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介護予防ケアマネジメントの基本的な考え方
~介護予防サービス・支援計画書の作成を通して~
八尾市地域包括支援センター 長生園 藤村 理沙
八尾市地域包括支援センター 市直営 稲田 貴子
質問力をみがこう
質問力をみがこう
・『音色』を読み取る。
・『表情・態度・しぐさ』を読み取る。
・『正確さ』を読み取る。
・『生活全体』を観る。
チェックリストを活用して
介護予防サービス・支援計画書
このシート、どこから記入していきますか?
基本情報の確認
・ 利用者に関すること
利用者名
介護保険被保険者情報
認定年月日
要介護状態区分
認定の有効期間
・ 計画作成者に関すること
計画作成者氏名
所属名(担当地域包括支援センター名)
計画作成(変更)日・初回作成日
『誰のための支援計画書?』
利用者紹介と、計画作成者名を記載することで、作成に関する責任の所在を明らかにする。
『自分らしい生活をするために』
『利用者の思い・願いを実現する
ために』
1年間を通して「心がける目標」
1年後に達成を「めざす目標」
1日の目標
『介護予防サービス・支援計画書』の全体像と考え方
・アセスメント(現状~総合課題)
・合意のプロセス(提案と意向)
・プランニング(目標~支援計画)
基本チェックリスト
・利用者主体のプランとするため、原則
本人に行なってもらう。
・利用者の主観で行うため、計画作成者のアセスメント内容と連動しなくてもかまわない。
アセスメント領域と現在の状況
①運動について
②日常生活(家庭生活)について
③社会参加、対人関係・コミュニケーションについて
④健康管理について
利用者との「協働作業」
本人理解
①「運動・移動領域」
・ 自ら行きたい場所に移動するための手段が
取れるかどうか、確認する。
・ 自宅や屋外をスムーズに歩行すること。
・ 交通機関を使って移動することについての
状況。
「運動・移動」領域の記載例
・ シルバーカーを押して近くのスーパーまで買
い物に行っている。
・ 近所のコンビニまで外出できる。
・ 下肢筋力の低下があり、足が挙がりにくいの
で段差でつまずく。
②「日常生活(家庭生活)」領域
・ 日常に必要な品物を自分で選んで買うことに
ついての状況。
・ 献立を考え、調理することについての状況。
・ 家事(家の掃除、洗濯、ゴミ捨て、植物の水や
り等)についての状況。
・ 預貯金の出し入れを行うことについての状況。
「日常生活(家庭生活)」領域の記載例
・ 長期の入院生活で体力が低下しており、スー
パーまでは買い物に行けない。
・ 脳梗塞後の右手の痺れや握力低下が残り、
包丁を持つことに不安がある。
・ 普段の食事はコンビニで買ったものを温めて
食べている。
・ 掃除や洗濯は自分で行っている。
③「社会参加、対人関係・コミュニケーション」領域
・家族や友人のことを心配したり、相談にのる等関係を作り、保つことのできる状況。
・友人を招いたり、友人宅を訪問する状況。
・家族・友人などとの会話や電話での交流。
・地域での役割があるか(老人クラブや町内会)
・趣味や楽しみがあり、続けられているか。
・緊急時の対応状況。
「社会参加、対人関係・コミュニケーション」領域の記載例
・電話でこまめに友人とやり取りをしている。
・年に1回は故郷に帰省したり、2年ごとの同窓会にも参加している。
④「健康管理」領域
・ 定期受診や疾患の状況把握だけでなく、清潔
整容、栄養バランス、口腔ケア、食事、運動など、疾患予防と体力増進の視点からアセスメント。
・ 服薬管理、飲酒や喫煙のコントロールまで把握。
「健康管理」領域の記載例
・ 降圧剤の内服管理は行えており、整容なども
行えている。
・ 口の渇きが気になることもある。まだ義歯の
問題はないが、時折食べづらいこともある。
現在の状況について
本人 家族
どう行えているかどう受け止めているか
どう接しているかどう受け止めているかアセスメント領域と課題
「本人・家族に意欲・意向」
・ 各アセスメント領域において確認をした内容
について、利用者・家族の認識とそれについての意向について記載する。
・ 利用者・家族の意向が異なった場合には、そ
れぞれ記載する。
「本人・家族の意欲・意向」の記載例
・(本人)もともと料理は好き。包丁を使って切ったり刻んだりするのが怖いので障害があっても上手に調理できる方法があったら知りたい。自分で作るのが怖いから誰かそばにいて手伝ってほしい。
・(家族~娘)母は昔料理が上手だった。また。作れるようになると嬉しい。
「領域における課題(背景・原因)」欄
・ 各アセスメント領域において生活上の問題と
なっていること及びその背景・原因を分析。
「領域における課題(背景・原因)の記載例
・ 自分で調理したいという意欲はあるが、右手
の痺れや握力低下により、包丁を握ることが困難な状態である。
・ 不安は大きいようだが、このまま、右手を使わ
ないままでいると拘縮してしまう可能性がある。
総合的課題
・ ニーズという捉え方ではなく、背景・原因から
考えられる課題を書く。
・ 他領域の課題の背景と原因に共通している
点を探り、『重ねあわせ』をする。
「総合的課題」の記載例
・ 右手の痺れや握力低下により、調理行為が
困難な状態である。右手を使わないままでいると、拘縮してしまう可能性がある。
課題に対する目標と具体策の提案
・目標⇒
利用者や家族に対して専門家として示す提案。
漠然とした目標ではなく、評価可能で具体的なものとする。
・具体策⇒介護保険サービスだけでなく、生活機能の低下を予防するための、利用者自身のセルフケアや、家族の支援、地域のインフォーマルサービスについても記載する。
課題に対する目標と具体策の記載例
・目標⇒
(3カ月後には)ひとりで□□まで歩いて行けるようになる。
・具体策⇒①▼▼を利用して△△を行う。②誰々が■■を行う。③…
具体策についての意向本人・家族
・最終的な目標設定を合意する上での
足がかり!!
・専門家の提案と利用者の意向の相違点が
確認!!
具体策についての意向
合意が得られた場合⇒
「○○が必要だと思う」
「○○を行いたい」
・合意が得られなかった場合⇒
その理由や根拠等について、利用者や家族の考えを記載する。
いよいよ!『支援計画』の作成
目標
・ 前項目で利用者や家族とともに考え、合
意した目標を記載する。
・ 当初から、「課題に対する目標と具体策」
について合意を得られた場合には、「同左」あるいは「提案どおり」などを記載してもよい。
目標の具体的記載例
①自宅で週2回調理を行う。
②ひとりで□□まで歩いていけるようになる。
③一日に一度は、肉か魚を食べる。
数量で表現すると評価がしやすい。
目標についての支援のポイント
・ 支援者側が支援実施状況における安全管
理上のポイントや、目標に対して、具体的な支援を行う上での支援者側の留意点を記載する。
目標についての支援のポイントの記載例
・例:
不安があるため、通所サービスで練習し、娘さんが帰省したときに一緒に調理するなど、安心して調理ができるよう支援を進めていく。
本人等のセルフケアや家族の支援、インフォーマルサービス
・ 本人が自ら取り組むこと、家族が支援するこ
と、地域のボランティアや近隣住民の協力などを具体的に記載する。
・ 誰が何をするのかを具体的に記載する。
本人等のセルフケアや家族の支援、インフォーマルサービスの記載例
・【本人】
娘が帰省した時に自宅で1人で調理する。
教室で習った献立を家でも作ってみる。
・【家族】
母親の作った料理を食べに、帰省する。
(時間があれば見守る)
・【地域】
近所の人に、買い物を誘ってもらう。スーパーの
宅配サービスを使う。
介護保険サービスまたは地域支援事業
・ 予防給付(地域支援事業)の具体的な
サービス内容を記載する。
★訪問介護など、サービスの種類を記載するものではない。
介護サービスまたは地域支援事業の記載例
・ 自分にあった運動の仕方を身につけ、
自宅でも少しずつ運動ができるようにする。
・ できる限り、日中は起き上がり居室で座って
過ごすなどベットから離れる。
・(障害に合わせた)調理器具や調理方法に
ついて、情報提供・訓練をする。
サービス種別
・ 支援内容に適したサービス種別を具体的に
記載する。
・ 報酬区分・加算の内容も記載する。
サービス種別の記載例
・ヘルパーの場合⇒
介護予防訪問介護
介護予防訪問介護Ⅰ
・デイサービスの場合⇒
介護予防通所介護
(運動器機能向上加算)
(栄養改善加算)
(口腔機能加算)
・特殊寝台・配食サービス
事業所 欄
・ 具体的な「サービス種別」及び当該サービ
ス提供を行う「事業所名」を記載する。また、地域、介護保険以外の公的サービスが担う部分についても明記する。
期間 欄
・「期間」はサービスをどの程度の期間にわたり実施するかを記載する。
・「○月○日~○月○日」と記載する。
・「期間」の設定においては、認定の有効期間も考慮する。
・回数・実施曜日など提案があれば、それも記載する。
総合的な方針:生活不活発病の改善・予防のポイント
・ 利用者や家族、ケアチームのスタッフが生活
不活発病の改善、予防に向けて取り組む、共通の認識や留意点を記載する。
【本来行うべき支援が実施できない場合】妥当な支援の実施に向けた方針
・ 本来の支援を実施できるように働きかける、
具体的な手順や方針を書く。
・ 地域における資源の不足により、理想である
本来の支援ができない場合は、地域における新たな活動の創設などの必要性を記載する。
【本来行うべき支援が実施できない場合】妥当な支援の実施に向けた方針
記載例
・ 友愛訪問がないので、民生委員と協力して地
域資源の構築につなげることが必要。
計画に関する同意 欄
・ 介護予防サービス計画原案の内容を利用
者・家族に説明を行った上で、利用者本人の同意が得られた場合、利用者に記入してもらう。
プランの実施
アセスメント モニタリング
担当者会議 評価