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ICTの最前線を行く 技術ありきじゃない! モノ本来の魅力を輝かせるIoT 深津 康幸面白法人カヤック ディレクター ケ イ・オ プト 2016.Spring vol.32 お客さまとケイ・オプティコムをつなぐコミュニケーションメディア

技術ありきじゃない! モノ本来の魅力を輝かせるIoTICTの最前線を行く 技術ありきじゃない!モノ本来の魅力を輝かせるIoT 深津康幸氏面白法人カヤック

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ICTの最前線を行く

技術ありきじゃない!モノ本来の魅力を輝かせるIoT深津康幸氏面白法人カヤック ディレクター

この木のように大きくなれ!

ケイ・オプト

2016.Springvol.32

お客さまとケイ・オプティコムをつなぐコミュニケーションメディア

僕ノートを映し出したりと、いろいろなことができるよう

になります。これが黒板と電子黒板のいいとこどりをし

た「ハイブリッド黒板」です。

 

このプロジェクトは、愛媛県の老舗黒板メーカー・サ

カワさんからの「電子黒板を納入しているものの、実際

はあまり使われていない」という相談から始まりまし

た。さっそく、いろいろな学校に行って先生へのヒアリン

グを重ねてみると、2つの課題が見つかりました。

 

1つ目は、電子黒板は文部科学省が主導して全国の

学校へ導入が進んでいますが、値段が高くてスペースを

とるということ。

 

2つ目は、電子黒板の使い勝手があまり良くないとい

うこと。電子黒板には多くの機能がありますが、先生が

使いたい機能はそのうちの1、2割。ペンの色を変えるの

でさえ何ステップも必要だったりと、電子黒板のせいで

生徒の集中力が途切れて授業の妨げになってしまうこ

ともあるようでした。

 

そこでサカワさんと、先生が使いたくなるような黒板

を先生たちと作ろうと「みらいのこくばんプロジェクト」

を立ち上げ、2014年に日本最大のICT教育分野

の展示会でプロトタイプを発表しました。その反響は驚

くほど大きく、みんなが教育現場を変えたいと思ってい

ることが伝わり、とてもうれしく心強く思いました。

 

ここまで衝撃を持って業界に受け止めてもらえたの

は、これまでの電子黒板のように技術面での進化がウリ

なのではなく、もともとの考え方が新しかったからのよ

うです。日本では「電子黒板は黒板の隣に並べて必要な

ときだけ使う」ことが主流だったので、僕たちは電子黒

板を作るのではなく黒板の一部分をデジタル化するとい

う視点で提案したのです。

 

翌年には、Kocri

として商品化を果たしました。黒板、

は今、ハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」

の開発に取り組んでいます。100年以上変わ

らない黒板をIoTの力で変えようというプロジェクト

です。

 

黒板をインターネットにつなげると、今まで通り

チョークで書くことができる上に、プロジェクターとし

て教材を投影したり、スマートフォンで撮影した生徒の

ICTの最前線を行く特 集

1981年生まれ。グラフィックデザインの世界を経て、デジタルコンテンツを制作する面白法人カヤックに入社。テクノロジーを駆使したプロジェクトを数多く手掛け、国内外のコンテストで豊富な受賞実績を持つ。

使われない電子黒板を

使われる黒板にするプロジェクト

Yasuyuki FUKATSUSpecial Feature

深津康幸氏面白法人カヤック ディレクター

モノをインターネットにつなぐ「IoT(Internet of Things

)」。

ビジネスシーンのみならず、日々の暮らしの中にも活用の場が広がりつつある。

あらゆる企業がこぞって取り入れようとしている今、

本当に役立つIoTを生み出す秘訣は何なのだろうか。

技術ありきじゃない!

モノ本来の魅力を

輝かせるIoT

大人顔負けの料理ごっこが楽しめるスマートトイ「ダンボッコ キッチン」

02 K-OPT K-OPT 01

プロジェクター、iPhone

やiPad

、そしてA

ppleTV

さえあ

れば利用でき、費用はわずか月額600円です。電子黒

板を作るにはハードウエア開発から考えがちですが、僕

たちは便利さの提供を重視してアプリ開発に至りまし

た。ICTリテラシーの高くない人でも使えるように、機

能やユーザーインターフェイスは極力シンプルに。片手で

使えて、授業の流れを止めないことを意識しました。

oTというと、最先端の技術が散りばめられた

SFのような世界を思い浮かべる人もいるでしょ

う。でもそれは本当に人々が望んでいる世界でしょうか。

僕はIoTを意識したものづくりはあまりしていませ

ん。今後IoTはあらゆるものづくりの前提になるで

しょう。でも実現させたい世界の形やビジョンが曖昧な

まま、テクノロジーありきでものづくりをすると、本当

に役立つものは作れないと考えるからです。例えば「コッ

プをインターネットにつなぐと何ができるか」と考えるの

ではなく、「家族のコミュニケーションをこうしたい」とい

うビジョンがあって、その1つの方法としてネットにつな

がったコップを作り出す、という感じです。Kocri

も電子

黒板というテクノロジーはあったものの、その前提に「教

育現場を変えたい」という熱いビジョンがありました。

 

アイデアを生み出すためには、情報のインプットが最

も重要です。トレンドの人工知能やバイオテクノロジー、

ロボティクスなどの情報を収集するのはもちろん、当社

だとエンジニアが海外で発売したばかりの最新機器を

個人で取り寄せて使っていたりなど、自然と情報が集

まってくる環境づくりをしています。もちろんこうした

アイデアを実現するには、通信インフラの充実は欠かせ

ません。アイデアの進歩とともにインフラや法の整備も

進歩してほしいと願っています。

 

2014年、三井不動産レジデンシャルさんたちと

「2020

ふつうの家展」という未来の住宅を提案す

るイベントを開催しました。家そのものが人のパート

ナーのような存在になり、家族の絆が深まるような仕

   

使う人の声に

耳を傾けることで

本当に使ってもらえる

ものづくりを。

掛けがたくさんあります。ここでは夢のような家ではな

く、今の延長線上にある半歩先の未来の家を考えまし

た。僕はものすごく未来のものを作るより、今ある不便

さを解消して本当に使ってもらえるものを作ることが

好きです。使ってもらえるものを作るには、ユーザーの

声を聞くフィールドワークを重ねる以外に方法はあり

ません。実際、「みらいのこくばんプロジェクト」の最初の

会議で出た8割以上のアイデアは、フィールドワークの

結果、捨てることになりました。

 

そして利便性を追求すると、逆に不便さが求められ

る揺り戻しも起こるでしょう。デジタルに行き過ぎる

と、アナログに戻りたくなる。僕たちが作った「ダン

ボッコ

キッチン」がそうです。ダンボールにスマホを埋め

込んで料理の疑似体験ができるこのプロダクトは、アナ

ログな手触りとデジタルの面白さが両方楽しめるおも

ちゃなのです。

社はIoTへの関心の高まりを受

けて、2015年にIoT制作室を

立ち上げました。以前からIoTを生かした

ものは作っていて、「ブーン」という声でクルマ

が走る日産自動車さんのPRイベント「V

OICE

DRIVER

」は、カンヌで賞をいただきました。同じく日産

さんの、クルマに搭載された先進テクノロジーをアウト

ドアスポーツギア開発を通してPRする「X

-TECH

GEAR PROJECT

」でもIoTによってワクワクする体

験を届けられたと思っています。

 

IoTプロダクトの分野では、大企業よ

りスタートアップなど中小規模の企業が

活躍している印象を受けます。両者の違い

はスピードです。今求められるものをいち

早く世の中に送り出して、ユーザーの声を

聞いてスピーディーに改善していく。最近

は「共創」といって、社外のクリエーターと

一緒にものづくりをしたいと考える企業が

増えていますが、せっかく協業しても従来

の仕事の進め方にこだわってしまう企業も

あるようです。新しい価値を生み出すに

は、そこから変える必要があるのかもしれ

ません。

 

本当に使えるIoTを広げるために、消費者ができ

ることもあります。僕は自分の不便さを解消してくれ

るものを見つければ積極的に購入しますし、クラウド

ファンディングでそういう提案を見つけると出資したり

しています。ダンボッコ

キッチンはクラウドファンディン

グで開発資金を集めましたが、日本は米国と比べてス

タートアップを応援する仕組みは十分ではありませ

ん。集まるお金が一桁違うのです。でもインターネットの

おかげで、誰でも簡単に出資できる時代になりました。

ICTに興味がない人たちにも、自分の不便さを解消

するものが次々と生まれていることを知ってもらい、そ

して必要なものを探そうという意識が広がれば、もの

づくりの世界も大きく変わると思います。

 

今後はテクノロジーの恩恵をまだ受け取っていない

分野で、新しいものづくりに挑戦してみたいと考えてい

ます。テクノロジーを生かしたものが、みんなに本当に

使われて、その人たちが笑顔になれれば最高だと思って

います。

本当に使われるものを

みんなで作りたい

声の大きさに応じてクルマのスピードが変わる「VOICE DRIVER」

今より半歩先を見て

ビジョンありきで考える

ARAUGMENTED REALITY 教室にある黒板をスマホで操作できるハイブリッド黒板アプリ「Kocri」教室にある黒板をスマホで操作できるハイブリッド黒板アプリ「Kocri」

「cybARnet」をダウンロードする

「cybARnet」を起動する

お持ちのスマートフォンやタブレットで無料アプリ「cybARnet」をダウンロードします

スキャンボタンをタップして、QRコードを読み込むと、「ケイ・オプティコム」のチャンネルに入ります

AR

スキャンボタン

1 3

  の状態で、   の写真にスマホをかざします※機種により、画面デザインが異なる場合やご利 用いただけない場合があります。また通信環境に よっては、動画の読み込みに時間がかかります。※本コンテンツは2016年6月30日までご覧い ただけます。

写真にスマホをかざす

2

2

毎日の食卓風景を記録してテーブル上に再現する「キオクスル食卓」

離れた家族と交流できる「ツナガル窓」

スノーボーダーを自動で追いかけるヘリコプターを開発した「X-TECH GEAR PROJECT」

「2020 ふつうの家展」

家が料理をナビゲーションしてくれる「ツクル空間」

AR

アプリを入れて写真にスマホをかざすと動画が!

04 K-OPT K-OPT 03

06 K-OPT K-OPT 05

PRESENT読 者

2

川島酒造【6名さま】

読 者 プ レ ゼ ン トPRESENT読 者

1

http://www.k-opti.com/announce/kopt/present.html

下記URLより『K-OPT』読者プレゼント応募フォームにアクセスして、プレゼント1または2のいずれかをお選びいただき、必要事項をご入力の上、ご応募ください。(重複応募は1口とさせていただきます)

応募方法

当選発表

締め切り 2016年6月30日(木) 

厳正なる抽選の上、商品の発送をもって発表に代えさせていただきます。

八景セット純米吟醸1本、吟醸2本、特別純米2本、計5本入りの飲み比べセット

【5名さま】

針江のんきぃふぁーむ

近江針江の古代米 4本セット有機栽培で育てられた緑米、赤米、黒米、古代五色米を各1本(150g)

※商品販売はウェブサイト のみです。http://shop.nonkifarm.com/

高島市新旭町針江417-1Tel. 0740-20-5067

高島市新旭町旭83Tel. 0740-25-2202営業時間/10:00~17:00定休日/不定休

琵琶湖の北西部に位置する滋賀県高島市に

日本でも珍しい水文化を守り続ける新旭町針江地区があります。

湧き水を利用した台所「かばた」が今も110軒以上で現役!

清らかな水が集落を流れ、水路によって各家庭がつながっています。

自然や人を大切に思い暮らすこの町には、国内外から見学者が絶えません。

町全体が博物館のように美しいここで、春を感じてみませんか。

関西

おいしい散歩

K a n s a i O I S H I I S a n p o

harie

〈滋賀県〉

高島市新旭町旭707 Tel. 0740-25-3790

高島市新旭町針江417-1 Tel. 0740-20-5067

PRESENT読 者

2

高島市新旭町旭83 Tel. 0740-25-2202

PRESENT読 者

1

高島市新旭町針江 Tel. 0740-25-6566(針江生水の郷委員会)

高島市新旭町旭460 Tel. 080-9758-3780

いけば、メリットはさらに膨らむ。

 ただし、予算には限りがある。いくらメリットが大きい

とはいえ、予算を超えるシステムを導入することはできな

い。この問題について、同課長補佐の浅海毅氏は「初期費用

だけでなく、次の更新となる5年後までのランニングコス

トを含めて総合的に考え、十分に採算が合うと判断しま

した」と、決定理由を語る。

 旧システムから、クラウドサービスへの転換は、実質4カ

月で行われた。新システムが稼働したのは、2015年11

月23日。その後1週間の検証期間を経て、12月1日にシス

テムが切り替えられた。

 わずかな時間で町役場クラスの情報システムを一新する

のは、それほど簡単なことではない。仮に今回も、サーバを

点を指摘する。

 サーバの空き容量は残りわずかとなり、古いデータを消

去してやりくりしていた。データ増量やサーバの仕様変更

は、初期の契約外であり大幅なコスト増となるため見送ら

れていたのだ。

 「2016年に稼働させる新システムの課題は、コスト

削減とセキュリティアップ。ちょうど、その検討を始めたと

きにケイ・オプティコムさんから『ユーティリティ

クラウド』

の提案を受けたのです。これなら課題を解消できると思い

ました」と、枝広氏。

 『ユーティリティ

クラウド』は、ケイ・オプティコムが提

供するアプリ提供クラウドサービス(SaaS

)である。ユー

ザーは、豊富にそろえられたアプリケーションから必要な

ものだけを選んで使う。自前でサーバを持つ必要がないた

め、運用管理の負担が減り、コストも削減できる。

 豊能町は導入当初より、『ユーティリティ

ラウド』が提供する大半のアプリケーションを

採用している。これについて枝広氏は「アプリ

ケーションの中でもウイルス対策のE

SET

必須。小学校と中学校で端末を活用するの

で、i-FILTER

のようなフィルターソフトは欠

かせません。そして今後に期待しているのが

desknet’s NEO

です」と、語る。

 グループウエアdesknet’s N

EO

は豊富

な機能を備えているが、豊能町が活用してい

るのは、現時点でメールや掲示板など使い慣

れたものだけ。今後、利用する範囲を広げて

公的機関へのサイバーアタックが深刻な問題となっている。そんな中、システム更新の時期を迎えていた豊能町では、コストを抑える一方で、セキュリティを高めるユーティリティ クラウドを採用した。

公的機関へのサイバーアタックが深刻な問題となっている。そんな中、システム更新の時期を迎えていた豊能町では、コストを抑える一方で、セキュリティを高めるユーティリティ クラウドを採用した。

セキュアで低コストなユーティリティ クラウド

自治体情報システムのセキュリティを高める

ゆるキャラ『とよのん』が出迎えてくれる、豊能町のキャッチフレーズは「人とみどりが輝くまち とよの」。大阪府北部に位置し、大阪中心部まで50分程度の通勤圏内にありながら、豊かな自然に恵まれた静かな環境は、子育てにも最適だ。〒563-0292 大阪府豊能郡豊能町余野414-1Tel. 072-739-0001 http://www.town.toyono.osaka.jp/

町で手配するオンプレミス型を採用していれば、これだ

けの短期間でシステムを構築できなかった可能性がある。

時間をかけずにセキュアなシステムを構築できるのは、ク

ラウドサービスならではのメリットだ。

 「ケイ・オプティコムさんに任せれば、セキュリティの高さ

はもちろん、ネットワーク保守に掛かる負担の削減も期待

できます。これがうれしい」

 枝広氏がこう語る背景には、これまでの苦労がある。

ネットワーク不調の連絡が入るたびに、現場に行ってケー

ブルを抜き差ししたり、スイッチのオフオンを繰り返して

原因を探り出し、自分で必要な機器を手配していたのだ。

 「新システムは、ケイ・オプティコムさんのサービスオペ

レーションセンターが24時間365日体制で監視してく

れているので、万一トラブルが起こった場合でも、すぐに連

絡が入る。この安心感は大きいですね。しかもデータセン

ターの耐震性は折り紙つき。耐震面で不安の否めない庁

舎からサーバをなくせて、ほっとしています」と、枝広氏は

頬をゆるめた。

 豊能町では従来、庁舎内にラックを設置し15台のサー

バを1人の担当者が管理していた。町内各所で使用する約

200台の端末の管理も同じ担当者が行う。

 「新しいアプリケーションの使用申請があると、安全性

を確かめた上で、私が現地に出向いてインストールしま

す。セキュリティ上、仕方がないとはいえ、広い町内を駆け

回るのは大変でした」と、豊能町総務部秘書政策課主事

の枝広泰輔氏は振り返る。

 同町のシステム担当は、1年で異動することもある。も

とより役場内に情報システムに詳しい職員は1人もおら

ず、ハードディスクのデータ損傷などのトラブルに見舞われ

ると、復旧に手間取った。

 「業者さんに連絡しても、なかなかすぐには来てもらえま

せん。データが飛んだときなどは、システムが3日ほどダウ

ンして業務になりませんでした」と、枝広氏は過去の問題

4カ月でのシステム更新はスケジュール的にかなりタイトでした。以前のシステムは当社が構築したものではないため、調査からのスタートです。旧システムを精査して要件定義を行い、ネットワークやサーバの詳細設計に落とし込む。クラウドサービスだから短期間で対応できました。クラウドサービスのメリットは今後の拡張性や機動力ある対応です。今後も豊能町の発展をしっかりサポートしていきます。

セキュリティに加えて、将来の機能拡張など情報システムをサポートします

豊能町総務部秘書政策課主事

枝広泰輔 氏

豊能町様河本 健法人・公共事業推進本部 公共営業グループ自治体営業チーム

CL O S E

導 入事例写真右から、豊能町の浅海毅氏、枝広泰輔氏と打ち合わせを

する河本健、石堂久継

セキュアで低コスト、回線から

アプリまでをワンストップで提供

任せて安心の監視体制、

今後はアプリケーションの拡張も

トラブル対応に苦労した旧システム

ネットワーク構成

出先拠点 各学校

行政系 教育系

町役場

行政系 行政系 教育系

InternetInternet

イーサネットVPN(教育)

ユーティリティクラウド

ユーティリティクラウド

豊能町

イーサネットVPN(行政)

K-OPT 0708 K-OPT

でメッセージの作成もで

きる(写真②参照)。スマ

ホに内蔵されていた

スピーカーやマイクの

機能を見直そうとい

う動きといえよう。他

にも全天球型のカメ

ラ、ロボット型のエー

ジェントなども多く

の企業から出展されていた。スマホをハブにしてさらに

新たなデバイスを提供していこうということであろう。

二は「ネットワークとデバイスのアンバンドル

化」であるが、特にeSIMのIoTデバイスへの

実装が本格化しそうな気配である。今回、サム

スンはeSIMが内蔵されたスマートウォッチを出展して

おり、この春にも商用化する見通しである。eSIMを作動

させる場合、QRコードが記載されたプラスチック型カー

ドを購入し、スマホでQRコードをスキャンすれば、その情

報がB

luetooth

経由でスマートウォッチに送られ、スマー

トウォッチのeSIMが作動する。

 スマートウォッチ自身がSIM情報を保有するので、

ウォッチ単体で通話やデータ通信が可能となる。写真

③にはV

odafone

のQRコード付のプラスチック型

カードを、写真④にはサムスンのeSIM内蔵スマート

ウォッチを示している。QRコード付のカードについて

は他の通信キャリアのカードを利用すれば、他社SIM

情報をインストールすることもできる。また、いったん

例のM

obile W

orld Cong

ress(MWC)

が2016年2月22日から25日にかけて、ス

ペインのバルセロナで開催された。今回のテー

マはまさに、IoT (Internet of T

hings)

の時代を

象徴するように、 ”M

obile is E

verything”

である。

そして隠れたキーワードは「アンバンドル化」であったよ

うに思われる。

 第一は「端末機能のアンバンドル化」である。これまで、ベ

ンダーは携帯電話やスマートフォンにカメラ機能、スピー

カー機能、ディスプレー機能などをコンパクトに詰め込

み、バンドル化してきたわけであるが、アンバンドル化を始

めてきているように思える。例えば今回、ヘッドマウント型

でVR(V

irtual Reality

)機能を搭載したディスプレー

を、サムスン、LG、HTCなどの有力ベンダーがこぞって

アピールをしていた(写真①参照)。スマホとネットワーク

とを結ぶことで、ゲームをはじめとするエンターテインメ

ントが楽しめるというわけである。VR自体がどこまで市

場の広がりを持つかは別にして、ディスプレーという機能

に新たなイノベーションを持ち込もうとしている。

 ソニーはコードレスのイ

ヤホンを展示していたが、

これはスマホと連携し、

定期的に天気やSNSの

アップデート、メッセージ

などを知らせてくれるも

のであり、マイクロホンの

機能も有していて、音声

 ではIoT

はもうかるのか。通信ネットワークにつなが

るデバイスの数は増えても、ARPU(A

verage Revenue

Per User;

利用者単価)はスマホほどの水準を期待できな

い。デバイスメーカーにとっても、今後スマホの周辺機器に

対する需要は増えるかもしれないが、価格競争に陥りかね

ない。IoTを駆使して得られた情報をいかに分析して価

値の高いものとするかがポイントであろう。MWCを今

後、金融、物流など、異業種のプレーヤーも集積する場と

しないことには、IoT

のマネタイズのネタは見つからない

のではないか。そんな思いにかられた4日間であった。

eSIMに書き込まれた情報を消去して、新たなSIM

情報を書き込むことができるので、例えば国境を越え

て別の国に行った場合は、当地の通信キャリアのSIM

情報を書き込むこともできる。

 SIM情報とはすなわちネットワーク情報と利用者

情報のIDそのものであり、その情報をデバイス上で

簡単に書き換えられるようになると、ネットワークと

デバイスのアンバンドル化が進む。これまでは携帯電話

のショップで通信サービスを申し込み、スマホを買って

いたのが、IoT

の時代には例えば時計店でスマート

ウォッチを購入し、あとからコンビニエンスストアなどで

QRコード付のプラスチック型カードを購入して作動

させる、というようになるかもしれない。  

ケイ・オプティコムケイ・オプティコム 社員の思い

A.T. カーニー株式会社 パートナー

京都大学大学院工学研究科修了、ジョージタウン大学大学院修了(IEMBAProgram)。NRI野村総合研究所、NRIAmerica Washington, D.C. Officeなどを経て、現在はシカゴに本社を置き世界40カ国でコンサルティングビジネスを展開するA.T.カーニー日本オフィスにおけるリーダーの一人として活躍。得意領域は通信、放送、メディア、金融サービス。総務省の各種委員・構成員を歴任。

MACROVIEWMICROV I EW

通信業界WATCH吉川 尚宏の

No.11

IoTの時代こそアンバンドル化が進む

吉川 尚宏 氏

お客さまの声に応えて  電気をより良い     サービスへ

経営本部エネルギー事業戦略グループ エネルギー事業システム計画チーム平井 健司

 ついに「eo電気」が始まりました。eo電気の業務設

計を担当して1年半、無事にこの日を迎えられて、まずは

ほっと一安心しています。

 とにかく時間がありませんでした。国が電力の小売営

業に関するルールの詳細を確定したのは2016年の年

明け。それまでは国が行う議論の内容から仕様を想定し

て、システム作りを進めていました。関西電力の関連会社

だから特別な情報を知っているだろうと思われがちです

が、そういったことは全くなく、いかに早く情報を集めて

業務設計に反映させるか、そこに一番苦労しました。

 電気はこれまで当社が提供してきた通信サービスとは

根本が異なるものです。eo電気では、全く新しい概念や

仕組みを作る必要があるため、関係部署との調整の中

で、社内都合を優先させた方が楽だなと思うことも多くあ

りました。しかし、お客さまにとって本当に理解しやすいも

のか、使いやすいものかを、お客さま目線で考えることを

意識し、何度も議論を重ねてシステムを作り上げました。

 私たちは暮らしに関わるインフラすべてをまとめてご

提供したいと考えています。すでにあるインターネット、電

話、テレビ、モバイルに電気が加わり、この目標に一歩近

づきました。eo電気は始まったばかりです。今後もお客

さまの声を反映させながら改善し、さらなるサービス拡

充を図っていきます。

写真③

写真①写真①

写真②写真②

写真④写真④

※(embedded SIM

)

 あらかじめ通信端末などに組み込まれたS

IM

に対して、番号情報

 など必要な情報をリモートで書き込むことができる。

K-OPT 0910 K-OPT

作 家 田中達也 Tatsuya Tanaka

「mineo」法人契約M2M/ IoT向け新サービス提供開始!

電力小売事業へ参入!「eo電気」の提供を開始しました

表 紙「この木のように大きくなれ!」 1981年熊本県生まれ。ミニチュア写真家・アートディレクター。ミニチュアをモチーフにした作品がインターネット上で人気を呼び、雑誌やテレビなどのメディアでも広く話題に。2016年4月に写真集第2弾となる「MINIATURE LIFE2」を発売。

通巻第32号

 2016年

4月1日発行 編集発行/株式会社ケイ・オプティコム『K-OPT』編

集室(コーポレート広報チーム) 〒530

-6116 大阪市北区中之島3丁目3番23号

中之島ダイビル

発行責任者/久保忠敏 編集人/西岡知一 冨田和俊 戸田麻結子 編集・制作協力/株式会社エム・シ

ー・アンド・ピ

ー お問い合わせ/E-mail:kopt@

k-opti.com  TEL:050-7102-4333

vol.32 2016・Sp

ring

BusinessConsumer

4月の電力小売全面自由化に伴い、電力小売サービス「eo電気」の提供を開始しました。「eo電気」では、現在の電気使用量が多いご家庭ほど、おトク率がアップする料金設定となっています。お支払いは、「eo光ネット」、「eo光電話」、「eo光テレビ」と一緒にすることができ、eo会員Webサービス「eoマイページ」で各種手続きや料金の確認をまとめて行えます。「eo電気」へ乗り換えいただく際には、ご家庭の工事は不要で、解約手続きもケイ・オプティコムが代行します。Webまたは電話でお申し込みいただくだけの簡単な手続きで、電気を今まで通りの品質で安心してご利用いただけます。今なら課金開始月から最大12カ月間基本料無料に加え、解約精算金と契約事務手数料が無料となるキャンペーン「eo電気スタート割」を実施しています。キャンペーンは5月31日(火)までです。ぜひこの機会にお試しください。今後も、通信事業だけにとどまらず、お客さまの生活インフラを提供することで、もっと便利で快適なライフスタイルを創造するお手伝いをしていきます。

「mineo(マイネオ)」法人契約において、M2M/IoT向け新サービス「M2Mアクセス」の提供を3月より開始しました。コースは「上り高速コース」と「夜間専用コース」の2つ。月額500円/回線でお使いいただける「上り高速コース」は、上りトラフィックに速度制限がなく、24時間通信可能で、稼働状況の監視などリアルタイムデータの収集に最適なコースとなっています。月額350円/回線でお使いいただける「夜間専用コース」は、22時から6時までの夜間時間帯に利用を限定し、速度制限がなく、夜間のバッチ処理によるデータ収集などに最適です。今後は、コース追加や閉域接続オプション導入などのサービス拡充に加え、M2MルータやIoTゲートウェイ、専用プラットフォームといったM2M / IoT分野で必要なモノ・サービスのトータル提供などを実施し、さまざまなニーズにお応えしていきます。

 

4月より「ユーティリティ クラウド」に提供アプリを追加!

Business

アプリ提供クラウドサービス「ユーティリティ クラウド」に、今までのグループウエアやIT資産管理などの業務推進に不可欠な8つのアプリケーションに加え、新たに「Web改ざん復旧」と「統合監視」を追加しました。「Web改ざん復旧」はWebサイトの改ざんを1秒未満で検知し、改ざん状態を自動的に元に戻すアプリケーションで、深刻化するWeb改ざんの対策におすすめ。「統合監視」はハードウエアの死活状態、CPUやメモリのリソース状態など、サーバやネットワーク機器を監視するアプリケーションです。今後もアプリケーションを追加し、お客さまにご利用いただきやすいサービスを提供していきます。

外出先でも使える!「eoスマートリンク」に新端末登場

4月より「eoスマートリンク」タブレットのラインアップに、HUAWEI製「MediaPad T1K 10.0 LTE<K-OPT仕様>」が加わりました。薄くて持ち運びしやすいコンパクトボディの新端末は、お求めやすい価格のSIMフリーモデル!もちろん「mineo(マイネオ)」のSIMにも対応しています。SIMを挿せば外出先でもインターネットが使えるので、ご自宅だけでなく外出先でも、eoスマートリンクタブレットをお楽しみいただけます。従来から提供していた高画質・高音質のNEC製端末に加えラインアップを増やすことで、お客さまに合ったタブレット端末を選んでいただけるように選択肢を広げました。

Consumer

お客さま拠点

docomo網

au LTE網

センサーなどのデータ収集に

車載器への組み込みに

POSデータの集計に

インターネット