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超音波からのメッセージ第 47 話(予習資料) 心エコー・診断力を高める“もう一歩” 『弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック』 期「心エコー・診断力を高める“もう一歩”」では、後半は「弁膜症」を 2 回に 分けて取り上げます。今回は、「弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック」がテー マです。 講師の 野間 充 先生から 観察で得られた所見や計測結果を抜け漏なく矛盾なくレポートにまとめて表現しい くには、テクニッが必要になります。さら自身の検査を再評価するためのレビューをす ることは、つらいこともありますが実力向上に役立ちます。今回も具体例から解説して いきます。 パスポートは、しっかり勉強したい方を応援するための受講割引です パスポートなしでも受講できますが、通常1回 2000 円の参加費が、パスポート 購入で1回当たり 1200 円に! (全回参加した場合) 今期のパスポートの頒布は終了しました。直接会場では頒布いたしません。 今回の会場は、オリンピック記念青少年総合センター センター棟の 101 室です 講義は、この「予習資料」で予習してあることを前提に行います。予習資料は一読 して忘れずにご持参ください。会場での資料の頒布は行いません。 会場内は飲食が禁止されております。勉強前の飲食は休憩室をご利用ください。 会場へのアクセス、プリンタがない方の事前資料のコンビニでのプリント方法など の案内はホームページに掲載しております。必ずホームページをご覧ください。( 特 に初めて参加の方 ) 皆さまに気持ちよく受講して頂くためのお願い 1.講義中は、携帯電話をマナーモードへ切り替えてください。 2.講義中の写真や動画の撮影は固くお断り致します。 3.講義中の PC 操作(キーボード操作音)は、他の受講者の迷惑となりますのでご配慮を お願いします。 復習ページのパスワード 当日配布するアンケートに書いてある パスワードをここにメモしてください

超音波からのメッセージ第 47 話(予習資料) 心エ …season2.in.coocan.jp/S2-47pretext.pdf1 超音波からのメッセージ 第9期 心エコーシリーズ 診断力を高める“もう一歩“

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超音波からのメッセージ第 47 話(予習資料)

心エコー・診断力を高める“もう一歩”

『弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック』

第9期「心エコー・診断力を高める“もう一歩”」では、後半は「弁膜症」を 2 回に

分けて取り上げます。今回は、「弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック」がテー

マです。

講師の 野間 充 先生から

観察で得られた所見や計測結果を抜け漏なく矛盾なくレポートにまとめて表現しい

くには、テクニッが必要になります。さら自身の検査を再評価するためのレビューをす

ることは、つらいこともありますが実力向上に役立ちます。今回も具体例から解説して

いきます。

パスポートは、しっかり勉強したい方を応援するための受講割引です

◆ パスポートなしでも受講できますが、通常1回 2000 円の参加費が、パスポート

購入で1回当たり 1200 円に!(全回参加した場合)

今期のパスポートの頒布は終了しました。直接会場では頒布いたしません。

今回の会場は、オリンピック記念青少年総合センター センター棟の 101 室です

◆ 講義は、この「予習資料」で予習してあることを前提に行います。予習資料は一読

して忘れずにご持参ください。会場での資料の頒布は行いません。

◆ 会場内は飲食が禁止されております。勉強前の飲食は休憩室をご利用ください。

◆ 会場へのアクセス、プリンタがない方の事前資料のコンビニでのプリント方法など

の案内はホームページに掲載しております。必ずホームページをご覧ください。( 特

に初めて参加の方 )

皆さまに気持ちよく受講して頂くためのお願い

1.講義中は、携帯電話をマナーモードへ切り替えてください。

2.講義中の写真や動画の撮影は固くお断り致します。

3.講義中の PC 操作(キーボード操作音)は、他の受講者の迷惑となりますのでご配慮を

お願いします。

復習ページのパスワード → 〔 〕

当日配布するアンケートに書いてある

パスワードをここにメモしてください

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超音波からのメッセージ 第9期 心エコーシリーズ

診断力を高める“もう一歩“

第 47 話 弁膜症「レポートとレビューのテクニック」

医療法人末次医院 野間 充

1.はじめに

前回は、限られた時間内で抜け漏れのない心エコー検査を行うための「エコー像の推測と検査の組み立て」

についてお話しさせていただきました。観察で得られた所見や計測結果を抜け漏れなく矛盾なくレポートにまと

めて表現していくには、テクニックが必要になります、さらに自身の検査を再評価するためのレビューをするこ

とは、つらいこともありますが実力向上に役立ちます。今回も具体例から解説していきます。

2.症例一覧

症例①:60 歳代、女性、胸痛と心雑音

症例②:70 歳代、男性、無症状で心雑音

症例③:50 歳代、女性、30 歳代に RHD(MS)で手術歴あり、労作時息切れあり

症例④:40 歳代、女性、動悸と心音異常

3.各症例の臨床情報

症例①:60 歳代、女性、胸痛と心雑音

【計測値】

LVDd 47mm LVDs 30mm SV 68mL

LVOT 18mm LVOT VTI 20cm LVOT SV 48mL

AoV VTI 38cm 最大流速 1.5m/s 平均圧較差 5mmHg

連続の式による大動脈弁口面積 48÷38=1.3 cm2

心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?

PAPA
PAPA
タイプライターテキスト
動画は、赤下線部をクリックするか ホームページからご覧いただけます

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症例②:70 歳代、男性、感冒で受診時に心雑音指摘、手術希望せず

【計測値】

LVDd 74mm LVDs 47mm LVEF 64~68% IVS 13mm PW 12mm AoD 47mm LAD 37mm

心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?

症例③:50 歳代、女性、30 歳代に RHD(MS)で手術歴あり、労作時息切れあり

【計測値】

LVDd 45mm LVDs 34mm LVEF 64% LAD 42mm

PHTによる MVA 1.5cm2 僧帽弁の mPG 5mmHg

心エコー動画供覧あり

症例④:40 歳代、女性、動悸、心音の異常

心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?

PAPA
PAPA
PAPA
PAPA
タイプライターテキスト
動画は、赤下線部をクリックするか ホームページからご覧いただけます
PAPA
タイプライターテキスト
動画は、赤下線部をクリックするか ホームページからご覧いただけます
PAPA
タイプライターテキスト
動画は、赤下線部をクリックするか ホームページからご覧いただけます

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依頼理由の背景をとレビューに役立つポイント

Ⅰ.診療録の読み取り方の基本

診療録の記載の基本は、“SOAP 形式”で記載する

S(主観的情報; Subjective ):患者さんや家族などの話から得られた情報

O(客観的情報;Objective) :身体所見・検査結果

A(評価;Assessment):S と O から考えられること、診断

P(方針;Plan):S・O・A を踏まえた今後の方針・計画・指導、等

さらに、“説明と同意”から“医師と患者さん側との間の共通認識”を知る事ができます。

1)S:症状

息切れ・胸が苦しい・動悸・失神・塞栓症状(麻痺、突然の四肢や腹部・背部の痛み、など)

症状が日常生活のどの程度で出現するか?による心機能分類(NYHA分類)

2)O:心音と心雑音について

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3)O:心電図

不整脈(特に心房細動の出現)、

左室肥大、ST-T 変化(ストレイン型左室肥大、虚血、非特異的 ST・T 変化)

4)O:胸部 X 線

心拡大(CTR>50%)や大動脈の拡大

Ⅱ.弁膜症のステージについて

1)ステージ A:弁膜症のリスク期

2)ステージ B:弁膜症の進行期

3)ステージ C:無症状の重症期

4)ステージ D:有症状の重症期

Ⅲ.弁膜症の重症度評価について

1)労作時に血行動態の異常を生じる可能性が高い弁膜症(狭窄症)

ESC ガイドライン:2012 年版、

*:小児慢性特定疾患心臓カテーテル検査結果より 中等度以上

なお、管理の対象となるのは、20mmHg 以上の大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症

http://www.shouman.jp/instructions/4_62_90/

**:流速比 VTI (LVOT) / VTI (AoV) パルスドプラ波形をトレースして求めます。

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2)大動脈弁狭窄症(Valvular AS)のステージ:2014 年 AHA ACC ガイドライン:心臓弁膜症

3)大動脈弁狭窄症:重症度分類(ASE と EACVI)J Am Soc Echocardiogr 2017;30:372-92.

流速比: VTI (LVOT) / VTI (AoV) パルスドプラ波形をトレースして求めます。

【留意点】

連続波ドプラ法の計測

最高流速をとらえていない ⇒ より軽症に評価してしまう

S状中隔などで大動脈弁の手前で加速している場合 ⇒ より重症に評価してしまう

1回拍出量が増加している場合 ⇒ より重症に評価してしまう

1回拍出量が減少している場合 ⇒ より軽症に評価してしまう

弁口面積の計測 (解剖学的弁口面積と機能的弁口面積)

トレース法:適切な断面が描出できない場合 ⇒ より軽症に評価してしまう

連続の式:1回拍出量の推定が過大 ⇒ より軽症に評価してしまう

連続の式:最大流速をとらえられていない ⇒ より軽症に評価してしまう

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4)僧帽弁狭窄症:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007 年改訂版)

*:中~高度狭窄である僧帽弁口面積<1.5 ㎝ 2で PTMC 又は手術対象とする(2017 年 ESC)

PTMC の適応については、Wilkins のエコースコアや Cormier の分類が用いられる

Cormier(lung)の分類で Group1と2が適応になる

5)労作時に血行動態の異常を生じる可能性が高い弁膜症(閉鎖不全症)

6)大動脈弁閉鎖不全の重症度分類

Zoghbi WA, J Am Soc Echocardiogr. 2003 Jul;16(7):777-802

☆:下行大動脈・腹部大動脈での PW 波形:拡張期逆流波形も有用

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5)慢性大動脈弁閉鎖不全:左室機能が悪化する前に外科治療へ

6)僧帽弁閉鎖不全症の重症度評価

7)僧帽弁閉鎖不全の左室機能評価

☆リスクが低ければ非薬物治療を行うことが望ましいのは、

①収縮能が低下する前②心房細動の永続化前③肺高血圧(PASP>50mmHg)

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8)三尖弁閉鎖不全症の重症度評価

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Ⅳ.レビューのテクニック

1)診療録の見方

①症状の有無と経過中の変化

②身体所見:身長・体重・血圧・脈拍、心雑音、浮腫

③心電図所見と経過中の変化

④胸部 X 線:CTR(依頼理由の心拡大)、胸水の有無、

⑤血液検査:貧血の有無(心雑音の原因になりえる)、

⑥CT:構造やサイズ、石灰化所見

⑦MRI:心筋障害、血流

⑧心カテ:心内圧、心拍出量、造影結果

2)心エコー結果のレビューの仕方

①動画:所見の再確認(コマ送りで詳細確認)

②再計測:特に断面積

③表現(漢字変換を含む)の再確認

3)教科書・ガイドライン・文献での確認