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心理学の新しいかたち2 心理学史 新しいかたち 佐藤達哉巴箸 シリーズ企画・編集下山晴彦 鰔僧書房

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心理学の新しいかたち2

心理学史の

新しいかたち佐藤達哉巴箸

シリーズ企画・編集下山晴彦

鰔僧書房

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第4章「遺伝と環境」論争が紡ぎだすもの

渡 過 芳 之

第1節「逝伝と環境」論争の新展開

乳牛などの家畜が,それが生産する資源の壁や質を最大化するように品種改良されていることはよく知られている。ホルスタインの巨大な乳房や驚くべき乳量はそうした品種改良の一つの典型例である。しかし,家畜の行動や性格も品種改良されていることは,心理学者にはあまりなじみのない事実だろう。実際には,攻撃性の高い個体や人間に従順でない個体が人為的に淘汰され,人間からみて望ましい行動特性や社会性をもつ個体だけが交配させられることで,家畜はより利用しやすい行動特性や性格をもつ方向に育種されてきた車1.こうした品種改良が可能になるためには,そうした行動特性や性格に比較的大きな個体差があることと,その個体差のかなりの部分が遺伝的に規定され,親から子へと受け継がれることが前提となる。動物がそうである以上,動物との間に進化的類縁性をもつ人間においても,行動上の個人差のかなりの部分が遺伝的に規定されることは,自然に推測される。しかし,20世紀の心理学においては,個人差の遮伝規定性について考えることはあまり一般的ではなかった。もちろん,感覚や知覚,認知や学習などの基本的な機能や,発達(個体発生)の基本的な順序や過程など,あまり大きな個人差のない心理学的機能や特性が遺伝的に定まっていることは(特に明言されないにしても)常識的に認識されていたが,こと個人差について遺伝規定性を考えることは,一種のタブーですらあったかもしれない。このことには,個人差の遺伝決定論が優生学や人種差別,その他の政治的イデオロギーなどと結びついた不幸な歴史(Gould,19968);Lewontin,1992'2))も影響しているが,それ以上に,20世紀の多

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第4章「遮伝と環境」賎争が紡ぎだすものラK

くの心理学者に共有された基本的な指向性が,個人差の遺伝規定性というアイデアとはなじみにくかったことが大きく影響している。しかし20世紀の終盤に至って,一つは行動遺伝学の成果が,個人差に

一定の遺伝規定性があることを洗練された実証的データをもとに明らかに

するようになった(Plomin,1990)13)。もう一つは,進化心理学の勃興が人間の行動や「こころ」も環境への適応を通じた進化の産物であり,個体レベルを超えて遺伝的に伝達される機構に支えられていることを意識させるようになった(長谷川・長谷川,2000)9)。21世紀の個人差心理学が,これらの新しい知識を無視することはできないだろう。しかしその一方で,20世紀の個人差心理学が明らかにしてきたもの,特に個人差と環境との関係についての知見もまた,個人差を考えるうえでの重要性を失ってはいない。本章では,20世紀の心理学と「遺伝」という概念との関係について,

特に個人差心理学におけるそれを中心に,ごく簡単に整理したうえで,行動遺伝学や進化心理学など,遺伝の力についての新しい視点の登場によって,21世紀の心理学と遺伝概念との関係がどのように変化していくのかを考察したい。

第2節個人差心理学における遺伝

1.変わるものと変わらないもの心理学において「遺伝」という言葉が用いられるときに,それが行動遺

伝学におけるそれのように,遺伝学的な基盤をもって用いられることは稀であり,その意味はむしろ暖昧である。多くの場合,遺伝という言葉は「環境の影響」「経験による学習」「可塑性」「教育の可能性」など,20世紀の心理学が重視してきた概念の対立概念として用いられ,その意味はどの概念の対立概念として用いられるかによって簡単に変化した。同時に心理学における遺伝概念は,遺伝子型(genotype)と表現型(phenotype)の区別や,表現型への環境要因の影響の考慮という遺伝学上の重要な前提(Fumyma,1986)7)を含まずにも使用されるため,(現代遺伝学がすでに採らないところの)遺伝決定論的な性質を容易に帯びた。

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これは,心理学における遺伝環境論争が,厳密な意味での遺伝と環境それぞれの規定力に関する議論としてではなく,よりマクロに20世紀心理学を特徴づけた「変わるものと変わらないもの」についての論争の’一つのバリエーションであったことによる。20世紀の心理学,特に個人差心理学における論争の大半は,この「変わるものと変わらないもの」についての対立を含んでいた。遺伝と環境の問題は,少なくとも現在の目から見れば「変わるものと変わらないもの」の二分法にはなじまないものであるが(Plomin,1990)'3),20世紀の心理学においてはそれも同様の対立の一要素にすぎなかったのである。いわゆる一貫性論争は性格心理学の20世紀を代表する論争の一つであるが,そこでは,状況を超えて一貫して人の行動を規定する性格特性の存在と,それと関連するさまざまな行動の通状況的一貫性が議論の対象となった(渡邊,1998a)2')。伝統的な特性論者が「変わらないもの」としての性格特性の存在を主張する一方で,社会学習理論の影響を強く受けた「状況論者」が,環境.状況の影響を受けて「変わるもの」としての性格観を提唱し,両者が対立した*20一方,明確に「遺伝か環境か」が問われた知能の遺伝規定性に関する古

典的な議論においても,問題になったのは遺伝の規定性の大きさより,むしろ知能が教育などによって改善できる「変わるもの」であるのか,それとも生得的で教育の効果の薄い「変わらないもの」であるのか,ということだった。そこでは,知能の遺伝規定性を主張する人びとは例外なく,知能の可塑性や教育による改善可能性を限定的に捉えたし,結果として低知

かいぎ能者への教育努力や,そこへの経済的資源の投入に懐疑的であった。一方,近代的な知能概念や知能検査の始祖の一人であるビネー(Binet,A.)が,そもそも特殊教育によって手厚い教育を施す対象とする児童を選定するために,知能検査を開発したことはよく知られている。ピネーにとって知能は教育によって「変わるもの」であった(佐藤,1997)'5)。「変わるものと変わらないもの」論争を特徴づけるもう一つの要素は,予測志向と制御志向の対立であった。もし人間の行動や個人差が「変わらないもの」によって規定されるなら,そこから将来の行動や心理を科学的に予測できる。変わらないものは測定しやすいし,正確な測定は予測の精

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第4章「遺伝と環境」輪争が紡ぎだすもの”

度を上げるため,こうした予測志向は心理測定や検査と親和的である*3.一方,人間の行動や個人差が環境の影響によって変わるものであるなら,

環境を調整することで人間の行動や個人差を,本人にとって,あるいは社会にとって良い方向へ制御することができる。こうした制御志向は,当時の時代精神であった行動主義や,それが生んだ広範な学習理論と強力に結びついていた。20世紀の心理学における「変わるものと変わらないもの」論争は,一

こうちゃく貫性論争など議論が膠着したごく一部を除いては,基本的に「変わるもの」を重視する方向で落ち着き,個人差の遺伝規定性についてもごく限定的に考えることが一般的であった。このことには,心理学者の主要なフィールドが教育と臨床であったことが大きく影響している。教育や臨床は人間を「変えていく」ことが目標であり,対象となる人の現在の状態は所与であって,それをどのような方法で,どの方向へ変えていくのかが主要な問題になる。その意味で,所与としての現状が遺伝などによって生得的に規定されているか,過去の環境による学習の成果であるかはそれほど重要ではない*4.教育や臨床にかかわる心理学者にとって,上述のように遺伝は「変わらないもの」であり,自分たちの研究・実践の対象は「変わるもの」であった。また,教育における教育方法や教育環境,臨床におけるアセスメントや心理療法がそうであったような意味では,遺伝要因は心理学者にとってアクセス可能でも制御可能でもなかった。また,人間だけを対象とするよ~うな心理学では,生物種間の遺伝的な差異は考慮する必要がなかったし,主に健常者を対象にするなら,個人間の遺伝的差異を「微小なもの」「誤差範囲」として捨象することもできた。つまり遺伝は,多くの心理学者にとって「自分のフィールドの問題ではなかった」のである。

2.行動遺伝学の意義遺伝要因を軽視してきた個人差心理学の歴史に大きな衝撃を与えたのは,行動遺伝学の成果である(Plomin,199013);安藤,19982))。行動遺伝学の主要な成果は,第一に,心理学における遺伝環境論争に遺伝学的な論理をきちんと導入したこと,第二に,知能や性格などの個人差に遺伝と環

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境のそれぞれが与える影響を切り分ける方法論を確立したこと,第三に,そうした個人差の決定に遺伝的要因がかなり大きく寄与していることを明らかにしたこと,第四に,個人差のうち遺伝に規定されない部分が,生育環境や親の養育態度などの共有環境よりも,各個人に別々に影響する非共有環境により大きく影響されていることを示したことである。行動遺伝学の方法論やデータについては,判断を留保すべき点がいくつか存在するとはいえ寧51これまでの心理学で上述のように「変わらないもの」の一つとして暖昧な位置づけしかされていなかった遺伝要因を,特に遺伝子型と表現型との区別を基本とした遺伝学的論理で,個人差の決定因として位置づけるとともに,同様の論理から「遺伝決定論」と遺伝規定性の探求との違いを明確にしたことは’非常に有意義である。同様に,個人差の遺伝規定性の程度を示すことで,相補的な意味で,個人差の形成に及ぼす環境の影響とその大きさを明らかにしたことも重要であろう(安藤.大木’1994)3)。しかし,行動遺伝学の成果が個人差心理学の今後に与える影響や意味を

考えることは難しい。この問題の楽観的な論者が夢見る未来は,「遺伝の影響は解明されつつあるから,次は環境の影響を解明し,そのうえで二者の相互作用を適切に分析すれば,個人差の形成は解明される」というものである。しかし,そのようなことが実際に可能となるためには,行動遺伝学によって解明される遺伝の影響と,環境が個人差の形成に与える影響が,何らかの意味で同一レベルで比較.分析できるものであることが必要である。行動遺伝学が(他の個人差心理学と比較した意味での)科学性を強く主張できるのは,遺伝子が客観的かつ量的に観察・測定可能な物質的リアリティであるからだO現実にヒトゲノムの解読はほぼ完了し,個人のもつ遺伝子をすべて数え上げることが可能になりつつある。行動遺伝学は今のところ,リアリティとしての遺伝子に直接アクセスする段階には進んでいないが,近い将来に行動遺伝学(の少なくとも一部)が,遺伝子データに依拠して個人差への遺伝の影響をごく自然科学的なパラダイムのなかで解明していくことは確実である。しかし,環境についてはどうだろうか。個人の行動やその個人差に影響

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第4章「遺伝と環境」論争が紡ぎだすもの弱

する環境の力が,「ヒトゲノムがすべて解読される」というのと同じ意味ですべて「解読」されることは期待しにくい。個人のもつ遺伝子が,量的かつ(他者からも妥当性をもって観察可能であるという意味で)公共的な性質をもつのに対して,個人の行動に影響する環境は質的で,かつプライベートな性質をもつ。また,環境認知や適応のあり方自体が遺伝的な個人差をもっているなら(その可能性は高いだろう),問題はなお複雑なものになる。紙幅が限られているのでこの問題についての詳細な議論は別稿に譲るが,行動遺伝学的に解明される遺伝規定性と「プライベートな環境」とを等価に論じるためには,達成されなければならない前提がとても多く,「遺伝がわかったから今度は環境のほうを」的な発想が楽観的にすぎること,遺伝の影響を把握したうえで個人差心理学が進む方向が,必ずしも「今度は環境のほうを」的な二分法に依拠する必要はないことの二点だけは指摘しておきたい。

3.進化心理学と適応の視点遺伝環境論争に新しい展開をもたらすもう一つの潮流が,進化心理学(長谷川・長谷川,20009);Buss,19955))である。進化心理学が個体差心理学に与えたのは,まず「個体差」と「遺伝」の適応的な意味についての明確な視点である。進化心理学を支えるネオ・ダーウィニズム進化論の根本的な前提は,生、物はそれぞれの種(個体群)が生きる生態学的環境(ニッチ)に適応するようにその姿を変えていくということ(進化),現在さまざまな生物種がそれぞれ示している生物学的・行動的特徴は,その進化の産物であるということである。そしてその進化は,遺伝子の突然変異などによって生じた性質が,環境への適応・不適応によって選択される(不適応な性質をもった個体は淘汰され,適応的な性質をもった個体だけが子孫を残す)ことで,より適応的な性質だけが遺伝子を通じて子孫に伝達され,徐々に比率を増して固定化すること(自然選択)の繰り返しによって生じていると考える率6.進化の機構や詳細についてはさまざまな議論があるとはいえ,進化論の

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基本的な考え方は,現代の生物諸科学全体に共有されたイデオロギーである(河田,1990)'0)。そして心理学の対象が人間などの生物である以上,心理学がその考え方を導入しても不自然ではないし,そのことによって心理学は生物諸科学の仲間入りをするともいえる。進化論から考えると,遺伝のもつ最大の意味は,進化の機構を支えるとともに,過去の世代が進化によって達成した環境への適応を,子孫の世代に伝達することであることがわかる。遺伝がなければ,各個体はそれぞれの世代において,個別に環境への適応を達成しなければならなくなる。「学習」はそうした個体レベルでの適応を支える機織であるが,その種が生きる生態学的環境の基本的特徴が,その種の一世代よりも長い時間持続するようなものであるなら(多くの場合はそうである),それに個体レベルで適応するよりも,進化と遺伝によって種のレベルの適応を伝達するほうが合理的であり,実際に生物はそうなっている。心理学においては,環境の影響が学習を通じて人の適応を生み出すことは広く認識されているが,遺伝がもつ適応的な意味はあまり意識されなかった。むしろ,遺伝は環境への適応とは独立に胴人の運命を決めるもの」であるかのように考えられ,そのため適応を重視する発達心理学や学習心理学は,遺伝規定性の議論を忌避してきた。しかし進化論的視点によって,遺伝も後天的な学習も,環境への適応という目標を共有しており,遺伝と学習との差はそれが世代を超えるか,個体内の適応にとどまるかという時間的パースペクティブの差にすぎないことがはっきりとわかる噸7.進化心理学が個人差心理学に与えるもう一つのインパクトは,後天的な環境への適応の枠組みに,進化や遺伝が及ぼす影響についての視点である。個人差の後天説,環境説の基本的前提は,人が自分の生活環境の特徴に適応するように行動や心理を変化させること,生活環境の特徴やその個人的・認知的意味の違いが行動や心理の個人差を形成することである。しかし,個人は生活環境のもつすべての特徴に,すべての側面で適応しなければならないわけではない。生活環境の特徴には個人が注目し,適応する必要のあるものと,適応とは無関係のものがあるし,特定の環境変数への適応は,それと対応した特定の個人変数の変化のみによって達成できる。

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第4章「遺伝と環境」舗争が紡ぎだすものう7

その点で,われわれは環境のどの側面に注目するか,その環境変数にどの個人変数によって適応するか,という感受性を発達させる必要がある。そして,もしそうした環境の特徴と個人変数,適応との関係が物理的.文化的に世代を超えて持続するならば,それに対する感受性が進化的に形成され,遺伝している可能性がある。パス(Buss,1991)4)は,内向=外向など基本的な性格特性や,それらによって構成されるビッグ・ファイブの性格因子が,そうした遺伝的な環境への感受性を反映している可能性を論じている。パスによると,性格の個人間/個人内の変動は,そうした変動が社会的環境への適応に有意味であるような(社会的環境の重要な側面と関係しているような)次元のうえでだけ生じる。そうした次元への感受性は,人類が生きてきた社会的環境の基本的性質に対応して進化的に形成され,個人を超えて共有されている。そうした次元が基本的な性格特性や,その因子的構造に反映されているから,あらゆる性格評定や性格認知にその特性や構造が再現されるのだ廟8.パスもいうように,この仮説は一貫性論争の基本問題に一つの回答を与える。つまり,性格特性は存在し,その因子構造にも意味がある。しかし,それらは社会的環境への適応のために生じる性格の個人内/個人間変動の次元であり,その次元上での「座標点」としての性格はその人が切り結ぶ社会的環境の性質によって形成され,変動するもので,通状況的一貫性をもつ必要はない(渡邊.佐藤,1995)23)。進化心理学やそれが提供する視点は,個人差心理学における過去の論争を整理し,解決する手がかりになるかもしれない。

4.適応の視点から遺伝規定性を考える進化心理学と,そこで強調される適応と遺伝との関係を,行動遺伝学が明らかにした個人差の遺伝規定性と組み合わせて考えると,もう少し重要なことがわかってくる。それは,遺伝に規定される個人差が存在することにどのような意味があるのか,ということである(Tooby&Cosmides,1990)20)。遺伝規定的な個体差は突然変異やポリジーン(多重遺伝子)の作用*9

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1 シ8

による確率的な変異によって生じるランダムなものである。そうした個体差がその個体の環境への適応に特に影響しない場合には,その個体差は回帰(世代を重ねるごとに平均値に近づくこと)の傾向を示しながら子孫に遺伝していく。しかし,その個体差が個体の環境への適応に有利,または不利な影響を与えるときには淘汰圧が生じて,世代を重ねるにつれて個体群(いわゆる種)における個体差の頻度分布が変化する。普通は,有利な個体差の頻度が上昇して不利な個体差の頻度は低下するし,結果として個体差の分布が次第に小さくなる。逆にいえば,ある個体群のなかで比較的大きな個体差が遺伝的に規定され,かつその個体差が世代を重ねても減少しない場合には,その個体差は個体の環境への適応にあまり影響を与えていないことが推測される。同じことは心理学が扱うような個人差についても同様にいえる。もし遺

伝に規定される知能の高低や性格の特徴が,その個人の環境への適応に大きな影響を与えているならば,人類全体における知能や性格の平均値は,より適応的な方向へ変移していくし,同時にそれらの個人差も小さくなると予想される。しかし,現生人類の歴史上で知能についてそのようなことが生じているとは考えにくいし鞠1.,2000年前の人びとの性格描写が今でも高いリアリティをもっていること(テオプラストス,1982)1,)からわかるように,性格においてもそのような変移や個人差の減少が起きているとはいえない。もちろん,個体群内に大きな個体差が存在することが,常に適応とは無

関係であるわけではない。個体群内に複数の個性的なサプグループが特定の比率で存在することが,結果として個体の適応(端的には自分のそれに近似した遺伝子の存続)に有利に働くという,「進化的に安定な戦略」や「包括適応度」の概念を,行動や心理面での個体差に当てはめて考えることは可能である(荘厳,199918);山村,200224))。たとえばパス(1991)$)による性格の性差についての進化心理学的研究は,その一つの例である。しかし,こうした進化論的概念を知能や性格の個人差に当てはめるためには,それらの個人差が男女のように質的に異なる明確な形態(morph)として個人間で相互作用すること(たとえば「相性」が個体の適応に与える影響の存在)が,理論的にあるいは実証的に保証されなければならない

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第4章「過伝と環境」鐘争が紡ぎだすもの”

が,現在のところそうした証拠はない(Tooby&Cosmdes,1990)20)。また,遺伝的な個人差が,それぞれの個人を取り巻く環境の特殊性と対

応して適応を促進するというケースがあることは否定できないが(Buss,1991)4),遺伝的な個人差が本来ランダムで,その個体が生きる特殊な環境に対応して生じるわけではない以上,それが適応的であるケースと同じ確率で,個人差が非適応的であるケースが生じ,全体で見れば遺伝的な個人差による適応/不適応は相殺されてしまう掌'1。もちろん,人類の生活環境全体に劇的な変化が生じるようなことがあれば,そうした個人差のうちのどれかが新しい環境への適応に役立つ可能性があるが,それはその方向への個体群全体の進化を生み出し,結果として個人差ではなくなる。これらのことを総合すると,以下のようにいうことができる。つまり,

われわれの知能や性格,行動や心理に遺伝的に規定された,かなり大きな個人差が存在し,かつそれが世代を重ねても消滅しないことは,そうした個人差がそれ自体では,われわれの環境への適応にほとんど影響を与えていないことを示しているのである。もし知能の個人差が100%遺伝によって規定されているなら,知能が高いとか低いとかいうことはその人が環境に適応して生きられるか,子孫を残すことができるかには何ら影響していない可能性が高い。同様に,性格が内向的か外向的かということが強い遺伝的規定性をもつなら,その人が遺伝的に内向的であったり外向的であったりすることは,それ自体ではその人の人生や幸福にはほとんど彫響していないだろう愈'2。つまり,遺伝的に規定された個人差は,それ自体ではうあるいはそのままの状態では,「無意味」なのである。

5.遺伝的個人差が意味をもつとき遺伝的に規定された個体差がはじめて意味をもつのは,それが環境と切り結び,相互作用したときである。冒頭に述べたホルスタインの品種改良の事例を思い出してほしい。ホルスタインの原種となったウシの乳量には,遺伝的に規定されるかなり大きい個体差があった。しかし,乳量が一頭ずつ生まれる子牛の成長に十分なものである限り,乳量の差はそのウシの適応には何の影響も与えないので,その個体差はそのまま世代を重ねていた。しかし,人間に飼われ,牛乳を生産するために利用されるという新

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6.

奇な環境と出会うことによって,はじめてその個体差が意味をもつようになり,世代を重ねるにつれてホルスタインはどんどん乳量が多くなるように人為淘汰されていった。乳量の個体差は,人間による飼育と人為淘汰という環境要因と相互作用することではじめて意味をもち,意味をもったことによって淘汰圧を受けて特定の方向へ変移したのである。人間の個人差がホルスタインの乳量のように意図的に,特定の方向に淘汰されることはないにしても,遺伝に規定された個人差が適応的な意味をもつのが,それが環境と相互作用することによってであることは変わらない。ただ,人間の適応に影響する環境は個人によって非常に異なり,多彩であるので,環境との相互作用は個体レベルで生じ,ホルスタインのような「種の進化」につながることは少ないだろう。だからこそ,知能や性格の遺伝的な個人差が存在し続ける。おそらく,知能や性格の遺伝的な個人差は,個人がそれぞれの生活環境に適応していくときの「初期値」として働く。前にも述べたように,たとえば知的障害と判定されない範囲の知能の高低は,それ自体では適応に影響を与えない。しかし,ある特定の知的能力が必要とされる環境に適応するとき,知能が遺伝的にやや高い人とやや低い人とでは,適応に求められる努力やその結果として生じる適応のあり方(個性やその人らしさ)が,質的にも壁的にも異なってくるだろう。しかしそれでも,実際にほとんどの人が自分なりに適応している(低知能者の淘汰などが生じていない)わけで,生得的な知能差自体は個人の適応レベルには影響を与えていない。性格についても同様で,遺伝的にどのような性格であるかは,その人が「結果的に適応するかしないか」には影響しない。その意味で「性格には良し悪しはない」のである。しかし,初期値としての遺伝規定性のあり方によって,その人が自分を取り巻く環境にどのように適応していくか,結果としてどのような全体的パーソナリティを栂築していくかが異なってくる。その意味で,同じ環境のなかでも一人ひとりが違う行動パターンを示す,という「性格という現象」が生じるうえで,性格の遺伝規定性は非常に大きな役割を果たすといえる。しかし,個人の適応や,適応に影響するような個人差を最終的に規定するのは環境であり,特定の環境と相互作用して適応上有意味な性格が作り出されない限り,性格の遺伝規定性そのも

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第4章「過伝と環境」鰭争が紡ぎだすもの6ェ

のには意味がない。意味があるのは,遺伝と環境の影響が融合された結果として現前する,個人的なリアリティとしての性格だけなのである。

第3節おわりに

II 20世紀の心理学にとっての「遺伝」は,環境の影響やそれによって生

じる学習,教育や臨床の効果など「変わるもの」の概念と対立し,「変わらないもの」を代表する概念であった。しかし,行動遺伝学の成果や,進化心理学を通じた進化論的視点の導入は,遺伝が環境や学習と対立するものではないことを明らかにするとともに,遺伝も学習と同様に,生物としての人間が環境に適応していくための機能であることを意識させた。そこからみると,今から70年近く前にオルポート(Allport,G.W.)によって書かれた,性格(パーソナリティ)の定義のなかにある「適応」という言葉の重要性が,改めて理解できる。

■IFP.ⅡIIIb・O0IBIr0印l-9

||「

性格は個人の内部にある力動的体制であり,その力動的体制を織成する精神身体的システムは,一人ひとりの環境に対するその人ならではの適応のあり方を決定するものである。

(Allport,19371);サトウ・高砂,200316))

性格に限らず,個人差に心理学的な意味があるのは,それが個人の適応に何らかの影響を与えているときだけである。そして,個人差の適応への影響は,個人差が遮伝的に規定されている場合であっても,環境との相互作用のなかでしか生じない。適応そのものが,個人を取り巻く環境との関係のなかでしか生じないからである。人間も含めた生物は,種(個体群)のレペルでは,それが生きる生態学的環境の一般的で持続的な性質に合わせて,自然選択による進化という仕組みで環境に適応する。そして,その適応を成立させるとともに,適応の結果を子孫に伝えるのが,遺伝という機構である。一方で個体は,それぞれが生きる特殊な環境の特徴や,その経時的な変移に対して,学習という仕組みによって適応する。教育など,経験を通じて人を変化させようとす

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る営みは,自然環境に比べれば一般性や持続性の低い人間社会や文化のシステムが,その成員をシステムに適応させるために用意している道具といえる。そのように考えれば,遺伝と環境(環境の影響を受けた学習)は,どちらも種や個体の生きる生態学的環境によって規定され,生態学的環境への適応を究極目的としていることがわかる。そして,それが内的なものと外的なもの(あるいは人と環境・状況)として区別されるのは,単に時間的なパースペクティブの問題にすぎない(渡邊,1998b)22)。その意味で,遺伝の内容や,遺伝の規定性を決めるのも,結局はその生物が生きる環境である。そして,遺伝と環境を二分法的にではなく,統合して考えるための基準となるのは,人間も含めたそれぞれの生物が,どのような生態学的環境とどのように切り結んで生きているのか,という生態学的なリアリテイであろう(Reed,1996)'4)。そこでは,遺伝や進化の知識を重視することは生物学的決定論には陥らず,また遺伝を重視することが環境を軽視することには決してつながらないのである。

追記:本稿の執筆にあたっては,帯広畜産大学助教授小池正徳氏(環境微生物学)の助言を受けた。

注*1行動面での品種改良が計画的に進められたウマなどに比べると,ウシにおけるそれは,乳趾や肉質の改良ほど計画的・意図的に行なわれてきたわけではなく,家畜化の過程で非意図的に進んだという性質が強い(近藤,2002)'')。

*2一貫性薗争における特性擁護論者が,「変わらない」ことの根拠として挙げたのは,多くの場合過伝規定性ではなかった。彼らは性格の環境規定性,特に発達のなかでの性格形成を前提としながら,成人の性格には一貫性があり,特性によるアセスメントや予測が有効であると主張した。心理学における「週伝」の意味が暖昧であるのと同様に「変わらないもの」の意味も暖昧である。

*3知能検査がアメリカに渡って心理測定学的に洗練されるにしたがって,ピネーの思想を離れて通伝決定論と深く結びつくようになったことは象徴的である(Gould,1996)8)。

*4行勤主義が,学習理論の適用や学習の成果における巡伝的要因の影響や進化的差異を,哲学的・理競的には認めながらも(Skinner,1989)'7),実験や実践の対

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第4章「遺伝と環境」強争が紡ぎだすもの63

象を特定の種(ラット,ハト,ヒト)や条件に限定するなど,実際上の手続きでは最近までそれをほとんど無視していたこと(藤田,1991)6)も,同じ理由からと考えられる。

*5たとえば,性格の遺伝規定性についての研究における従属変数としての性格の測定が,その妥当性が長年にわたって疑問視されている性格評定(多くは自己評定)に頼っていることは重大である。こうした評定データと遺伝指標や生理指標との相関が,性格評定の妥当性の外的基準となるという主張があるが,性格評定の外的基準と鞍るのは「性格という現象」のリアリテイに接地した概念や指標だけである。遺伝指標や生理指標は人間という生物のリアリテイには接地しているかもしれないが,性格のリアリテイにはどこにも接地していない。とはいえ,より妥当性の高い性格測定方法が得られるにしても,それによって測定される「性格」が全く通伝規定性を含まないということも考えにくいだろう。

*6特に適応的でなくても,環境に不適応でないだけの中間的な性質が淘汰されずに通伝し,偶然の遺伝子的浮動によって頻度を増して固定化する現象が存在するという説(進化の中立説)も有力であるが,これは自然選択の原理の反証ではなく,むしろ自然選択の原理を補強する事実と考えられることが多い(Futuyma,19867》;河田,19901。))。

*7獲得形質が逝伝しない以上,学習による適応は世代を超えない。世代を超えるのは過伝的に規定された性質だけである。

*8もちろん,そうした特性や栂造が「観察者の目の中にある」社会的栂成物である可能性は残る。しかし,そうした特性や次元が大多数の人びとの社会的認知に共有されていることが事実である以上,それがわれわれにとって何らかの生態学的リアリテイを反映しているものだと考えることは自然である。もちろん,そのリアリティが客観的な意味での「性格の実在」や「通状況的一貫性の存在」と同義である必要はない。

*9-つの形態や行動の特徴が,ただ一つの適伝子によってではなく,複数の逝伝子の相加的な影響によって規定されていること(Futuyma,19867);_安藤,19982))。このとき,表現型はそれら遺伝子の組み合わせによって確率的に変異し,平均値を中心に正規分布する。

*10知能検査が利用され,その結果がその個人の教育や人生に大きな影響を与えるような時代が今後も数百年程度続けば,知能の平均値が上昇するとともに分散が今より小さくなることも予想1される。それは「知能検査という文化と知能の共進化」である。

*11生物の遺伝的な変異や個体差が,ウイルスなどの病原菌への耐性を高めることを目的に進化しているという仮説も有力である(Tooby&Cosmides,1990)20)が,この場合も適応は「個体差が存在すること」によって達成されており,個体差の内容によってではない。個体差はランダムであればよく,その内容は適応的には無意味である。

*12もちろん,知的障害に属するような知能の低さや,人格障害と診断されるような性格の歪みは適応に影響を与える。しかし知能においては「知能がやや低い」ことは親から子へ遺伝するが,著しい知能の低さは遺伝しにくいことが知られている(Plomin,1990)'3)。

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