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http://www.fujitsu.com/jp/services/application-services/enterprise-applications/crm/salesforce/ 1/5 ページ デジタル革新が進展する中、多様な消費者ニーズに柔軟に対応し、売上拡大や収益向上を目指す顧客志向型ビジネスへの転換 が求められています。富士通は2018年12月5日に開催された「Salesforce World Tour Tokyo」に出展。「顧客ニーズを捉え 売上拡大!サービスイノベーション実践事例公開」と題したセミナーで、富士通 オファリング推進本部 デジタルマーケティ ングオファリング統括部 SFDCソリューション部 部長の富高 恵津子が、企業におけるサービスの在り方を変革し、売り上げ 拡大に取り組んだお客様事例を紹介しました。 AI、IoT、つながる技術が実現する新しい価値創造 お客様に選ばれ続ける企業となるために、 「サービスイノベーション」の実現を ケーススタディ サービスイノベーション

お客様に選ばれ続ける企業となるために、 「サービ …...ます。多くの企業では、お客様に選ばれ続ける企業になる ために「サービスイノベーション」の実現を目指す必要が

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http://www.fujitsu.com/jp/services/application-services/enterprise-applications/crm/salesforce/1/5 ページ

デジタル革新が進展する中、多様な消費者ニーズに柔軟に対応し、売上拡大や収益向上を目指す顧客志向型ビジネスへの転換が求められています。富士通は2018年12月5日に開催された「Salesforce World Tour Tokyo」に出展。「顧客ニーズを捉え売上拡大!サービスイノベーション実践事例公開」と題したセミナーで、富士通 オファリング推進本部 デジタルマーケティングオファリング統括部 SFDCソリューション部 部長の富高 恵津子が、企業におけるサービスの在り方を変革し、売り上げ拡大に取り組んだお客様事例を紹介しました。

AI、IoT、つながる技術が実現する新しい価値創造

お客様に選ばれ続ける企業となるために、「サービスイノベーション」の実現を

ケーススタディ サービスイノベーション

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サービスに投資する」と回答した企業は71%にもなりました。

 それでは、どうやってロイヤルカスタマーを創出してい

けばよいのでしょうか。そのためには「顧客ロイヤルティ」

を高める必要があります。顧客ロイヤルティとは、お客様

の期待を上回ることで生まれる「共感」「愛着」「信頼」

などの感情的な評価のことを指します。顧客ロイヤルティ

は、「基本価値への満足」「期待価値への満足」「願望価

値への満足」「予想外価値への感動」「共感・愛着・信頼」

の5段階のレベルで定義することができます。

 例えば、「商品が壊れたら、すぐに修理してくれた」という

場合は、いわば「当たり前の体験」で「願望価値への満足」、

つまり「ここまでしてくれたらいいなという願望」に対応し

ているレベルとなります。ところが、「修理を依頼したら、

すぐに新品を送ってくれた」という体験を顧客がした場合

には、それが「予想外価値への感動」になります。そこか

ら、「企業姿勢が好き、無いと困る」という共感へとさら

に段階があがっていきます。これにより顧客ロイヤルティ

が獲得できると言われています。

 グローバルの製造業300社を対象にした調査によると、

「もはや製品では差別化できない」という企業が半数以上

に達した一方で、86%が「顧客体験価値こそが差別化の鍵

になる」と回答しています。また、「長期的な顧客とのリ

レーションシップ実現に向けて1年から1年半の間に新たな

大切なのは「顧客ロイヤルティ」を高めること

 現在、BtoB、BtoCのどちらの市場でも「購買行動」に大

きな変化が起きています。製造業の事例で考えてみます。

ある人が何かを購入したいと考えた際、インターネットの

普及に伴い、WebやSNS、価格比較サイトやアナリストレ

ポートなど自ら調べる環境を利用するようになりました。

その結果、85%から90%までが「購入を決めた段階」でやっ

と、商品やサービスを提供する企業・事業者にコンタクト

するという時代になっています。

 このような時代では、いかにお客様と早い段階でタッチ

ポイントを持って接触できるかが、企業の課題となってい

ます。多くの企業では、お客様に選ばれ続ける企業になる

ために「サービスイノベーション」の実現を目指す必要が

あります。

 製造業を例にとると、これまで実践してきた「製造した

モノを売る」という考え方ではなく、「モノを媒介したサー

ビス」を提供することで、お客様との新しい関係性を構築

し、「継続的に価値を提供する」という考え方への切り替

えが急務となっています。こうした考え方で、新たな企業

活動に取り組むことを「サービスイノベーション」と呼ん

でいます。お客様との長期的なリレーションシップにより、

継続的な収益モデルを構築することで、企業にとってはロ

イヤルカスタマーを創出できるようになります。

お客様に「継続的に価値を提供する」取り組み

ケーススタディ サービスイノベーション

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富士通株式会社オファリング推進本部 デジタルマーケティングオファリング統括部SFDCソリューション部 部長富高 恵津子 氏

 こうした取り組みを考えて、ここでコンタクトセンター

と保守メンテナンスをデジタルで連携させた事例をご紹介

いたします。

 お客様に応対するときは、企業全体として必要な情報を

一元化することが理想的な姿です。しかし、営業部門は営

業部門で、マーケティングはマーケティングで、経営は経

営で、コンタクトセンターをコンタクトセンターでという

ように、それぞれに必要な情報をそれぞれの仕組みで管理

していることが多いのではないでしょうか。その場合、企

業全体で着手しようとしても各部門との連携の障壁が高い

ため、なかなかうまくいかない場合も多いでしょう。

 そこで富士通からの提案です。まずはコンタクトセンター

やマーケティング、営業部門など、組織の中で一番効果が

出そうな部門の情報をつなぎます。それによって、メリッ

トを感じたら次に全社展開するという流れで取り組んでみ

てはいかがでしょうか。

 デジタル革新が進展する中、多様な消費者ニーズに柔軟

かつ低コストで対応できる「多種希少生産」(あるいは「多

機種小生産」)が求められています。同時にお客様を最優

先に考える業務効率化やコスト削減、売り上げと利益の向

上を支援する顧客志向型ビジネスの転換が急務です。顕在

化したニーズへの対応には限界があり、お客様の期待を超

えるサービスイノベーションの実現が必要です。

 そこで注目されるのは、AI(人工知能)やIoT、つながる

技術の活用です。富士通ではお客様、お客様のお客様から

求められる様々なニーズに応えるため、つながるデジタル

革新を提案しています。

「つながる技術」で効果的に顧客ロイヤルティを高める

 また、顧客ロイヤルティが向上する例としては「リカバ

リーパラドックス」というものがあります。これは、ある

問題が発生してリカバリーに成功した場合、問題が発生し

なかった場合と比べて、お客様が問題を解決した後にその

企業を高く評価し始めることです。

 問題発生時には、企業とお客様との間に特別な関係が形

成されます。企業はお客様に共感し、お客様を期待以上に

満足させたい、問題を解決する態度を示したいと努力しま

す。その結果、お客様は企業に信頼感を感じるというもの

です。

 ただし、リカバリーに成功してもうまくいかない場合が

あります。過去に同様の問題に直面していたり、問題が致

命的なケース、企業努力で事前に回避できたと思われたり

するケースなどが当てはまります。

ケーススタディ サービスイノベーション

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 取り組んだのは、保守サービス業務のデジタル化です。

「今後10年は維持できるシステムを導入しよう」と考え、

セールスフォース製品をプラットフォームとして選定しま

した。

 デジタル化により、設置機器や作業報告・問い合わせの

履歴などの情報が顧客情報に紐づく形で瞬時に把握可能に

なりました。また、リアルタイムにエンジニアの予定と場

所を把握し、アサインできるような体制を整えました。エ

ンジニアにはタブレットを配布して現場で作業報告を入力

するなどペーパレス化を図りました。

 デジタル化と合わせて、組織改革にも着手しました。コー

ルセンターのスキル強化やコントロールセンターの新設など、

伝票処理などの事務処理の集約化などを実施しました。

 その結果、多くの改善効果が生まれました。エンジニア

が一日で訪問できる件数が17%増えました。また、ペーパ

レス化によって経費を大幅に削減できました。さらに、保

守にかかわるデータが全てシステム上にあることで業務が

可視化され、さらなる改善に取り組むことも可能になりま

した。

保守業務のデジタル化に、10年使えるシステムとしてSalesforceを採用

 その結果、お客様からの電話を受けても、必要な情報が

散在していたのでコールセンターでの一次対応が適切に実

施できていないことが明らかになりました。エンジニアへ

の「エスカレーションが当たり前」になってしまった原因

はここにあったのです。

 また、フィールドサービスエンジニアのスケジュールも

ホワイトボードやExcelで管理していたため、非常に煩雑

で情報共有が限定的となり間違いも発生していました。さ

らに、保守の作業報告書も手書きで作成していました。そ

の報告書を回収後に別の人がシステム入力するという手間

のかかるオペレーションで運用していました。

 一つひとつはささいな作業量だったかもしれませんが、

これらの作業が現場の負荷として蓄積され、特にエンジニ

アの負荷を増やしていることが明らかになりました。富士

通とA社は、ともに事業成長のために改善に着手しました。

 A社は、コーヒーに関するあらゆる事業を手掛けるグルー

プ会社の一つです。コーヒーマシンの販売や設置、運用の

サポートなどを行っています。中でも重要なのはお客様の

ところに設置したコーヒーマシンの保守メンテナンス、い

わゆるアフターフォローです。お客様に長くご利用しても

らうために定期的にお伺いしてメンテナンスを実施してい

ます。また、故障があれば駆け付けて修理するというサービ

スも提供しています。

 最近では、コンビニエンスストアやオフィスなどでも手

軽にコーヒーを楽しむというニーズが増えてきています。

そうした背景から、A社では、最近5年間でマシン設置数が

約3倍まで伸びています。設置数が増えれば問題も出てき

ました。保守・修理などメンテナンスの作業量が2.5倍に

増えました。また、夜間の修理依頼も増えています。

 しかし、以前のコールセンターでは一次対応ができない

ことが多く、エンジニアに保守・修理、あるいはトラブル

の内容を伝達し対応を依頼すること(エスカレーション)

が常態化されていました。そうなると、フィールドサービ

スエンジニアまでが電話対応に追われてしまい、さらに保

守・修理などのメンテナンス作業が停滞してしまうという

負のスパイラルに陥ってしまいました。

 実際にエンジニアの行動を分析したところ、客先作業と

同じぐらい電話対応や車の移動時間に費やしていることが

分かりました。エンジニアをメンテナンス作業に集中させ

るために、業務改善を行う必要が出てきました。

 そこで、富士通ではA社と協力し、まずは現場行動の可

視化に取り組みました。現場に張り付いてパソコンのログ

やシステムのデータを分析し、様々な問題点を「見える化」

しました。

コーヒーマシンの販売・保守業務を手掛けるA社での実践事例

ケーススタディ サービスイノベーション

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Copyright 2018 FUJITSU LIMITED

 A社では、自社のビジョンの実現に向けて今やIoTが欠か

せない存在となっています。IoTに対応する製品も開発して

います。人手不足解消や投資採算性の確保などにも役立ち、

遠隔操作での一括変更にも対応する予定です。「つながる」

フィールドサービスを提供することを目指しています。富

士通とA社では、富士通のAI技術「Zinrai」を活用した新

しい価値創造にも取り組んでいます。

 富士通とA社では、Salesforce製品を活用することで、

サービスイノベーションに取り組みました。富士通は今後

もお客様の収益向上の実現を目的に、お客様の期待を超え

る感動体験の提供と継続的な価値の提供に取り組んでいき

ます。ぜひご期待ください。

 また、弊社のエンジニアがお客様先に伺わなくても、稼

働状況を遠隔で把握することで、故障する前に部品交換す

ることもできます。お客様からの依頼で呼ばれる前に、予

兆することで必要な手配をして現場に駆けつけることも実

現可能だと考えています。

 市場の拡大にも対応できる仕組みを構築できたことで

「飲食機器のトータルソリューションを提供する」という

私たちの理念に基づいた事業展開に取り組むことができま

した。

 A社では「トータルソリューションサービスとは、お客

様が感じる潜在的な課題をイメージし、その課題と向き合

い様々なアイデアを組み合わせて不便や不満を解消してい

くことにある」と考えています。

 そこで、お客様の潜在的な課題を把握するためには何が

必要かを考えました。悩んだ末に出た答えが「お客様にい

ちばん近いのはコーヒーマシンを活用してお客様の課題を

発見しお客様のビジネスを支援したい」とことでした。故

障を未然に防ぐことができれば、お客様に喜んでもらえる

と考えたからです。

 そこで注目したのが、IoTソリューションです。IoTであ

れば、お客様にコーヒーマシンの稼働状況のマーケティン

グデータを提供し、稼働データを元に私たちからよりよい

提案をすることもできます。

ケーススタディ サービスイノベーション