運動誘発性虚脱（Exerciseinduced collapse: EIC）遺伝子検査

運動誘発性虚脱（EIC）は、ラブラドール・レトリーバーに好発する遺伝性疾患（遺伝病）です。激しい運動により筋肉が虚脱し、起立困難に陥ります。YouTube等の動画投稿サイトにて、「Exercise induced collapse」で検索すると、虚脱したイヌの動画をご覧いただけます（一般から投稿）。本疾患は遺伝性疾患である為、蔓延の防止には正常な個体を繁殖相手に選ぶ必要があります。また、好発犬種で発症のリスクを知ることは、発症し場合に冷静に対処することができます。ケーナインラボでは、本疾患の遺伝子検査を開始しました。

EICの症例では、神経伝達に関わるダイナミン1というタンパク質がコードされている遺伝子（ダイナミン1遺伝子）に変異が存在します。検査ではダイナミン１遺伝子の変異の有無を検出するとともに、対立遺伝子（父犬、母犬それぞれから受け継いだ２つの遺伝子）の一方に（キャリアー）、それとも両方に（発症犬）変異が存在するのか否かを明らかにします。変異が認められた場合（キャリア、発症犬）には、仔犬に遺伝する可能性が高く、対立遺伝子の両方に認められた場合（発症犬）には、発症の可能性があります。

正常 キャリアー 発症犬

発症の可能性 低い 低い 高い＊

対立遺伝子の状態

◇遺伝子検査

遺伝子に変異なし

対立遺伝子の一方に変異有

対立遺伝子の両方に変異有

ダイナミン１遺伝子に変異を持つ個体の割合（変異率）が報告されています。

◇参考データ

正常

キャリアー

発症犬

日本国内のラブラドール

変異率（症例数）

57.9 % （77/133)

37.6 % (50/133)

4.5 % (6/133)

Veterinary Journal, 鷹栖ら（那須野ヶ原アニマルクリニック）, 2011 in press

株式会社 ケーナインラボ〒184-0012

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検体集荷

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FAX: 042-443-6182

お気軽にお問い合わせ下さい。 検体集荷はモノリスが代行しています。

＊対立遺伝子の両方に変異が存在しても100%発症するわけではありません。

◇検体：EDTA/へパリン処理血 0.5 ml＊＊採血が難しい場合には、口腔粘膜のスワブでも可能です。ご相談下さい。＊＊

◇費用：お問い合わせ下さい。

◇所要日数：5～7営業日

Q&A

Ｑ：EICの治療法はありますか？Ａ：遺伝性疾患全般に言えることですが、EICにおいても治療法は確立されていません。しかし、激しい運動により誘発されることから、発症の危険性がある個体では、激しい運動を控えることが最大の対策となります。

Ｑ：激しい運動とはどのような運動ですか？Ａ：フリスビーキャッチやボールキャッチなどは激しい運動に含まれます。しかし、自転車での散歩など、ジョギング程度は問題ないとされています。

Ｑ：ラブラドール・レトリーバー以外の好発犬種は？A：研究報告によると、ウェルシュ・コーギーも好発犬種に含まれますが、日本で調査されたことはありません。

Ｑ：変異が検出された個体で繁殖を行った場合には、どれくらいの頻度で遺伝しますか？A：EICの原因遺伝子は、第９染色体に存在するダイナミン１遺伝子です。したがって、仔犬への遺伝はメンデルの法則に従います。下の図を参照して下さい。常染色体劣性遺伝で遺伝します。

発症犬

変異なし キャリアー キャリアーキャリアー

キャリアー 発症犬変異なし

親犬

仔犬

親犬

仔犬

親犬

仔犬

親犬

仔犬