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高齢者を取り巻く家族の気持ち
1 目 標
(1)認知症について知り、認知症の高齢者やそれを取り巻く家族の気持ちについて、共感
的に理解することができる。
(2)身近な高齢者と自分とのかかわりを思い出させ、高齢者に対する尊敬や感謝の気持ち
を持つと共に、それらが表れるような接し方を考えた行動化のきっかけをつかむ。
2 学習計画〈全4時間〉
(1)認知症について学ぶ~おばあちゃんのさがしもの~(2時間)
(2)身近なおじいちゃん、おばあちゃん~日ごろの感謝の気持ちを込めて~(2時間)
3 展 開
(1)認知症について学ぶ~おばあちゃんのさがしもの~(2時間)
主な学習活動 留意点
1 おばあちゃんが忘れっぽくなり、あなた
の名前を忘れたらどう思うか考える。
2 「おばあちゃんのさがしもの」を読む。
3 おばあちゃんの変化をつかむ。
4 変わらないおばあちゃんを確認する。
5 おばあちゃんと一緒に子守歌を歌った
私は、どんなことを考えていたのかを話し
合う。
○作者の思いを自分のこととして、考えさせる。
○資料1「おばあちゃんのさがしもの」
・資料を読ませ、話の内容をつかませる。
○ワークシート1「おばあちゃんのさがしもの」
・おばあちゃんの変化に気付かせる。
○資料2「認知症について」
○おばあちゃんの変化は一部であり、変わって
いないところもたくさんあることに気付かせ
る。
○おばあちゃんが子どもや家庭を大切に守って
きたことをつかませる。
・「時々昔の自分に会いにいっている」という
箇所に着目させる。
・おばあちゃんが愛情を注いでお母さんを育
ててきたことや、その愛情が私を育てたお
母さんに引き継がれていることに気付か
せる。
・認知症になって、表面的に変化したように
見えても、心の中の大切なものは忘れずに
覚えていることをつかませる。
資料1 「おばあちゃんのさがしもの」
●夜になっても帰ってこない●
遠くの公園で迷子になったおばあちゃん ・・不思議なことが次々おこり始めた。
私の大好きなおばあちゃんは、どこへ
いっちゃったの。
●お母さんの「ひとこと」●
「人は年をとると、いろいろなことを忘れたり、今と昔がいっしょになったり、子どもの頃
にもどってしまったりすることがあるのよ。やさしくしてあげようね。」
●私の誕生日の前日● …たいへんなことがおこった。救急車が来るまで、
おばあちゃんは、「助けて、助けて。」と泣いていた。 …足の骨が折れて、おばあちゃんが入院したの。
●おばちゃんの黄色いスカート●
スカートが見つかれば、おばあ ●お誕生日 おめでとう。とも子へ● ちゃんの病気がよくなるような気 スカートをさがしているとき、私は がして。 きれいな箱と、私への手紙を見つけた。 ・・・結局黄色いスカートは 私は嬉しかったけれど、もとにもど 見つからなかった。 した。
●お母さんが、おばあちゃんの昔のものが入っている ※「こうり」を持ってきた●
ふたを開けると、急におばあちゃんの目がきらきら。昔のことをぽつりぽつり話し始めた。
そのなかから、人形をだき上げると、子守歌(こもりうた)を歌い始めた。
・・・おばあちゃんは何度も歌った。私もおばあちゃんといっしょに・・・
●お父さんの「ひとこと」●
「おばあちゃんは、ときどき昔の自分に会いに行っているんだから、心配しなくていい。」
●車いすをおすのがだいぶうまくなった私● 私は、おばあちゃんがさがしものをしているような気がする。何をさがしているのか私には
わからないけれど、見つかるといいな、おばあちゃんのさがしもの。
※「こうり」:竹または柳で編み、つづらのようにつくったもの。衣類入れにも使う。
旅行用の荷物入れ。
おち とよこ 「おばあちゃんのさがしもの-いのちのえほん8-」 岩崎書店 2000、「おばあちゃんのさ
がしもの」 「明日をめざして 道徳6」 東京書籍 2004 pp85-89
私の大好きなおばあちゃんは、お母さんのお母さん。私のおば
あちゃんは、おしゃれできれい。それにとてももの知り。お手玉、
おはじき、あやとり…、私の好きなよもぎだんごのつくり方も、
お母さんの着物のぬい方も、お父さんが好きなおつけもののつく
り方も、おにいちゃんが、こぶをつくったときの治し方も、何で
も知っている。
私は、おばあちゃんといっしょにいるのが好き。やさしい目、笑うとできるしわ、大
きくてきれいな声、おばあちゃんのあったかい手、みんなみんな大好き。
私は、 とも子よ。
キヨちゃん、 おはよう。
ワークシート1 「おばあちゃんのさがしもの」
( )年 ( )組 名前( )
●おばあちゃんについて書いてみよう。
はじめの
おばあちゃん
変わったおばあちゃん
今の
おばあちゃん
変わらない
おばあちゃん
資料2 認知症にんちしょう
~認知症でも大丈夫~
川上雪彦 「“認知症”でも大丈夫-正しく知ってみんなで支えよう-」 株式会社 社会保険研究所 2003
認知症になると、ふっとわからなくなるときがあります。でも、長年つちかっ
てきたぎりぎりの力を使って生活しようと一生けん命になっているのです。安心
できる場や人を探し求めて外へさまよい出ることもあります。また、不安が高ま
って、パニックになり、見なれた風景が一変して、怖い場所に変わることがあり
ます。また、音やスピードがおそいかかるように感じることもあります。だから
人や物などの環境を整えることが大切です。ゆっくり、一つずつ話しかけると、
会話が成立する方がたくさんいるので、語りかけるように話すとよいです。
過去のできごとや体験、身に付けた技術等は比較的よく記憶しているので、本
人がやってみたくなるような場面でうまくうながすと、その記憶がよみがえり、
生き生きと取り組むことができるかもしれません。自分にできる何かを果たして
いくことで、喜びや安らぎ、自信を感じ、認知症の様々な症状がおだやかになっ
てくることも多いのです。
(2)身近なおじいちゃん、おばあちゃん~日ごろの感謝の気持ちを込めて~(2時間)
主な学習活動 留意点
1 前時の学習を振り返る。
2 身近な高齢者とのかかわりを思い出し、
「忘れられないできごと」について、隣の
席の友だちと話し合う。
3 「とっておきの話」を紹介する。
4 身近な高齢者が喜ぶ話し方や接し方を考
える。
5 高齢者と共により良い社会を築くため
に、私たちがこれからしようとすることを
話し合う。
6 本時の学習を振り返り、身近な高齢者に
感謝の手紙を書く。
○「おばあちゃんのさがしもの」を振り返らせ、
とも子さんの家庭と自分の家庭を重ねて考
えさせる。
○「忘れられないできごと」について、2分間
以内で友だちに伝えさせる。
○話し合い後は、「とっておきの話」として、
友だちから聞いた話を全体に紹介すること
を予告し、正確に話を聞き取るように促す。
・祖父母と同居していない児童については、
近所の高齢者や今まで出会ってきた高齢
者を思い出させる。
○友だちから聞いた「とっておきの話」を発表
させる。その後、話を紹介してもらった児童
に、今の友だちの発表を聞いて感じたことを
聞き、発表させる。
○身近な高齢者に対する自分のかかわり方を
振り返らせ、高齢者にどのような話し方や接
し方をしたら、喜んでもらえるかを隣の人と
一緒に話し合わせる。
○話し合いをもとに、各自実行したいことを発
表させる。
・無理をするのではなく、自分が実現可能な
内容を発表するように促す。
○本時の学習で気付いたことや確認したこと
を振り返らせ、身近な高齢者に対して感謝の
気持ちを込めて、手紙を書かせる。