータル「ミラサポ」

地方銀行、 信用金庫等

地域プラットフォーム (全国約130箇所登録)

認定支援機関 (18,806認定(10月現在))

オンラインでの支援

全国ベースでの支援

専門的な見地から連携

<商工会・商工会議所の業務> ・小規模事業者支援法に基づく「経営改善普及事業」

ワンストップでの総合的な支援

32

Page 34: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

○小規模事業者支援法において、商工会及び商工会議所が小規模事業者の支援主体として位置づけられている。

○他方で、経営課題は複雑化・多様化しており、これに対応する支援機関として金融機関や税理士等も大きな役割を果たしている。例えば、メインバンクは資金調達のみならず、販路開拓等の相談先になっており、また税理士等は人材育成や後継者問題などの相談にも応じている。このため、平成24年には、認定支援機関制度を設け、中小企業に対して支援を行う者を拡大。

○他方で、「特に相談していない」「社員や家族にのみ相談している」というケースも未だに多く、誰にも相談できていない層に対するアプローチが課題。

→それぞれの支援機関の能力向上を図るとともに、ネットワーク化を図っていくことが必要ではないか。

3-(2). 支援体制の現状の評価

33

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3-(3) 商工会、商工会議所による支援

<会員数> • 商工会-86万者(従業員規模100人超 1%、21~100

人 4%、6~20人 12%、5人以下 84%) • 商工会議所-127万者(大企業5%、中規模21%、小規

模74%) <箇所数> • 商工会1,694、 商工会議所514

<経営指導員・記帳指導員数> • 商工会-経営指導員 4,277人、補助員 2,673人、 記帳専任職員1,805人、記帳指導職員571人 • 商工会議所-経営指導員 3,454人、補助員 1,107

人、 記帳専任職員443人、記帳指導職員 157人

○商工会、商工会議所は、全国津々浦々に存在していること、また特別法による地域総合経済団体であり、公共性・中立性を有していることが特徴。また年間500万件の相談に応じる等、小規模事業者に対する支援機関としての役割は大きい。

○他方で、会員数や予算が減少するなどの課題に直面している。小規模事業者の経営課題が多様化・複雑化する中、指導内容も金融中心から様々な経営課題へと移ってきており、商工会・商工会議所に求められる役割も変わってきている。

全国商工会連合会、日本商工会議所提供データより作成

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

昭和

55年度

昭和

56年度

昭和

57年度

昭和

58年度

昭和

59年度

昭和

60年度

昭和

61年度

昭和

62年度

昭和

63年度

平成元年度

平成

2年度

平成

3年度

平成

5年度

平成

6年度

平成

7年度

平成

8年度

平成

9年度

平成

10年度

平成

11年度

平成

12年度

平成

13年度

平成

14年度

平成

15年度

平成

16年度

平成

17年度

平成

18年度

平成

19年度

平成

20年度

平成

21年度

平成

22年度

平成

23年度

経営指導内容の変遷

その他

環境対策

情報化

創業

取引

労働

税務

金融

経理

経営一般

経営革新

34

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3-(3) 商工会、商工会議所による支援

○商工会、商工会議所の経営指導の利用実績は約3割にとどまるが、利用者の約7割は評価している。 ○商工会・商工会議所は一定の組織率を保ってきているものの、小規模事業者数の減少もあり、会員数の減少も課題の一つ。

020406080

100120140160180

昭和

51年度

和53

年度

和55

年度

和57

年度

和59

年度

和61

年度

和63

年度

成2年

平成

5年度

成7年

平成

9年度

成11

年度

成13

年度

成15

年度

成17

年度

成19

年度

成21

年度

成23

年度

事業

商工会・商工会議所の会員数

商工会

商工会議所

全国商工会連合会、日本商工会議所提供データより作成

30

20

14

9

13

13

15

17

56

67

72

75

0% 50% 100%

個人・小規模

個人・中規模

法人・小規模

法人・中規模

経営指導の利用実績

商工会を利用した

ことがある 商工会値所を利

用したことがある 利用したことがな

い 20

11

8

3

54

59

57

65

18

19

25

27

6

7

7

5

2

4

2

1

0% 50% 100%

個人・小規模

個人・中規模

法人・小規模

法人・中規模

経営指導の評価

大いに評価できる

評価できる

どちらでもない

あまり評価しない

評価しない

平成19年度小規模企業政策研究会第3回配布資料3より抜粋

0%10%20%30%40%50%60%70%80%

昭和

51年度

昭和

53年度

昭和

55年度

昭和

57年度

昭和

59年度

昭和

61年度

昭和

63年度

平成

2年度

平成

5年度

平成

7年度

平成

9年度

平成

11年度

平成

13年度

平成

15年度

平成

17年度

平成

19年度

平成

21年度

平成

23年度

会員

数/

地区

内の

商工

業者

商工会・商工会議所の組織率

商工会

商工会議所

約3割 約7割

35

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3-(3) 「中小企業の支援体制のあり方等に関する検討会」

•平成20年5月28日に政府に提出された地方分権改革推進委員会の第一次勧告で「商工会議所と商工会の一元化を含めた新たな商工団体制度を設けるなど、地域の商工団体のあり方について必要な検討を行い、平成20年度中に結論を得る」との指摘がなされた。

•それを受けて、平成20年10月に、日本商工会議所と全国商工会連合会が共同で本検討会を設置し、12月まで3回にわたり、商工会議所と商工会の合併規定に関する法整備等について議論を行った。

概要

•座長 鎌田 彰仁 (茨城大学 人文学部教授) •商工会議所関係委員 •佐々木 謙二 (横浜商工会議所 会頭) •田村 巌 (長岡商工会議所 会頭) •里谷 光弘 (輪島商工会議所 会頭) •海野 肇 (ひたちなか商工会議所 会頭) •上原 勇七 (甲府商工会議所 会頭) •麻生 俊介 (松山商工会議所 会頭)

•商工会関係委員 •村岡 淑郎 (秋田県商工会連合会 会長) •田中 俊一 (栃木県商工会連合会 会長) •荒木 龍平 (石川県商工会連合会 会長) •川瀬 重雄 (滋賀県商工会連合会 会長) •加島 英俊 (広島県商工会連合会 会長) •伊藤 昭正 (熊本県商工会連合会 会長)

委員

36

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3-(3) 「中小企業の支援体制のあり方等に関する検討会」中間報告(平成20年12月)

<商工会の事業・組織等を改革するための具体的方策> ①地域中小企業が真に必要とする経営支援サービス

【実績】平成22年度に、優先度の低い事業を廃止し、高い事業に資源を集中させる手順を示した「商工会 事業・業務見直し改善指針」を策定し、導入を働きかけている。

②巡回を中心とした経営支援サービスを通じて明らかになった地域の課題の解決に取り組む地域貢献活動の強化

【実績】 平成25年5月に「地域産業活性化検討特別

委員会」報告書をとりまとめ、地域内で資金を循環させる事例や取組方法を提示。

③商工会同士の更なる合併等を契機とした組織改革(県連機能の強化)

【実績】平成25年4月現在、 40県が人事を一元化。 ④商工会職員の専門的知識の向上(商工会統一的人事プログラムの導入による資質向上)

【実績】 平成25年4月現在、80人が内部資格「経営支援マネージャー」を取得。

<商工会議所の事業・組織等を改革するための具体的方策>

①国や自治体が取り組むべき施策の積極的な提言 【実績】中小企業政策専門委員会等の議論を踏まえ、24年度に20本の提言。

②多様なニーズに対応したきめ細かい中小企業支援の実施と組織率の向上を図るための「会員増強運動」の展開

【実績】各地商工会議所において組織率の向上に向けた全会員訪問や会員増強運動を展開。

③まちづくりの推進と地域資源を活かした地域活性化への取組み

【実績】140の中心市街地活性化協議会の多くで商工会議所が主体的に運営。

④中小企業の人材育成・確保 【実績】平成25年度から、中小企業の簿記等の検定利活用拡大を図る「検定

事業再生プロジェクト」を実施。全国105商工会議所・連合会でジョブ・カードを活用した職業訓練を実施、修了者の8割が中小企業の正社員に。

⑤急速に進む国際化・グローバル化への対応 【実績】4割の商工会議所が海外投資セミナーを、3割の商工会議所がミッション

派遣を新たに実施

⑥地球温暖化問題への対応 【実績】現在までに308商工会議所が「環境行動計画」を策定・実行中。

⑦効果的・効率的な活動展開のための組織のあり方の検討 【実績】平成25年3月に「これからの商工会議所の理念と活動」をとりまとめ。

⑧組織改革や職員の能力開発を通じた、商工会議所組織の生産性向上

【実績】平成21年3月に「職員の育成強化の体系」をまとめるとともに、24年度からは200人規模の「経営指導員全国研修会」を実施。 37

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3-(4) 認定支援機関による支援

○認定支援機関は、平成24年の認定開始後、既に18,000者を突破。今後の中小企業・小規模事業者支援の担い手として更なる活躍が期待。

○他方で、認定支援機関による支援の質の向上、認定支援機関同士のネットワーク形成を図り、各認定支援機関の強みを活かした連携支援を促進する必要がある。

38

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〇認定支援機関を活用したことがある、知っていて関心がある者は2割程度に止まる。他方で、実際に活用したことがある者の 6割 弱が肯定的に評価している。 〇認定支援機関と既存の支援機関の連携関係は、企業サイドから見ると、実態がよく分からないという者が6割を占め、連携で きていると評価する者は6%程度に止まる。

3-(4) 認定支援機関による支援

10.2%

10.1%

17.2%

29.8%

32.6%

認定支援機関の活用状況

活用したことがある

知っており、関心がある

知っているが、特に関心はない

知らないが、関心はある

知らない、特に関心もない

19%

37%

38%

4% 2%

認定支援機関の評価

とても良い

良い

どちらとも言えない

悪い

とても悪い

2% 4%

14%

13%

6%

61%

認定支援機関と既存の支援機関の連携状況の評価

うまく連携している

少し連携している

どちらとも言えない

あまり連携していない

全く連携していない

よく分からない

(資料)(株)帝国データバンク(n=746) (資料)(株)帝国データバンク(n=772)

(資料)(株)帝国データバンク(n=73)

20.3%

56%

6%

39

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【論点】 ◎366万者にどのように支援施策を周知していくかが課題。このためにも、全国約8000人の商工会・商工会議所の経営指導

員、約18000の認定支援機関などを活用していくべき。 • 小規模事業者は、大きな経営課題である「販路拡大」「人材確保・育成」について、支援機関や専門家に相談することなく、

自力で取り組んでいる者が多い。

• 小規模事業者は、相談相手に専門的な知識や提案能力を求めている。本当に困っている経営課題について、専門家の経営相談を受けることができる体制を整備していくべきではないか。

• 各支援機関の強み、特徴は何であり、どのように役割分担やネットワークを組んでいくべきか。 例えば、事業者に寄り添い

様々な相談の窓口となる形での支援や、複雑な課題に対して専門的なアドバイス・提案を行う形での支援は、その支援のあり方が異なるのではないか。

◎支援機関のネットワーク化における課題は何か。 • すぐれた取組やノウハウをどのように支援機関の間で浸透させていくか。

• 各支援機関が持つ強みや特徴を踏まえた上で、支援機関同士の連携関係を強化し、小規模事業者の支援ニーズに応え

ていくべきではないか。

• 事業者による商工会・商工会議所の利用状況、及び認定支援機関として新たに加わった支援機関については現時点での認知度は低いが、実際に利用した者の評価は高いこと、また支援機関間の連携の実態が事業者にとってわかりにくいという現状を踏まえ、今後のあり方(認知度・利用頻度の向上や、既存機関、認定支援機関同士の連携関係の強化等)を考えて行くべきではないか。

3. 小規模事業者の支援体制をめぐる論点

40

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4.国、都道府県、市町村の政策連携

41

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〇国、都道府県、市町村の中小企業支援制度は、6割超の者が活用したことがあるか、関心を有している。 〇実際に支援施策を利用した者の中で、否定的な評価をしている者は少ない。

4-(1) 国、都道府県、市町村の中小企業支援制度・政策の活用・認知状況

19.1 16.6 15.3

18.6 18.2 17.8

16.2 18.3 20.6

29.7 31.9 31.5

16.3 15.1 14.8

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国(n=753) 都道府県(n=749) 市町村(n=743)

国、都道府県、市町村施策の活用状況

活用経験あり 知っており関心あり 知っているが関心なし

知らないが関心あり 知らないし関心なし

31.9

25.5

27.1

36.8

44.6

36.7

27.0

27.2

32.8

2.9

1.6

2.3

1.5

1.1

1.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

国(n=204)

都道府県(n=184)

市町村(n=177)

利用した国、都道府県、市町村施策の評価

とても良い 良い どちらとも言えない 悪い とても悪い

(資料)「小規模企業の経営実態に係る調査(商工会会員向けアンケート調査)」 (資料)「小規模企業の経営実態に係る調査(商工会会員向けアンケート調査)」

6割超

42

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〇「国、都道府県、市町村がうまく連携できている」と評価する者は少なく、「3者がバラバラに評価してい る」「連携の実態がよく分からない」と回答した者が9割近くを占める。

4-(2) 国、都道府県、市町村の政策連携の評価

資料:(株)帝国データバンク(n=746)

3.2 5.4 3.3

0.7

23.2 64.3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

国、都道府県、市町村の三者がうまく連携している

国と都道府県はうまく連携しているが、市町村が連携できていない

都道府県と市町村はうまく連携しているが、国が連携できていない

国と市町村はうまく連携しているが、都道府県が連携できていない

国、都道府県、市町村三者の連携が取れておらず、バラバラに支援している

よく分からない

国、都道府県、市町村の連携状況の評価

43

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都道府県 市町村

■ホップ・ステップ・ジャンプ型 国・都道府県・市町村が連携して、対象企業の規模・成長段階に応じた支援を行う。対象企業は、数年かけてより規模の大きな支援策を活用する。 (例)市:30万円上限、2/3補助 県:300万円上限、2/3補助 国:3000万円上限、2/3補助

■棲み分け型 国・都道府県・市町村が、それぞれ支援する対象を分ける(棲み分ける)ことで、当該地域における産業・企業をそれぞれ効率的に支援する。 (例)市:IT産業に対する支援 県:当該市以外の地域でもの づくり産業に対する支援

4-(3) 国、都道府県、市町村の政策連携の事例

市町村 都道 府県

市町村 都道府県

■一体支援型 都道府県・市町村が連携して統一の事業を行い、両者で負担金を分担して、同一の企業群を支援する。 (例)IT企業と農業・医療福祉分野との マッチング事業に、県が1/4補助、 市が1/4補助し、行政全体として、 1/2補助を実現。

■ホップ・ステップ・ジャンプ型 ■棲み分け型 ■一体支援型

44

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<第一回小委員会でいただいた御意見> ◎ターゲットは、同じ小規模企業であるにも拘わらず、いろんな政策が並立していて、その間の調和やコーディ ネートが十分に行われていない。 ◎都道府県・市町村など自治体との連携を重視した枠組みに視点を置いて、小規模企業政策を展開して欲しい。

4-(4) 国、都道府県、市町村の政策連携をめぐる課題

<国、都道府県、市町村の政策連携に対する生声> ○国・県・市の施策がバラバラであるように感じる。施策は、ある程度一貫してほしい。 ○国・県・市が、助成金などについて実績・手柄の取り合いをしている印象。国と県との連携はある程度取れている印象があるものの、町では、国や県の政策やその目的・意義に対する理解が低いように感じる。

○国、県、市の政策メニューはいろいろあるが、あまりに多すぎてどれをどう使っていいか分からない。国の政策パンフレットも最初から読んでいるうちに、何が何だか分からなくなる。全体像を一覧できるような表(次ページ参照)があるとわかりやすい。

○国、県、市の政策の全体像を一覧できるような表(次ページ参照)は、是非ともお願いしたい。ただ、小規模事業者では、その表の読み方が分からない。この点、商工会の経営指導員にサポートして欲しい。

45

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国、県、市の主な産業施策(H25年度)創業 研究開発 製品開発 国内販路開拓 海外販路開拓 設備投資 雇用・人材

広島県

広島市

新事業創出チャレンジ企業支援事業(ひろしまチャレンジ基金15億円) (31,517千円)

新技術・新商品・新サービスの事業化,市場化段階の事業活動を資金面で支援

・事業化促進事業 (補助金3,000千円、補助率2/3 、年度内)

・市場化促進事業 (補助金1,000千円、補助率1/2 、年度内)

(株)ひろしまイノベーション推進機構による投資事業 (約105億円)

県内産業の発展に寄与しうる起業・事業を対象とし,十数社に投資予定(1件当たり数億円~十数億円を想定)。

投資先の経営課題に応じ,ハンズオン(経営参加型)の経営支援を行う。

医療・福祉関連産業の育成(10,503千円)

広島発高齢者見守り支援システム開発プロジェク

販路拡大等支援事業(7,949千円)

〇ビジネスフェア等の展示会出展支援(3,949千

円)

首都圏での商談会出展支援。販売戦略塾ブラッ

シュアップ企業等を対象。

〇販売戦略塾(販売力強化支援)(4,000千円)

専門家を招いてのセミナー,商品のブラッシュアッ

プを支援

ものづくり販路開拓支援事業(5,598千円)

〇販路開拓コーディネータの配置(3,998千円)

販路開拓コーディネータが,販路開拓やマーケティングに関するアドバイス,新製品・新技術に係る関連

企業とのマッチング等を行う

〇見本市等出展補助(1,600千円)

中小企業が自社製品を見本市等に出展する際に要する経費(小間料,運送費等)の一部を補助

(補助金 200千円、補助率1/2)

新事業活動・農商工連携等促進支援事業(18.6億円)

地域資源: 地域資源を活用した新商品・サービス開発から販路開拓まで一貫して支援

農商工連携: 農商工連携による新商品・サービス開発から販路開拓まで一貫して支援

新連携: 異業種連携による新商品・サービス開発から販路開拓まで一貫して支援

(補助金20,000千円、補助率2/3 、5年間)

JAPANブランド育成支援事業(31.5億円の内数)

中小企業が連携して海外販路開拓する取り組

みを支援

(補助金最大20,000千円、

補助率 2/3、定額、4年間)

日本政策金融公庫による低利融資(利子補給金131.1億円)

中小企業の設備投資等に伴う必要な資金を低

利で融資

ものづくり中小企業連携支援事業(戦略的基盤技

術高度化支援事業)(118.7億円)

中小企業が大学等の研究機関と連携して行うモノづ

くり基盤技術の高度化に資する研究開発や試作品開発

に対する支援 (補助金45,000千円、補助率2/3、

3年間)

広島県制度融資(事業活動支援資金)企業立地促進法に基づく企業立地計画等につ

いて,中小企業の事業拡大等を促進する

(限度額 中小企業者2億円,利率0.47~0.9

7%)

自動車関連産業の振興対策(9,757千円)

〇自動車産業経営者会の開催(3,630千円)

自動車メーカーの経営者を対象に研究会を開催

〇電気自動車の導入による開発支援(6,127千

円)

マツダ及び部品供給本となる中小企業の技術開

発を支援するため,EVを公用車として活用し,そ

の走行データを提供

新成長ビジネス事業化支援事業(18,000千円)

〇市場テスト・事業化戦略策定支援

新成長ビジネスに関する新製品・新技術を開発

している中小企業者に対し,市場テストや事業か

戦略の策定に要する経費の一部を補助 (補助金

3,000千円、補助率1/2)

ものづくり技能者養成事業補助(4,870千円)

ものづくり中小企業の生産現場における技能

強化を支援するため,機械加工等の実技指導を

行う技能指導者を派遣する事業に対して補助

(実施主体NPO法人ATACひろしま,補助内

容 技能指導者の派遣に係る経費の1/3及び

事業実施に係る事務局経費の全額)

中小企業一般振興融資等預託貸付(融資枠1,030億円)

中小企業の設備投資等に伴う必要な資金を、

金融機関により低利で融資

ものづくり小規模事業者等人材育成事業(3.

5億円)

モノづくり小規模事業者等が、製造現場におい

て中核として働く人材を講習に派遣する費用を補

(一人当たり50千円補助、補助率

2/3 、年度内)

ものづくり中小企業小規模事業者試

作開発等支援補助金

(1,007億円) ※H24補正

中小企業や小規模事業者が実施する試作開発等に対する支援(補助金10,00

0千円、補助率2/3、1年間)

円高・エネルギー制約対策のための先端

設備等投資促進事業(2,000億円) ※H24補正

先端設備を導入するために必要な資金を補助

(補助金最大120億円、補助率 1/2~1/ 緊急雇用創出事業基金事業(1,000億円)※H24補正

起業10年以内等の企業の地域活性化に資する

事業を通じて、失業者の雇用を創出(委託 1件当

たり15,000千円、2年間)

イノベーション人材等育成事業(102,000千円)

県内中小・中堅企業が社員を研修等に派遣す

る経費や,個人が専門職大学院の課程等での

修学に要する経費の一部を支援,経営者層を対

象とした実践的研修

・企業に対する補助

(補助金400万円,補助率1/2,年度内)・個人に対する貸付金

(国内120万円,海外240万円,年度内,県

内企業への就業による免除あり)

・経営者向けセミナー

グローバル人材育成確保促進事業(29,088千円)

〇広島県ものづくりグローバル人材育成事業

アジア各国の理工系留学生を受入れ,ものづく

り企業のノウハウを活かした人材育成を行い,県

内企業の海外高度人材確保を支援

・留学生への奨学金支給10万円/月

・受入大学広島大学大学院工学研究科〇中小企業等グローバル人材確保支援事業

海外展開に必要な即戦力の人材を人材紹介会

社を活用して確保することを支援

(補助金150万円,補助率1/2,年度内)

ものづくり中小企業小規模事業者試作開発

等支援補助 ※H24補正

ICTと異分野の融合によるイノベーション促

進事業(5,000千円)

県・市共同で,ICT企業と医療・福祉,農業等の

異分野とのマッチングを支援。

研究会の開催及び活動支援

(負担金 県・市2,500千円、負担率1/2,年度内)

広島県F/S研究開発

補助金 (10,000千円)

県内ものづくり企業(輸

送用機械や一般・電気機

械)の自社で保有する基礎

研究等を基にした応用研究の立ち上がりの研究開

発を支援 (補助金最大2,

000千円、補助率1/2、

年度内)

ひろしま医療関連産業創出支援事業費補助金(30,000千円)

「ひろしま医療関連産業研究会」の会員企業が,医療機器等の製品化・事業化のための研究開発など医療・健康関連分野への新規参入や,当該分野での事業拡大に取り組む場合に,その経費の一部を補助 (補助金

最大3,000千円、補助率1/2 、年度内)

広島県次世代ものづくり技術開発支援補助

金 (150,000千円)

県内ものづくり企業(輸送用機械や一般・電気

機械)の新たなビジネスの獲得につながる技術開

発・試作品開発(実用化開発)を支援 (補助金

最大50,000千円(大規模枠)・最大10,000千円(中小規模枠)、補助率1/2、年度内)

広島県環境浄化産業クラスター形成事業

補助金(20,000千円)

「ひろしま環境ビジネス推進協議会」の会員企業

が,環境関連分野において,海外で開催される

展示会への出展や海外企業との商談等,海外

市場の開拓のための取組に要する経費の一部を補助

(補助金最大1,000千円、補助率 1/2 、

年度内)

広島起業化センター(クリエイトコア)運営事

業 (12,944千円)

インキュベーション施設を運営し,入居者の起業

化等を支援。

(貨室数 8タイプ・20室(30~77㎡)

広島県産業科学技術研究所運営事業(89,803千円)

産学官共同体制により,基礎的・先導的分野の

研究開発を推進。

広島県制度融資(創業支援資金)新たに事業を開始しようとする個人・企業者,事

業開始後5年未満の中小企業者

(限度額 個人・会社25,000千円,利率1.47~1.

67%)

創業環境整備促進事業(103,581千円)

〇サポート型創業支援(67,000千円)

ひろしま創業サポートセンターを新設し,集中指

導セミナーや,専門家が創業に関するアドバイス

を実施(支援開始から2年間)

サポートセンターでは,国創業補助金事業の県

事務局業務も実施

〇パッケージ型創業支援(36,000千円)創業前~創業後の一連の創業支援策を民間機

関から公募し委託

(民間事業者3者、年度内)

地域需要創造型等起業・創業促進補助金

(創業補助金)(200億円) ※H24補正

新たに起業・創業や第二創業を行うものに対して

事業計画を募集し,計画の実施に要する費用の一

部を支援

・地域需要創造型起業・創業(補助金2,000千円,補助率2/3、1年間)

・第二創業

(補助金5,000千円,補助率2/3、1年間)

・海外需要獲得型起業・創業

(補助金7,000千円,補助率2/3、1年間)

※平成24年度事業

生産技術革新支援補助生産現場改善指導に基づき,生産性向上やコ

スト削減に向けた生産設備の更新・新生産技術

の導入等を行う企業に対し,その経費の一部を

補助

(補助金5,000千円,補助率1/2,年度内)

創業チャレンジ・ベンチャー支援事業(4,586千円)

事業計画の策定から創業の段階にわたって、経

営、資金の両面から総合的な支援

事業計画策定支援:3回以内

経営アドバイザー派遣:原則12回

融資:創業チャレンジ資金(限度額10,000千円,

利率1.0%)

広島市中小企業融資(創業支援融資)(限度額10,000千円,利率1.0%)

自動車関連産業クラスター支援事業 (40,922千円)

〇カーテクノロジー革新センターの運営:電動化,知能化,軽量化,製造技術,に関する技術シーズに対応し

た支援体制

〇ベンチマーキング支援事業(補助金2,000千円/台,補助率車両購入費等の1/2、年度内)

創業支援型雇用創造事業(緊急雇用基金)(300,000千円)

操業・第二操業から3年未満の事業者が即戦力

人材を活用して実施する,成長性が見込まれ雇用

創出効果の高い事業を支援

(委託額30,000千円/社)

中小企業イノベーション促進支援事業 (77,069千円)

〇チーム型支援:全国トップレベルの専門家(マーケティング,セールス,ブランディング,デザイン,知財戦略,経営戦略・生産管理等)等で構成された支援チームにより新事業

展開を集中支援(支援期間1年間)

〇技術・経営力評価,知的資産経営の支援:技術・経営力評価書作成支援(補助率1/2)。知的資産報告書の作成を支援し,知的資産を活用して収益につなげる経営を促進

海外ビジネス展開支援事業(77,000千円)

〇販路拡大等の支援

・消費財分野:物産展の開催や博覧

会への出展を支援

・生活支援サービス分野:台湾企業と

の連携による中国での事業展開支援。

・自動車関連分野:インドのタミル・ナドウ州でのビジネス展開支援

〇現地事務所の支援

中国四川省に経済交流事務所を設

置し,中国内陸部でのビジネス展開を

支援

(資料)広島県庁、商工労働局

(参考) 国、広島県、広島市の産業施策一覧

46

Page 48: 小規模事業者に対する支援策と 支援体制のあり方 (論点ペー …事業者が成長段階に応じて経営課題は変わってくるが、重要なのは、変わらず事業者に寄り添ってハンズ

その他 (国に対する要望)

今回の小規模事業者ヒアリングにおいて、経営者の方々に、国への要望を伺ったところ、概要、以下の通り。 ○国への申請書類の作成が複雑でわかりづらく、かつ、必要書類が多すぎる。 ○公募期間が短すぎる。もっと早く情報提供してもらえないか。 ○政策を決めたら、毎年のように政策を変えるのはやめて欲しい。

■国への申請書類の作成 ○震災の時、初めて補助金を利用した。書類の作成が大変で、ハードルが高いと感じた。せめてビジネスの事業計画書レベルの書類であればと思った。

○助成金を受けるときの書類の作成が困難。家族経営であり、社長自らが記載しないといけない。しかしながら、日常業務に追われている中で、書類を作成するのは難しい。

○補助金の書類作成をサポートしてもらえないか。

■公募期間の問題 ○補助金の公募期間がとにかく短い。補助金の存在を知ったときには、残り1週間ということもあった。

○粗々でもいいから、中企庁として、どのような政策を次に打とうとしているか、前もって示してもらえると、関心がありそうな事業者達に伝えて、事前に準備がしやすい。

■政策の安定性の問題 ○ある政策をようやく県内の中小企業の方々に知ってもらったと思った途端に、政策が別のものに変わってしまう。これでは、中小企業者に対する政策の普及が十分に進まない。 47

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中小企業支援法で、国、都道府県、(独)中小企業基盤整備機構が中小企業支援を実施する上で、適切な役割分担の下で緊密な連携を図るべく、毎年、「中小企業支援計画」を、都道府県知事(政令で定める市を含む)と中小企業政策審議会の意見を聴いて、策定・公表することとされている。

また、都道府県は、中小企業支援計画に基づき、都道府県の支援計画を策定するよう、努めることとされている。

24年度では、都道府県(政令で定める市を含む)61のうち、9つで策定されている。

経済産業大臣

都道府県知事 中小企業政策審議会

国の支援計画策定 (第3条第1項)

通知 (第3条第4項)

意見を求める(第3条第3項) 意見を聴く(諮問)(第3条第3項)

経済産業大臣 (ある場合)意見の提出 答申

都道府県知事

都道府県の支援計画策定 (第4条第1項) ※努力義務

届出(第4条第1項) ※計画を定めた場合の義務

平成23年4月に成立した地域主権改革一括法により、中小企業支援法を改正し、都道府県が策定する計画の義務づけを廃止し、努力義務化した。

併せて、法改正後も引き続き、国及び都道府県等の連携や協力の体制を深めていくことは重要であることから、国と都道府県とにおける「対話と協力」の関係を維持するため、経済産業大臣が支援計画を作成するときはあらかじめ都道府県知事の意見を聴くことを新たに義務付けた。

<支援計画の策定スキーム>

<平成23年中小企業支援法改正における都道府県の支援計画の義務づけ廃止>

(参考) 中小企業支援法に基づく連携の現状

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4-(5) 国、都道府県、市町村の政策連携をめぐる論点

【論点】 ○国・都道府県・市町村の政策連携は、十分に図られていないというのが現状。366万者の小規模事業者に広く効率的に政策を周知し、届けていくためには、三者がこれまで以上に情報共有を進め、政策連携を行っていくことが求められているが、具体的に、どのように連携を進めていけばよいか。

• 国・都道府県・市町村が支援のターゲットとしているのは、同じ中小企業・小規模企業であるにもかかわら

ず、国は都道府県の政策を知らず、都道府県は市町村の政策を知らず、お互いバラバラに支援しているケースが多い。一方で、国、都道府県、市町村の政策連携をうまくやっている自治体もある。このような好事例を参考にしながら、国、都道府県、市町村が互いに政策連携をしていく方向に持っていくことが重要。

• 国や自治体の政策には、約半数の者が関心を寄せており、否定的な評価は少ない。他方で、三者の連携

関係については、実態がよく分からないという評価が大半を占める。行政サイドは、政策立案後は申請者を待つといった「受け身の姿勢」ではなく、支援機関の力も借りながら、積極的に国・都道府県・市町村の政策をPRしていく「攻めの姿勢」が必要ではないか。

• 申請書類の簡素化や公募期間の長期化など、申請者たる小規模企業の立場に立った制度改革が求めら れるのではないか。 • 加えて、専門家や認定支援機関等との連携のあり方も考えていくべき。

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5.今後の検討課題 (まとめ)

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<小規模事業支援施策>

今後の検討課題(まとめ)

◎各種会社法制度の整備や、資金面での優遇措置、IT技術の発達により起業・創業の制度的の壁は下がってきている。他方 で、ビジネスリスクは複雑化しており、起業に際し、経営その他の知識面での支援を求める声は強い。 • 利益があがりにくい創業後3~5年の間、継続して支援を行うためには、どのような支援体制を整えるべきか。 ◎様々な施策にもかかわらず、開業率が上昇していないこと、又、潜在的起業層が減っていることについて、どう考えるべきか。 • 潜在的な起業層を大幅に掘り起こすためには、周囲の理解の促進や支援の働きかけも必要ではないか。大企業やその他

社会における様々なプレイヤーとの連携をどのように強化するか(人材の移動、連携の促進)。 • 起業失敗のリスク(個人保証等)をどのように緩和するか。 • 「起業」に関する国民意識や社会的風土をどのように変えていくべきか。

◎人口減少、少子高齢化、大型小売店舗の進出など、社会構造が変化する中で、小規模事業者が今後生き残っていくために は、様々な意味において商品やサービスの差異化を図り、地域にとってかけがえのない存在となっていくことが求められる。 また、地域の顧客や様々な関係者との信頼関係の構築が必要。 • 小規模事業者は、どのような形で、地域にとって「かけがえのない存在」となり得るのか。経営規模や売上げの拡大は求めない

が、地域に求められる商品・サービスを提供しようとする事業者の取組について、何らかの支援施策を講ずべきではないか。 • 域外需要の獲得や交流人口の増加等を通じた、「面」としての地域の活性化が、小規模事業者の活性化には不可欠。各省とも

連携し、地域の活性化に光を当てた施策が必要ではないか。 • 地域住民や、地域金融機関、自治体等を巻き込んだ支援策を検討すべきではないか。 • 小規模事業者の体力や能力に応じた支援策を考えるべきではないか。とりわけ、様々な支援施策がわかりづらく、申請書類も

複雑という声にどう応えていくか。

①起業・創業

②持続的経営

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今後の検討課題(まとめ)

◎後継者への円滑な事業承継を実現するためにも、現経営者に対して早期の事業承継へ向けた取組を促すインセンティ ブ措置が必要。 • 事業承継する5~10年前から、後継候補者とともに「継いでもらえる会社」に作り上げていくことが必要。一つのコミュ

ニケーションツールとして例えば後継者とともに計画策定を行うことが有用ではないか。 • また、「将来の後継者候補」を育てる観点からも、若者を中心として、小規模事業者とのマッチングを促進すべきではな

いか。

◎成長志向型活動について、中小企業の多くが活用している経営革新計画ですら、小規模事業者の一部しか活用できて おらず、小規模事業者にとって既存施策が活用しにくい可能性がある。 • 小規模事業者同士で連携する、もしくは小規模事業者と中規模企業が連携するような取組を積極的に支援していくべ

きではないか。 • 販路開拓、組織体制の整備、企業自身のPRのあり方、特許の活用等、成長するに従って直面する様々な課題につい

ての支援策を充実させることが必要ではないか。

④事業承継・廃業

③成長志向型活動

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◎国・都道府県・市町村の政策連携は、十分に図られていないというのが現状。366万者の小規模事業者に広く効率的に政策を周知し、届けていくためには、三者がこれまで以上に情報共有を進め、政策連携を行っていくことが求められているが、具体的に、どのように連携を進めていけばよいか。

• 国、都道府県、市町村の政策連携に加えて、専門家や支援機関等との連携はいかに図っていくべきか。 • 行政サイドは、政策立案後は申請者を待つといった「受け身の姿勢」ではなく、支援機関の力も借りながら、積極的に 国・都道府県・市町村の政策をPRしていく「攻めの姿勢」が必要ではないか。 • 申請書類の簡素化や公募期間の長期化など、申請者たる小規模企業の立場に立った制度改革が求められるのではな いか。

◎366万者にどのように支援施策を周知していくかが課題。このためにも、全国約8000人の商工会・商工会議所の経営指導員、約18000の認定支援機関などを活用していくべき。

• 各支援機関の強み、特徴は何であり、どのように役割分担やネットワークを組んでいくべきか。 例えば、事業者に寄り添い様々な相談の窓口となる形での支援や、複雑な課題に対して専門的なアドバイス・提案を行 う形での支援は、その支援のあり方が異なるのではないか。 • それぞれの支援機関はどのように変わっていくことが求められているか。 ◎支援機関のネットワーク化における課題は何か。 • すぐれた取組やノウハウをどのように支援機関の間で浸透させていくか。

<国・都道府県・市町村の政策連携>

<支援機関の役割と体制>

今後の検討課題(まとめ)

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