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ジオテキスタイル補強土施工要領書 平成14年5月作成 補強土ネットサービス URLhttp://wwwHokyodojp

ジオテキスタイル補強土施工要領書 - HOKYODO...ジオテキスタイル補強土は次の手順でジオグリッドを敷設して下さい。詳細の手順は以降に解説します。①のり枠の設置

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ジオテキスタイル補強土施工要領書

平成14年5月作成

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目次

• ジオテキスタイル補強土工法 施工手順  ……… 3• Ⅰ.施工にあたっての留意事項  ………………… 5

• Ⅱ.施工に必要な資材   ………………………… 6

• Ⅲ.施工に必要な機器   …………………………10

• Ⅳ.施工要領   ……………………………………11

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 ジオテキスタイル補強土は次の手順でジオグリッドを敷設して下さい。詳細の手順は以降に解説します。

①のり枠の設置

敷設位置への運搬

②切断

③のり枠への接合

④敷設

⑤ピン固定

⑦土砂まき出し

①のり枠の設置  ・設計図でのり枠の設置位置を確認し、正しく設置します。  ・のり面内側に植生マットなどを敷設することも有効です。②切 断  ・設計図に従ってジオグリッドの敷設長さを確認し、切断します。  ・ジオグリッドの切断には、裁ちバサミ、カッター等を用います。③のり枠への接合  ・グリッドを連結棒に巻き付けて20cm程度折り返します。  ・連結棒とのり枠金網の横筋とを専用のUボルトで連結します。  ・Uボルトは、3個/2m使用します。  ・図-4.1に接合方法の概要図を示します。④敷 設  ・ジオグリッドの幅方向のオーバーラップは耳部の幅(5cm)とします。(有効   幅は2mとなります。)

ジオテキスタイル補強土工法 施工手順ジオテキスタイル補強土工法 施工手順

⑧転圧

⑥テンションフック固定

のり枠 工法

金網のり枠 ジオグリッド敷設

(盛土)

(盛土)

連結部

繰り返し作業

パネル1段分の盛土は2層に分けて転圧する

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  ・ロール巻きされたジオグリッドをのり面側の基準点より展開しながら敷設し   ます。  ・ラップの上側と下側は、土砂の搬入位置とまき出し方向を確認し、ラップ部   分がめくれないように決めて下さい。

⑤ピン固定  ・幅方向のオーバーラップ部のピン固定間隔は2~3mとします。  ・その他、地山側端部等必要に応じてピン固定します。

⑥テンションフック固定  ・転圧時のはらみだし防止のために、斜体材(テンションフック)をのり枠に固   定します。

⑦土砂まき出し  ・ジオグリッドがめくれないように、ラップ部上側方向より土砂をまき出して下さ   い。  ・のり面側より、のり面に対して平行に行います。  ・重機はのり肩から1~1.5m以上離れて走行して下さい。

⑧転圧  ・重機はのり肩から1~1.5m以上離れて走行して下さい。  ・のり肩から1~1.5m以内は、ハンドガイド式の振動ローラ、振動コンパクタ   等で転圧します。  ・基準にそって転圧し、極力凹凸がないように平らに均します。

のり枠とジオグリッドとの接合方法の概要図

6mmφの連結棒

ジオグリッド連結棒に巻き付けて、20cm以上折り返しておく

のり枠の横筋

のり枠の縦筋

専用Uボルト

のり枠の横筋

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Ⅰ.施工にあたっての留意事項Ⅰ.施工にあたっての留意事項

  施工にあたって次の点に留意して、状況に応じて適宜設計変更をして対処します。

1.基礎の支持力はありますか。?

盛土の内部摩擦角は設計値を満足していますか。満足していない場合は、 良質土の 購入、安定化処理、排水対策等を講じて設計変更を行います。

2.地山からの湧水の有無の確認とその対策はできていますか。?豪雨時に周辺から大量

の雨水が補強土ゾーンに侵入して、補強土の安定 に悪影を及ぼしませんか。?

天端付近の盛土材が耐蝕性の低い土質の場合は、雨水の表層  流下を軽減する方策

を立てるとともに、安定化処理により耐蝕性を高くする土質改良を行って下さい。

3.盛土の締固め管理基準に則した施工体制はできていますか。? 降雨時の対応策としてブルーシートが準備されてますか。?

浸透水により細粒分が抜けやすい砂質土(まさ、しらす等)や、pH値が5以下などの植生不良土の場合、のり面より最低20cmは良質土の客土を行います。

その他注意事項

盛土中、各段階で出来形、標高のチェックを行って下さい。

土工についての一般的事項は、「道路土工施工指針」(日本道   路協会)、および「土

工管理施工要領」(日本道路公団)に準拠して下さい。

「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」(土木研究センター)に準拠し

て下さい。

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Ⅱ.施工に必要な資材Ⅱ.施工に必要な資材

1.施工に必要な資材一覧

 A.L型溶接金網のり枠

   (3分、5分勾配用)ST205幅2m×高さ約50cm

必要数量

(のり面積㎡分)

資 材 規 格 数 量

 B.テンションフック

   (斜タイ材)

5mmφ、両端フック3部勾配用:長さ40cm5部勾配用:長さ39cm

5本×のり枠数量

 C.Uボルトとナット

   およびプレート

5セット×のり枠数量

 D.アンカー(のり枠固定用)

長さ40cm、16mmφ 2本×のり枠数量

 E.結束バンド 白、長さ22.5cm 5本×のり枠数量

(3)植生マット 必要数量

 F.結束棒(鋼製) 長さ2m、6mmφ 1本×のり枠数量

(1)ジオグリッド 幅2m、50m巻ロール 必要数量

(5) 不織布排水材 幅2mもしくは4m

100m巻ロール必要数量

2.上記資材詳細

 (1)ジオグリッド               「技術資料」を参照下さい。

 (2)のり枠セット               次頁参照下さい。

  A.L型溶接金網のり枠

  B.テンションフック

  C.Uボルトとナットおよびプレート

(6)番線 若干量植生マットの仮固定用

(7)その他、土工事に必要な資材一式

必要数量

(2)のり枠セット一式

(4)アンカー(ジオグリッド固定用)

長さ40cm、16mmφ2本×のり枠数量

ボルト3/8インチφプレート100mm×32mm

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正面図

側面図

2,000@60×33=1,980

A.L型溶接金網のり枠(3部勾配用を示す)A.L型溶接金網のり枠(3部勾配用を示す)

1010

475

575

125

73.2度

B.テンションフック

@100×3=30080

400

Φ6

395

C.Uボルトとナットおよびプレート

φ6

20

6

70

120M8

15832

3.2t

15

9

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正面図

側面図

2,000@60×33=1,980

L型溶接金網のり枠(5部勾配用を示す)L型溶接金網のり枠(5部勾配用を示す)

1010

475

536

125

63.3度

B.テンションフック

@100×3=30080

400

φ6

390

φ6

20

C.Uボルトとナットおよびプレート

6

70

120M8

15832

3.2t

15

9

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  D.アンカー(のり枠固定用)

    ((4)アンカ-(ジオグリッド固定用)も同一のアンカーを用いる)400

φ16

  E.結束棒

2000

φ6

 (3)植生マット                     省略

 (4)アンカー(ジオグリッド固定用)         上記(1)D.参照

 (5)不織布排水材                  省略

 (6)番線                        省略

 (7)その他、土工事に必要な資材一式     省略

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Ⅲ.施工に必要な機器Ⅲ.施工に必要な機器

施工に必要な機器

 (1)ボルトクリッパー:600mm長さ、L型溶接金網のり枠切断用

 (2)大ハンマー   :アンカー打ち込み用

 (3)カッターナイフ(または裁ちバサミ):ジオグリッドの切断用

 (4)大バール    :1m長さ程度のもの、L型溶接金網のり枠の位置矯正用

 (5)ラチェット    :M8六角ナット用、Uボルトとナットの締め付け用

 (6)突き棒(タコ)  :L型溶接金網のり枠の裏込め土締固め用

 (7)振動コンパクタ- :L型溶接金網のり枠の裏込め土締固めもしくはタンパ-用

 (8)その他土工事に必要な、建設機械、器材および工具一式

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Ⅳ.施工要領Ⅳ.施工要領

1.基礎地盤の整地、締固め1.基礎地盤の整地、締固め (1)排水基盤の造成

盛土および地山からの排水、湧水対策は非常に重要であり、必要に応じて砕石を敷いて地盤の強度低下を防ぐ。

 (2)基礎地盤の整地、締固め 基礎地盤のレベルの整生は重要であり、盛土全体の出来映えを左右するので、入念に行う。

2.丁張りの設置2.丁張りの設置

丁張り設計のり面位置

10cm

のり面の位置、勾配を明示するようにする。

丁張りはのり面位置より、一定間隔(10cm程度離して設置する。

3.最下段の施工3.最下段の施工 (1)L型溶接金網のり枠(以下のり枠と略称する)の設置

設計のり面に合わせて、のり枠を置く

・のり枠の側面どうしを突き合わせる。

 (2)隣接のり枠の連結

隣接するのり枠同士をUボルトとプレートとナットを用いて連結する。

・のり枠ののり面側のみ、2箇所で連結する。図のような取り付け方が望ましい。

・2箇所の位置は左図の通り上から2番目の横筋の下と、下から2番目の横筋の上

・ナットがのり面の内側になるように

・ラチェットを用いれば、効率良く作業ができる。

Uボルト

プレート

正面から見た図

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 (3)のり枠をアンカーで固定する。

側面から見た図

平面から見た図

のり面側

地山側

アンカー

のり枠設置後、前後・延長方向のぐらつきを合板などのスペーサやくさびで安定させる。

のり枠1個に対して、2本アンカーを打つ。

のり枠の両端の地山側の横筋にしっかり引っかかるように打つ。

アンカーの枝が地山側になるように打つ。

大ハンマーにて打ち込む。

のり枠の底面側

 (4)ジオグリッドをカットする。 設計図に従って、ジオグリッドの敷設長さを確認し、切断する。

ジオグリッドの切断には、カッター、裁ちバサミ等を用います。

 (5)ジオグリッドを敷設位置まで運ぶ。

スペーサ(合板など)

基礎地盤

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 (6)のり枠にジオグリッドを連結する

  A.ジオグリッドを結束棒に巻き付ける。

ジオグリッドは18~20cm程度折り返す。

結束棒

長さ方向

  B.ジオグリッドと結束棒をのり枠に連結する。

18~20cm

ジオグリッドを結束棒鋼で折り返し、のり枠の底面側の地山から3番目(左図の通り)の横筋と、結束棒を連結する。連結は専用のボルトを用い、結束棒鋼・3番目・2番目の横筋をまたいで固定させる。

連結は3箇所行う

 ・のり枠の両端部2箇所

 ・のり枠の真ん中1箇所

本項は、のり枠を設置位置にアンカーで固定した後に、ジオグリッドをのり枠に連結する手順で書いている。しかし、別の作業場所で、ジオグリッドの連結をしておき、後でのり枠を設置位置まで運ぶ手順でも差し支えない。

<ジオグリッド連結後に、のり枠を設置位置に運ぶ場合の手順>(4)→(6)→(1)→(2)→(3)の手順(3)のアンカーを打つ場合には、ジオグリッドのマスメも同時に固定する。

ジオグリッド

結束棒鋼

のり枠の横筋

のり枠の縦筋

専用Uボルト

のり枠の横筋専用Uボルト

結束棒鋼ジオグリッドのり枠の横筋

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地山側のジオグリッドの端部を手に持って、張力をかける。

ジオグリッドにたるみがなくなる程度に張力をかければ良い。

ジオグリッドは適当な柔軟性を有しているので、人力による張力導入で十分な張力がかけることができる。

ジオグリッドの耳部分(5cm)をオーバーラップする。

オーバーラップの上側と下側は土砂の搬入位置とまき出し方向を確認し、ラップ部分がめくれないように決める。

ジオグリッドに張力をかけたまま、なるべく地山側の、トレグリッドの幅の中央部に1本打つ。

なるべく地山側の耳部のオーバーラップ部分にも打つ。

大ハンマーで打つ。

オーバーラップ部分

 (7)ジオグリッドを敷設し、アンカー固定する。

  B.ジオグリッドに張力をかける。

  A.ジオグリッドを敷設する。

予定される

土砂まき出し方向

  C.地山側端部にアンカーを打つ

ジオグリッド

アンカー

この方向に張力をかける

ジオグリッド

張力がかかった状態

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 (8)植生マットの固定

  A.植生マットを拡げて、取り付ける。

  B.のり枠の内側から、のり枠に仮固定する。

番線で仮固定する。

適切なピッチで仮固定する。

のり枠下端のコーナー部によくなじむように取り付ける。

植生マット

番線

下図のように取り付ける。

連結状況近影

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 (9)テンションフックを固定する。 のり枠一つ当たり、5本のテンションフックを用いて固定する。

  ・のり枠の端部より20cm程度の場所(手の平を拡げて一個分程度)に2箇所

  ・さらに40cm程度内側の場所(手の平を拡げてさらに2個分程度)に2箇所とその中心に1箇所

テンションフックのり枠

のり枠の横筋にテンションフックの両端のフックを引っかける。

 ・引っかける場所の植生マットに、指かカッターナイフで、小さな穴を開ける。

 ・底面側は、トレグリッドの目の間を通してフックを引っかける。

テンションフック 3部勾配

   底面側の地山から2番目の横筋とのり面側の上から3番目の横筋をフックに引っかけて固定する。

重要

 ・底面側のフックは下から、のり面側のフックは上から引っかけると作業効率が良い。

 5部勾配

   底面側の地山から2番目の横筋とのり面側の上から2番目の横筋をフックに引っかけて固定する。

3部勾配の場合

5部勾配の場合

テンションフック

200 200400 400 400 400(mm)

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 (10)1層目の土砂まき出しと転圧 盛土材料をまき出し、平滑にならした後、所定の締固めを行う。

・締固め基本層厚は25cmとする。

25cm

のり枠から50cm以内は、重機による転圧は行わないため、のり枠の裏(左図斜線部分)への充填および転圧が不十分になりがちであるので、人力により入念に行う。

・大きな礫は取り除く

・振動コンパクターや突き棒などで、入念に締め固める。

 (11)排水材(不織布)の敷設 地山や盛土からの湧水や雨水を速やかに排水するためには、排水材も併用する設計を行うことが望ましい。

ここでは、排水材と併用の設計が行われたものとして、施工手順を示す。

排水材は、ジオグリッドとジオグリッドの中間層(左図参照)に敷設される。

  A.排水材を敷設する地面には勾配をつける。

地山側からのり面側へ3%程度の勾配をつける。

排水材(不織布)

3%

盛土材料

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 (12)2層目の土砂まき出しと転圧 盛土材料をまき出し、平滑にならした後、所定の締固めを行う。

・締固め基本層厚は25cmとする。

・締固め盛土の仕上がりの位置は、

 のり枠上面より7~8cm低い位置

のり枠から50cm以内は、重機による転圧は行わないため、のり枠の裏への充填および転圧が不十分になりがちであるので、人力により入念に行う。

・大きな礫は取り除く

・振動コンパクターや突き棒などで、入念に締め固める。

・2段目以降の基礎地盤となるので、水平に仕上げる。

7~8cm(3分勾配)

  B.排水材を敷設する。 排水材を敷設する場合、盛土の延長方向を排水材の長さ方向として良い。(左図参照)

排水材の出口をのり面に出す。

・盛土中にとどまらないように

・上に折れ曲がらないように

盛土の奥行き方向に幅継ぎする場合は、10cm程度オーバーラップする。

・オーバーラップの上下は、のり面側を下とする。(左図参照)

のり面側斜面

地山側斜面

盛土の延長方向

オーバーラップ部分

排水材

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4.2段目以降の施工4.2段目以降の施工

 (1)のり枠の設置

設計のり面位置にあることを、丁張りで確認しながら、のり枠を設置する。

・のり枠はのり面外側に出やすいので、大バールを盛土に突き刺し、テコの要領で、盛土奥行き方向にのり枠を引っ張るようにする。

1段目ののり枠の頂部に、2段目ののり枠の最も下の横筋に引っかける。

・2段目ののり枠をのり面の外側から挿入して引っかける。

・隣接するのり枠が重ならないように、また離れすぎないようにする。(突き合わせ程度)

2段目ののり枠

 (2)隣接のり枠の連結 6頁の3.(2)と同じ要領で実施する。

 (3)のり枠をアンカーで固定する。

バールで引張ながら、アンカーを打つ

アンカーの位置や打ち方は、7頁の3.(3)と同じ要領で実施する。

アンカー

大バール

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 (4)ジオグリッドをカットする。

 (5)ジオグリッドを敷設位置まで運ぶ。

 (6)のり枠にジオグリッドを連結する

  A.ジオグリッドを結束鋼に巻き付ける。

  B.ジオグリッドと結束棒をのり枠に連結する。

 (7)ジオグリッドを敷設し、アンカー固定する。

  B.ジオグリッドに張力をかける。

  A.ジオグリッドを敷設する。

  C.地山側端部にアンカーを打つ

 (8)植生マットの固定

  A.植生マットを拡げて、取り付ける。

  B.のり枠の内側から、のり枠に仮固定する。

 (9)テンションフックを固定する。

 (10)1層目の土砂まき出しと転圧

 (11)排水材の敷設

  A.排水材を敷設する地面には勾配をつける。

  B.排水材を敷設する。

 (12)2層目の土砂まき出しと転圧

7頁の3.(4)と同じ要領で実施する。

8頁の3.(6)と同じ要領で実施する。

9頁の3.(7)と同じ要領で実施する。

10頁の3.(8)と同じ要領で実施する。

11頁の3.(9)と同じ要領で実施する。

12頁の3.(10)と同じ要領で実施する。

12頁の3.(11)と同じ要領で実施する。

13頁の3.(12)と同じ要領で実施する。

先にジオグリッドの連結を別の場所でしておき、

(4)→(6)→(1)→(2)→(3)の手順としても構わない。

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<最上段での留意事項><最上段での留意事項> 最上段は、天端コーナーの保護、のり肩の出来形標高補正、盛土縦断方向の勾配の作製の3つの目的を考慮する必要がある。上記目的を達成する方法は多くあるので、供用目的に合った処置を実施して下さい。

設計のり肩標高よりのり枠の方が高い場合で、のり枠が邪魔な場合には、のり枠をクリッパーで切断する。

設計のり肩標高に合わせる。

ここをクリッパーで切断する。

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参考資料:「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工参考資料:「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」からの抜粋マニュアル」からの抜粋

<ジオグリッドの敷設><ジオグリッドの敷設>

 ここでは、曲線部および隅角部の敷設方法について述べる。

 ①曲線部や隅角部では、隣り合うジオグリッドとの間に隙間ができたり、あるいは重ね合わせ部分が生じたりする。

 ②この時、敷設する各ジオグリッドは、壁面(本文中ではのり面と称した)に対して直角に取り付けるようにする。

(1)曲線部の敷設

 ③図参-1に示すように、外曲がりの区間(A区間)では、盛土の後方に無補強の部分を残すことになる。この場合、ジオグリッドの連続性を保つために、隙間には同種のジオグリッドの小片を重ね合わせる。

 ④内曲がりの区間(B区間)では、ジオグリッドが重なり合う部分に、盛土材を挟み摩擦力を確保する。

(2)隅角部の敷設

 ⑤図参-2に示すように、内曲がりや外曲がりの区間で隙間や重なりが大きくなる。この場合には、安定性に支障のない範囲で、無駄のない敷設配置を検討して採用 すればよい。

<ジオグリッドの長さ方向への接合><ジオグリッドの長さ方向への接合>

 盛土横断方向(ジオグリッドの長さ方向)については、できるだけ接合部を作らないよう効率的な合取りを行うことが望ましい。

 やむを得ず盛土横断方向に接合を行う際には、できるだけ接合部の引張強度を低下させないように接合を行い、接合部は同一横断面に揃わないように注意する。

敷設されたジオグリッド

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図 参-1 曲線区間(平面図)

図 参-2 隅角部の敷設配置例(平面図)

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図 参-3 まき出し、敷ならしの原則

図 参-4 盛土体内外の排水対策

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<土のまき出し、締固め><土のまき出し、締固め>(1)まき出し

  まき出し、敷ならし作業を行う建設機械は、壁面近傍(本文中ではのり枠近傍と称した)およびジオグリッドの上において、次の項目を厳守しなければならない。(図参-3参照)

 ①壁面に平行に走行すること。

 ②壁面から1.5m以上離れて走行すること。

 ③壁面側からまき出し、敷ならしを行うこと。

 ④ジオグリッドが敷かれている区域内で、急激な方向転換をしないこと。

 ⑤盛土材がまき出されていないジオグリッドの上を走行しないこと。

 ⑥また、壁面から1.5m以内の巻きだし、敷ならし作業は、壁面工の変形を生じないよ

  うに、建設機械の走行を禁止し、人力により慎重に行わなければならない。

(2)締固め

  まき出しと同様に上記①~⑥を厳守するとともに、

 ⑦壁面直近より1.5m以内は、軽量で、小規模な締固めに適している振動コンパクー

  やタンパ-が適している。

 ⑧その他の部分は、比較的種々の土質に適用できるタイヤローラや振動ローラが適し

   ている。

 ⑨施工時の降雨対策として、作業終了時にはできるだけ滑らかな表面とし、若干の勾

   配を設け排水を良好にして、雨水の土中への侵入を最小限に防ぐようにする。

 ⑩降雨前にまき出しや、敷ならしをした土を締固めせずに放置することは絶対に避ける。

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<排水工><排水工>

  施工時および完成後も長期にわたって水による支障をきたすことのないよう「道路土

  工-排水工指針-」(日本道路協会)に基づいて、盛土体内外の排水対策を十分に

  講 じておくものとする。

(1)盛土内の排水対策

 ①補強土壁の背面を掘削する場合は、掘削のり面に沿って地下排水溝を設けるものと

  する。また、こののり面に湧水のおそれのある場合は、地下排水溝、水平排水工な

  どによる排水施設を設計する。

 ②補強土壁の基底部には、盛土内の間隙水圧の上昇を防ぐため、排水層を設けるも

  のとする。

 ③補強土壁の壁面背面には、横断方向にフィルター材料による裏込め排水を行うのが

  望ましい。しかし、溶接金網ののり枠は、それ自体が排水機能を併せ持つので、不要

  である。

④施工時期が降雨期となる場合や、やむを得ず含水比の高い盛土材料を使用する場合

  には、一定層厚毎に、水平排水工を設けて、裏込め排水層や基礎排水層を通じて盛

  土外に速やかに排水できる構造とするのがよい。排水工のフィルター材料としては、

  砂利、粗砂の他に、不織布を敷設することで同様の効果を得ることができる。

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(2)外周部の排水対策

 ⑤盛土の仕上り面や上載盛土ののり面は、補強土壁の内部に降雨などが浸透しない

  ように、適切なしゃ水工および排水工を設けるものとする。

 ⑥補強土壁の周辺は、付近からの流入水、浸透水などによる流入を防ぐため、その境

   界付近に流入防止工を設けるなどして、適切な処置を講じておくものとする。

(3)施工時の排水対策

 ⑦背面や基礎部分の掘削時において、調査の時点では予測されなかった湧水がある

   時は、その水量の程度に応じて適切な排水施設を増設するものとする。ただし、そ

  の水量が著しく多い場合には、単なる排水処理のみでなく、全体計画も含めて有効

  な対策を考慮しなければならない。

 ⑧施工中に降雨が予想される場合には、雨水の盛土中への侵入が最小限となるよう

   に適切な処置を講じなければならない。

 ⑨降雨前に、まき出した土を転圧せずに放置することは、絶対に避けなければならな

   い。

 ⑩不織布を排水材として用いる場合には、不織布が敷設前に吸水しないような処置を

   講じなければならない。

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参考資料:ジオグリッドの長さ方向の接合について参考資料:ジオグリッドの長さ方向の接合について

<ジオグリッドの長さ方向の接合方法><ジオグリッドの長さ方向の接合方法>

 上記のように、やむを得ずジオグリッドの長さ方向の接合を行う場合には、以下の手順に従って、接合すること。

①接合部は、引張強力が最大となる設計円弧すべり線より、2m以上離れた部位とする。

②盛土延長方向に接合部無しと有りをすくなくとも交互に敷設する。

③盛土鉛直方向に接合部無しと有りをすくなくとも交互に敷設する。

 盛土横断方向(ジオグリッドの長さ方向)については、できるだけ接合部を作らないよう効率的な合取りを行うことが望ましい。

 やむを得ず盛土横断方向に接合を行う際には、

①できるだけ接合部の引張強度を低下させないようにジョイント棒(6mmφ、長さ2000mm)による接合を行う。

②接合部は同一横断面に揃わないように注意する。

盛土延長方向

盛土鉛直方向

接合部

④ジオグリッドの接合方法

1.ジオグリッドのカット 接合するジオグリッドは2枚とも、長さを約30~35cm余分にカットする。

2.ヨコ糸のカット 一方のジオグリッドを長さ約30~35cm折り返す。

折り返した端部のヨコ糸を、1マスづつ全て、ハサミやニッパ等で切断する。

30~35cm

ジオグリッドの長さ方向

カット

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3.ジオグリッドの接合 もう一方のジオグリッドを用意する。

ジオグリッドの端部から30~35cmのマスに、2.でヨコ糸をカットしたジオグリッドの折り返し端を挿入する。

ヨコ糸

カットしたヨコ糸

4.ジョイント棒の挿入 両方のジオグリッドで出来たループに、ジョイント棒(6mmφ、長さ2000mm)を、端部から差し込む。

ジョイント棒

5.接合部の展開と敷設 ジョイント棒に張力がかかるように、両方のジオグリッドを展開して、敷設する。

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6.固定 互いに折り返して展開して敷設した、双方のジオグリッドの折り返した近傍で、計4箇所づつ固定する。

2m幅の端部と中央部の2箇所づつ(計4箇所、両側で8箇所)を60cm間隔で固定する。

アンカーで固定する。

アンカーが効かない状態の場合は、結束バンドで固定する。

ジョイント棒

600 600 600

固定位置(反対側も)

ジオグリッド端部

30~35cm

ジオグリッド敷設状況

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ご注意! 施工にあたっての留意事項ご注意! 施工にあたっての留意事項

  施工にあたっては以下の点に留意して、状況に応じ現場監督職員と協議

の上、適宜設計変更をして対処します。

1.基礎の支持力はありますか。?

盛土の内部摩擦角は設計値を満足していますか。満足していない場合は、良

質土の購入、安定化処理、排水対策等を講じて設計変更を行います。

2.地山からの湧水の有無の確認とその対策はできていますか。又、豪雨時に

周辺から大量の雨水が補強土ゾーンに侵入して、補強土の安定に悪響を及ぼ

しませんか。?

天端付近の盛土材が耐蝕性の低い土質の場合は、雨水の表層流下を軽減す

る方策を立てるとともに、安定化処理により耐蝕性を高くする土質改良を行っ

て下さい。

3.盛土の締固め管理基準に則した盛土材料は何ですか。?

1)浸透水により細粒分が抜けやすい砂質土(まさ、しらす等)や、pH値が5以下などの植生不良土の場合、のり面より最低20cmは良質土の客土を行います。2)盛土中、各段階で出来形、標高のチェックを行って下さい。

3)土工についての一般的事項は、「道路土工施工指針」(日本道路協会)、お

よび「土工管理施工要領」(日本道路公団)に準拠して下さい。

4)その他は「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」(土木

研究センター)に準拠して下さい。

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