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結果 私は 薛雁群 猪狩真一 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 評価・標準チーム ASTM G173-03 基準太陽光スペクトル はじめに 結論 謝辞 高分解能太陽光スペクトルの生成 1. MODTRANを用いて、世界最高の波長分解能(0.1 cm -1 )の高分解能太陽光スペクトルの生成に成功した。 2. これにより、分光器に要求される波長分解能の解析用として十分なデータセットが得られた。 3. 傾斜面における散乱スペクトルのモデル間の差については、地表面からの反射光そのものの再検証が必要である。 0 0.5 1 1.5 2 2.5 300 500 700 900 1100 1300 Irradiance [W/m2 nm] Wavelength [nm] AM0_MODTRAN AM1.5G_MODTRAN AM0_SMARTS AM1.5G_SMARTS AM1.5D_MODTRAN AM1.5D_SMARTS 1. 基準太陽電池セルの一次校正の不確かさ推定項目の内、分光感 度特性の測定や測定・校正用光源の分光放射照度測定の不確か さに及ぼす分光器の波長分解能の影響についての解析が課題と して残っている。 2. 現在の基準太陽光スペクトルの波長分解能は、その解析上、充分 ではない。 3. 精密な大気放射伝達モデルMODTRANを用い、世界最高の波長 分解能( 0.1 cm -1 )の基準太陽光スペクトルの生成に成功した。 直達スペクトルでは、基準太陽光スペクトルと高分解能太陽光スペクトルとの 一致度は極めて高い。 傾斜散乱スペクトルでは明確な差がある。 傾斜散乱成分の寄与は少なくため、全天スペクトルでは概ね良く一致している。 0 0.1 0.2 0.3 0.4 300 500 700 900 1100 1300 Irradiance [W/m^2 nm] Wavelength [nm] Smarts2.9.2 Smarts 2.9.5 MODTRAN5.3.2 0 1 2 3 4 5 300 500 700 900 1100 1300 Ratio Wavelength [nm] Smarts2.9.5 to Smarts2.9.2 MODTRAN5.3.2 to Smarts2.9.2 0.4 0.9 1.4 1.9 300 500 700 900 1100 1300 Ratio Wavelength [nm] AM0 Transmittance AM1.5D AM1.5 Diffuse AM1.5G 本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託研究の成果である。また、散乱光の計算についてご示 唆頂いた千葉大学CEReSの久世宏明教授、眞子直弘博士に感謝する。 0 0.5 1 1.5 2 2.5 250 750 1250 1750 2250 2750 3250 3750 Irradiance [W/m2 nm] Wavelength [nm] AM0 AM1.5G AM1.5D 高分解能太陽光スペクトルの生成 1. SMARTS2 (Simple Model for the Atmospheric Radiative Transfer of Sunshine) ver. 2.9.2で基準太陽光 スペクトルが再現できることを確認した。また、同じ条件でSMARTS 2.9.5でも基準太陽光スペクトルを 生成できた。 2. MODTRAN (MODerate resolution atmospheric TRANsmittance and radiance code) ver. 5.3.2で、ASTM G173-03で定義されている基準太陽光スペクトルの幾何学的条件と気象条件に基づき、波長分解能 0.1 cm -1 の高分解能太陽光スペクトルを生成することに成功した。 図1.基準太陽光の幾何学的条件 図2.ASTM G173-03 基準太陽光スペクトル AM1.5GIEC60904-03で採用され国際標準化) 基準太陽光 高分解能太陽光 0.5 nm (280 - 400 nm) 0.001 nm (at 300 nm) 1 nm (400 – 1702 nm) 0.017 nm (at 1300 nm) 5 nm (1705 -4000 nm) 表1.基準太陽光スペクトルと高分解能太陽光スペク トルの波長分解能の比較 図3.高分解能太陽光スペクトルと 基準太陽光スペクトル 図4.高分解能太陽光スペクトルと 基準太陽光スペクトルの比 図5.南向き37°傾斜面における散乱スペクトル 図6.南向き37°傾斜面における散乱スペクトルの比 傾斜面散乱スペクトルでのモデル間の差は著しい。 同じモデルでもver.により差がある。 地表面からの反射光の扱いが異なることが原因である。

高分解能太陽光スペクトルの生成 - AIST...はじめに ASTM G173-03 基準太陽光スペクトル 結論 謝辞. 高分解能太陽光スペクトルの生成. 1. MODTRANを用いて、世界最高の波長分解能(0.1

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Page 1: 高分解能太陽光スペクトルの生成 - AIST...はじめに ASTM G173-03 基準太陽光スペクトル 結論 謝辞. 高分解能太陽光スペクトルの生成. 1. MODTRANを用いて、世界最高の波長分解能(0.1

結果

私は

薛雁群 猪狩真一産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 評価・標準チーム

ASTM G173-03 基準太陽光スペクトルはじめに

結論

謝辞

高分解能太陽光スペクトルの生成

1. MODTRANを用いて、世界最高の波長分解能(0.1 cm-1)の高分解能太陽光スペクトルの生成に成功した。

2. これにより、分光器に要求される波長分解能の解析用として十分なデータセットが得られた。

3. 傾斜面における散乱スペクトルのモデル間の差については、地表面からの反射光そのものの再検証が必要である。

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1. 基準太陽電池セルの一次校正の不確かさ推定項目の内、分光感度特性の測定や測定・校正用光源の分光放射照度測定の不確かさに及ぼす分光器の波長分解能の影響についての解析が課題として残っている。

2. 現在の基準太陽光スペクトルの波長分解能は、その解析上、充分ではない。

3. 精密な大気放射伝達モデルMODTRANを用い、世界最高の波長分解能( 0.1 cm-1 )の基準太陽光スペクトルの生成に成功した。

直達スペクトルでは、基準太陽光スペクトルと高分解能太陽光スペクトルとの一致度は極めて高い。

傾斜散乱スペクトルでは明確な差がある。 傾斜散乱成分の寄与は少なくため、全天スペクトルでは概ね良く一致している。

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300 500 700 900 1100 1300

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Wavelength [nm]

AM0 Transmittance AM1.5D AM1.5 Diffuse AM1.5G

本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託研究の成果である。また、散乱光の計算についてご示唆頂いた千葉大学CEReSの久世宏明教授、眞子直弘博士に感謝する。

0

0.5

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1.5

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2.5

250 750 1250 1750 2250 2750 3250 3750

Irra

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nce [

W/m

2 n

m]

Wavelength [nm]

AM0 AM1.5G AM1.5D

高分解能太陽光スペクトルの生成

1. SMARTS2 (Simple Model for the Atmospheric Radiative Transfer of Sunshine) ver. 2.9.2で基準太陽光スペクトルが再現できることを確認した。また、同じ条件でSMARTS 2.9.5でも基準太陽光スペクトルを生成できた。

2. MODTRAN (MODerate resolution atmospheric TRANsmittance and radiance code) ver. 5.3.2で、ASTM G173-03で定義されている基準太陽光スペクトルの幾何学的条件と気象条件に基づき、波長分解能0.1 cm-1 の高分解能太陽光スペクトルを生成することに成功した。

図1.基準太陽光の幾何学的条件 図2.ASTM G173-03 基準太陽光スペクトル(AM1.5GはIEC60904-03で採用され国際標準化)

基準太陽光 高分解能太陽光

0.5 nm (280 - 400 nm) 0.001 nm (at 300 nm)

1 nm (400 – 1702 nm) 0.017 nm (at 1300 nm)

5 nm (1705 -4000 nm)

表1.基準太陽光スペクトルと高分解能太陽光スペクトルの波長分解能の比較

図3.高分解能太陽光スペクトルと 基準太陽光スペクトル

図4.高分解能太陽光スペクトルと 基準太陽光スペクトルの比

図5.南向き37°傾斜面における散乱スペクトル

図6.南向き37°傾斜面における散乱スペクトルの比

傾斜面散乱スペクトルでのモデル間の差は著しい。 同じモデルでもver.により差がある。 地表面からの反射光の扱いが異なることが原因である。