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14 Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて) 一般事業主行動計画はこのように 策定・届出・実施しましょう(認定に向けて) 1.一般事業主行動計画策定の手順~認定を取得する目的等の再確認~ 一般事業主行動計画は、次のフロー図に示したような段階を経て策定しましょう ☆ 「一般事業主行動計画策定」から「認定」までのフロー図☆ 自社の方針、経営者の意向を明確にする 【認定】を受けるか?を決める →自社の両立支援の関連制度の状況や 過去数年間の退職者数の状況などの確認 行動計画を策定し、公表するとともに、一般事 業主行動計画の内容を従業員に周知する 方針の 確認 ニーズの 把握 行動計画 策定 自社の 現状把握 計画届出 と実施 自社の両立支援関連制度利用の現状 過去数年間の退職者数の現状などの確認 育児をしている従業員、していない従業員の 双方に対して、働き方に対するニーズを アンケート、ヒアリングなどで確認 同業他社や同規模企業と比べた 自社の両立支援レベルの確認 目標の設定 目標達成のための対策の設定 行動計画を策定した旨の届出 計画の実施 目標の達成 完成 計画期間の設定 設定の申請 新たな計画の策定・実施へ → 【認定】を希望するかどうか方針を決める p19 p16 p18 p19 p21 p20 p22 p23 p24 p24 p32

一般事業主行動計画はこのように 策定・届出・実施しましょ …16 Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

Ⅱ一般事業主行動計画はこのように

策定・届出・実施しましょう(認定に向けて)

1.一般事業主行動計画策定の手順~認定を取得する目的等の再確認~

●一般事業主行動計画は、次のフロー図に示したような段階を経て策定しましょう

☆ 「一般事業主行動計画策定」から「認定」までのフロー図☆

事前準備段階

策定段階

届出と実施段階

自社の方針、経営者の意向を明確にする 【認定】を受けるか?を決める

→自社の両立支援の関連制度の状況や  過去数年間の退職者数の状況などの確認

行動計画を策定し、公表するとともに、一般事 業主行動計画の内容を従業員に周知する

方針の 確認

ニーズの 把握

行動計画 策定

自社の 現状把握

計画届出 と実施

自社の両立支援関連制度利用の現状 過去数年間の退職者数の現状などの確認

育児をしている従業員、していない従業員の 双方に対して、働き方に対するニーズを アンケート、ヒアリングなどで確認

同業他社や同規模企業と比べた 自社の両立支援レベルの確認

目標の設定

目標達成のための対策の設定

行動計画を策定した旨の届出

計画の実施

目標の達成

完成

計画期間の設定

設定の申請

新たな計画の策定・実施へ

→ 【認定】を希望するかどうか方針を決める

p19

p16

p18

p19

p21p20

p22

p23

p24

p24

p32

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2.取組みのスケジュール

平成22年

平成22年 7月1日

平成24年 7月1日

平成22年 4月・現状の把握(制度利用者や関係者の意見収集等)   ・全従業員アンケートの実施 → アンケートのまとめ   ・検討委員会発足に向けたメンバーの選出 5月・第1回検討委員会   <一般事業主行動計画詳細原案の作成> 6月・第2回検討委員会(一般事業主行動計画案の議論)   ・第3回検討委員会(一般事業主行動計画最終案のまとめ)

一般事業主行動計画を策定した旨の届出 都道府県労働局へ届出

●社内外への周知    ↓ ●一般事業主行動計画の具体的実施    ↓ ●定期的な実施状況の点検

 次期(2回目)の行動計画を策定 ・2回目以降の行動計画は、1回目と同様に従業員のニーズを聞いたうえで必要なことから実施するよう目標を立てる。策定後すみやかに届け出る。

1回目の一般事業主行動計画の目標達成

認定申請 1回目の計画期間終了後、認定を希望する場合は都道府県労働局 に申請する

☆ 計画策定の取組みスケジュール例☆

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

3.策定に当たっての事前準備

(1)自社の現状を把握しましょう

一般事業主行動計画は、自社の実情を踏まえ「現状よりも少しでもよい労働環境にすること」が大切です。その

ためには、現状を把握することが必要です。自社の現状を把握するには、例えば次のような方法が考えられます。

これらの中から、自社に合った方法を選んでみてください。

●自社の育児支援制度の利用状況を確認する

一定期間(例えば、過去5年程度)をさかのぼって、あなたの会社の両立支援関係制度の利用状況を把握しまし

ょう。

例えば、

・妊娠・出産を機に退職する社員がどれくらいいるか。

・妊娠中の社員の通院のための時間の確保・利用がされているか。

・育児休業、育児のための勤務時間の短縮等の措置、子の看護休暇などの、各種制度の利用状況はどうなっている

か。平均的な利用時間はどのくらいか。休業者が行っていた業務はどのように処理されているか。

・ 育児・介護などを理由とした退職者はどれくらいいるか。

●厚生労働省が定めた「両立指標」を活用して、両立支援レベルの他社との比較をする

あなたの会社で行われている両立支援策が、同じ業種・地域・規模の他社と比べてどの程度のレベルにあるかを

確認するには、厚生労働省が定めた「両立指標」を活用すると便利です。61の設問に答えることによって「仕事

と家庭の両立のしやすさ」を客観的に評価できます。

次のホームページにアクセスしてください。グラフ等により、自社の自立支援レベルがわかります。『ファミリー・フレンドリーサイト』http://www.familyfriendly.jp

●国が作成した「行動計画策定指針」を活用して、自社の課題を確認する

自社の課題を詳しく確認したいときは、次のページの届出様式に沿って、「自分の会社はどの程度できているか」

をチェックするのもよいでしょう。「従業員が意欲を持って働くために、何が必要か」がわかります。

なお、一般事業主行動計画の策定を都道府県労働局に届け出る様式(一般事業主行動計画策定・変更届)は国が

作成した「行動計画策定指針」に沿って作成されています。

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☆ 届出様式に沿ってチェックしてみましょう☆

妊娠中や出産後の女性労働者の健康の確保について、労働者に対する制度の周知や情報提供及び相談

体制の整備の実施

子どもが生まれる際の父親の休暇の取得の促進

育児・介護休業法の育児休業制度を上回る期間、回数等の休業制度の実施

育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備として次のいずれか一つ以上の措置の実施 

 ( ア )男性の育児休業取得を促進するための措置の実施

 ( イ )労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後の労働条件に関する事項についての周知

 ( ウ )育児休業期間中の代替要員の確保や業務内容、業務体制の見直し

 ( エ )育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上のための情報提供

 ( オ )育児休業後における原職又は原職相当職への復帰のための業務内容や業務体制の見直し

子どもを育てる労働者が利用できる次のいずれか一つ以上の措置の実施

 ( ア )短時間勤務制度

 ( イ )フレックスタイム制度

 ( ウ )始業・終業時刻を繰上げ又は繰下げる制度

 ( エ )所定労働時間を超えて労働させない制度

子どもを育てる労働者が利用できる事業所内託児施設の設置及び運営

子どもを育てる労働者が子育てのためのサービスを利用する際に要する費用の援助の措置の実施

労働者が子どもの看護のための休暇を取得できる制度の導入

希望する労働者に対する勤務地、担当業務の限定制度の実施

子育てを行う労働者の社宅への入居に関する配慮、子育てのために必要な費用の貸付けの実施など子育て

をしながら働く労働者に配慮した措置の実施

育児・介護休業法に基づく育児休業や時間外労働・深夜業の制限、雇用保険法に基づく育児休業給付、労

働基準法に基づく産前産後休業など諸制度の周知

出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施

(概要を記載すること)

所定外労働の削減のための措置の実施

年次有給休暇の取得の促進のための措置の実施

短時間正社員制度の導入の促進

在宅勤務等の場所・時間にとらわれない働き方の導入

職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正のための情報提供・研修の実施

(概要を記載すること)

託児室・授乳コーナーや乳幼児と一緒に利用できるトイレの設置等の整備や商店街の空き店舗等を活用した

託児施設等各種の子育て支援サービスの場の提供

地域において子どもの健全育成のための活動等を行うNPO等への労働者の参加を支援するなど、子ども・

子育てに関する地域貢献活動の実施

子どもが保護者である労働者の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」の実施

労働者が子どもとの交流の時間を確保し、家庭の教育力の向上を図るため、企業内において家庭教育講座

等を地域の教育委員会等と連携して開設する等の取組みの実施

若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れ又は職業訓練の推進

(概要を記載すること)

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

その他

その他

その他

行動計画策定 指針の事項

次 世 代 育 成 支 援 対 策 の 内 容 と し て 定 め た 事 項

(1)子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための

   雇用環境の整備

1.

 

雇用環境の整備に関する事項

(2)働き方の見直しに

   資する多様な労働

   条件の整備

2.

 

1以外の次世代育成支援

  対策に関する事項

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

●あなたの会社のレベルチェックする

『うちの会社のレベルチェック』で、自社の「仕事と家庭の両立レベル」が確認できます。

ぜひ試してみてください。

自社の実情に合った一般事業主行動計画を策定するために「うちの会社のレベルをチェック」

LEVEL-1 LEVEL-2 LEVEL-3 LEVEL-4

仕事と家庭の両立できる制度を整備しましょう

仕事と家庭の両立を支援する制度の周知と従業員の理解を高めましょう

従業員の多様なニーズを把握し、多様な働き方ができる制度の導入を検討しましょう

従業員にとって働きやすい環境の整備を今後も継続・発展させましょう

あなたの会社では、 子どもがいる従業員 (正社員)は?

人材の定着が悪くて 困っている

会社全体として、残業 が多い傾向がある

あなたの会社は、育児を している人が働きやすい 雰囲気がありますか?

会社全体で平均した 有給休暇の取得率 はどのくらい?

これまでに男性の 育児休業取得者 がいますか?

育児休暇についての 社内規定が ありますか?

出産した女性の 多くは育児休業を取得

しますか?

未就学児のいる 従業員に対する短時間 勤務の制度が ありますか?

社内に女性の 管理職はいますか?

START多いほう

あると思う

5割以上 5割未満

あまりない

少ないほう

YES

YES

ある

ない

ない

いない

いない

ある

取得する

取得しない

いる

いる

NO

NO

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(2)従業員ニーズを把握しましょう

従業員のニーズを把握するには、自己申告やアンケート、対象者を集めたヒアリングやグループ・インタビュー

などを行うことが有効です。また、日頃のコミュニケーションの中にも大切なことはたくさんあるでしょう。

よい計画を策定するには、無理のない方法で、従業員の率直な意見を

収集できるような方法を取り入れることが重要です。

1.現状から一歩でも二歩でも前に進むために行動計画を策定する旨を確認しましょう。

2.従業員により労働意欲をもってもらうためにはどうすべきかを確認しましょう。

3.認定を希望するかどうかを確認しましょう。

一般事業主行動計画を策定するには、同業種の他社との比較や先進企業の取組み状況が大変参考になります。情

報収集には、「両立支援のひろば(http://www.ryouritsushien.jp/)」や、組合・業界団体を通じて関連情報を

収集することがよいでしょう。

また、法令、人事労務、助成制度の関連情報について、行政・専門家等へ確認しておくことも重要です。

(3)自社の方針を確認しましょう

一般事業主行動計画の策定に当たっては、経営者が明確に「仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)を

人事戦略の1つとして位置付けることが不可欠です。まずは、経営者が自社の取組み方針を明確にしましょう。

また、認定を希望するかどうかにより、一般事業主行動計画の目標が異なってくることがあります。一般事業主

行動計画を策定する場合は、認定を希望するかどうかを、事前に明確にしておきましょう。

一般事業主行動計画を策定する際、まず大事なことは自社の方針を確認・決定することです。次に掲げる届出様

式に沿って、次世代育成支援対策の内容として、自社の定める方針と目標を確認してみましょう。

また、目標設定をする際、目標達成に向けた社内の体制についても、併せて検討してみましょう。体制は企業の

実情に合わせて整備しましょう。

よりよい制度を導入するため、経営者、管理職、従業員、人事労務担当者などから構成される検討のためのチー

ム(委員会)を立ち上げるとよいでしょう。

人数や検討回数にこだわる必要はありませんが、従業員の代表を含めることをおすすめします。従業員の理解と

関心を高めることが大切です。

1.体制整備のための委員会を立ち上げ、委員会が中心となって推進しましょう。

2.委員会は、経営者、管理職、従業員、人事労務担当者等で構成し、全社的理解と関心を高めるような

ものにしましょう。

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

4.一般事業主行動計画の「目標」「計画期間」「目標達成のための対策」の設定

(1)一般事業主行動計画に掲げる「目標」はこのように定めましょう

一般事業主行動計画の目標としては、国が「行動計画策定指針」に基づき作成した17ページの一般事業主行動

計画に盛り込む目標例の「1.雇用環境の整備に関する項目」「2.1.以外の次世代育成支援対策に関する事項」

に例示してあるような項目を、自社の実情に合わせて自由に設定できます。目標は1つでもよいし、複数設定する

こともできます。また例示以外の項目を目標に掲げても構いません。

ただし、認定を希望する場合は、「1.雇用環境の整備に関する項目」にあるような項目を少なくとも1つ、一

般事業主行動計画の目標に盛り込まなければなりません。

一般事業主行動計画は、2015年3月31日までの長期にわたり、計画期間を定めて繰り返し策定・実施するも

のです。“最初は何から取組み始めるか”“最終的な目標は何にするのか”を念頭におき、以下の点に留意して“で

きること”を目標に選びましょう。

1.従業員のニーズを踏まえたもの

2.自社の実情に合ったもの

3.現状より少しでも労働環境をよくするもの

4.進捗を客観的に把握できるように数値で表せるもの

5.関係法令で定められている最低基準を上回るもの

●認定を受けることを目指して「目標」を定めるとよいでしょう

せっかく一般事業主行動計画を策定するのであるなら、厚生労働大臣の認定を受けて「認定マーク」を活用し、

「次世代育成支援対策に取り組んでいる企業」として内外にアピールしたほうが、中小企業にとっては、メリット

があります。

認定を受けるには、前述したとおり目標決定に際して、「行動計画策定指針」の「1.雇用環境の整備に関する

項目」にあるような項目を少なくとも1つ一般事業主行動計画の目標に盛り込む必要があり、また、認定基準

(25ページ参照)を達成する必要があります。

したがって、一般事業主行動計画を作成する際には、認定を目指すかどうかの方向性を決めたうえで、目標を定

めることが重要です。

1

2

3

制度の導入や改正

現行制度の利用状況 の改善

働き方の現状の改善

新たな制度を導入したり、実施する。また、既存の制度をよりよいものに変更する。

制度を周知したり、管理者意識を高めるための研修などを通じて制度の利用改善を図る。

働き方の現状の改善

★目標は、大別すると次の3つのパターンになります。

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●一般事業主行動計画には、このような「目標」を盛り込むとよいでしょう

図表4は、中小企業が実際に一般事業主行動計画を策定する場合、目標としてどのような項目を掲げるかを聞い

たものです。

図表4 計画に盛り込む子育て支援策

出典)全国中小企業団体中央会「中小企業における次世代育成支援に関するアンケート調査」(平成18年9月)

(%)

その他

事業所内託児施設の

設置・運営

ITを利用した在宅

勤務制度(テレワーク)

法の規定を上回る

育児休業制度

子育てのために必要

な費用の援助、貸付

出産や子育てによる

退職者の再雇用制度

子どもの出生時における

父親の休暇取得促進

ノー残業デー等の

導入・拡充

育児休暇中の社員の

職業能力の維持・向上

子どもの看護のため

の休暇制度

始業・就業時刻の

繰上げ・繰下げ

年次有給休暇の

取得推進

復職のための業務内容

や体制の見直し

フレックスタイム制度

妊娠中・出産後の健康

管理や相談窓口の設置

隔日勤務制度

短時間勤務制度

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

40.838.6

35.1 33.1

27.424.5 23.2

20.918.1

11.19.0

5.7 4.1 3.5 2.6 1.6 3.0

(2)一般事業主行動計画の「計画期間」はこのように定めましょう

一般事業主行動計画は、特に認定を目指す場合には、1回の計画を2~5年間の範囲とし、2015年(平成27

年)3月31日までの長期にわたり繰り返し策定・実施するものです。会社の実情を踏まえて計画期間を設定しま

しょう。

次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画策定期間は、2005年(平成17年)4月1日から、

2015年(平成27年)3月31日までの10年間ですから、例えば、2010年7月1日時点で一般事業主行動計画

を策定する場合には、残りの計画策定期間は「4年9か月」となります。したがって、この場合には、計画期間を

次の例のように設定することも可能です。

(例)2010年7月1日に一般事業主行動計画を策定する場合の計画期間

例:残り4年9か月の策定期間を2期間に区分 計画期間を1回目2年間、2回目2年9か月

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

(3)一般事業主行動計画の「目標達成のための対策」「実施期間」を定めましょう

目標を定めたら、「いつまでに」「どんなことをして」目標を達成するか、「対策」を決めなければな

りません。認定されるためには、2~5年の期間内に実現可能な目標と対応策を決めることが肝要です。

1.あなたの会社の実情に則して、できることを具体的にあげる。

2.「いつまでに」「どんなことをして実行するか」を目標期間内に割り振る。

例えば、「子どもの出生時に父親が取得できる休暇制度を導入する」という目標を立てた場合、対策と実施時期

を次のように定めてはどうでしょう。

(例)計画期間を2010年7月から2012年までの2年間とした場合

目 標:子どもの出生時に父親が取得できる休暇制度を導入する。

対 策:2010年7月 従業員の具体的なニーズの調査

制度の詳細に関する検討開始

2011年7月 制度の運用を開始し、全従業員に対して周知・啓発を行う。

☆目標を達成するための対策例☆

・他社の事例を集める。

・従業員の意見を聞くためのアンケート調査を行う。

・従業員の意見を聞くためのヒアリング調査を行う。

・社内検討会を設置する(対象、内容、制度利用中の処遇等についての検討)。

・試験的に実施し、○○年▽月に本格的に導入する。

・社内報やイントラネットなどを利用して制度の周知を図る。

・朝礼(又は定期的部門ミーティングなど)で制度を周知する。

・社内報に制度利用の事例紹介等の特集を組む。

・周知のためのパンフレットを作成し、従業員に配布する。

・社内のイントラネットで制度を周知する。

・従業員研修会の場で制度を周知するためのセミナーを年○回開催する。

・管理職研修会の場で制度を周知するためのセミナーを年○回開催する。

・制度普及のためのキャンペーンを計画的に年○回(●週間)行う。

・現状や原因を分析するプロジェクトチームを設置する。

・管理職を対象にした意識改革のための研修を年○回開催する。

・従業員に取組みの方針や内容を周知する。

・業務の進め方を見直して効率化を進める。

・その後の状況をフォローアップする。

目標のパターン

①制度の導入・改善

②現行制度の運用の改善

③働き方の現状の改善

考えられる対策例

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5.一般事業主行動計画の届出

一般事業主行動計画が完成したら、定められた様式にしたがって、策定したことを都道府県労働局に届け出る必

要があります。

●策定したことの届出は都道府県労働局雇用均等室へ

届出の様式は、

1.最寄りの「都道府県労働局」

2.厚生労働省(労働局)のホームページからダウンロードして入手できます。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/

届出時には、届出様式(用紙)の該当箇所に○印をつけて提出するだけで足り、行動計画その

ものを提出する必要はありません。また、行動計画を変更した場合にも、策定時と同様の手続き

が必要です。

6.一般事業主行動計画の公表及び従業員への周知

次世代育成支援対策推進法の改正により、従業員301人以上の企業が平成21年4月1日以降に一般事業主行動

計画を策定又は変更した場合には、一般事業主行動計画の公表及び従業員への周知が義務となります。(従業員

300人以下企業は努力義務。ただし平成23年4月1日からは従業員101人以上300人以下企業は義務となりま

す。)

一般事業主行動計画の公表は、①事業主が他の企業における取組事例を知り、②国民が事業主の取組を知り、③

また就業希望者の企業選択に資する、という効果があります。また、一般事業主行動計画の従業員への周知は、従

業員の理解を得ながら企業全体で次世代育成支援対策の取組を推進することができるという効果があります。

(1)公表方法について

公表は、①インターネットの利用、②その他の適切な方法により行うことが必要です。①の「インターネットの

利用」の例としては、自社のホームページや仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組んでいる企業の取組などを掲

載しているサイト「両立支援のひろば」(http://www.ryouritsushien.jp/)の利用などが考えられます(インタ

ーネットの利用が不可能な場合は、事業所に備えつけるなどの方法もあります)。②の「その他の適切な方法」の

例としては、日刊紙への掲載、県の広報誌への掲載等が考えられます。

(2)従業員への周知方法

周知方法としては、①事業所の見やすい場所への掲示又は備え付け、②書面による労働者への交付、③電子メー

ルを利用した労働者への送信、④その他の適切な方法により行うことが必要です。

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Ⅱ.一般事業主行動計画はこのように策定・実施しましょう(認定に向けて)

7.一般事業主行動計画の実施・達成

一般事業主行動計画が完成し、届出が終わったら、計画の実行あるのみです。目標の達成を目指し、具体的な対

策への取組みをスタートしましょう。

目標を達成するために、進捗状況は、定期的に把握

しましょう。また、計画の途中で、実施状況を都道府

県労働局に報告する必要はありません。

8.次期一般事業主行動計画の策定

1回目の計画期間の満了に近づいたら、同様の手順を経て次期の一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府

県労働局へ届けましょう。

1回目の計画期間で目標を達成し、一定の要件(認定基準)を満たしていれば、その時点で「認定」を受けるこ

とが可能です。また、2回目以降も、一般事業主行動計画の策定・届出を行い、目標を達成し、要件(認定基準)

を満たせば、2回目の認定を受けることができます。