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SAKATA INX ENG.CO.,LTD Color and Appearance Technology Tokyo headquarters 濃度計測の基礎 Rev.3 2006/02/28 Rev.4 2007/04/20 サカタインクスエンジニアリング株式会社 1

濃度計測の基礎 - inx-eng.co.jp · 内容 . iso 5/1 : 用語とシンボル . iso 5/2 : 透過濃度計の光学系 . iso 5/3 : 分光感度特性 . iso 5/4 : 反射濃度計の光学系

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濃度計測の基礎 Rev.3 2006/02/28

Rev.4 2007/04/20

サカタインクスエンジニアリング株式会社

1

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濃度の基礎(ISO-5/1)

濃度を測定するために必要な要件は、国際規格のISO 5シリーズで厳密に規定されています。

規格 No 内容

ISO 5/1 用語とシンボル

ISO 5/2 透過濃度計の光学系

ISO 5/3 分光感度特性

ISO 5/4 反射濃度計の光学系

樹脂、紙、金属、布、皮など実在する全ての物体や写真フィルムなどの光に対する透過及び反射の特性の測定

は、写真などの画像や物体の光学特性の科学に必須です。

光や他の放射エネルギーが物体に当たると、それは吸収されつつ伝達されます。物体に当たった光は反射、透

過、屈折、回折、散乱、蛍光、および偏光の影響を受けます。伝達された光は、物体(内)の様々な方向に伝達し

ていきます。この測定でもっとも望ましいことはあらゆる方向へ伝達した全ての光を捉えることですが、通常は目

視のようにある一定の方向からある立体角の範囲を持って捕らえています。

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光源から届いた光を物体は一部を吸収し残りを放出します。光の放射エネルギー流の単位時間あたりの量は放

射束や光束と呼ばれます。ISO 5 シリーズはどのような(光源-物体-受光器)システムの放射エネルギー流の吸

収量であっても説明できる方法を提供しています。このようなシステムを正確に規定するためには、光学系の幾

何学、物体を照明する光エネルギーの波長分布、および受光器の波長に対する感度を明確にする必要がありま

す。

物体(サンプル)を測定する範囲はアパーチャー径により決まります。アパーチャーとは濃度計の測定部のサンプ

ルに接触する穴で、これを通して濃度測定が行われます。また安定した測定のためにはサンプルに均一性が要

求され、またこれはアパーチャー径との関連があります。安定した測定のためには、サンプルの均一性が低けれ

ば低いほど大きなアパーチャーを通して大きな面積を測定する必要があります。

また、同一機種の濃度計で

もアパーチャー径が異なれ

ば、光学系は異なっていま

す。

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光のエネルギーの流れは物体内外で透過や反射によって伝達されます。場合によっては、これら反射や透過に

よる伝達が結合していたり、伝達モードに対するほかの要因が追加されていたりしていることもあります。このよう

な単純な組み合わせから複雑な組み合わせまで全てを「伝達:propagance」と呼びます。

(この図は、反射の場合です。他に

もいろいろとあります)

濃度は出射/入射の光束の比率で無次元数です。通常、濃度は 10 を底とする負の対数で表現します。

この国際標準は伝達の 3 つのモードと 3 種類の光束と 2 つの数学的なフォームを識別するため 18 種の測定方

法があります。

写真および他の光学式のシステムにおいて も使われた幾何学は直円錐です。サンプルの測定ポイントは円錐

形の分布の光をあてられ、その点から受光器に達する光線の幾何学も円錐形です。

正確な測定のために適切な遮光板を用いたり測定点以外を黒く塗りつぶして迷光の影響を取り除く必要があり

ます。

濃度値は加減乗除算ができます。

エネルギー=100(E=100)の光を濃度=1(D=1)の物質に入射させると

エネルギー10(E=10)の光が放出されます。

同じ入射光を用いてこの物質を 2 枚重ねる(D=2)とエネルギー

=1(E=1)の光が放出されます。

このように濃度値は加算ができます。同様に減乗除算ができます。

反射濃度の場合は高濃度側で不整な傾向が出ますので、低濃度

で使用してください。

分光光度計で得られる反射率や透過率は加減乗除算ができないので、一旦拡散吸収係数(K/S)や Log 換算を

行う必要があります。

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光束の用語

用語 記号 定義

influx 入射束:サンプル表面またはアパーチャーへ届くエネルギーの流れ。

efflux 放射束:サンプル表面またはアパーチャーから出てくるエネルギーの流れ。

radiantflux Φ 単位時間当たりの放射エネルギーの流れ:特定の流れを区別するため下付文

字が付与される。

incident flux iΦ 入射光:アパーチャーで範囲を区切られたサンプル表面上へ入射する全周角

からの光。

absorbed flux aΦ 吸収光:サンプルによって吸収された光。

propagated flux ΨΦ 測定光:測定に使用する波長範囲および立体角の光。この光は透過、反射、屈

折、回折、散乱、蛍光のいくつかの組み合わせで伝達される。

total propagated flux 'ΨΦ 全光束:サンプル面での全波長範囲と全角度の光。

reflected flux ρΦ 反射光:サンプル表面へ入射し同一面から放射される光。その伝達は反射と散

乱以外に蛍光や吸収を含むことがある。

transmitted flux τΦ 透過光:サンプルを通過して反対側の面から放射される光。

reference standard propagated flux

eΨΦ 標準測定光:標準板をサンプルとしたときの、測定に使用する波長範囲および

立体角の光。(通常反射の標準板はセラミックやホーローが用いられる)

reference standard reflected flux eρΦ 標準反射光:標準板をサンプルとしたときの反射光。(通常反射の標準板はセラ

ミックやホーローが用いられる)

absolute reference reflected flux AρΦ 絶対反射光:完全拡散面をサンプルとしたときの反射光。(通常完全拡散面は

硫酸バリウムや酸化マグネシウムの粉体を押し固めた平面が使用される)

reference standard transmitted flux

eτΦ 標準透過光:標準板をサンプルとしたときの透過光。(通常透過標準板は使用

せず空気層のみ使用される、使う場合は透明のフィルムが用いられる、濃度の

あるフィルムを用いれば増分の計測ができる)

extraneous flux (stray flux) χΦ 迷光:測定機の光学系によって決まる光路以外から受光器に届く光。

aperture flux jΦ アパーチャーを通ってサンプル面に届く、範囲と立体角を規定された光。

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光からの変換式

真数表記 対数表記

名称 式 名称 式

透過率(Transmittance) iΦ

Φ= ττ

透 過 濃 度 (Transmittance

density) ττ 10log−=D

反射率(Reflectance) iΦ

Φ= ρρ

反 射 濃 度 (Reflectance

density) ρρ 10log−=D

伝達率(Propagance) iΦ

Φ=Ψ Ψ

伝 達 濃 度 (Propagance

density) Ψ−=Ψ 10logD

絶 対 透 過 率 (Trasmittance

factor) 「透過率」 jT

ΦΦ

= τ 絶対透過濃度(Transmission

density) 「絶対透過濃度」 TDT 10log−=

絶 対 反 射 率 (Absolute

reflectance factor) 「反射率」 AR

ρ

ρ

Φ

Φ=

絶 対 反 射 濃 度 (Reflection

density) 「絶対反射濃度」 RDR 10log−=

絶 対 伝 達 率 (Propagance

factor) jP

ΦΦ

= Ψ 絶対伝達濃度(Propagation

density) PDP 10log−=

相 対 透 過 率 (Relative

trnsmittance factor) erT

τ

τΦΦ

= 相 対 透 過 濃 度 (Relative

transmission density) 「相対

透過濃度」 rrT TD 10log−=

相 対 反 射 率 (Relative

reflectance factor) erR

ρ

ρ

Φ

Φ=

相 対 反 射 濃 度 (Relative

reflection density) 「相対反

射濃度」 rrR RD 10log−=

相 対 伝 達 率 (Relative

propagance factor) erP

Ψ

ΨΦΦ

= 相 対 伝 達 濃 度 (Relative

propagation density) rrP PD 10log−=

※この表の日本語訳は実際には使われない。一般に「」内の表現だけが使われています。

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透過濃度測定の光学系(ISO-5/2)

透過濃度計の光学系は、光源ランプが発した光をレンズなどによって整形し、その光をサンプル上の測定ポイン

トだけに通すアパーチャーを通してサンプル面へあて、サンプルを透過した光をレンズなどよって整形し受光器

へ導きます。

アパーチャーへ入射する光(Influx)はアパーチャーとサンプル面に垂直で Kj の立体角(コーン状)を持ちます。

サンプルから射出する光(Efflux)はアパーチャーとサンプル面に垂直で Kr の立体角を持ちます。

通常の透過濃度測定である拡散濃度測定(Diffuse Density Measurement)では、Kj、Kr 共に 10 度以下であるよ

う規定されています。

投影濃度測定(Projection Density Measurement)では、f/4.5 のとき Kj=Kr=6.4±0.2 度、f/1.6 のとき Kj=Kr=18.2

±1 度と規定されています。

透過率の計算式は透過率=Efflux/Influx であるのでこれをTとおくと、

LogTT

Log −==1

濃度 となります。(対数の底は 10 です)

濃度計の光源ランプはその分光エネルギー分布に輝線スペクトルの無い CIE(国際照明委員会)が規定する A

光源を使う必要があります。このため ISO 準拠の濃度計はタングステンハロゲンランプを用います。サンプルに

赤外線を当てると燃焼や変色が起こるため、Influx とアパーチャーの間に赤外カットフィルターを入れる必要があ

ります (通常はコーニングフィルターが用いられます)。また、ISO の分光特性に合わせるためのフィルターはアパ

ーチャーと Efflex の間に入れます。

絶対透過基準は Air(空気)が用いられます。つまり何も挟み込まずに 0 点を取ります。

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反射濃度測定の光学系(ISO-5/4)

反射濃度計の光学系は、光源ランプが発した光をミラーなどによって全周(annular)の形に整形し、その光をサン

プル上の測定ポイントだけに通すアパーチャーを通してサンプル面へあて、サンプルで反射した光をレンズなど

よって整形し受光器へ導きます。これを 45/0 光学系と呼びます。また、この逆も ISO 規格で認められており 0/45

光学系と呼びます。

アパーチャーへ入射する光(Influx)はアパーチャーとサンプル面に垂直で 45±5°の立体角を持ちます。

サンプルから射出する光(Efflux)はアパーチャーとサンプル面に垂直で 0±5°以下の立体角を持ちます。

反射率の計算式は反射率=Efflux/Influx であるのでこれをTとおくと、

LogTT

Log −==1

濃度 となります。(対数の底は 10 です)

濃度計の光源ランプはその分光エネルギー分布に輝線スペクトルの無い CIE(国際照明委員会)が規定する A

光源を使う必要があります。このため ISO 準拠の濃度計はタングステンハロゲンランプを用います。サンプルに

赤外線を当てると燃焼や変色が起こるため、Influx とアパーチャーの間に赤外カットフィルターを入れる必要があ

ります (通常はコーニングフィルターが用いられます)。また、ISO の分光特性に合わせるためのフィルターはアパ

ーチャーと Efflex の間に入れます。

反射濃度測定時にサンプルと測定台の間に挟むバッキングは、

1. 400~700nm の範囲で分光濃度の変動が 5%以下であること

2. オフィスの照明環境下で鏡面反射が無いこと

3. ビジュアル濃度が 1.50±0.20 であること

の条件を満たす必要があります。(ただしこの要件を満たすと両面印刷物の測定は裏抜けの影響がなくなります

が、薄紙の印刷物の場合印刷用紙の繊維の分散の偏りを濃度の差として測定してしまいます。薄紙で片面の測

定は片面印刷と白バックで行うほうが無難です。ISO でも In-House Apprication で白バックの使用を認めていま

す。)

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濃度測定の分光感度(ISO-5/3)

分光感度特性の名称

名称 用途など lSO visual density ほとんど全ての白黒イメージの測定に用いる。(ビジュアル) Printing density 感光フィルム上に形成された連続諧調像の測定。映画フィルムなどのプロジェク

ション濃度測定。ISO Type 1 と 2 が使用される。 lSO type 1 printing density 340~470nm に感度がある。高圧水銀ランプを用いるプリンターやヂアゾ

(Diazo)フィルムなど。(≅パンクロマチック) lSO type 2 printing density 340~540 nm に感度がある。ハロゲン化銀の写真材料用。(≅オルソマチック) lSO status A density 歴史的に透明フィルムの直接または投影による濃度測定に使われる。写真のポ

ジフィルムやペーパーに用いられる。(グレーバランス良好) lSO status M density 歴史的にネガフィルムの濃度測定に用いられる。 lSO status T density 紙上のインキや米国のオフセット印刷などのグラフィックアーツ用。(日本ではか

つてスキャナーのプリセット用に用いられた。現在はジャパンカラーに使われて

いる) lSO status E density ヨーロピアンフィルター。赤と緑は Status T と同じで青がワイドバンド。 ISO nallw-band density 単色の色合わせ用フィルター。ピーク波長はアプリケーションによって自由に選

択できる。バンド幅は半値幅(50%)で 20nm 以下であることと、0.1%で 40nm以下であることが要求される。 大濃度は4まで。

lSO status I density ピーク波長は B/G/R=430/535/625 ±5nm。紙上のプロセスインキなどのグラフ

ィックアーツ素材を評価するのに有益である。(グレーバランス良好、日本国内で

マクベス濃度と呼ばれている) lSO type 3 density S-1 特性のフォトマルチプライヤー用の特性。800±5nm でバンド幅が 20nm、

白色標準測定時 80%以上の値が出るなら ISO type 3 と呼んでよい。

測定コンディション

測定時のサンプル、測定機及び周囲の環境は、温度 23±2℃、湿度 50±5%が必要です。

白色標準

反射濃度測定に用いる絶対白色標準は完全拡散面であることが要求されます。(硫酸バリウム、酸化マグネシウ

ム)

ワーキングの白色標準(キャリブレーション板)は分光反射率が高いこと、蛍光材料を含まないこと、絶対白色標

準を用いて値付けができることが必要です。

Influx の分光エネルギー特性および受光側の各分光感度特性は ISO-5/3 に記載されています。

グレーバランスはカーボンや銀塩などの無彩色を RGB の 3 つのフィルターで測定したときに各々の数値が近い

ほど良好です。すなわち、3 つの数値による色味の可読性をさします。(カーボンブラックを StatusT で測定すると

CMY(RGB)=2.0/2.0/1.6 のようになります。これでは Y 濃度が不足した色で青みがかっているような印象を受け

ます。Status I であれば 2.0/2.0/2.0 のように可読性の高いデータになります。)

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その他の濃度測定関連規格

ISO3664-2000(Viewing condition – Graphic technology and photography)

反射と透過メディアの画像の観察についての規格

1. D50 光(2000±500lx) 、CIE13.3 の演色性評価指数 90 以上、CIE51 メタメリズムインデックス UV<4 の光を

反射メディアの照明に使う。

2. 演色性評価のためのメタマーが 5 種類規定されている。

3. 反射メディアのバッキングには反射率 2~4%の黒を使う。※

4. ディスプレイは色温度を D50 にして、75~100cd/㎡の輝度で使用する。このときの周辺光は 32~64lx とす

る。

ANSI PH2.30-1989(Color Prints, Transparencies, and Photomechanical Reproductions – Viewing Condition)

反射と透過メディアの画像の観察についての規格

1. D50 光(1400±300lx)で CIE13.2 の演色性評価指数 90 以上の光を反射メディアの照明に使う。

2. 天井、床(バッキング)、壁を反射率 60%のマンセル N8 無光沢で塗装する。※

ISO4807-1997 (Photography –Method for the determination of densitometer performance specification )

反射濃度計自体の絶対精度、トレーサビリティ、反復精度、安定度(8 時間、7日間)などについての規格

DIN 16536-1986

ドイツの濃度計の規格

1. DIN ワイドバンド規格:青 430±40~80nm、緑 530±60~100nm、赤 620±50~100nm

2. DIN ナローバンド規格:青 430±20~30nm、緑 530±20~30nm、赤 620±20~30nm

JIS B 9622:2000(印刷技術-反射濃度及び測色データの工程管理ならびに画像評価への応用)

ISO 13656:2000 の翻訳規格。印刷物の管理項目についての規格。ベタ濃度、トーン、トラッピング、ダブリとスラ

ー、面内変動について。

JIS B 9623:2002(印刷技術-工程管理-グラフィックアーツで使用する反射濃度計の光学的、幾何学的及び計測

学的要求事項)※

ISO 14981:2000 の翻訳規格。濃度計自体についての規格。

1. 反射濃度測定の光学系は入射か反射かのどちらかにリング照明を使う。

2. 入射光は CIE A 光源の 2856±100K。

3. 分光感度特性は ISO 5/3 と同じ。

4. 濃度値は ISO 2846-1 に順ずるプロセス印刷の YMCK ベタに対して 0.03~3%の誤差範囲であること。

(まだまだ他にもたくさんあります)

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濃度計算及び評価

絶対濃度(Density)

D

D

T

TLogD

=

−=

−=

10

10110

透過率

吸収率

透過絶対濃度

(反射絶対濃度のときは T を R(反射率に読み替えます。透過率 50%のときの T は 0.5 になります)

適用:実際に人の目に見える濃度による管理で、 も標準的な濃度管理手法です。 70.165.1 ≤≤ VD 等

の形で管理数値を決めます。

相対濃度(Null Density)

相対濃度=絶対濃度-紙の絶対濃度

適用:印刷物の色を評価する際に、紙だけで白(D=0)をとり紙の上のインキ層だけの濃度で管理します。紙の

濃度による影響を押さえることで、演色性評価などでは見かけ上の演色範囲を広く見せることができます。

様々なプリントメディアを通す必要のあるコピア/プリンターでは実際の見えが重要なので絶対濃度が使われ

ます。

濃度差(Delta Density)

stdtri DDD −=Δ

適用:事前に絶対濃度と相対濃度のどちらを使うかを決めておく必要があります。数値による濃度管理の基

本です。 20.0,50.1 ±≤Δ= DDV 等の形で管理数値を決めます。

コントラスト K 値(K Value)

solid

tonesolidD

DDPC

−=

(Dtone はフィルム上で 75%の網点の濃度、適正な印刷では 0.5 程度になる、日本独自)

適用:画像のシャドー側のコントラスト値を表します。シャドー側の諧調範囲はこの値が高いと広くなり、値が低

いと狭くなります。シャドー側の諧調範囲が広くなると、例えば黒髪のグラデーションがはっきりとわかるように

なります。

プリントコントラスト(PC)

solid

tonesolidD

DDPC

−=

(Dtone はフィルム上で 50%の網点の濃度、適正な印刷では 0.2 程度になる)

適用:画像のハイライト側のコントラスト値を表します。ハイライト側の諧調範囲はこの値が高いと広くなり、値が

低いと狭くなります。ハイライト側の諧調範囲が広くなると、例えば青空に浮かぶ雲のグラデーションがはっき

りとわかるようになります。

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網点面積率(Dot Area)

マーレイ・デービス方式(DIN16527)

10010-110-1% DS-

-DT

×=網点面積 (DT:網点部の濃度、DS:ベタ濃度)

ユール・ニールセン式

10010-110-1% DS/n-

-DT/n

×=網点面積 (DT:網点部の濃度、DS:ベタ濃度)

印刷用紙 n 値 印刷用紙 n 値

コート紙 1.65 ゲバプルーフ 1.40

非コート紙 2.70 カラーキー 4.00

クロマリン 2.60 トランスファーキー 1.90

適用:画像の印刷において濃度値を網点面積率に変えることで、スクリーン形状によるドットジャンプの違い

や線数とドットゲインの関係などを評価できます。これら全てに影響する因子のひとつに境界線理論がありま

す。

トラッピング(Trapping)

(トラッピングの測定ターゲット例)

GATF 方式 ブルナー方式

1002

1 ×−

=D

DDT op

100101

101)21(×

−=

+− DD

opDT

Hamilton(Kodak)方式

1001

1

2max

2

max

1

×

−+

−+

=

DDDD

Log

DDDD

LogT

p

op

op

(Dop: 重ね濃度、D1:下色濃度、D2:上色濃度、Dp:紙濃度、Dmax:印刷可能 大濃度→Hamilton1.5)

適用:プロセス印刷では CMYK4 色のインキを用いて演色範囲内の全ての色を再現しています。このとき必

ずといって良いほどインキの重なりが発生します (重ねない印刷手法もありますし、網点自体を正確に積み

重ねるドットオンドットという手法もあります) 。印刷機では 1 色目が刷られた直後に 2 色目、3 色目と重ね刷

りをしていきます。インキは紙に刷られてすぐには乾きません。つまり 2 色目は 1 色目のインキでぬれた上に

刷られます。1 色目を刷る渇いた紙の上には所望の膜厚で刷れますが、2 色目以降はすでに 1 色目のイン

キで濡れているため 1 色目と同じ膜厚を刷ることができません。この 2 色目がどの程度転写できたかを示す

数値がトラッピングです。上記以外にもカラーヘキサゴン上から幾何計算し逆トラップ(2 色目を刷るときに、す

でに刷られている 1 色目を引き剥がすこと)まで算出できる手法もあります。

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特性曲線とドットゲイン

(特性曲線の測定ターゲット例)

特性曲線(トーンリプロダクションカーブ)は横軸にフィルム上の網点%、縦軸に実際に印刷された網点%をプロット

します。実際の印刷では紙にぬれたインキが押し付けられるため、版の大きさ以上にインキが広がります。この版

のサイズ以上に広がった面積を物理的ドットゲインといいます。そのほかにドットゲインにはもうひとつ光学的ドッ

トゲインがあります。紙は半透過性の特性を持っており紙上のインキによって色づけられた色光が紙内で拡散さ

れることで、インキの付いていない紙の部分から色光が放出されることで見かけ上の網点面積が増加します。

ドットゲインは横軸にフィルム上の網点%、縦軸に実際に印刷された網点%-フィルム上の網点%をプロットします。

ドットゲインカーブのグラフは

左の図のようになります。

一般的に欧米の印刷物は紙

の原パルプ配合率が高く裏抜

けが少なくインキをあまり盛ら

ずにさらっと仕上げることが好

まれるので、50%でのドットゲ

インは 15%程度です。

日本の印刷物はずっしりした

手ごたえのある厚盛が好まれ

るため 20~25%が適正といわ

れています。厚盛にするとシャ

ドー部のデテールが失われや

すく、薄く盛るとハイライト部の

ドット欠けやシャドー部の素抜けが発生して汚くなります。

この Dot Gain Curve は 150 線の欧米タイプです。点線のカーブは Isocontour(イソコンツアー)カーブといい、ス

クエアドットの網点が近接する網点と接合して広がることなく、境界線理論分だけ網点面積が増加したときのドッ

トゲインカーブです。中に描かれている黄色と緑の領域は実際の印刷で境界線理論に重ねて隣接する網点との

結合が起こった場合(結合した直後急激に面積が広がります)の代表的なカーブです。欧米の印刷物でかつスク

エアドットであればこの緑色の中にカーブが入る印刷をしていればまず失敗は無いといわれています。通常、線

数が大きくなればドットジャンプ部(グラフが跳ね上がる部分)が左へ寄ります。

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スラー/ダブリ

印刷機に印刷用紙が通るとき、紙の速度と方向と版の速

度と方向が完全に一致していないと画像が引きずられま

す。

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また、咥え尻などで紙がばたつき 1 回以上版に接触

すると少しずれた位置に印画されます。

これをスラーやダブリングと呼びます。

測定方法は、左のようなパッチを測定し、版がどの

方向にどの程度引きずられているかを計算します。

咥え/咥え尻と左/中/右で 6 箇所を評価します。

ここで得られたデータを、実際に印刷物に使用されているスクエアやチェーンなどの網

点形状及びスクリーン角度に適用することでスラー/ダブリ成分を除いたドットゲイングラフを得ることができます。

このグラフによって純正のドットゲインを知ることができ、紙、印圧、速度とインキの動的な硬さとオフセットの場合

は水との関係が印刷物に与える影響を知ることができます。

ヒューエラー/グレイネス(Hue/Grey)

左の図はカラーサークルです。YMCRBG の 6 色の

Hue/Grey をプロットすることで作図できます。

ヒューエラー=色相の誤差は六角形の頂点が YMCRBG

のラインからどの程度ずれているかで解ります。

グレイネス=灰色度=濁り度は六角形の頂点が中心に近

いほど色に濁りがあり中心から離れるほど鮮やかな色で

あることを表します。

この表現手法は色の濃さ(濃度)を全く反映しないため、

今では演色性評価においてカラーヘキサゴンに道を譲

っています。

100maxminmax

100 minmin ×=×−−

=DDG

DDDD

H mid 、

(Dmin: 小濃度、Dmid:中間濃度、Dmax 大濃度)

データの例を以下に記載します。

反射相対濃度 並び替え %

R G B H M L Hue Grey 効率

Y 1.40 0.08 0.04 1.40 0.08 0.04 4.2 4.0 94.0

M 0.68 1.40 0.08 1.40 0.68 0.08 42.4 5.7 74.3

C 0.15 0.41 1.55 1.55 0.41 0.15 18.5 9.6 81.9

R 1.48 1.35 0.08 1.48 1.35 0.08 90.7 5.4

G 1.20 0.48 1.51 1.51 1.20 0.48 69.8 31.8

B 0.65 1.61 1.61 1.61 1.61 0.65 100.0 40.4

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カラーヘキサゴン

左の図はカラーヘキサゴンです。

カラーヘキサゴンのように濃度ベースで色調を評価

する場合、濃度計の分光特性にはきわめて高いグ

レイバランスが要求されます。(一般的には Status I

または A が用いられます)

色相の誤差は六角形の頂点が中心-YMCRBG のラ

インからどの程度ずれているかで解ります。

グレイネス=灰色度=濁り度は六角形の頂点が中心

に近いほど色に濁りがあるかあるいは濃度が低いか

を現し、中心から離れるほど鮮やかな色であるかあ

るいは濃度が高いかを表します。

カラーヘキサゴンは印刷の実測値をプロットすること

で、もし印刷時にトラッピングが発生していなければ

どうであったかを表す 100%トラップをプロットできま

す。実測値と 100%トラップを用いることで、二次色生

成時に発生した両一次色の正方向と逆方向のトラッ

ピング値を得ることができます。

左図はあるカラーターゲットの 3 色濃度値が各々Y=1.50、

M=1.00、C=0.50 のときのカラーヘキサゴン上へのプロット

方法を説明しています。

カラーヘキサゴンで使用する濃度値は、絶対濃度を用い

るとサブストレート(紙)を含めた演色範囲の評価ができ、相

対濃度を用いることでトラッピングなどの計算が行えます。

Max スケールが 2.0 であることを確認します。

中心から Y 方向へ 1.50 移動し、その点から M 方向へ

1.00 移動し、さらにその点から C 方向へ 0.50 移動した点

がこのカラーターゲットのカラーヘキサゴン上の点になりま

す。

この点を YMCRGB について 6 個求めてプロットすることで

カラーヘキサゴンを作図できます。

左図はカラーヘキサゴン上でレッド(R)のトラッピング

値を求める手法を現しています。

作図法:R を構成する Y の実測値へ中心から直線

(1)を引きます。R の 100%トラップから Y の実測値へ

の直線と平行な直線を R の実測値から直線(1)へ引

きます。M の実測値に付いても同様に行います。中

心からこの交点への距離を中心から実測値への距

離で割るとトラッピング値が算出できます。ここでは

R の ト ラ ッ ピ ン グ に つ い て Y 側 は

(%)a

100×=bTrpRY で求めることができます。

通常の印刷では、トラッピング値の小さいほうが正ト

ラップ、大きいほうが逆トラップになります。インクジェ

ットプリンタなどの物理的にトラッピングが起こらない

印刷手法でこれを試すと、オーバープリントのインキ

の下色に対する隠蔽率を計測できます。

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左図はカラーヘキサゴン上でトラッピングによって色

の重心がどの方向に変化しているかを評価する方

法です。

作図法:実測値と 100%トラップ双方の RGB の頂点を結

び 2 つの三角形を描きます。(ここではシアンの三角形が

実測値で緑の三角形が 100%とラップです) 各々の三角

形の重心をプロットします。このグラフではトラッピングの

影響でグレイポイント(製版時の無彩色の位置)が本来あ

るべき緑の点からシアンの点へ移動していることがわかり

ます。このグラフでは、100%トラップと比べて実際の印刷

は青味が強くなっていることがわかります。(つまりトラッピ

ングの発生を見越してうまく製版しグレーを出しています)

このグラフは印刷機のオペレータや製版者あるいは画像

処理人が行ったカラーコレクションを知ることができます

グレイバランスヘキサゴン

左図はグレイバランスヘキサゴンです。(このデータはカラ

ーフィルムの典型的な軌跡を現しています。)

YMC3 色によるグレイのステップ(ここでは 6 段階)を生成し、

低濃度から高濃度へ濃度が変化するときにどのような色が

現れるかを評価します。このグラフでは低濃度の 1 はほぼ

無彩色ですが、濃度が上がるにつれ R→Y→G→C の順

で色が発生していることがわかります。(これは典型的なカ

ラーポジフィルムの特性です) このような特性の印刷物上

に、例えば白昼延々と続く白壁があれば、その壁にはうっ

すらと不可思議な色のグラデーションが生じています。

作図法:

Max Scale は 0.3 程度を取ります。

グレイのステップ各々の YMC 濃度を測定し、プロットしま

す。

参考文献

1. ISO 5/1~5/4

2. 濃度管理システム資料

3. IYARIGAI パンフレット

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