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市民公開講座 平成21年11月28日 血液のがん: 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に ついて 栃木県立がんセンター 血液内科 阿久津美百生

血液のがん: 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に ついて市民公開講座 平成21年11月28日 血液のがん: 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に

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  • 市民公開講座 平成21年11月28日

    血液のがん:

    白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に

    ついて

    栃木県立がんセンター 血液内科

    阿久津美百生

  • 血液がんの基礎知識血液がんの基礎知識

  • 血液成分

    血液

    血球

    血漿

    顆粒球60%

    単球5%以下

    リンパ球40%

    好中球

    好酸球

    好塩基球

    Bリンパ球(細胞)

    Tリンパ球(細胞)

    NKリンパ球(細胞)

    赤血球

    白血球

    血小板

    45%

    55%

  • 血球の正常値・役割・寿命

    正常値 役割 減少時症状 寿命

    赤血球(ヘモグロビン)

    12.0〜

    15.0g/dl酸素を運ぶ 貧血症状 4ヶ月

    白血球4000〜

    8000/μl細菌やウイルスを

    攻撃する感染症

    数日から数十

    年に及ぶものま で

    血小板15万〜35万

    /μl出血を防ぐ 出血傾向 7日〜10日間

  • 血液細胞の成り立ち

    リンパ球

    形質細胞

    リンパ系幹細胞

    骨髄系幹細胞

    赤血球赤血球

    多能性造血幹細胞

    複製

    T細胞

    NK細胞

    B細胞

    血 球

    血 球

    マクロファージ

    単球単球

    血小板血小板

    顆粒球

    好中球

    好塩基球

    好酸球

    骨髄芽球

  • 急性骨髄性白血病

    急性骨髄性白血病

    急性骨髄性

    白血病

    急性骨髄性

    白血病 急性前骨髄球

    性白血病

    急性前骨髄球

    性白血病

    悪性リンパ腫悪性リンパ腫

    多発性骨髄腫多発性骨髄腫急性リンパ性白血病急性リンパ性白血病

    血液のがん

    単球

    赤血球

    血小板

    好中球

    好塩基球

    好酸球

    リンパ系幹細胞

    骨髄系幹細胞

    多能性造血幹細胞

    T細胞

    NK細胞

    形質細胞

    リンパ球

    顆粒球

    白血球

    B細胞

    単球

    骨髄芽球

    マクロファージ

    慢性骨髄性白血病

  • 化学療法の副作用治療開始治療開始 副作用

    当日

    2〜3日

    1〜2週間

    数ヶ月後

    アレルギー反応(発熱、発疹など)吐き気、嘔吐

    食欲不振、吐き気、嘔吐、だるさ

    口内炎、胃の不快感、結膜炎、便秘、下痢、

    膀胱炎、貧血、出血

    脱毛、手足のしびれ、肝障害、腎障害

    心臓障害

    感染症(発熱)

    3〜4週間

    嘔吐

    発熱

  • 白血病白血病

  • 白血病とは?

    骨髄中の造血幹細胞が赤血球、白血球、血小板に分化・成熟していく過程で「がん化」し、無制限に増殖し

    その結果、正常な血液を造る仕組みが障害され、正常な赤血球、白血球、血小板が造れなくなる状態

  • 白血病の年令別罹患率

    急性骨髄性白血病急性骨髄性白血病

    急性リンパ性白血病急性リンパ性白血病

    慢性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病

    すべての白血病すべての白血病

    男性

    女性

  • 白血病の種類と頻度

    急性骨髄性白血病(AML) 約70%

    (3-4人/10万)

    60-80人

    リンパ性白血病(ALL)

    約10-20%(1人/10万)

    20人

    慢性骨髄性白血病(CML) 約10-20%(1人/10万)

    20人

    リンパ性白血病(CLL)

    5%以下

    白血病

    7人/10万人/年が罹患 栃木県内患者数

  • 白血病の原因

    殆どが原因不明

    遺伝性の病気ではない

    放射線の大量被ばく

    抗がん剤

    ウイルス感染(成人T細胞白血病など)

    先天性

    化学薬品

  • ヒトの染色体

    細胞

    細胞質

    男性:XY女性:XX

    常染色体 性染色体

    22対

  • 急性白血病の症状

    赤血球の減少 白血球の減少 血小板の減少

    正常な血液が作れないための症状

    顔面蒼白だるい動悸息切れなど

    発熱肺炎敗血症尿路感染など

    鼻出血歯肉出血皮下出血脳出血など

    白血病細胞が増えたための症状

    •肝腫大•脾腫•骨痛•歯肉腫脹•嘔吐、頭痛(中枢浸潤)など

  • 急性白血病の検査の流れ

    症状血液データの異常

    白血病のタイプ病変部位決定

    赤血球、白血球血小板の数の異常白血病細胞の出現

    染色体検査遺伝子検査表面マーカー検査髄液検査CT、MRIなど

    白血病細胞の出現白血病細胞の形態各細胞の形態

    血液検査 骨髄検査

  • 急性白血病の治療

    多剤併用療法

    化学療法 造血幹細胞移植 放射線療法

    大量の抗がん剤、放射線

    療法などの強力な治療で 白血病細胞を破壊したあと、

    正常な造血幹細胞を移植 して骨髄機能を回復させる 治療法

  • 急性白血病の治療方針

    寛解導入療法

    地固め療法

    強化・維持療法

    経過観察

    完全寛解

    3〜6週間程度

    4ヶ月程度

    数ヶ月〜数年

    入院して強力な治療を行い完全寛解を狙う

    入院して強力な治療を行いさらに白血病細胞の減少を狙う寛解を固めるという意味

    症例により造血幹細胞移植を検討

    完全寛解を継続して再発を防ぐための治療

  • 治療による白血病数の変化

    0

    103

    106

    109

    1012

    完全寛解完全寛解

    寛解導入療法 地固め療法 (強化維持療法)

    治癒診断後の時間経過

    白血病と診断

    (1Kg)

    (1g) 細胞遺伝学的寛解

    分子遺伝学的寛解

    再発

  • 血液がんの治療期間

    急性リンパ性白血病 2〜5年

    2年〜3年

    急性骨髄性白血病 6ヶ月〜1年

    6ヶ月

    非ホジキンリンパ腫

    3〜6ヶ月

  • 急性骨髄性白血病の治療成績

    1988-19921993-19971998-20022003-2007

    41%32%

    28%

    28%

    期間

  • 急性骨髄性白血病の染色体別治療成績

    予後良好群

    t(15;17)t(8;21)Inv(16)

    予後中間群

    予後不良群-5-7

    期間

  • 分化標的治療分化標的治療

  • 分化誘導療法(分化標的治療)

    細胞死

    分化誘導物質(分化標的治療薬)

    無限に増殖

    がん細胞

    不老不死

    がん細胞は若くて、年をとらない:不老不死

    成熟

    アポトーシス細胞死

  • 急性前骨髄球性白血病における染色体異常

    PML RARα PML/RARα

    15 17

    t (15; 17)

    転座

    PML : 前骨髄球性白血病RARα

    : レチノイン酸受容体α

  • 急性前骨髄球性白血病の治療成績

    0 2 4 6 80

    25

    50

    75

    100 抗がん剤+ベサノイド

    存 率 抗がん剤

    1990年以降

    1980-1990年

    80-90%

    40%

    1950年

  • 慢性骨髄性白血病

    年間約1人/10万人に発症

    造血幹細胞にフィラデルフィア染色体が出現

    その結果、分化、成熟した白血球が数万から数十万に増加、発症

    進行度性期

    約5〜6年進行は遅い

    6〜9ヶ月進行は徐々に速くなる染色体、遺伝子に更なる異常が発生脾臓や肝臓が腫れる

    進行は速い。急性白血病様症状

    リンパ性転化骨髄性転化

    慢性期 移行期 急性転化正常

  • 慢性骨髄性白血病における染色体異常

    abl

    転座

    9

    22

    bcr

    9

    22

    bcr/abr

    フィラデルフィア染色体(Ph)

  • 慢性骨髄性白血病の治療成績

    0 2 4 6 80

    25

    50

    75

    100 グリベック

    同種造血幹細胞移植

    ハイドレアまたはインターフェロン

    生存期間(年)

    存 率

    5年生存率94%

    年間コスト約500万円しかし、服用をやめると50%以上が再発→やめられない

    1950年代

    %

    5年生存率60%

  • フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対す る化学療法の治療成績

    生存期間

    い生存率

    無病生存率

    月 月

    グリベックありグリベックあり

    グリッベクなしグリッベクなし

    グリベックありグリベックあり

    グリッベクなしグリッベクなし

    生存期間 生存期間

  • 悪性リンパ腫悪性リンパ腫

  • 悪性リンパ腫とは?

    リンパ球が、がん化し、腫瘤を形成するもの

    リンパ系組織:リンパ節、扁桃腺、脾臓、胃、大腸など

    節外病変:リンパ節やリンパ管以外に発生するリンパ腫

    年間人口10万に10人以上が罹患:60〜70才以上:10万人に20人

    頻度:胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、肝臓がんに次ぐ

  • 悪性リンパ腫の原因

    多くは原因不明

    一部は感染、免疫疾患が関係

    リンパ腫の種類 原因

    成人T細胞白血病/リンパ腫ATLウイルス

    バーキットリンパ腫鼻腔原発NK細胞リンパ腫ホジキンリンパ腫

    EBウイルス

    B細胞リンパ腫 自己免疫疾患C型肝炎ウイルスなど

    胃のMALTリンパ腫 ヘリコバクターピロリ菌

  • リンパ節腫脹

    年齢●

    小児、若年者は感染症が多い

    高齢者はがんが多い

    痛みとの関係●

    痛みがある場合、感染症の可能性大

    痛みがなく徐々に大きくなる場合、がんの可能性大

    悪性リンパ腫のリンパ節腫大●

    首のリンパ節の腫大が多い、それに脇の下、足の付け根の

    ンパ節腫大が続く

  • 悪性リンパ腫の検査の流れ

    症状画像の異常

    触診

    生検

    診断 治療

    血液検査

    画像診断など

    X線検査、CT検査、超音波検査MRI検査、PET検査、骨髄検査内視鏡検査、髄液検査

    白血球数、ヘモグロビン値血小板数、LDH 、尿酸値sIL2-R など

    形態、免疫学的検査

    大きさ、固さ

  • 悪性リンパ腫の種類

    悪性リンパ腫

    ホジキンリンパ腫

    B細胞リンパ腫

    T細胞リンパ腫

    非ホジキンリンパ腫

    NK細胞リンパ腫

    腫瘍細胞の増殖の仕方や、細胞の形などから30種類以上のタイプに分類される。

    ろ胞性 びまん性

  • ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫

    ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫

    相対頻度10% 90%

    好発年齢二峰性(若年と中高年) 50〜60才

    発生部位頚部,縦隔が多い

    リンパ節

    60%

    リンパ節外

    40%

    臓器浸潤まれ しばしば

  • 非ホジキンリンパ腫の病理標本

    ろ胞性リンパ腫 びまん性大細胞リンパ腫

  • 非ホジキンリンパ腫 進行のスピード(悪性度)による分類

    悪性度 頻度 スピード 代表的疾患

    低悪性度 10-20% 年単位MALTリンパ腫ろ胞性リンパ腫

    中悪性度 65-75% 月単位マントル細胞リンパ腫

    びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫未分化大細胞リンパ腫

    高悪性度 5%以下 週単位

    バーキットリンパ腫リンパ芽球性リンパ腫

  • 病期:ステージ(病気の広がり)

    I 期 II 期 III 期 IV 期

    B症状

    原因不明の発熱(38℃以上)

    A症状

    左記症状のないもの

    寝汗10%以上の体重減少

  • PET検査 (positron emission tomography)

    がん細胞

    ブドウ糖

    がん細胞は正常細胞に比べて約3〜8倍のブドウ糖を消費する

    ブドウ糖に似た検査薬(FDG)を静脈注射して腫瘍へのFDG集積をCTと合わせて診断

    腫瘍の活動生がある程度把握できる

    高血糖だと腫瘍へのFDG集積が抑制されるため、検査前には5時間以上の絶食が必要

  • リンパ腫病変の治療前後の変化(PET検査)治療4コース後治療前

  • 悪性リンパ腫の治療戦略

    患者さんの状態

    年令

    リンパ腫の広がり

    細胞の種類

    進行速度

    等によって異なる

  • CHOP

    (n=225)

    m-BACOD (n=223)ProMACE-CytaBOM (n=223)MACOP-B (n=218)

    100

    80

    60

    40

    20

    0

    P=0.35

    存 率

    Fisher RI.et al ;NEJM 328,1993

    非ホジキンリンパ腫に対する治療法別の生存曲線

    0 2 4 6

    生存期間

  • 標準的治療: CHOP療法

    3週毎

    C (Cyclophosphamide) 750 mg/m2、点滴、1日目

    H (Hydroxydaunorubicin) 50 mg/m2、点滴、1日目

    O (Oncovine) 1.4 mg/m2、点滴、1日目

    P (Prednisolone) 100 mg、経口、1-5日

  • リツキサンの作用

    リツキサン

    Bリンパ腫細胞

    CD20抗原

    抗CD20抗体

    白血球

    補体

  • 高令者 びまん性大細胞Bリンパ腫

    に対するCHOP療法とリツキサン+CHOP療法の無作為比較試験

    Years

    100

    0

    無病生存率

    R-CHOP (202例) 57%

    CHOP (197例) 38%

    P< 0.001

    Coiffier B.et al ;NEJM 346,2002

    生存率

    80

    60

    40

    20

    年生存期間

    2 30 ff1

  • 悪性リンパ腫の一般的治療法

    I、II 期 III、IV 期

    B細胞

    CHOP( R-CHOP)

    3〜4コース、3週毎

    +放射線治療

    R-CHOP

    6〜8コース、3週毎

    その他

    T細胞CHOP 3〜4コース、3週毎

    +放射線治療

    CHOP

    6〜8コース、3週毎

    その他

    ホジキンリンパ腫

    ABVD 4コース、2週毎+

    放射線治療

    ABVD

    6〜8コース、2週毎

    その他

  • 非ホジキンリンパ腫の予後不良因子

    悪性リンパ腫の広がり(病期) III期以上

    リンパ節以外の病変数 2個以上

    年令 61才以上

    日常の活動性(PS) 2以上

    LDH値 正常以上

    0 1 2 3 4 5

    危険群 低 低中 高中 高

    国際予後因子

  • 国際予後因子によるグループ分けをしたときの侵襲性(aggressive)非ホジキンリンパ腫の予後

    低危険群73%

    低中危険群51%

    高中危険群43%

    高危険群26%

    100

    50

    0

    100

    50

    0

    0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10

    全例

    (2031例) 60才以下

    (1274例)

    Shipp et al;NEJM 329,1993

    生存率

    生存率

    年年

    低危険群83%

    低中危険群69%

    高中危険群46%

    高危険群32%

  • R-CHOP

    予後不良型予後不良型

    中悪性度非ホジキンリンパ腫

    高中, 高

    61才以上

    低、低中

    病理遺伝子

    染色体等

    R-CHOP強力な化学療法造血幹細胞移植

    60才以下61才以上

    60才以下

    CHOPあるいは

    CHOP+ 放射線

    予後良好型予後良好型

    R-CHOPR-CHOP

    強力な化学療法造血幹細胞移植

    最近の中悪性度非ホジキンリンパ腫の治療戦略

    危険群

  • 多発性骨髄腫多発性骨髄腫

  • 多発性骨髄腫とは?

    形質細胞由来のがん

    形質細胞は免疫グロブリン(抗体)を作り、体内に侵入した病原体な どの異物を攻撃

    種々なタイプ 重鎖 IgG、IgA、IgM、IgD、IgE

    軽鎖 κ、λ(ベンズ・ジョンズ蛋白)

    骨髄腫細胞も免疫グロブリンを作る(M蛋白という)

    M蛋白は抗体の働きをしない

    M蛋白は血液に出現、腫瘍量に比例

    骨髄中の形質細胞は正常では1%以下、多発性骨髄腫は30%以上

  • 多発性骨髄腫の疫学

    人口10万人あたり約3人

    全悪性腫瘍の約1%

    血液がんの約10%

    40才未満は非常に稀

    50〜70才代が多い。

    約60%が男性

  • 臨床症状

    骨髄腫細胞

    M蛋白

    貧血白血球減少血小板減少

    息切れ動悸

    感染症

    骨破壊造血抑制

    正常免疫グロブリン低

    腎障害過粘稠度症候群アミロイドーシス

    高カルシウム血症病的骨折

    脊髄圧迫症状

    浮腫頭痛

    眼症状神経障害

    のどの渇き意識障害

    腰痛、骨痛下肢マヒ

    感染症

  • X線写真

    病的骨折 骨打ち抜き像

  • 多発性骨髄腫の困っている症状 (アンケート調査より)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    1

    60

    50

    40

    30

    20

    10

    0

    48

    34

    13 15 13

    25

    17

    骨骨の折痛み

    貧血症状

    頻尿

    口眠の気渇き

    感染症

    その他

    無回答

  • 多発性骨髄腫の治療

    多発性骨髄腫そのものに対する治療

    化学療法

    造血幹細胞移植(自家末梢血幹細胞移植)

    骨病変の進行、症状を抑える治療

    ビスフォスフォネート

    骨病変の症状を改善する治療

    放射線治療

    整形外科的手術+リハビリ

    鎮痛薬

    神経ブロック

  • 造血幹細胞移植造血幹細胞移植

  • 血液がんに対する 造血幹細胞移植の適応

    非ホジキンリンパ腫:救援化学療法に感受性のある再発例、高リス

    ク初回例

    急性骨髄性白血病/リンパ性白血病:寛解例

    ホジキンリンパ腫:再発例、初回化学療法に抵抗例

    多発性骨髄腫:多くの初回治療例

    (慢性骨髄性白血病)

  • 造血幹細胞移植とは?

    病気の根治を狙う非常に強力な治療法強い副作用や、合併症による死亡などの問題もあるがそれを上回る大きな利点を期待して行う治療法

    前処置=大量化学療法・放射線治療

    造血幹細胞移植 ドナー・自己から採取した造血幹細胞を移植(点滴で投与)

    2〜4週

    造血幹細胞の生着造血機能の回復

    がん細胞・造血幹細胞を破壊

  • 造血幹細胞移植の分類

    骨髄移植 末梢血幹細胞移植 さい帯血移植

    造血幹細胞の提供者による分類

    同種移植

    血縁者や他人の幹細胞を移植

    自家移植

    自分の幹細胞を移植

    造血幹細胞の採取部位による分類

  • HLAとは?

    赤血球の血液型

    A、B、O、AB型

    白血球の血液型(HLA型)

    自分と他人を認識するマーカー

    A, B, C, D, DR,座などがあり、それぞれ数種 類から数十種類ある

    組み合わせは数万通りの型がある

    同種移植には一致する必要がある

  • 適応ドナーが1人以上見出される確率

    0 50 100%

    同胞数(患者を含む)

    2人

    3人

    4人

    5人

    6人

    25%

    44%

    57%

    68%

    76%

    非血縁者間になると数百〜数万分の1の確率

  • 骨髄提供希望者(ドナー)

    対象人口千人当りにおける関東地方の登録者数

    茨城5.01人、栃木4.85人、群馬3.19人、埼玉3.58人、

    千葉4.08人、東京6.52人、神奈川3.95人

    全国平均 5.51人

    10人以上 福島、京都、沖縄

    日本骨髄バンク

  • 移植成績(5年生存率)

    骨髄移植 (血者) 骨髄移植 (非血者) 臍帯血 移植

    40才未満 40才以上 40才未満 40才以上 40才未満 40才以上

    急性骨髄性

    白血病1回目完全寛解

    2回目完全寛解

    不完全寛解

    66.8

    63.9

    23.7

    52.6

    53.3

    21.0

    61.9

    63.9

    19.2

    55.7

    43.8

    19.0

    63.3

    65.5

    22.9

    34.4

    54.9

    13.6

    急性リンパ

    性白血病1回目完全寛解

    2回目完全寛解

    非完全寛解

    61.6

    34.6

    17.0

    50.8

    33.3

    10.6

    60.1

    38.8

    16.7

    55.2

    26.7

    4.1

    65.4

    51.7

    35.2

    44.2

    Ph陽性

    急性リンパ

    性白血病

    1回目完全寛解

    2回目完全寛解

    非完全寛解

    52.6

    30.0

    15.0

    48.1

    16.7

    7.1

    55.9

    30.5

    31.4

    55.4

    33.3

    100

    (3例)

    48.8

    慢性骨髄性

    白血病慢性期

    移行期

    急性転化期

    78.0

    59.9

    22.4

    70.2

    35.7

    25.7

    62.5

    46.0

    15.4

    51.9

    41.3

    18.8

    33.3

    37.7

    平成20年度日本造血幹細胞移植学会

  • 血液がんの新薬血液がんの新薬

  • 血液がんに対する新しい抗がん剤 (1)

    再発・難治療例の急性前骨髄球性白血病

    タミバロテン(Am80):ATRAより分化誘導能が高い:日本で開発

    三酸化ヒ素

    再発・難治療例の急性骨髄性白血病

    マイロターグ(ゲムツズマブ):CD33に対するモノクローナル抗体

    慢性骨髄性白血病

    スプリセル(ダサチニブ):bcr/ablに対する効果は100-300倍強力、突然変異のbcr/ablにも効果的

    タシグナ(ニロチニブ):bcr/ablに対する効果は20〜30倍強力

    フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病

    スプリセル(ダサチニブ)

  • 血液がんに対する新しい抗がん剤 (2)

    悪性リンパ腫

    フルダラ

    ゼバリン: 放射性同位元素を含む放射性医薬品

    多発性骨髄腫

    サリドマイド

    ベルケイド(ボルテゾミブ)

    レブリミド(レナリドマイド):サリドマイドより副作用軽減

  • ご清聴ありがとうございました

    いい週末をお過ごし下さい

    市民公開講座�平成21年11月28日スライド番号 2血液成分血球の正常値・役割・寿命血液細胞の成り立ち血液のがんスライド番号 7スライド番号 8白血病とは?白血病の年令別罹患率白血病の種類と頻度白血病の原因�ヒトの染色体急性白血病の症状急性白血病の検査の流れ急性白血病の治療急性白血病の治療方針治療による白血病数の変化スライド番号 19急性骨髄性白血病の治療成績急性骨髄性白血病の染色体別治療成績スライド番号 22スライド番号 23急性前骨髄球性白血病における染色体異常�スライド番号 25慢性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病における染色体異常�スライド番号 28フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する化学療法の治療成績�スライド番号 30悪性リンパ腫とは?悪性リンパ腫の原因スライド番号 33悪性リンパ腫の検査の流れ悪性リンパ腫の種類ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫スライド番号 37非ホジキンリンパ腫 �進行のスピード(悪性度)による分類病期:ステージ(病気の広がり)�PET検査�(positron emission tomography)�リンパ腫病変の治療前後の変化(PET検査)悪性リンパ腫の治療戦略スライド番号 43標準的治療: CHOP療法リツキサンの作用スライド番号 46悪性リンパ腫の一般的治療法非ホジキンリンパ腫の予後不良因子スライド番号 49スライド番号 50スライド番号 51スライド番号 52スライド番号 53臨床症状スライド番号 55多発性骨髄腫の困っている症状�(アンケート調査より)多発性骨髄腫の治療スライド番号 58血液がんに対する�造血幹細胞移植の適応造血幹細胞移植とは?造血幹細胞移植の分類HLAとは?適応ドナーが1人以上見出される確率骨髄提供希望者(ドナー)移植成績(5年生存率)スライド番号 66血液がんに対する新しい抗がん剤 (1)血液がんに対する新しい抗がん剤 (2)スライド番号 69