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Vol. 36 No.180 通信総合研究所季報 September 1990 pp.18 与一192 調査・解説 非同期転送モード(ATM )の概要と技術動向 小峯隆宏* (平成 2 4 12 日受理) THEBASICCONCEPTANDTECHNICALTRENDSOFATM By TakahiroKOMINE Inthefuture, BroadbandISDN (B ISDN) willberequiredasasupportforawiderangeof tra c such voice, data andvideo, eachwiththeirown characteristics andperformance requirements.TheAsynchronousTransferMode(ATM)isnowthepreferredtransport modefor B-ISDN.ThispaperdiscussesthebasicconceptofATMtogetherwith the technical requirements for protocol,switching and trafficcontrol. 1. はじめに 近年,広帯峨ISDN(B-ISDN )へ向けて様々な 研究が進められている. B-ISDNは,音声・データ・ 映像などメディアごとに異なるトラヒック特性や品質要 求条件をもっ通信サービスを,単一のユーザ網インター フェースで実現するネットワークである. このようなネッ トワークを実現するための中心技術の有力候補として, 非同期転送モード(ATM: AsynchronousTransfer Mode )が脚光を浴びている. ATMは従来の回線交換方式・パケット交換方式に代 わる新しい転送方式で,様々なメディアからの転送情報 をセルと呼ばれる固定長パケットに分割し,非同期に時 分割多重して高速転送するものである. B-ISDNを構 築する上でその中核となる ATMは世界各国で研究が 進められており,最近の ATM 技術の進歩はめざまし いが,現段階においてもスイッチ方式・トラヒック制御 などに関して多くの課題が残されている.本論文では, ATM 技術の概要・動向を中心に解説するとともに,技 術的課題についても整理・検討する. 2. ATMと従来の交換方式(!) (2) 従来の回線交換方式では, l つの呼が発生するとそれ に対して l つのチャネルを発着端末聞に設定し専有させ る.すなわち,第 l 図に示すように,周期転送モード (STM: SynchronousTransfer Mode )と呼ばれ 総合通信部統合通信網研究室 183 る時間位置多重方式を使って情報を転送する. STMは, I つのチャネルをある周期(第 l 図では125 μs フレー ム)ごとに現れるフレームのタイムスロットに分割挿入 して転送するものである.このため,特定の呼をフレー ムから抽出するなどのチャネル識別は,フレーム内のタ イムスロットの時間的位置から判断できる. この方式では, l チャネルあたりの最大通信速度が一 定という制約があり, B-ISDNのように通信速度の異 なるメディアを扱う場合や通信速度が変化するメディア を扱う場合には, 1 つの呼に対してその最大通信速度に 合わせた複数のチャネルを割り当てることになる. しか し,このような割当をした場合,情報を運んでいない空 チャネルが多くなり回線使用率が著しく低下し,実用的 ではない. 一方,従来のパケット交換方式は,情報の発生に応じ て可変長パケットを送出するため任意の転送速度に対応 できる. しかし,この交換方式に用いられている x. 25 プロトコルは,各ノードでのフロー制御や誤り制御のた めにシーケンス番号による状態管理を行うなど複雑なプ ロトコルであり,ソフトウェアによって実行させている. このため,転送速度を高めるには限度があり,高品質動 画像通信などの高速通信要求(数百 Mbps の転送速度) を満足させるのは困難である. ATMは,これらのパケット交換方式と回線交換方式 の長所を組み合わせて,マルチメディア情報を高速で転 送できるようにした通信方式である.第 2 図は,この ATM の原理を簡単に示したものである.発端末から送

非同期転送モード(ATM)の概要と技術動向非同期転送モード(ATM)の概要と技術動向 小峯隆宏* (平成2年4月12 日受理) THE BASIC CONCEPT

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Vol. 36 No. 180 通信総合研究所季報 September 1990

pp.18与一192

調査・解説

非同期転送モード(ATM)の概要と技術動向

小峯隆宏*(平成2年4月12日受理)

THE BASIC CONCEPT AND TECHNICAL TRENDS OF ATM

By

Takahiro KOMINE

In the future, Broadband ISDN (B・ISDN)will be required as a support for a wide range of

tra缶csuch ~s voice, data and video, each with their own characteristics and performance

requirements. The Asynchronous Transfer Mode (ATM) is now the preferred transport mode for

B-ISDN. This paper discusses the basic concept of ATM together with the technical requirements

for protocol, switching and traffic control.

1. はじ めに

近年,広帯峨ISDN(B-ISDN)へ向けて様々な

研究が進められている. B-ISDNは,音声・データ・

映像などメディアごとに異なるトラヒック特性や品質要

求条件をもっ通信サービスを,単一のユーザ網インター

フェースで実現するネットワークである. このようなネッ

トワークを実現するための中心技術の有力候補として,

非同期転送モード(ATM : Asynchronous Transfer

Mode)が脚光を浴びている.

ATMは従来の回線交換方式・パケット交換方式に代

わる新しい転送方式で,様々なメディアからの転送情報

をセルと呼ばれる固定長パケットに分割し,非同期に時

分割多重して高速転送するものである. B-ISDNを構

築する上でその中核となる ATMは世界各国で研究が

進められており,最近の ATM技術の進歩はめざまし

いが,現段階においてもスイッチ方式・トラヒック制御

などに関して多くの課題が残されている.本論文では,

ATM技術の概要・動向を中心に解説するとともに,技

術的課題についても整理・検討する.

2. ATMと従来の交換方式(!) (2)

従来の回線交換方式では, lつの呼が発生するとそれ

に対して lつのチャネルを発着端末聞に設定し専有させ

る.すなわち,第 l図に示すように,周期転送モード

(STM : Synchronous Transfer Mode )と呼ばれ

ホ 総合通信部統合通信網研究室

183

る時間位置多重方式を使って情報を転送する. STMは,

Iつのチャネルをある周期(第l図では125μs/フレー

ム)ごとに現れるフレームのタイムスロットに分割挿入

して転送するものである.このため,特定の呼をフレー

ムから抽出するなどのチャネル識別は,フレーム内のタ

イムスロットの時間的位置から判断できる.

この方式では, lチャネルあたりの最大通信速度が一

定という制約があり, B-ISDNのように通信速度の異

なるメディアを扱う場合や通信速度が変化するメディア

を扱う場合には, 1つの呼に対してその最大通信速度に

合わせた複数のチャネルを割り当てることになる. しか

し,このような割当をした場合,情報を運んでいない空

チャネルが多くなり回線使用率が著しく低下し,実用的

ではない.

一方,従来のパケット交換方式は,情報の発生に応じ

て可変長パケットを送出するため任意の転送速度に対応

できる. しかし,この交換方式に用いられている x.25

プロトコルは,各ノードでのフロー制御や誤り制御のた

めにシーケンス番号による状態管理を行うなど複雑なプ

ロトコルであり,ソフトウェアによって実行させている.

このため,転送速度を高めるには限度があり,高品質動

画像通信などの高速通信要求(数百 Mbpsの転送速度)

を満足させるのは困難である.

ATMは,これらのパケット交換方式と回線交換方式

の長所を組み合わせて,マルチメディア情報を高速で転

送できるようにした通信方式である.第2図は,この

ATMの原理を簡単に示したものである.発端末から送

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通信総合研究所季報

( 2)従来の回線交換方式Aチャネル Bチャネル

I al : a2 ; •••・ H ・- ー I I b1 i b2 : …・・|

, ) ; I i ~· I

I a1 I b1 卜H ・H ・---| a1 I b2 卜・H ・H ・--| …・・

『 フレーム ー フレーム

ATM

一一)

可E4(

184

AT Mと従来のl"I級交換方式の比較

第 l図

日雷

回線交換

大伝送速度は固定 I " >ず ll手j点|食ハードウエアで交換食時間位置でチャネル識別炉唱ーI_,_

| |大プロトコルを簡素化交制御信号はアウトバンド

ATM 1-Hされた情報は,「セル」と いう長さの決まったバケフ

トに詰め込まれ,そのノfケットの先頭に行先を示したラ

ベルが付与されてから ATM網の中に転送される.セ

ルが ATM網内の交換機に送られると,行先ラベルが

交換機の ATMスイッチ用に訟き換えられた後,ATMド

一使

一ト

一パ

一長

ムH

H

」白川4京n

パケット交換

大可変長パケットを使用

食ソフトウエアで交換

食プロトコルは複雑

AT Mと従-*の交換Ii式のi主い

ルを転送することに専念する

@通信網でのプロト コル処理とスイッチンク処理は, セ

ルの先頭に付いている行先ラベルを見て,ハート‘ウェ

アがソフトウェアの介在なしに自律的に行う.

④街lj街l信号のやりとりは,それ専用のチャネルで行うア

ウトバンド制御とする.

第 3図

スイ yチを通って目的の /-ljカポートにセルが転送され

る.交換機を1:8たセルのうち同一方路に向かうもの同士

が多重され,中継回線の中を高速に転送される.このよ

うにして,目的の着交換機に着いたセルは,元の情報に

変換されてお端末に到若する.

ATMの特徴をまとめたものを次の①~④に示し,従

来の交換方式との迷いを第3図に,また交後方式の多重

化庁式による分類を第4図に示す

①情報の発生に応じてセル (固定長パケッ ト)を送出す

る このため, 一定時間中に送出するセル数を変える

ことで,任意の転送速度に対応、で、きる.

②フ ロー制御・誤り制御などの複雑なプロトコル処理は,

基本的にユーザ似tjの端末に任せ,通信網側は高速にセ

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Vol.36 No.180 September 1990

多重化I 一時間位置多重一一一一一一従来の回線交換

方式 ! 」ラベル多重寸一固定長一-ATM

|パケット

」可変長-X.25パケット

パケット e t c

第4図交換方式の多重化方式による分類

3. ATMの規格・機能

3. 1 セルの基本構造(3)

前章までは,「セル」を情報を詰め込んだ固定長のパ

ケットに行先ラベルを付与したものとして説明してき

た. しかし,実際には固定長のパケットの先頭に付与す

るのはヘッダと呼ぷもので,行先ラベルのほかにもいく

つかの制御情報を含んでいる.以降,この固定長のパケッ

ト部分を情報領域と呼ぶことにする.

ATM網では,情報領域いっぱいに転送データを搭載

してからセルを送出するため,情報領域を大きくとりす

ぎると転送遅延が大きくなる可能性がある.逆に,小さ

くとりすぎると非情報領域(ヘッダ)を送出する回数が

多くなり網資源の有効利用が期待できなくなる.このト

レードオフの関係から適当なセルサイズを決める必要が

ある. ATMのセル構造については,当初,欧州案(4

バイトへ y ダ+32バイト情報領域),米国案(5パイ卜

ヘッダ+64バイト情報領域), NTT案( 6バイトヘッ

ダ+66バイト情報領域)などが提案された.その後,各

国の意見を受けて,米国から 5バイトヘッダ+ 48バイ

ト情報領域という妥協案が提出され,結局5バイトヘッ

ダ+48バイト情報領域のセル構造にすることが決定し

た.

第5図は, ATMセル基本構造を示したもので,セル

ヘッダ領域の構成も併記しである. ATMセルヘッダ内

の機能概要を以下にまとめる.

フロー制御(FC. Flow Control)

UNI** ( * *が付いた語句については語句説明の欄

を参照)のみで使用し, lつのインターフェースに複数

の端末を収容しそれらが伝送路資源(バッファ,ファ

イパーケーフ胡ルなど)を共有する場合の制御用.

[UNIにおいて 4 bit使用】

仮想、パス識別(VPI: Virtual Path Identifier)

UNIではサービス識別(交換サービス, CATV,専

用線など)などに使用. NNI本*では STMのパスに対

応した仮想パスホ*の識別などに使用.

【UNIにおいて8 bit使用】

185

6

ヘッダ領域

5 I 5 /~イト U悶 内,

a

3aιマ’3

情報領域

4 8 /~イト

'.NNI . 、 2

3

4

5

’・‘

。it)第5図 ATMセノレ基本構造

【NNIにおいて12 bit使用】

L瓦想、チャネル識別(VCI:Virtual Channel Identifier)

多重化されたインターフェースから特定の呼を識別す

るための識別子で,呼の生成・消滅に応じて付与・抹消

される. 【16 bit使用】

ベイロードタイプ(PT:Payload Type)

セルの情報領域に OAM用事*の制御情報が含まれ

ているか否かの表示用.また,違反セル車*への印

(Violation Tag )の付与なども本機能で実現する.

しかし,この部分の具体的使用法は現在未決定である.

【2 bit使用】

ヘッダ誤り制御(HEC: Header Error Control)

セルヘッダの誤り検出, 1 bit誤り訂正を行うための

情報領域. 【8 bit使用】

3.2 転送情報の種類。)ω

転送されるユーザ情報は, トラヒック特性により以下

の2つに分類される.

CBR (Continuous Bit Rate )サービス

-情報を一定速度で連続的に転送するサービス.

・固定速度符号化された音声情報や画像情報などを転

送するのに適する.

・従来, CEO(Continuous Bit stream Oriented)

サービスと呼ばれていたものに相当する.

VER (Variable Bit Rate )サービス

・情報の発生に応じた速度で転送するサービス.

・データ通信や可変速度符号化された音声情報や画像

情報を転送するのに適する.

・従来,パーストトラヒック型サービスと呼ばれたも

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のに相当する.

なお,これらとは別に,呼の設定などを制御するため

の呼制御用セルが必要であり,これは上記のユーザ情報

とは別のプロトコル処理をする.

3.3 ATMプロトコルロトω

‘ATM網においては,従来,網が関与してきた誤り制

御やフロー制御を発/着端末のみで行うことを前提とし

ている.すなわち,ユーザ情報転送中は,網が関与する

プロトコル処理を簡略化してセル転送に専念し,かっこ

れをハードウェアに行わせることにより通信の高速化を

はかつている.このため, ATMのプロトコルモデルは

プロトコル標準である OSI(Open System Interconne-

ction)モデルをそのまま使用することができないので,

拡張する必要がある.第6図は, ATMのプロトコルモ

デルと OSIモデルを対比して示したものである.また,

各レイヤの機能を以下にまとめる.

物理媒体依存レイヤ(PMDL: Physical Medium

Dependence Layer)

:、!?光ファイパなどの物理媒体を通信回線として使用可

.、能にする機能を提供する.

①光ファイパなどを伝送媒体とするための電気一

光交換を行う.

② ディジタル信号の周波数情報であるビットタイ

ミングを伝送路符号に変換,または伝送路符号か

ら抽出する.

③ ピットレートの調整を行い,セル流を伝送フレー

ムの中に挿入,または伝送フレームから抽出す

る.

ATMレイヤ(ATML : ATM Layer )

・サービスに依存しないセル転送機能を提供する.

①受信データ流からセル境界の識別をする.

② CRC符号によるヘッダ誤りの計算を行い,そ

の結果を HEC領域に格納する.また,ヘッダ

誤りが訂正できない場合はセルを廃棄する.

③ セル転送速度を調整するために,空セルの挿入

や分離を行う.

④複数の VP/VCからくる有効なセルの多重化,

斗ISL サーピス

2~ つ」ADPL

ATML

ユーザ情報伝送

第6図 :ATMのプロトコルモデル

通信総合研究所季報

分離を行う.セル競合制御のためのセルバッファ

処理も行う.

⑤ ヘッダの VCI/VPI情報にしたがって経路選

択を行う.

アダプテーションレイヤ(ADPL:ADPtation Layer)

・本レイヤは,転送情報の種類により異なる機能を持

① CBRサービスの場合:ピット流のセルへの分

解,セル転送遅延の吸収,セル紛失時の取り扱い,

などがある.

② VBRサービスの場合:情報プロックの開始終

了を検出しながらのセルの分解組み立て,セル紛

失時の取り扱い,などがある.

・同レイヤ間で送受する ADPLヘッダ情報(データ

長,シーケンス番号など)は,各サービス固有のも

のであるため,セルの情報領域に格納する.

サービスレイヤ(SL: Service Layer )

・ユーザアプリケーション聞の情報転送などのユーザ

情報転送部に関する機能と,呼の設定などを行う呼

制御部に関する機能がある.

第7図はユーザ情報の分解・組立・転送方式を示した

ものである.この図のように,ユーザ情報セルに関して,

網は基本的に ATMレイヤまでしか関与せず,それ以

上は発着端末に任される.しかし,この図には示してい

ない呼制御用のセルに関しては, OSIモデルのレイヤ

3まで関与する.

なお,これらについては,より詳細なプロトコルが検

討中であり大幅に変更される可能性もある.特に,アダ

プテーションレイヤについては,今後 CCITTの SG

xvmで詳細が決定される予定である.

4. ATM交換スイッチ技術

B-ISDNで要求される機能・性能のうち, ATM交

換スイッチに対する要求条件は以下の6点が挙げられる(5)ベ10).

①高速・大容量スイッチングができる.

d:t~~PLI· J占 ~IATML

PMDLI: YM

D

M

nr ・--,

. .

・鎗末/交換局 伝送路靖末/交換局

(注 l )~--油九ヘッダ (注2)闇--/'!.加ハツダ

第7図ユーザ情報の分類・組立・転送方式

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Vol. 36 No. 180 September 1990

② パースト的な負荷変動に対して,安定したトラヒッ

ク特性を保持できる.

③ セルの遅延・遅延変動,及びセル廃棄率を低く抑え

られる.

④放送機能(同報通信機能)が容易にできる.

⑤機能・規模の鉱張が容易に実現できる.

⑥ セルの順序を保存できる.

これらの要求条件を満足するために,今まで様々な種

類のスイッチ回路網が提案されてきた.スイッチ回路網

は, トポロジーの観点からパス型, リング型,マトリク

ススイッチ型の大きく 3つに分類できる.パス型, リン

グ型のスイッチは,一般にその動作速度により全体のス

ループットが決定するため,大容量化は素子速度により

制限される.一方,マトリクススイッチ型スイッチは高

速で大容量のスイッチングが可能である反面,後で述べ

る(5.1, 5. 2)のようないくつかの間題点あった. しか

し,近年これらの解決策がいくつも提案されており,現

在最も注目されている.スイッチ回路網の分類と特徴を

第8図に示す.

以下では,マトリクススイッチ型について述べること

パス型 リング型

構 カ?廿干 告カヵ成 出カ特

食分散制御システムに向〈

*構成上、大容量化することが困難

187

にする.マトリクススイッチ型のうち特に研究が進めら

れているのは,共有メモリ型(時分割方式)と多段ゲー

ト型(空間分割方式)である.

4.1 共有メモリ型スイッチ

共有メモリ型は,中央のバッファメモリにセルを順次

取り込み,メモリ制御回路により所望の出線へセルを導

く方式である.これは,回線交換で有名なTスイッチ

(時分割スイッチ)を変形したものである(llJ(12).

共有メモリ型の代表例として,仏 CNETのプレリュー

ドシステムを第9図に示す.第9図は,簡単のために入

力セル長を4バイトと仮定しであり,セルはまず8ピッ

ト直一並列変換される.次に位相調整され,ヘッダ部の

タイミングがlつずつ順にずれるように送出される.次

段にある多重装置は,各入線からのセルをバイト単位で

抜き出し,それぞれを時分割j多重する.第9図の場合は,

4つのタイムスロットでlつのフレームを構成している

ことになる.

一番上のラインに集まったヘッダはメモリ制御回路に

送られ,これを出カリンクで使用するヘッダに変換し,

情報フィールドと併せて順次メモリに書き込む.この後,

マトリクススイッチ型

制方式(空多段間分グf・ . モリ型)

入品カカ主重量密会スイッチ内でのセJレ *高速,大容量化する衝突がなく高スルー ことが容易プットが期待できる

食スイッチ内でのセル*メモリ制御が複雑で 衝突が起こりやすい高速化しにくい

第8図 スイッチ網の分類・特徴

直一並列変換 位相調整 多重装置 J'(ッフ 7メモリ 多重装置

第9図共有メモリ型スイッチ

(プレリュード方式の間略図)

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188 通信総合研究所季報

+一一一分散網 "4 jレーティング網一一ー出力

aヒ.'ト判定

M・7ト判定

(注)ランダム単位スイッチ

主主(!~~;:路をランダ)

判定

チ\

13111j

岬ノf

-よ

d

i

v

以ん川和定

ンルイ方

イセテり

』ア

fil--

L

一心匂-1

レーー」

己一一

向回「寸14L

第10図多段ゲート型スイッチ

(ランダム分散ベネス網の間略図)

labc I I at' 'ト幼c=OlOの例 判定

bt' 'ト判定

ct''ト判定

(注)ソーテイング網 l入力セJレを行先アドレスの小さ叶l瓶に並べ直して出力する I

第11図多段ゲート型スイ yチ

(パ yチャパンヤン網の間略図)

メモリ制御回路では出線に対応するタイミングに合わせ

て取り出したいヘッダ格納アドレスへアクセスする.ヘッ

ダはこれにしたがって読み出され,続く各バイトはヘッ

ダ格納アドレスをl順次インクリメントしながら lつずつ

タイミングをずらして読み出される.バッファメモリの

出力部では,入力部と同じマルチプレクサがあり,時分

割多重されたセルをタイムスロットにしたがって出線に

振り分ける.

このシステムは,一つのバッファメモリに複数のセル

を記憶する方式であるため,セルの多重化などによりス

イッチ内で速度を上げる必要があり,回路内での動作速

度に制約を受ける.そこで,このシステムの改良案とし

てスイッチ内での速度を上け.ず,セル単位に独立に読み

書きできる複数バッファを設けた共有メモリ型スイッチ

なども提案されている(7)(8).

4.2 多段ゲート型スイッチ

多段ゲート型は,単位スイッチと呼ばれるものを多段

に配置したもので,セルヘッダのルーティング情報にし

たがって各単位スイッチを高速に通り抜け目的の出力ポー

トにセルが到着する構成となっており,クロスパー形交

換スイッチと比べて少ないハードウェア量で大規模なス

イッチ回路を構成できるという特徴を持っている.

多段ゲート型の代表例としては,ランダム分散ベネス

網(IQ) (第10図)やパッチャパンヤン網(!)【13) (第11図)

がある.これらは,前述の要求条件①②を満たすために,

多段ゲート型スイッチの構成は,接続制御が単純である

こと,ネットワークや信号処理において発生し得る多様

なトラヒック要求に対して良好な特性を示すことが必要

である.その際,回路を構成する単位スイッチの設定に

あたって,自己ルーティングする方式は極めて優れた方

式となる.自己ルーティングとは,第10図のようにヘッ

ダの先頭に付与したルーティング情報を各単位スイッチ

が自律的に読み取り,方路を選びながら目的とする出力

ポートへルーティングを行う方式である.従来のパケッ

トスイッチのように,スイッチングのための共通制御機

構がないハードウェアスイッチングで構成できるため,

高速転送が可能となる.

パッチャパンヤン網は,まず入力部でセルの同期をと

り,前段部のパッチャ網で入力セルの出力ポートアドレ

スII闘に並べ替え,後段部のパンヤン網で目的の出力ポー

トにルーティングする.こうすることにより,パンヤン

網の欠点である回路内でのセル衝突を回避できる.ただ

し,ソーテイングをするパッチャ網が入線ポートの増加

にともない回路規模がほかの多段ゲート型に比べて大き

くなってしまうことや,同じ出線ポートを目指すセルが

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Vol. 36 No. 180 September 1990

入力トラヒック申告

発呼a

発端

189

セルのふくそう制御

セルの転送制御

・要求品質に応じた優先制御

呼受付制御・網使用容量の算出

.呼の受付可否判断

Jレーティング制御

・最適転送Jレートの決定

ポリシング制御・入力トラヒック監視

第12図 トラヒック制御の一例

複数の入線に同時に来るとたちまちセルの廃棄につながっ

てしまうのが欠点である.後者の欠点を克服するための

一案として,スイッチ網の入(出)力部にバッファメモ

リを置く方法や,パッチャ網の次段にバッファメモリ

を置いて衝突を起こしたセルを入力部に戻す方法があ

る(9)【14).

これに対し,ベネス網も偏った入力セルがあるとルー

ティング網内部で衝突が発生するため,前半の分散網に

おいて入力セルを均等に振り分ける必要がある.第10図

のランダム分散ベネス網は,この負荷分散制御をセルの

方路をランダムに決定する単位スイッチで行うものであ

るが,この方法では必ずしも均等に振り分けられるとは

確定できず,そのスループットの向上にも限界がある.

この欠点を克服するためにいくつかの方式が提案されて

おり,分散網で入力セルが均等に分散するように,ベネ

ス網のちょうど中央の段にある単位スイッチの負荷(セ

ル数に対応)を監視し,それらの負荷情報を戻り信号線

で入力単位スイッチに戻す動的負荷分散ベネス網などが

提案されている(10)(15)(16).

5. トラヒック制御

ATM網では,到着過程に相関性があり,到着率が一

定でないセルを統計多重して通信を実現することから,

従来の回線交換のタイムスロットの割当,空塞管理のよ

うな確定的なトラヒック制御は困難である.ATMを公

衆網に適用していくためには,この不確実さを克服して

確実にトラヒックを制御し,一度受け付けた呼の通信品

呼レベルの制御 セルレベルの制御

・U呼受L付呼切の傷ふ(1, 2, 3) ・セルの転送制御(2)

くそう制御 υ ・セJレのふくそう制御

ー・・ー・ーーー・圃圃園田・・”ー・・ー・ルーテイング制御 ・ポリシング制御(3)

(l)呼の接続品質 {呼損率)参照パラメータ(2)セルレベル品質(廃棄率,遅延)

(3)トラヒツク特性(ピーク速度,平均速度など)

第13図 トラヒック制御の分類

質を保証することが必要である.また,この制御法も将

来のサービス拡張などに柔軟に対応できるように,単純

で融通性に富んでいることが重要である.

ATM網でのトラヒック制御は,呼レベルの制御とセ

ルレベルの制御の大きく 2つに分けられる.呼レベルの

制御には,①申告された新規の呼を受け付けるかどうか

判断する呼受付制御,②発着端末聞の転送経路の中から

1つの経路を選択するルーティング制御,がある.セル

レベルの制御には,①様々な通信品質を保証しながらセ

ルを転送するセルの転送制御,②選択的にセルを廃棄し

て網内のセル流量を適正値に近づけるセルのふくそう制

御,③入力トラヒック量(ある期間中のセル流入量)を

リアルタイムで監視するポリシング制御,がある.

以下では, ATM網でのトラヒック制御における問

題点や課題を,第12図及び第13図にしたがって示す(2)(3)(17)ベ21).

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通信総合研究所季報

Mi

[呼種i中間領域]

同時接続数

割当帯域震の算出例(二項分布)

割当帯域量

第14図

②最大領域クラス(R孟0.2)

このクラスは,要求品質を保証するには最大転送速度

による所要帯域運用が必要な領域であり,害lj当帯域はこ

の領域での同時接続呼の要求最大転送速度の和を使用す

る.

@ 中間領域クラス(①②以外)

このクラスでは,呼種ごとに割当帯域を決定するが,

異呼種間の割当帯域は独立運用する.割当帯域は第14図

のように呼種ごとの統計的多重効果を考慮した所要帯域

の算出値を使用する.

なおRは, R=(L/T,。) /Vで表されるパラメータ

であり,ピーク転送速度でデータを送出するときに出カ

リンクのどのくらいを使用するかを表している.L

(bit)はセル長, V(bit/s)は出カリンク速度である.

このようにすると,交換機側は呼種ごとに同時接続数

Miと対応の割当帯域量 Viを管理し,上記3領域の割

当帯域の合計値がある値(出力リンク容量よりも小さい

値にして,呼の接続品質やセルレベル品質を保証できる

ようにする)によってその呼を受け付けるかどうかを判

断すればよく,かなり容易に実現可能になる.

この方式の課題は,呼種クラスをどの様な基準で分類

し何種類のクラスを作成するかである.呼穣数があまり

にも少ないと,中間領域での統計的多重化効果が小さく

なってしまい網の使用効率が下がってしまう.逆に呼種

数が多すぎると,交換機の帯域管理に負担がかかってし

まい実用性がなくなってしまう.

なお,呼受付制御には,呼レベルのふくそう(大量の

呼がほぼ同時に入力申告してきた場合,呼受付判断処理

が追いついていけず,通信を開始するまでの時聞が長く

なってしまう)状態を回避するための制御についても検

討する必要がある.

5. 2. 2 ルーティング制御

ルーティング制御は,転送先端末へのいくつかの転送

経路の中から,受け付けた呼の要求品質を保証できる転

5. 1 入力トラヒックの申告

ATM網では,転送速度が異なる様々なメディアや転

送速度が通信中に変動する VBRサービスを扱うので,

lつの呼に割り当てる所要帯域を可変にできる必要があ

る.このように帯域が変動する呼を,限られた容量の伝

送路に効率よく収容するためには,ユーザから通信要求

時に呼のトラヒック特性を網側に申告してもらう必要が

ある.この申告方法と申告値については,申告の容易さ,

制御の容易さなどを考慮して,セルのピーク転送速度や

平均転送速度,ある短い期間中に転送されるセルの最大

数(平均数)など,いくつかのパラメータが検討されて

いる.ここで,これらの申告パラメータは通信終了後に

明らかになる真の値とずれてくる場合があるということ

に注意する必要がある.しかし,申告値よりも実際の入

力トラヒックが多いからといって,ただちにセルを廃棄

することは妥当ではない. したがって,網側ではこのよ

うな申告値と実際のトラヒック入力のずれに対しても充

分に対応できる工夫が必要である.

5.2 呼レベルの制御

5.2. 1 呼受付制御

呼受付帯胸では,現時点に網内にどのくらいのトラヒッ

クが流れているかの情報と新規呼の申告値(ピーク転送

速度など)から予想されるトラヒック特性,呼の接続品

質(呼損率)及びセルレベル品質(廃棄率,遅延)に基

づいて,その呼に割り当てるべき所要帯域を求め,受け

付け可能かどうかを判断する.

所要帯域の計算には,統計的多重効果を考慮する必要

があるが,あまりトラヒック特性が違うものを多重しで

も効果は期待できないことが分かつている.この点に着

目した呼受付制御が現在提案されているので,以下に示

す(22).この提案では, トラヒック特性による呼種のク

ラス分けを導入し,呼種ごとに独立な所要帯域を運用す

る(つまり,異呼種聞の統計的多重効果を無視する)こ

とで,単純な所要帯域管理を実現しようとしたものであ

る.申告値としては,ピーク転送速度(連続するセル送

出間隔の最小値引により規定),平均転送速度(任意

の時間中の最大発生セル数により規定)を主に参照す

る.システム側は,呼接続要求を受けるとまずその呼を

申告値により呼種クラスに振り分ける.呼種クラスは次

の3つの領域に大きく分類され,領域ごとに異なる所要

帯域算出を行う叩.

①平均領域クラス(R孟0.02)

このクラスは,平均転送速度による所要帯域運用で要

求呼に対する品質が保証できる領域であり,割当帯域は

この領域での同時接続呼の要求平均転送速度の和を使用

する.

190

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Vol. 36 No. 180 September 1990

送経路を lつ選択するものであり,呼受付制御の方式に

大きく依存する.ATMの網形態や網管理法が明確になっ

ていないこともあり,具体的なルーティング制御はまだ

確立されていない.

5.3 セルレベルの制御

5.3. 1 セルの転送制御

各交換機で入力トラヒックを制御できたとしても,い

くつかの交換機と接続しているような中継交換機では,

別方路からのパースト的なトラヒックの入力により,瞬

時的にバッファのオーバーフローが起こり品質を満足で

きなくなる可能性がある.このような現象を抑制するに

は,その呼のセルレベル品質に応じた何らかの優先制御

が必要である.このような制御で一番問題なのは,転送

セルを品質クラスによってどのように分類するか,また

何種類くらいに分類するかということである.優先制御

の例を 2つ示す.

① pushout scheme

交換機のパッファが満杯状態という状況でセル廃棄率

に対する優先順位の高いセルが入力された場合,バッファ

中で優先順位の低いセルを追い出してしまう方式【初.

② em bedded coding

音声情報をセル化する際に,情報として重要な部分

(これだけでもある程度の品質は保証できる)と重要で

ない部分に分離する符号化方式.分離したそれぞれの情

報を別のセルで運ばせ,バッファオーバーフロー発生

時にはあまり重要でない部分のセルを選択して廃棄する { 紛 c2s:】.

5.3.2 セルのふくそう制御

前述の優先制御を行っても同一レベルのクラスのセル

(特に高優先クラスのセル)ばかり入力された場合,要

求品質を満足できない状態が継続して,ふくそう状態が

発生する可能性がある. トラヒック制御の理念として,

一度受け付けた呼の要求品質は保証する必要があるので,

このふくそう状態を事前に回避する制御方法を見つけ出

すことが重要な課題である.現段階では,前述の優先制

御において高優先セルの受付量にある上限値を設けると

いう提案がなされているが,セルの転送制御に大きく依

存することになる.セルのふくそう制御はトラヒック制

御の検討の中でも最も難しい課題である.

5.3.3 ポリシング制御

トラヒック制御としてさらに考える必要があるのが,

ユーザが申告値以上のトラヒックを入力した場合であり,

この処理法としてポリシング制御がある.ポリシング制

御では,情報転送中にユーザが通信要求時の申告値どう

りの通信を行っているかを監視し,申告値を越えて入力

されたセル(違反セル)に対しては印(違反札)をセル

191

に付与して,網側に余裕があればそのまま転送する.そ

して,どこかの交換機(ノード)でふくそうが発生した

場合には,印のついたセルを直ちに廃棄する.ただしこ

の方法では,故意に申告値の何倍ものセルを入力してく

るなどの悪意呼に対して,何らかの対処法を考えなけれ

ばならないであろう.

6. むすび

次世代通信網の情報転送方式として盛んに研究されて

いる ATMについて,現在の研究動向を中心にまとめ

た.本論文では ATM全般についてわかりやすくまと

めたつもりであるが,専門家からみるとかなり不十分な

箇所もあると思われる.これから ATMの研究を始め

ていこうという人に少しでも貢献できれば幸いである.

謝辞

本論文を執筆するに当たり,御助言と御指導をいただ

いた NTT交換システム研究所トラヒックグループ及

び通信総合研究所統合通信網研究室の各位に感謝致しま

す.特に,直接御指導をいただいた NTT交換システ

ム研究所山田博司研究主任に深く感謝致します.

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用語説明

UNI (User Network Interface)

ユーザ端末とネットワークのインターフェースを規定

するポイント(第5図参照)

NNI (Network Node Interface)

ネットワーク内もしくはネットワーク間接続のインター

フェースを規定するポイント(第5図参照)

仮想パス

同じの方路に向かう仮想、チャネル(呼)を束ねたもの

で,ユーザ端末聞もしくはユーザ端末・網間で提供され

るlつのパイプである.

OAM (Operation Adminstration Maintenance)

システムを正常に動作させていくための機能で,何等

かの故障(信号断絶,フレーム同期はずれ,セル同期は

ずれ,など)の検出・復旧を行う.

違反セル

ユーザが申告したノfラメータから予想されるセル送出

量より,多くのセルが網側に流入してきた場合に,多す

ぎる分のセルに印を付与し,これを違反セルという.