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健康増進を目的としたスマートフォン アプリを Azure 上で開発 より多くのお客さまが「健やかに生きる、幸せになる」ことを サポートする「 " 健康第一" プロモート」をスタート 「一生涯のパートナー With You プロジェクト」を展開し、顧客ニーズの変化に対応し続けている 第一生命保険株式会社。2015 12 月には「InsTech イノベーション チーム 」も設置、保険と ICT の融合を積極的に推進しています。その一環として 2017 3 21 日にスタートしたのが、より 多くのお客さまが「健やかに生きる、幸せになる」ことをサポートする「 " 健康第一" プロモート」。 7 社の開発パートナーと共に Microsoft Azure 上で PaaS を活用したシステムを構築、その第一弾 として健康増進アプリ「健康第一」が無料で公開されています。またマイクロソフトのコンサルタン トもプロジェクトに参画し、第一生命側の立場から評価や助言を行うことで、プロジェクト推進を 支援しています。 プロジェクトの背景とねらい 日本で InsTech をリードする第一生命、 ヘルス ケアでの取り組みの一環として「 " 健康第一" プロモート」を開始 FinTech の重要分野の 1 つとして、注目が高まっている「InsTech 」。これは保険業界版の FinTech であり、保険 (Insurance) と情報技術 (Technology) を融合させていこうという取り組みです。英 ロンドンがその発祥の地であり、欧州で先行して進んでいると言われていますが、日本でもそ の取り組みを積極化する保険会社が登場しています。その代表と言えるのが、第一生命保険株式 会社 ( 以下、第一生命) です。 同社は 2015 3 月期決算で、保険料等収入 ( 一般企業の「売上高」に相当 ) が「かんぽ 」を除く 民間トップになった生命保険会社。2015 12 月にはグループ経営本部内に、営業部門、商品部門、 システム部門、運用部門、海外部門、アンダー ライティング部門など、約 15 の部の管理職クラ ス約 30 名から構成されるクロス ファンクショナル チーム「InsTech イノベーション チーム 」を設 置しています。その後、疾病予防や健康寿命延伸に向けた京都大学との共同研究への参加や、慶 應イノベーション イニシアティブが組成するベンチャー ファンドへの出資、「医療ビッグ データ」 の活用に関する国立がん研究センターとの共同研究開始など、大学や研究機関との協業を矢継ぎ 早に発表。グループ会社のネオファースト生命も、ビッグ データを活用することで実年齢ではなく 健康年齢で保険料を算出する「カラダ革命 ( 正式名称 無解約返戻金型 7 大生活習慣病入院一時 給付保険 ) 」を開発、業界初の保険商品として大きな注目を集めています。 「数年前から欧米系保険会社の M&A などを進めてきたことも あり、海外の InsTech に関する動きには注目してきました 」と語 るのは、第一生命 執行役員 生涯設計教育部長の岩井 泰雅 氏。 グループ会社を通じて情報を収集することはもちろんのこと、 実際にシリコンバレーやボストンに赴いて、InsTech 関連のイン キュベーターやベンチャー企業とも対話を行ってきたと言いま す。「このような調査を進め、世界の動きを肌感覚でも捉えら れたことで、InsTech はこれまでの保険の常識を根本から変え てしまう可能性があると感じました。それならばその先頭を切っ て取り組みを進めるべきだと考えたのです」。 第一生命における InsTech への取り組みは、「ヘルス ケア」「ア ンダーライティング ( 保険の引受、保全、保険料収納、給付金 ソリューション概要 ○プロファイル 第一生命保険株式会社は 1902 年の創立以来、 115 周年を迎える歴史の中で、一貫して「お客さ ま第一主義」の実現を目指してきました。また近 年はグローバル化に向けた世界各地域への拠点 展開と経営体制強化と共に、国内外グループ会 社の経営管理態勢の整備を進めています。また 国内では、成長戦略「一生涯のパートナー With You プロジェクト」を展開。お客さまのニーズの 変化に応じた医療 / 介護、貯蓄分野に商品および サービスを提供しています。 ○導入製品とサービス Microsoft ® Azure ® マイクロソフト コンサルティング サービス ○導入メリット 金融機関でも安心して利用できる安全性や、運 営の透明性を確保できた。 PaaS を活用したアジャイル開発によって、短 期間でのサービス提供が可能になった。 マイクロソフト コンサルタントが第一生命側と して参画し開発パートナーを支援することで、 本来あるべきアーキテクチャとサービス内容が 実現できた。 ○ユーザー コメント 「第一生命にとって、お客さまお一人おひとりの 健康は重要なテーマであり続けています。これま で【確かな安心】と【充実した健康サポート】をテー マとして取り組んできた提供価値をさらに強化充 実し、InsTech による " 健康であり続ける" ため の価値提供にも注力していきます」 第一生命保険株式会社 執行役員 生涯設計教育部長 岩井 泰雅 第一生命保険株式会社 第一生命保険株式会社

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健康増進を目的としたスマートフォン アプリを Azure 上で開発より多くのお客さまが「健やかに生きる、幸せになる」ことを サポートする「 "健康第一" プロモート」をスタート

「一生涯のパートナー With You プロジェクト」を展開し、顧客ニーズの変化に対応し続けている第一生命保険株式会社。2015 年 12 月には「InsTech イノベーション チーム」も設置、保険と ICT

の融合を積極的に推進しています。その一環として 2017 年 3 月 21 日にスタートしたのが、より多くのお客さまが「健やかに生きる、幸せになる」ことをサポートする「 "健康第一" プロモート」。7 社の開発パートナーと共に Microsoft Azure 上で PaaS を活用したシステムを構築、その第一弾として健康増進アプリ「健康第一」が無料で公開されています。またマイクロソフトのコンサルタントもプロジェクトに参画し、第一生命側の立場から評価や助言を行うことで、プロジェクト推進を支援しています。

プロジェクトの背景とねらい日本で InsTech をリードする第一生命、 ヘルス ケアでの取り組みの一環として「 "健康第一" プロモート」を開始

FinTech の重要分野の 1 つとして、注目が高まっている「InsTech」。これは保険業界版の FinTech

であり、保険 (Insurance) と情報技術 (Technology) を融合させていこうという取り組みです。英国 ロンドンがその発祥の地であり、欧州で先行して進んでいると言われていますが、日本でもその取り組みを積極化する保険会社が登場しています。その代表と言えるのが、第一生命保険株式会社 (以下、第一生命 ) です。

同社は 2015 年 3 月期決算で、保険料等収入 (一般企業の「売上高」に相当 ) が「かんぽ」を除く民間トップになった生命保険会社。2015 年 12 月にはグループ経営本部内に、営業部門、商品部門、システム部門、運用部門、海外部門、アンダー ライティング部門など、約 15 の部の管理職クラス約 30 名から構成されるクロス ファンクショナル チーム「InsTech イノベーション チーム」を設置しています。その後、疾病予防や健康寿命延伸に向けた京都大学との共同研究への参加や、慶應イノベーション イニシアティブが組成するベンチャー ファンドへの出資、「医療ビッグ データ」の活用に関する国立がん研究センターとの共同研究開始など、大学や研究機関との協業を矢継ぎ早に発表。グループ会社のネオファースト生命も、ビッグ データを活用することで実年齢ではなく健康年齢で保険料を算出する「カラダ革命 (正式名称 無解約返戻金型 7 大生活習慣病入院一時給付保険 ) 」を開発、業界初の保険商品として大きな注目を集めています。

「数年前から欧米系保険会社の M&A などを進めてきたこともあり、海外の InsTech に関する動きには注目してきました」と語るのは、第一生命 執行役員 生涯設計教育部長の岩井 泰雅 氏。グループ会社を通じて情報を収集することはもちろんのこと、実際にシリコンバレーやボストンに赴いて、InsTech 関連のインキュベーターやベンチャー企業とも対話を行ってきたと言います。「このような調査を進め、世界の動きを肌感覚でも捉えられたことで、InsTech はこれまでの保険の常識を根本から変えてしまう可能性があると感じました。それならばその先頭を切って取り組みを進めるべきだと考えたのです」。

第一生命における InsTech への取り組みは、「ヘルス ケア」「アンダーライティング (保険の引受、保全、保険料収納、給付金

ソリューション概要

○プロファイル第一生命保険株式会社は 1902 年の創立以来、115 周年を迎える歴史の中で、一貫して「お客さま第一主義」の実現を目指してきました。また近年はグローバル化に向けた世界各地域への拠点展開と経営体制強化と共に、国内外グループ会社の経営管理態勢の整備を進めています。また国内では、成長戦略「一生涯のパートナー With You プロジェクト」を展開。お客さまのニーズの変化に応じた医療 /介護、貯蓄分野に商品およびサービスを提供しています。

○導入製品とサービス・ Microsoft® Azure®

・ マイクロソフト コンサルティング サービス

○導入メリット・ 金融機関でも安心して利用できる安全性や、運営の透明性を確保できた。

・ PaaS を活用したアジャイル開発によって、短期間でのサービス提供が可能になった。

・ マイクロソフト コンサルタントが第一生命側として参画し開発パートナーを支援することで、本来あるべきアーキテクチャとサービス内容が実現できた。

○ユーザー コメント「第一生命にとって、お客さまお一人おひとりの健康は重要なテーマであり続けています。これまで【確かな安心】と【充実した健康サポート】をテーマとして取り組んできた提供価値をさらに強化充実し、InsTech による "健康であり続ける" ための価値提供にも注力していきます」

第一生命保険株式会社執行役員生涯設計教育部長岩井 泰雅 氏

第一生命保険株式会社

第一生命保険株式会社

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第一生命保険株式会社

支払といった一連の保険業務 )」「マーケティング」の 3 つの領域で進められています。これらの領域で蓄積した情報を先端 ICT 技術と融合することで、新たなビジネ スモデルを構築していくことが目指されています。

まず「ヘルス ケア」の領域では既に、医療ビッグ データ解析に基づき非喫煙者割引を適用した医療保障商品を、ネオファースト生命が 2015

年 8 月に発売していましたが、同様の取り組みをより加速し、さらなるリスク細分型の商品や、健康寿命延伸に貢献できる生命保険やサービスの提供を推進しています。前述の「カラダ革命」はその成果の 1 つです。

「アンダー ライティング」では、2014 年 9 月から契約手続きのデジタル化を進めてきましたが、今後は引受査定や契約管理のオペレーションについても、AI などの活用を視野に入れた事務手続きの迅速化と利便性向上を実現することが目指されています。

そして「マーケティング」では、社内のビッグ データを解析することで顧客ごとに最適な商品やサービスを最適なタイミングで提案するための情報提供を 2015 年 4 月から進めてきましたが、今後は社内外の情報を融合しながら、IoT/AI 時代のマーケティング手法の確立を目指していく方針です。

これらの 3 つの領域のうち「ヘルス ケア」における取り組みの一環として行われているのが、より多くのお客さまが「健やかに生きる、幸せに

なる」ことをサポートする「 "健康第一" プロモート」です。「健康増進を喚起するサービス」を提供することで、QoL (Quality of Life) の向上につながる付加価値を創出し、健康寿命の延伸や医療費の抑制に貢献することが目指しています。

2017 年 3 月 21 日には、その第一弾となるスマートフォン専用アプリ「健康第一」が、無料で公開されています。今後は 2018 年 4 月までの 1 年間を 3 段階に分け、顧客ひとりひとりに寄り添う伴走型の「健康増進サービス」を、順次拡充していく計画です。

Azure 採用の経緯第三者認証と契約内容を徹底的に検証、 社内独自の評価や社外委託による分析も実施

この「 "健康第一" プロモート」のシステム基盤として採用されているのが、Azure です。

「これ以前にもパブリック クラウドを使いたいという思いはありましたが、今まではお客様の情報を安心して預けられるサービスがなく、クラウド活用を進めることは困難でした」と振り返るのは、第一生命で ITビジネスプロセス企画部 部長を務める太田 俊規 氏。しかし「 "健康第一"

プロモート」はインターネット経由でアプリやサービスを提供する必要があり、24 時間 365 日の可用性も求められるうえ、利用者数も時間と共に大きく変化すると見込まれるため、オンプレミス システムでの提供は難しかったと語ります。「また顧客ニーズを柔軟かつ迅速に反映するため、既存システム開発と切り離したアジャイル開発や、自社単独での提供にこだわらないエコ システムの形成も視野に入れていました。これらすべてを満たすには、パブリック クラウドの活用が不可欠だと判断しました」。

そこで第一生命では 2016 年 10 月、国内外の 10 を超えるクラウド サービスを取り上げ、サービス内容やそのレベル、クラウド セキュリティに

第一生命保険株式会社執行役員生涯設計教育部長岩井 泰雅 氏

第一生命保険株式会社ITビジネスプロセス企画部 部長太田 俊規 氏

2017 年 3 月 21 日にスタートした「 "健康第一" プロモート」のコンセプト。保険商品と共に「健康増進を喚起するサービス」を提供することで、QoL (Quality of Life) の向上につながる付加価値を創出することが目指されています。

第一生命による Azure 採用で特に重視されたポイント。徹底的な調査と検証の結果、Azure なら金融機関ならではの要求にも、十分対応できると評価されています。

社会的課題

社会的要請

第一生命の提供価値

国民の健康増進

健康寿命の延伸・医療費の抑制(自治体課題への貢献)

生命保険事業の役割=社会保障制度の補完~社会保障制度の限界感から生命保険事業の重要性が増していく~

これまで重視してきた提供価値 より強化すべき提供価値

死亡・病気・けが・介護・老後への安心提供、

確実なお支払い等約款履行

QOL の向上に繋がる付加価値

「充実した健康サポート」を更に進化

健やかに生きる、幸せになる

増進インセンティブ商品・サービス重症化予防支援 等

確かな安心

これらのチェックのほか、以下の評価・診断も実施

FISC 安全対策基準への対応金融機関等における「サイバー攻撃対応」と「クラウド利用」を 2 大テーマとした 2015 年 6 月に発刊された最新の FISC 安全対策基準 (第 8 版追補改訂) 」への対応。国内大手 SI 事業者も、Azure による対応を「金融機関向けセキュリティリファレンス」で公開。

金融機関の要請への対応金融機関向けに特別に用意された「M248」と呼ばれる変更契約プログラムを保有。監督官庁による検査対応や再委託への中止要請対応など、金融機関ならではの要請に対応。

クラウド セキュリティ (CS) マークの取得自社が提供するすべてのクラウド サービスで CS ゴールド マークを取得。外部監査認印による適合監査まで完了済み。

社内専門部署による、独自チェック シートによる評価マイクロソフトが策定した「STRIDE リスク評価モデル」による評価セキュリティに関する高いスキルと豊富な経験を有する企業による脆弱性診断

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第一生命保険株式会社

関する第三者認証の取得状況、立入監査の受け入れへの対応など、多岐にわたる項目についての徹底的な調査を開始します。その結果選ばれたのが、Azure でした。

これらの調査項目の中で、特に重視されたポイントが 3 つあったと太田

氏は指摘します。

第 1 は金融情報システムセンター (FISC) の「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書 (以下、FISC 安全対策基準 )」への対応状況です。FISC 安全対策基準は 2015 年 6 月に「第 8 版追補改訂」が発刊されており、金融機関などにおける「クラウド利用」に関する内容が充実化されました。Azure はこの最新基準への準拠を公式に表明しています。

「我々はマイクロソフト自身の表明だけで判断すべきではないと考え、国内大手 SI 事業者 7 社が公開している "金融機関向けセキュリティリファレンス" も参考にしました。設備基準・運用基準・技術基準など 300 を超える項目について、最新基準への対応が明確に整理できていることがわかりました。これはマイクロソフトが、サービス仕様やデータ保護管理策などの評価や選定に必要な情報を、きちんと公開できている証拠です」と太田 氏は言います。

第 2 は認証取得の状況です。中でも「クラウド セキュリティ (CS) ゴールド マーク」に注目しました。CS マークは、クラウド サービス プロバイダーを対象にした日本初のセキュリティ基準であり、情報セキュリティ

コントロールの国際実施基準である ISO/IEC 27017 に基づき、日本における情報セキュリティを強化するために経済産業省が設立した非営利法人、日本セキュリティ監査協会 (JASA) によって与えられます。当認証制度では内部監査の実施項目やプロセスを明確に定めており、これを取得することは、日本基準のセキュリティとプライバシー保護、法令遵守、透明性の確保ができていることの証になるのです。CS マークにはシルバーとゴールドがあり、シルバーは事業者自身の内部監査だけで取得できるのに対し、ゴールドは内部監査だけではなく外部監査人による適合監査の完了が必要です。「ゴールドを取得している事業者は非常に少ないのですが、マイクロソフトはそのうちの 1 社となっています。日本基

準にも今後もしっかり準拠していくという姿勢の表れだと思います」。

そして第 3 が、金融機関が求める要請を契約として締結できるスキームが予め用意されていることです。Azure には金融機関向けに特別に用意された「M248」と呼ばれる変更契約プログラムがあり、監督官庁による検査対応、再委託への中止要請対応、反社表明、セキュリティ事故時の対応費用補償など、必要とされる一定のプライバシーやセキュリティ、規制上の要件への対応を明確化しています。また日本マイクロソフトでは「金融機関向けクラウド推進体制」を 2015 年 7 月から始動しており、150 人体制で積極的な活動を展開しています。

「金融機関のニーズにこれだけ高いレベルで応えているクラウド サービスは他にありません。Azure なら要件の厳しい保険業界でも、問題なく使えると確信しました」 (太田 氏 ) 。

健康増進プロジェクトにおいては、お客さまの情報を安心して預けるため、このような FISC 安全対策基準や設計レビューなどを軸とした「ルールベース アプローチ」に加え、「リスクベース アプローチ」による脅威評価手法も取り入れました。具体的には、マイクロソフトの Security

Engineering and Communications グループが策定した「STRIDE リスク評価モデル」と、「世間で過去に発生したサイバー攻撃の手口」を紐付け、システム構築と運用段階において攻撃者がどのような攻撃を仕掛けてくるかを考慮したうえで、システムの設計および実装段階で適切な防御策を講じるための分析を実施しました。セキュリティ リスクの事例・インシデント事例から該当箇所を特定、「モバイル アプリ」と「サーバー

サイド」などを分類するだけでなく、開発担当ごとに区分、実装結果の確認を実施しました。また、社内独自のクラウド チェック シートを作成し、「クラウド特有のリスクへの対応」や「サイバー攻撃のリスクに対する対応」などの視点から、ポリシーおよび組織に関するリスク、法に関するリスク、技術に関するリスクなどの評価も実施しています。何れも社内の専門部署によってチェックされ、問題がないことが確認されました。さらにテスト フェーズでは、セキュリティに関する高いスキルと豊富な経験を有する企業による脆弱性診断も行われています。

Mobile

iOS / Android

PaaS

App Service

PaaS

SQL Database

PaaS

Azure BackupFile Storage

IaaSVirtual Machines(System Management)

「 "健康第一" プロモート」の第一弾として提供されている健康増進アプリ「健康第一」の画面例。AI 技術を活用したシミュレーション機能によって、BMI 改善によるアンチ エイジングの重要性がわかるようになっています。また歩数や BMI の個人目標に対する達成度の可視化や、歩数実績に応じたスタンプの付与、コンビニ クーポンが当たる抽選なども行われています。

マイクロソフト コンサルティング サービスは、IaaS だけでなく PaaS も組み合わせた環境による運用面やスケーラビリティのコスト メリットの訴求および、環境構築の技術支援を提供しました。

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第一生命保険株式会社

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2017 年 3 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Azure、および Windows は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

開発体制と提供アプリの概要マイクロソフトのコンサルタントもプロジェクトに参加、 第一生命側の立場で開発プロジェクトを支援

システム開発には合計 7 社のパートナーが参画。開発着手から 4 か月という短い期間でのリリースを実現するため、Azure の PaaS 活用を前提とした開発が進められていきました。マイクロソフトからも、コンサルタントやエンジニアが第一生命側の PMO (Project Management

Office) のメンバーとして参加しており、各開発パートナーが設計したサービス内容の評価や、PaaS 活用方法に関する方法論やアドバイスの提供、問題発生時の解決支援を行っています。また、アプリケーション開発にあたっては、OWASP ASVS (Open Web Application Security Project

Application Security Verification Standard) やセキュア コーディング

ガイドを参照しつつ、進めています。

「マイクロソフトのコンサルタントには、開発現場との軋轢を恐れることなく、第一生命側の立場に立って正論を展開してほしいとお願いしました。今回のように迅速なシステム開発が求められる現場では、どうしても納期優先になりがちで、本来あるべきアーキテクチャや提供すべきサービス内容に関して、妥協が生まれる危険性があります。しかし、Azure のことはもちろんのこと、そのうえでの設計や開発、インフラ構築や運営、プロジェクト管理など、幅広いナレッジを保有するマイクロソフトのコンサルタントであれば、このような問題を回避するための適切な判断が下せるはずだと考えました。実際この要求に、高いレベルで応えていただいたと評価しています」 (太田 氏 ) 。

このような体制のもと、プロモートの第一弾として公開されたのが、健康増進アプリ「健康第一」です。これは、近年一般的となっている「管理指導型」の健康増進ではなく、ユーザー自身による自発的な意識や行動の変容につなげてもらうことを目的とした、新しいタイプの健康増進アプリです。「健康年齢」を若く保つには BMI (Body Mass Index) の改善が重要ですが、このアプリはそのための以下の機能を提供しています。

1. FaceAI

スマートフォンで撮影した自分の顔写真を基に、BMI の変化と年齢の経過によって、将来の自分がどのような姿になるのかをシミュレートする機能です。専門医監修の下、約 500 万人の画像データを使用した顔座

標検出 AI/スキン AI テクノロジーを駆使することで、自然なシミュレーションをリアルタイムで実行します。これによって、BMI の改善によるアンチ エイジングの重要性が理解できるようになっています

2. 歩数と BMI の計測スマートフォンやウェアラブル端末から歩数データを取得し、性別 /年代別の目標歩数と共に、わかりやすく表示します。また歩数や BMI の個人目標を設定することで、その達成状況も可視化できます。

3. 歩数実績に応じたクーポン提供歩数実績に応じてスタンプを貯め、それを使用することで、ローソンで使えるコンビニ クーポンが当たる抽選に参加できます。抽選結果は一週間の振り返りレポートと共に、アプリ上で通知されます。

今後の展望ICT を活用した取り組みを愚直に進め、 介護離職や医療費の増大といった社会問題の解決にも貢献

「健康で長生きすることは、自分自身はもちろんのこと、家族の幸せにもつながります」と岩井 氏。そして健康寿命を伸ばしていくには、自分自身が健康の重要性に気付き、健康になるための取り組みを長く続けられる環境作りが必要だと指摘します。「ここで当社が重視しているのは、お客様に何かを強制することではなく、お客様に寄り添って共に歩んでいけるサービスを提供することです」。

第一生命ではそのためのアプリやサービスをさらに拡充し、段階的にリリースしていく計画です。またこのようなアプリやサービスをより多くの人々に使ってもらうため、社内はもちろんのこと、保険販売チャネルへの PR や教育といった活動も、積極的に展開していくと言います。

「第一生命は創業以来、お客さまのさまざまな不安を解消し、安心を提供する役割を担ってきました。最近はお客さまが望む「安心」も多様化しており、これからは健康な方には "健康であり続ける" ためのサービス提供を、病気の方には病状改善や重症化予防の支援にも注力していきます。ICT を活用しながらこのような取り組みを愚直に進めていくことで、介護離職や医療費の増大といった社会問題の解決や地域社会の発展への貢献を果たしていきたいと考えています」。

6125-SE1