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中国エリアにおける 広域的な停電リスクについて 平成31年2月 中国電力株式会社 ボイラー・タービン主任技術者会議

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  • 中国エリアにおける

    広域的な停電リスクについて

    平成31年2月

    中国電力株式会社

    ボイラー・タービン主任技術者会議

  • 1はじめに

    平成30年9月6日に発生した北海道胆振(いぶり)地方を震源とする地震では,北海道エリアの全ての発電所(発電機)が停止するに至り,北海道全域が停電しました。

    電気は貯めておくことができないため,需要と供給のバランスを保つことが重要となります。

    停電に至った詳しい経緯等は,現在検証が行われているところですが,一般的には,需要と供給のバランスが保てず周波数が乱れると,発電機が連鎖的に停止し,広域的な停電(ブラックアウト)が発生する可能性があります。

    北海道エリアと中国エリアでは電力需要の規模や他エリアとの連系設備等の状況が異なるため,中国エリア全域が停電する可能性は極めて低いと考えています。

    今後も電源構成や系統の変化,新たな知見等に対しては,適切に対応してまいります。

  • 2北海道エリアの状況

    事象発生後の報道内容によると,震度7の地震に伴い,最大電源である苫東厚真発電所(165万kW)を含む道内の全ての発電機が停止するとともに,北海道と本州をつなぐ北本連系線も運転不能※1となりました。これにより,供給力が喪失し,北海道全域が停電(ブラックアウト)しました。

    平成30年9月6日(木)① 3時7分,北海道胆振地方を震源と

    する震度7の地震が発生

    ② 3時8分,主力電源の苫東厚真火力2,4号機が停止

    ③ 3時25分,北海道エリアの全ての発電機が停止(北本連系線も停止)

    ④ 北海道エリア全域が停電(ブラックアウト)

    発電所 許可出力

    苫東厚真火力1号機 35万kW

    苫東厚真火力2号機 60万kW

    苫東厚真火力4号機 70万kW

    砂川火力4号機 12.5万kW

    知内火力1,2号機 35万kW×2

    伊達火力1,2号機 35万kW×2

    奈井江火力1,2号機 17.5万kW×2

    苫小牧火力 25万kW

    京極水力1,2号機 20万kW×2

    高見水力2号機 10万kW

    合計 427.5万kW

    停止した発電機※2ブラックアウトまでの状況

    ※2 日本卸電力取引所 発電情報公表システムの公表情報等より

    ※1 北本連系線は直流の電気により連系されているため,直流と交流を変換する必要がある。この変換器を動作させるために必要な外部からの電気が途絶えたため,送電できなくなった。

  • 3周波数について

    電気は貯めておくことができないため,瞬時瞬時において「使われる電気(消費電力)」と「つくる電気(発電電力)」のバランスを,発電機の出力を調整することで維持し,周波数を一定の範囲に保っています。発電機の停止等のトラブルが発生した場合には,他の発電所の出力を上げる,新たな発電所を動かす,他のエリアから応援の電気を受けるなどしてバランスを維持します。

    ~周波数が乱れるとどうなるの?~

    お客さま設備のモーターの回転速度が変わる

    発電機の回転速度が変わる

    製糸工場などで製品に“ムラ”が発生

    機械的なストレスがかかる

    周波数が大幅に乱れた場合,機械的なストレスを回避するため ,発電機が連鎖的に停止

    大規模停電(ブラックアウト)に至る可能性

    電気を使用するお客さまにも,発電側にも影響します

    60Hz・・・中国,中部,北陸,関西,四国,九州,沖縄50Hz・・・北海道,東北,東京

    さらに周波数が乱れると・・・

  • 4ブラックアウトに至る過程

    一般的に,ブラックアウトに至る過程は,以下のとおりです。① 大規模災害等に伴う発電機の停止により発電電力(供給力)が低下することで,

    消費電力(需要)とのバランスが乱れ,周波数が低下② 供給力の積み増し等が出来ない場合,周波数が更に低下し,エリア内の全て

    の発電機が連鎖的に停止し,広域的な大規模停電が発生

    出典:電力広域的運営推進機関のホームページを基に作成

    ① ②対応できない

    場合

    【補足】

    消費電力(需要)が急激に脱落した場合は,稼働している発電機を抑制・停止することによりバランスを確保する

  • 5北海道エリアの特徴

    :主な電源立地箇所

    :系統規模

    :最大電源(発電所)

    苫東厚真165万kW

    <系統規模419万kW

    北海道エリアの最大電力※(系統規模)は419万kW北本連系線で東北エリアと直流の電気で連系〔1ルート,容量60万kW〕最大電源(現在運転中の発電所)は苫東厚真火力の165万kW主な電源(発電所)は需要地に近い道央圏に集中して立地

    北本連系線(直流,60万kW)

    ※ H30年度供給計画「最大3日平均電力」

    北海道エリア

    ⇒最大電源は系統規模の39%

  • 6

    本四連系線(交流,120万kW)

    関門連系線(交流,278万kW)

    関中連系線(交流,278万kW)

    中国エリアの特徴

    中国エリアの最大電力※(系統規模)は1,035万kW

    交流の電気で連系している60Hz系6エリア(西日本)合計の系統規模は8,611万kW関門・本四・関中連系線で九州・四国・関西エリアと交流の電気で連系〔4ルート,容量676万kW〕最大電源(現在運転中の発電所)は柳井火力の140万kW電源(発電所)は中国5県に分散して立地 鳥取:俣野川揚水(120万kW),島根:三隅火力(100万kW),岡山:玉島火力(120万kW),広島:南原

    揚水(62万kW),山口:柳井火力(140万kW) など

    系統規模(60Hz系6エリア)

    8,611万kW

    ≪柳井火力140万kW

    :主な電源立地箇所

    :系統規模

    :最大電源(発電所)

    中国エリア

    ⇒最大電源は系統規模の1.6%

    ※ H30年度供給計画「最大3日平均電力」

  • 7停電リスク

    系統規模の大きい60Hz系全体で運用していることや,中国エリアは4ルートの連系線により周囲のエリアと連系しているため,ブラックアウトとなる可能性は極めて低いといえます。

    60Hz系6エリア(西日本)が交流で連系しており,系統規模が大きいため,電源脱落時の周波数の低下量が比較的少ない

    隣接する3エリア(関西・四国・九州)と連系線4ルートで連系しており,電源脱落直後において,他エリアから多くの供給力を受電可能

    北海道エリア中国エリア

    系統規模は60Hz系6エリアで評価

    評 価

    系統規模 419万kW8,611万kW

    ・60Hz系6エリアの系統規模は北海道エリアの約20倍

    最大電源(発電所)

    苫東厚真火力165万kW

    柳井火力140万kW ・60Hz系6エリアにおける最大電源の系統規模に

    占める割合は小さく,電源脱落時の周波数の低下量は少ない系統規模に

    占める割合39% 1.6%

    連系線

    ルート数 1ルート 4ルート・ルート数が多いほど,連系線分断リスクが少なく,単独系統となりにくい

    容量 60万kW 676万kW・中国エリア向けの連系線容量は,中国エリア系統規模の約65%

    電源立地 道央圏に立地 各県に立地・分散立地の方が,地震発生時の電源脱落リスクが小さい

  • 8電力レジリエンス総点検について 出典:第3回電力レジリエンスWG (資料10)

  • 9

    評 価 区 分

    JEAC2014準拠 JEAC2014で設計した設備

    JEAC2014準拠相当

    JEAG1983~JEAC2009で設計した設備

    (JEAG1983)

    (JEAG1991)

    (JEAC2004)

    旧建築基準法(S56以前)で設計,その後シミュレーション等で耐震性を再評価し,レベル2地震動※でも倒壊・損壊に至らない結論が出たもの,若しくはレベル2地震動※で倒壊・損壊する結論が出たものに対し補強工事を実施したもの

    中国電力における耐震性評価の結果

    ボイラー及びその付属設備,蒸気タービン等及びその付属設備において「火力発電所の

    耐震設計規程(JEAC3605-2014)」の準拠,または準拠相当であることを確認した。

    【※火力発電所の耐震設計規程(JEAC3605-2014)用語の説明より】 レベル2地震動 :構造物の耐震設計に用いる入力地震動で,その構造物に作用しうる最大

    レベルの地震動 レベル1地震動 : 構造物の耐震設計に用いる入力地震動で,その構造物の供用期間中に

    発生する確率の高い地震動

  • 10【参考】地域間連系線の増強計画 出典:電力レジリエンスWG(中間取りまとめ)

  • 11

    以上,ご清聴ありがとうございました。

    中国エリアにおける�広域的な停電リスクについてはじめに北海道エリアの状況周波数についてブラックアウトに至る過程北海道エリアの特徴中国エリアの特徴停電リスク電力レジリエンス総点検について中国電力における耐震性評価の結果【参考】地域間連系線の増強計画スライド番号 12