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死刑廃止は国際社会の大きな流れです
2013年 12月末現在,死刑を廃止又は停止している国は140か国,他方,2013年に死刑を執行した国は22か国にすぎません。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は,日本・韓国・アメリカの3か国のみです。しかし,韓国とアメリカの18州は死刑を廃止又は停止しており,死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみです。
国連は,死刑執行停止を求め続けています。1948●世界人権宣言「すべて人は生命に対する権利を有する」
1989●国際人権(自由権)規約第二選択議定書〔いわゆる死刑廃止条約〕(現在81か国締約,日本は未締約)
1997以降,毎年●国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)「死刑廃止に関する決議」
2007,2008,2010,2012●国連総会本会議 死刑存置国に対し死刑執行停止を求める決議
日本は国連から,死刑廃止についての勧告を受け続けています。1993,1998●国際人権(自由権)規約委員会「死刑を法定刑とする犯罪を減少させるなど死刑廃止に向けた措置を講ずること」「死刑確定者の処遇が自由権規約に反するとしてその改善」を求める勧告。
2007●国連拷問禁止委員会 死刑を言い渡された人々に関する国内法における多くの条項が,拷問あるいは虐待に相当し得るものであることに深刻な懸念を示す。
2008●国際人権(自由権)規約委員会「締約国は,世論調査の結果にかかわらず,死刑の廃止を前向きに検討し,必要に応じて,国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべき」と勧告。
2013●国連拷問禁止委員会 死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告。
2014●国際人権(自由権)規約委員会「死刑の廃止を十分に考慮すること」「死刑の廃止を目指して規約の第二選択議定書(死刑廃止条約)への加入を考慮すること」などを勧告。
■赤 :死刑存置国(ただし,アメリカのうち18 州では死刑は廃止されている(死刑を廃止したアラスカ州は白色としている))
■白 :法律上死刑を廃止した国
■薄黄:事実上の死刑廃止国(2013 年12月末現在 アムネスティ・インターナショナルによる)
死刑廃止について議論をはじめましょう
日本弁護士連合会は死刑廃止についての議論を呼びかけています
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2014 年 11月改訂版発行
日本弁護士連合会(日弁連)の基本的立場
◆日弁連は,死刑のない社会が望ましいことを見据え, 死刑廃止についての全社会的議論を呼びかけます。◆人権を尊重する民主主義社会にとって,犯罪被害者・遺族の支援と死刑のない社会への取組は,いずれも重要な課題です。
◆政府は,死刑制度についての情報を積極的に国民に開示し,法務省に有識者会議を設置する,国会は委員会を設置するなどして,死刑制度の廃止について全社会的議論を開始するべきです。
また,その議論の間は,死刑の執行を停止するべきです。
日本弁護士連合会◦〒100-0013東京都千代田区霞が関1−1−3tel03-3580-9841㈹ http://www.nichibenren.or.jp/
死刑のない社会が望ましいわけ ~ 私たちの社会のあり方 ~
死刑はかけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え,罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき,その可能性を完全に奪うという問題点を内包しています。私たちが目指すべき社会は,すべての人々が尊厳をもって共生できる社会ではないでしょうか。そこでは,罪を犯した人も最終的には社会が受けいれる可能性を完全に排除してはならず,か
つ犯罪被害者・遺族の精神的・社会的・経済的支援を充実化させなければなりません。ヨーロッパ諸国は,犯罪被害者・遺族を手厚く支援し,かつ死刑を廃止しています。すべての人々が尊厳をもって共生できる社会にとって,
犯罪被害者・遺族の支援と死刑のない社会への取組はいずれも重要な課題なのです。
死刑は取り返しのつかない刑罰です裁判は常に誤判の危険をはらんでおり,死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつきません。とくに日本では,死刑事件について既に4件もの再審無罪判決が確定しています(免田・財田川・松山・島田事件)。また,死刑事件ではないものの,近時においても,足利事件・布川事件・東電OL殺人事件について再審無罪判決が言い渡されています。死刑事件である名張毒ぶどう酒事件や袴田事件は,えん罪である疑いが強く,日弁連はその再審を支援しています。2014年 3月 27日,静岡地方裁判所は袴田事件について再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する画期的な決定をしました。この決定は,現在でも死刑えん罪が存
在することを改めて示しています。また,既に死刑の執行された飯塚事件は,足利事件と同様に精度の低いDNA鑑定などに基づき死刑が言い渡され執行された事件であり,現在,遺族が再審を請求しています。(2014年 3月 31日,福岡地方裁判所は飯塚事件について再審請求を棄却する決定をしました。弁護団が即時抗告をしています。)このように,誤判による死刑執行の危険性は現実的なものであり,死刑制度を維持し執行を継続する限り,常にその危険性があります。
死刑の犯罪抑止力は証明されていません
死刑を廃止すると凶悪・残忍な犯罪が増加するのでしょうか?死刑に他の刑罰(例えば終身刑など)に比べて,とくに犯罪の抑止力があるという証拠はありません。アメリカでは死刑廃止州よりも存置州の方が殺人事件の発生率が高いというデータがあります。日本では死刑になりたいという動機で「無差別殺人」を起こしたとされる事件もあります。犯罪の抑止は,犯罪原因の研究と予防対策を総合的・科学的に行うことによって進めていくべきです。
死刑の残虐性日本では,死刑の執行は絞首刑によって行われています。絞首刑の場合,落下する際に首が切断されるおそれがあると指摘されています。自らも死刑の求刑及び死刑執行への立会いの経験を有する元最高検検事が,「受刑者に不必要な肉体的,精神的苦痛を与える」もので,憲法第36条が絶対に禁止する残虐な刑罰に限りなく近いと裁判で証言しています。
死刑に代わる最高刑の検討が必要です
死刑に代わる最高刑として,現行の仮釈放が可能である無期刑とは別に,仮釈放のない終身刑(受刑者処遇の適正化及び恩赦制度の抜本的な改善を含む)についても議論がなされるべきです。
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