Upload
others
View
4
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
身の回りで使われているセンサ
新潟職業能力開発短期大学校制御技術科 講師阿部 美沙子
自然界の現象を見てみよう
太陽 :光、熱
自動車 :排気ガス
植物・信号機 :色
2
自然界の現象に対して、私たちは、見る・聴く・触れる、嗅ぐ、味わうという行為で以て
感じている。
自然界の現象を私たちは感じる
例)
• 太陽 ・植物・信号機: 光←見る(視覚)
• 太陽 : 熱←感じる(触覚)
• 自動車 : 排気ガス←嗅ぐ(嗅覚)
• 自動車 : 音←聴く(聴覚)
• 食べ物 :食べ物←味わう(味覚)
3
センサは人工の5感
例)
• 目(見る) → 光センサ、赤外線センサ
• 耳(聴く) → 超音波センサ
• 鼻(嗅ぐ) → ガス探知センサ
• 舌(味わう) → イオンセンサ、バイオセンサ
• 触る → 温度センサ、湿度センサ
4
5
人間と機械との対応関係
人間五感→頭脳→筋肉 動作
メカトロニクス(ロボットなど)センサ→コンピュータ→アクチュエータ
動き
物理状態の変化
6
自然界で測定できるもの
センサ
機械量力、圧力
光色、赤外線
放射
化学成分、PH
生体血圧、体温
音響騒音
周波数位相、周波数
磁気
電気電圧、抵抗
熱温度、熱量
7
測定可能な物理量とセンサの例
寸法
温度熱量
回転角
力、圧力、重さ
距離変位速度
傾き姿勢
流量流速
電流、電圧電力、周波
数
ノギス
スケール
サーミスタ
バイメタル
レゾルバ
ポテンショメータ
歪ゲージ 差動トランス
ポテンショメータ
タコジェネレータ
超音波
レベルメータ
ジャイロスコープ
超音波
テスタ
熱電対
8
センサの役割
センサ
計測
モニタ
制御
エネルギ管理
セキュリティ
原理は単純
センサは自然界の現象を電圧に変える
9
身近に使われているセンサの例
10
(全自動)洗濯機
安全スイッチ(変位/角度センサ):洗濯機の蓋についている。
脱水中に蓋を開けるとモータの回転が止まる。
11
安全スイッチ
12
原理図
E
(全自動)洗濯機
圧力スイッチ(圧力センサ):
水の量を調整する。
水道の蛇口から、
給水弁を通ってきた水が、
槽(タンク)にだんだん溜まってくると、エアー・トラップの空気が押し上げられて、その力で圧力スイッチが動作する。
圧力スイッチが動作すると、
給水弁が閉じて、水が止められる。
13
14
エアトラップ
(全自動)洗濯機
すすぎセンサ(光センサ):
すすぎの水の汚れ具合を
検知する。
注)光センサの代わりにタイマを使うこともある。
15
電気炊飯器
サーモスタット(温度センサ):
お米を炊いているときは水があるため、かまの温度は100℃以下。炊き上がると200℃。
この温度の変化により動作して、ヒータのスイッチを切る。
16
サーモスタット
17
サーモスタットは、バイメタル・電気接点・温度調整ねじからできている。
バイメタル
18
• 異なる2種類の金属(鉄とニッケルの合金とマンガン、クロム、銅など)を張り合わせたもの
• 熱による膨張率が異なる。
バイメタルのイメージ図
サーモスタット
19
バイメタルの曲がりによる電気接点のON/OFFで、サーモスタットがON/OFFする。
エアコン
・サーミスタ(サーマリ・センシティブ・レジスタ)熱的に感度のある抵抗体
• 温度によって、電気抵抗が変わる電子部品
• 温度が高くなると電気抵抗が小さくなり、
電気を通しやすくなる。
20
サーミスタの種類(例)
21
自動車、家電、住宅設備機器、産業用機器Max.300℃
汎用サーミスタLCDコントラスト調整回路、CPU温度モニタ回路-40℃~125℃
スイッチング電源、各種家電品、OA機器等の電源-40℃~200℃
エアコン
湿度センサ
空気の湿度を感じ、 信号を出すセンサ
冷房をすると、空気が乾く。空気の乾きをキャッチして、加湿機を働かせることが必要
22
湿度センサ
湿度を電圧に変えるもの。
静電容量タイプと電気抵抗タイプがある。
23
静電容量タイプとは
24
湿度を感じると、2枚の電極板の電荷が分かれる。このことから、電圧が生じ、電流が流れる。
イメージ図
+ + + + +- - - - -
電板
分極による電荷
自動車のエンジン
エンジン周辺の主なセンサ 25
・センサは、5種類以上(高級車は10種類以上)・狙いは、燃費を良く長くする(省エネ)・排気ガス中の有害成分を無害にする
水温センサ(サーミスタ)
26
・エンジンの調子を知るために、エンジンの温度を測る。(実際にはエンジンを冷やすための水(冷却水)の温度を測る。)
・冷却水が80℃ぐらいのとき、もっとも馬力が出て、燃料の消費が少なく、さらにエンジン内部(シリンダ)の摩耗も少ない。
・運転席のTEMP(温度)は水温を示すもので、LとHの丁度中間ぐらいがよい。
水温センサは体温
27
私たちが、風邪のひきはじめ、寒気を感じたときに、体温を測るのと同じ。
回転数センサ(タコメータ)
28
・エンジンの回転数を計るためのセンサ・自動車が早く走るときは、エンジンは早く回り、遅く走るときは、ゆっくり回る。
・自動車の速さに応じた適切なエンジンの回る速さ(回転数)が決まっている。
回転数センサ
29
電磁式と光学式がある。
電磁式:磁気センサ光学式:光センサ
回転数センサは心臓の動きに似ている
30
・私たちが速く走ったり、とび跳ねたりするとき、
心臓は早く動く。・回転数も同じように、自動車が早く走るとき、回転数は上がる。
酸素センサ
31
・排気ガスに含まれる酸素の濃さを検知する
酸素の濃さに応じた電圧を発生する。
・私たちが健康診断で尿検査をする。尿に含まれる糖分、タンパク質、酵素などを調べ、栄養に偏りがないことを調べることに似ている。
着火センサ
32
・エンジン内部で、燃料が燃えた(爆発した)かどうかを、確認するセンサ(ディーゼル車のみ)
・ディーゼル・エンジンの場合、点火プラグなし。空気を圧縮して高温(600℃ぐらい)にする方式のため、燃料を与えれば、そのまま着火する。→着火を確認する必要がある。
(ガソリン・エンジンでは、点火・プラグに 高電圧をかけてその電気火花で点火させる。そして、燃料と空気の混合比や点火のタイミング、点火プラグの温度が適正であると、燃料が燃える。)
エア・フロ・メータ
33
・エンジンに入る空気の量を電気信号にするセンサ
燃料の基本的な噴射量が決まる。
・前に述べた、水温センサ、酸素センサ、回転数センサからの信号は基本噴射量を補正する役目をする。
34
センサの位置づけ
検出・変換
センサ
エネルギー
指示
記録
伝送
補償指示
記録
被測定対象
温度・圧力・光など
35
自動車の制御の仕組み
目標速度
頭脳 足 アクセル車
速度計
街路灯
CdSセルとバイメタルスイッチの組み合わせで自動点滅
スイッチとなる
36
CdSセル(光センサ)
37
CdSセル
38
CdSセル
CDSセルは、
光を受けると抵抗値が下がって(電気を通しやすくなり)、暗くなると抵抗値があがる(電気が通りにくくなる)。
39
Cdsセル 電気回路
電源(エネルギー)
物理量から電気量への変換
自動ドア
焦電型赤外線センサ
ある種の物質に赤外線が
当たると、わずかな温度変化あり、これによってその物質の持つ電荷が変化する。つまり、赤外線の変化を(いったん熱に変えて)、電圧の変化にする。
40
41
焦電型赤外線センサ
無人改札口
• 定期券・切符:裏側のこげ茶の物質は鉄の酸化物(錆)
• この磁性体を部分的に永久磁石にして、必要な情報を書き込む。
• 永久磁石から発する磁気を読みだすときには、磁気センサを使う。
・ 磁気センサ:電磁式:
鉄心にコイルを巻いて、
永久磁石から発する磁気の変化を鉄心がとらえることにより、
コイルに電圧の変化が生まれる。 42
磁気センサ(参考)
• 銀行の通帳
• キャッシュカード
• フロッピーディスク
43
工場で使われるセンサ
44
光電センサ
近接センサ
45
光電センサ①:透過型
透過型センサのしくみ
投光器 受光器
物体がないとき、受光器は一定量の光を投光器から絶えず受けつづけている。
投光器 受光器
検出
物体
物体を検出したとき、物体が投光器と受光器の間を通過したときに、光を遮る。このときの光の変化でセンサは動作する。
46
透過型の光電センサは、投光、受光の2個のセンサーによって構成されている。
光電センサ②:回帰反射型
物体を検出すると
• 投受光部から、反射板へ向け送光し、その戻りの光量を検出する。
• 物体を検知すると光の量が変化する。その変化により動作する。
ビール瓶のラベル検出など、光を反射させるものにも用いられる。
受光部
投光部
検出
物体
反射板
受光部
投光部
反射板
物体がないときは、受光部では反射板より返ってくる一定量の光を受けている。
47
光電センサ③:拡散反射型
48
拡散反射型のしくみ
• 投受光器から検出物体へ向けて送光し、その戻りの光量を検出する。
受光側
投光側
検出
物体
49
透明ビン
縦波
検出物体がない場合:横波の光が投光され、縦波の光が反射光として
返ってくる
横波
光沢
横波
横波
物体が検出された場合は:横波の光が投光され、
物体により跳ね返された縦波の光が反射光として返ってくる。このときセンサは動作する。
50
サンドペーパー
• 戻る光量少ない
• 表面はボコボコ(乱反射する)
51
透過型 回帰反射型 拡散反射型
検出距離 長距離 中距離 短距離
小検出物体 小物体OK 同左 小物体NG
透明体の検出 向いていない 向いている 向いている
確実な検出 確実 同等 同等
配線・取付 × △ ○
比較
52
53
近接センサ
金属と非金属を見分ける
近接センサのしくみ
←発振
近接センサ
磁界
磁界を打ち消すように金属の中に磁界が発生する
発振が止まる
静電容量型近接センサ → 液体の検出
54
光電センサと近接センサの特徴比較
光電センサ 近接センサ検出物体 あらゆる物体検出可能 金属のみ検出距離 一般に長い 短いものが多い
保護構造一般に優れているとはいえない 優れている
耐衝撃・耐振動 弱い 強い価格 高価なものが多い 安価なものが多い
55
その他
56
• 圧力センサ
• トルクセンサ
• 加速度センサ
センサを利用するために
センサは入力信号、使用するために工夫が必要
– 増幅
– 比較
– 論理
– 演算
57
比較回路
58
• 信号の大・小を区別する。
– 入力電圧が高ければ出力電圧はONの状態。
– 入力電圧が低ければ出力電圧はOFFの状態。
論理回路
59
• “及び”、“または”、“~でない”などの場合を区別する。
• 間違いや矛盾を防止するため。
– AND回路:2つ以上の信号が入ったとき、 終的にその信号を有効にする
– OR:2つ以上の信号のうち、どれか一つが入ったとき、有効にする。
– NOT:信号のプラスとマイナスを入れ替える。
演算回路
60
• 加算
• 減算
• 乗算
• 除算
を行う
61
センサは感度が大切
電子体温計の構成
37.5℃表示部
マイコンIC
検温部
サーミスタ
62検温時の特性
時定数
63%に至るまでの時間この数字で、センサの特性が分かる。
まとめ
センサは、
・自然現象を電圧に変える。
・構成材料は、自然現象を電圧に変える
特質を持つ。
・入力スイッチの役目をする。
・利用する場合には、工夫を施す。
63
参考文献
『入門エレクトロニクス 電子回路の気配りマン
センサー』 新井晃著 誠文堂新光社
『はじめてのセンサ技術』増田良介著 工業調査会
『センサ活用入門』
職業訓練法人 日本技能教育開発センター
64