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課題研究 単位認定発表
秋谷 祐亮
2009年1月20日
GPS受信機による高緯度電離圏擾乱の観測と
「れいめい」衛星によるオーロラ観測との比較
目的
• GPS受信機による高緯度電離圏の擾乱の観測と「れいめい」衛星によるオーロラ観測とを比較し、両者の関係を明らかにする。
• 「高緯度電離圏擾乱」をどう定義するか?
→ 後で言います。
中間発表の遺言
• 両者を表すことは(プログラムで)できるから、あとは関係を調べる。
• できるだけGPS受信機の密度が高い所で、変化の多いイベントを見たい。
• 受信機が見る「向き」と擾乱の「大きさ」は、オーロラと関係があるか?
どの地域にターゲットを絞る?
• オーロラがそれなりに発生するところ
→ 地磁気緯度55°以上のところ
→ アラスカ、ロシア北部、スカンジナビア、アイスランド、グリーンランド、南極
• GPS受信機が高密度であるところ
→ 日本、アメリカ(含アラスカ)、ヨーロッパ、ニュージーランド
⇒ アラスカ or スカンジナビアがよさそう。
「電離圏の擾乱」の定義
• オーロラは、主に粒子の降り込みによって発生している。→全電子数にもその変化が現れるのでは?
• GPS受信機が観測する全電子数は(オーロラ以外の要因でも)わずかながら変化している。
↓
• 1時間程度の平均の全電子数から数分のオーダーで1TECユニットくらいずれる現象を「擾乱」と考えてみることにする。
「れいめい」衛星の画像の選択
図の緑色の四角形の中に入る画像を選び出した。(約60イベント)
Event 1(状況)
• 2007年1月1日11:28:53~11:30:37UT
→ その様子をGoogle Earth上で
• GPS衛星PRN8、PRN27が近くに飛んでいた
←8
27→
Event 1(全電子数その1)
GPS衛星PRN8を見上げているときの全電子数の変化の様子
(左)北緯62°以上 (右)北緯62°以下 のGPS受信機
Event 1(全電子数その2)
GPS衛星PRN27を見上げているときの全電子数の変化の様子
(左)北緯62°以上 (右)北緯62°以下 のGPS受信機
Event 1(擾乱の様子)
• 北緯62°以北のGPS受信機はオーロラ越しに
GPS衛星を見ていて、短い周期で1TECユニット程度の全電子数の変化が起きている。
• 北緯62°以南のGPS受信機ではそのような変化は観測されていない。
→ Google Earth上でも見てみる。
⇒ どうやら「短い時間での全電子数の変化」と「オーロラ」との間には関係がありそう。
Event 2(状況)
• 2007年2月16日11:21:04~11:23:00UT撮影
• 近くを飛んでいたGPS衛星は
PRN8、PRN19、PRN28、PRN29
• オーロラの輝度はEventより弱い。
• Pathの真ん中あたりでオーロラの端をとらえている。
Event 2(どこを見てるか1)
Event 2(どこを見てるか2)
Event 2(どこを見てるか3)
Event 2(比較するところ)
関連がある?
Event 2
(粒子組成)
11:21UT過ぎに、電子のダイヤグラムが逆V字型になっている。
=電子が加速されている。
11:22UT前に一瞬、
10の9乗eVくらいの
エネルギーをもつ電子が降り込んでいる。
Event 2(比較の結果)
• 「れいめい」の軌道の近くには4つのGPS衛星が飛んでいたが、CENAの受信機がPRN19に向いたときだけ、全電子数の急増が観測された。
• 11:22UT前に、一瞬だけ高エネルギーの電子
(とイオン)が降り込んできているのがEISAによって観測されている。
⇒ この一瞬の降り込みをとらえた?
Event 3(状況) • 2007年3月19日11:21:27~11:23:24UT撮影
• AE指数をみると、このときはEvent 1・Event
2よりも静穏。
• 青の波長(427.8nm)で見るのと、緑(557.7nm)・赤(630nm)の波長で見るのとで、オーロラの見え方が違う。
• PRN11、PRN17が近くを飛んでいた。
Event 3(どこを見てるか1)
Event 3(どこを見てるか2)
Event 3(どこを見てるか3)
Event 3(全電子数の変化)
Event 3の全電子数の変化 Event 1の全電子数の変化
Event 3の全電子数の変化の周期は、前の2つのイベントと比較すると長い。
5分強
約3分
Event 3(考えられること)
• PRN17の方を見上げているときは、ほとんど全電子数の変化が観測されず、穏やか。
• PRN11の方を見上げている時には、長い周期の全電子数の変化が観測される。
⇒視線方向の問題(真上ではなく横を見ている)、他の現象の影響が伝播してきている。
結論
• 「オーロラが発生している」⇒「全電子数に短い周期で増減(擾乱)が生じる」
• 全電子数の増減の速さは、AE指数の増減の速さと関係がある。
★ 定量的な関係については…、研究します。
おしまいです。