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内部監査に必要な能力のサーベイ 2010年10月版

内部監査に必要な能力のサーベイ - Protiviti...4 11 CobiT 1.9 1.9 5 15 XBRL 1.5 1.4 6 14 国際標準化機構(ISO)270000 1.8 1.9 7 18 バーゼルⅡ 1.5 1.5 8 –

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内部監査に必要な能力のサーベイ2010年10月版

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内部監査に必要な能力のサーベイ(2010年10月版) © 2010 Protiviti Inc. All rights reserved.1

今日の内部監査は、伝統的な内部統制の分野のみならず、全社

的リスクマネジメント(ERM)、コーポレートガバナンスなど多岐に

わたってガイダンスや専門性を提供し、組織体の活動に付加価

値を提供することをますます期待されています。その結果、内部

監査の果たす役割は、その範囲や複雑さにおいて大幅に増大し

ており、内部監査の専門職としての知識やスキル、専門性を高め

ることが必要となっています。

このような状況を踏まえ、プロティビティジャパンでは、2008年より

内部監査人の能力・スキルに関する調査を毎年実施しておりま

す。「監査全般にかかる専門知識」「監査プロセスの知識」「個

人のスキルと能力」の3つの分野において現状の能力がどの水

準にあると考えているのか、また、向上の必要性を感じている項目

は何かについての調査を2010年9月に実施しました(米国プロ

ティビティでも同様の調査を毎年実施しています)。

調査では、日本の内部監査担当役員、内部監査部門長、マネー

ジャー、その他の専門職の計191人の方 に々ご協力を頂きました。

調査結果の詳細は本文で述べておりますが、大変興味深い結

果が得られています。例えば、「監査全般にかかる専門知識」に

おいては、早期適用が始まり多くの企業で検討を開始した「国際

財務報告基準(IFRS)」が最近の動向の影響で向上の必要性

の1位となっています。また、GAITやCobiTが順位をあげており、

IT監査に対する関心が向上しているのがうかがえます。

今回の調査結果は、内部監査の役割が急速に変化する中で、内

部監査の専門家のみならず、取締役会、監査役、監査委員会、

内部監査機能の向上を目指している経営幹部や専門家の皆様

にとっても、ご参考になるものと信じています。

最後になりましたが、調査にご協力頂いた方々に厚く御礼申し上

げます。

2010年10月

株式会社プロティビティ ジャパン

内部監査担当マネージングディレクタ

谷口 靖美

はじめに

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当サーベイは、日本の内部監査担当役員、内部監査部門長、マネージャー、その他の専門職の計191人に対し、内部監査に必要な能力について、3つの分野(監査全般にかかる専門知識、監査プロセスの知識、個人のスキルと能力)からアンケート形式で質問し、分析しています。

アンケートでは3つの各分野における知識や能力等を予めリストにし、回答者に知識・能力・習熟度のレベルを5段階、また、知識

レベルの適切性・向上の必要性を2段階で評価していただきました。

評価結果は下記の点数(表1、表2を参照)に換算した上で平均値を算出し、「知識・能力・習熟度のレベル」、「知識レベルの適切性・向上の必要性」の2軸にて各分野の知識・能力について分析を行いました。

次ページ以降に記載するサーベイ結果報告の各表はいずれも左欄の「向上の必要性」の順序(向上の必要性ありと回答した方の比率の高い順)に従って上から順番に「内容」を記載し、併せて右欄に現在の能力の平均値を記載しています。

Ⅰ.当サーベイについて

表1 点数表(知識・能力・習熟度のレベル)

表2 点数表(知識レベルの適切性・向上の必要性)

点数 評価内容

0  該当なし

1  1. 知識がない

2  2. 限られた知識がある

3  3. 精通している

4  4. 非常に精通している

5  5. 専門知識がある

点数 評価内容

2 A. 適切

4 B. 向上の必要性あり

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向上の必要性の順位は「国際財務報告基準 (IFRS)」が前年度に引き続き1位となりました。「不正リスクマネジメント(FRM)」は前回調査と変わらず2位に、3位は前年度8位であったGAITとなりました。

日本においても「国際財務報告基準(IFRS)」早期適用が始ま

り、企業の多くが適用の検討を開始したこともあって、前回の調査から引き続きIFRSの向上の必要性が1位となっています。 IFRS適用はその影響の大きさからも注目されていますが、適用には全社的な取り組みが不可欠であるため、内部監査に与える影響も多大であると考えられます。

「不正リスクマネジメント(FRM)」は前年に引き続いて2位とい

う結果となりました。内部統制報告制度(J-SOX)対応と併せて、依然として不正リスクに焦点をあてた不正リスクマネジメントへの取り組みの必要性が高いと考えられます。

前年8位にランクインした「GAIT(IT監査の国際的ガイダン

ス)」は、今回は3位と大幅躍進しました。また、CobiTも前年度の11位から大幅に順位を上げました。J-SOXへの関心が順位を下げるなか、IT監査に関心を示す企業が増加していることを反映していると思われます。

XBRL(eXtensive Business Reporting Language)は、国

際的に標準化された財務報告等に使用されるコンピュータ言語で、わが国においても法定開示制度におけるXBRLの導入にあわせて、2008年より証券取引所においてTDnetの第3次システム稼働に合せてXBRLが本格導入されました。今後、「IT統制」の一環として、また、Web情報の有効性と信頼性の保証の観点から内部監査部門にとっても関心が高まってきていると思われます。(能力的には1.5と低い水準にあります)

Ⅱ.監査全般にかかる専門知識の評価

概要

前年比較

表3 監査全般にかかる専門知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 1 国際財務報告基準(IFRS) 2.0 1.8

2 2 不正リスクマネジメント(FRM) 2.3 2.3

3 8 GAIT 1.6 1.5

4 11 CobiT 1.9 1.9

5 15 XBRL 1.5 1.4

6 14 国際標準化機構(ISO)270000 1.8 1.9

7 18 バーゼルⅡ 1.5 1.5

8 – ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント) 2.7 –

9 3COSO全社的リスクマネジメントフレームワーク(COSO ERM) 2.9 2.9

10 16 シックスシグマ 1.6 1.6

11 8 国際標準化機構(ISO)9000 2.1 2.1

12 5 会社法 2.8 2.7

13 11 内部監査の基準 3.0 3.1

14 16 国際標準化機構(ISO)14000 2.0 2.0

15 11 COSO 内部統制フレームワーク 3.1 3.1

16 8 内部統制報告制度(J-SOX) 3.3 3.1

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図1 監査全般にかかる専門知識 (向上の必要性・能力)

向上の必要性

能力

3.5

3.0

2.5

2.0

1.5

1.02.5 3.0 3.5 4.0

内部統制報告制度(J-SOX)

COSO内部統制フレームワーク

内部監査の基準

会社法

ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)

不正リスクマネジメント(FRM)

国際財務報告基準(IFRS)

CobiT

GAIT

XBRLバーゼルⅡ

シックスシグマ

国際標準化機構(ISO)9000

国際標準化機構(ISO)14000

国際標準化機構(ISO)270000

COSO全社的リスクマネジメント

フレームワーク(COSO ERM)

●●

●●

●●

●●●

●●

米国の調査結果では、向上の必要性の1位が「GAIT」、2位が

「国際財務報告基準(IFRS)」、3位が「XBRL」と前回調査と同じ結果となりました。

「GAIT」について、米国では前年から向上の必要性が認識さ

れていましたが、わが国においても本年度において向上の必要性が認識されるようになっています。能力レベルでは米国2.6に対し、日本1.6とかなりの差が示されています。

「国際財務報告基準(IFRS)」については米国においても向上

の必要性が高く(2位にランクイン)、日米ともにIFRSに対する関心の高まりがうかがえる結果となっています。能力レベルでは米国2.6に対し、日本2.0となっています。

一方で、米国において毎年5位以内にランキングされていた「ERM」が10位と順位を落としたほか「COSO 内部統制フレームワーク」等に関する関心の低下は日米共通のトレンドと考えられます。

米国との比較

表4 米国における監査全般にかかる専門知識(2年分)

向上の必要性の順位 2010 2009

1 GAIT(2.6) GAIT

2 国際財務報告基準(IFRS)(2.6) 国際財務報告基準(IFRS)

3 XBRL(2.1) XBRL

4国際標準化機構(ISO)27000

(情報セキュリティ)(2.2)

COSO全社的リスクマネジメントフレームワーク

(COSO ERM)

5 COBIT(2.7) 国際標準化機構(ISO)27000(情報セキュリティ)

(  )は能力

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全体調査と同様にIFRSが1位となりました。IFRS適用は業

務プロセスや情報システムの変更を伴うことから、内部監査部門長もIFRSに関する知識を深める必要性を理解していることの表れであり、前回調査と同様に上位にランクしていると考えられます。

前回の調査で6位であったGAITが全体調査と同様に大幅

に躍進し、2位となっています。前回調査では順位を下げていましたが、再び、情報セキュリティ、ITリスク評価等情報システムに対する意識が強まっていると言えます。

不正リスクマネジメント(FRM)」は1位から3位に順位を下げ

たものの、引き続き上位にとどまっています。不正リスク管理について、向上の必要性を強く意識していることがうかがえます。

内部監査部門長の特徴

表5 内部監査部門長の監査全般にかかる専門知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 2 国際財務報告基準(IFRS) 2.1 1.8

2 6 GAIT 1.9 1.6

3 1 不正リスクマネジメント(FRM) 2.5 2.3

4 6 CobiT 1.8 1.9

5 16 XBRL 1.7 1.5

6 6 国際標準化機構(ISO)9000 2.1 2.1

7 3COSO 全社的リスクマネジメントフレームワーク

(COSO ERM) 2.9 2.8

8 18 バーゼルⅡ 1.5 1.2

9 11 国際標準化機構(ISO)270000 1.9 1.8

10 13 国際標準化機構(ISO)14000 2.3 2.0

11 16 シックスシグマ 1.6 1.6

12 – ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント) 3.1 –

13 6 会社法 3.1 2.8

14 13 内部監査の基準 3.2 3.2

15 13 COSO 内部統制フレームワーク 3.4 3.0

16 12 内部統制報告制度(J-SOX) 3.6 3.0

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向上の必要性の順位は「不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、不正発見/調査、モニタリング、監査)」が1位となりました。続いて2位に「データ分析(統計的分析、データ解析、

データ操作、サンプリング)」、3位は内部監査の品質評価となっています。

Ⅲ.監査プロセスの知識の評価概要

前年比較

「不正対応」は前回の3位から1位へ順位をあげました。不

正に関しては「Ⅱ.監査全般にかかる専門知識」においても向上の必要性が高く、監査プロセスにおいても一定の能力レベルにあるものの、更なる能力向上のニーズがあることがうかがえます。

「データ分析(統計的分析、データ解析、データ操作、サンプリン

グ)」は能力のレベルアップもあり、向上の必要性が前回の1位から2位へ順位を落としましたが、依然監査における分析ツールの活用、データ収集・分析の高度化や監査プロセスの効率化について向上の必要性を感じていることがうかがえます。

内部監査の品質評価も向上の必要性の順位が高くなっていま

す。米国と比べて内部監査の品質評価(外部評価・内部評価とも)の導入は遅れていますが、内部監査の品質向上に向けた取り組みは各社とも進んでおり、品質評価に関する意識はかなり高いものと考えられます。

「IT監査」は前回調査と同様に上位にランクインされています。

他の調査でもIT監査に関する知識の向上の必要性が上位にランクインされており、IT監査に対する企業のニーズが相当程度、高まっていると言えます。

表6 監査プロセスの知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 3 不正対応 2.4 2.5

2 1 データ分析 2.4 2.1

3 4 内部監査の品質評価 2.5 2.5

4 4 IT監査 2.4 2.4

5 1 コントロール自己評価(CSA) 2.5 2.5

6 9 継続監査 2.1 2.5

7 11 監査戦略の立案 2.6 2.7

8 18 有効な改善提案 2.8 3.1

9 6 監査リソース 2.4 2.6

10 – リスクアプローチ 3.0 –

11 7 リスク評価 2.9 2.8

12 12 業務の有効性・効率性の評価 3.1 3.0

1315 コントロールの有効性の評価 3.1 2.9

13 監査計画の立案 3.1 2.9

※5段階評価

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一般的に、SOX対応業務の外部委託は初年度に最も多かったようです。多くの企業では、リスクアプローチ、トップダウンアプローチが浸透し、SOX対応経験が増え評価結果の信頼性が高まるにつれ、またSOX対応への費用対効果の改善に伴い、外部委

託の費用が着実に減少しているのがわかります。この傾向は下記のグラフに顕著に表れており、75%以上の業務を外部委託した企業、75%~50%を外部委託した企業の割合が年々減少していることがわかります。

SOX対応経験と評価結果の信頼性

図2 監査プロセスの知識(向上の必要性・能力)

向上の必要性

能力

3.5

3.0

2.5

2.0

1.5

1.02.5 3.0 3.5 4.0

不正対応

IT監査

監査リソース

データ分析

継続監査

コントロール自己評価(CSA) 内部監査の品質評価

監査戦略の立案

リスク評価リスクアプローチ

有効な改善提案

業務の有効性・効率性の評価

コントロールの有効性の評価

監査計画の立案

●●●●●●●

●● ●●●●

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米国の調査結果では、向上の必要性の1位「コンピュータ利用

監査ツール(CAATs)」、2位が「データ分析ツール(統計的分析)」、および「データ分析ツール(データ操作)」となっており、米国においてもITツールを活用した監査手法への関心が高いことがうかがわれます。データ分析の能力では、米国3.3に対して日本2.4とかなりの差が示されています。

米国では「継続監査」の向上の必要性が3位(日本は6位)となっ

ており、わが国に先行して関心が高まっています。ビジネス環境が激変し、現場のリスクやコントロールの状況が経営に影響を与える今日において、年に一度(あるいはそれ以下)の頻度

で往査することでは不十分と考え、重要なリスクに対する指標を内部監査部門が往査とは別に継続してモニタリングしていく継続監査の手法を、米国では向上の必要性が高いと考えられています。能力レベルでも米国3.3に対し日本2.1となっています。

米国の調査結果では、「IT監査」(※特に、変更管理、運用管

理、プログラム開発、セキュリティの分野において)の向上の必要性が4年連続で上位にランクインしており(2010年は5位)、日本と同じ傾向にあります。

米国との比較

表7 米国における監査プロセスの知識(2年分)

向上の必要性の順位 2010 2009

1 CAATs(3.2) コンサルティング視点による内部監査 CAATs

2 データ分析(3.3) データ分析

3 継続監査(3.3) 不正モニタリング

4 IT監査(3.1) 不正調査 IT監査

5 内部監査の品質評価(3.3) 不正監査 不正リスクマネジメント セキュリティ監査

(  )は能力

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監査リソースが前年の8位から1位へ大幅に順位を上げてい

ます。内部監査に対する期待が高まるなか、内部監査の役割・責任範囲は広がりつつあり、内部監査部門長が監査資源の確保ならびに能力向上に強い関心を示しているのが見受けられます。

内部監査部門長が毎年、向上の必要性を感じているのは

「内部監査の品質評価」です。内部監査部門長は内部監査の品質向上により強い関心・責任を有していることがうかがえます。2010年4月に「品質評価ガイド」が日本内部監査協会によって公表され、5年に一度の外部評価だけでなく内部評価にも取り組む内部監査部門が今後急速に増えてくるも

のと考えられます。

全体の結果と同じく、内部監査部門長が「不正(不正予防/

抑止、不正発見/調査、モニタリング、監査)」、「コントロール自己評価(CSA)」に高い関心をもっていることが明らかとなりました。

内部監査部門長の「IT監査」に対する関心は依然として高く

なっています。IT監査の重要性が増す中で、内部監査部門長が当分野について向上の必要性を強く感じていることがわかります。

内部監査部門長の特徴

表8 内部監査部門長の監査プロセスの知識

※5段階評価

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 8 監査リソース 2.5 3.0

2 1 内部監査の品質評価 2.4 2.5

3 2 不正対応 2.4 2.6

4 5 IT監査 2.3 2.4

5 5 監査戦略の立案 2.8 2.8

6 2 コントロール自己評価(CSA) 2.5 2.5

7 12 継続監査 2.4 2.8

8 4 データ分析 2.4 2.1

9 8 業務の有効性・効率性の評価 3.2 3.2

10 16 コントロールの有効性の評価 3.1 3.0

11 – 有効な改善提案 3.0 –

12 8 リスク評価 2.9 3.0

13 – リスクアプローチ 3.1 –

14 14 監査計画の立案 3.5 3.1

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向上の必要性の順位は1位が「外部とのネットワーキング」、2位が「コーチング/メンタリングスキル」、3位が「インタビュースキル」となりました。

Ⅳ.個人のスキルと能力概要

前年比較

今回の1位は「外部とのネットワーキング」となりました。内部監

査の動向・ノウハウといった内部監査に関する情報を共有するための外部とのネットワークを向上させる必要性が認識されたものと考えられます。日本内部監査協会の業界別部会、業界で自主的に行っている情報交換会、先進的な取り組みをしている企業の内部監査部門へのヒアリング、外部コンサルタントからの情報収集などの機会を積極的に活用していることがうかがえます。

前回調査で10位であった「コーチング/メンタリングスキル」が

2位へ大幅に上昇した点にも注目できます。内部監査部門内での人材教育・育成や被監査部門に対する指導・改善などの局面で、必要性が高まっているものと考えられます。

前年の調査では向上の必要性として、1位に「説得力」、2位に

「戦略的な思考力」、3位に「プレゼンテーションスキル」がランキングされていました。今回これらは一定の能力レベルにあり順位は下がっているものの、依然として向上の必要性は高いことがわかります。

表9 個人のスキルと能力

※5段階評価

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 6 外部とのネットワーキング 2.4 2.4

2 10 コーチング/メンタリングスキル 2.4 2.5

3 6 インタビュースキル 2.8 2.9

4 1 説得力 2.7 2.8

5 3 プレゼンテーションスキル 2.8 2.8

6 4 交渉力 2.7 2.8

7 2 戦略的な思考力 2.7 2.7

8 4 リーダーシップ 2.7 2.7

9 9 内部監査人の業績評価 2.5 2.4

10 6 文章表現力 3.0 2.9

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図3 個人のスキルと能力マップ(向上の必要性・能力)

向上の必要性

能力

3.5

3.0

2.5

2.0

1.5

1.02.5 3.0 3.5 4.0

内部監査人の業績評価コーチング/

メンタリングスキル

外部とのネットワーキング

プレゼンテーションスキルインタビュースキル

説得力戦略的な思考力

交渉力

文書表現力

リーダーシップ

●●●●●

● ●

米国との比較

米国の調査結果においても、「外部とのネットワーキング」が向

上の必要性の上位(3位)となっており、日本と同様の結果となっています。能力レベルは米国3.6に対し、日本2.4とかなりの差が示されています。一方で日本において大幅に順位をあげた、

「コーチング/メンタリングスキル」は米国では17位と低位にランキングされており、明確な相違点となっています。

内部監査人が備えるべき資質にコミュニケーション能力があり、

米国・日本ともに例年、「プレゼンテーションスキル」や「説得力」、「交渉力」といったコミュニケーションスキルが上位にランクイン

しています。

米国の前回調査で1位であった「監査委員会等取締役会の

委員会および上級経営者との関係の推進」の向上の必要性は、順位を落としているものの、依然として高い関心を持たれていることがわかります。今回の日本のサーベイでは監査役または監査委員会との関係に関する質問を設定していないために比較できませんが、米国では監査委員会が実質的に内部監査に対する指揮権を持つことが多く、内部監査から監査委員会への報告の頻度が高くなっていると考えられます。

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全体の結果として上位に上がっていた「外部とのネットワーキン

グ」、「コーチング/メンタリングスキル」が内部監査部門長の評価でも上位にランキングされています。

「プレゼンテーションスキル」や「交渉力」、「説得力」が前回調

査と同様に上位にランクインしています。内部監査部門長にとっても、内部監査のステークホルダー(関係者)に口頭あるいは文書で報告する機会が増えていることから、これらのスキルに対する関心が高いことがうかがえます。

表10 個人のスキルと能力(2年分)

表11 内部監査部門長の個人のスキルと能力

向上の必要性の順位 2010 2009

1 プレゼンテーションスキル(3.6) 上級経営者との関係の推進

2 交渉力(3.7) 交渉力

3 外部とのネットワーキング(3.6) 説得力 プレゼンテーションスキル 戦略的な思考

4 説得力(3.6) リーダーシップ 外部とのネットワーキング タイムマネジメント

5 戦略的な思考力(3.8) 監査委員会等取締役会の委員会との関係の推進

(  )は能力

内部監査部門長の特徴

※5段階評価

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1 3 外部とのネットワーキング 2.5 2.6

2 11 コーチング/メンタリングスキル 2.5 2.8

3 2 プレゼンテーションスキル 2.9 3.0

4 3 交渉力 3.0 3.1

5 3 説得力 2.9 3.1

6 7 内部監査人の業績評価 2.8 2.8

7 1 戦略的な思考力 2.9 2.9

8 7 リーダーシップ 3.0 3.1

9 6 インタビュースキル 3.1 3.1

10 10 文章表現力 3.1 3.2

Page 15: 内部監査に必要な能力のサーベイ - Protiviti...4 11 CobiT 1.9 1.9 5 15 XBRL 1.5 1.4 6 14 国際標準化機構(ISO)270000 1.8 1.9 7 18 バーゼルⅡ 1.5 1.5 8 –

内部監査に必要な能力のサーベイ(2010年10月版) © 2010 Protiviti Inc. All rights reserved.13

アンケート回答者191人の内訳は下記の通りです。

1. 回答者のポジション(回答者139人) 4. 回答者が所属する組織規模(回答者142人)

5. 内部監査部門の設立時期(回答者142人)

6. 内部監査部門の人員数(フルタイム換算) (回答者141人)

2. 回答者の現在のポジション期間(回答者145人)

3. 回答者が所属する業界(回答者127人)

回答者についての情報

ポジション/役割 回答者数

監査マネージャー 44

監査部門長 38

監査スタッフ 40

教育者 2

監査担当役員 7

IT監査マネージャー 4

IT監査部門長 1

IT監査スタッフ 1

監査契約社員 1

監査役または監査委員会メンバー 1

組織規模(連結売上高) 回答者数

2兆円以上 23

1兆円以上2兆円未満 13

5000億円以上1兆円未満 17

1000億円以上5000億円未満 24

500億円以上1000億円未満 21

100億円以上500億円未満 29

50億円以上100億円未満 7

50億円未満 8

監査部門設立時期 回答者数

10年以上前 67

5年以上10年未満 47

1年以上5年未満 26

1年未満前 2

内部監査部門の人員数(フルタイム換算) 回答者数

50人超 67

21~50人 47

11~20人 26

1~10人 83

現在のポジション期間 回答者数

1年未満 28

1年以上5年未満 82

5年以上10年未満 28

10年以上 7

業界 回答者数

製造 49

銀行・証券 11

流通 6

製薬 6

専門サービス 10

通信 13

マスコミ 5

ハイテク 2

教育 1

エネルギー 4

保険 11

不動産 3

その他金融 3

小売 1

公共事業 1

公共サービス 1