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京都市の脱炭素シナリオ 気候市⺠サミット2019 〜パリ協定スタート!脱炭素の未来へ〜 20191020⽇ ⿓⾕⼤学 深草キャンパス 株式会社E-konzal 越智 雄輝

京都市の脱炭素シナリオ · 2019. 10. 20. · 京都市の気候変動政策とシナリオ 3 1979 1988 1990 1992 1997 1998 第1回世界気候会議開催 ipcc設置 ipcc第1次評価報告書公表

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京都市の脱炭素シナリオ

気候市⺠サミット2019〜パリ協定スタート!脱炭素の未来へ〜2019年10⽉20⽇ ⿓⾕⼤学 深草キャンパス株式会社E-konzal 越智雄輝

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はじめに

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脱炭素とシナリオ

2

⽇本の温室効果ガス排出量の推移と削減⽬標

気候変動問題は複雑期間が⻑い

50年先、100年先まで考える必要がある

関わる分野が多い暮らし・経済・交通・農業・エネルギー・廃棄物・⼟地利⽤など多岐にわたる

変化が⼤きい気温上昇を抑えるためには社会の⼤きな変化が必要

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2030 2050

温室

効果

ガス

排出

量(M

tCO

2eq)

2005年度⽐3.8%削減

2013年度⽐26%削減

80%削減

これまでの延⻑では脱炭素社会の実現は困難バックキャスティングの考え⽅で削減⽬標の達成に向けたシナリオを構築

出典: 国⽴環境研究所 「⽇本国温室効果ガスインベントリ報告書 2017年提出版」をもとに作成

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京都市の気候変動政策とシナリオ

3

1979

1988

1990

1992

1997

1998

第1回世界気候会議開催IPCC設置IPCC第1次評価報告書公表気候変動枠組条約(UNFCCC)採択COP3開催、京都議定書採択地球温暖化対策推進法制定

2005 京都議定書発効2008 福⽥ビジョン(2050年60-80%の削減⽬標)発表

2011 東⽇本⼤震災発⽣2014 IPCC第5次評価報告書公表2015 約束草案(INDC)提出 COP21開催、パリ協定 採択2016 パリ協定発効

2018 IPCC1.5℃特別報告書公表

地球温暖化対策計画閣議決定

2019 パリ協定⻑期成⻑戦略閣議決定

「環境モデル都市」選定京都市地球温暖化対策条例改正

京都市地球温暖化対策計画策定

京都市低炭素社会シナリオ 発表

京都市地球温暖化対策計画を改定

低炭素都市への京都ロードマップ 発表2009

2010

2017

2004 京都市地球温暖化対策条例制定

世界 ⽇本 京都市 京都市のシナリオ

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京都市脱炭素シナリオ作成の背景と⽬的 パリ協定が発効し、世界の気温上昇を1.5℃ 、2℃未満に抑えるため、今世紀後半までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「脱炭素」へと、気候変動対策は新たなステージに突⼊。

現在各国が掲げている削減⽬標を全て⾜し合わせても1.5〜2℃未満という⽬標を達成することは困難。

1.5℃、2℃⽬標の達成のために、⽇本においても脱炭素に向けたシナリオが必要。 脱炭素に向けて都市・地⽅⾃治体の果たし得る役割は⼤きい。 気候変動問題に先駆的に取り組んでいる京都市を対象に、2℃⽬標に向けて持続可能なエネルギー需給に移⾏した社会の姿を定量化したシナリオを作成。

4出典: UNEP 「The Emissions Gap Report 2018」

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脱炭素シナリオのつくりかた

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脱炭素シナリオの作成⼿順

6

枠組みの設定

データ・関連情報の収集

シナリオの想定

定量推計ツールExSSによる計算

推計結果をもとにシナリオの再検討

対象地域、基準年、⽬標年、対象活動、削減⽬標、シナリオの数などを設定。地域を対象とする場合、国の政策動向などの不確実性を考慮すると、複数のシナリオを設定することが望ましい。

基準年のデータ: ⼈⼝、⽣産額、GDP、エネルギー需給 対象地域・国の将来計画、ビジョン、構想 低炭素対策に関する情報: 省エネ技術、再エネ、交通など

基準年から⽬標年に掛けての⽣活様式、産業、都市構造などの変化、低炭素対策の導⼊の程度を想定し、定量推計モデルExSSへの⼊⼒となる指標の値を設定する。

各シナリオにおける将来の社会経済指標、エネルギー消費量、温室効果ガス排出量、基準年からの削減量を計算。

推計結果を将来計画や⽬標と照らし合わせ、必要に応じて⼊⼒値を修正し再推計を⾏う。

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推計モデルExSSの構造

7

エネルギー

交通

社会経済

平均世帯⼈員

基準年業務⽤建物床⾯積

⽣産額あたり貨物発⽣量

輸送距離

機関分担率

トリップ発⽣原単位

輸送距離

機関分担率

エネルギーサービス需要原単位

燃料シェア

エネルギー効率

CO2排出係数

⽣産額

世帯数

業務⽤建物床⾯積

貨物輸送需要量

旅客輸送需要量

⼈⼝

エネルギーサービス需要

外⽣変数 内⽣変数

最終エネルギー需要

エネルギー需要(分散発電)

発電量(⼤規模発電)

エネルギー需要(⼤規模発電)

エネルギー供給

発電量(分散発電)

CO2排出量

エネルギー効率(分散発電)

エネルギー効率(⼤規模発電)

燃料シェア(⼤規模発電)

送電損失(⼤規模発電)

⾃家消費(⼤規模発電)

エネルギーエンドユース機器シェア

エネルギーエンドユース機器エネルギー効率

電⼒需要エネルギー需要(電⼒以外)

基準年⼈⼝

⼈⼝成⻑率

業務⽤建物床⾯積成⻑率

移輸⼊率

投⼊係数⾏列

移輸出

産業連関分析固定資本形成

政府消費⽀出

⺠間消費⽀出

第⼆次産業⽣産額

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ExSSにおけるCO2排出量推計の考え⽅

8

活動量サービス活動量

エネルギー消費量サービス

CO2排出量エネルギー消費量

× × ×

CO2排出量

世帯数 床⾯積⽣産額 輸送量

エネルギーを使わず満⾜を得る⼯夫

エネルギー効率・燃費のよい製品の選択

低炭素なエネルギーの選択

何が増えれば(減れば)CO2排出量が増える(減る)のか要素ごとに分解してCO2排出量を推計

省エネ 再エネ

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シナリオの枠組み

基準年 2015年

⽬標年 2050年

対象ガス CO2

対象部⾨

家庭部⾨: 住宅におけるエネルギー消費 業務部⾨: 事務所・店舗等におけるエネルギー消費 産業部⾨: 製造業・建設業・農業等におけるエネルギー消費 運輸部⾨: ⼈・モノの輸送におけるエネルギー消費

シナリオ

経済 A: 成⻑ B: 慎重

対策 現状推移 脱炭素

9

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推計に必要なデータの整備

出典 提供元社会 ⼈⼝・世帯数 国勢調査 総務省統計局

経済GDP 京都市市⺠経済計算 京都市業務⽤建物床⾯積 京都市統計書 京都市

旅客輸送トリップ数 近畿圏パーソントリップ調査 京阪神都市圏交通計画協議会交通⼿段分担率 京都市モニター調査 京都市移動距離 近畿圏パーソントリップ調査 京阪神都市圏交通計画協議会

貨物輸送貨物量 物流センサス 国⼟交通省輸送機関分担率 物流センサス 国⼟交通省輸送距離 物流センサス 国⼟交通省

エネルギーエネルギー消費量 京都市排出量算定データ 京都市環境政策局

地球温暖化対策室

CO2排出量 京都市排出量算定データ 京都市環境政策局地球温暖化対策室

10

将来推計のベースとなる基準年のデータを収集。

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将来に関する情報収集出典 提供元

社会 ⼈⼝ まち・ひと・しごと・こころ京都創⽣総合戦略 京都市 (2015年)

経済

GDP成⻑率

中⻑期の経済財政に関する試算 内閣府 (2016年)

未来への選択 「選択する未来」委員会 (2014年)

国⺠年⾦及び厚⽣年⾦に係る財政の現況及び⾒通し 厚⽣労働省 (2014年)

内外経済の中⻑期展望 三菱総合研究所 (2015年)

2050年の世界 PwC (2015年)

業務⽤建物床⾯積

環境研究総合推進費終了研究等成果報告書「わが国を中⼼とした温室効果ガスの⻑期削減⽬標に対応する緩和策の評価に関する研究(2-1402)」

国⽴環境研究所(2017年)

2013年以降の対策・施策に関する報告書 中央環境審議会 地球環境部会 (2012年)

⻑期エネルギー需給⾒通し関連資料 経済産業省 (2015年)

輸送 交通分担率 「歩くまち・京都」総合交通戦略 京都市 (2010年)

エネルギー

発電効率 ⽕⼒発電の⾼効率化に向けた発電効率の基準等について経済産業省 総合資源エネルギー調査会⽕⼒発電に係る判断基準ワーキンググループ(2016年)

系統の電源構成 ⻑期エネルギー需給⾒通し 経済産業省 (2016年)

再⽣可能エネルギー京都市エネルギー政策推進のための戦略 京都市 (2013年)

京都市「緑の分権改⾰」推進事業クリーンエネルギー活⽤量等調査報告書 京都市 (2011年)

省エネルギー対策導⼊量等の根拠資料 AIMプロジェクトチーム各部⾨における省エネルギー対策と省エネ量の暫定試算について

経済産業省 省エネルギー⼩委員会(2015年)

全般 京都市低炭素社会シナリオ 削減⽬標の実現可能性検討 京都持続可能社会研究会 (2015年) 11

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京都市の2050年脱炭素シナリオ

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⼈⼝・世帯数 将来の⼈⼝は、「まち・ひと・しごと・こころ京都創⽣総合戦略」における推計値を利⽤。 少⼦⾼齢化や晩婚化に伴い世帯規模のさらなる縮⼩を想定。 ⼈⼝は2015年の148万⼈をピークに、2050年には140万⼈まで減少。 世帯数は2030年にピークを迎え、その後減少に転じる。

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0.5

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2030

2035

2040

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2050

世帯

当た

り平均

⼈員

数(⼈

/世帯

)

⼈⼝

(千⼈

)世

帯数

(千世

帯)

⼈⼝ 世帯数 世帯規模

⽇本の将来の⼈⼝・世帯数の推移京都市の将来の⼈⼝・世帯数の推移

⼈⼝

世帯数

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経済成⻑ 国を対象とした推計を参考に、1⼈当たり実質GDPの成⻑率を設定。

A(成⻑)ケース: 2.0%/年 B(慎重)ケース: 1.0%/年 A(成⻑)ケースでは、実質GDPは年率1.9%で成⻑し、2050年には10兆円に達する。 B(慎重)ケースでは、年率0.8%で成⻑し、2050年の実質GDPは8.3兆円に留まる。

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2030

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2040

2042

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実質

GDP

(⼗億

円)

実績値 A(成⻑) B(慎重)

選択する未来: ⽣産性向上ケース (2.0%/年)内閣府中⻑期試算: 経済再⽣ケース (2.0%/年)

厚労省: 年⾦財政検証ケースA (1.8%/年)

厚労省: 年⾦財政検証ケースB (1.4%/年)

内閣府中⻑期試算: 参考ケース (1.3%/年)選択する未来: ⽣産性停滞ケース (1.1%/年)

厚労省: 年⾦財政検証ケースF (0.7%/年)厚労省: 年⾦財政検証ケースH (0.5%/年)

⽇本の将来の実質GDP推移

0.5 〜 2.0 %/年(2013年〜2030年)

出典: ⻑期エネルギー需給⾒通し⼩委員会 第2回会合 (2015年2⽉)『エネルギー需要⾒通しに関する基礎資料』

京都市の将来の実質GDP推移

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産業構造 第三次産業への転換が⼀層進むと想定。 特に観光に関連する⼩売業、宿泊・飲⾷サービス業や、情報通信業の成⻑を想定。 A(成⻑)ケースでは、B(慎重)ケースに⽐べて、産業構造の転換が急速に進む。

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2015 2020 2030 2040 2050 2015 2020 2030 2040 2050

A(成⻑) B(慎重)

GDP構

成⽐

その他サービス業公務・教育・保健衛⽣・社会事業⾦融・保険・不動産業情報通信業宿泊・飲⾷サービス業運輸・郵便業卸売・⼩売業建設業製造業・鉱業農林⽔産業

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エネルギー消費量 現状推移ケースでは、エネルギー消費量は2030年に2015年⽐18〜19%減、

2050年に37〜39%減となる。 脱炭素ケースでは、2030年に2015年⽐33〜34%減、2050年に61%減となる。 京都市はもともと産業部⾨のエネルギー消費量が⽐較的⼩さいため、経済成⻑による

違いがあまり出ない。 脱炭素ケースでは、電化、太陽光の⾃家発電の増加、太陽熱利⽤の増加が著しい。

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2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

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e)

現状推移A 脱炭素A 現状推移B 脱炭素B

33%25%

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23%

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2%

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現状推移A

脱炭素A 現状推移B

脱炭素B

2015 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

の構

⽯油 天然ガス バイオマス 太陽熱 太陽光 ⽔素 電⼒

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市域への供給電⼒の構成 現状推移ケース

– 2020年: 原発は2018年時点と同じ⼤飯2基、⾼浜1基の稼働を想定。– 2030年: 国のエネルギーミックスを採⽤。2030年以降、2050年まで変わらないと仮定。

脱炭素ケース– 2020年、2030年: 京都市低炭素社会シナリオ(2015年版)の設定をもとに想定。– 2050年: 多様な再エネ・蓄エネの活⽤により再エネ100%を担保。

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21%21%

21%

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9%9%

9%

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14%

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2015 2020 2030 2040 2050 2020 2030 2040 2050

関⻄電⼒ 現状推移 脱炭素

京都

市域

への

電⼒

供給

量とそ

の電

源構

成(k

toe)

⽯炭 ⽯油 天然ガス 原⼦⼒ ⽔⼒ 再⽣可能エネルギー

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CO2排出量 2020年

– 削減⽬標はどのシナリオも未達。原発の稼働する現状推移ケースの⽅が排出量は⼩さい。 2030年

– 脱炭素ケースのみ削減⽬標を達成。 2050年

– 1990年⽐削減率は、現状推移ケースで約50%、脱炭素ケースで約95%となった。

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2022

2024

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2030

2032

2034

2036

2038

2040

2042

2044

2046

2048

2050

CO2排

出量

(ktC

O 2)

実績値現状推移A脱炭素A現状推移B脱炭素B

2020年⽬標: 90年⽐25%減

2030年⽬標: 90年⽐40%減

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家庭部⾨

19

家電のエネルギー効率の改善を進めつつ、徹底的な電化と再エネの利⽤を図る。– 脱炭素ケースでは、電⼒と再エネ(太陽熱、バ

イオマス)で全てのエネルギー需要を賄う。 2050年のCO2排出量は、現状推移ケースで

1990年⽐44%減(2015年⽐57%減)、脱炭素ケースでゼロ。

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2008

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2016

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2022

2024

2026

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2032

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2036

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2040

2042

2044

2046

2048

2050

CO2排

出量

(ktC

O 2)

実績値現状推移A脱炭素A現状推移B脱炭素B

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263

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0

100

200

300

400

500

現状推移A 脱炭素A 現状推移B 脱炭素B

2015 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

(kto

e)

⽯油 天然ガス バイオマス 太陽熱 太陽光 電⼒

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業務部⾨

20

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

2020

2022

2024

2026

2028

2030

2032

2034

2036

2038

2040

2042

2044

2046

2048

2050

CO2排

出量

(ktC

O 2)

実績値現状推移A脱炭素A現状推移B脱炭素B

579

400

248

395

245

0

100

200

300

400

500

600

現状推移A 脱炭素A 現状推移B 脱炭素B

2015 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

(kto

e)

⽯油 天然ガス バイオマス 太陽熱 太陽光 電⼒

機器のエネルギー効率の改善を進めつつ、徹底的な電化と再エネの利⽤を図る。– 脱炭素ケースでは、電⼒と再エネ(太陽熱、バイ

オマス)で全てのエネルギー需要を賄う。 2050年のCO2排出量は、現状推移ケースで

1990年⽐43〜44%減(2015年⽐47〜48%減)、脱炭素ケースでゼロ。

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産業部⾨

21

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

2020

2022

2024

2026

2028

2030

2032

2034

2036

2038

2040

2042

2044

2046

2048

2050

CO2排

出量

(ktC

O 2)

実績値現状推移A脱炭素A現状推移B脱炭素B

258

190

123

178

115

0

100

200

300

現状推移A 脱炭素A 現状推移B 脱炭素B

2015 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

(kto

e)

⽯油 天然ガス 太陽光 電⼒

天然ガスを中⼼に化⽯燃料の使⽤が残るが、エネルギー効率の改善、再エネの利⽤によりCO2排出削減を図る。

1990年から2015年までに既にCO2排出量は半減。 2050年のCO2排出量は、現状推移ケースで1990

年⽐70〜72%減(2015年⽐41〜45%減)、脱炭素ケースで91〜92%減(2015年⽐83〜84%減)。

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運輸部⾨

22

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

2020

2022

2024

2026

2028

2030

2032

2034

2036

2038

2040

2042

2044

2046

2048

2050

CO2排

出量

(ktC

O 2)

実績値現状推移A脱炭素A現状推移B脱炭素B

516

304

145

295

140

0

100

200

300

400

500

600

現状推移A 脱炭素A 現状推移B 脱炭素B

2015 2050

エネ

ルギ

ー消

費量

(kto

e)

⽯油 天然ガス バイオマス ⽔素 電⼒

電気⾃動⾞の普及、バスの電動化、電⾞・地下鉄へのモーダルシフトにより電化が進む。– 脱炭素シナリオでは乗⽤⾞の8割がEVに。

2050年のCO2排出量は、現状推移ケースで1990年⽐54〜55%減(2015年⽐42〜44%減)、脱炭素ケースで90%減(2015年⽐87〜88%減)。

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脱炭素に向けた早期の取り組みの必要性

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インフラ開発や寿命の⻑い建築物・設備の更新においては、⼀度、CO2排出量の⼤きい⽅法・技術が選択されると、数⼗年単位で⾼い排出⽔準に固定 (ロックイン) される

2050年の温室効果ガス排出量の⼤幅な削減に向けた中⻑期の計画を⽴て、早期から対策に取り組む必要

⽯炭⽕⼒発電所

断熱性能の悪い建築物

⾃動⾞中⼼の交通インフラ

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京都市の交通戦略「歩くまち・京都」

24

京都随⼀の繁華街である四条通の⾞線を減らし、歩道を拡幅

限られた空間で歩⾏者と⾞の両⽅の通⾏スペースを広げることはできない歩⾏者を優先

出典: 京都市 「⼈と公共交通優先の歩いて楽しい四条通」

交通・観光・環境の多分野にわたる政策

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まとめ 世界は脱炭素に向けて合意し、動き始めている。

ゴール決まっているのであれば、早く動き出した⽅が有利であり、気候変動対策、脱炭素化の遅れはリスク、機会の損失と考えられる。

京都市脱炭素シナリオでは、京都市を代表として脱炭素を達成した都市の姿を定量的に⽰した。

脱炭素の実現には、こまめな節電・省エネなどこれまでの延⻑では不⼗分。社会の⼤きな転換が求められる。

各家庭や建物、企業で使われる機器が変わるだけでなく、⽣活様式や交通構造など社会全体の変⾰により、脱炭素の実現が可能となる。– 家庭・業務部⾨は電化と再エネにより排出ゼロへ。– 運輸部⾨もガソリン中⼼から電気⾃動⾞と公共交通利⽤により電気中⼼に。

京都市が脱炭素に向けた取り組みを加速させ、⽇本、世界を主導する先進都市になることを期待する。

25

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Bridging the Gapfor a Sustainable World

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