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大阪市営住宅ストック総合活用計画 平成28年3月 大阪市

大阪市営住宅ストック総合活用計画 - Osaka2 はじめに 大阪市では、約11万戸の市営住宅を管理しており、これらの住宅ストック を良好な社会的資産として有効活用することは重要な課題である。

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大阪市営住宅ストック総合活用計画

平成28年3月

大阪市

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1

<目次>

はじめに-------------------------------------------- 2

第1章 計画の概要

1 計画の目的 ----------------------------------- 3

2 計画の対象 ----------------------------------- 3

3 計画の期間 ----------------------------------- 3

第2章 市営住宅ストックの現状と課題

1 これまでの取り組み --------------------------- 4

2 市営住宅ストックの現状 ---------------------- 12

3 市営住宅の入居者の状況 ---------------------- 19

4 市営住宅ストックの課題 ---------------------- 22

第3章 ストック活用の基本目標

1 基本理念 ------------------------------------ 24

2 基本目標 ------------------------------------ 24

第4章 活用手法等の定義と選定

1 活用手法の定義 ------------------------------ 27

2 計画改修の定義 ------------------------------ 28

3 活用手法の選定の考え方 ---------------------- 30

4 計画改修対象の選定の考え方 ------------------ 32

第5章 活用手法等の実施方針

1 活用手法の実施方針 -------------------------- 36

2 計画改修の実施方針 -------------------------- 38

3 点検・経常補修の実施方針 -------------------- 39

結 び --------------------------------------------- 40

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はじめに

大阪市では、約11万戸の市営住宅を管理しており、これらの住宅ストック

を良好な社会的資産として有効活用することは重要な課題である。

こうしたことから、平成13年に「大阪市営住宅ストック総合活用計画」を

策定し、建替・全面的改善・エレベーター単独設置といった各種手法を適切に

選択しながら、市営住宅ストックの更新を図ってきた。

また、「今後の市営住宅のあり方について」の提言(平成17年市営住宅研

究会)を踏まえて、平成19年に計画の見直しを行い、市営住宅の更新等を進

めてきたところである。

その結果、平成19年度から26年度までの8年間で、約10,000戸の

老朽化した住宅の除却を行うとともに、浴室のない住宅が約7,800戸、エ

レベーターのない住宅が約15,000戸減少するなど、居住水準の向上を図

ってきている。

一方で、昭和40年代以降に大量に建設された住宅の老朽化が進んでおり、

今後、事業の平準化を図りながら計画的に建替等を実施する必要があることや、

改善が必要な住宅が依然として数多く存在することから、継続的な更新が不可

欠である。

また、平成23年の東日本大震災により甚大な被害が発生し、今後も、上町

断層帯地震や南海トラフ巨大地震が危惧されている。昭和56年以前に建設さ

れた市営住宅の中には、現行の耐震基準を満たさない住宅が存在しており、早

急な耐震化が求められている。

さらに、平成27年12月に「大阪市公共施設マネジメント基本方針」を策

定し、公共施設の総合的かつ計画的な維持管理に関する考え方を示したところ

であり、市営住宅についても、住宅ストックの現状や予算の平準化等を考慮し

つつ、計画的かつ効率的に建替や修繕等を実施することが必要となっている。

こうした状況を踏まえ、平成19年に策定した計画の見直しを行い、新たな

「大阪市営住宅ストック総合活用計画」を策定するものである。

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第1章 計画の概要

1. 計画の目的

市営住宅の住棟ごとに適切な活用手法や必要となる計画改修を選定し、そ

の実施方針を定め、市営住宅ストックを「良好な社会的資産」として有効

に活用するため、本計画を策定する。

2. 計画の対象

本市の全ての市営住宅を対象とする。

3. 計画の期間

本計画の期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、事業

の進捗状況や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて概ね5年を目途に見直

しを行う。

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第2章 市営住宅ストックの現状と課題

1. これまでの取り組み

(1) 事業の変遷

本市の市営住宅は、社会事業の一環として建設されたことに始まり、その

後、住宅に困窮する所得の低い方々への住宅供給を目的として制定された「公

営住宅法」、及び、不良住宅が密集する地区の住環境の整備・改善を目的とし

て制定された「住宅地区改良法」などに基づき建設を進めてきた。

本市では、戦災や都市への人口集中による絶対的な住宅不足に対応するた

め、昭和20年代から昭和40年代にかけて、市営住宅の新規建設を積極的

に行った。昭和40年代後半以降からは、新規建設から老朽化した住宅の建

替へとシフトを図るとともに、「市営すまいりんぐ」をはじめとする中堅層向

け住宅や、建替事業推進のための「地域リロケーション住宅」、面的整備事業

の実施に伴う「再開発住宅」などの建設も行ってきている。

また、平成17年の「今後の市営住宅のあり方について」の提言において、

市営住宅ストックを良好な社会資産として有効に活用していくという視点に

立ち、市民の共有財産として、多くの市民に支持される「市民住宅」へと再

編するための方向性が示され、「ストックの効率的な活用」「コミュニティの

再生」「公平・公正な管理の推進」「地域のまちづくりへの貢献」を基本的な

考え方とした方策が提案された。

この提言をうけ、土地の高度利用や従前居住世帯数に限定した建替により

余剰地を創出し、団地再生モデルプロジェクト等によるまちづくりへの活用

を行うとともに、子育て世帯向け住宅の募集拡大や随時募集の実施など入居

制度の見直しや、子育て支援など空き住戸を活用したコミュニティビジネス

活動拠点の提供などの取組みを進めている。

平成27年8月には、より身近な地域ニーズに対応したまちづくりなどを

目的に、大阪市内の府営住宅のうち約1万戸が大阪市へ移管された。※1

現在、市営住宅の管理戸数は、公営住宅、改良住宅、中堅層向け住宅、再

開発住宅、大阪府から移管された住宅などをあわせて約11万戸となり、市

内の住宅総数の8.2%、借家全体の約7分の1を占めている。

※1:建 替 や耐 震 改 修 などの事 業 中 団 地 については、平 成 28年 度 以 降 順 次 移 管 予 定

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■大 阪 市 の所 有 関 係 別 住 宅 総 数

※平 成 27年 8月 1日 に府 から移 管 された住 宅 を含 まない。

■大 阪 市 の建 て方 ・構 造 別 空 家 数の推 移

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

昭和

53年

(1978)

58年

(1983)

63年

(1988)

平成

5年

(1993)

10年

(1998)

15年

(2003)

20年

(2008)

25年

(2013)

(戸)

■公 営 住 宅 建 設 戸 数 及 び市 営 住 宅 管 理 戸 数の推 移

絶対的住宅不足を背景 とした住宅困窮者対策

市内総住宅数の

量的充足を背景 とした質的向上

多様な居住ニーズへの対応 地 域 コ ミュ ニテ ィ 活 性 化

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

110,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

5,500

26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25

管理戸数(戸)建設戸数(戸)

建替戸数

新規建設戸数

管理戸数

昭和 平成

資 料 :住 宅 ・土 地 統 計 調 査

全 体

非 木 造 共 同 住 宅

戸 建 住 宅

木 造 共 同 住 宅

長 屋 建 住 宅

資 料:平 成 25年 住 宅・土 地 統 計 調 査

市 営 住 宅は平 成 27年 9月末 時 点

※用 途 廃 止 予 定 の市 営 住 宅 については、管 理 戸 数 から除 いている。

※府 から移 管 された住 宅 数 は平 成 27 年 8 月 1 日 に移 管 された住 宅 数 。

※住 宅 総 数 に、所 有 関 係 不 明 住 宅 を含 む。

単 位:戸

市営住宅 府から移管された住宅

1,343,200 728,000 109,834 99,718 10,116 554,700

100.0% 54.2% 8.2% 7.4% 0.8% 41.3%

(100.0%) (15.1%) (13.7%) (1.4%)

住宅総数 借 家 持 家市営住宅計

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■代 表 的 な市 営 住 宅 住 戸プランの変 遷

約 53 ㎡ 約 63 ㎡ 約 47 ㎡ 約 70 ㎡

約 30 ㎡ 約 34 ㎡ 約 43 ㎡ 約 40 ㎡

約 55 ㎡ 約 45 ㎡ 約 57 ㎡ 約 40 ㎡

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(2)建替

本市では、居住水準の向上や良好な住環境の整備、土地の有効活用による

コミュニティミックスや地域まちづくりへの貢献を図るため、老朽化した市

営住宅の建替を積極的に進めてきている。

現在は、住戸規模が小さく、老朽化が進んでいる昭和40年前後に建設さ

れた鉄筋コンクリート造の中層住宅を中心に建替を進めている。

建替にあたっては、玄関・浴室・便所への手摺の設置、住戸内段差の解消、

高齢者の使いやすい浴槽の設置、エレベーターの設置など、建設する全ての

住宅でバリアフリー設計を導入するとともに、一部住戸を車椅子常用者向け

住宅とするなど、高齢者等に配慮した住宅の供給に努めている。また、排水

管を集約し、メンテナンスを容易にするなど、長期活用が可能な設計を導入

している。さらに、できるだけ土地の高度利用を図ることにより生み出した

用地については、道路や公園、保育所など、地域に必要となる施設の整備等

に活用するとともに、中堅層の市内定住の促進やコミュニティミックスに資

する、良質な民間住宅や生活利便施設等の導入を図っている。

前ストック計画を策定した平成19年度からの8年間では、10,038戸

の建替(除却)を行うとともに、建替余剰地においては保育所や約1,000戸

の民間住宅等が供給されている。

■建 替 の実 績 ■建 替 余 剰 地 活 用の例

・排水縦管を集約化し、耐用年数の長い材料とする。

・集約化した排水縦管を共用廊下に面したメーター

ボックス内に配置することにより、外部からメン

テナンス可能とする。

・住戸内排水管を二重床の内部に集約化することに

より、当該住戸内から交換可能とする。

・1階床下の排水管は、共用部分からメンテナンス

可能とする。 排水集合管 排水管

給水ヘッダー用

■長 期 活 用 に向 けた取 り組 み

住宅名 面積 用途 年度

小宮住宅 5,707㎡ 民間分譲マンション 20年度

長居東住宅 998㎡ 広場 20年度

加美神明東住宅 7,160㎡ 民間分譲戸建て住宅 21年度

西栄住宅 1,068㎡ 老人ホーム 22年度

長吉長原東第3 780㎡ 保育所 22年度

茨田横堤北住宅 1,244㎡ 保育所 24年度

茨田横堤北住宅 2,900㎡ 民間分譲戸建て住宅 24年度

豊里第2住宅 1,028㎡ 民間分譲戸建て住宅 25年度

茨田大宮住宅 525㎡ 保育所 26年度

平成18年度以前 34,691戸

平成19年度 1,275戸

平成20年度 1,116戸

平成21年度 1,223戸

平成22年度 1,328戸

平成23年度 1,121戸

平成24年度 1,534戸

平成25年度 1,492戸

平成26年度 949戸

除却戸数

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(3) 全面的改善・エレベーター単独設置

既設市営住宅の居住水準の向上を目指し、浴室のない住宅を対象に、昭

和50年度から、2戸1や増築等による規模・設備等の改善を行う住戸改

善事業を進めてきた。平成13年度以降は、「全面的改善」事業として、浴

室の設置や住戸内部の改善と併せて共用部分や屋外について改善を進めて

おり、平成19年度からの8年間で、633戸の住戸改善を行った。

また、平成6年度から廊下型住宅へのエレベーター設置を、平成12年

度からは、階段室型住宅への設置も進めてきており、平成19年度からの

8年間では、351基(3,482戸)の設置を行っている。

■住 戸 改 善 の実 績 ■エレベーター単 独 設 置の実 績

※住 戸 改 善 で実 施 したものは除 く

改善前 改善後

平成18年度以前 9,332戸 7,823戸

平成19年度 181戸 161戸

平成20年度 130戸 117戸

平成21年度 23戸 20戸

平成22年度 40戸 25戸

平成23年度 105戸 87戸

平成24年度 88戸 82戸

平成25年度 66戸 60戸

平成26年度 0戸 0戸

戸数

平成18年度以前 298基 4,207戸

平成19年度 118基 1,203戸

平成20年度 58基 569戸

平成21年度 49基 477戸

平成22年度 40基 386戸

平成23年度 26基 252戸

平成24年度 25基 250戸

平成25年度 10基 100戸

平成26年度 25基 245戸

基数 戸数

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(4)耐震改修

現行の耐震基準が導入された昭和56年以前に建設された住宅の中には、

耐震基準を満たさない住棟があり、耐震性の確保を図る必要がある。

平成7年に発生した阪神・淡路大震災の被害状況等を踏まえ、平成8年

度からピロティ形式の住棟21棟について、耐震壁設置等の耐震改修を実

施した。

平成18年には「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が改正され、

本市においても、市内の建築物の耐震改修等を計画的・総合的に促進する

ための指針として「大阪市耐震改修促進計画」を平成20年に策定した。

これを受け、市営住宅についても、各住棟の補強方法の検討などを進め、

平成22年度以降、費用対効果も考慮して、耐震スリットの設置による一

定の耐震性能を確保するための段階的な改修を行うとともに、平成23年

度からは、鉄骨ブレースの設置等による本格的な改修も進め、合わせて

149棟について耐震改修を実施してきた。

■耐 震 改 修の実 績

棟数

平成22年度 11

平成23年度 52

平成24年度 33

平成25年度 34

平成26年度 19

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(5) 計画改修

建物や各種設備の経年劣化への対応を目的とした外壁、屋上、排水管等の

改修や、時代に応じた居住水準の確保を目的とした電気容量改修や給水圧力

改修等を行ってきている。また、予防保全的管理、長寿命化に資する改善を

推進していくとの国の方針を受け、平成21年度からは、より計画的な改修

に努めている。

① 現在実施している計画改修

外壁改修

主に外壁下地がモルタル塗りの住宅を対象に外壁改修を行ってきてお

り、平成21年度からは部分改修と全面改修を10年ごとに交互に実施す

ることとしている。

屋根・屋上防水改修

劣化が進行している住宅を対象に、屋根や屋上の防水改修を行ってきて

おり、平成19年度からは外断熱改修をあわせて実施している。

高置水槽改修

劣化が進行している鋼板製や繊維強化プラスチック(FRP)製の高置

水槽を対象に取替を実施してきている。また、平成10年度からは、より

耐久性に優れたステンレス製への取替を実施している。

給水圧力改修

浴室のある中層住宅で給水圧力が不足する住宅(0.05MPa 以下)

を対象に、平成10年度から、給水方式を高置水槽方式から直結増圧給水

方式に変更して水圧改善(0.1MPa 以上)を進めてきている。

排水管改修

住戸内に共用雑排水縦管(台所、風呂系統)が設置された住宅を対象に、

平成元年度から取替を実施してきている。また、平成5年度からは、より

耐久性に優れた硬質塩化ビニルライニング鋼管への取替を実施している。

エレベーター制御機器改修

平成元年までに設置された交流帰還制御方式のエレベーターを対象に、

平成16年度から、より安全性の高いインバーター制御方式への改修を進

めてきている。また、平成24年度から制御機器改修にあわせて戸開走行

保護装置の設置を実施している。

自動火災報知設備改修

法令に基づき自動火災報知設備が設置されている住棟を対象に、平成

26年度から経過年数の長い自動火災報知設備の取替を実施している。

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② 完了または完了予定の計画改修

電気容量改修(平成10年度~平成24年度)

昭和51年度以前に建設された電気容量が不足する住宅(3.6KVA

以下)を対象に、平成10年度から改修(4.0KVA以上)に着手し、

平成24年度に完了した。

住宅用火災警報器設置(平成20年度~平成22年度)

消防法の改正により、住宅用火災警報器の設置が義務化されたため、自

動火災報知設備が設置されていない住戸を対象に、平成20年度から設置

を進め、平成22年度に完了した。

地上デジタル放送対応(平成19年度~平成22年度)

平成23年 7 月のアナログ放送の停波により、地上デジタル放送が受信

できない既存住宅を対象に、平成19年度から地上デジタル放送対応を進

め、平成22年度に完了した。

バランス式風呂設備改修(平成23年度~平成27年度)

昭和50年代から平成元年度に建設された、バランス式風呂釜付浴槽が

設置されている中堅層向け住宅を対象に、平成23年度から風呂釜が一体

となった浴槽への改修を進めており、平成27年度に完了する。

(6) 点検・経常補修

建築基準法や消防法等の関係法令等に基づき、建物や各種設備等の点検を

定期的に実施し、必要な補修を実施してきている。

また、入居者の日常生活に支障をきたす漏水など、突発的に発生する不具

合や機器の故障等に対する補修を随時行っている。

■計 画 改 修 の実 績 単位:戸(※1 単位:槽,※2 単位:基)

外壁全面

改修

外壁部分

改修

屋根・屋上

防水改修高置水槽

改修※1

給水圧力

改修

排水管

改修

EV制御

機器改修

※2

自動火災報

知設備改修

電気容量

改修住宅用火災

警報器設置

地上

デジタル

放送対応

バランス式

風呂設備

改修

平成19年度 2,113 - 1,375 0 545 547 43 ー

(H10から実施)

1,755 -(H19から実施)

23,045 -

平成20年度 2,953 - 1,554 0 290 265 23 ー 1,270(H20から実施)

22,672 16,779 -

平成21年度 4,358

(H21から実施)

3,853 3,055 22 470 207 47 ー 1,276 25,019 16,079 -

平成22年度 4,430 4,492 5,112 32 470 1,272 32 ー 1,699 20,278(完了)

9,211(完了)

平成23年度 4,942 4,562 4,317 28 360 1,066 38 ー 1,687 ー ー

(H23から実施)

538

平成24年度 4,533 2,949 6,738 38 477 867 32 ー 1,226(完了)

ー ー 469

平成25年度 4,210 4,901 5,414 18 353 863 56 ー ー ー ー 597

平成26年度 3,648 2,322 1,047 32 114 865 63

(H26から実施)

205 ー ー ー 354(H27完了予定)

現在実施している計画改修 完了または完了予定の計画改修

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2. 市営住宅のストックの現状

(1) 建設年代別

これまで老朽化した住宅の建替を積極的に進めてきたことから、昭和

30年代に建設された住宅は概ね建替を完了している。

今 後 建 替 が 必 要 と な る 昭 和 4 0 年 代 ま で に 建 設 さ れ た 住 宅 は 、 約

34,000戸あり、ストック全体の約3割を占めている。

■建 設 年 代 別 戸 数

平 成 27年 9月 末 現 在

※平 成 27年 8月 1日 に府 から移 管 された住 宅 を含 む

※未 竣 工 の住 宅 は含 まない

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

24 26 28 32 34 36 38 42 44 46 48 52 54 56 58 62 H1 3 5 9 11 13 15 19 21 23 25

S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

(戸)

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(2) 構造・種別

老朽化した住宅の建替を積極的に進めてきたことから、木造住宅及び簡易

耐火造住宅の建替についてはほぼ完了している。

中層耐火造住宅については、昭和30年代後半から40年代前半に建設さ

れた住宅を中心に建替を進めており、前回計画策定以降、約10,000戸

減少しており、現在、約34,000戸となっている。

高層耐火造住宅については、建替の進捗に伴い年々増加しており、現在、

約76,000戸となっている。

■構 造 別 ・建 設 年 代 別 戸 数

平 成 27年 9月 末 現 在

※( )内 は、前 回 計 画 策 定 時 (平 成 19年 )からの増 減 を示 す

単 位 :戸

■構 造 別 ・建 設 年 代 別 状 況

平 成 27年 9月 末 現 在

※平 成 27年 8月 1日 に府 から移 管 された住 宅 を含 む

(戸)

4,000

3,000

2,000

1,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

H22H17H12H7H2S60S55S50S45S40S35S30S25

低層・中層(5階建以下)

高層(6階建以上)

昭和40年度以前(1965年度以前)

昭和41~  45年度(1966~   1970)

昭和46~  50年度(1971~   1975)

昭和51~  55年度(1976~   1980)

昭和56~  60年度(1981~   1985)

昭和61~平成2年度(1986~   1990)

平成3~  7年度(1990~   1994)

平成8~  12年度(1996~   2000)

平成13~ 17年度(2001~ 2005)

平成18~ 22年度(2006~ 2010)

平成23年度以降(2011年度以降)

総計

木造・簡易耐火造 14 14

14 14

(-107) (-107)

元府営

中層耐火造 2,906 12,417 4,576 4,243 4,942 3,317 620 591 220 279 117 34,228

2,650 11,607 3,708 3,333 4,174 2,769 620 406 79 214 117 29,677

(-5,102) (-5,158) (-21) (-3) (+214) (+117) (-9,953)

元府営 256 810 868 910 768 548 185 141 65 0 4,551

高層耐火造 50 2,770 14,428 12,219 8,691 7,040 8,878 7,806 6,489 5,565 1,656 75,592

50 2,770 14,371 12,159 8,083 6,300 8,483 7,001 5,170 4,172 1,468 70,027

(-18) (-387) (-62) (-19) (+1,646) (+4,172) (+1,468) (+6,800)

元府営 57 60 608 740 395 805 1,319 1,393 188 5,565

総計 2,970 15,187 19,004 16,462 13,633 10,357 9,498 8,397 6,709 5,844 1,773 109,834

2,714 14,377 18,079 15,492 12,257 9,069 9,103 7,407 5,249 4,386 1,585 99,718

(-5,227) (-5,545) (-83) (-22) 0 0 0 0 (+1,646) (+4,386) (+1,585) (-3,260)

元府営 256 810 925 970 1,376 1,288 395 990 1,460 1,458 188 10,116

市営

市営

市営

市営

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(3) 住戸規模

建替や全面的改善を進めてきた結果、40㎡未満の規模の小さな住宅は着

実に減少してきているが、いまだに約13,000戸あり、うち約75%が

昭和45年度以前に建設された住宅である。

■住 戸 専 用 面 積 別・建 設 年 代 別 戸 数

■構 造 別 ・住 戸 専 用 面 積 別 戸 数

単 位 :戸

単 位 :戸

平 成 27年 9月 末 現 在

※( )内 は、前 回 計 画 策 定 時 (平 成 19年 )からの増 減 を示 す

平 成 27年 9月 末 現 在

※( )内 は、前 回 計 画 策 定 時 (平 成 19年 )からの増 減 を示 す

昭和40年度以前(1965年度以前)

昭和41~  45年度(1966~   1970)

昭和46~  50年度(1971~   1975)

昭和51~  55年度(1976~   1980)

昭和56~  60年度(1981~   1985)

昭和61~平成2年度(1986~   1990)

平成3~  7年度(1990~   1994)

平成8~  12年度(1996~   2000)

平成13~ 17年度(2001~ 2005)

平成18~ 22年度(2006~ 2010)

平成23年度以降(2011年度以降)

総計

40㎡未満 1,588 8,295 3,035 139 20 67 41 50 13,235

1,580 8,019 2,895 139 20 67 41 50 12,811

(-3,537) (-5,318) (-120) (-8) (-8,983)

元府営 8 276 140 424

40~50㎡未満 1,146 5,152 12,895 2,780 477 95 52 1,213 1,808 1,612 592 27,822

1,098 4,618 12,617 2,760 466 39 47 1,200 1,669 1,430 592 26,536

(-341) (-155) (+21) (+519) (+1,430) (+592) (+2,066)

元府営 48 534 278 20 11 56 5 13 139 182 1,286

50~60㎡未満 228 1,582 2,873 12,679 9,429 5,595 2,060 2,863 2,512 2,393 772 42,986

36 1,582 2,406 11,740 8,884 5,477 2,045 2,571 2,007 1,818 644 39,210

(-1,335) (-100) (-73) (-25) (+652) (+1,818) (+644) (+1,581)

元府営 192 467 939 545 118 15 292 505 575 128 3,776

60~70㎡未満 8 63 163 864 3,649 4,551 6,602 3,771 2,047 1,681 394 23,793

0 63 123 853 2,861 3,486 6,485 3,134 1,376 1,093 343 19,817

(-14) (+28) (+65) (+11) (-2) (+428) (+1,093) (+343) (+1,952)

元府営 8 40 11 788 1,065 117 637 671 588 51 3,976

70㎡以上 95 38 58 49 743 500 342 158 15 1,998

95 38 26 485 452 197 45 6 1,344

(+24) (+2) (+47) (+45) (+6) (+124)

元府営 32 49 258 48 145 113 9 654

総計 2,970 15,187 19,004 16,462 13,633 10,357 9,498 8,397 6,709 5,844 1,773 109,834

2,714 14,377 18,079 15,492 12,257 9,069 9,103 7,407 5,249 4,386 1,585 99,718

(-5,227) (-5,545) (-83) (-22) (+1,646) (+4,386) (+1,585) (-3,260)

元府営 256 810 925 970 1,376 1,288 395 990 1,460 1,458 188 10,116

市営

市営

市営

市営

市営

市営

40㎡未満 40~50㎡未満 50~60㎡未満 60~70㎡未満 70㎡以上 総計

木造・簡易耐火造 14 14

14 14

(-107) (-107)

元府営

中層耐火造 9,577 9,124 8,096 7,203 228 34,228

9,153 8,203 5,948 6,220 153 29,677

(-8,583) (-167) (-1,348) (+137) (+8) (-9,953)

元府営 424 921 2,148 983 75 4,551

高層耐火造 3,644 18,698 34,890 16,590 1,770 75,592

3,644 18,333 33,262 13,597 1,191 70,027

(-293) (+2,233) (+2,929) (+1,815) (+116) (+6,800)

元府営 365 1,628 2,993 579 5,565

総計 13,235 27,822 42,986 23,793 1,998 109,834

12,811 26,536 39,210 19,817 1,344 99,718

(-8,983) (+2,066) (+1,581) (+1,952) (+124) (-3,260)

元府営 424 1,286 3,776 3,976 654 10,116

市営

市営

市営

市営

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(4) 耐震性

現行の耐震基準が導入された昭和56年以前に建設された住宅のうち、耐

震基準を満たしていない住棟は、建替や耐震改修により減少してきているが、

いまだに約320棟存在している。

■建 設 年 代 別 耐 震 性

平 成 27年 9月 末 現 在

単 位 :棟 数

※Is:構 造 体 の耐 震 性 能 を表 す指 標

(B)0.3=<Is<0.6 震 度 6~7 程 度 の規 模 の地 震 に対 して倒 壊 、又 は崩 壊 する危 険 性 がある

(C) Is<0 .3 震 度 6~7 程 度 の規 模 の地 震 に対 して倒 壊 、又 は崩 壊 する危 険 性 が高 い

※前 計 画 で既 に建 替 と判 定 されている住 宅 を除 く

※平 成 27年 8月 1日 に府 から移 管 された住 宅 を含 む

昭和40年度以前(1965年度以前)

昭和41~45年度(1965~1969)

昭和46~50年度(1970~1974)

昭和51~56年度(1975~1981)

昭和57年度~(1982~)

総計

20 176 178 261 781 1,416

36 139 80 67 0 322

(B)0.3=<Is<0.6 36 137 79 67 0 319

(C)Is<0.3 0 2 1 0 0 3

56 315 258 328 781 1,738

現行耐震基準以上(A)Is>=0.6

現行耐震基準未満

総計

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(5) 浴室の設置状況

建替や全面的改善を進めてきた結果、浴室のない住宅は、平成19年度か

らの8年間で、約7,800戸減少した。しかしながら、浴室のない住宅は、

いまだに約5,000戸存在している。

■年 代 別 浴 室 設 置 状 況

■建 設 年 度 別 浴 室 設 置 状 況

単 位 :戸

平 成 27年 9月 末 現 在

※平 成 27年 8月 1日 に府 から移 管 された住 宅 を含 む

平 成 27年 9月 末 現 在

※( )内 は、前 回 計 画 策 定 時 (平 成 19年 )からの増 減 を示 す

(戸)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

H22H17H12H7H2S60S55S50S45S40S35S30S25

浴室なし

浴室あり

昭和40年度以前(1965年度以前)

昭和41~  45年度(1966~   1970)

昭和46~  50年度(1971~   1975)

昭和51~  55年度(1976~   1980)

昭和56~  60年度(1981~   1985)

昭和61~平成2年度(1986~   1990)

平成3~  7年度(1990~   1994)

平成8~  12年度(1996~   2000)

平成13~ 17年度(2001~ 2005)

平成18~ 22年度(2006~ 2010)

平成23年度以降(2011年度以降)

総計

浴室あり 2,518 12,641 18,025 15,657 13,384 10,357 9,498 8,397 6,709 5,844 1,773 104,803

2,270 11,831 17,100 14,687 12,008 9,069 9,103 7,407 5,249 4,386 1,585 94,695

(-3,558) (+23) (+402) (+24) (+10) (+1,646) (+4,386) (+1,585) (+4,518)

元府営 248 810 925 970 1,376 1,288 395 990 1,460 1,458 188 10,108

浴室なし 452 2,546 979 805 249 5,031

444 2,546 979 805 249 5,023

(-1,669) (-5,568) (-485) (-46) (-10) (-7,778)

元府営 8 8

総計 2,970 15,187 19,004 16,462 13,633 10,357 9,498 8,397 6,709 5,844 1,773 109,834

2,714 14,377 18,079 15,492 12,257 9,069 9,103 7,407 5,249 4,386 1,585 99,718

(-5,227) (-5,545) (-83) (-22) (+1,646) (+4,386) (+1,585) (-3,260)

元府営 256 810 925 970 1,376 1,288 395 990 1,460 1,458 188 10,116

市営

市営

市営

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(6) エレベーターの設置状況

平成3年度以降、建設する4階、5階建の中層住宅について、エレベータ

ー設置を行ってきている。また、既存の中層住宅についても、平成6年度か

ら廊下型住宅にエレベーターの設置を、平成12年度からは、階段室型住宅

への設置を進めてきている。

建替や全面的改善、エレベーター単独設置を進めてきた結果、平成19年

度からの8年間で、エレベーターのない中層住宅は、約15,000戸減少

しているが、いまだに約23,500戸あり、これは中層住宅の約69%を占

める。

また、昭和51年度以降に建設された中層住宅でも、約7,300戸にエ

レベーターが設置されておらず、これは昭和51年度以降に建設された中層

住宅の約51%を占める。

■中 層 住 宅 の建 設 年 代 別・エレベーターの設 置 状 況 単 位 :戸

平 成 27年 9月 末 現 在

※( )内 は、前 回 計 画 策 定 時 (平 成 19年 )からの増 減 を示 す

昭和40年度以前(1965年度以前)

昭和41~  45年度(1966~   1970)

昭和46~  50年度(1971~   1975)

昭和51~  55年度(1976~   1980)

昭和56~  60年度(1981~   1985)

昭和61~平成2年度(1986~   1990)

平成3~  7年度(1990~   1994)

平成8~  12年度(1996~   2000)

平成13~ 17年度(2001~ 2005)

平成18~ 22年度(2006~ 2010)

平成23年度以降(2011年度以降)

総計

EVあり 204 3,278 286 1,580 2,153 1,675 467 497 220 279 117 10,756

204 3,198 266 1,370 2,153 1,675 467 398 79 214 117 10,141

(-358) (+1,244) (+109) (+1,112) (+1,638) (+959) (+214) (+117) (+5,035)

元府営 0 80 20 210 99 141 65 615

EVなし 2,702 9,139 4,290 2,663 2,789 1,642 153 94 23,472

2,446 8,409 3,442 1,963 2,021 1,094 153 8 19,536

(-4,744) (-6,402) (-130) (-1,115) (-1,638) (-959) (-14,988)

元府営 256 730 848 700 768 548 86 3,936

総計 2,906 12,417 4,576 4,243 4,942 3,317 620 591 220 279 117 34,228

2,650 11,607 3,708 3,333 4,174 2,769 620 406 79 214 117 29,677

(-5,102) (-5,158) (-21) (-3) (+214) (+117) (-9,953)

元府営 256 810 868 910 768 548 185 141 65 4,551

市営

市営

市営

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(7) 外壁・屋上や設備等の状況

外壁や屋上、設備については、建設した時代の標準的な材料・仕様とし

ており、近年に建設された住宅の設備水準は向上しているが、建設から経

過年数の長い住宅では、給水圧の不足など今日のニーズに対応していない

設備が存在している。また、各部位や部材・機器の劣化等もみられる。

■外 壁 ・屋 上 や設 備 等の変 遷(新 築 住 宅 )

35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

外壁 モルタル塗+リシン吹付 コンクリート打放し+複層塗材吹付

屋上 アスファルト防水

高置水槽高置水槽なし

(給水方式変更)

共用給水管

給水圧力( 低水圧)

分電盤

自動火災報知

エレベーター

35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

凡 例 : 改修完了 (注) 府から移管された住宅を除く

 ※1 主となっている共用排水縦管を示す

 ※2 鋼管の腐食による住戸内への漏水が危惧されることから計画的に改修を実施

 ※3 風呂釜一体型浴槽への改修をH27年度に完了予定

鋼板製FRP製

S30年代 S40年代 S50年代 S60年~H9年 H10年代 H20年~

モルタル塗+複層塗材吹付

樹脂防水

シート防水 断熱層+シート防水

鋼管硬質塩化ビニル管

塩化ビニルライニング鋼管

0.03 Mpa 0.05 Mpa(中層棟)または0.07 Mpa(高層棟) 0.1 Mpa 0.2MPa

エポキシ樹脂コーティング鋼管(MD継手)(住戸内設置)

鋳鉄製集合管(住戸外設置)

電気容量2.0 KVA 3.0 KVA

3.6KVA 4.9 KVA   5.4 KVA

2K 4.0KVA2DK 4.5KVA3DK 5.0KVA

共用排水管※1

エポキシ樹脂コーティング鋼管(ねじ接合)

(住戸内設置)

硬質塩化ビニル管(住戸外設置)

2K

4.2

KVA

主幹ブレーカーに漏電遮断器機能なし 主幹ブレーカーに漏電遮断器機能付き

設置なし 11階以上設置 全階設置

交流1段、交流2段、交流帰還制御 インバータ制御

テレビ共聴 設置なし 高層設置 VHF6局 V6/U1   VHF6局、UHF2局地上

デジタル

浴室 浴室なし ユニットバス浴室あり バランス式風呂設備

(中堅層向け住宅)※3

S30年代 S40年代 S50年代 S60年~H9年 H10年代 H20年~

インバータ制御

(戸開走行

保護装置)

(地 上 デ ジ タ ル 放 送 対 応 を H 2 2 年 度 に 完 了 )

(4.0KVA以上への改修をH24年度に完了)

※2(硬質塩化ビニルライニング鋼管等

への改修をH22年度に完了)

(FRP製への取替

をS60年度に完了)

鋼管(住戸内設置)

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3. 市営住宅の入居者の状況

(1) 居住世帯の状況

平成25年の住宅・土地統計調査によると、公営借家においては、世帯主

が65歳以上の世帯が56.3%を占め、65歳以上の高齢者のいる世帯も

60.7%ある。持家や民間借家と比べて高齢化が進んでおり、10年前と

比べても高齢化が進行している。また、世帯主の平均年齢も高い。

世帯あたり人員の平均は、全住宅が1.97人に対して、公営借家は

1.87人となっている。

■大 阪 市 の世 帯 主の年 齢 別 主 世 帯 数

資 料:平 成 25年 住 宅・土 地 統 計 調 査

公営借家公団・公社

借家民営借家(木造)

民営借家(非木造)

給与住宅

主世帯総数 1,343,200 554,700 728,000 106,200 37,500 71,700 494,000 18,600

100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

29歳未満 111,600 7,600 103,100 1,300 1,800 1,400 93,900 4,700

8.3% 1.4% 14.2% 1.2% 4.8% 2.0% 19.0% 25.3%

30~39歳 181,000 52,500 127,300 4,200 4,300 4,400 110,400 3,900

13.5% 9.5% 17.5% 4.0% 11.5% 6.1% 22.3% 21.0%

40~49歳 216,400 99,600 115,400 12,100 6,900 7,000 85,200 4,200

16.1% 18.0% 15.9% 11.4% 18.4% 9.8% 17.2% 22.6%

50~59歳 193,300 98,600 93,800 13,700 6,200 7,600 63,800 2,700

14.4% 17.8% 12.9% 12.9% 16.5% 10.6% 12.9% 14.5%

60~69歳 246,400 127,100 118,500 24,600 7,600 16,800 68,100 1,400

18.3% 22.9% 16.3% 23.2% 20.3% 23.4% 13.8% 7.5%

70歳以上 293,300 156,400 135,700 46,600 9,300 30,900 48,100 900

21.8% 28.2% 18.6% 43.9% 24.8% 43.1% 9.7% 4.8%

不詳 101,200 12,800 34,400 3,700 1,400 3,600 24,500 1,100

7.5% 2.3% 4.7% 3.5% 3.7% 5.0% 5.0% 5.9%

平均年齢 55.1 60.0 51.4 65.7 57.4 65.2 46.2 42.0

65歳以上 413,500 219,600 192,400 59,800 13,000 40,200 78,200 1,300

(再掲) 30.8% 39.6% 26.4% 56.3% 34.7% 56.1% 15.8% 7.0%

総数 持家 借家

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資 料:平 成 25年 住 宅・土 地 統 計 調 査

資 料:平 成 25年 住 宅・土 地 統 計 調 査

■大 阪 市 の高 齢 者 を含む世 帯の状 況

■大 阪 市 の世 帯 人 員 別 世 帯 数

公営借家公団・公社

借家民営借家(木造)

民営借家(非木造)

給与住宅

総数 1,343,200 554,700 728,000 106,200 37,500 71,700 494,000 18,600

100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

1人 647,200 150,000 451,800 48,100 17,400 38,800 335,500 12,100

48.2% 27.0% 62.1% 45.3% 46.4% 54.1% 67.9% 65.1%

2人 336,100 172,000 158,200 36,400 10,800 18,700 89,700 2,500

25.0% 31.0% 21.7% 34.3% 28.8% 26.1% 18.2% 13.4%

3人 184,700 109,700 69,400 12,800 5,600 7,800 41,500 1,800

13.8% 19.8% 9.5% 12.1% 14.9% 10.9% 8.4% 9.7%

4人 125,100 85,100 37,200 6,400 2,800 4,800 21,500 1,700

9.3% 15.3% 5.1% 6.0% 7.5% 6.7% 4.4% 9.1%

5人以上 50,000 37,900 11,400 2,500 900 1,600 5,800 600

3.7% 6.8% 1.6% 2.4% 2.4% 2.2% 1.2% 3.2%

世帯人員平均 1.97 2.46 1.63 1.87 1.92 1.78 1.53 1.73

総数 持家 借家

公営借家公団・公社

借家民営借家(木造)

民営借家(非木造)

給与住宅

主世帯総数 1,343,200 554,700 728,000 106,200 37,500 71,700 494,000 18,600

100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

468,200 257,400 209,000 64,500 14,600 43,200 85,200 1,500

34.9% 46.4% 28.7% 60.7% 38.9% 60.3% 17.2% 8.1%

単身世帯 206,200 80,700 124,800 32,700 7,500 24,900 59,200 500

15.4% 14.5% 17.1% 30.8% 20.0% 34.7% 12.0% 2.7%

夫婦世帯 114,500 73,700 40,500 16,800 3,400 8,400 11,500 400

8.5% 13.3% 5.6% 15.8% 9.1% 11.7% 2.3% 2.2%

上記以外の世帯 147,500 103,000 43,700 15,000 3,700 9,900 14,500 600

11.0% 18.6% 6.0% 14.1% 9.9% 13.8% 2.9% 3.2%

875,000 297,300 519,000 41,700 22,900 28,500 408,800 17,100

65.1% 53.6% 71.3% 39.3% 61.1% 39.7% 82.8% 91.9%

借家

65歳以上の世帯員のいる主世帯総数

65歳以上の世帯員のいない主世帯総数

総数 持家

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平成25年度の住宅・土地統計調査結果によると、 低居住水準未満の世

帯率は、公営借家で10.3%となっている。

<参考> 住生活基本計画(全国計画)における 低居住面積水準 低居住面積水準 = 世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本とし必

要不可欠な住宅面積に関する水準 ①単身者 25㎡ ②2人以上の世帯 10㎡×世帯人数+10㎡ (※こどもに係る世帯人数は換算値あり )

世帯人数別の住戸専用面積(例)

世帯人員 単身 2人 3人 4人

低居住面積水準 25㎡ 30㎡ 40㎡ 50㎡

(2) 市営住宅の応募状況

市営住宅の応募状況をみると、11回落選者特別措置制度を見直したこと

などにより、平均応募倍率は、以前に比べて低下しているが、直近3年間の

応募倍率の平均は、依然として10倍を超えている。

また、応募者全体の約6割が、募集戸数の約1割の設備水準が高く交通至

便な住宅に集中している。一方で、浴室やエレベーターのない4階や5階の

住戸を中心に、申込のない住宅や申込数が募集戸数に達しない住宅が募集戸

数の約2割を占めている。

■市 営 住 宅 の応 募 倍 率 別 申 込 数 ■市 営 住 宅 の応 募 状 況

資 料:平 成 26年 度 募 集(公 営・一 般 )

■大 阪 市 の 低 居 住 面 積 水 準 未 満 世 帯の状 況

資 料:平 成 25年 住 宅・土 地 統 計 調 査

募集戸数 応募者数 倍率

平成22年度 983戸 27,837 28.3

平成23年度 1,073戸 21,962 20.5

平成24年度 1,115戸 17,066 15.3

平成25年度 1,407戸 16,429 11.7

平成26年度 1,851戸 16,405 8.9

募集倍率 募集戸数 申込数申込総数に対する割合

100倍以上 8戸 1,506 17.0%

40~100倍未満 27戸 1,612 18.2%

20~40倍未満 81戸 2,223 25.0%

5~20倍未満 282戸 2,749 31.0%

1~5倍未満 309戸 727 8.2%

1倍未満(0を含まない) 111戸 59 0.7%

申込みなし 80戸 0 0.0%

合計 898戸 8,876 100.0%

※随 時 募 集 を除 く

水準未満世帯数

水準未満率

全住宅 1,343,200 200,100 14.9% 100.0%

持家 554,700 10,600 1.9% 41.3%

借家 728,000 189,400 26.0% 54.2%

公営借家 106,200 10,900 10.3% 7.9%

公団・公社借家 37,500 2,500 6.7% 2.8%

民営借家(木造) 71,700 20,000 27.9% 5.3%

民営借家(非木造) 494,000 152,000 30.8% 36.8%

給与住宅 18,600 4,100 22.0% 1.4%

世帯数 全体構成比

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4. 市営住宅ストックの課題

(1) 市営住宅ストックの現状からみた課題

①大規模地震への対応

平成23年に東日本大震災が発生し、本市においても上町断層帯地震や南

海トラフ巨大地震が危惧されており、建物の耐震化や、震災に対しての備え

がより一層求められている。

これまでも建替や耐震改修により、住宅の耐震化を進めているが、現行の

耐震基準が導入された昭和56年以前に建設された住宅のうち、既に建替と

判定されている住宅以外に、現行の耐震基準を満たしていない住宅が約320

棟あり、これらの住宅について耐震性を確保する必要がある。

②浴室なし住戸の解消

浴室のない住宅がいまだに約5,000戸あり、その大部分は、昭和50年

度以前に建設された住宅である。浴室のない住宅については、居住水準の向

上を図る観点から、早期に解消する必要がある。

③高齢化への対応

中層住宅については、約34,000戸を管理しており、その約69%に

はエレベーターがない状況である。高齢社会を迎え、上層階への容易なアク

セスの確保や段差の解消といったバリアフリー化を効率的に進めていくこと

が大きな課題となっている。

④住戸規模が小さく、設備水準も低い老朽化した住宅の更新

昭和30年代から40年代前半に建設された住戸には、住戸面積が狭小な

ものが多く、老朽化も進行している。また、浴室やエレベーターがないこと

に加え、漏電対策が十分でない分電盤の存在や給水圧が低いなどの課題を抱

えている住宅があり、計画的に更新を進める必要がある。

⑤適時・適切な維持管理の推進

建物の状況に応じて補修や計画改修等を進めているものの、経年劣化によ

る外壁の一部はく離落下や漏水等が発生しているほか、配管の劣化などの課

題も抱えている。

安全で良質な住宅として長期にわたって活用していくためには、点検によ

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り状況を適確に把握するとともに、日常に生じる不具合や故障等に対する経

常的な補修や、外壁、屋上、給・排水管、各種設備等の計画的な改修を適切

に行っていく必要がある。

⑥コミュニティの沈滞化等への対応

市営住宅団地においては、高齢化のさらなる進行などにより、コミュニテ

ィの沈滞化や自主管理意欲の低下が懸念されている。

また、大規模団地を構成している市営住宅におけるコミュニティの沈滞化

等は、団地を含む地域のまちの活力にも影響を及ぼす恐れがある。

このため、新婚世帯・婚約者及び子育て世帯向け住宅の募集など中堅層の

入居促進や、空住戸を活用した地域の活性化につながる活動拠点の導入など

を実施しているが、今後ともコミュニティの活性化の取り組みが必要である。

(2) 事業推進上の課題

本市の厳しい財政状況や前回計画策定時から建設費が1割程度上昇したこ

となどを踏まえ、限られた財源をより効率的、効果的に活用していく必要が

ある。

建替にあたっては、事業の平準化に努めるとともに、仕様や工法の見直し

などにより、住宅の長期活用やコストの縮減を図る必要がある。

全面的改善については、既存ストックを活用できるものの、改善後の活用

期間が建替に比べて短いこともあり、費用対効果を十分に検討したうえで実

施する必要がある。

保育所などと合築された建物の耐震化については、耐震改修により併設施

設の運営に支障が生じることがあるため、建替と耐震改修を適切に選択する

必要がある。また、耐震改修にあたっては、入居者の移転を伴わない工法を

採用するが、住戸内部に補強材の設置を要するなど、住戸を使用しながら工

事を行うことが著しく困難な場合がある。

エレベーター単独設置にあたっては、エレベーター設置に伴い家賃や共益

費負担が増加するため、住民同意を得た住棟に対して事業を実施しているが、

近年では新たに同意を得られる団地が少なくなってきている。今後、入居者

の合意形成を図りやすくする工夫を行いながら、着実に実施していく必要が

ある。

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第3章 ストック活用の基本目標

1. 基本理念

「『市民住宅』の実現に向けた市営住宅ストックの有効活用」

市民の共有財産として多くの市民に支持される「市民住宅」の実現に向け、

住宅の耐震性の確保や長寿命化などを進めるとともに、コミュニティの再生

や地域のまちづくりへの貢献を図るなど、市営住宅ストックを有効に活用す

る。

2. 基本目標

①耐震性の確保

・耐震性の低い住宅の解消

昭和56年以前に建設された住宅で現行の耐震基準を満たさない住宅

について、計画期間内での解消に向けて、建替や耐震改修により耐震化

を進める。

②居住水準の向上

・浴室なし住戸の解消

建替や全面的改善により、浴室のない住戸の解消をめざす。

・バリアフリー化

建替や改善にあたっては、住戸内部や共用部、屋外空間等のバリア

フリー化を進め、高齢者等が安全・安心に生活できる水準を確保する。

また、エレベーターのない中層住宅には、可能な限りエレベーター

を設置する。

・設備水準の向上

建替や全面的改善、計画改修により、現代の生活様式に対応できる

設備水準を確保する。

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③住宅の長寿命化

・適切な点検・補修及び計画的な改修の実施

突発的に発生する不具合や故障等に対する補修を確実に行うととも

に、点検により建物や設備等の状態を適確に把握・考慮しながら、外

壁や屋根・屋上等の建物外周部や、給排水、エレベーター等の主要設

備等について計画的な改修をより一層充実するなど、予防保全の取組

みを推進し、住宅の長期活用を図る。

・長期活用可能な設計の実施

建替にあたっては、長期活用できる躯体性能を確保するとともに、

設備の維持管理や更新が容易となるよう設計を進める。

また、給水管にポリエチレン管を使用するなど、耐震性や耐久性等

に配慮した資材の採用を進める。

・環境への配慮

建物を長期活用することにより廃棄物の発生を抑制するとともに、

断熱性能の向上やLED照明、屋外の緑化、透水性・保水性舗装材の

使用に努めるなど、環境負荷の低減を図る。

④コミュニティの再生

・新婚・子育て世帯などの入居促進

コミュニティミックスの観点から、建替にあたっては、できる限り土

地の高度利用を図り、創出された余剰地を活用して、良質な民間住宅の

供給を図る。また、高齢化の著しい団地等において、新婚・子育て世帯

などの入居促進を図る。

・ワークショップ方式の活用

住民参加によるワークショップ方式等を活用し、広場や緑地等を計

画・整備することにより、コミュニティの活性化や自主管理意欲の向上

を図る。

・コミュニティビジネス活動拠点の導入

既存団地の空き住戸等を活用し、高齢者支援や子育て支援等の活動

を行うNPO等への活動拠点の提供を行い、地域の活性化を図る。

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⑤地域のまちづくりへの貢献

・建替余剰地や低未利用地の活用

建替余剰地を活用し、道路や公園など、地域に役立つ施設の整備等

を行う。また、建替余剰地や低未利用地において、民間活力も活かし

ながら、生活利便施設・福祉施設等の導入や、防犯など安全・安心に

資する活用を図り、地域のまちづくりへの貢献に努める。

・地域防災力の向上

災害時における地域防災力の向上に寄与できるような設計を進める

とともに、津波浸水のおそれがある区においては、津波避難施設とし

ての指定を進めるなど、地域の防災力向上への貢献に努める。

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第4章 活用手法等の定義と選定

全ての住棟について、「建替」、「耐震改修」、「全面的改善」、「エレベーター

単独設置」、「継続活用」のいずれかの活用手法を選定した上で実施するととも

に、「建替」以外の住棟を対象に状況等に応じた計画改修を実施する。

1. 活用手法の定義

建 替

・現に存する住宅を除却し、その土地全部または一部の区域に新たに住宅を建

設する。

・なお、他の団地の敷地などに建設するいわゆる非現地建替を含む。

耐震改修

・住棟の状況に応じて、鉄骨ブレースや耐震スリット、耐震壁の設置等により、

建物の構造躯体について耐震性を確保する。

全面的改善

・浴室設置を中心に住戸内部の改善を行い、併せて、共用部分や屋外につい

て段差解消や手摺の設置等の改善を行う。また、エレベーター設置が必要

な住棟にはエレベーターを設置する。

・事業手法として、既存の住戸内部を改善し浴室を設置する「1戸1型」、

2住戸を1住戸に、または、3住戸を2住戸に改善し浴室を設置する「2

戸1型等」を選択する。

エレベーター単独設置

・「全面的改善」を行わず、既存住宅の階段室又は廊下にエレベーターを設置

する。

継続活用

・「建替」、「耐震改修」、「全面的改善」、「エレベーター単独設置」のいずれに

も該当しない住棟を、「継続活用」とする。

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2. 計画改修の定義

「建替」以外の手法に選定された住棟を対象に実施することとし、安全

性の確保や住宅としての機能を維持するうえで重要な要素となる外壁や

屋上、主要設備などの次の 7 つの改修を計画的・定期的に実施することと

する。

外壁改修

経年劣化等による雨水の浸入や躯体の強度低下、外壁の一部はく離落下

等を未然に防ぐため、ひび割部分などの下地調整や外壁塗装等を、外壁の

仕様や状況等に応じて全面改修または部分改修により実施する。

(全面改修):外壁全面打診を行い、劣化部分やひび割れ部分などの下地

調整のうえ、全面を塗装替えし、あわせて鉄部塗装等を実

施するもの

(部分改修):外壁全面打診を行い、悪所部分を改修し、あわせて鉄部塗

装等を実施するもの

屋根・屋上防水改修

経年劣化等による雨水の浸入や躯体の強度低下を未然に防ぐため、防水

層の改修等を実施する。

給水管改修

住宅への給水機能の確保を図るため、老朽化した共用給水縦管を更新す

る。なお、これまで取り組んできた給水圧力改修及び高置水槽改修は、必

要に応じて給水管改修とあわせて一体的に実施する。

排水管改修

経年劣化による漏水を防ぐため、住戸内に設置された共用雑排水縦管

(台所、風呂系統)及びその排水縦管に接続している住戸内排水管を更新

する。

分電盤改修(漏電遮断器設置)

漏電に対する安全性の確保を図るため、漏電遮断器機能付き分電盤が設

置されていない住棟を対象に、取替を実施する。

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エレベーター制御機器改修

エレベーターにおける安全性の確保を図るため、経過年数の長い制御装

置の交換や、戸開走行保護装置等の設置を実施する。

自動火災報知設備改修

火災に対する安全性の確保を図るため、経過年数の長い自動火災報知設

備を更新する。

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3. 活用手法の選定の考え方

前計画で「建替」と判定された住棟は、引き続き計画的に「建替」を実施す

るものとし、その他の住棟について、次に示す1次判定から3次判定により、

活用手法の選定を行う。

(1) 1次判定

耐震性、浴室の有無、築年数等による判定

○現行の耐震基準を満たさない住棟

浴室のない住棟

・全ての住棟を「建替」とする。

浴室のある住棟

・昭和45年度以前建設の住棟は「建替」とする。

・昭和46年度以降建設の住棟は「耐震改修」とする。

○現行の耐震基準を満たす住棟

浴室のない住棟

・昭和50年度以前建設の住棟は「建替」とする。

・昭和51年度以降建設の住棟は「全面的改善」とする。

浴室のある住棟

・昭和45年度以前建設の住棟は「建替」とする。

・昭和46年度以降建設の住棟は原則「継続活用」とする。

なお、昭和51年度以降に建設されたエレベーターのない住棟は「エレ

ベーター単独設置」とする。

(2) 2次判定

改善履歴による判定

○全面的改善やエレベーター単独設置の改善履歴を有するもので以下に該当する

住棟は、長期利用を図るため、1次判定に関わらず次の判定による

現行の耐震基準を満たさない住棟

・改善後10年未満の住棟は「耐震改修」とする。

現行の耐震基準を満たす住棟

・2戸1型等の全面的改善後30年未満、増築型の全面的改善及びエレベー

ター単独設置後20年未満の住棟は「継続活用」とする。

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(3) 3次判定

総合的な判定

○耐震改修等の実施の困難性、団地内での異なる手法の混在状況、敷地の有効活用

や効果的な事業遂行の観点等を総合的に判断し、 も適切な活用手法の組み合わ

せとなるよう 終判定を行う。

(4)活用手法別の判定戸数

活用手法別の判定戸数をまとめると以下のとおり

■建 設 年 代 別 活 用 手 法 別 戸 数

※H27、28 年 度 移 管 の府 営 住 宅 を含 む。

単 位:戸

建替 耐震改修 全面的改善 EV単独設置 継続活用 総計

~昭和45年

(~1970)14,779 326 3,032 18,137

昭和46~50年

(1971~1975)1,394 8,414 144 9,233 19,185

昭和51~55年

(1976~1980)561 4,832 388 2,418 8,384 16,583

昭和56~60年

(1981~1985)249 2,081 11,226 13,556

昭和61~平成2年

(1986~1990)1,143 9,236 10,379

平成3~7年

(1991~1995)88 9,588 9,676

平成8~12年

(1996~2000)36 8,333 8,369

平成13~17年

(2001~2005)7,058 7,058

平成18~22年

(2006~2010)6,171 6,171

平成23年~

(2011~)2,476 2,476

総数 16,734 13,572 637 5,910 74,737 111,590

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4. 計画改修対象の選定の考え方

・「建替」以外の活用手法に選定された住棟を対象に、建設時の仕様や建設

または前回改修時からの経過年数、全面的改善の予定の有無等を踏まえ、

次の各改修について実施する住棟を選定する。

・改修の実施時期や周期については、「大阪市公共施設マネジメント基本方

針」を踏まえ、公的機関等が示した更新年数をもとに過去の実績等も考慮

して設定する。

外壁改修

○外壁下地がモルタル塗りの住棟

・全面改修と部分改修を概ね10年ごとに交互に実施することとし、原則

として全面改修は部分改修から10年以上、部分改修は全面改修から1

0年以上経過する住棟を対象とする。

○外壁下地がコンクリート打放しの住棟

・全面改修を実施することとし、原則として建設または前回改修から20

年以上経過する住棟を対象とする。

屋根・屋上防水改修

・建設または前回改修から25年以上経過する住棟を対象とする。

今計画の対象

H17建設

建設または前回改修から仕様に応じて一定年数経過する住棟(全面改修 約54,000戸・部分改修 約29,000戸)

外壁下地がコンクリート打放しで計画期間内は前回改修から20年に満たない住棟(約3,000戸)

計画期間内は建設から20年に満たない住棟

(約9,000戸)

H12建設

建設または前回改修から25年以上経過する住棟(約44,000戸)

計画期間内は前回改修から25年に満たない住棟(約36,000戸)

計画期間内は建設から25年に満たない住棟

(約15,000戸)

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給水管改修

・建設から45年以上経過する住棟を対象とする。ただし、全面的改善で

実施予定の住棟は対象外とする。

排水管改修

・鋼管またはねじ接合のエポキシ樹脂コーティング鋼管の共用雑排水縦管

(台所、風呂系統)が住戸内に設置された住棟で、建設から40年以上

経過する住棟を対象とする。ただし、全面的改善で実施予定の住棟は対

象外とする。

分電盤改修(漏電遮断器設置)

・昭和60年度以前に建設された住棟のうち、旧仕様の分電盤(主幹ブレー

カーに漏電遮断機能を持たないもの)が設置されている住棟を対象とす

る。ただし、全面的改善で実施予定の住棟は対象外とする。

S60建設

計画期間内は建設から40年に満たない住棟(約1,100戸)

漏水が生じにくい継手を用いた共用排水管が設置されている住棟

(約43,100戸)

建設から40年以上経過する住棟(約5,800戸)

全面的改善で実施予定の住棟(約600戸)

改修済みまたは共用排水管が住戸外部に設置されている住棟(約44,400戸)

S60建設

建設時に設置済みの住棟(約44,000戸)

S60年以前に建設された住棟(約31,000戸)

全面的改善で実施予定の住棟(約600戸)

改修済み(約19,400戸)

S55建設

全面的改善で実施予定の住棟(約400戸)

改修済み(約10,600戸)

計画期間内は建設から45年に満たない住棟(約58,000戸)

建設から45年以上経過する住棟(約26,000戸)

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エレベーター制御機器改修

・エレベーター設置または前回改修から25年以上経過する住棟を対象と

する。

自動火災報知設備改修

・昭和49年度以降に建設され、法令に基づき自動火災報知設備が設置さ

れている住棟で、建設後25年を経過した住棟を対象とする。

計画期間内の各計画改修の実施予定数は次のとおりとする。

■計 画 改 修 実 施 予 定 数

計画改修 計画期間内の実施予定数

外壁改修(全面改修) 約54,000戸

外壁改修(部分改修) 約29,000戸

屋根・屋上防水改修 約44,000戸

給水管改修 約26,000戸

排水管改修 約5,800戸

分電盤改修(漏電遮断器設置) 約31,000戸

エレベーター制御機器改修 約370基

自動火災報知設備改修 約17,000戸

H12設置

計画期間内は設置後25年に満たないEV(約810基)

既存住棟に設置したもので、25年を経過する前に住棟の耐用年数に達するEV

(約250基)

設置または前回改修から25年以上経過するエレベーター(約370基)

計画期間内は前回改修から25年に満たない住棟(約430基)

S49建設 H3建設 H12建設

設置義務なし(約15,000戸)

計画期間内は建設から25年に満たない住棟(約16,000戸)

延べ500㎡以上の住棟(約14,000戸)

改修済み(約2,000戸)

11階以上の住戸(約3,000戸)

設置義務なし(約45,000戸)

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■活 用 手 法 等の選 定 フロー

全住棟

耐震性による判定

築年数による判定

1次判定

2次判定

3次判定

外壁改修

排水管改修

自動火災報知設備改修

屋根・屋上防水改修

EV 制御機器改修

給水管改修

建 替

改善履歴による判定

浴室の有無による判定

耐震改修 全面的改善 エレベーター 単独設置 継続活用

分電盤改修

エレベーターの有無による判定

計画改修

総合的な判定

・活用手法実施の困難性の検討

・団地内で異なる手法の混在状況の検討

・敷地の有効活用の検討

・効果的な事業遂行の検討

活用手法の選定

計画改修対象の選定

・建設時の仕様による選定 ・建設 (設置 )または前回改修からの経過年数による選定

・全面的改善の予定の有無による選定 ・定期点検等の結果による選定

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第5章 活用手法等の実施方針

1. 活用手法の実施方針

建 替

・事業に際しては、長期にわたり利用できる水準の住宅を建設するとともに、

従前居住世帯数に限定した建替を計画的に進め、可能な限り土地の高度利用

を図り、余剰地の創出に努める。創出された余剰地については、これまで行

ってきた道路・公園等の公共施設の整備等に加え、民間活力の導入も図りな

がら、良質な民間住宅や生活・福祉・居住関連サービス施設の導入を図るな

ど、地域のニーズに的確に対応できるよう工夫し、活用に努める。

・建替対象住宅については、早期の貸付停止を実施するとともに、他団地への

あっせんや民間住宅への本移転に対する支援策を講じ、一層効率的な建替を

進める。

・原則として、前計画で「建替」と判定されている住宅や現行の耐震基準を満

たさない住宅を優先して、居住者の移転計画等が整った団地から実施する。

・計画期間内に、対象住宅の概ね7割の事業着手をめざす。

・「建替」により建設する住宅は、概ね70年使用するものとする。

耐震改修

・現地調査や効果的・効率的な耐震化手法の検討を住棟ごとに行い、鉄骨ブ

レースの設置や、建物のねばり強さを高める耐震スリットの設置等の適切

な工法を採用し、原則として、団地単位で効率的に実施する。

・計画期間内に、対象住棟全ての事業着手をめざす。

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全面的改善

・事業実施にあたっては、構造や住戸面積等を考慮し、「1戸1型」、「2戸

1型等」の手法を適切に選択する。

・原則として、建設年度の古い団地順に、地元要望がまとまった住棟から実

施する。

・計画期間内に対象住棟全ての事業着手をめざす。

・事業実施にあたっては、団地内の住棟配置等を考慮して、団地の将来の利

活用に支障が生じないよう努める。

・「全面的改善」を実施する住宅は、事業実施後、概ね30年使用するもの

とする。

エレベーター単独設置

・計画期間内に地元要望がまとまった対象住棟全ての事業着手をめざす。

・事業実施にあたっては、団地内の住棟配置等を考慮して、団地の将来の利

活用に支障が生じないよう努める。

・「エレベーター単独設置」を実施する住宅は、事業実施後、概ね20年使

用するものとする。

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2. 計画改修の実施方針

安全で良質な住宅として長期にわたり活用していくため、建物や設備の

経年劣化などの状況を踏まえつつ、耐震改修やエレベーター設置などの他

の工事との調整も図りながら効果的・効率的に進めていくこととし、計画

期間内に対象となる住棟全ての実施をめざす。

外壁改修

・原則として経過年数の長い住棟から実施するが、外壁の一部はく離落下

等が危惧される住棟は優先的に実施する。

・改修にあたっては、外壁塗装及び鉄部塗装の仕様を耐久性の高いものと

する。

屋根・屋上防水改修

・原則として経過年数の長い住棟から改修を実施するが、漏水等が危惧さ

れる住棟は、優先的に改修を実施する。

・改修にあたっては、外断熱仕様とし、シート防水については表面に高反射

塗料を塗布する。

給水管改修

・原則として建設年度の古い住棟から改修を実施するが、漏水等が危惧さ

れる住棟や水圧が不足している住棟を優先的に実施する。

・高置水槽給水方式を採用している住棟は、原則として給水方式を直結増

圧給水方式又は加圧給水方式に変更する。

・改修にあたっては、耐久性の高い仕様(樹脂管)に更新する。

排水管改修

・原則として建設年度の古い住棟から改修を実施するが、漏水等が危惧さ

れる住棟は、優先的に改修を実施する。

・改修にあたっては、耐久性の高い仕様(MD継手を用いた硬質塩化ビニ

ルライニング鋼管)に更新する。

分電盤改修(漏電遮断器設置)

・原則として経過年数の長い住棟から取替を実施する。

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エレベーター制御機器改修

・原則として経過年数の長いエレベーターから実施する。

・制御装置の交換や、戸開走行保護装置(UCMP)・地震感知器(P波)

の設置を実施する。

自動火災報知設備改修

・原則として経過年数の長い自動火災報知設備から取替を実施する。

3. 点検・経常補修の実施方針

安全性の確保や住宅の機能維持を図るため、市営住宅及び共同施設の建

物、設備について、法令等に基づき定期的な点検を行うとともに、入居者

の日常生活に支障のないよう、漏水などの不具合や機器の故障などについ

て随時に補修を実施する。

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結 び

本計画は、市営住宅ストックを良好な社会的資産として有効に活用するた

め、建替などの活用手法等を適切に選定し、計画的な事業の実施方針を定め

るものであり、今回の見直しにあたっては、耐震性の確保や住宅の長寿命化

等に重点をおいて計画を策定した。

本計画の推進にあたっては、厳しい財政状況や近年の工事費の高騰といっ

た情勢のもと、より効率的な事業の推進が不可欠であり、建設や維持管理の

コスト縮減に向けた取り組みを継続的に進めるとともに、国に対しても、事

業推進に必要となる財源確保について働きかける必要がある。

また、福祉やまちづくり等の関係施策と十分連携するとともに、居住者を

はじめ市民の理解を求め、より多くの市民に支持される市民住宅の実現をめ

ざしていくものとする。