売買業者のビジネス⑦

卸売商のビジネス•生活用品および産業用品の流通経路の中間にあって，商品を生産者（または卸売商）から仕入れ，これを小売商や大口消費者（または卸売商）に販売することを専門の業務とする売買業者。

流通の効率化

（１）卸売商の役割

売買の機能

輸送・保管の機能

金融の機能

危険負担の機能

情報の収集・伝達の機能

１

2

3

4

5小売店に

リテールサポート

（１）卸売商の役割

•仕入先のために需要を開拓して，商品の売上高を伸ばしたり，多種類の商品の収集や分散をおこなって，販売先とりわけ小売商の品ぞろえを容易にする。

① 売買の機能

•仕入先や販売先に代わって商品の輸送を引き受け，在庫品を保管する。

② 輸送・保管の機能

（１）卸売商の役割

•卸売商が在庫品をもつことによって，仕入先や販売先は資金的な負担が軽くなる。

③ 金融の機能

•仕入先と販売先の間に立って，取引における信用上の危険，輸送や保管にともなう各種の危険を負担する。

④ 危険負担の機能

（１）卸売商の役割

•生産の情報を販売先に伝えたり，消費の情報を仕入先に伝えたりする。

•卸売商みずから商品の動向や消費者のニーズを分析し，これに適合した商品を企画して生産者に発注することもある。

⑤ 情報の収集・伝達の機能

売買業者のビジネス⑧

（２）流通経路上の位置や機能による分類

一次卸売商

•生産者から農水産物や工業製品などを直接仕入れて，多数の二次卸売商や小売商などに販売する卸売商。

a. 元卸売商

b. 集散卸売商

c. 産地問屋

d. 総合商社

（２）流通経路上の位置や機能による分類

• １社または比較的少数の生産者から商品を仕入れ，主として分散の役割を果たす卸売商。

• 鉄鋼，家庭用電気製品など

元卸売商

• 比較的多数の生産者から仕入れをおこない，収集と分散の役割を果たす卸売商。

• 雑貨類，繊維製品など

集散卸売商

（２）流通経路上の位置や機能による分類

• 地元で生産される農水産物や伝統工業製品などを買い集め，これをまとめて大口消費者や消費地の二次卸売商，中央卸売市場などに出荷する卸売商。

産地問屋

• 多種多様な商品を取り扱い，貿易業務や資源・海洋・宇宙開発などの大規模事業の支援などもおこなう一次卸売商。

総合商社

（２）流通経路上の位置や機能による分類

二次卸売商

•元卸商や産地問屋などの一次卸売商から商品を仕入れ，これを小売商などに売り渡す卸売商。

•二次卸売商と小売商との間に三次卸売商が介在する場合もある。

（３）生産者との関係による分類

•特定の生産者の商品を専門に卸売りする場合，販売会社または代理店と呼ばれる。

•生産者が自社の販売力を強化するためにみずから設立する場合が多い。

生産者 販売会社 消費者

直接販売

卸売業の業種別事業所数と業種別年間商品販売額

売買業者のビジネス⑨

仲介卸売商

•仲介卸売商：通常の仕入れ・販売以外の特殊な方法で卸売取引に介入して，流通の円滑化に役立っている。

•仲立人（ブローカー）

•問屋

•代理商

（１）仲立人（ブローカー）

•買い手，売り手間の売買の成立を一回限りで媒介する。

•報酬・・・取引金額に対する一定割合の手数料を，当事者の一方または両方から受け取る。

•契約の実行は，売買当事者が自分の責任でおこなう。

（２）問屋

•他人から委託を受けて，その委託者のために自分の名義で物品の販売や購入をおこなう商法上の問屋のこと。

•売買上の損益は，仲介を依頼した委託者のもの。

•問屋は，売上高や買付高に対する一部割合の手数料を報酬として委託者から受け取る。

（３）代理商

•特定の売り手や買い手のために，継続的に取引の代理や仲介をおこなう。

•売買を依頼した本人の名義で取引をおこなうため，その損益は，全て依頼者本人のものになる。

組織化した卸売商

•問屋街：都市部の特定地域に集中してつくられた。

•現在は，商品流通を効率的におこなう必要にせまられている。

•卸総合センター

•卸商業団地

•流通センター

・取扱商品の増大・生産者の分散・都市交通の悪化

売買業者のビジネス⑩

中央卸売市場

生鮮食品 ・・・魚介・野菜・果物など

•天候などの自然の影響によって供給量が左右する。→ 価格変動が激しい。

•工業製品と比較して腐敗しやすく，長期にわたる保管が困難。

中央卸売市場

•生鮮食品を公正な価格で迅速に卸売するために，全国の主要都市に設置されている具体的市場。

（１）中央卸売市場のしくみ

•卸売業者：農林水産大臣の許可を受けた業者

•仲卸業者：解説者の許可を受けた業者

•せり売り：一人の売り手に対して複数の買い手が買い取り価格を競い合い，最も高い買取価格を提示した買い手が商品を買い取るというしくみ。

•相対売買：売り手と買い手が一対一で売買をおこなうこと。

（２）中央卸売市場の機能

•生鮮食料品の需要と供給を円滑・迅速に結びつける。

• そのときどきの需要を反映した適性な価格を決定。

（３）生産者と消費者の市場進出

市場外流通

農業協同組合やスーパーマーケットなどが大都市近郊に集配センターを設け，中央卸売市場を経由しないで生鮮食料品を流通させること。

•農業協同組合

•消費生活協同組合

•水産業協同組合

流通活動とマーケティング

マーケティングの意義

•生産者から消費者にいたる商品やサービスの流通を促進するさまざまな活動。

•消費者が求める商品やサービスを提供し，その満足度を高める。

•企業はマーケティングによって，市場における優位性や独自性を獲得することができる。

マーケティングの意義

商品

（Product）

価格

（Price）

流通

（Place）

販売促進

（Promotion）

流通活動とマーケティング

市場調査

仕入れ

販売

市場の動向に関する情報を集めて分析する。

商品の在庫を確認することも大切。

▼適正な価格を決定し，店舗設計や商品陳列に配慮したうえで広告を展開して，需要を呼びおこす。

▼販売員活動とともに各種の販売促進方法を採用して消費者を引きつけ，ニーズを満たすようにする。

売買業者のマーケティング

マーケティングの考え方

•企業のマーケティングは消費者を尊重し，そのニーズを質的にも量的にも満たすことを第一に考えなければならない。

消費者志向

•企業のマーケティングは，社会全体の利益とも一致しなければならない。

社会利益志向（または社会志向）

トレード・オフと機会費用

（１）トレード・オフ

•二つの選択肢がある場合に一方を選択すれば他方を断念しなければならないという二律背反の関係。

（２）機会費用

• トレード・オフの関係下で，一方の選択をした場合に断念せざるをえない他方の利得のこと。

トレード・オフと機会費用

（１）トレード・オフ

•二つの選択肢がある場合に一方を選択すれば他方を断念しなければならないという二律背反の関係。

（２）機会費用

• トレード・オフの関係下で，一方の選択をした場合に断念せざるをえない他方の利得のこと。

食糧問題とビジネス

食糧問題とビジネス

•食料の安定供給

•食料不足の解決

•安全な食の供給

ビジネスの果たすべき大きな役割

世界的にみると，生活になくてはならない食料が不足するという問題が発生している。

しかし

食料不足の原因

①人口の増加

特に発展途上国の人口増加がいちじるしい。

②肉食化の傾向

ブラジルや中国で進む肉食化。

③水資源不足

農地の砂漠化や土壌の劣化により，農業用水のための水資源が不足している。