19（有）補聴器センター・ヨコハマ

75才　主婦　娘さんと二人住まい，趣味　ステンドグラス教室　その他　亡夫の関係で書道・

絵画鑑賞などで活動的。

平成10年10月より右耳にリニア耳かけ（イヤモールド，ボリウムストッパー，ダンパー使用）

常時使用。

主　訴

平成13年12月来店，最近娘さんとの会話も曖昧な返事をしたり，趣味教室や町内会集まり時

も聞きとりにくいことがあり歯がゆい。左耳に耳あな形をかけ，両耳装用したいとの意向。

平均聴力レベル（4分法） 右　60dB 左　53.75dB（両耳ともほぼフラット）

語音弁別　右　90dB 65％　左　85dB 70％

装用経過

外出多く活動的，全般に響きに敏感な面，簡単に操作ができるもの，耳あな形希望等から，デ

ジタル耳あな形カナルオーダー（オーティコンカナルドットコム（最大利得46dB 最大出力音

圧110dB））を選んだ。

同月27日，左耳で初めて響き面を考慮しWDRCによるフィッティングを行い，補聴効果自己

評価尺度として所定のチェック項目を渡し，年明け来店を待った。

明けて1月10日「期待したが，噛む時，うがいの時など響いて使えない，聞きとりも右耳だけ

の方がよい」との訴え。食器の音などはあまり気にならないとのことで高域部分を上げ，あわせ

て研磨修正を行った。調整後の装用時の聞きとり

男子肉声　1m 静　ブラインド　3単語（20語）

右耳補聴器装用時　65％　左右（両耳）補聴器装用時　80％

同月28日，「全体に重たい感じ，長くは無理」とのことからシェル外耳細く短め，ベント大き

めにシェル再作した。その後，「聞こえは少しよくなっているかな」「娘さんとのトンチンカンな

返事は少なくなった」とのことで両耳に一定の評価も「食事時の噛む音，お茶を飲む時は響く」

等の訴えは残り，さらにお茶を飲みながらのパソコン調整やシェル研磨修正を重ねた。

3月11日，「しばらくはよいが，長く使うと首筋が張って痛くなり漢方を飲み処置した」との

クレームがあり，使用を中止した。その後，本人の両耳装用意欲が強いため，ノンリニア耳かけ

（オーティコン，プリモフォーカスコンパクト）を貸出試聴後，3月29日購入，外出時などに選

択使用している。

症例報告2－②

デジタル耳穴補聴器の不具合

田 代 　 実

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今回のデジタルカナルオーダーの症例は聞こえの程度の前進はみられたものの，実使用面では

多いケースではないと考えられますが，耳あな形オーダーのフィット上の関連が大きいと思われ，

シェル処置の妥当性，顎関節運動，迷走神経，現在治っていますが片頭痛などの関連の有無など，

医学，聴覚生理上の課題や事前の聴覚データ収集上の反省も残りました。デジタル補聴器やパソ

コンフィッティングの登場により，処方の目安やユーザーニーズに応えられる幅が広くなった可

能性がみられ，喜ばしいことの反面，その期待度も高くなってきています。補聴器がいかに優れ

ていても，一人歩きする製品ではないので，個々人の聴覚データ，主訴，目的，意欲面，装用感，

操作性や使用環境などニーズをよくお聞きして百人百様のユーザにより深く対処，フォローして

いく必要性を感じています。

症例報告2－②

21補聴器のオカノ川口店

58歳・男性・現役で自営業の方が，突発性難聴になり，治療を経て2ヶ月後に御本人の強い希

望とDrの了解により，HB-D4PV（リオン社）を両耳装用する事になりました。聴覚面，性格面，

共に難しい要求が多く，認定補聴器技能者として，対応に悩みが多かった方です。デジタル補聴

器を使っての一例として，フィッティング過程を発表させて頂きました。

主訴は，仕事中のお客様との1対1の会話，携帯電話での交渉，奥様との会話，の改善。デジ

タル補聴器の試聴を希望。来店時の聴力は両耳共110dB以上，他店数件で試聴したアナログ補聴

器に比べHB-D4PVは明瞭との事でご購入。なお，初回調整はリオネットセレクターの自動調整

から始め，ご本人の感覚を伺いながら行いました。

納品から20日後調整来店。その後1ヶ月半に13回の来店で，毎回1時間以上の対応。聞こえの

状態や感じ方が不安定であったため調整が難しかったです。例えば「キンキンする」との要望の

場合，一般的には高音域の出力や利得を下げると治まりますが，この方の場合，一般的な対処が

当てはまる時と，当てはまらない時が多々ありました。当てはまらない時には，その訴えは利得

か出力か最大出力か，低音域か高音域かのいずれが影響力を持つのか，いろいろ変えてみてその

答えを本人の感覚に委ねましたが，その土台となる本人の感覚が不安定で，今日良かった物が明

日は良くないことが度々あり，何度かの繰り返しの中で，キンキンの解決は使用volでの

90dBSPL入力時の低音域を下げることがポイントであると見つけるまでにかなりの苦労をしまし

た。本人から「店長（私）の声は良く聞こえるんだけど，家へ変えるとダメなんだよナ。」との

訴えもあり，携帯電話で奥様や従業員の方とその場で会話して頂き，その様子を参考として調整

した事もありました。

また，「ボワッとする」や「音が割れる」などの要望では，何処に問題があるか探る事が難し

く，私の経験に照らし合わせ質問の角度をいろいろ変えて聞き直してみたりもしました。そこか

ら考えられる調整変更を行い，本人の感覚の反応を見て最善の特性を探りました。

調整器の豊富なデジタル補聴器では，幾つかの方法により，微妙な特性変化をつける事も出来

ました。例えば，低音域を下げる場合，TONE Hでの調整方法と，FC＋チャンネル数値＋ボリ

ュームでの調整方法があり，中低域の周波数特性において両者に微妙な差が出ました。さまざま

な調節方法や，パソコンと補聴器の動きのくせを知り，効果的な方法を素早く選択出来るよう今

後も努力したいと思いました。

調整の主訴は以下の通りです。言葉がハッキリしない，食器の音がうるさい，こもってハッキ

リしない，音が割れて響く，装用中に一過性聴力低下が発生してボワッとするので短時間の会話

用にしたい，聴力改善（右88dB，左77dB）により音を弱くして欲しい。

補聴器の周波数特性，セレクターの調整数値，自由音場の装用閾値，語音明瞭度，のデーター

をもとに，調整内容を考察しました。

事例報告2－③

高度難聴者のデジタル補聴器事例

鈴 木 慎 一

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事例報告2－③

平均聴力裸耳右88dBHL左76dBHL装用時右65dBHL左57dBHL両50dBHL

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最高語音明瞭度　H14.11.6 67S式語表・受話器にて

右耳 100dB入力時 10％

（右100dBは本人として小さい)

左耳 （MCL）95dB入力時 35％

高度難聴者のフィッティングを行う上で，最大出力（特に低域），装用時間に今後注意したい

と思います。また，ご本人の性格面，店内の接客状況面など，いかなる難問題があっても，語音

明瞭度，聴力等の測定は先に行い，お客様の訴えに振り回されずに自分の主張を持ったフィッテ

ィングをしたいと思います。今回のお客様には手間はかかりましたが，専門店としてデジタル補

聴器を使っての対応は，満足を与えられた事と思います。

24オーティコン（株）

デジタル補聴器は多チャンネル化やコンプレッションやニーポイントを有効活用したノンリニ

ア増幅等，特性形成の有効活用で，ノイズ下での言葉の聞き取り改善に貢献したといえる。

さて今後は補聴器装用で起こりうる副作用の改善への目的に，デジタル補聴器の特徴を応用し

てそれを試みたい。そこで今回は副作用のうちで最も多いこもり感や閉塞感の改善をテーマに事

例をとった。

さて閉塞感の原因は，低音域200Hzから500Hzの振動が，補聴器を装用することにより一種の

栓をした状態になり，自分の声が20dBから30dB増幅されたように感じることによる，つまり骨

事例報告2－④

閉塞感コントロール「アダプト」を用いた事例

津 村 純 一

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導音が閉塞耳に閉じ込められた形になることによる。よって骨導音が気導音または増幅された音

より大きい場合や，低音の聴力レベルが正常に近い場合に，自声がおかしい，樽の中で喋るよう

との表現で閉塞感の訴えが生じる。

解決策としては多チャンネルアンプの場合低音域バンドを減衰させる。またベント径を大きく

することも考えられるが，ベントで起こりうるハウリングについてはハウリングキャンセレーシ

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ョンを用いて新たなる副作用も軽減させる。

このような対応に「アダプト」を用いた。

事例1

男子74歳　いろいろな世話役をしている。

両耳持参　　左　Kアンプカナル　6年　　右　WDRCプログラマブルカナル　時々　2年

主訴　1．常に快適な付け心地で集会や大勢の会話を聞きたい。2．しかしながら両耳装用する

と蓋をしたように自分の声がおかしいので昔からの右を主に使うことが多い。

3．また左右のバランスが悪い気がするので，これも含めて右を使うことがほとんど。

4．両耳をしたら会合で良いのはわかるが不快感がある，それを解決してほしい。

右聴力（気骨導差なし）250Hz30dB 500Hz25dB 1KHz40dB 2KHz55dB 4KHz60dB

左聴力（気骨導差なし）250Hz30dB 500Hz30dB 1KHz45dB 2KHz50dB 4KHz60dB

弁別能　　右最高明瞭度　60dBSPL 80％　　左最高明瞭度　70dBSPL 75％

聴力と補聴器装用経験に基づき「アダプト」カナル両耳を少なめのゲインの設定ステップ1で

装用する。

2週間後音量不足を言われステップ2までゲインを上げたが，自分の声の閉塞感や声のおかし

事例報告2－④

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さへの訴えはなく，快適に両耳装用できるとのこと。

インサーションゲインでみるとあきらかに250Hzのバンドの利得が少なく（ともに5dB）これ

が効を成したと言える。

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事例2

男子75歳　補聴器初めて，家族のすすめ。

主訴と現状　1．社交的で毎日行事のある生活を送る。2．難聴の自覚があるが，今日まで補聴

器の体裁への抵抗と補聴器は役に立たないという友人のアドバイスであきらめていた。

右（骨導500Hzのみ45dB他気骨導差なし）250Hz60dB 500Hz60dB 1KHz40dB 2KHz25dB 4KHz30dB

左（骨導500Hzのみ45dB他気骨導差なし）250Hz60dB 500Hz60dB 1KHz40dB 2KHz25dB 4KHz40dB

弁別能　　右最高明瞭度　70dBSPL 90％　左最高明瞭度　70dBSPL 90％

「デジライフドットコム」両耳で製作するも音量を上げると自声がわずらわしく音量を下げる

と聞こえず2チャンネルでの調整限界もあり「アダプト」に器種変更。

変更後は装用感の不快は改善されたが，両耳の不快が去らず金銭面も含め右のみ片耳装用にな

る。

このような左下がり聴力でも初めての装用で両耳を勧めた場合，閉塞感が出る場合があった。

「まとめ」閉塞感を減じるには当然ではあるが，音質調整，ベント径，器械などの変更の有効性

が立証された。

事例報告2－④

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30（株）仙台リオン補聴器センター

はじめに

今回は，難聴外来を受診したお客様の中から約6ヶ月にわたって両耳装用も試みましたが，片

耳のみに補聴器を装用した軽度感音難聴者の事例を家族背景も含めて報告致します。

事　例

15才，女性，自宅で母親が，娘に聞き返しが多く聴こえが悪いのではと耳鼻科を受診。

所　見

平成6年（当時7才）平均聴力レベル約40dB，原因不明の両側感音難聴と診断。当時，Drから

も積極的な補聴器の装用は不要と考えられますが社会的環境を考慮の上，補聴器の説明をと指導

される。

この診断より8年経過，昨年1月頃からプライベートなことでいじめにあう，登校拒否，ひき

こもりの繰り返しの日々が続く中，この頃から特にTVの音量が大きくなって，昨年6月耳鼻科

を受診しDrより補聴器をすすめられる。語音弁別検査；両耳　80dB 90%

フィッティング；授業中はほとんど不自由を感じないとのこと。本人の喜怒哀楽も激しく，機

嫌のいいときをみて，Drの指導のもと補聴器試聴。

平成14年（6月） リオン社　k-amp HB-53K 両耳装用テスト　

（7月） 左　聞きやすい　（左のみ装用）

（8月） 夏風邪　体調不良　使用せず

（9月） 左　自分の意志で授業に使用　黒板（チョーク）カチカチ音が気になる。

（10月） 左　CIC デジタル　リオン　HI-D8E ブルーシェル作成。

（11月） 以前より話すようになる。 経過観察中。

まとめと検討

家人の意向はデジタル，しかし経済面からの予算は10万円。自声音の閉塞感もあまり違和感な

く，ブルーシェルを見たときいい笑顔をしていました。両親の離婚，再婚の他，精神的にもいろ

いろあり，装用評価においては，TVの音量低下と笑顔が戻ってきつつあること。補聴器を通じ

て笑顔を取り戻すきっかけになればという背景中心の事例でした（発表　平成14，11，24）。

事例報告2－⑤

少年期におけるデジタル補聴器の装用例

吉 田 憲 司

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平成16年12月現在は美容専門学校へ通学中，ときどき補聴器を使用しているとのこと。