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バイオアナリシスにおける 監査手法の検討 8JBFシンポジウム 201729共通特別プロジェクト2 谷口朋義(エーザイ株式会社) 山井良伸(大正製薬株式会社) 1

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バイオアナリシスにおける監査手法の検討

第8回JBFシンポジウム 2017年2月9日

共通特別プロジェクト2

谷口朋義(エーザイ株式会社)

山井良伸(大正製薬株式会社) 1

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本日の発表内容

日本QA研究会について

調査/監査業務の際に注意しているポイント

GLP/信頼性の基準のQA/QC調査の立場から

調査/監査業務の際に注意しているポイント

GCP監査の立場から

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自己紹介:

谷口 朋義(たにぐち ともよし)

エーザイ株式会社

入社後15年間、薬物動態研究室に所属

現在は、DRA室(Discovery Reliability Assurance:

非臨床試験(薬物動態・薬理)、CMC試験のQC専門組織)に所属

主に非臨床薬物動態試験のQC調査を担当

日本QA研究会

2016年から共通特別プロジェクト2に所属

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日本QA研究会について

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日本QA研究会(JSQA)とは

本会は、医薬品、医療機器、農薬、化学物質、食品、動物

用医薬品、飼料添加物等における品質及び信頼性保証に係

る者で構成される一般社団法人です。

品質及び信頼性保証に係る情報発信や人材育成を行うとと

もに、専門的な提言を通して人々の健康と福祉の向上に貢

献することを目的にGLP部会、GCP部会、製造販売後部会

の3部会で研究開発から市販後まで部会ごとに研究テーマを

設けて様々な活動を行っています。

(会員:メーカー、CRO、SMO、医療機関関係者)

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JSQAの活動内容

1. 品質及び信頼性保証に関する研究

2. 収集情報及び研究成果に基づく資料及び成果物の発行

3. グループ活動、講演会、教育研修講座、合同部会総会

等の開催

4. 関係官庁、関係団体等との交流

5. 関係行政機関からの情報収集と会員への情報提供

6. 海外関連機関との交流及び海外情報の収集と会員への

情報提供

6

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JSQAは、…

医薬品、農薬、化学物質、食品、医療機器、動物用医薬品、

飼料添加物等における品質及び信頼性保証に係わる業務を

行う者の知識及び技術レベルの向上、発展を図ることを目

的として活動を行っております。

7

部会 法人数 会員数

GLP部会 160社 499名

GCP部会 188社 652名

製造販売後部会 84社 207名

計: 432社 1,358名

2016年9月20日現在

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会長

監事

理事会

共通特別プロジェクト 製造販売後部会 GCP部会 GLP部会

事務局

委員会

部会ごとの課題を検討 部会横断的な課題を検討

ご興味のある方は、ウェブサイト(http://www.jsqa.com)

をご確認ください

JSQA 検索

8

JSQA組織図

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共通特別プロジェクト2(KT-2)の活動内容 第13期(2016年4月~2018年3月)

検討課題:臨床試験における検査機関の監査技法

1A班 検査機関等における精度管理の理解と実態把握

1B班 検査機関等における精度管理に関する教育資料

2A班 バイオアナリシスにおける監査技法

2B班 アナリスト及びラボQA担当者向けGCP教育資料

3A班 GCLPの背景と展望

3B班 GCLP教育資料

GCLP: Good Clinical Laboratory Practice

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本発表の目的

「分析担当者が監査担当者に何を求めているのか」を調査する為、

JBFサポーターを対象にアンケート調査を行い、

バイオアナリシス調査/監査の課題を抽出し、分析担当者にとって

納得感のある調査/監査を実施するための手法を構築することを当初

の目的とした。

その結果、分析担当者から調査/監査担当者への要求事項は

ほとんどなく、調査/監査の業務・結果に対して理解されている様子が

うかがえた。

そこで、ラボのQA/QC調査担当者とGCPの監査担当者が普段

の業務遂行時に注意しているポイントをまとめて紹介することで、

分析担当者との相互理解を向上させ、潜在的なリスクへ対応するため

の一助とすることを本発表の目的とした。

10 アンケートにご協力いただき有難うございました。

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以下の2つの観点から、

調査/監査の際に注意しているポイントをご紹介

いたします。

前半:谷口

GLP/信頼性の基準のQA/QC調査の立場から

後半:山井

GCP監査の立場から

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調査の際に注意しているポイント

GLP/信頼性の基準のQA/QC調査の立場から

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試験:自社試験の非臨床PK、TK濃度測定(BMVも含む)

測定法:LC-MS/MS(一部LBAも含む)

試験資料類:

• 試験計画書 • 標準物質等 • 生体試料 • 機器 • 試験の記録 • 試験報告書

省略:試験実施施設全体に関する内容(施設・設備、人員、教育、

チェック機能、手順書、資料保存、体制、委託手続き等)、

試験に関する一般的な事項 13

試験資料を中心に ポイントのみ抜粋してご説明します

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<試験計画書> 試験の科学的妥当性を確保し、関係者間で情報を共有するために、「目的」「方法」を記述して事前に試験計画を明らかにする。

【BMV】

• 標準物質、内標準物質、重要試薬(主にLBA法)

• マトリックス、代替マトリックス

• バリデーション評価項目、判定基準

• サンプル調製法(LBA法:MRD)およびサンプル処理方法

• 測定機器、測定条件

• データ処理法

【非臨床PK/TK濃度測定】

• BMVに準拠した測定法

• 検量線、QC試料

• 実試料

• ISR(TKの場合)

• 判定基準、再分析等の基準

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<標準物質> 試験目的に対して適正な品質を有する標準物質等を使用する。

取扱い上の留意点は、混同、汚染及び劣化の防止にある。

【低分子/高分子医薬品】

• ロット番号、構造、品質(純度・含量・力価)、貯法、

有効期限等に関する情報(分析証明書)

• 受領記録(輸送時の状態)、使用記録、保存記録、廃棄記録

• 保存庫の温度管理記録

BMVと非臨床PK/TK濃度測定で使用した標準物質の同等性に

問題はないか

これらの記録が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び報告書の記載と齟齬は無いか

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*LBA法の場合は、特に「重要試薬」の記録も重要:

<重要試薬(抗体、Kit、基質)> • ロット番号、品質、貯法、使用期限、使用方法に関する情報(データシート)

• 保存記録

• 保存庫の温度管理記録

• 自社で標識抗体等を調製した場合はその調製記録

BMVおよび非臨床PK/TK濃度測定の通しで、重要試薬の必要量を

確保しているか 標識抗体等のロット変更時は、変更の前後で同等の値が得られているか(パーシャルバリデーションの実施)

これらの記録が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び報告書の記載と齟齬は無いか

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<生体試料> 試験目的に対して適正な品質を有する生体試料を使用する。

取扱い上の留意点は、混同、汚染及び劣化の防止にある。

【ブランクマトリックス、実試料】

・入手時の記録

スペックシート(ブランクマトリックスを購入した場合)

採取・調製記録(ブランクマトリックスの調製や

非臨床PK/TKを自社で実施した場合)

・保存記録、保存庫の温度管理記録

*非臨床PK/TK試料採取を社外委託で実施した場合:

・実試料の受領(輸送時の状態)、使用、保存、残余処理記録

・実試料の内容リスト

これらの記録が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び報告書の記載と齟齬は無いか 17

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<機器> 処理能力や精度等、試験の目的に応じた性能を有する機器を

使用する。点検や校正等により、性能を維持・確保する。

【LC-MS/MS、プレートリーダー、マイクロピペット、天秤など】

・使用記録

・使用時/定期点検記録、保守・修理記録

・トラブルシューティングの記録

これらの記録が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び報告書の記載と齟齬は無いか

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<試験の記録> 「事実を正確に反映して捏造や歪曲がなく(正確性/真正性)」「第三者に理解可能で(見読性)」「実施・得られたものすべて

記録されて(完全性)」いる状態で残す。

【操作:サンプル調製、サンプル処理記録など】

• 実験記録内の整合(e.g.サンプル番号、調製量、濃度)

• サンプル処理の手順、時間等

• 実試料の保存安定性条件との照合

(保存温度、短期/長期保存期間、凍結融解回数)

• 計画書/SOPからの逸脱等の記録

非臨床PK/TK濃度測定は、 BMVに準拠した方法か

これらの実験記録(ワークシート、実験ノート)が、

計画書/SOP、結果及び報告書の記載と齟齬は無いか

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<試験の記録(つづき)> 【結果:測定データ、加工データなど】

• BMV:安定性評価時間の確認

• 非臨床PK/TK濃度測定:サンプル処理後から測定までの

時間の確認

• 測定間隔、波形等は一定か

• コンタミはないか(ブランクサンプル等)

• 測定条件、解析メソッドに変更はないか

• クロマト波形処理は適切か、再解析はないか

• データ処理/数値の取り扱いは適切か

• 判定基準内であるか

*再分析/再測定/再解析に関して必要な記録:

実施理由

結果の採否

試験責任者の確認等の記録

不採用に関する記録の保存 20

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<試験の記録(つづき)> 【結果:測定データ、加工データなど(つづき)】

BMV:代替マトリックスの妥当性の検証は十分か

(QC試料、マトリックス効果、希釈など)

非臨床PK/TK濃度測定:BMVに準拠した方法か、

検量線等はBMV時と同等な値か、実試料特有の異常はないか(ベースライン、キャリーオーバー、干渉物質など)

BMVおよび非臨床PK/TK濃度測定の通しで、

分析担当者の変更はないか(特にLBA法)

これらの記録が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び報告書の記載と齟齬は無いか

【管理:標準物質の保管、機器点検など】⇒既述

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<試験報告書> 試験計画(実施中での変更を含む)に対応し、不都合な内容も含めて、試験記録・結果を正確に反映していることが必要である。

「試験の識別」「目的」「方法」「結果」及び「試験責任者」が

記載項目のエッセンスである。

• 再分析等の記載

• 試験の信頼性に明らかに影響する内容、理由の記載

(予見できなかった/計画書等に従わなかった)

• 代表的なクロマトグラムの選択は適切か

報告書の記載が、計画書/SOP、実験記録(ワークシート、

実験ノート)及び結果の記載と齟齬は無いか

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まとめ:GLP/信頼性の基準のQA/QC調査

以下の観点で調査しています。

①試験実施体制が適切に構築されていること

②試験が計画書やSOPに従って適切に実施されていること

③試験記録・結果が正確に報告書の記載に反映されていること

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監査の際に注意しているポイント

GCP監査の立場から

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名前:山井 良伸(やまい よしのぶ)

所属:日本QA研究会 共通特別プロジェクト2(大正製薬株式会社)

経歴:

2012年から共通特別プロジェクト2 参加

1991年からTK分析担当者

2001年からTK/PK分析担当者

2011年からGCP監査担当者

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GCP監査では、臨床試験における種々の業務委託のひとつとして、

バイオアナリシスの業務委託に対して監査を行う。

そこで監査担当者が業務委託のGCP監査時に、特に注目している

点を中心に監査の視点を紹介する。

一般的なGCP監査の視点

手順の確認: 業務の手順が文書化され管理されていること

教育の確認: 業務の担当者が必要な教育を受けていること

記録の確認: 業務の記録が手順書に従って作成・点検されている

こと

保存の確認: 必要な期間、必要時に取り出せるように保存されて

いること

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治験における開発業務委託 治験においては、様々な業務が開発業務受託機関へ委託される

治験依頼者

PK測定

モニタリング業務

データマネジメント業務

統計・解析業務

臨床検査

心電図中央判定

治験薬割付・配送

開発業務受託機関

○○病院

△△クリニック

実施医療機関 …

調査・選定・契約

GCP監査

図1:臨床試験における治験依頼者の業務委託の例

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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調査・選定:委託者側での確認

• 責任者のアサイン

• 調査・選定

監査の視点(例)

• 調査報告の内容

• 調査報告の評価が適切にされていること

• 受託機関が最終的に適切に選定されていること

注意)

通常、治験開始前にvalidation試験が実施されるので、報告書を確認す

るが、validationの委託時に施設の組織体制、臨床PK測定に対応できる

ことが確認されていることが必要になる。

補足)

施設の選定に際して、調査/監査担当者が同行することもあります。 30

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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契約①【GCP第12条】:委託者・受託者双方での確認

開発業務受託機関との契約については、GCP第12条に規定されている。

GCP監査では、この充足性について確認する。

第1項

1) 当該委託に係る業務の範囲

2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項

3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨

4) 受託者に対する指示に関する事項

5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認できる旨

6) 受託者が治験の依頼をしようとする者に対して行う報告に関する事項

7) 当該委託する業務に係る第14条の措置に関する事項 第14条の措置:被験者に対する補償措置

8) その他当該委託の業務について必要な事項 32

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契約②【GCP第12条】

臨床PKでは、・・・

2) は試験計画書が該当することが多いが、他の手順書が引用される

こともある

2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項

3~5) が記載されないことが多い

3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われてい

るかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨

4) 受託者に対する指示に関する事項

5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治

験の依頼をしようとする者が確認できる旨

7) は該当しない場合が多い

7) 当該委託する業務に係る第14条の措置に関する事項

第14条の措置:被験者に対する補償措置

33

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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精度管理①:委託者・受託者双方での確認

GCP省令運用通知が改正(平成23年10月)され、精度管理等を保証

する記録等を治験依頼者が確認する旨が明記された。

GCP省令運用通知 第4条第1項4 治験依頼者は、治験に係る検体等の検査機関において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関

における精度管理等を保証する記録等を確認すること。

これを機に、平成24年から精度管理に関して、GCP適合性調査において、改善すべき事項、照会事項が多く発せられるようになった。

監査の視点

このため、精度管理等を保証する記録等が治験依頼者が把握できな

い状況で廃棄されることの無いように、契約書に規定されているこ

とを確認する。

35

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精度管理②:GCP適合性調査の指摘事例

照会事項を発出した事例

記録の保存に関する、業務委託先との契約内容が不十分であると考えられる場合

<事例>

業務委託契約書において、以下のように記載。

「○○(外部委託機関)は試験に係る資料を試験終了後10年間保存する。」

→試験終了から承認申請までの期間が保存期間を超える場合、試験に係る資料が廃棄される可能性がある。また、承認後も含めた資料の保存期間を満足しない可能性がある。

36

照会事項を発出し、薬事法令に基づいた記録の保存について、事実関係と改善計画に関する申請者の見解を確認

平成24年度 GCP研修会 講演要旨集より

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精度管理③:GCP適合性調査の指摘事例

改善すべき事項として通知した事例

業務委託先で既に廃棄されてしまった記録があり、それらは原資料

の一部であるとも考えられるものの、検査結果に係る記録は別に保

存されていることから、試験の信頼性に影響があるとまでは言えな

い場合。

<廃棄されていた記録の例>

• 測定ノート

• 機器の点検記録

• 精度管理記録

• 測定作業日誌

37

「業務委託先との記録の保存に関する契約内容が不十分であったこ

と」について「改善すべき事項」として通知

平成24年度 GCP研修会 講演要旨集より

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

38

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検体の授受等①:受託者側での確認(委託者:監査時期や保存体制による)

検体採取から測定実施までの間に多くのプレーヤーが関わるため、検体

授受等において問題がおこるリスクが高い。

そこで、GCP監査では検体の取り扱いに関する手順書が整備されている

こと、担当者が教育を受けていること、手順書に従って適切に授受され

ていることを記録により確認する。また、目的外利用されないような管

理体制についても確認する(この場合廃棄まで)。

図2:検体の採取から測定までの流れ(例)

39

検体採取

(医師・看護師)

回収(回収業者)

輸送(輸送業者)

受領(測定機関)

測定(測定機関)

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検体の授受等②

検体の温度管理について

Phase1施設においては、deep freezerの設置、データロガー

等の温度管理が整備されていることが多いが、一般的な医療

機関では、こうした設備を備えない場合も多くみられる。

臨床PKでは、授受の際に検体の凍結確認等に留める例もみら

れるが、医療機関における保存状況、回収業者による回収手

順(利用する場合)など、分析担当者の手元に届くまでの手

順・状況を確認し、状況に応じたvalidationの計画が望まれ

る。

40

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検体の授受等③

補足)

臨床検査(中央測定)の検体輸送や治験薬の輸送では、輸送時の温

度管理としてデータロガーが使用されるようになっている。

注)

監査の視点ではないが、臨床検体を扱う場合に、感染防止のための

設備・手順を整える。また、疫学的検査が実施されていれば、その

情報を入手する。

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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盲検性維持①:委託者・受託者双方での確認

盲検試験は、被験者や医師が投与された治験薬がプラセボか実薬か

知らせずに行う試験のこと。これは、評価のバイアスを排除するこ

とが目的となっている。

PKの測定データは、盲検/非盲検により影響を受けないが、Phase1

試験においても二重盲検で実施されることが多くなっている。安全

性など他の評価項目についてバイアスをなくすことが目的と思われ

る。

盲検性が維持されていたことが確認できない場合は、その被験者の

データが利用できない場合もある。特に例数が少なく、単独の医療

機関で実施されることが多いPhase1試験等では、インパクトが大き

い。

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盲検性維持②:盲検性維持のための注意点

二重盲検試験における臨床PK測定の分析担当者は、その測定結果に

より測定した検体がプラセボ/実薬のいずれが投与された被験者由

来のものかが分かってしまう。

そのため、測定結果の取扱いについて注意が必要になる。

また、分析担当者に治験薬割付表の写しが配付されることもある。

この場合、割付表の取扱いも同様に注意が必要になる。

測定結果を盲検下の治験関係者が閲覧できないように管理する。

GCP監査では、測定結果等が適切に(手順に従って)管理されてい

たかを事後に記録や手順により確認します。

紙媒体(例):施錠管理されたロッカー

→施錠管理の記録

電子媒体(例):アクセス権が制限されたフォルダ

→アクセス権限を示す記録 44

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盲検性維持③:GCP監査の口頭確認

内容

入手した速報値の確認はPC画面で行われていたが、当該作業は盲検

下の職員と区別された区域で実施すべきであった。

背景

• 速報に基づくステップアップの試験デザイン

• 臨床PK測定は外部委託

• 治験依頼者では、外部委託の担当者と、PK解析を行う担当者のみ

が非盲検

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KT-2参加会社の監査事例より

2016年3月の第7回JBFシンポジウム open discussionにおいても、例

示としてIDMCにおいて、open sessionからclosed sessionに変わると

きのように、別の場所で実施すべきとの見解が示された。

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盲検性維持④:GCP監査の指摘事例

内容

入手した速報値(電子データ)を格納するフォルダにアクセス権を

設定した記録から、アクセス権の設定状況の全体が確認できず、ま

た設定された日付が記載されていなかった。

背景

• 速報に基づくステップアップの試験デザイン

• 臨床PK測定は外部委託

• 治験依頼者では、外部委託の担当者と、PK解析を行う担当者のみ

が非盲検

46 KT-2参加会社の監査事例より

ここでは、記録の作成者名と日付を記載していないという側面

(ALCOA)もあるが、特に速報データの入手までに設定が行われた

ことを確認できることが、盲検性維持の点から必要であった。

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盲検性維持⑤:速報について

治験において、PK測定結果をトリガーとして、投与量の増量を判断

する場合などがある。この時盲検下の治験関係者(例えば医師や担

当モニターなど)に、盲検管理下の情報が含まれないように注意す

ることが必要。例えば、測定結果に以下の情報が含まれると盲検性

が維持できなくなる/維持できなくなる可能性がある。

盲検性維持に問題が生じる場合(例)

• 被験者識別コード

→測定施設で再割付を行う、平均値のみを報告する

• 例数(採取ミスなどで欠測が生じた場合)

→例数を記載しない平均値のみを報告する

監査では、盲検性が適切に管理できる手順が構築されていること、

報告された結果に盲検管理の情報が含まれないことを記録から確認

する。 47

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バイオアナリシス監査の視点

• 調査・選定

• 契約【GCP第12条】

• 精度管理

• 検体の授受

• 盲検性維持

• 記録の保存【GCP第26条】

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記録の保存①【GCP第26条】委託者・受託者双方での確認

治験依頼者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含

む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日

又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか

遅い日までの期間適切に保存しなければならない。

治験における臨床検査等の精度管理に関する基本的考え方について

【事務連絡、平成25年7月1日】

精度管理や校正・保守点検に関する記録については、必要時に確認

できるよう、治験の記録としても適切に管理できる体制が必要であ

る。

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記録の保存②【GCP第26条】委託者・受託者双方での確認

監査の視点

監査では、試験の記録だけでなく、精度管理等を保証する記録等に

ついても、契約書や試験計画書に記録が必要な期間保存される/治

験依頼者が関知しないまま廃棄されることがない旨が規定されてい

ることを確認する。

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まとめ①

GLP/信頼性の基準のQA/QC調査では、①試験実施体制が適

切に構築され、②試験が計画書やSOPに従って適切に実施さ

れ、③試験記録・結果が正確に報告書の記載に反映されてい

ることを確認します。

GCP監査では、①手順が適切に構築され、②手順が適切に教

育され、③記録が手順に従って作成・点検され、④記録が必

要な期間、必要時に取り出せるように保存されることを確認

します。

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まとめ②

調査/監査担当者もバイオアナリシスについてさらに理解を

深める必要がありますが、困ったことがありましたら、是非

お近くの調査/監査担当者に相談を持ち掛けるなどコミュニ

ケーションをとって頂ければと思います。

また、本日の発表についてJSQAや共通特別プロジェクト2へ

ご意見等がございましたら、いつでもご連絡ください。

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◆ご連絡先

JSQAへのお問い合わせ

TEL:03-6435-2118 FAX:03-6435-2119

WEB:http://www.jsqa.com/otoiawase.html

演者へのお問い合わせ(メール✉)

谷口 [email protected]

山井 [email protected]

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資料:用語①(医薬品の治験):青字(GCPで定義)、黒字(ここでの定義)

・治験 医薬品の製造販売承認申請の再に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験

・開発業務受託機関(Contract Research Organization;CRO)

治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託された機関 ただし、治験計画の届出及び規制当局への副作用等の報告を委託することはできない

・監査(ここでは「GCP監査」という) 治験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験がこの省令(GCP)及び治験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者が行う調査をいう

・検体

治験から得られた血液、血漿などのこと(=生体試料、測定試料)。

・精度管理等を保証する記録等 治験における検査から得られた成績が信頼できることを保証するための記録。

例)認定証、内部/外部精度管理記録、点検記録、校正記録、測定ノート等

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資料:用語②(医薬品の治験):青字(GCPで定義)、黒字(ここでの定義)

・治験薬割付表 盲検試験において、治験薬番号と治験薬の種類(プラセボ、実薬(用量を含む))が記載された表。封印されており、封を開ける手順を規定する。

・盲検

単盲検:被験者、医師のいずれかが割付情報を知らされない試験デザイン

二重盲検:被験者、医師のいずれも割付情報を知らされない試験デザイン

・SOP

標準操作手順書:非臨床

標準業務手順書:臨床

・外部精度管理 臨床検査などにおいて、検査値の精度(正しさ)を確認するために外部機関の管理下で行う調査

例)医師会、日本臨床衛生検査技師会、CAPサーベイ(College of American

Pathologists)

・原資料 被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現等評価に必要な記録。 バイオアナリシスでは、ワークシートや生データなどの試験関連記録が該当する。

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資料:用語③(医薬品の治験):青字(GCPで定義)、黒字(ここでの定義)

・臨床検査(中央測定)※中央検査、集中測定とも言う 臨床検査を医療機関または医療機関が契約する施設で行わず、治験を実施する全ての医療機関が、治験依頼者が契約した同一の施設で実施すること。一部の大手検査機関では治験の様々な要求事項を満たす「治験ラボ」を備えており、ISO15189の認定を取得している。

・モニタリング 治験依頼者より指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、本基準(GCPガイダンス)並びに治験実施計画書及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動。

・ALCOA

データの品質の構成要素として挙げられた5要素の頭文字

Attributable: 帰属性(データの作成者が明確であること)

Legible: 判読性(判読できること)

Contemporaneous: 同時性(データの作成と同時に記録されること)

Original: 原本性(原本または証明付写しであること)

Accurate: 正確性(正確であること)

参考:GLP第16条より抜粋 全ての生データを、その記入者及び日付とともに、適切に記録しなければならない。生データを訂正する場合には、当該訂正の理由、訂正を行う者及び日付を記載するとともに、適切に訂正しなければならない。

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ご清聴ありがとうございました。

本発表が、皆さまの業務の参考になれば幸いです。