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時間分解分光測定装置 TSP-1000/1500/2000 シリーズ ユーザーズ・マニュアル (株)ユニソク

時間分解分光測定装置 - rs.kagu.tus.ac.jp · Unisoku Co., Ltd. 1 はじめに 1 はじめに 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 1 -

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時間分解分光測定装置

TSP-1000/1500/2000 シリーズ

ユーザーズ・マニュアル

(株)ユニソク

目 次

1 はじめに...............................................................................................................................................................1

2 仕様 ......................................................................................................................................................................2

3 測定原理...............................................................................................................................................................5

4 システム構成.......................................................................................................................................................8

5 接続方法.............................................................................................................................................................23

6 測定手順.............................................................................................................................................................25

7 測定プログラム概要 概要.............................................................................................................................30

8 時間分解測定・表示プログラム (TSP-100-01, TSP-1000-03)........................................................................33

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム(TSP-1000-03)........................................................................43

10 メインウィンドウとレイアウトウィンドウ .................................................................................................51

Unisoku Co., Ltd. 1 はじめに

1 はじめに

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 1 -

このたびは当社製品をお買いあげいただき、まことにありがとうございます。 本マニュアルは時間分解分光測定装置 TSP-1000/2000 シリーズに共通の機能と操作方法につ

いて説明したものです。TSP-1000 シリーズはライトガイドを用いたユーザーフレンドリーなシ

ステムで、一方 TSP-2000 はライン光学系を用い、同軸励起や近赤外測定を可能としたシステ

ムです。TSP-2000 システムにつきましては、合わせて「紫外~可視~近赤外測定について」もお

読み下さい。

なお、記載された内容、名称などはハードウェア構成の変更や測定アプリケーションのバー

ジョンアップなど諸々の事情により予告なく変更されることがあります。 もしご不明な点がございましたら、当社までご連絡下さい。

2 仕様

2 仕様

Unisoku Co., Ltd.

- 2 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

以下はすべて標準的な仕様で、用途により変更する場合があります。

1.励起光源部 パルスYAGレーザー 波長 532nm、355nm(、266nm) パルス幅 4-6ns オプション 波長可変レーザー(OPO、簡易型色素レーザー)

2.モニター光源部 150W キセノンランプ(標準)

ランプ : HAMAMATSU 製 高安定キセノンランプ(150W) 波長 : 240 nm 以上 (オゾンレスタイプ L2195) : 220 nm 以上 (オゾンフリータイプ L2175) 光出力安定性 :ふらつき ±0.5% 以下(点灯 20 分後) 動作寿命 :平均寿命 2,500 時間、保証寿命 1,200 時間 OBB 社製ミラー集光型 75W キセノンランプ(2009 年以降の TSP-1000-03R モデル、

TSP-2000 など) ランプ : USHIO 製 キセノンランプ(75W) 波長 : 240 nm 以上 動作寿命 :保証寿命 400 時間

150W ハロゲンランプ(TSP-1000 の近赤外オプション、TSP-2000 など) ランプ : OSRAM 製 ハロゲンランプ(24V, 150W) 波長 : 300 nm 以上 動作寿命 :保証寿命 300 時間

3.分光器 ツェルニィターナー型回折格子仕様 Unisoku 製 MD200 (TSP-1000-01 など)

焦点距離 : 200 mm F 値 : 3.5 波長送り : ステッピングモータによる 0.1 nm/ステップ 波長範囲 : 200 ~ 800 nm スリット幅 : 0.1、0.2、0.5mm

Unisoku Co., Ltd. 2 仕様

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 3 -

逆線分散 : 17.0 nm / mm (刻線数 300 本/mm の回折格子使用時) : 8.5 nm / mm (刻線数 600 本/mm の回折格子使用時) : 4.3 nm / mm (刻線数 1200 本/mm の回折格子使用時) 2 次光カット :フィルターセット標準付属

詳細は 4 章参照

Acton 社製 MD308 型(TSP-1000-03R, TSP-2000 など) 焦点距離 :300mm

F 値 :4

回折格子 :3 種(150g/mm、300g/mm、600g/mm、ブレーズ 300nm)の自動切り替え

線分散 :5.4nm/mm (600g/mm 回折格子使用時)

スリット幅 :10µm~3mm 連続可変

非点収差補正 :あり

2 次光カット :フィルターセット標準付属

4.時間変化測光部 検出器 光電子増倍管(P.M.)

光電面 : マルチアルカリ光電面 分光感度 : 185 ~ 900 nm プリアンプ応答速度 : 5 nsec 以下

近赤外フォトダイオード(NIR-PD) 光電面 : InGaAs 分光感度 : 400 ~ 1600 nm プリアンプ応答速度 : 5 nsec 以下(仕様によっては ~100nsec)

信号取り込み : Tektronix 製 デジタルオシロスコープ

5.マルチチャンネル測光部(オプション) 検出器 :高速ゲートイメージインテンシファイアーユニット付き MOS 型フォトダイオードアレイ(PDA)

チャンネル数 :1024 チャンネル HAMAMATSU 製 イメージインテンシファイアーコントローラー Stanford Research Systems 社製パルスジェネレータ Model DG535

6.試料室 標準セルホルダ

温度制御 :恒温水循環方式

2 仕様 Unisoku Co., Ltd.

- 4 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

セル :10mm 角四面透明石英セル その他 :(TSP-1000 システム) 50mm 角のフィルタが励起側、測光側

に挿入可能

7.光学系 TSP-1000 システム ライトガイド

石英ファイバー(200 nm 透過率 80 %/m 以上) 90°励起のみ TSP-2000 システム 光源~ライン光学系:ライトガイド(紫外透過石英ファイバー+近赤外透過石英ファ

イバー) ライン光学系:90°励起光学系、同軸励起光学系

8.制御・データ処理部 OS Windows XP

パワーユニット メインコントローラー レーザーディレイコントローラー

Unisoku Co., Ltd. 3 測定原理

3 測定原理

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 5 -

時間分解分光測定装置 TSP-1000/TSP-2000 シリーズは、一般に「フラッシュフォトリシス法」

と呼ばれる測定法をシステム化したものです。 フラッシュフォトリシス法(閃光分解法)は、フラッシュ光(閃光、パルス光)により試料

を励起して光化学反応などを誘起し、試料の光吸収率の変化を時間的に追跡して、その反応を

解析する手段です。閃光時間が短いほど速い変化を追跡することができます。このフラッシュ

光のことを励起光、あるいはポンプ光と呼ぶことがあります。レーザーフラッシュフォトリシ

ス法(または単にレーザーフォトリシス法)は、その励起光源として閃光時間(パルス幅)の

極めて短い(~ps、~ns)レーザーを使うため、極めて高速な反応をその吸収変化によって追

跡することができます。本装置では、パルス幅が約 5 ナノ秒のパルス YAG レーザーが通常使

用されます。

さてフラッシュフォトリシス法においては、フラッシュ光とは別に反応の様子を観測するた

めもうひとつの光を使います。これをモニター光、あるいはプローブ光と呼びます。本装置に

おいて、モニター光は試料に入射された励起光に対して垂直に通します。モニター光は試料を

通過した後、分光器によって分光され、光の検出器に入射します。この分光器と光の検出器を

使うことで、特定の波長における光強度変化が測定でき、試料の光透過率の変化が求まります。

しかし多くの場合、光透過率ではなく吸光度 (Absorbance) が使われます(吸光度の代わりに、

光学密度 Optical Density 略して O.D. という表現もよく使われます)。吸光度の定義式は以下

のとおりです。

Aλ = log ( I 0 ) - log ( I ) Aλ :波長 λ における吸光度 I 0 :試料通過前の光強度 I :試料通過後の光強度

この定義式より、反応開始後時間 t における吸光度は以下のようになります。

Aλ ( t ) =log ( I 0 ( t ) ) - log ( I ( t ) ) Aλ ( t ) :反応開始後時間tにおける試料の吸光度 I 0 ( t ) :反応開始後時間tにおける試料通過前の光強度 = I 0 I ( t ) :反応開始後時間tにおける試料通過後の光強度

3 測定原理 Unisoku Co., Ltd.

- 6 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

実際には、シングルビーム方式を採用している本装置では試料通過前の光強度は測定できな

いため、試料の絶対吸光度を得ることはできません。しかし、反応開始前後の吸光度変化は次

式により求めることができます。

ΔAλ ( t ) = Aλ ( t ) - Aλ

= {log ( I 0 ( t ) ) - log ( I ( t ) )}- {log ( I 0 ) - log ( I )} = {log ( I 0 ) - log ( I ( t ) )}- {log ( I 0 ) - log ( I )} = log ( I ) - log ( I ( t ) ) ΔAλ ( t ) :反応開始後時間tにおける試料の、反応前に対する吸光度変化量

つまり入射光強度を測定することなく、反応開始前後の吸光度変化量を計算で求めることがで

きます。このように、通常のフラッシュフォトリシス法のデータは縦軸を吸光度の変化量とし

て表します。なお反応前の試料通過後の光強度 I の測定を本システムでは reference 測定と呼

び、反応中の試料通過後の光強度 I ( t ) の測定を sample 測定と呼んでいます。

光検出器として、本装置では光電子増倍管およびマルチチャンネル検出器(オプション)が

使用できます。 光電子増倍管(Photomultiplier Tube、以下フォトマル)は光強度を電流信号として出力しま

す。電流信号はプリアンプで電圧信号に変換され、その電圧信号をオシロスコープで観察する

ことで光強度の時間変化を測定できます。この時間分解測定では分光された単一の波長におけ

る反応カーブ(過渡応答)が得られ、その反応の時定数を正確に求めるのに最適な手段となり

ます。 一方マルチチャンネル検出器は、多数の半導体光検出素子を並べた構造をもち、個々の素子

は独立に光強度を電圧信号として出力します。分光器などで分光された光をこの検出器に入射

すると、それぞれの素子にはその位置によって異なる波長の光が照射されます。このとき、各

素子の出力電圧は光強度に、素子の位置は波長にそれぞれ対応します。マルチチャンネル検出

器を用いることで、分光器を駆動することなく光のスペクトルを測定できます。本装置では検

出器にゲート付イメージインテンシファイア(I/I)を組み合わせたものを使用しており、最

高 10ns の時間分解能で試料の瞬間的な(差)吸収スペクトル(過渡吸収スペクトル)を得るこ

とができます。

本装置の特徴(TSP-1000-01, -03 の時間分解測光について) 吸光度変化の小さい試料の場合、時間分解の出力信号の変化も小さくなります。これをその

ままオシロスコープで測定しても変化分が小さいため分解能を有効に使えず、測定精度が悪く

なります。逆に、信号の変化が大きく見えるように調整しておけば、変化の様子を細かく測定

Unisoku Co., Ltd. 3 測定原理

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 7 -

できるようになるので精度が向上します。 本装置では、オシロスコープの画面に信号の変化分が大きく表示されるように設定を自動調

整します。あらかじめ信号電圧をマイナス側に1V 程度シフトしておけば、測定時に試料励起

前の信号電圧が 0 V になるように設定が自動的に調整されます。これによりオシロスコープ上

で試料の反応による吸光度のわずかな変化を有効に取り込めるようになります。本システムで

は、あらかじめマイナス側にシフトする電圧量をオフセット電圧と呼んでいます。オフセット

電圧を V offset ( > 0 )、信号の時間変化する部分を V ( t ) とすると ΔAλ( t ) = log ( V offset ) -log { V offset + V ( t ) }

となります。

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

4 システム構成

モニター光源部(標準 150W ランプ) •

a) 電源部 b)スターター

c) ランプハウス部 d) シャッターコントローラー

※点灯電源及びスターターについては専用の取扱説明書があります。 ※シャッターコントローラは後述のパワーユニットに内蔵されている場合があります。

- 8 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

(c) ランプハウス部 <正面図> <側面部>

絞り調節つまみ

ライトガイド

接続口

シャッター

フィルター

挿入口

フィルタ挿入口 50 mm 角以下、厚み 8 mm 以下のフィルタが挿入できま

す。また、φ25.4 フィルタ用のアダプタもあります。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絞り調節つまみ 光強度を手動で調節できます。「O」(Open)側で光強度大、

「C」(Close)側で光強度小です。 シャッター シャッターコントローラーにより、開閉が制御されます。

ランプ点灯時、ランプハウスは大変熱くなります。ランプハウス設置場所付近には燃え

やすい物を置かないようにして下さい。また点灯中に、フィルタ挿入スペースに入れたフ

ィルタ、絞り調節つまみ、ライトガイド固定ネジに触れる場合はやけどをしないよう手袋

などをして作業を行って下さい。 キセノンランプからは紫外線が放射されています。ランプハウス上部の排気口やライト

ガイド接続口からランプハウス内を絶対にのぞき込まないでください。また、ランプは必

ずライトガイドを接続した状態で点灯して下さい。 キセノンランプ点灯時には強い電磁波が発生し、周辺機器(パソコン、コントローラー

等)の誤作動を招くことがあります。点灯を行う際には、周辺にある全ての機器の電源を

切った状態で行ってください。また周辺に他の測定機器がある場合も同様です。 ランプの寿命を越えると、徐々に安定性が低下し、最後には破損します。ランプ交換の

際には弊社まで御連絡下さい。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 9 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

OBB 社製ミラー集光型 75W キセノンランプ(2009 年以降の TSP-1000-03R モデル、

TSP-2000 シリーズなどで使用)

点灯方法 CURRENT ツマミが 12 時~1 時の位置であることを確認し、POWER スイッチを入れて下

さい。10~20 秒後に点灯します。IGNITE ボタンを押す必要はありません。 点灯後約 10 分経過したら、CURRENT 値が 5.4A (標準値、ランプ個体差有り)を示すよう、

CURRENT ツマミを調整します。

ランプ点灯時、ランプハウスは大変熱くなります。ランプハウス設置場所付近には燃え

やすい物を置かないようにして下さい。 •

熱で割れるため、フィルターホルダは使用しないで下さい。 •

絞りは全開で御使用下さい。減光は、ファイバーの挿入深さで調整して下さい。 キセノンランプからは紫外線が放射されています。ランプハウス上部の排気口やライト

ガイド接続口からランプハウス内を絶対にのぞき込まないでください。また、ランプは必

ずライトガイドを接続した状態で点灯して下さい。 キセノンランプ点灯時には強い電磁波が発生し、周辺機器(パソコン、コントローラー

等)の誤作動を招くことがあります。点灯を行う際には、周辺にある全ての機器の電源を

切った状態で行ってください。また周辺に他の測定機器がある場合も同様です。 ランプの寿命を越え、安定性が低下した場合はランプを交換する必要がありあす。交換

の際にはまず弊社まで御連絡下さい。

- 10 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

(d) 標準セルホルダ

( TSP-2000 シリーズでは高速シャッターは付属していません。またフィルタホルダ

は本セルホルダとは分離して存在します。) ( TSP-1000 シリーズでも、仕様によっては高速シャッター、スターラーは付属してい

ません。 )

光源側

フィルタホルダ(検出側)

励起光 (レーザー)

スターラー (ケーブル、

電源)

高速シャッター

分光器・検出器側

フィルタホルダ(光源側)

セル室フタ

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 11 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

・・・・・・・・・・・・・・・

分光器 MD200

検出器切替レバー

出力ポート 1

出射スリット(大)ファイバーホルダー

入射用

入射スリット(小)

出射用 ファイバーホルダー

出力ポート 2 外観図

検出器切替レバー 光路を出力ポート 1 か出力ポート 2 に切り替えます。レバ

ーの切り替えはゆっくりと行って下さい。強く切り替える

と、出力ポート 2 側の波長が狂う場合があります。 入射スリット 入射用のスリットです。スリット(小)を取り替えること

で分解能と光量を変更することができます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

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入射用ファイバーホルダー 入射用ファイバーホルダーを取り付けます。 出射スリット 出射用のスリットです。スリット(大)を取り替えること

で分解能と光量を変更することができます。 出射用ファイバーホルダー 出射用ファイバーホルダーを取り付けます。 出力ポート 1 通常、フォトマル測光部を取り付けます。 出力ポート 2 通常、マルチチャンネル測光部を取り付けます(マルチチ

ャンネル測光部に関しての詳細は後述)。スリットホルダ

を取り付ければ、フォトマル測光部を付けることも可能で

す。

- 12 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

本分光器は、分光素子に回折格子を用いたツェルニィターナー型分光器です。 •

本分光器の波長設定はコンピューターからのリモートコントロールです。 本分光器には非点収差補正がなされておりません。

本分光器には高次光をカットする機能はありません。高次光をカットする必

要がある場合は光源のフィルタ挿入スペースに適切なフィルタを入れて下

さい。

Remark!

本分光器には下記のスリットが付属しています。 スリット 0.1mm ‥‥‥ 大・小 各 1 個 スリット 0.2mm ‥‥‥ 大・小 各 1 個 スリット 0.5mm ‥‥‥ 大・小 各 1 個

スリット(小)は分光器の入口側、スリット(大)は分光器の出口側に差し込みます。

必ず、銀色のプレート面を分光器に対して外側を向くように差し込んで下さい。また同じ

スリット幅のものをペアで使用して下さい。

スリット幅を大きくすることにより透過光の強度が増えますが、その分波長分解能が悪

くなります。波長分解能は次式により計算されます。 逆線分散 (nm / mm) × スリット幅 (mm)

各スリット幅における波長分解能は、以下の表を参照してください。

分解能 回折格子

マルチチャンネル測定

における同時

測光範囲 スリット幅 0.1(mm) スリット幅 0.2(mm) スリット幅 0.5(mm)

300(本 / mm) 約 280(nm) 1.7(nm) 3.4(nm) 8.5(nm) 600(本 / mm) 約 140(nm) 0.85(nm) 1.7(nm) 4.25(nm) 1200(本 / mm) 約 70(nm) 0.43(nm) 0.86(nm) 2.15(nm)

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 13 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

分光器 MD308 型

マルチチャンネル検出器を装備した TSP-1000-02R, 03R 型や、近赤外検出器を装備した

TSP-2000 シリーズでは 分光器として MD308 が使用されます。MD308 は回折格子を3枚内蔵

し、それらはソフトウェアにより自動的に変更できます。また出力ポートを2つ有し、その切

り替えもソフトが自動的に行います。 (下の写真は TSP-2000 シリーズのもので、近赤外検出器を装備しています。)

出力ポート 2

出力ポート 1 出射スリット 入射スリット

検出器切替 ソフトが自動的に行います。 入射スリット 入射用のスリットです。スリット(小)を取り替えること

で分解能と光量を変更することができます。 出射スリット 出射用のスリットです。スリット(大)を取り替えること

で分解能と光量を変更することができます。 出力ポート 1 通常、フォトマル測光部を取り付けます。 出力ポート 2 TSP-1000 シリーズでは、マルチチャンネル測光部を取り付

けます。TSP-2000 シリーズでは、近赤外検出器を取り付け

ます。

- 14 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

分光素子に回折格子を用いたツェルニィターナー型分光器です。 •

波長設定、回折格子切替、出力ポート切替は、コンピューターからのリモートコントロー

ルです。 本分光器では、非点収差が補正されています。

本分光器には高次光をカットする機能はありません。高次光をカットする必

要がある場合は光源のフィルタ挿入スペースなど光学系の適切な場所に適

切なフィルタを入れて下さい。

Remark!

スリット幅は、入射スリット部、射出スリット部にそれぞれ存在するマイクロメーター

により調整します。スリット幅を大きくすることにより透過光の強度が増えますが、その

分波長分解能が悪くなります。波長分解能は次式により計算されます。 逆線分散 (nm / mm) × スリット幅 (mm)

各スリット幅における波長分解能は、以下の表を参照してください。

分解能 回折格子

マルチチャンネル測定

における同時

測光範囲 スリット幅 0.1(mm) スリット幅 0.5(mm) スリット幅 1(mm)

300(本 / mm) 約 400(nm) 1.1(nm) 5.5(nm) 11(nm) 600(本 / mm) 約 200(nm) 0.5(nm) 2.5(nm) 5(nm) 1200(本 / mm) 約 100(nm) 0.3(nm) 1.2(nm) 2.3(nm)

※TSP-2000 シリーズでは 300 本/mm の回折格子ばかりを 3 枚使用しています。詳細は「紫

外~可視~近赤外測定について」をご参照下さい。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 15 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

フォトマル測光部 •

オフセット調整 ダイアル

使用しません

接続ケーブル

RESPONSE ZERO-ADJSENS

UNISOKUSCIENTIFIC INSTRUMENTS(上面)

RESPONSE スイッチ

フォトマルとは Photomultiplier(光電子増倍管)の略語です。 この測光部では固定波長における光強度を高速に測定することができ、ソフトウェアでは

Time Course Measurement (時間分解測定)に対応します。速いサンプリングを必要とする場合

や、蛍光測定などの様に高い感度を必要とする場合において有利となります。応答速度は、最

速 5 nsec です。 ・ RESPONSE スイッチ

どの帯域までの高周波を除去するかを設定します。この設定値を小さくすると速い反

応の測定が可能ですが、高周波ノイズが大きくなります。逆に大きく設定すると早い反

応に追随できず、鈍った測定結果となります。このダイアルを変更した場合、測定・表示

プログラムの設定を変更する必要があります(詳細は 8 章)。 ・ オフセット調整ダイアル

オフセット値を設定しますが、工場出荷時に調整通常は変更する必要はありません。

通常の設定では、光を全く入射しない状態で(シャッターを閉じた状態で)レスポンス

を 1 以外に設定し、フリーラン測定を行って、-1V となるように調整してあります。

- 16 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

マルチチャンネル測光部 (オプション) •

(側面)

PDA

PDA Sig. OUT PDA Ctrl. PDA 制御端子 PDA 信号出力端子

センサーには、ゲート付きイメージ・インテンシファイアー(ゲート付 I.I.)を取り付けた、

MOS 型フォトダイオードアレイ(Photo Diode Array、PDA)を用いています。ゲート付 I.I.によ

り、最速 10 nsec のゲートタイムで波長スペクトルデータを取得することができます。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 17 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

ライトガイド • 分光器接続用石英ライトガイド(丸-スリット 1m)(TSP-1000 シリーズのみ) 400mm コア径のファイバーを複数束ねたもので、片側の端面は円状(丸)、もう一方の端面

をスリット状にファイバーを配置しています。分光器と試料室の間に接続します。

接続方法(ずれた時のみ)

取り付けアダプタライトガイド

約 3cm ライトガイド

固定ネジ(A)

ピン

1. ライトガイド端面がスリット状の方

を分光器に、円状の方を試料室に取り

付けます。分光器にはあらかじめスリ

ットを挿入しておいて下さい。 2. 取り付けアダプタのピンがスリット

状の長軸延長線上にくるように合わ

せ、固定ネジ (A) を軽く締めます(ラ

イトガイドの先端が約 3cm 出る位置)。 ライトガイド

3. ピンの位置を上側にしてライトガイ

ドを分光器ライトガイド接続口 (入口

側) の切り込みに合うようにして差し

込みます。

スリット

固定ネジ(B)

ライトガイド

ライトガイド ピン

固定ネジ(B)

スリット

固定ネジ(A)

位置決め用切り込み

分光器のライトガイド接続口(入口側)

ライトガイド取付アダプタ

ピン4. 差し込んだ後、固定ネジ (A) をゆるめ

てライトガイドが回転しない様に注

意しながら奥一杯に押し込んで下さ

い。奥(スリット面)に触れるのを確

認したら、ほんの少し引いたところで

しっかりと固定ネジ(A)で固定しま

す。 5. ライトガイドとライトガイド接続口

を固定ネジ (B) で固定します。 6. 以後、ライトガイドを抜く場合には固

定ネジ(B)だけをゆるめます。再び

差し込む時はライトガイドのピンが

位置決め用切込みに合うように差し

込んでください。 スリット面

- 18 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

光源接続用石英ライトガイド(丸-丸 1m) TSP-1000 シリーズ用 400mm コア径のファイバーを複数束ねたもので、両方の端面とも円状にファイバーを配置

しています。光源と試料室の間に接続します。各々のライトガイド接続口に挿入し、固定ネ

ジで固定します。差し込み深さや回転によって透過光量が変わりますので、ソフトウェアの

FreeRun & Adjust で光量をモニターしながら、最適な位置に合わせてから固定して下さい。

※ TSP-2000 シリーズでは 2 分岐ライトガイドを使用します。詳細は執筆中。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 19 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

制御・データ処理部 •

メインコントローラー

メインコントローラーを介して、コンピューターから分光器、シャッター、レーザーを制御

します。また、フォトマルやマルチチャンネル検出器からの信号を A/D 変換して内部の FIFOメモリに一時的に蓄積します。蓄積されたデータはコンピューターから読み出されます。

フロントパネル

PIO Ctrl.PDA Ctrl.

Laser Sync.

P.M. Sig.In

リアパネル TSP-1000-01 + NIR の場合

- 20 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 4 システム構成

パワーユニット

メインコントローラーや検出器に電源を供給するユニットです。またフォトマルへの高電圧

も供給します。シャッターの手動制御もできます。 POWER スイッチを ON にすれば、メインコントローラーなどに電源が供給されます。

H.V.スイッチを ON にすることで、フォトマルに高電圧を印加できるようになります。フォ

トマルへの印加電圧はつまみを回すことで調節でき、電圧値はメーターに表示されます。

! シャッターの開閉をリモートコントロールするときはシャッター手動切換用スイッチ

は「EXT」側にします。

リアパネル (TSP-1000-01 + NIR の場合)

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 21 -

4 システム構成 Unisoku Co., Ltd.

レーザーディレイジェネレータ • レーザーと測定システムの同期をとるコントローラーです。メインコントローラーからのト

リガー信号に適切な時間遅延を与えて、レーザーのトリガー信号やマルチチャンネル検出器の

ゲート信号などを生成します。

F.L ⇒ Q-SW の設定を変更することで、レーザーの出力を変えることができます。レーザー

個々に異なりますが、通常 200 付近で最大出力となり、設定値を大きくすることによって出力

を下げることができます。 P.G. ⇒ Q-SW の設定は変更しないで下さい。

- 22 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 6 測定手順

5 接続方法 (2007 年 1 月現在)

Surelite レーザーの場合

コン

コンピューター

パワー ユニット

シャッターコントローラー

ラン

フォト マル

1

11 3

4

9

12 13

16

36

39

オシロ スコープ

37

19

ファイバー ケーブル

14

10 2

I/I リモートコントローラー

22

20

USB

GPIB

PIO

時間分解分光測定装置 ユーザー・マ

メイン トローラー

DG535

YAGレ

ーザー

5 6 7

17

21

23

Surelite レーザー

コントローラー

レーザー ディレイ

ジェネレーター 24 26 25

40

30

33

41 43

18

8

42

アッテネータ

34

32

29

27 28

31

I/I 付PDA

スタータープ電源

分光器 スタティック セル

高速シャ

ッター

ランプ

低速シャッター

38

アッテネータ

ニュアル

35

- 23 -

6 測定手順 Unisoku Co., Ltd.

- 24 -

Minilite レーザーの場合

コン

コンピューター

パワー ユニット

シャッター コントローラー

ラン

フォト マル

1

11 3

4

9

12 13

16

36

39

オシロ スコープ

37 38

19

ファイバー ケーブル

14

10 2

I/I リモートコントローラー

22

20

USB

GPIB

PIO

メイン トローラー

DG535

YAGレ

ーザー

5 6 7

17

21

23

Minilite レーザー

コントローラー

レーザーディレイ

ジェネレーター 24 2625

40

30

33

47

18

8

45

アッテネータ

44

34

32

29

27

28

46

31

I/I 付PDA

時間分

プ電源

分光器

35

解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

スターター

スタティック セル

高速

シャ

ッター

ランプ

低速シャッター

Unisoku Co., Ltd. 6 測定手順

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 25 -

6 測定手順

本章では測定手順の概要を説明します。 測定のおおまかな流れは下図のようになります。

キセノンランプの点灯 (安定には約 30 分必要です)

ハードウェアの電源の投入 コンピューター電源の投入

測定プログラムの起動 メイン画面の表示

測定モードの選択

測定条件の設定 サンプルのセッティング

信号の出力調整

本測定 データファイル保存

データファイル保存、解析

6 測定手順 Unisoku Co., Ltd.

- 26 -

[ 1 ] 測定を始める 30 分以上前に次の操作を行っておいて下さい。 連続光源がキセノンランプの場合は、まずそのキセノンランプ電源を ON にします。次に点

灯スイッチを 2 秒ほど押して、ランプを点灯させます。ランプが点灯しない場合は、もう一度

点灯スイッチを押してランプを点灯させてください。またランプが点灯しているかどうかご確

認下さい。

ランプからは強い光が出ています。直接目に入らないようにして下さい。

キセ

これ

[ 2 ] ラン

用していない

て下さい。 またレーザ

他の機器を使

[ 3 ] デ

フォームが表

[ 4 ] 測

Measurementクして下さい

[ 5 ] サ

[ 6 ] 測

ください。

Remark!

Remark!

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

ノンランプの点灯時には強い電磁ノイズが発生します。 により周囲のハードウェアが誤動作する場合があります。

プの点灯を確認したら、電源の一括スイッチを入れて下さい。一括スイッチを使

もの(P.C.、モニター、循環水恒温槽など)については、それぞれの電源を入れ

ーの電源も投入し、外部コントロールできる状態に設定します。ミキサーやその

用する場合は、それらのセッティングも行ってください。

スクトップ上の Unisoku S&K を起動します。メイン画面表示後、測定モード選択

示されます。

定モード選択フォームで、マルチチャンネル測定の場合は Multichannel を、時間分解測定の場合は Time Course Measurement を選んでアイコンをクリッ

。測定メニューが表示されます。

ンプルをセットします。

定メニューでパラメータの設定を行います。各設定の詳細は次章以降を参照して

Unisoku Co., Ltd. 6 測定手順

時間分解分光

に入

場合

Cent

測定

は予

ては

Axis

[ 7 ]信号の

(7-1) マルチチ

分光器 MD確認して下さ

型の場合は自

測定メニュ

ーの Flashing

次に Freeru照射の無い状

の信号が一定

C2925)前面の

が大きく表示

も変化します

Gain を最大

があります。

(7-2) 時間分解

分光器 MDいることを確

Remark!

ルチチャンネル測光時においては、レーザー光がマルチチャンネル測光器

射しないように設定を行ってください。もしレーザー光が検出器に入った

、検出器が故障するおそれがあります。詳細は 9 章の Wavelength Axis – ral Wavelength の項をご参照下さい。

Remark!

測定装置 ユーザー・マニュアル - 27 -

間分解測定時おいては、検出器の RESPONSE スイッチとプログラム上の

・表示ウィンドウの Response の設定は必ず一致させて下さい。RESPONSE測される信号波形の時定数よりも十分小さくなるようにします。目安とし

横軸のフルスケールの 100 分の 1 程度が適当ですが、詳細は 8 章の Time – Response の項をご参照下さい。

出力調整を行います。 ャンネル測定の時

200 を使用している場合は、検出器切り替えレバーが PDA 側になっていることを

い。なっていなければ、ゆっくりとレバーを切り替えて下さい(分光器が MD308 動的に切り替わります)。

ーに ”Laser Start” ボタンがあるシステムでは、まずこのボタンを押して、レーザ

を開始させて下さい。

n & Adjust を実行してフリーラン測定を行います。フリーラン測定では、レーザー

態(測定時の励起前の透過光強度に対応)におけるマルチチャンネル検出器から

の時間間隔で表示されます。この状態で I/I コントローラー(HAMAMATSU Gain Adjust つまみを回して信号の増幅率を調整します。飽和しない範囲で信号

されるように調整してください。なお信号値はゲート幅(Gate Width)によって

まで上げても信号が十分な大きさにならない場合は、光量が不足している可能性

[7*]へ進んで下さい。

測定の時 200 を使用している場合は、検出器切り替えレバーが P.M.(フォトマル)側になって

認して下さい。なっていなければ、レバーをゆっくりと切り替えて下さい(分光

6 測定手順 Unisoku Co., Ltd.

器が MD308 型の場合は自動的に切り替わります)。

測定メニューに ”Laser Start” ボタンがあるシステムでは、まずこのボタンを押して、レーザ

ーの Flashing を開始させて下さい。

次に Free Run & Adjust 測定を行います。このフリーラン測定では、光信号の強度をオシロス

コープ上で確認できます。シャッター動作が非 Fast Mode の場合(ツールバーの Hardware-Shutter で ‘Fast Mode’ にチェックが入っていない状態)は、Auto ボタンを押すだけ

で自動的に供給電圧が最適値に調整されます。シャッター動作が Fast Mode の場合(ツールバ

ーの Hardware-Shutter で ‘Fast Mode’ にチェックが入っている状態)は、信号電圧がオシロス

コープ上で 0 V になるようにパワーユニット前面の電圧調整つまみでフォトマル供給電圧を調

整します。 近赤外フォトダイオードを検出器として使用する場合は電気的なゲイン調整機構はありませ

ん。光信号が出ているかどうかを、シャッター Close/Open した際にオシロスコープ上の信号

レベルが変わるかどうかで確認して下さい。

Auto ボタンを押しても、またはフォトマル供給電圧を最大に上げても信号電圧が 0V に達

しない場合は、透過光の強度が不足しています。次の[7*]へ進んで下さい。

[ 7* ]光量が弱いと思われるときは、以下の点を確認して下さい。 ・ サンプルの濃度が濃すぎませんか?サンプル濃度は O.D.max = 1 程度が適当です。 ・ 分光器の切り替えレバーは正しい位置になっていますか? ・ 光強度をロスしている部分がないか(ライトガイド接続が適切になされているか、光強度

を減少させるフィルタが入っていないか、など)を確認して下さい。なお試料セル室への

ライトガイドは(簡単のため)通常最も奥まで挿入された状態となっていますが、可視光

領域の波長では少し引き気味の方が強い光量が得られます。 ・ 連続光源に絞りがある場合は、これを拡げることで強い光量が得られます。 ・ 分光器のスリット幅を拡げることでより強い光量が得られます。ただしこの場合は波長分

解能が悪くなりますので注意が必要です。なお入射スリットと出射スリットは必ず同じ幅

のものを使用して下さい。 ・ マルチチャンネル測定では、Gate Width を拡げることで、より強い信号が得られます。ただ

しこの場合は当然のことながら時間分解能が悪くなります。 ・ 近赤外測定で紫外・可視用の光ファイバーを使用した場合は、ファイバーによる光吸収の

ため波長によっては光量がきわめて弱くなります。測定に適した光ファイバーを使用して

下さい。

- 28 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 6 測定手順

[ 8 ] マルチチャンネル測定において Absorbance モードでデータを得たい場合は、まず

Reference ボタンを押してリファレンスデータを取得して下さい。 なおシステムによっては Reference ボタンがなく、この場合 Reference データは Measurementボタン押下時に自動的に測定されます(Auto Reference 機能)。 またシステムによっては Reference ボタンは”Probe Only”という表記となっています。 フォトマル

[ 9 ] Measurement ボタンを押すと測定が開始します。

[ 10 ] 測定データを保存します。 測定データは画面に表示され、同時に作業用フォルダにテンポラリファイルとして保存され

ます。ただしこのファイルはプログラム終了時に削除されますので、必要なデータは File メニ

ューの Save Data as Unisoku Binary Format などで必ず保存を行ってください。

以上で1回の測定は終了です。測定を行ったデータは各種の処理(スケールの変更やプリン

トアウト、データの比較、反応速度の解析)が行えます。また新たな測定条件を設定して、測

定を実行することもできます。

[ 11 ] 測定を終了します。 測定を終了する場合は、測定プログラムを終了し、フォトマルの高電圧調整ダイヤルと I

/I コントローラー(マルチチャンネル測光部)のゲイン調整つまみを 0 に戻してから各コン

トローラー、機器のスイッチを OFF にして下さい。起動時と異なり、OFF の順序は問いません。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 29 -

7 測定プログラム概要

7 測定プログラム概要

Unisoku Co., Ltd.

- 30 -

測定のほとんどの操作は、分光システム統合ソフトウェア Unisoku Spectroscopy & Kinetics (UniSpec.Exe) 上から行うことができます。 ここでは同ソフトウェアの、時間分解分光測定に関する部分について説明します。

プログラムは、メインウィンドウ、測定・

表示設定ウィンドウ、フリーランウィンド

ウ、レイアウトウィンドウ(データ表示ウ

ィンドウ)、で構成されています。 プログラム起動直後、スタート画面が表

示され、つづいてメインウィンドウ上に測

定モード選択ウィンドウ ( Measurement Mode Selection ) が開きます。

この測定モード選択ウィンドウの Time Course Measurement アイコンをクリックす

ると、時間分解測定・表示設定ウィンドウ

が、Multichannel Measurement アイコンを

クリックすると、マルチチャンネル測定・

表示設定ウィンドウがメインウィンドウ内

に表示されます。

そ の 際 、 オ シ ロ ス コ ー プ や Main Controller の電源が入っていない場合は、エ

ラーメッセージが表示されますので、電源を入れ

スタート画面

クリック

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

て最初からやり直して下さい。

測定モード選択ウィンドウ

Unisoku Co., Ltd. 7 測定プログラム概要

ここで測定・表示設定ウィンドウ内にある、Free Run & Adjust ボタンをクリックするとフリーランウィンドウが

表示されます。 また Measurement ボタンをクリックすると

データ表示ウィンドウ

が表示されます。

測定・表示設定 ウィンドゥ

クリック

( )

ステータス表示バー クリック クリック

時間分解測定ウィンドウでは、フリーランウィンドウで S

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

フリーランウィンドウ

Time Cuser Measurement

データ表示ウィンドウ

hutter を OPEN にし、かつ High

- 31 -

7 測定プログラム概要 Unisoku Co., Ltd.

- 32 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Voltage For Photomultiplier を Manual に設定すると、現在の光強度信号をオシロスコープ上のパ

ネルで確認することができます。一方マルチチャンネル測定ウィンドウでは、リアルタイムで

現在の信号が光強度スペクトルとして表示されます。いずれのウィンドウでも、Exit ボタンを

クリックすることで測定・表示設定ウィンドウに戻ることができます。 またデータ表示ウィンドウは測定を繰り返すたびまたは、データを読み込むたびにいくつで

も開くことができます。データ表示ウィンドウは開いたままでも測定・表示設定ウィンドウを表

示させることができます。 測定データは、メインウィンドウにある File メニューから Save Data As Unisoku Binary Formatもしくは、Save Data As CSV Format を選択することで保存することができます。詳細は「分光

システム統合ソフトウェア ユーザーズマニュアル」をご参照下さい。

Unisoku Co., Ltd. 8 時間分解測定・表示プログラム

8 時間分解測定・表示プログラム (TSP-100-01, TSP-1000-03, TSP-2000)

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 33 -

※近赤外用フォトダイオード検出器使用時も本プログラムを使用します。

測定条件の設定は、主に測定メニューから行います。 以下に各項目について説明します。

Time Course Measurement ウィンドウ 時間分解測定においての設定値、表示形式を入力するためのウィンドウです。

Sample (文字列入力) サンプルの種類などを入力できます。ここに入力された文字は、測定したデータに付加

して保存されます。データを読み込んだ場合は、この文字列も読みこまれます。 Remark (文字列入力)

測定条件などを入力できます。ここに入力された文字は、測定したデータに付加して保

8 時間分解測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

- 34 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

存されます。データを読み込んだ場合は、この文字列も読みこまれます。

Time Axis 時間軸に関する設定を行います。 Full Scale (コンボボックス選択)

測定時間を設定します。この設定値を Data Size で割ったものが (Sampling Time = ○ ms) に表示されます。この値を長く設定するとより長い時間の測定が可能になりますが時間分

解能は悪くなります。 Data Size (または Data Points) (コンボボックス選択)

データポイント数を選択します。Full Scale をこの設定値で割ったものが(Sampling Time = ○ ms) に表示されます。

(Sampling Time) (自動計算) データポイントの時間間隔が Full Scale と Data Size から計算され、表示されます。

Response (コンボボックス選択) 検出器の入力信号に対する応答時間を設定します。応答時間が小さい(速い)ほど高速

な測定が可能ですが、高周波ノイズも検出し、S/N の悪い信号となります。一方応答時間

を大きく(遅く)すると、高周波ノイズは消えて S/N の良い信号となりますが、高速に変

化する信号成分も同時にゆがめる可能性があります。一般に、時定数τ(s)で減衰する信号

に対して、検出器の応答時間はτ/5、できればτ/10 以下に設定する必要があります。目安

としては横軸のフルスケールの 100 分の 1 程度です。 (補足)正確には、この応答時間はアナログ信号処理回路における抵抗素子とコンデン

サによる RC 受動積分回路の時定数(τ=RC)を設定しています。ステップ状の信号入力

Sig_In=0(t<0), 1(t>=0)に対し、出力は Sig_Out=0(t<0),1-exp(-t/τ)(t>=0)となります。別の見

方をすれば、この回路は信号通過帯域が f=1/(2πRC)のローパスフィルタであり、この f より周波数の大きい高周波ノイズはカットされます。

例えば RC=100ns に設定した場合、観測しようとする信号は少なくとも時定数が 500ns以上、できれば 1μs 以上でなければならず、このとき f=1/(2πRC)~1.6MHz なので、1.6MHz以上の高周波ノイズをカットした信号が得られます。

※TSP-2000 シリーズでは、近赤外検出器の Response 個別に設定して下さい。

Age Time(オプション機能)(数値代入) ストップトフロー装置をオプションとして追加した場合に設定できます。Mixing におい

て Double を選択した場合にこの設定を行うことができます。この設定値は第 1 ミキシング

から第 2 ミキシングまでの時間間隔です。 Laser Delay(オプション機能)(数値代入)

ストップトフロー装置をオプションとして追加した場合に設定できます。Mixing を行っ

Unisoku Co., Ltd. 8 時間分解測定・表示プログラム

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 35 -

た後からレーザーを照射するまでの時間を設定します。

※Psuedo-Log Sampling については、本章の最後尾にオプション機能として記述されています。

Vertical Axis 垂直軸に関する測定の設定を行います。 Mode (オプションボタン選択)

取り込んだデータを吸光度(Absorbance(O.D.))に変換したのち表示するか、光強度値

( Intensity(Volt) )をそのまま表示するかを選択します。どちらで表示するかは、オプション

ボタンで排他的に選択できます。表示したのちに吸光度を光強度値に、または光強度値を

吸光度に変換することはできません。 Range (数値入力)

測定したデータを表示するときの、縦軸の最大値と最小値を設定します。この最大値、

最小値は測定直後のデータ表示における設定ですので、見やすいように設定を行ってくだ

さい。またデータ表示後は、自由に変更することができます。 調整可能な範囲は、+5.0 から -5.0 までです。ただしModeを Intensityに設定した場合、

本システムにおいてはフォトマルからの出力電圧を示しています。 H.V. (オプションボタン選択)

フォトマルへの印加電圧の調整を、自動もしくは手動から選択します。Auto を選択する

と印加電圧は測定直前に自動的に調整されます。Manual の場合は、Power Unit フロントパ

ネルにあるフォトマル高圧調整ダイアルで調整することができます。 Offset

近赤外測定を行う場合は、上記の H.V. の代わりに Offset という表示になっています。

Absorbance モードで測定する場合は、必ず Auto にして下さい。

Wavelength Axis 分光器の設定値と測定波長に関する設定を行います。 Monochromatic、Varying(オプションボタン選択)

単一波長測定か、複数波長測定かを選択します。Monochromatic では、単一の波長を設定

し測定を行います。Varying では測定開始波長と、測定終了波長、そして波長ステップを設

定することで、複数の波長を連続的に測定します。 Monochromatic (数値入力)

Monochromatic を選択した場合、ここに入力した波長で測定が行われます。テキストボッ

クスに設定波長を入力し、リターンキーを押すか他の設定項目をクリックすると、分光器

の回折格子が回転します。回折格子の回転中 (波長設定中) は、Monochromatic の下部に

Setting Now とかかれたグリーンのランプが表示されます。 Varying , Start (数値入力)

Varying を選択した場合、ここに入力した波長から測定が行われます。

8 時間分解測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

- 36 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Varying , End (数値入力) Varying を選択した場合、ここに入力した波長まで測定が繰り返し行われます。

Varying , Step (数値入力) Varying を選択した場合、ここに入力した刻み波長で測定が繰り返し行われます。

( Total ) (自動計算) 上の 3 つの条件より測定ポイント数が自動的に計算されます。

Slit Width (数値入力) この欄には、分光器に取り付けたスリットの幅を入力します。ただし、この欄の数値を

変更しても実際のスリット幅は変化しません。ここで入力した数値は、下部にある波長分

解能を計算するのに利用されます。 スリット幅は、光強度と波長分解能に影響します。スリット幅が大きいほど入射光強度

は大きくなりますが、分解能は悪くなります。逆にスリット幅が小さいほど入射光強度は

小さくなりますが、分解能はよくなります。 ( Resolution ) (自動計算)

波長分解能が表示されます。この数値は使用されている回折格子と Slit Width より計算さ

れます。

Accumulation 加算平均に関する設定を行います。 Accumulation Num.(数値入力)

加算平均回数を設定します。テキストボックスに加算平均したい回数を入力してくださ

い。この設定値を 2 以上にすると、自動的に複数回の測定を行い、データを平均します。 Mode (オプションボタン選択)

加算平均を行いながら測定する場合に、測定されたデータを確認せずに加算するか ( Auto )、一度の測定において得られたデータを確認しながら加算するか (Manual ) を設定

します。オプションボタンで Auto か Manual を選んでください。ただし Accumulation Num.が 1 の場合は、どちらを選択しても同様の動作を行います。

Wait Time (数値入力) 加算平均を行いながら測定する場合、各測定間の待ち時間を設定します。テキストボッ

クスに待ち時間を秒単位で入力してください。ただし Accumulation Num.が 1 の場合は、動

作は変わりません。

Laser レーザーに関する設定を行います。 (注:安定した出力のレーザー光を得るため、レーザー照射に先立ってフラッシ

ュランプは 30 回の空打ちを行いますが、レーザー光の照射は行われません。) Emission Num. (コンボボックス選択)

レーザーを連続して発振させ、それをオシロスコープ上で加算平均させたいときにその

Unisoku Co., Ltd. 8 時間分解測定・表示プログラム

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 37 -

回数を選択します。2 以上の値を設定した場合、レーザー照射ごとの信号変化がオシロス

コープに加算平均しながら取り込まれ、最後の発振の後に、本プログラムに1本のデータ

として取り込まれます。 Emission Interval (数値入力)

Emission Num. を 2 以上の数値に設定した場合において、各発振間隔を設定します。テキ

ストボックスに発振間隔を秒単位で入力してください。コパル製シャッターをオプション

として取り付けた場合、Emission Interval が 1.0 s 以上の場合では、レーザー照射の瞬間の

みシャッターが開きますが、1.0 s よりも短い場合は開き続けることになりますので、ご注

意下さい。

Emi. Subtraction (チェックボックス) (ソフトウェアのバージョンによっては、Dark Subtraction となっている場合があります)

これをチェックにすると、次の Laser Start 実行時に Emission ボタンが有効になります。

Emission (コマンドボタン) (ソフトウェアのバージョンによっては、Dark となっている場合があります)

このコマンドボタンを押すと、Measurement 時と同じシーケンスでシャッターだけ開けず

に測定を行います。Measurement データから発光のデータを差し引いたり、レーザーに同

期したノイズ(YAG レーザー由来の Q スイッチノイズなど)を消したい場合に使用します。

本機能を使用する場合は、必ず Measurement 測定前にこの測定を行って下さい。なお発光

が非常に強い場合など、必ずしもうまく発光成分を引けない場合があります。このような

場合は本機能は使わず(Emi Subtraction チェックをオフにする)に測定することをお奨めし

ます。 Laser Start (システムによっては本ボタンはありません。)

YAG レーザーを用いたシステムで本ボタンを押すと、YAG レーザーの中のフラッシュラ

ンプの照射が始まります。本ボタンのあるシステムでは、本ボタンを押さないと Emissionならびに Measurement は実行できません。 本ボタンを押してもフラッシュランプの照射が始まらない場合(YAG レーザーからカチ

ッカチッ・・・という音がしない)は、レーザーの設定を確認して下さい。

Measurement (コマンドボタン) このコマンドボタンを押すと、Time Course Measurement ウィンドウでの設定に従い測定

を開始します。測定されたデータは、順次 Layout Window に表示されます。Vertical Axis

8 時間分解測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

- 38 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

の Mode で Absorbance を選択した場合は、サンプル測定の前に自動的に Reference 測定を

行います。

Free Run & Adjust (コマンドボタン) このコマンドボタンをクリックすると、Free

Running & Adjustment ウィンドウが表示され、

シャッターの開閉と、フォトマルへの印加電

圧を自動または手動から選択できます。現在

の光強度をオシロスコープ上で連続的に確認

できます。光強度の確認、光学系などの調整

の際に使用します。 できます。光強度の確認、光学系などの調整

の際に使用します。 Open を選択すると、シャッターを強制的に

開くことができます。逆に Close では閉じる

ことができます。また Auto では、フォトマルへの印加電圧を自動に、Manual では手動に

設定できます。手動に設定した場合、Power Unit のフロントパネルにあるフォトマル高圧

調整ダイアルで印加電圧を調整します。

Open を選択すると、シャッターを強制的に

開くことができます。逆に Close では閉じる

ことができます。また Auto では、フォトマルへの印加電圧を自動に、Manual では手動に

設定できます。手動に設定した場合、Power Unit のフロントパネルにあるフォトマル高圧

調整ダイアルで印加電圧を調整します。 光強度をモニターする場合は、Shutter は OPEN に、High Voltage For Photomultiplier は

Manual に設定し、フォトマル高圧調整ダイアルを調整してください。 光強度をモニターする場合は、Shutter は OPEN に、High Voltage For Photomultiplier は

Manual に設定し、フォトマル高圧調整ダイアルを調整してください。

オプション機能オプション機能 ハードウェア構成によって、さまざまなオプション機能が付加されます。 Method

通常は Laser Plash Photolysis 測定が行われますが、スト

ップトフロー装置が付加されたシステムでは、Stopped Flow測定および Flow&Flash 測定が可能となります。

Stopped Flow モード Stopped Flow を選択すると、レーザーは一切駆動せず、ストップトフロー法による試料

の吸収スペクトル変化が測定されます。また Double Mixer を使用している場合は、Mixingフレームが表示され、Single Mixing を行うか、Double Mixing を行うかを選択できます。

Double Mixing を選択した場合は Time-Axis の Age Time を ms 単位で設定して下さい。 Flow & Flash モード Flow & Flash を選択すると、試料を混合し、さらにパルスレーザーを試料に照射した場

Unisoku Co., Ltd. 8 時間分解測定・表示プログラム

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 39 -

合の試料の吸収スペクトル変化が測定できます。本モードでは、Time Axis の Laser Delayパラメータが有効となり、混合後(混合 Stop 信号検出後)、何 ms 後にレーザーを照射する

かを ms 単位で設定することが可能です。また Mixer – Mix 2 Time - Measurement ボタンが

有効となりますが、Laser Delay 時間を正しく測定シーケンスに反映させるためには、測定

前にこの Mixer 2 Time の測定を行っておく必要があります。

各シャッターでの動作モード

標準シャッター メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode はチェックできません。そのままでご使用下さ

い。 シャッターは測定開始時に開き、測定終了時に閉じられます。 Vertical Axis の H.V.の設定を Auto に設定した場合、フォトマルの高圧調整は測定前に自動

で行います。 Vertical Axis の H.V.の設定が Manual の場合は、フォトマルの高圧調整を手動で行う必要が

あります。(高圧調整は Time Course Measurement ウィンドウの Free Run & Adjust の項を参照

してください。)この設定では測定前の高圧自動設定は行われません。

コパル社製高速シャッター(最高繰り返し 1Hz) メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode は通常チェックした状態となっていることを確

認して下さい。チェックが外れている場合は、高速シャッターとして作動しません。標準シ

ャッターとして利用したい場合には、チェックを外してください。 本シャッターを高速動作モードで使用すると、ランプ光をサンプルに照射する時間を最短

にすることができます。ただしフォトマルの高圧調整を手動で行う必要があります。(高圧

調整は Time Course Measurement ウィンドウの Free Run & Adjust の項を参照してください。)

この設定でランプ光がサンプルに照射されるのは、フリーラン時(一回の取り込みあたり

40 ms)と Measurement 実行時におけるデータ取り込み中のみです。またこのシャッターは 1 Hz 以上の高繰り返しで開閉を行うことはできませんので、Laser の Emission Interval は 1 s以上に設定する必要があります。1 s 以下に設定した場合、シャッターは測定中開き続ける

ことになります。 Vertical Axis の H.V.を Auto に設定した場合は、フォトマルの高圧調整を行う必要はありま

せん。ただし測定直前に高圧を自動調整するために 2 秒程度シャッターが開いた状態になり

ます。測定中はレーザーの照射と同期がとられて開閉します。

ビンセント社製高速高繰り返しシャッター(最高繰り返し 10Hz) メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode は通常チェックした状態となっていることを確

8 時間分解測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

- 40 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

認して下さい。チェックが外れている場合は、高速シャッターとして作動しません。標準シ

ャッターとして利用したい場合には、チェックを外してください。 Vertical Axis の H.V.を Manual に設定した場合は、ランプ光をサンプルに照射する時間を最

短にすることができます。ただしフォトマルの高圧調整を手動で行う必要があります。(高

圧調整は Time Course Measurement ウィンドウの Free Run & Adjust の項を参照してくださ

い。)この設定では、ランプ光がサンプルに照射されるのは、フリーラン時(一回の取り込

みあたり 40 ms)と Measurement 実行時におけるデータ取り込み中です。 Vertical Axis の H.V.を Auto に設定した場合は、フォトマルの高圧調整を行う必要はありま

せん。ただし測定直前に高圧を自動調整するために 2 秒程度シャッターが開いた状態になり

ます。測定中はレーザーの照射と同期がとられて開閉します。

擬似対数サンプリング機能(オプション)

擬似対数サンプリング用メモリボード内蔵のシステムでは、Time Axis に Pseudo-Log Scale チェックボタンが現れ、本ボタンをチェックすることで、擬似対数的なサンプリングによる時間

分解測定が可能です。

※擬似対数サンプリング機能は、現在 Flash Photolysis モードにのみ対応しています。Stopped Flow モード、Flow & Flash モードでは使用できません。

Full Scale の設定 Full Scale の設定としては、95ms、1s、10s、30s、60s、120s、300s、600s、1200s、1800s、3600sが可能です。 Full Scale = 95ms の場合のみ、Laser Emission の設定による加算平均測定が可能です。 Full Scale = 1s 以上の場合は、Laser Emission は強制的に 1 となります。データを加算平均し

たい場合は、Accumulation を複数にする必要があります。 また Full Scale = 1s 以上の場合には、0.1s 以降のデータがリアルタイム表示されます。このと

きツールバー上のストップボタン を押すと、測定を中断することが可能です(測定したとこ

ろまでのデータは残ります)。

Response の設定 通常の仕様では、Response は Fastest でなければなりません。必ず検出器の Response も

1(Fastest)に設定して下さい。(Ver 2.42 以降、Response は Fastest を強制しません。100nsec 以下を推奨する警告のみ表示します。) ただし近赤外用フォトダイオードによる測定を行う場合

は Response は 1 でなく 2 が Fastest となります(1 は現在のところ使用不可)。(TSP-2000 では

Unisoku Co., Ltd. 8 時間分解測定・表示プログラム

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 41 -

近赤外検出器でも Fastest が使用可能となりました)。またμ秒仕様の検出器がオプションで付

属しており、Response として sFastest~s33ms が設定可能なシステムでもその限りではありませ

ん。

上記の設定を行ったら、通常通り Measurement ボタンにより測定を実行します。 測定が終わると、擬似対数サンプリングが実行されたデータがグラフとして表示されます。

また作業ホルダには、オシロスコープで取り込まれた 18us までの生データと、コントローラ内

蔵のメモリで取り込まれた 100ms までの生データが保存されています。必要ならこれらをグラ

フ表示させ、ファイルに保存して下さい。なお 100ms 以上のデータに関しては生データはあり

ません。

8 Unisoku Co., Ltd.

- 42 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

時間分解測定・表示プログラム

時間分解測定によるデータ例

試料 アセトン中の Tetraphynelporphine レーザー 532nm 測定 Varying Mode

Unisoku Co., Ltd. 9 マルチチャンネル測定・表示プログラム

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム(TSP-1000-03)

測定条件の設定は、主に測定メニューから行います。 以下に各項目について説明します。

Multichannel Measurement ウィンドウ マルチチャンネル測定においての設定値、表示形式を入力するためのウィンドウです。

Sample (文字列入力) サンプルの種類などを入力できます。ここに入力された文字は、測定したデータに付加

して保存されます。データを読み込んだ場合は、この文字列も読みこまれます。 Remark (文字列入力)

測定条件などを入力できます。ここに入力された文字は、測定したデータに付加して保

存されます。データを読み込んだ場合は、この文字列も読みこまれます。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 43 -

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

Wavelength Axis 分光器の設定値と測定波長に関する設定を行います。 Central Wavelength(数値入力)

測定における中心波長を入力します。ここに数値を入力しリターンキーを押すか、他の

設定項目をクリックすると、入力した波長が PDA の中心チャネルになるように、分光器の

回折格子が回転します。回折格子の回転中 (波長設定中) は、Central Wavelength の下部に

Setting Now とかかれたグリーンのランプが点灯します。 また、Central Wavelength 入力ボックス下部には測定波長範囲が表示されます。もし測定

波長範囲内あるいは測定範囲に非常に近いところにレーザー波長(Laser – Wavelength)が設

定されていると、警告メッセージが表示されて設定の変更が促されます。もしそのまま測

定を始めると、レーザーが検出器に入射し、最悪の場合は検出器が永久的なダメージを受

けますので、この設定には十分な注意が必要です。 Slit Width (数値入力)

この欄には分光器に取り付けたスリットの幅を入力します。この欄の数値を変更しても

実際のスリット幅が変化する訳ではありません。ここで入力した数値は、下部にある波長

分解能を計算するのに利用されます。 スリット幅は、光強度と波長分解能に影響します。スリット幅が大きいほど入射光強度

は大きくなりますが、分解能は悪くなります。逆にスリット幅が小さいほど入射光強度は

小さくなりますが、分解能はよくなります。 Resolution (自動計算)

波長分解能が表示されます。この数値は選択された回折格子と Slit Width より計算されま

す。

Vertical Axis 垂直軸に関する測定の設定を行います。 Mode (オプションボタン選択)

取り込んだデータを吸光度(Absorbance(O.D.))に変換したのち表示するか、光強度値

( Intensity(Volt) )をそのまま表示するかを選択します。どちらで表示するかは、オプション

ボタンで排他的に選択できます。表示したのちに吸光度を光強度値に、または光強度値を

吸光度に変換することはできません。 Range (数値入力)

測定したデータを表示するときの、縦軸の最大値と最小値を設定します。この最大値、

最小値は測定直後のデータ表示における設定ですので、見やすいように設定を行ってくだ

さい。またデータ表示後は、自由に変更することができます。 調整可能な範囲は、+5.0 から -5.0 までです。ただしModeを Intensityに設定した場合、

本システムにおいては出力が飽和した状態が 1、出力が全く無い状態が 0 となるようにス

ケーリングされています。

- 44 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 9 マルチチャンネル測定・表示プログラム

Time Axis 時間軸に関する設定を行います。 Time Unit (オプションボタン選択)

設定する時間の単位を選択します。ここで選択した単位に従い、以下の時間軸設定を行

ってください。 Gate Width (数値代入)

ゲート付きイメージ・インテンシファイアー(ゲート付 I.I.)のゲート幅(単位は時間)

を設定します。この時間が得られる過渡吸収スペクトルの時間分解能となります。 ゲート付 I.I.はマルチチャンネル検出器の前に取り付けられており、いわば電気的な超高

速シャッターです。Gate Width はゲート付 I.I.のシャッター‘開’時間と考えることができ

ます。最小値は 5 ns、最大値は 10 µs です。 Single Acquisition、Varying(オプションボタン選択)

単一時間測定か、複数時間測定かを選択します。Monochromatic では、単一の時間を設定

し測定を行います。 Varying では複数回の測定を、測定時間をずらしながら連続して行います。

Sampling Point (数値代入) Single Acquisition を選択した場合、レーザー照射から測定開始時間までのディレイ、すな

わち反応が(レーザーにより)開始して、何 ns 後の過渡吸収スペクトルを得たいかを設定

します。負値の設定、つまりレーザー照射前の設定にすることも可能です。 ただし例えば Gate Width が 100ns のときに Sampling Point を 50ns とすると、ゲートはレ

ーザーが照射されていから 50ns~150ns(=50+100)の間、開きます。ゲートが空いている時

間内にレーザーが照射されているような設定にする(例えば Sampling Point = -50ns, Gate Width = 100ns)ことは、通常望ましくありません。

Start (数値入力) Varying を選択した場合、ここで設定したディレイで 1 回目の測定が行われます。 負値の設定、つまりレーザー照射前の設定にすることも可能です。

End (数値入力) Varying を選択した場合、ここで設定したディレイで最後の測定が行われます。

Step (数値入力) Varying を選択した場合、ここで設定した時間が順にディレイに加算されて、複数回の測

定が行われます。 例えば Start = -100ns、End=900ns、Step=200ns とすると、次のような時間における過渡吸

収スペクトルとなります。 -100ns、100ns、300ns、500ns、700ns、900ns

list from File

あらかじめテキストファイルとしてディレイ配列を作成しておくことで、任意(非等間隔)

のディレイでの複数測定が可能です。ファイルの拡張子は .VAR とし、次のようなテキストフ

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 45 -

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

ァイルとします。

7 測定点数

us 時間単位 (ns, us, ms) *マイクロ秒はus(ユー・エス)として下さい

0.01 時間配列 ※必ず昇順で記述して下さい。

0.1

1

10

100

1000

10000

※時間ゼロ(0)のずれについて 旧レーザーディレイコントローラを使用している場合、内部のアナログディレイ回路の長期

的な変動により、時間ゼロがずれていきます。このような場合、Start、End 値を時間ゼロをは

さんで設定するようにして測定を行うことで、そのずれを確認することができます。詳細は弊

社担当者までお問い合わせ下さい。 またレーザーによってはフラッシュランプチャージ電圧によってレーザーの照射されるタイ

ミングがずれてゆくものがあり、やはり測定データの時間ゼロが狂います。このような場合も、

Start、End 値を時間ゼロをはさんで設定することにより、そのずれを確認するようにして下さ

い。レーザーによってはずれの大きさが 100ns に及ぶことがあります。

Accumulation 加算平均に関する設定を行います。 Accumulation Num.(数値入力)

加算平均回数を設定します。テキストボックスに加算平均したい回数を入力してくださ

い。この設定値を 2 以上にすると、自動的に複数回の測定を行い、データを平均します。 ただし 250 回以下の加算平均を行う場合は、Laser の Output Num.で加算平均を行う方が

短時間で測定することができます。 Mode (オプションボタン選択)

加算平均を行いながら測定する場合に、測定されたデータを確認せずに加算するか ( Auto )、一度の測定において得られたデータを確認しながら加算するか (Manual ) を設定

します。オプションボタンで Auto か Manual を選んでください。ただし Accumulation Num.が 1 の場合は、どちらを選択しても同様の動作を行います。

- 46 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 9 マルチチャンネル測定・表示プログラム

Wait Time (数値入力) 加算平均を行いながら測定する場合、各測定間の待ち時間を設定します。テキストボッ

クスに待ち時間を秒単位で入力してください。ただし Accumulation Num.が 1 の場合は、動

作は変わりません。

Laser レーザーに関する設定を行います。 (注:安定した出力のレーザー光を得るため、レーザー照射に先立ってフラッシ

ュランプは 30 回の空打ちを行いますが、レーザー光の照射は行われません。) Output Num. (旧称 Emission Num.) (コンボボックス選択)

レーザーを連続して発振させ、信号を加算平均させたいときにその回数を選択します。2以上の値を設定した場合、レーザー照射ごとにスペクトル取り込まれ、最後の発振の後に

加算平均されたスペクトルが画面に表示されます。 Output Interval (旧称 Emission Interval) (数値入力)

Output Num. を 2 以上の数値に設定した場合において、各発振間隔を設定します。テキス

トボックスに発振間隔を秒単位で入力してください。コパル製シャッターをオプションと

して取り付けた場合、Output Interval が 1.0 s 以上の場合では、レーザー照射の瞬間のみシ

ャッターが開きますが、1.0 s よりも短い場合は開き続けることになりますので、ご注意下

さい。

Reference (コマンドボタン) ※ システムによっては Probe Only という名称となっています。 ※ システムによっては、Auto Reference 機能のため本ボタンは無効化されています。

Reference コマンドボタンを押すと、吸光度を計算するための Reference 測定を行います

(『測定原理』の項参照 ) 。Reference 測定が完了するとデータが Layout Window に表示さ

れます。ただし Vertical Axis の Mode で Intensity を選択した場合は、Reference 測定を行う

ことはできません。 一旦 Reference データを測定すると、それ以降の測定ではその Reference データを用いて

吸光度が計算されます。 Reference データに影響を及ぼすパラメーター( Wavelength , Gate Width , Sampling Point )を

変更するとそれまでの Reference データは破棄されます。 Free Run & Adjust (コマンドボタン)

このコマンドボタンを押すと Multichannel Monitor Window が表示され、Stop ボタンを押

すまで一定の時間間隔でスペクトルを表示します。II コントローラの Gain の調整や、光学

系などの調整の際に使用します。 Multichannel Window で設定したパラメーターの中でこのウィンドウに反映されるのは、

Central Wavelength、Gate Width、Vertical Mode を Intensity とした際の Max、Min 値だけです。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 47 -

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

また Layout Window とほぼ共通の操作が可能ですが、メニューはこのウィンドウ自身の左

上にあります。Free Run & Adjust 測定を行っている最中には他の操作できません。 Measurement (コマンドボタン)

このコマンドボタンをクリックすることで、Multichannel Measurement ウィンドウでの設

定に従い測定を開始されます。測定されたデータは、順次 Layout Window に表示されます。

Vertical Axis の Mode で Intensity を選択した場合は透過光のスペクトルが表示されます。

Vertical Axis の Mode で Absorbance を選択した場合は Reference データから吸光度スペクト

ルが計算され、画面に表示されます。

オプション機能 ハードウェア構成によって、さまざまなオプション機能が付加されます。 Method

通常は Laser Plash Photolysis 測定が行われますが、スト

ップトフロー装置が付加されたシステムでは、Stopped Flow測定および Flow&Flash 測定が可能となります。

Stopped Flow モード Stopped Flow を選択すると、レーザーは一切駆動せず、ストップトフロー法による試料

の吸収スペクトル変化が測定されます。また Double Mixer を使用している場合は、Mixingフレームが表示され、Single Mixing を行うか、Double Mixing を行うかを選択できます。

Double Mixing を選択した場合は Time-Axis の Age Time を ms 単位で設定して下さい。 Flow & Flash モード Flow & Flash を選択すると、試料を混合し、さらにパルスレーザーを試料に照射した場

合の試料の吸収スペクトル変化が測定できます。本モードでは、Time Axis の Laser Delayパラメータが有効となり、混合後(混合 Stop 信号検出後)、何 ms 後にレーザーを照射する

かを ms 単位で設定することが可能です。また Mixer – Mix 2 Time - Measurement ボタンが

有効となりますが、Laser Delay 時間を正しく測定シーケンスに反映させるためには、測定

前にこの Mixer 2 Time の測定を行っておく必要があります。

各シャッターでの動作モード

標準シャッター メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode はチェックできません。そのままでご使用下さ

い。

- 48 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 9 マルチチャンネル測定・表示プログラム

シャッターは測定開始時に開き、測定終了時に閉じられます。

コパル社製高速シャッター(最高繰り返し 1Hz) メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode は通常チェックした状態となっていることを確

認して下さい。チェックが外れている場合は、高速シャッターとして作動しません。標準シ

ャッターとして利用したい場合には、チェックを外してください。 本シャッターを高速動作モードで使用すると、ランプ光がサンプルに照射される時間を最

短にすることができます。ただしこのシャッターは 1 Hz 以上の高繰り返しで開閉を行うこ

とはできませんので、Laser の Output Interval は 1 s 以上に設定する必要があります。1 s 以下

に設定した場合、シャッターは測定中開き続けることになります。

ビンセント社製高速高繰り返しシャッター(最高繰り返し 10Hz) メニューの Hardware→Shutter→Fast Mode は通常チェックした状態となっていることを確

認して下さい。チェックが外れている場合は、高速シャッターとして作動しません。標準シ

ャッターとして利用したい場合には、チェックを外してください。 本シャッターを高速動作モードで使用すると、ランプ光がサンプルに照射される時間を最

短にすることができます。コパル社製と違い、Laser の Output Interval を最小の 0.1s にする

ことも可能です。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 49 -

9 マルチチャンネル測定・表示プログラム Unisoku Co., Ltd.

- 50 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

マルチチャンネル測定によるデータ例

試料 : アセトン中の Tetraphenylporphine 励起波長 : 355nm 測定 : Gate Width 50ns

Varying Mode, Start 60ns, End 700ns, Step 80ns

Unisoku Co., Ltd. 10 メインウィンドウとレイアウトウィンドウ

10 メインウィンドウとレイアウトウィンドウ

測定後表示したデータは、メインウィンドウのメニューやレイアウト画面からの操作で表示

形式を変えたり、ファイルに保存したりすることができます。これらの機能の基本操作につい

ては、「分光システム統合ソフトウェア Unisoku Spectroscopy & Kineticsユーザーズマニュアル」

に記載してありますので、まずはそちらをお読み下さい。ここでは、時間分解分光測定プログ

ラムに固有の内容や注意事項・付記事項を記載します。

ファイル入出力関連 File - Save Data As Unisoku Binary Format

この機能により、マルチチャンネル測定によるデータは、常に横軸が波長のデータとして保

存されます。したがって保存時にグラフ上では横軸が時間となっていた場合にも、読み込み時

は再び波長を横軸として表示されます。 時間分解データに関してはその逆、つまり保存時のグラフ表示状態にかかわらず、時間を横

軸としたデータとして保存されます。 File - Save Data As CSV Format

Unisoku Binary Format で保存した場合と同様です。 File - Save Single Data As CSV Format

この機能を使えば、表示状態(例えばマルチチャンネルデータを、横軸を時間として表示さ

せた状態)のまま、データをテキスト形式で保存できます。ただし保存できるのは選択表示さ

れた 1 本だけとなります。 Save Data As It Is Displayed AS CSV Format

この機能を使うと、現在アクティブな Layout Window に表示されているデータについて、ラ

イン選択、軸変換の結果を反映させて、現在表示されている内容にしたがってファイルに保存

します。ただし複数のファイルのデータが重ね描きされている場合は、アクティブなファイル

だけが対象となります。また縦軸、横軸のスケール拡大などの状態は反映されず、スケールの

外に隠れたデータについてはそのまま保存されます。データ形式は CSV(Comma Separated Value)形式となります。

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 51 -

10 メインウィンドウとレイアウトウィンドウ Unisoku Co., Ltd.

測定関連 Measurement - Manual Trigger

マルチチャンネル測定時や時間分解測定時に、レーザーなどが何らかの理由で駆動せず、ソ

フトウェアが進行しなくなった場合に、本ボタンを押すことでトリガ信号(装置が駆動したと

いう信号)が擬似的に発生し、ソフトウェアを進行させることができます。ツールバーの ボ

タンも同じ機能です。 Measurement - Temporal Stop

Accumulation で繰り返し測定を設定している場合などに、ここをクリックすると測定を一

時中断できます。もう一度ここをクリックすると測定は再開されます。ツールバーの ボ

タンも同じ機能です。 Measurement - Stop and Quit

Accumulation で繰り返し測定を設定している場合などに、ここをクリックすると測定を中

止できます。Temporal Stop と異なり、測定を再開することはできません。ツールバーの

ボタンも同じ機能です。その時点でのデータを表示変更・保存することが可能ですが、

Accumulation 回数の情報などは正しく保存されない場合がありますのでご注意下さい。 Measurement - Load Condition File

次の Save Condition File で保存した測定・表示条件を読み込み、現設定をその内容に変更

します。複数の人が測定装置を共有する場合などに有効です。 Measurement - Save Condition File

現在の測定・表示条件をファイルへ保存します。上記の Load Condition File で読み込むこ

とができます。複数の人が測定装置を共有する場合などに有効です

Hardware – Mixer – Wash(ストップトフロー装置が付属している場合のみ)

Mixer Wash ウィンドウが開き、ストップトフローの洗浄を簡単に行うことができます。

Hardware – Mixer – Single/Double(ストップトフロー装置が付属している場合のみ) シングルミキシング装置(通常のストップトフロー装置、2 液混合装置のこと)とダブル

ミキシング装置(3 液混合装置と呼ぶこともあります)の 2 台を所有し、切り替えて使用

する場合に使用します。Mixer Wash ウィンドウが開き、ストップトフローの洗浄を簡単に

行うことができます。

Hardware – Mixer – Fast Mode(ストップトフロー装置が付属している場合のみ) ダブルミキシング装置の Age Time を数 10ms 以下に設定したい場合に選択します。

- 52 - 時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル

Unisoku Co., Ltd. 10 メインウィンドウとレイアウトウィンドウ

時間分解分光測定装置 ユーザー・マニュアル - 53 -

Hardware – Shutter – Open/Close

Xe ランプのシャッターを開閉したい場合に使用します。Open でシャッターを開き、Closeでシャッターを閉じます。ただし通常シャッターは自動制御となっており、本機能を使用

する必要はほとんどありません。 Hardware – Shutter – Fast Mode

高速シャッターが付属したシステムで、そのシャッターを高速動作させるかどうかを選

択します。高速モードとすると、データを取り込む瞬間だけサンプルにプローブ光が照射

されるので、プローブ光によるサンプルの変性を最小限に抑えることができます。一方、

非高速モードでは、レーザーの連続照射中(信号の加算平均中)はシャッターが開きっぱ

なしとなります。 Hardware – Laser – Emission Test

レーザーの外部制御のテストを行います。確認メッセージの後、10Hz で 255 回、レーザ

ーが照射されます。

Hardware – Laser – 20Hz Type

20Hz 仕様のレーザーを使用する場合にチェックします。