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1 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告) 非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガ イドライン (2012 年改訂版) Guidelines for Management of Acute Coronary Syndrome without Persistent ST Segment Elevation(JCS 2012) 合同研究班参加学会: 日本循環器学会,日本冠疾患学会,日本胸部外科学会,日本集中治療医学会, 日本心血管インターベンション治療学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会 班 長 村   京都大学大学院医学研究科循環器内科学 班 員 一 色 高 明 帝京大学医学部内科 大 野 貴 之 三井記念病院心臓血管外科 小 川 久 雄 熊本大学大学院生命科学研究部循環 器内科学 木 村 一 雄 横浜市立大学附属市民総合医療セン ター心臓血管センター 坂 田 隆 造 京都大学医学部心臓血管外科 住 吉 徹 哉 榊原記念病院循環器内科 高 梨 秀一郎 榊原記念病院心臓血管外科 茅 野 眞 男 国立病院機構東京病院循環器科 筒 井 裕 之 北海道大学大学院医学研究科循環病 態内科学 中 尾 浩 一 済生会熊本病院心臓血管センター 中 川 義 久 公益財団法人天理よろづ相談所病院 循環器内科 中 村 正 人 東邦大学医療センター大橋病院循環 器内科 野々木   宏 静岡県立総合病院 平 山 治 雄 名古屋第二赤十字病院循環器センタ ー内科 幕 内 晴 朗 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 水 野 杏 一 日本医科大学内科学講座(循環器・ 肝臓・老年総合病態部門) 光 藤 和 明 財団法人倉敷中央病院循環器内科 夜 久   均 京都府立医科大学大学院医学研究科 心臓血管外科学 山 科   章 東京医科大学第二内科 協力員 浅 野 竜 太 榊原記念病院循環器内科 石 井 克 尚 関西電力病院循環器内科 石 原 正 治 国立循環器病研究センター心臓内科 海 北 幸 一 熊本大学大学院生命科学研究部循環 器内科学 門 田 一 繁 財団法人倉敷中央病院循環器内科 小 菅 雅 美 横浜市立大学附属市民総合医療セン ター心臓血管センター 榊 原   守 北海道大学大学院医学研究科循環器 病態内科学 上 妻   謙 帝京大学医学部内科 小 林 俊 也 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 白 木 裕 人 稲城市立病院循環器科 高 山 守 正 榊原記念病院循環器内科 寺 岡 邦 彦 東京医科大学八王子医療センター循 環器内科 七 里   守 名古屋第二赤十字病院循環器内科 持 田 泰 行 日本赤十字社東京都支部大森赤十字 病院循環器科 山 口 敦 司 自治医科大学附属さいたま医療セン ター心臓血管外科 外部評価委員 赤 阪 隆 史 和歌山県立医科大学医学部循環器内科 川 副 浩 平 聖路加国際病院ハートセンター 代 田 浩 之 順天堂大学医学部循環器内科学 平 山 篤 志 日本大学医学部内科学講座循環器内 科部門 山 崎   力 東京大学医学部附属病院臨床疫学シ ステム講座 (構成員の所属は2012 8 月現在) 目  次 改訂にあたって…………………………………………………… 2 Ⅰ.総論…………………………………………………………… 3 1. ガイドラインの背景と目的 …………………………… 3 2. ガイドラインの対象 …………………………………… 3 3. 本ガイドラインで使用した略語 ……………………… 4 Ⅱ.診断およびリスク評価……………………………………… 4 1. 病歴と身体所見 ………………………………………… 4 2. 鑑別すべき疾患 ………………………………………… 7

非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガ イドラ …3 非ST 上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン Ⅰ 総 論 1 ガイドラインの背景と目的

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1

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)

非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)Guidelines for Management of Acute Coronary Syndrome without Persistent ST Segment Elevation(JCS 2012)

合同研究班参加学会:�日本循環器学会,日本冠疾患学会,日本胸部外科学会,日本集中治療医学会,          日本心血管インターベンション治療学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会

班 長 木 村   剛 京都大学大学院医学研究科循環器内科学

班 員 一 色 高 明 帝京大学医学部内科

大 野 貴 之 三井記念病院心臓血管外科

小 川 久 雄 熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学

木 村 一 雄 横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター

坂 田 隆 造 京都大学医学部心臓血管外科

住 吉 徹 哉 榊原記念病院循環器内科

高 梨 秀一郎 榊原記念病院心臓血管外科

茅 野 眞 男 国立病院機構東京病院循環器科

筒 井 裕 之 北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学

中 尾 浩 一 済生会熊本病院心臓血管センター

中 川 義 久 公益財団法人天理よろづ相談所病院循環器内科

中 村 正 人 東邦大学医療センター大橋病院循環器内科

野々木   宏 静岡県立総合病院

平 山 治 雄 名古屋第二赤十字病院循環器センター内科

幕 内 晴 朗 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科

水 野 杏 一 日本医科大学内科学講座(循環器・肝臓・老年総合病態部門)

光 藤 和 明 財団法人倉敷中央病院循環器内科

夜 久   均 京都府立医科大学大学院医学研究科心臓血管外科学

山 科   章 東京医科大学第二内科

協力員 浅 野 竜 太 榊原記念病院循環器内科

石 井 克 尚 関西電力病院循環器内科

石 原 正 治 国立循環器病研究センター心臓内科

海 北 幸 一 熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学

門 田 一 繁 財団法人倉敷中央病院循環器内科

小 菅 雅 美 横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター

榊 原   守 北海道大学大学院医学研究科循環器病態内科学

上 妻   謙 帝京大学医学部内科

小 林 俊 也 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科

白 木 裕 人 稲城市立病院循環器科

高 山 守 正 榊原記念病院循環器内科

寺 岡 邦 彦 東京医科大学八王子医療センター循環器内科

七 里   守 名古屋第二赤十字病院循環器内科

持 田 泰 行 日本赤十字社東京都支部大森赤十字病院循環器科

山 口 敦 司 自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科

外部評価委員赤 阪 隆 史 和歌山県立医科大学医学部循環器内科

川 副 浩 平 聖路加国際病院ハートセンター

代 田 浩 之 順天堂大学医学部循環器内科学

平 山 篤 志 日本大学医学部内科学講座循環器内科部門

山 崎   力 東京大学医学部附属病院臨床疫学システム講座

(構成員の所属は2012年8月現在)

目  次

改訂にあたって…………………………………………………… 2Ⅰ.総論…………………………………………………………… 31. ガイドラインの背景と目的 …………………………… 32. ガイドラインの対象 …………………………………… 3

3. 本ガイドラインで使用した略語 ……………………… 4Ⅱ.診断およびリスク評価……………………………………… 41. 病歴と身体所見 ………………………………………… 42. 鑑別すべき疾患 ………………………………………… 7

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

3. 非観血的検査 …………………………………………… 74. 血液生化学検査 …………………………………………185. 観血的検査 ………………………………………………196. リスク評価と院内および短期予後 ……………………22

Ⅲ.治療……………………………………………………………271. リスク評価に基づいた治療指針 ………………………272. 緊急入院と転院 …………………………………………323. 初期治療 …………………………………………………334. 薬物治療 …………………………………………………345. 薬物治療抵抗性狭心症 …………………………………396. 補助循環 …………………………………………………407. 血行再建治療 ……………………………………………40

8. 特殊な病態への対応 ……………………………………48Ⅳ.退院後管理……………………………………………………491. 退院準備 …………………………………………………492. 退院後のモニタリングと検査 …………………………503. 薬物治療と冠危険因子の管理 …………………………504. 治療後の長期予後 ………………………………………54

Ⅴ.医療費に関する考察…………………………………………54Ⅵ.今後の課題……………………………………………………54文 献………………………………………………………………56

(無断転載を禁ずる)

 「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」作成班は,非ST上昇型急性冠症候群の診断,治療に関する指針作成のため,日本心臓病学会,日本心血管インターベンション治療学会,日本冠疾患学会,日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本集中治療医学会に協力を要請し,指名された内科医,外科医がガイドライン作成班に参加した. 英語,日本語で発表された1990年以降の研究論文についてコンピュータによる文献検索を2000年に行い,選択された論文を批判的に吟味し,エビデンスに基づいて指針を作成,クラス分けを行い2002年に最初のガイドラインが作成された. 2005年にガイドライン改定の要否が検討され,部分改定を行うこととなり2006年に改訂版作成班が発足した.改訂版作成班は新たに2006年3月末までの新たな文献,エビデンスについて吟味し,必要に応じて改訂を加えた.主な改訂点には,CT,MRIによる診断,抗血小板薬,スタチンなどの新たな薬剤に関する記載,薬剤溶出型ステントに関する記載,早期侵襲的治療に関する記載が含まれる.なお,作成班内における討議の結果で意見の一致をみた点についても指針として加えた. 2010年に再度,ガイドライン改定の要否が検討され,部分改定を行うこととなり2011年に改訂版作成班が発足した.今回の改訂では2011年8月末までの新たな文献,エビデンスについて吟味し,必要に応じて改訂を加えた.この間の進歩が著しい非侵襲的診断法である冠動脈CT,抗血小板療法,薬剤溶出型ステントなどを主な改訂点とした.また基本的な診断技術の重要性を強調し,最も重要な診断法である心電図診断について詳細な記載を行った.急性冠症候群が疑われる患者の初期診療においては,1回の評価で急性冠症候群を否定してしまうのではな

く,救急室に一定時間患者を留まらせることや緊急入院の閾値を低くすることの重要性を強調した.

 原則としてガイドラインは,1)クラス分けした指針およびそのエビデンスレベル,2)ガイドラインの根拠と解説,の順で記載した. エビデンスと専門家の意見を集約した指針はクラスⅠ,Ⅱ,Ⅲの形で呈示した. クラスⅠ: 手技,治療が有効,有用であるというエビ

デンスがあるか,あるいは見解が広く一致している

 クラスⅡ: 手技,治療の有効性,有用性に関するエビデンスあるいは見解が一致していない

 クラスⅡa: エビデンス,見解から有用,有効である可能性が高い

 クラスⅡa’: エビデンスは不十分であるが,手技,治療が有効,有用であることに我が国の専門医の見解が一致している

 クラスⅡb: エビデンス,見解から有用性,有効性がそれほど確立されていない

 クラスⅢ: 手技,治療が有効,有用でなく,ときに有害であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している

 エビデンスとなる臨床試験成績は不十分であるが,我が国では広く専門家の意見が一致しているものは,クラスⅡa’として指針に入れた.我が国で未だ使用できない手技,治療法,治療薬で,有効性,有用性について十分なエビデンスがあるか,見解が広く一致しているものについては,指針解説の末尾に別途に記載した.また我が国の保険医療で認められていない適応や用法,用量に

改訂にあたって

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3

非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

Ⅰ 総 論

1 ガイドラインの背景と目的

 循環器疾患の病態解明は急速に進歩しており,それに伴って治療法も大きく変化してきている.しかし最新の情報を主治医が逐次収集して自分の患者に速やかに適用していくことは容易ではない.そこで,疾患の診断,治療,管理に関するデータを専門家が厳しく評価,分析し,まとめた情報から指針を作成して公表することは,我が国の医療レベルを向上させ,患者の治療成績,予後を改善することに大きく寄与するものと考えられる. 日本循環器学会は,1998年から心臓血管系疾患の診断,治療に関するガイドライン作成のために研究班を編成し,関連学会と合同でガイドライン作成に取り組んできた.その一環として2000年に「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」作成班が発足した.急性冠症候群は冠動脈粥腫破綻,血栓形成を基盤として急性心筋虚血を呈する臨床症候群であるが,急性心筋梗塞,不安定狭心症から心臓急死までを包括する広範な疾患概念である.急性心筋梗塞に関しては,平成11年度厚生科学研究費補助金による医療技術評価総合研究事業(主任研究者:上松瀬勝男日本大学教授)として「急性心筋梗塞の診療エビデンス集─EBMより作成したガイドライン」

が既に発表されている.したがって本合同研究班の対象は,STの持続的上昇を示さない非ST上昇型急性冠症候群である.今回2011年の改訂にあたりガイドラインの名称を「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」に変更した.この病態における心筋虚血は,破綻した粥腫と非閉塞性血栓による冠動脈狭窄が酸素供給減少の主因であり,また冠動脈トーヌスの亢進も酸素供給の減少の一因となり得る.急性期治療の主な目的は,急性心筋梗塞への移行防止と心筋虚血の軽減による短期的な予後の改善である. 本ガイドラインの目指すところは,本疾患群の診断,治療,管理に関して一般に容認された方法をまとめ,医師が臨床上の決定を行うのに役立つ診療指針を作成し,根拠に基づく医療(EBM: Evidence-Based Medicine)を推進することにある.本ガイドラインは多くの状況下で,種々の患者に対応し得る普遍的な診療指針を作成することを目指している.しかし,個々の患者における最終判断は,当該患者の状況を最もよく知る担当医師と患者の双方により総合的に下されるべきもので,本診療ガイドラインはそれを支援するものである.

2 ガイドラインの対象

 本ガイドラインは,急性冠症候群のうち,心電図STの持続的上昇を認めない非ST上昇型急性冠症候群の成人患者,あるいはその疑いのある患者を対象とする.急性期の診断,短期的ならびに長期的なリスク評価,急性

ついても解説の中で言及した. 各ガイドラインについてはエビデンスのレベル(以下レベル)も明示した.以下の3レベルに分類した.

 レベルA: 400例以上の症例を対象とした複数の多施設無作為介入臨床試験で実証された,あるいはメタ解析で実証されたもの

 レベルB: 400例以下の症例を対象とした多施設無作為介入臨床試験,良くデザインされた比較検討試験,大規模コホート試験などで実証されたもの

 レベルC: 無作為介入試験はないが,専門医の意見が一致したもの

 本ガイドライン改訂版は外部評価委員による評価を受

けた,日本循環器学会および合同研究班参加学会の承認を得て,日本循環器学会のインターネット版でホームページ上にのみ公表される.改訂版のダイジェスト版は作成されない. 本ガイドラインは多くの臨床試験のエビデンスに基づいているが,ほとんどの優れた臨床比較試験は欧米人を対象として行われたものである.また特定の限定された患者群を対象としたものであり,我が国の日常診療で遭遇する臨床例と異なる可能性を否定できない.またこの分野は新たな知見により病態,診断,治療に関する知識が急速に変化しつつある点も忘れてはならない.したがって,明らかに変更すべき点が生じた場合は年単位で改訂してホームページ上に示し,原則として本ガイドライン発表3年毎に内容の全面的な見直し改訂が必要と考える.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

Ⅱ 診断およびリスク評価

1 病歴と身体所見

1 病 歴 急性冠症候群を疑う患者においては詳細な病歴聴取が非常に大切である.特に胸痛の部位,性質,誘因,持続時間,経時的変化,消失,随伴症状などに注意する.胸痛だけでなく,既往歴,冠危険因子や家族歴についても聴取する.

①胸 痛

 急性冠症候群における胸痛の性質は,重苦しい,圧迫される,締め付けられる,息がつまる,焼けるようなという表現が多く,痛みというより不快感として訴えることもある.刺されるような痛みやチクチクする痛み,触って痛むものは狭心痛ではないことが多く,呼吸や咳,体位変換の影響を受けない.しかしながら非定型的な症状や非常に軽微な症状が重篤な急性冠症候群の表現形であることもまれではなく,症状の性状のみからの判断で急性冠症候群を除外してはならない.①胸痛の部位は前胸部,胸骨後部が多く,放散痛は下顎,頸部,左肩ないし両肩,左腕,心窩部に出現する.②胸痛の持続時間は数分程度が多く,長くても15~20分である.30分以上持続する場合は重症の急性冠症候群を考える.胸痛の持続が20秒以下のときは狭心痛の可能性は低くなる.③胸痛の誘因としては急ぎ,昇段,重いものを持つなどの労作中のみでなく,安静時にも出現する.精神的興奮や食事でも起こる.早朝は胸痛の閾値が低く,発作が出現しやすい.安静狭心症では夜間睡眠中に起こることが多い.④胸痛の経時的変化から安静時狭心症,新規発症型狭心症,増悪型狭心症かを区別する.⑤胸痛が安静およびニトログリセリンで1~5分で消失する場合は狭心症のことが多い.症状の消失に10分以上かかる場合には,非心臓性胸痛か,逆に重症の急性冠症候群を考えなければならない.⑥随伴症状として呼吸困難,めまい,意識消失,吐き気,嘔吐,冷汗を伴うときは重症であり,心筋梗塞を考慮しなければならない.発熱を伴うときは肺炎,胸膜炎,

期不安定期の治療,安定後の亜急性期治療などが本ガイドラインの対象範囲であり,病態安定後の慢性期の患者は本ガイドラインの対象ではない.急性冠症候群の疑いがある患者も,評価の結果により虚血性心疾患である可能性が低く,非心臓性の原因が考えられる場合はガイドラインの対象外となる. 持続性のST上昇を示す急性心筋梗塞患者は対象外である.前述の「急性心筋梗塞の診療エビデンス集─EBMより作成したガイドライン」を参照されたい(2006年から高野照夫日本医科大学教授を班長とする「急性心筋梗塞の診療ガイドライン」作成班により改訂作業が始まっている).しかし,急性心筋梗塞後に狭心症発作を有する患者は本ガイドラインの対象とする.安定労作狭心症は対象外であるが,急性冠症候群が疑われるが入院治療の必要がないと考えられる低リスク例は,安定狭心症との区別がしばしば困難であり,このような患者は本ガイドラインの範囲に含めた. 冠動脈血行再建法としてのPCIとCABGの選択については,別のガイドラインとして日本循環器学会「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン」ならびに「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」があり,本ガイドラインにおける取り扱いは最小限にとどめた.

3 本ガイドラインで使用した略語

 本文中に用いられる略語は以下の通りである.

 ACC: American College of Cardiology AHA: American Heart Association BMS: bare-metal stent CABG: coronary artery bypass grafting  CCU: coronary care unit CT: computer tomography DES: drug-eluting stent DAPT: dual anti-platelet therapy MACE: major adverse cardiac event MDCT: multi-detector computed tomography MRI: magnetic resonance imaging PCI: percutaneous coronary intervention  QOL: quality of life

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

心膜炎などを考慮する.⑦虚血性心疾患の明らかな既往があり,その症状に類似するか,より症状が強い場合は急性冠症候群の可能性が高い.

②既往歴

 同様の症状は過去にないか,心筋梗塞の既往や冠動脈造影を受けたことはないか,脳血管障害,末梢血管疾患はないか,他医の診断,治療は受けていないか,などを聴取する.

③家族歴

 親,兄弟に心臓病はいないか.若年発症の冠動脈疾患の家族歴は重要である.家系内に突然死,急死はないか,その死因は何かなどを聴取する.

④冠危険因子

 3つ以上の危険因子(年齢,男性,喫煙,高脂血症,糖尿病,高血圧)がある場合は可能性が高くなる.

2 身体所見 急性冠症候群では身体所見が必ずしも診断確定に有用ではないが,注意深い診察が虚血性心疾患に伴う合併症の発見,胸痛を起こす他疾患との鑑別に役立つ.以下の項目は特に確認が必要.①顔色と意識:苦悶様かどうか,チアノーゼ,冷汗,質問への応答,精神状態.②血圧:ショック状態,血圧上昇,血圧の左右差.③脈拍:徐脈,頻脈,脈不整,脈の大きさ,緊張度,四肢の脈の触知(緊急カテーテルなど動脈アクセスの確保のためにも重要).④呼吸:呼吸数,呼吸の深さ,速さ,呼吸が楽な体位,湿性ラ音,特に背側面の湿性ラ音.⑤心音,心雑音:Ⅲ音,Ⅳ音,Ⅱ音の奇異性分裂,Ⅱpの亢進,収縮期雑音,拡張期雑音.特に乳頭筋不全症候群を示す僧帽弁逆流雑音の有無は重要.⑥頸部:頸静脈の怒張,頸動脈の血管雑音,甲状腺腫.⑦末梢循環と皮膚:眼瞼結膜,上肢,下肢,手指の色,温かさ,チアノーゼの有無,下肢,臀部の浮腫.⑧腹部と鼠径部:拍動性腫瘤(大動脈瘤),血管雑音,肝腫大の有無,腸蠕動音.

 急性冠症候群の身体所見には,胸部所見,聴診所見,脈拍数や血圧などを含めても特異的なものはない.胸痛がおさまると消失するⅢ音・Ⅳ音または奔馬調律,両肺

野のラ音などは発作中の左室収縮能の低下を反映する.また消長する僧帽弁逆流雑音は乳頭筋機能不全を示唆している.高血圧,黄色腫,アキレス腱の肥厚などは冠動脈疾患の危険因子の存在を示しており,頸動脈や大腿動脈の雑音,足背動脈の脈拍減弱などは非冠動脈性ではあるが粥状硬化症の存在を示唆している.大動脈弁狭窄症でも狭心症と同様の症状が見られることがあり,収縮期雑音も必ず確認する.虚血性心疾患を疑わせる胸部症状を有し,頻脈,収縮期血圧の低下,肺野の湿性ラ音のある患者は入院72時間以内の致死的合併症の発生率が高く,十分に注意する必要がある.

3 病歴と身体所見からみたリスク評価 我が国では不安定狭心症の分類として旧来から新規労作,増悪型労作,新規安静の3型とする1975年のAHAの分類(表1)が使用されてきた1).しかし,狭心症発作の様式からのみでは予後判定は困難であり,1989年に,重症度,臨床像,治療の状況を加味してBraunwaldが新しい分類(表2)を提唱した2).この分類は予後の予測に有用であり,治療戦略の決定に寄与するとの報告が多数ある3),4).さらに,Ahmedらはこの分類が冠動脈造影所見ともよく一致していることを報告している5).我が国でもこの分類を使用することが一般的になっている.それを展開して,急性冠症候群の可能性を3段階に評価する方法がAHA/ACC2002年のガイドラインに示されている.また,不安定狭心症患者の死亡あるいは非致死的心筋梗塞発症の短期リスクの把握については,The Agency for Health Care Policy and Research(AHCPR)による不安定狭心症の診断・治療に関するガイドライン6)に示されていたが,こちらもAHA/ACC2007年のガイドラインで改定された(表3)7). 非ST上昇急性冠症候群のリスク評価についていくつかの報告がある.しばしば用いられているTIMI⊖リスク

表1 不安定狭心症の分類(AHA,1975年)TypeⅠ 新規労作狭心症(new angina of effort)   新たに発生した労作狭心症,あるいは少なくとも6か月

以上発作のなかったものが再発したもの.

TypeⅡ 増悪型労作狭心症(angina of effort with changing pattern)   労作狭心症の発作の頻度の増加,持続時間の延長,疼痛および放散痛の増強,軽度の労作でも生じやすく,ニトログリセリン舌下錠の効果が悪くなったもの.

TypeⅢ 新規安静狭心症(new angina at rest)   安静時に発作を生じ,15分以上持続しニトログリセリンに反応しにくい場合であり,ST上昇ないし下降,T波の陰転を認めるもの.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

スコアは,①年齢(65歳以上),②三つ以上の冠危険因子(家族歴,高血圧,高脂血症,糖尿病,喫煙),③既知の冠動脈有意(>50%)狭窄,④心電図における0.5mm以上のST偏位の存在,⑤24時間以内に2回以上の狭心症状の存在,⑥7日間以内のアスピリンの服用,⑦心筋障害マーカーの上昇,の要素によって算出される.2週間以内の主要心血管合併症発生頻度はスコアが増加するごとに相乗的に高くなる8).PURSUIT試験9)では20項目以上の予後予測因子が認められたが,最も重要な因子は,①年齢,②心拍数,③過去6週間における狭心症のうち最も重症のCCS分類程度,④収縮期血圧,⑤ST低下の存在,⑥心不全の所見であり 30日間のイベント発症率はこれらの要因の有無から推定できると報告している.このように急性冠症候群の診断あるいは重症度評価,予後予測は,病歴,簡単な診察および検査から得られるものであり,正確な病歴,身体所見の把握が重要である. しかし,急性冠症候群においては非定型的な症状も稀ではなく,無症状のこともある.43万人あまりの急性心筋梗塞を登録した米国の研究では,急性心筋梗塞の

表2 不安定狭心症の分類(Braunwald,1989)〈重症度〉ClassⅠ:新規発症の重症または増悪型狭心症   ・最近2 か月以内に発症した狭心症   ・ 1日に 3 回以上発作が頻発するか,軽労作にても発

作が起きる増悪型労作狭心症.安静狭心症は認めない.

ClassⅡ:亜急性安静狭心症   ・ 最近1 か月以内に1 回以上の安静狭心症があるが,

48時間以内に発作を認めない.ClassⅢ:急性安静狭心症   ・ 48 時間以内に1 回以上の安静時発作を認める.

〈臨床状況〉Class A: 2次性不安定狭心症(貧血,発熱,低血圧,頻脈な

どの心外因子により出現)Class B: 1次性不安定狭心症(Class Aに示すような心外因

子のないもの)Class C: 梗塞後不安定狭心症(心筋梗塞発症後2週間以内の

不安定狭心症)

〈治療状況〉1)未治療もしくは最小限の狭心症治療中2) 一般的な安定狭心症の治療中(通常量のβ遮断薬,長時間持続硝酸薬,Ca 拮抗薬)

3) ニトログリセリン静注を含む最大限の抗狭心症薬による治療中

表3 急性冠症候群(非ST上昇型急性心筋梗塞,不安定狭心症)における短期リスク評価評価項目 高リスク

(少なくとも下記項目のうち1つが存在する場合)

中等度リスク(高リスクの所見がなく,少なくとも下項目のうちどれか1つが存在する場合)

低リスク(高あるいは中等度リスクの所見がなく,下記項目のどれかが存在する場合)

病歴 ■先行する48時間中に急激に進行している

■ 心筋梗塞,末梢血管疾患,脳血管障害,冠動脈バイパス手術の既往

■アスピリン服用歴胸痛の特徴 ■安静時胸痛の遷延性持続(>20分) ■ 遷延性(>20分)安静時狭心症があ

ったが現在は消退しており,冠動脈疾患の可能性が中等度~高度である■夜間狭心症■ 安静時狭心症(<20分または安静かニトログリセリン舌下により寛解)■ 安静時狭心症(>20分)はなく過去2週間にCCSクラスⅢまたはⅣの狭心症の新規発症または増悪があり,冠動脈疾患の可能性が中等度~高度である

■ 持続時間,頻度,強度が増悪している狭心症

■ より低い閾値で生じる狭心症

■ 過去2週間~2か月以内の新規発症の狭心症

臨床所見 ■おそらく虚血と関連する肺水腫■新規または増悪する僧帽弁逆流音■Ⅲ音または新規または増悪するラ音■低血圧,徐脈,頻脈■年齢>75歳

■年齢>70歳

心電図 ■ 一過性のST変化(>0.05mV)を伴う安静時狭心症

■新規または新規と思われる脚ブロック■持続性心室頻拍

■T波の変化■異常Q波または安静時心電図で多くの誘導(前胸部,下壁,側壁誘導)におけるST下降(<0.1mV)

■正常または変化なし

心筋マーカー ■心筋トロポニンT(TnT),I(TnI)の上昇(>0.1ng/mL),またはCK-MBの上昇

■TnT,TnIの軽度上昇(0.01~0.1ng/mL),CK-MBの上昇

■正常

ACC/AHA2007ガイドラインより引用改変ACC/AHA 2007 Guidelines for the management of patients with unstable angina/non-ST-segment elevation myocardial infarction. Circulation 2007; 116: e148-e304.

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

33%は来院時に胸痛がなく,無胸痛群は胸痛群と比べて,高齢(74歳 vs 67歳),女性(49% vs 38%),糖尿病(33% vs 25%),心不全の既往(26% vs 12%)のある患者で多い10).胸痛を伴わない急性心筋梗塞患者は病院受診までの時間も長く,診断も遅れやすく,適切な治療,再灌流療法の施行率も低いため院内死亡率も2.21倍と高く,注意が必要である.

2 鑑別すべき疾患

 病歴ならびに身体所見から急性冠症候群とその他の疾患を鑑別しなければならない.特に注意が必要なものとして1)胸痛発作を伴う例,2)心電図異常が見られる例がある.また鑑別すべきものとして3)胸痛に類似した症状を呈する疾患,4)心筋虚血を誘発する病態がある.問診により,胸痛が起こる状況や胸痛の放散部位を詳細に聴取することは重要である.感冒様症状や発熱などその他の臨床症状により鑑別診断が容易になることもある.心電図検査,胸部X線写真,血液生化学検査は鑑別診断には必須である.また心エコー図検査は有用である.さらに確定診断にはCT,MRI,肺血流シンチグラム,冠動脈造影まで必要なことも多い. 急性冠症候群と鑑別する必要のある疾患(胸痛発作を伴う患者あるいは心電図異常が見られる患者)には以下が挙げられる.①冠動脈疾患:労作狭心症②心筋疾患:急性心筋炎,肥大型心筋症,拡張型心筋症,たこつぼ型心筋症③心膜疾患:急性心膜炎④大動脈疾患:急性大動脈解離,大動脈瘤破裂(急性大動脈症候群)⑤弁膜疾患:大動脈弁狭窄症⑥肺疾患:肺血栓塞栓症,胸膜炎,気胸,肺炎⑦消化器疾患:急性腹症(急性膵炎,胆石症,胃十二指腸潰瘍穿孔など)⑧皮膚骨格疾患:帯状疱疹,肋間神経痛,肋骨骨折⑨脳血管障害:クモ膜下出血⑩心因性:心臓神経症,パニック障害,そのほか

 急性冠症候群の鑑別診断においては特に重篤な疾患を見逃さないことが重要であり,その意味で肺血栓塞栓症ならびに急性大動脈症候群が最も重要である.

 その他に急性冠症候群と鑑別する必要のある心筋虚血を誘発する病態としては,1)酸素需要を増加させる疾

患,2)酸素供給を減少させる疾患なども挙げられる.冠動脈疾患がなくてもこれらの病態に陥ると,狭心症と同様の症状が出現するようになるので注意が必要である.また,安定狭心症もこれらの病態を合併すると発作を生じやすくなり,不安定狭心症の状態となる.①酸素需要を増加させる疾患:高体温,甲状腺機能亢進症,管理不良の高血圧症,持続性頻拍(上室性,心室性)②酸素供給を減少させる疾患:貧血,肺疾患,血液粘度の増加

3 非観血的検査

1 胸部X線検査と心電図検査

①胸部X線

クラスⅠ1.心臓疾患(うっ血性心不全,心臓弁膜症,虚血性心疾患)および心膜疾患,または大動脈疾患(解離性大動脈瘤)の徴候・症状のある患者で胸部X線検査を行う.(レベルB)

クラスⅡa1.肺・胸膜疾患および縦隔疾患の徴候・症状のある患者で胸部X線検査を行う.(レベルB)

クラスⅡb1 .すべての胸痛患者で胸部X線検査を行う.(レベルC)

 急性冠症候群の診断における胸部X線検査は,鑑別診断と重症度評価の上で重要と考えられる.心拡大,肺うっ血,肺水腫,胸水の有無を客観的に評価する上で胸部単純X線検査は重要である.心拡大は,心筋梗塞既往,急性左心不全,心膜液貯留,大動脈弁または僧帽弁閉鎖不全に伴う左室容量負荷が存在することを示す.鑑別診断の対象には胸痛を来たす疾患すべてが含まれる.胸部X線検査は,肋骨疾患,肺・胸膜疾患,縦隔疾患,心臓および心膜疾患,肺・体血管疾患の形態的診断には有用である.特に,診断確定に急を要する重要な鑑別疾患としては,『急性大動脈症候群』と『急性肺血栓塞栓症』がある.上行大動脈解離では冠動脈を巻き込んで急性心筋梗塞を合併することもあり,診断に苦慮する場合も多い.したがって,胸部X線検査で上縦隔陰影の拡大,二重陰影,大動脈壁内膜石灰化の偏位を認める場合は『急性大動脈症候群』を疑い,超音波検査,造影CT検査,造影MRI検査を施行して鑑別する必要がある.また,

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

肺動脈の途絶,遮断,区域性乏血が認められた場合は,『急性肺血栓塞栓症』を疑い,超音波検査,造影CT検査などを行う必要がある.また呼吸困難や低酸素血症を認めるにもかかわらず胸部X線写真で異常所見を認めない場合にも『急性肺塞栓症』を疑う. 胸部X線写真を評価する際には,常に撮影体位や撮影条件について確認する必要がある.救急患者や重症例ではポータブル撮影,特に臥位で撮影されることが多く,十分な吸気止めもできないことが多い.このような条件下では胸部X線写真所見は過小あるいは過大評価される可能性があることを念頭に置く.

②安静時心電図検査

クラス I 1.胸部症状を訴える患者や他の症状でも急性冠症候群が疑われる患者ではただちに(10分以内に)12誘導心電図を記録する.(レベルB)また受診時に症状がない患者でも病歴から急性冠症候群が疑われる場合には速やかに12誘導心電図を記録する.(レベルC)2.初回心電図で診断できない場合でも症状が持続し急性冠症候群が強く疑われる患者には経時的に(15~30分ごとに)12誘導心電図を記録する.(レベルB)

クラス IIa1.胸部症状を認めるすべての患者で12誘導心電図を記録する.(レベルC)2.急性冠症候群が疑われる患者に病院収容前に救急車内で12誘導心電図を記録する.(レベルB)3.12誘導心電図で診断できない場合に急性後壁梗塞を除外するために背側部誘導(V7-9誘導)を記録する.(レベルB)

1)心電図検査の意義 急性冠症候群では発症早期の的確な診断が重要である.各種画像診断が飛躍的に進歩した現在においても,心電図は非侵襲的で普遍性のある簡便な検査法であり診断の基本であることに変わりはない.心電図は診断のみならず重症度評価,治療方針の決定に中心的役割を担い,また予後予測に重要な情報を提供する1).ただし,心電図に異常がないという理由で急性冠症候群の可能性を否定することはできない.1枚の心電図診断には限界がある.診断には来院時の心電図所見とその推移が重要である.発症から極めて早期の場合には,胸痛があっても心電図変化がまだ出現していない場合や,非発作時には心電図が正常な場合も少なくない10).したがって,本症が

疑われる場合は一回の心電図検査だけで判断せず,15~30分程度の間隔で,時間を置いて繰り返し記録すること,比較することが重要である.ニトログリセリン投与前後の心電図を比較するのも有用である.また,その患者の以前に記録された心電図が入手可能な場合,比較することによって診断の精度は大きく上昇する.一見,心電図に異常がないようでも以前の心電図と比べると変化を認めたり,受診時の精神的緊張や検査室への歩行など軽度の負荷で陰転したT波が陽転化し,正常と間違われることもある.またプレホスピタルでの12誘導心電図の記録は,現場および病院内でのより早い診断・治療を可能にする.また,病院到着時には既に症状が軽減あるいは消失している例もあり,救急外来の心電図と比較することで診断精度はより向上する. 実際には,急性冠症候群を疑わせる胸痛を有する患者が来院した場合は,ただちに12誘導心電図を記録し,ST-T変化,Q波あるいは陰性U波の有無をチェックする.隣接する2誘導以上における0.1mV以上のST上昇は,通常ST上昇型心筋梗塞を示唆する所見であり,再灌流療法の適応を検討する.ST部分の低下が認められる患者では,不安定狭心症か,あるいは非ST上昇型心筋梗塞の可能性が考えられるが,最終的に両者の鑑別は,心筋障害の生化学的マーカーが検出されるか否かによる.Ⅲ誘導における孤立性のQ波やV1・V2誘導におけるQSパターンは正常例でも認められ,他の所見を参考にする必要がある.ただし,胸痛を訴えている患者の心電図所見が完全に正常であっても急性冠症候群の可能性を否定はできない.そのような患者の1~6%は急性心筋梗塞(定義上,非ST上昇型心筋梗塞)であり,4%以上が不安定狭心症であることが報告されている.2)心筋虚血の心電図所見①ST変化 ST変化は心筋虚血の心電図変化の中で最も重要な所見である.非貫璧性(心内膜下)虚血の場合はST下降を,貫壁性虚血の場合はST上昇と対側の誘導でST下降(対側性変化:reciprocal change)を認める.◆ST上昇 ST上昇の存在は再灌流療法の施行を決定する重要な所見である.12誘導心電図でST上昇を認めない場合に見逃してならないのが左回旋枝閉塞による純後壁梗塞である.12誘導心電図では左室後壁に面する誘導がないため後壁梗塞の診断が難しい.12誘導心電図に加え,背側部誘導(V7-9誘導:V7-9誘導はV4誘導と同じ高さで,V7誘導は後腋下線との交点,V8誘導は左肩甲骨中線との交点,V9誘導は脊椎左縁との交点に付ける)

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

を記録することで左室後壁の虚血診断が可能となる2)

(図1).正常では背側部誘導で1mm以上のST上昇を認めるのは1%以下とされている3).急性心筋梗塞患者の約3~4%は背側部誘導でのみST上昇を認めるとされ,背側部誘導のST上昇を認めればST上昇型急性心筋梗塞症として再灌流療法の適応となる4).診断,治療を誤らないためにも背側部誘導の記録が推奨される.◆ST下降 入院時ST下降は,その程度がたとえ軽度(0.05mV)であっても予後不良の強力な予測因子とされている5)-11).一般的に,ST下降は虚血責任冠動脈にかかわらずV4-6誘導を中心に認めるため,ST上昇とは異なりST下降から虚血の部位診断をするのは難しい.しかし,ST下降が高度なほど,ST下降を認める誘導数が多いほど,高度な虚血を反映し予後は不良である.このようなハイリスク例では早期侵襲的治療を選択することによる予後改善効果が大きいことが示されている7),8).また.症状出現9) や薬物治療開始後10) 6時間以上経過してもST下降が遷延する例は重症冠動脈病変が高率で予後不良であると報告されている.ST下降の有無だけでなく,その程度・範囲・時間的な変化も考慮することでさらなるリスク評価が可能となる. “非ST上昇型”急性冠症候群の定義は,心電図でST上昇を認めないことである.しかし,これにはaVR誘導が考慮されていない.左主幹部や多枝病変の重症冠動脈病変例の診断には,aVR誘導のST上昇が有用で,

aVR誘導のST上昇は他の誘導のST下降よりも強力な予後不良の予測因子であることが報告されている12)-18).aVR誘導は右肩の方向から左室内腔を覗き込む誘導であり,左室心内膜側の非貫壁性虚血を反映する19)(図2)20).左主幹部や多枝病変例では左室心内膜側に広範に虚血を生じ,これは12誘導心電図には広範なST下降として反映される一方で,aVR誘導には直接ST上昇として反映される(図3).心電図は,aVR誘導を除いた11誘導で診断されることが多いが,aVR誘導も含めた“12誘導”で診断することにより,その有用性を最大限に発揮できる. 前胸部誘導でST下降を認める場合に,それが対側性変化によるもので実際にはST上昇型急性心筋梗塞症のことがあり注意を要する.急性下壁梗塞で肢誘導が低電位な例では,II,III,aVF誘導のST上昇が軽微で見落とされやすく,むしろ対側性変化としての前胸部誘導でのST下降が目立つことがある.また純後壁梗塞の場合は12誘導心電図ではST上昇は認めず,対側性変化としての前胸部誘導のST下降しか認めない.心内膜下虚血によるST下降は前述のようにV4-6誘導を中心に認めるが,このような対側性変化としてのST下降はV2-3誘導を中心に認めるので,このST下降パターンの違いが両者の鑑別に役立つ21),22).②T波の変化 T波の変化は重要である.左右対称性のT波の増高,尖鋭化(hyperacute T wave)は急性心筋梗塞の初期変化

図1 背側部誘導(V7-9誘導)

V7-9誘導はV4誘導と同じ高さで,V7誘導は後腋下線との交点,V8誘導は左肩甲骨中線との交点,V9誘導は脊椎左縁との交点につける.(文献2:Am J Cardiol 1999; 83: 323より改変引用)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

でもあり,経時的に心電図を取りながら典型的心筋梗塞の心電図へ変化して行くか否かを観察する.同様の変化は冠攣縮性狭心症でも認められる場合があり,鑑別を要する.陰性T波は急性冠症候群においてはしばしば認められる所見であり,心筋虚血領域の再分極の異常を反映していると考えられている.Haniesらは,不安定狭心症において新たに陰性T波が出現した場合は,重症冠動脈狭窄病変が存在すると報告している23),24).陰性T波を認める例の予後はST下降を認める例に比べ良好とされているが25),陰性T波を広範に6誘導以上で認める例は予後不良であることが報告されている11),26).一般的に貫壁性虚血発作ではSTが上昇した誘導で陰性T波が出現するので27),陰性T波からも虚血部位を診断できる. 前胸部誘導の陰性T波:不安定狭心症患者で前胸部誘導に陰性T波を認める例は左前下行枝病変が高率で,特に陰性T波が持続する例では冠インターベンション後に左室前壁の壁運動異常が改善することが報告されてお

り,気絶心筋や交感神経の除神経との関連が示唆されている28),29). 鑑別すべき疾患:前胸部誘導で陰性T波を認める場合に,治療方針を決定する上でも鑑別すべき重要な疾患として,急性肺塞栓症とたこつぼ型心筋症があげられる.下記に3者の代表例の心電図を提示し概説するが,陰性T波の違いを明らかにするために肢誘導をCabrera sequence にした場合の心電図も示した19),27).Cabrera sequence(図2)にすると肢誘導は心臓に面する順に配列し直され,陰性T波が各疾患の病態を反映し異なる分布を示していることが理解でき鑑別診断に役立つ.◇左前下行枝病変の急性冠症候群:陰性T波の分布は左前下行枝の灌流域を反映し,前胸部誘導では前壁中隔に面するV2-4誘導を中心に,肢誘導では側壁誘導を中心に認める30)(図4).◇急性肺塞栓症:右心負荷による心電図異常を示すのは重症例に限られ,その頻度は少ない.しかし心電図異常

図2 肢誘導と心臓の位置関係

(文献20:Heart 2000; 83: 657より改変引用)肢誘導は,aVL誘導,Ⅰ誘導,-aVR誘導,Ⅱ誘導,aVF誘導,Ⅲ誘導の順(Cabrera sequence)に配列し直すと心臓との位置関係を反映し理解しやすくなる19). aVL誘導は上位側壁,Ⅰ誘導は下位側壁,Ⅱ誘導は左側寄りの下壁,Ⅲ誘導は右側寄りの下壁に面する.aVR誘導は上下反転させると,Ⅰ誘導とⅡ誘導との間,つまり左室心尖部領域に面する誘導

(-aVR誘導)となる.aVR誘導は心臓と特殊な位置関係にあり,非ST上昇型急性冠症候群の場合には右肩の方向から左室内腔を覗き込む誘導であり,左室心内膜側の虚血を反映するとされている.

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を示す場合には重症例であり,軽度の心電図異常でも見落さないように注意する.急性肺塞栓症の心電図所見として,洞性頻脈,右脚ブロック,右軸偏位,肺性P波,S1Q3T3パターン,低電位,時計方向回転などが知られているが31),32),最も高率かつ長期間にわたり認める心電図異常は前胸部誘導の陰性T波である.陰性T波は急激な右室圧負荷と体血圧低下による右室の貫壁性虚血後の変化と推測される.急激な右室圧負荷により右室は心尖部が挙上するような形で左方へと拡張し,陰性T波を認める誘導に反映される.右室拡張が高度になるほど,陰性T波の分布は前胸部誘導ではV1誘導からV6誘導の方

向に,肢誘導では III誘導→aVF誘導→ II誘導の方向へと及ぶ33).急性肺塞栓症では,陰性T波を右室下面に面する III誘導と右室前面に面するV1誘導で高率に認めるのが特徴である34)(図5).◇たこつぼ型心筋症:心電図は,心尖部を中心とした壁運動異常を反映し,心尖部領域に面する-aVR誘導を中心に変化する30),35).急性前壁梗塞でも再灌流後にはST上昇を認めた前胸部誘導を中心に陰性T波を認める.しかし,たこつぼ型心筋症のほうがQT延長を伴った深い陰性T波を,心尖部さらには前壁,下壁に面する誘導で広範に認め,1本の冠動脈の支配領域では説明できないことが多い.-aVR誘導の陰性T波は,12誘導心電図では対側性変化としてaVR誘導の陽性T波として反映され,たこつぼ型心筋症の特徴的な所見である.また一方で,心室中隔上部・右室前面に面するV1誘導では急性期に陰性T波を認めないことが多い30)(図6).③QRS波の変化 心筋虚血によりPurkinje線維,Purkinje・筋接合部,心室筋線維の伝導速度は遅くなり,12誘導心電図にはQRS幅の延長として反映される.QRS幅の延長は,ST偏位よりも鋭敏な心筋虚血の指標であり36),37),左主幹部や多枝病変の重症冠動脈病変例の診断にも有用であると報告されている38)(図3).④U波の変化 陰性U波は虚血発作時や運動負荷試験時にしばしば認め,高度虚血の存在を示唆する39).陰性U波は,実験的には虚血部位に面した誘導で出現するとされ,虚血部位の診断に有用である.しかし,U波はT波に続く小さな波であるために実際に認識できる頻度が高いのは前胸部誘導であり,V3-5誘導を中心に認める陰性U波は左前下行枝病変による高度虚血を示唆する(図7).ただし,陰性U波は高血圧,大動脈弁閉鎖不全症,心房中隔欠損症,心筋症など様々な疾患でも認めるため,病歴や臨床所見などを考慮し診断する必要がある.また後壁虚血による陰性U波は,対側性変化として前胸部誘導(V2-4誘導)に陽性U波の増高として反映される40).

■心電図で心筋虚血の診断が難しい場合 心電図のST-T部分は心筋虚血だけでなく,心肥大,心室内伝導障害,心筋疾患,電解質異常,ジギタリスなどの薬剤使用,自律神経緊張など様々な病態で変化を認める.これらの変化と心筋虚血との鑑別はしばしば困難であり,虚血に由来するかどうかの診断は病歴や臨床所見,他の検査結果等とあわせて評価する.また以前の心電図との比較や時間経過による変化をみることで診断精

図3 重症3枝病変例の心電図

入院時心電図では,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導およびV2-6誘導で広範にST下降を認め,aVR誘導でST上昇を認める.またQRS幅の延長を認める.冠動脈造影検査では,右冠動脈近位部の完全閉塞,左前下行枝近位部の90%狭窄,左回旋枝近位部の75%狭窄を認めた.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

図4 急性冠症候群の心電図

左前下行枝近位部に90%狭窄を認めた急性冠症候群の心電図.陰性T波は,前胸部誘導ではV2-4誘導を中心に,肢誘導では上位側壁に面するaVL誘導で認める.陰性T波の分布は,虚血責任血管である左前下行枝の灌流域を反映すると考えられる.

図5 急性肺塞栓症の心電図

右心不全を合併した重症急性肺塞栓症の心電図.陰性T波は,前胸部誘導ではV1-3誘導を中心にV4誘導まで認める.肢誘導の陰性T波は,通常の配列だと連続性がなく分かりにくいが,Cabrera sequenceにするとⅢ誘導を中心に,aVF,Ⅱ誘導の下壁誘導で認めることが分かる。陰性T波を広範に認めるほど,右室拡張が高度であったと考えられる.

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図6 たこつぼ型心筋症の心電図

発症2日後のたこつぼ型心筋症の心電図.QT延長を伴った深い陰性T波を広範に認める.陰性T波は,前胸部誘導ではV2-6誘導で認めるが,V1誘導には認めない.肢誘導では,通常の配列だと分かりにくいが,Cabrera sequenceにするとaVL誘導以外のすべての誘導で認めていることが分かる(aVR誘導の陽性T波は,上下を反転させると-aVR誘導の陰性T波になる).陰性T波の分布と壁運動異常の拡がりとの関連が示唆される.

図7 前胸部誘導の陰性U波

左前下行枝近位部に高度狭窄を有する例の発作時(左)と症状消失後(右)の心電図.発作時にV3-6誘導で陰性U波(図中矢印)を認める.

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度は向上する. 急性心筋梗塞患者のうち,約7%が新規左脚ブロックを呈すると言われている.しかし,もともと脚ブロックを呈している例や心室ペーシング植込み患者が心筋梗塞を併発した場合には,ST-T変化を含めた心電図診断が困難なことが多い.また左脚ブロックを呈する急性心筋梗塞患者の約半数は,胸痛を認めないとの問題も報告されており,診断が困難な場合も少なくない41).このため,このような心電図異常が認められる場合には,急性心筋梗塞を念頭に置きつつ,臨床症状や心筋逸脱酵素の経時的変化をあわせて総合的に診断することが必要である.

③運動負荷心電図検査

クラスⅠ1.治療により症状が安定し運動負荷が可能な患者で,運動負荷心電図検査を行う(負荷前よりST変化のあるもの,左脚ブロック,左室肥大,早期興奮症候群,ジギタリス投与時,ペーシング調律の患者を除く).(レベルC)

クラスⅢ1.病状が安定していない時期に運動負荷心電図検査を行う.(レベルA)

 運動負荷心電図検査の適応には制限があり,運動負荷が可能で,検査により心筋虚血の判定が可能であることを確認する必要がある.安静時心電図所見(0.1mV以上のST下降,完全左脚ブロック,早期興奮(WPW)症候群,心室ペーシングなど)や投与中の薬剤(特にジギタリス)の影響で判定が難しい場合には運動負荷心電図以外の検査法を考慮する.また,すべての運動負荷試験は急性冠症候群が安定した後に行われるべきである.検査を行う際には必ず病状が安定していて症状がないこと,また検査前の心電図に新たな虚血性変化がないこと(急性冠症候群では無症候性虚血発作を起こしている例もあるため)を確認する必要がある.近年のAHAのガイドラインでは,低リスクあるいは中等度リスクの患者においては,運動負荷試験が適応となる場合があるとされているが,我が国では早期に冠動脈造影あるいは冠動脈CTを施行されることが多く,必ずしも実情にそぐわないと考えられる.同症を疑う症例に対する運動負荷心電図検査の適応については他の診断法の可否など施設の特性も含めて検討した上で慎重に判断すべきである42)-44).早期侵襲的治療が選択された場合の運動負荷心電図検査の意義は主として,急性冠症候群責任病変治療後の残存虚血評価となる.多枝疾患において,PCIの標的病変を

適切に選択することは予後に影響を及ぼすと報告されており,急性冠症候群責任病変治療後の残存虚血評価は重要である.虚血評価に基づいて急性冠症候群責任病変以外の残存病変に対して,PCIあるいはCABGの適応を検討することが重要である45).

2 心エコー図検査クラスⅠ1.急性冠症候群の患者に心エコー図検査を行う.(レベルB)2.治療により安定した急性冠症候群の患者で,心電図による評価が困難な患者に運動負荷あるいは薬剤負荷心エコー図検査を行う.(レベルB)

クラスⅡa1.胸部症状が存在するとき,心電図で異常が明らかでない急性冠症候群の疑いのある患者に心エコー図検査を行う.(レベルB)2.急性冠症候群が明らかで冠動脈造影と左室造影を行う予定がない患者において左室機能を評価するために心エコー図検査を行う.(レベルB)

 胸痛を訴え,救急外来を受診する患者の診断とリスクの層別化にベッドサイドの心エコー図検査は有用である.心エコー図検査は胸痛患者の診療において救急室で繰り返し施行でき,しかもその場で診断できる利点がある.心エコー図検査を用いた急性冠症候群の診断として,1)責任冠動脈病変の診断,2)心筋虚血範囲と程度の同定,3)左室機能の評価が可能である.また,心筋虚血以外の胸痛疾患,すなわち1)急性解離性大動脈瘤,2)急性肺血栓塞栓症,3)心外膜炎,4)大動脈弁狭窄症,5)肥大型心筋症などの鑑別にも非常に有益である.

①心エコー図法を用いた胸痛患者のトリアージ

 急性冠症候群では冠動脈病変の著しい狭窄のため胸部症状(胸痛,胸部絞扼感など),心電図変化が出現する.注意深い病歴の聴取および心電図の経時的変化により診断がつけられることが多いが,病歴や心電図変化が明らかでない場合には,胸部症状の出現時に心エコー図検査により左室壁運動異常が観察され,かつ胸部症状が改善した後に壁運動異常が消失するような可逆的変化をとらえられれば急性心筋虚血と診断できる.その壁運動異常の出現部位や範囲から責任冠動脈の推察が可能である46),50).Horowitzらの心エコー図検査を用いた胸痛患者の研究では,臨床的に心筋梗塞と診断し得た患者群において左室局所壁運動異常から見た診断感度は94%,

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

特異度84%であったが,発症早期の心電図では45%,血液マーカ(CK-MB)では52%であったと報告している51).またSabia らは胸痛患者において明らかな壁運動異常を認めない群では入院率,入院期間および入院費をそれぞれ32%,23%,24%減少させたと報告している52).さらに持続する胸痛を訴え心電図変化が典型的でない患者の鑑別として左室壁運動スコア(wall motion score index: WMSI)を算出して評価することができる. WMSIが1.7を超える症例では心筋灌流異常が20%以上であり,再還流療法後に左室収縮運動が改善しても心筋梗塞再発作,心不全,重篤な不整脈などの合併症が高率であることが報告されている53)-55).不安定狭心症で入院した患者に対する72時間以内の心エコー図検査において,左室壁運動スコア(WMSI).駆出率.僧帽弁逆流を指標に用い.この3指標が一定の基準を上回り正常と判断されれば.入院中の心事故発症率は陰性予測値が100%と判断できると報告されている56).

②負荷心エコー図法

 胸痛患者の鑑別方法として救急室での数時間の観察期間後に,運動負荷心エコー図法46),57)-60)やドブタミン61)

およびジピリダモール62)負荷心エコー図法を用いたアルゴリズムの有用性が報告されている.Gibler らは運動負荷心エコー図を用いたアルゴリズムにより救急室を受診した患者の82.1%が安全に帰宅し得たと報告している57).またBholasingh らは救急室を受診した低リスク胸痛患者で,心電図変化が典型的でなくトロポニンT陰性患者を対象にドブタミン負荷心エコーの有用性を検討し,ドブタミン負荷心エコー陰性症例では有意にその後の心血管イベント発生率が低いことを報告している61). いずれの報告においても救急室での負荷心エコー図法の簡便さ,安全性そして非常に高い陰性適中率が示されている49),57)-65).さらにContiらは救急室での負荷心エコー図検査は負荷心筋シンチグラフィーと同等の予後診断能であることを報告している59).救急室を受診する患者で,すでに冠動脈病変を有し負荷心エコー図検査陽性の場合はCCUに入院させることが必要である.この負荷心エコー図法を用いたアルゴリズムに関しては,3か国,6施設で500名以上の患者を用いたSPEEDトライアルにおいて,救急室における負荷心エコー図法の陰性適中率は99%でありその安全性と有用性が証明されている62).

③心筋コントラストエコー図法

 心筋梗塞に陥った領域は心筋細胞とともに冠微小循環系も障害を受け,心筋血流が減少する.これは主に,冠

血管床の減少による心筋血液量の低下によるものであり,心筋コントラストエコー法を用いることにより心筋染影性の低下あるいはコントラスト欠損として描出される66).Kangらは心電図上,明らかなST上昇や異常Q波を伴わない労作性もしくは安静時胸痛を訴える患者に心筋コントラストエコー法を用いた急性心筋梗塞の診断感度は93%,特異度63%であり,不安定狭心症の診断感度は59%特異度96%と報告している.彼らの検討では急性冠症候群の診断として心筋コントラスト法は心電図,トロポニンあるいは左室壁運動異常のみを用いた場合よりすぐれていた67).またTongらは救急室での心筋コントラストエコー法は,胸痛患者においてバイオマーカーの異常が検出されるより早く,短期および長期予後の推定に有用であることを報告している68).

④ 虚血メモリー(Diastolic stunning)を用いた胸痛診断

 近年,虚血発作後に心筋内に虚血メモリーが遷延することが報告されている.Dilsizianらは心筋脂肪酸代謝トレーサであるBMIPP心筋シンチ検査を用い,運動負荷後に左室虚血部位の脂肪酸代謝異常が30時間以上にわたり持続していることを報告し69),Ishiiらは冠攣縮性狭心症患者において,胸痛発作回復後も拡張運動遅延が遷延することを報告している70).このように一過性の心筋虚血後に収縮運動が回復後も持続する拡張機能障害がdiastolic stunningであり,虚血メモリーの機序と考えられている.また心エコー技術の進歩により組織ドプラ法71)や2次元および3次元スペックル・トラッキング法を用いた心筋局所のストレイン評価が可能となり,虚血メモリーの検出がさらに容易になってきている72)-75).Asanumaらは組織ドプラ法を用いた動物実験において再灌流後にpostsystolicthickening が遷延することを報告し虚血メモリーの存在を証明した76).Onishiらは虚血心筋において等容拡張期にpositive myocardial velocityが観察され,これを応用したパラメトリック・イメージが胸痛患者の鑑別に有用であることを報告している77),78).Liangらは2次元スペックル・トラッキング法を用い,冠動脈に70%以上の高度狭窄を有する領域では安静時においても拡張早期の longitudinal strain rateが低下していることを報告している79).また Ishiiらは2次元スペックル・トラッキング法を用い50%以上の有意狭窄領域においてトレッドミル運動負荷10分後においてもdiastolic stunningが観察可能であることを報告し80),さらに虚血が示された病変においては,PCIにて虚血が解除された24時間後もその支配領域でdiastolic stunningが

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

観察されることを報告している81).このように急性冠症候群では責任冠動脈領域において高頻度にdiastolic stunningが検出されることが考えられ,今後スペックル・トラッキング法を用いたdiastolic stunningの検出が急性冠症候群の非侵襲的診断に有用となる可能性が考えられる.

3 核医学検査クラスⅠ1.胸痛で受診した患者で冠動脈疾患の診断がつかない場合にTl-201,Tc-99m安静時心筋血流シンチグラフィによりACSの診断を行う.(レベルB)2.Tl-201,Tc-99m安静時心筋血流シンチグラフィにより梗塞範囲を推定する.(レベルB)3.123I-BMIPPシンチグラフィにより不安定狭心症の診断を行う.(レベルB)

クラスⅡa1.Tl-201,Tc-99m 安静時心筋血流シンチグラフィにより予後予測を行う.(レベルB)2.I-123-BMIPPシンチグラフィにより予後予測を行う.(レベルC)

クラスⅢ1.運動負荷心筋シンチグラフィを急性冠症候群の急性期に行う.(レベルC)

①胸痛症例の診断について

 外来を受診した胸痛を呈する症例をCCUに入院させるべきか否かを決定する際,院内で用時調整が可能で再分布がなく投与後30~60分で撮影が可能なTc-99m標識の血流製剤を用いた安静時心筋血流イメージングの有用性が報告されている82)-96).1)リスク層別化について 急性心筋梗塞あるいは急性冠症候群の早期に施行される心筋イメージングの異常は,他の冠動脈疾患の危険因子とあわせて,リスク層別化の重要な因子である.血行再建や再灌流前後のイメージングにおいても,リスク評価と効果判定の価値が認識されている87)-91).①Tl-201心筋血流イメージング Tl-201による心筋血流イメージングは歴史的にも意義が確立された重要な心筋血流検査法であるが,その放射物理学的な特性(核種のエネルギーの低さ,長い半減期による被曝とそのための投与量の制限)などから,画質の問題,心電図同期SPECTに不向きなどの欠点があり,我が国でも次第にTc-99m心筋血流製剤にとって代わってきている.

②Tc-99m 標識心筋血流イメージング 急性期あるいは救急でTc-99m心筋血流製剤を投与して施行されるリスク心筋のイメージングおよび後日の心筋イメージング再検による救済心筋評価はその有用性が報告されているが,救急外来での利用については実施できる施設の点で限界がある83),92),93).また,心筋血流イメージングで評価された急性心筋梗塞後の最終的な梗塞サイズは,左室駆出分画や壁運動とともに,患者の予後と相関する点でも重要である.Tc-99m製剤は心電図同期法(SPECT)に適しており,その併用により診断能が向上すると報告されている94),95).微小心筋梗塞の診断に際してもトロポニン Iと同等以上の診断結果が得られたと報告されている96).

②心筋血流イメージング以外の検査方法

① Tc-99mピロリン酸を用いた急性心筋梗塞イメージング 本法は心筋細胞膜の破綻によるCaの過負荷とミトコンドリア内Ca沈着の増大の結果ピロリン酸(PYP)が集積して急性心筋梗塞巣を陽性描出する.PYPの集積は梗塞発症後12~16時間から観察され,48~72時間でピークとなり,1~ 2週後陰性化する.画像で検出できるまで時間がかかること,感度,特異度に問題があること,画像の空間分解能も悪いことなどから今日,行われることはほとんどなく,心臓MRIにとって代わられている.② I-123-BMIPP イメージングを用いた脂肪酸代謝イメ

ージング 急性冠症候群の診断 不安定狭心症や急性心筋梗塞急性期では,心筋の生存性や脂肪酸代謝障害の程度により様々なBMIPP集積異常を示す.壊死心筋では代謝活性,生存性ともに消失する.このため,安静時心筋血流とBMIPP集積の一致した高度な欠損や壁運動低下を認める.一方,一定以上の重症な虚血心筋(冬眠心筋)や急性冠症候群の心筋血流の再開通などによる重症虚血解除後の生存心筋(気絶心筋)では安静時心筋血流が維持されるが脂肪酸代謝障害を示すため血流/BMIPP集積乖離を呈する97)-102).血流/BMIPP集積乖離の程度は心筋壊死を規定する心筋虚血の程度と持続時間,残存狭窄,冠側副血行路,治療などの修飾因子により様々である. BMIPPイメージングによる梗塞心筋の診断精度は心筋血流イメージングと同等であるが,非ST上昇型心筋梗塞や不安定狭心症の診断では優っている103)-107).これは,自然再開通や冠攣縮の寛解,治療などにより早期の再灌流を得た場合,壊死は免れるも虚血性心筋脂肪酸

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

代謝障害が残存しているためである97)-102).したがって,急性冠症候群の早期の障害心筋の評価,急性冠症候群回復期の負荷検査困難例,負荷による診断が困難ないし診断精度が低いと予想される際,安静時心筋BMIPPイメージングの有用性は高い108),109). 一過性の壁運動低下を呈している気絶心筋においてBMIPPイメージングの診断的価値は高い.心筋バイアビリティーを認めるが,虚血性心筋脂肪酸代謝障害のため血流─代謝(BMIPP)乖離領域として同定される.脂肪酸集積は数週間から数か月の経過で壁運動とともに回復し,壁運動の改善は血流─代謝乖離所見の改善とよく相関するため,心機能の改善予測も可能である97),100)-104),106),108),118)-114).しかし, 心筋虚血重症度によって心筋BMIPP集積(心筋脂肪酸代謝)は完全には正常化しないこともある115),116).急性心筋梗塞後の予後研究では,血流─BMIPP集積乖離やBMIPP欠損の大きさは心臓死を含む心事故の有意な独立した予後規定因子とされ,心筋梗塞の既往,左室駆出率,女性,加齢,左前下行枝病変とともに相加的にも予後評価上の意義を有している115)-120).

4 冠動脈CTクラス IIa1.中リスク群(心電図変化なし,血液生化学検査陰性)において冠動脈CTを施行する.(レベルB)2.低リスク群(心電図変化なし,血液生化学検査陰性)において冠動脈CTを施行する.(レベルB)

クラス IIb1.胸痛患者において “triple rule out”として冠動脈

CTを施行する.(レベルC)2.高リスク群(心電図変化あり,あるいは血液生化学検査陽性)において冠動脈造影が予定されていない場合に,冠動脈CTを施行する.(レベルC)

クラス III1.高リスク群(心電図変化あり,あるいは血液生化学検査陽性)において冠動脈造影が予定されている場合に冠動脈CTを施行する.(レベルC)

 近年のMDCTの進歩により,64列に代表されるMDCTを用いた冠動脈狭窄の検出能は,著しく向上し,冠動脈造影に匹敵する形態情報が得られるようになった121-124).冠動脈造影での50%以上の狭窄を有意狭窄とすると,冠動脈CTによる冠動脈狭窄の検出における陽性的中率は91~93%121),陰性的中率は95~100%と報告されている121)-123).特に陰性的中率の高さが特徴であり,冠動脈CTで有意狭窄が認められなければ冠動

脈狭窄はほぼ否定される. このような冠動脈CTの狭窄診断の精度の向上を背景として,最近,胸痛患者において冠動脈CTがACSの診断や除外診断に有用と報告されている.The ROMICAT studyでは125),冠動脈疾患の病歴がなく,心電図変化を示さず,トロポニン陰性の低―中等度リスク症例368例(ACSは8%)を対象に64列MDCTの診断精度が検討され,プラークの有無による感度は100%,特異度は54%,50%以上の冠動脈狭窄の診断について感度77%,特異度87%であった.また,急性の胸痛を示した58例を対象としたRubinsteinらの検討では126),冠動脈CTによるACS診断の感度は100%,特異度は92%,15か月間の経過観察におけるMACEに対する感度は92%,特異度は76%と報告されている.さらに,197例の急性の胸痛を訴える,ACS疑いの患者を対象としたGoldsteinらの冠動脈CTと負荷心筋シンチグラムの無作為比較検討では,冠動脈CT群は診断に要した時間が有意に短く,冠動脈造影検査施行頻度が高かったものの総経費は低値であった.ただし,冠動脈CT群では,中等度狭窄の所見や診断に足る画像が得られないために,その24%の患者に追加の負荷心筋シンチグラムを要している127). ACSにおいて冠動脈CTの最も良い適応となるのは,冠動脈疾患や心筋梗塞の既往がなく,心電図変化や血液学的陽性所見のない低―中等度リスク群の患者である.洞調律で腎機能が保たれていれば,冠動脈CTを受けることにより,より侵襲性の高い冠動脈造影検査を回避でき,その恩恵は最も大きい.一方,高リスク群では,冠動脈造影検査を避けられず,冠動脈CTの良い適応とはならない128),129). 胸痛を訴える低―中等度リスク群の患者においては,ACSを含めた冠動脈疾患,大動脈解離,肺血栓塞栓症の3疾患を同時に評価する“triple rule out”の有用性が議論されている130).しかし,現在,最も普及している64列の装置では,“triple rule out”のための撮影プロトコールは,撮影範囲の拡大,時相をずらしての複数回の撮影による被曝線量の増加が問題となる131).低線量被曝を可能とするdual source CT装置を用いても,冠動脈撮影に特化したプロトコールと比較して,病院滞在時間,他の検査の併用なしでの退院率,および急性イベント否定までの時間に差がないとする報告もあり132),さらなる検討が必要である. ただし,冠動脈CTは冠動脈狭窄に関する情報ばかりでなく,プラークの大きさや性状についての重要な情報を提供することに特徴がある.Motoyamaらは,ACS症例に見られる冠動脈プラークの特徴として,positive

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

remodeling(陽性リモデリング), non-calcified plaques(非石灰化プラーク),ならびに spotty calcification(微小石灰化)を挙げている133).さらに,彼らは冠動脈CTを施行した1,059例の検討から,low-attenuationプラークを伴うpositive remodelingを示す冠動脈病変を有する症例が,ACS発症の高リスク症例であることを示した134).冠動脈CTが,その後のACS発症を予測し得る可能性を示したもので,冠動脈CTのACSにおける,さらなる有用性が期待される.

5 核磁気共鳴イメージング(MRI)

心臓MRI

クラス IIb1.急性冠症候群(心電図変化あり,あるいは血液生化学検査陽性)の診断において心臓MRIを施行する.(レベルC)

 心臓MRIは,近年,急速な発展を遂げ,壁運動評価,心筋灌流,および心筋性状の評価において極めて高い有用性を示してきたが,急性冠症候群の診断における十分なエビデンスの蓄積はない. これまでの急性冠症候群における心臓MRIによる診断の報告を見ると,いずれも極めて高い感度(84~100%)と特異度(83~96%)を示し135)-138),シネMRIによる壁運動異常の検出,パーフュージョンMRIによる安静時の心筋灌流の異常,遅延造影MRIによる梗塞巣の有無,T2強調画像を用いた心筋浮腫の有無などの所見を総合的に組み合わせて評価した報告が多い. 心電図変化を伴わない急性冠症候群を疑わせる胸痛で救急外来を受診した161例を対象に心臓MRIによる急性冠症候群の診断能を検討したPleinらの報告では,壁運動異常,灌流欠損および梗塞の有無の評価より,心臓MRIは感度84%,特異度85%と高い診断能を示した137).また,Curyらの報告では,壁運動異常,灌流欠損および梗塞の有無を診断基準に用いる従来の解析に,T2強調画像による心筋浮腫所見を加えた解析を行うと,特異度は84%から96%へ,陽性的中率は55%から85%へ,正診率は84%から93%へと著しく改善する138).さらに,Ramanらの報告では,T2強調画像で心筋浮腫(Area at Riskを表す)が認められる症例は,認められない症例に比して,予後が不良で,発症早期の interventionを必要とする指標となることが示されている.心臓MRI以外の検査では評価できない指標が治療や予後において重要な意味を有することが明らかになるなど,心臓

MRIの急性冠症候群における有用性の可能性を示す報告も認められている139). 現状では,急性の重症疾患の可能性のある患者を制約の多いMRI検査室で検査を行うことへの心理的な躊躇が,この領域での心臓MRI検査が今なお進展しない最大の足かせになっていると思われるが,その潜在的な可能性の高さを考えると,心臓MRIを迅速かつ安全に施行するために十分な物的および人的環境の整備ができれば,心臓MRIが急性冠症候群の診断・管理において,有用な検査となる可能性は高い.

4 血液生化学検査

クラスⅠ1.胸痛または胸部不快感を示す患者の早期リスクの層別化に心筋障害の生化学的マーカーを用いる.(レベルB)2.急性冠症候群を疑う全患者で,生化学的マーカーであるクレアチニンキナーゼ(CKおよびCK-MB)および心筋特異度が高い心筋トロポニン(トロポニンT,トロポニン I)を測定する.(レベルC)3.胸痛発症後6時間以内の測定で生化学的マーカーが陰性の場合も,発症6~12時間後に再度測定する.(レベルC)

クラスⅡa1.胸部症状発症後6時間以内の患者に,心筋トロポニンに加えてミオグロビンも測定する.(レベルC)

クラスⅡb1.C反応性蛋白(CRP)および他の炎症マーカーを診断の補助とする .(レベルB)

 生化学的マーカーについては従来から急性心筋梗塞ではCK(CK-MB),ミオグロビン,GOT,LDHなどの心筋逸脱酵素や心筋構造蛋白が血中に流出することが知られ,広く診断と重症度判定に用いられてきた.一方,不安定狭心症で心筋逸脱酵素の軽度上昇を示す患者は,急性心筋梗塞発症の危険度が高い病態にあると推測されてきたが,心筋特異性の低いこれらのマーカーによる重症度評価はしばしば困難であった.近年,モノクローナル抗体を用いた免疫測定法により心筋組織に特異的なトロポニンT,トロポニン Iの微量レベルでの測定ができるようになり,健常人との鑑別が可能となった140)-142).非ST上昇型急性冠症候群における心筋トロポニン測定の有用性は多施設共同研究で広く検証され,急性冠症候群の診療に関する2000年の「ACC/AHAガイドライン」

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

においても重要な位置を与えられている.心筋トロポニンの正常上限値の設定によりCK-MBが上昇しない程度の微小心筋障害も検出でき,このような病態は不安定狭心症の中の30%を占めるとされる.CK-MBは総CK値との比を考慮すれば心筋障害評価の意義は高く,従来と同様に用いることが可能である.ショック,直流通電などにより骨格筋損傷があると総CK値とともにCK-MBも上昇するが,骨格筋損傷では両者の比は5%を超えない点で鑑別可能である.同様に血中ミオグロビンも骨格筋損傷で増加し心臓特異性は低いが,これが否定できれば,血中ミオグロビンは心筋障害発現後にもっとも迅速に,1時間で上昇を始める.生化学的マーカーを用いた急性冠症候群の評価では,測定が簡便で,かつ迅速に(できれば30分以内)結果が得られることが重要である.この点から,トロポニンTの迅速定性ならびに定量測定法は有用であると考えられ,市販されているキットではベッドサイドで採血後10~12分後に測定結果を得ることができる143). これらの生化学的マーカーによるリスク評価については,心筋トロポニンTおよび Iの上昇と患者の予後との関係が広く検討されていて144)-147),死亡および心筋梗塞の予測因子として有用であり,治療指針の決定にも有効であることが示されている148).胸痛のため救急部門を受診した患者で心電図がST上昇を示さずCK-MB値も正常な患者においても,トロポニン Iの上昇が認められればその上昇の程度に応じ早期死亡率は1.0%から7.5%まで直線的に増加し147),また胸痛に加えて心電図でST-T変化を認め血清CK-MBの上昇を示す患者でも,トロポニンTの上昇が30日予後を予測させる最良の因子であると報告されている149).最近高感度トロポニンT,トロポニンIが測定可能となった150),151).高感度トロポニンの測定はST上昇型心筋梗塞のみならず,非ST上昇型心筋梗塞の早期診断にも有用であることが報告されている152).安定狭心症や不安定狭心症において,通常のトロポニン測定が測定感度以下であっても,高感度トロポニン高値例は予後が悪く,心筋梗塞や死亡も多い153),154).ただし,高感度トロポニンは様々な病態で上昇することが知られている155).今後,急性冠症候群の診断のカットポイントや連続測定の基準値の確立が望まれる.CK-MBも非ST上昇型急性冠症候群の30日および6か月後の死亡率と強い相関が認められている156).新しい心筋マーカーのヒト心臓由来脂肪酸結合タンパク質(H-FABP)は発症2時間以内の心筋障害が診断可能である.一方,血中CRP値は急性炎症をあらわすマーカーであり,不安定狭心症にてCRP 0.3mg/dL以上はそ

れ未満に比べ早期心事故を3倍高率に生じると報告されている.CRPは冠動脈硬化の粥腫不安定化のマーカーとして着目されていて157),不安定狭心症で急性炎症反応の指標が上昇している場合は,無症状であっても不安定性が持続している,あるいは再発しやすいことを示している可能性がある158).

5 観血的検査

1 冠動脈造影と左室造影

① 冠動脈造影

クラスⅠ1.薬物治療に抵抗し心筋虚血発作を繰り返す患者,あるいは初期治療により一旦安定が得られた後に症状が再燃した患者では緊急に冠動脈造影を行う.(レベルB)2.短期リスクの高い不安定狭心症患者では準緊急に冠動脈造影を行う.(レベルB)3.短期リスクが高度~中等度の不安定狭心症患者に初期治療を行い,安定した後に冠動脈造影を行う.(レベルA)4.各種非侵襲的検査により高度な虚血所見や左室機能低下が認められる不安定狭心症患者に冠動脈造影を行う.(レベルB)5.6か月以内にPCIを施行している不安定狭心症患者に冠動脈造影を行う.(レベルB)6.冠動脈バイパス術の既往がある不安定狭心症患者に冠動脈造影を行う.(レベルB)

クラスⅡa1.冠攣縮性狭心症が疑われる患者に冠動脈造影を行う.(レベルC)

クラスⅡb1.短期リスクの低い不安定狭心症で,各種非侵襲的検査でも高度な心筋虚血所見や左室機能低下が認められない患者に冠動脈造影を行う.(レベルC)

クラスⅢ1.反復する胸部不快感があるが心筋虚血の客観的所見に乏しく,過去5年以内の冠動脈造影所見が正常である患者に冠動脈造影を行う.(レベルC)2.冠血行再建の適応がない不安定狭心症患者,あるいは冠血行再建によりQOL,生存期間の向上が見込めない患者に冠動脈造影を行う.(レベルC)3.合併疾患のため冠動脈造影の危険性がその利点を

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

上回る患者に冠動脈造影を行う.(レベルC)

 冠動脈造影の適応を判断するときには,冠動脈造影に伴うリスクとその利点を勘案することが重要で,患者の短期リスクの評価が欠かせない(表3).冠動脈造影を施行することの利点としては,(1)冠動脈病変の重症度に基づき予後を推測し,適切な治療を選択するための重要な情報が得られる,(2)血行再建の実施により予後の改善,抗狭心症薬の減量や入院期間短縮が期待できるなどが挙げられる159).一般的に急性冠症候群が疑われる場合は可能な限り冠動脈造影施行可能な施設に収容すべきである.急性冠症候群において緊急冠動脈造影の適応とされるのは,十分な薬物治療下においても発作を繰り返す患者,新規または増悪した僧帽弁逆流や心不全所見(湿性ラ音,Ⅲ音)を認める患者,不安定な血行動態を呈する患者,危険な不整脈の認められる患者である160)-163).また非侵襲的検査で左心機能低下がある場合や,灌流域の大きな前下行枝病変や多枝病変例などの高リスクが疑われた場合も,早期に冠動脈造影を施行し,血行再建の適応を判断することが重要と考えられる44),47),164). 急性冠症候群に対する治療戦略は冠動脈造影および血行再建の施行時期によって早期侵襲的治療戦略と早期保存的治療戦略(もしくは選択的侵襲的治療戦略)の2通りに分けられる.早期侵襲的戦略では,禁忌がなければ入院した全患者に早期に待機的冠動脈造影を施行し,適応があれば血行再建治療を行う.早期保存的戦略では,臨床的に高リスクと判断されるか,十分な薬物治療によっても心筋虚血発作を繰り返す患者に対してのみ冠動脈造影を施行する.したがって,冠動脈造影施行時期はどのような治療戦略をとるかによって大きく異なる.この治療戦略の優劣については1994年以来15年以上にわたり議論されてきたが165)-174),ステントが積極的に使用される時代となり,早期侵襲的治療群の遠隔期心事故は早期保存的治療群と比べ有意に低率であり,特に重症例ほどその効果が大きいことがほぼ確立された170)-174).また,複数のメタ解析でも早期侵襲的治療の有効性が証明されているが,この戦略をとる場合,初期には血行再建術に伴う心筋梗塞などのリスクが伴うことには注意が必要である24),175)-178).さらに,生化学的マーカー陰性の女性においては,統計的に有意ではないもののむしろ心血管事故が多いという報告もあり,治療選択決定におけるリスク層別化の重要性が強調されている178).一方,低リスク症例や急性冠症候群を否定すべき症例については,冠動脈造影ではなく陰性的中率に優れる冠動脈CT

を行うことも有用な方法である. 我が国で侵襲的治療と保存的治療を無作為に比較した報告はないが,胸痛や心筋虚血が遷延している患者では早期に冠動脈造影を実施する施設が多い.特に広範なST低下所見を呈する患者には,重症多枝病変で早期のCABGを要する症例が含まれており,その適応の確認に冠動脈造影は必須である179). 一般に不安定狭心症の冠動脈造影所見では有意狭窄のないものが10~20%占めるとされている44).また我が国では,欧米に比べて冠攣縮の関与した安静時狭心症が多いといわれているが180),181),冠攣縮は造影上正常に近い部位に生じる場合や器質的狭窄部位に一致して起こる場合があり,造影によってそれを明らかにすることは治療方針決定に役立つ. 冠血行再建術後の患者に狭心症が再発した場合には,早期に積極的に冠動脈造影を施行して再血行再建の要否を確認する必要がある.高リスク患者の生命予後改善のためや,広範囲な虚血心筋を救済するために血行再建術が必要となることが多いためである.CABG後のグラフト疾患はPCIにより良好な拡張が得られることが多く,積極的に冠動脈造影を行うことに意義がある.またバルーン拡張のみによるPCI直後には2~11%で急性冠閉塞が発生し182)-185),ステント留置術後には約1%に亜急性血栓性閉塞が発生するので186),187),このような場合にもPCIを再施行するために緊急冠動脈造影が必要となる.またPCI後9か月以内の狭心症再発は再狭窄の可能性が高く188),189),やはり血行再建術再施行を前提とした冠動脈造影の適応となる.なお,不安定狭心症で初回インターベンション治療を施行した場合には,再狭窄時にも不安定狭心症の病態を呈することが多いと言われている188).冠動脈造影の不利益 冠動脈造影の不利益としては,侵襲的手技による合併症発生,不必要なPCIの増加,それに伴う医療費の増大などが挙げられる.一般に冠動脈造影の合併症としての死亡率は0.2%以下で,脳血管障害,心筋梗塞,出血などの合併症は0.5%以下とされている190).我が国での心筋梗塞患者を対象としたカテーテル関連合併症に関する厚生省長寿科学研究事業研究班の調査では,冠動脈造影検査に伴う合併症は60歳未満では5.4%,70歳以上では9.1%に出現している191).特に脳塞栓,脳出血といった重篤な合併症は老年者に認められ,また血栓溶解療法による出血性合併症も明らかに高齢者で多かったとしている.したがって事前に脳血管障害あるいは重症高血圧の既往の有無を確認することが重要である.また,高齢者

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

では皮膚や皮下組織が脆弱であり,カテーテル検査を行うときには,穿刺部血腫や仮性動脈瘤などの血管損傷を生じやすいので注意を要する.十分な病歴の把握と身体所見からカテーテル手技を安全に行い得るかを判断し,慎重に冠動脈造影の適応を決定する.その他,熱性疾患の合併,血液凝固線溶系の異常,重篤な造影剤アレルギー,高度の腎機能障害,高度の閉塞性動脈硬化症などは一般にカテーテル検査の禁忌であり,このような患者には原則として緊急冠動脈造影は避けるべきである.

②左室造影

クラスⅡa1.非観血的検査により左室機能が評価できない患者に左室造影を行う.(レベルC)2.左室収縮能の評価が必要な患者に,冠動脈造影とともに左室造影を行う.(レベルC)

クラスⅢ1.腎機能低下などの合併疾患があり,左室造影により得られる情報よりも危険性の方が上回ると考えられる患者に左室造影を行う.(レベルC)

 虚血性心疾患においては冠動脈病変枝数と左室機能は長期予後に影響する重要な要因である192),193).左室造影では左室容積,駆出率,左室局所壁運動などの情報を得ることができる.局所壁運動の定量的解析手段としてはセンターライン法が普及しており194),195),壁運動が残存していることは生存心筋の証明となる. 従来より左室造影は左室収縮能評価法の標準的検査法として施行されてきた.左室造影の利点としては,心エコー図検査と異なり,ほとんどすべての患者で再現性の高い良好な画像を記録できることが挙げられる.明らかな根拠はないが,左室造影による合併症の危険性が低いと予想される場合には,冠動脈造影に伴って左室造影を施行してもよいと思われる.不明瞭な心エコー図画像しか得られない患者においては左室造影が有用である.

2 血管内エコー法,血管内視鏡,光干渉断層法

①血管内エコー法(IVUS)

 血管内エコー法(IVUS)は,従来の冠動脈造影法による形態的評価と異なり,血管内腔面積,血管総断面積や粥腫面積の定量的評価が可能な唯一の検査法である.また,冠動脈造影では評価できない石灰化病変の描出や血管リモデリングの検出にも優れている.したがって,

急性冠症候群の発生機序とされる粥腫の亀裂や解離等の形態的評価やPCI後の血管壁,内腔拡張状態の評価には役立つと思われる.また,急性冠症候群患者の治療戦略やPCIの終止点の決定にも冠動脈造影以上に有益な情報が得られる.しかし,大規模試験の成績では,IVUSの併用によりPCI後再狭窄が減少したとする報告ばかりでなく,非併用群と差がないとする報告も認められ,意見の一致が見られていなかったが,ベアメタルステント(BMS)時代におけるルチーンでの IVUS併用群と非併用群のPCIを比較した大規模試験のメタ解析が近年発表され,IVUS併用群では,6か月間の造影上の再狭窄や12か月間の再血行再建術および主要心血管事故の発症率は減少させるものの,長期的な死亡率や心筋梗塞の発症に有意差を認めなかった196)-198).現在,薬剤溶出性ステント(DES)時代に入り,待機的なPCIにおいては,IVUS併用にてステントの密着や適切なデバイスの選択および拡張ができるようなり,短期的な再狭窄や再血行再建術の必要性は減少傾向にあり,特に分岐部病変においては,長期的な予後改善の報告もある199),200).またIVUSの使用によりPCI手技中のNo Reflow現象を余地することができるとの報告もある201).一方で,ルーチンでの IVUS併用にいまだ意見の一致が見られておらず,特に急性冠症候群に対してルーチンでの IVUS併用によるPCIは,DES時代においても,長期的な死亡率や心臓血管イベントを減少させたという報告はなく202),さらに IUVSを急性冠症候群の診断目的だけに施行することの有用性は証明されていない.急性冠症候群における IVUSの有用性について今後の検討が必要である.

②血管内視鏡

 冠動脈内腔壁の形態や色調を直接観察することは,急性冠症候群の病態解明や治療戦略の選択に有益な情報が得られ,治療成績の向上が図れると期待される203).特に血栓や粥腫の診断においては,本法による色調からの分類が有用である.血栓は赤血球主体の赤色血栓,血小板主体の白色血栓,その混合である混合血栓に分類され,治療戦略をたてる上での有力な情報がもたらされる204).一方粥腫(プラーク)は,線維性被膜が薄く脂質コアの多い黄色プラークと線維性被膜が厚く脂質コアの少ない白色プラークに分類され,冠動脈硬化の進行程度や破裂しやすいプラーク(不安定プラーク)の推測がある程度可能とされる205).しかし現時点では,冠動脈内視鏡を急性冠症候群の診断目的に施行することの有用性は証明されていない.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

③光干渉断層法(OCT)

 急性冠症候群の責任病変となり得るプラークは,一般的に不安定プラーク(vulnerable plaque)と呼ばれるが,その診断には内腔の狭窄度やプラークのサイズのみならず,組織の性状や線維性被膜の厚さなどの詳細な検討が必要である.また,DES時代に入り,ステントの晩期ステント血栓症が懸念されるため,ステントと内膜との適切な圧着(apposition)やステント留置時の解離などの評価も適切に行わなければならない.近年,近赤外線を用いて冠動脈内を観察することができる光干渉断層法(Optical coherence tomography: OCT)が臨床応用され,約10μmという高解像度を有し(IVUSの約10倍),不安定プラークの組織学的診断や,適切なステント留置の評価に有用性を認めている.65μm未満の薄い線維性被膜を有し,内部に豊富な脂質成分を含んだ動脈硬化巣は,不安定プラークの中でも破裂しやすく急性冠症候群に移行しやすいと言われている.そのような危険性の高い薄い線維性被膜で覆われた動脈硬化巣はThin-cap fibroatheroma(TCFA)と呼ばれている206).また,急性冠症候群における不安定プラークは,責任病変に局在するものではなく,その他の冠動脈にも多数認められることがOCTで確認されている207),208).さらに,高解像度を有するOCTでは,薄い線維性被膜の計測や脂質プラークの評価も可能であり,TCFAを確認することにより急性冠症候群発症の予測ならびに,スタチンを含む治療効果の判定にも有用であることが報告されている209).しかし,近赤外線の深部到達度が低いことや,病変の観察のために赤血球を除去する必要性があることなど,多くの問題点もかかえており,急性冠症候群の組織学的診断には優れるものの,臨床上の問題点がまだ多く存在する.また,現在のところPCI時に,OCTのルーチン使用で長期的な予後や心血管イベントの減少を証明した報告はない. 次世代のOCTでは,近赤外線の到達度が改善され,また,赤血球排除のためのバルーン閉塞も必要でなくなるなど利便性や空間分解能も向上するため,今後さらなる臨床応用が期待される.

④冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve: FFR)

 FFRは冠動脈狭窄の機能的重症度指標としてその有用性が認められている210),211).冠動脈造影時にリアルタイムに冠動脈の各枝・病変ごとの機能的重症度の判定ができることに最大のメリットがある.最近の前向き試験ではFFRの結果に基づく治療方針の決定が予後を改善す

ることが報告されている45),212).近年,我が国でも虚血性心疾患も重症化が進み,ACSにおいても多枝に複数にわたる病変を有する患者が多く,冠動脈造影時に責任血管の同定や,非責任血管の機能的狭窄度の判断に苦慮することもまれでない.ACSの冠動脈造影時の責任血管/責任病変の同定あるいは非責任血管に存在する病変の機能的重症度評価はACSの管理において極めて重要である.ACS急性期の非侵襲的負荷検査による虚血評価は過小評価する傾向にあり,精度の高い虚血評価が必要とされる.現状では十分なエビデンスはそろっていないが,責任冠動脈病変への再灌流治療に引き続いて行う非責任血管・病変のFFRによる虚血評価の有用性が報告されている213).

6 リスク評価と院内および短期予後

 病歴,身体所見や種々の検査所見から,リスクを評価し,院内および短期の予後を推測することができる.院内および短期予後のリスク評価を考える場合に,共通する部分も少なくないが,原則として,予後ハイリスク患者の評価に関しては,院内予後を対象とし,短期予後については退院時から,1年後までの予後とした.

1 院内予後ハイリスク患者

①病歴と身体所見

 病歴や身体所見は非特異的な指標ではあるが,重要な情報を提供する.病歴では,高齢者(65歳以上)214),糖尿病の既往215),216),腎機能障害217),心筋梗塞後狭心症,末梢動脈疾患の既往218),脳血管疾患の既往193),心筋梗塞の既往,冠動脈バイパス術歴,アスピリン服用歴などがハイリスク要因として挙げられる.アスピリン服用歴がハイリスクとされるのは,抗血小板療法を行っていても,なお急性冠症候群を発症するという点で,より重症化した症例として,捉えているためである.症状については,不安定狭心症のBraunwald分類がリスク評価に有用である160).クラスⅡおよびⅢ(急性あるいは亜急性),クラスB(一次性不安定狭心症),クラスC(梗塞後狭心症)などが,中等度~高リスクである.身体所見として,血圧低下219),220)や頻脈,徐脈などの所見や心不全症状220),221)も高リスクである.一過性のギャロップ音,心不全を示唆する湿性ラ音,新規出現の僧帽弁逆流音は虚血に伴う心機能低下を示唆し,予後不良である219).

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

②心電図変化

 心電図で,ハイリスクとされる所見として,以下の所見が挙げられる.  新たなST偏位(0.05mV以上)  0.3mV以上のT波の陰転  左脚ブロックの出現  持続性心室頻拍 さらに,aVR誘導でのST上昇やQRS幅の延長も,予後不良とされる左主幹部病変や3枝疾患と関連していると報告されており,注意する必要がある17),222).また,受診時の心電図だけでなく,入院患者での心電図連続モニターでの,1分以上持続する1mmを超えるST低下も心血管死を含む再発性の虚血と関連すると報告されている223),224).

③血液生化学検査

 急性冠症候群のリスク評価と予後予測のための血液生化学マーカーとして,心筋障害あるいは心筋壊死のマーカー,炎症のマーカー,心筋ストレスのマーカー,さらに,血糖値,腎機能などがある. 心筋障害あるいは心筋壊死のマーカーとしては,従来から,トロポニンTやトロポニン Iが用いられてきており,30日時点での心筋梗塞や死亡の予測因子とされ,また1年以後の予後とも関連している.トロポニンの上昇を認めれば,心筋壊死のマーカーであるCKMBの上昇を認めなくても,予後は不良である.最近,より感度の高い検査(高感度トロポニンTや高感度トロポニン Iも開発され,急性冠症候群の早期診断に加え,予後予測因子としての有用性も報告されている150),154).高感度トロポニンTについては,従来のトロポニンTに比べ,予後の予測因子として,良好であることが報告されており150),また,高感度トロポニン Iについては,その値が0.04μg以上であれば,30日時点での死亡あるいは心筋梗塞のハイリスクとなるとされている154).その他の心筋障害マーカーとして,心臓型脂肪酸結合タンパク(H-FABP)がある.H-FABPは急性冠症候群の診断に使用されることが多いが225),予後規定因子としての有用性も報告されている226).炎症のマーカーは不安定プラークを反映するマーカーでもあり,高感度CRPがある227),228).CRPが陽性であれば,トロポニンが陰性でも,短期および長期予後が不良である229).心筋ストレスのマーカーとしてはBNPやNT-pro BNPが有用である227),228),230),231).心筋虚血や併存する左心機能低下がBNPあるいはNT-Pro BNPの上昇をもたらし,生命予後

予測因子として,有用である.ただ,測定のタイミングが重要であり,入院時よりも,数日後の値の方が予後予測に有用であり,入院時のリスク評価には,限界がある232). その他,高血糖は非糖尿病患者でも,死亡と心不全の強力な予測因子である233).腎機能障害も短期および長期予後に影響を与える因子である234).血清クレアチニンそのものは,年齢や性別の影響を受け,腎機能の指標として,限界があり,クレアチニンクラランスやeGFR(estimated glomerular filtration rate)の方が用いられる. 上記,生化学マーカーの中で,心筋障害あるいは心筋壊死のマーカーは,ベッドサイドで,早期に測定する(point of care)ことで,より早期より,リスクの層別化を行うことが可能となる.

④冠動脈造影および血管内画像診断

 リスク評価および予後評価に冠動脈造影所見は重要である.急性冠症候群に対する治療戦略には早期侵襲的戦略と早期保存的治療戦略があるが,冠動脈造影は早期侵襲的戦略でのその後の治療方針を決める上で,重要な情報を与える.リスク評価に重要な冠動脈所見としては,まず病変枝数が挙げられる.左主幹部病変は血行再建を行わなければ,予後は不良である.さらに,また,多枝疾患は,1枝疾患に比べてハイリスクであり,予後も悪い235).病変所見として,血栓が存在する場合は血栓が存在しない場合よりも,予後は不良である236).さらに,偏心性病変や壁不整病変などの複雑病変の方が予後不良である236). 冠動脈造影以外の冠動脈内画像診断として,血管内超音 波(IVUS), 血 管 内 視 鏡,Optical Coherence Tomography(OCT)などを用いて,不安定プラークの直接的な検出が試みられている.実際に,OCTやradiofrequency IVUSを用いることで,不安定プラークの病態として,重要とされる薄い線維性被膜(TCFA,Thin cap fibroatheroma)などの描出が可能とされる.また,血管内視鏡検査では,血栓の観察や黄色プラークの検出なども可能である.ただ,これらがリスク評価に役立つという明確な証拠はまだない.

⑤その他

1)リスクスコア 上述のように,予後予測因子として,単独の因子として,様々なものが報告されているが,リスクファクターを複数組み合わせたものがリスクスコアとして,報告されている.主なものとして,以下の3つのリスクスコア

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

がある. TIMIリスクスコアは7個の因子として,①年齢(65歳以上),②3つ以上の冠危険因子(家族歴,高血圧症,糖尿病,喫煙)③既知の冠動脈有意狭窄(>50%)④心電図における0.5mm以上のST変化,⑤24時間以内に

2回以上の狭心症症状の存在,⑥7日間以内のアスピリンの服用,⑦心筋障害マーカーの上昇が挙げられており,それぞれの因子の有無によって,それぞれ1点ずつ,加算するしくみとなっており(表4),14日以後の死亡率あるいは非致死性心筋梗塞発症率はリスクファクターが

表4 リスクスコア

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

増加するにつれ,相乗的に悪化することが報告されている.また,退院後のイベント発生予測の上でも,有用とされている237). GRACEスコアは8個のリスクファクターとして,①年齢,②心拍数,③収縮期血圧,④初期血清クレアチニン,⑤Killip 分類,⑥心停止による入院,⑦心筋マーカーの上昇,⑧ST部分の偏位が挙げられており,実際に

これらの因子に重み付けを行い(表4)238),入院時および6か月後の予測される死亡率と死亡あるいは心筋梗塞発症率が算出される仕組みとなっている. PURSUITリスクスコアは5個のリスクファクターとして,①年齢,②性別,③過去6週間の最悪のCCS分類,④心不全徴候,⑤心電図におけるST変化に重み付けを行って,予後を予測するしくみとしている(表4)239).

表5 CRUSADE出血性リスクスコア

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

 これらのリスクスコアはそれぞれ単独で,リスク評価に使用されるが,各種血液生化学マーカーなどと関連させて,より正確にリスクを評価する試みも行われている240),241).ただ,これらのリスクスコアは欧米での多数例から,導き出されたものであるが,冠攣縮性狭心症の頻度が高いとされる我が国では,そのまま,当てはめるには限界がある可能性もあり,我が国独自のリスクスコアが必要なのかもしれない.2)出血のリスク 出血は急性冠症候群の病態として,安定型の冠動脈疾患に比べ併発しやすく,また,抗血栓薬の投与に伴い問題となる頻度が高い242).また,今後,抗血小板薬として,より強力なものが使用できるようになると,副作用としての出血の問題が現在よりも,大きくなる可能性がある.実際に出血性の合併症を来たすと入院期間の延長に繋がり,頻度は低いものの生命予後に関連する場合もあり,出血は非ST上昇型心筋梗塞の予後予測因子として重要である.出血に関連する因子として,患者背景においては,女性,高齢,血清クレアチニン,白血球数,貧血,ST上昇あるいは非ST上昇急性心筋梗塞が,治療関連因子においては,ヘパリンの投与,我が国では使用できないが血小板糖蛋白 IIb /IIIa拮抗薬の投与が報告されている243).また,最近,出血のリスクをスコア化したものとして,CRUSADE出血性リスクスコアが報告されている(表5).①入院時のヘマトクリット値,②クレア

チニンクレアランス,③心拍数,④女性,⑤心不全の徴候,⑥血管疾患の既往,⑦糖尿病,⑧収縮期血圧から,スコアを算出する仕組みとなっている244). 通常,高齢者では,出血を来たしやすいものと思われるが,因子として含まれていない.図8にCRUSADE出血性リスクスコアに応じた出血のリスクの頻度を示す. 以上,不安定狭心症あるいは非ST上昇型急性心筋梗塞の院内予後のハイリスク症例について,記載した.これらの評価から,ハイリスクとされた症例では,早期に侵襲的治療を考慮すべきと思われる.ただ,このようなリスク評価の多くは,侵襲的治療の成績をもとにしたものではなく,入院時の多数例での侵襲的治療を行う前の検討から,得られたものであり,治療選択の際のリスク評価としての限界もあるものと思われる.

2 短期予後 急性冠症候群の長期予後は院内での治療戦略に大きく依存するので,ここでは短期予後について述べる.一部は前項に記載している部分もあるので,重複した部分は割愛している.

①病歴と身体所見

 急性冠症候群の患者が1年以内に死亡するリスクは臨床的指標および心電図から予測可能である.Diltiazem Reinfraction Study Research Group245)によれば,非Q波

図8 CRUSADE出血性リスクスコアに応じた出血のリスクの頻度

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

梗塞患者における予後不良の高リスク因子は入院から退院までの持続するSTの低下,鬱血性心不全,高齢および退院時のST上昇である,これらのリスク因子をすべて有する患者の1年間の死亡リスクはリスク因子のない患者の約14倍となる.また,入院時の血清トロポニンTの上昇は短期のみならず,1~2年後の予後を予測する上でも独立したリスク指標となることが示されている246),247).Braunwald らは20分以上持続する安静狭心症,虚血に合併した肺水腫,III音またはラ音を伴う狭心症,低血圧を伴う狭心症の短期予後は不良であることを指摘している.

②心電図検査

 来院時の安静時心電図変化が1年間の心事故(死亡あるいは非致死性心筋梗塞)の発症と関連することを示した報告がある248).それによると1年間の死亡あるいは非致死的心筋梗塞の予測因子は左脚ブロックとST変化(>=0.5mm)であり,リスク比はそれぞれ2.80,2.45であった.一方,T波の変化は死亡や非致死的心筋梗塞の危険率を増加させなかった.またGUSTO IIb試験では,T波の変化より,STの0.5mm以上の変化の方が30日間の心事故と関連していた249).

③冠動脈造影所見

 安静型の冠動脈疾患を対象に,左主幹部疾患あるいは3枝疾患を対象に冠動脈バイパス術とTAXUSステントを用いた無作為比較試験(SYNTAX 試験)が行われ,その長期成績が報告されている250).その中で,用いられている冠動脈全体での病変の進行度を示すものとしてSYNTAXスコアが提唱され,リスクの層別化に有用と報告されている250).このSYNTAXスコアが急性冠症候群のリスクの層別化にも有用とする報告がある251)が,今後の更なる検討が必要と思われる.

④血管内超音波検査

 最近,PCI施行急性冠症候群を対象に,冠動脈3枝を,血管造影,血管内超音波(Gray scale IVUS およびradiofrequency IVUS)で,評価を行い,その後,3~4年追跡し,責任病変と非責任病変ごとの心血管イベントを追跡した成績が報告されている252).その結果,責任病変と非責任病変で,3年時点で,12%前後とほぼ同様の心血管イベント(心臓死,心停止,心筋梗塞,不安定狭心症あるいは進行する狭心症による再入院)を来たすことが報告され,radiofrequency IVUSでのTCFA (Thin cap fibroatheroma), 4 mm2以下の最小血管内腔,70%以

上のplaque burden がイベント発症と関連し,これらの因子が重責するとイベント発生率がより,高くなるとされている252).

⑤核医学検査

 安静時の心筋灌流異常は短期予後不良を示唆する指標となる.救急外来で,心電図変化がなくても,安静時の灌流異常を認められれば,死亡,非致死的心筋梗塞,血行再建の心事故が’71%に発生したが,灌流異常がなければ心事故は1.4%であったと報告されている253).

⑥MRI検査

 MRIを用いて,急性冠症候群の予後を予測する検討が行われている.救急室で,急性の胸痛を認めた患者で,アデノシンストレス灌流心臓MRを行い,1年後の冠動脈疾患の進行を100%の感度と93%の特異度で,予測できるとする報告254)や,急性冠症候群の症例で,心筋浮腫の有無でその後の血行再建率が異なるとする報告がある139).

Ⅲ 治 療

1 リスク評価に基づいた治療指針

クラスⅠ1.急性冠症候群が疑われるすべての患者に対して閉塞性冠動脈疾患の確からしさを迅速に評価し,その結果を患者管理に反映させる.(エビデンスレベルC)2.すべての患者において臨床像,生化学的マーカーに基づいたリスク評価を行う.(レベルB)3.短期リスクの層別化に基づいて初期の治療方針を決定する.(レベルB)4.高リスク患者は救急治療室でリスク評価を行い,入院後はCCU管理とする.(レベルB)5.以下の高リスク患者では早期侵襲的治療を選択する.(レベルB)a.十分な薬物療法下でも安静時狭心症を再燃させる,あるいは低レベル負荷でも狭心症を生ずる患者.

b.心不全の徴候を有し,狭心症を生ずる患者.c.非侵襲的な検査で高リスクと判断された患者.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

d.低左心機能の患者.e.血行動態が不安定な患者.f.持続性心室頻拍を有する患者.g.6か月以内にPCIを施行した患者.h.冠動脈バイパス術の既往がある患者.i.心筋バイオマーカー上昇を認める患者.j.新たなST低下,または新たに出現したと考えられるST低下を認める患者.

6.急性冠症候群の可能性が高い症例に反復して心電図検査,心筋バイオマーカー検査を実施し,短期リスクを再評価する.(レベルB)7.当初安定していた患者において臨床イベントのリスクレベルが上昇した場合,早期侵襲的治療戦略の適応とする.(レベルC)8.急性冠症候群の安定化後は,長期予後に関するリスク評価を行い,そのリスクに応じた治療法を選択する.(レベルB)

クラスⅡa1.高リスク患者ではないが,薬物療法下で狭心症のコントロールが不十分である患者に早期侵襲的治療を行う.(レベルC)2.高リスク患者ではないが,65歳以上の高齢者,ST低下,生化学的マーカー上昇の患者に早期侵襲的治療を行う.(レベルC)3.TIMI,PURSUIT,GRACE試験におけるリスクスコア評価を治療戦略決定の一助とする.(エビデンスB)4.高リスク症例に早期侵襲的治療戦略を選択した場合,冠動脈造影は24時間以内に実施する.(エビデンスB)

クラスⅡb1.初期安定化した臨床イベントの高リスク患者において,侵襲的検査のリスクは高くない場合に保存的治療を治療戦略として考慮する.(レベル B)

クラスⅢ1.冠動脈造影が禁忌の患者に早期侵襲的治療を行う.(レベルC)2.重度の合併症を有し(呼吸不全,癌など),血行再建のメリットが小さいと想定される症例に早期侵襲的治療戦略を選択する(レベルC)3.急性冠症候群の確からしさが極めて低い患者に,早期侵襲的治療を推奨する.(レベルC)4.同意の得られない患者に対し,早期侵襲的治療戦略を選択する.(レベルC)

1 リスク評価と治療戦略 本疾患に対する治療の最大の目標は患者の短期的,長期的な予後改善であることから,有害事象発症リスクを推測することは治療戦略を考慮する上で基本的重要事項である. 病歴,身体所見,心電図検査,血液生化学検査から急性冠症候群の疑いが高いか否かをまず判断する.本疾患である可能性によって,非心臓性疾患,慢性安定狭心症,急性冠症候群の可能性あり,急性冠症候群確実の4つのカテゴリーに大きく分類できる.急性冠症候群,あるいはその疑いが高いと判断した場合,次いで短期的な生命予後(心臓死,非致死的な心事故の発生)に関するリスク層別化を行う(図9).初期診断における重要ポイントはここに集約される.

①リスク評価

 病歴,身体所見,心電図検査,心筋バイオマーカーからなるBraunwaldの分類による短期リスク評価は短期生命予後255),256),冠動脈造影における冠動脈病変重症度170),257),PCI施行時の合併症との相関が示されており,リスク評価に基づき有害な臨床転帰の可能性を推定することができる.初期ケアを行う管理すべき場所(CCU,一般病棟,外来の別),治療方針,特に血行再建の必要性などの決定に有益である.実際,リスク評価に基づいた治療戦略決定の臨床的有効性が証明されており214),初診時から少なくとも12時間以内にこの判断が行われるべきである.リスクが高いと判断された場合は,CCUでの管理が必須であり,中等度リスクの症例も高

図9 非ST上昇型急性冠症候群の診断フローチャート

低リスク 高リスク中等度リスク

生化学的マーカー測定

急性冠症候群確定的急性冠症候群否定的

理学的所見心電図変化

急性冠症候群を示唆する症状非 ST上昇

観察4~8時間後に再検

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

リスクに準じた管理が求められる.低リスクの症例は外来管理も可能である.リスク評価は初診時の一点のみでなく連続した心電図検査,心筋バイオマーカー評価によって方針が決定されるべきであり,再評価時にリスクが高くなっている場合には治療戦略の変更が考慮される.来院時に心筋虚血を示唆する所見がない急性冠症候群患者を見逃さないことが大切である.欧米ではこのような患者は外来ユニットで繰り返しリスク評価が行われる.我が国ではこのような診療ユニットがないことを考慮して,心筋虚血のサインがなくとも疑わしい場合は入院観察とすることを推奨する.受診時一時点のみの評価では隠れたハイリスク症例を見逃すリスクがあることを銘記することが重要である. GRACE,TIMI,およびPURSUIT リスクスコアは,本疾患の長期予後リスク判定のために開発されたスコアであるが,初診時のリスク判断にも有益であることが報告されている239),258),259).これら3つのリスク判定方法の中ではGRACEリスクスコアの有効性が最もよく検証されており260),261),入院時ならびに1年後の予後判定において感度,特異度ともにTIMIリスクスコアが他の2つのリスクスコアに劣ることが報告されている262).GRACEリスクスコアが高くなればなるほど積極的な治療のメリットは増加すると報告されている263),264).

②治療戦略について

 高リスク例に対する治療戦略は,冠動脈造影,血行再

建の施行時期によって初期保存的治療戦略と早期侵襲的治療戦略の2通りに大別される(図10)265).前者は,治療抵抗性,症状の再燃,血行動態不安定などを認めない限り保存的な治療を優先し侵襲的治療のルーチンでの実施を回避する手法である.スタチン,強力な抗血小板薬などによって不安定粥腫の安定化を得たのちの血行再健は手技リスクの低下につながり,血行再建は恩恵が得られると想定される患者群に限定することで不必要な検査を回避できるといった利点が考えられる.後者は,禁忌患者以外はルーチンで冠動脈造影を実施し必要に応じて血行再建を実施する手法である.冠動脈造影は予後リスクの決定に有用であり,この治療戦略では血行再健が有益である潜在的虚血患者を見落とすことがないという利点がある.また,責任病変の血行再建はその後の心事故発生のリスクを軽減し,入院期間の短縮,使用薬剤など投薬量を減ずることが可能である. この二つの治療戦略の優劣を比較した多施設臨床比較試験の成績は,時代とともに変化してきている. バルーンPCIの時代に施行された不安定狭心症と非Q波心筋梗塞を対象としたTIMIⅢB試験では,6週間の心事故発生率は早期侵襲的戦略群と早期保存的戦略群に有意差はなかったが,ハイリスク例(心電図変化例,心筋逸脱酵素上昇,女性,65歳以上)では早期侵襲的治療群は入院日数,再入院率,再入院日数が有意に少なかった266).心筋梗塞後に心筋虚血のある患者を対象としたDANAMI試験では,1~3年後のいずれの時点でも侵

図10 短期リスク評価に基づいた治療戦略

安定化症状再燃心不全

虚血の出現など

アスピリンヘパリン抗狭心症薬モニタリング

低リスク

早期保存的治療

即時冠動脈造影 12~24 時間以内

早期侵襲的治療

負荷試験

低リスク以外

高リスク中等度リスク

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

襲的治療群の心事故(死亡,心筋梗塞,不安定狭心症による再入院)発生率が保存的治療群より良好であった257).しかし同じ非Q波心筋梗塞を対象としたVANQWISH試験では,院内および1年後の心事故発生率は侵襲的治療群で不良であった169).侵襲的治療群において実際に施行された血行再建率は低率であり遠隔期の血行再建率に両群で有意差がなかったこと,侵襲的治療群の冠動脈バイパス術例の死亡率が11.6%と高かった点が大きく影響した.ステントによるPCIがインターベンションの主体となったその後のFRISC-Ⅱ,TACTICS-TIMI18,RITA3では侵襲的治療群の有効性が示されている.FRISC-Ⅱ試験では,6か月後の心事故発生率は侵襲的治療群9.4%,保存的治療群12.1%と有意差を認め,狭心症症状,再入院も侵襲的治療群で少なかった170).低分子ヘパリン ダルテパリン併用の有無は影響しなかった.血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬チロフィバンを併用したTACTICS-TMII18試験では,早期侵襲的治療群では無作為化後平均22時間後に冠動脈造影,血行再建治療を行ったが,6か月後心事故発生率は15.9%で保存的治療群19.4%より有意に良好であった171).一方,ICTUS試験ではトロポニンT高値の非ST上昇急性心筋梗塞において早期侵襲的治療は再入院を少なくするものの,至適内科的治療下の選択的侵襲的治療群と死亡率の差は認められなかった267). このように最近の臨床試験では早期侵襲的治療戦略の有効性が示唆されているが,早期侵襲的治療のメリットはTIMIリスクスコアで intermediate risk例(16.1% vs 20.3%),high risk例(19.5% vs 30.6%),トロポニンT上昇例(16.4% vs 24.5%),ST変化例(16.4% vs 26.3%)で認められるが,low risk例では認められないことが(12.8% vs 11.8%)TACTICS-TIMI18,FRISCⅡで報告されている170),171).  侵襲的治療戦略に利点がないとする報告はいずれもス

テントが登場する以前の成績であり268)-270),血行再建施行率,ステントの使用率,外科手術の死亡率,PCI時の血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の使用率などが臨床試験によって大きく異なる(表6).ステント時代に行われた臨床試験では侵襲的治療戦略の優位性が示されたが,CK上昇などの初期合併症は有意でないものの侵襲的治療戦略群でやや高率であった160),172),267),271),272). なお,適切な抗血小板療法の実施で早期の血行再建のメリットが明らかとなる.CURRENT-OASIS試験では,2009年我が国で承認されたクロピドグレルの経口負荷用量について25,086例の急性冠症候群を対象に検討が行われた.PCI施行例においてクロピドグレル600mg経口負荷が300mg経口負荷よりステント血栓症(0.7%対1.3%,p=0.0001),30日の心血管事故(心血管死,非致死的心筋梗塞,脳卒中;3.9%対4.5%,p=0.035)が有意に低率であった.しかし,クロピドグレル600mg経口負荷群では出血性合併症が有意に高率であった(1.6%対1.1%,p=0.009)273),274).TRITON-TIMI38試験では中等度―高リスクの急性冠症候群13,608例を対象に新たな抗血小板薬プラスグレルとクロピドグレルが比較された.プラスグレルの臨床における有効性が示唆されたが,それに伴う出血性合併症も問題視された275).血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬は血行再建の初期成績の改善に有用であることが示されているが狭心症の長期的な安定化効果はなく276),クロピドグレル投与後3番目の抗血小板薬としての便益性が問題となっている.EARLY ACS, ACUITY試験の結果は依然として高リスクPCI施行例に限った選択的な使用の有効性を示唆している277),278).一方,初期保存的治療戦略例,中等度リスク例における便益は明らかでない.このように,治療戦略,リスク評価に基づいて併用する抗血小板薬は多くの選択肢を有する.しかし,これらの臨床試験では我が国で使用不可能な薬剤や投薬量が使用されており,成績す

表6 治療戦略に関する比較検討試験の比較

Trials Strategy初回入院時血行再建率

Study終了時決行再建率

ステント使用率

GPⅡb/Ⅲa阻害薬使用

CAG時期(日)

TIMIⅢB (n=1473)

早期侵襲的保存的

6149

6458

--

00

1.57.1

VANQWISH (n=920)

早期侵襲的保存的

N/AN/A

4433

--

--

214

FRISC Ⅱ (n=2457)

早期侵襲的保存的

719

7737

6170

1010

416.5

TACTICS-TIME (n=2220)

早期侵襲的保存的

6036

6144

8383

9459

0.93.3

RITA3 (n=1810)

早期侵襲的保存的

4410

5728

8890

2525

2N/A

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

べてをただちに我が国の現状に適用することは適当でないと考えられる.また施設,術者の経験を無視して一般化することも難しい点である.しかし,治療成績は補完する抗血小板療法などの進歩によって改善しており,早期侵襲的治療の優位性を示唆する結果が増えていると認識すべきである.逆に,強力な抗血小板療法などに伴う出血性合併症のリスクも指摘されており,我が国における功罪両面の検証が必要である.

 いずれの治療戦略をとるにしても共通の原則がある.①安静時に心筋虚血発作が再燃した患者,心不全合併例,重篤な不整脈例に対しては緊急に冠動脈造影を行い,血行再建を考慮する.②心機能は心エコー図検査,核医学検査などで入院時に評価されるべきである.③急性冠症候群の短期リスクの評価は一時点のみでは不十分で,経時的に連続して行うべきものである.④薬物に対する反応,初期数日の経過は予後推測に有用な情報を提供する.⑤非侵襲的な負荷試験は急性冠症候群の有無の判断,リスク評価に有用であるが,冠動脈造影検査は予後,適切な治療選択に関する最も重要な情報を提供する.

 短期リスクが低いと判断されれば,負荷試験により長期予後に関するリスク評価を行い,必要に応じて血行再建を施行する.血行再建成功例における長期的予後は,安定狭心症に対する血行再建例と遜色なく279),2次予防を目的として冠危険因子の管理,心機能に応じた治療管理を行う.

2 侵襲的治療施行時期について 早期侵襲的治療戦略において,冠動脈造影施行のタイミングに関する基本的考え方には即時血管造影と後期血管造影の二通りある.侵襲的治療を可及的早期に実施すると,経過中に生じる虚血イベントのリスクを減ずることができる可能性がある.一方,一定期間の抗血小板薬療法を先行させると血栓が関与した不安定粥腫に対する血行再建合併症リスクを減ずることができる可能性がある.これまでにいくつかの臨床試験が実施されている.CRUSADE試験では週日と週末入院の成績を比較し(PCI施行までの時間がそれぞれ22.6時間と44.5時間)院内転帰に差はなかった280).ISAR-COOL試験ではASA,クロピドグレル,未分化ヘパリン,チロフィバンの投与後6時間以内と3~5日後に実施を比較し(中央86時間),primary end point(死亡または大きな梗塞)

は11.6%対5.9%で早期造影のメリットが示された.両者間のイベント発生率の差は冠動脈造影施行までの期間に生じており,造影後のイベントには両群差がなかった281).問題点としては規模が小規模であること,造影までの時間が遅すぎる点が指摘された.TIMACS試験は,非ST上昇型急性冠症候群を対象として施行され,割り付け後24時間以内(中央14時間)と36時間以降(中央50時間)の施行で比較された.アスピリン,ヘパリンまたはフォンダパリヌクス,80%以上の症例にクロピドグレル,23%に血小板膜Ⅱb/Ⅲa受容体阻害薬が投与された.登録に時間を要し途中で本試験は中断され,1次エンドポイント(死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中事故)は9.6%対11.3%(HR 0.85;95%CI 0.68~1.06, p=0.15)で早期血行再建群の優位性は実証されなかったが,2次エンドポイントは(死亡,心筋梗塞,虚血の再燃)は有意に早期血行再建の優位性が示された(9.5%対12.9%,HR 0.72; 95%CI 0.58~0.89, p=0.003).これは主として,虚血の再燃の合併率における差であった.虚血の再燃はその後心筋梗塞合併リスクを4倍以上に高めた264).また,GRACEリスクスコアによって,1次エンドポイント発生率は大きく異なることも明らかにされた.登録例を3分割した場合,最も高値であったGRACE score>140 では一次エンドポイントにおいて有意な差を認めた(13.9%対21.0%,HR 0.65 95%CI 0.48~0.89, P=0.006).一方GRACE score≦140の2群では有意な差異は認められなかった264). ABORD(Angioplasty to Blunt the Rise of Troponin in Acute Coronary Syndromes)試験では発症後ただちに血行再建を実施する戦略(中央値70分)と翌日に実施する戦略(中央値21時間)の比較を行っている.ASA,clopidogrel,PCI時アブシキシマが投与され,他の抗凝固薬は術者の選択とした.1次エンドポイントである入院中のトロポニンI中央値,2次エンドポイントである死亡,心筋梗塞,1か月以内の緊急血行再建の頻度において両者に有意な差は認められなかった282). 以上の結果は,GRACE score>140の症例では24時間以内の血行再建の意義が明らかで,冠動脈造影ならびに血行再建の遅延は望ましくない.数時間以内に実施する必要性は明らかでないが,虚血に伴う心不全例,虚血サインが持続する症例,心電図変化などから主幹部病変が疑われる症例,血行動態が不安定な患者,持続性心室頻拍を有する患者などに対しては血行再建を前提とした緊急冠動脈造影の施行は妥当な戦略と考えられる.一方,GRACE score≦140ではそのメリットは明らかでない.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

2 緊急入院と転院

クラスⅠ1.患者の短期リスクの評価に基づいて入院の適応を決定する.(レベルB)2.高リスク患者は心電図監視が可能なCCU,あるいはこれに準ずる病室に収容する.(レベルC).3.中等度以上のリスクを有する患者については,

CCUおよびそれに準ずる病室がない施設や循環器専門医のいない施設は,CCUがあり緊急で冠動脈血行再建のできる循環器専門施設,またはそれに準ずる施設へ可及的速やかに転送する.(レベルC)

クラスⅡa1.中等度リスク患者の入院は高リスク患者に準じる.(レベルC)2.急性冠症候群と診断できるがリスクの判断ができない患者は入院させて経過観察する.(レベルC)

クラスⅡa’1.低リスク患者と判断されても,入院が可能であれば入院させ経過を観察する.(レベルC)2.急性冠症候群が疑わしい患者を入院させる.(レベルC)

クラスⅢ1.鑑別すべき他の重症疾患を否定でき,かつ急性冠症候群が疑わしくない患者を緊急入院させる.(レベル C)

 入院の決定で重要な点は,急性冠症候群である疑いの強さと急性冠症候群としての短期リスクの評価である.特に,その患者が冠動脈疾患であるか否かという問題と,さらに急性冠症候群であるか否かとは分けて考える必要がある.

1 急性冠症候群の疑いの強さ 冠動脈疾患である疑いが低い患者は,外来で経過観察することが妥当であるが,確定診断が得られるまで反復した診療が行われるべきである.冠動脈疾患であることは確実であるが,急性冠症候群である疑いが低い患者も,外来での観察が可能である.しかし,急性冠症候群である疑いが高ければ,心電図監視が可能な病室へ入院させることが望ましい.症状が典型的でない,心電図変化が明確でない,血中心筋バイオマーカーが陰性であるなどの理由で,急性冠症候群を否定してしまうことは危険である.救急室に一定時間患者を留まらせることや緊急入

院の閾値を低くすることは極めて重要である.救急室での診断で入院の必要なしとされた患者が,病院から出た後の急変で,死亡に至ることもまれではない.急性冠症候群が疑われる患者の初期診療に当たる医師はこのようなリスクが存在することをしっかりと認識すべきである.

2 短期リスクの評価と入院 入院は心臓死,心筋梗塞発症を回避し,短期的な予後改善を得るための措置であるから,短期リスクの評価に基づいて入院の適応が決定されるべきである.これにも Braunawald の分類が役立つ(表2).高リスク患者は短期予後が不良であると推測されるので,入院の上,心電図モニタ,集中管理が可能な病室へ収容されるべきである.特に,収縮期血圧が低下している患者,肺野に湿性ラ音が聴取される患者,収縮期雑音が新たに出現した患者,左脚ブロックが出現した患者などは緊急入院の絶対的な適応である.また,高リスク患者では緊急で冠動脈造影,血行再建が必要となる可能性があるので,これらの検査,治療が可能な施設に入院,転院することが望ましい.中等度リスク患者に対する対応には定まったものはないが,予後を考慮すれば高リスク患者に準じて入院加療とすることが望ましい.したがって,安静時胸痛を有する患者,心筋虚血を示唆する心電図変化が残存する患者も入院の適応となる.近年,急性冠症候群の短期および長期のリスク判定に各種リスクスコアが提唱されている239),259),283)-285).リスクスコアは,病歴および救急外来での身体所見と検査結果により算出できることから,急性冠症候群が疑われるすべての症例において,適応されるべきである.TIMIリスクスコアは最初に提唱され,最も検証されてきたリスクスコアである.リスクスコアの各項目は,いずれも病歴と救急外来での検査により容易に判定できることから,救急外来において使いやすい.しかし,GRACEリスクスコア,PURSUITリスクスコアと比較して,その予測精度が劣るとする報告もある262).GRACEリスクスコアの算出はやや複雑であるが260),261),臨床的有用性に関する検証も多い.GRACEリスクスコアはインターネット上でも算出することができ(www.outcomes.org/grace),救急診療でも利用しやすくなっている. さらに,リスク評価は初診時の一点のみでなく連続的に行われるべきものである.入院時は低リスクであっても,経過中に高リスク,中等度リスクと転ずる可能性があり,注意深い経過観察が不可欠である.なお,低リスク患者の入院については,我が国での対応は欧米と異な

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

っている.急性冠症候群と診断されてもただちに低リスクと判断できない場合もしばしばあり,短期観察のための外来ユニットがない場合は,入院させて経過観察することが勧められる.短期リスクが低いという意味は,冠動脈疾患ではあるが緊急性が低いということであり,長期予後が良好であるという意味ではないからである.したがって,低リスクと評価された例はただちに冠動脈造影の対象というわけではないが,早期に冠動脈疾患の有無,重症度評価が行われるべきである.

3 初期治療

クラスⅠ1.ベッド上安静とし,心電図にて不整脈を監視し,動脈血酸素飽和度が94%未満になったら酸素供給を行う.(レベルC)2.出血性合併症などの禁忌のない限り,アスピリン162~325mgを速やかに咀嚼服用させる.アスピリン禁忌患者ではクロピドグレルを投与する.(レベルB)3.出血性合併症などの禁忌のない限りアスピリン投与下でヘパリンの静脈内投与を行う.(レベルC)4.冠動脈ステント留置術を考慮する患者では,アスピリンに加えクロピドグレル(300~600mgローディング投与および75mg維持投与)を併用する.5.ステント留置が計画されている患者に対し,クロピドグレルが投与できない場合にチクロピジン(200mg)を投与する.(レベルA)6.硝酸薬,β遮断薬を投与する.β遮断薬が投与できない場合はカルシウム拮抗薬を投与する.(レベルB)7.安静時の心拍数70/分未満,収縮期血圧140mmHg未満を目標として管理する.(レベルC)8.心筋虚血の増悪因子を検出し,これに対する加療を行う.(レベルC)9.粥腫の安定化と長期的な心血管イベントの抑制を目的にスタチン強化療法を行う.(レベルA)

クラスⅡa1.十分な薬物療法下で冠動脈血行再建を行っても心筋虚血を繰り返すか,循環動態が不安定な患者に,大動脈内バルーンパンピングを使用する.(レベルB)2.胸痛が寛解しないか不安が強い場合は塩酸モルヒネを静注する.(レベルB)

クラスⅢ

1.心電図上明らかなST上昇を認めない,急性後壁心筋梗塞でもない,また新たに生じた左脚ブロックもない不安定狭心症患者に経静脈的に血栓溶解薬を投与する.(レベルB)

 初期治療の目標は病態の安定化である.虚血発作の安定化を図る処置を行い,心事故発生を検出するためのモニタリングを行う.入院後の対応が短期リスクによって異なるのは当然であるが,いくつかの基本がある. 急性冠症候群は粥腫(lipid rich atheroma)内の炎症反応の亢進により菲薄化した繊維性被膜が破裂して血栓が形成される機序であることから,安定化の第一目標は血栓増大の抑制である. 少量のアスピリンならびにクロピドグレルは死亡および致死的心筋梗塞の発症を有意に低下させる286).したがって,短期リスクには関係なく,すべての患者にアスピリン100~325mgを咀嚼服用させるべきであり,アスピリン禁忌例にはクロピドグレルの投与を行う.クロピドグレルはPCIに移行することを考慮して300mgローディング量を投与し,その後75mg維持容量を継続すべきである.急性冠症候群患者に対するアスピリンとクロピドグレルの併用療法は,侵襲的治療の有無にかかわらず,アスピリン単独投与よりも短期および中期の心血管事故を減少させる287),288).急性冠症候群に対するPCI施行症例のみを対象としたPCI-CUREでも,PCI前の投与により,PCI後の心血管事故の減少が報告されている289).冠血行再建術の適応となる症例では,アスピリンとクロピドグレルの併用療法により出血性合併症は増加しない290).冠血行再建術施行が予測される中リスク以上の患者では,アスピリンに加えてクロピドグレルが投与されるべきである.より強力な抗血小板効果と心血管事故の減少を期待して,PCI予定症例に対するクロピドグレル600mgローディング投与と,それに引き続く6日間の150mg投与が検討された.しかし,本検討では全対象患者の評価では投与30日後の心血管事故を減少させることができなかった.逆に重篤な出血性合併症が増加した.一方,PCI施行症例ではクロピドグレル600mgローディング投与と,それに引き続く6日間の150mg投与で30日の心血管事故が有意に抑制された.欧米ではクロピドグレル600mgローディング投与が一般的であるが,我が国における,急性冠症候群に対してクロピドグレルの倍量投与の意義は確立していない273).ただし,我が国におけるクロピドグレルの適応が,冠動脈ステント留置を行う急性冠症候群の症例であることに留意する必要がある.これまでの解析より,PCI6時間

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

以上前からの投与が推奨される291). リスクが中等度以上の患者では,ベッド上安静,心電図モニターによる不整脈の監視を行い,ヘパリンの投与を開始すべきである.なお,ヘパリン単独投与では心筋梗塞および死亡率の低下は認められず,アスピリンとヘパリンの併用投与が必須である292).血栓溶解療法が有効とする報告は少なく,むしろ出血合併症が増加すると報告されているため一般的には禁忌である293),294). 急性冠症候群の病態生理から導かれる第二の治療目標は,粥腫の安定化である.粥腫内の炎症反応の抑制にスタチンの強化療法は有効であり,標準治療よりも急性冠症候群の死亡率を有意に減らすことが報告された295)-297).また,安定狭心症においてはPCIを行う7日前からスタチンの強化療法を行うことにより,PCIによる心筋障害が有意に減少することが報告されており298),不安定狭心症においても同様の効果が期待できる可能性があると思われる. 急性冠症候群の胸部症状の安定化を図るためには,心筋酸素消費量を減らす治療も重要である.立証された治療目標値はないが,SaO2が94%未満になったら酸素吸入を行うべきである.安静時の心拍数を70/分未満,収縮期血圧を140mmHg未満にコントロールする. 血圧,脈拍が十分にコントロールされても胸痛を生じる患者は薬物抵抗性と判断される.胸痛が寛解しないか不安が強い患者には塩酸モルヒネを静注し,血行再建を念頭に入れた治療戦略を考慮する.血行動態が不安定な患者,血液生化学検査にて心筋マーカーの上昇を認めた患者なども,血行再建を主体とした治療戦略を考慮する.虚血発作のコントロールが困難,血行再建が困難な場合には大動脈内バルーンパンピングの使用も考える.入院時に貧血などの狭心症増悪因子があればその治療も並行して行うべきである. 我が国では保険適応となっていないが,新しいチエノピリジン系抗血小板薬であるプラスグレルは,より投与開始早期から抗血小板作用を発揮することが示されている.急性冠症候群患者を対象としたアスピリンとの併用療法によりアスピリンとクロピドグレルの併用療法よりも心血管事故を減少させることが報告されている275).プラスグレルは日本人に多いとされるクロピドグレル不応性の遺伝子多型により抗血小板効果が変化しないことから,その有効性が期待される299).チカグレロールは,これまでのチエノピリジン系抗血小板薬とは異なり,可逆的抗血小板作用を有する薬剤である.チカグレロールは,急性冠症候群患者を対象とした前向き介入試験により出血事象を増加させることなく,心血管関連死亡を減

少させることが示されている300). 低分子ヘパリンや血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の有用性も多数報告されている301)-304).特に,血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬は,従来の抗狭心症薬では胸痛を抑制できない患者や,高リスク例でPCIが予定されている患者に使用されるべきとされている.低分子ヘパリンに関しては,1日2回のエノキサパリン皮下注の心事故防止効果が示されている.これらは海外における臨床試験の結果であり,ただちに我が国において同様の臨床効果が挙げられるかどうかは不明である.これまでにも,血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬であるアブシキシマは,我が国では臨床試験で有効性を示すことができず認可されなかった305).急性冠症候群の治療成績向上のため,ドラッグラグは最小にされるべきであるが,今後,個々の薬剤について我が国での有用性について検証が行われるべきである.

4 薬物治療

 不安定狭心症の薬物治療は,冠動脈狭窄による心筋虚血に対する治療と冠動脈血栓に対する治療に分けられる.前者には抗狭心症薬であるβ遮断薬,硝酸薬,カルシウム拮抗薬などが使用され,後者にはアスピリンやヘパリンなどの抗血栓薬が用いられる.血栓が関与するにもかかわらず血栓溶解療法は推奨されない.

1 抗狭心症薬

①β遮断薬

クラスⅠ1.使用禁忌のない症例に対して,可及的早期にβ遮断薬の経口投与を開始する .(レベルB)

クラスⅢ1.房室伝導に障害のある患者,最近喘息発作を起こした既往のある患者,急性の左室機能不全のある患者にβ遮断薬を投与する.(レベルC)

 不安定狭心症患者におけるβ遮断薬の有用性は,主にβ1受容体を遮断することで心筋酸素消費量を減少させ,虚血状態を寛解させることにある.急性冠症候群に対するβ遮断薬の有効性については,大規模臨床試験は少なく小規模臨床試験のみであるが306)-310),Yusufらのメタ解析では心筋梗塞への移行が13%減少したと報告されている311).胸痛が持続する患者では,脈拍と血圧を頻回に測定し心電図を持続的に観察しながらのβ

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

遮断薬の静脈内投与が有効である.ただし,冠攣縮性狭心症に対するβ遮断薬の投与には注意を要する.

②硝酸薬

クラスⅠ1.狭心症発作時に硝酸薬を舌下または噴霧投与する.(レベルB)2.硝酸薬の舌下または噴霧でも症状の改善が見られない患者に,硝酸薬を24時間以内で静脈内投与する.(レベルB)

クラスⅡb1.胸痛が持続している患者に硝酸薬を24時間以上静脈内投与し,その後に経口投与する.(レベルC)

クラスⅢ1.シルデナフィル(バイアグラ)やバルデナフィル(レピトラ)使用24時間以内の患者に硝酸薬を投与する.(レベルC)2.収縮期血圧90mmHg未満の患者に硝酸薬を投与する.(レベルC)

 硝酸薬は狭心症発作時に舌下または噴霧(スプレー)投与する薬剤である.それでも症状の寛解が得られなければ,硝酸薬を静脈内投与するべきであり,その有効性は認められている312),313).しかし,24時間以上持続投与する場合には,血行動態効果に対する耐性出現が問題となる.24時間を超えて静脈内持続投与が必要な患者では,効果を維持するためには投与量を定期的に増量する必要がある.一方,経口投与については間欠投与により耐性を作らないよう努力をすべきである. シルデナフィル(バイアグラ)やバルデナフィルは,硝酸薬の舌下あるいは経口投与との併用により,血圧低下作用を著しく増強するため,これらの薬剤服用例における硝酸薬投与は禁忌である314).投与にあたってはこれらの薬剤服用の有無を確認しておく必要がある.

③ニコランジル

クラスⅡa’1.硝酸薬の代替薬としてニコランジルを静脈内投与する.(レベルB)

 我が国では,不安定狭心症患者に対して,硝酸薬の静脈内投与と同様にニコランジルを点滴静注することがあり,大規模臨床試験の成績はないが,少数例の臨床試験で硝酸薬と同等の効果を示すとの報告がある315),316).

④カルシウム拮抗薬

クラスⅠ1.冠攣縮性狭心症の患者にカルシウム拮抗薬を投与する.(レベルC)

クラスⅡa1.硝酸薬とβ遮断薬が禁忌,または硝酸薬とβ遮断薬を十分量投与しているにもかかわらず心筋虚血が持続あるいは頻回に繰り返す患者に,非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(ベラパミルやジルチアゼム)を投与する.(レベルB)

クラスⅡb1.β遮断薬投与下にジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を投与する.(レベルB)

クラスⅢ1.短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を投与する.(レベルB)2.左心機能不全を有する患者,および房室伝導障害を有する患者に心機能あるいは房室伝導を抑制するカルシウム拮抗薬を投与する.(レベルC)

 カルシウム拮抗薬にはジヒドロピリジン系,ベンゾジアゼピン系,フェニルアラニン系の3つの異なった種類があるが,不安定狭心症患者にβ遮断薬の併用なしにニフェジピンを投与した場合,48時間以内の虚血発作の再発,心筋梗塞の発症といった心事故の相対危険率は1.51(95%信頼限界0.87~2.74)となり,ニフェジピンは状態を悪化させる可能性があることをHINT試験は報告している317).したがって短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の不安定狭心症に対する単独投与は避けなければならない.しかし,十分量の硝酸薬とβ遮断薬をすでに投与しているにもかかわらず虚血症状が持続する患者や,硝酸薬とβ遮断薬を十分量投与できない患者に対しては,β遮断薬の代用薬としてベンゾジアゼピン系またはフェニルアラニン系のカルシウム拮抗薬を用いてもよい318),319).また,冠攣縮型狭心症の中には,短時間作用型カルシウム拮抗薬が狭心症症状コントロールに著効を示すこともある.一方,我が国で多く観察される異型狭心症の患者に対しては,虚血発作予防にカルシウム拮抗薬が有効である320).我が国における急性心筋梗塞後の心血管系イベント抑制効果をβ遮断薬と長時間作用型カルシウム拮抗薬にて比較検討したJBCMI研究では,対象は主としてSTEMIであるが急性心筋梗塞後の予後はカルシウム拮抗薬投与群とβ遮断薬群とで同等であり,冠攣縮による不安定狭心症や心不

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

全の発症はカルシウム拮抗薬群で有意に少なかった321).これらの結果より,特に我が国の急性冠症候群患者におけるカルシウム拮抗薬の使用は,急性冠症候群の2次予防に有用であると考えられる.

2 抗血栓薬

①抗血小板薬

クラスⅠ1.アスピリン162~325mgを速やかに咀嚼服用させ,その後に81~162mgを長期投与する.(レベルA)2.アスピリン使用が困難な患者にクロピドグレルを投与する.クロピドグレルが投与できない場合にチクロピジンを投与する .(レベルB)3.ステント留置が計画されている患者に対し,アスピリンに加えクロピドグレル(300~600mg)を投与(ローディング)したのち,75mgを継続する.(レベルA)4.ステント留置が計画されている患者に対し,クロピドグレルが投与できない場合にチクロピジン(200mg)を投与する(レベルA)

クラスⅡb1.アスピリン,チクロピジン,クロピドグレルを投与できない患者にシロスタゾールを投与する.(レベルC)

クラスⅢ1.アスピリン喘息の患者にアスピリンを投与する.(レベルC)2.活動性の出血性疾患を有する患者に抗血小板薬を投与する.(レベルC)

 アスピリンはシクロオキシゲナーゼを阻害し,トロンボキサンA2の生成を遮断することで血小板凝集を抑制し,不安定狭心症に対して有効とされる薬物で,162~325mgのアスピリン咀嚼服用で敏速かつほぼ完全にトロンボキサンA2の生成を阻害することが知られている.不安定狭心症患者1,266例をアスピリン投与群と偽薬投与群に分けて12週間観察した比較試験の結果では,死亡または心筋梗塞の発症率はアスピリン群が偽薬群に比べて51%減少し,かつ消化器症状の出現や出血性合併症には差はなかった322).しかし,アスピリンには少ないながら禁忌があり,アスピリンアレルギーである喘息や活動性の出血性疾患を有する患者への投与は避けるべきである.初回の緊急投与時には吸収促進のため咀嚼投与が推奨されており,162~325mgの用量でトロンボキ

サンA2の産生を迅速に阻害することが必要である.我が国では,初期投与量162~330mg/日,維持量81~162mg/日を推奨している,ただ,2007年のAHA/ACCガイドラインでは,急性期の冠動脈ステント治療後には,冠動脈血栓閉塞抑制のため,アスピリン初期投与量をベアメタルステントでは少なくとも1か月間,シロリムス溶出性ステントでは3か月間,パクリタクセル溶出性ステントでは6か月間使用後,維持用量に移行することが推奨されている323). チクロピジンに関する臨床試験であるSTAI試験では,不安定狭心症が疑われる652例を通常の治療のコントロール群とチクロピジンを追加したチクロピジン群で比較し,心事故(心血管性死亡および致死性心筋梗塞)発生率がチクロピジン群で有意に少なかったとしている286).したがって,チクロピジンは少なくともアスピリンと同程度に2次予防に有用な抗血小板薬と考えられ,アスピリンに過敏性がある場合や,アスピリンが投与できない不安定狭心症患者には適応がある.我が国では,急性冠症候群に対するチクロピジンの保険適用は認可されていないが,冠動脈ステント留置後のステント血栓症予防のため,アスピリンとチクロピジン200mg/日の併用療法が推奨され,ベアメタルステントで2~4週間,薬剤溶出性ステントの場合は,3~6か月間,さらに遅発性ステント血栓症防止目的のため,1年以上の使用も勧告されている324),325).しかし,チクロピジン使用の際,低率ではあるが,白血球減少,肝機能障害,血栓性血小板減少性紫斑病等の副作用も報告されており,特に投与開始2~3か月間は2週ごとの血液検査による経過観察が必要となる. 欧米でのガイドラインでは,このようなチクロピジン服薬による合併症回避のため,チクロピジンの代替薬としてクロピドグレルの使用を推奨している287),323),326),327).急性期血行再建を予定しない場合,アスピリンとクロピドグレル75mg/日を少なくとも1か月間以上併用することが推奨され323),328),冠動脈ステント留置が予定されている場合は治療前より,初期投与量300~600mg/日の後,75mg/日の維持量へ移行するものとしている.ステント後の投与期間は,ベアメタルステントで1か月間,薬剤溶出性ステントでは少なくとも1年間の投与が勧告されているが,我が国におけるエビデンスは十分ではない.クロピドグレル内服の合併症の頻度は,チクロピジンより低率であるが,まれに血栓性血小板減少性紫斑病が発生するため,投与初期には定期的な血液検査が必要である . また,クロピドグレルには反応性に個体差があり,

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

ADP惹起血小板凝集能抑制効果が十分に認められず治療抵抗性を示す症例が存在することが明らかとなった.プロドラッグであるクロピドグレルの活性体産生には,肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450が関与するが,その1つである CYP2C19 に活性体産生能力の低い遺伝子多型を有する症例では,クロピドグレルによる ADP 惹起血小板凝集抑制の減弱が観察されており329),FDA,厚生労働省などの規制当局からの警告文書も発表されている.また同多型を有する頻度は欧米人に比較して日本人などアジア人では高いため330)-333)注意が必要である.海外では,CYP2C19*2アレルを少なくとも一つ有する患者(*1/*2または*2/*2)はクロピドグレル内服中の残存血小板凝集能が高く,ステント血栓症をはじめ心血管イベントの発生と関連があると報告されている334),335).しかし,ACSが対象のCUREトライアル287),心房細動が対象のACTIVE A試験336)をあわせたサブ解析では,アスピリンとクロピドグレルの2剤併用療法はCYP2C19遺伝子多型に無関係に心血管イベント抑制に対し有効であると報告されている337).これらのクロピドグレルの低反応性を補う薬剤として我が国において開発されたプラスグレル338),339),および可逆性のP2Y12受容体拮抗薬であるチカグレロル300)に関しては,欧米で大規模臨床試験が施行され,急性冠症候群患者に対する有効性が示されている.我が国でもプラスグレル,チカグレロールに関しては現在臨床治験が進行中であり,今後の動向に期待したい . シロスタゾールは我が国で多く用いられている抗血小板薬であり,PDE Ⅲを阻害し血小板内の cAMP 濃度を増加させることにより抗血小板作用を発揮するが,国内外において不安定狭心症患者に対する大規模臨床試験はない.また,シロスタゾールは心拍数を上昇させ心筋虚血を誘発する可能性があるため,冠動脈に有意な残存狭窄がある症例では使用に際して注意を要する.最近,Korea Acute Myocardial Infarction Registry (KAMIR)では,ST上昇型心筋梗塞患者に対し薬剤溶出性ステント留置後,アスピリンとクロピドグレルの2剤併用療法にシロスタゾールを追加した3剤併用抗血小板療法の有効性が報告されている340). 我が国では有効性を証明できず使用できない抗血小板薬に,血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬がある.血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬は強力な血小板凝集阻害薬で,フィブリノーゲンの結合を阻止して血小板凝集を阻害する.不安定狭心症患者におけるアスピリン,ヘパリン投与下で血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の有効性を検討した大規模臨床試験では,本薬が狭心症の短期的安定化と

血行再建の初期成績改善に有効であることが示された301),341),342).また,最近のメタ解析の結果でも,特にトロポニン陽性の急性冠症候群患者において発症30日以内の心血管イベント抑制における本薬の有効性が示されている343).しかしながら血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬であるアブシキシマは,我が国では臨床試験で有効性を示すことができず認可されなかった305).

②抗凝固療法

クラスⅠ1.アスピリン投与下でヘパリンを静脈内投与する.(レベルA)

クラスⅡa1.心房細動,人工弁,深部静脈血栓症など抗凝固療法の適応があるとき,アスピリン投与下で中等度用量(INR2.0~2.5)のワルファリンを投与する.(レベルB)

 不安定狭心症の安定化に対するヘパリンの効果は多くの研究が認めている.しかし,不安定狭心症と非Q波梗塞の796例を対象とし,アスピリン単独,ヘパリン単独,アスピリンとヘパリンの併用投与の3治療法を比較したRISC試験では,アスピリン単独とアスピリンとヘパリンの併用投与では心筋梗塞および死亡を減少させたが,ヘパリン単独投与では心筋梗塞および死亡の低下は認められなかった292).一方,不安定狭心症例を対象とし,アスピリン単独とアスピリンとヘパリンの併用を比較した6つの無作為試験のメタ解析の成績は,アスピリン単独に比べアスピリンとヘパリンの併用が心筋梗塞と死亡の危険度を33%減少するものであった344).これらの結果は,ヘパリン中止後の凝血学的リバウンド現象の存在を示唆し,この病態の悪化がアスピリンを併用することで回避されると考えられる.したがって,不安定狭心症患者では原則としてアスピリンとヘパリンの併用療法を行うべきである.なお,ヘパリンは抗凝固効果に個人差が大きいため,ACT,部分活性トロンボプラスチン時間をモニターすることが望ましい. 不安定狭心症患者におけるワルファリンの投与に関しては,アスピリン投与下におけるワルファリンの効果がOASIS試験により示されている345).ワルファリンの心事故減少効果は抗凝固効果を INR2.0~2.5に維持した症例でのみ認められ,INR1.5と抗凝固効果の低い症例ではむしろ心事故発生を増加させた.ワルファリン投与は,アスピリン投与によっても虚血イベントが抑制できないときのみに留めるべきで,投与にあたっては INRをモ

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

ニターする必要がある. 低分子ヘパリンは,通常の未分画ヘパリンに比して,半減期が長く皮下投与が可能である,抗凝固効果に個人差が少ない,血小板減少といった副作用のリスクが低いといった利点がある.低分子ヘパリンのエノキサパリンは心事故発生抑制効果でヘパリンに勝ることが示されている304),346).二つの臨床試験のメタ解析は,エノキサパリンがヘパリンに比し20%の心事故抑制効果があり,この効果は数日内で明らかとなり,43日まで持続することを明らかにした347).また,最近の大規模臨床試験でも,エノキサパリンが未分画ヘパリンと同等の心事故抑制効果を有することが示された348),349).一方,低分子ヘパリンのダルテパリン,ナドロパリンを用いた比較試験では,ヘパリンに勝る短期的な心事故抑制効果が証明されなかった303).このように低分子ヘパリンを用いた臨床試験の成績は一定せず,低分子ヘパリンの種類によって半減期,効果が一律でないことを反映していると推測される.なお低分子ヘパリンの急性冠症候群への使用は我が国では保険適用とされていない. 直接的トロンビン阻害薬としてはヒルディン,アルガトロバン,バイバリルディンなどがあり,ヒルディンの効果はGUSTOⅡb試験で検討されている.ヘパリン投与群と比較し,ヒルディン投与群では死亡または心筋梗塞への進展リスクは有意に減少したが,30日予後には両群間で差がなく,出血性合併症はヒルディン投与群で有意に多かった304).ヒルディンにはヘパリンを上回る効果は証明されていない.一方,バイバリルディンに関しては,少なくともヘパリンと同等の効果が期待でき,出血性の合併症が低率であることが示されている350).最近の報告ではバイバリルディンの使用がヘパリンと血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の併用に比べ,出血性合併症を有意に抑制し,虚血性イベント発生率に差がないことが示されている351),352).急性冠症候群に対する直接的トロンビン阻害薬の使用も我が国では未認可である. 欧米では,急性冠症候群に対する抗活性化第10因子(Xa)薬の効果も検討されている .その中の一つとして,我が国では深部静脈血栓症予防薬としての適応があるフォンダパリヌクスが挙げられる.OASIS-5では,急性冠症候群患者のPCI施行時のエノキサパリンとフォンダパリヌクス静注の比較試験が施行されており353),その有用性が示されている.このほかにも急性冠症候群に対して,いくつかの経口抗Xa薬や血小板トロンビン受容体拮抗薬の有効性が検討されている.

3 その他の薬物治療

①心不全に対する薬物治療

クラスⅠ1.血圧が維持され肺うっ血を合併するときにループ利尿薬,硝酸薬あるいはモルヒネを静脈内投与する.(レベルC)2.うっ血性心不全や左室収縮障害を有した患者にアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与する.(レベルB)

 不安定狭心症を対象とした心不全薬の多施設無作為介入試験はない.急性冠症候群の患者で心不全合併例は高リスク例に含まれ,早期侵襲的治療を考慮する必要がある.虚血に起因する心不全であれば,抗狭心症薬や血行再建により虚血を改善することが重要であり,心不全の治療はこれに並行して行う.なお,心不全の治療に関してはすでに報告されている心不全ガイドラインに準拠する.

②不整脈に関する治療

クラスⅠ1.高頻度心室応答により左室機能低下を伴う心房細動患者にジギタリスを急速投与する.(レベルC)2.高頻度心室応答により左室機能低下を伴う心房細動患者にβ遮断薬を静脈内投与する.(レベルC)

3. 高頻度心室応答を伴う心房細動患者において,β遮断薬が禁忌または無効の場合にベラパミルを投与する.(レベルC)4.狭心症,肺うっ血または低血圧を伴わない持続性単源性心室頻拍患者にアミオダロンを投与する.(レベルC)5.以下の患者にアトロピンを投与する.(レベルC)1)心筋虚血発作時に低心拍出と末梢循環不全を伴うか頻回の心室性期外収縮を伴う洞性徐脈患者.2)ニトログリセン投与後に持続する徐脈と低血圧を示す患者.3)モルヒネ投与による悪心と嘔吐を伴う患者.

クラスⅡa1.高頻度心室応答を伴う心房細動患者において,β遮断薬が禁忌または無効の場合にジルチアゼムを投与する.(レベルC)2.心室頻拍または心室細動出現後に抗不整脈薬を投与するが,6~24時間後には中止してそれ以後の抗

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

不整脈投与の必要性を評価する.(レベルC)クラスⅡb1.難治性の多源性心室頻拍に対し心筋虚血軽減のためにβ遮断薬あるいはアミオダロンを投与する.(レベルC)2.洞性徐脈時にモルヒネと併用してアトロピンを投与する.(レベルC)

クラスⅢ1.孤立性心室期外収縮,2連発,頻拍性固有心室調律に対して抗不整脈薬を投与する.(レベルC)2.循環不全や頻発する心室性期外収縮を有さない心拍数49/分以下の洞性徐脈に対してアトロピンを投与する.(レベルC)

 急性冠症候群では,虚血発作時に様々な不整脈が出現する.心筋虚血の程度,部位により出現する不整脈の種類も異なる.持続する心室頻拍が出現する例は高リスク例に含まれる.重篤な不整脈出現時には早期に冠動脈造影を施行し,責任冠動脈の血行再建を考慮すべきである.不安定狭心症を対象とした抗不整脈薬の多施設無作為臨床介入試験はなく,急性心筋梗塞の管理に順ずるべきと考えられる.

③HMG-CoA還元酵素阻害薬

クラスⅠ 急性冠症候群発症早期からLDLレベルにかかわらずHMG-CoA還元酵素阻害薬を投与する.(レベルA)

 HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は,欧米の大規模臨床試験で虚血性心疾患の1次予防354),2次予防に有効355)であることが報告されている.また,我が国においてもシンバスタチンを用いた J-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)で,心血管疾患の1次予防,2次予防におけるスタチン服用例の心血管イベント発生率が評価された356). スタチンは総コレステロールと低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)を強力に低下させる作用を持つばかりでなく,血管内皮機能の改善,血小板凝集能と血栓付着の抑制,血管の炎症反応の低下などの効果も報告されている357). 急性冠症候群に対する早期からのスタチン投与の有用性に関しては多くのエビデンスが報告されており,確立された治療となった.MIRACL試験では,急性冠症候群発症後24~96時間以内にアトロバスタチン(80mg/日)の投与を開始することにより,死亡および非致死的虚血

イベントの発生が減少することを示した295).急性冠症候群に対するアトロバスタチン(80mg/日)による積極的脂質低下療法の有効性は,PROVEIT-TIMI22trialにおいても証明されている296).ただし,アドロバスタチンの投与量は我が国での標準的投与量の8倍という高用量であるなどの問題もある. A to Z試験では,シンバスタチンの急性冠症候群発症後の早期積極治療効果が検討されており,早期積極治療群にて2年間の観察期間における心血管死の有意な低下を認めている358).また,我が国でも,最近,MUSASHI試験にて急性冠症候群患者に対してスタチン早期導入による心血管イベントの2次予防効果が示され297),ESTABLISH試験ではスタチンによる急性冠症候群患者の粥腫退縮が示された359).最近の JAPAN-ACS試験では,急性冠症候群患者に対し,ピタバスタチン,アトルバスタチン治療前後の冠動脈プラーク量の変化を血管内超音波にて比較検討しており,両スタチンともに,冠動脈プラークの有意な退縮をもたらすことが示された360).以上のように我が国でもスタチンによる不安定粥腫の安定化効果に関する臨床成績が集まりつつある. 欧米のガイドラインにおけるスタチンによるLDLコレステロール管理目標値は,冠動脈疾患の危険因子の有無で値が異なるが,急性冠症候群患者の場合,70mg/dl未満を目標にコントロールすることが推奨されている361),362).我が国における急性冠症候群患者のLDLコレステロール管理目標値に関しては,独自の検討がないのが現状であるが,概ね欧米の指針に準ずる管理を考慮する.

5 薬物治療抵抗性狭心症

 不安定狭心症は多彩な病態を包括する疾患概念であるため,薬物で容易に安定化する軽症例から強力な治療に抵抗する重症例まで種々の病態が含まれており,個々の病態を十分に認識し,薬物治療の限界を見極めることは非常に重要なことである. Braunwaldは,不安定狭心症を重症度,臨床状況,治療強度別にそれぞれ3段階で評価した255),363).その中で治療強度別の狭心症症状出現状況を,1)未治療あるいは少量の抗狭心症薬投与下で出現した不安定狭心症,2)慢性安定狭心症に使用されるβ遮断薬,長時間作用型硝酸薬,カルシウム拮抗薬という一般的な経口抗狭心症薬投与下で出現した不安定狭心症,3)最大限の抗狭心症治療,すなわちニトログリセリンの静脈内投与を含めたすべての種類の抗狭心症薬の最大限の投与下でも出現

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

する狭心症の3群に分けている.したがって,Braunwaldの定義に基づけば薬物抵抗性不安定狭心症とは,β遮断薬,硝酸薬,カルシウム拮抗薬の3種類の薬剤を最大限度容量まで併用し,さらに硝酸薬の静脈内投与を行っても狭心症状が出現するものといえよう. Morrisonらは,薬物抵抗性不安定狭心症をアスピリンの経口投与やヘパリンの静脈内投与を行い,β遮断薬,カルシウム拮抗薬,硝酸薬などの投与で,安静時の心拍数が70/分未満,収縮期血圧が140mmHg未満にコントロールされた状況下でも安静時に可逆的心筋虚血が起こる症例と定義した364).我が国においても野々木らは,薬物治療の終点をアスピリン,ヘパリン,経口抗狭心症薬3種類に加え,安静時に15分以上の発作がある場合としている365).これらの報告から,薬物抵抗性不安定狭心症はアスピリンの経口投与,ヘパリンの静脈内投与,β遮断薬,硝酸薬,カルシウム拮抗薬を限界用量まで投与しているにもかかわらず狭心症発作がコントロールできないものと定義できる.薬物抵抗性不安定狭心症は,大動脈内バルーンパンピングを施行し,可及的速やかに冠動脈造影を行い,PCIや冠動脈バイパス術などの血行再建治療を選択しなければならない.

6 補助循環

1 経皮的治療

①大動脈内バルーンパンピング(IABP)

クラスⅡa1.β遮断薬,カルシウム拮抗薬,硝酸薬ならびに抗血小板薬,抗凝固薬による徹底した薬物療法および冠動脈血行再建術の施行にもかかわらず重症な心筋虚血が持続または再発する場合に大動脈内バルーンパンピングを用いる.(レベルB)2.重症な心筋虚血の診断のために冠動脈造影を施行する前後での不安定な血行動態に対して大動脈内バルーンパンピングを用いる.(レベルC)

 急性冠症候群の治療における大動脈内バルーンパンピングの役割については,最近の米国のガイドラインにても言及されていない.重症冠動脈狭窄を有する不安定狭心症の再発性心筋虚血に対する大動脈内バルーンパンピングの効果については,少数例を対象とした比較試験に限られるが一定の効果が示されている.また低心機能を含めた高リスク例の冠動脈バイパス術においても2時間

前からの大動脈内バルーンパンピングが有効で,人工心肺使用時間・挿管時間・ICU滞在時間・入院期間が短く,心機能改善率が高く,術後の低心拍出症候群の発生が低率であったと報告されている366).大動脈内バルーンパンピングの心筋虚血に対する効果は大動脈拡張期圧上昇と左室拡張末期圧の低下が関与した冠動脈血流量の増加によるとされる.重症多枝病変では冠動脈血流量の増加はなく,収縮期後負荷減少による心筋酸素消費量の減少が虚血改善の主要なメカニズムと考えらている.したがって,大動脈内バルーンパンピングにより虚血と血行動態をコントロールした上で安全に冠動脈造影を行い,冠動脈バイパス術やPCIによる根本的治療を行うことは有効な治療戦略と考えられる.なお,従来から大動脈内バルーンパンピング挿入に伴う下肢血管系の合併症が報告されており,最近バルンカテーテルは7Fと細くなったが,高齢者や長期間留置例では注意を要する.外科手術例での検討では,女性,末梢血管疾患,糖尿病,心係数<2.2L/min/m2,体表面積<1.8m2のいずれかを有する例は大動脈内バルーンパンピングに伴う合併症発生率が高いため注意を要すると報告されている367).

②経皮的心肺補助(PCPS)

 血圧低下・ショックに進行する左主幹部病変への緊急PCIに経皮的心肺補助が使用されることがあるが有用性は証明されていない.

2 外科的治療 薬物治療・大動脈内バルーンなどの治療にもかかわらず,低心拍出状態が続く場合には,左心(両心)補助装置の装着を考慮する368).特に若年で将来的に心臓移植治療の対象となり得る場合には積極的に考慮する.(レベルC)

7 血行再建治療

1 冠動脈血行再建法の選択

①緊急および早期冠動脈血行再建術の選択

クラスⅠ1.十分な薬物治療にもかかわらず心筋虚血が原因と考えられる不安定な血行動態あるいは胸痛持続の原因となっていると考えられる病変に緊急PCIを行う.(レベルA)2.血行動態不安定な左主幹部病変を持つ患者に緊急

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

PCIを行う.(レベルB)3.PCIが困難あるいは不成功例で心筋虚血が持続し,心筋虚血範囲の大きな患者,あるいは血行動態が不安定な患者に緊急CABGを行う.(レベルB)4.虚血が原因と考えられる胸痛発作があり,心電図にて新たにST降下が出現した患者やトロポニン T/Iが上昇している患者に,早期PCIあるいは早期CABGを行う.(レベルA)5.十分な薬物治療にもかかわらず心筋虚血が原因と考えられる胸痛発作が頻発し,胸痛の原因となっていると考えられる病変に早期PCIあるいは早期CABGを行う.(レベルA)6.薬物治療,PCIが無効で,持続する胸痛あるいは心筋虚血を有する患者に緊急あるいは早期CABGを行う.(レベル B)42,43)

7.左主幹部の高度狭窄病変を有する患者に早期CABGを行う.(レベルA)161),283),369),370)

8.左主幹部相当の病変(左前下行枝と左回旋枝入口部の高度狭窄)を有する患者に早期CABGを行う.(レベルA)23),161),239),371)

9.左前下行枝近位部の高度狭窄を有する患者に早期CABGを行う.(レベルA)46),371)

クラスⅡa1.左主幹部,左前下行枝入口部以外の高度狭窄病変を有し,心筋虚血範囲の大きな患者に早期PCIを行う.(レベルC)2.重篤な心不全を有するCABG適応患者に早期

CABGを行う.(レベルB)47)

クラスⅡb1.出血性素因や出血性合併症のため,ステント留置後の抗血小板薬使用に制限のある患者にPCIを行う.(レベルC)2.左主幹部(入口部,体部,分岐部で回旋枝入口部病変のないもの)あるいは左前下行枝入口部の高度狭窄病変で形態的にPCIに適した冠動脈病変で,かつ胸痛や血行動態が薬物治療によって安定化が可能と思われる患者に早期あるいは緊急PCIを行う.(レベルC)3.高度腎機能低下の患者に早期PCIを選択する.(レベルC)4.左前下行枝近位部に高度狭窄を有しない1枝または2枝病変の患者に緊急あるいは早期CABGを行う.(レベルC)5.PCI不成功例で心筋虚血範囲が小さい患者に緊急あるいは早期CABG行う.(レベルC)

クラスⅢ1.肝不全,呼吸不全,悪性疾患など重度の病的状態で,血行再建のメリットよりもリスクが上回ると考えられる患者に緊急あるいは早期PCIを行う.(レベルC)2.同意しない患者に緊急あるいは早期血行再建術を選択する.(レベルC)3.薬物治療で予後が良いと考えられる患者に緊急あるいは早期CABGを行う.(レベルC)

 非ST上昇型急性冠症候群患者に対する冠血行再建術(PCI,CABG)施行時期の定義については研究によって幅があるが,発症数時間以内の血行再建術を緊急,入院後数日以内に施行する血行再建を早期と定義する.緊急および早期冠動脈血行再建術施行を前提とした治療方針を,急性冠症候群に対する早期侵襲的治療と定義する.したがって,薬物治療により既に胸痛発作や血行動態などが安定化した患者に対して行う冠血行再建術も早期侵襲的治療に含める. 冠動脈血行再建術選択において,まず評価すべき点は緊急冠動脈血行再建術を必要とするかどうかである.緊急冠動脈血行再建術を必要とする患者としては,血行動態の破綻(虚血に起因すると思われる低血圧や心不全)した患者および薬物治療にもかかわらず胸痛が持続する患者が挙げられる.血行動態の破綻した患者においては,虚血の責任病変に対する緊急PCI施行が基本である.また薬物治療にもかかわらず胸痛が持続する患者においても,虚血の責任病変に対する緊急PCI施行が基本である.PCI困難な責任病変が左主幹部あるいは左前下行枝近位部の場合には緊急CABGも考慮する必要がある.このような場合には虚血の改善を目的とした IABPの使用も考慮する必要がある. 胸痛発作が頻発する患者や心筋虚血範囲の大きな患者に対しては早期冠血行再建術 (PCI,CABG)の適応を検討する.非ST上昇型急性冠症候群患者に対する早期血行再建術としてのPCI,CABGが生命予後を改善し,心筋梗塞を予防することが報告されている.また早期CABG・不安定狭心症に対するCABGの成績は待機CABGとほぼ同等である.したがって早期冠血行再建におけるPCI,CABGの選択は基本的には安定冠動脈疾患に準ずる.CABGの適応が考えられる場合には早期CABGが行える体制が整っているが可能か否かも含めてハートチームで討議する.したがって早期CABGを行う施設は迅速な対応および,待機手術と同程度の安全性を保つ体制を整えておくことが重要である.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

 実際には非ST上昇型急性冠症候群患者の多くは虚血や血行動態が薬物治療によって安定化できると考えられる患者であり,これらの患者に対するPCI,CABGの選択は安定冠動脈疾患と同じである.PCIとCABGの選択に関しては日本循環器学会「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン」ならびに「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」を参照していただきたいが,重症冠動脈疾患(左主幹部病変,左前下行枝近位部病変を含む多枝病変,特に,低心機能,糖尿病を合併した多枝病変など)ではハートチームにおける議論が必要である. 緊急あるいは早期PCIを施行する際,虚血の責任病変が明らかでない場合や複数の病変が虚血の責任病変となっている可能性のある場合には,複数の病変に対してPCI施行を必要とするケースもあるが,多くの場合には単一の責任病変を同定することが可能であり,緊急あるいは早期PCIの標的は原則として単一の責任病変のみとすべきである.急性冠症候群の急性期に虚血の責任病変に対しPCIを施行し,慢性期に残存狭窄に対して冠動脈血行再建を考慮する場合も多い.この場合に重要なことは,残存病変の虚血評価をしっかりと行って冠動脈血行再建の適応を決定することである45).慢性期に左主幹部や左前下行枝に狭窄を認める場合のPCIとCABGの選択は安定冠動脈疾患と同様と考えられる.このような症例に対して急性期血行再建後残存病変に対する再血行再建を行う判断は,内科医,心臓外科医を加えたハートチームによる判断が重要である.

②待機的冠動脈血行再建術(PCI,CABG)

 薬物治療によって病態が安定してからの待機的冠動脈血行再建術(PCI,CABG)の適応については,安定冠動脈疾患と同様である(日本循環器学会「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン」ならびに「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」を参照).

2 血栓溶解療法クラスⅢ1.血行再建を目的として血栓溶解薬を投与する.(レベルA)

 ST上昇を伴わない急性冠症候群に対して血栓溶解薬が有効とする報告もある372)が,多施設共同研究の結果からはその有用性は否定的である.t-PAによる血栓溶解療法はUNASEM294),TIMIⅢB試験266)のいずれにおい

ても予後の改善には結びつかず,出血性合併症や心筋梗塞発症が多いという結果であった.ST上昇型の急性心筋梗塞を除けば,急性冠症候群に対する初期治療として血栓溶解療法を単独で施行する治療戦略は推奨されない.血行再建を目指す場合にはPCIあるいは冠動脈バイパス術を考慮することが妥当である.なお,PCIに血栓溶解薬を併用することについては「4 冠動脈バイパス術(CABG)」を参照されたい.

3 冠動脈インターベンション治療(PCI)

①緊急および早期冠動脈インターベンション

 非ST上昇型急性冠症候群患者に対する冠血行再建術(PCI,CABG)施行時期の定義については研究によって幅があるが,発症数時間以内の血行再建術を緊急,入院後数日以内に施行する血行再建を早期と定義する.緊急および早期冠動脈血行再建術施行を前提とした治療方針を,急性冠症候群に対する早期侵襲的治療と定義する.したがって,薬物治療により既に胸痛発作や血行動態などが安定化した患者に対して行う冠血行再建術も早期侵襲的治療に含める. 急性冠症候群に対するPCIは,心筋虚血を改善,心収縮力を温存,心筋梗塞への移行を防止するための根本的な治療戦略である.急性冠症候群において致死的不整脈に対する最良の防止策としても,血行再建は有意義である.十分な薬物療法下で安静時狭心症の再燃した患者,低レベル負荷で狭心症を生ずる患者,心不全の徴候がある狭心症患者,非侵襲的な検査で高リスクと判断された患者,低左心機能例,血行動態不安定例,持続する心室頻拍を有する患者,6か月以内のPCI施行例,冠動脈バイパス術の既往のある患者では緊急冠動脈造影を考慮すべきである237),373),374).近年では,心筋特異性が高く,感度が鋭敏な心筋壊死の指標であるトロポニンTあるいは Iが異常値を示す症例のリスクが高いことが報告されている375),376).緊急冠動脈造影により冠動脈病変の解剖学的検討を行い,予想される余命,左室機能,他臓器の合併症,灌流域の心筋生存能など,個々の患者の臨床背景を個別に評価した上で,PCIの適応を決定する.PCIの施行にあたっては書面によるインフォームド・コンセントが必要である.また,PCI施行施設は厚生労働大臣の定める施設基準を満たし,熟練した術者が経験豊富なスタッフの援助を得て適切な環境下でPCIを実施すべきである.急性冠症候群におけるPCIは,責任冠動脈病変に限ることを原則とする.責任冠動脈病変は,冠動脈造影所見,心電図所見などから総合的に判断する.緊急

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

PCIの施行時期に関しては一定の見解がない.大規模臨床試験であるFRISCⅡ試験では,早期侵襲的治療群におけるPCIは入院から平均4日で,TACTICS試験では4~48時間(平均25時間)で施行されている170),171).TIMACS試験では24時間以内のものを早期侵襲的治療,36時間以後のものを遅延侵襲的治療と位置づけ評価している264). 粥腫破綻と血栓形成を共通の基盤として発症すると考えられている377)急性冠症候群において,ST上昇型急性冠症候群では冠動脈の開存と障害された心筋量が予後規定因子であるが,非ST上昇型急性冠症候群では粥腫の破綻の程度と血栓量が予後を左右する.AmbroseタイプⅡの偏心性複雑病変を有する症例では,たとえ狭心症が薬物でコントロールされていても,短期予後は不良であることが示されている378).機械的に冠動脈狭窄を解除する治療手技であるPCIの問題点は,急性冠症候群では複雑病変の頻度が高く,血栓が関与した病態であることに集約される.PCIによる血管損傷は血小板凝集の亢進,凝固系の活性化を生じ,血栓形成を促進させる可能性があり,急性冠閉塞を合併する危険性が高く,緊急バイパス術,心筋梗塞,死亡といった主要心合併症が高率となると考えられるからである.初期のNHLBIの報告では,不安定狭心症に対するPCIの成功率は63%で,心筋梗塞9.6%,緊急バイパス術29%と合併症発生率は極めて高率であった379).1990年代初頭までは,急性冠症候群に対する緊急PCIの成績は待機的PCIに比較し不良であった380),381)が,冠動脈内ステント留置術により破綻した粥腫を機械的に安定化させることが可能となり,緊急PCIの成績は著しく向上した.1996年のTIMIⅢB試験では病変成功率は97%で,心筋梗塞4.3%,緊急バイパス術1.4%であった270).現在では,安定労作性狭心症に対する待機的PCIに近い治療成績で施行可能と考えられている268),279),382),383). 急性冠症候群に対する早期侵襲的治療群の優位性に関しては,以前はこれを疑問視する報告が散見され,FRISCⅡ試験では早期侵襲的治療群における入院早期の梗塞発症率が保存的治療群に比し高いことが示されている.また,PCIまでの時間が長い週末入院者と短い平日入院者の短期予後に差がない384)との報告や,トロポニンT高値の急性冠症候群を対象にした ICTUS試験のように1年後の予後に差がないとする結果の報告177)もある.しかしながら,近年の多くの研究は,PCIの施行時期が6時間という早いものから,1週間以内というかなり遅いものまで,治療時期の幅が広く存在しているものの,その大半が早期侵襲的治療群で死亡や心筋梗塞が

少ないことが示されている44),264).この優位性については,特にリスク層別化を行うと急性冠症候群におけるリスクスコアが高いあるいは中等度の患者でメリットが明確であるとされている178).6時間以内にCAGを行う超積極的介入研究(ISAR-COOL)385)や48時間以内にCAGを行った超高齢者386),にても示されている.また,短期予後に差がなくても,4~5年後の時点で死亡や心筋梗塞の発症に差が検出されている174).急性冠症候群に対する抗トロンビン剤の効果を検証したACUITY試験のサブ解析では,石灰化,病変長,プラークの量など冠動脈造影上の病変背景や左室造影もACSに対する早期侵襲的治療の予後予測因子であることを示している387).またこのACUITY試験では最後の症状から血行再建が24時間以降となると予後が不良となることも示されている388). 近年,再狭窄対策として急性冠症候群に対する薬剤溶出型ステントの使用例が増加している389),390).急性冠症候群に対する薬剤溶出型ステント(DES)の使用に際しては,STEMIを中心にステント血栓症のリスクが危惧されていたが,多くの無作為臨床試験が行われ,いずれの臨床試験やそのメタ解析でも一貫してDESのステント血栓症の発症リスクはベアメタルステント(BMS)と比べて差がなく,再血行再建率(TLR)を明瞭に減少させた390)-396).さらにこれらの試験において長期成績が明らかにされてきており,DESの利点は3年以上経過しても保たれていることも示されている397)-400).STEMIを主とした急性冠症候群における高い早期ステント血栓症の発症率はステントの種類によらないことも示されている401).STEMI以外の急性冠症候群を対象としたデータは少ないが,KanzariらはCRUSADEレジストリーにおいて,ハイリスクの不安定狭心症とNSTEMIを対象として,DES使用による死亡・心筋梗塞のリスクはベアメタルステントに対してむしろ低下していることを示している402).DES使用における大きな問題は1年以降に発症する超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis = VLST)であり,VLSTの発症原因が急性冠症候群に起因するという臨床データは病理の検討を含め観察研究のみである403)-406).我が国で10,778症例をエントリーして行われた J-Cypherレジストリーのデータにおいても,2,308症例の急性冠症候群患者の予後は1年以降,非急性冠症候群の患者と死亡・心筋梗塞・ステント血栓症のリスクは変わらなかった407).したがって急性冠症候群に関してのDES使用は,利点が多く,エビデンスからは推奨されるデータの方が多いと言える.しかし,PCI後遠隔期に非心臓手術等の必要な場面

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

に直面することもあり,DES植込みに際しては十分なインフォームド・コンセントとスクリーニングが必要である. 急性冠症候群に対するPCIとしてはバルーン形成術とステント留置術が一般的で,アテレクトミーや血栓吸引療法などのPCIデバイスに関しては不安定狭心症/NSTEMIにおいての十分なデータがない.アテレクトミーについては,現在使用されているデバイスで急性冠症候群に対する有用性を示しているものはない.現在STEMIに対しては血栓吸引療法が有用と認められているが,NSTEMIに対する有用性を示すデータはごく少数例のものしかなく408)-410),末梢保護デバイスを含め有効性がないとする報告もある411)-412).しかし大きな血栓塊を有する冠動脈病変であれば血栓吸引療法や末梢保護デバイスが有用であることは臨床的に症例ベースでは示されており413)-415),エビデンスやガイドラインとは別の水準で考慮すべきことである.また血栓だけでなく血管内超音波などで認められるプラークの減衰像やプラークの破綻像などの所見を有する冠動脈病変が責任病変のNSTEMIにおいて,PCI時の冠動脈血流を低下させることが示されており416)-417),こういった病変を含む急性冠症候群に対するPCI成績の向上は課題の一つであり,末梢保護デバイスについても今後検討を要する. 合併症なく冠動脈内ステント留置に成功すれば,アスピリンとチエノピリジンを併用した上で早期退院が可能である187).FRISCⅡ試験やTACTICS試験では早期侵襲的治療によって自覚症状の改善と入院期間の短縮が得られ,6か月までの心事故発生も低下した.ただし,近年の欧米における緊急PCIの成績には,血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬が寄与している点を考慮する必要がある301),302),418),419).

クラスⅠ1.非ST上昇型急性冠症候群患者の緊急あるいは早期

PCIに薬剤溶出型ステント(DES)を用いる.(レベルA)2.非ST上昇型急性冠症候群患者の緊急あるいは早期

PCIにベアメタルステント(BMS)を用いる.(レベルA)

②待機的冠動脈インターベンション

 非ST上昇型急性冠症候群に対する待機的PCIの適応を考えるとき,安定狭心症に対する治療成績との比較検討が必要である.不安定狭心症と安定狭心症に対するバルーンPCIの成績を比較した研究は多い420)-426).PCIが

導入された当初の成績では,初期成功率に差はなかったが,主要心合併症発生率は不安定狭心症において高率であった426).不安定狭心症を薬物治療で安定させた後にPCIを施行した成績では,成功率,死亡率さらに6か月間の心事故の発生率,すべてにおいて安定狭心症に対する成績と同等であった421).したがって急性冠症候群に対するバルーンによるPCIは薬物によって病状を安定させた後に待機的に行うことが推奨されてきた.我が国においても無作為比較試験の結果はないが,まず薬物による安定化を図ることを勧めた意見がかつては主流であった427). しかし,器具の改良,技術の向上に加え,ステントの使用が普及して急性冠閉塞の頻度が著しく減少し,PCIがより安全に施行されるようになり適応は変化してきている266),383).侵襲的治療を早期に施行しても保存的に治療を行った場合と比較して心事故の発生率に差がなく,かつ入院期間が短く医療効率上の利益があることが示された266).またステントを用いることの安全性,有効性も示されている383).これらによって発症早期に侵襲的な検査と治療を行うことの利点が大きくなってきている.患者の短期リスクを分類し,高リスク患者には,早期侵襲的治療の方が早期保存的治療よりも有効であることが示された170),171). このように非ST上昇型急性冠症候群におけるPCIは急性期の緊急処置としても有用とされるようになり,病態が安定してからの待機的PCIは,高リスクの患者の責任病変を除く病変が対象となることが多く,一層安全に施行できるようになった.虚血性心疾患の血行再建の治療戦略において,初期の臨床的な表現形の影響は小さいとされる428).臨床表現が,安定狭心症または不安定狭心症であったものでも生命予後には血行再建の方法による差はなかった429,430).これからも,慢性期の待機的なPCIを含む血行再建については,冠動脈疾患の一般的な適応を準用できると考えられる.  ベアメタルステントは,急性冠症候群の治療においては急性期のPCI,慢性期の待機的なPCIともに広く使用されている.一方で,薬剤溶出型ステントが,急性冠症候群の治療においても有用であるとの確証は得られてはいない431).海外の報告では有効性を報告するものもある432).我が国でも薬剤溶出型ステントの急性冠症候群への有効性の報告もある433)-435).我が国では心筋梗塞の急性期での薬剤溶出型ステントの使用は,1年以降の遅発性ステント血栓症も認められていることから,添付文書では,警告欄に記載され注意喚起されている.安定期における待機的PCI症例では,再狭窄予防効果のメリ

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

ットも期待できるものと思われる.

4 冠動脈バイパス術(CABG)

①緊急および早期冠動脈バイパス術(CABG)

 非ST上昇型急性冠症候群に対する早期侵襲的治療方針としてのCABGは生命予後を改善し,心筋梗塞を予防するという複数のランダム化試験,メタ解析によるレベルAのエビデンスが存在する250),436)-445).早期CABG・不安定狭心症に対する成績は待機CABGと同等である.しかし救命あるいは緊急手術が必要な患者では手術死亡リスクが高く446)-451),血行動態の不安定な患者においては,緊急PCIが選択される機会が多くなっている.特に左冠動脈主幹部が責任病変と考えられる患者については虚血領域が広範であり血行動態が不安定な状態に陥りやすく,再灌流までに要する時間を短縮できるという点から緊急PCIが選択される452),453).したがって発症数時間以内の緊急CABGは,PCI不成功例や技術的にPCI困難な症例で進行性変化を伴う症例が対象となる. 十分な薬物治療にもかかわらず胸痛発作が頻発する患者や心筋虚血範囲の大きな患者において,左主幹部あるいは左前下行枝近位部の高度狭窄病変の場合には早期CABGの適応について,CABGの治療効果と早期手術の安全性,各施設の体制などをハートチームで十分に検討し決定する必要がある.その場合でも術前検査を十分行い,初期治療から数日経過し血行動態の安定した時点でCABGを施行するのが望ましい453),454).早期CABGの適応となるのは,冠動脈病変の複雑性の観点からはCABGの適応と考えられ,かつ症状や血行動態が安定した状態で手術に臨むことのできる症例となる(冠動脈病変の複雑性の観点からのCABGの適応の判断は,安定冠動脈疾患における適応の判断と同様であり,日本循環器学会「安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン」ならびに「虚血性心疾患に対するバイパスグラフトと手術術式の選択ガイドライン」を参照されたい). 循環動態の安定した状態であれば,手術適応は待機的冠動脈バイパス術とほぼ同等であると考えてよい452), 455). 急性冠症候群に対する緊急手術の手術リスクを高くする要因としては,進行する広範な心筋虚血や左室心機能低下による心不全のみならず,腎機能障害,高齢者,脳合併症など多岐にわたる要因が挙げられる448),456),457).  繰り返す心筋梗塞の既往や重症の心筋虚血によって左室機能が低下している症例は,手術治療の適応となることが多い.しかしながら,心筋梗塞のために左室機能が著しく低下し,周術期に強心剤や補助循環装置の使用

を必要とする症例での緊急冠動脈バイパス術,特に急性冠症候群の発症24時間以内の手術成績は不良で,長期予後改善も期待できない場合がある368),446),457)-459). 血液透析患者では,冠動脈石灰化が高度でPCIが困難なため手術治療を選択することが多いが,肺炎・感染症・脳梗塞・腸管壊死など術後の心外合併症により手術リスクは高く,適応決定には慎重を要する.また高齢者でも大動脈や冠動脈の石灰化が高度なため緊急手術を選択することが多いが,手術リスクが高い点を考慮して慎重に適応を決定する必要がある446). 人工心肺を使用せずに心拍動下に冠動脈バイパス術を行う方法(off pump CABG)が,安全性および確実性を増し我が国でも普及しつつある460).off pump CABGによって,低侵襲で術後合併症の発生が少なく手術死亡率を低く抑えられると判断できれば,これらの患者における手術適応を拡大してもよい456),461).  内胸動脈グラフトは長期開存が期待できる462),463).なお,緊急手術でも血行動態が安定していれば,内胸動脈の剥離によって手術危険率は増加しない464).

②待機的冠動脈バイパス術(CABG)

 最大限の薬物治療に抵抗性でPCI不適応の心筋虚血は緊急あるいは早期冠動脈バイパス術の適応となり,症状の安定した症例も病変に応じて待機的冠動脈バイパス術の適応となる465)-469).待機的冠動脈バイパス術の適応は基本的に安定狭心症に準じ,薬物治療に比して症状の改善あるいは良好な遠隔期生存が期待される症例群である.近年ベアメタルステント(BMS)や薬剤溶出性ステント(DES)の使用によりPCI後の再狭窄率の低下が示され,PCIの適応が拡大されてきている470),471).しかし,デバイスの進化により再狭窄率こそ格段に低下したものの,慢性冠動脈疾患の長期予後に関しては必ずしも改善していない.一方CABGにおいても技術革新が進んでおり,両側内胸動脈を中心とした動脈グラフトの多用,人工心肺を使用しないoff-pump CABG (OPCAB)が導入されてきた.動脈グラフトの多用は遠隔期グラフト開存率の向上による遠隔成績の改善が期待されるが,OPCABに関しては吻合操作の難易度がやや上がるためon-pump CABGと比較してグラフト開存率を含めた遠隔成績が低下するという報告と472),両者に有意差はないという報告があり473),今後さらなる検討が必要である.PCIとCABGの比較試験も繰り返し行われているが459),DESを用いた場合でも,3枝疾患患者など冠動脈の解剖学的条件の複雑な患者においてはPCIよりもCABGのほうが遠隔成績で優れていることが示されて

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

いる250),474),475).近年欧米において使用可能となった,より強力な抗血栓または抗血小板療法は,CABG術後の出血のリスクを高めることが示されており475)-479),特にクロピドグレルを使用している場合には術前5日間は中止することが推奨されている479).

5 血行再建治療に併用する薬物治療 急性冠症候群では病変部位に不安定プラークと血栓が存在しており,全身の血栓形成性の亢進も認められることから,急性冠症候群に対するPCIを早期に行う場合には特に強力な抗血栓対策が必要である.PCIを施行する際に使用される薬剤には,抗凝固薬,抗血小板薬,冠拡張薬,血栓溶解薬,などが挙げられる.

①抗凝固薬

クラスⅠ1.PCI術中にACT250秒以上を目標にヘパリンを投与する.(レベルC)2.ヘパリン起因性血小板減少症(強く疑われる場合を含む)に対してアルガトロバンを投与する.(レベルA)

 十分な抗凝固薬の使用は緊急性の有無によらずPCI施行時の合併症防止のために必須である.ヘパリンはその基幹的な薬剤である.急性冠症候群に対してはより慎重な抗凝固療法が求められ,特にステントを用いなかった場合や,血栓量の多い場合,血行動態の不安定な場合などではACTや部分活性トロンボプラスチン時間をモニタしつつ通常よりも長時間のヘパリン管理が推奨される. 海外では,通常のヘパリン(未分画)よりも作用のバラツキが少なく,抗凝固作用が確実かつ強力とされる低分子ヘパリンや直接トロンビン阻害薬の急性冠症候群における有用性が示されており,すでに欧米のガイドラインで推奨されている.トロンビン阻害薬やXa阻害薬は効果の発現が安定しており,出血傾向のモニターが不要であることや,出血性合併症を軽減させることなどの利点が挙げられて,ヘパリン(未分画)の代替薬としての地位を確立させた304),480)-482).低分子ヘパリンをPCIの術中に使用した場合には不飽和ヘパリンと同等との成績が示されている348),483),484)が,出血性合併症のリスクが高まる可能性が示唆されており注意を要する.一方,その他の薬剤については直接トロンビン阻害薬バイバリルディンやXa阻害薬フォンダパリヌクスの有用性が示されている481),485).低分子ヘパリンをはじめとするこれら

の薬剤は,いずれも我が国の保険診療では認められておらず,未だに未分画ヘパリンのみが使用可能の状況にある.なお,PCIの術中や術後に時に発症するヘパリン起因性血小板減少症(HIT)に対しては直接トロンビン阻害薬が有効であり,我が国ではアルガトロバンが認可されている. ステント留置患者の血栓性閉塞予防には,歴史的には当初ワルファリンが用いられたが,抗血小板薬の2剤併用療法(後述)が有効であることが証明され,心房細動や人工弁,深部静脈血栓症などのワルファリンの投与を必要とする基礎疾患の合併がある場合以外には用いられない187).抗血小板薬の2剤併用療法施行患者で心房細動等の理由により抗凝固薬を投与する場合には出血性合併症についての注意が必要である. 近年,直接トロンビン阻害薬やXa阻害薬の経口薬が開発中で急性冠症候群への治験が行われているが,その評価は未だ明確ではない486),487).

②抗血小板薬

クラスⅠ1.PCIが計画されている患者(禁忌例を除く)に対し,アスピリン(162~325mg)を投与したのち,低用量(81~162mg)を継続する.(レベルA)2. ステント留置が計画されている患者に対し,アスピリンに加えクロピドグレル(300~600mg)を投与(ローディング)したのち,75mgを継続する.(レベルA)3. ステント留置が計画されている患者に対し,クロピドグレルが投与できない場合にチクロピジン(200mg)を投与する(レベルA)

クラスⅡb1.ステント留置患者でアスピリン,チクロピジン,クロピドグレルを投与できない場合にシロスタゾールを投与する(レベルC)2. ステント留置患者にアスピリンとクロピドグレルに併用してシロスタゾールを投与する(レベルC)

 我が国においては急性冠症候群に対するPCIではそのほとんどにステントが留置されている. ステント留置後にはチエノピリジン系抗血小板薬(クロピドグレル,チクロピジン)をアスピリンと一定期間併用投与することにより血栓性閉塞が強力に阻止されることが証明されている187).チクロピジンはクロピドグレルが使用可能になるまでの間長期にわたり,標準薬として使用されてきた488),489)が,無顆粒球症,血栓性血小

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

板減少性紫斑病や重篤な肝障害などの副作用がまれながら認められることから,比較的速効性でかつ副作用が少ない第二世代のクロピドグレルにほぼ置き換えられた326),490),491). クロピドグレルは可及的速やかに血中濃度を増加させることを目的として,PCIの前に300~600mgをローディング289),492)し,引き続き75mgをアスピリンとともに連日投与する.クロピドグレルのローディングについては当初の予想よりも効果発現までに時間がかかることが明らかにされており,非投与例との間の差を検出するまでに約15時間を要する493)ことから,血小板機能をより早期にかつ強力に抑制することを目的に,海外では600mgをローディングの用量として用いることが推奨されている.なお,我が国におけるローディングの適応用量は300mgである. 血小板のADP凝集の主座であるP2Y12受容体を抑制する新しい薬剤として,チエノピリジン系のプラスグレルやP2Y12受容体に直接作用するチカグレロール,エリノグレルなどが開発され,うち前2者はすでに海外では使用可能である300),338),339).クロピドグレルには個体間で効果に大きなバラツキがあるとの欠点が指摘されているが,これらの新しい薬剤はいずれもバラツキが少なく効果の発現も早いことが利点であるが,その反面で出血性合併症の発生が懸念されている300),338),339).我が国ではこれらの薬剤はいずれも治験中の段階にある. シロスタゾールは,効果発現が早くかつ重篤な副作用は少ないこと,出血性合併症のリスクが低いことを背景に,チクロピジンの副作用発生例にその代替薬として使用されてきたが,本薬剤を用いた多施設無作為介入研究はなされておらず有用性は確立していない494).また,近年ではクロピドグレルの低反応例に本剤を併用(すなわちアスピリン,クロピドグレル,シロスタゾールの3者を併用)することによって抗血小板作用が増強するとの報告495)を背景に,これらの3者併用療法を投与することが試みられている.しかしながら,近年行われた多施設共同研究においてはMACEに有意差を証明できず,これらの3者併用療法の有用性については確立していない496). 急性冠症候群に対するPCIにおいては強力な抗血小板療法が必須である.その意味において,血小板凝集の最終経路を阻害する薬理作用から究極の抗血小板薬と位置付けられる血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲa阻害薬は理にかなった薬剤である.急性冠症候群のPCIに際して発生しやすいとされる心事故(死亡,非Q波梗塞,再血行再建)の発生を有意に抑制する301),302),418),497)-500)ことから,欧

米においては急性冠症候群に対する早期侵襲治療には不可欠の薬剤と位置付けられている.我が国におけるアブシキシマの治験ではその有効性を証明することができず305),チロフィバン,エプティフィバティドなどの短時間型血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬は治験すら行われなかったことから,現時点で使用可能な血小板膜糖蛋白GPⅡb/Ⅲa阻害薬はない.ただし最近の試験では急性冠症候群のPCIに際して,ローリスクの患者では効果がなく,トロポニン陽性等のハイリスク患者においてのみ,その有効性が示されている501).

③冠拡張薬

クラスⅠ1.PCI施行中にニトログリセリンあるいは硝酸イソソルビドを適宜冠動脈内に注入する.(レベルC)

クラスⅡa1.PCI施行中に冠血流の低下(slow flow あるいはno

reflow)を来たした場合にニコランジルあるいはベラパミルを冠動脈内に注入する(レベルC)

 PCI施行中に硝酸薬を適宜冠動脈内注入することにより,高度の虚血や持続的な血流低下に伴う冠動脈収縮を回復させ,またPCI手技による機械的刺激に伴う冠動脈攣縮を寛解させる.またニトロ化合物の注入により冠動脈径を適切に評価でき,PCIの最終バルーン(ステント)径を決定するのに役立つ. ニコランジルはニトロ化合物に匹敵する冠拡張作用を示し,かつ虚血心筋の保護作用を有することから,PCI施行中に冠血流の低下を認めた場合に冠動脈内注入されている315)が,心室性不整脈を誘発する可能性に留意すべきである.なお,ニコランジルおよびベラパミルの冠動脈内注入の有用性に関するエビデンスは十分ではない502)-504).

④血栓溶解薬

クラスⅡb1.冠動脈内に明らかな血栓を認める患者に対しPCI施行時に t-PAを投与する.(レベルC)

クラスⅢ1.PCI施行時にアスピリン,ヘパリンに加え,血栓溶解薬を投与する.(レベルA)

 急性冠症候群に対する治療薬としての血栓溶解薬の意義については7-1を参照されたい.PCI施行時に血栓溶解薬を併用する戦略については,その妥当性を支持する

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

ようなエビデンスはなく,ウロキナーゼ(TAUSA試験)や t-PA(TIMIⅢB試験)の併用はむしろ予後に悪影響を及ぼすことが示されている266),505).冠動脈内に明瞭な血栓像を認めた患者を対象として t-PAの併用治療が有用とする報告があるが,小規模研究でエビデンスレベルは低い506).なお,このような症例に対しては諸外国では血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の使用が推奨されている.

8 特殊な病態への対応

1 高齢者 高齢者のみを対象とした急性冠症候群に対する無作為比較試験はないが,急性冠症候群の治療内容を検討したTIMIⅢB試験の解析では193),ST低下,ヘパリンあるいはアスピリンの使用にもかかわらず生じる狭心症の既往,65歳以上の高齢者,あるいは家族歴(55歳以下で発症)を有する安静時狭心発作が心事故の予知因子であり,これらの因子がない場合には心事故発生が8%であったが,すべての因子を有する場合の心事故発生率は63 % で あ っ た. ま た,GRACE(Global Registry of Acute Coronary Events)リスクモデル(収縮期血圧,血清クレアチニン値,心拍数,心筋酵素,Killip分類,ST変化,心停止の有無)による解析では,急性冠症候群において高齢になるにつれ転帰不良になるとされた507).このため高齢者(65歳以上)であるということにより急性冠症候群においては中等度リスク群に分類される.ただ,高齢者の定義は75歳以上とする報告もあり,一定でないため注意を要する. 薬物治療の適応は高齢者においても若年者と同様であるが,副作用が生じやすいため低用量から開始するなど使用量に注意を要する.高齢者に対する抗凝固療法については,脳出血を避けるため低用量のヘパリン使用を1999年ACC/AHAガイドラインは勧告している(体重70kg以下の患者には,最大4,000Uのボーラス投与と1,000U/時の注入).特に収縮期血圧が180mmHg以上,女性,低体重者ではヘパリン使用中の出血の危険性に注意する必要がある508).高齢者は,重症であるにもかかわらず,抗血栓薬やβ遮断薬などの薬物使用率や早期の侵襲的治療適用率が低い171),509),507).その理由として非典型的症状510),腎機能や肝機能低下から薬物による副作用が生じやすい,高率に合併する他臓器合併症511),輸血や血管修復などを含めたカテーテル合併症の頻度が高いことなどが挙げられる.また,治療の遅れが高率で

あり,そのため予後が不良である.PCIの初期成功率に関しては,若年者と同等とする報告が多いが512)-515),80歳以上で成功率が低いと指摘する報告516),ステント挿入の成功率が低いとする報告512)もある.しかし,不安定狭心症に対するPCI成功例では80歳以上であっても長期予後は良好であると報告されている. 近年に実施された非ST上昇型ACSに対する早期侵襲的治療に関する無作為比較試験のメタ分析では,高齢者における転帰の改善には,カテーテル治療実施によるところが大きいと指摘されている175).また,早期侵襲的治療の方が75歳以上の高齢者群においても死亡と心筋梗塞発症率が有意に低いと報告された517).しかし,その場合にも出血合併症が若年者に比べ多いことには留意すべきである.また,冠動脈バイパスも同様に,合併症のない高齢者の手術死亡は90歳以上でも低率であると報告されている518).したがって,高齢という理由だけで侵襲的な治療の除外とはならず,暦年齢だけではなく,身体能力や認知機能や個人の考え方を尊重して適応を検討する必要がある.

2 腎機能障害 腎障害は急性冠症候群の死亡予知因子の一つである507).虚血性心疾患では動脈硬化性腎障害あるいは糖尿病性腎症を合併していることがあり,PCIあるいは冠動脈バイパス術の危険率を高くする要因の一つとなっている.また,血行動態の悪化がさらに腎機能を悪化させることも多い.緊急で侵襲的治療が施行されることが多く,腎機能評価の余裕がない場合が多いのも問題となる.特に高齢者では潜在的に腎機能が低下していることが多い点を留意すべきである.血液透析患者に対するPCIの初期成功率は非腎不全患者と大きな差はないが,再狭窄率は高率である519).手技成功例での遠隔期成績はPCIより冠動脈バイパス術が良好である520),521).また多くの薬物が腎排泄であり,腎機能低下により効果が過剰となることに注意を要する.特に抗血栓薬では出血助長となることに留意する必要がある522).

3 脳血管障害 急性心筋梗塞後の脳血管障害発症の予知因子として,高齢,頻脈,脳血管障害,TIAの既往,糖尿病,狭心症既往,高血圧が指摘され,これらの因子を有する場合には予防的な抗凝血療法の適用が考えられる438).不安定狭心症を中心とした急性冠症候群においても同様な危険因子が指摘されているが,脳血管障害発生率は1%以下と低い523).侵襲的治療手段により治療抵抗性狭心症の

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

頻度は低下したが,脳卒中と出血性合併症は保存的治療に比べ高率となる524).脳梗塞発生は,待機手術と緊急手術では後者で高率となり,85%が低血圧や低心機能など血行動態に関する要因で,残りが周術期血栓塞栓症と推定されている.厚生労働省循環器委託研究班による,「冠血行再建術における脳血管疾患合併の診療に関するガイドライン」を参照されたい525).

4 低心機能 低心機能を伴った急性冠症候群では,虚血により心不全やショックを生じやすいため,虚血の治療とともに補助循環の使用を含めた心機能の改善処置が必要である.冠動脈造影や血行再建術時には大動脈内バルーンパンピングを併用する.低心機能例では,ワルファリンの使用により非使用例に比べ有意に死亡や心不全死・心不全入院が少なく,これは心房細動や左室駆出率,NYHA,年齢に関係しない独立した因子である526).

5 冠動脈バイパス術後 静脈グラフトに起因した急性冠症候群は,血栓量,変性した粥腫量が多い病変であることが特徴である527).このため,静脈グラフト病変に対するPCIは末梢塞栓,冠合併症の頻度が高い528).前拡張のないステント留置が有効であるとの報告もあるが,PCIの成績を改善するには,血栓を除去するデバイス,末梢塞栓を防止するデバイス,血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬の使用など,新たな手法の確立が待たれる.なお,冠動脈バイパス術の既往例に対するPCIでは,病変が複雑であること以外に,高齢者が多く,冠動脈病変も高度で,心機能不良例が多く,他に多くの合併疾患を有することも問題となる.

6 糖尿病 非ST上昇型急性冠症候群のうち20~25%で糖尿病を併発している529).また糖尿病は,不安定狭心症の長期予後悪化の予知因子の一つである530).糖尿病を有する症例は症状が非典型的であることがしばしばで,呼吸困難を主訴とすることも多い.糖尿病患者で無症候である頻度が高いのは感覚神経障害のためといわれている.症状が非典型的であることは来院遅延と予後悪化の原因となる.冠動脈病変は多枝病変,びまん性病変,石灰化病変,不安定プラークや血栓が多く,PCIで良好な拡張が得にくい場合も多い531)-533).また,遠隔期の心事故や再血行再建率の実施率も高いとされる534).糖尿病症例においてもバルーン単独に比べステント使用による再狭窄軽減は明らかである538).近年実施された3枝病変,

左主幹部病変に対する冠動脈バイパス術と薬物溶出性ステント(パクリタクセル)とを比較したSYNTAX試験では,糖尿病群で1年後のイベント発生(全死亡,心筋梗塞,脳卒中,再血行再建)で,バイパス術が優れるとの結果であった250).また,冠動脈疾患に糖尿病を有する症例に対するカテーテル治療と薬物治療,あるいは冠動脈バイパス術と薬物治療を比較した前向き試験であるBARI-2Dでは,カテーテル治療と薬物治療で複合心血管イベント発生率に差はないが,冠動脈バイパス術と薬物治療では,有意にバイパス術施行例で低率であった536).今後,糖尿病を有する非ST上昇型ACS症例に対する薬物溶出性ステントと冠動脈バイパス術との長期予後の検討が必要である .

7 その他 腎不全や消化管出血に伴う貧血では,狭心症が増悪して2次性に不安定狭心症を生じるため160),原疾患の治療とともにHb10g/dlを維持する必要がある.また,消化管出血がある場合には抗凝固薬や抗血小板薬の使用が制限されるため,原疾患の治療が優先される.

Ⅳ 退院後管理

 急性冠症候群の病態は通常発症後2~3か月以内に安定化し,大多数の患者は安定狭心症または安定した無症候性冠動脈疾患の臨床経過を辿ることになる346).我が国では早期侵襲的治療を選択することが多いこともあり,退院後の長期管理は原則として安定した狭心症や無症候性冠動脈疾患の管理とほぼ同様となる.

1 退院準備

 患者の退院準備のために医師,看護師,薬剤師,理学療法士,作業療法士らが協力して患者指導にあたる.その目標は,1)患者の活動を可能な限り元通りのレベルにまで戻すための準備をすること,2)今回の入院を生活習慣と冠危険因子を是正するための機会と捉えること,の2つである.

クラスⅠ1.投薬の目的,内容,用量,用法,副作用等について,患者および介護者に文書を用いて説明する.(レベルC)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

2.毎日の適度な運動を勧めるとともに,職場復帰,性生活の再開,車の運転,旅行等に関する具体的な指示を行う.(レベルC)3.心筋虚血症状の特徴と対処法を,患者および介護者に説明する.(レベルC)4.介護者に自動体外式除細動器(AED)を含む1次救命処置(BLS)について学習するよう助言し,訓練プログラムを紹介する.(レベルC)5.狭心症の頻度が増えるか,程度が増強するか,より軽度の労作で誘発されるか,または新たに安静時に起こる場合など症状に変化のある場合は,ただちに受診するよう患者および介護者に指示する.(レベルC)

 AHAのガイドラインによれば,低リスクの患者では職場復帰は退院2週間後が推奨されている.日常歩行は退院後ただちに,性生活は退院7~10日後に,車の運転は退院1週間後が目安である537).

2 退院後のモニタリングと検査

クラスⅠ1.退院時に一定期間後の再診予約が必要であることを説明する.低リスクの薬物治療患者および血行再建に成功した患者は2~4週間後に,高リスク患者は1~2週間後に外来を受診させる.(レベルC)2.最初に保存的治療を受け退院した患者が,薬物治療にもかかわらず不安定狭心症を再発するか,または重症(CCS 分類クラスⅢ以上)の慢性狭心症を呈し,しかも血行再建術の適応がある場合は,入院させて冠動脈造影を施行する.(レベルB)

 保存的治療を受け退院した患者については再診時に狭心症の重症度を評価し,冠動脈造影および血行再建術の要否を再検討する必要がある.2011年の「ACC/AHA 不安定狭心症と非ST上昇型心筋梗塞患者管理ガイドライン537)」では,以下のいずれかの場合に冠動脈造影を含む心臓カテーテル検査を行うことを勧告している.1)不安定狭心症の再発および狭心症発作の有意な増加2)運動負荷検査における高リスク指標(2mm以上の

ST低下,10mmHg以上の収縮期血圧低下など)3)うっ血性心不全4)軽労作での狭心症出現(狭心症のためBruceプロトコールのステージ2 を完了できない)

5)心臓突然死からの生還者

 ACS患者17,142名の退院6か月後の予後を調査したGRACE registryによると,死亡率は平均4.8%で死亡予測因子は,1)高齢,2)心筋梗塞の既往,3)心不全の既往,4)発症時の頻脈,5)発症時の低血圧,6)発症時の血清クレアチニン値上昇,7)発症時の心臓バイオマーカーの上昇,8)発症時のST低下,9)PCIを行わなかったこと,の9項目であった261).

3 薬物治療と冠危険因子の管理

 原則として退院直前の抗狭心症薬と抗血栓薬投与(抗血小板薬と抗凝固薬)は退院後も継続する.薬物治療は長期予後改善を目的とした抗血小板薬,β遮断薬,脂質異常症治療薬とACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と,虚血症状の軽減を目的にした硝酸薬,β遮断薬とCa拮抗薬である.さらに冠危険因子である高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙,肥満等の管理,治療を行う.

1 薬物治療クラスⅠ1.血行再建治療を受けなかった患者,血行再建が不成功だった患者,血行再建後に心筋虚血が再発した患者に入院中に要した抗狭心症薬を退院後も継続投与する.(レベルC)2.すべての退院患者に,狭心症発作が2~3分以上持続するときは安静にし,狭心痛が治まらないときは硝酸薬の舌下投与かスプレー吸入を行うよう指示する.5分以内に軽快しないときは,119番通報を行いながら,臥位または座位で2度目,3度目の投与を5分ごとに行う.(レベルC)3.胸痛が頻回になる,強くなる,軽い労作で起きるようになる,安静時に起きるようになるといった変化が生じた場合は病院に連絡するように患者指導を行う.(レベルC)

①抗血小板療法

クラス I1.ステント留置を行わない患者にはアスピリン81~162mgを無期限に投与する(レベルA).クロピドグレル1日75mgは最低1か月(レベルA),できれば1年間投与する(レベルB).2.ベアメタルステントを留置した患者にはアスピリ

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

ン81~162mgを無期限に投与する(レベルA).クロピドグレル1日75mgは最低1か月(出血性リスクの高い場合は最低2週間),できれば1年間投与する(レベルB).3.薬剤溶出性ステントを留置した患者にはアスピリン81~162mgを無期限に投与する(レベルB).クロピドグレル1日75mgは最低1年間投与する(レベルB).4.アスピリン禁忌患者ではクロピドグレル1日75mgを投与する(レベルA).

クラス IIb1.心房細動,人工弁,深部静脈血栓症など抗凝固療法の適応があるとき,アスピリン投与下で中等度用量(INR2.0~2.5)のワルファリンを投与する.(レベルB).(アスピリンとクロピドグレル併用下で,ワルファリンを追加投与する場合の至適 INRは確立していない.)2.アスピリン,クロピドグレル,チクロピジンが使用できない場合,シロスタゾール,トラピジル,サルポグレラートを使用する.

クラス III 抗血小板療法薬としてジピリダモールを投与する.(レベルA)

 急性冠症候群に対してステント留置後に用いる抗血小板剤の種類,使用量,期間については,我が国での臨床成績は限られているため,2011年の「ACC/AHA 不安定狭心症と非ST上昇型心筋梗塞患者管理ガイドライン537)」を参考に記した.日本人ではアスピリン50~100mg前後で効果を発揮し得ると思われるが538),539),至適量についてはなお検討を要する.我が国におけるアスピリン使用の実態を考慮すれば,ステント留置後においてもアスピリン初期投与量を1日81~162mgとすることは妥当と思われる.薬剤溶出性ステント留置後のアスピリンとチエノピリジン併用の期間は,現在進行中の大規模試験の結果を受けて,あるいはステントの改良の都度,再考されるべき課題であるが,我が国におけるステント血栓症の頻度は欧米に比して低く,出血リスクを有する症例では,その短縮が考慮される540).

②β遮断薬

クラス I1.β遮断薬は禁忌のない限りすべての急性冠症候群患者において投与する(レベルB).2.中等度から重度の左室収縮不全を合併する患者で

は,心機能低下例においてエビデンスのあるβ遮断薬を漸増させて使用する.(レベルB)

 急性心筋梗塞におけるβ遮断薬の有効性を確立した多くの報告は,再灌流治療の開始以前になされたものである541)-545).その後のACE阻害薬や急性心筋梗塞の再灌流療法の有効性が確立し,普及した時代におけるCAPRICORN試験546)でも,カルベジロールが左心機能障害を伴った心筋梗塞患者の予後を改善している.ただし,血行再建術が成功した低リスク患者全例にβ遮断薬を投与すべきか否かについては十分検討されていない.日本人ではβ遮断薬の投与にあたり心不全と冠動脈スパスムの発生に留意すべきである547).

③ レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬

クラス I1.ACE阻害薬は急性冠症候群患者の心不全合併例,

LVEF 40%以下,高血圧や糖尿病合併例において禁忌のない限り無期限に投与する.(レベルA)2.ARBは心不全合併例やLVEF 40%以下の例でACE阻害薬に忍容性のない患者において投与する.(レベルA)3.アルドステロン受容体拮抗薬は,クレアチニンクリアランス30mL/分以下の腎機能障害や5.0mEq/L以上の高カリウム血症がなく,LVEF 40%以下または心不全症状や糖尿病を持つ患者で,すでに十分な量のACE阻害薬を投与されている患者に投与する.(レベルA)

クラス IIa ACE阻害薬は左室収縮不全や高血圧,糖尿病のない患者においても禁忌のない限り投与する.(レベルA)クラス IIb ACE阻害薬とARBの併用は,急性冠症候群後に急性期が過ぎても心不全症状が持続するLVEF 40%以下の患者において,ACE阻害薬またはARB単独の投与が奏功しない場合に考慮する.(レベルB)

 急性心筋梗塞症例に対するACE阻害薬の投与は,左室の remodelingを抑制することにより,死亡や心不全を予防しうる548),549).ARBについては,ACE阻害薬とほぼ同等の成績を認めた大規模臨床試験が複数ある550),551).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

④硝酸薬

クラス I 虚血症状の改善目的において投与する.(レベルC)クラス IIa ニコランジルを安定狭心症を伴う陳旧性心筋梗塞患者に対して長期間投与する.(レベルB)クラス III 虚血発作や心不全のない心筋梗塞の慢性期患者に対して長時間作用型硝酸薬を長期間投与する.(レベルC)

 クラス IIa, IIIの記載は我が国の心筋梗塞2次予防に関するガイドライン(2006年改訂版)に従った552).IONA Study のサブグループ解析553)によれば,陳旧性心筋梗塞患者を対象にニコランジル投与群とプラセボ投与群でイベント発生率を比較すると,ニコランジル群でイベントの頻度が低値であった.

⑤カルシウム拮抗薬

クラス I 虚血症状の改善がβ遮断薬では不十分な場合や,β遮断薬が禁忌の場合,冠攣縮の関与が疑われる場合に投与する.(レベルB)

⑥ワルファリン

クラス I アスピリンやクロピドグレルと併用する場合は出血性リスクが増加するため,モニターを頻回に行う.(レベルA)

2 冠危険因子の是正

①脂質管理

クラス I1. 入院後24時間以内に全患者の空腹時の脂質評価を行う.(レベルC)2. 急性冠症候群の全患者に,LDL値や栄養管理にかかわらず,禁忌のない限りスタチンを投与する.(レベルA)3. LDL値の目標は100mg/dL未満,HDL値の目標は40mg/dL以上,中性脂肪の目標は150mg/dL未満とする.(レベルB)

 ST上昇型心筋梗塞を主たる対象とする試験であるが,

我が国で行われた無作為化比較試験において,急性冠症候群患者に早期からスタチンを投与することにより,心血管イベントが抑制され(MUSASHI-AMI試験554),IVUS上の冠動脈プラーク退縮が認められること(ESTABLISH試験359),JAPAN-ACS試験555))が示されている.

②血圧管理

クラス I JSH2009ガイドライン556)に準拠した血圧コントロールを行う.(レベルA)

 これによると心筋梗塞後,CKD,糖尿病合併患者の降圧目標は130/80mmHg未満であり,65歳以上の高齢者では140/90mmHg未満である(レベルA).体重コントロール,運動量の増加,飲酒の節制,塩分摂取量減少,果物や野菜摂取の増加,脂質摂取量低下といった生活習慣改善とともにβ遮断薬あるいはACE阻害薬を第一選択とした投薬を開始し,降圧不十分であればサイアザイドを加える.ただし,冠動脈血行再建が成功した低リスク患者において,β遮断薬のCa拮抗薬に対する優位性を示すデータは十分ではない.日本人では冠スパスムの発生頻度が高いことに留意し,Ca拮抗薬も考慮する必要がある.

③糖尿病管理

クラス I HbA1c 6.5%未満を維持する.(レベルB)

④禁煙

クラス I 禁煙,そして受動喫煙を避けることを,職場および自宅で実行する.禁煙プログラムへの参加と薬物治療も利用する.(レベルB)

⑤体重管理

クラス I 外来受診時毎の体重を測定しBody Mass Index(BMI,kg/m2)を適正に維持する.(レベルA)

⑥運動

クラス I 急性冠症候群の患者は入院中にリスク評価を行い,これまでの身体活動歴と運動負荷テストを参考にして退院後の運動量を決定する.通常1日30~60分,週5

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

回(できれば毎日),歩行や庭仕事,家事などの有酸素運動を行う.(レベルB)557)

⑦心臓リハビリテーション

クラス I1.急性冠症候群治療後安定期の心臓リハビリテーション(レベルB)2.中等度から高リスクの患者における監視下の運動トレーニング(レベルB).3.危険因子を複数持つ患者における2次予防プログラム(レベルB)

 虚血性心疾患患者に対する心臓リハビリテーションは長期生命予後を改善させることが示されており558),PCI後患者を対象とした複数の研究においてもその安全性と有効性が示されている559)-561).STEMI,NSTEMIを問わず急性冠症候群の回復期に,栄養,薬,カウンセリングなどの患者教育や退院後の生活を含めて指導することがQOLおよび予後の向上に有効である.再灌流成功・心機能良好で心不全合併がなく予後に関して低リスクと考えられる若年AMI患者であっても冠危険因子多重(3個以上)保有者が約半数(49%)を占めており,低リスクAMI患者であっても,退院後の心臓リハビリへの積極的参加により不参加群に比べ,運動耐容能と冠危険因子プロフィールの有意な改善が得られることも示されている562).TIMI risk scoreやCADILLAC risk scoreなどが低く短期予後が良好な患者群でも冠危険因子の多重保有者が高頻度であり,Lloyd-Jonesら563)の提唱する「生涯リスク(Lifetimerisk)」が高い可能性を示すものであり,患者の生涯リスクを改善する目的としての心臓リハビリへの積極的参加が勧められる.さらに,虚血性心疾患患者の退院後マネジメントに関する新しい潮流として, 疾 病 管 理 プ ロ グ ラ ム(Disease management program)の考え方がある564).疾病管理プログラムとは,慢性心不全や糖尿病などの慢性疾患患者に対して,医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・訪問看護師などの多職種チームが退院前から退院後にわたり医学的評価・患者教育・生活指導を包括的かつ計画的に実施して再入院抑制を含む予後改善を目指す中期~長期プログラムであり,急性冠症候群にも応用できる.

⑧インフルエンザ

クラス I 心疾患のある患者すべてにインフルエンザワクチン接種を勧める.(レベルB)

⑨非ステロイド性抗炎症薬

クラス I 退院前に筋骨格系の慢性疼痛に対する評価を行い,鎮痛薬が必要な場合はまずアセトアミノフェンから開始する.(レベルC)

クラス IIa アセトアミノフェンや非アセチル化系サリチル酸では効果不十分な場合に非選択的非ステロイド性抗炎症薬を使用する.(レベルC)クラス IIb アセトアミノフェンや非アセチル化系サリチル酸,非選択的非ステロイド性抗炎症薬で効果不十分な場合においてのみCOX-2選択的非ステロイド性抗炎症薬を使用する.(レベルC)

 選択的COX-2阻害薬およびその他の非選択的非ステロイド性抗炎症薬は心血管系リスクを上昇させることが報告されており,特に冠動脈疾患の既往のある患者では顕著である.デンマークにおける初回心筋梗塞後患者58,432人の大規模観察研究の結果,ハザード比と95%信頼区間はロフェコクシブ 2.80(2.41~3.25), セレコクシブ (商品名セレコックス)2.57(2.15~3.08), イブプロフェン(商品名ブルフェン,その他)1.50(1.36~1.67), ディクロフェナ(商品名ボルタレン,その他)2.40 (2.09~2.80), その他の非ステロイド性抗炎症薬で1.29 (1.16~1.43)であった565).

⑩ホルモン療法

クラス III1.急性冠症候群後の2次予防目的で,閉経後の患者にエストロゲン+プロゲステロン,あるいはエストロゲン単独のホルモン療法を行う.(レベルA)2.エストロゲン+プロゲステロン,あるいはエストロゲン単独のホルモン療法を施行中の閉経後の患者が急性冠症候群になった場合,ホルモン療法を継続する.

 ただしホルモン療法開始後1~2年が経過し,急性冠症候群回復後に患者が他の必要性からホルモン療法の継続を希望する場合は,心血管イベントが増加するリスク,エストロゲン+プロゲステロンで乳癌が増加するリスク,エストロゲン単独で脳卒中が増加するリスクと患者利益を勘案して継続を決定すべきである.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

4 治療後の長期予後

 治療後の長期予後(1年以後)に関しては,PCIやCABGによる冠血行再建術の有無や各種薬物療法の影響を受ける.PCIの場合,通常,ステントが留置される.非ST上昇型心筋梗塞あるいは不安定狭心症を対象として,ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントの長期成績を比較した検討はないが,ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントを比較した無作為比較試験では,非ST上昇型心筋梗塞あるいは不安定狭心症を含めた試験が多く566),その長期予後の検討で,薬剤溶出性ステントの有用性が確認されているものが多い.実際に,急性冠症候群で,安定型狭心症に比べ,薬剤溶出性ステントの問題点とされる遅発性の再狭窄や超遅発性ステント血栓症が高くなるとの報告はないが,今後,我が国での第2世代の薬剤溶出性ステントでのこれらの問題点についての検討が必要と思われる. 急性冠症候群の長期予後改善には,上述の治療に伴う適切な対応に加え,2次予防も重要である.冠危険因子のコントロールとともに,再発の早期発見を含めた経過観察を行う必要がある.

Ⅴ 医療費に関する考察

 Radenskiらは,狭心症として典型的な胸痛を訴え,胸痛時心電図で虚血性変化を認めない患者を対象とし,胸痛時にテクネシウム -99mセスタミビSPECT心筋シンチグラムを施行し,未施行例を対照とし比較検討した567),心死亡,非致死的心筋梗塞,血行再建を心事故とした検討では,心筋シンチグラムの心事故発症に対するsensitivity解析の結果,費用の増加は認められなかった.したがって,心筋シンチグラムにより心筋虚血を同定することは,急性冠症候群の診断において安全で感受性が高く,かつ費用対効果のよい手法であると結論された. 近年冠動脈CTは急速な技術進歩により,臨床の場での重要性が高まって来ている. 冠動脈CTによる急性期冠動脈診断は入院期間短縮の効果が期待される.また,運動負荷試験に比べ安全である.長期予後における費用対効果に対する検討が今後望まれる568).一方で,我が国に多い冠攣縮の関与した急性冠症候群は.冠動脈CTでは捕捉されない可能性がある.

 治療に関しては,DESの登場により再狭窄率の著しい改善が得られたが,遅延性再閉塞の問題があり,抗血小板薬の投与期間や長期予後に対する費用対効果についてはまだ十分な議論がなされたとはいえない.非ST上昇型急性冠症候群においては,保存的治療の方が急性期侵襲的治療に比べるとコストが低いと考えられるため,急性期侵襲的治療の適応は慎重に判断する必要がある569). 急性冠症候群低リスク群のスクリーニングにおいては,依然として病状経過・身体所見・心電図所見が有効であり,基本的な診療技術が最先端技術よりも費用対効果の面でも優れている570).

Ⅵ 今後の課題

 近年,ST上昇型急性心筋梗塞が減少傾向にあるのに対して,非ST上昇型急性冠症候群は増加しており,その予後を改善することは国民医療全体においても今後の重要な課題である.非定型的な症状や非常に軽微な症状が重篤な急性冠症候群の表現形であることもまれではないため,特に冠危険因子を有する一般人に急性冠症候群についての啓発を行い,疑わしい症状を有する場合の早期受診を促すことは重要である. 急性冠症候群は,急性期治療の如何により予後が大きく変わり得る疾患群であり,このため有効性が示された最近の診断法,治療法を個々の患者の病態に応じて実践していくことが望まれる.急性冠症候群の診断やリスク層別化においては,依然として病状経過・身体所見・心電図所見の適切な把握が重要であり,基本的な診療技術が最先端技術よりも優先されることをしっかりと認識する必要がある. 急性冠症候群の病像は幅広いスペクトラムを呈するため,早期のリスク層別が重要である.高感度トロポニン,高感度C反応性蛋白(hs-CRP)などのバイオマーカーが臨床応用されて来てはいるものの十分に満足できるレベルではなく病因や病態を反映した新たなバイオマーカーの開発が望まれる.欧米では病歴,心電図,バイオマーカー等から総合的にリスクを評価するTIMIリスクスコアやGRACEスコアが広く用いられている.しかし,我が国においてはそれほど普及していないのが現状かと思われ,その有用性を検証し活用していくことで,リスク評価法を向上することが重要である. 治療では,個々の症例のリスクに基づき薬物による抗

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非 ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン

血栓,抗虚血療法を行った上で侵襲的治療を選択するか否かを決定する.病態の中心となる血栓形成をより強力に抑制する目的で新たな抗凝固薬や抗血小板薬が開発されており,欧米では多くの薬剤の臨床使用が可能となっている.しかし中でも,欧米のガイドラインで推奨されている血小板膜糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬は我が国では使用できず,低分子ヘパリンも同様である.また最近のトレンドは,心血管イベント減少を目指した強力な抗血栓効果に目を向けるだけでなく,予後悪化の強力な因子であることが明らかとなった出血性合併症をいかに減らすかに焦点を当て,その薬剤のnet benefitを評価するという考え方が一般的となっている. 侵襲的治療では主に冠インターベンション(PCI)が選択されるが,来院後ただちに行うべきか,一定の時間をおいて行った方がよいのか,病状を安定化させることの必要性や有効性および併用薬剤投与の時期などについては一定した見解は得られていない.ステント留置例での抗血小板療法では,アスピリンとチエノピリジン系薬剤であるクロピドグレルの2剤併用療法(dual anti-platelet therapy; DAPT)が行われるが,特に早期ステント血栓症を予防する目的でのクロピドグレルの投与量や,現在臨床治験が進行中のプラスグレル,チカグレロールなどの薬剤の我が国における有用性については今後の検討課題の一つと思われる.さらに,高齢化に伴い,

心房細動の合併例が増加している現状において,従来のワルファリンに加え,今後さらに直接的トロンビン阻害薬や第Xa因子阻害薬が登場した状況において,抗血小板薬と抗凝固薬の併用のあり方について検討が必要である. さらに,より有効なPCIを目指すうえで,PCI時の末梢塞栓や微小心筋障害は予後不良と関連する重要な課題である.血管内イメージング法のみならず冠動脈CTやMRIなども含めた画像診断法によるその予測と予防・治療法が望まれる.また,新たなdistal protection deviceの開発や適応患者を含めたその有用性についての検討も必要と思われる.スタチンによる脂質低下療法については,我が国からのエビデンスもあり,その有用性はすでに確立されているが,PCI直前の高用量スタチン投与による有効性も報告されており,急性期におけるスタチンの多面的効果も期待される. 近年,我が国からも大規模な臨床研究の成果が報告されるようになったが,依然として本ガイドラインの作成に使用したエビデンスの多くは欧米からの臨床成績である.しかしながら我が国においても大規模臨床試験のための環境が整備されつつあり,その結果,より多くのエビデンスが蓄積され,日本人のデータに基づいたガイドライン作成が可能となることが期待される.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

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