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モバイル マネー ショッピングからバンキングや支払いまで モバイルが世界中の商取引にいかに 変革をもたらしているか 2016 10

モバイル マネー - Nielsen...モバイル マネー ショッピングからバンキングや支払いまで モバイルが世界中の商取引にいかに 変革をもたらしているか

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  • モバイル マネー

    ショッピングからバンキングや支払いまで

    モバイルが世界中の商取引にいかに

    変革をもたらしているか

    2016 年 10月

  • 2 グローバルモバイルマネーレポート

    モバイルのチャンスは、口先だけのことでは ありません

    世界の状況

    • モバイルデバイスは、価格の比較(53%)、商品説明の確認(52%)、クーポンやセール品の検索

    (44%)、買い物でより良い判断をすること(42%)、買い物のための外出をより迅速に、より効率

    的にすること(41%)、商品の購入(38%)などに欠かせないツールとなっています。

    • 口座情報へのアクセス(47%)や料金の支払い(42%)などのモバイルバンキングは、銀行口座間の

    送金(36%)よりも一般的に行われています。利用率は、アジア太平洋地域が最も高くなっています。

    • モバイルのみのバンキングは、銀行口座を持たない人々の多い発展途上国で最も人気が高く、利用率は

    インド(46%)、インドネシア(37%)、メキシコ(34%)、トルコ(34%)で最も高くなっています。

    • モバイルバンキングの利用を妨げる要因としては、セキュリティの懸念(53%)が世界中で最も多く、

    実店舗の利用を好む(31%)、サービスを使う必要がないこと(28%)が続きます。

    • ピアツーピア(P2P)のモバイル取引(他の人とのお金のやり取り)を利用する上位 10 の市場のうち、

    8 つの市場が新興国市場です。

    • 世界の回答者のうち、バーやレストラン、小売店でモバイル決済を利用する可能性が非常に高いと考え

    ている人はわずか 28%にとどまっており、インド(46%)と中国(45%)で最も高くなっています。

    • モバイルでのショッピング、バンキング、決済については、ミレニアル世代がリードしており、モバ

    イル専業銀行を利用する可能性があると回答した割合はベビーブーム世代や沈黙の世代の 2 倍以上と

    なっています。

  • 3 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    食料、水、きれいな空気は、すべて日常生活に欠かせません。しかし、

    モバイルデバイスはどうでしょうか。生き延びるために必須というわけ

    ではありませんが、世界中の消費者の大半(56%)が、モバイルデバイ

    スなしの生活を想像できないと回答しており、53%がモバイルデバイス

    が手元にないと不安になると回答しています。

    実際に、多くの消費者にとって、モバイルデバイスは強力な利点を備え

    た忠実な友のようなものです。世界の回答者のうち、74%がいつでもど

    こでも接続できる自由を高く評価しており、70%がモバイルデバイスが

    生活の向上に役立っていると強く同意またはある程度同意しています。

    こうしたコンスタントな接続性は、接続の本質を変化させています。

    世界の回答者の 3 分の 2(66%)が、電子的なやり取りが対面式のやり

    取りに代わるものとなっていることに強く同意またはある程度同意して

    おり、約半数(47%)が話すより携帯メールでやり取りする方を好むと

    回答しています。実際に、インタラクションはトランザクションに変わ

    りつつあります。

    消費者がモバイルデバイスを使用して商品を調べたり、セール品やクー

    ポンを検索したり、世界のほぼどこからでもあらゆるショップからバー

    チャルで商品やサービスを購入する頻度が増えるにつれ、商取引の世界

    も変革されつつあります。モバイルデバイスは、銀行や決済業界にも

    変革をもたらしており、これまでよりも多くの貯蓄方法や決済方法が

    編み出されています。モバイルデバイスは、世界中の 20 億人の銀行口

    座を持たない消費者を、金融業界の対象者に組み入れています。さらに、

    バンキングや決済の変革は、今後数年間で消費者支出の強力な推進要因

    となるとみられています。ニールセンと The Conference Boardが共同運

    営する The Demand Instituteは、キャッシュレス決済へのアクセス数の

    増加により、今後 10 年間で消費者の支出が最大 10 兆ドル増加すると

    見込んでいます。

    「モバイル商取引は、小売エコシステム全体に大きな影響を与えます」

    と、ニールセンヨーロッパのファイナンシャルサービスリーダーを務

    める Stuart Tagg は述べています。「モバイルデバイスは、最新の接

    続された経済に新たな消費者をもたらすだけでなく、よりカスタマイ

    ズされたエクスペリエンスを実現しています。これは、商品やサービ

    スを、行動、ニーズ、嗜好により合わせることができるためです。し

    かし、導入率と利用率を高めるためには、企業がデジタルの世界で消

    費者がどのようにショッピングや取引を行っているかを深く理解し、

    そうした理解を活かして消費者の習慣や嗜好に基づく戦略を策定する

    必要があります。

    ニールセンのモバイルショッピング、モバイルバンキング、モバイル

    決済に関する調査は、63 か国のオンライン回答者 30,000 人以上を対象

    に、モバイルデバイスが「ショッピング」、「バンキング」、「決済」

    という 3種類の相互に連携した活動にどのような影響を与えているかを

    把握するために実施されました。ニールセンは、回答者が現在行ってい

    るモバイル活動、および将来行う可能性のある活動について調査しまし

    た。また、モバイルバンキングやモバイル決済を導入する上での障壁や、

    より幅広い利用につながるインセンティブについても調査しました。

    グローバル調査の方法について

    この調査は 63ヵ国を対象としたオン

    ライン調査に基づくものです。オン

    ライン調査はかなりのスケールと

    世界的範囲をカバーしますが、総

    人口ではなくインターネットユー

    ザーである回答者の行動にのみ基

    づいています。オンラインの普及

    が未発達である発展途上国では、

    調査対象者がその国の一般的な姿

    より若年でより経済的に裕福な場

    合があります。モバイル調査を用

    いたサブサハラ・アフリカ 3 ヵ国、

    ガーナ、ケニア、ナイジェリアの

    結果は、当レポートで述べている

    グローバルおよび中東・アフリカ

    地域の分析には含まれません。さ

    らに、調査の回答は実際に計測さ

    れたデータではなく、回答者の自

    己申告に基づく態度や行動です。

    そのため、消費者マインドや、市

    場心理についてレポートする際に

    現れる文化の違いは、計測をおこ

    なう際に影響を与えていると考え

    られます。

    レポートされた結果は、こういっ

    た差異をコントロールまたは修正

    していないので、各国や、各地域

    を比較する際に、特に地域的な境

    界を越えて比較する場合には注意

    が必要です。

  • 指先でショッピング 多くの消費者にとって、モバイルデバイスはショッピングツールと

    して欠かせないものになっています。世界の回答者の半数以上が、

    ショッピング時の価格の比較(53%)や商品説明の確認(52%)に

    モバイルデバイスを利用していると回答しています。回答者の

    4 割以上が、クーポンやセール品の検索(44%)、買い物でより良

    い判断をすること(42%)、買い物のための外出をより迅速に、

    より効率的にすること(41%)のためにモバイルデバイスを利用し

    ています。

    モバイルショッピングについては、アジア太平洋地域がリードして

    おり、調査対象のすべての活動において、世界平均を上回っていま

    す。これとは対照的に、北米(30%)とヨーロッパ(27%)の回答

    者の 4 分の 1 以上が、そうしたモバイルショッピングにモバイルデ

    バイスを使用しないと回答しています。

    4 グローバルモバイルマネーレポート

  • 5 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    53%

    54%

    60%

    26%

    34%

    30%

    2

    5%

    32%

    38%

    3

    1%

    32%

    41%

    54%

    5

    4%

    36%

    37%

    4

    9%

    5

    6%

    17%

    27

    %

    44%

    36%

    44%

    43%

    3

    4%

    55%

    5

    7%

    22%

    2

    1%

    38%

    世界中の消費者が、モバイルデバイスをショッピングの友として利用

    ショッピングでモバイルデバイスを利用する人の割合(%)

    アジア太平洋地域 ヨーロッパ アフリカ/中東 中南米 北米

    ショッピング時の価格の比較 ショッピング時の商品説明の確認

    ショッピング時のクーポンや

    セール品の検索 買い物でより良い判断をするため

    買い物のための外出をより迅速に、

    より効率的にするため

    ショッピングの個人的な

    支援ツールとして

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 消費者は、デバイスをショッピングの支援ツールとしてのみ使用してい

    るわけではありません。消費者はますます、デバイスを使用して購入す

    るようになっています。M コマース(モバイルデバイス経由で行われ

    る小売販売)は、米国(2.4%)、ドイツ(2.4%)、インド(1.6%)、

    カナダ(1.4%)、フランス(1.4%)、ブラジル(0.4%)などの多くの

    市場の小売販売全体のごくわずかを占めているに過ぎませんが 1、勢い

    を増しているため、eMarketer は特にインターネット普及率とスマート

    フォン導入率の増加に伴い、目覚ましい成長が続くと見込んでいます。

    インドでは、M コマースの成長が 2016 年から 2019 年の間に年間 28%

    超になると予測され、実際には、2016 年に約 2 倍(96.3%の増加)に

    なると見込まれています。メキシコ(35%以上)、ブラジル(29%

    以上)、米国(29%以上)、カナダ(19%以上)、フランス(15%以上)

    では、2016 年から 2019 年の間に 2 桁の年間成長率を記録すると予測

    されています。同様の傾向は、最大規模のモバイル市場でも予測されて

    います。M コマースの売上は、同時期に中国で年間 30%以上、英国で

    12%以上増加すると見込まれています。

    世界では、ニールセンの調査の回答者のうち 38%が、過去 6 か月に

    モバイルデバイスで商品またはサービスを購入したと回答しており、

    34%が同時期にモバイルアプリを使用して購入したと述べています。

    モバイルでの購入の自己申告率はアジア太平洋地域で最も高く、中国

    の回答者の半数(50%)、さらにはインド(49%)、韓国(47%)、

    ベトナム(46%)の回答者の約半数が、過去 6 か月以内にモバイル

    デバイスを使って商品またはサービスを購入したと回答しました。

    モバイルアプリを使用して購入したと述べている回答者の割合につい

    ては、これらの国々が上位を占めています(中国 50%、韓国 48%、

    インド 47%、ベトナム 43%)。

    「モバイルエクスペリエンス(アプリやデスクトップサイトのモバイ

    ル版など)の最適化を E コマース戦略の中心に据える必要があります」

    と、Stuart Tagg は述べています。「モバイルエクスペリエンスの質が

    低いと、顧客転換率が低下し、買い物客が競合他社の店舗やサイト、

    アプリに奪われてしまいます。モバイル製品を開発している小売業者

    は、「簡単」「便利」「品揃え」「価値」という 4 つの基本的な買い

    物客のニーズを心に留めておくべきです。つまり、ソリューションは

    さまざまな来店目的を満たし、時間と労力をかけない方法で金額に見

    合った強力な価値を提供するものである必要があります」

    モバイルショッピングを

    揺り動かすもの アジア太平洋地域 ヨーロッパ

    アフリカ/中東 中南米 北米

    製品またはサービスを購入した

    世界の平均(38%)を 上回っている国

    中国................................... 50%

    インド................................. 49%

    韓国................................... 47%

    ベトナム............................... 46%

    ロシア................................. 44%

    ベラルーシ............................. 44%

    インドネシア........................... 42%

    ルーマニア............................. 42%

    ウクライナ............................. 41%

    ギリシャ............................... 40%

    トルコ................................. 39%

    購入時にモバイルアプリを使用した

    1eMarketer 2016 年 7 月のデータ(ただし、米国のみ 2016 年 8 月)

    モバイルショッピングの成功戦略

    さまざまなモバイルショッピングセグメントを認識し、それらに対応。

    携帯電話をショッピングツールとして使用する消費者が増加している一方で、

    そうした人々がそれらのデバイスで行っている活動は多岐にわたっているた

    め、小売業者は消費者を獲得するためのさまざまな戦術が必要になる場合が

    あります。同じ買い物客であっても、購入時のニーズはその時々で大きく異

    なります(スピード、利便性、価格など)。賢明な小売業者はそうした違い

    を認識しており、モバイル戦略を幅広いタッチポイントに取り込んで、メッ

    セージをカスタマイズしてより関連性の高いショッピング体験を提供してい

    ます。成功しているブランドは、モバイルはあらゆる小売戦略の重要な構成

    要素ではあるものの、オンラインとオフラインの両チャネルで販売を促進し、

    店舗とオンラインの両方で消費者に魅力的な体験を提供するには、統合され

    たアプローチが必要であると認識しています。

    世界の平均(34%)を 上回っている国

    中国................................... 50%

    韓国................................... 48%

    インド................................. 47%

    ベトナム............................... 43%

    インドネシア........................... 41%

    南アフリカ............................. 35%

    注:過去 6 か月間でモバイル接続デバイスを使用し て活動した回答者の割合(%) ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回 答者

    出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    6 グローバルモバイルマネーレポート

  • 7 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    スウェーデン

    スウェーデン

    中国

    中国

    世界

    世界

    モバイルショッピングが増加している今、消費者はデジタルツールを

    使用して支出の監視と財務管理を行っていますが、使用率は活動や地

    域によってかなり異なっています。

    口座情報へのアクセスや料金の支払いなどの特定のモバイルバンキ

    ング活動は、ごく一般的に行われています。世界の回答者のほぼ半

    数(47%)が、過去 6 か月間に口座残高や最近の取引の確認を行っ

    たと回答しており、42%がモバイルデバイスを使用して料金を支払

    ったと回答しています。こうした活動への参加は、近い将来さらに

    増えると思われます。世界の回答者の 53%が、今後 6 か月間に口座

    残高や最近の取引の確認を行う可能性が非常に高いと回答しており、

    46%がモバイルデバイスを使用して料金を支払う可能性があると回

    答しています。

    スウェーデンと中国でのモバイル

    バンキングの注目点

    過去 6 か月間に以下の活動をしたと回答した人

    の割合(%)

    振替や預金はモバイルバンキングではあまり行われていませんが、世

    界の回答者の 3 分の 1 超(36%)が、過去 6か月間でモバイルデバイ

    スを使用して自分の口座間で資産を移動させたと回答しています。

    より多くの回答者(42%)が、今後 6 か月間に銀行口座間で資産を移

    動させる可能性があると回答しています。ただし、デバイスのカメラ

    機能を使用して小切手を入金したことがあると回答したのはわずか

    10%に過ぎず、今後 6か月間で入金する可能性があるのは 18%にとど

    まっています。

    銀行/保険のウェブサイ トを使用した

    銀行/保険のアプリを使

    用した

    銀行口座の残高や最近の

    取引を確認した

    銀行口座間で資産を移動 させた

    40% 27% 28% 44% 28% 27% 63% 62% 47% 58% 56% 36%

    モバイルバンキング使用についての自己申告をみると、アジア太平洋

    地域は世界平均を上回っており、使用率はヨーロッパ、アフリカ/

    中東、中南米で低くなっています。モバイルバンキングの現在と将来

    の使用状況をみると、北米もまた世界平均を下回っていますが、1 つ

    例外があります。この地域は、デバイスのカメラ機能を使用して小切

    手を入金した回答者の割合が最も高く(15%)、今後 6 か月間で入金す

    る可能性がある割合は 2 番目に高くなっています(アジア太平洋地域

    の 24%よりわずかに低い 23%)。これは、他の国々に比べてこの地域

    での小切手の使用率と受付率が比較的高いことが一因になっていると

    思われます。例えば英国では、ほとんどの銀行が小切手帳を発行して

    おらず、ほとんどの小売業者が小切手を受け付けていません。さらに

    中東は、現金第一主義であり、小切手はあまり使用されていません。

    今後 6 か月間に以下の活動をする可能性があると回答

    した人の割合(%)

    銀行口座の残高や最近の

    取引を確認する 61% 64% 53%

    銀行口座間で資産を移動

    させる 53% 59% 42%

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    7 Copyright © 2016 The Nielsen Company

  • モバイルバンキング使用の自己申告率が最も高い国々は、多岐にわたって

    います。これらの国々には、中国、南アフリカ、ベネズエラ、インドなど

    の発展途上国市場と、スウェーデンなどの成熟国市場が含まれます。

    「一部の発展途上国市場では、直接店舗に行くことなく金融サービスにア

    クセスできる地方の消費者によって、使用率が主に引き上げられています。

    そうした消費者は、金銭的に依存している人々に対して、即座に送金を行

    えます」と、Stuart Tagg は言います。「中国では、クレジットカードの普

    及率が低いため、多くの人々は銀行をまったく利用していません。そのた

    め、中国の金融機関は、多数のモバイルマネーオプションを率先して提供

    しています。スウェーデンは、モバイルバンキングとモバイル取引の導入

    については、世界の他の国より進んでいる珍しい先進国市場です。この市

    場でのオンラインバンキングとモバイルバンキングの強さを牽引している

    のは、スマートフォンの高い普及率と BankID の確立に向けた銀行と政府

    間の連携、さらには金融サービスと政府機関サービスで使用されている共

    通のデジタルセキュリティシステムです」。

    アジア太平洋地域はモバイルバンキングの利用率が高い

    地域別のモバイルバンキングの利用率と目的

    アジア太平洋地域 ヨーロッパ アフリカ/中東 中南米 北米

    過去 6 か月間に実施したこと 今後 6 か月間で実施する可能性があること

    52% 60% 43% 42%

    43%

    32% 口座残高や

    最近の取引を確認する

    44% 54%

    53%

    38% 45% 55%

    45%

    31% 30%

    25% 28%

    30%

    22% 24%

    22%

    13%

    3% 5% 3% 15%

    オンラインで請求書の支払いをする

    銀行口座間で資産を移動させた

    端末のカメラ機能を使用して、

    31% 38% 38%

    36%

    29% 32% 33%

    30%

    24% 7%

    10% 9% 23%

    51%

    小切手を銀行口座に入金する

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    8 グローバルモバイルマネーレポート

  • 9 pany

    Copyright © 2016 The Nielsen Company

    10 グローバルモバイルマネーレポート

    当然ながら、モバイルバンキングではミレニアル世代がリードしてい

    ます。すべての年齢グループのうち、モバイルバンキングを使用した

    ことがあり、今後 6 か月間で使用する予定があると回答した割合は、

    ミレニアル世代が最も高くなっています。Z 世代の割合が、これに近

    接しています。

    ミレニアル世代と X世代が熱心なモバイルバンキングユーザー

    世界平均:世代別のモバイルバンキングの利用率と目的

    銀行口座の残高や最近の取引を確認する

    オンラインで請求書の支払いをする

    銀行口座間で資産を移動させる

    端末のカメラ機能を使用して、小切手を銀行口座に入金する

    Z世代

    (15~20歳)

    過去 6 か月間に実施し

    たこと

    33% 28%

    23% 7%

    今後 6 か月間で実施する可

    能性があること

    43%

    36% 28%

    13%

    ミレニアル世代

    (21~34歳)

    49%

    59%

    47% 52%

    40%

    48%

    23%

    13%

    X世代

    (35~49歳)

    49% 44%

    39%

    9%

    55% 47%

    44%

    19%

    ベビーブーム世代 43% 41%

    (50~64歳) 33%

    28% 32%

    29%

    5% 8%

    沈黙の世代 65歳以上

    39% 26%

    23%

    5%

    35%

    27%

    21% 5%

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    9 Copyright © 2016 The Nielsen Company

  • サイバーセキュリティが現実面での懸念事項

    モバイルデバイスを使用した料金の支払い、口座残高の確認、資金の

    移動は便利で簡単ではありますが、セキュリティの考慮はますます必

    要となっており、成功を妨げる深刻な要因となっています。サイバー

    セキュリティの懸念により、多くの人々が使用を躊躇しています。

    実際に、セキュリティの懸念は、モバイルバンキングの利用を妨げる

    要因の中で最も高く、世界の回答者の 53%が、モバイルバンキング

    を利用するつもりはないと回答しています。さらに、約 3 割が、モバ

    イルバンキングツールを使用しないと回答しており、その理由は、実

    店舗の利用を好む(31%)、モバイルバンキングツールの必要性を感

    じない(28%)となっています。面白いことに、モバイルバンキング

    の利用率は年齢や地域によって大きく異なりますが、さまざまな地域

    や世代にわたって、利用を妨げる主な障壁は酷似しています。 10 グローバルモバイルマネーレポート

  • 11 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    全年齢でモバイルバンキングのセキュリティが最大の懸念事項

    世界平均:モバイルバンキングの利用を妨げる世代別の主な障壁

    セキュリティに

    懸念がある

    銀行取引を行う

    際には、実際の

    店舗/支店を

    訪れることを好む

    モバイル

    バンキングを

    行う必要性が

    ない

    端末の画面が

    小さすぎる

    Z世代

    (15~20 歳)

    ミレニアル世代

    (21~34歳)

    X世代

    (35~49歳)

    ベビーブーム世代

    (50~64歳)

    沈黙の世代

    (65歳以上)

    40% 35% 42% 11%

    50% 32% 26% 13%

    55% 28% 22% 17%

    58% 29% 31% 18%

    59% 32% 44% 21%

    ベース:モバイル接続デバイスで特定のバンキングを利用する可能性がない全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 12 グローバルモバイルマネーレポート

    「セキュリティの懸念は、きわめて感情的なものです」と、Stuart Tagg

    は言います。「モバイルバンキングサービスには、お客様の財務情報を

    保護する多数の機能が備わっていますが、ハッキングとデータ漏洩の脅

    威は実際に発生しており、多くの消費者が個人情報をデジタルで共有す

    ることに不安を感じています。銀行はセキュリティの脅威をたえず監視

    し、お客様の資産を保護する新たな対策を講じていますが、銀行が講じ

    ている手段について、お客様に詳しく伝える必要があります。それは、

    お客様に自身の情報が実際の支店にあるのと同じくらいモバイルデバイ

    ス上で安全であると信じてもらうためです。長期的にみると、詐欺やセ

    キュリティの懸念は、最初に克服される障壁です。モバイルバンキング

    が消費者にもたらす価値は、利用しない理由を大幅に上回ります」。

    しかし、支店を訪れたり、単にコンピューターからアクセスするのでは

    なく、お客様にモバイルバンキングツールを使用するよう説得すること

    は、比較的困難です。店舗を訪れたり、コンピューター上で実行した場

    合と同じ操作、またはそれ以上の操作をモバイルデバイスで完了できる

    ようにする強力な機能が、普及の促進に不可欠です。

    モバイルデバイスの所有者が、今後のバンキングアプリに望んでいる機

    能は、どのようなものでしょうか。顔認識機能と、小切手のスキャン/

    入金機能が最も人気の高い機能であり、それぞれ世界の回答者の 41%と

    39%がそう回答しています。アジア太平洋地域の回答者はこれらの機能

    を特に熱望していますが、ヨーロッパと北米の回答者は世界平均を下回

    っています。他の口座や他の人への送金機能を希望している世界の回答

    者は若干少なく(37%)、アフリカ/中東で最も高くなっています

    (44%)。この地域は、モバイルアプリ(40%)経由でソーシャルメデ

    ィアを使用して銀行とやり取りできる機能を希望している点において、

    アジア太平洋地域(40%)と中南米(38%)とともに、世界平均を超え

    ています。

    モバイルバンキングの成功戦略

    カスタマーエクスペリエンスを重視することです。モバイルバンキング

    のエクスペリエンスは、支店の訪問やオンラインバンキングのエクスペ

    リエンスとは大幅に異なります。そのため、金融サービス機関は、デバ

    イスを考慮してモバイルバンキングサービスを設計する必要があり、そ

    うしたサービスを利用する際の労力を最小限に抑える機会を重視する必

    要があります。さらに、地理位置情報などのさまざまなデータを活用す

    るほか、携帯メールによるアラートやカレンダーとの統合機能などの携

    帯電話で利用できる機能を活用する機会を見つけ、サービスに付加価値

    を提供して技術に精通した消費者との関係を保つ必要があります。

  • 13 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    今後のモバイルバンキングアプリに求められる機能

    アジア太平洋地域 ヨーロッパ アフリカ/中東 中南米 北米

    顔認識 小切手のスキャンと入金の機能 他の口座/他者に送金する機能

    48% 27% 41% 42% 33%

    47% 22% 43% 36% 34%

    43% 26% 44% 36% 27%

    音声認識 新製品/サービスへの申し込み機能 ソーシャルメディアを経由した

    銀行との 通信機能

    39% 22% 37% 39% 30%

    41% 23% 36% 32% 17%

    40% 15% 40% 38% 14%

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 14 グローバルモバイルマネーレポート

    モバイル専業銀行が 対面的な取引から インタラクティブな取引に転換

    金融業界の新たなトレンドは、モバイル専業銀行です。こうした銀行は、

    実店舗を持たず、モバイルアプリ経由ですべてのサービスを提供してい

    ます。インフラの節約分は、比較的高い金利と低めの手数料という形で、

    お客様に還元できます。しかし、モバイル専業銀行は、特に金融システ

    ムが深く根付いている成熟市場において、新規顧客の獲得が大きな課題

    となっています。

    世界では、わずか 4 分の 1 の回答者(27%)がモバイル専業銀行を利用

    する可能性が非常に高いと回答しており、それより若干多い回答者

    (28%)が、まったく利用する予定はないと回答しています。アジア太

    平洋地域の回答者が最もモバイル専業銀行を利用したいと考えています

    が、ヨーロッパと北米の回答者は世界平均を下回っています。モバイル

    専業銀行を利用するつもりはないと回答している北米の回答者は半数以

    上(51%)、ヨーロッパの回答者は 4 割以上(44%)で、アジア太平洋

    地域の回答者は 5分の 1未満(18%)となっています。

    モバイル専業銀行を利用する可能性については、インドがリードしてお

    り、回答者の 46%が利用する可能性が非常に高いと回答しています。

    モバイル専業銀行は、さまざまな理由から、インドに特に適しています。

    第 1 に、この国で銀行を利用していない人々はかなり多く、世界銀行に

    よると、銀行口座を所有するインドの消費者は、世界全体の 62%と比較

    して 53%にとどまっています(2014 年)。これらの消費者は、従来の

    金融機関に慣れた消費者とは異なる期待を抱いています。第 2 に、イン

    ドは地方の人口が多く、世界銀行の推定によると、インド人の 67%が地

    方に居住しているため、銀行の実店舗に簡単に行くことができません。

    モバイル専業銀行を利用する可能性は、インドネシア(37%)、メキシ

    コ(34%)、トルコ(34%)でも世界平均を上回っています。これら 3

    つの国の銀行口座普及率が世界平均を下回っているのは、おそらく偶然

    ではありません(世界銀行によると、それぞれ 36%、39%、57%)。

    当然ながら、技術に精通したミレニアル世代は、ベビーブーム世代や沈

    黙の世代と比較して、モバイル専業銀行を利用する可能性が非常に高い

    と回答した人の数が 2 倍以上となっています。ミレニアル世代の 3 分の

    1 以上(34%)が、モバイル専業銀行を利用する可能性が非常に高いと

    回答しており、同様に回答したベビーブーム世代は 14%、沈黙の世代は

    6%となっています。

  • 15 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    地域別および年齢別のモバイル専業銀行の利用可能性

    アジア太平洋 地域

    33%

    49%

    18%

    ヨーロッパ

    17%

    39%

    44%

    アフリカ/中東

    23%

    52%

    25%

    中南米

    27%

    48%

    25%

    北米

    19%

    30%

    51%

    可能性が非常に高い ある程度可能性がある その可能性はない

    Z 世代 (15~20 歳)

    23% 47% 30%

    ミレニアル世 代(21~34 歳)

    34% 47% 19%

    X 世代

    (35~49 歳) 26% 48% 26%

    ベビー

    ブーム世代 (50~ 64 歳)

    14% 39% 47%

    沈黙の世代 65 歳以上

    6% 28% 66%

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • モバイル専業の可能性からモバイル専業の 必要性への転換

    モバイル専業銀行を利用する可能性が非常に高いのは、世界の回答者

    のわずか 27%にすぎませんが、約半数(45%)が不確かであり、ある

    程度利用する可能性があると回答しています。それでは、可能性を必

    要性に転換するには、どうすればいいのでしょうか。1 回で済む魔法の

    ような解決策はありませんが、比較的強力なインセンティブは存在し

    ます。

    モバイル専業銀行をある程度利用する可能性があると回答した世界の

    回答者の 4 割以上が、投資商品の購入の手数料が割安または低料金で

    ある場合(43%)や、預金金利が高い場合(42%)、さらには、娯楽

    チケットの予約や映画チケットの購入などのライフスタイルに関連し

    た活動の割引がある場合(42%)に、モバイル専業銀行を利用する可

    能性が非常に高いと回答しています。それよりも若干少ない回答者

    (39%)が、一部の取引の応答時間が短くなれば、モバイル専業銀行

    を試しに利用してみたいと回答しています。当然ながら、モバイル専

    業銀行をまったく利用する気がない回答者を説得するのは、インセン

    ティブを提供しても困難です。モバイル専業銀行を使用する可能性が

    ないと回答した回答者にとって、最も魅力的なインセンティブは高い

    金利(18%)です。それよりも少数の回答者が、投資商品の購入の手

    数料が割安または低料金である場合(16%)や、ライフスタイル活動

    の割引(15%)、さらには低い貸出金利(13%)によって、モバイル

    専業銀行を利用する可能性が非常に高いと回答しています。

    「モバイル商品はあらゆる金融機関の戦略の要になりつつありますが、

    モバイル専業銀行は、実店舗に簡単に赴くことができず、銀行を利用

    していない人々が多く存在する発展途上市場で成長する可能性が高い

    と言えます」と、Stuart Tagg は述べています。「ただし、そうは言っ

    ても、先進国市場においても、特に若い世代で利用率を拡大できるチ

    ャンスはあります。さらに、優れた設計と高度な機能は重要ですが、

    それだけでは十分ではありません。消費者が、支店の訪問による対面

    式の利点を手放してもいいと思うだけでなく、代わりに独自の付加価

    値サービスを受けられるという、十分に強力な価値ある提案が必要で

    す」。

    また、モバイル専業銀行は、運用担当者にとっても非常に複雑です。

    モバイルアプリは、お客様がすべての操作を実行し、最高品質のサポ

    ートを受けられる強力なものであるだけでなく、たえず進化し、とも

    すると運用担当者の制御範囲外にある多様なデバイスや OS で適切に機

    能する必要があります。

    世界の回答者の 45% が、モバイル専業銀行をある程

    度利用したいと回答しています。

    そうした人々をユーザーへと転

    換するには、どのようなインセ

    ンティブの提供が最も有力でし

    ょうか。

    可能性が非常に高い

    ある程度可能性がある

    その可能性はない

    投資商品購入時の手数料が より低いか無料

    43% | 48% | 9%

    娯楽チケットの予約や映画チケッ トの購入などの、ライフスタイル に関連した活動の割引

    42% | 49% | 9%

    より高い預金金利

    42% | 45% | 13%

    一部の取引のより迅速な応答時間

    39% | 53% | 8%

    より低い貸出金利

    32% | 51% | 17%

    融資申し込みのプロセスが簡単 (すべての所得書類をアップロー ドすれば申し込みできるなど)

    28% | 55% | 17%

    ベース:モバイル専業銀行をある程度利用したいと回

    答している回答者

    出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    16

    16 グローバルモバイルマネーレポート

  • 中国 57%

    デンマーク 57%

    インドネシア 51%

    インド 50%

    ベネズエラ 50%

    南アフリカ 49%

    タイ 48%

    スウェーデン 42%

    トルコ 41%

    チリ 40%

    資金移動 消費者は、モバイルデバイスを使用してショッピングするだけでは

    なく、銀行口座の状況を確認したり、口座間で資金を移動していま

    す。また、商品やサービスの料金の送金や受け取りに使用していま

    す。モバイル決済の分野は急速に進化しており、従来の金融機関や

    小売業者、最大手のテクノロジー企業や小規模の新興企業が参入し

    ています。その結果、非常に混雑した複雑な環境となっています。

    モバイル決済には、ピアツーピア(P2P)の取引と物理的な POS

    取引の両方が含まれますが、特に新興国市場では、前者は後者より

    も普及しています。世界の回答者の 3 分の 1 以上が、今後 6 か月間

    で、モバイルデバイスを使用して他の人との間での送金(36%)と

    送金の受け取り(34%)を利用する可能性が非常に高いと回答して

    います。概して、新興国市場の回答者は、先進国市場の回答者より

    もピアツーピア(P2P)決済を利用する可能性が高くなっています。

    モバイルデバイスを使用して他の人に送金する可能性について、世

    界平均を超える 10 市場のうち 8 市場が新興国市場であり、送金を

    受け取る可能性が世界平均より高い 13 か国のうち 11 か国が新興国

    市場です。

    「モバイル決済の導入と使用については、新興国市場が先導役を務

    めています」と、Stuart Tagg は言います。「現金払いを主に行う、

    銀行を使用しない多くの人々が存在しているため、モバイル決済は

    重要なギャップを解消し、一部の新興国市場では、幅広いイノベー

    ションの取り組みの中心となっています。実際に、一部の国では、

    先進国市場で普及している銀行口座やクレジットカードを中心とし

    た従来の決済モデルを飛び越えて、代わりに資金の管理と移動を全

    面的にデジタルツールで行うことになるでしょう」。

    世界の回答者のうち、バーやレストラン、小売店でモバイル決済を

    利用する可能性が非常に高いと考えている人はわずか 28%にとど

    まっています(モバイル近接型ペイメント)。店舗でモバイル決済

    を利用する可能性が世界平均を超えている市場はインド(46%)と

    中国(45%)だけです。インドでは、モバイル決済の利用を促進す

    る要因はいくつかありますが、それには技術に精通した人々や高い

    新興国市場は、モバイルの

    ピアツーピア(P2P)送金でリード

    36% の世界の回答者が、今後 6 か月間で他の人に

    直接送金する可能性が非常に高いと回答

    世界の平均を上回っている国

    34% の世界の回答者が、今後 6か月間で他の人か

    ら直接送金を受け取る可能性が非常に高いと

    回答

    世界の平均を上回っている国

    デンマーク 56%

    インドネシア 54%

    インド 51%

    南アフリカ 49%

    ベネズエラ 48%

    タイ 47%

    中国 46%

    チリ 43%

    トルコ 41%

    スウェーデン 40%

    ベトナム 38%

    フィリピン 37%

    ブラジル 36%

    Copyright © 2016 The Nielsen Company 17

  • モバイル普及率、手ごろな価格のデバイスの普及、比

    較的低価格のインターネットアクセスなどが含まれま

    す。中国では、モバイル近接型ペイメントが、大都市

    でごく普通に利用されています。消費者は、QR コード

    をスキャンしてモバイル WeChat アカウントで支払う

    ことができ、高級レストランや通りの屋台、さらには

    交通機関に至るまで、さまざまな業者に受け入れられ

    ています。

    ただし、世界で最も技術的に進歩した経済の一部では、

    消費者がモバイル近接型ペイメントを使用する可能性は

    きわめて低くなっています。例えば、今後 6 か月間で店

    舗でモバイル決済を利用する可能性が非常に高いと回答

    している韓国の回答者は 15%、日本は 11%、香港は

    10%にとどまっています。これらの市場では、なぜ導入

    率がこのように低いのでしょうか。1 つには、代替の決

    済ツールの普及が挙げられます。香港では、そうした例

    として Octopus という、小売店や交通機関向けの再利用

    可能なプリペイドカードがあります。さらに、一部の市

    場では、非接触型のデビットカードや、NFC 対応クレジ

    ットカードなどが普及しています。

    「消費者はまず非接触型のカードに移行し、Apple Pay

    (香港と英国では 6 か月前に利用可能になったばか

    り)などの新しいモバイル決済チャネルには、静観の 立場を取ります。これは、非接触型リーダーは広く普

    及しているものの、ユニバーサルではないため、モバ

    イルデバイスがリーダーに対応していない場合に備え て、ほとんどの人々が依然としてカードを持ち歩く必

    要があるためです」と、Stuart Tagg は述べています。

    18 グローバルモバイルマネーレポート

  • 地域別のモバイル決済

    今後 6 か月間でモバイル決済を利用する可能性

    可能性が非常に高い

    ある程度可能性がある

    その可能性はない

    注:四捨五入のため、合計は 100% にならない可能性があります。 ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者

    出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    19 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    他の人に直接お金を送金する 他の人からお金を受け取る

    16% 36% 48% アジア太平洋地域 43% 39% 18%

    50%

    38%

    42%

    29% 21%

    35% 27%

    30% 28%

    ヨーロッパ

    アフリカ/中東

    中南米

    20%

    30%

    32%

    29% 51%

    37% 33%

    33% 35%

    57% 25% 19% 北米 20% 25% 55%

    可能性が非常に高い

    ある程度可能性がある

    その可能性はない

    購入時にモバイルアプリを

    使用する

    バー、レストラン、小売店で

    モバイル決済を使用する

    11% 31% 58% アジア太平洋地域 37% 38% 25%

    45%

    34%

    29%

    32%

    38%

    34%

    23%

    28%

    37%

    ヨーロッパ

    アフリカ/中東

    中南米

    13%

    19%

    18%

    23%

    30%

    30%

    64%

    51%

    52%

    37% 30% 34% 北米 19% 28% 53%

  • 20 グローバルモバイルマネーレポート

    モバイルデバイスを使用した決済については、世代間で大きなギャップ

    があります。4 割以上のミレニアル世代が、今後 6 か月間でモバイル

    経由で他の人との送金(45%)や送金の受け取り(44%)を行う可能性

    が非常に高いと回答しているのに対し、ベビーブーム世代では 5 分の 1

    未満(送金 18%、送金の受け取り 16%)となっています。さらに、

    ミレニアル世代の 3 分の 1 以上(35%)が、店舗、バー、レストランで

    モバイル決済を利用する可能性が非常に高いと回答しており、同様に回

    答しているベビーブーム世代(13%)と沈黙の世代(11%)の回答者の

    約 3倍となっています。

  • 世代別のモバイル決済

    今後 6 か月間でモバイル決済を利用する可能性

    可能性が非常に高い

    ある程度可能性がある

    その可能性はない

    注:四捨五入のため、合計は 100% にならない可能性があります。 ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者

    出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

    21 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    他の人に直接お金を送金する 他の人からお金を受け取る

    36%

    35% 29% Z世代

    (15~20歳)

    32%

    38% 30%

    21%

    34% 45% ミレニアル世代 (21~34歳)

    44%

    36% 20%

    30%

    34% 36% X世代

    (35~49歳)

    31%

    38% 31%

    54%

    28% 18% ベビーブーム世代 (50~ 64 歳)

    16%

    28% 56%

    72%

    18% 11% 沈黙の世代

    (65 歳以上)

    10%

    15% 75%

    可能性が非常に高い

    ある程度可能性がある

    その可能性はない

    購入時にモバイルアプリ

    を使用する

    バー、レストラン、小売店で

    モバイル決済を使用する

    25%

    35%

    41% Z世代

    (15~20歳)

    19%

    36%

    45%

    15% 31%

    53%

    ミレニアル世代(21~34歳)

    35%

    35%

    30%

    23% 32%

    45%

    X世代 (35~49歳)

    27%

    33%

    40%

    42% 32%

    26%

    ベビーブーム 世代

    (50~64歳)

    13%

    27%

    59%

    60% 26%

    14%

    沈黙の世代 (65歳以上)

    11%

    13%

    75%

  • 22 グローバルモバイルマネーレポート

    14%

    1

    4%

    11%

    1

    3%

    15%

    58%

    48%

    4

    7%

    58%

    50%

    12%

    8

    %

    16%

    11

    %

    7%

    28%

    36%

    32%

    33%

    38%

    安全性、スピード、 節約が、モバイル決済の導入を促進

    モバイルバンキングの場合と同様に、回答者がモバイル決済を利用する

    可能性が低い主な理由は、セキュリティ(53%)と必要性のなさ(33%)

    です。多数の市場で非接触型カードが利用可能であるため、消費者は小

    売業者がモバイル決済テクノロジーを導入したかどうかに気付くことさ

    えないかもしれません。それは、購買習慣を変更する理由がほとんどな

    いためです。

    モバイル決済を妨げる障壁

    今後 6 か月間でモバイル決済を利用する可能性が低いと思われる主な理由

    アジア太平洋地域 ヨーロッパ アフリカ/中東 中南米 北米

    セキュリティに懸念がある モバイル決済をする必要性がない

    端末の画面が小さすぎる 利用する小売店舗でモバイル 決済を受け付けていない

    ベース:今後 6 か月間にモバイル決済を利用する可能性が低いと回答した全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 23 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    それでは、小売業者や金融サービス機関がモバイル決済システムの導

    入と利用を促進するには、どうすればいいのでしょうか。セキュリテ

    ィを強化することは当然ですが、信頼の構築も幅広い導入を促すため

    の重要な第一歩です。世界の回答者の 56%が、強化されたセキュリテ

    ィ機能が、モバイル決済の利用と増加を促進すると回答しています。

    小売業者は、モバイル決済の利用体験の付加価値を高め、消費者に深

    く根付いている行動を変更する理由を与える方法を見つけ出す必要も

    あります。モバイル決済を試す、または利用頻度が高くなる理由とし

    て、4 割以上の回答者が、モバイル決済利用者のみに提供されるイン

    センティブ/特典/ボーナスがある場合(44%)、または従来の方法

    よりも決済が迅速な場合(44%)と回答しています。現在、非接触型

    カードによる決済は、多数の市場でモバイル決済よりも迅速に行うこ

    とができます。それは、必要なクリックの回数が少ないほか、消費者

    はカードをリーダーの横にかざすだけでよく、取引の認証が不要なた

    めです。そのため、スピーディーなモバイル決済プロセスを実現する

    手段を開発することが、導入の促進には不可欠となるでしょう。

    世界でみると、モバイル決済利用者のみに提供されるボーナスがあれ

    ば、モバイル決済を試してみたい、または利用頻度が高くなると回答

    している回答者の割合が最も高いのは、南アフリカです(65%)。上

    位 5 位のその他の国はアジア市場が占めており、フィリピン(63%)、

    インド(60%)、シンガポール(58%)、マレーシア(55%)となっ

    ています。同様に、モバイル決済ユーザーのスピーディーな決済につ

    いて言えば、最も強く同意している上位 5 位の市場のうちの 4 つをア

    ジアが占めています。インドネシア、タイ、ベトナムがリードしてお

    り(それぞれ 65%)、ベネズエラ(59%)、中国(52%)がそれに続

    きます。特に中国は、モバイルデバイスで比類なきスピードと簡易性

    を独自に実現しています。一部の店舗では、消費者に QR コードをス

    キャンしてもらい、WePay 経由で決済を行って、当日に自宅に配送し

    ます。成熟国市場の大半では、こうしたメリットを実現するだけの

    サプライチェーンのインフラが構築されていません。そのため、接続

    されたモバイル通信や決済システムから付加価値を得ることができま

    せん。

    モバイル決済システムは、小売業者や金融サービス機関が消費者につ

    いてより多くの購買データを収集し、そうした情報に基づいてより関

    連性の高い提案を行う機会を提供します。ただし、優れたパーソナラ

    イズ機能はブランドにとってモバイル決済の最も魅力的なメリットの

    1 つではありますが、消費者への影響度はやや限定的に思われます。

    より関連性の高い提案や広告によって、モバイル決済を利用したくな

    る、または利用頻度が高くなると回答しているのは、世界の回答者の

    わずか 3 分の 1(32%)です。消費者に適した広告や提案に魅力を感

    じると回答した人の割合が世界平均を上回ったのは、中国(52%)、

    インド(48%)、ベトナム(43%)、エジプト(40%)です。

  • 24 グローバルモバイルマネーレポート

    モバイル決済の導入障壁がより大きいのは成熟国市場です。北米(22%)

    とヨーロッパ(20%)では、回答者の 5 分の 1 が、どのようなインセン

    ティブがあってもモバイル決済を利用する、または利用頻度が高くなる

    ことはないと回答しています(アフリカ/中東は 9%、中南米は 8%、

    アジア太平洋地域は 4%)。英国(33%)、デンマーク(32%)、エス

    トニア(32%)、フィンランド(32%)、オーストラリア(32%)、

    ニュージーランド(30%)では、回答者の約 3 分の 1 が、カナダ(24%)

    と米国(21%)では回答者の 5 分の 1 以上が、どのようなインセンティ

    ブがあってもモバイル決済を利用する、または利用頻度が高くなること

    はないと回答しています。

    モバイル決済の利用を促進するインセンティブ

    インセンティブがあればモバイル決済を利用してみたい、

    または利用頻度が高くなると回答した回答者の割合(%)

    アジア太平洋地域 ヨーロッパ アフリカ/中東 中南米 北米

    強化されたセキュリティ機能 モバイル決済利用者のみに提供される

    インセンティブ/会員特典/ボーナス

    46%

    49%

    47%

    62% 57%

    32%

    41%

    40%

    40%

    51%

    従来の支払い方法に比べて

    よりスピーディーな決済

    より関連性の高い案内や広告を

    受信する機能

    34%

    27%

    51%

    44%

    45%

    12%

    21%

    21%

    32%

    43%

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 25 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    「先進国市場では、多くの消費者にとって、他の種類のシステムでは

    なく、モバイル決済を利用する具体的なメリットが明確ではありま

    せん」と、Stuart Tagg は述べています。「カードの代わりに携帯電話

    を利用する点以外に、独自性や相違点がありません。発展途上国市場

    では、インフラがより柔軟で、クロスプラットフォームの統合が進ん

    でいます(例えば Alipay と Alibaba、WeChat と WePay などは、統合

    テクノロジーを使用して高いメリットを提供しています)。こうした

    特徴は先進国市場には欠けており、テクノロジーが異なっていたり、

    閉ループが構成されていません」。

    当然ながら、モバイル決済は、高齢者層の消費者の間では導入障壁が大

    きくなっています。セキュリティ機能の強化は、全年代の回答者にとっ

    て、最も影響力の高い改善やインセンティブとなっています。ただし若

    年層の反応が良いのは、モバイル決済利用者のみに提供されるボーナス

    (ミレニアル世代は 49%、ベビーブーム世代は 33%)、スピーディー

    な決済(48%と 33%)、パーソナライズされた広告や提案(38%と

    16%)です。

    モバイル決済の成功戦略

    付加価値を見つけ出し、強調します。決済および購入プロセス全体でよ

    り良い接続性と具体的なメリットを提供することが、利用の促進につな

    がります。米国ではチップとサインのテクノロジーを採用したカード

    (埋め込みのセキュリティチップを使用し、購入時に利用者のサインが

    必要)が使用されており、購入プロセスに遅れが生じているので、モバ

    イル決済の利用は米国で増加する可能性があります。しかし、香港や英

    国などの市場では、NFC チップ搭載の非接触型決済により、購入プロセ

    スがすでに迅速化されているため、消費者の日常生活にモバイル決済を

    取り入れるためには、より有意義な理由が必要になるでしょう。

    導入を促進する潜在的モデルは 2 つあります。それは、スウェーデンで

    行われているのに類似した統合バンキングと、中国で行われているのに

    似たテクノロジー推進アプローチです。テクノロジー推進アプローチで

    は、テクノロジー企業がシームレスな購入取引と送金の手段を提供して

    います。

  • 26 グローバルモバイルマネーレポート

    世代別のモバイル決済のインセンティブ

    インセンティブがあればモバイル決済を利用してみたい、

    または利用頻度が高くなると回答した回答者の割合(%)

    強化されたセキュリティ機能

    モバイル決済利用者のみに提供されるインセンティブ/会員特典/ボーナス

    従来の支払い方法に比べてよりスピーディーな決済

    より関連性の高い案内や広告を受信する機能

    どのようなインセンティブがあっても、モバイル決済を利用する、または利用頻度が高くなることはない

    沈黙の世代

    (65歳以上)

    Z世代 (15~20 歳)

    ベビーブーム世代 (50~64歳)

    45%

    ミレニアル世代 (21~34歳)

    X世代

    (35~49歳)

    ベース:モバイル接続デバイスを所有している全回答者 出典:『The Nielsen Mobile Shopping, Banking and Payment Survey Q1, 2016』

  • 27 Copyright © 2016 The Nielsen Company

    市場 インターネット

    普及率

    アルゼンチン 79%

    ブラジル 68%

    チリ 80%

    コロンビア 59%

    メキシコ 56%

    ペルー 59%

    ベネズエラ 62%

    市場 インターネット

    普及率

    オーストラリア 93%

    中国 52%

    香港 80%

    インド 37%

    インドネシア 34%

    日本 91%

    マレーシア 68%

    ニュージーランド 94%

    フィリピン 53%

    シンガポール 81%

    韓国 92%

    台湾 84%

    タイ 60%

    ベトナム 52%

    市場 インターネット

    普及率

    オーストリア 83%

    ベラルーシ 59%

    ベルギー 85%

    ブルガリア 57%

    クロアチア 75%

    チェコ共和国 80%

    デンマーク 96%

    エストニア 84%

    フィンランド 94%

    フランス 84%

    ドイツ 88%

    ギリシャ 63%

    ハンガリー 76%

    アイルランド 83%

    イスラエル 73%

    イタリア 62%

    カザフスタン 54%

    ラトビア 82%

    リトアニア 82%

    オランダ 96%

    ノルウェー 96%

    ポーランド 68%

    ポルトガル 68%

    ルーマニア 56%

    ロシア 71%

    セルビア 66%

    スロバキア 83%

    スロベニア 73%

    スペイン 77%

    スウェーデン 95%

    スイス 87%

    トルコ 60%

    イギリス 92%

    ウクライナ 43%

    グローバル調査の実施国

    アジア太平洋地域

    中南米

    ヨーロッパ

    アフリカ/中東

    北米

    インタ

    ーネット 普及率

    出典:Miniwatts Marketing『Internet World

    Stats』2016年 6月 30日(ヨーロッパでは 2015年 11月 30日に改訂) www.internetworldstats.com

    市場 インターネット

    普及率

    エジプト 37%

    モロッコ 61%

    パキスタン 18%

    サウジアラビア 65%

    南アフリカ 49%

    UAE 92%

    市場 インターネット

    普及率

    カナダ 93%

    アメリカ 87%

    http://www.internetworldstats.com/

  • 28 グローバルモバイルマネーレポート

    ニールセンのグローバル調査について

    ニールセンのモバイルショッピング、モバイルバンキング、モバイル決

    済に関する調査は 2016 年 3 月 1 日~23 日に実施され、アジア太平洋地

    域、ヨーロッパ、中南米、中東/アフリカ、北米の 63 か国のオンライン

    消費者を対象に行われました。調査のサンプルには、調査に参加するこ

    とに同意したインターネットユーザーが含まれ、年齢と性別に基づいて

    国ごとに人数が割り当てられています。各国のインターネット消費者を

    表すためにサンプルに加重をかけています。サンプルは調査に参加する

    ことに同意した人を基にしているため、理論的なサンプルエラーの推定

    は計算できません。しかし、同等サイズのサンプルがエラーとなる可能

    性はグローバルレベルで ±0.6%です。このニールセンの調査は、オンラ

    インアクセスが可能な回答者のみを対象としています。インターネット

    普及率は国ごとに異なります。ニールセンは、調査に使用するデータ基

    準をインターネット普及率 60%以上、またはオンライン人口 1,000 万人

    以上としています。

    ニールセンについて Nielsen Holdings plc(NYSE: NLSN)は、世界的な調査会社として消費

    者の視聴行動、購買行動の分析を行っています。視聴行動分析部門は、

    メディア・広告企業向けに各種デバイス上での動画・音声・テキストコ

    ンテンツ消費動向を把握するトータルオーディエンス測定を提供してい

    ます。購買行動分析部門は、消費財メーカーや小売企業を対象に業界で

    他に類を見ない世界規模のリテールパフォーマンス分析を提供していま

    す。視聴行動分析、購買行動分析を他のデータと組み合わせた世界レベ

    ルの測定・分析により、ニールセンはクライアントのパフォーマンス向

    上を支援します。S&P 500 企業として、世界人口の 90%を網羅する 100

    ヵ国以上に拠点を有しています。

    詳細についてはホームページ(www.nielsen.com)をご覧ください。

    Copyright © 2016 The Nielsen Company.All rights reserved. Nielsen と Nielsen のロゴは、CZT/ACN Trademarks, L.L.C の商標または

    登録商標です。その他の製品およびサービス名は、それぞれの会社の商標

    または登録商標です。16/10416